(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161890
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ヘアクリップ
(51)【国際特許分類】
A45D 8/00 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
A45D8/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069944
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】20 2023 102 494.7
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】521077406
【氏名又は名称】徐 國揚
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 國揚
(57)【要約】
【課題】髪を挟む範囲の調節が可能であり、且つ良好な位置決めの安定性を備えるヘアクリップを提供する。
【解決手段】本発明のヘアクリップは第1挟持片1と、第2挟持片2と、弾性部材3と、複数の第1連結片4と、複数の第2連結片5と、を含む。第1挟持片と第2挟持片はそれぞれ第1位置決め部15、第2位置決め部25を設け、それぞれ第1展開位置決め溝151、第1縮小位置決め溝152、第2展開位置決め溝251、第2縮小位置決め溝252を設ける。第1連結片は、下側でそれぞれ第1挟持片、第2挟持片と枢着し、下側には第1展開位置決め溝、第2展開位置決め溝又は第1縮小位置決め溝、第2縮小位置決め溝と接合できる下位置決め体42を設ける。また、上位置決め体44が設けられている。第2連結片の下側には第3位置決め部53を設け、第3位置決め部に上位置決め体と接合できる第3展開位置決め溝531、第3縮小位置決め溝532を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる対称面に対して対称である第1挟持片及び第2挟持片であって、前記第1挟持片は下側に第1挟持部、上側に第1押圧部を備え、前記第2挟持片は下側に第2挟持部、上側に第2押圧部を備え、枢着して組み合わせられるよう前記第1挟持片には第1枢着部が、前記第2挟持片には第2枢着部がそれぞれ設けられ、前記第1挟持部の下方には第1位置決め部が設けられ、前記第1位置決め部には第1展開位置決め溝及び第1縮小位置決め溝が設けられており、前記第2挟持片の下側には第2位置決め部が設けられ、前記第2位置決め部には第2展開位置決め溝及び第2縮小位置決め溝が設けられている、第1挟持片及び第2挟持片と、
前記第1挟持片及び前記第2挟持片に挟み込む力を提供する、弾性部材と、
直線形状を呈し、下側はそれぞれ前記第1挟持片又は前記第2挟持片と枢着され、上位置決め体が設けられ、下側には前記第1展開位置決め溝又は前記第2展開位置決め溝、若しくは、前記第1縮小位置決め溝又は前記第2縮小位置決め溝と接合することができる下位置決め体が設けられている、複数の第1連結片と、
直線形状を呈し、上側は前記第1連結片と枢着され、上側には第3位置決め部が設けられており、前記第3位置決め部には前記第1連結片の前記上位置決め体と接合することができる第3展開位置決め溝及び第3縮小位置決め溝が設けられている、複数の第2連結片と、
を含むヘアクリップ。
【請求項2】
前記第1挟持部の下側の、前記対称面の左右両側にある前記第1位置決め部の上方に対応する位置にそれぞれ第1回動軸が設けられ、前記第2挟持部の下側の、左右両側にある前記第2位置決め部の上方に対応する位置にそれぞれ第2回動軸が設けられており、
前記第1連結片は4つであり、前記第1連結片の下側であって、前記下位置決め体の上方に対応する位置に第1枢設孔が設けられ、各前記第1連結片の前記第1枢設孔はそれぞれ前記第1挟持片の前記第1回動軸又は前記第2挟持片の前記第2回動軸と枢着され、前記第1連結片の上側には第3回動軸が設けられており、
前記第2連結片は4つであり、前記第2連結片には前記第3回動軸と枢着される第2枢設孔が設けられている、請求項1に記載のヘアクリップ。
【請求項3】
前記第1回動軸、前記第2回動軸及び前記第3回動軸には可撓性変形を提供可能な空間である切り欠きが設けられ、頂端には凸縁が設けられている、請求項2に記載のヘアクリップ。
【請求項4】
前記第1連結片の下側に第1挿着ピンが設けられ、前記第2連結片の下側に第2挿着ピンが設けられている、請求項1に記載のヘアクリップ。
【請求項5】
前記第2連結片の上側に、前記上位置決め体の上方に位置する湾曲部分が設けられ、前記第2枢設孔が前記湾曲部分に設けられている、請求項2に記載のヘアクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアクリップに関し、主にヘアクリップの髪を挟み込む範囲を調節できるヘアクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の一般的なヘアクリップは2つの挟持体を備えており、2つの挟持体を開いて髪を挟み込むことができる。しかし、挟持体の幅や髪に対応する範囲は固定されており、髪を広い範囲で挟み込む必要がある場合には挟持体の幅が広いヘアクリップの使用が必要になる。しかし、少量の髪だけを挟み込みたい場合はそのヘアクリップでは合わないため、使用者は挟持体の幅が異なる様々なヘアクリップを準備しなければならず、使用や携帯において利便性に欠けるという欠点があった。
【0003】
特許文献1が開示するヘアクリップは複数配置された片体を備えており、片体は回動軸を備える。さらに隣接する各片体の間には連結片が設置されており、連結片の両端は枢設孔を備える。連結片の一端の枢設孔それぞれに片体の上側の回動軸を挿通し、且つ、隣接するもう1つの片体の下側の回動軸を枢着して、各連結片、片体の間隔を拡げたり縮めたりして調節することができる。これによりヘアクリップが髪を挟む範囲を変化させて適用性を向上できるようにしている。
【0004】
しかしながら、連結片と片体が枢設孔と回動軸のみで結合されていて角度制限がないため、力を加えて各連結片と片体を展開させる際の力が強すぎた場合、連結片の枢設孔に片体の回動軸に沿ってずれが生じやすくなり、連結片と片体を脱離させてしまうという欠点がある。それだけでなく、調節後も連結片と片体の接合の位置決めが安定しないため、ヘアクリップの幅が変わってしまうことも生じ得る。
【0005】
また、特許文献2のヘアクリップは複数の直線状の拡張部と直線状の接合部を備え、拡張部に設けられた比較的長い柱体が接合部の孔に組み合わされることで、ヘアクリップに拡張と縮小を可能にする機能を持たせている。しかし、このヘアクリップにもやはり調節後にヘアクリップの幅が変わりやすく、力を加えて展開させる際に柱体と孔が脱離してしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8161982号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0080048号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、髪を挟む範囲の調節が可能であり、且つ良好な位置決めの安定性を備え得るヘアクリップの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1挟持片と、第2挟持片と、弾性部材と、複数の第1連結片と、複数の第2連結片と、を含む。
第1挟持片及び第2挟持片は上下方向に延びる対称面に対して対称である。第1挟持片は下側に第1挟持部、上側に第1押圧部を備え、第2挟持片は下側に第2挟持部、上側に第2押圧部を備えている。枢着して組み合わせられるよう第1挟持片には第1枢着部が、第2挟持片には第2枢着部がそれぞれ設けられている。第1挟持部の下方には第1位置決め部が設けられ、第1位置決め部には第1展開位置決め溝及び第1縮小位置決め溝が設けられており、第2挟持片の下側には第2位置決め部が設けられ、第2位置決め部には第2展開位置決め溝及び第2縮小位置決め溝が設けられている。
弾性部材は第1挟持片及び第2挟持片に挟み込む力を提供する。
第1連結片は直線形状を呈し、下側はそれぞれ第1挟持片又は第2挟持片と枢着されている。第1連結片には上位置決め体が設けられ、下側には第1展開位置決め溝又は第2展開位置決め溝、若しくは、第1縮小位置決め溝又は第2縮小位置決め溝と接合することができる下位置決め体が設けられている。
第2連結片は直線形状を呈し、上側は第1連結片と枢着されている。第2連結片の上側には第3位置決め部が設けられており、第3位置決め部には第1連結片の上位置決め体と接合することができる第3展開位置決め溝及び第3縮小位置決め溝が設けられている。
【0009】
本発明の1つの実施例では、第1挟持部の下側の、対称面の左右両側にある第1位置決め部の上方に対応する位置にそれぞれ第1回動軸が設けられ、第2挟持部の下側の、左右両側にある第2位置決め部の上方に対応する位置にそれぞれ第2回動軸が設けられている。
第1連結片は4つであり、第1連結片の下側であって、下位置決め体の上方に対応する位置に第1枢設孔が設けられている。各第1連結片の第1枢設孔はそれぞれ第1挟持片の第1回動軸又は第2挟持片の第2回動軸と枢着されている。第1連結片の上側には第3回動軸が設けられている。
第2連結片は4つであり、第2連結片には第1連結片の第3回動軸と枢着される第2枢設孔が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヘアクリップは、その上下方向それぞれで、上位置決め体は第3展開位置決め溝と、下位置決め体は第1展開位置決め溝、第2展開位置決め溝と接合されて位置決めすることができる。ヘアクリップの展開した幅が変わらないように確保することでヘアクリップに良好な安定性を持たせることができる。
【0011】
本発明は、比較的少量の髪を挟み込む必要がある場合やヘアクリップの体積を縮小して携帯しやすくしたい場合にヘアクリップを縮ませることができる。その上下方向それぞれで、上位置決め体は第3縮小位置決め溝と、下位置決め体は第1縮小位置決め溝、第2縮小位置決め溝と接合されて位置決めすることができ、ヘアクリップの幅が変わらずに縮められた状態が維持されように確保することでヘアクリップに良好な安定性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本発明のヘアクリップの組立立体図である(展開状態を示している)。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
以下の実施例中、本発明において機能が同様の構成要素は同じ符号で示している。本発明の方向は図面に合わせて説明するものであり、限定するものではない。
図1~
図4を参照されたい。本発明は、第1挟持片1、第2挟持片2、弾性部材3、複数の第1連結片4、複数の第2連結片5を含む。第1挟持片1と第2挟持片2は略対称を呈し、下側にそれぞれ第1挟持部11、第2挟持部21を備え、上側にそれぞれ第1押圧部12、第2押圧部22を備えている。第1挟持片1と第2挟持片2にはそれぞれ第1枢着部13、第2枢着部23が設けられており、軸ピン16によって枢着される。
【0014】
第1挟持部11の下側の左右両側にはそれぞれ第1回動軸14が設けられており、第2挟持部の下側の左右両側にはそれぞれ第2回動軸24が設けられている。第1回動軸14と第2回動軸24には可撓性変形を提供可能な空間である切り欠き141、241が設けられ、頂端には凸縁142、242が設けられている。第1挟持片1の第1回動軸14の下方には第1位置決め部15が設けられ、第1位置決め部15には第1展開位置決め溝151、第1縮小位置決め溝152が設けられている。また、第2挟持片2の第2回動軸24の下方には第2位置決め部25が設けられ、第2位置決め部25には第2展開位置決め溝251、第2縮小位置決め溝252が設けられている。
【0015】
弾性部材3は、第1挟持片1、第2挟持片2に挟み込む力を提供する。
【0016】
第1連結片4は4つであり、且つ直線形状を呈している。第1連結片4の下側にはそれぞれ第1挟持片1の左側と右側の第1回動軸14及び第2挟持片2の左側と右側の第2回動軸24と枢着される第1枢設孔41が設けられており、組み合わせた後に第1回動軸14、第2回動軸24の頂部の凸縁142、242が第1枢設孔41の端縁と接合されることによって良好な組み立ての堅固性を持たせることができる。本実施例では、左右両側に位置する第1連結片4の一部の対応構造に方向の違いがあるが、図面中では同じ符号で表示している。第1枢設孔41の下側には第1展開位置決め溝151、第2展開位置決め溝251又は第1縮小位置決め溝152、第2縮小位置決め溝252と接合することができる下位置決め体42が設けられている。第1連結片4の上側には第3回動軸43が設けられており、第3回動軸43には可撓性変形空間である切り欠き431が設けられ、頂端には凸縁432が設けられている。第3回動軸43の下方には上位置決め体44が設けられており、第1連結片4の下側には髪に挿着することができる第1挿着ピン45が突設されている。
【0017】
第2連結片5は4つであり、且つ直線形状を呈する。第2連結片5の上側に湾曲部分51が設けられており、湾曲部分51には第1連結片4の第3回動軸43と枢着される第2枢設孔52が設けられている。本実施例では、左右両側に位置する第2連結片5の一部の対応構造に方向の違いがあるが、図面中では同じ符号で表示している。組み合わせた後に第3回動軸43の凸縁432が第2枢設孔52の頂縁と接合されることによって良好な組み立ての堅固性を持たせることができる。また湾曲部分51の下方の空間に上位置決め体44を収容して、ヘアクリップの縮めた体積を減らすことができる。第2枢設孔52の下方には第3位置決め部53が設けられており、第3位置決め部53は、第1連結片4の上位置決め体44と接合することができる第3展開位置決め溝531、第3縮小位置決め溝532を備えている。第2連結片5の下側には髪に挿着することができる第2挿着ピン54が突設されている。
【0018】
本発明は、第1挟持片1、第2挟持片2の左右両側がそれぞれ第1連結片4と枢着されている。第1連結片4の下位置決め体42が第1展開位置決め溝151、第2展開位置決め溝251と接合されて位置決めされ、第2連結片5が第1連結片4と枢着されている。第1連結片4の上位置決め体44が第2連結片5の第3展開位置決め溝531と接合されて位置決めされており、ヘアクリップにより多くの髪を挟み込める比較的大きな展開範囲を持たせることができる。さらに、第1挿着ピン45と第2挿着ピン54が髪に挿通されることで髪を挟む安定性を向上させることができる。また、ヘアクリップの展開時には、上下方向それぞれで、上位置決め体44は第3展開位置決め溝531と、下位置決め体42は第1展開位置決め溝151、第2展開位置決め溝251と同時に接合されて位置決めすることができ、ヘアクリップの幅が変わらないように確保することでヘアクリップに良好な安定性を持たせることができる。
【0019】
図1、
図5を参照されたい。本発明は、比較的少量の髪を挟み込む必要がある場合やヘアクリップの体積を縮小して携帯しやすくしたい場合にヘアクリップを縮ませることができる。その上下方向それぞれで、上位置決め体44は第3縮小位置決め溝532と、下位置決め体42は第1縮小位置決め溝152、第2縮小位置決め溝252と接合されて位置決めすることができ、ヘアクリップの幅が変わらずに縮められた状態が維持されように確保することでヘアクリップに良好な安定性を持たせることができる。
【0020】
本発明は、ヘアクリップを
図4が示すように展開させる際に過剰な力が加えられた場合、上下それぞれで、上位置決め体44は第3展開位置決め溝531と接合され、下位置決め体42は第1展開位置決め溝151、第2展開位置決め溝251と接合されて位置決めすることができる。そのため、過度に拡張されないよう確保され、第1回動軸14、第2回動軸24、第3回動軸43と第1枢設孔41、第2枢設孔52との組み立てを安定させて保持することができ、組み立てに良好な安定性を持たせることができる。
【0021】
このように、本発明はヘアクリップが持つ展開・拡大及び折り畳みを安定させる効果をより優れたものに向上させることができる。なお、本発明の第1連結片、第2連結片は第1挟持片、第2挟持片の片側だけに設けてもよい。前述の実施例は本発明を例示するものであって、本発明を限定するものではなく、本発明の精神に基づく同等の効果が得られる改変はすべて本発明の範囲に属する。