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特開2024-161889ワイヤファントムを用いたCT検出器の較正のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161889
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ワイヤファントムを用いたCT検出器の較正のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
A61B6/03 550R
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067121
(22)【出願日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】18/313,820
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ビヨーン・セデルストロム
(72)【発明者】
【氏名】チャンリョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】チャーイン・リン
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ジー・クラス
(72)【発明者】
【氏名】ジンイー・リャン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・アダマック
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA13
4C093CA36
4C093FE12
4C093FE30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンピュータ断層撮影(CT)システムを較正するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】一実施例では、コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法は、前記CTシステムの較正の間、前記CTシステムを使用して実行される回転スキャンの間に、前記CTシステムのテーブルに結合されたワイヤファントムのワイヤを使用して、前記CTシステムの検出器アレイの検出器素子の位置を測定すること、前記CTシステムを使用して被検体に対して実行される後続のスキャンの間に、前記CTシステムによって取得された投影データから画像を再構成する間、前記検出器素子の設計目標位置ではなく、前記検出器素子の測定された位置を適用すること(508)、及び再構成された画像を前記CTシステムの表示装置に表示すること(510)を含む。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法であって、
前記CTシステムの較正の間、
前記CTシステムを使用して実行される回転スキャンの間に、前記CTシステムのテーブルに結合されたワイヤファントムのワイヤを使用して、前記CTシステムの検出器アレイの検出器素子の位置を測定すること、
前記CTシステムを使用して被検体に対して実行される後続のスキャンの間に、
前記CTシステムによって取得された投影データから画像を再構成する間、前記検出器素子の設計目標位置ではなく、前記検出器素子の測定された位置を適用すること、及び
再構成された画像を前記CTシステムの表示装置に表示すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記検出器素子の設計目標位置は、前記CTシステムの検出器設計図及び/又は前記CTシステムの寸法に基づいたモデルによって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出器素子の測定された位置を使用して、前記検出器アレイの検出器素子の位置を機械的に調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイヤを使用して前記検出器素子の位置を測定する前に、前記ワイヤの真直度の第1の解析と、前記テーブルの長手方向と平行な前記CTシステムのz軸に対する前記ワイヤの傾斜角度の第2の解析のうちの少なくとも一方の解析を実行することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ワイヤの真直度の第1の解析を実行することは、
複数の回転スキャンを実行し、前記複数の回転スキャンの各回転スキャンの間にz軸に沿って前記ワイヤの位置を漸増的に調整すること、
各回転スキャンの間に、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の少数の列に配置された検出器素子の位置を測定し、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の前記少数の列の外側に配置された検出器素子の位置を測定しないこと、及び
前記複数の回転スキャンの各回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置を比較し、前記ワイヤの真直度を決定すること
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記CTシステムのz軸に対する前記ワイヤの傾斜角度の前記第2の解析を実行することは、
前記ワイヤが前記z軸の第1の位置に配置された状態で、第1の回転スキャンを実行すること、
前記ワイヤが前記z軸の第2の位置に配置された状態で、第2の回転スキャンを実行することであって、前記第2の位置と前記第1の位置は閾値距離だけ離れている、第2の回転スキャンを実行すること、
各回転スキャンの間に、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の少数の列に配置された検出器素子の位置を測定し、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の前記少数の列の外側に配置された検出器素子の位置を測定しないこと、及び
前記第1の回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置と、前記第2の回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置とを比較し、前記ワイヤの傾斜角度を決定すること
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少数は2~4の間の数である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ワイヤの傾斜角度が第2の閾値ずれ量の外側にあることを示す前記第2の解析の結果に応答して、前記ワイヤファントムを前記テーブルに結合するために使用されるファントム保持部に配置された1つ又は複数の傾斜ねじによって前記ワイヤの傾斜角度を調整する命令を前記CTシステムのオペレータに表示することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ワイヤファントムは、前記ワイヤが前記検出器アレイのFOVの外側に存在するように前記テーブルの縁部に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ワイヤの径が前記検出器素子の横断軸方向の大きさの少なくとも3倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ワイヤを使用して前記検出器素子の位置を測定することは、前記CTシステムの既知の物理的特性と投影ジオメトリに基づいて検出器素子の位置を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ワイヤを使用して前記検出器素子の位置を測定することは、放物線関数及びガウス関数のうちの一方の関数を、前記検出器素子を含む隣接する複数の検出器素子で生成された信号の測定値にフィッティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記検出器素子の測定された位置に基づいて、前記検出器アレイの各検出器素子のそれぞれのアライメント補正値を計算すること、
全ての前記検出器素子の計算されたアライメント補正値を較正ベクトルに記憶すること、
画像の再構成中に、前記較正ベクトルを使用して、前記検出器アレイの全ての検出器素子の位置を補正すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサと非一時的メモリとを含むコンピュータ断層撮影(CT)システムであって、前記非一時的メモリは命令を含み、前記命令は、実行されると、前記プロセッサに、
ワイヤファントムの第1の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤファントムのワイヤの真直度を決定すること、
前記ワイヤファントムの第2の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤの傾斜角度を決定すること、
前記ワイヤの真直度が第1の閾値ずれ量以下であり、前記ワイヤの傾斜角度が第2の閾値ずれ量以下であることに応答して、
前記CTシステムを使用して較正スキャンが実行されている間、
前記ワイヤの位置に対する前記CTシステムの検出器アレイの各検出器素子の位置を測定すること、及び
前記CTシステムを使用して後続のスキャンが実行されている間、
前記CTシステムによって取得された投影データからの画像の再構成中に、各検出器素子の測定された位置を適用すること、及び
再構成された画像を前記CTシステムの表示装置に表示すること
を実行させる、CTシステム。
【請求項15】
前記ワイヤファントムの前記第1の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤの真直度を決定すること、及び前記ワイヤファントムの前記第2の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤの傾斜角度を決定することは、前記第1の一連の回転スキャン及び前記第2の一連の回転スキャンの各回転スキャンの間に、前記テーブルの長手方向と平行な前記CTシステムのz軸に沿って、前記ワイヤファントムが搭載されている前記CTシステムのテーブルの位置を調整し、前記CTシステムのガントリの撮像平面が、各回転スキャン中に前記ワイヤの長さに沿う異なる位置において前記ワイヤと交差する、請求項14に記載のCTシステム。
【請求項16】
前記ワイヤファントムは、前記ワイヤが前記検出器アレイのFOVの外側に位置するようにテーブルに結合されている、請求項15に記載のCTシステム。
【請求項17】
前記ワイヤの位置に対する前記CTシステムの検出器アレイの各検出器素子の位置を測定することは、
前記較正スキャンのフル回転の間、前記検出器アレイの各検出器素子におけるエネルギー測定値を収集すること、
前記フル回転の各フレームの間、
前記フレームに対応するビュー角において収集された前記エネルギー測定値に関数をフィッティングすること、
前記関数に基づいて前記検出器アレイの検出器素子を選択すること、
前記ワイヤの位置に対する選択された検出器素子の位置を測定すること
を更に含む、請求項14に記載のCTシステム。
【請求項18】
前記ワイヤの位置に対する前記選択された検出器素子の位置を測定することは、前記CTシステムの既知の物理的特性と投影ジオメトリに基づいて位置を測定することをさらに含む、請求項17に記載のCTシステム。
【請求項19】
コンピュータ断層撮影(CT)システムを較正するためのワイヤファントム・アセンブリであって、前記ワイヤファントム・アセンブリは、ワイヤファントムとファントム保持部とを含み、前記ファントム保持部は、前記CTシステムのテーブルに取付け可能であり、前記ファントム保持部に対する前記ワイヤファントムの位置合わせを調整する1つ又は複数の傾斜ねじを含み、前記ワイヤファントムは、プラスチック樹脂で成形された編組ワイヤを取り囲む管状体を含み、前記編組ワイヤは、X線減弱率の高い材料を含み、前記編組ワイヤは、前記CTシステムの検出器素子の横断軸方向の寸法の少なくとも3倍の径を有する、ワイヤファントム・アセンブリ。
【請求項20】
前記ワイヤの真直度がばねの張力によって維持される、請求項19に記載のワイヤファントム・アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム、特に、ワイヤファントムを用いたCTイメージングシステムの較正に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムでは、陰極によって発生した電子ビームがX線管内でターゲットに向かって進む。電子がターゲットに衝突して生成された扇形又は円錐形のX線ビームは、被検体(患者など)に向けられる。X線は、物体によって減衰された後、放射線検出器のアレイに衝突する。各検出器素子で電気信号が生成され、検出器素子で生成された電気信号を用いて物体の画像が再構成される。各電気信号は画像のボクセル/画素に対応する。
【0003】
解像度、コントラスト対ノイズ比、及びその他の要因に関する画像の品質は、検出器アレイ内の各検出器素子の位置合わせの精度に依存する。検出器素子の位置合わせにずれが生じると、画像のアーチファクトが増加する、及び/又は画像の品質が低下する恐れがある。位置合わせのずれは、機械的アライメント技術を用いて測定され、補正することができる。機械的アライメント技術は、例えば、接触式の位置決めツール及び/又はレーザを利用した位置決めツールを使用したいくつかの種類の測定方法を使用することができる。測定データに基づいて、機械的ツールのセットを使用して検出器素子を再調整することができる。しかしながら、現在の位置合わせの性能は、10umよりも細かい位置合わせの精度が必要となる小さい検出器素子を含む新しいバージョンのCTシステムには適していない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法によって、上記の特定された問題のうちの1つ以上の問題に少なくとも部分的に対処する。本方法は、前記CTシステムの較正の間、前記CTシステムを使用して実行される回転スキャンの間に、前記CTシステムのテーブルに結合されたワイヤファントムのワイヤを使用して、前記CTシステムの検出器アレイの検出器素子の位置を測定すること、前記CTシステムを使用して被検体に対して実行される後続のスキャンの間に、前記CTシステムによって取得された投影データから画像を再構成する間、前記検出器素子の設計目標位置ではなく、前記検出器素子の測定された位置を適用すること、及び再構成された画像を前記CTシステムの表示装置に表示することを含む。検出器の測定された位置は、CTシステムの各検出器アレイの各検出器素子に対して計算され、CTシステムのメモリに較正ベクトルとして記憶することができる。較正ベクトルを使用して、検出器の大きな位置ずれを機械的調整の(例えば、20umより大きい)制度限界まで機械的に調整することができる。また、較正ベクトルは、画像再構成中に検出器素子の出力に適用され、精度限界より小さい検出器素子の位置ずれを補正することもできる。例えば、CTシステムの設置前若しくは設置中に、又は検出器アレイの動作不能な部分を交換した後に、一部の検出器素子に位置ずれが生じる場合がある。
【0005】
設計上の目標位置ではなく、測定された検出器位置を被検体の後続のスキャンに適用することにより、結果として得られる再構成画像の画質を向上させることができる。上述した方法の利点は、検出器素子の位置合わせを調整するのに限られた機械的アライメント技術しか頼ることができない場合とは異なり、測定された検出器位置の値が、異なるビュー角度における既知の基準点(例えば、ワイヤ)に対する各検出器の位置を測定することに基づいて、投影ジオメトリを使用して計算され、画像再構成に適用されることである。その結果、本方法は、機械的アライメント技術を使用して位置合わせすることができる検出器素子よりも小さい検出器素子を含む検出器アレイに適用することができる。
【0006】
更に、他の高精度な機械的調整、及びそれに関連する較正ベクトル及びプロセスが排除されることによって、CTシステムの較正時間、資源、及びコストが削減され、CTシステムの効率を高めることができる。従って、CTシステムの機能が改善され、CTシステムを使用して実行される較正の間及び検査の間のダウンタイムが短縮され、より高速で正確な処理を実行することができる。さらに、本明細書に記載の較正方法を適用することによって、CTシステムによって高品質の画像を生成することができ、その結果、診断の成功率が高くなり、患者にとっても望ましい転帰を得ることができる。
【0007】
本明細書の上記の利点及び他の利点並びに特徴は、以下の発明を実施するための形態だけで、又は図面と以下の発明を実施するための形態から容易に明らかになる。上記の概要は、発明を実施するための形態でさらに記載されている概念を簡略化した形で選択するために提供されていることを理解されたい。これは、特許請求される主題の重要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲は、特許請求の範囲によって独自に画定される。さらに、特許請求される主題は、上記の欠点又は本開示のいずれかの部分で指摘された欠点を解決する実施態様に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の様々な態様は、以下の発明を実施するための形態を読み、図面を参照することにより、更に理解される。
図1】本開示の1つ又は複数の実施形態によるCTイメージングシステムの斜視図である。
図2】本開示の1つ又は複数の実施形態による例示的なCTイメージングシステムのブロック概略図である。
図3A】本開示の1つ又は複数の実施形態による、CTイメージングシステムを較正するためのワイヤファントムである。
図3B】本開示の1つ又は複数の実施形態による、CTシステムのテーブルに対する図3Aのワイヤファントムの位置合わせを示す図である。
図3C】本開示の1つ又は複数の実施形態による、CTシステムの検出器アレイに対する図3Aのワイヤファントムの位置合わせを示す図である。
図4】本開示の1つ又は複数の実施形態による、CTシステムの例示的な検出器アレイの概略図である。
図5A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従って、較正データを用いてCT画像の精度を高めるための例示的な方法を示すフローチャートである。
図5B】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ワイヤファントムを用いてCTシステムを較正するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図6】本開示の1つ又は複数の実施形態による、X線源及びX線検出器アレイに対するワイヤファントムの例示的な位置合わせを示す概略図である。
図7】本開示の1つ又は複数の実施形態による、ワイヤファントムを用いて生成されたサイノグラムのグラフである。
図8】本開示の1つ又は複数の実施形態に従って、検出器素子の位置を決定するために、検出器アレイの出力に放物線関数をどのようにフィッティングすることができるかを示す図である。
図9】本開示の1つ又は複数の実施形態に従って、ワイヤファントムに対する検出器アレイの検出器素子の位置を計算するために使用される例示的な投影ジオメトリを示す。
【0009】
図面は、記載されたシステム及び方法の特定の態様を示す。以下の説明とともに、図面は、本明細書に記載される構造、方法、及び原理を示し、説明する。図面において、構成要素の大きさは、明瞭にするために誇張又はその他の方法で変更されている場合がある。よく知られた構造、材料、又は動作は、記載された構成要素、システム、及び方法の態様を不明瞭にすることを避けるため、詳細には図示又は記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び本明細書に開示される主題の実施形態は、コンピュータ断層撮影(CT)システムを通じて取得される画像の品質を向上させるための方法及びシステムに関する。一般に、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムでは、X線源は、物体(患者など)に向かって扇形ビーム又は円錐形ビームを放出する。X線源によって放出されたX線は、1つ又は複数の検出器アレイに配置された放射線検出器素子によって検出される前に、物体によって様々なレベルに減衰される。CTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、一般に、ガントリの周りを、撮像平面内及び患者の周囲で回転し、画像は、異なるビュー角度の複数のビューにおける投影データから生成される。例えば、X線源の1回転に対して、CTシステムにより1000ビューを生成することができる。ビームは、患者によって減弱した後、放射線検出器素子のアレイに衝突する。検出器アレイは、典型的には、検出器で受け取ったX線ビームをコリメートするためのコリメータと、コリメータに隣接して配置されたシンチレータであって、X線を光エネルギーに変換するシンチレータと、隣接するシンチレータから光エネルギーを受け取り電気信号を生成するフォトダイオードとを含む。検出器アレイで受信される減衰ビーム放射の強度は、典型的には、患者によるX線ビームの減衰量に依存する。検出器アレイの各検出器素子は、各検出器素子によって受信された減衰ビームを示す個別の電気信号を生成する。電気信号は、データ処理システムに伝送され解析される。データ処理システムは、電気信号を処理して画像が生成されるようにする。
【0011】
検出器アレイは、検出器アレイに配置された検出器素子がX線源に向けて配列するように湾曲させることができ、これによって、X線源によって放出されたX線をより正確かつ効率的に検出することができる。検出器素子は、クラスタ形式で並べることができる。例えば、検出器アレイは、複数の検出器モジュールを含むことができ、各検出器モジュールは、チクレット(chiclet)と呼ばれる検出器素子の複数のグループを含むことができ、各チクレットは、複数の検出器素子を含むことができる。
【0012】
検出器素子から収集された投影データから再構成された画像の品質は、各検出器素子とX線源との位置合わせに依存することがある。一部の検出器素子は、機械的アライメントツールの性能に限界があるため、組立中に正確に位置決めできない場合があり、また、時間と共に位置ずれが生じる場合や、CTシステムを使用することによって位置ずれが生じる場合がある。例えば、検出器アレイの検出器モジュールが損傷した場合、検出器モジュールが新しい検出器モジュールと交換される。新しい検出器モジュールは、顧客先に高精度のアライメントツールがないため、正確に位置決めできないことがある。まず、検出器モジュールは検出器アレイ内に正確に組み立てることができない場合がある、チクレットの位置が検出器モジュール内でずれている場合がある、及び/又は、検出器素子の位置がチクレット内でずれている場合がある。
【0013】
幾つかの検出器素子に位置ずれが生じると、画像のノイズアーチファクトが増加する、及び/又は画像の品質を低下させる恐れがある。位置ずれを補正することによって画質を向上させることができる。位置ずれを補正するために、CTシステムは定期的に較正することができ、検出器モジュール、チクレット、又は検出器素子の位置を機械的に調整することができる。しかしながら、位置ずれの測定する及び補正するために現在使用されているアライメント技術は、検出器素子が小さく画素サイズが小さい新しいバージョンのCTシステムには適していない。
【0014】
小さい検出器素子を含むCTシステムを較正し、検出器素子の位置ずれを補正する問題に対処するために、本明細書では、検出器素子の位置を直接測定する方法が提案される。本方法は、機械的アライメント技術に頼らず、ワイヤファントムを用いて収集された投影データから検出器位置を生成する。較正ベクトルは、測定された検出器位置から生成することができ、この較正ベクトルは、画像再構成の間に、後続のスキャンで取得された投影データに適用され、位置ずれした検出器の位置を補正することができる。いくつかの実施形態では、位置ずれした検出器の位置を補正するのではなく、画像再構成中に、設計上の目標検出器位置の代わりに、測定された検出器位置に直接適用することができる。
【0015】
CTシステムの一例を図1及び図2に示す。図3Aは、CTシステムを較正するために使用することができる例示的なワイヤファントムを示す。ワイヤファントムは、図3Bに示すされているように、CTシステムのテーブルに取り付けることができる。図3Cは、本細書で説明する較正プロセスの間において、CTシステムのX線源及び検出器アレイに対するワイヤファントムのワイヤの位置を示す。検出器アレイは、図4に示すように、モジュールにまとめられた複数の検出器素子を含むことができる。図5Bは、検出器素子の位置ずれを補正するためにCTシステムを較正する方法を示し、図5Aは、較正プロセスの間に得られた測定された検出器位置を画像再構成中に適用して、得られる画像の品質を向上させる方法を示す。図6は、較正中に、CTシステムの撮像面内にワイヤファントムを位置決めする様子を示す。較正中、検出器アレイ及びX線源を保持するガントリがワイヤファントムの周りを回転すると、検出器素子において投影データを収集することができる。この回転により、較正中に収集された投影データは、図7に示すように、グラフを用いてサイノグラムとして表示することができ、このサイノグラムは、所与のビュー角度又はフレームにおいて、どの検出器素子がワイヤによるX線の減衰を検出するのかを示すことができる。減衰は、図8に示すように、検出器の出力データにフィッティングさせた放物線関数によって示される検出器素子で最大になり得る。ワイヤに対する検出器素子の位置は、図9に示す投影ジオメトリに従って測定することができる。
【0016】
図3A図3B図4、及び図6は、様々な要素の相対的な位置関係の例示的な構成例を示している。これらの要素が、互いに直接接触した状態、又は直接結合した状態で示されている場合、少なくとも一例において、これらの要素は、それぞれ、直接接触している、又は直接結合していると言うことができる。同様に、互いに連続的した状態又は隣接した状態で示されている要素は、少なくとも一例において、それぞれ、互いに連続している又は隣接しているとすることができる。一例として、互いに面接触する要素は、面接触している要素と言うことができる。別の例として、互いに離れて配置された要素が、要素と要素との間にスペースが存在するが他の要素が存在しない場合、少なくとも一例において、互いに離れている要素と言うことができる。さらに別の例として、互いに上下、互いに反対側、又は互いに左右に示される要素は、互いに、上下の要素、反対側の要素、又は左右の要素と言うことができる。更に、図に示すように、少なくとも1つの例では、最上部の要素又は要素の最上点は、要素の「上部」と呼ぶことができ、最下部の要素又は要素の最下点は、要素の「下部」と言うことができる。本明細書では、上部/底部、上側/下側、上/下は、図の垂直軸に対する相対的なものを表することができ、図の要素の互いの相対的な位置を説明するために使用することができる。このように、他の要素の上に示される要素は、一例では、他の要素の真上に配置される。更に別の例として、図に示された要素の形状は、それらの形状(例えば、円形、直線、平面、曲線、丸みのある、面取りされた、角度が付けられた、など)を有するものと言うことができる。更に、互いに交差するように示された要素は、少なくとも一例では、交差する要素又は互いに交差するものと言うことができる。更に、別の要素内に示された要素、又は別の要素の外側に示された要素は、一例では、別の要素内に示されている又は別の要素の外側に示されている要素と呼ぶことができる。
【0017】
図1は、CTイメージングを行うように構成された例示的なCTシステム100を示す。特に、CTシステム100は、被検体112(患者など)、無生物、1つ又は複数の製造部品、及び/又は異物(体内に存在するインプラント、ステント、及び/又は造影剤など)を撮影するように構成されている。一実施形態では、CTシステム100はガントリ102を含み、このガントリは、テーブル114に横たわる被検体112の撮影に使用されるX線放射ビーム106(図2参照)を照射する少なくとも1つのX線源104を更に含むことができる。具体的には、X線源104は、ガントリ102の反対側に配置された検出器アレイ108に向かってX線放射ビーム106を照射するように構成されている。図1には単一のX線源104のみが示されているが、或る例示的な実施形態では、複数のX線源及び複数の検出器を使用して、複数のX線放射ビームを照射し、患者に対応する異なるエネルギーレベルの投影データを取得してもよい。一部の実施形態では、X線源104は、ピークキロボルト(kVp)高速スイッチングを実行することができる。本明細書に記載された実施形態では、採用されるX線検出器は、互いに異なるエネルギーのX線光子を区別することができる光子計数型検出器である。
【0018】
特定の実施形態では、CTシステム100は、反復画像再構成法又は解析的画像再構成法を用いて被検体112のターゲットボリュームの画像を再構成する画像処理ユニット110を更に含む。例えば、画像処理ユニット110は、解析的画像再構成手法(フィルタ補正逆投影法(FBP)など)を使用して、患者のターゲットボリュームの画像を再構成することができる。別の例として、画像処理ユニット110は、ASIR(advanced statistical iterative reconstruction、CG(conjugate gradient)、MLEM(maximum likelihood expectation maximization)、MBIR(model-based iterative reconstruction)などの反復画像再構成手法を使用して、被検体112のターゲットボリュームの画像を再構成してもよい。本明細書で更に説明するように、一部の例では、画像処理ユニット110は、反復画像再構成手法に加えて、解析的画像再構成手法(FBPなど)も使用することができる
【0019】
一部のCTイメージングシステムの構成では、X線源は、デカルト座標系のX-Y-Z面内に位置するようにコリメートされ一般に「撮影面」と呼ばれるコーン状のX線放射ビームを照射する。X線放射ビームは、撮影される物体(患者又は被検体など)を通過する。X線放射ビームは、物体によって減衰した後、検出器素子のアレイに衝突する。検出器アレイで受け取った減衰したX線放射ビームの強度は、物体によるX線放射ビームの減衰量に依存する。アレイの各検出器素子は、検出器位置におけるX線ビーム減衰の測定値である個別の電気信号を生成する。すべての検出器素子からの減衰測定値を個別に取得して透過プロファイルを作成する。
【0020】
一部のCTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、X線ビームが物体と交差する角度が絶えず変化するように、ガントリによって、撮影されるべき物体の周囲を撮影面内で回転する。1つのガントリ角度においてX線検出器アレイから得られたX線放射減衰測定値のグループ(例えば投影データ)は「ビュー」と呼ばれる。物体の「スキャン」は、X線源及び検出器が1回転する間に、異なるガントリ角又はビュー角において作成されたビューのセットを含む。
【0021】
図2は、図1のCTシステム100と同様の例示的なイメージングシステム200を示す。本開示の態様では、イメージングシステム200は、被検体204(例えば、図1の被検体112)を撮影するように構成されている。一実施形態では、イメージングシステム200は、検出器アレイ108(図1参照)を含む。検出器アレイ108は、更に、複数の検出器素子202を含んでいる。複数の検出器素子202は、被検体204(患者など)を通過するX線放射ビーム106(図2参照)を感知して、対応する投影データを取得する。一部の実施形態では、検出器アレイ108は、セル又は検出器素子202の複数の列を含むマルチスライス構成で製造される。このような構成では、検出器素子202の1つ又は複数の追加の列が、投影データを取得するために並列構成で配置される。例示的な検出器アレイの構成について、図4を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0022】
特定の実施形態では、イメージングシステム200は、所望の投影データを取得するために、被検体204の周囲の異なる角度位置を移動するように構成される。従って、ガントリ102と、ガントリに取り付けられた構成要素は、例えば異なるエネルギーレベルの投影データを取得するために、回転中心206の周りを回転するように構成することができる。あるいは、被検体204に対して投影角度が時間の関数として変化する実施形態では、取り付けられた構成要素は、円に沿って移動するのではなく、一般的な曲線に沿って移動するように構成されてもよい。
【0023】
X線源104及び検出器アレイ108が回転すると、検出器アレイ108は減衰したX線ビームのデータを収集する。検出器アレイ108によって収集されたデータは、前処理され、較正され、スキャンされた被検体204の減弱係数の線積分を表すようにデータが調整される。処理されたデータは、一般に投影(プロジェクション)と呼ばれる。一部の実施例では、検出器アレイ108の個々の検出器又は検出器素子202は、個々の光子の相互作用を1つ以上のエネルギービンに登録する光子計数型検出器を含むことができる。
【0024】
取得された投影データのセットは、基準物質弁別(BMD)に使用することができる。BMDの間、測定された投影は、物質密度投影のセットに変換される。物質密度投影は再構成され、骨、軟組織などの各基準物質の物質密度マップのペア若しくは物質密度画像のペア及び/又は造影マップを形成することができる。これらの密度マップ又は密度画像は、順に関連付けられ、撮影ボリュームの基準物質(例えば、骨、軟組織、及び/又は造影剤)の3Dボリュメトリック画像を形成することができる。
【0025】
再構成されると、イメージングシステム200によって生成された基準物質画像は、2つの基準物質の密度で表される被検体204の内部特徴を明らかにする。密度画像を表示して、これらの特徴を示すことができる。医学的状態(病気の状態など)の診断、より一般的には医療事象の診断に対する従来のアプローチでは、放射線科医又は医師は、密度画像のハードコピー又は表示された密度画像を検討して、関心のある特徴部分を識別すると考えられる。このような特徴部分としては、病変、特定の解剖学的構造又は臓器のサイズ及び形状、並びに個々の専門家の技能及び知識に基づいて画像の中から識別可能であると考えられる他の特徴部分がある。
【0026】
一実施形態では、イメージングシステム200は、構成要素の動き(ガントリ102の回転及びX線源104の動作など)を制御する制御機構208を含んでいる。特定の実施形態では、制御機構208は、X線源104に電力及びタイミング信号を供給するように構成されたX線コントローラ210を更に含む。更に、制御機構208は、撮影要件に基づいてガントリ102の回転速度及び/又は位置を制御するように構成されるガントリモータコントローラ212を含んでいる。
【0027】
特定の実施形態では、制御機構208は、検出器素子202から受け取ったアナログデータをサンプリングし、後続の処理のためにアナログデータをデジタル信号に変換するように構成されたデータ収集システム(DAS)214を更に含む。DAS214は、本明細書に更に記載されるように、検出器素子202のサブセットからのアナログデータを選択的に集約して、いわゆるマクロ検出器にするように構成することができる。DAS214によってサンプリングされデジタル化されたデータは、コンピュータ又はコンピューティング装置216に送信される。コンピューティング装置216は、少なくとも1つの実施例において、画像処理ユニット110と同一又は類似のものとすることができることに留意されたい。一実施例では、コンピューティング装置216は、データを記憶装置又は大容量記憶装置218に記憶する。記憶装置218は、例えば、任意のタイプの非一時的メモリとすることができ、記憶装置218としては、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読取り/書込み(CD-R/W)ドライブ、デジタルバーサタイルディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、及び/又はソリッドステートストレージドライブを挙げることができる。
【0028】
更に、コンピューティング装置216は、DAS214、X線コントローラ210、及びガントリモータコントローラ212のうちの1つ以上に命令及びパラメータを提供して、システム動作(データ取得及び/又はデータ処理など)を制御する。特定の実施形態では、コンピューティング装置216は、オペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。コンピューティング装置216は、コンピューティング装置216に動作可能に結合されたオペレータコンソール220によって、例えば、命令及び/又は走査パラメータを含むオペレータ入力を受け付ける。オペレータコンソール220は、オペレータが命令及び/又は走査パラメータを指定できるように、キーボード(図示せず)又はタッチスクリーンを含むことができる。
【0029】
図2ではオペレータコンソール220は1つだけ図示されているが、例えば、システムパラメータを入力する又は出力する、検査をリクエストする、データを示す、及び/又は画像を閲覧するために、2つ以上のオペレータコンソールをイメージングシステム200に結合してもよい。更に、特定の実施形態では、イメージングシステム200は、構成可能な1つ又は複数の有線ネットワーク及び/又は無線ネットワーク(インターネット及び/又は仮想プライベートネットワーク、無線電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、有線ローカルエリアネットワーク、無線広域ネットワーク、有線広域ネットワークなど)を通じて、複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、及び/又は施設若しくは病院内に又は全く異なる場所にローカルに若しくは遠隔に配置されている同様の装置に結合することができる
【0030】
一実施形態では、例えば、イメージングシステム200は、画像保存通信システム(PACS)224を含んでいる又はPACS224に結合されている。例示的な実施形態では、PACS224は、別の場所にいるオペレータが命令及びパラメータを供給する及び/又は画像データにアクセスできるように、遠隔システム(放射線科情報システム、病院情報システム)及び/又は内部又は外部のネットワーク(図示せず)に更に結合される。
【0031】
コンピューティング装置216は、オペレータから供給された及び/又はシステムで定義された命令及びパラメータを使用して、テーブルモータコントローラ226を動作させる。テーブルモータコントローラ226は、テーブル114を制御することができ、テーブル114は電動テーブルとすることができる。具体的には、テーブルモータコントローラ226は、被検体204のターゲットボリュームに対応する投影データを取得するために、被検体204がガントリ102に適切に位置決めされるようにテーブル114を移動させることができる。
【0032】
前述したように、DAS214は、検出器素子202によって取得された投影データをサンプリングし、デジタル化する。その後、画像再構成器230が、サンプリングされデジタル化されたX線データを用いて高速再構成を実行する。図2は画像再構成器230を独立した実体として例示しているが、特定の例示的な実施形態では、画像再構成器230はコンピューティング装置216の一部を形成していてもよい。あるいは、画像再構成器230はイメージングシステム200に存在していなくてもよく、代わりに、コンピューティング装置216が画像再構成器230の1つ又は複数の機能を実行してもよい。更に、画像再構成器230は、ローカルに又は遠隔に配置されていてもよく、有線ネットワーク又は無線ネットワークを用いてイメージングシステム200に動作可能に接続されていてもよい。特に、1つの例示的な実施形態では、「クラウド」ネットワーククラスタ内のコンピューティングリソースを画像再構成器230のために使用してもよい。
【0033】
一実施形態では、画像再構成器230は、再構成された画像を記憶装置218に記憶する。あるいは、画像再構成器230は、診断及び評価に有用な患者情報を生成するために、再構成された画像をコンピューティング装置216に送信してもよい。或る実施形態では、コンピューティング装置216は、再構成された画像及び/又は患者情報を、コンピューティング装置216及び/又は画像再構成器230に通信可能に結合されたディスプレイ又は表示装置232に送信してもよい。一部の例示的な実施形態では、再構成された画像は、コンピューティング装置216又は画像再構成器230から、短期保存又は長期保存のために記憶装置218に送信されてもよい。
【0034】
検出器アレイ108は、複数の検出器モジュールを含むことができる。各検出器モジュールは、複数のシクレを含むことができ、シクレは、個々のセンサ又は検出器素子のセットである。
【0035】
図4を参照すると、例示的な検出器アレイ400が示されている。検出器アレイ400は、異なるサイズ及び/又は形状(正方形、長方形、円形、又は別の形状など)に構成されてもよいことを理解されたい。検出器アレイ400の実際の視野(FOV)は、検出器アレイ400のサイズ及び形状に正比例することができる。図示されている実施形態では、検出器アレイ400は湾曲しており、検出器アレイ400の検出器素子は、破線420及び基準軸450によって示されているように、検出器アレイ400の中心点404からy軸に沿って上方に一定の距離離れて位置するX線源に向かうように配列されている。
【0036】
検出器アレイ400はレール440を含んでおり、レール440の間に、コリメーティングブレード又はコリメーティングプレート406が配置されている。プレート406は、X線425をコリメートし、X線425をコリメートした後で、そのビームが検出器アレイ400の複数の検出器モジュール402に衝突するように位置決めされている。複数の検出器モジュール402はプレート406の間に配置することができる。各検出器モジュール402は複数のチクレットを含むことができ、各チクレットは、複数の検出器素子又は画素を含むことができる。一例として、検出器アレイ400は25個の検出器モジュール402を含むことができ、各検出器モジュール402は16個のチクレットを含むことができ、各チクレットは12個の検出器素子を含むことができる。したがって、各検出器モジュール402は192個の検出器素子を含み、検出器アレイ400に合計4800個の検出器素子が含まれる。一例では、チクレットの幅は8.74mmであり、各検出器素子は100個の画素を有し、各画素のX方向の幅は365μm、Z方向のピッチは765μmである。365μmという小さな画素サイズでは、精密な機械的位置合わせが必要となり、この機械的位置合わせは、各チクレット内の検出器素子の位置がロボット配置によって制御されたとしても、実現するのが困難な恐れがある。
【0037】
図2に戻る。再構成された画像は各検出器素子202で生成された電気信号から生成されるため、再構成された画像の精度及び/又は画質は、検出器アレイ内における検出器素子202の位置に依存する。各検出器素子202は、それぞれの検出器アレイ内に位置している。全ての検出器素子202が正しく位置決めされているとは限らない。検出器素子202の実際の位置が設計の目標位置と異なる場合(例えば、検出器素子が位置ずれしている場合)、再構成画像の精度が低下する恐れがある。
【0038】
検出器素子202は非常に小さく、位置合わせが困難な場合がある。例えば、閾値画質を達成するために、位置合わせのばらつきを10%未満にすること(例えば、36.5ミクロン未満)が望まれる場合がある。検出器素子202の一部がx軸及びz軸のいずれか一方又は両方に対して10%を超えて位置ずれしている場合、再構成画像の画質が低下する恐れがある。
【0039】
幾つかの例では、一部の検出器素子202が、製造工程によって、或いはCTイメージングシステム200が工場から病院に搬送されたことによって、位置ずれが生じることがある。また、一部の検出器素子202は、検出器アレイ108の検出器モジュールが損傷したときに及び/又は検出器アレイ108の検出器モジュールを新しい検出器モジュールに交換したときに、位置ずれが生じることもある。位置ずれは、検出器モジュールと検出器モジュールとの間(例えば、モジュールとモジュールとの位置合わせ)、又は1つの検出器モジュールの中の異なる部分どうしの間(例えば、チクレットとチクレットとの位置合わせ)、又はチクレットのセンサとセンサとの間で発生する恐れがある。
【0040】
閾値画質は確実に達成することができるようにするために、CTイメージングシステム200の1つ又は複数の検出器アレイ108を定期的に較正することができる。例えば、1つ又は複数の検出器アレイ108は、CTイメージングシステム200が医療施設に最初に設置されたとき、又は損傷したモジュールが交換された後、又は所定の時間経過後、又は他の時間に較正することができる。較正の間、各検出器素子202の位置は、ワイヤファントムによって与えられる基準位置に対して測定することができる。基準位置に対する検出器素子の位置のわずかな変動を検出し、収集し、使用して、各検出器アレイ108用の較正ベクトルを生成することができる。較正ベクトルは、検出器素子の測定された位置を含んでいてもよいし、検出器アレイの各検出器素子202の測定された位置に対する補正値を含んでいてもよい。較正ベクトルを使用して、検出器アレイの様々な検出器素子の機械的な位置合わせを実行することができる。加えて又は代替的に、画像再構成中に、較正ベクトルを検出器素子202から取得した投影データに適用して、検出器素子202の位置の変動を補正することができる。変動を補正することにより、画質を向上させることができる。
【0041】
図3Aは、1つ又は複数の検出器アレイ108を較正するために使用される例示的なワイヤファントム・アセンブリ300を示す。ワイヤファントム・アセンブリ300は、ワイヤファントム302とテーブル取付部320とを含んでおり、テーブル取付部320は、ワイヤファントム302を、CTイメージングシステム(図2のCTイメージングシステム200など)のテーブル(例えば、テーブル114)に取り付けるために使用することができる。
【0042】
テーブル取付部320は、テーブルの表面に結合することができる取付面334と、ワイヤファントム302を所望の位置に結合することができるファントム保持部323とを含んでいる。ファントム保持部323は、ワイヤファントム302をテーブルの下面から距離325だけ下の位置に調整可能に位置決めすることができる。例えば、距離325は、ファントム保持部323を異なる位置327(例えば、ファントム保持部323の孔)においてテーブル取付部320にボルト止めすることによって調整することができる。テーブル取付部320は、ファントム保持部323に結合された1つ又は複数のゴム製シム322を含むことができ、ゴム製シム322はテーブルの縁部と面接触するように配置することができる。ゴム製シム322によって、テーブル取付部320とテーブルとを、しっかりと強固に結合することができる。ワイヤファントム302のベースプレート336は、1つ又は複数のボルト(第1のボルト324及び第2のボルト330など)によってファントム保持部323に結合することができる。
【0043】
図3Bを簡単に説明すると、テーブル取付図340は、CTイメージングシステムのテーブル342に対してワイヤファントム302及びテーブル取付部320を位置合わせした様子を示している。取付面334は、テーブル342の下面348と位置合わせすることができる。例えば、取付面334は、下面348にクランプさせることができる。CTイメージングシステムのx軸に関して(例えば、基準軸341に従って)テーブル342の下面348に対するファントム保持部323の位置合わせは、第1の傾斜ねじ347を介して調整することができる。CTイメージングシステムのy軸に関してテーブル342の下面348に対するファントム保持部323の位置合わせは、第2の傾斜ねじ349を介して調整することができる。
【0044】
図3Aに戻ると、ワイヤファントム302は、管状体306の中心軸に沿って配置されたワイヤ304を含み、中心軸はCTイメージングシステムのz軸と整列している。管状体306はワイヤ304を保護し、また、管状体306は、ワイヤ304の真直度を維持し、ワイヤ302を保護する構造を有することができる。ワイヤファントム302は、ワイヤファントム302の第1の側314(例えば、ガントリ側)に設けられた第1のエンドキャップ308と、ワイヤファントム302の第2の側316(例えば、テーブル側)に設けられた第2のエンドキャップ312とを含んでいる。ワイヤ304は、第1のエンドキャップ308の第1の内面から第2のエンドキャップ312の第2の内面まで延在している。第1のエンドキャップ308、第2のエンドキャップ312、及び管状体306は、直径307を有している。例えば、直径307は20cmであってもよいし、別の値であってもよい。
【0045】
ワイヤ304は、長さ305を有することができ、長さ305は、検出器アレイ全体をカバーするのに十分な長さである。例えば、長さ305は150mm以上とすることができる。ワイヤ304は、X線を減衰させる高減衰材料であって、スキャン中にCTイメージングシステムの読出しのときに明確に区別できる信号を得ることができる高減衰材料(鋼又はタングステンなど)を含むことができる、又は高減衰材料で製造することができる。較正中、各検出器素子の位置は、ワイヤ304の位置に対して測定することができる。ワイヤファントム302に対してスキャンを実行することができる。検出器アレイがガントリ(例えば、ガントリ102)によってテーブルの周りを回転すると、各検出器素子は、異なるビュー角度に対して、ワイヤ304によるX線の減衰を検出することができる。
【0046】
ワイヤ304の太さ又は直径は、検出器素子(例えば、画素)の横断軸方向(transaxial)の寸法によって決定することができる。再現可能かつ信頼性のある方法で各画素位置を測定するために、好適な直径は、横断軸方向の画素寸法よりも2倍~4倍大きい値とすることができる。様々な実施形態において、適切な直径は、横断軸方向の寸法の少なくとも3倍の値である。一実施形態では、横断軸方向の寸法は356ミクロンであり、ワイヤ304の直径は1mm(約3画素幅)である。従って、ワイヤ304の直径が3画素幅に概ね等しい場合、較正中のワイヤ304によるX線の減衰は、所与の視野角では3画素以上で検出することができる。
【0047】
ワイヤ304は、ソリッドワイヤよりも真直度の閾値を達成しやすいマルチスレッドワイヤ及び/又は編組ワイヤとすることができる。例えば、真直度の閾値は、直線から30ミクロンの変動が許容された値とすることができる。様々な実施形態において、真直度の最低基準は、ワイヤ304にバネ309の張力を作用させることによって維持することができる。さらに、ワイヤ304をプラスチック樹脂で成形することができ、これによって、真直度の最低基準を更に確実に実現することができる。
【0048】
較正中に測定される検出器素子の位置の精度は、テーブル及びガントリに対するワイヤ304の角度アライメントの正確性に依存する。一例では、正確な角度アライメントは、ガントリの中心軸に平行な状態から3ミリラジアン(mrad)の閾値内に収めることである。正確な角度アライメントは、ファントム保持部323に配置された1つ又は複数の傾斜ねじを介して制御する及び/又は調整することができる。具体的には、テーブル取付部320に対するワイヤ304の位置は、第1のワイヤファントム傾斜ねじ326及び/又は第2のワイヤファントム傾斜ねじ332を介して調整することができる。第1のワイヤファントム傾斜ねじ326は、ワイヤファントム302の垂直方向の角度を(例えば、参照軸301によって示されるy次元において)調整することができ、第2のワイヤファントム傾斜ねじ332は、ワイヤファントム302の水平方向の角度を(例えば、x次元において)を調整することができる。ワイヤ304は、各較正及び/又はデータ解析の前又は後に、ガントリの中心軸と平行に位置合わせする又は再度位置合わせすることができる。3ミリラジアン以下のアライメント精度に起因して残る不正確性は、較正の最終段階としてのワイヤ自体の調整及びフィッティング工程において補正することができる。
【0049】
図3Cは、ワイヤファントム302を用いた較正中の検出器アレイに対するワイヤ304の例示的な位置を示す検出器アレイ図360である。検出器アレイ図360には、X線源362及び検出器アレイ364が含まれている。X線源362及び検出器アレイ364は、ガントリ(例えば、ガントリ102)の固定位置に取り付けることができる。X線源362及び検出器アレイ364の中心点363は、CTイメージングシステムのy軸方向に並んでおり、検出器アレイ364及びX線源362は、ガントリのアイソセンタ380の周りを回転することができる。ガントリは矢印382で示す方向に回転することができる。
【0050】
検出器アレイ364は、CTイメージングシステムのx軸方向において、第1の次元を有する円弧形状を有しており、CTシステムのz軸方向において、第2の次元を有する平坦な形状を有することができる。較正スキャン中、CTシステムのテーブル(図3Cには図示せず)はz軸方向に位置決めすることができ、ワイヤ304は、検出器アレイ364とX線源362との間に延在するようにテーブルの端部に結合することができる。従って、検出器アレイ364及びX線源362に対するワイヤ304の位置は、ガントリが回転するにつれて変化する。
【0051】
検出器アレイ図360に示された位置では、検出器素子368に向かって進むX線372は、X線372がワイヤ304の点370においてワイヤ304に衝突するときにワイヤ304によって減衰し、したがって、検出器素子368が検出するX線372は弱くなっている。しかし、X線源362によって同じx位置から放出された他のX線(例えば、矢印384によって示されたx次元に沿うX線)は、検出器アレイ364の同じx位置に配置された他の検出器素子によって検出することができる。したがって、ワイヤ304によって減衰するX線372を利用して、検出器素子368、ワイヤ304の点370、及びX線源362の間の直線的な関係を明らかにすることができる。この直線的な関係が明らかになると、投影ジオメトリを利用して、検出器アレイ364における検出器素子368の位置と、ワイヤ304に対してx軸及びz軸における検出器素子368の角度とを測定することができる。X線372の減衰に基づいて検出器素子368の位置がどのように計算されるかについては、図7図8、及び図9を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0052】
ここで図7を参照すると、ワイヤ位置グラフ700に、CTイメージングシステムによって実行されるスキャン中においてガントリが1回転する間に、複数のビュー角度にわたって検出器アレイの複数の検出器素子により検出されたワイヤファントムのワイヤ(図3Aのワイヤファントム302のワイヤ304など)の位置を示す例示的なライン702が示されている。ワイヤ位置グラフ700のx軸には異なるビュー角に対応するフレームが示されており、ワイヤ位置グラフ700のy軸にはx次元における画素(例えば、検出器素子)の位置が示されている。
【0053】
ライン702は、上述したように、ワイヤの周りをガントリが回転するので、サイノグラムの形状を有している。較正中、ワイヤファントムは、ガントリに対して固定された位置においてテーブルに結合することができる。固定位置は、検出器アレイの全ての検出器素子が確実に較正されるように、検出器アレイの視野(FOV)の外側とすることができる。例えば、固定位置はFOVから外側に50cmの位置とすることができる。言い換えれば、固定位置がFOVの内側にあると仮定した場合、検出器アレイの、固定位置とFOVの縁部との間に存在する一部の検出器素子はワイヤを検出せず、較正されないと考えられる。固定位置がFOVの外側にあることから、ライン702の上側部分750及びライン702の下側部分751は、ワイヤ位置グラフ700から除外される。
【0054】
例えば、ライン702の第1の点704は、200番目のフレームに対応するビュー角度において、検出器素子を含む検出器アレイのx位置(350)における第1の検出器素子によって、ワイヤによるX線の第1の減衰(本明細書ではワイヤ減衰と呼ぶ)が最も大きく検出されることを示している。第1のワイヤ減衰は、検出器アレイ内のx位置(例えば、350)の検出器素子を示している。
【0055】
第2の例として、ライン702の第2の点705は、1350番目のフレームに対応するビュー角において、検出器アレイのx位置(350)における第1の検出器素子によって、第2のワイヤ減衰が最も大きく検出されることを示している。第2のワイヤ減衰は、検出器アレイ内の検出器素子のx位置(例えば、350)で認められる。検出器アレイの各検出器素子は、フル回転すると2つの異なるフレームにおいてワイヤを検出することができる。
【0056】
ワイヤの直径は検出器アレイの検出器素子の横断軸方向の径よりも大きいため、ワイヤによるX線の減衰は、隣接する複数の検出器素子によって検出することができる。例えば、ワイヤの直径が1画素であり、検出器素子の横断軸方向の径が356ミクロンである場合、隣接する3個~5個の検出器素子が減衰を記録することができる。減衰は、隣接する3個~5個の検出器素子の中心画素で最も強くなり、ライン702は、ガントリが回転したときにワイヤ減衰を記録する中心画素に対応する。隣接する検出器素子ではワイヤ減衰が小さくなり、ライン702の周囲にワイヤシェーディング709が生成される場合がある。
【0057】
ワイヤ位置グラフ700において、ライン702の周りのワイヤシェーディング709は水平方向範囲710を有しており、水平方向範囲710は、減衰が単一の検出器素子によって記録されるビュー角の数に基づいている。また、ワイヤシェーディング709は、垂直方向範囲720も有しており、垂直方向範囲720は、所与の視野角において減衰を記録する画素数に基づいている。
【0058】
例えば、第1の破線706は、200番目のフレームにおいて、X線は、第1の点704に対応するx位置350(y軸参照)の検出器素子において、ワイヤによるX線の減衰が最も多いことを示している。しかしながら、X線は、x方向において隣接する検出器素子(第1の隣接点711及び第2の隣接点713に対応する検出器素子など)(y軸参照)では、X線の減衰は少なくなる。
【0059】
同様に、第2の破線712は、単一の検出器素子が、隣接する複数のフレーム/ビュー角にわたってワイヤ減衰を検出することを示している。ガントリの回転によりワイヤに対する検出器素子の位置が変化すると、その検出器素子が検出する減衰量は、最大減衰量まで増加して、その後ゼロまで減少する。例えば、第2の破線712は、x位置1050(y軸参照)における検出器素子が、点718に対応する1650番目のフレームにおいて第1の低い減衰を記録し、点714(例えば、ライン702上に位置する点)に対応する1700番目のフレームにおいて第2の最大減衰を記録し、点719に対応する1750番目のフレームにおいて第3の低い減衰を記録することを示している。
【0060】
図8は、検出器素子により得られた測定値に関数をフィッティングすることによって、検出器アレイ内の検出器素子の正確なx位置をライン702からどのように正確に決定するかを示すフィッティング図800を示す。例えば、関数は、ガウス関数でもよよいし、放物線関数でもよいし、異なる種類の関数であってもよい。フィッティング図800は、ワイヤ位置グラフ700と同様のワイヤ位置グラフ802を含み、例示的なライン803は、複数の検出器素子/画素において記録されたワイヤ減衰測定値によって生成されたサイノグラムの形状で、ワイヤファントムのワイヤの位置を示している。グラフ802のy軸には、検出器アレイ内の画素のx位置が示されており、ガントリが回転しているときの複数のフレームは、図7と同様に、x軸上に示されている。拡大図804には、ライン803の一部812が示されており、当該一部812はライン803の周りのワイヤシェーディングを示している。
【0061】
グラフ806は、一部分812に対応する複数の画素において収集された測定値822のプロット820を示しており、このプロット820は、破線805で示される検出器アレイ上のx位置(300)における画素を中心としたプロットである。画素で発生した信号の強度は、グラフ806のy軸に示され、画素のx位置は、グラフ806のx軸に示され、グラフ806に示される各測定値は、対応する画素に対して記録された信号強度であって、0.0と1.0との間で正規化された信号強度を示している。最も低い信号強度824は、X線がワイヤによって最も減衰したx位置300における画素に対して記録されている(例えば、0.3)。828及び829における低い信号強度の測定値(例えば、0.4)は、X線がワイヤによって部分的に減衰されるワイヤシェーディングを示している。他の隣接する画素ではシェーディングは少ないが、このシェーディングはx位置300における画素の両側の2つの画素を上回っていない。
【0062】
X線がワイヤによって最も減衰する画素位置を正確に決定するために、放物線関数826を測定値822にフィッティングすることができる。ワイヤの厚さ(例えば、直径)は検出器素子の横断軸方向の寸法よりも大きい(例えば、数倍大きい)ので、複数の検出器素子がワイヤによりかなり減衰されていることを記録する場合がある。放物線関数826を使用して、ワイヤ減衰が最大となる単一の検出器素子(例えば、画素位置)を選択することができる。検出器素子の横断軸方向の寸法よりも大きい太さのワイヤを使用することにより、細いワイヤを含む他のワイヤファントムに対して、画素位置の精度を高めることができる。例えば、細いワイヤを有する代替のワイヤファントムは、X線ビームが検出器アレイを掃引する際に、一貫性のない信号及び/又は欠落した信号を生成する恐れがある。あるいは、太すぎるワイヤを使用すると、覆い隠す検出器素子が多すぎてしまい、画素位置の精度が低下する恐れがある。様々な実施形態において、ワイヤの太さは、較正されているCTシステムの寸法又は特性に基づいて選択することができる。例えば、一実施形態では、選択された厚さは、隣接する検出器素子の間の第1の距離(例えば、検出器ピッチ)、CTシステムの焦点のサイズ、及び焦点と検出器素子との間の第2の距離の関数とすることができる。他の実施形態では、他の又は異なる変数を考慮することができる。
【0063】
減衰信号加重平均では、X線カウント値の統計学的な限界によって測定値の変動が引き起こされ、ワイヤ位置の重心について必要な精度が得られない場合がある。例示的なグラフ806は、統計的変動又は測定間の変動が低減するように、放物線関数をフィッティングすることを示している。例示的なグラフ806は、画素方向にフィッティングして画素の重心を計算することを示しているが、最終的なフィッティングモデルによっては、フレーム方向にフィッティングを行ってフレームを得ることができる。
【0064】
ワイヤ減衰が最大となる単一検出器素子が選択されると、投影ジオメトリを使用して、ワイヤに対する単一検出器素子の位置(例えば、ワイヤの既知の位置)を測定することができる。単一検出器素子の位置の測定については、図5A図5B、及び図9を参照して以下にさらに詳しく説明される。
【0065】
図5Aは、較正データを使用して、CTシステム(上記のCTシステム100及び200など)を用いて再構成された画像の品質を向上させるための例示的な方法500を示すフローチャートである。上述したように、CTシステムの較正中に、CTイメージングシステムの各検出器アレイ(例えば、検出器アレイ108及び400)の各検出器素子の測定された位置(又は補正値)を含む較正ベクトルを生成することができる。CTシステムを用いた被検体(例えば、患者)の後続のスキャンの間、画像再構成中に較正ベクトルが適用されて、検出器素子の位置ずれを補正することができる。具体的には、画像再構成中の投影データの処理は、各検出器素子の正確な位置に依存する。しかしながら、例えばCTイメージングシステムの物理的寸法及び特性に基づいた検出器の設計図面によって提供される検出器素子の設計目標位置が、検出器素子の測定された実際の位置と異なる場合がある。設計目標位置ではなく、測定された位置を使用して画像を再構成することができる。位置ずれを補正することによって、再構成された画像の精度及び画質を向上させることができる。方法500は、非一時的メモリに命令として記憶され、CTイメージングシステムのコンピューティング装置(図2のイメージングシステム200のコンピューティング装置216など)の1つ又は複数のプロセッサによって実行することができる。
【0066】
方法500はステップ502から始まり、ステップ502では、方法500は、ワイヤファントムを用いてCTイメージングシステムの1つ又は複数の検出器アレイの較正を実行することを含んでいる。ワイヤファントムを用いて1つ又は複数の検出器アレイの較正を実行することは、図5Bを参照してより詳細に説明される。
【0067】
ステップ504において、方法500は、CTイメージングシステムの較正中に生成された較正ベクトルをCTイメージングシステムのメモリに(例えば、図2のコンピューティング装置216のメモリに)記憶することを含んでいる。較正ベクトルは、後続の較正中に新たな較正ベクトルが生成されるまでは、CTイメージングシステムによって取得された投影データの処理中に検索され、適用することができる。
【0068】
ステップ506において、方法500は、被検体に対してスキャンを実行することを含んでいる。スキャンの間、CTイメージングシステムによって投影データを取得することができる。しかしながら、投影データは、CTイメージングシステムの検出器アレイに配置された検出器素子(例えば、検出器素子202)の位置ずれに起因して、画素レベルの不正確さを含むことがある。
【0069】
ステップ508において、方法500は、画像再構成の間、取得された投影データの処理中に較正ベクトルを適用することを含んでいる。較正ベクトルは、検出器アレイの各検出器素子の測定された位置を含むことができる。画像再構成中、各検出器素子によって生成された信号は、検出器アレイ内の検出器素子の設計目標位置に基づいて処理される。検出器アレイ内の検出器素子の実際の(例えば、測定された)位置が設計目標位置と異なる場合、得られる画像の画質が低下する恐れがある。そのため、設計目標位置の代わりに、較正ベクトルに記憶された検出器素子の測定された位置を使用することができる。
【0070】
代替的に、一部の実施形態では、較正ベクトルは、検出器素子の位置ずれを補正するためのアライメント補正値を含むことができ、投影データの各検出器素子の各位置は、較正ベクトルの対応する位置補正値を適用することによって調整することができる。本明細書で言及される較正ベクトルは、例えば、(正しく位置合わせされた)検出器素子からの信号の変動を補正するために追加的に適用される他の異なる較正ベクトルと混同されるべきではないことが理解されるべきである。
【0071】
ステップ510では、方法500は、再構成された画像をCTイメージングシステムの表示装置(例えば、図2の表示装置232)に表示すること及び/又は再構成された画像をCTイメージングシステムのメモリに記憶することを含んでいる。そして、方法500は終了する。
【0072】
図5Bは、ワイヤファントムを用いてCTイメージングシステムの検出器アレイを較正するための例示的な手順を示す方法550を示す。方法550の様々なステップは、非一時的メモリに命令として記憶され、CTイメージングシステムのコンピューティング装置(図2のイメージングシステム200のコンピューティング装置216など)の1つ又は複数のプロセッサによって実行することができる。方法550の幾つかのステップは、以下に示すように、コンピューティング装置によって実行されず、手動で実行することができる。
【0073】
方法550はステップ552から始まり、ステップ552では、方法550は、CTイメージングシステムのテーブル(例えばテーブル114)の固定位置にワイヤファントムを設置することを含んでいる。ワイヤファントムは、例えば、CTイメージングシステムのオペレータによって、手動で設置することができる。ワイヤファントムは、図3Bに関連して上述したように、テーブルの端部又は縁部に取り付けられるように設置され、ワイヤファントムのワイヤ(例えば、ワイヤ304)を、図3Cに関連して上述したように、検出器アレイとX線源との間の空間に延在させることができる。ワイヤの固定位置は、検出器アレイのFOVの外側にすることができる。一例として、ワイヤファントムは、ガントリの水平レーザ及び垂直レーザを使用して、ワイヤがガントリのアイソセンタの下に180度の角度で、アイソセンタの27cm下に配置するように、テーブルに取り付けることができる。ワイヤチューブに対して水準器を用いて、CTイメージングシステムのZ軸とできるだけ水平にすることができる。ワイヤの中心を、Z軸の基準位置0mmとして示すことができる。
【0074】
幾つかの例では、方法550は、テーブルを指定された高さに移動させる及び/又はテーブルをCTイメージングシステムのz軸に沿って指定された位置まで移動させる命令を、オペレータに提供することを含むことができる。例えば、オペレータがワイヤファントムをテーブルの端部又は縁部に取り付けた後、CTイメージングシステムの表示装置(例えば、表示装置232)を通じて命令をすることができる。
【0075】
ステップ554において、方法550は、ワイヤが真っ直ぐであることが確認されたかどうか、例えば、真直度の閾値公差内であるかどうかを判断することを含んでいる。様々な実施形態では、オペレータから受け取った入力に基づいて、ワイヤが真っ直ぐであることを確認することができる。真直度にばらつきがある場合、ワイヤを検出器アレイの較正に使用することはできない。一例では、閾値許容差は30ミクロンであり、ワイヤの一部が30ミクロンを超えて直線から逸脱している場合、ワイヤは真っ直ぐとはみなされず、検出器アレイの較正に使用することはできない。ワイヤが30ミクロンを超えて直線から外れていない場合、そのワイヤは真っ直ぐであると確認され、検出器アレイの較正に使用することができる。ワイヤファントムが新しい場合、又はこのところ検査されていない場合は、較正を続ける前にワイヤの真直度を確認することができる。例えば、ワイヤの真直度は、定期的に(例えば、6ヶ月ごと)又は所定回数(例えば600回)のスキャンが実行された後に、確認することができる。
【0076】
ステップ554において、ワイヤが真っ直ぐであることが確認されていないと判断された場合、方法550はステップ556に進む。ステップ556では、方法550は、ワイヤの真直度の解析を実行することを含む。真直度解析の間、ワイヤファントムをz軸に沿って異なる位置にずらして、ワイヤファントムの回転走査を実行することができる。言い換えれば、各回転スキャンの間に、z軸方向におけるワイヤファントムの位置を、わずかに増加させて(5mmなど)調整することができる。各回転スキャンの間、データは、検出器アレイの中央部分の少数の列(例えば、2~4列)から収集され、データは、検出器アレイの他の列からは収集されないようにすることができる。少数の中央の列から収集されたデータを使用して、ワイヤが真直度の閾値許容範囲内にあるかどうかを判断することができる。
【0077】
例えば、ワイヤファントムがテーブルに取り付けられた状態で、z軸方向におけるテーブルの位置は、x-y次元におけるガントリの回転平面(例えば、撮像平面)が、ワイヤの第1の点においてワイヤファントムのワイヤと交差するように調整することができる。回転平面は、CTイメージングシステムのX線源と検出器アレイの中心点との間(例えば、図3CのX線源362と中心点363との間)においてCTイメージングシステムのy軸に沿った線(例えば、図4の破線420)を含むことができ、この線はz軸に垂直である。第1の回転スキャンが実行され、検出器アレイの2~4個の中央の列からのワイヤ減衰データの第1のセットを収集することができる。その後、テーブルの位置は、第2の特定点まで増分するように調整され、第2の回転スキャンが実行され、検出器アレイの2~4個の中央の列からのワイヤ減衰データの第2のセットを収集することができる。次に、テーブルの位置は第3の特定点まで増分するように調整され、第3の回転スキャンが実行され、ワイヤ減衰データの第3のセットを収集することができ、z軸に沿った所望の複数のワイヤ位置においてデータが収集されるまで、以下同様に繰り返される。
【0078】
例えば、ガントリの撮像平面がワイヤの中心におけるゼロ(0)位置に対して-55mmの位置においてワイヤと交差するように、テーブルが調整され、テーブルは、ゼロ(0)位置に対して55mmの位置に達するまで、z軸に沿って所定の長さ5mmずつ調整され、合計23回のスキャンを行うことができる。この55mmは、Z軸の撮像FOVをカバーするのに十分な値である。
【0079】
図6を参照すると、ワイヤファントムのアライメント図600は、一実施形態において、ワイヤ減衰データを収集している間の異なる3つの時点におけるワイヤファントム605の位置を示している。ワイヤファントム605は、テーブル取付部606(例えば、テーブル取付部320)に結合されており、テーブル取付部606は、テーブル608(例えば、テーブル114)に結合されている。
【0080】
第1の時点601において、ワイヤファントム605は、点線607によって示されるガントリのx-y回転平面がワイヤ604の第1の点614においてワイヤファントム605のワイヤ604と交差するように位置決めされている。ガントリの撮像平面は、矢印650及び基準軸690によって示されるように、z軸に垂直とすることができ、ガントリの第1の側にあるX線源620と、ガントリに対して反対の第2の側に配置された検出器アレイ610の中心点612と、アイソセンタ点611とを含み、アイソセンタ点611の周りをガントリが回転する。ワイヤファントム605はアイソセンタ点611からオフセットされており、X線源620及び検出器アレイ610がアイソセンタ点611の周りを回転するにつれて、ワイヤ604と検出器アレイ610との間の距離615が変化する。第1の点614はワイヤ604の中心点とすることができ、第1の点614は、ワイヤ604の基準点0mmのランドマークとすることができる。第1の時点601において、ワイヤ604は検出器アレイ610のFOV内に配置されている。
【0081】
第2の時点602において、ワイヤファントム605のz軸方向における位置は、第1の矢印622によって示される第1の正の方向にシフトしている。ワイヤファントム605は、点線607によって示される撮像平面がワイヤ604の第2の点616においてワイヤファントム605のワイヤ604と交差するように位置決めされている。第2の点616は、ワイヤ604の基準点55mm(例えば、第1の点614(0mm)から正方向に55mm)とすることができる。第2の時点602において、ワイヤ604は、検出器アレイ610のFOVの外側に部分的に配置されている。
【0082】
第3の時点603において、ワイヤファントム605のz軸方向における位置は、第2の矢印624によって示される第2の負の方向にシフトしている。ワイヤファントム605は、点線607によって示される撮像平面がワイヤ604の第3の点618においてワイヤファントム605のワイヤ604と交差するように位置決めされている。第3の点618は、ワイヤ604の基準点-55mm(例えば、第1の点614から負方向に55mm)とすることができる。第3の時点603において、ワイヤ604は、検出器アレイ610のFOVの外側に部分的に配置されている。
【0083】
ワイヤ604の真直度を決定するために、上述したように、第1の点614と第3の点618との間で複数回にわたって所定の長さ(例えば、5mmの所定の長さ)だけ増分してデータを収集することができる。複数回にわたって所定の長さだけ増分させてデータを収集し比較することにより、ワイヤ604の真直度を正確に決定することができる。例えば、第2の時点602において収集されたワイヤ減衰データの第1のセットがワイヤ604の第1の部分の第1の位置を示し、第3の時点603において収集されたワイヤ減衰データの第2のセットがワイヤ604の第2の部分の第2の位置を示す場合、第1の位置と第2の位置との間のずれ量は、第1の部分が第2の部分と一直線に並んでいないことを示し、それにより、ワイヤ604が真っ直ぐでないと推論することができる。ずれ量が閾値ずれ量(例えば、30ミクロン)より小さい場合、ワイヤ604は真っ直ぐであると考えることができる。
【0084】
方法550に戻る。ステップ558において、方法550は、図6を参照して上述した手順に従って、ワイヤが真っ直ぐであるかどうかを判断することを含んでいる。ステップ558において、ワイヤが真っ直ぐではないと判断された場合、方法550は560に進む。ステップ560において、方法550は、オペレータに対して、ワイヤを固定させる又は交換させるための命令を表示装置に表示することを含み、方法550はステップ556に戻る。ステップ558において、ワイヤが真っ直ぐであると判断された場合、方法550はステップ562に進む。
【0085】
ステップ562において、方法550は、CTイメージングシステムのz軸(テーブルはz軸に整列している)に対するワイヤの位置を決定するために、ワイヤの角度アライメント解析を実行することを含んでいる。一実施例では、ワイヤのz軸に対して平行な軸からのずれが、閾値ずれ量よりも小さい場合、ワイヤはz軸に整列していると見なされる。例えば、閾値ずれ量は3mradとすることができる。言い換えれば、ワイヤがz軸に平行な軸から3mrad以上ずれている場合、調整用傾斜ねじ(例えば、図3Aの傾斜ねじ326及び332)を用いてワイヤを調整し、次の段落で説明するように、3mradよりも小さくなるまで、アライメントデータの収集及び解析を繰り返すことができる。
【0086】
ワイヤのアライメント解析を実行するために、第2のセットの回転スキャンを実行することができる。第2のセットの回転スキャンは、図6に関連して上述したのと同様の方法で実行することができる。しかしながら、ワイヤが真っ直ぐであることは分かっているので、実行されるスキャンの回数を少なくすることができる。一実施形態では、2回のワイヤアライメントスキャンを実行することができる。ワイヤファントムの第1のワイヤアライメントスキャンは、撮像平面が、ワイヤの中心、即ち基準点(例えば、0mm)から第1の方向(例えば、図6の矢印622)に第1の距離だけ離れた位置においてワイヤと交差するように、ワイヤファントムを位置決めした状態で、実行することができる。ワイヤファントムの第2のワイヤアライメントスキャンは、撮像平面が、ワイヤの中心、即ち基準点から第2の反対方向(例えば、矢印624)に第2の距離だけ離れた位置においてワイヤと交差するように、ワイヤファントムを位置決めした状態で、実行することができる。第2の距離は、第1の距離と等しい距離とすることができる。第1の距離と第2の距離は、閾値距離だけ離れていてもよい。例えば、閾値距離は80mmとすることができる。
【0087】
例えば、第1の距離と第2の距離は共に40mmとすることができる。先ずテーブルを調整して、撮像平面がワイヤの中心(即ち、基準点)から40mm離れた位置においてワイヤと交差するようにワイヤを位置決めし、第1の回転スキャンを実行することができる。続いて、テーブルを調整して、撮像平面がワイヤの中心(即ち、基準点)から-40mm離れた位置においてワイヤと交差するようにワイヤを位置決めし、第2の回転スキャンを実行することができる。第1及び第2の回転スキャンの各スキャンにおいて、検出器アレイの中央の2列-4列の検出器素子においてでワイヤ減衰データを取得することができる。角度アライメント解析では、既にワイヤが真っ直ぐであることが確認されているので、真直度解析よりも高速で実行することができる。
【0088】
第1の回転スキャンと第2の回転スキャンのデータを収集し比較することにより、ワイヤ604のz軸に対する角度を正確に求めることができる。例えば、第1の回転スキャンの間に収集されたワイヤ減衰データの第1のセットがワイヤ604の第1の位置を示し、第2の回転スキャンの間に収集されたワイヤ減衰データの第2のセットがワイヤ604の第2の位置を示す場合、第1の位置と第2の位置との間のずれは、ワイヤがずれていることを示している。ずれが閾値ずれ量(例えば、3mrad)よりも小さい場合、ワイヤはz軸に一致していると考えることができる。
【0089】
ステップ564において、方法550は、上述した手順に従って、ワイヤがz軸に一致しているかどうかを判断することを含んでいる。ワイヤがz軸に一致していないと判断された場合(例えば、ずれが、閾値ずれ量よりも大きい場合)、方法550はステップ566に進む。ステップ566において、方法550は、表示装置に、ワイヤを再調整させるための命令を表示することを含んでいる。様々な実施形態において、ワイヤの再調整は、操作者が、ワイヤファントムの1つ又は複数の傾斜ねじを調整することによって、実行することができる。例えば、ワイヤファントムのファントム保持部に配置された垂直傾斜ねじ(例えば、ファントム保持部323の傾斜ねじ326)は、ワイヤをy軸に対して調整することができ、水平傾斜ねじ(例えば、ファントム保持部323の傾斜ねじ332)は、ワイヤをx軸に対して調整することができる。ワイヤが再調整された後、方法550はステップ562に戻り、ワイヤの角度アライメント解析を再び実行することができる。場合によっては、ワイヤが再調整され、ワイヤの角度アライメント解析が複数回実行され、ワイヤを確実にz軸に一致させることができる。
【0090】
ステップ564において、ワイヤがz軸に一致していると判断された場合、方法550はステップ568に進む。ステップ568において、方法550は、ワイヤに対して検出器アレイの個々の検出器素子(検出器素子202)の正確な位置を測定するために較正スキャンを実行することを含んでいる。ワイヤの位置は既知であり固定されているので、個々の検出器素子の正確な位置は、図7及び図8を参照して上述したように、フル回転を実行し、投影データによって生成されたサイノグラムに関数をフィッティングし、CTシステムの物理的特性に基づく投影ジオメトリを用いることによって測定することができる。
【0091】
図9を参照すると、投影ジオメトリ図900は、ワイヤの位置を計算するために使用される複数の変数を示している。投影ジオメトリ図900は、X線源904及び検出器アレイ906を含む例示的なCTシステム902(例えば、CTシステム100又はイメージングシステム200)を示しており、検出器アレイ906は、図4の検出器アレイ400の非限定的な例である。X線源904及び検出器アレイ906はガントリ(例えば、ガントリ104)に結合することができ、ガントリは、アイソセンタ(点)914を中心として方向901に回転し、アイソセンタ914は、アイソセンタ線905において、X線源904と検出器アレイ906の中心点907との間の中間にある。検出器アレイ906は複数の検出器モジュール908を含み、各検出器モジュール908は複数の画素912を含んでいる。画素912は、スライス又はチクレット910に配列することができる。検出器アレイ906の各画素912は、基準軸990に基づいて、x次元では中心点907から検出器アレイ906に沿った距離909によって特定され、z次元では画素912の行によって特定することができる。ワイヤファントムのワイヤは、CTシステム902内のワイヤ位置916に配置されている。
【0092】
図9は、ガントリが、初期位置(線926で示されている)から、線926に対してガントリの回転角度922(β)だけ回転した時点におけるCTシステムを示している。ワイヤ位置916は(X線源904及び/又は検出器アレイ906を基準として)、ワイヤ位置916とアイソセンタ914との間の距離R(線917によって示されている)と、線917と線926との間の角度918(φ)とに基づいて測定することができる。
【0093】
図9に示されている時点では、X線源904によって放出されたX線ビームが検出器アレイ906で検出される。しかしながら、線919によって示される軌道上のX線ビームは、ワイヤ位置916でワイヤに衝突し、画素920はX線ビームを検出することができない。線919は、アイソセンタ線905に対して角度924(γ)における線である。したがって、アイソセンタ線905に対する画素920の角度位置γは、R及びφに基づいたガントリ回転角βの関数として表すことができる。ここで、R及びφは、先に示されたワイヤのアライメントステップで測定されたワイヤ位置である。Rはアイソセンタからのワイヤ距離であり、φはアイソセンタ線905からのワイヤ角度である。SIDは、線源904からアイソセンタ914までの距離であり、技術設計によって既知である。β922は、ガントリの垂直方向のY軸926に対するガントリ回転角である。
【数1】

画素920の設計目標位置は、次のように、パラメータ化された検出器モデルによって得ることができる。
【数2】

ここで、Xは設計モデルパラメータを表しており、パラメータとしては、各モジュールの設計中心位置とモジュール内の画素ピッチがあり、パラメータから、各画素の設計位置γmodelが計算されモデル化される。SDDは、904と907との間の線源-検出器間距離であり、設計によって既知の値である。式(1)及び式(2)は、測定された画素位置と設計(モデル)画素位置との間の最小化最適化において、全ての画素pが含まれるように、数値的に逆向きにする。
【数3】

図8で説明した測定の結果、p対β(画素対ビュー角)は、式(1)を逆向きにするように使用される。Xは、モジュール位置と画素ピッチのフィッティング結果を表し、Xから全ての画素位置を抽出することができる。
【0094】
ステップ570において、方法500は、任意選択で、検出器素子の測定された位置からアライメント補正値を生成することを含むことができる。アライメント補正値は、検出器素子の測定された位置と設計目標位置との間の差に基づいた値とすることができる。
【0095】
ステップ572において、方法500は、被検体の後続のスキャンで使用するための較正ベクトルに検出器素子の測定された位置(又はアライメント補正値)を記憶することを含むことができる。そして、方法550は終了する。言い換えれば、較正ベクトルを生成することができ、較正ベクトルには、各検出器素子の測定された位置、又は検出され定量化された位置ずれを補正するために検出器素子の位置を調整するための補正値が含まれる。較正ベクトルは、上述したように、図5Aの方法500で使用して、後続のスキャン中に被検体の再構成画像の品質を高めることができる。
【0096】
従って、CTシステムの検出器アレイの検出器素子の位置ずれを補正する方法が提供される。本方法は、検出器素子の大きさが原因で、機械的な較正技術が実行可能ではない場合に使用することができる。本方法は、他のワイヤファントムとは異なり、検出器素子よりも太いワイヤを含むワイヤファントムが使用される。最初のステップで、ワイヤファントムをCTシステムのテーブルに取り付け、ワイヤの真直度と傾斜角度を、本明細書に記載された手順に従って確認する。ワイヤの真直度とワイヤが正しく位置合わせされたことが確認されると、ワイヤに対して、検出器アレイの各検出器素子の位置が測定される。測定された位置は、較正ベクトルに記憶され、測定された位置は、被検体の後続のスキャンが行われている間、画像再構成中に適用され、位置ずれを補正することができる。
【0097】
検出器アレイのエンジニアリングモデルの設計目標位置ではなく、測定された検出器素子の位置を使用することによって、検出器素子の位置ずれは、被検体のスキャン中に補正することができ、スキャンにより得られる再構成画像の画質を向上させることができる。検出器素子の測定された位置を使用する利点は、機械的アライメント技術に頼らなくても検出器素子の位置ずれが調整できることである。その結果、本方法は、機械的アライメント技術を使用して位置合わせができる検出器素子よりも小さい検出器素子を含む検出器アレイに適用することができる。さらに、CTシステムの較正時間、資源配分、及びコストが削減され、CTシステムを、より効率的にすることができる。従って、CTシステムの機能が改善され、CTシステムを使用した較正中のダウンタイムが短縮され、より高速で正確な処理が可能になる。さらに、本明細書に記載の較正方法を適用することによって、CTシステムは高品質の画像を生成することができ、その結果、診断の精度を高くして、患者の転帰が望ましいものとすることができる。
【0098】
ワイヤファントムを使用してCTシステムの検出器アレイ内の検出器素子の位置を較正する技術的効果は、CTシステムを使用して再構成された画像の品質が向上することである。
【0099】
また、本開示は、コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法をサポートする。本方法は、前記CTシステムの較正の間、前記CTシステムを使用して実行される回転スキャンの間に、前記CTシステムのテーブルに結合されたワイヤファントムのワイヤを使用して、前記CTシステムの検出器アレイの検出器素子の位置を測定すること、前記CTシステムを使用して被検体に対して実行される後続のスキャンの間に、前記CTシステムによって取得された投影データから画像を再構成する間、前記検出器素子の設計目標位置ではなく、前記検出器素子の測定された位置を適用すること、及び再構成された画像を前記CTシステムの表示装置に表示することを含む。本方法の第1の実施例では、前記検出器素子の設計目標位置は、前記CTシステムの検出器設計図及び/又は前記CTシステムの寸法に基づいたモデルによって提供される。本方法の第2の実施例では、任意選択で第1の実施例を含み、前記検出器素子の測定された位置を使用して、前記検出器アレイの検出器素子の位置を機械的に調整する。本方法の第3の実施例では、任意選択で、第1及び第2の実施例のうちの一方又は両方の実施例を含み、本方法は、前記ワイヤの位置に対する前記検出器素子の位置を測定する前に、前記ワイヤの真直度の第1の解析と、前記テーブルの長手方向と平行な前記CTシステムのz軸に対する前記ワイヤの傾斜角度の第2の解析のうちの少なくとも一方の解析を実行することをさらに含む。本方法の第4の実施例では、任意選択で、第1から第3の実施例の1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記ワイヤの真直度の第1の解析を実行することは、複数の回転スキャンを実行し、前記複数の回転スキャンの各回転スキャンの間にz軸に沿って前記ワイヤの位置を漸増的に調整すること、各回転スキャンの間に、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の少数の列に配置された検出器素子の位置を測定し、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の前記少数の列の外側に配置された検出器素子の位置を測定しないこと、及び前記複数の回転スキャンの各回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置を比較し、前記ワイヤの真直度を決定することを更に含む。本方法の第5の実施例では、任意選択で、第1から第4の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記CTシステムのz軸に対する前記ワイヤの傾斜角度の前記第2の解析を実行することは、前記ワイヤが前記z軸の第1の位置に配置された状態で、第1の回転スキャンを実行すること、前記ワイヤが前記z軸の第2の位置に配置された状態で、第2の回転スキャンを実行することであって、前記第2の位置と前記第1の位置は閾値距離だけ離れている、第2の回転スキャンを実行すること、各回転スキャンの間に、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の少数の列に配置された検出器素子の位置を測定し、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の前記少数の列の外側に配置された検出器素子の位置を測定しないこと、及び前記第1の回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置と、前記第2の回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置とを比較し、前記ワイヤの傾斜角度を決定することをさらに含む。本方法の第6の実施例では、任意選択で、第1から第5の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記少数は2~4の間の数である。本方法の第7の実施例では、任意選択で、第1から第6の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記ワイヤの傾斜角度が第2の閾値ずれ量の外側にあることを示す前記第2の解析の結果に応答して、前記ワイヤファントムを前記テーブルに結合するために使用されるファントム保持部に配置された1つ又は複数の傾斜ねじによって前記ワイヤの傾斜角度を調整する命令を前記CTシステムのオペレータに表示することをさらに含む。本方法の第8の実施例では、任意選択で、第1から第7の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記ワイヤファントムは、前記ワイヤの位置が前記検出器アレイのFOVの外側に存在するように前記テーブルの縁部に結合される。本方法の第9の実施例では、任意選択で、第1から第8の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記ワイヤの径が前記検出器素子の横断軸方向の大きさの少なくとも3倍である。本方法の第10の実施例において、任意選択で、第1から第9の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記ワイヤの位置に対する前記検出器素子の位置を測定することは、前記CTシステムの既知の物理的特性と投影ジオメトリに基づいて検出器素子の位置を測定することをさらに含む。本方法の第11の実施例では、任意選択で、第1から第10の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記ワイヤの位置に対する前記検出器素子の位置を測定することは、放物線関数及びガウス関数のうちの一方の関数を、前記検出器素子を含む隣接する複数の検出器素子で生成された信号の測定値にフィッティングすることをさらに含む。本方法の第12の実施例では、任意選択で、第1から第11の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記検出器素子の測定された位置に基づいて、前記検出器アレイの各検出器素子のそれぞれのアライメント補正値を計算すること、全ての前記検出器素子の計算されたアライメント補正値を較正ベクトルに記憶すること、画像の再構成中に、前記較正ベクトルを使用して、前記検出器アレイの全ての検出器素子の位置を補正することをさらに含む。
【0100】
また、本開示は、プロセッサと非一時的メモリとを含むコンピュータ断層撮影(CT)システムもサポートする。前記非一時的メモリは命令を含み、前記命令は、実行されると、前記プロセッサに、ワイヤファントムの第1の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤファントムのワイヤの真直度を決定すること、前記ワイヤファントムの第2の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤの傾斜角度を決定すること、前記ワイヤの真直度が第1の閾値ずれ量以下であり、前記ワイヤの傾斜角度が第2の閾値ずれ量以下であることに応答して、前記CTシステムを使用して較正スキャンが実行されている間、前記ワイヤの位置に対する前記CTシステムの検出器アレイの各検出器素子の位置を測定すること、及び前記CTシステムを使用して後続のスキャンが実行されている間、前記CTシステムによって取得された投影データからの画像の再構成中に、各検出器素子の測定された位置を適用すること、及び再構成された画像を前記CTシステムの表示装置に表示することを実行させる。本システムの第1の実施例では、前記ワイヤファントムの前記第1の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤの真直度を決定すること、及び前記ワイヤファントムの前記第2の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤの傾斜角度を決定することは、前記第1の一連の回転スキャン及び前記第2の一連の回転スキャンの各回転スキャンの間に、前記テーブルの長手方向と平行な前記CTシステムのz軸に沿って、前記ワイヤファントムが搭載されている前記CTシステムのテーブルの位置を調整し、前記CTシステムのガントリの撮像平面が、各回転スキャン中に前記ワイヤの長さに沿う異なる位置において前記ワイヤと交差する。本システムの第2の実施例では、任意選択で第1の実施例を含み、前記ワイヤファントムは、前記ワイヤが前記検出器アレイのFOVの外側に位置するようにテーブルに結合されている。本システムの第3の実施例では、任意選択で、第1及び第2の実施例のうちの一方の実施例又は両方の実施例を含み、前記ワイヤの位置に対する前記CTシステムの検出器アレイの各検出器素子の位置を測定することは、前記較正スキャンのフル回転の間、前記検出器アレイの各検出器素子におけるエネルギー測定値を収集すること、前記フル回転の各フレームの間、前記フレームに対応するビュー角において収集された前記エネルギー測定値に関数をフィッティングすること、前記関数に基づいて前記検出器アレイの検出器素子を選択すること、前記ワイヤの位置に対する選択された検出器素子の位置を測定することを更に含む。本システムの第4の実施例では、任意選択で、第1から第3の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含み、前記ワイヤの位置に対する前記選択された検出器素子の位置を測定することは、前記CTシステムの既知の物理的特性と投影ジオメトリに基づいて位置を測定することをさらに含む。
【0101】
また、本開示は、コンピュータ断層撮影(CT)システムを較正するためのワイヤファントム・アセンブリもサポートする。前記ワイヤファントム・アセンブリは、ワイヤファントムとファントム保持部とを含み、前記ファントム保持部は、前記CTシステムのテーブルに取付け可能であり、前記ファントム保持部に対する前記ワイヤファントムの位置合わせを調整する1つ又は複数の傾斜ねじを含み、前記ワイヤファントムは、プラスチック樹脂で成形された編組ワイヤを取り囲む管状体を含み、前記編組ワイヤは、X線減弱率の高い材料を含み、前記編組ワイヤは、前記CTシステムの検出器素子の横断軸方向の寸法の少なくとも3倍の径を有する。本システムの第1の実施例では、前記ワイヤの真直度がばねの張力によって維持される。
【0102】
本開示の様々な実施形態の要素を導入する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「この(the)」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図されている。「第1」、「第2」などの用語は、順序、量、又は重要性を示すものではなく、ある要素を他の要素から区別するために使用されるものである。「含む、備える、有する(comprising)」、「含む、備える、有する(including)」、「含む、備える、有する(having)」、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味する。本明細書において、「に接続される」、「に結合される」などの用語が使用される場合、1つの対象(例えば、材料、要素、構造、部材等)は、1つの対象が他の対象に直接に接続されている又は直接に結合されているかどうか、又は1つの対象と他の対象との間に1つ以上の介在物が存在しているかどうかにかかわらず、他の対象に接続する又は結合することができる。加えて、本開示の「1つの実施形態」又は「ある実施形態」に言及することは、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するように解釈されることを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0103】
先に示された修正形態に加えて、本記載の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者によって多くの他の変更構造及び代替構造を考えることができ、特許請求の範囲は、このような修正形態及び構造を含むことが意図される。したがって、上記の情報は、現在最も実用的で好ましい態様であると考えられるものに関して特に詳細に記載されているが、当業者にとって、本明細書に記載された原則及び概念から逸脱することなく、形態、機能、操作方法、及び使用(これらに限定されることはない)などについて、多くの修正形態が可能であることは明らかである。また、本明細書において、実施例及び実施形態は、あらゆる点において単なる例示であることを意味しており、いかなる方法においても限定的に解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0104】
100 CTシステム
102 ガントリ
104 X線源
106 X線放射ビーム
108 検出器アレイ
110 画像処理ユニット
112 被検体
114 テーブル
200 CTイメージングシステム
202 検出器素子
204 検体
206 回転中心
208 制御機構
210 X線コントローラ
212 ガントリモータコントローラ
214 データ収集システム(DAS)
216 コンピューティング装置
218 大容量記憶装置
220 オペレータコンソール
226 テーブルモータコントローラ
230 構成器
232 表示装置
300 ワイヤファントム・アセンブリ
301 参照軸
302 ワイヤファントム
304 ワイヤ
305 長さ
306 管状体
307 直径
308 第1のエンドキャップ
309 バネ
312 第2のエンドキャップ
314 第1の側
316 第2の側
320 テーブル取付部
322 ゴム製シム
323 ファントム保持部
324 第1のボルト
325 距離
326 傾斜ねじ
327 位置
330 第2のボルト
332 傾斜ねじ
334 取付面
336 ベースプレート
341 基準軸
342 テーブル
347 第1の傾斜ねじ
348 下面
349 第2の傾斜ねじ
350 x位置
362 X線源
363 中心点
364 検出器アレイ
368 検出器素子
370 点
372 X線
380 アイソセンタ
382 矢印
384 矢印
400 検出器アレイ
402 検出器モジュール
404 中心点
406 プレート
420 破線
425 X線
440 レール
450 基準軸
500 方法
502 ステップ
504 ステップ
506 ステップ
508 ステップ
510 ステップ
550 方法
552 ステップ
554 ステップ
556 ステップ
558 ステップ
560 ステップ
562 ステップ
564 ステップ
566 ステップ
568 ステップ
570 ステップ
572 ステップ
601 第1の時点
602 第2の時点
603 第3の時点
604 ワイヤ
605 ワイヤファントム
606 テーブル取付部
607 点線
608 テーブル
610 検出器アレイ
611 アイソセンタ点
612 中心点
614 第1の点
615 距離
616 第2の点
618 第3の点
620 X線源
622 第1の矢印
624 第2の矢印
650 矢印
690 基準軸
700 ワイヤ位置グラフ
702 ライン
704 第1の点
705 第2の点
706 第1の破線
709 ワイヤシェーディング
710 水平方向範囲
711 第1の隣接点
712 第2の破線
713 第2の隣接点
714 点
718 点
719 点
720 垂直方向範囲
750 上側部分
751 下側部分
802 グラフ
803 ライン
805 破線
806 グラフ
812 一部
812 一部分
820 プロット
822 測定値
824 信号強度
826 放物線関数
901 方向
902 CTシステム
904 X線源
905 アイソセンタ線
906 検出器アレイ
907 中心点
908 検出器モジュール
909 距離
910 チクレット
912 画素
914 アイソセンタ
916 ワイヤ位置
917 線
918 角度
919 線
920 画素
922 回転角度
924 角度
990 基準軸

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法であって、
前記CTシステムの較正の間、
前記CTシステムを使用して実行される回転スキャンの間に、前記CTシステムのテーブルに結合されたワイヤファントムのワイヤを使用して、前記CTシステムの検出器アレイの検出器素子の位置を測定すること(568)、
前記CTシステムを使用して被検体に対して実行される後続のスキャンの間に、
前記CTシステムによって取得された投影データから画像を再構成する間、前記検出器素子の設計目標位置ではなく、前記検出器素子の測定された位置を適用すること(508)、および
再構成された画像を前記CTシステムの表示装置に表示すること(510)
を含む、方法。
【請求項2】
前記検出器素子の設計目標位置は、前記CTシステムの検出器設計図及び/又は前記CTシステムの寸法に基づいたモデルによって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出器素子の測定された位置を使用して、前記検出器アレイの検出器素子の位置を機械的に調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイヤを使用して前記検出器素子の位置を測定する前に、前記ワイヤの真直度の第1の解析(556)と、前記テーブルの長手方向と平行な前記CTシステムのz軸に対する前記ワイヤの傾斜角度の第2の解析(562)のうちの少なくとも一方の解析を実行することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ワイヤの真直度の第1の解析(556)を実行することは、
複数の回転スキャンを実行し、前記複数の回転スキャンの各回転スキャンの間にz軸に沿って前記ワイヤの位置を漸増的に調整すること、
各回転スキャンの間に、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の少数の列に配置された検出器素子の位置を測定し、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の前記少数の列の外側に配置された検出器素子の位置を測定しないこと、および
前記複数の回転スキャンの各回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置を比較し、前記ワイヤの真直度を決定すること
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記CTシステムのz軸に対する前記ワイヤの傾斜角度の前記第2の解析(562)を実行することは、
前記ワイヤが前記z軸の第1の位置に配置された状態で、第1の回転スキャンを実行すること、
前記ワイヤが前記z軸の第2の位置に配置された状態で、第2の回転スキャンを実行することであって、前記第2の位置と前記第1の位置は閾値距離だけ離れている、第2の回転スキャンを実行すること、
各回転スキャンの間に、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の少数の列に配置された検出器素子の位置を測定し、前記ワイヤに対して前記検出器アレイの中央部分の前記少数の列の外側に配置された検出器素子の位置を測定しないこと、および
前記第1の回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置と、前記第2の回転スキャンにおける前記検出器素子の測定された位置とを比較し、前記ワイヤの傾斜角度を決定すること
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少数は2~4の間の数である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ワイヤの傾斜角度が第2の閾値ずれ量の外側にあることを示す前記第2の解析の結果に応答して、前記ワイヤファントムを前記テーブルに結合するために使用されるファントム保持部に配置された1つ又は複数の傾斜ねじによって前記ワイヤの傾斜角度を調整する命令を前記CTシステムのオペレータに表示すること(566)をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ワイヤファントムは、前記ワイヤが前記検出器アレイのFOVの外側に存在するように前記テーブルの縁部に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ワイヤの径が前記検出器素子の横断軸方向の大きさの少なくとも3倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ワイヤを使用して前記検出器素子の位置を測定することは、前記CTシステムの既知の物理的特性と投影ジオメトリに基づいて検出器素子の位置を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ワイヤを使用して前記検出器素子の位置を測定することは、放物線関数及びガウス関数のうちの一方の関数を、前記検出器素子を含む隣接する複数の検出器素子で生成された信号の測定値にフィッティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記検出器素子の測定された位置に基づいて、前記検出器アレイの各検出器素子のそれぞれのアライメント補正値を計算すること(570)、
全ての前記検出器素子の計算されたアライメント補正値を較正ベクトルに記憶すること(572)、
画像の再構成中に、前記較正ベクトルを使用して、前記検出器アレイの全ての検出器素子の位置を補正すること(508)
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサと非一時的メモリとを含むコンピュータ断層撮影(CT)システム(100、200)であって、前記非一時的メモリは命令を含み、前記命令は、実行されると、前記プロセッサに、
ワイヤファントム(302)の第1の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤファントム(302)のワイヤ(304)の真直度を決定すること、
前記ワイヤファントム(302)の第2の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤ(304)の傾斜角度を決定すること、
前記ワイヤ(304)の真直度が第1の閾値ずれ量以下であり、前記ワイヤ(304)の傾斜角度が第2の閾値ずれ量以下であることに応答して、
前記CTシステム(100、200)を使用して較正スキャンが実行されている間、
前記ワイヤ(304)の位置に対する前記CTシステム(100、200)の検出器アレイ(906)の各検出器素子(912)の位置を測定すること、および
前記CTシステム(100、200)を使用して後続のスキャンが実行されている間、
前記CTシステム(100、200)によって取得された投影データからの画像の再構成中に、各検出器素子(912)の測定された位置を適用すること、および
再構成された画像を前記CTシステム(100、200)の表示装置に表示すること
を実行させる、CTシステム。
【請求項15】
前記ワイヤファントム(302)の前記第1の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤ(304)の真直度を決定すること、および前記ワイヤファントム(302)の前記第2の一連の回転スキャンを実行して、前記ワイヤ(304)の傾斜角度を決定することは、前記第1の一連の回転スキャンおよび前記第2の一連の回転スキャンの各回転スキャンの間に、前記テーブル(114)の長手方向と平行な前記CTシステムのz軸に沿って、前記ワイヤファントム(302)が搭載されている前記CTシステムのテーブル(114)の位置を調整し、前記CTシステムのガントリ(102)の撮像平面が、各回転スキャン中に前記ワイヤ(304)の長さに沿う異なる位置において前記ワイヤ(304)と交差する、請求項14に記載のCTシステム(100、200)。
【外国語明細書】