(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161841
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】損傷検出装置及び損傷検出プログラム
(51)【国際特許分類】
F03D 17/00 20160101AFI20241113BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20241113BHJP
G06T 7/62 20170101ALI20241113BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241113BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20241113BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20241113BHJP
【FI】
F03D17/00
G06T7/70 B
G06T7/62
G06T7/00 610A
G01N21/88 Z
G01M99/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076933
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】512032777
【氏名又は名称】株式会社mmガード
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和清
【テーマコード(参考)】
2G024
2G051
3H178
5L096
【Fターム(参考)】
2G024AC01
2G024AD07
2G024BA22
2G024CA22
2G024EA14
2G024FA06
2G024FA15
2G051AA88
2G051AA90
2G051AB03
2G051AC21
2G051CA04
2G051EA12
2G051EA14
2G051EA21
3H178AA03
3H178AA40
3H178BB41
3H178BB59
3H178CC02
3H178DD70X
5L096AA06
5L096BA03
5L096BA18
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA59
5L096FA67
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】回転翼が撮影された姿勢に関わらず取得した対象画像に基づいて回転翼の損傷を検出する場合に比較して、回転翼の損傷を高精度に検出できる。
【解決手段】損傷検出装置10は、共通の回転軸で回転する複数の回転翼を有する風車を、側方から撮影して得た複数の撮影画像の中から、複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、一つの回転翼が所定の面積に最も近い撮影画像を、対象画像として取得する取得部10Aと、取得した対象画像に基づいて、回転翼の損傷を検出する検出部10Bと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の回転軸で回転する複数の回転翼を有する風車を、側方から撮影して得た複数の撮影画像の中から、前記複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、前記一つの回転翼が所定の面積に最も近い撮影画像を、対象画像として取得する取得部と、
取得した前記対象画像に基づいて、前記回転翼の損傷を検出する検出部と、
を有する、損傷検出装置。
【請求項2】
前記対象画像は、前記複数の撮影画像を学習済の教師ありモデルに入力して取得した画像であり、
前記教師ありモデルは、風車を側方から撮影して得た複数の学習用の画像であって、当該風車が有する複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が前記所定の姿勢に最も近い画像、又は、当該一つの回転翼の面積が前記所定の面積に最も近い画像を、教師データとして予め学習されたモデルである、
請求項1に記載の損傷検出装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記風車を上面から撮影して得た複数の撮影画像の中から、前記複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が水平面に対して平行な姿勢に最も近い撮影画像、又は、前記一つの回転翼の面積が最大となる最大面積に最も近い撮影画像を、前記対象画像として取得する、
請求項1又は請求項2に記載の損傷検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、取得した前記対象画像の温度分布に基づいて、前記回転翼の損傷を検出する、
請求項1又は請求項2に記載の損傷検出装置。
【請求項5】
共通の回転軸で回転する複数の回転翼を有する風車を、側方から撮影して得た複数の撮影画像の中から、前記複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、前記一つの回転翼が所定の面積に最も近い撮影画像を、対象画像として取得し、
取得した前記対象画像に基づいて、前記回転翼の損傷を検出する、
処理をコンピュータに実行させる、
損傷検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、損傷検出装置及び損傷検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、報告書作成装置が開示されている。この報告書作成装置は、無人飛行体に取り付けられた撮影手段により風力発電設備の一部を観察対象として撮影した画像を取得する画像取得手段と、無人飛行体の飛行位置の情報を取得する飛行位置情報取得手段と、を備える。また、この報告書作成装置は、画像と飛行位置の情報とを紐づけるデータ収集手段と、観察対象を含む画像を選択する選択手段と、選択した画像に紐づけられた飛行位置の情報に基づき、観察対象の位置情報を求める演算手段と、を備える。また、この報告書作成装置は、少なくとも画像と該画像に含まれる観察対象の位置情報とを含む点検報告書を作成する報告書作成手段と、点検報告書を出力する出力手段と、を備える。
【0003】
特許文献2には、風力発電設備の点検方法が開示されている。この点検方法は、無人航空機が、風力発電設備の風車の上空まで自律飛行するステップと、無人航空機に設けられたコントローラが、風車の上空において風車のナセルの現時点の方位を判定するステップと、を備える。また、この点検方法は、判定したナセルの現時点の方位に基づいて、コントローラが風車のハブに正対する位置に自機を移動させるステップと、コントローラが、ハブに正対する位置において風車の第1ブレードの現時点の回転角度を判定するステップと、を備える。また、この点検方法は、判定した第1ブレードの現時点の回転角度に基づいて、コントローラが第1ブレードの点検開始位置に自機を移動させるステップを備える。また、この点検方法は、コントローラが、点検開始位置から第1ブレードの長手方向に沿って自機を移動させながら、無人航空機に搭載されたカメラによって第1ブレードの点検用画像を撮影するステップを備える。また、この点検方法は、第1ブレードの点検用画像に基づいて、第1ブレードの損傷箇所を自動判定するステップを備える。
【0004】
特許文献3には、風力タービンブレードを現場で遠隔で検査する方法が開示されている。この方法は、熱画像データを生成するために、日没後にブレードが周囲空気に対して実質的に熱平衡に達しているときに、熱画像カメラによって風力タービンブレードの一部を撮像することを含む。また、この方法は、熱画像データを分析して、風力タービンブレード内の欠陥の内部または周りの摩擦熱を示す可能性がある異常な熱パターンを識別することを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-181235号公報
【特許文献2】特開2022-108420号公報
【特許文献3】特開2018-40807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
風車が有する回転翼を撮影して得た対象画像に基づいて、当該回転翼の損傷を検出する技術がある。しかしこの技術では、例えば、回転翼が水平面に対して直角の姿勢のときに上面から撮影されている場合等、回転翼が撮影された姿勢によっては対象画像に損傷が映らない場合がある。したがってこの技術では、損傷した回転翼を撮影していても、当該回転翼の損傷を検出できない可能性があった。
【0007】
本開示は、回転翼が撮影された姿勢に関わらず得た対象画像に基づいて回転翼の損傷を検出する場合に比較して、回転翼の損傷を高精度に検出できる損傷検出装置及び損傷検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1態様に係る損傷検出装置は、共通の回転軸で回転する複数の回転翼を有する風車を、側方から撮影して得た複数の撮影画像の中から、前記複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、前記一つの回転翼が所定の面積に最も近い撮影画像を、対象画像として取得する取得部と、取得した前記対象画像に基づいて、前記回転翼の損傷を検出する検出部と、を有する。
【0009】
また、第2態様に係る損傷検出装置は、第1態様に係る損傷検出装置において、前記対象画像は、前記複数の撮影画像を学習済の教師ありモデルに入力して取得した画像であり、前記教師ありモデルは、風車を側方から撮影して得た複数の学習用の画像であって、当該風車が有する複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が前記所定の姿勢に最も近い画像、又は、当該一つの回転翼の面積が前記所定の面積に最も近い画像を、教師データとして予め学習されたモデルである。
【0010】
また、第3態様に係る損傷検出装置は、第1態様又は第2態様に係る損傷検出装置において、前記取得部は、前記風車を上面から撮影して得た複数の撮影画像の中から、前記複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が水平面に対して平行な姿勢に最も近い撮影画像、又は、前記一つの回転翼の面積が最大となる最大面積に最も近い撮影画像を、前記対象画像として取得する。
【0011】
また、第4態様に係る損傷検出装置は、第1態様から第3態様のうち何れか1態様に係る損傷検出装置において、前記検出部は、取得した前記対象画像の温度分布に基づいて、前記回転翼の損傷を検出する。
【0012】
また、第5態様に係る損傷検出プログラムは、共通の回転軸で回転する複数の回転翼を有する風車を、側方から撮影して得た複数の撮影画像の中から、前記複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、前記一つの回転翼が所定の面積に最も近い撮影画像を、対象画像として取得し、取得した前記対象画像に基づいて、前記回転翼の損傷を検出する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
第1態様又は第5態様によれば、回転翼が撮影された姿勢に関わらず得た対象画像に基づいて回転翼の損傷を検出する場合に比較して、回転翼の損傷を高精度に検出できる。
【0014】
第2態様によれば、教師ありモデルに複数の撮影画像を入力しない場合に比較して、高精度に対象画像を取得することができる。
【0015】
第3態様によれば、複数の撮影画像の中から、一つの回転翼の姿勢が水平面に対して平行な姿勢に最も近い撮影画像、又は、一つの回転翼が最大面積に最も近い撮影画像を対象画像として取得しない場合に比較して、回転翼の損傷を高精度に検出できる。
【0016】
第4態様によれば、対象画像の温度分布を使用しない場合に比較して、回転翼の損傷を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る損傷検出システムのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る風車の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る損傷検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る損傷検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る損傷検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る損傷検出システム100は、損傷検出装置10と、飛行体20とを有している。
【0020】
損傷検出装置10と、飛行体20とは、通信手段Nを介して相互に通信可能とされている。本実施形態では、通信手段Nとしてインターネット、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等の通信回線を適用している。また、本実施形態では、通信手段Nとして無線の通信回線を適用している。しかし、この例に限られない。通信手段Nとして、有線の通信回線を適用してもよいし、有線及び無線の各通信回線を組み合わせて適用してもよい。
【0021】
本実施形態では、飛行体20として無人飛行体の一種であるドローン(drone)を適用している。しかし、この例に限られない。例えば、飛行体20としてラジオコントロール(radio control)又は有人飛行体等を適用してもよい。
【0022】
図1に示すように、飛行体20は、カメラ25、及び通信I/F(Interface)27の各構成を有する。
【0023】
カメラ25は、風車30を撮影する撮影装置である。本実施形態では、カメラ25として、赤外線画像を撮影可能な赤外線カメラを適用している。しかし、この例に限られない。例えば、カメラ25として、可視光画像を撮影可能な可視光カメラを適用してもよい。
【0024】
図2に示すように、風車30は共通の回転軸31で回転する複数の回転翼32A~32Cを有する。なお、以下では、複数の回転翼32A~32Cを区別しない場合は単に「回転翼32」という。また、風車30が有する回転翼32の数は
図2に示す例に限定されない。
【0025】
図1に戻って、通信I/F27は、損傷検出装置10等の他の装置と通信するためのインタフェースである。
【0026】
なお、損傷検出システム100は、飛行体20に代えて、風車30を撮影する撮影装置を有する如何なる装置を適用してもよい。
【0027】
損傷検出装置10は、パーソナルコンピュータ、モバイル端末(例えば、スマートホン、携帯電話、又はタブレット端末等)、又はサーバ等の情報処理装置である。
【0028】
図3に示すように、損傷検出装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、表示部16、及び通信I/F17の各構成を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。CPU11は、本実施形態に係るコンピュータに相当する。
【0029】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12には、損傷検出プログラム200及び教師ありモデル202が格納されている。
【0030】
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0031】
表示部16は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。
【0032】
通信I/F17は、飛行体20等の他の装置と通信するためのインタフェースである。
【0033】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る損傷検出装置10の機能的な構成を説明する。
図4に示すように、本実施形態の損傷検出装置10は、CPU11がROM13に記憶されている損傷検出プログラム200を実行することで、取得部10A、検出部10B、及び出力部10Cとして機能する。
【0034】
取得部10Aは、飛行体20がカメラ25を介して風車30を側方から撮影して得た複数の撮影画像を取得する。本実施形態では、側方として、風車30の正面を除いた方向を適用する。言い換えると、取得部10Aは、カメラ25が風車30を上面、下面、左面、及び右面のうち少なくとも一つの面から撮影して得た複数の撮影画像を、通信I/F17を介して取得する。また、以下では、取得部10Aが取得した、風車30を側方から撮影した複数の撮影画像を単に「複数の撮影画像」ともいう。
【0035】
そして、取得部10Aは、複数の撮影画像の中から、複数の回転翼32のうち一つの回転翼32の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、一つの回転翼32が所定の面積に最も近い撮影画像を対象画像として取得する。
【0036】
本実施形態では、落雷痕等の回転翼32の上面に発生しやすい損傷を、後述する検出部10Bが検出する。そこで、取得部10Aは、複数の撮影画像の中から、風車30を上面から撮影して得た複数の撮影画像を取得する。そして、取得部10Aは、風車30を上面から撮影して得た複数の撮影画像の中から、一つの回転翼32の姿勢が水平面40に対して平行な姿勢に最も近い撮影画像、又は一つの回転翼32の面積が最大となる最大面積に最も近い撮影画像を、対象画像として取得する。
【0037】
本実施形態では、水平面40に対して平行な姿勢として、回転翼32を構成する辺のうち、少なくとも一つの辺が水平面40に対して平行である姿勢を適用している。例えば、
図2に示す例では、回転翼32Aを構成する一点鎖線で示された辺が水平面40に対して平行な姿勢である。したがって、
図2に示す例では、取得部10Aは、回転翼32Aを上面から撮影して得た撮影画像を対象画像として取得する。しかし、この例に限られない。例えば、水平面40に対して平行な姿勢として、回転翼32を構成する辺のうち最も短い辺の垂直二等分線若しくは最も長い辺、又は回転翼32を構成する角のうち最も小さな角の二等分線等が、水平面40に対して平行な姿勢を適用してもよい。
【0038】
なお、水平面40に対して平行な姿勢の回転翼32を上方から撮影した際の回転翼32とカメラ25との相対的な位置関係が維持されていれば、撮影する方向はいかなる方向からでもよい。例えば、取得部10Aは、複数の撮影画像の中から、風車30を上面以外の側方から撮影して得た複数の撮影画像を取得してもよい。そして、取得部10Aは、風車30を上面以外の側方から撮影して得た複数の撮影画像の中から、複数の回転翼32のうち一つの回転翼32の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、一つの回転翼32が所定の面積に最も近い撮影画像を対象画像として取得してもよい。この場合、所定の姿勢として、上述した水平面40に対して平行な姿勢に限られず、水平面40に対して直角な姿勢、又は水平面40との角度が無関係な姿勢等を適用してもよい。また、所定の面積として、上述した最大面積に限られず、具体的な回転翼32の面積値、又は一つの回転翼32の面積が最小となる最小面積等を適用してもよい。この場合、後述する検出部10Bは落雷痕に限られず、浸食、へこみ、剥離、腐食、酸化、溶融又はクラック(crack)等の回転翼32の上面以外にも発生しやすい損傷を検出することができる。
【0039】
また、本実施形態では、取得部10Aは、ROM12に格納された教師ありモデル202に、複数の撮影画像を入力することで対象画像を取得する。教師ありモデル202は、風車を側方から撮影して得た複数の学習用の画像であって、当該風車が有する複数の回転翼のうち一つの回転翼の姿勢が所定の姿勢に最も近い画像、又は、一つの回転翼の面積が所定の面積に最も近い画像を教師データとして予め学習された学習済のモデルである。本実施形態では、教師ありモデル202として、風車を上面から撮影して得た複数の学習用の画像であって、当該風車が有する一つの回転翼の姿勢が水平面40に対して平行な姿勢に最も近い画像、又は、一つの回転翼の面積が最大面積に最も近い画像を教師データとして予め学習された学習済のモデルを適用する。教師ありモデル202に、様々な姿勢の回転翼32が写った複数の撮影画像を入力することにより、複数の撮影画像のうち回転翼32の姿勢が所定の姿勢に最も近い撮影画像、又は、一つの回転翼32の面積が所定の面積に最も近い撮影画像が決定され、出力される。
【0040】
しかし、この例に限られない。教師ありモデル202として、風車を上面以外の側方から撮影して得た複数の学習用の画像であって、当該風車が有する一つの回転翼の姿勢が所定の姿勢に最も近い画像、又は、一つの回転翼が所定の面積に最も近い画像を教師データとして予め学習された学習済のモデルを適用してもよい。この場合、所定の姿勢として、上述した水平面40に対して平行な姿勢に限られず、水平面に対して直角な姿勢、又は水平面との角度が無関係な姿勢等を適用してもよい。また、所定の面積として、上述した最大面積に限られず、具体的な回転翼の面積値、又は一つの回転翼の面積が最小となる最小面積等を適用してもよい。
【0041】
なお、取得部10Aは対象画像を如何なる方法で取得してもよい。例えば、飛行体20が撮影する回転翼32の姿勢又は面積を取得し、これらを撮影画像と共に損傷検出装置10に送信する場合、取得部10Aは、送信された回転翼32の姿勢又は面積に基づいて、複数の撮影画像の中から対象画像を取得してもよい。
【0042】
また、取得部10Aは、複数の撮影画像を取得せずに直接対象画像を取得してもよい。例えば、取得部10Aは、損傷検出装置10以外の装置によって予め取得された対象画像を、通信I/F17を介して取得してもよい。
【0043】
検出部10Bは、取得部10Aが取得した対象画像に基づいて、回転翼32の損傷を検出する。本実施形態では、カメラ25として赤外線カメラが適用されているため、検出部10Bは赤外線画像である対象画像の温度分布に基づいて、回転翼32の損傷を検出する。具体的に、検出部10Bは、対象画像において周囲との温度差が所定の温度以上の部分を、損傷が発生している部分として検出する。例えば、検出部10Bは、学習用の回転翼32の画像と当該学習用の回転翼32の損傷の有無との組を教師データとして予め学習されたモデルに、対象画像を入力して回転翼32の損傷を検出する。
【0044】
なお、カメラ25として可視光カメラが適用されている場合、検出部10Bは可視光画像である対象画像に基づいて、回転翼32の損傷を検出してもよい。この場合も、例えば、検出部10Bは機械学習を用いて回転翼32の損傷を検出する。
【0045】
出力部10Cは、検出部10Bが回転翼32の損傷を検出したか否か(以下、「検出有無」という)を出力する。本実施形態では、出力部10Cは、検出有無を表示部16に出力する。しかし、この例に限られない。例えば、出力部10Cは、検出有無を損傷検出装置10以外の装置等に出力してもよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る損傷検出装置10の作用について説明する。
【0047】
まず、
図5を用いて、損傷検出装置10において実行される損傷検出処理について説明する。損傷検出処理は、CPU11が取得部10A、検出部10B、及び出力部10Cとして機能することにより実行される。なお、損傷検出処理は、損傷検出プログラム200がCPU11に実行させる処理に相当する。
【0048】
図5のステップS100において、CPU11は、飛行体20がカメラ25を介して風車30を側方から撮影して得た複数の撮影画像を取得する。
【0049】
ステップS102において、CPU11は対象画像を取得する。具体的に、CPU11は教師ありモデル202に、複数の撮影画像を入力することで対象画像を取得する。
【0050】
ステップS104において、CPU11は、回転翼32の損傷を検出する。具体的に、CPU11は対象画像の温度分布に基づいて、回転翼32の損傷を検出する。
【0051】
ステップS106において、CPU11は、検出有無を出力し、本損傷検出処理を終了する。
【0052】
以上、実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0053】
また、上記実施の形態は、請求項にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0054】
例えば、上記実施の形態では、損傷検出装置10と飛行体20とが別体で構成されている場合について説明した。しかし、この例に限られない。例えば、飛行体20に損傷検出装置10が内蔵されていてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、損傷検出装置10と、飛行体20とは、通信手段Nを介して相互に通信可能とされていた。しかし、この例に限られない。例えば、損傷検出装置10と、飛行体20とは、通信手段Nを介して相互に通信可能とされていなくてもよい。この場合、例えば、飛行体20はメモリカード等の記憶装置にカメラ25が撮影した撮影画像を格納する。そして、損傷検出装置10のCPU11は、損傷検出装置10が備える入出力I/Fを介して、記憶装置からカメラ25が撮影した撮影画像を取得する。
【0056】
また、上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0057】
また、上記実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0058】
本実施形態では、プログラムがROMにインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係るプログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係るプログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る損傷検出プログラム200を、通信I/F17を介して外部の装置から取得するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、損傷検出装置10における処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、損傷検出装置10における処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0060】
その他、上記実施形態で説明した損傷検出装置10と、飛行体20と、の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0061】
また、上記実施の形態で説明した損傷検出装置10における処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0062】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10 損傷検出装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
16 表示部
17 通信I/F
19 バス
20 飛行体
25 カメラ
27 通信I/F
30 風車
31 回転軸
32 回転翼
40 水平面
100 損傷検出システム
200 損傷検出プログラム
202 教師ありモデル