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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161854
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】駆動回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241113BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H05K1/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076956
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(72)【発明者】
【氏名】青木 弘利
(72)【発明者】
【氏名】小川 紘生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 諒斗
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338BB02
5E338BB17
5E338EE11
(57)【要約】
【課題】入力側部品と出力側部品との間の絶縁を良好に確保することができる駆動回路装置を提供する。
【解決手段】ゲートドライバは、駆動対象の外部機器であるIGBTモジュールに実装可能なドライバ基板101と、ドライバ基板101に配置された入力側の配線パターン301,302と、ドライバ基板101に配置された出力側の配線パターン303,304と、ドライバ基板101を貫通して形成され、入力側の配線パターン301,302と出力側の配線パターン303,304とを直線(任意の直線、例えば、最短距離の直線又は最短距離よりも長い距離の直線)で結ぶ線L1,L2,L3(仮想線)と交わる位置に形成され、それぞれ異なる形状を有する複数のスリットS1~S7と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動対象の外部機器に実装可能な回路基板と、
前記回路基板に配置された入力側部品と、
前記回路基板に配置され、前記入力側部品と電気的に絶縁された出力側部品と、
前記回路基板を貫通して形成され、前記入力側部品と前記出力側部品とを直線で結ぶ線と交わる位置に形成され、それぞれ異なる形状を有する複数のスリットと、
を備える駆動回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記回路基板の一端から他端までの距離を第1距離とし、
前記入力側部品から前記出力側部品までの沿面距離を第2距離とし、
前記入力側部品から前記出力側部品までの直線距離を第3距離とすると、
前記第1距離は、前記第2距離よりも長く、
前記第2距離は、前記第3距離よりも長いことを特徴とする駆動回路装置。
【請求項3】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記入力側部品から前記出力側部品に向かう沿面経路は、前記複数のスリットが形成されていることにより、前記入力側部品の方向に戻る経路を含んでいることを特徴とする駆動回路装置。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記複数のスリットは、Y字状のスリットを含んでいることを特徴とする駆動回路装置。
【請求項5】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記出力側部品は、第1出力側部品と、第2出力側部品と、を備え、
前記入力側部品と前記第1出力側部品との間に形成された前記複数のスリットと、前記入力側部品と前記第2出力側部品との間に形成された前記複数のスリットとは、対称な形状で形成されていることを特徴とする駆動回路装置。
【請求項6】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記出力側部品は、第1出力側部品と、第2出力側部品と、を備え、
前記入力側部品から前記出力側部品までの沿面距離を第1沿面距離とし、
前記第1出力側部品から前記第2出力側部品までの沿面距離を第2沿面距離とすると、
前記第1出力側部品と前記第2出力側部品との間には、前記第1沿面距離よりも短い前記第2沿面距離を確保するためのスリットが形成されていることを特徴とする駆動回路装置。
【請求項7】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記回路基板は、複数あり、
複数の前記回路基板のうち特定の回路基板には、光コネクタが配置されており、
前記複数のスリットは、前記光コネクタが配置されている前記特定の回路基板に形成されていることを特徴とする駆動回路装置。
【請求項8】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記回路基板を内部に収納するケースを備え、
前記ケースは、
前記入力側部品の一部を外部に突出させる入力側開口部と、
前記出力側部品の一部を外部に突出させる出力側開口部と、
前記入力側開口部と前記出力側開口部との間に形成され、前記ケースの表面から外側に突出して形成された複数の突出部と、を備えることを特徴とする駆動回路装置。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動回路装置において、
前記出力側開口部は、第1出力側開口部と、第2出力側開口部と、を備え、
前記第1出力側開口部と前記第2出力側開口部との間には、前記複数の突出部よりも少ない数の突出部が形成されていることを特徴とする駆動回路装置。
【請求項10】
請求項1に記載の駆動回路装置において、
前記回路基板を内部に収納するケースを備え、
前記回路基板は、前記ケースと接触する複数の接触部を備え、
前記回路基板の前記複数の接触部の間には、前記回路基板の内側の方向に凹んだ切り欠き部が形成されていることを特徴とする駆動回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を有した外部機器を駆動する駆動回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駆動回路装置は、例えばIGBT(Insulated Gate-Bipolar Transistor)等のパワー半導体を有したモジュールの駆動に用いることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6915890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の駆動回路装置は、外部機器との間の絶縁を確保することができる点で優位性があるが、駆動回路装置の部品である入力側部品と出力側部品との間の絶縁を良好に確保したいという要望がある。
【0005】
そこで本発明は、入力側部品と出力側部品との間の絶縁を良好に確保することができる駆動回路装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
解決手段の駆動回路装置は、例えば、駆動対象の外部機器に実装可能な回路基板と、前記回路基板に配置された入力側部品と、前記回路基板に配置され、前記入力側部品と電気的に絶縁された出力側部品と、前記回路基板を貫通して形成され、前記入力側部品と前記出力側部品とを直線で結ぶ線と交わる位置に形成され、それぞれ異なる形状を有する複数のスリットと、を備える駆動回路装置である。
【0008】
解決手段の駆動回路装置によれば、異なる形状を有する複数のスリットが、入力側部品と出力側部品とを直線で結ぶ線と交わる位置に形成されているため、複数のスリットがあるというだけでなく、それらが異なる形状を有することにより、入力側部品と出力側部品との沿面距離を相乗的に延ばすことができ、結果として、入力側部品と出力側部品との間の絶縁を良好に確保することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入力側部品と出力側部品との間の絶縁を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態のゲートドライバ100の構成を示す斜視図である。
図2】ケース200を除いたゲートドライバ100を示す斜視図である。
図3】ケース200を除いたゲートドライバ100を示す平面図である。
図4】ケース200を除いたゲートドライバ100を示す左側面図である。
図5】ケース200を除いたゲートドライバ100を示す正面図である。
図6】ケース200を除いたゲートドライバ100を示す右側面図である。
図7】ケース200を除いたゲートドライバ100を示す分解斜視図である。
図8】ドライバ基板101を示す平面図である。
図9】ケース200の天井部材201を示す平面図である。
図10】ゲートドライバ100の実装例を示す分離斜視図である。
図11】ゲートドライバ100とIGBTモジュール130との接続関係を示す回路図である。
図12】複数台のIGBTモジュール130,140を連結した回路構成を示す図である。
図13】変形形態のドライバ基板101-2を示す平面図である。
図14】別の変形形態のドライバ基板101-3を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、駆動回路装置の一例としてゲートドライバを挙げ、駆動対象となる外部機器の一例としてはIGBTモジュールを挙げているが、外部機器は他のパワー半導体モジュールであってもよいし、ゲートドライバはパッケージされた形態であってもよい。
【0012】
図1は、一実施形態のゲートドライバ100の構成を示す斜視図である。図2は、ケース200を除いたゲートドライバ100を示す斜視図である。図3は、ケース200を除いたゲートドライバ100を示す平面図である。図4は、ケース200を除いたゲートドライバ100を示す左側面図である。図5は、ケース200を除いたゲートドライバ100を示す正面図である。図6は、ケース200を除いたゲートドライバ100を示す右側面図である。図7は、ケース200を除いたゲートドライバ100を示す分解斜視図である。
【0013】
〔全体構成(ケース)〕
ゲートドライバ100は、高耐圧(例えば3300V)及び高周波に対応したゲートドライバモジュールである。図1に示すように、ゲートドライバ100は、箱型のケース200を備えおり、ケース200の内部には、ゲートドライバ100に必要なドライバ基板等の部品が収納されている。ケース200は、上部に配置される板状の天井部材201と、天井部材201の周囲に配置される環状の外周部材202と、を備えており、ケース200の下方は開口している。外周部材202の下方の四隅には、脚部203が形成されており、この脚部203が後述するドライバ基板103と接合されている。また、ケース200の内部には、図示しない台座が形成されており、この台座に後述するドライバ基板102が取り付けられる。
【0014】
〔回路基板〕
図2に示すように、ゲートドライバ100は、鉛直方向(図2のZ軸方向、上下方向)及び水平方向(図2のX軸方向、左右方向)に分かれて配置された5枚のドライバ基板101,102,103,104,105(回路基板)を有しており、これらドライバ基板101~105には図示しないゲート駆動回路が形成されている。各ドライバ基板101~105は、それぞれ単体で多層構造をなしていてもよい。ドライバ基板101~105のうち、特定のドライバ基板(例えば、ドライバ基板102,103)はそれぞれの回路面同士を対向させた状態で積層するようにして配置することができる。
【0015】
一番上に配置されているドライバ基板101には、6個の光コネクタ110や各種のチップ部品が実装されている他、配線パターンが形成されている。光コネクタ110は、光ファイバを用いたコネクタであり、信号の入出力を行うことができる。
上から二番目に配置されているドライバ基板102には、2個の絶縁型DC/DCコンバータ111や各種のチップ部品が実装されている他、配線パターンが形成されている。絶縁型DC/DCコンバータ111の内部は、ウレタン等の樹脂で充填することができる。
【0016】
絶縁型DC/DCコンバータ111は、外部入力された直流電源(例えばDC+12V)をゲート駆動回路用の駆動電流に変換する。なお、外部電源は交流電源であってもよく、その場合はAC/DCコンバータ等をドライバ基板102やその他のドライバ基板に実装することができる。
上から三番目(一番下)に配置されているドライバ基板103には、2個の補助基板160や各種のチップ部品が実装されている他、配線パターンが形成されている。補助基板160は、ドライバ基板103に実装する部品の実装スペースが足りない場合に配置することができる。補助基板160は、ドライバ基板103よりも小さい基板であり、ドライバ基板103に配置できない部品を補助基板160に配置することにより、ドライバ基板103の実装スペースを増やすことができる。なお、ドライバ基板103の実装スペースが足りている場合には、補助基板160は配置しなくてもよい。
【0017】
鉛直方向に配置された左側のドライバ基板104には、一対の連結用コネクタ112が実装されている他、各種のチップ部品や配線パターンが形成されている。連結用コネクタ112は、後述するIGBTモジュール130を並列駆動させるためのコネクタである。
鉛直方向に配置された右側のドライバ基板105には、入力コネクタ113が実装されている他、各種のチップ部品や配線パターンが形成されている。入力コネクタ113には、図示しない外部直流電源や制御ユニット等につながる配線を接続することができる。
【0018】
5枚のドライバ基板101~105は、ピン等の接続部材114やその他の配線、配線パターン等を介して連結され、電気的に接続されている。5枚のドライバ基板101~105には、上記のように図示しないゲート駆動回路が形成されており、ゲート駆動回路は、駆動対象となるモジュールの回路構成(半導体ブリッジ)に応じて複数系統に分かれて形成されている。
【0019】
ドライバ基板101の右側(図2では-X側)、ドライバ基板105、ドライバ基板102の右側(図2では-X側)及びこれらの領域に配置される部品は、入力側部品(1次側回路)となっている。また、ドライバ基板101の左側(図2では+X側)、ドライバ基板104、ドライバ基板102の左側(図2では+X側)、ドライバ基板103及びこれらの領域に配置される部品は、出力側部品(2次側回路)となっている。
【0020】
図3に示すように、ドライバ基板101の左側(2次側回路)には、6個の光コネクタ110が実装されている。このため、ドライバ基板101の左側(2次側回路)は、ドライバ基板101の右側(1次側回路)との沿面距離を確保し難くなっている。そこで、本実施形態では、複数のスリットS1~S8を形成することで、必要十分な沿面距離を確保するようにしている。なお、複数のスリットS1~S8の詳細は後述する。
【0021】
図4に示すように、ドライバ基板104は、2つの基板に分割されており、2つの基板の間には、非直線状(おおむねS字状の)のスリットS9が形成されている。スリットS9の幅は、所定間隔以上(例えば、1.5mm以上、好ましくは、2.0mm以上)となっている。図中左側に配置された基板は、左側の2個(図中では1個のみ図示)の光コネクタ110に対応する基板となっており、図中右側に配置された基板は、右側の4個(図中では2個のみ図示)の光コネクタ110に対応する基板となっている。また、図中上側の接続部材114は、ドライバ基板104とドライバ基板101とを接続しており、図中下側の接続部材114は、ドライバ基板104とドライバ基板102とを接続している。
【0022】
図5に示すように、3枚のドライバ基板101,102,103の間には空間が保持されており、ドライバ基板101とドライバ基板102との間には、絶縁型DC/DCコンバータ111が配置されている。
絶縁型DC/DCコンバータ111の上方には、光コネクタ110のピンPが、ドライバ基板101を貫通して突出している。そして、ピンPの下端部と、絶縁型DC/DCコンバータ111の上端部との間には、所定間隔以上(例えば、1.5mm以上、好ましくは、2.0mm以上)の隙間が空くようになっており、これによって、電気の短絡を回避している。
また、ドライバ基板103と補助基板160とは、接続部材114により接続されており、ドライバ基板103とドライバ基板104とは、リード線161及びコネクタ162,163により接続されている。
【0023】
図6に示すように、ドライバ基板105は、1つの基板により構成されている。また、図中上側の接続部材114は、ドライバ基板105とドライバ基板101とを接続しており、図中下側の接続部材114は、ドライバ基板105とドライバ基板102とを接続している。
【0024】
図7に示すように、ドライバ基板101~105のうち、水平方向に配置された上側の2枚のドライバ基板101,102は、鉛直方向に配置された2枚のドライバ基板104,105の間に挟まれて支持される。一方、水平方向に配置された下側の1枚のドライバ基板103は、ドライバ基板102の下方に配置される。各基板は、接続部材114等によって接続される。
【0025】
また、ドライバ基板101の左側の側面には、ドライバ基板104の方向に向かって突出した突出部120が形成されており、この突出部120は、ドライバ基板104の上部中央に形成された窪み部121に嵌め込まれる。また、ドライバ基板102の左側の側面には、ドライバ基板104の方向に向かって突出した突出部122が形成されており、この突出部122は、ドライバ基板104の下部中央に形成された窪み部123に嵌め込まれる。
【0026】
ドライバ基板104は2枚の基板により構成されており、その間にはスリットS9が形成されている。そして、窪み部121,123に突出部120,122を嵌め合わせて位置決めを行うことにより、何かしらの力が加わってスリットS9の幅が狭くならないようにしている。
【0027】
さらに、ドライバ基板102の右側の側面には、ドライバ基板105の方向に向かって突出した図示しない突出部が形成されており、この突出部は、ドライバ基板105の下端部に形成された窪み部124に配置される。
【0028】
図8は、ドライバ基板101を示す平面図である。
ドライバ基板101は、入力側の配線パターン301,302(入力側部品)と、出力側の配線パターン303,304(入力側部品と電気的に絶縁された出力側部品)と、複数のスリットS1~S8と、を備えている。
入力側の配線パターン301,302は、円環状の配線パターンであり、接続部材114(図7参照)によってドライバ基板105(図7参照)と接続されている。
出力側の配線パターン303,304は、円環状や多角形形状の配線パターンであり、光コネクタ110(図7参照)と接続されたり、接続部材114(図7参照)によってドライバ基板104(図7参照)と接続されたりしている。
【0029】
〔スリット〕
複数のスリットS1~S8は、ドライバ基板101を貫通して形成されており、このうちスリットS2,S6,S8は、ドライバ基板101の外周に繋がったスリットとなっており、スリットS1,S3,S4,S5,S7は、ドライバ基板101の外周に繋がっていないスリットとなっている。
【0030】
入力側の配線パターン301から出力側の配線パターン303に向けては、スリットS1,スリットS2,スリットS4,スリットS3がこの順番で配置されている。また、入力側の配線パターン302から出力側の配線パターン304に向けては、スリットS5,スリットS6,スリットS4,スリットS7がこの順番で配置されている。なお、スリットS4は、図中上側のスリット群と、図中下側のスリット群とに跨って形成されている。
【0031】
スリットS1は、スリットS1の下端部を起点とすると、その起点から図中の右斜め上方に向かって延び、上方に向かい、左斜め上方に向かって延び、上方に向かって延びる非直線状のスリットとなっている。
スリットS2は、スリットS2の下端部を起点とすると、その起点から図中の上方に向かって延び、二股に分かれて延びるY字状のスリットとなっている。
スリットS3は、スリットS3の下端部を起点とすると、その起点から図中の左斜め上方に向かって延び、上方に向かい、右斜め上方に向かって延び、上方に向かって延びる非直線状のスリットとなっている。
スリットS4は、図中上下方向に延びる直線状のスリットとなっている。
【0032】
スリットS5は、スリットS5の上端部を起点とすると、その起点から図中の右斜め下方に向かって延び、下方に向かい、左斜め下方に向かって延び、下方に向かって延びる非直線状のスリットとなっている。
スリットS6は、スリットS6の上端部を起点とすると、その起点から図中の下方に向かって延び、二股に分かれて延びるY字状のスリットとなっている。
スリットS7は、スリットS7の上端部を起点とすると、その起点から図中の左斜め下方に向かって延び、下方に向かい、右斜め下方に向かって延び、下方に向かって延びる非直線状のスリットとなっている。
スリットS8は、スリットS8の左端部を起点とすると、その起点から図中の右方向に向かって延び、下方に向かって延びる非直線状のスリットとなっている。
【0033】
スリットS1,S2,S3は、ドライバ基板101を貫通して形成され、配線パターン301と配線パターン303とを直線(任意の直線、例えば、最短距離の直線又は最短距離よりも長い距離の直線)で結ぶ線L1(仮想線)と交わる位置に形成され、それぞれ異なる形状を有する。
【0034】
スリットS1,S3,S4は、ドライバ基板101を貫通して形成され、配線パターン301と配線パターン303とを直線(任意の直線、例えば、最短距離の直線又は最短距離よりも長い距離の直線)で結ぶ線L2(仮想線)と交わる位置に形成され、それぞれ異なる形状を有する。
【0035】
スリットS5,S6,S7は、ドライバ基板101を貫通して形成され、配線パターン302と配線パターン304とを直線(任意の直線、例えば、最短距離の直線又は最短距離よりも長い距離の直線)で結ぶ線L3(仮想線)と交わる位置に形成され、それぞれ異なる形状を有する。
【0036】
ドライバ基板101の一端から他端までの距離を第1距離D1とし、入力側の配線パターン301,302から出力側の配線パターン303,304までの沿面距離を第2距離D2,D4とし、入力側の配線パターン301,302から出力側の配線パターン303,304までの直線距離を第3距離D3とする。
この場合、第1距離D1(例えば、64mm)は、第2距離D2,D4(50mm以上64mm未満)よりも長く、第2距離D2,D4(50mm以上64mm未満)は、第3距離D3(例えば、27mm)よりも長くなっている。
【0037】
入力側の配線パターン301から出力側の配線パターン303に向かう沿面経路R1は、複数のスリットS1,S2,S3が形成されていることにより、入力側の配線パターン301の方向に戻る経路(図8矢印X1,Y1参照)を含んでいる。
入力側の配線パターン302から出力側の配線パターン304に向かう沿面経路R2は、複数のスリットS5,S6,S7が形成されていることにより、入力側の配線パターン302の方向に戻る経路(図8矢印X2,Y2参照)を含んでいる。
なお、戻る経路とは、第1地点から第2地点に進む場合に、第1地点から第2地点の方向に向かって進みつつ、途中で第1地点の方向に進み直し、再度、第2地点の方向に向かって進む経路である。
【0038】
このように、沿面経路R1,R2は、複数のスリットS1~S7が形成されていることにより、回り込みで距離を確保する経路(迷路のような蛇行する経路)となっており、より長い沿面経路を確保することができる。
【0039】
また、入力側の配線パターン301と出力側の配線パターン303(第1出力側部品)との間に形成された複数のスリットS1,S2,S3と、入力側の配線パターン302と出力側の配線パターン304(第2出力側部品)との間に形成された複数のスリットS5,S6,S7とは、図中上下又は図中左右でひっくり返すと重なる対称な形状(上下が対称な形状であり、左右もおおむね対称な形状)で形成されている。
【0040】
入力側の配線パターン301と出力側の配線パターン303までの沿面距離D2や、入力側の配線パターン302と出力側の配線パターン304までの沿面距離D4を第1沿面距離D2,D4とし、出力側の配線パターン303(第1出力側部品)から出力側の配線パターン304(第2出力側部品)までの沿面距離を第2沿面距離D5とする。
この場合、出力側の配線パターン303と出力側の配線パターン304との間には、第1沿面距離D2,D4(例えば、50mm)よりも短い第2沿面距離D5(例えば、25mm)を確保するためのスリットS8が形成されている。
【0041】
本実施形態では、1次側回路(例えば、入力側の配線パターン301)と2次側回路(例えば、出力側の配線パターン303)とでは第1数値以上(例えば、50mm以上)の沿面距離を確保するようにしており、2次側回路同士(例えば、出力側の配線パターン303と出力側の配線パターン304)では第2数値以上(例えば、25mm以上)の沿面距離を確保するようにしている。なお、第1数値及び第2数値は、ゲートドライバ100の仕様に応じて適宜変更することができる。
【0042】
また、1次側回路と2次側回路との沿面距離が第1数値以上であり、2次側回路同士の沿面距離が第2数値以上としている理由は(具体的な数値が半分の値になっている理由は)、絶縁の目的が異なるからである。1次側回路と2次側回路との絶縁は、強化絶縁を目的としており、感電のリスクに対して必要な絶縁である。一方、2次側回路同士の絶縁は、機能絶縁を目的としており、機器が正しく機能するために必要とする絶縁である。
【0043】
また、本実施形態の複数のスリットS1~S8は、直線状、非直線状、Y字状のスリットが含まれている。さらに、本実施形態の複数のスリットS1~S7は、様々な角度で各線L1,L2,L3と交わるようになっている。これにより、沿面経路を複雑なものにして、少ない面積のスリットで基板の強度を保ちながら、より長い沿面距離を確保することができる。
【0044】
上述したように、ドライバ基板は5枚あり、そのうちドライバ基板101(特定の回路基板)には、光コネクタ110が配置されている。そして、複数のスリットS1~S8は、光コネクタ110が配置されているドライバ基板101に形成されている。
【0045】
ドライバ基板101は、側面に、ケース200(図1参照)と接触する複数の接触部310を備えている。そして、ドライバ基板101の複数の接触部310の間には、ドライバ基板101の内側の方向に凹んだ切り欠き部311が形成されている。切り欠き部311がある部分に関しては、ドライバ基板101がケース200に接触しないため、絶縁が確保される。切り欠き部311は、ドライバ基板101とケース200との間に所定間隔以上(例えば、1.5mm以上、好ましくは、2.0mm以上)の隙間を確保するように形成されており、これによって、電気の短絡を回避している。
【0046】
ケース200については、各ドライバ基板よりも絶縁性能が高い材料を使用することができる。これにより、ケース200を経由した場合の沿面距離を、第1数値(例えば、50mm以上)よりも小さい第3数値(例えば、45mm以上)とすることができる。切り欠き部311の長さが第1長さ(例えば、43mm)であり、切り欠き部311の端部から入力側の配線パターンと出力側の配線パターンまでの長さがそれぞれ第2長さ(例えば、2mm)であれば、第3数値を十分に超えることができる。
【0047】
なお、ドライバ基板101以外のドライバ基板にもスリットが設けられているが、ドライバ基板101以外のドライバ基板は、光コネクタ110のような広いスペースを必要とする部品が配置されていないため、ドライバ基板101ほど密なスリットは設けられていない。各ドライバ基板に形成するスリットは、ドライバ基板の強度をなるべく低下させないように形成することができ、直線状のスリットや非直線状のスリット等を組み合わせて用いることができる。また、ドライバ基板101以外のドライバ基板にも、ドライバ基板101と同様の切り欠き部311を形成することができる。
【0048】
〔ケースの詳細〕
図9は、ケース200の天井部材201を示す平面図である。
天井部材201は、板状の部材であり、入力側開口部210と、出力側開口部211,212と、4個の突出部213(複数のリブ)と、2個の突出部214(複数のリブ)と、を備えている。
【0049】
入力側開口部210は、入力コネクタ113(入力側部品の一部、図7参照)を外部に突出させる開口である。出力側開口部211,212は、光コネクタ110(出力側部品の一部、図7参照)を外部に突出させる開口である。
4個の突出部213は、入力側開口部210と出力側開口部211,212との間に形成され、天井部材201の表面から外側に突出して形成された部材である。2個の突出部214は、出力側開口部211(第1出力側開口部)と出力側開口部212(第2出力側開口部)との間に形成され、天井部材201の表面から外側に突出して形成された部材である。
【0050】
突出部213,214は、一体に形成されており、同じ高さで形成されている。また、突出部213,214は、所定の高さを有しているため、その高さ分だけ沿面距離を長く確保することができる。
【0051】
4個の突出部213によって、入力側開口部210と出力側開口部211,212との直線距離D10,D11よりも長い沿面距離D12,D13(50mm以上の沿面距離)を確保することができる。
また、2個の突出部214によって、出力側開口部211と出力側開口部212との直線距離D14よりも長い沿面距離D15(25mm以上の沿面距離)を確保することができる。
さらに、4個よりも少ない2個の突出部214によって、沿面距離D12,D13(50mm以上の沿面距離)よりも短い沿面距離D15(25mm以上の沿面距離)を確保することができる。
【0052】
ここで、出力側開口部211と出力側開口部212とには、光コネクタ110(図7参照)が配置されるが、光コネクタ110の上端部分は、電気的な部品ではなく、電気的な部品は内部のLED等になるため、電気的な部品からの距離を考慮すると、沿面距離D12,D13,D15は、開口部から電気的な部品が配置されている場所までの距離の分だけ短くすることもできる。
【0053】
図10は、ゲートドライバ100の実装例を示す分離斜視図である。ゲートドライバ100は、駆動対象であるIGBTモジュール130に実装した状態で半導体素子(IGBT)を駆動することができる。IGBTモジュール130には、各種の接続端子131,132,133が設けられており、ゲートドライバ100は、例えば接続端子133にドライバ基板103の下面端子(図示していない)を圧着した状態で実装されるものとなっている。また、IGBTモジュール130の長手方向で片側に位置する接続端子131にはバスバー等の主導体(+/-)が接続され、もう片側の接続端子132には半導体素子間の中点用導体が接続されるものとなっている。
【0054】
IGBTモジュール130には、予めゲートドライバ100の実装領域が確保されており、この実装領域は、例えばIGBTモジュール130の長手方向には寸法L、幅方向には寸法Wにより規定されている。このためゲートドライバ100は、ドライバ基板103の外形寸法を実装領域(寸法L,W)内に収まる大きさとして構成されている。
【0055】
〔回路構成〕
図11は、ゲートドライバ100とIGBTモジュール130との接続関係を示す回路図である。上記のようにゲートドライバ100がIGBTモジュール130に実装されると、接続端子133を通じてIGBTモジュール130と電気的に接続された状態となる。
【0056】
ゲートドライバ100は、IGBTモジュール130内の半導体素子Q1,Q2にそれぞれ対応して2系統のゲート駆動回路141,142有しており、各ゲート駆動回路141,142からは、それぞれ抵抗R1,R2を介して半導体素子Q1,Q2にゲート駆動信号が印加される。なお、駆動対象の外部機器をIGBTモジュール130とすることもできるし、半導体素子Q1,Q2を外部機器として考えることもできる。
【0057】
上記のように、各ゲート駆動回路141,142には、入力コネクタ113(図11には示していない)を通じて制御用の信号が外部入力される他、絶縁型DC/DCコンバータ111にも直流電源が外部入力(供給)されており、各ゲート駆動回路141,142には、絶縁型DC/DCコンバータ111からそれぞれ駆動電流が供給される。
【0058】
〔入力側回路〕
このとき、ゲートドライバ100内では入力側(1次側)回路と出力側(2次側)回路とが電気的に絶縁された状態にあり、その入力側回路PIには入力コネクタ113や絶縁型DC/DCコンバータ111内の1次側回路、各ゲート駆動回路141,142内の1次側回路及びこれらの抵抗、配線パターン、接続端子、電圧と光の変換が可能な装置134等が含まれる。
【0059】
〔出力側回路〕
上記を入力側回路PIとすると、ゲートドライバ100の実装状態でみたIGBTモジュール130全体が出力側回路POとなるが、入力側回路PIと出力側回路POとは光ファイバ等の絶縁された部材により接続されている。このとき出力側回路POには、入力側回路PIから絶縁された絶縁型DC/DCコンバータ111内の2次側回路や各ゲート駆動回路141,142内の2次側回路及びこれらの抵抗R1,R2、配線パターン、接続端子、温度や電圧等が入力され、電圧と光の変換が可能な装置135等も含まれることになる。
【0060】
したがって、入力側回路PIと出力側回路POとの間は、適正な絶縁距離Id(沿面距離)が確保されている必要がある。そこで、本実施形態では、上述した複数のスリットや複数の突出部、切り欠き等によって、1次側回路と2次側回路とでは第1数値以上(50mm以上)の沿面距離を確保し、2次側回路同士では第2数値以上(25mm以上)の沿面距離を確保するようにして、適正な絶縁距離Id(沿面距離)を確保している。
【0061】
〔並列駆動〕
本実施形態のゲートドライバ100は、実装先のIGBTモジュール130に駆動信号を出力(印加)して半導体素子を駆動することができるが、実装先以外である他のIGBTモジュールに対しても並列に駆動信号を出力(印加)し、複数のIGBTモジュールを並列に駆動することができる。
【0062】
〔並列駆動回路〕
図12は、複数台のIGBTモジュール130,140を連結した回路構成を示す図である。
【0063】
図12の例では、本実施形態のゲートドライバ100を実装したIGBTモジュール130を起点として、隣に1台のIGBTモジュール140が連結されている。このとき、IGBTモジュール140が中継基板150を実装することにより、ゲートドライバ100の各ゲート駆動回路141,142から出力した駆動信号をIGBTモジュール140でも半導体素子Q1,Q2に印加することができる。そして、このような並列駆動を行う場合であっても、適正な絶縁距離Id(沿面距離)を確保することができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態によれば、異なる形状を有する複数のスリットS1~S7が、入力側部品と出力側部品とを直線で結ぶ線L1,L2,L3と交わる位置に形成されているため、複数のスリットS1~S7があるというだけでなく、それらが異なる形状を有することにより、入力側部品と出力側部品との沿面距離を相乗的に延ばすことができ、結果として、入力側部品と出力側部品との間の絶縁を良好に確保することができる。
【0065】
(2)本実施形態によれば、第1距離D1は、第2距離D2,D4よりも長く、第2距離D2,D4は、第3距離D3よりも長くなっているため、複数のスリットS1~S7を配置するスペースが狭い場合であっても、必要十分な沿面距離を確保することができる。
【0066】
(3)本実施形態によれば、入力側部品から出力側部品に向かう沿面経路R1,R2は、複数のスリットS1~S7が形成されていることにより、入力側部品の方向に戻る経路を含んでいるため、折り返しの経路を設定することにより、狭いスペースであっても沿面距離をより一層長く確保することができるだけでなく、複数のスリットS1~S7をより狭い面積で形成することができ、ドライバ基板の強度の低下も抑制することができる。
【0067】
(4)本実施形態によれば、スリットS2,S6は、Y字状のスリットであるため、省スペースでスリットを形成しつつ沿面経路を複雑なものとすることができ、ドライバ基板の強度の低下を抑制しながら、沿面距離をより一層長く確保することができる。
【0068】
(5)本実施形態によれば、複数のスリットS1~S3と、複数のスリットS5~S7は、対称な形状で形成されているため、スリットを製造しやすく、スリットの対称性によってドライバ基板の強度の低下も抑制することができる。
【0069】
(6)本実施形態によれば、第1出力側部品と第2出力側部品との間には、第1沿面距離D2,D4よりも短い第2沿面距離D5を確保するためのスリットS8が形成されているため、スリットS8によって出力側部品同士で必要十分な沿面距離を確保することができる。
【0070】
(7)本実施形態によれば、複数のスリットS1~S7は、光コネクタ110が配置されているドライバ基板101に形成されているため、光コネクタ110を配置することによって沿面距離が確保しづらくなるドライバ基板101であっても、必要十分な沿面距離を確保することができる。
【0071】
(8)本実施形態によれば、ケース200については、突出部213,214で沿面距離を確保しているため、ケース200には、沿面距離を確保するためのスリットを設ける必要がなくなり、内部の部品を保護するというケース200の役割をしっかりと果たすことができる。
【0072】
(9)本実施形態によれば、出力側開口部211と出力側開口部212との間には、4個の突出部213よりも少ない数の2個の突出部214が形成されているため、2個の突出部214によって出力側部品同士で必要十分な沿面距離を確保することができる。
【0073】
(10)本実施形態によれば、ドライバ基板101の複数の接触部310の間には、ドライバ基板101の内側の方向に凹んだ切り欠き部311が形成されているため、ケース200が配置されていることによって沿面距離が短くなってしまうことを回避することができる。
【0074】
〔変形形態〕
図13は、変形形態のドライバ基板101-2を示す平面図である。
実施形態で説明したドライバ基板101は、変形形態のドライバ基板101-2に変更することができる。なお、図13に示すドライバ基板101-2では、実施形態のドライバ基板101に対応する構成については共通の符号を付しており、重複する説明は適宜省略する。
【0075】
ドライバ基板101-2は、入力側の配線パターン301,302(入力側部品)と、出力側の配線パターン303,304(入力側部品と電気的に絶縁された出力側部品)と、複数のスリットS1-2,S2,S3,S4,S5-2,S6,S7,S8と、を備えている。
【0076】
スリットS1-2は、スリットS1-2の下端部を起点とすると、その起点から図中の右側に膨らんで円弧状に延び、直線状で上方に向かって延びる非直線状のスリット(円弧と直線とを組み合わせたスリット)となっている。
【0077】
スリットS5-2は、スリットS5-2の上端部を起点とすると、その起点から図中の右側に膨らんで円弧状に延び、直線状で下方に向かって延びる非直線状のスリット(円弧と直線とを組み合わせたスリット)となっている。
【0078】
ドライバ基板101-2は、このようなスリットS1-2及びスリットS5-2を備えているため、実施形態の構成及び効果に加えて、円弧状の部分で沿面距離を延ばすことができ、実施形態の沿面距離D2,D4よりも長い距離(例えば、51mm以上)の沿面距離D2-2,D4-2を確保することができる。なお、スリットS3,S7についても、スリットS1-2及びスリットS5-2と同様に、円弧状の部分を含むスリットとしてもよい。この場合、円弧状の部分は、図中左側に膨らませることができる。
【0079】
図14は、別の変形形態のドライバ基板101-3を示す平面図である。
実施形態で説明したドライバ基板101は、別の変形形態のドライバ基板101-3に変更することができる。なお、図14に示すドライバ基板101-3では、実施形態のドライバ基板101に対応する構成については共通の符号を付しており、重複する説明は適宜省略する。
【0080】
ドライバ基板101-3は、入力側の配線パターン301,302(入力側部品)と、出力側の配線パターン303,304(入力側部品と電気的に絶縁された出力側部品)と、複数のスリットS1,S2-3,S3,S4,S5,S6-3,S7,S8と、を備えている。
【0081】
スリットS2-3は、スリットS2-3の下端部を起点とすると、その起点から図中の上方に向かって延び、二股に分かれて延びるY字状のスリットとなっている。また、スリットS2-3の二股になっている部分は、実施形態のスリットS2よりも幅が広いスリットとなっており、スリットS2-3の中央部分は、実施形態のスリットS2よりも大きな開口となっており、二股になっている部分の上側の端面は内側に窪むように湾曲している。
スリットS6-3は、スリットS6-3の上端部を起点とすると、その起点から図中の下方に向かって延び、二股に分かれて延びるY字状のスリットとなっている。また、スリットS6-3の二股になっている部分は、実施形態のスリットS6よりも幅が広いスリットとなっており、スリットS6-3の中央部分は、実施形態のスリットS6よりも大きな開口となっており、二股になっている部分の下側の端面は内側に窪むように湾曲している。
【0082】
ドライバ基板101-3は、このようなスリットS2-3及びスリットS6-3を備えているため、実施形態の構成及び効果に加えて、幅が広いY字状のスリットで沿面距離を延ばすことができ、実施形態の沿面距離D2,D4よりも長い距離(例えば、51mm以上)の沿面距離D2-3,D4-3を確保することができる。
【0083】
実施形態では、ゲートドライバ100は、5枚のドライバ基板を有する例で説明したが、ドライバ基板は4枚以下であってもよく、6枚以上であってもよい。
【0084】
実施形態では、IGBTモジュールの片側に他のIGBTモジュールを連結した形態を挙げているが、両側に連結する形態であってもよい。また、連結する他のIGBTモジュールの台数は例示したものに限らないし、両側に連結する場合に台数が異なっていてもよい。
【0085】
実施形態では、ケース200の下方に、ドライバ基板103を配置している例で説明したが、ドライバ基板103をケース200の内部に収納してもよく、ドライバ基板103をなくして、ドライバ基板103の機能を他のドライバ基板に実装させてもよい。
【0086】
その他、実施形態において図示とともに挙げた構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換してもよい。
【符号の説明】
【0087】
100 ゲートドライバ
101~105,101-2,101-3 ドライバ基板
110 光コネクタ
111 絶縁型DC/DCコンバータ
112 連結用コネクタ
113 入力コネクタ
114 接続部材
130 IGBTモジュール
301,302 入力側の配線パターン
303,304 出力側の配線パターン
S1~S9,S1-2,S5-2,S2-3,S6-3 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14