(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161870
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】撮像装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20241113BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20241113BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/63 100
H04N23/63 310
G06T1/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023135696
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】大塚 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆朗
【テーマコード(参考)】
5B057
5C122
【Fターム(参考)】
5B057BA02
5B057BA26
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
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5B057CH07
5C122FH02
5C122FH22
5C122FK28
5C122FK35
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5C122FK41
5C122FL08
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】ユーザの趣向に応じて画像処理が施された画像を得やすくすることができる撮像装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】撮像装置は、被写体像を撮像して元画像データを生成する撮像部と、元画像データに所定の効果を与える画像処理を施して、画像データを生成する画像処理部と、記憶部と、制御部とを備える。記憶部は、画像処理における効果をそれぞれ規定する複数の第1パラメータセット、画像中の色情報を変換する前後の対応関係を規定する少なくとも1つの第2パラメータセット、及び第2パラメータセットと組み合わされる複数の第1パラメータセットのうちの1つを指定する指定情報を記憶する。制御部は、記憶部から特定の第2パラメータセットを読み込む際に、特定の第2パラメータセットと組み合わされる特定の第1パラメータセットを、指定情報において指定された複数の第1パラメータセットのうちの1つに設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して元画像データを生成する撮像部と、
前記元画像データに所定の効果を与える画像処理を施して、画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理における前記効果をそれぞれ規定する複数の第1パラメータセット、画像中の色情報を変換する前後の対応関係を規定する少なくとも1つの第2パラメータセット、及び前記少なくとも1つの第2パラメータセットのそれぞれと組み合わされる前記複数の第1パラメータセットのうちの1つを指定する指定情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記少なくとも1つの第2パラメータセットのうちの特定の第2パラメータセットを読み込む際に、前記特定の第2パラメータセットと組み合わされる特定の第1パラメータセットを、前記指定情報において指定された前記複数の第1パラメータセットのうちの1つに設定する制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記特定の第2パラメータセット及び前記指定情報を含むデータを記憶し、
前記制御部は、前記特定の第2パラメータセットを読み込む際に、前記指定情報を読み込み、前記特定の第2パラメータセットと組み合わされる前記特定の第1パラメータセットを、前記指定情報において指定された前記複数の第1パラメータセットのうちの1つに設定する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記特定の第1パラメータセットを用いて前記元画像データが示す画像を調整し、前記特定の第2パラメータセットを用いて、前記特定の第1パラメータセットで調整された画像に含まれる色情報を変換して画像データを生成する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
ユーザ操作を受け付ける操作部と、
情報を表示する表示部と、を更に備え、
前記制御部は、前記特定の第1パラメータセットが設定されると、ユーザが前記操作部を用いて前記特定の第1パラメータセットを他の第1パラメータセットに変更できないことを示す情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
ユーザ操作を受け付ける操作部と、
情報を表示する表示部と、を更に備え、
前記制御部は、前記特定の第1パラメータセットが設定されると、前記特定の第1パラメータセットに含まれる、前記ユーザ操作によって調整可能な少なくとも1つのパラメータを示す情報を前記表示部に表示させる、
請求項1~4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
プロセッサによって行われる情報処理方法であって、
被写体像を撮像して生成された元画像データに画像処理によって所定の効果を与えることによって生成され、前記効果を規定する第1パラメータセットを示す情報を含む画像データを取得するステップと、
前記画像データの色情報を変換するユーザ操作を受け付けるステップと、
前記ユーザ操作による前記画像データの色情報の変換前後の対応関係を規定する第2パラメータセットを生成するステップと、
生成された前記第2パラメータセットと、前記第1パラメータセットを示す情報とを含むデータを生成するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
プロセッサによって行われる情報処理方法であって、被写体像を撮像して生成された元画像データに画像処理によって与えられる所定の効果を規定する第1パラメータセットを指定する指定情報と共に、前記画像処理において前記元画像データに適用するための第2パラメータセットを取得することで、前記第2パラメータセットと、前記指定情報とを含むデータを生成するステップを含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の第1パラメータセットのうちの1つと、少なくとも1つの第2パラメータセットのうちの1つとの組合せを指定するユーザ操作を受け付ける操作部と、画像処理部とを備える撮像装置を開示する。特許文献1の画像処理部は、ユーザ操作により指定された組合せに含まれる第1パラメータセットを用いて元画像データが示す画像を調整し、指定された組合せに含まれる第2パラメータセットを用いて、第1パラメータセットで調整された画像に含まれる色情報を変換して画像データを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ユーザの趣向に応じて画像処理が施された画像を得やすくすることができる撮像装置及び情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る撮像装置は、
被写体像を撮像して元画像データを生成する撮像部と、
元画像データに所定の効果を与える画像処理を施して、画像データを生成する画像処理部と、
画像処理における効果をそれぞれ規定する複数の第1パラメータセット、画像中の色情報を変換する前後の対応関係を規定する少なくとも1つの第2パラメータセット、及び少なくとも1つの第2パラメータセットのそれぞれと組み合わされる複数の第1パラメータセットのうちの1つを指定する指定情報を記憶する記憶部と、
記憶部から少なくとも1つの第2パラメータセットのうちの特定の第2パラメータセットを読み込む際に、特定の第2パラメータセットと組み合わされる特定の第1パラメータセットを、指定情報において指定された複数の第1パラメータセットのうちの1つに設定する制御部と、を備える。
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、プロセッサによって行われる情報処理方法であって、
被写体像を撮像して生成された元画像データに画像処理によって所定の効果を与えることによって生成され、効果を規定する第1パラメータセットを示す情報を含む画像データを取得するステップと、
画像データの色情報を変換するユーザ操作を受け付けるステップと、
ユーザ操作による画像データの色情報の変換前後の対応関係を規定する第2パラメータセットを生成するステップと、
生成された第2パラメータセットと、第1パラメータセットを示す情報とを含むデータを生成するステップと、を含む。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、プロセッサによって行われる情報処理方法であって、被写体像を撮像して生成された元画像データに画像処理によって与えられる所定の効果を規定する第1パラメータセットを指定する指定情報と共に、前記画像処理において前記元画像データに適用するための第2パラメータセットを取得することで、前記第2パラメータセットと、前記指定情報とを含むデータを生成するステップを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る撮像装置及び情報処理方法によれば、ユーザの趣向に応じて画像処理が施された画像を得やすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係るデジタルカメラの構成例を示すブロック図
【
図4】実施形態1に係るデジタルカメラのフラッシュメモリに格納されるデータ構造の一例を示す図
【
図5】実施形態1に係るデジタルカメラにおけるベースフォトスタイルの設定方法の一例を説明するためのフローチャート
【
図6】実施形態1に係るデジタルカメラのディスプレイに表示されるフォトスタイル及びLUTの設定画面の一例を示す模式図
【
図7】実施形態1に係るデジタルカメラのディスプレイに表示されるLUT選択画面の一例を示す模式図
【
図8】実施形態1に係るデジタルカメラにおける撮影動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施形態2に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図
【
図10】実施形態2に係る、ベースフォトスタイル情報を含むLUT設定情報の生成方法の一例を説明するためのフローチャート
【
図11】実施形態3に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図
【
図12】実施形態3に係る情報処理方法を例示するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。なお、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明が提供されるのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図しない。
【0011】
1.実施形態1
1-1.構成
1-1-1.ハードウェア構成
図1は、本開示の実施形態1に係るデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。デジタルカメラ100は、被写体像を撮像して画像データを生成する。デジタルカメラ100によって生成される画像データは、動画像データ及び静止画像データを含む。
【0012】
デジタルカメラ100は、光学系110を介して形成された被写体像をイメージセンサ115で撮像して元画像データ(RAWデータ)を生成する。画像処理部120は、イメージセンサ115により生成されたRAWデータに対して各種処理を施して画像データを生成する。コントローラ135は、画像処理部120にて生成された画像データを、フラッシュメモリ145又はカードスロット141に装着されたメモリカード142に記録する。また、コントローラ135は、フラッシュメモリ145又はメモリカード142に記録された画像データを、ユーザによる操作部150の操作に従いディスプレイ130上に表示させること(再生)ができる。
【0013】
光学系110は、フォーカスレンズ、ズームレンズ、光学式手ぶれ補正レンズ(OIS)、絞り、シャッタ等を含む。光学系110に含まれる各種レンズは、何枚から構成されてもよいし、何群から構成されてもよい。
【0014】
イメージセンサ115は、光学系110を介して形成された被写体像を撮像してRAWデータを生成する。イメージセンサ115は、所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)で新しいフレームの画像データを生成する。イメージセンサ115における、RAWデータの生成タイミング及び電子シャッタ動作は、コントローラ135によって制御される。なお、イメージセンサ115は、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ、又はNMOSイメージセンサなど、種々のイメージセンサを用いてもよい。イメージセンサ115は、本実施形態における撮像部の一例である。
【0015】
画像処理部120は、イメージセンサ115から出力されたRAWデータに対して各種の処理を施して画像データを生成する。また、画像処理部120は、メモリカード142から読み出した画像データに各種の処理を施して、ディスプレイ130に表示するための画像を生成する。各種の処理としては、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理、ルックアップテーブル(LUT)を用いた画像処理等が挙げられるが、これらに限定されない。画像処理部120は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータ等で構成されてもよい。
【0016】
ディスプレイ130は、情報を表示することができる液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。例えば、ディスプレイ130は、画像処理部120にて処理された画像データに基づく画像を表示する。また、ディスプレイ130は、ユーザがデジタルカメラ100の設定を確認するためのメニュー画面を表示する。
【0017】
コントローラ135は、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御する。コントローラ135は、プログラムを実行することで所定の機能を実現するように構成されたプロセッサを含んでもよい。例えば、コントローラ135は、CPU、MPU、GPU、DSU、FPGA、ASIC等の種々のプロセッサで実現できる。コントローラ135は、1つ又は複数のプロセッサで構成されてもよい。また、コントローラ135は、画像処理部120等と共に1つの半導体チップで構成されてもよい。図示していないが、コントローラ135はROMを内蔵する。ROMには、コントローラ135により実行されるオートフォーカス制御(AF制御)のような、様々なプログラムが記憶されている。また、コントローラ135はCPUの作業領域として機能するRAM(図示せず)を内蔵している。
【0018】
バッファメモリ125は、画像処理部120やコントローラ135のワークメモリとして機能する記録媒体である。バッファメモリ125は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により実現される。
【0019】
カードスロット141には、メモリカード142が着脱可能に挿入される。カードスロット141は、メモリカード142を電気的及び機械的に接続可能である。メモリカード142は、内部にフラッシュメモリ等の記録素子を備えた外部メモリである。メモリカード142は、LUT及び画像処理部120で生成される画像データ等のデータを格納できる。
【0020】
通信モジュール143は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従ってデータ通信を行う。例えば、デジタルカメラ100は、通信モジュール143を介して、インターネット等の通信ネットワーク、及び/又はWi-Fiモジュールを搭載した他の機器等と通信することができる。デジタルカメラ100は、通信モジュール143を介して、他の機器と直接通信を行ってもよいし、アクセスポイント経由で通信を行ってもよい。
【0021】
フラッシュメモリ145は不揮発性の記録媒体である。フラッシュメモリ145は、後述のLUT、フォトスタイル設定情報10、LUT設定情報11、画像データ等の種々のデータを記憶することができる。
【0022】
操作部150は、デジタルカメラ100のハードキー、ソフトウェアキー等のユーザインタフェースの総称であり、ユーザによる操作を受け付ける。操作部150は、例えば、ボタン、モードダイヤル、タッチパネル、スイッチを含む。操作部150はユーザによる操作を受け付けると、ユーザ操作に対応した操作信号をコントローラ135に送信する。
【0023】
操作部150は、情報表示切替(DISPLAY)ボタン、メニュー/設定(MENU/SET)ボタン、戻るボタン、決定ボタン、カーソルボタン等の種々のボタンを含む。カーソルボタンは、上下左右のそれぞれに対応する押下式ボタンを含み、ユーザによって押下された場合に、ディスプレイ130に表示される選択領域、カーソル等を移動させることができる。これらの種々のボタンによる操作は、物理的なボタンだけでなく、タッチパネルによって実行可能なように構成されてもよい。
【0024】
1-1-2.フォトスタイルとLUT
デジタルカメラ100は、ユーザの好みの色調及び画質で画像を簡単に撮影可能なように、予め用意された複数の撮影モードを有している。以下、この撮影モードを「フォトスタイル」という。さらに、本実施形態のデジタルカメラ100では、各フォトスタイルに対して、例えばユーザが好みに合わせて外部から取り込んだ、カラーグレーディングのためのLUTを適用できるようになっている。
【0025】
1-1-2-1.フォトスタイル
デジタルカメラ100において、あるフォトスタイルが選択されると、そのフォトスタイルが示す効果を有する画像が生成されるように種々のパラメータが設定される。具体的には、フォトスタイル毎に、そのフォトスタイルが示す効果が得られるように、コントラスト、ハイライト、シャドウ、彩度、色調、色相、フィルタ効果、粒状、シャープネス、ノイズリダクション、濃度等の各パラメータの値が設定される。このように、各フォトスタイルは、RAWデータが示す画像を調整する画像調整パラメータセットとして構成される。
【0026】
デジタルカメラ100には、
図2に例示するように、「スタンダード」、「ヴィヴィッド」、「ナチュラル」、「フラット」、「モノクローム」、「Log」等のフォトスタイルが用意されている。「スタンダード」は標準的な設定であり、「ヴィヴィッド」は、彩度及びコントラストが高めで鮮やかな効果が得られるモードである。「ナチュラル」は、コントラストが低めで柔らかな効果が得られるモードである。「モノクローム」は、色味がない単色の効果を得るモードである。
【0027】
「Log」は、撮像素子によるダイナミックレンジを広く活用するための、対数曲線的なガンマ曲線を用いた画像(以下「Log画像」)の撮影を行うモードであり、Logガンマとも呼ばれる。「フラット」は、Logガンマの代わりに平坦なガンマ曲線を用いるモードであり、他のフォトスタイルと比較して誇張を抑えたような効果が得られる。
【0028】
1-1-2-2.LUT
【0029】
LUTは、例えば、外部サーバにダウンロード可能に格納される。LUTは、情報処理装置によってサーバからダウンロードされ、デジタルカメラ100のフラッシュメモリ145内に予め格納される。
【0030】
LUTは、入力画像中の画素毎の色情報を変換する前後の対応関係を規定する配列(パラメータセット)である。LUTは、例えば、RGBの3色の組合せからなる入出力色データ間の関係を示す3次元ルックアップテーブルである。画像処理部120は、LUTを参照することで、入力画像データの色を出力画像データの色に変換する画像処理を行う。
【0031】
デジタルカメラ100において、LUTには、例えば
図2に示すように、出力画像データの色味、テーマ、作成者の意図等に応じて、「ヴィンテージ」、「ローズ」、「ファッション」等の名称が設定可能である。
【0032】
ユーザが独自のLUTを作成しようとした場合、彩度及びコントラストが低いLog画像の色味からの色補正を試みるより、スタンダードなど、肉眼で被写体を見たときに人が感じる色に近い色味からの色補正を試みる方が色補正の効果がわかりやすい。したがって、独自のLUTがデジタルカメラ100において利用可能であることにより、ユーザは、好みに合うLUTを作成して使用しやすい。
【0033】
1-1-2-3.LUTが適用されるフォトスタイルの選択
昨今流通しているLUTは、一般的に、Log画像に適用することを想定して作成されている。ユーザは、Log画像用のLUTを、例えばインターネットにおいて無償で取得したり、画像処理の専門家等の販売者から購入したりして、デジタルカメラ100に取り込むことができる。
【0034】
本実施形態のデジタルカメラ100は、画像データに対して適用可能なLUTがLog画像用でなければならないという固定観念に囚われないようにするべく、
図2に示すように、ユーザがLUTを好みのフォトスタイルに組み合わせる選択肢を提供する。
【0035】
例えば、ユーザは、「スタンダード」、「ヴィヴィッド」、「ナチュラル」、「フラット」、「モノクローム」等の中で所望のフォトスタイルを前提としてLUTを作成し、メモリカード142等を介してフラッシュメモリ145内に格納することができる。これにより、例えばフォトスタイル「スタンダード」が示す効果を有する画像には、Log画像用のLUTではなく、スタンダード画像用のLUTを適用することができる。
【0036】
意図した画質の画像に意図したLUTを適用するためには、LUTの適用時に、LUTが適用されるベースとなる画像が、ユーザが意図した画質を有する画像に設定されている必要がある。例えば、ユーザが、フォトスタイル「スタンダード」が示す効果を有する画像にスタンダード画像用のLUTを適用したい場合、LUTの適用時には、LUT適用のベースとなるフォトスタイル(以下、「ベースフォトスタイル」という。)として「スタンダード」が予め選択されている必要がある。
【0037】
LUT適用前にベースフォトスタイルを選択する手段として、適用対象のLUTに対応する適切なベースフォトスタイルをユーザが手動で選択することが考えられる。しかしながら、このような手段を実現するには、ユーザが各LUTのベースフォトスタイルを記憶し、かつ、LUT適用前にベースフォトスタイルの設定操作を行う必要がある。ユーザがベースフォトスタイルを記憶していない場合、又はベースフォトスタイルの設定操作を怠った場合には、ユーザが意図した画像が得られないことがある。
【0038】
本実施形態のデジタルカメラ100は、ユーザ操作によって選択されたLUTに応じて、ベースフォトスタイルを自動的に選択し、画像データに対して選択されたLUTとベースフォトスタイルとを適用する。これにより、デジタルカメラ100は、ユーザがベースフォトスタイルを記憶していない場合やベースフォトスタイルの設定操作を怠った場合であっても、ユーザが意図した画像を得やすくすることができる。
【0039】
このようなベースフォトスタイルの選択を可能とするために、本実施形態では、LUTを記述するcubeファイルなどのLUTファイルであるLUT設定情報11は、ベースフォトスタイルを指定する指定情報を含む。
図3は、LUT設定情報11の一例を示す図である。
図3のLUT設定情報11には、ベースフォトスタイルを指定する指定情報の一例として、タグTが記述されている。タグTの詳細については後述する。
【0040】
1-1-2-4.データ構造
図4は、本実施形態に係るデジタルカメラ100のフラッシュメモリ145に格納されるデータ構造の一例を示す図である。フラッシュメモリ145において、フォトスタイル及びLUTに関する設定情報は、それぞれフォトスタイル設定情報10及びLUT設定情報11として管理されている。
【0041】
図4において、フォトスタイル設定情報10は、1つ以上(n個)のフォトスタイルに関する設定情報を含む。LUT設定情報11は、1つ以上(m個)のLUTに関する設定情報を含む。
【0042】
図4に示すように、LUT設定情報11内の各LUTに関する設定情報には、ベースフォトスタイルを指定する指定情報の一例であるベースフォトスタイル情報が含まれる。ベースフォトスタイル情報は、LUT設定情報11を記述するテキストファイル内に、
図3に例示したタグTとして記述される。
【0043】
図3にタグTとして示した「#PHOTOSTYLE STD」は、フォトスタイル「スタンダード」に対応する。LUT設定情報11を記述するテキストファイル内に、タグTとして
図3のように「#PHOTOSTYLE STD」と記述されている場合、ベースフォトスタイル情報は、ベースフォトスタイルとして「スタンダード」を指定する。
【0044】
他のタグTとして、例えば、「#PHOTOSTYLE VIVD」はフォトスタイル「ヴィヴィッド」に対応し、「#PHOTOSTYLE NAT」はフォトスタイル「ナチュラル」に対応し、「#PHOTOSTYLE FLAT」はフォトスタイル「フラット」に対応し、「#PHOTOSTYLE MONO」はフォトスタイル「モノクローム」に対応する。
【0045】
1-2.動作
1-2-1.LUT及びベースフォトスタイルの設定動作
デジタルカメラ100において、以上のようなLUTの設定及び選択は、ディスプレイ130及び操作部150を用いてユーザが容易に行えるように構成されている。また、デジタルカメラ100において、選択されたLUTのベースであるベースフォトスタイルの選択は、コントローラ135によって自動的に行われる。
図5~7を用いて、デジタルカメラ100におけるLUT及びベースフォトスタイルの設定方法の一例を説明する。
【0046】
図5は、本実施形態に係るデジタルカメラ100における、ベースフォトスタイルの設定方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図5のフローチャートに示す各処理は、コントローラ135によって実行される。
【0047】
ユーザは、操作部150を用いて所望のLUTを選択することにより、LUT設定情報11を設定することができる。コントローラ135は、ユーザ操作によって設定されたLUT設定情報11を取得する(S1)。
【0048】
コントローラ135は、取得したLUT設定情報11にベースフォトスタイル情報が含まれているか否かを判定する(S2)。
【0049】
LUT設定情報11にベースフォトスタイル情報が含まれている場合(S2でYes)、コントローラ135は、フォトスタイルを、ベースフォトスタイル情報に対応するフォトスタイルに設定する(S3)。例えば、
図3のようにLUT設定情報11にタグTとして「#PHOTOSTYLE STD」が含まれている場合、コントローラ135は、フォトスタイルを「スタンダード」に設定する。
【0050】
LUT設定情報11にベースフォトスタイル情報が含まれていない場合(S2でNo)、コントローラ135は、フォトスタイルを、デフォルトのフォトスタイルに設定する(S4)。デフォルトのフォトスタイルは、例えば「Log」であるが、これに限定されず、任意のフォトスタイルに設定可能であってもよい。
【0051】
図6及び
図7は、
図5のステップS1におけるLUT設定情報11の設定の際にデジタルカメラ100のディスプレイ130に表示される表示画面の一例を示す模式図である。
【0052】
図6は、フォトスタイル及びLUTの設定画面を例示している。
図6の設定画面には、フォトスタイルを選択するためのフォトスタイル選択メニュー21、LUT切替メニュー22、フォトスタイル表示23、パラメータ表示24、LUT選択ボタン25等が表示されている。
【0053】
フォトスタイル選択メニュー21には、選択候補であるフォトスタイルに対応するテキスト又は図が表示される。例えば、フォトスタイル選択メニュー21には、「スタンダード」、「ヴィヴィッド」等の選択候補のフォトスタイルを示すテキストが表示される。ユーザは、左右方向のカーソルボタンを押下することにより、選択候補のフォトスタイルを変更することができ、決定ボタンを押下することにより適用するフォトスタイルを決定する。
【0054】
図6の例では、フォトスタイル選択メニュー21には、「リアルタイムLUT」と表示されている。「リアルタイムLUT」は、フォトスタイルにLUTを適用可能なモード(LUT適用モード)である。LUT適用モードでは、
図6に示すように、LUTの適用のONとOFFとを切り替えるLUT切替メニュー22が表示される。LUT切替メニュー22には、LUTを特定するLUTファイル名(
図6では「LUT1」)と、LUTが現在ONであるかOFFであるかを示す状態表示とが表示されている。ユーザは、例えば左右方向のカーソルボタンを押下することにより、LUTのONとOFFとを切り替えることができる。
【0055】
フォトスタイル表示23には、撮像画像に適用されるフォトスタイル(
図6では「スタンダード」)を示すテキスト又は図が表示される。本実施形態では、LUTが適用される(LUT切替メニュー22で「ON」である)場合、ベースフォトスタイルの選択は、コントローラ135によって自動的に行われる。
【0056】
この場合、ベースフォトスタイルの選択が自動的に行われるため、デジタルカメラ100は、ユーザによるフォトスタイルの変更を不可としてもよい。この場合、コントローラ135は、ユーザがフォトスタイルを変更できないことを示すために、フォトスタイル表示23をグレーアウトさせてもよい。
図6では、フォトスタイル表示23はグレーアウトされている。
【0057】
パラメータ表示24は、例えば上述したフォトスタイルの各種パラメータの値を含む。例えば、ユーザは、所望の調整可能なパラメータを選択して左右方向のカーソルボタンを押下することにより、コントラスト、ハイライト、シャドウ、彩度、粒状、シャープネス、ノイズリダクション、濃度等のパラメータの値を変更する操作を入力できる。ベースフォトスタイルが「スタンダード」、「ヴィヴィッド」、「ナチュラル」、「フラット」、「モノクローム」等のフォトスタイルである場合の他、「Log」である場合であっても、ユーザは、各パラメータの値を調整することができる。変更後のパラメータは、表示画面に表示される画像にリアルタイムで反映されるため、ユーザは、効果を確認しながらパラメータを変更することができる。こうしたユーザ操作に応じて、コントローラ135は、ユーザ操作により変更されたパラメータを示すパラメータ変更情報を取得する。
【0058】
ユーザがLUT選択ボタン25を押下すると、コントローラ135は、
図7に示すLUT選択画面に表示画面を遷移させる。
【0059】
図7のLUT選択画面には、LUT選択メニュー26が表示されている。ユーザは、例えば左右方向のカーソルボタンを押下することにより、LUTを選択することができる。
【0060】
1-2-2.撮影動作
本実施形態のデジタルカメラ100において、以上のように設定されたLUT及びフォトスタイルを適用して画像を撮影する動作の一例を、
図8を用いて説明する。
図8は、デジタルカメラ100における撮影動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0061】
図8において、まず、コントローラ135は、操作部150、例えばシャッタボタンにより受け付けられたユーザ操作に基づいてイメージセンサ115を制御する(S11)。イメージセンサ115は、コントローラ135による制御に従い、光学系110を介して形成された被写体像を撮像してRAWデータを生成し、画像処理部120に出力する。
【0062】
次に、画像処理部120は、
図5のステップS3又はS4で選択されたフォトスタイルを用いて、RAWデータが示す画像を調整する画像処理を施し、中間データとしてフォトスタイルが適用された画像データ(以下、「第1の処理済み画像データ」という。)を生成する(S12)。
【0063】
次に、画像処理部120は、
図5のステップS1で選択されたLUTを第1の処理済み画像データに適用して、LUTが適用された画像データ(以下、「第2の処理済み画像データ」という。)を生成する(S13)。例えば、画像処理部120は、選択されたLUTを参照することで、入力としての第1の処理済み画像データの色を画素毎に出力画像の色に変換して、第2の処理済み画像データを生成する。
【0064】
次に、コントローラ135は、ステップS13で生成された第2の処理済み画像データを出力の画像データとして、カードスロット141を介してメモリカード142に記録する(S14)。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るデジタルカメラ100は、フォトスタイル及びLUTを適用した画像データを出力することができ、上記のようなLUT適用済みの画像データの出力をリアルタイムで実行できる。
【0066】
デジタルカメラ100によって出力されるLUT適用済みの画像データは、RAWデータとは異なり、PC、スマートフォン等の汎用的なデバイスで簡単に鑑賞及び利用可能である。このように、デジタルカメラ100によれば、LUTの適用にPC等の外部装置を要しないため、LUT適用済みの画像データを生成するためのワークフローを効率化することができる。
【0067】
また、撮影動作で得られたRAWデータには、選択されたLUTと、LUTに応じて自動的に選択されたベースフォトスタイルとが適用されるため、デジタルカメラ100は、LUTがユーザの意図しないフォトスタイルに適用されることを防止することができる。
【0068】
1-3.効果等
以上のように、本実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラ100は、撮像部の一例であるイメージセンサ115と、画像処理部120と、記憶部の一例であるフラッシュメモリ145と、制御部の一例であるコントローラ135とを備える。イメージセンサ115は、被写体像を撮像して元画像データの一例であるRAWデータを生成する。画像処理部120は、RAWデータに所定の効果を与える画像処理を施して、画像データを生成する。フラッシュメモリ145は、複数のフォトスタイル(第1パラメータセットの一例)と、少なくとも1つのLUT(第2パラメータセットの一例)とを記憶する。フラッシュメモリ145は、さらに、当該少なくとも1つのLUTのそれぞれと組み合わされるフォトスタイルを指定する指定情報の一例であるベースフォトスタイル情報を記憶する。各フォトスタイルは、画像処理における上記の所定の効果をそれぞれ規定する。各LUTは、画像中の色情報を変換する前後の対応関係を規定する。コントローラ135は、フラッシュメモリ145から上記少なくとも1つのLUTのうちの特定のLUTを読み込む際に、当該特定のLUTと組み合わされる特定のフォトスタイルを、ベースフォトスタイル情報において指定された上記複数のフォトスタイルのうちの1つに設定する。
【0069】
デジタルカメラ100は、LUTを読み込む際に適切なベースフォトスタイルを設定することにより、ユーザの趣向に応じて画像処理が施された画像を得やすくすることができる。例えば、デジタルカメラ100は、ユーザがベースフォトスタイルを記憶していない場合、ベースフォトスタイルの設定操作を怠った場合等であっても、ユーザが意図した画像を得やすくすることができる。
【0070】
フラッシュメモリ145は、上記の特定のLUT及びベースフォトスタイル情報を含むデータを記憶してもよい。この場合、コントローラ135は、特定のLUTを読み込む際にベースフォトスタイル情報を読み込み、特定のLUTと組み合わされる特定のフォトスタイルを、ベースフォトスタイル情報において指定された複数のフォトスタイルのうちの1つに設定する。デジタルカメラ100は、LUTを読み込む際にベースフォトスタイル情報を読み込むことで、LUTを読み込む際に適切なベースフォトスタイルを設定することができる。
【0071】
画像処理部120は、上記の特定のフォトスタイルを用いてRAWデータが示す画像を調整し、上記の特定のLUTを用いて、特定のフォトスタイルで調整された画像に含まれる色情報を変換して画像データを生成してもよい。この構成により、ユーザが意図した画像を示す画像データを得やすくすることができる。
【0072】
デジタルカメラ100は、ユーザ操作を受け付ける操作部150と、情報を表示する表示部の一例であるディスプレイ130とを更に備えてもよい。コントローラ135は、上記の特定のフォトスタイルが設定されると、ユーザが操作部150を用いて特定のフォトスタイルを他のフォトスタイルに変更できないことを示す情報をディスプレイ130に表示させてもよい。この構成により、フォトスタイルの変更が不可能であることをユーザに知らせることができる。
【0073】
コントローラ135は、上記の特定のフォトスタイルが設定されると、特定のフォトスタイルに含まれる、ユーザ操作によって調整可能な少なくとも1つのパラメータを示す情報をディスプレイ130に表示させてもよい。この構成により、ユーザは、フォトスタイルのパラメータ値を変更する操作を入力しやすくなる。
【0074】
2.実施形態2
図3にタグTとして例示したようなベースフォトスタイル情報は、例えば、LUTの作成者が情報処理装置(端末)を使用してLUT設定情報11を作成した際に、LUT設定情報11内に埋め込まれる。このような埋め込みは作成者によって手動で行われてもよいが、ベースフォトスタイル情報は、LUT設定情報11内に自動的に埋め込まれてもよい。以下では、ベースフォトスタイル情報をLUT設定情報11内に自動的に埋め込む情報処理装置及び情報処理方法の一例を説明する。
【0075】
2-1.構成
図9は、実施形態2に係る情報処理装置200の構成例を示すブロック図である。情報処理装置200は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの電子機器である。情報処理装置200は、デジタルカメラ100であってもよいし、カメラ機能付きのスマートフォンであってもよい。
【0076】
情報処理装置200は、プロセッサ201と、記憶装置202と、入力インタフェース(IF)203と、出力インタフェース204とを備える。
【0077】
プロセッサ201は、情報処理を行って情報処理装置200の機能を実現する。このような情報処理は、例えば、プロセッサ201が記憶装置202に格納されたプログラムに従って動作することにより実現される。プロセッサ201は、情報処理のための演算を行う演算回路を含む。例えば、プロセッサ201は、CPU、MPU、FPGA等の回路で構成される。
【0078】
記憶装置202は、情報処理装置200の機能を実現するために必要なプログラムを含む種々の情報を記録する記録媒体である。記憶装置202は、例えば、フラッシュメモリ、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)等の半導体記憶装置、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶装置、その他の記録媒体単独で又はそれらを組み合わせて実現される。記憶装置202は、SRAM、DRAM等の揮発性メモリを含んでもよい。
【0079】
上記では、プログラムが記憶装置202に格納される例について説明したが、プログラムの格納場所は記憶装置202に限定されない。例えば、プログラムは、コンピュータが読取り可能な非一時的な記録媒体に記録されてもよい。また、プログラムは、情報処理装置200がネットワークを介してアクセス可能な外部の1以上の情報処理装置内の記憶装置に格納されてもよい。この場合、情報処理装置200は、クラウドコンピューティングによって情報処理装置200の機能を実現することもできる。
【0080】
入力インタフェース203は、画像データ等の情報を情報処理装置200に入力するために、情報処理装置200と外部機器とを接続するインタフェース回路である。入力インタフェース203は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従ってデータ通信を行う通信回路であってもよい。
【0081】
出力インタフェース204は、情報処理装置200から情報を出力するために、情報処理装置200と出力装置とを接続するインタフェース回路である。出力インタフェース204は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従ってデータ通信を行う通信回路であってもよい。入力インタフェース203及び出力インタフェース204は、同様のハードウェアにより実現されてもよい。
【0082】
2-2.動作
図10は、本実施形態に係る情報処理装置200における、ベースフォトスタイル情報を含むLUT設定情報11の生成方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図10のフローチャートに示す各処理は、プロセッサ201によって実行される。
【0083】
図10において、まず、プロセッサ201は、画像データを取得する(S21)。画像データは、例えばデジタルカメラ100の撮像画像データであり、プロセッサ201は、ネットワーク及び入力インタフェース203を介して、デジタルカメラ100又は外部の記憶装置から画像データを取得する。あるいは、情報処理装置200が入力インタフェース203としてカードスロットを有し、プロセッサ201は、カードスロットに挿入されたメモリカード142から画像データを取得してもよい。
【0084】
プロセッサ201は、取得した画像データから、取得した画像データのフォトスタイル情報を抽出する(S22)。フォトスタイル情報は、例えばexif情報などのメタデータとして画像データに含まれる。例えば、デジタルカメラ100は、撮影時に適用されたフォトスタイルを示す情報をメタデータとして画像データに埋め込むことができる。
【0085】
プロセッサ201は、ステップS21で取得された画像データの色を編集するユーザ操作を受け付ける(S23)。このようなユーザ操作は、例えばキーボード、マウス、タッチパッドなどの入力装置により入力インタフェース203に入力され、次いでプロセッサ201に入力される。
【0086】
プロセッサ201は、ステップS23の色編集の結果に応じたLUTを含むLUT設定情報11を生成する(S24)。このように、ユーザは、情報処理装置200を用いて、LUTの生成及び編集を行うことができる。
【0087】
プロセッサ201は、ステップS22で抽出されたフォトスタイル情報を、ステップS24で生成されたLUT設定情報11に、ベースフォトスタイル情報として埋め込む(S25)。例えば、プロセッサ201は、ベースフォトスタイル情報を、LUT設定情報11を記述するテキストファイル内に、
図3に例示したタグTとして記載する。これにより、
図3に例示したようなLUT設定情報11が得られる。
【0088】
このようにして得られたベースフォトスタイル情報を含むLUT設定情報11は、記憶装置202に格納されてもよいし、外部サーバ等の1以上の情報処理装置内の記憶装置に格納されてもよい。LUT設定情報11は、ネットワークを介して撮像装置に送信されてもよい。例えば、撮像装置の一例であるデジタルカメラ100のコントローラ135は、通信モジュール143を介してLUT設定情報11を取得し、取得したLUT設定情報11をフラッシュメモリ145に格納する。これにより、コントローラ135は、LUT設定情報11を参照して、LUTに応じて自動的に選択されたベースフォトスタイルをRAWデータに適用することができる。
【0089】
また、前述のように、情報処理装置200は、カメラ機能付きのスマートフォンであってもよい。この場合、情報処理装置200は、画像を撮像してRAWデータを生成した上で、記憶装置202に格納されたLUT設定情報11を参照して、LUTに応じて自動的に選択されたベースフォトスタイルをRAWデータに適用することができる。
【0090】
2-3.効果等
以上のように、本実施形態に係る情報処理方法の一例であるLUT設定情報11の生成方法は、プロセッサ(例えばプロセッサ201)によって行われる。本生成方法は、画像データを取得するステップ(S21)と、画像データの色情報を変換するユーザ操作を受け付けるステップ(S23)とを含む。画像データは、被写体像を撮像して生成されたRAWデータに画像処理によって所定の効果を与えることによって生成される。画像データは、当該効果を規定するフォトスタイルを示す情報の一例として、ベースフォトスタイル情報を含む。本生成方法は、さらに、ユーザ操作による画像データの色情報の変換前後の対応関係を規定するLUTを生成するステップ(S24)と、生成されたLUT及びベースフォトスタイル情報を含むデータを生成するステップ(S25)とを含む。
【0091】
この構成により、本生成方法は、生成されたLUTと、対応するベースフォトスタイル情報とを含むデータを生成することができる。
【0092】
3.実施形態3
実施形態2のステップS25で得られたベースフォトスタイル情報を含むLUT設定情報11は、様々なLUT設定情報11を公開するウェブサイトに掲載されてもよい。ユーザは、このようなウェブサイトに掲載されたLUT設定情報11を見て、有償又は無償で所望のLUT設定情報11をダウンロードすることができる。
【0093】
例えば、このようなウェブサイトでは、LUT設定情報11は、対応するベースフォトスタイルが何であるかがユーザにとってわかるように掲載される。例えば、フォトスタイル「スタンダード」に対応するLUTがウェブサイト上の「スタンダード」の欄に配置され、フォトスタイル「ヴィヴィッド」に対応するLUTが「ヴィヴィッド」の欄に配置される。もっとも、本実施形態はこれに限定されず、ウェブサイトでは、LUT設定情報11に対応するベースフォトスタイルは明記されていなくてもよい。
【0094】
図11は、上記のようなウェブサイトを管理する実施形態3に係る情報処理装置300の構成例を示すブロック図である。情報処理装置300は、プロセッサ301と、記憶装置302と、入出力インタフェース303とを備える。プロセッサ301及び記憶装置302は、それぞれ
図9のプロセッサ201及び記憶装置202と同様の構成を有する。例えば、記憶装置302は、情報処理装置300の機能を実現するために必要なプログラムを含む種々の情報を記録する記録媒体である。
【0095】
入出力インタフェース303は、LUT設定情報11等の情報を入出力するために、情報処理装置300と外部機器とを接続するインタフェース回路である。入出力インタフェース303は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従ってデータ通信を行う通信回路であってもよい。
【0096】
図12は、
図11の情報処理装置300のプロセッサ301によって行われる情報処理方法を例示するフローチャートである。プロセッサ301は、入力インタフェース303を介して、例えば情報処理装置200等の外部装置から、ネットワーク50を介して、ベースフォトスタイル情報(指定情報の一例)を含むLUT設定情報11を取得する(S31)。プロセッサ301は、LUT設定情報11を取得することで、ベースフォトスタイル情報を含むLUT設定情報11を生成することができる。
【0097】
図11に示すように、プロセッサ301は、取得したLUT設定情報11を記憶装置302に格納する。これにより、ユーザは、情報処理装置300によってLUT設定情報11を公開するウェブサイトにおいて、様々なLUT設定情報11を確認及びダウンロードすることができる。
【0098】
情報処理装置300内のLUT設定情報11は、例えば、
図11に示すようにデジタルカメラ100によってダウンロードされる。あるいは、LUT設定情報11は、他の情報処理装置によってダウンロードされた後にメモリカード142に格納されてもよい。デジタルカメラ100は、カードスロットを介してメモリカード142からLUT設定情報11を取得する。
【0099】
以上のように、本実施形態に係る情報処理方法は、LUTと、フォトスタイルを指定する指定情報の一例であるベースフォトスタイル情報とを取得することで、LUTとベースフォトスタイル情報とを含むLUT設定情報11を生成するステップS31を含む。フォトスタイルは、被写体像を撮像して生成された元画像データの一例であるRAWデータに画像処理によって与えられる所定の効果を規定する第1パラメータセットの一例である。LUTは、画像処理においてフォトスタイルと共にRAWデータに適用するための第2パラメータセットの一例である。この構成により、ユーザは、情報処理装置300から好みのLUT設定情報11を取得し、デジタルカメラ100において利用することができる。
【0100】
4.他の実施形態
以上のように、本開示における技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置換、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施形態としての変形例を説明する。
【0101】
4-1.第1変形例
実施形態1では、デジタルカメラ100のコントローラ135が、
図5のステップS1で取得したLUT設定情報11にベースフォトスタイル情報が含まれているか否かに応じた動作を行う(S2~S4)例について説明した。つまり、実施形態1では、LUT設定情報11にベースフォトスタイル情報が含まれているか否かは、ステップS1の前に決まっている。例えば、ベースフォトスタイル情報は、LUTの制作時に、制作に用いられる情報処理装置のプロセッサによって、LUT設定情報11内に埋め込まれる。
【0102】
しかしながら、ベースフォトスタイル情報がLUT設定情報11内に埋め込まれるタイミングはこれに限定されない。例えば、デジタルカメラ100のコントローラ135が、ユーザ操作に基づいて、ベースフォトスタイル情報をLUT設定情報11内に埋め込んでもよい。あるいは、コントローラ135は、既にLUT設定情報11内に含まれているベースフォトスタイル情報をユーザ操作に基づいて修正してもよい。
【0103】
4-2.第2変形例
実施形態1では、被写体像を撮像して得られたRAWデータ(
図8のS11)に対して、フォトスタイル及びLUTを適用し(S12,S13)、適用後の画像データを記録する(S14)撮像動作例について説明した。しかしながら、本開示における画像データの生成方法はこれに限定されない。
【0104】
例えば、デジタルカメラ100のコントローラ135は、被写体像を撮像して得られたRAWデータをフラッシュメモリ145に記録することができる。デジタルカメラ100は、上記のようにして得られた既存のRAWデータに対して、フォトスタイル及びLUTを適用し、適用後の画像データをメモリカード142に記録することができる。このように、デジタルカメラ100により、ユーザは、撮影後にRAWデータに対して様々なフォトスタイル及びLUTの適用を試みることができ、よりユーザの好みに合った画像データを得ることができる。
【0105】
4-3.第3変形例
実施形態1では、
図8のステップS13で生成された画像データをメモリカード142に記録する例を説明したが、画像データの記録先はこれに限定されない。例えば、コントローラ135は、通信部の一例である通信モジュール143を介して、ステップS13で生成された画像データをサーバ装置等の外部装置に送信してもよい。画像データは、動画像データであってもよいため、ユーザは、例えばフォトスタイル及びLUTを適用した独自の映像を用いてライブ動画配信、WEB会議等を行うことができる。
【0106】
また、例えば、デジタルカメラ100がUSBインタフェースを備え、画像データは、USBインタフェースを介してデジタルカメラ100に接続されたSSD、HDD、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録されてもよい。
【0107】
4-4.第4変形例
実施形態1では、LUTの一例として、RGBの3色の組合せからなる入出力色データ間の関係を示す3次元ルックアップテーブルについて説明した。しかしながら、LUTは、入力画像中の画素毎の色情報を変換する前後の対応関係を規定する配列(パラメータセット)であればよく、あらゆる入力色データに1対1に対応する出力色データを有するテーブルに限られない。
【0108】
例えば、入力色データが入力値としてLUTに登録されていない場合には、画像処理部120は、四面体補間等の公知の推定方法により出力色データを推定してもよい。このように、LUTは、入力画像データの各画素の色情報をどのように調整して出力画像データの当該画素の色情報とするかを定義した数式を含んでもよい。あるいは、LUTは、上記のようなテーブルを含まず、上記のような数式のみで表されてもよい。また、LUTは、3次元ルックアップテーブルに限定されず、1次元以上の次元を有するルックアップテーブルであってもよい。
【0109】
4-5.第5変形例
実施形態1では、撮像装置の例としてデジタルカメラを説明したが、撮像装置はこれに限定されない。本開示の撮像装置は、画像撮影機能を有する電子機器(例えば、ビデオカメラ、スマートフォン、タブレット端末等)であればよい。
【0110】
5.態様例
以下、本開示の態様を例示する。
【0111】
<態様1>
被写体像を撮像して元画像データを生成する撮像部と、
前記元画像データに所定の効果を与える画像処理を施して、画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理における前記効果をそれぞれ規定する複数の第1パラメータセット、画像中の色情報を変換する前後の対応関係を規定する少なくとも1つの第2パラメータセット、及び前記少なくとも1つの第2パラメータセットのそれぞれと組み合わされる前記複数の第1パラメータセットのうちの1つを指定する指定情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記少なくとも1つの第2パラメータセットのうちの特定の第2パラメータセットを読み込む際に、前記特定の第2パラメータセットと組み合わされる特定の第1パラメータセットを、前記指定情報において指定された前記複数の第1パラメータセットのうちの1つに設定する制御部と、
を備える撮像装置。
【0112】
<態様2>
前記記憶部は、前記特定の第2パラメータセット及び前記指定情報を含むデータを記憶し、
前記制御部は、前記特定の第2パラメータセットを読み込む際に、前記指定情報を読み込み、前記特定の第2パラメータセットと組み合わされる前記特定の第1パラメータセットを、前記指定情報において指定された前記複数の第1パラメータセットのうちの1つに設定する、態様1に記載の撮像装置。
【0113】
<態様3>
前記画像処理部は、前記特定の第1パラメータセットを用いて前記元画像データが示す画像を調整し、前記特定の第2パラメータセットを用いて、前記特定の第1パラメータセットで調整された画像に含まれる色情報を変換して画像データを生成する、態様1又は2に記載の撮像装置。
【0114】
<態様4>
ユーザ操作を受け付ける操作部と、
情報を表示する表示部と、を更に備え、
前記制御部は、前記特定の第1パラメータセットが設定されると、ユーザが前記操作部を用いて前記特定の第1パラメータセットを他の第1パラメータセットに変更できないことを示す情報を前記表示部に表示させる、
態様1~3のいずれかに記載の撮像装置。
【0115】
<態様5>
ユーザ操作を受け付ける操作部と、
情報を表示する表示部と、を更に備え、
前記制御部は、前記特定の第1パラメータセットが設定されると、前記特定の第1パラメータセットに含まれる、前記ユーザ操作によって調整可能な少なくとも1つのパラメータを示す情報を前記表示部に表示させる、
態様1~4のいずれかに記載の撮像装置。
【0116】
<態様6>
プロセッサによって行われる情報処理方法であって、
被写体像を撮像して生成された元画像データに画像処理によって所定の効果を与えることによって生成され、前記効果を規定する第1パラメータセットを示す情報を含む画像データを取得するステップと、
前記画像データの色情報を変換するユーザ操作を受け付けるステップと、
前記ユーザ操作による前記画像データの色情報の変換前後の対応関係を規定する第2パラメータセットを生成するステップと、
生成された前記第2パラメータセットと、前記第1パラメータセットを示す情報とを含むデータを生成するステップと、
を含む情報処理方法。
【0117】
<態様7>
プロセッサによって行われる情報処理方法であって、被写体像を撮像して生成された元画像データに画像処理によって与えられる所定の効果を規定する第1パラメータセットを指定する指定情報と共に、前記画像処理において前記元画像データに適用するための第2パラメータセットを取得することで、前記第2パラメータセットと、前記指定情報とを含むデータを生成するステップを含む、情報処理方法。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示は、撮像装置及び情報処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0119】
10 フォトスタイル設定情報
11 LUT設定情報
100 デジタルカメラ
110 光学系
115 イメージセンサ
120 画像処理部
125 バッファメモリ
130 ディスプレイ
135 コントローラ
141 カードスロット
142 メモリカード
143 通信モジュール
145 フラッシュメモリ
150 操作部