(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161899
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】調光可能な窓システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64C 1/14 20060101AFI20241113BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20241113BHJP
F21S 11/00 20060101ALI20241113BHJP
F21W 107/30 20180101ALN20241113BHJP
【FI】
B64C1/14
E06B9/24 C
F21S11/00 310
F21W107:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074710
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】18/314,021
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュース, ジェフリー リン
(72)【発明者】
【氏名】アダムス, スコット アラン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, エドワード ライアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】データ配線及び電力システムを必要としない調光可能な窓システムを提供する。
【解決手段】調光可能な窓システムは、第1の表面及び対向する第2の表面を有する窓構造であり、窓構造の第2の表面に動作可能に連結された電子フィルム構成要素を備える。電気フィルム構成要素は、複数の異なる状態の間で変化するように制御される。電源が、電気フィルム構成要素に電力を供給して、電気フィルム構成要素を複数の異なる状態の間で変化させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓システム(200)であって、
第1の表面(214)及び対向する第2の表面(216)を含む、窓構造(202)と、
前記窓構造(202)の前記第2の表面(216)に動作可能に連結された電気フィルム構成要素(204)であって、複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するよう制御されるように構成された、電気フィルム構成要素(204)と、
前記電気フィルム構成要素(204)を前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化させるために、前記電気フィルム構成要素(204)に電力を提供するように構成された、電源(220)と
を備える、窓システム(200)。
【請求項2】
前記電源(220)が、一又は複数のソースから電力を受け取るように構成され、前記電源(220)が、前記一又は複数のソースから受け取った前記電力のうちの少なくとも幾らかを蓄えるように構成されている、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項3】
前記電気フィルム構成要素(204)が、前記窓構造(202)の透明性のレベルを制御するために、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するように構成されている、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項4】
前記電気フィルム構成要素(204)の前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)が、不透明な状態(760)、透明な状態(720)、複数の部分的に不透明な状態(730、740、750)、及び複数の部分的に透明な状態(730、740、750)を含む、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項5】
前記電気フィルム構成要素(204)がセンサを含み、前記電気フィルム構成要素(204)が、前記センサによる、前記窓構造(202)の前記第1の表面(214)に近接した熱エネルギーの検出に応答して、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するように構成されている、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項6】
前記電気フィルム構成要素(204)が、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するよう無線で制御されるように構成されている、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項7】
前記電気フィルム構成要素(804)が、複数の異なる領域(810、812)を含み、前記複数の異なる領域(810、812)のそれぞれが、前記複数の異なる状態(820、830、840、850、860)の間で変化するよう独立して制御されるように構成されている、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項8】
前記窓構造(202)が、第1の窓構造(202A)であり、前記電気フィルム構成要素(204)が、第1の電気フィルム構成要素(204A)であり、前記窓システム(200)が、
第1の表面(214)及び対向する第2の表面(216)を含む、第2の窓構造(202B)と、
前記第2の窓構造(202B)の前記第2の表面(216)に動作可能に連結された第2の電気フィルム構成要素(204B)と
を更に備え、前記第1の電気フィルム構成要素(204A)及び前記第2の電気フィルム構成要素(204B)が、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するよう無線で制御されるように構成されている、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項9】
前記電源(520)が、前記第1の電気フィルム構成要素(504A)及び前記第2の電気フィルム構成要素(504B)に動作可能に連結され、前記第1の電気フィルム構成要素(504A)と前記第2の電気フィルム構成要素(504B)の両方に電力を提供するように構成されている、請求項8に記載の窓システム(500)。
【請求項10】
前記電源(220)が、前記第1の電気フィルム構成要素(204A)に動作可能に連結された第1の電源(220A)であり、前記第2の電気フィルム構成要素(204B)に動作可能に連結された第2の電源(220B)であって、前記第2の電気フィルム構成要素を前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化させるために、前記第2の電気フィルム構成要素(204B)に電力を提供するように構成された、第2の電源(220B)を更に備える、請求項8に記載の窓システム(400)。
【請求項11】
前記電気フィルム構成要素(204)が、可撓性構造である、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項12】
前記窓構造(202)が、内部窓(902)又は外部窓(202)のうちの一方又は両方である、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項13】
前記窓構造(202)が、既存の窓構造(202)であり、前記電気フィルム構成要素(204)が、前記既存の窓構造(202)に据え付けられるように構成されている、請求項1に記載の窓システム(200)。
【請求項14】
方法であって、
電気フィルム構成要素(204)の状態を、複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化させることであって、前記電気フィルム構成要素(204)が、窓構造(202)の第1の表面(214)に動作可能に連結されるように構成され、前記電気フィルム構成要素(204)が、前記電気フィルム構成要素(204)の前記状態を、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化させるために、電源(220)から電力を受け取るように構成される、電気フィルム構成要素(204)の状態を変化させることを含む、方法。
【請求項15】
前記電気フィルム構成要素(204)の前記状態を、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で無線で変化させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電気フィルム構成要素(204)の前記状態を、前記窓構造(202)に近接した熱エネルギーを検出することによって変化させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記電気フィルム構成要素(804)が、複数の異なる領域(810、812)を含み、前記複数の異なる状態(820、830、840、850、860)の間で変化させるために前記複数の異なる領域(810、812)のそれぞれを独立して制御することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
航空機システム(100)であって、
内部キャビン(130)と、
前記内部キャビン(130)の機内側の壁又は翼端側の壁(132)のうちの一方又は両方内に形成された、複数の窓構造(202)と、
前記複数の窓構造(202)のうちの一又は複数に動作可能に連結された一又は複数の電気フィルム構成要素(204)であって、複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するよう制御されるように構成された、一又は複数の電気フィルム構成要素(204)と、
前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化させるために、前記一又は複数の電気フィルム構成要素(204)に電力を提供するように構成された、一又は複数の電源(220)と
を備え、前記一又は複数の電気フィルム構成要素(204)のうちの少なくとも1つが、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するよう、無線で制御されるように構成されている、航空機システム(100)。
【請求項19】
2つ以上の電気フィルム構成要素(204A、204B)を更に備え、前記2つ以上の電気フィルム構成要素(204A、204B)のうちの少なくとも2つが、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で同時に変化するよう無線で制御されるように構成されている、請求項18に記載の航空機システム(100)。
【請求項20】
前記一又は複数の電気フィルム構成要素(204)がセンサを含み、前記電気フィルム構成要素(204)のうちの前記一又は複数が、前記センサによる、前記一又は複数の電気フィルム構成要素(204)の対応する前記窓構造(202)に近接した熱エネルギーの検出に応答して、前記複数の異なる状態(720、730、740、750、760)の間で変化するようにも構成されている、請求項18に記載の航空機システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施例は、概して、窓の透明性のレベルを制御する窓システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]複数の窓の日よけを手動で開閉することは、時間のかかる仕事である。一例として、航空機の窓システムは、開位置と閉位置との間で手動で移動され得る窓の日よけを含む。日よけは、航空機が静止していて乗客を乗降させる間、航空機の内部キャビンの温度を制御するために、閉位置に移動され得る。あるいは、日よけは、航空機が動作している間、乗客が座席に近接した窓を通して眺めることができるようにするためなど、開位置に移動され得る。別の例として、講堂は、会衆エリアから座席エリアを分離する複数の窓又は窓構造を含み得る。時には、窓構造は、映画若しくは絵画、又はショーのパフォーマンスを鑑賞するためなど、薄暗くされる必要がある場合があり、また他の時には、日光を入れるためなど、透明である必要がある場合がある。
【0003】
[0003]新型の航空機システムの生産には電気的調光可能な窓システムが含まれており、乗客、パイロット、及びフライトアテンダントが、全ての日よけを開位置と閉位置との間で手動で移動させる必要なしに、窓を通して可視性のレベルを電気的に制御できるようになっている。幾つかの用途では、電気的調光可能な窓システムは、窓のダストカバー(例えば、窓システムの最も内部の構造)と構造的な窓システム(例えば、窓システムの最も外部の構造)との間に配置された電気パネルを含み得る。電気パネルは、航空機の内部キャビンの翼端側の壁に連結された乗客インターフェーススイッチと電気的に連結される。乗客は、乗客インターフェーススイッチを手動で動作させて、電気パネルの透明性のレベルを制御することができる。
【0004】
[0004]電気パネルはまた、電源、及び航空機の回路基板と電気的に連結される。例えば、ワイヤが各調光可能な窓システムの各電気パネルを航空機キャビン制御システムと電気的に連結し、更なるワイヤ、ワイヤハーネス、複数のコントローラ等を必要とする。複数の窓を含む航空機システムについては、更なるワイヤ及びワイヤハーネスは、航空機全体に更なる重量を加え、それにより、航空機システムの効率性に影響を及ぼす。更に、電気的調光可能な窓システムは、各電気パネルを航空機回路基板と電気的に連結する追加のワイヤのため、既存の航空機システムに据え付けることができない場合がある。既存の航空機システムは、電気パネルを航空機制御システムに連結する必要のある追加のワイヤを走らせる利用可能な空間を有しない可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005]データ配線及び電力システムを必要としない調光可能な窓システムのシステム及び方法が必要とされている。更に、無線で制御され得る調光可能な窓システム及び方法が必要とされている。
【0006】
[0006]これらの必要性を考慮して、本開示の特定の実施例は、窓構造、及び該窓構造に動作可能に連結された電気フィルム構成要素を含む、航空機システムの窓システムを提供する。電気フィルム構成要素は、複数の異なる状態の間で変化し得る。電源が、電気フィルム構成要素に電力を提供して、電気フィルム構成要素を複数の異なる状態の間で変化させ得る。一又は複数の実施例では、電気フィルム構成要素は、複数の異なる状態の間で変化して、窓構造の透明性のレベルを制御し得る。一又は複数の実施例では、電気フィルム構成要素は、窓構造に連結され得る可撓性構造であり得る。
【0007】
[0007]少なくとも1つの実施例では、電源は一又は複数のソースから電力を受け取り、電源は、一又は複数のソースから受け取った電力の少なくとも幾らかを蓄え得る。少なくとも1つの実施例では、電源は、電力ハーベスタであり得、及び/又はこれを含み得、これは、ハーベスト熱エネルギー、太陽光発電エネルギー、RFエネルギー、又は航空機システム搭載のソースなどの他のソースのエネルギーであり得る。少なくとも1つの実施例では、電源によって受け取られ、蓄えられたエネルギーは、搭載されたコンデンサ、バッテリなどに蓄えられ得る。
【0008】
[0008]少なくとも1つの実施例では、電気フィルム構成要素はセンサを含み、電気フィルム構成要素は、センサによる、窓構造に近接した熱エネルギーの検出に応答して、複数の異なる状態の間で変化し得る。別の実施例では、電気フィルム構成要素に、容量性のタッチセンサを組み込んでもよく、電気フィルム構成要素の状態は、タッチセンサによる、乗客からのタッチの検出に応答して、変化し得る。
【0009】
[0009]少なくとも1つの実施例では、電気フィルム構成要素の状態は、無線制御によって制御される。例えば、電気フィルム構成要素は、航空機無線制御システムなどを介して、乗客スマートホン、タブレットによる無線制御について、無線プロトコル(例えば、近距離無線通信、ブルートゥース等)を使用し得る。一実施例では、フライトアテンダントは、電気フィルム構成要素のうちの2つ以上を無線で制御して、乗客が航空機システムから離れている間など、透明な状態から不透明な状態へ変化させ得る。別の実施例では、パイロットが複数の電気フィルム構成要素を無線で制御して、緊急の場合など、透明な状態へ変化させ得る。
【0010】
[0010]少なくとも1つの実施例では、電気フィルム構成要素は異なる領域を含み、異なる領域のそれぞれは、透明性の複数の異なる状態の間で変化するように制御され得る。例えば、第1の部分は不透明な状態に変化するように制御され得(例えば、太陽が輝いている領域など)、第2の部分は透明な状態に変化するように制御され得る(例えば、太陽が輝いておらず、乗客が航空機の外側を眺められるようにするためなど)。別の実施例では、電気フィルム構成要素は、キャビンの仕切り(例えば、航空機の座席の2つの区域の間)に配置された内部窓などの、航空機の内部窓に連結され得る。フライトアテンダントは、航空機が移動し始める前(例えば、乗客が搭乗する、降りる間、フライト指示が通信している間など)、電気フィルム構成要素の状態を透明な状態へ変化させ得る。あるいは、フライトアテンダントは、航空機が航行している間、乗客の2つのクラスの間のプライバシーを提供するためなど、電気フィルム構成要素の状態を不透明な状態へ変化させ得る。
【0011】
[0011]本開示の特定の実施例は、電気フィルム構成要素の状態を複数の異なる状態の間で変化させることを含む方法を提供する。電気フィルム構成要素は、窓構造の第1の表面に動作可能に連結される。電気フィルム構成要素は、電源から電力を受け取って、電気フィルム構成要素の状態を複数の異なる状態の間で変化させる。少なくとも1つの実施例では、電気フィルム構成要素の状態は、複数の異なる状態の間で無線で変化し得る。少なくとも1つの実施例では、電気フィルム構成要素は、複数の異なる領域を含み、異なる領域の状態は、複数の異なる状態の間で変化するように独立して制御され得る。
【0012】
[0012]本開示の特定の実施例は、内部キャビン、内部キャビンの一又は複数の機内側の壁又は翼端側の壁内に形成された複数の窓構造、複数の窓構造のうちの一又は複数に動作可能に連結された一又は複数の電気フィルム構成要素、及び一又は複数の電気フィルム構成要素に電力を提供して、複数の異なる状態の間で変化させるように構成された一又は複数の電源を含む、航空機システムを提供する。一又は複数の電気フィルム構成要素のうちの少なくとも1つは、複数の異なる状態の間で変化するように無線で制御され得る。少なくとも1つの実施例では、航空機システムは、2つ以上の電気フィルム構成要素を含み、2つ以上の電気フィルム構成要素のうちの少なくとも2つは、複数の異なる状態の間で同時に変化するように無線で制御され得る。少なくとも1つの実施例では、電気フィルム構成要素のうちの一又は複数はセンサを含み、一又は複数の電気フィルム構成要素は、センサによる、一又は複数の電気フィルム構成要素の対応する窓構造に近接した熱エネルギーの検出に応答して、変化もし得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]本開示の一実施例に係る、航空機の正面斜視図である。
【
図2】[0014]本開示の一実施例に係る、
図1に示された航空機の内部キャビンの内部斜視図である。
【
図3】[0015]本開示の一実施例に係る、
図1に示された航空機の窓システムの断面側面図である。
【
図4】[0016]本開示の一実施例に係る、航空機の窓システムである。
【
図5】[0017]本開示の一実施例に係る、航空機の複数の窓システムである。
【
図6】[0018]本開示の一実施例に係る、航空機の複数の窓システムである。
【
図7】[0019]本開示の一実施例に係る、窓システムの電気フィルム構成要素の複数の異なる状態である。
【
図8】[0020]本開示の一実施例に係る、窓システムの電気フィルム構成要素の複数の異なる状態である。
【
図9】[0021]本開示の一実施例に係る、航空機の内部キャビンの内部斜視図である。
【
図10】[0022]本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0023]上記の概要、並びに特定の実施例の以下の詳細な記載は、添付の図面と併せて読むことによってより良く理解されるであろう。本明細書において、単数形で、及び、「1つの(「a」又は「an」)」という語の後に記載される要素又はステップは、複数のかかる要素又はステップを必ずしも除外しないと理解すべきである。なお、「一実施例」に言及する際には、同様に本明細書に記載の特徴が組み込まれている、更なる実施例の存在が除外されるという解釈は意図していない。更に、特定の条件を有する一又は複数の要素を「含む・備える(comprising)」又は「有する(having)」実施例は、そうではないと明示的に述べられていない限り、かかる条件を有しない追加の要素を含み得る。
【0015】
[0024]少なくとも1つの実施例では、調光可能な窓システム及び方法が、窓構造、及び窓構造に動作可能に連結された電気フィルム構成要素を含む。電気フィルム構成要素は、複数の異なる状態の間で変化するように構成される。電源が、電気フィルム構成要素に動作可能に連結され、電気フィルム構成要素に電力を提供して、電気フィルム構成要素の状態を複数の異なる状態の間で変化させる。対象となる開示の実施例は、調光可能な窓システムが、無線で制御されて、窓システムの透明性のレベルを変化させることを可能にするシステム及び方法を提供する。例えば、オペレータは、複数の窓システムを無線で制御して、不透明な状態又は透明な状態へ変化させることができる。開示された主題のシステム及び方法は、無線で制御されて、調光可能な窓システムの窓の透明性のレベルを変化させることができる改良型の調光可能な窓システムを効果的に提供する。
【0016】
[0025]本明細書に図示及び記載された実施形態は、航空機システムと関連付けられるが、調光可能な窓システム及び方法は、代替的な輸送システム(例えば、バス、列車など)に含まれ得る。別の実施例として、本明細書に記載の調光可能な窓システム及び方法は、非輸送システム(例えば、複数の窓を有する建物)に含まれ得る。
【0017】
[0026]
図1は、本開示の一実施例による、航空機100の正面斜視図を示す。航空機100は、例えばエンジン114を含む推進システム112を含む。任意選択的に、推進システム112は、図示されるより多くのエンジン114を含み得る。エンジン114は、航空機100の翼116によって担持される。他の実施例では、エンジン114は、胴体118及び/又は尾部120によって担持され得る。尾部120は、水平安定板122及び垂直安定板124も支持し得る。航空機100の胴体118は内部キャビン130を画定し、該キャビンは、フライトデッキ、又はコックピット、一又は複数の作業区域(例えば、ギャレー、乗務員の手荷物エリアなど)、一又は複数の乗客区域(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス、及びコーチ区域)、一又は複数の化粧室などを含む。
図1は、航空機100の一例を示す。航空機100は、
図1に示すものとは異なるように寸法設定され、形作られ、及び構成され得る。
【0018】
[0027]
図2は、本開示の一実施例による、航空機の内部キャビン130の内部斜視図を示す。内部キャビン130は、翼端側の壁132及び天井134を含む。翼端側の壁132に窓136が形成され得る。フロア138が座席140の列を支持する。
図2に示すように、列142は、通路143のどちら側にも3つの座席140を含み得る。しかし、列142は、図示しているよりも多数又は少数の座席140を含み得る。更に、内部キャビン130は、図示しているよりも多くの通路を含み得る。
【0019】
[0028]本明細書において、「翼端側(outboard)」という用語は、別の構成要素と比較して、内部キャビン130の中央縦断面150から離れた位置を意味する。「機内側(inboard)」という用語は、別の構成要素と比較して、内部キャビン130の中央縦断面150に近い位置を意味する。
【0020】
[0029]
図3は、本開示の一実施例による、航空機100の窓システム200の断面図を示す。窓システムは、内部キャビンの翼端側の壁132内に配置され、翼端側の壁と胴体118の表面との間に延在する。窓システムは、内部窓210及び外部窓212を含む窓136を含む。内部窓と外部窓の両方は、上方内部構造206に動作可能に連結された上端と、下方内部構造208に動作可能に連結された下端との間に延在する。
【0021】
[0030]窓システムはまた、第1の端部で上方内部構造206と、第2の端部で下方内部構造208と連結された窓構造202を含む。窓構造は、航空機の内部キャビン130の方を向く第1の表面214と、内部キャビンから離れる方を向く対向する第2の表面216とを含む。一又は複数の実施例では、窓システムは、垂直方向222に日よけ218を移動させることにより、開位置と閉位置との間で移動され得る日よけ218を含み得る。任意選択的に、航空機の一又は複数の窓システムは、日よけを含まない場合がある。
【0022】
[0031]窓システムは、窓構造202と動作可能に連結された電気フィルム構成要素204を含む。示された実施例では、電気フィルム構成要素204は、窓構造202の第2の表面216に連結されるが、他の実施例では、電気フィルム構成要素204は、窓構造202の第1の表面に連結され得る。一又は複数の実施例では、窓システムは、2つ以上の異なる電気フィルム構成要素を含み得、電気フィルム構成要素204のうちの一又は複数は、窓構造202の第1の表面214に連結され得、電気フィルム構成要素204のうちの一又は複数は、窓構造202の第2の表面216に連結され得る。
【0023】
[0032]一又は複数の実施例では、電気フィルム構成要素204は基膜層を含むフィルムアセンブリ(図示せず)であってもよく、基膜材料の一又は複数の側面上に導電性インク又は電気インクがプリントされる。例えば、電気インクは、一又は複数の荷電された分子を含み得る。電気インクは、パターン化された配置で、ランダムな配置で、又はその中の任意の組み合わせで、基膜層上にプリントされ得る。電気フィルム構成要素のためのパターン化された配置及び/又はランダムな配置は、電気フィルム構成要素のエンドユースに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。例えば、導電性のインクのプリントは、窓の場所(例えば、航空機の場所)に基づき、航空機のタイプに基づき、政府の規制又は要求などに基づき、特定され得る。
【0024】
[0033]一又は複数の実施例では、電気フィルム構成要素204は、可撓性構造又は可撓性構成要素であり得る。例えば、電気フィルム構成要素204は、電気フィルム構成要素204が連結される表面(例えば、窓構造202の第1の表面214又は第2の表面216など)の形状に形成するように曲がり得る又は撓み得る。電気フィルム構成要素204は、フィルムアセンブリの接着層(例えば、透き通った又は透明な接着剤)、一又は複数の接着構成要素(例えば、接着細片、接着ドットなど)のパターン化された配置及び/又はランダムな配置などを介して窓構造の表面のうちの1つに連結され得る。
【0025】
[0034]一又は複数の実施例では、電気インク分子の配置は、変化し得、又は分子は、電場、熱電界などの影響下でフィルム上の異なる場所に移動し得る。例えば、電気フィルム構成要素204は、電気泳動構成要素、熱変色性構成要素、エレクトロクロミック構成要素などと称され得る。
【0026】
[0035]電気インクの分子は、移動して、電気フィルム構成要素204の状態を複数の異なる状態の間で変化させるように制御され得る。例えば、電気フィルム構成要素204は、透明な状態にあり得、窓構造を通した可視性を可能にする。あるいは、電気フィルム構成要素204は、不透明な状態にあり得、窓構造を通した可視性を少なくとも部分的に妨げる。任意選択的に、電気フィルム構成要素204は、一又は複数の部分的に不透明な状態又は部分的に透明な状態に(例えば、透明な状態と不透明な状態との間の可視性の一又は複数の勾配レベルで)あり得る。別の実施例では、電気フィルム構成要素上に配置された電気インクは、パターン化された配置及び/又はランダムな配置の状態を変化させ得る。例えば、電気インクは、まだら状又は点状のパターン配置でフィルム上に配置され得、まだら又は点は、不透明な状態と透明な状態との間で変化して、窓構造202を通した可視性のレベルを制御し得る。別の実施例では、電気インクは、複数の線の配置でフィルム上に配置され得、複数の線は、不透明な状態と透明な状態との間で変化し得る。別の実施例では、電気インクはインクに色調を有することがあり、電気フィルム構成要素の状態を変化させることは、電気インクが透明な状態から色付きの不透明な状態に変化すること、電気インクが第1の色付きの不透明な状態から異なる、第2の色付きの不透明な状態に変化することなどを含み得る。
【0027】
[0036]電気フィルム構成要素204は、透明、不透明、又はその間の部分的な透明性のレベルで調光可能な構成要素であり得、窓構造を通して透明性のレベルを制御することができる。例えば、窓システム200は、電気フィルム構成要素204の状態を複数の異なる状態の間で変化させることによる、調光可能な窓システムである。
【0028】
[0037]一又は複数の実施例では、電気インクは、電気フィルム構成要素204の状態が、乗客が窓構造202の第1の表面214を触れることにより、航空機の乗客によって制御され得るように、一又は複数の容量性のタッチセンサ(図示せず)であり得る及び/又はこれらを含み得る。例えば、電気インクの状態は、乗客による接触又は圧力の検出、乗客からの熱エネルギーの検出などに応答して、制御され得る。
【0029】
[0038]一又は複数の実施例では、電気インクの状態は、一又は複数の無線プロトコル(例えば、近距離無線通信、ブルートゥースなど)によって、無線で制御され得る。例えば、オペレータは、スマートホン、タブレット、代わりのコンピュータデバイスなどを使用することによって、電気フィルム構成要素204の状態を無線で制御し得る。一又は複数の実施例では、オペレータは、処理システム(例えば、航空機の座席のヘッドレスト内に配置され得るグラフィカルユーザインターフェースを有する対話型ディスプレイ)への入力を制御することによって、一又は複数の電気フィルム構成要素204の状態を制御し得る。一実施例では、航空機は、複数の電気フィルム構成要素を含む複数の窓システムを含み得る。オペレータ(例えば、フライトアテンダント、パイロット又は副操縦士など)は、無線機能(例えば、スマートホン、タブレット、乗客娯楽システム、航空機無線制御システム等)を有するデバイスへの一又は複数の入力を行うことによって、複数の電気フィルム構成要素204のうちの一又は複数の状態を実質的に同時に制御し得る。例えば、フライトアテンダントは、内部キャビンの温度を制御するため、航空機の乗客に対して可視性を提供するため(例えば、緊急着陸の場合)など、一又は複数の電気フィルム構成要素の状態を変化させるために、無線デバイスに単一の入力を行い得る。別の実施例では、フライトアテンダントは、電気フィルム構成要素の第1のグループの状態を変化させ得、電気フィルム構成要素の第2のグループの状態を変化させない場合がある。
【0030】
[0039]窓システム200はまた、電気フィルム構成要素204に電気的に連結された電源220を含む。一又は複数の実施例では、電源220は、一又は複数のワイヤ又は導管、電気フィルム構成要素204に直接的及び/又は間接的に連結された一又は複数の電気接触などを介して、電気フィルム構成要素204に電気的に連結され得る。電源220は、電気フィルム構成要素204に電力を提供して、電気信号の検出に応答して、電気フィルム構成要素204の状態を複数の異なる状態の間で変化させ得る。例えば、電源220は、電気フィルム構成要素204の状態を変化させるためだけに、電気フィルム構成要素204に電力を提供し得、電源220は、電気フィルム構成要素204の状態が変化する必要がない及び/又は変化していないときに、電気フィルム構成要素204に電力を提供しない場合がある。例えば、電源220は、電気フィルム構成要素204に、断続的な電力を提供し得、連続的な電力を提供しない場合がある。
【0031】
[0040]一又は複数の実施例では、電源220は、電池、スーパーキャパシタ、又はエネルギーを蓄えることができる代わりのデバイスであり得る。一又は複数の実施例では、電源220は、一又は複数のソース(例えば、航空機搭載のソース、航空機に近接したソース等)から電力を集める及び/又は受け取る可能性のある、一又は複数のエネルギー電力ハーベスタデバイスを含む及び/又はこれらに連結され得る。例えば、エネルギーは、熱エネルギー、振動性の、太陽光発電パネル(透明又は不透明な)、無線周波数(RF)などであり得る。一実施例では、航空機は、太陽電力を収集し得る、電源に提供され得る、胴体の外面に動作可能に連結された一又は複数の太陽光発電パネルを含み得る。電源220は、一又は複数のソースから受け取られた電力の少なくとも幾らかを蓄え得、蓄えられた電力を電気フィルム構成要素204に供給し得る。
【0032】
[0041]一又は複数の実施例では、窓システム200(例えば、窓構造202、電気フィルム構成要素204、及び電源220を含む)は、新型の航空機に設計及び内蔵され得る新型の窓システムであり得る。別の実施例として、窓システム200の一又は複数の構成要素は、既存の航空機に据え付けられ得る。例えば、窓構造は既存の窓構造であり得、電気フィルム構成要素及び電源は、既存の窓構造に据え付けられ得る。別の実施例として、航空機は電気フィルム構成要素を含み得るが、電気フィルム構成要素を新しい電気フィルム構成要素と取り替える必要がある場合がある。例えば、既存の電気フィルム構成要素が損傷しており、インクの電気分子が正しく移動しない場合があるなどである。
【0033】
[0042]
図4は、本開示の実施例による、航空機の翼端側の壁132に配置された複数の窓システム200A~Dを含む航空機システム400を示す。窓システム200A~Dのそれぞれは、窓構造(例えば、窓構造202A~D)及び電気フィルム構成要素(例えば、電気フィルム構成要素204A~D)を含む。各窓システムはまた、電源(例えば、電源220A~D)を含む。例えば、第1の電源220Aは、第1のワイヤ224Aを介して、第1の窓構造202Aの表面に連結された第1の電気フィルム構成要素204Aに電気的に連結される。第2の電源220Bは、第2のワイヤ224Bを介して、第2の窓構造202Bの表面に連結された第2の電気フィルム構成要素204Bに電気的に連結される。第3の電源220Cは、第3のワイヤ224Cを介して、第3の窓構造202Cの表面に連結された第3の電気フィルム構成要素204Cに電気的に連結される。及び、第4の電源220Dは、第4のワイヤ224Dを介して、第4の窓構造202Dの表面に連結された第4の電気フィルム構成要素204Dに電気的に連結される。電源220A~Dのそれぞれは、エネルギーを蓄え得、蓄えられたエネルギーを対応する電気フィルム構成要素204A~Dに提供して、電気フィルム構成要素204A~Dの状態を、複数の異なる状態の間で変化させ得る。
【0034】
[0043]
図5は、本開示の別の実施例による、窓システム500を示す。窓システム500は、航空機の翼端側の壁132に配置された複数の窓構造502A~D、及び対応する窓構造502A~Dに動作可能に連結された複数の電気フィルム構成要素504A~Dを含む。窓システム500は、一又は複数のワイヤ524を介して、電気フィルム構成要素504A~Dのそれぞれに動作可能に連結された電源520を含む。例えば、電源520は、第1の電気フィルム構成要素504A、第2の電気フィルム構成要素504B、第3の電気フィルム構成要素504C、及び第4の電気フィルム構成要素504Dに動作可能に連結される。電源520は、電気フィルム構成要素504~Dのそれぞれに電力を提供する。一又は複数の実施例では、窓システム500は、異なる電気フィルム構成要素のそれぞれに提供される電力の量を制御し得る一又は複数の電力制御デバイス(図示せず)を含み得る。任意選択的に、電源520は、複数の異なる電動蓄電池を含み得る。例えば、電源520は、電源が電力を提供することができる幾つかの電気フィルム構成要素に対応する幾つかの電動蓄電池を含み得る。示された実施例では、窓システム500は、4つの窓構造を含む。一又は複数の実施例では、単一の電源は、任意の数の電気フィルム構成要素に電力を提供するように設定され得る。
【0035】
[0044]
図6は、本開示の別の実施例による、窓システム600を示す。窓システム600は、航空機の翼端側の壁132に配置された複数の窓構造602A~D、及び対応する窓構造602A~Dに動作可能に連結された電気フィルム構成要素604A~Dを含む。窓システム600は、一又は複数のワイヤ624を介して、電気フィルム構成要素604A~Dのそれぞれに電気的に連結された電源620を含む。一又は複数の実施例では、電源620は、航空機100の制御システム(図示せず)と関連付けられ得る。例えば、電源620はまた、航空機の一又は複数のシステム及び/又は電気デバイスに電力を提供し得る。
【0036】
[0045]
図7は、本開示の一実施例による、窓システムの電気フィルム構成要素704A~Eの複数の異なる状態を示す。電気フィルム構成要素704A~Eのそれぞれは、対応する窓構造702A~Eの第1の表面又は第2の表面に動作可能に連結される。窓システムはまた、電気フィルム構成要素704A~Eの一又は複数に電気的に連結され得る一又は複数の電源(図示せず)を含む。電気フィルム構成要素704A~Eのそれぞれの状態は、無線デバイス710(例えば、スマートホン、タブレット、乗客娯楽システム、航空機制御システムなど)によって無線でなど、電気的及び/又は熱的制御によって、オペレータの指712などから、熱エネルギーの検出及び/又は圧力若しくは接触の検出によって、変化し得る。
【0037】
[0046]示された実施例では、第1の電気フィルム構成要素704Aは透明な状態720であり、第5の電気フィルム構成要素704Eは不透明な状態760である。例えば、人は第1の窓構造702Aを通して眺めることができる可能性があるが、人は第5の窓構造702Eを通して眺めることはできない可能性がある。第2、第3、及び第4の電気フィルム構成要素は、複数の異なる部分的な状態730、740、750(例えば、部分的に不透明な状態及び/又は部分的に透明な状態)にあるように制御される。例えば、第2の部分的な状態730は、透明な状態720よりもより不透明であるが、第3の部分的な状態740よりは不透明ではない。同様に、第4の部分的な状態750は、第3の部分的な状態740よりもより不透明であるが、不透明な状態760よりは不透明ではない。異なる電気フィルム構成要素704A~Eのそれぞれは、複数の異なる状態の1つにあるように独立して制御され得る。別の実施例では、電気フィルム構成要素704A~Eの2つ以上は、パイロット及び/又はフライトアテンダントによって電気フィルム構成要素704A~Eの2つ以上の状態が制御されるように、複数の異なる状態のうちの1つにあるように、実質的に同時に制御され得る。
【0038】
[0047]
図8は、本開示の一実施例による、窓システムの電気フィルム構成要素804A~Eの複数の異なる状態を示す。示された実施例では、電気フィルム構成要素804A~Eのそれぞれは、対応する窓構造802A~Eの表面に動作可能に連結される。各電気フィルム構成要素804A~Eは、上方領域810と、上方領域810によって、軸814によって分離される下方領域812とを含む。任意選択的に、電気フィルム構成要素のうちの一又は複数は、2つ以上の異なる領域を含み得、2つ以上の異なる領域は、実質的に類似のエリアを有し得、又は異なるサイズ及び/若しくは異なるエリアを有し得、又は任意の代わりの配置を有し得る。
【0039】
[0048]各電気フィルム構成要素804A~Eの上方領域810は、同じ電気フィルム構成要素804A~Eの下方領域812の複数の異なる状態の間で独立して変化するように制御され得る。例えば、第1の電気フィルム構成要素804Aの上方領域810は、透明な状態820にあり、第1の電気フィルム構成要素804Aの下方領域812は、同じ透明な状態820にある。第2の電気フィルム構成要素804Bの上方領域810は透明な状態820にあり、第2の電気フィルム構成要素804Bの下方領域812は第2の部分的な状態830にある。第3の電気フィルム構成要素804Cの上方領域810は透明な状態820にあり、第3の電気フィルム構成要素804Cの下方領域812は第3の部分的な状態840にある。第4の電気フィルム構成要素804Dの上方領域810は透明な状態820にあり、第4の電気フィルム構成要素804Dの下方領域812は第4の部分的な状態850にある。第5の電気フィルム構成要素804Eの上方領域810は透明な状態820にあり、第5の電気フィルム構成要素804Eの下方領域812は不透明な状態860にある。
【0040】
[0049]一又は複数の実施例では、窓構造は、外部窓(例えば、航空機の翼端側の壁に連結された)であってもよいし、内部窓であってもよい。例えば、
図9及び10は、本開示の一実施例による、航空機の内部キャビン130の内部斜視図を示す。内部キャビン130は、航空機の異なる区域を分離する仕切りシステム900(例えば、第1区域(例えば、ファーストクラス又はビジネスクラス区域)を第2区域(例えば、エコノミー区域)から分離する)を含む。一般に、仕切りシステム900は、クラス仕切りアセンブリを提供する。仕切りアセンブリ900は、通路914が通過する廊下903によって分離される一対の対向する垂直壁906及び908を含む。例えば、通路914は、内部キャビン130の複数の座席919を分離する。
【0041】
[0050]垂直壁906、908のそれぞれは、一又は複数の内部窓構造902A~D、及び対応する窓構造902A~Dに連結された一又は複数の電気フィルム構成要素904A~Dを含む。例えば、垂直壁906は、第1の窓構造902Aの表面に連結された第1の電気フィルム構成要素904Aを有する第1の窓構造902A、及び第2の窓構造902Bの表面に連結された第2の電気フィルム構成要素904Bを有する第2の窓構造902Bを含む。垂直壁908は、第3の窓構造902Cの表面に連結された第3の電気フィルム構成要素904Cを有する第3の窓構造902C、及び第4の窓構造902Dの表面に連結された第4の電気フィルム構成要素904Dを有する第4の窓構造902Dを含む。別の実施例では、垂直壁906は、一又は複数の電気フィルム構成要素が動作可能に連結された状態で、単一の窓構造を含み得、及び/又は垂直壁908は、一又は複数の電気フィルム構成要素が動作可能に連結された状態で、単一の窓構造を含み得る。
【0042】
[0051]窓システムは、電気フィルム構成要素に電力を提供し得る一又は複数の電源(図示せず)を含み得る。一実施例として、第1の電源は、電力を蓄え、第1の電気フィルム構成要素904A及び第2の電気フィルム構成要素904Bに電力を提供し得、第2の電源は、電力を蓄え、第3の電気フィルム構成要素904C及び第4の電気フィルム構成要素904Dに電力を提供し得る。代替的な実施形態では、電気フィルム構成要素904A~Dは、別の配置の一又は複数の電源から電力を受け取り得る。
【0043】
[0052]
図9に示された、示された実施例では、第1の電気フィルム構成要素904Aは、部分的に不透明な状態940にあり、第2の電気フィルム構成要素904Bは、不透明な状態960にあり、第3の電気フィルム構成要素904Cは、透明な状態920にあり、第4の電気フィルム構成要素904Dは、不透明な状態960にある。
図10に示された、示された実施形態では、電気フィルム構成要素904A~Dの全ては不透明な状態960に変化する。異なる電気フィルム構成要素の状態は、航空機のパイロットによって、フライトアテンダントによって、又は他の個人によってなど、無線で制御され得る。一又は複数の実施形態では、フライトアテンダントは、スマートホン、タブレット、又は他の処理システムを使用して、電気フィルム構成要素のうちの一又は複数の状態を無線で制御し得る。
【0044】
[0053]一又は複数の実施例では、電気フィルム構成要素は、電気フィルム構成要素上にプリントされた情報の透明性のレベルを変化させるようにプリント及び/又は配置され得る。例えば、電気フィルム構成要素は、代わりの構造に動作可能に連結され得、電気フィルム構成要素の状態は、情報を表示及び/又は隠すように変化し得る。
図9及び10に示された、示された実施例では、内部キャビン130はまた、電気フィルム構成要素918を含む情報サイン916を含む。電気フィルム構成要素は、不透明な状態、透明な状態、複数の部分的に不透明及び/又は部分的に透明な状態の間で変化し得る。
図9に示された、示された実施例では、電気フィルム構成要素918は不透明な状態960にあり、航空機に搭乗した乗客によって眺められることが可能である。あるいは、
図10に示された、示された実施例では、電気フィルム構成要素918は、部分的に透明な状態930にある。電気フィルム構成要素918の状態は、パイロットによって、フライトアテンダントによってなど、無線で制御され得る。
【0045】
[0054]更に、本開示は以下の条項に係る実施例を含む。
【0046】
[0055]条項1.
窓システムであって、
[0056] 第1の表面及び対向する第2の表面を含む、窓構造と、
[0057] 前記窓構造の前記第2の表面に動作可能に連結された電気フィルム構成要素であって、複数の異なる状態の間で変化するよう制御されるように構成された、電気フィルム構成要素と、
[0058] 前記電気フィルム構成要素を前記複数の異なる状態の間で変化させるために、前記電気フィルム構成要素に電力を提供するように構成された、電源と
を備える、窓システム。
【0047】
[0059]条項2.
前記電源が、一又は複数のソースから電力を受け取るように構成され、前記電源が、前記一又は複数のソースから受け取った前記電力のうちの少なくとも幾らかを蓄えるように構成されている、条項1に記載の窓システム。
【0048】
[0060]条項3.
前記電気フィルム構成要素が、前記窓構造の透明性のレベルを制御するために、前記複数の異なる状態の間で変化するように構成されている、条項1又は2に記載の窓システム。
【0049】
[0061]条項4.
前記電気フィルム構成要素の前記複数の異なる状態が、不透明な状態、透明な状態、複数の部分的に不透明な状態、及び複数の部分的に透明な状態を含む、条項1から3のいずれか一項に記載の窓システム。
【0050】
[0062]条項5.
前記電気フィルム構成要素がセンサを含み、前記電気フィルム構成要素が、前記センサによる、前記窓構造の前記第1の表面に近接した熱エネルギーの検出に応答して、前記複数の異なる状態の間で変化するように構成されている、条項1から4のいずれか一項に記載の窓システム。
【0051】
[0063]条項6.
前記電気フィルム構成要素が、前記複数の異なる状態の間で変化するよう無線で制御されるように構成されている、条項1から5のいずれか一項に記載の窓システム。
【0052】
[0064]条項7.
前記電気フィルム構成要素が、異なる領域を含み、前記異なる領域のそれぞれが、前記複数の異なる状態の間で変化するよう独立して制御されるように構成されている、条項1から6のいずれか一項に記載の窓システム。
【0053】
[0065]条項8.
前記窓構造が、第1の窓構造であり、前記電気フィルム構成要素が、第1の電気フィルム構成要素であり、前記窓システムが、
[0066] 第1の表面及び対向する第2の表面を含む、第2の窓構造と、
[0067] 前記第2の窓構造の前記第2の表面に動作可能に連結された第2の電気フィルム構成要素と
を更に備え、
[0068]前記第1の電気フィルム構成要素及び前記第2の電気フィルム構成要素が、前記複数の異なる状態の間で変化するよう無線で制御されるように構成されている、条項1から7のいずれか一項に記載の窓システム。
【0054】
[0069]条項9.
前記電源が、前記第1の電気フィルム構成要素及び前記第2の電気フィルム構成要素に動作可能に連結され、前記第1の電気フィルム構成要素と前記第2の電気フィルム構成要素の両方に電力を提供するように構成されている、条項8に記載の窓システム。
【0055】
[0070]条項10.
前記電源が、前記第1の電気フィルム構成要素に動作可能に連結された第1の電源であり、前記第2の電気フィルム構成要素に動作可能に連結された第2の電源であって、前記第2の電気フィルム構成要素を前記複数の異なる状態の間で変化させるために、前記第2の電気フィルム構成要素に電力を提供するように構成された、第2の電源を更に備える、条項8に記載の窓システム。
【0056】
[0071]条項11.
前記電気フィルム構成要素が、可撓性構造である、条項1から10のいずれか一項に記載の窓システム。
【0057】
[0072]条項12.
前記窓構造が、内部窓又は外部窓のうちの一方又は両方である、条項1から11のいずれか一項に記載の窓システム。
【0058】
[0073]条項13.
前記窓構造が、既存の窓構造であり、前記電気フィルム構成要素が、前記既存の窓構造に据え付けられるように構成されている、条項1から12のいずれか一項に記載の窓システム。
【0059】
[0074]条項14.
方法であって、
[0075] 電気フィルム構成要素の状態を、複数の異なる状態の間で変化させることであって、前記電気フィルム構成要素が、窓構造の第1の表面に動作可能に連結されるように構成され、前記電気フィルム構成要素が、前記電気フィルム構成要素の前記状態を、前記複数の異なる状態の間で変化させるために、電源から電力を受け取るように構成される、電気フィルム構成要素の状態を変化させることを含む、方法。
【0060】
[0076]条項15.
前記電気フィルム構成要素の前記状態を、前記複数の異なる状態の間で無線で変化させることを更に含む、条項14に記載の方法。
【0061】
[0077]条項16.
前記電気フィルム構成要素の前記状態を、前記窓構造に近接した熱エネルギーを検出することによって変化させることを更に含む、条項14又は15に記載の方法。
【0062】
[0078]条項17.
前記電気フィルム構成要素が、異なる領域を含み、前記複数の異なる状態の間で変化させるために前記異なる領域のそれぞれを独立して制御することを更に含む、条項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
[0079]条項18.
航空機システムであって、
[0080] 内部キャビンと、
[0081] 前記内部キャビンの機内側の壁又は翼端側の壁のうちの一方又は両方内に形成された、複数の窓構造と、
[0082] 前記複数の窓構造のうちの一又は複数に動作可能に連結された一又は複数の電気フィルム構成要素であって、複数の異なる状態の間で変化するよう制御されるように構成された、一又は複数の電気フィルム構成要素と、
[0083] 前記複数の異なる状態の間で変化させるために、前記一又は複数の電気フィルム構成要素に電力を提供するように構成された、一又は複数の電源と
を備え、
[0084] 前記一又は複数の電気フィルム構成要素のうちの少なくとも1つが、前記複数の異なる状態の間で変化するよう、無線で制御されるように構成されている、航空機システム。
【0064】
[0085]条項19.
前記一又は複数の電気フィルム構成要素が、前記複数の異なる状態の間で同時に変化するよう無線で制御されるように構成されている、条項18に記載の航空機システム。
【0065】
[0086]条項20.
前記一又は複数の電気フィルム構成要素がセンサを含み、前記一又は複数の電気フィルム構成要素が、前記センサによる、前記一又は複数の電気フィルム構成要素の対応する前記窓構造に近接した熱エネルギーの検出に応答して、前記複数の異なる状態の間で変化するようにも構成されている、条項18又は19に記載の航空機システム。
【0066】
[0087]本明細書に記載のように、本開示の実施例は、高くされたプラットフォーム上に立つオペレータに安全を提供するため、静止したプラットフォームの上のアイテム(例えば、機器、システムなど)の移動を可能にするため、構造物(例えば、飛行機又は任意の他の構造物)を妨げることなく、高くされたプラットフォームのある場所から別の場所への移動を可能にするためなど、ロードされた位置とアンロードされた位置との間の安全レールシステムを移動させるシステム及び方法を提供する。
【0067】
[0088]本開示の実施例の記載のために、上部、底部、下方、中央、横方向、水平、垂直、前方向などの空間及び方向に関する様々な用語が使用される場合があるが、かかる用語は図面中で示す向きに関するものとして使用されているにすぎないことが理解される。これらの向きは、上部が下部に、又はその逆になることや、水平が垂直になることなどのように、反転し、回転し、あるいはその他の方法で変更され得る。
【0068】
[0089]本明細書において、タスク又は動作を実行する「よう構成/設定され(configured to)」ている構造体、制約、又は要素は、タスク又は動作に対応する様態で、特に構造的に、形成され、構成/設定され、又は適合している。明確にするため、かつ誤解を避けるために、タスク又は動作を実行するために改変されることが可能であるだけの対象物は、本明細書における、タスク又は動作を実行する「よう構成/設定」されているものではない。
【0069】
[0090]上記の記載は、限定ではなく例示を意図するものであると理解されたい。例えば、上述した実施例(及び/又はそれらの態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。加えて、本開示の様々な実施例の教示には、その範囲から逸脱することなく特定の状況又は材料に適合させるために、多くの修正が行われ得る。本明細書に記載の材料の寸法及び種類は、本開示の様々な実施例の態様を規定することを意図しているが、これらの実施例は決して限定のためのものではなく、例示的な実施例である。上記の記載を精査することによって、当業者には他の多くの実施例が明らかになるであろう。したがって、本開示の様々な実施例の範囲は、添付の特許請求の範囲、並びに、かかる特許請求の範囲が認められる均等物の全範囲に関連して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲及び本明細書における発明を実施するための形態において、「含む(including)」及び「これにおいて(in which)」という用語はそれぞれ、「備える(comprising)」及び「ここで(wherein)」という用語の明白な同義語として使用される。更に、「第1(first)」「第2(second)」及び「第3(third)」等の用語は、単に符号として使用されており、それらの対象物に数的要件を課すことを意図するものではない。更に、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記述されておらず、かかる特許請求の範囲の限定が、更なる構造を欠く機能の記述が後続する、「~のための手段(means for)」という言い回しを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【0070】
[0091]ここに記述した説明で実施例を使用しているのは、ベストモードを含む本開示の様々な実施例を開示するためと、当業者が任意のデバイス又はシステムを作成及び使用すること、並びに組み込まれた任意の方法の実行することを含めて本開示の様々な実施例を実施することを可能にするためである。本開示の様々な実施例の特許性の範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が想起する他の実施例を含み得る。かかる他の実施例は、実施例が特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、又は、実施例が、特許請求の範囲の文言とごくわずかな相違しかない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
【外国語明細書】