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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016192
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】肺癌の処置のための抗PD-1抗体
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240130BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240130BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00 ZNA
A61P11/00
A61P37/04
A61K39/395 U
C07K16/28
C07K16/18
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190525
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2022037781の分割
【原出願日】2018-02-20
(31)【優先権主張番号】62/461,672
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/595,190
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ・リーチェル
(72)【発明者】
【氏名】イザレル・ロウィ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】癌(例えば、肺癌)を処置するか、癌の重症度を減少させるか、又は癌の増殖を阻害するための方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、治療有効量のプログラム細胞死1(PD-1)アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を、がん組織がPD-L1を発現する肺癌を有する被験体に投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させる方法であって:(a)肺癌を有する患者を、(i)患者が非小細胞肺癌を有すること、(ii)患者における腫瘍組織が腫瘍細胞の<50%においてプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を発現すること;(iii)患者における腫瘍組織が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現すること;(iv)患者が扁平上皮又は非扁平上皮III期又はIV期肺癌を有すること;(v)患者が肺癌のための全身処置を以前に受けていないこと;及び(vi)患者が抗腫瘍療法を用いた処置を以前に受けていたことからなる群より選択される特質に基づいて選択すること;並びに(b)治療有効量の、プログラム細胞死1(PD-1)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与し、それにより患者における肺癌を処置することを含む、上記方法。
【請求項2】
患者は進行性又は再発性の非小細胞肺癌を有し、患者における腫瘍組織は腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現し、かつ患者は肺癌のための全身処置で以前に処置されていなかった、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者は進行性又は再発性の非小細胞肺癌を有し、患者における腫瘍組織は腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現し、かつ患者は化学療法で以前に処置されていた、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者は進行性又は再発性の非小細胞肺癌を有し、患者における腫瘍組織は腫瘍細胞の<50%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦25、又は≦1%においてPD-L1を発現し、かつ抗腫瘍療法で以前に処置されてた、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者は進行性又は再発性の非小細胞肺癌を有し、患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の<50%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦25、又は≦1%においてPD-L1を発現し、かつ抗腫瘍療法で以前に処置されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させる方法であって:(a)患者における腫瘍組織が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する、肺癌を有する患者を選択すること;及び(b)治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与し、それにより患者において肺癌を処置することを含む、上記方法。
【請求項7】
癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させる方法であって:(a)患者における腫瘍組織が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する、肺癌を有する患者を選択すること;及び(b)治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与し、それにより患者において肺癌を処置することを含む、上記方法。
【請求項8】
患者は進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
患者は、扁平上皮又は非扁平上皮III期又はIV期非小細胞肺癌を有する、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
患者は、肺癌のための全身処置で以前に処置されていない、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
患者は、白金ベースの化学療法を含む抗腫瘍治療で以前に処置されていた、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させるための方法であって、
(a)肺癌を有する患者を、(i)患者が進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有すること;(ii)患者が扁平上皮又は非扁平上皮III期又はIV期肺癌を有すること;(iii)患者が肺癌のための全身処置で以前に処置されていなかったこと;及び(iv)患者が抗腫瘍療法で以前に処置されていたことからなる群より選択される少なくとも1つの特質に基づいて選択すること;
(b)腫瘍組織におけるPD-L1の発現について決定すること;並びに
(c)腫瘍組織が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する場合、治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与し、それにより患者において肺癌を処置すること
を含む、上記方法。
【請求項13】
癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させるための方法であって、
(a)肺癌を有する患者を、(i)患者が進行性又は転移性の非小細胞癌を有すること;(ii)患者が扁平上皮又は非扁平上皮III期又はIV期肺癌を有すること;(iii)患者が肺癌のための全身処置で以前に処置されていないこと;及び(iv)患者が抗腫瘍療法で以前に処置されていたことからなる群より選択される少なくとも1つの特質に基づいて選択すること;
(b)腫瘍組織におけるPD-L1の発現について決定すること;並びに
(c)腫瘍組織が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する場合、治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与し、それにより患者における肺癌を処置すること
を含む、上記方法。
【請求項14】
腫瘍組織が腫瘍細胞の≦45%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦2%、又は≦1%においてPD-L1を発現する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抗PD-1抗体の各用量は、直前の投薬の1週間後、2週間後、3週間後、又は4週間後に投与される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
各用量は抗PD-1抗体20~1500mgを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
各用量は、抗PD-1抗体200、250、300、350、450、600、750、800、1000又は1050mgを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各用量は抗PD-1抗体350mgを含み、そして直前の投薬の3週間後に投与される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
抗PD-1抗体の各用量は0.1~10mg/患者の体重kgを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
抗PD-1抗体の各用量は、1、3、4、5、6又は10mg/患者の体重kgを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各用量は、直前の投薬の1週間後、2週間後、3週間後、又は4週間後に投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
抗PD-1抗体は患者への静脈内注入として投与される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
抗PD-1抗体は、化学療法、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4(CTLA-4)阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)、放射線、手術、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、及びPD-L1阻害剤からなる群より選択される第二の治療剤と組み合わせて投与される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
抗PD-1抗体は、白金ベースの化学療法と組み合わせて投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
抗PD-1抗体は抗CTLA-4抗体と組み合わせて投与される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
抗PD-1抗体の少なくとも1回の用量の投与は、単剤療法として白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、患者の無増悪生存(PFS)又は全生存(OS)の増加を生じる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
PFSは、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して少なくとも1か月増加する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
OSは、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、少なくとも1か月増加する、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)及び3つのLCDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含み、ここでHCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;そしてLCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
HCVRは配列番号1のアミノ酸配列を含み、そしてLCVRは配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
抗PD-1抗体がREGN2810(セミプリマブ)である、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2018年2月20日に出願され、そして米国仮出願第62/461,672号(2017年2月21日出願);及び同第62/595,190号(2017年12月6日)(それぞれの開示は本明細書において参照によりそれら全体として加入される)に対して優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、治療有効量の、プログラム細胞死1(PD-1)受容体に特異的に結合する抗体を、それを必要とする被験体に投与することを含む、肺癌を処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
肺癌は、最も一般的に診断される癌の1つであり、そして世界中で癌関連死の主な原因である(非特許文献1;非特許文献2)。非小細胞肺癌(NSCLC)はすべての肺癌のうち80%~85%を占め、そしていくつかの病理組織的サブタイプから構成され、それらのうち最も一般的なものとしては、腺癌(40%~60%)及び扁平上皮細胞癌(30%)が挙げられる。NSCLCを有する患者の大部分は、診断時に進行性の癌を有することがわかっている(非特許文献3)。化学療法を用いて、これらの患者は12~18か月までの全生存(OS)中央値及び約18%の5年生存率を有する(非特許文献3;非特許文献2)。
【0004】
維持療法を用いるか又は用いない、白金ベースのダブレット化学療法レジメンを用いた全身治療は、最近まで、その腫瘍が上皮増殖因子受容体(EGFR)変異も、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)転座も、C-ros癌遺伝子受容体チロシンキナーゼ(ROS1)変異も有していない進行性のNSCLCを有するすべての患者のための標準的な第一選択処置であった(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。白金ベースのダブレット化学療法レジメンを用いた初期治療にもかかわらず、疾患はしばしば進行し、そしてさらなる処置選択肢は限られていた。したがって、進行性NSCLCを有する患者における長期生存及び生活の質(QOL)を改善するより新しい治療アプローチが必要とされている。
【0005】
近年、免疫療法は、進行性NSCLCを有する患者における長期生存及びQOLを改善する可能性のある治療アプローチとして研究されてきた。腫瘍は、腫瘍内の免疫抑制環境の形成を含む多数の機構により宿主免疫応答を調節し、そして逃れる。プログラム細胞死-1(PD-1)は、免疫抑制を媒介する活性化T細胞の表面上に発現される共受容体である。そのリガンド、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)又はプログラム細胞死リガンド2(PD-L2)の1つへのPD-1の結合は、細胞傷害性T細胞応答の阻害を生じる。腫瘍微小環境におけるPD-L1の増加した発現は、免疫監視機構(T細胞誘導抗腫瘍活性)からの回避を促進する。対照的に、この相互作用の遮断は、抗腫瘍活性を有する増強されたT細胞応答を生じる。
【0006】
PD-1/PD-L1 T細胞チェックポイント経路の遮断は、免疫応答の刺激に対する有効でかつ十分に許容されるアプローチであり、そしてNSCLCを有する患者における有意な目的の応答を達成したことが示された(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bray et al 2013,Int.J.Cancer 132:1133-45
【非特許文献2】Siegel et al 2016,CA Cancer J.Clin.66:7-30
【非特許文献3】Leighl 2012,Curr.Oncol.19:S52-8
【非特許文献4】Besse et al 2014,Ann.Oncol.25:1475-84
【非特許文献5】Ettinger et al 2016,J.Natl.Compr.Canc.Netw.14:255-64
【非特許文献6】Reck et al 2014,Ann.Oncol.25 Suppl 3:iii27-39
【非特許文献7】Topalian et al 2012,N.Engl.J.Med.366:2443-54
【非特許文献8】Borghaei et al 2015,N.Engl.J.Med.373:1627-39
【非特許文献9】Brahmer et al 2015,N.Engl.J.Med.373:123-35
【非特許文献10】Herbst et al 2016,Lancet 387:1540-50
【非特許文献11】Fehrenbacher et al 2016,Lancet 387:1837-46
【非特許文献12】Rittmeyer et al 2017,Lancet 389:255-65
【非特許文献13】Reck et al 2016;N.Engl.J.Med.375:1823-33
【非特許文献14】Roach et al 2016,App.l Immunohistochem.Mol.Morphol.24:392-7
【非特許文献15】Socinski et al 2016,Ann.Oncol.27 Suppl 6:LBA7_PR
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
特定の実施態様によれば、本発明は、肺癌の少なくとも1つの症状もしくは徴候を処置もしくは寛解するため、肺癌の増殖を阻害するため、かつ/又は被験体における生存を増加させるための方法を提供する。この局面に従う方法は、治療有効量の、プログラム細胞死1(PD-1)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を、それを必要とする被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、肺癌は非小細胞肺癌である。一実施態様において、被験体は、進行性、再発性又は転移性の肺癌を有する。一実施態様において、被験体は扁平上皮非小細胞癌を有する。一実施態様において、被験体は非扁平上皮非小細胞肺癌を有する。特定の実施態様において、被験体は、腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を発現する肺癌を有する。特定の実施態様において、被験体は、腫瘍が腫瘍細胞の<50%、≦45%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦2%、≦1%又は約0%においてPD-L1を発現する肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を有する。特定の他の実施態様において、被験体は、腫瘍が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する
肺癌を有する。特定の実施態様において、被験体は、腫瘍が腫瘍細胞の≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、又は≧90%においてPD-L1を発現する肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を有する。特定の実施態様において、被験体は、肺癌のための処置で処置されていた(抗腫瘍療法、例えば化学療法)。特定の実施態様において、方法は、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量をそれを必要とする被験体に投与することを含み、ここで各用量は抗PD-1抗体20mg~1500mgを含み、そして各用量は、直前の投薬の1週間後、2週間後、3週間後又は4週間後に投与される。特定の実施態様において、方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、場合により化学療法又はCTLA-4阻害剤(例えば、イピリムマブのような抗CTLA-4抗体)と組み合わせて、それを必要とする被験体に投与することを含む。一実施態様において、化学療法は白金ベースの化学療法剤(例えば、ペメトレキセド(pemtrexed)、シスプラチン、ゲムシタビン又はそれらの組み合わせ)を含む。一実施態様において、抗PD-1抗体はREGN2810である。
【0009】
特定の実施態様によれば、本発明は癌を処置する方法を含み、該方法は、肺癌を有する被験体を選択すること、及び抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を投与することを含み、ここで投与は腫瘍増殖の阻害、全生存の増加、及び/又は被験体の無増悪生存の増加を生じる。
【0010】
本発明の特定の実施態様において、方法は、被験体における癌の少なくとも1つの症状もしくは徴候を処置もしくは寛解させるため、又は増殖を阻害するために提供される。本発明の特定の実施態様において、方法は腫瘍の増殖を遅延させるため、又は腫瘍再発を予防するために提供される。本発明の特定の実施態様において、方法は、癌患者の全生存又は無増悪生存を増加させるために提供される。本発明のこの局面に従う方法は、治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又は抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を、連続的に投与することを含む。一実施態様において、抗PD-1抗体は化学療法と組み合わせて投与される。一実施態様において、抗PD-1抗体はCTLA-4阻害剤と組み合わせて投与される(例えば、イピリムマブのような抗CTLA-4抗体)。特定の実施態様において、癌又は腫瘍は固形腫瘍又は悪性腫瘍である。特定の実施態様において、固形腫瘍は、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、脳癌、子宮頸癌、膀胱癌、肛門癌、子宮癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮内膜癌、骨癌、精巣癌、皮膚癌、腎臓癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、唾液腺癌、及び骨髄腫からなる群より選択される。
【0011】
特定の実施態様において、方法は、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を、進行性又は転移性の癌(例えば、進行性非小細胞肺癌)を有する患者に投与することを含み、ここで患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の≦1%、≦2%、≦5%、≦10%、≦20%、≦30%、≦40%、≦45%、又は<50%においてPD-L1を発現する。特定の実施態様において、方法は、癌(例えば、進行性又は転移性の肺癌)を有する患者に抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を投与することを含み、ここで患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、又は≧90%においてPD-L1を発現する。
【0012】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体は「第一選択」処置として癌患者に投与され、ここで癌のための全身処置を以前に受けていない。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は「第二選択」処置として癌患者(例えば、転移性癌)に投与され、ここで患者は、限定されないが、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ又はペムブロリズマブ)、CTLA-4阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)、化学療法、手術及び/又は放射線を含む治療で以前に処置されていた。
【0013】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は、0.1~20mg/被験体の体
重kgを含む。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は、0.3、1、3、5、又は10mg/被験体の体重kgを含む。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は20~1500mgを含む。一実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は約200mgを含む。一実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は約250mgを含む。一実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は約350mgを含む。一実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は約1000mg又は約1050mgを含む。
【0014】
特定の実施態様において、本発明の方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、化学療法の前、化学療法と同時、又は化学療法の後に投与することを含む。一実施態様において、本発明の方法は、化学療法の投薬前に抗PD-1抗体を投与することを含む。
【0015】
特定の実施態様において、本発明の方法は、それぞれ抗PD-1抗体の1又はそれ以上の治療的用量を投与することを含み、ここで各用量は直前の投薬の0.5~12週間後に投与される。一実施態様において、各用量は直前の投薬の1週間後に投与される。一実施態様において、各用量は直前の投薬の2週間後に投与される。一実施態様において、各用量は直前の投薬の3週間後に投与される。
【0016】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量及び場合により第二の治療剤(例えば、化学療法剤)が処置サイクルに含まれる。本発明のこの局面に従う方法は、それを必要とする被験体に少なくとも1つの処置サイクルを投与することを含み、ここで少なくとも1つの処置サイクルは、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を含む。特定の実施態様において、少なくとも1つの処置サイクルは、化学療法剤(例えば、白金ベースの化学療法剤、例えばゲムシタビン、ペメトレキセド、シスプラチン)の1又はそれ以上の用量を更に含む。
【0017】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体は、さらなる治療剤又は治療法(例えば、抗CTLA-4抗体、又は本明細書に開示されるいずれかの薬剤もしくは治療法)と組み合わせて投与される。
【0018】
特定の実施態様において、処置は、腫瘍縮小、アブスコパル効果 腫瘍転移の阻害、転移巣の経時的減少、化学療法剤又は細胞傷害剤の減少した使用、腫瘍量の減少、無増悪生存の増加、全生存の増加、完全寛解、部分応答、及び安定した疾患からなる群より選択される1つ又はそれ以上の治療効果を生じる。
【0019】
特定の実施態様によれば、抗PD-1抗体又は抗原結合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)、及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖CDRを含む。本発明の方法の状況において使用することができる1つのこのような種類の抗原結合タンパク質は、REGN2810(セミプリマブ(cemiplimab)としても知られる)のような抗PD-1抗体である。
【0020】
特定の実施態様において、本発明は、ヒトを含む被験体において癌の増殖を処置又は阻害するための薬剤の製造における抗PD-1抗体又は抗原結合フラグメントの使用を提供する。特定の実施態様において、癌は肺癌である。特定の実施態様において、肺癌は非小細胞肺癌である。特定の実施態様において、癌は、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、脳癌、子宮頸癌、膀胱癌、肛門癌、子宮癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮内膜癌、骨癌、精巣癌、皮膚癌、腎臓癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、唾液腺癌、又は骨髄腫である。
【0021】
本発明の他の実施態様は、次の詳細な説明の検討から明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、MC38腫瘍を移植されたマウスにおける抗PD-1抗体及び放射線(XRT)の投与を含む研究設計を示す(本明細書における実施例1に記載される研究)。
図2図2は、本明細書における実施例1において記載される研究における、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(▲)、又は抗PD-1抗体+XRT(▼)で処置されたマウスにおける平均腫瘍増殖を示す。
図3図3は、本明細書における実施例1に記載される研究における、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ・コントロール+放射線(XRT)(▲)、又は抗PD-1抗体+XRT(▼)で処置されたマウスの全生存を示す。
図4図4は、B16F10.9腫瘍を移植されたマウスにおける抗PD-1抗体及び放射線(XRT)の投与を含む研究設計を示す(本明細書における実施例2に記載される研究)。
図5図5は、本明細書における実施例2に記載される研究における、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(◆)、又は抗PD-1抗体+XRT(○)で処置されたマウスにおける平均腫瘍増殖を示す。
図6図6は、本明細書における実施例2に記載される研究における、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(◆)、又は抗PD-1抗体+XRT(○)で処置されたマウスの全生存を示す。
図7図7は、MC38腫瘍を移植されたマウスにおける抗PD-1抗体及び放射線(XRT)の投与を含む研究設計を示す(本明細書における実施例4に記載される研究)。
図8図8は、本明細書における実施例4に記載される研究におけるアイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(▲)、又は抗PD-1抗体+XRT(▼)で処置されたマウスにおける平均原発腫瘍増殖を示す。
図9図9は、本明細書における実施例4に記載される研究における、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(▲)、又は抗PD-1抗体+XRT(▼)で処置されたマウスの全生存を示す。
図10図10は、本明細書における実施例4に記載される研究における、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(▲)、又は抗PD-1抗体+XRT(▼)で処置されたマウスにおける続発性腫瘍増殖を示す。
図11図11は、MC38腫瘍を移植されたマウスにおける抗PD-1抗体、抗GITR抗体、及び放射線(XRT)の投薬を含む研究設計を示す(本明細書における実施例5に記載される研究)。
図12図12は、本明細書における実施例5に記載される研究において、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、抗GITR抗体(▲)、抗PD-1抗体と抗GITR抗体との組み合わせ(▼)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(◆)、抗PD-1抗体+XRT(○)、抗GITR抗体+XRT(□)、又は抗PD-1抗体、抗GITR抗体+XRT(r)の組み合わせで処置されたマウスにおける平均腫瘍増殖を示す。
図13図13は、本明細書における実施例5に記載される研究において、アイソタイプコントロール抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、抗GITR抗体(▲)、抗PD-1抗体と抗GITR抗体との組み合わせ(▼)、アイソタイプコントロール+放射線(XRT)(◆)、抗PD-1抗体+XRT(○)、抗GITR抗体+XRT(□)、又は抗PD-1抗体、抗GITR抗体+XRTの組み合わせ(r)で処置されたマウスの全生存を示す。
図14A図14Aは、ベースライン(左)及び24週目(右)に矢印で示された基底細胞癌(BCC)患者における肺転移のX線撮影像を示す。
図14B図14Bは、ベースライン(左)及び16週目(右)での皮膚扁平上皮細胞癌(CSCC)患者における頸部腫瘤のX線画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本発明を記載する前に、当然のことながら、方法及び条件は変化し得るので、本発明は、記載される特定の方法及び実験条件に限定されない。また当然のことながら、本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を記載する目的のみのためであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、限定することを意図されない。
【0024】
別の定義がなければ、本明細書において使用される全ての技術用語及び化学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される用語「約」は、特定の列挙される数値に関して使用される場合、値が記載される値から1%以下だけ変化し得るということを意味する。例えば、本明細書で使用される表現「約100」は99及び101並びにその間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0025】
本明細書に記載されるものと類似するか又は同等であるいずれの方法及び材料も、本発明の実施において使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで記載する。本明細書において言及される全ての刊行物は、参照によりそれら全体として記載されるように本明細書に加入される。
【0026】
癌を処置するか又は癌の増殖を阻害する方法
本発明は、被験体における癌の、少なくとも1つの症状もしくは徴候を処置するか、寛解させるかもしくは重症度を減少させるため、又は増殖を阻害するための方法を含む。本発明のこの局面に従う方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することを含む。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は抗腫瘍療法(本明細書の他所に記載される)と組み合わせて投与される。本明細書で使用される用語「処置する」、「処置すること」又は同様のものは、一時的又は永続的のいずれかで、症状を軽減し、症状の原因を排除すること、腫瘍増殖を遅延させるかもしくは阻害すること、腫瘍細胞量もしくは腫瘍量を減少させること、腫瘍退縮を促進すること、腫瘍縮小、壊死及び/若しくは消失を引き起こすこと、腫瘍再発を予防すること、転移を予防もしくは阻害すること、転移性腫瘍増殖を阻害すること、並びに/又は被験体の生存期間を増加させることを意味する。
【0027】
本明細書で使用される表現「それを必要とする被験体」は、癌の1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候を示し、かつ/又は固形腫瘍を含む癌と診断されたヒト又は非ヒト哺乳動物、並びにそれらの処置を必要とするヒト又は非ヒト哺乳動物を意味する。多くの実施態様において、用語「被験体」は用語「患者」と交換可能に使用され得る。例えば、ヒト被験体は原発性もしくは転移性の腫瘍及び/又は不明な体重減少、全身脱力、持続性の疲労、食欲減退、発熱、寝汗、骨痛、息切れ、膨隆腹、胸部痛/胸部圧迫感、脾腫大、及び癌関連バイオマーカーのレベルの上昇(例えば、CA125)を含むがこれらに限定されない1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候を有すると診断され得る。この表現は原
発性又は定着した腫瘍を有する被験体を含む。特定の実施態様において、この表現は、固形腫瘍、例えば、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、皮膚癌、肝臓癌、骨癌、卵巣癌、子宮頸癌、膵臓癌、頭頸部癌、及び脳癌を有し、かつ/又はそれらの処置を必要とするヒト被験体を含む。特定の好ましい実施態様において、この表現は、小細胞肺癌を含む肺癌を有し、かつ/又はその処置を必要とするヒト被験体を含む。好ましい実施態様において、この表現は、進行性の再発性又は転移性非小細胞肺癌を有し、かつ/又はそれらの処置を必要とする患者を含む。別の好ましい実施態様において、この表現は、扁平上皮又は非扁平上皮非小細胞肺癌を有し、かつ/又はその処置を必要とする患者を含む。この用語は原発性又は転移性の腫瘍(進行性悪性腫瘍)を有する被験体を含む。特定の実施態様において、表現「それを必要とする被験体」は、以前の治療(例えば、抗がん剤を用いた処置)に抵抗性もしくは不応性であるか、又は以前の処置により適切に制御されない固形腫瘍を有する患者を含む。例えば、この表現は、化学療法(例えば、カルボプラチン又はドセタキセル)での処置のような一連又はそれ以上の治療で以前に処置された被験体を含む。特定の実施態様において、表現「それを必要とする被験体」は、一連又はそれ以上の治療で以前に処置されたが、その後再発したか転移した固形腫瘍を有する患者を含む。例えば、1つ又はそれ以上の抗がん剤を用いた処置を受けて腫瘍退縮に至ったかもしれないが;しかしその後、1つ又はそれ以上の抗がん剤に対して抵抗性の癌を再発した(例えば、化学療法抵抗性癌)固形腫瘍を有する患者は、本発明の方法で処置される。この表現はまた、例えば毒性副作用に起因して、従来の抗がん療法が勧められない固形腫瘍を有する被験体も含む。例えば、この表現は、毒性副作用を伴う化学療法の1又はそれ以上のサイクルを受けた患者を含む。
【0028】
特定の実施態様において、本発明の方法は、1つ又はそれ以上の癌関連バイオマーカー[例えば、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、CA125、CA19-9、前立腺特異的抗原(PSA)、乳酸脱水素酵素、KIT、癌胎児性抗原、上皮増殖因子受容体(EGFR)、ALK遺伝子再構成]の上昇したレベルを示す患者を処置するために使用され得る。例えば、本発明の方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、腫瘍組織において上昇したレベルのPD-L1を有する患者に投与することを含む。特定の実施態様において、本発明の方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、肺癌を有する患者に投与することを含み、ここで患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の<50%、≦45%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦2%、又は≦1%においてPD-L1を発現する。特定の実施態様において、本発明の方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を肺癌を有する患者に投与することを含み、ここで患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、又は≧90%においてPD-L1を発現する。
【0029】
特定の実施態様において、本発明の方法は固形腫瘍を有する被験体において使用される。用語「腫瘍」、「癌」、及び「悪性腫瘍」は本明細書において交換可能に使用される。
【0030】
本明細書で使用される用語「固形腫瘍」は、通常は嚢胞も液体領域も含有しない組織の異常な腫瘤を指す。固形腫瘍は良性(癌ではない)でも悪性(癌)でもよい。本発明の目的のために、用語「固形腫瘍」は悪性固形腫瘍を意味する。この用語は、それらを形成する細胞型について名付けられた様々な種類の固形腫瘍を含む、すなわち、肉腫、細胞腫及びリンパ腫。しかし、この用語は白血病を含まない。様々な実施態様において、用語「固形腫瘍」は、結合組織又は支持組織(例えば、骨又は筋肉)から生じる癌(肉腫と呼ばれる)、身体の腺細胞及び身体を覆う上皮細胞から生じる癌(細胞腫と呼ばれる)、並びにリンパ節、脾臓及び胸腺のようなリンパ器官の癌(リンパ腫と呼ばれる)を含む。リンパ系細胞はほとんど全ての組織に存在し、したがって、リンパ腫は多様な器官において発生し得る。特定の実施態様において、用語「固形腫瘍」は、限定されないが、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、脳癌、子宮頸癌、膀胱癌、肛門癌、子宮癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮内膜癌、骨癌、精巣癌、皮膚癌、腎臓癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、
唾液腺癌、及び骨髄腫を含む癌を含む。特定の実施態様において、用語「固形腫瘍」は、限定されないが、肝細胞癌、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮癌、基底細胞癌、乳癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管細胞癌、軟部組織肉腫、結腸直腸癌、黒色腫、メルケル細胞癌、及び多形神経膠芽腫を含む癌を含む。特定の実施態様において、用語「固形腫瘍」は、処置を必要とする被験体において、互いから離れて位置する1つより多くの固形腫瘍病変、例えば、2、2より多く、5より多く、10より多く、15より多く、20より多く、又は25より多くの病変を含む。特定の実施態様において、1つより多くの病変が同じ器官において互いから遠位に位置する。特定の他の実施態様において、腫瘍病変は異なる器官に位置し得る。
【0031】
特定の実施態様において、本発明は、限定されないが、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、脳癌、子宮頸癌、膀胱癌、肛門癌、子宮癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮内膜癌、骨癌、精巣癌、皮膚癌、腎臓癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、唾液腺癌、及び骨髄腫を含む癌を処置するか又は癌の増殖を阻害する方法を含む。特定の実施態様において、本発明は、限定されないが、肝細胞癌、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮癌、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管細胞癌、軟部組織肉腫、結腸直腸癌、黒色腫、メルケル細胞癌、及び多形神経膠芽腫を含む癌を処置するか又は癌の増殖を阻害する方法を含む。特定の実施態様において、本発明は、限定されないが、転移性皮膚扁平上皮癌(CSCC)、切除不能な局所的に進行性のCSCC、転移性直腸結腸癌、進行性又は転移性の肝細胞癌、進行性非小細胞肺癌、再発性多形神経膠芽腫、去勢再発性前立腺癌、及び第一選択治療に対して不応性の進行性固形腫瘍を含む進行性固形腫瘍を処置する方法を含む。この局面に従う方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、場合により抗腫瘍療法と組み合わせて投与することを含む。抗腫瘍療法としては、限定されないが、化学療法、放射線、CTLA-4阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)、及び手術のような従来の抗腫瘍療法が挙げられる。他の抗腫瘍療法は本明細書の他所に記載される。一実施態様において、抗腫瘍療法は白金ベースの化学療法を含む。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量がそれを必要とする被験体に投与され、ここで各用量は、直前の投薬の0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間後に投与される。特定の実施態様において、各用量は、0.1~10mg/被験体の体重kg(例えば、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、又は10mg/kg)を含む。特定の他の実施態様において、各用量は、抗PD-1抗体20~1500mg、例えば、抗PD-1抗体50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、550mg、600mg、700mg、750mg、800mg、900mg、1000mg、1050mg、1200mg、又は1500mgを含む。
【0032】
特定の実施態様において、本発明は、マイクロサテライト不安定性(MSI)を有する癌を処置するか又は癌の増殖を阻害する方法を含む。本明細書で使用される「MSI」としても知られる用語「マイクロサテライト不安定性」は、腫瘍細胞におけるマイクロサテライト反復での変化又は欠損DNAミスマッチ修復に起因して引き起こされる遺伝子超変異性(hypermutability)を指す。単純な配列反復としても知られるマイクロサテライトは、1~6つの塩基対長の繰り返し単位を含むDNAの反復配列である。マイクロサテライトの長さは、ヒトによって高度に変化し、DNAフィンガープリントに寄与するが、各個体は決まった長さのマイクロサテライトを有する。MSIはミスマッチ修復(MMR)タンパク質がDNA複製エラーを修復できないことから生じる。MSIはDNA多型を含み、ここで複製エラーは、配列の代わりに長さが変わる。MSIは挿入もしくは欠失のいずれか又は過剰メチル化によるフレームシフト変異を含み、遺伝子サイレンシングをもたらす。マイクロサテライト不安定性は、結腸癌、胃癌、子宮内膜癌、卵巣癌、肝臓胆管癌、尿管癌、脳癌、及び皮膚癌を生じ得ることが当該分野で公知である。本発明は、MSIを伴う癌を処置する方法を含み、該方法は、治療有効量の抗PD-1抗体
を、場合により第二の抗腫瘍剤(例えば、化学療法、放射線療法)と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0033】
本明細書で使用される用語「化学療法」は、化学療法剤(抗腫瘍療法に使用される化学化合物)の使用を指す。この用語は、限定されないが、アルキル化剤、代謝拮抗薬、キナーゼ阻害剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍抗体、トポイソメラーゼ阻害剤、光増感剤、抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、抗プロゲステロン薬、エストロゲン受容体下方調節因子(down-regulators)(ERD)、エストロゲン受容体アンタゴニスト、黄体化ホルモン放出ホルモンアゴニスト、抗アンドロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、EGFR阻害剤、及びVEGF阻害剤を含む。化学療法剤の例は、本明細書の他所で開示される。一実施態様において、この用語は、白金ベースの化学療法剤(例えば、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、ペメトレキセド又はそれらの組み合わせ)を指す。化学療法剤は当該分野で公知の投与レジメンに従って投与される。
【0034】
本明細書で使用される用語「放射線療法」(「XRT」とも呼ばれる)は、一般的に抗癌療法の一部として、癌細胞を死滅させるために電離放射線を使用することを意味する。X線、ガンマ線又は荷電粒子(例えば、プロトン又は電子)が電離放射線を生成するために使用される。放射線療法は、患者身体の外側に配置された機械により(体外照射療法)、又は患者の体内に配置された線源により(体内照射療法又は密封小線源治療)送達されても、静脈内又は経口的に送達された全身の放射性同位体により送達されてもよい(全身放射線同位体療法)。放射線療法は、投与しようとする放射線の線量及び位置を正確に決定するために、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)のような画像化ベースの技術と併せて計画され投与され得る。様々な実施態様において、放射線療法は、全身照射療法、従来の体外照射療法、定位放射線手術、体幹部定位放射線治療、三次元原体照射療法(3-D conformal radiation therapy)、強度変調放射線治療、画像誘導放射線治療、トモセラピー、密封小線源治療、及び全身照射療法からなる群より選択される。目的に依存して、特定の実施態様では、放射線療法は、治療的、アジュバント作用性(adjuvinating)または対症療法的である。特定の実施態様において、用語「放射線療法」は少分割照射法を指す。少分割照射法は、放射線量が2又はそれ以上の分割線量から構成される放射線療法を指す。様々な実施態様において、各分割線量は2~20Gyを含む。例えば、放射線量50Gyは、それぞれ5Gyを含む10の分割線量に分けられ得る。特定の実施態様において、2又はそれ以上の分割線量が連続した日に、又は逐次的な日に投与される。特定の他の実施態様において、2又はそれ以上の分割線量が2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、又はそれらの組み合わせで投与される。
【0035】
特定の実施態様によれば、本発明は、腫瘍を処置するか、又は腫瘍の増殖を遅延させるかもしくは阻害するための方法を含む。特定の実施態様において、本発明は腫瘍退縮を促進する方法を含む。特定の実施態様において、本発明は、腫瘍細胞量を減少させるか又は腫瘍量を減少させる方法を含む。特定の実施態様において、本発明は腫瘍再発を予防する方法を含む。本発明のこの局面に従う方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、第二の抗腫瘍療法と組み合わせて、それを必要とする被験体に連続的に投与することを含み、ここで抗体は、被験体に複数回用量で、例えば特定の治療投薬レジメンの一部として投与される。例えば、治療投薬レジメンは、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を被験体におよそ1日に1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、6日ごとに1回、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、月に1回、2か月ごとに1回、3か月ごとに1回、4か月ごとに1回の頻度、又はそれ以下の頻度で投与することを含み得る。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量は、第二の抗腫瘍療法の1又はそれ以上の用量と組み合わせて投与され、ここで
第二の抗腫瘍療法の1又はそれ以上の用量は、およそ週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、月に1回、2か月ごとに1回、3か月ごとに1回、4か月ごとに1回の頻度、又はそれ以下の頻度で被験体に投与される。
【0036】
特定の実施態様において、1又はそれ以上の用量が処置サイクルに含まれる。この局面に従う方法は、それを必要とする被験体に少なくとも1つの処置サイクルを投与することを含み、ここで少なくとも1つの処置サイクルは、抗PD-1抗体の1~10用量及び場合により化学療法の1又はそれ以上の用量を含む。特定の実施態様において、2~12又はそれ以上の処置サイクルがそれを必要とする被験体に投与される。
【0037】
特定の実施態様において、本発明は、増加した抗腫瘍有効性又は増加した腫瘍阻害のための方法を提供する。本発明のこの局面に従う方法は、固形腫瘍を有する被験体に、治療有効量の抗PD-1抗体を投与した後、第二の抗腫瘍療法(例えば、化学療法又は抗CTLA-4抗体)の用量を投与することを含み、ここで抗PD-1抗体は、第二の抗腫瘍療法のおよそ1日前に、1日前よりも前に、2日前よりも前に、3日前よりも前に、4日前よりも前に、5日前よりも前に、6日前よりも前に、7日前よりも前に、または8日前よりも前に投与され得る。特定の実施態様において、この方法は、抗PD-1抗体の前に抗腫瘍療法(例えば、化学療法)を投与された被験体と比較して、例えば、約20%、20%より多く、30%より多く、40%より多く、50%より多く、60%より多く、70%より多く、又は80%より多く増加した腫瘍阻害を提供する。特定の実施態様において、化学療法は白金ベースの化学療法を含む。特定の実施態様において、第二の抗腫瘍療法はCTLA-4阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)を含む。
【0038】
特定の実施態様において、本発明は、癌を処置するための方法を提供し、該方法は、第一腫瘍病変及び少なくとも第二腫瘍病変を有する被験体を選択すること、並びに抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を放射線療法と組み合わせて療法の病変が処置されるように投与することを含む。特定の実施態様において、該方法は、放射線療法を第一の腫瘍病変に投与するが第二の腫瘍病変には投与しないことを含み、ここで投与は、両方の腫瘍病変に腫瘍退縮をもたらす(アブスコパル効果)。特定の実施態様において、該方法は、第一の腫瘍病変及び少なくとも第二の腫瘍病変を有する被験体を選択すること、並びに抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を少分割照射法と組み合わせて投与することを含み、ここで少分割照射法は、第一の病変に投与されるが、第二の病変には投与されず、そして両方の病変が上記投与の際に処置される。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は放射線療法の前に投与される。
【0039】
特定の実施態様において、本発明は癌を処置する方法を含み、該方法は、それを必要とする被験体に、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の治療量以下の(sub-therapeutic)用量を1又はそれ以上の抗腫瘍療法、例えば、放射線療法と組み合わせて投与することを含む。本明細書の他所において定義されるように、用語「治療量以下の用量」は、治療量より低い用量を指し、そして投与される治療の毒性を減少させるために使用され得る。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の治療量以下の用量を放射線療法を組み合わせて投与することにより、抗PD-1抗体単独の治療量以下の用量の投与と比較して治療的抗腫瘍有効性が生じる。特定の他の実施態様において、本発明の方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、化学療法又は放射線のような抗腫瘍療法の治療量以下の用量と組み合わせて投与することを含む。例えば、治療有効量の抗PD-1抗体は、いずれかの単剤療法と比較して増加した有効性のために、シクロホスファミドの治療量以下の用量と組み合わせて投与され得る。
【0040】
特定の実施態様において、本発明は、抹消器官への腫瘍転移又は腫瘍浸潤を阻害、遅延、又は停止させるための方法を含む。この局面に従う方法は、治療有効量の抗PD-1抗
体をそれを必要とする被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は化学療法と組み合わせて投与される。一実施態様において、化学療法は、白金ベースの化学療法である。一実施態様において、化学療法は、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を投与する前、投与と同時、又は投与した後に投与される。
【0041】
特定の実施態様において、本発明の方法は、治療有効量の抗PD-1抗体を、進行性固形腫瘍を有する被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、進行性固形腫瘍は、転移性肺癌、頭頸部癌、肝細胞癌、又は乳癌である。特定の他の実施態様において、進行性固形腫瘍は皮膚扁平上皮細胞癌である。特定の実施態様において、進行性固形腫瘍は低悪性度又は高悪性度である。特定の実施態様において、被験体は以前の治療に応答性ではなく、又は以前の治療(例えばカルボプラチンを用いた)後に再発した。特定の実施態様において、被験体は、第一選択化学療法に不応性の進行性固形腫瘍を有する。特定のさらなる実施態様において、本発明の方法は、さらなる抗癌療法(例えば、CTLA-4阻害剤)を、進行性固形腫瘍を有する被験体に投与することをさらに含む。
【0042】
特定の実施態様において、本発明は、限定されないが、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、脳癌、子宮頸癌、膀胱癌、肛門癌、子宮癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮内膜癌、骨癌、精巣癌、皮膚癌、腎臓癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、唾液腺癌、及び骨髄腫を含む癌を処置するか又は癌の増殖を阻害する方法を含む。特定の実施態様において、本発明は、限定されないが、肝細胞癌、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮癌、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管細胞癌、軟部組織肉腫、結腸直腸癌、黒色腫、メルケル細胞癌、及び多形神経膠芽腫を含む癌を処置するか又は癌の増殖を阻害する方法を含む。特定の実施態様において、本発明は、限定されないが、転移性皮膚扁平上皮癌(CSCC)、切除不能な局所的に進行性のCSCC、転移性直腸結腸癌、進行性又は転移性の肝細胞癌、進行性非小細胞肺癌、再発性多形神経膠芽腫、新たに診断された多形神経膠芽腫、去勢再発性前立腺癌、及び第一選択治療に対して不応性の進行性固形腫瘍を含む進行性固形腫瘍を処置する方法を含む。
【0043】
一局面によれば、本発明は腫瘍を処置するか又は腫瘍の増殖を阻害する方法を含み、該方法は:(a)皮膚扁平上皮癌(CSCC)を有する患者を選択すること、[ここで患者は:(i)患者が局所的に進行性のCSCCを有すること;(ii)患者が転移性CSCCを有すること;(iii)腫瘍が切除不能であること;(iv)患者が少なくとも1つの抗腫瘍療法で以前に処置されていたこと;(v)患者が手術不能と考えられる疾患を有していること;(vi)手術及び/又は放射線が禁忌であること;(vii)患者が放射線で以前に処置されており、かつ腫瘍が放射線に対して抵抗性又は不応性であること;並びに(viii)腫瘍がUV誘発DNA損傷を含むこと、からなる群より選択される特質に基づいて選択される];及び(b)治療有効量の抗PD-1抗体をそれを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量は、直前の投薬の1~12週間後に、例えば、直前の投薬の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間後に投与される。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は、0.1、1、0.3、3、4、5、6、7、8、9又は10mg/患者の体重kgを含む。特定の実施態様において、各用量は抗PD-1抗体50~500mgを含む。一実施態様において、抗PD-1抗体はREGN2810である。
【0044】
一局面によれば、本発明は、腫瘍を処置するか又は癌患者の生存を増加させる方法を含み、該方法は:(a)肺癌を有する患者を選択すること、[ここで患者は:(i)患者が非小細胞肺癌を有すること;(ii)患者における腫瘍組織が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現すること;(iii)患者が非扁平上皮III期又はIV期肺癌を有すること;(iv)患者が再発性肺癌のための全身処置を以前に受けていないこと;及び(v)患者が抗腫瘍療法を用いた処置を以前に受けていたこと、からなる群より選択され
る特質に基づいて選択される];及び(b)治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与することを含む。一実施態様において、患者は、進行性又は再発性の非小細胞肺癌を有し、患者における腫瘍組織は腫瘍細胞<50%においてPD-L1を発現し、かつ肺癌のための全身処置で以前に処置されていなかった。一実施態様において、患者は進行性又は再発性の非小細胞肺癌を有し、患者における腫瘍組織は腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現し、かつ肺癌のための全身処置(例えば化学療法)で以前に処置されていた。特定の実施態様において、患者は進行性又は再発性の非小細胞肺癌を有し、かつ患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の<50%、≦45%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦2%、又は≦1%においてPD-L1を発現する。
【0045】
特定の実施態様において、本発明は、癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させる方法を含み、該方法は:(a)肺癌を有する患者を選択すること、[ここで、患者における腫瘍組織は腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する];及び(b)治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与することを含む。一実施態様において、患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の≧60%、≧70%、≧80%、又は≧90%においてPD-L1を発現する。一実施態様において、患者は進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有する。一実施態様において、患者は扁平上皮又は非扁平上皮III期又はIV期非小細胞肺癌を有する。一実施態様において、患者は肺癌のための全身処置で以前に処置されていない。
【0046】
一局面によれば、本発明は、癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させるための方法を含み、該方法は:(a)肺癌を有する患者を選択すること、[ここで患者は、以下の特質の少なくとも1つを有する:(i)患者が進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有すること;(ii)患者が扁平上皮又は非扁平上皮III期又はIV期肺癌を有すること;(iii)患者が肺癌のための全身処置で以前に処置されていないこと;及び(iv)患者が抗腫瘍療法(例えば、白金ベースの化学療法、手術及び/又は放射線)で以前に処置されていたこと];(b)腫瘍組織におけるPD-L1の発現を決定すること;及び(c)腫瘍組織が腫瘍細胞の<50%においてPD-1を発現する場合、治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与することを含む。一実施態様において、腫瘍組織は腫瘍細胞の<50%、≦45%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦2%、≦1%又は0%においてPD-L1を発現する。
【0047】
一局面によれば、本発明は、癌を処置するか又は癌患者の生存を増加させるための方法を含み、該方法は:(a)肺癌を有する患者を選択すること、[ここで、患者は以下の特質の少なくとも1つを有する:(i)患者が進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有すること;(ii)患者が扁平上皮又は非扁平上皮III期又はIV期肺癌を有すること;(iii)患者が肺癌のための全身処置で以前に処置されていないこと;及び(iv)患者が抗腫瘍療法(例えば、白金ベースの化学療法、手術及び/又は放射線)で以前に処置されていたこと];(b)腫瘍組織におけるPD-L1の発現を決定すること;及び(c)腫瘍組織が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する場合、治療有効量の、PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与することを含む。一実施態様において、腫瘍組織は腫瘍細胞の≧60%、≧70%、≧80%、又は≧90%においてPD-L1を発現する。
【0048】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は、直前の投薬の1週間後、2週間後、3週間後、又は4週間後に投与され、ここで各用量は抗PD-1抗体20~1500mgを含む。一実施態様において、各用量は、抗PD-1抗体200、250、300、350、500、600、700、800、900、1000又は1050mgを含む。
一実施態様において、抗PD-1抗体はREGN2810(セミプリマブ(cemiplimab))である。
【0049】
特定の実施態様において、方法は、治療有効量の抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を癌患者に投与することを含み、ここで患者は、腫瘍細胞の1%未満におけるPD-L1発現に基づいて選択される。特定の実施態様において、患者における腫瘍組織は、腫瘍細胞の2%未満、5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、又は50%未満においてPD-L1を発現する。特定の実施態様において、方法は、腫瘍細胞の≧50%におけるPD-L1に発現に基づいて癌患者を選択すること、及び治療有効量の抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を患者に投与することを含む。特定の実施態様において、腫瘍組織におけるPD-L1の発現は、当該分野で公知のいずれかのアッセイにより、例えば、PCT公開WO2016124558もしくはWO2016191751又は米国特許出願公開US20160305947に記載されるように、ELISAアッセイにより又は免疫組織化学(IHC)アッセイにより決定される。特定の実施態様において、PD-L1の発現は、例えば、インサイチュハイブリダイゼーション又はRT-PCRによりRNA発現を定量することにより決定される。特定の実施態様において、PD-L1の発現は、標識化抗PD-L1抗体を用いて、例えば、免疫-ポジトロン断層撮影又はiPETによるイメージングにより決定される[例えば、The Oncologist、12:1379 (2007);Journal of Nuclear Medicine、52(8):1171 (2011);米国仮特許出願第62/428,672号(2016年12月1日出願)を参照のこと]。
【0050】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体の少なくとも1つの用量の投与は、白金ベースの化学療法を単剤療法として投与された患者と比較して、患者の無増悪生存(PFS)又は全生存(OS)の増加を生じる。特定の実施態様において、PFSは、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、少なくとも1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約2年、約3年又はそれ以上増加する。特定の実施態様において、OSは、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、少なくとも1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約2年、約3年又はそれ以上増加する。
【0051】
一局面によれば、本発明は、腫瘍を処置するか又は腫瘍の増殖を阻害する方法を含み、該方法は、脳癌を有する被験体を選択すること、及び治療有効量の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを、それを必要とする被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、脳癌は多形神経膠芽腫である。一実施態様において、被験体は多形神経膠芽腫と新たに診断された。一実施態様において、被験体は≧65歳である。一実施態様において、抗PD-1抗体は1又はそれ以上の用量として投与され、ここで各用量は、直前の投薬の0.5~4週間後に投与される。一実施態様において、抗PD-1抗体の各用量は、1、3又は10mg/被験体の体重kgを含む。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は放射線療法と組み合わせて投与される。一実施態様において、放射線療法は少分割照射法である。一実施態様において、被験体は2~20分割線量で20~60Gy投与される。特定の実施態様において、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量は、1又はそれ以上の処置サイクルに含まれ、ここで処置の各サイクルは、抗PD-1抗体の1~6用量を含む。一実施態様において、処置の少なくとも1サイクルは放射線療法をさらに含む。さらなる実施態様において、放射線療法は少分割照射法である。特異の実施態様において、被験体は処置の最初のサイクルにおいて少分割照射法を投与され、ここで少分割照射法は、2~20分割線量で20~60Gyを含む。一実施態様において、被験体は、処置の最初のサイクルにおける抗PD-1抗体の投与の1週間後に少分割照射法を投与される。特定の実施態様において、本発明の方法は、被験体が抗PD-1抗体の投与後に頭蓋内
浮腫を生じる場合、抗血管新生薬を被験体に投与することを更に含む。一実施態様において、抗血管新生薬は血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤である。一実施態様において、抗血管新生薬はアンジオポエチン-2(Ang-2)阻害剤(例えば、ネスバクマブ(nesvacumab)のような抗Ang-2抗体)である。特定の実施態様において、VEGF阻害剤は、VEGF阻害融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトのような「VEGF-トラップ」又はUS 7,087,411に記載されるような他のVEGF阻害融合タンパク質)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、及びVEGF受容体の小分子キナーゼ磯合剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、又はパゾパニブ)からなる群より選択される。
【0052】
特定の実施態様に従う本発明の方法は、被験体に治療有効量の抗PD-1抗体を、さらなる治療剤又は治療レジメンもしくは手順と組み合わせて投与することを含む。さらなる治療剤又は治療レジメンもしくは手順は、抗腫瘍有効性を増加させるため、1つもしくはそれ以上の治療の毒性効果を減少させるため、かつ/又は1つもしくはそれ以上の治療の投薬量を減少させるために投与され得る。様々な実施態様において、さらなる治療剤又は治療レジメンもしくは手順は、例えば、化学療法、シクロホスファミド、手術、放射線、癌ワクチン、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤(例えば、抗LAG3抗体)、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4(CTLA-4)阻害剤(例えば、イピリムマブのような抗CTLa-4抗体)、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)阻害剤(例えば、抗GITR抗体)、T細胞免疫グロブリン及びムチン含有-3(TIM3)阻害剤、B-及びT-リンパ球アテニュエータ(B- and T-lymphocyte attenuator)(BTLA)阻害剤、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD47阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト[VEGF阻害融合タンパク質(例えば、アフリベルセプトのような「VEGF-トラップ」又はUS 7,087,411に記載されるような他のVEGF阻害融合タンパク質)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、及びVEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、又はパゾパニブ)からなる群より選択される]、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、腫瘍特異的抗原[例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、癌胎児性抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍-M2-PK、前立腺特異的抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1、及びCA19-9]に対する抗体、抗CD3/抗CD20二重特異性抗体、ワクチン(例えば、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin))、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、細胞毒、化学療法剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21、及びIL-15のようなサイトカイン、T細胞療法、コルチコステロイド類のような抗炎症薬、及び非ステロイド性抗炎症薬、及び抗酸化剤のような栄養補助食品からなる群より選択される。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は、化学療法剤を含む治療、及び手術と組み合わせて投与され得る。本明細書で使用される句「と組み合わせて」は、抗PD-1抗体が放射線療法及びさらなる治療剤の投与と当時に、投与の直前に、又は投与直後に被験体に投与されることを意味する。特定の実施態様において、さらなる治療剤は抗PD-1抗体と同時処方(co-formulation)として投与される。
【0053】
特定の実施態様において、本発明は、大きな腫瘍又は進行性の悪性腫瘍を処置するための方法を含み、該方法は、それを必要とする被験体に、放射線療法及びさらなる治療剤と組み合わせて抗PD-1抗体を投与することを含み、ここでさらなる治療剤は、制御性T細胞(Treg)-媒介免疫抑制を克服するために投与される。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、抗GITR抗体、抗LAG3抗体、シクロホスファミド、及びGM
-CSFからなる群より選択される。
【0054】
本明細書で使用される用語「大きな腫瘍」は腫瘍のサイズを指す。これは典型的にはより高い腫瘍負荷又は腫瘍量と相関する。特定の実施態様において、これは疾患のステージ、例えば進行性悪性腫瘍と相関する。特定の実施態様において、これは転移の増加した可能性と相関する。
【0055】
特定の実施態様において、本発明は、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を、放射線療法及び治療量以下の用量のシクロホスファミドと組み合わせて投与することを含む方法を含む。本明細書で使用されるシクロホスファミドの治療量以下の用量(本明細書では「低用量シクロホスファミド」とも呼ばれる)は、それ自体では治療効果を付与せず、そして好ましくは毒性を生じないシクロホスファミドの量を意味する。本発明の文脈における「治療量以下」と考えられるシクロホスファミドの例となる用量としては、100mg/m2、90mg/m2、80mg/m2又はそれ以下が挙げられる。
【0056】
特定の実施態様において、放射線療法は第一の腫瘍病変に投与されるが、第二の腫瘍病変には投与されず、ここで抗PD-1抗体と組み合わせた投与は、第一及び第二の腫瘍病変の両方において腫瘍退縮をもたらす(アブスコパル効果)。特定の実施態様において、本発明の方法は、長期のアブスコパル効果を生じるために抗PD-1抗体を放射線療法と組み合わせて投与することを含む。
【0057】
特定の実施態様において、本発明の方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量の抗PD-1抗体を、場合により第二の抗腫瘍療法と組み合わせて投与することを含み、ここでこの組み合わせの投与は、腫瘍増殖の増加した阻害をもたらす。特定の実施態様において、腫瘍増殖は、未処置の被験体又は単剤療法としての抗体もしくは第二の抗腫瘍療法のいずれかを投与された被験体と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%又は約80%阻害される。特定の実施態様において、抗PD-1抗体及び/又は第二の抗腫瘍療法の投与は、増加した腫瘍退縮、腫瘍縮小及び/又は消失をもたらす。特定の実施態様において、抗PD-1抗体及び/又は化学療法の投与は、腫瘍増殖及び発生の遅延をもたらし、例えば、腫瘍増殖は、未処置の被験体又は単剤療法として抗体もしくは化学療法で処置された被験体と比較して、約3日、3日より長く、約7日、7日より長く、15日より長く、1か月より長く、3か月より長く、6ヶ月より長く、1年より長く、2年より長く、又は3年より長く遅延され得る。特定の実施態様において、第二の抗腫瘍療法(例えば化学療法)と組み合わせた抗PD-1抗体の投与は、腫瘍再発を予防し、かつ/又は被験体の生存期間を増加させ、未処置の被験体又は単剤療法として抗体もしくは第二の抗腫瘍療法のいずれかを投与される被験体と比較して、例えば生存期間を15日、1か月より長く、3か月より長く、6か月より長く、12か月より長く、18か月より長く、24か月より長く、36か月より長く、又は48ヶ月より長く増加させる。特定の実施態様において、さらなる抗腫瘍療法と組み合わせた抗PD-1抗体の投与は、無生存生存又は全生存を増加させる。特定の実施態様において、化学療法と組み合わせた抗PD-1抗体の投与は、未処置の被験体又は単剤療法として抗体もしくは化学療法を投与された被験体よりも、被験体における応答及び応答期間を、例えば2%より多く、3%より多く、4%より多く、5%より多く、6%より多く、7%より多く、8%より多く、9%より多く、10%より多く、20%より多く、30%より多く、40%より多く又は50%より多く増加させる。特定の実施態様において、癌を有する被験体への抗PD-1抗体及び/又は第二の抗腫瘍療法の投与は、腫瘍細胞の全ての証拠の完全消失をもたらす(「完全寛解」)。特定の実施態様において、癌を有する被験体への抗PD-1抗体及び/又は第二の抗腫瘍療法の投与は、腫瘍細胞又は腫瘍サイズの少なくとも30%又はそれ以上の減少をもたらす(「部分的応答」)。特定の実施態様において、癌を有する被験体への抗PD-1抗体及び/又は第二の抗腫瘍療法の投与は、新
しい測定可能な病変を含む腫瘍細胞/病変の完全又は分的な消失をもたらす。腫瘍減少は、当該分野で公知の方法のいずれか、例えば、X線、ポジトロン断層撮影(PET)、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、細胞学、組織学、又は分子遺伝子解析により測定することができる。
【0058】
特定の実施態様において、本発明の方法は、それを必要とする被験体に治療有効量の抗PD-1抗体を投与することを含み、ここで抗PD-1抗体の投与は、「標準治療」(例えば、化学療法、手術又は放射線)を投与された患者と比較して、患者の増加した全生存(OS)又は無増悪生存(PFS)をもたらす。特定の実施態様において、PFSは、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、少なくとも1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約2年、約3年又はそれ以上増加する。特定の実施態様において、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、OSは、少なくとも1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約2年、約3年又はそれ以上増加する。
【0059】
制御性T細胞を抑制する方法
特定の局面によれば、本発明は、T制御性(Treg)細胞の活性化及び/又は増殖を抑制又は阻害するための方法を提供する。特定の実施態様において、本発明はTreg細胞の活性化を抑制するための方法を提供する。これらの局面に従う方法は、固形腫瘍を有する被験体を選択すること、並びに抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを、(i)放射線療法、及び(ii)グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アンタゴニストの少なくとも1つと組み合わせて被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、方法は、それを必要とする被験体に、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを、放射線療法及びGITRアンタゴニストと組み合わせて投与することを含む。
【0060】
特定の実施態様において、GITRアンタゴニストは、抗GITR抗体又はその抗原結合フラグメントである。本発明の特定の例となる実施態様によれば、抗GITR抗体又はその抗原結合フラグメントは、USSN 62/256,922(2015年11月18日出願)(その内容は本明細書にそれら全体として加入される)に示される抗GITR抗体のいずれかのアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、及び/又は相補性決定領域(CDR)を含む。本発明の方法の状況において使用することができる他の抗GITR抗体としては、例えば、米国特許第9228016号、同第8709424号、同第8591886号、同第7812135号、又は米国特許公開第20150368349号に示される抗GITR抗体のいずれかが挙げられる。
【0061】
特定の実施態様において、本発明はTreg活性を抑制又は除去するための方法を提供し、該方法は、それを必要とする被験体に、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを、放射線及び細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA)アンタゴニストの1又はそれ以上の用量と組み合わせて投与することを含む。特定の実施態様において、CTLAアンタゴニストは抗CTLA抗体(例えば、イピリブマブ)である。
【0062】
特定の実施態様において、本発明はTreg活性を抑制又は除去するための方法を提供し、該方法は、それを必要とする被験体に、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを、放射線及びリンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)アンタゴニストの1又はそれ以上の用量と組み合わせて投与することを含む。特定の実施態様において、LAG-3アンタゴニストは抗LAG-3抗体である。本発明の方法の状況において使用することができる抗LAG-3抗体は、USSN 62/239,524(2015年10月9日出願)(その内容はそれら全体として本明細書に加入される)に開示される。
【0063】
特定の実施態様において、本発明はTreg活性を抑制又は除去するための方法を提供し、該方法は、それを必要とする被験体に、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを、放射線及びシクロホスファミドの1又はそれ以上の用量と組み合わせて投与することを含む。
【0064】
一局面において、本発明の方法は、放射線療法並びにGITRアンタゴニスト、抗LAG-3抗体、及びシクロホスファミドからなる群より選択されるさらなる治療剤と組み合わせた、固形腫瘍を有する被験体への抗PD-1抗体の投与を含み、ここで投与は、腫瘍増殖の阻害、腫瘍サイズの減少、腫瘍増殖の遅延、腫瘍転移の阻害、転移性病変の経時的減少、化学療法剤又は細胞傷害剤の減少した使用、増加した生存、完全寛解、部分応答及び安定な疾患からなる群より選択される効果を生じる。特定の実施態様において、投与は被験体における腫瘍負荷の減少を生じる。特定の実施態様において、被験体は大きな腫瘍を有する。本明細書の他所で定義されるように、用語「大きな腫瘍」は腫瘍のサイズを指し、そして増加した腫瘍負荷及び転移の発生の増加した可能性と相関する。特定の実施態様において、この用語は進行性悪性腫瘍を指す。
【0065】
抗PD-1抗体及びその抗原結合フラグメント
本発明の特定の例となる実施態様によれば、方法は治療有効量の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することを含む。本明細書で使用される用語「抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、さらにはそのマルチマー(例えば、IgM)を含む。典型的な抗体において、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてHCVR又はVと略される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C1、C2及びC3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でLCVR又はVと略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(C1)を含む。V及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と名付けられたより保存された領域に組み入れられた、相補性決定領域(CDR)と名付けられた超可変性の領域にさらに細分され得る。各V及びVは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本発明の様々な実施態様において、抗IL-4R抗体(又はその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同じであっても、天然で又は人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ又はそれ以上のCDRの対照解析(side-by-side analysis)に基づいて定義され得る。
【0066】
本明細書で使用される用語「抗体」はまた、完全抗体分子の抗原結合フラグメントを含む。本明細書で使用される用語抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」及び同様のものは、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、天然に存在するか、酵素的に得ることができるか、合成の、又は遺伝子操作されたポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、例えば、タンパク質分解消化、又は抗体可変ドメイン及び場合により定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含む組み換え遺伝子操作技術のようないずれかの適切な標準的技術を使用して完全抗体分子から誘導され得る。このようなDNAは公知であるか、かつ/又は例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか、又は合成することができる。DNAは配列決定され得、そして化学的に又は分子生物学的技術を使用することにより、例えば、1つもしくはそれ以上の可変ドメイン及び/もしくは定常ドメインを適切な構成に配置するため、又はコドンを導入するため、システイン残基を生成するため、アミノ酸を修飾、付加もしくは欠失するなどのために、操作される。
【0067】
抗原結合フラグメントの非限定的な例としては:(i)Fabフラグメント;(ii)
F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;及び(vii)抗体の超可変領域を模倣したアミノ酸残基からなる最小認識単位(例えば、単離された相補性決定領域(CDR)、例えばCDR3ペプチド)、又は拘束FR3-CDR3-FR4ペプチドが挙げられる。他の操作された分子、例えばドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR-グラフト化抗体、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体、ミニボディ(minibodies)、ナノボディ(nanobodies)(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインもまた、本明細書で使用される「抗原結合フラグメント」内に包含される。
【0068】
抗体の抗原結合フラグメントは、典型的には少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、いずれのサイズ又はアミノ酸組成のものでもよく、そして一般的には1つ又はそれ以上のフレームワーク配列に隣接するか又はインフレームである少なくとも1つのCDRを含む。Vドメインと関連するVドメインを有する抗原結合フラグメントにおいて、V及びVドメインは、適切な配置で互いに対して位置づけられ得る。例えば、可変領域は二量体であり得、そしてV-V、V-V又はV-Vダイマーを含有し得る。あるいは、抗体の抗原結合フラグメントは、モノマーV又はVドメインを含有し得る。
【0069】
特定の実施態様において、抗体の抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結された少なくとも1つの可変ドメインを含有し得る。本発明の抗体の抗原結合フラグメント内に見られ得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例となる構成としては:(i)V-C1;(ii)V-C2;(iii)V-C3;(iv)V-C1-C2;(v)V-C1-C2-C3;(vi)V-C2-C3;(vii)V-C;(viii)V-C1;(ix)V-C2;(x)V-C3;(xi)V-C1-C2;(xii)V-C1-C2-C3;(xiii)V-C2-C3;及び(xiv)V-Cが挙げられる。上に列挙された例となる構成のいずれかを含む可変ドメイン及び定常ドメインのいずれかの構成において、可変ドメイン及び定常ドメインは、互いに直接連結されても、完全又は部分的なヒンジ又はリンカー領域で連結されてもよい。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中の隣接する可変及び/又は定常ドメイン間の可動性又は半可動性の連結を生じる、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60又はそれ以上)のアミノ酸からなるものであり得る。さらに、本発明の抗体の抗原結合フラグメントは、互いに非共有結合で結合した上で列挙した可変ドメイン及び定常ドメイン構成のいずれか、並びに/又は1つもしくはそれ以上のモノマーVもしくはVドメインとの(例えば、ジスルフィド結合による)、ホモダイマー又はヘテロダイマー(又は他のマルチマー)を含み得る。
【0070】
本明細書で使用される用語「抗体」はまた、多選択性(multispecific)(例えば、二重特異性)抗体も含む。多選択性抗体又は抗体の抗原結合フラグメントは、典型的には少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、ここで各可変ドメインは、別々の抗原、又は同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。いずれの多選択性抗体形式も、当該分野で利用可能な慣用の技術を使用して本発明の抗体又は抗体の抗原結合フラグメントの状況における使用のために適合され得る。例えば、本発明は、免疫グロブリンの1つのアームがPD-1又はそのフラグメントに対して特異的であり、かつ免疫グロブリンの他方のアームが第二の治療標的に対して特異的であるか又は治療部分に結合されている二重特異性抗体の使用を含む方法を含む。本発明の状況において使用することができる例となる二重特異性形式としては、限定することなく、例えば、scFvベースの又は二特異性抗体二重特異性形式、IgG-scFv融合物、二重可変ドメイ
ン(DVD)-Ig、クアドローマ、ノブ-イントゥ-ホール、共通軽鎖(例えば、ノブ-イントゥ-ホールを有する共通軽鎖など)、CrossMab、CrossFab、(SEED)ボディ、ロイシンジッパー、Duobody、IgG1/IgG2、二重作用Fab(DAF)-IgG、及びMab二重特異性形式(例えば、前述の形式の検討についてはKlein et al.2012、mAbs 4:6、1-11、及びそこで引用される参考文献を参照のこと)が挙げられる。二重特異性抗体はまた、例えば、オルソゴナル化学反応性を有する非天然アミノ酸が部位特異的抗体-オリゴヌクレオチド結合体を生成するために使用され、ついでこれが自己集合して規定された組成、原子価及び配置を有するマルチマー複合体となるペプチド/核酸結合体を使用して構築することができる(例えば、Kazane et al.、J.Am.Chem.Soc.[Epub:Dec.4、2012]を参照のこと)。
【0071】
本発明の方法において使用される抗体はヒト抗体であってもよい。本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導された可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことを意図される。それにもかかわらず、本発明のヒト抗体は、例えばCDR及び特にCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発又はインビボでの体細胞変異により導入された変異)を含み得る。しかし、本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、別の哺乳動物種、例えばマウスの生殖系列から誘導されたCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフト化された抗体を含むことを意図されない。
【0072】
本発明の方法において使用される抗体は、組み換えヒト抗体であってもよい。本明細書で使用される用語「組み換えヒト抗体」は、組み換え手段により製造、発現、生成又は単離される全てのヒト抗体、例えば宿主細胞(以下にさらに記載される)にトランスフェクトされた組み換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組み換えヒト抗体ライブラリー(以下にさらに記載される)から単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体[例えば、Taylor et al.(1992) Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照のこと]又は他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含むいずれかの他の手段により製造、発現、生成、もしくは単離された抗体を含むことを意図される。このような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導された可変領域及び定常領域を有する。しかし、特定の実施態様において、このような組み換えヒト抗体はインビトロ変異誘発を受け(又は、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物を使用する場合、インビボ体細胞変異)、したがって組み換え抗体のV及びV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列V及びV配列から誘導されかつそれらに関連するが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に存在しないかもしれない。
【0073】
特定の実施態様によれば、本発明の方法において使用される抗体はPD-1に特異的に結合する。用語「特異的に結合する」又は同様のものは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗原と生理的条件下で比較的安定な複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定するための方法は、当該分野で周知であり、これらとしては、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴等が挙げられる。例えば、本発明の文脈において使用されるPD-1に「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定して、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満又は約0.5nM未満のKでPD-1又はその部分に結合する抗体を含む。しかし、ヒトPD-1に特異
的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のPD-1分子のような他の抗原に対して交差反応性を有し得る。
【0074】
本発明の特定の例となる実施態様によれば、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、米国特許公開第20150203579号(本明細書にその全体として加入される)に示されるような抗PD-1抗体のいずれかのアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、及び/又は相補性決定領域(CDR)を含む。特定の例となる実施態様において、本発明の方法の状況において使用することができる抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む。特定の実施態様によれば、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)及び3つのLCDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含み、ここでHCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;そしてLCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施態様において、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1を含むHCVR及び配列番号2を含むLCVRを含む。特定の実施態様において、本発明の方法は抗PD-1抗体の使用を含み、ここで抗体は配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施態様において、抗PD-1抗体は配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む例となる抗体は、REGN2810として知られる完全ヒト抗PD-1抗体(セミプリマブ(cemiplimab)としても知られる)である。特定の例となる実施態様によれば、本発明の方法は、REGN2810、又はその生物学的同等物(bioequivalent)の使用を含む。本明細書で使用される用語「生物学的同等物」は、単回用量又は複数回用量のいずれかで同様の実験条件下で同じモル用量で投与された場合に、その吸収の速度及び/又は程度がREGN2810の速度及び/又は程度と有意な差異を示さない薬学的同等物又は薬学的代替物である、抗PD-1抗体又はPD-1結合タンパク質又はそれらのフラグメントを指す。本発明の状況において、この用語は、それらの安全性、純度及び/又は効力においてREGN2810と臨床的に意味のある差異を有していない、PD-1に結合する抗原結合タンパク質を指す。
【0075】
本発明の方法の状況において使用することができる他の抗PD-1抗体としては、例えば、ニボルマブ(米国特許第8008449号)、ペムブロリズマブ(米国特許第8354509号)、MEDI0608(米国特許第8609089号)、ピディリズマブ(米国特許第8686119号)、又は米国特許第6808710号、同第7488802号、同第8168757号、同第8354509号、同第8779105号、もしくは同第8900587号に示される抗PD-1抗体のいずれかとして呼ばれかつ公知である抗体が挙げられる。
【0076】
本発明の方法の状況において使用される抗PD-1抗体は、pH依存性結合特徴を有し得る。例えば、本発明の方法における使用のための抗PD-1抗体は、中性pHと比較して酸性pHでPD-1に対する減少した結合を示し得る。あるいは、本発明の抗PD-1抗体は、中性pHと比較して酸性pHでその抗原に対して増強された結合を示し得る。表現「酸性pH」は、約6.2未満、例えば、約6.0、5.95、5.9、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0又はそれ以下のpH値を含む。本明細書で使用される表現「中性pH」は約7.0~約7.4のpH値を含む。表現「中性pH」は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.2
5、7.3、7.35、及び7.4のpH値を含む。
【0077】
特定の例において、「中性pHと比較して酸性pHでPD-1に対して減少した結合」は、中性pHでのPD-1に対する抗体結合のK値に対する酸性pHでのPD-1に対する抗体結合のK値の比(又はその逆)に関して表現される。例えば、抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、約3.0又はそれ以上の酸性/中性K比を示す場合に、本発明の目的のために「中性pHと比較して酸性pHでPD-1に対して減少した結合」を示すとみなされ得る。特定の例となる実施態様において、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントについての酸性/中性K比は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、100.0、又はそれ以上であり得る。
【0078】
pH依存性結合特徴を有する抗体は、例えば、中性pHと比較して酸性pHで特定の抗原に対する減少した(又は増強された)結合について抗体の集団をスクリーニングすることにより得られ得る。さらに、アミノ酸レベルでの抗原結合ドメインの改変により、pH依存性特徴を有する抗体が得られ得る。例えば、抗原結合ドメイン(例えば、CDR内)の1又はそれ以上のアミノ酸をヒスチジン残基で置換することにより、中性pHと比較して酸性pHで減少した抗原結合を有する抗体が得られ得る。本明細書で使用される表現「酸性pH」は6.0又はそれ以下のpHを意味する。
【0079】
組み合わせ治療
特定の実施態様によれば、本発明の方法は、さらなる抗腫瘍療法を抗PD-1抗体と組み合わせて被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、本発明の方法は、癌を処置するための付加的又は相乗的活性のために抗PD-1抗体と組み合わせて放射線療法又は化学療法を投与することを含む。本明細書で使用される表現「と組合わせて」は、さらなる抗腫瘍療法が抗PD-1抗体の前、後又は抗PD-1抗体と同時に投与されることを意味する。用語「と組み合わせて」はまた、抗PD-1抗体及びさらなる抗腫瘍療法の連続的又は同時の投与も含む。例えば、さらなる抗腫瘍療法の「前に」投与される場合、抗PD-1抗体は、さらなる療法の投与の150時間前より前に、約150時間前に、約100時間前に、約72時間前に、約60時間前に、約48時間前に、約36時間前に、約24時間前に、約12時間前に、約10時間前に、約8時間前に、約6時間前に、約4時間前に、約2時間前に、約1時間前に、又は約30分前に、約15分前に又は約10分前に投与され得る。さらなる抗腫瘍療法の「後に」投与される場合、抗PD-1抗体は、さらなる抗腫瘍療法の投与の約10分後に、約15分後に、約30分後に、約1時間後に、約2時間後に、約4時間後に、約6時間後に、約8時間後に、約10時間後に、約12時間後に、約24時間後に、約36時間後に、約48時間後に、約60時間後に、約72時間後に、又は72時間後より後に投与され得る。さらなる抗腫瘍療法と「同時」の投与は、抗PD-1抗体がさらなる抗腫瘍療法の投与の10分未満以内(前、後又は同時)に被験体に投与されることを意味する。
【0080】
特定の実施態様において、本発明の方法は、抗癌薬であるさらなる治療剤の投与を含む。本明細書で使用される「抗癌薬」は癌を処置するために有用な薬剤を意味し、これらとしては、限定されないが、細胞毒及び代謝拮抗薬のような薬剤、アルキル化剤、アントラサイクリン系薬剤、抗生物質、有糸分裂阻害薬、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、ミトタン(mytotane)(O,P’-(DDD))、生物製剤(例えば、抗体及びインターフェロン)及び放射性薬剤が挙げられる。本明細書で使用される「細胞毒又は細胞傷害性薬剤」ははまた化学療法剤を指し、そして細胞に対して有害な薬剤を意味する。例としては、限定されないが、Taxol(R)
パクリタキセル)、テモゾロミド(temozolamide)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、シスプラチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンビアスチン(vinbiastine)、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシン(anthracin)ジオン、ミトキサントロン、ミスラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン並びにそれらのアナログ又はホモログが挙げられる。
【0081】
特定の実施態様において、本発明の方法は、手術、放射線、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害剤(例えば、米国特許公開第2015/0203580号に開示される抗PD-L1抗体又はアテゾリズマブ)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4(CTLA-4)阻害剤(例えば、イピリムマブのような抗CTLA-4抗体)、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子(GITR)阻害剤、T細胞免疫グロブリン及びムチン含有-3(TIM3)阻害剤、B-及びT-リンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD47阻害剤、別のT細胞補助阻害剤(co-inhibitor)もしくはリガンドのアンタゴニスト(例えば、CD-28、2B4、LY108、LAIR1、ICOS、CD160又はVISTAに対する抗体)、CD20阻害剤(例えば、抗CD20抗体、又は二重特異性CD3/CD20抗体)、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト[例えば、アフリベルセプトのような「VEGF-トラップ」又はUS 7,087,411に記載されるような他のVEGF阻害融合タンパク質、又は抗VEGF抗体もしくはその抗原結合フラグメント(例えば、ベバシズマブ、又はラニビズマブ)、又はVEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、又はパゾパニブ)]、アンジオポエチン2(Ang2)阻害剤(例えば、ネスバクマブ(nesvacumab))、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤(例えば、エルロチニブ、セツキシマブ)、同時刺激性受容体に対するアゴニスト(例えば、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質に対するアゴニスト)、腫瘍特異的抗原[例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、癌胎児抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍-M2-PK、前立腺特異的抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1、及びCA19-9]に対する抗体、ワクチン(例えば、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus
Calmette-Guerin)、癌ワクチン)、シクロホスファミド、抗原提示を増加させるアジュバント(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、細胞毒、化学療法剤(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、及びビンクリスチン)、インターロイキン-6受容体(IL-6R)阻害剤(例えば、サリルマブ)、IL-4R阻害剤(例えば、デュピルマブ)、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21、及びIL-15のようなサイトカイン、抗体-薬物結合体(ADC)(例えば、抗CD19-DM4 ADC、及び抗DS6-DM4 ADC)、キメラ抗原受容体T細胞(例えば、CD19-標的化T細胞)、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、及び非ステロイド系抗炎症薬)、並びに抗酸化剤のような栄養補助食品からなる群より選択されるさらなる治療剤又は治療レジメンもしくは手順の投与を含む。
【0082】
特定の実施態様において、本発明の方法は、長期の長持ちする抗腫瘍応答を生じるため、かつ/又は癌患者の生存を増強するために、放射線療法及び場合により抗GITR抗体と組み合わせて抗PD-1抗体を投与することを含む。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、抗PD-1抗体及び抗GITR抗体投与の前、投与と同時又は後に癌患者
に放射線療法を投与することを含む。例えば、放射線療法は、抗体の1又はそれ以上の用量の投与後に腫瘍病変に1又はそれ以上の用量で投与され得る。いくつかの実施態様において、放射線療法は、抗PD-1抗体及び/又は抗GITR抗体の全身投与後に、患者の腫瘍の局所免疫原性を増強するため(アジュバント作用性(adjuvinating)放射線)かつ/又は腫瘍細胞を死滅させるために(切除性(ablative)放射線)、腫瘍病変に局所投与され得る。特定の実施態様において、放射線療法は第一の腫瘍病変に投与されるが、第二の腫瘍病変には投与されず、ここで抗PD-1抗体と組み合わせた投与は、第一の腫瘍病変及び第二の腫瘍病変の両方において腫瘍退縮をもたらす(アブスコパル効果)。特定の実施態様において、本発明の方法は、放射線療法及び場合により抗GITR抗体と組み合わせて抗PD-1抗体を投与して長期のアブスコパル効果を生じることを含む。
【0083】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体は、放射線療法及び化学療法剤(例えば、テモゾロミド又はシクロホスファミド)、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプト)、又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と組み合わせて投与され得る。
【0084】
医薬組成物及び投与
本発明は、放射線と組み合わせて抗PD-1抗体を被験体に投与することを含む方法を含み、ここで抗PD-1抗体は医薬組成物内に含有される。本発明の医薬組成物は、適切な担体、賦形剤、及び適切な移送、輸送、耐性など提供する他の薬剤を用いて製剤化され得る。多数の適切な処方が、全ての薬剤師に公知の処方集において見ることができる:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA。これらの処方としては、例えば、散剤、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)含有小胞(例えばLIPOFECTINTM)、DNA結合体、無水吸収ペースト、水中油及び油注水エマルション、carbowaxエマルション(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル、及びcarbowaxを含有する半固形混合物が挙げられる。Powell et al.「Compendium of excipients for parenteral formulations」 PDA
(1998) J Pharm Sci Technol 52:238-311も参照のこと。
【0085】
様々な送達系が公知であり、そして本発明の医薬組成物を投与するために使用することができる、例えば、リポソーム中のカプセル封入、マイクロパーティクル、マイクロカプセル、変異体ウイルスを発現することができる組み換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wu et al.、1987、J.Biol.Chem.262:4429-4432を参照のこと)。投与方法としては、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路が挙げられる。組成物は、いずれかの都合の良い経路により、例えば注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜皮膚裏層(linings)(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を通した吸収により投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。
【0086】
本発明の医薬組成物は、標準的な針及びシリンジを用いて皮下又は静脈内で送達され得る。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスは、本発明の医薬組成物の送達において容易に有用性を有する。このようなペン型送達デバイスは再使用可能でも使い捨てでもよい。再使用可能ペン送達デバイスは、一般的に医薬組成物を含有する交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内の全ての医薬組成物が投与され、そしてカートリッジが空になると、空のカートリッジを容易に廃棄することができ、そして医薬組成物を含有する新しいカートリッジと交換され得る。ついでペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てペン型送達デバイスには交換可能なカートリッジはない。むしろ使い
捨てペン型送達デバイスは、デバイス内のレザバー中に保持された医薬組成物を予め充填された状態になっている。レザバーから医薬組成物が空になると、デバイス全体が廃棄される。
【0087】
特定の状況において、医薬組成物は制御放出系で送達され得る。一実施態様において、ポンプが使用され得る。別の実施態様において、ポリマー材料が使用され得る;Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise (eds.)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照のこと。さらに別の実施態様において、制御放出系は、組成物の標的の近傍に配置することができ、したがって全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson、1984、in Medical Applications of Controlled Release、supra、vol.2、pp.115-138を参照のこと)。他の制御放出系はLanger、1990、Science 249:1527-1533による総説において考察されている。
【0088】
注射可能製剤は、静脈内、皮下、皮内、及び筋肉内注射、点滴などのための投薬形態を含み得る。これらの注射可能製剤は、公知の方法により製造され得る。例えば、注射可能製剤は、例えば、上記の抗体又はその塩を、注射に従来に使用される滅菌水性媒体又は油性媒体中に溶解、懸濁又は乳化させることにより製造され得る。注射のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコース及び他の補助剤などを含有する等張性溶液があり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などのような適切な可溶化剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体としては、例えば、胡麻油、大豆油など使用され、これらは安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどのような可溶化剤と組み合わせて使用され得る。したがって注射剤は好ましくは適切なアンプルに充填される。
【0089】
有利には、上記の経口又は非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に合うように適合された単位用量で投薬形態に製造される。このような単位用量での投薬形態としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤等が挙げられる。
【0090】
特定の実施態様において、本発明は、治療量の抗PD-1抗体及び医薬担体を含む医薬製剤を提供する。特定の実施態様において、本発明は、静脈内投与における使用のための医薬組成物で製剤化された抗PD-1抗体を提供する。
【0091】
投与レジメン
本発明は、週に約4回、週に2回、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、5週ごとに1回、6週ごとに1回、8週ごとに1回、12週ごとに1回の投薬頻度、又は治療応答が達成される限りそれ以下の頻度で、被験体に抗PD-1抗体を投与することを含む方法を含む。特定の実施態様において、該方法は、週に約2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週ごとに1回、5週ごとに1回、6週ごとに1回、8週ごとに1回、9週ごとに1回、12週ごとに1回の投薬頻度、又は治療応答が達成される限りそれ以下の頻度で、第二の抗腫瘍療法(例えば、化学療法)と組み合わせて抗PD-1抗体を投与することを含む。
【0092】
特定の実施態様において、本発明の方法は放射線療法を投与することを含み、ここで放射線療法は少分割照射法である。特定の実施態様において、少分割照射法は2~12の分割線量を含む。特定の実施態様において、2~12の分割線量は連続した日に投与される。特定の実施態様において、放射線療法は、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を投
与した後に投与される。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は放射線療法の1又はそれ以上の分割線量の投与の0.5~2周間前に投与される。
【0093】
本発明の特定の実施態様によれば、第二の抗腫瘍療法(例えば、化学療法)と組み合わせた抗PD-1抗体の複数回用量は、規定された時間経過にわたって被験体に投与され得る。本発明のこの局面に従う方法は、第二の抗腫瘍療法の1又はそれ以上の用量と組み合わせて抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を被験体に連続的に投与することを含む。本明細書で使用される「連続的に投与すること」は、抗体の各用量が、異なる時点で、例えば所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間又は数か月)だけ離れた異なる日に被験体に投与されることを意味する。特定の実施態様において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を連続的に投与することを含み、ここで各用量は、直前の投薬の0.5~12週間後に投与される。特定のさらなる実施態様において、該方法は、第二の抗腫瘍療法(例えば、化学療法)を投与することをさらに含む。特定の実施態様において、化学療法は白金ベースの化学療法であり得る。特定の実施態様において、該方法は、化学療法の1又はそれ以上の用量を投与することをさらに含み、ここで各用量は直前の投薬の1~6週間後に投与される。
【0094】
特定の実施態様において、本発明は、患者に抗PD-1抗体の単回初期用量、続いて抗PD-1抗体の1又はそれ以上の二次用量、そして場合によりその後抗PD-1抗体の1又はそれ以上の三次用量を連続的に投与することを含む方法を含む。特定の実施態様において、該方法は、患者に化学療法の単回初期用量、続いて化学療法の1又はそれ以上の二次用量、そして場合によりその後化学療法の1又はそれ以上の三次用量を連続的に投与することをさらに含む。用語「初期用量」、「二次用量」、及び「三次用量」は、投与の時間的順序を指す。したがって、「初期用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量であり(「ベースライン用量」とも呼ばれる);「二次用量」は初期用量の後に投与される用量であり;そして「三次用量」は二次用量の後に投与される用量である。初期、二次、及び三次用量は、全て同じ量の抗体(抗PD-1抗体)を含有していてもよい。しかし、特定の実施態様において、初期、二次及び/又は三次用量に含有される量は、処置の過程で互いに異なる(例えば、必要に応じて上下に調整される)。特定の実施態様において、1又はそれ以上(例えば、1、2、3、4、又は5)の用量が処置レジメンの開始時に「負荷用量」として投与され、続いてより低い頻度でその後の用量が投与される(例えば、「維持量」)。例えば、抗PD-1抗体は、癌患者に約1~3mg/患者の体重kgの負荷用量、続いて約0.1~約20mg/患者の体重kgの1又はそれ以上の維持量で投与され得る。
【0095】
本発明の1つの例となる実施態様において、各二次及び/又は三次用量は、直前の投薬の~14(例えば、、1、1、2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、9、9、10、10、11、11、12、12、13、13、14、14、又はそれ以上)週後に投与される。本明細書で使用される句「直前の投薬」は、一連の複数回投与における、介在する投薬なしにすぐ次の用量の投与の前に患者に投与される抗PD-1抗体(及び場合により、第二の抗腫瘍療法)の投薬を意味する。
【0096】
本発明のこの局面に従う方法は、患者に抗PD-1抗体(及び/又は第二の抗腫瘍療法)のいずれかの数の二次及び/又は三次用量を投与することを含み得る。例えば、特定の実施態様において、単回二次用量のみが患者に投与される。他の実施態様において、2又はそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の二次用量が患者に投与される。同様に、特定の実施態様において、単回三次用量のみが患者に投与される。他の実施態様において、2又はそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の三次用量が患者に投与される。
【0097】
複数回二次用量を含む実施態様において、各二次用量は、他の二次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各二次用量は、直前の投薬の1~2週間後に患者に投与され得る。同様に、複数回三次用量を含む実施態様において、各三次用量は、他の三次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各三次用量は、直前の投薬の2~4週間後に患者に投与され得る。あるいは、二次及び/又は三次用量が患者に投与される頻度は、処置レジメンの過程にわたって変化し得る。投与頻度はまた、処置の過程の間に臨床検査後の個々の患者の必要性に依存して医師により調整され得る。
【0098】
特定の実施態様において、抗PD-1抗体の及び/又は第二の抗腫瘍療法の1又はそれ以上の用量は、処置の開始時に「導入量」としてより高頻度で(週に2回、週に1回又は2週間に1回)投与され、続いて、その後の用量(「地固め用量(consolidation doses)」又は「維持量」)がより低い頻度で(例えば、2~12週間に1回)投与される。特定の実施態様において、抗PD-1抗体及び/又は放射線の1又はそれ以上の用量は、処置レジメンの開始時に「導入量」としてより高頻度で(週に2回、週に1回、又は2週間に1回)投与され、続いて抗PD-1抗体のその後の用量が投与される。
【0099】
本発明は、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量を、さらなる抗腫瘍療法の1又はそれ以上の用量と組み合わせて連続的に投与することを含む方法を含み、ここで1又はそれ以上の用量は1又はそれ以上の処置サイクルに含まれる。
【0100】
本発明の特定の実施態様によれば、該方法は少なくとも1つの処置サイクルで投与することを含み、ここで少なくとも1つの処置サイクルは、抗PD-1抗体の1又はそれ以上の用量、及び場合により第二の抗腫瘍療法(例えば、化学療法、放射線)の1又はそれ以上の用量の投与を含む。特定の実施態様において、処置サイクルは抗PD-1抗体の1~10用量を含み、ここで抗PD-1抗体の各用量は、直前の投薬の0.5~8週間後に投与される。特定の実施態様において、本発明の方法は、6又は8までの処置サイクルの投与を含む。特定の他の実施態様において、本発明の方法は、100までの処置サイクル、又は治療効果の必要に応じてそれ以上の投与を含む。特定の実施態様において、少なくとも1つの処置サイクルは第二の抗腫瘍療法(例えば、化学療法)をさらに含む。いくつかの実施態様において、化学療法は白金ベースの化学療法である。特定の実施態様において、化学療法の用量は1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間又はそれ以上ごとに1回投与される。
【0101】
本発明は、癌(例えば、肺癌)を処置して増加した抗腫瘍有効性(例えば、未処置の被験体又は単剤療法として抗体もしくは化学療法のいずれかを投与された被験体と比較して、腫瘍増殖のより高い阻害、腫瘍再発の増加した予防)を生じるために、化学療法と組み合わせた抗PD-1抗体の連続的投与を含む方法を含む。いくつかの実施態様において、化学療法は抗PD-1抗体の前、後又は同時に投与される。
【0102】
投薬量
本発明の方法に従って被験体に投与される抗PD-1抗体の量は、一般に治療有効量である。本明細書で使用される句「治療有効量」は:(a)癌、例えば固形腫瘍の症状もしくは徴候の重症度もしくは期間の減少;(b)腫瘍増殖の阻害、もしくは腫瘍壊死の増加、腫瘍縮小及び/若しくは腫瘍消失;(c)腫瘍増殖及び発生の遅延;(d)腫瘍転移の阻害;(e)腫瘍増殖の再発の予防;(f)癌を有する被験体の生存の増加;並びに/又は(g)未処置の被験体もしくは単剤療法として抗体を投与された被験体と比較して、従来の抗癌療法の使用もしくは必要性の減少(例えば、化学療法又は細胞傷害剤の減少した又は除去された使用)、のうちの1又はそれ以上を生じる抗体(抗PD-1抗体)の量を
意味する。
【0103】
抗PD-1抗体の場合において、治療有効量は、抗体約0.05mg~約1500mg、約1mg~約1500mg、約10mg~約1400mg、約50mg~約1400mg、約75mg~約1400mg、又は約100mg~約1300mgであり得る。例えば、様々な実施態様において、抗PD-1抗体の量は、抗PD-1抗体約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約150mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1400mg、又は約1500mgである。一実施態様において、抗PD-1抗体250mgが、本発明の方法に従って投与される。一実施態様において、抗PD-1抗体200mgが本発明の方法に従って投与される。一実施態様において、抗PD-1抗体350mgが本発明の方法に従って投与される。一実施態様において、抗PD-1抗体1050mgが本発明の方法に従って投与される。
【0104】
個々の用量内に含有される抗PD-1抗体の量は、被験体の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラムで表現され得る(すなわち、mg/kg)。特定の実施態様において、本発明の方法において使用される抗PD-1抗体は、約0.0001~約100mg/被験体の体重kgの用量で被験体に投与され得る。特定の実施態様において、抗PD-1抗体は、約0.1mg/患者の体重kg~約20mg/患者の体重kgの用量で投与され得る。特定の実施態様において、本発明の方法は、約1mg/患者の体重kg、3mg/患者の体重kg、5mg/患者の体重kg又は10mg/患者の体重kgの用量での抗PD-1抗体の投与を含む。
【0105】
特定の実施態様において、患者に投与される抗PD-1抗体の量は、治療有効量より少なくてもよく、すなわち治療量以下の用量でもよい。例えば、抗PD-1抗体の治療有効量が3mg/kgを含む場合、治療量以下の用量は、3mg/kg未満の量、例えば、2mg/kg、1.5mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg又は0.3mg/kgを含む。本明細書いにおいて定義される「治療量以下の用量」は、それ自体では治療効果をもたらさない抗PD-1抗体の量を指す。しかし、特定の実施態様において、抗PD-1抗体の治療量以下の用量は、治療効果を促進するために第二の及び場合により第三の治療剤とともに投与される。
【実施例0106】
以下の実施例は、当業者に本発明の方法及び組成物を製造しそして使用する方法の完全な開示及び記載を提供するために提示されるものであり、そして本発明者らが彼らの発明とみなす範囲を制限することを意図されない。使用される数(例えば、量、温度など)に関して精度を確実にするための努力がなされてきたが、いくらかの実験誤差及び偏差が占めるはずである。別の指示がなければ、部数は質量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、そして圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0107】
実施例1:MC38腫瘍に対する放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体のインビボ有効性
この実施例において、放射線療法と組み合わせたPD-1遮断の効果を、マウスにおいて定着したMC38腫瘍に対して試験した。
【0108】
5x10 MC38結腸癌細胞を、雌性C57BL/6マウス(Jackson Laboratory)の右側腹部に皮下移植した。平均腫瘍体積が約100mmに達した移植9日後に処置を開始した。合計5回の腹腔内注射について、アイソタイプコントロール(2A3、BioXcell)又はPD-1遮断抗体(RMP1-14、BioXCell)のいずれかを5mg/kg、週に2回投与されるように、マウスを無作為に割り当てた。抗体処置の開始の1日後に、放射線療法群に割り当てられたマウスは、12Gyの照射を右側腹部腫瘍に受けた。放射線療法はRS 2000 Biological Research Irradiator(Rad Source)を使用して、部分身体照射固定具(Precision X-ray)及び鉛シート(Images Scientific Instruments)で遮蔽された麻酔したマウス(ケタミン/キシラジン)にに送達された。腫瘍増殖を週に3回、全てのマウスを安楽死させた70~80日目まで評価した。図1は実験の研究設計を示し、これは抗PD-1抗体及び放射線の投与を含む。
【0109】
図2及び表1は、抗PD-1抗体を単独又は放射線と組み合わせて投与されたマウスにおける平均腫瘍体積を示す。
【0110】
【表1】
【0111】
PD-1(RMP1-14)遮断は、局所照射(XRT)と相乗作用を与え、そしてXRT+アイソタイプコントロール処置マウス(2/6マウス)と比較して、MC38腫瘍保有マウスにおいて腫瘍退縮を有意に誘導した(4/6マウス)。腫瘍増殖は、放射線と組み合わせて抗PD-1抗体で処置されたマウスにおいて阻害されたか又は遅延された。500mm腫瘍体積に達するまで20日未満かかった単剤療法のマウスと比較して、抗PD-1抗体及び放射線で処置されたマウスは、500mm腫瘍体積に達するまでに40日より長くかかった。XRT+アイソタイプ処置群(2匹のうち1匹は不採用、腫瘍再発)について1.5週間に対して、組み合わせ(XRT+抗PD-1抗体)処置群(4匹のうち1匹はこの時点で腫瘍が再発し、不採用)について4週間まで腫瘍退縮が持続した。この腫瘍モデルにおいて、単剤療法としてのPD-1遮断は、原発腫瘍増殖に対して効果を有していなかった。
【0112】
【表2】
【0113】
組み合わせ処置(XRT+抗PD-1抗体)の治療有効性を、他の全ての処置群と比較したこの群の統計的に増加した全生存により実証した(腫瘍移植70日後に50%生存):アイソタイプコントロール(70日目に0%生存)、抗PD-1抗体処置(70日目に0%生存)、及びXRT+アイソタイプ処置マウス(70日目に17%生存)(図3;表2)。
【0114】
実施例2:B16腫瘍に対する抗PD-1抗体及び放射線のインビボ有効性
この実施例において、放射線療法と組み合わせた抗マウスPD-1抗体の抗腫瘍効果を、マウスにおける定着したB16腫瘍に対して調べた。
【0115】
2x10 B16F10.9黒色腫細胞を、雌性C57BL/6マウス(Jackson Laboratory)の右側腹部に皮下移植した。平均腫瘍体積が約150mmに達したときに処置を開始した。アイソタイプコントロール(2A3、BioXcell)又はPD-1遮断抗体(RMP1-14、BioXCell)のいずれかを5mg/kgで週に2回、合計5回の腹腔内注射で受けるようにマウスを無作為に割り当てた。抗体処置開始の1日後に、放射線療法群に割り当てられたマウスは、8Gyの照射をそれらの右側腹部腫瘍に受けた。放射線療法はRS 2000 Biological Research Irradiator(Rad Source)を使用して、部分身体照射固定具(Precision X-ray)及び鉛シート(Images Scientific Instruments)で遮蔽した麻酔した(ケタミン/キシラジン)マウスに送達された。腫瘍増殖を、全てのマウスを安楽死させた70~80日目まで週に3回評価した。図4は抗PD-1抗体及び放射線の投薬を含む実験の研究設計を示す。
【0116】
局所照射(XRT)と組み合わせたPD-1(RMP1-14)遮断抗体処置は、XRT又は抗PD-1抗体単剤療法と比較して、B16原発腫瘍増殖を遅延させた(図5;表3)。
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
XRTと抗PD-1抗体との処置の組み合わせは、XRT単独(50日目までに0%生存)、抗PD-1抗体単独(40日までに0%生存)、及びアイソタイプ単独(30日までに0%生存)(図6;表4)と比較して、全生存を増加させた(移植50日後に50%生存)。
【0120】
実施例3:放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の転移性肺腫瘍に対するインビボ有効性
この実施例において、放射線療法と組み合わせたPD-1遮断の効果を、マウスにおける定着した転移性腫瘍に対して調べた。
【0121】
1.5x10 4T1乳癌細胞を、雌性Balb/cマウス(Jackson La
boratory)の右側腹部に皮下移植した。平均腫瘍体積が約100mmに達した移植12日後に処置を開始した。アイソタイプコントロール(2A3、BioXcell)又はPD-1遮断抗体(RMP1-14、BioXCell)のいずれかを5mg/kgで週に2回を受けるように、合計5回の腹腔内注射について無作為に割り当てた。抗体処置の開始1日後に、放射線療法群に割り当てられたマウスは、8Gyの照射をそれらの右側腹部腫瘍に受けた。放射線療法は、RS 2000 Biological Research Irradiator(Rad Source)を使用して、部分身体照射固定具(Precision X-ray)及び鉛シート(Images Scientific Instruments)で遮蔽された麻酔したマウス(ケタミン/キシラジン)に送達された。クローン形成能アッセイを使用して肺転移負荷量を評価するために、腫瘍増殖を週に3回、全てのマウスを安楽死させた28日目まで評価した。手短には、肺組織をDNAse/リベラーゼTL(Roche)を用いて分離し、そして60uM 6-チオグアニンを追加した培地で培養した。2週間培養後、プレートをメチレンブルーで対比染色し、そしてコロニーの数を数えた(1つのコロニーは1つの転移性4T1細胞を表す)。
【0122】
放射線と組み合わせた抗PD-1抗体を用いた処置は、腫瘍退縮を促進し、さらには転移性増殖の抑制を媒介するということが期待される。
【0123】
実施例4:放射線療法と組み合わせた抗ヒトPD-1抗体のインビボ有効性は、遠位腫瘍に対するアブスコパル効果を促進する
この実施例において、放射線療法と組み合わせたPD-1遮断の効果を、原発性遠位MC38腫瘍に対して、抗ヒトPD-1抗体を使用してPD-1についてヒト化されたマウスにおいて調べた。
【0124】
この実施例において使用された例となる抗PD-1抗体は、REGN2810(US20150203579に開示されるようにH4H7798Nとも呼ばれる)である、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;配列番号1/2を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対;並びに配列番号3~8を含む重鎖及び軽鎖CDR配列を含む完全ヒトモノクローナル抗PD-1抗体。
【0125】
PD-1についてヒト化されたマウスを、VelociGene(R)technology(Valenzuela et al 2003、Nat.Biotechnol.21:652-659;米国特許出願公開第2015/0366174号)を使用して操作した。
【0126】
5x10 MC38結腸癌細胞を、雌性ヒト化PD-1/C57BL/6マウスに0日目(右側腹部の原発腫瘍)及び3日目(左側腹部の腫瘍;遠位腫瘍)に皮下移植した。平均原発腫瘍体積が約150mmに達したときに処置を開始した。合計8回の腹腔内注射について、アイソタイプコントロール又はPD-1遮断抗体(REGN2810)のいずれかを5mg/kgで、週に2回受けるようにマウスを無作為に割り当てた。抗体処置の1日後に、放射線群に割り当てられたマウスは、8Gyの照射をそれらの右側腹部腫瘍に受けた。放射線療法は、RS 2000 Biological Research Irradiator(Rad Source)を使用して、部分身体照射固定具(Precision X-ray)及び鉛シート(Images Scientific Instruments)で遮蔽された麻酔したマウス(ケタミン/キシラジン)に送達された。原発及び続発腫瘍増殖を、全てのマウスを安楽死させた70~80日目まで週に3回評価した。図7は抗PD-1抗体及び放射線の投与を含む実験の研究設計を示す。
【0127】
結果
原発腫瘍:PD-1遮断(REGN2810)処置は、XRT+アイソタイプコントロール処置マウス(1/6無腫瘍マウス)と比較して、原発MC38腫瘍の拒絶において局所照射(XRT)と相乗作用を与えた(6匹の無腫瘍マウスのうち4匹)。腫瘍退縮は、組み合わせ処置群において、XRT+アイソタイプ処置群についての3週間(この時点で拒絶された腫瘍が再発した)に対して、実験の終わりまで8週間持続した(図8;表5)。
【0128】
【表5】
【0129】
単剤療法としてのPD-1遮断は5匹のマウスのうち2匹において拒絶を媒介したが;しかし、原発腫瘍を拒絶したマウスのうち1匹は、続発腫瘍増殖で死亡し、1匹のマウスしか実験の終了まで生存しなかったという結果を生じた。組み合わせ処置(XRT+REGN2810)の潜在的治療有効性は、全ての他の群:アイソタイプコントロール又はXRT単独(70日目に0%生存)、及び単剤療法としてのREGN2810(70日目に20%生存)と比較して、統計的に増加した全生存(移植70日後に約67%生存)により実証された(図9;表6)。
【0130】
【表6】
【0131】
遠位腫瘍:XRTと組み合わせたREGN2810は、XRT単独(2/6無遠位腫瘍)、REGN2810単独(1/6無遠位腫瘍)、及びアイソタイプコントロール処置マウス(1/6無遠位腫瘍)と比較して、6匹の無腫瘍マウスのうち5匹でアブスコパル効果を有意に促進した(遠位部位で移植された腫瘍拒絶)(図10;表7)。
【0132】
【表7】
【0133】
実施例5:MC38腫瘍に対する放射線及びGITRアンタゴニストと組み合わせた抗PD-1抗体のインビボ有効性
この実施例において、放射線療法及びグルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アンタゴニスト(抗GITR抗体)と組合わせたPD-1遮断の効果を、マウスにおける大きな定着されたMC38腫瘍に対して調べた。
【0134】
5x10 MC38結腸癌細胞を、雌性C57BL/6マウス(Jackson Laboratory)の右腹側部に皮下移植した。平均腫瘍体積が約150~200mm(「大きな腫瘍」と分類される)に達したときに処置を開始した。合計5回の腹腔内注射について、アイソタイプコントロール抗体(2A3又はLTF-2;BioXcell)、抗PD-1抗体(RMP1-14;BioXcell)、抗GITR抗体(DTA-1;BioXcell)、又は抗PD-1抗体と抗GITR抗体との両方の組み合わせのいずれかを、5mg/kgで週に2回受けるように、無作為に割り当てられた。抗体処置の開始の1日後に、放射線療法群に割り当てられたマウスは、8Gyの照射を右側腹部腫瘍に受けた。放射線療法は、RS 2000 Biological Research
Irradiator(Rad Source)を使用して、部分身体照射固定具(P
recision X-ray)及び鉛シート(Images Scientific Instruments)で遮蔽された麻酔されたマウス(ケタミン/キシラジン)に送達された。腫瘍増殖を、全てのマウスを安楽死させた70~80日目まで週に3回評価した。図11は、抗PD-1抗体、抗GITR抗体、及び放射線の投与を含む実験の研究設計を示す。
【0135】
抗PD-1抗体(RMP1-14)処置は、XRT+抗GITR抗体(2/6無腫瘍)、XRT+抗PD-1抗体(2/6拒絶)、又はXRT単独(0/6無腫瘍)処置マウスと比較して、大きなMC38腫瘍の拒絶において局所照射(XRT)及び抗GITR抗体と相乗作用を与えた(6匹のうち4匹無腫瘍マウス)。単剤療法(抗PD-1抗体又は抗GITR抗体を用いた)又は組み合わせ処置(抗PD-1抗体+抗GITR抗体)は、抗PD-1抗体又は抗GITR抗体を用いた腫瘍増殖に対して1/5マウスにおいて拒絶を媒介する最小の効果を有し、そして2つの抗体の組み合わせは、2/5マウスにおいて拒絶を媒介した。腫瘍退縮は、XRT+抗GITR抗体処置マウスについての2週間に対して、三重組み合わせ処置マウスについて処置の開始後6.5週間まで持続した(図12)。
【0136】
【表8】
【0137】
表8及び図13は、放射線療法及び抗GITR抗体と組み合わせて抗PD-1抗体を投与されたマウスの生存を示す。さらに、抗PD-1抗体+XRTの投与は、非常に大きい腫瘍(約300mm)の腫瘍退縮を生じた。
【0138】
実施例6:放射線療法及びGITRアンタゴニストと組み合わせた抗PD-1抗体のB16腫瘍に対するインビボ有効性
この実施例において、放射線療法及びGITRアンタゴニスト(抗GITR抗体)と組み合わせたPD-1遮断の効果を、マウスにおいて定着したB16腫瘍に対して調べた。
【0139】
2.5x10 B16F10.9黒色腫細胞を、雌性C57BL/6マウス(Jackson Laboratory)の右側腹部に皮下移植した。平均腫瘍体積が約100
mmに達したときに処置を開始した。5回の腹腔内注射について、アイソタイプコントロール(2A3、LTF-2;BioXcell)、抗PD-1抗体(RMP1-14、BioXcell)、抗GITR抗体(DTA-1;BioXcell)、又は抗PD-1抗体と抗GITR抗体との両方の組み合わせのいずれかを5mg/kgで週に2回受けるように、マウスを無作為に割り当てた。抗体処置の開始1日後に、放射線療法群に割り当てられたマウスは、8Gyの照射を右側腹部腫瘍に受けた。放射線療法は、RS 2000 Biological Research Irradiator(Rad Source)を使用して、部分身体照射固定具(Precision X-ray)及び鉛シート(Images Scientific Instruments)を用いて遮蔽された麻酔されたマウス(ケタミン/キシラジン)に送達された。腫瘍増殖を、全てのマウスを安楽死させた70~80日目まで週に3回評価した。
【0140】
抗GITR抗体及び放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体は、単剤療法又は放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体より多くの腫瘍退縮を促進し、そして腫瘍増殖を遅延させると期待される。
【0141】
実施例7:進行性固形腫瘍を有する患者における抗PD-1抗体及び放射線療法の臨床試験
この試験は、進行性固形腫瘍を有する成人患者における、単独及び他の抗癌療法(放射線療法を含む)と組み合わせた抗PD-1抗体の有効性、安全性及び忍容性を調べるための、複数回用量漸増及び拡張アームを用いた非盲検、多施設、用量漸増試験である。
【0142】
この研究において使用した例となる抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;配列番号1/2を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対;並びに配列番号3~8を含む重鎖及び軽鎖CDR配列を含む完全ヒトモノクローナル抗PD-1抗体である、REGN2810(US20150203579に開示されるH4H7798Nとしても知られる)である。
【0143】
研究目的
研究の主要目的は、進行性悪性腫瘍を有する患者において、単剤療法として静脈内(IV)に、又は標的化放射線(主として腫瘍切除療法よりもむしろ免疫賦活として役立たせる意図で)、低用量シクロホスファミド(制御性T細胞応答を阻害することが示された治療)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、カルボプラチン、ドセタキセル、もしくはそれらの組み合わせと組み合わせて投与された、REGN2810の安全性、忍容性、用量制限毒性(DLT)を特徴づけることである。
【0144】
研究の副次的目的は:(1)単剤療法として及び他の抗癌療法(標的化放射線、低用量シクロホスファミド、又はその両方)と組み合わせたREGN2810の推奨される第2相用量(RP2D)を決定すること;(2)単独で及び各組み合わせパートナーを用いて、REGN2810の予備的抗腫瘍活性を記載すること;(3)単剤療法として及び他の抗癌療法(標的化放射線、低用量シクロホスファミド、又はその両方)と組み合わせたREGN2810のPKを特徴づけること;並びに(4)REGN2810の免疫原性を評価することを。
【0145】
研究設計の論理的根拠
この研究の用量増大相のための3+3モデルは、様々な用量レベルでの単剤療法として、及び免疫増強処置:シクロホスファミド;2つの投薬レジメンのうちの1つで送達される限定標的化放射線;又は放射線及びシクロホスファミドの組み合わせとの組み合わせの両方でREGN2810の安全性の評価を可能にするように設計される。
【0146】
REGN2810の忍容性が、単独で並びに放射線及び/又はシクロホスファミドと組み合わせて確立されると、選択適応症[NSCLC、BC、HNSCC、CSCC、MSI有する腫瘍(結腸直腸、子宮内膜、前立腺、又は他の腫瘍型)、HCC、及び他の進行性固形腫瘍]における様々な組み合わせ又は単剤両方を使用する複数の拡張コホートが、安全性をさらに確認し、そして抗腫瘍活性の増大を評価するために加えられる。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、カルボプラチン及び/又はドセタキセルは、これらの組み合わせのいくつかに加えられる。
【0147】
表9は、単剤療法及び他の処置様式と組み合わせたREGN2810を使用するコホートのいくつかをリストに挙げる。
【0148】
【表9】
【表10】
【0149】
REGN2810の最初に計画された処置は、48週まで14日ごと、そして24週の経過観察である。放射線はREGN2810の最初の投薬の1週間後に投与される。低用量シクロホスファミドは、REGN2810の最初の4回の用量のそれぞれの1日前にシクロホスファミドに割り当てられた患者に投与される。
【0150】
研究期間
患者は処置を48週まで受けて、その後24週の経過観察期間が続く。48週の処置期間が完了するまで、又は疾患進行、許容できない毒性、同意の撤回、もしくは別の研究離脱基準を満たすまで、患者は処置を受ける。最短で24週の処置の後、完全寛解(CR)が確認された患者は、処置を中止し、そして全ての関連する研究評価(例えば、有効性評価)を続ける選択をしてもよい。最短24週の処置の後、3つの連続する腫瘍評価の間変化しなかった安定疾患(SD)又は部分応答(PR)の腫瘍量評価を有する患者も、処置を中止し、そして全ての関連する研究評価(例えば、有効性評価)を続ける選択をしてもよい。
【0151】
研究集団
この研究のための標的集団は、標準的治療の候補ではなく、標準的治療を受けることを望まず、又は臨床的利益をもたらすと期待される利用可能な治療がない、進行性悪性腫瘍を有する患者;及び不治であり、そして標準的な治療にもかかわらず応答することができなかったか又は腫瘍進行を示した悪性腫瘍を有する患者を含む。
【0152】
組入れ基準: 患者は、研究への組み入れに適格となるために以下の基準を満たさなければならない:(1)代替の標準治療選択肢が利用可能ではない固形腫瘍の実証された進行;(2)応答評価のための少なくとも1つの病変。放射線療法に割り当てられる患者は、指標病変を温存しておきながら安全に照射することができ、そしてそれについて考慮される限定された対症的用量での放射線が医学的に適切であると考えられる少なくとも1つのさらなる病変を必要とする;(3)患者は、再発性又は転移性疾患設定において第一選択治療(及び2つ前までの一連の治療)の後に再発したか、又はそれらに対して不応性でなければならず、かつ対照的放射線療法が支持される疾患を有していなければならない;(4)2つ前の一連の治療まで不応性であるマイクロサテライト不安定性(MSI)を有する転移性癌を有する患者;(5)米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス≦1;(6)18歳より上;(7)肝機能:a.総ビリルビン≦1.5x正常上限(ULN;肝臓転移の場合、≦3xULN)、b.トランスアミナーゼ≦3xULN(又は≦5.0xULN、肝臓転移の場合)、c.アルカリホスファターゼ(ALP)≦2.5xULN(又は5.0xULN、肝臓転移の場合);(8)腎機能:血清クレアチニン≦1.5xULN;(9)好中球数(ANC)≧1.5x10/L、c.血小板数≧75x10/L;(10)署名したインフォームドコンセントを提供する能力;並びに
(11)予定された来診、処置計画、検査試験、及び他の試験関連手順を遵守する能力及び意志。
【0153】
試験処置
REGN2810は滅菌単回使用バイアル中の液体として供給される。各バイアルは、25mg/mLの濃度のREGN2810 10mLを引き抜くために十分な体積を含有する。REGN2810は、30分静脈内(IV)注入として外来患者設定で投与される。各患者の用量は個々の体重に依存する。REGN2810の用量は、≧10%の体重変化について各サイクルで調整される。REGN2810は単独で、又は放射線及び/若しくはシクロホスファミドと組み合わせて投与される。シクロホスファミドは200mg/m2で、又は低用量(100mg/m2)として投与される。
【0154】
単剤療法
REGN2810は、外来患者設定でIV注入により30分かけて14日ごとに48週間投与される(すなわち、1日目、15±3、29±3、及び43±3の56日サイクル)。割り当てようとする計画された単剤療法レジメンは:(i)48週間の間14日ごとに30分かけて1mg/kg IV注入;(ii)48週間の間14日ごとに30分かけて3mg/kg注入;(iii)48週間の間14日ごとに30分かけて10mg/kg注入;(iv)48週間の間14日ごとに30分かけて0.3mg/kg注入(MTDが1mg/kg未満と決定された場合);及び(v)48週間の間14日ごとに30分かけて200mg一定用量IV注入を含み得る。
【0155】
組み合わせ療法
併用放射線療法、シクロホスファミド、GM-CSF、カルボプラチン、及びドセタキセルは、処方箋を通して供給され、そしてそれらの利用、用量、用量変更、減少、又は遅延、さらにはそれらの使用から生じる可能性のあるAEは、REGN2810とともに追跡される。
【0156】
REGN2810及び放射線の同時投与(Co-administration):REGN2810は、8日目~12日目の放射線処置と組み合わせて、48週間の間14日ごとに30分かけてIV注入により投与される。計画された組み合わせREGN2810及び放射線療法レジメンは:
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて1mg/kg REGN2810注入、及び
30Gy放射線療法(6Gy×5回/週;REGN2810の最初の投薬の1週間後に、好ましくは連続した日に投与される)
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて1mg/kg REGN2810注入、及び
27Gy放射線療法(9Gy×3回/週;REGN2810の最初の投薬の1週間後に、好ましくは連続した日に投与される)
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて3mg/kg REGN2810注入、及び
30Gy放射線療法(6Gy×5回/週;REGN2810の最初の投薬の1週間後に、好ましくは連続した日に投与される)
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて3mg/kg REGN2810注入、及び
27Gy放射線療法(9Gy×3回/週;REGN2810の最初の投薬の1週間後に、好ましくは連続した日に投与される)
を含み得る。
【0157】
患者は、REGN2810の最初の投薬の1週間後に開始して毎日6Gy投与される5分割線量として与えられる30Gy、又はREGN2810の最初の投薬の1週間後に開始して1日おきに投与される9Gyの3分割線量として与えられる27Gyのいずれかを受ける。放射線に選択される病変は、指標病変を温存しながら焦点照射で安全に照射することができ、かつそれについて考慮される限定された対症的用量での放射線が医学的に適切であると考えられる病変であるべきである。
【0158】
REGN2810及びシクロホスファミドの同時投与:REGN2810は、4用量について14日ごとの低用量シクロホスファミド100mg/m2 IV注入と組み合わせて、14日(2週間)ごとに30分かけてIV注入により投与される。4つのシクロホスファミド用量の各々は、最初の4 REGN2810用量のそれぞれの1日前に投与される(最初の56日サイクルの-1日目、14日目、28日目、及び42日目)。
【0159】
計画された組み合わせREGN2810及びシクロホスファミドレジメンは:
・ 合計4用量についてシクロホスファミド100mg/m2又は200mg/m2 IVを14日ごと(最初の56日サイクルの-1、14、28、及び42日目);及び
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて3mg/kg REGN2810注入(ただし単剤療法用量3mg/kg<MTD;3mg/kg>MTDである場合、用量は1mg/kg
である。
【0160】
REGN2810、放射線及びシクロホスファミドの同時投与:計画された組み合わせREGN2810、放射線、及びシクロホスファミドレジメンは:
・ 合計4用量について14日ごとにシクロホスファミド100mg/m2(低用量)IV(最初の56日サイクルの-1、14、28、及び42日目);及び
・ 27Gy放射線療法(9Gy×3回/週;REGN2810の最初の投薬の7又は8日後、好ましくは連続していない日)又は30Gy放射線療法(6Gy×5回/週;REGN2810の最初の投薬の7又は8日後、好ましくは連続した日);及び
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて3mg/kg REGN2810注入(ただし単剤療法用量3mg/kg<MTD;3mg/kg>MTDである場合、用量は1mg/kg
を含む。
【0161】
REGN2810、放射線及びGM-CSFの同時投与:計画された組み合わせREGN2810、放射線、及びGM-CSFレジメンは:
・ 4回の7日間隔(最初の56日サイクルの1~7日目、15~21日目、29~35日目、及び43~49日目)について、7日間毎日GM-CSF 250mcg SC;及び
・ 27Gy放射線療法(9Gy×3回/週;REGN2810の最初の投薬の1週間後、好ましくは連続していない日に与えられる);及び
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて3mg/kg REGN2810注入(ただし単剤療法用量3mg/kg<MTD;3mg/kg>MTDである場合、用量は1mg/kg)
を含む。
【0162】
REGN2810、放射線、GM-CSF及びシクロホスファミドの同時投与:計画された組み合わせREGN2810、放射線、GM-CSF、及びシクロホスファミドレジメンは:
・ 4回の7日間隔(最初の56日サイクルの1~7日目、15~21日目、29~35日目、及び43~49日目)について、7日間毎日GM-CSF 250mcg SC
;及び
・ 27Gy放射線療法(9Gy×3回/週;REGN2810の最初の投薬の1週間後、好ましくは連続していない日に与えられる);及び
・ 合計4用量についてシクロホスファミド100mg/m2又は200mg/m2 IVを14日ごと(最初の56日サイクルの-1、14、28、及び42日目);及び
・ 48週間の間14日ごとに30分かけて3mg/kg REGN2810注入ただし単剤療法用量3mg/kg<MTD;3mg/kg>MTDである場合、用量は1mg/kg)
を含む。
【0163】
カルボプラチンとともに又はカルボプラチンを用いないREGN2810及びドセタキセルの同時投与:薬物投与の提案された順序は、ドセタキセル、続いてカルボプラチン(カルボプラチン含有コホートに登録された場合)、続いてREGN2810である。:
・ 最初の56日サイクルの1、8、29、及び36日目に約1時間かけてドセタキセル30mg/m2 IV。デキサメタゾン8mg IVはドセタキセルの最初の投薬前に投与される。その後のドセタキセル処置のために、デキサメタゾン前投薬の用量は、治験責任医師の裁量で8mgでも4mgでもよい。
・ 最初の56日サイクルの1、8、29、及び36日目に約30分かけてカルボプラチン AUC 2 IV。カルボプラチン投薬はカルボプラチンラベルに対してCalvert式を使用するべきである。クレアチニンクリアランスはCockcroft-Gault式を使用して計算されるべきである。
・ 48週間14日ごとに約30分かけて3mg/kg REGN2810注入。
【0164】
手順及び評価
実行しようとするスクリーニング手順は、血清ベータ-HCG、脳MRI、及び胸部X線を含む。
【0165】
安全性手順は、病歴、身体検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、凝固、免疫安全性アッセイ(REGN2810で処置される患者について)、B症状の評価及び行動状態の評価、臨床検査試験、AE、及び併用薬を含む。
【0166】
腫瘍評価のために実行しようとする有効性手順は、CTもしくはMRIスキャン、18F-フルオロデオキシグルコース-ポジトロン断層撮影(FDG-PET)スキャン、及び/又は腫瘍生検を含む。腫瘍評価のためのCT又はMRIは、スクリーニング来診時(注入の前28日以内)及び全サイクルの間(およそ8週間ごと)56±3日目、及び疾患進行が疑われる場合に行われる。さらに、試験に進まなかった患者について、腫瘍評価は経過観察来診3、5、及び7に行われる。CTスキャン又はMRIを使用する選択がなされると、その後の評価は同じ手順で行われる。腫瘍応答評価は、固形がんの治療効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid
Tumors )RECISTバージョン1.1(Eisenhauer et al
2009、Eur.J.Cancer 45:228-247)に従って行われる。RECIST測定の標的病変として選択された測定可能な病変は、指標病変として免疫関連応答基準(irRC;Nishino et al 2013、Clin.Cancer
Res.19:3936-3943)にも含まれる。RECIST応答は奏効率の統計的評価として優先される。個々の患者について、irRCは、否定形の応答の可能性に起因して治験責任医師の裁量で処置を継続するか否かに関する決定の情報を与えることができる。
【0167】
PK及び抗薬物抗体(ADA)評価のための血液サンプルを集める。
【0168】
研究変数
研究における主要変数は、処置の48週の間のDLT発生率並びにTEAE及び異常検査所見の発生率及び重症度である。
【0169】
副次的変数は:
・ 適応症についての適切な基準を使用して評価された抗腫瘍活性(本明細書の他所に記載される):
∨ 固形がんの治療効果判定基準(RECIST;Eisenhauer et al
2009、Eur.J.Cancer 45:228-247)CT又はMRIにより測定される基準
∨ 他の評価基準も、RECIST尺度が標準ではない特定の主要について使用される
∨ RECIST尺度に適用される免疫関連応答基準(irRC;Nishino et al 2013、Clin.Cancer Res.19:3936-3943)。全ての場合において、RECIST(又は他の腫瘍特異的基準)は、PD、SD、CR、又はPRを決定するための支配的ツールである。irRCは臨床決定及び情報目的のために集められる。
・ 抗REGN2810抗体の発生率
・ PFS及び全生存により測定される抗腫瘍活性
である。
【0170】
この試験の目的のために、患者は応答について8週間ごとに再評価される。 確証的スキャンも客観的応答又は進行性疾患の最初の文書化の4週間後に得られる。応答及び進行は、この研究において固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(revised
Response Evaluation Criteria in Solid Tumors )(RECIST)ガイドライン(バージョン1.1;Eisenhauer et al 2009、Eur.J.Cancer 45:228-247)により提案される国際基準 を使用して評価される。腫瘍病変の最大直径の変化(一次元測定)及び悪性リンパ節の場合最も短い直径を、RECIST基準において使用する。
【0171】
病変の選択
測定可能疾患:測定可能病変は、少なくとも1つの次元で(記録しようとする最長直径)、胸部x線により≧20mm(≧2cm)又はCTスキャン、MRI、もしくは臨床検査によりノギスで≧10mm(≧1cm)として正確に測定することができるものとして定義される。全ての腫瘍測定はミリメートルで記録されなければならない(又はセンチメートルの小数)。注:放射状に伸びた病変の評価については以下を参照のこと。
【0172】
悪性リンパ節:病理学的に拡大されかつ測定可能であるとみなされるために、リンパ節は、CTスキャンにより評価された場合に短軸で≧15mm(≧1.5cm)でなければならない(推奨されるCTスキャンスライス厚は5mm[0.5cm]より大きい)。ベースライン及び経過観察において、短軸のみが測定され追跡される。
【0173】
測定不能疾患:小さな病変(最長直径<10mm[<1cm]又は≧10から<15mm[≧1~<1.5cm]の短軸を有する病的リンパ節)を含めて全ての他の病変(又は患部)は、測定不能疾患とみなされる。骨病変、軟髄膜疾患、腹水、胸膜/心膜液貯留、リンパ管炎真皮(lymphangitis cutis)/肺炎、炎症性乳房疾患、及び腹部腫瘤(CT又はMRIにより追跡されない)は測定不能とみなされる。注:X線検査で規定された単発性嚢胞についての基準を満たす嚢胞性病変は、規定により単発性嚢胞であるので、悪性病変とはみなされるべきではない(測定可能でも測定不能でもない)。嚢胞転移を表すと考えられる「嚢胞性病変」は、それらが上記の測定可能性を満たす場合、測定可能病変とみなされ得る。しかし、非嚢胞性病変が同じ患者に存在する場合、それ
らは標的病変として選択されることが好ましい。
【0174】
標的病変:全ての含まれる器官の代表である器官あたり2病変及び合計で5病変までの全ての測定可能な病変は、標的病変として同定され、そしてベースラインで測定されるべきである。標的病変は、それらのサイズに基づいて選択され(最長直径を有する病変)、全ての含まれる器官の代表であるが、さらに再現可能な繰り返される測定に役立つものを含む。時々、最大病変が再現可能な測定に役立たない場合があるかもしれず、この状況では、再現良く測定することができる次に大きな病変が選択される。全ての標的病変についての直径(非結節性病変について最長、結節性病変について短軸)の合計を計算しそしてベースライン合計直径として報告する。リンパ節を合計に含めようとする場合、短軸のみが合計に加えられる。ベースライン合計直径は、疾患の測定可能な次元における客観的腫瘍退縮をさらに特徴づけるための参照として使用される。
【0175】
非標的病変:5つの標的病変に加えていずれかの測定可能な病変を含む全ての他の病変(又は患部)を、非標的病変と同定し、そしてベースラインで記録する。これらの病変の測定は必要でないが、それぞれの存在、不在、又は稀な場合には明白な進行が経過観察の間記される。
【0176】
測定可能な疾患の評価方法
全ての測定は定規又はノギスを使用してメートル法表記で行われ記録された。全てのベースライン評価を、処置の開始のできるだけ近くに行い、処置の開始4週より前にはならないようにした。評価の同じ方法及び同じ技術を、ベースラインで及び経過観察の間にそれぞれの同定され報告された病変を特徴づけるために使用するべきである。追跡している病変が臨床検査で評価することができないことがなければ、臨床試験により評価するために画像化ベースの評価が好ましい。
【0177】
臨床病変:臨床病変は、それらが表在性で(例えば、皮膚結節及び触知できるリンパ節)かつノギスで測定して≧10mm(≧1cm)の直径(例えば、皮膚結節)である場合にのみ測定可能とみなされる。皮膚病変の場合、病変のサイズを見積もるための目盛りを含むカラー写真の文書化が推奨される。
【0178】
胸部x線:胸部x線での病変は、それらが明確に規定され通気肺により囲まれる場合に測定可能な病変として許容しうる。しかし、CTが好ましい。
【0179】
従来のCT及びMRI:このガイドラインは、CTスライス厚が5mm(0.5cm)又はそれ以下であるという仮定に基づいてCTスキャンでの病変の測定可能性を規定した。CTスキャンが5mm(0.5cm)より大きいスライス厚を有する場合、測定可能病変の最小サイズはスライス厚の2倍になるはずである。MRIもまた特定の状況において許容しうる。
【0180】
PET-CT:PET-CTの一部として行われるCTが診断用CT(IV及び経口造影を用いる)と同一の診断品質のものである場合、PET-CTのCT部分をRECIST測定に使用することができ、そして癌病変を経時的に正確に測定する際に従来のCTと交換可能に使用され得る。
【0181】
超音波:超音波は病変サイズの評価には有用ではなく、そして測定方法として使用されるべきではない。新しい病変が試験の過程で超音波により同定される場合、CT又はMRIにより確認が勧められる。CTでの放射線曝露についての懸念がある場合、MRIが選択された場合にCTの代わりに使用され得る。
【0182】
内視鏡検査、腹腔鏡検査:目的の腫瘍評価のためのこれらの技術の利用は勧められない。しかし、このような技術は、生検が得られる場合に完全な病理応答を確認するため、又は完全寛解(CR)もしくは外科的切除後の再発が終点である場合の試験における再発を決定するために有用かもしれない。
【0183】
腫瘍マーカー:腫瘍マーカー単独では応答を評価するために使用することはできない。マーカーが初期に正常上限より高い場合、患者を完全臨床応答とみなすためには、それらは正常化しなければならない。
【0184】
細胞学、組織学:これらの技術は、稀なケースにおいて部分応答(PR)と完全寛解(CR)との間を区別するために使用することができる(例えば、公知の残留良性腫瘍が残り得る生殖細胞腫瘍のような腫瘍型における残留病変)。測定可能な腫瘍が応答又は安定疾患の基準を満たした場合に、処置の間に出現するか又は悪化するいずれかの浸出液の新生物起源細胞学的確認は、応答又は安定疾患(浸出液は処置の副作用であってもよい)と進行性疾患との間を区別するために義務付けられる。
【0185】
FDG-PET:FDG-PET応答評価はさらなる試験を必要とするが、進行の評価(特に可能性のある「新しい」疾患)においてCTスキャニングを補完するためにFDG-PETスキャニングの使用を組み込むことが妥当な場合もある。FDG-PET画像化に基づく新しい病変は、以下のアルゴリズムに従って同定することができる:a.ベースラインで陰性FDG-PET及び経過観察での陽性FDG-PETは、新しい病変に基づくPDの徴候である。b.ベースラインでFDG-PETがなく、かつ経過観察で陽性FDG-PET:経過観察での陽性FDG-PETがCTにより確認された部位に相当する場合、これはPDである。経過観察での陽性FDG-PETがCTでの疾患の新しい部位として確認されない場合、その部位で本当に進行が起こっているがどうかを決定するためにさらなる経過観察CTスキャンが必要である(その場合、PDのデータは最初の異常FDG-PETスキャンの日付である)。経過観察での陽性FDG-PETが、解剖学的画像に基づいて進行していないCTでの既存の疾患部位に相当する場合、これはPDではない。 c.FDG-PETは、残留X線検査異常性が線維症又は瘢痕を表す場合、生検に類似した方法で応答をCRへ昇格させるために使用され得る。この状況におけるFDG-PETの使用は、治験実施計画書に予め記載され、そして適応症について疾患に特定の医学文献により支持されているべきである。しかし、両方のアプローチが、FDG-PET及び生検の解像度/感度の限界に起因して偽陽性CRを生じるかもしれないということは認められなければならない。注:「陽性」FDG-PETスキャン病変は、減衰補正画像において周辺組織の2倍より高い取り込みを有するFDG集積(FDG avid)であるものを意味する。
【0186】
標的病変の評価のための応答基準
・ 完全寛解(CR):全ての標的病変の消失。いずれの病理的リンパ節(標的でも非標的でも)も<10mm(<1cm)への短軸の減少を有していなければならない。
・ 部分応答(PR):ベースライン合計直径を参照と考えて、標的病変の直径の合計の少なくとも30%の減少。
・ 進行性疾患(PD):試験で最小の合計(これは、それが試験で最小であるならばベースライン合計を含む)を参照として考えて、標的病変の直径の合計の少なくとも20%の増加。20%の相対的増加に加えて、合計は少なくとも5mm(0.5cm)の絶対的増加も示さなければならない。(注:1つ又はそれ以上の新しい病変の出現も進行とみなされる)。
・ 安定疾患(SD):試験の間の最小の合計直径を参照として考えて、PRの資格を与えるほど十分な縮小もPDの資格を与えるほど十分な増加もない。
【0187】
非標的病変の評価のための応答基準
・ 完全寛解(CR):全ての標的病変の消失及び腫瘍マーカーレベルの正常化。全てのリンパ節はサイズが非病理的でなければならない(<10mm[<1cm]短軸)。注:腫瘍マーカーが初期には正常上限より高い場合、患者が完全臨床応答とみなされるためには、それらは正常化しなければならない。
・ 非CR/非PD:1つもしくはそれ以上の非標的病変の持続及び/又は正常限界より高い腫瘍マーカーレベルの維持。
・ 進行性疾患(PD):1つもしくはそれ以上の新しい病変の出現及び/又は既存の非標的病変の明確な進行。明確な進行は通常は標的病変状態を上回らないべきである。それは単一の病変の増加ではなく、全体的な疾患状態変化の代表でなければならない。
【0188】
免疫関連応答基準
免疫関連応答基準は、全ての標的及びもしある場合は新しい病変の最長直径の合計が応答を決定するために使用される点においてRECIST(バージョン1.1)と異なる。新しい病変の存在自体は進行を決定しない;総腫瘍量が考慮される。
【0189】
標的病変の評価
・ 完全寛解(CR):全ての標的病変の消失。いずれの病理的リンパ節(標的でも非標的でも)も、<10mm(<1cm)への短軸の減少を有していなければならない。
・ 部分的応答(PR):ベースライン合計直径を参照とみなして、新しい病変を含む標的病変の直径の合計の少なくとも30%の減少。
・ 進行性疾患(PD):研究で最小の合計(これは、それが研究での最小である場合はベースライン合計を含む)を参照とみなして、新しい病変を含めて標的病変の直径の合計の少なくとも20%の増加。20%の相対的増加に加えて、合計はまた、少なくとも5mm(0.5cm)の絶対増加も示さなければならない。
・ 安定疾患(SD):研究の間の最小の合計直径を参照とみなし、そして新しい病変の測定を含めて、PRの資格を与えるために十分な縮小も、PDの資格を与えるために十分な増加もない。
【0190】
非標的病変の評価
・ 完全寛解(CR):全ての非標的病変の消失及び腫瘍マーカーレベルの正常化。全てのリンパ節はサイズが非病理的でなければならない(<10mm[<1cm]短軸)。注:腫瘍マーカーが最初は正常上限より高い場合、患者が完全臨床寛解とみなされるためには、それらは正常化しなければならない。
・ 非CR/非PD:1つもしくはそれ以上の非標的病変の持続及び/又は正常限界より高い腫瘍マーカーレベルの維持。
・ 進行性疾患(PD):既存の非標的病変の明確な進行。明確な進行は、通常は標的病変状態を上回らないべきである。それは単一の病変の増加ではなく、全体的な疾患状態変化の代表でなければならない。「非標的」病変のみの明確な進行は例外的であり、処置する医師の選択肢がこのような状況では優先するべきであり、そして進行状態はその後に確認されるべきである。
【0191】
総合応答(overall response)基準の評価
最も良い総合応答は、処置の開始から疾患進行/再発まで記録される最も良い応答である(処置が開始されてから記録された最も小さい測定値を進行性疾患の参照とみなす)。患者の最良応答割り当ては、測定及び確認基準の両方の達成に依存する。固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)バージョン1.1(Eisenhauer et al 2009、Eur.J.Cancer 45:228-247)及び免疫関連応答基準(irRC;Nishino et al 2013、Clin.Cancer Res.19:3936-3943)は以下の表10及び11に要約される。
【0192】
【表11】
【0193】
【表12】
【0194】
放射状標的病変の評価
放射状標的病変を、固形がんの治療効果判定基準(RECIST)委員会、バージョン1.1により提案される国際的基準の改変されたバージョンを用いて評価した。この治験実施計画書に特定のRECIST 1.1ガイドラインを超えるさらなる定義は、局所管理を規定するために組み込まれる。
【0195】
放射状病変についての応答基準は以下のとおりである:
局所拡大(LE):処置が開始されてから記録された最小のLDを参照としてみなして、標的病変のLDの少なくとも20%の増加。理想的には、この決定はCT画像評価に基づいて行われる。
【0196】
局所不全(Local failure)(LF): 治験実施計画書の治療後の原発処置腫瘍を参照し、そして以下の2つの基準の両方の適合に相当する:(1)局所拡大(
LE)について上で定義された腫瘍寸法の20%の増加;(2)LEの基準を満たす測定可能な腫瘍は、前処置進行度診断PETと類似した強度の取り込みを有するポジトロン断層撮影(PET)イメージングでの集積であるべきであり、又は測定可能な腫瘍は、生検で生存癌腫と確認されるべきである。
【0197】
局所管理(LC):局所不全が存在しないこと。
【0198】
適切な組織特異的開窓術を使用して、処置計画CTスキャンから計算された放射状標的病変の最長直径(LD)は、ベースラインLDとして報告される。ベースラインLDは、対象腫瘍を特徴づけるための参照として使用される。経過観察評価のために、予定された治験実施計画書経過観察の一部として取られた、5mm連続的再構成アルゴリズムを使用して肺開窓術を使用して行われた診断CTスキャンが、応答の評価方法として好ましい。CTスキャンが利用可能ではない場合、標的病変が明確に見える限り、MRI又はx線決定が許容される。
【0199】
結果
REGN2810は単独で及び組み合わせて、安全でありかつ患者により許容される。単独で又は他の処置モダリティと組み合わせたREGN2810の投与は、進行性固形腫瘍を有する患者において、腫瘍増殖を阻害し、かつ/又は腫瘍退縮を促進する。総合奏効率は、単剤療法と比較して放射線との組み合わせ治療についてより良好である。
【0200】
進行性固形悪性腫瘍を有する60人の患者(47%が4つ又はそれ以上の以前の治療)今までに処置された。進行性固形悪性腫瘍は、結腸直腸癌、頭頸部癌、乳癌、軟組織肉腫、副腎癌、肛門癌、虫垂癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝癌、非小細胞肺腺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓肉腫様、唾液腺癌、非黒色腫皮膚癌、メルケル細胞癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、小腸癌、甲状腺癌及び子宮癌を含む。
【0201】
42人の患者(70%)が1つ又はそれ以上の処置関連有害事象(AE)を経験した。最もよく見られた処置関連AEは疲労(28.3%)、関節痛(11.7%)及び悪心(11.7%)であった。腫瘍応答について評価された60人の患者のうち、11(18.3%)人に目標の応答(PR/CR)があったが、31人の患者(51.7%)は疾患制御(CR/PR/SD)を示した。放射線療法を含む組み合わせ療法を受けた36人の患者において、目的の応答は6人の患者(16.7%)において見られ、そして疾患制御は19人の患者(52.8%)において見られた。放射線療法を受けなかった24人の患者において、目的の応答は5人の患者(20.8%)において見られ、そして疾患制御は12人の患者(50%)において見られた。表12は応答者の要約を示す。
【0202】
【表13】
【0203】
応答者の中で、単剤療法に対する応答時間中央値は113日(52~226の範囲に及ぶ)であり、放射線療法を用いた患者については59日(56~113の範囲に及ぶ)であった。
【0204】
実施例8:転移性非黒色腫皮膚癌:基底細胞癌及び皮膚扁平上皮細胞癌における持続的な目的の応答を達成する、モノクローナル抗体REGN2810を用いたPD-1遮断の症例報告
導入
基底細胞癌(BCC)及び皮膚扁平上皮細胞癌(CSCC)は、主要な危険因子としてUV光への曝露を共有し、したがってこれらの腫瘍は超変異される(Chalmers et al 2016、AACR Ann.Meeting、Abs 3576)。他の悪性腫瘍において、高い変異量は、PD-1免疫チェックポイントに特異的な抗体を用いた治療からの臨床的利益と関連していた[Le et al 2015、New Engl.J.Med.May 30 (Epub印刷に先立って)]。高度に変異された腫瘍は、PD-1免疫チェックポイントの遮断により解放することができないエフェクターT細胞を誘引する免疫原性腫瘍新生抗原を発現する可能性がより高い(Mandal and Chan 2016、Cancer Discov.6:1-12)。この実施例は、進行する第1相試験(NCT02383212;本明細書の実施例7に記載される)において完全ヒト抗PD-1モノクローナル抗体であるREGN2810で処置された転移性BCCを有する患者及び転移性CSCCを有する患者を記載する。
【0205】
症例報告1
患者はおとがいの左側面に生じた1期BCCと診断された66歳女性であり、これはモース術により切除された。同じ場所における限局性の再発が2年後に同定され、そして幅広い局所切除により左下顎骨への浸潤及び18のリンパ節のうち1つの関与がわかった。患者はアジュバント放射線を受け、そして4年間寛解のままであり、そのとき調査監視胸部イメージングで観察された拡大した肺小結節を生検し、そして転移性BCCの存在が確認された。患者はその後、ヘッジホッグ経路阻害剤(HHI)ビスモデギブを5か月投与された。彼女は初期は応答したが、進行性疾患のために中止した。
【0206】
ビスモデギブ治療の6ヶ月後、継続して遅く進行すると、患者はREGN2810の第1相試験に2週間ごとに10mg/kg IVを投与されるコホートに参加し、そして最初の投薬を受けた。2つの肺転移は標的病変として追跡された。8週目(3%増加)及び16週目(10%減少)の終わりの応答評価は、RECIST基準により安定疾患を示した。24週目の終わりの応答評価は、腫瘍測定の37%の減少を示し(図14A)、そしてこれは32週目に確認された。患者は処置に十分に耐え、そしてREGN2810を10+か月の処置の間継続した。
【0207】
症例報告2
患者は、左頬の皮膚扁平上皮細胞癌と診断された52歳男性であった。彼はモース術を受け、マージンはクリアであった。彼は複数の再発を経験し、そして少なくとも9回のさらなるモース術を受けた。彼は左下顎骨の広い局所切除を4年後に受け、そして左耳下腺摘出術をその後20か月で受けた。また、アジュバント放射線療法は、左頬、左下顎骨、左頸部(セツキシマブを併用)、及び両側頸部(カルボプラチンを併用)に投与された。他の全身療法はカペシタビン、及びシスプラチン+ドセタキセルであった。最初の診断から10年後に、彼は左頸部の2.2cmの瘢痕内(in-scar)再発のために切除を受け、マージンはクリアであった。その後、C4-C5椎体における侵襲性CSCCは、C4-C5前方椎体部分切除術(anterior corpectomy)及びC4-C6後方椎弓切除術(posterior laminectomy)を用いた頸髄の緊急除圧術を必要とした。彼はまた、神経周囲の関与に起因すると考えられる下肢筋力低下を発症し、そして歩行運動のために歩行器の使用を必要とした。
【0208】
彼は2週間ごとに1mg/kg REGN2810を投与される第一コホートに第1相試験で参加した。処置開始の数週内に、彼の下肢強度は穏やかに回復し、そしてもはや歩行器の使用を必要としなくなった。16週目の応答を図14Bに示す。左頸部病変の放射線学的完全寛解が40週目に達成された。患者は計画されたREGN2810を用いた48週の治験実施計画書処置を完了した。彼は、臨床的にも放射線学的にも疾患再発の証拠なしに、緊密で能動的な経過観察を彼の腫瘍内科医とともに続けている。
【0209】
考察
この実施例は、PD-1阻害剤(REGN2810)で処置された転移性BCCを有する患者における最初の確認された部分応答、さらには転移性CSCCを有する患者における持続中の長持ちする完全寛解を開示する。これらの高度に前処置された患者のこの第1相試験における抗PD-1単剤療法に対する深く持続した応答は、BCC及びCSCCにおける高い変異量が、PD-1/PD-L1チェックポイント経路の遮断により開放され得る抗腫瘍細胞免疫を惹起するだろうという仮説と一致する。
【0210】
この実施例は、黒色腫よりほかのUV関連皮膚癌がPD-1遮断に感受性であるという一般原理を支持する。還元主義者(reductionist)モデルは、非同義変異のより高い負荷を有するUV関連腫瘍が、より低い変異負荷を有するものよりもPD-1遮
断に対してより応答性であると予測するだろう。
【0211】
実施例9:切除不能な局所的に進行性又は転移性の皮膚扁平上皮細胞癌(CSCC)を有する患者における抗PD-1抗体の安全性及び有効性
背景
切除不能な局所的に進行性又は転移性のCSCCのための治療の確立された標準はない。UV誘発DNA損傷に起因して、大部分のCSCCは超変異性である。したがって、これらの腫瘍はPD-1チェックポイント遮断に対して応答性かもしれない。この実施例は、REGN2810、完全ヒト抗PD-1モノクローナル抗体で処置された、継続中の第1相試験(NCT02383212;本明細書の実施例7に記載される)。
【0212】
方法
REGN2810の第1相試験における拡張コホート(EC)には、遠位転移性CSCC(EC7)及び局所進行性CSCC(EC8)を有する患者が参加した(表9)。全ての患者は、2週間ごとに48週まで3mg/kg REGN2810を静脈により投与された。研究生検をべ--スライン及び29日目に行った(及び可能であれば進行時)。総合奏効率を決定するために、腫瘍測定を8週間ごとにRECIST 1.1に従って行った。
【0213】
結果
25人の患者が参加した(EC7に10人及びEC8に15人):年齢中央値、72.5歳(y)(範囲、56~88y);PS 1中央値(範囲、0~1);20人男性(M):5人女性(F);以前の全身性治療レジメンの数中央値、1(範囲、0~3)。REGN2810への曝露中央値は6用量(範囲、1~22)であった。任意のグレードの最も広く見られた処置関連有害事象は疲労(16.7%)、悪心、関節痛、及び発疹(それぞれ8.3%)であった。以下の≧グレード3の関連有害事象(AE)の各々は1回起こった:AST上昇、ALT上昇、関節痛、及び発疹。
【0214】
総合奏効率(uPR+PR+CR)及び疾患制御率(ORR+SD)は、それぞれ48%(11/23;3uPR、5 PR、2 CR、1 uCR)及び70%(16/23、5SDを含む)であった。2人の患者はまだ評価可能ではなかった。PFS中央値及びOS中央値を計算し、そして一人の患者のみが最初の応答後REGN2810処置の間にPDを経験した。相関科学試験が進行中であり、これは全エクソーム腫瘍DNA配列決定を含む。
【0215】
結論
REGN2810は、進行性CSCCを有する患者において強い抗腫瘍活性を示す。
【0216】
実施例10:新しく診断された神経膠芽腫を有する≧65歳の患者における標準的治療に対する、少分割照射法と組み合わせた抗PD-1抗体の臨床試験
導入
神経膠芽腫は、新しく診断された患者において約16か月(nGBM)、及び再発状況における約9か月(rGBM)の生存中央値を有する致命的な疾患である(Friedman et al、2009、J.Clin.Oncol.27:4733-4740)。新しく診断された神経膠芽腫を有する患者についての治療の現在の標準は、併用テモゾロミド(TMZ)とともに放射線(6週間かけて60Gy)、続いてアジュバントテモゾロミド(Stupp et al、2005、N.Engl.J.Med.352:987-996)であるが、サブグループ分析は、テモゾロミドの追加がより高齢の個体において有効性を改善しないかもしれないということを示唆する(Laperriere et al、2013、Cancer Treat.Rev.39:350-357)。
【0217】
この実施例は、nGBMを有する≧65歳の患者における全生存に関して、標準治療(SoC)に対して少分割照射法(hfRT)と組み合わせた抗PD-1抗体の有効性を評価するための第3相試験を記載する。
【0218】
この試験において使用される例となる抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖;配列番号1/2を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対;並びに配列番号:3~8を含む重鎖及び軽鎖CDR配列を含む完全ヒトモノクローナル抗PD-1抗体である、REGN2810(US20150203579において開示されるH4H7798Nとしても知られる)である。
【0219】
研究目的
この研究の主要目的は、nGBMを有する≧65歳の患者のための標準治療に対して、hfRTと組み合わせて与えられるREGN2810の全生存(OS)に関する有効性を評価することである。
【0220】
研究の副次的目的は、無増悪生存(PFS)の改善を決定することである。
【0221】
研究の他の目的は:(i)客観的奏効率(ORR)の改善、応答期間、及び疾患制御の期間;(ii)神経需要学(NANO)スケールでの神経評価を使用した臨床評価;(iii) 安全性;(iv)生活の質(QoL)及び精神状態の改善;(v)浮腫及びステロイド使用の変化;(vi)血清中のREGN2810濃度及び抗REGN2810抗体;並びに(vii)可能性のある薬力学的、予測的又は予後バイオマーカーを研究することである。
【0222】
研究設計
これは、新しく診断された神経膠芽腫を有する≧65歳の患者における標準治療に対する、少分割照射法と組み合わせたPD-1に対する完全ヒト抗体であるREGN2810の2:1無作為化第3相試験である。患者は、少分割照射法と組み合わせたREGN2810 対 標準治療に、層化因子としてメチル化状態(メチル化対非メチル化対未決定)及び切除の程度(部分的対総切除)を用いて2:1の比で無作為に選ばれる。有効性は全生存により評価される。
【0223】
放射線療法の候補であるnGBM患者は、以下の処置のうちの1つを受けるように2:1の比で無作為に選ばれる:
・ 調査的治療:3mg/kg REGN2810 静脈内(IV)(2週ごと)及び少分割RT(6Gy X 5、第2週目のみ)。放射線療法はサイクル1の2週目に提供されるが、その後のサイクルでは提供されない。
・ 比較治療:標準的RT(5回の毎日の放射線分割線量/週 2Gy)と組み合わせた治療標準TMZ(経口、75mg/m、毎日)を6週間、続いてアジュバントTMZ(経口、150mg/m2~200mg/m 5日/28日)を6サイクル。放射線療法は最初の6週のサイクルにおいてのみ提供される。
【0224】
研究期間
研究は、28日のスクリーニング期間からなり、その後、適格患者は12回までの56日(8週)の処置サイクルを合計96週までの処置の間有し得る。スクリーニング期間の間(-28日目~-1日目)、全ての適格な患者は、利用可能な前処置腫瘍切除(部分的又は全切除)又は中心病理確認のための生検並びにMGMTメチル化決定及び確認を有する必要がある。
【0225】
1日目/ベースラインの後、患者はサイクル1の間8±3、15±3、29±3、43±3、及び56±3日目に病院に戻る。その後の8週のサイクル(サイクル2~12)の間、患者は1、15±3、29±3、43±3、及び56±3日目に病院に戻る。腫瘍評価(脳MRI、iRANO及びNANO評価、MMSE、及びEORTC QLQ-C30/BN20質問票)が1日目/ベースライン及び各処置サイクルの終わりに行われる。拡大安全性評価は各サイクルの1日目に行われ;慣用の安全性評価は各来診時に行われる。REGN2810処置曝露、臨床活性、又は基礎疾患に関連するバイオマーカーの評価のためのサンプル(細胞及び分子、本明細書に記載される)も集められる。
【0226】
24週の経過観察期の間に、患者は最初の経過観察来診のために最後の試験の21~42日後に病院に戻る。その後の経過観察来診(経過観察来診2~経過観察来診7)は28日±7日ごとにある。腫瘍評価(脳MRI、iRANO及びNANO評価、MMSE、及びEORTC QLQ-C30/BN20質問票)は、経過観察来診3、経過観察来診5、及び経過観察来診7で行われる。拡大安全評価は最初の経過観察来診の間に行われる;慣用の安全性評価はその後の経過観察来診で行われる。REGN2810処置曝露、臨床活性、又は基礎疾患に関連するバイオマーカー(細胞及び分子、本明細書に記載される)の評価のためのサンプルが集められる。
【0227】
標的集団
標的集団はnGBMを有する≧65歳の患者を含む。
【0228】
組入基準:患者は、試験への組み入れに適格であるためには以下の基準を満たさなければならない:(1)最大直径≦5cmで組織学的に確認された原発性神経膠芽腫と新しく診断され、患者は部分的又は完全外科切除を有していた;(2)米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス0~2;(3)≧65歳;(4)肝機能:(a)総ビリルビン≦1.5x正常上限;(b)ALT及びAST≦3xULN;(c)アルカリホスファターゼ(ALP)≦2.5xULN;(5)腎機能:血清クレアチニン≦1.5×ULN;(6)骨髄機能:ヘモグロビン≧9.0g/dL;好中球絶対数(ANC) ≧1.5×10/L;血小板数≧75×10/L;(7)読み、理解し、そしてICFにすすんで署名することができる;並びに(8)予定された来診、処置計画、検査試験、及び他の試験関連手順を遵守する能力及び意志。
【0229】
除外基準:以下の基準のいずれかを満たす患者は研究から除外される:(1)GBMのための以前の処置(手術以外);(2)Gd-MRIに対する既知の禁忌を有していた;(3)免疫抑制処置での処置を必要とした重大な自己免疫疾患の進行中又は最近(5年以内)の証拠、これは免疫関連有害事象(irAE)についてのリスクを示唆し得る。以下は除外ではない:白斑症、消散した小児喘息、ホルモン補充のみを必要とする残存甲状腺機能低下症、又は全身処置を必要としない乾癬。(4)進行中の全身性コルチコステロイド処置、10mg/日のプレドニゾン又は等価物の最大までの他の(非腫瘍及び非免疫抑制)適応症のためのコルチコステロイドの使用を除く。(5)脳幹、脊髄に位置する原発腫瘍、又はヒト免疫不全ウイルスの既知の感染、又はB型肝炎もしくはC型肝炎ウイルスの活動性感染を含む治療を必要とするいずれかの二次性脳腫瘍活動性感染。(6)ここ5年以内に間質性肺炎の病歴。(7)REGN2810の最初の投与の前30日以内にいずれかの治験又は抗腫瘍処置。(8)一般の抗体治療を用いた処置、又は本研究で特に使用される薬剤が原因の文書化されたアレルギー反応又は急性過敏性反応の病歴。(9)不適切に管理された高血圧(収縮期血圧>150mm Hg及び/又は拡張期血圧>100mmHgとして定義される)(10)ドキシサイクリン又はテトラサイクリンに対する既知のアレルギー。(REGN2810中の痕跡成分の存在に起因する用心)(11)高血圧クリーゼ又は高血圧又は高血圧性脳障害の以前の病歴 (12)頸部の生体内原位置の切除/切断された基底もしくは扁平上皮細胞癌、又は局所処置により治癒されると考えられ
る他の局所腫瘍を除く、この研究において処置されたもの以外の浸潤性悪性腫瘍のこの5年以内の病歴、(13)治験責任医師の評価のもとで、患者の参加資格をなくさせる急性又は慢性の精神医学的問題、(14)スクリーニング時の腫瘍治療電場(Tumor Treating Fields)(Optune NovoTTF-100Aデバイス)の使用。試験参加の間のNovocure腫瘍治療電場の計画された又は予測される使用、(15)カルムスチンウェハーを用いた以前の処置、(16)研究の間に適切な避妊法の実行を望まない男性における継続した性的活動。
【0230】
研究処置
患者は以下の処置レジメンのうちの1つを受ける:
【0231】
治験治療:3mg/kg REGN2810(2週間ごとに96週まで30分かけて投与されるIV注入)及びサイクル1の2週目にhfRT
【0232】
対照薬:標準治療 6週間標準RT(5回の2Gyの毎日の放射線分割線量/週)、続いて6週間アジュバントTMZ(経口、150mg/m2~200mg/m 5日/28日)と組み合わせたTMZ(経口、75mg/m2、毎日)。放射線療法は最初のサイクルにおいてのみ提供される。
【0233】
REGN2810は滅菌単回使用バイアル中の液体として供給される。各バイアルは、25mg/mLの濃度のREGN2810 10mLを引き抜くために十分な体積を含有する。REGN2810は30分の静脈内(IV)注入として投与される。各患者の用量は個々の体重に依存する。REGN2810の用量は≧10%の体重変化について各サイクルで調整され得る。
【0234】
放射線療法:対照アームの患者は、標準放射線療法(6週間かけて60Gy)を受ける。実験処置群の患者は、REGN2810の最初の用量の1週間後に投与されるhfRT(6Gy X 5日々分割線量)を受ける。
【0235】
REGN2810及び放射線(治験処置):REGN2810は、8日目から12日目までhfRTと組み合わせて、96週間14日ごとに30分かけてIV注入により投与される。
【0236】
計画された組み合わせREGN2810及びhfRTレジメン:96週間14日ごとに30分かけて3mg/kg REGN2810注入に加えて、放射線療法(6Gy×5日々分割線量でhfRT;REGN2810の最初の用量の1週間後に、好ましくは連続した日に与えられる)。
【0237】
放射線療法のための仕様書:患者は、REGN2810の最初の用量の1週間後に開始して毎日投与される6Gyの5分割線量として与えられる30Gyを受ける。
【0238】
比較アーム:標準治療:6週間標準RT(2Gyの5回の日々分割照射/週)と組み合わせたTMZ(経口、75mg/m、毎日)、その後アジュバント経口TMZ。TMZの用量は最初のアジュバント採掘の最初の5日について150mg/mであり、そして最初のアジュバントサイクルで許容されない血液学的毒性がなければ、5日/28日について200mg/mに増加して第2サイクルを開始する。
【0239】
最初のアジュバントサイクルの間に、観察された全ての非血液学的毒性がグレード≦2(脱毛症、悪心及び嘔吐を除く)であり、そして血小板が≧100x109/Lであり、そしてANC>=1.5 x 109/Lである場合、TMZ用量を用量レベル1(20
0mg/m)まで増大させるべきであり、そしてこの用量はその後のサイクルで開始用量として使用されるべきである。サイクル1の後、進行中のグレート≧2の非血液学的毒性のためにTMZを送らせなければならない場合、増大は不可能である。用量が第2サイクルで増大されなかった場合、用量はその後のサイクルで増大されるべきではない。
【0240】
CNS浮腫の処置:研究の間に症候性脳内浮腫を発症する患者は、浮腫が沈静化するまでREGN2810投薬及び放射線療法を停止される。
【0241】
脳内浮腫を発症する患者について、ベバシズマブは、禁忌でない場合(例えば、患者が過去28日以内に手術を受けていなければ)、標準から減少された用量で(提唱される用量 3用量まで5mg/kg Q2W、用量あたり10mg/kg Q2Wを超えない)、IV投与される。
【0242】
ベバシズマブが脳内浮腫を消散しない場合、ベバシズマブに加えて、又はベバシズマブに代えて、症状管理に適するために譲渡される(deeded)最低用量で全身性コルチコステロイドが投与され得る。ベバシズマブ不耐性の患者については、症状管理に適切であるために譲渡される用量で使用される。
【0243】
研究変数
主要有効性評価項目は全生存(OS)であり、これは無作為化からいずれかの死因の死亡日までの時間間隔として定義される。
【0244】
主要な副次的評価項目は無増悪生存(PFS)であり、これは無作為化の日から最初の疾患進行の日付まで、又は死亡日(いずれかの死因)までの時間間隔として定義される。疾患進行はiRANO基準により決定される。
【0245】
他の副次的有効性評価項目は以下である:
客観的奏効率(ORR):解析集団中の患者の総数に対して、神経腫瘍学における免疫療法応答評価(Immunotherapy Response Assessment
in Neuro-Oncology)(iRANO)基準により定義された確認された完全寛解(CR)又は確認された部分応答(PR)を有する患者の比率として定義される。
【0246】
応答期間:CR又はPRの最も良い総合応答を有する患者について決定される。応答期間は、測定基準が最初にCR/PRを満たしたとき(どちらか最初に記録された方)から再発又は進行性疾患(放射線画像)、又はいずれかの死因に起因する死亡の最初の日付まで測定される。
【0247】
疾患制御期間:SD、CR、又はPRの最良の総合応答を有する患者について決定される。疾患制御期間は、処置の開始から再発又は進行性疾患(放射線画像)、又はいずれかの死因による死亡の最初の日付まで測定される。
【0248】
生活の質及び症状制御変数:生活の質及び症状制御変数は以下である:
・ 5つの機能スケール、3つの症状スケール、1つの健康状態の包括的尺度及び6つの研究の間にEORTC QLQ-C30質問票を使用して症状を評価する単項目スケール
・ 研究の間にEORTC QLQ-BN20質問票を使用する4つのスケール及び7つの単項目
・ NANOを使用する臨床評価;
・ 研究の間のMMSEの総スコア
・ ベースラインでのコルチコステロイドの使用、研究の間の累積コルチコステロイド使用、並びに研究の無増悪期間の間のステロイド不使用又は低用量ステロイド使用の期間
・ ベースラインでのベバシズマブPRNの使用、研究の間の累積ベバシズマブPRN、及び研究の無増悪期間のベバシズマブ不使用の期間
【0249】
探索性バイオマーカー変数:他の評価項目は、臨床応答、作用機序、及び処置後のREGN2810に関連する可能性のあるAEに関連する薬力学的、予後的、及び予測的バイオマーカーを含む。バイオマーカー変数は以下を含む:
・ 腫瘍サンプルにおける免疫チェックポイント受容体PD-L1、GITR、及びLAG3、さらには他の可能性のあるバイオマーカー(例えば、EGFRvIII、Ki67など)の発現レベル;
・ 腫瘍サンプル中のTILの数及び分布;
・ 腫瘍サンプル中のIDH1変異状態、マイクロサテライト不安定性(MSI)、及び変異量;
・ サイトカイン及び血管新生因子を含む循環バイオマーカー;
・ PBMCにおける目的のバイオマーカーの細胞サブセット及び発現レベル;
・ MGMTプロモーターメチル化状態(階層化にも使用される)
他の変数は、血清中のREGN2810濃度(薬物動態変数)及び抗REGN2810抗体の発生を含む。
【0250】
手順及び評価
28日目までのスクリーニング期間の後、患者は12回までの56日の処置サイクルを合計96週までの処置の間受け、その後24週の経過観察期間が続く。有効性、安全性、PK、ADA、及び探索性バイオマーカー分析を行う。
【0251】
有効性手順
MRI:腫瘍評価のためにMRIは、手術の72時間後に、スクリーニング来診時に(注入の28日前以内)、全てのサイクルの56±3日目に(約8週間ごと)、及びPDが疑われる場合に行われる。疾患が進行しなかった患者は、経過観察来診3、5、及び7にさらなる腫瘍評価が行われた。注:PDが確認された場合、さらなるスキャンは経過観察来診の間は必要ない。手術前及び手術後MRIが研究への参加前に行われた場合、これらのスキャンは、腫瘍体積及び腫瘍進行の決定において補助するために研究にも提出されなければならない。
【0252】
腫瘍応答評価はiRANOに従って行われる;そして臨床神経学的評価はNANOにより行われる。RANOに従う評価も支持的な調査として行われる;しかし、個々の患者についての疾患進行の主な決定は、iRANOにしたがって行われる。
【0253】
欧州癌研究治療機構(The European Organization for
Research and Treatment of Cancer)生活の質質問票(EORTC QLQ-C30)及びEORTC脳癌モジュール(EORTC QLQ-BN20)質問票:EORTC QLQ-C30は、それぞれが0から100の範囲に及ぶ可能なスコアで15スケール(単項目又は多項目)で癌患者における健康関連の生活の質(HRQoL)を評価する30項目の質問票である。30項目のうち24は、様々なHRQoL側面を表す9つの多項目に集められる:5つの機能スケール(身体、役割、情緒、認知、及び社会、3つの症状スケール(倦怠感、痛み、及び嘔気嘔吐)、及び健康状態の1つの全般的尺度。残りの6つの単項目スケールは症状を評価する:呼吸困難、食欲不振、睡眠障害、便秘及び下痢、並びに疾患処置の把握された経済的影響。高いスコアは、健康状態の全般的尺度及び機能スケールについてより良好なHRQoLを示し、そして症状スケールについてはより悪いHRQoLを示す。
【0254】
EORTC QLQ-BN20は、脳新生物に特異的な20項目のQoL評価であり、そして健康関連の生活の質を評価する場合にはEORTC QLQ-C30を補足することを意図される。EORTC QLQ-BN20質問票は、疾患症状、処置の副作用、及び脳癌を有する患者にとって重要ないくつかの特定の心理社会的事柄を4つのスケール(将来への不安、視覚障害、運動機能、及び言語機能を評価する)及び7つの単項目(他の疾患症状[例えば、頭痛及びてんかん]及び処置毒性効果[例えば、毛髪脱落])を使用して評価する。可能なスコア範囲0~100;高いスコアはより悪いHRQoLを示す。
【0255】
精神状態短時間評価(Mini-Mental Status Assessment):精神状態短時間検査(Mini-Mental State Examination)(MMSE(C))は、成人における認知状態の短い定量的尺度である。これは認知障害をスクリーニングするため、所定の時点での認知障害の重症度を見積もるため、及び個体の経時的な認知変化の過程を追跡するために使用することができる。この研究では、MMSEスコアは疾患評価の状況において行われる神経学的検査の一部である。
【0256】
MMSEは、1日目/ベースライン、前処置サイクルの終わり、及び経過観察期間の間8週間ごとに行われる。MMSE評価は疾患評価のスケジュールと一致するが、それらは放射線学的結果を患者に告げる前に完了していなければならない。MMSEは次に予定された処置投与の開始時には完了され得る。生存経過観察期間の間、MMSEは、患者がまだ進行していない場合、1生存来診おきに(8週間ごと)に完了するように続けられるべきである。
【0257】
MMSEの総スコアは0(最悪)から30(最良)の可能な範囲を有する。
【0258】
安全性手順
サイクル1の1日目及び全てのその後の処置日に、体温、安静時血圧、脈拍、及び呼吸を含むバイタルサインを、体重とともに、注入前、及び注入の完了の約15分後に集める。完全な身体検査及び12誘導ECGを全サイクルの開始時に行う。
【0259】
探索性腫瘍バイオマーカー手順
免疫組織化学(IHC)により分析される目的のバイオマーカーとしては、限定されないが、EGFRvIII及び細胞増殖のバイオマーカー(例えば、Ki67)が挙げられる。PD-L1、GITR、及びLAG-3の発現レベル(mRNA及び/又はタンパク質)、さらには腫瘍浸潤リンパ球の細胞系マーカー(CD4、CD8、CD25、FoxP3)は、REGN2810の潜在的な効果を調べるために腫瘍生検サンプルにおいて分析される。
【0260】
腫瘍組織サンプルは、腫瘍DNA及びRNAの抽出並びに試験処置及び神経膠芽腫に関連する推定遺伝子バイオマーカーのその後の分析に使用され得る。血液サンプルを、1日目/ベースライン(投薬前)、又は1日目/ベースライン時の採取が不可能である場合、いずれかの試験来診時に、生殖系列DNAの単離のために集める。腫瘍DNAの分析としては、(限定されないが)MGMTプロモーターのメチル化状態、IDH1変異状態、マイクロサテライト不安定性(MSI)、及び腫瘍変異量(これらは両方ともREGN2810及び他の免疫療法剤に対する応答を予測し得る)が挙げられる。疾患進行、薬物応答及び可能な毒性に影響を与え得る、腫瘍(体細胞)DNA及び生殖系列DNAにおける遺伝子変異体の分析を行う。生殖系列DNAはまた、悪性プロセスの根底にある潜在的な新規な遺伝子変異体を探索するために腫瘍DNAに対する比較のために使用される。
【0261】
結果
hfRTと組み合わせたREGN2810は安全であり、そしてnGBMを有する患者により十分に許容された。hfRTと組み合わせたREGN2810の投与は、標準治療と比較して、nGBMを有する患者において腫瘍増殖を阻害し、かつ/又は腫瘍退縮を促進した。REGN2810及びhfRTで処置されたnGBMを有する患者は、標準治療と比較してより長いOSを示した。
【0262】
実施例11:非小細胞肺癌を有する患者におけるREGN2810の忍容性及び抗腫瘍活性:第1相からの中間データ
第1相における用量漸増(DE)研究(本明細書の実施例7に記載される)において、REGN2810(セミプリマブ)単剤療法を、1mg/kg静脈内(IV)で30分かけて2週間ごとに(Q2W)非小細胞肺癌(NSCLC)において評価した。NSCLC拡張コホート(EC 1)には、再発性又は転移性の疾患状況において少なくとも第一選択治療の後に再発したか又は第一選択治療に対して不応性の患者を登録した;患者はセミプリマブ200mg IVを30分かけてQ2Wで48週目まで投与された。研究生検をベースライン及び29日目(及び可能な場合は進行時に)行った。腫瘍測定を、8週間ごとにRECIST(固形がんの治療効果判定基準)1.1に従って行った。
【0263】
中間結果:NSCLCを有する21人の患者(DEに1人;EC 1に20人)が登録された;年齢中央値は65.0歳(範囲、50~82;14人男性(M)/7人女性(F));81.0%が米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス中央値1を有していた。大部分(61.9%)はベースラインで腺癌の病歴を有していた。全体的に、最もよく見られる処置関連有害事象(TRAE)は、無力症、間質性肺炎、及び発疹(それぞれn=3、14.3%)であった。以下の≧グレード3 TRAEは1回発生した:間質性肺炎、糖尿病性ケトアシドーシス、及び腎炎。EC 1における患者のうち、6人は部分応答(PR)を有し、そして4人は安定疾患(SD)を有していた。中央第三者判定(central independent review)による(データ移行:2017年8月31日)総合奏効率(ORR=完全寛解[CR]+PR)は28.6%(n=6/21)であった。疾患制御率(ORR+SD)は57.1%であった(n=12/21;そのうち1人は非CR/非進行性疾患[PD]であった)。全体で9人の患者(全てEC 1から)は、セミプリマブでの処置の間にPDを有していた。
【0264】
セミプリマブは一般に十分に許容され、そしてこの研究からNSCLC患者において抗腫瘍活性を示した。
【0265】
実施例12:進行性又は転移性PD-L1+ 非小細胞肺癌を有する患者の第一選択処置におけるREGN2810の臨床試験
現在の研究は、その腫瘍が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する進行性又は転移性の扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有し、かつ彼らの進行性疾患のための全身処置を以前に受けていなかった患者における、標準治療、白金ベース、二重化学療法に対する、REGN2810単剤療法の無作為化、グローバル、非盲検、第3相試験である。
【0266】
研究目的
研究の主要目的は、彼らの腫瘍がPD-L1を腫瘍細胞の≧50%において発現する進行性又は転移性の、扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者において、REGN2810が標準治療白金ダブレット化学療法よりも無増悪生存(PFS)を改善するかどうかを決定することである。研究の主要な副次的目的は、以下に関して、白金ベースの化学療法に対してREGN2810を比較することである:
・ 全生存(OS)
・ 客観的奏効率(ORR)
研究の他の副次的目的は以下である:
・ 白金ベースの化学療法に対してREGN2810の応答期間(DPR)を比較すること
・ 欧州癌研究治療機構生活の質質問票コア30(EORTC QLQ-C30)及び生活の質質問票肺癌13(EORTC QLQ-LC13)により測定して、白金ベースの化学療法を受けた患者に対して、REGN2810で処置された患者の生活の質(QOL)を評価すること
・ 白金ベースの化学療法に対してREGN2810の安全性及び忍容性を評価すること
・ 血清中のREGN2810の濃度を測定し、そしてREGN2810の薬物動態(PK)を特徴づけること
探索的目的としては:
・ REGN2810に対する免疫原性評価により測定して免疫原性を評価すること
・ ベースラインでのPD-L1発現レベルと研究処置の有効性との間の相関を評価すること
・ 新しい抗腫瘍療法に対する時間を評価すること
が挙げられる。
【0267】
研究設計
これは、その腫瘍が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現し、かつ彼らの進行性疾患について以前に全身性処置を受けたことがない、IIIB期又はIV期の扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者において、白金ベースのダブレット化学療法に対するREGN2810の無作為化、多施設、非盲検、ピボタル第3相試験である。
【0268】
研究は以下の3つの期間からなる:スクリーニング、処置、及び経過観察。患者は無作為化の前28日以内に彼らの適格性を決定するためにスクリーニング評価を受ける。適格な患者は以下の2つの処置群のうちの1つに無作為に選ばれる:REGN2810 350mg単剤療法又は標準治療化学療法。無作為化は組織学(非扁平上皮対扁平上皮)及び地理的地域(EU又はROW)により階層化される。化学療法に無作為に選ばれたNSCLCを有する患者は、以下のレジメンのうちの1つを受け得る:
・ パクリタキセル+シスプラチン又はカルボプラチン
・ ゲムシタビン+シスプラチン又はカルボプラチン
・ ペメトレキセド+シスプラチン又はカルボプラチン、その後任意のペメトレキセド維持(扁平上皮NSCLCを有する患者はペメトレキセド含有レジメンを与えられないことが推奨される)。
【0269】
REGN2810処置群に割り当てられた患者は、REGN2810 350mgを静脈内(IV)注入として全処置サイクルの1日目に(3週間ごと[Q3W])、108週目まで、又は固形がんの治療効果判定基準(RECIST)1.1で定義された進行疾患、許容できない毒性、死亡、もしくは同意の撤回まで受ける。治療でRECIST 1.1で定義された進行性疾患を経験したREGN2810患者は、患者が臨床利益を経験したと決定された場合、及び患者が108週の処置期間を完了していない場合にREGN2810処置を継続し得る。さらなる進行性疾患(最初の進行性疾患のときから腫瘍量のさらなる10%の増加として定義される)が確認される場合、REGN2810は中止されなければならず、そして適切な場合、他の抗癌療法が考慮される。
【0270】
化学療法に割り当てられた患者は、白金ダブレット化学療法処置の治験実施計画書で与えられる選択肢のうちの1つを、4~6サイクルまでの間、又はRECIST 1.1で定義された進行性疾患、許容できない毒性、死亡、もしくは同意の撤回まで受ける。化学療法進行中に疾患進行を経験した患者は、彼らが特定の基準を満たすことを条件として、
108週までの間REGN2810 350mg Q3Wの投与に乗り換える選択肢を提供される。患者は6か月間6週ごとに、その後処置の最後の投薬の9か月後及び12か月後に経過観察を受診する。各患者についての試験機関は約40か月である。
【0271】
研究集団
この研究に含まれる患者は、その腫瘍が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現し(診断アッセイを使用する)、かつ彼らの進行性疾患のための全身処置を以前に受けていない、IIIB期又はIV期非扁平上皮又は扁平上皮NSCLCと診断された≧18歳の男性及び女性である。
【0272】
組入れ基準: 患者は試験への組み入れの資格を有するために以下の基準を満たさなければならない:
1.≧18歳の男性及び女性
2.再発性又は転移性のNSCLCのための全身処置を以前に受けていなかった、IIIB期又はIV期疾患を有する組織学的又は細胞学的に文書化された扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者。a.アジュバント又はネオアジュバント白金ダブレット化学療法(手術及び/又は放射線療法後)を受け、そして治療の完了後6か月より後に再発性又は転移性疾患を発症した患者は資格がある。
3.転移/再発部位からの保存記録の又は新しく得られたホルマリン固定腫瘍組織、これは以前に照射されていない
4.IHCにより腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する腫瘍細胞
5.RECIST 1.1基準に従ってコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴イメージング(MRI)によりX線検査で測定可能な少なくとも1つの病変。標的病変は、その部位における文書化された(X線写真)疾患進行がある場合、以前に照射された領域に位置していてもよい。
6.ECOGパフォーマンス状態≦1
7.少なくとも3か月の予測される寿命
8.以下に定義されるような適切な器官及び骨髄機能:a.ヘモグロビン≧9.0g/dL、b.好中球絶対数≧1.5×109/L、c.血小板数≧100,000/mm3、d.糸球体濾過率(GFR)>30mL/分/1.73m2、e.総ビリルビン≦1.5×正常上限(ULN)(肝臓転移の場合、≦3×ULN)、臨床的に確認されたジルベール症候群と診断された患者を除く、f.アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)及びアラニンアミノ基転移酵素(ALT)≦3×ULN又は肝臓転移の場合≦5×ULN、g.アルカリホスファターゼ≦2.5×ULN(又は肝臓もしくは骨転移の場合、≦5.0×ULN)、h.Hyの法則について基準を満たさない(ALT>3×ULN及びビリルビン>2×ULN)。
9.来診及び研究関連手順に従う意思がありかつ従うことができる
10.署名したインフォームドコンセントを提出する
11.研究関連質問票を理解し、そして全ての項目に記入することができる。
【0273】
除外基準: 以下の基準のいずれかを満たす患者は試験から除外される:1.生涯で≦100のタバコの喫煙として定義して、喫煙をしたことがない患者、2.活動性または未処置の脳転移または脊髄圧迫。中枢神経系(CNS)転移が適切に処置され、そして患者が登録の少なくとも2週間前に神経学的にベースラインに戻っていた場合(CNS処置に関連する残留徴候又は症状を除く)、患者は適格である。患者は、(免疫抑制用量の)コルチコステロイド治療を中止していなければならない。3.EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座、又はROS1融合について陽性と試験された腫瘍を有する患者、4.インフォームドコンセントの前1年に脳炎、髄膜炎、又は制御されないてんかん、5.間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症、器質化肺炎)又は管理を支援するためにグルココルチコイドの免疫抑制用量を必要とした活動性、非伝染性間質性肺炎の病歴。照射野における放
射線肺炎の病歴は許容される。6.過去2年間に全身治療を必要とした活動性、既知、又は疑われる自己免疫疾患を有する患者。白斑症、I型真性糖尿病、及びホルモン補充しか必要としない甲状腺機能低下症(自己免疫性甲状腺炎に起因する向上性機能低下症を含む)を有する患者は登録を許可される。7.無作為化の14日以内にコルチコステロイド治療(>10mgプレドニゾン/日又は等価物)を必要とする状態を有する患者。それらが免疫抑制意図で投与されていないかぎり、たとえプレドニゾン/日>10mg又は等価物であっても生理的補充用量は許容される。吸入又は局所ステロイドは許容されるが、ただしそれらは自己免疫障害の処置のためのものではない。8.進行中であるか又は処置を必要とする別の悪性腫瘍。可能性のある根治療法を受けた非黒色腫性皮膚癌、又は上皮内(in situ)頸部癌もしくは処置されており、かつ患者は試験登録の少なくとも2年前に完全寛解にあるとみなされ、かつ試験期間の間さらなる治療を必要としない、いずれかの他の腫瘍を除く。9.既知の活動性B型肝炎(陽性結果)又はC型肝炎(既知の陽性結果)及びアッセイの検出加減より高い既知の定量的HCV RNA結果)、10.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の既知の病歴又は制御できない活動性感染を示す既知の後天的な免疫不全症候群。検出不能なRNAレベル及び350より高いCD4数を有する、高度に活動性の高レトロウイルス治療中の患者は許容される。11.無作為化の14日前以内に全身治療を必要とする活動性感染症、12.抗PD-1又は抗PD-L1を用いた以前の治療。抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)抗体のような他の免疫調節性またはワクチン治療への以前の曝露は許容されるが、このような抗体の最後の投薬は試験薬の最初の投薬の少なくとも3か月前であるべきである。13.試験治療を用いた処置の開始の少なくとも3か月前にベースラインまで回復されなかった、免疫調節剤(限定されないが、抗PD1/PD-L1 Mab、抗CTLA4モノクローナル抗体、及びPI3K-δ阻害剤が挙げられる)からの処置関連免疫介在性有害事象(AE)。発生の時期にかかわらず、グレード3又は4の重症度であり、かつ/又は薬剤の中止を必要とした、PD-1/PD-L1経路の遮断薬を用いた以前の処置に関連した免疫介在性AEを経験した場合、患者はREGN2810を用いた処置から除外される。14.スクリーニングの30日以内又は試験されている治験薬もしくは治療の5半減期以内(どちらが長い方)に治験薬又はデバイスを受けたこと。15.試験薬物適用の計画された開始の30日以内に生ワクチンを受けたこと、16.最初の投薬の前4週間以内に大手術又は重篤な外傷、17.抗体処置に起因する、文書化されたアレルギー性又は急性の過敏症反応、18.ドキシサイクリン又は他のテトラサイクリン抗生物質に対する既知のアレルギー、19.いずれかの違法薬物の現在の使用を含む、試験の参加要件を妨げるであろう既知の精神医学的又は物質乱用障害、20.妊娠中又は授乳中の女性。21.最初の投薬前、試験の間、及び最後の投薬後少なくとも6か月間、高度に有効な避妊を実施することを望まない、妊娠可能な女性。22.司法又は行政当局のいずれかにより発行される命令により施設に収容されている患者。
【0274】
研究処置
試験薬:REGN2810は350mgでIV注入Q3Wとして108週目まで投与される。
【0275】
参照薬:標準治療化学療法(白金ダブレット化学療法処置の治験実施計画書に示される選択肢のうちの1つ、表13)は、4~6サイクルまで、又はRECIST 1.1に定義される進行性疾患、許容できない毒性、死亡もしくは同意の撤回まで投与される。
【0276】
【表14】
【0277】
研究評価項目
主要評価項目はRECIST 1.1を使用して評価されたPFSである。研究における重要な副次的評価項目はOS及びORRである。他の副次的評価項目としては、DOR及びQOL、さらにはREGN2810の安全性及び忍容性が挙げられる。
【0278】
手順及び評価
スクリーニング時に行われる手順は、インフォームドコンセント;医学、腫瘍学、及び併用薬の病歴の記録;人口動態の記録;PD-L1評価のための腫瘍組織の収集;上皮増殖因子受容体(EGFR)及び未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)変異及びトリ肉腫ウイルスUR2のトランスフォーミング遺伝子v-ros(ROS1)融合のヒトホモログについての腫瘍組織の検査;X線検査腫瘍評価;腫瘍量評価;胸部X線;血清妊娠検査;12誘導心電図(ECG);バイタルサイン、身長、及び体重評価を含む徹底的な身体検査;米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス評価;及び検査試験。任意のゲノム下位研究のためのサンプルも得られ得る。処置及び経過観察期の間に、安全性を評価するために以下の手順が行われる:身体検査;ECOGパフォーマンスステータス評価;バイタルサイン;妊娠の可能性がある女性についての妊娠検査を含む検査室検査;ECG及び胸部X線(治験責任医師の裁量で);及び有害事象(AE)及び併用薬の記録。腫瘍評価のためのコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴画像法(MRI)は、研究の間全体にわたる時点で行われる。生活の質は、有効な患者自己記入方式質問票(EORTC QLQ-C30及びEORTC QLQ-LC13)を使用して測定される。他の評価としては、バイオマーカー評価のためのサンプル、REGN2810濃度
測定のためのサンプル、及びREGN2810免疫原性評価のためのサンプルが挙げられる。
【0279】
結果
その腫瘍が腫瘍組織において≧50% PD-L1を発現する進行性非小細胞癌を有する患者において、化学療法を用いた処置と比較して、REGN2810処置が増加した無増悪生存及び全生存をもたらすと期待される。
【0280】
実施例13:PD-L1を<50%発現する腫瘍を有する転移性非小細胞肺癌を有する患者の第二選択処置における標準及び高用量REGN2810(セミプリマブ)及びイピリムマブ(抗CTLA-4抗体)の組み合わせ
この実施例は、PD-L1を<50%発現する腫瘍を有する転移性非小細胞肺癌を有する患者の第二選択処置における標準及び高用量REGN2810(セミプリマブ;抗PD-1抗体)とイピリムマブ(抗CTLA-4抗体)との組み合わせの臨床研究を記載する。
【0281】
この研究の主要目的は、進行性又は転移性扁平上皮もしくは非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者の第二選択処置において、その腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を発現する患者において、標準用量REGN2810(「SDREGN2810」)に対して高用量REGN2810(「HDREGN2810」)及び標準用量REGN2810(「SDREGN2810/ipi」)とイピリムマブとの組み合わせ療法の客観的応答率(ORR)を比較することである。
【0282】
研究の副次的目的は以下である:(1)その腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する進行性の扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者の第二選択処置において、SDREGN2810、HDREGN2810、及びSDREGN2810/ipi組み合わせ治療の全生存(OS)を比較すること、(2)その腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する患者において進行性の扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを揺する患者の第二選択処置において、HDREGN2810及びSDREGN2810/ipiの無増悪生存(PFS)をSDREGN2810に対して比較すること。(3)SDREGN2810治療と比較したHDREGN2810及びSDREGN2810/ipiの安全性及び忍容性を評価すること、(4)その腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する患者において、進行性扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者の第二選択処置において、HDREGN2810及びSDREGN2810/ipiの12及び18か月目のOSをSDREGN2810治療に対して評価すること、(5)HDREGN2810及びSDREGN2810/ipiと投与されている進行性扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者における生活の質(QOL)を、SDREGN2810治療に対して評価すること、(6)抗薬物抗体(ADA)により測定した免疫原性をREGN2810に対して評価すること、(7)イピリムマブと組み合わせて又はHDREGN2810として投与された場合のREGN2810の薬物動態(PK)を特徴づけること。
【0283】
研究設計
腫瘍がPD-L1を<50%発現する進行性又は転移性の扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者の第二選択処置におけるSDREGN2810治療に対するHDREGN2810及びSDREGN2810/ipiの臨床研究である。この研究は以下の3つの期間からなる:スクリーニング、処置、及び経過観察。患者は無作為化の前28日以内に、彼らの適格性を決定するためにスクリーニング評価を受ける。適格患者は、以下の処置レジメンのうちの1つ受けるように1:1:1で無作為に選ばれる:
・ 処置アームA:REGN2810 350mg 3週間ごと(Q3W)108週間
(本明細書以後で「SDREGN2810」と呼ばれる)
・ 処置アームB:REGN2810 350mg Q3W 108週間及びイピリムマブ50mg6週間ごと(Q6W) 4用量まで(本明細書以後で「SDREGN2810/ipi」と呼ばれる)
・ 処置アームC:REGN2810 1050mg Q3W 108週間(本明細書以後で「HDREGN2810」)
無作為化時に、患者は組織学(扁平上皮対非扁平上皮)及びPD-L1発現レベル(<1%対1%~<50%)により層別化される。患者は処置期間の間、彼らが割り当てられた処置(上に示されたとおり)を受ける。固形がんの治療効果判定基準バージョン1.1(RECIST 1.1)で定義された進行性疾患、許容できない毒性、同意の撤回、死亡、別の抗癌処置の開始、又は特定の状況では確認された完全寛解(CR)、部分的応答(PR)又は安定疾患(SD)に起因して、処置は早期に中止され得る。治療中にRECIST 1.1で定義された進行性疾患を経験する患者は、治験責任医師が患者は臨床的有用性を経験していると判断した場合、及び患者が108週の処置期間を完了していない場合には研究処置を継続してもよい。さらなる進行性疾患(初期の進行性疾患の時点から腫瘍量のさらに10%増加の増加として定義される)が確認された場合、REGN2810(及び適用可能な場合イピリムマブ)を中止しなければならず、そして適切な場合は他の抗癌治療が考慮される。試験処置を中止した後、患者は経過観察期に入る。各患者は、処置が進行性疾患、毒性に起因して又は別の理由で早期に中止された場合、最後の試験処置の14~30日後(±7日)に最初の経過観察来診を有する。別の場合は、各患者は、最後のサイクル来診の14~30日後(±7日)後に最初の経過観察来診を有する。経過観察来診2~経過観察来診7は前の来診から28日(±7日)に行われる。その後生存データは、死亡、追跡損失、又は研究同意の撤回まで、3か月ごとに電話により又は来院時に集められる。
【0284】
研究集団
この研究における患者は、進行性又は転移性の非扁平上皮又は扁平上皮NSCLCと診断され、進行性又は転移性NSCLCの第一選択処置のみを受け、かつその腫瘍がPD-L1を<50%発現する、≧18歳の男性及び女性を含む。
【0285】
組入れ基準:1.≧18歳の男性及び女性;2.組織学的又は細胞学的に文書化された扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCIIIB期疾患を有し、確定した同時の化学放射線療法を用いた処置の候補ではない患者、又は彼らが進行性もしくは転移性のNSCLCのための全身処置を以前に受けていた場合はIV期疾患を有し、かつ進行性NSCLCのための第一選択処置を以前に受けていた患者;3.記録保管又は研究中に得られたホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織生検サンプルの利用可能性。生検部位へのガイダンス:a.記録保管又は新鮮な生検が容認される;b.記録保管生検が使用される場合、それは5か月未満の古さでなければならない;c.生検は以前に照射されていない転移又は再発部位からのものであるべきである。例外:原発腫瘍はまだ適所にあり、そして他の転移性部位はアクセス不能である(脳)か又は使用することができない(骨)か又は生検が患者を危険に晒す。4 中央検査室により行われるPD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイにより決定された腫瘍細胞の<50%におけるPD-L1の発現;5.少なくとも1つのRECIST 1.1基準にしたがってコンピュータ断層撮影(CT)によりX線検査で測定可能な病変。標的病変は、その部位に文書化された(X線検査の)疾患進行がある場合、以前に照射された領域に位置していてもよい。6.ECOGパフォーマンスステータス≦1;7.少なくとも3か月の予測される寿命。
【0286】
除外基準:1.生涯で≦100本のタバコの喫煙として定義される喫煙したことののない患者;2.活動性又は未処置の脳転移又は脊髄圧迫。中枢神経系(CNS)転移が適切に処置され、そして患者が登録の前少なくとも2週間に神経学的にベースラインに戻って
いた場合(CNS処置に関連する残留徴候又は症状を除く)、患者は適格である。患者は、(免疫抑制用量の)コルチコステロイド治療を中止していなければならない(ステロイドの中止のタイミングに関する詳細については除外基準7を参照のこと)、3.EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座、又はROS1融合について陽性と試験された腫瘍を有する患者。全ての患者は、EGFR変異、ALK再構成、及びROS1融合について彼らの腫瘍を評価される。4.インフォームドコンセントの前1年に脳炎、髄膜炎、又は制御されないてんかん。5.間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症、器質化肺炎)又は管理を支援するためにグルココルチコイドの免疫抑制用量を必要とした活動性、非伝染性間質性肺炎、又は最近5年以内に肺炎(pneumonitis)の病歴。肺炎が登録の前≧6か月間に回復しているかぎり、照射野における放射線肺炎の病歴は許容される。6.免疫抑制処置での処置を必要とした重大な自己免疫疾患の進行中又は最近(5年以内)の証拠、これは免疫関連の処置下で発現した有害事象(irTEAE)についてのリスクを示唆し得る。以下は除外ではない:白斑症、消散した小児喘息、ホルモン補充のみを必要とする残存甲状腺機能低下症、又は全身処置を必要としない乾癬。7.無作為化の14日以内にコルチコステロイド治療(>10mgプレドニゾン/日又は等価物)を必要とする状態を有する患者。それらが免疫抑制意図で投与されていないかぎり、たとえプレドニゾン/日>10mg又は等価物であっても生理的補充用量は許容される。吸入又は局所ステロイドは許容されるが、ただしそれらは自己免疫障害の処置のためのものではない。
【0287】
研究処置
・ 108週間静脈内(IV)注入Q3Wとして350mgで投与されるREGN2810(「SDREGN2810」)
・ 4用量まで50mg Q6WでIV投与されるイピリムマブと組み合わせて、108週間IV注入Q3Wとして350mgで投与されるREGN2810(「SDREGN2810/ipi」)
・ 108週間IV注入Q3Wとして1050mgで投与されるREGN2810(「HDREGN2810」)
研究評価項目
主要評価項目は、盲検化された独立審査委員会(Independent Review Committee)(IRC)により評価して、RECIST 1.1に基づくCR又はPRを達成した患者の比率として定義されるORRである。
【0288】
研究における副次的評価項目は:(1)無作為化から死亡日までの時間として定義される全生存(OS)。死亡していない患者は、患者が生存していた最後の既知の日付で打ち切られる。(2)無作為化から、盲検化IRCにより評価されてRECIST 1.1により決定された最初の文書化された腫瘍進行の日付、又はいずれかの原因による死亡の日付までの時間として定義される無増悪生存(PFS)、(3)12か月、18か月、及び処置の最後での全生存、(4)治療下で発現した有害事象、用量制限毒性、重篤有害事象、死亡、及び検査異常の発生率により測定した、SDREGN2810、HDREGN2810及びSDREGN2810/ipi組み合わせ治療の安全性及び忍容性、(5)欧州癌研究治療機構生活の質質問票コア30(EORTC QLQ-C30)及び生活の質質問票肺癌13(EORTC QLQ-LC13)により測定した生活の質、(6)イピリムマブと組み合わせて又はHDREGN2810として投与された場合のREGN2810のPKの特徴づけ。(7)REGN2810に対するADA力価により測定した免疫原性の評価、(8)治験責任医師による毛髪色素沈着の評価、(9)Foundation Medicine「FoundationOne(R)」パネルにより評価した腫瘍変位量、(10)腫瘍体積の評価、(11)ICOS+CD4 T細胞頻度及び他のT細胞活性化のマーカーの評価である。
【0289】
手順及び評価
スクリーニング時に行われるべき手順は、インフォームドコンセント;組み入れ/除外基準の評価;医学、腫瘍学、及び併用薬の履歴の記録;人口動態の記録;PD-L1評価のため並びに上皮増殖因子受容体(EGFR)及び未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)変異及びC-ros癌遺伝子受容体チロシンキナーゼ(ROS1)融合のための腫瘍組織サンプルの収集及び検査;X線検査腫瘍評価;腫瘍量評価;胸部X線;血清妊娠検査;12誘導心電図;有害事象(AE)記録;バイタルサイン、身長、及び体重評価を含む身体検査;米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス評価;並びに検査室検査を含む。任意のゲノム下位研究のためのサンプルも得られ得る。処置期間の間、有効性及び安全性を評価するために以下の手順が行われる:検証された患者質問票を使用したQOL測定;身体検査;ECOGパフォーマンスステータス評価;バイタルサイン;妊娠可能性のある女性についての妊娠検査を含む検査室試験;AE及び併用薬の記録。X線検査腫瘍量評価及びRECIST 1.1基準に基づく腫瘍量評価のためのコンピュータ断層撮影は、研究の間の前もって指定された時点に行われる。他の評価は、毛髪色素沈着の治験責任医師評価、REGN2810濃度測定、REGN2810 ADA評価、及びバイオマーカー評価を含む。バイオマーカー手順は、さらなるPD-L1アッセイの検証のための腫瘍組織サンプルの使用を含む。ついで生存データが、電話により、又は来院時に、死亡、経過観察の損失、又は研究同意の撤回まで3か月毎に集められる。
【0290】
結果
SDREGN2810/ipi又はHDREGN2810は、その腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する患者において、SDREGN2810よりも高い奏効率を有するということが期待される。SDREGN2810で処置された1%~<50%のPD-L1発現を有する患者における10%総合奏効率を仮定すると、HDREGN2810又はSDREGN2810/ipiはORR30%;SDREGN2810と比較して20%の絶対増加を達成するということが期待される。
【0291】
実施例14:その腫瘍がPD-L1を<50%発現する進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有する患者の第一選択処置におけるREGN2810(抗PD-1抗体)、イピリムマブ(抗CTLA4抗体)及び白金ダブレット化学療法の組み合わせの臨床研究
この実施例は、PD-L1を<50%発現している腫瘍を有する進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有し、かつ彼らの進行性疾患のための全身性処置を以前に受けていない患者の第一選択処置における、REGN2810(抗PD-1抗体)、イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)、及び白金ベースのダブレット化学療法の組み合わせの臨床研究を記載する。
【0292】
この研究の主要目的は、その腫瘍が腫瘍細胞の1%~<50%においてプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を発現する患者のサブグループにおいて、及びその腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する研究患者全体の集団における、進行性扁平上皮又は非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者の第一選択処置において、REGN2810と4~6サイクルの標準治療白金ベースダブレット化学療法との組み合わせ治療(REGN2810/chemo-f)及びREGN2810と2サイクルのみの標準治療白金ベースダブレット化学療法とイピリムマブとの組み合わせ治療(REGN2810/chemo-l/ipi)の無増悪生存(PFS)を、標準治療白金ベースダブレット化学療法と比較することである。
【0293】
副次的目的は:(1)その腫瘍が腫瘍細胞の1%~<50%においてPD-L1を発現する患者のサブグループにおいて、及びその腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する研究患者全体の集団における、進行性扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者の第一選択処置において、REGN2810/chemo-f及びREGN2810/chemo-l/ipiの全生存(OS)を、治療標準白金ベースダブレット化
学療法と比較すること。(2)その腫瘍が腫瘍細胞の1%~<50%においてPD-L1を発現する患者のサブグループにおいて、及びその腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する研究患者全体の集団における、進行性扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者の第一選択処置において、REGN2810/chemo-f及びREGN2810/chemo-l/ipiの客観的奏効率(ORR)を標準治療白金ベースダブレット化学療法に対して比較すること。(3)REGN2810及び4~6サイクルの白金ダブレット化学療法並びにREGN2810及びイピリムマブの安全性及び忍容性を評価すること。(4)REGN2810及び4~6サイクルの白金ダブレット化学療法並びにREGN2810及びイピリムマブの薬物動態を特徴づけること。(5)その腫瘍が腫瘍細胞の1%~<50%においてPD-L1を発現する患者のサブグループにおいて、及びその腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する研究患者全体の集団における、進行性扁平上皮又は非扁平上皮NSCLCを有する患者の第一選択処置において、REGN2810/chemo-f又はREGN2810/chemo-l/ipiの12か月及び18か月でのOSを、標準治療白金ベースダブレット化学療法に対して比較すること。(6)REGN2810に対する抗薬物抗体により測定して免疫原性を評価すること、を含む。
【0294】
研究集団
標的集団は、彼らの進行性疾患のための処置を以前に受けていない<50% PD-L1+腫瘍細胞、IIIB期またはIV期、扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有する≧18歳の男性及び女性を含む。
【0295】
組入れ基準
1) ≧18歳の男性及び女性
2) 再発性又は転移性NSCLCのための全身処置を以前に受けていないIIIB期又はIV期疾患を有する、組織学的又は細胞学的に文書化された扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有する患者
3) アジュバント又はネオアジュバント白金-ダブレット化学療法を受け(手術及び/又は放射線療法後)、そして治療完了の6か月より後に再発性又は転移性疾患を発症した患者は適格である
4) アジュバント又はネオアジュバントPD-1又はPD-L1遮断を受け、そして治療完了後12か月より後に再発性又は転移性の疾患を発症した患者は適格である
5) 以前に照射されていない、転移/再発部位からの記録保存又は新しく得られたホルマリン固定腫瘍組織
6) 中央検査室により行われるIHCにより、腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現する腫瘍細胞
7) RECIST1.1基準に従ってコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴画像法(MRI)によりX線検査で測定可能な少なくとも1つの病変。標的病変は、その部位における文書化された(X線検査の)疾患進行がある場合、以前に照射された領域に位置していてもよい。
8) ECOGパフォーマンスステータス≦1
9) 少なくとも3ヶ月の予測される寿命
10) 以下に定義される適切な器官及び骨髄機能:
11) ヘモグロビン≧10.0g/dL
12) 好中球絶対数≧1.5×10/L
13) 血小板数≧100,000/mm
14) 糸球体濾過率(GFR)>30mL/分/1.73m
15) 臨床的に確認されたジルベール少高原と診断された患者を除いて、総ビリルビン≦1.5×正常上限(ULN)(肝臓転移の場合≦3×ULN)
16) アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)及びアラニンアミノ基転移酵素(A
LT)≦3×ULN又は肝臓転移の場合≦5×ULN
17) アルカリホスファターゼ≦2.5×ULN(又は肝臓もしくは骨転移の場合≦5.0×ULN)
18) Hyの法則について基準を満たさない(ALT>3×ULN及びビリルビン>2×ULN)
19) 来診及び研究関連手順に従う意思がありかつ従うことができる
20) 署名したインフォームドコンセントを提出する
21) 研究関連質問票を理解し、そして全ての項目に記入することができる。
【0296】
除外基準:1.生涯で≦100のタバコの喫煙として定義して、喫煙をしたことがない患者;2.活動性又は未処置の脳転移又は脊髄圧迫。中枢神経系(CNS)転移が適切に処置され、そして患者が登録前の少なくとも2週間に神経学的にベースラインに戻っていた場合(CNS処置に関連する残留徴候又は症状を除く)、患者は適格である。患者は、(免疫抑制用量の)コルチコステロイド治療を中止していなければならない(ステロイドの中止のタイミングに関する詳細については除外基準7)を参照のこと)、3.EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座、又はROS1融合について陽性と試験された腫瘍を有する患者。全ての患者は、EGFR変異、ALK再構成、及びROS1融合について彼らの腫瘍を評価される。4.インフォームドコンセントの前1年に脳炎、髄膜炎、又は制御されないてんかん。5.間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症、器質化肺炎)又は管理を支援するためにグルココルチコイドの免疫抑制用量を必要とした活動性、非伝染性間質性肺炎、又は最近5年以内に肺炎の病歴。肺炎が登録の≧6か月前に回復しているかぎり、照射野における放射線肺炎の病歴は許容される。6.全身免疫抑制処置での処置を必要とした重大な自己免疫疾患の進行中又は最近の証拠、これは免疫関連の処置下で発現した有害事象(irTEAE)についてのリスクを示唆し得る。以下は除外ではない:白斑症、消散した小児喘息、ホルモン補充のみを必要とする残存甲状腺機能低下症、又は全身処置を必要としない乾癬。7.無作為化の14日以内にコルチコステロイド治療(>10mgプレドニゾン/日又は等価物)を必要とする状態を有する患者。それらが免疫抑制意図で投与されていないかぎり、たとえプレドニゾン/日>10mg又は等価物であっても生理的補充用量は許容される。吸入又は局所ステロイドは許容されるが、ただしそれらは自己免疫障害の処置のためのものではない。
【0297】
研究設計
この臨床試験は、IIIB期又はIV期の扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有し、その腫瘍が腫瘍細胞の<50%においてPD-L1を発現し、かつ彼らの進行性疾患のための全身処置を以前に受けていない患者の第一選択処置における、REGN2810/chemo-f対REGN2810/chemo-l/ipi対標準治療白金ベースダブレット化学療法の研究である。腫瘍組織(腫瘍ブロック又は少なくとも12の未染色スライド)は、検証されたPD-L1アッセイを使用するPD-L1評価のために提供される。
【0298】
進行性未処置NSCLCを有する患者を、以下の処置アームのうちの1つに1:1:1で無作為に選んだ:
処置アームA:4~6サイクルの間3週間ごと(Q3W)の標準治療白金ベースダブレット化学療法(その後、ペメトレキセド含有レジメンを受けるように最初に割り当てられた患者のための任意のペメトレキセド維持)
処置アームB:108週間の間REGN2810 350mg Q3W及び4~6サイクルの間標準治療白金ベースダブレット化学療法(本明細書以後で「REGN2810/chemo-f」と呼ばれる)
処置アームC:REGN2810 350mg Q3Wを108週間及び標準治療白金ベースダブレット化学療法を2サイクル及びイピリムマブ50mgを6週間ごと(Q6W
)4用量まで(本明細書以後で「REGN2810/chemo-l/ipi」と呼ばれる)
無作為化は組織学(非扁平上皮対扁平上皮)及びPD-L1発現のレベル(<1%対1%~24%対25%~<50%)により階層化される。
【0299】
患者は、処置期間の間彼らに割り当てられた処置を受ける(上に示されたとおり)。固形がんの治療効果判定基準バージョン1.1(RECIST1.1)で定義された進行性疾患、許容できない毒性、同意の撤回、死亡、別の抗癌処置の開始により、又は処置アームB及びC、患者については、完全寛解(CR)もしくは部分応答(PR)の特定の状況において、処置は早期に中止され得る。
【0300】
試験処置
処置アーム(A):Q3Wで4~6サイクルIV投与される標準治療白金ベースダブレット化学療法(その後、ペメトレキセド含有レジメンを受けるよう最初に割り当てられた患者については任意のペメトレキセド維持)
処置アーム(B):4~6サイクルの間Q3W IV投与される標準治療白金ベースダブレット化学療法と組み合わせた、108週間静脈内(IV)注入Q3Wとして350mgで投与されるREGN2810
処置アーム(C):2サイクルの間Q3W IV投与される標準治療白金ベースダブレット化学療法及び4用量までの間Q6W 50mgで約90分かけてIV投与されるイピリムマブと組み合わせた、108週間Q3W IV注入として350mgで投与されるREGN2810
標準治療白金ダブレット化学療法4~6サイクルは、以下のレジメンのうちの1つに従って投与される:
(i) パクリタキセル+シスプラチン:参加者は、4~6サイクルの間又は文書化された疾患進行まで21日ごとに1日目にIV投与されるパクリタキセル200mg/m、続いてIV投与されるシスプラチン75mg/mを受ける。(ii) パクリタキセル+カルボプラチン:参加者は、4~6サイクルの間又は文書化された疾患進行まで21日ごとに1日目に、IV投与されるパクリタキセル200mg/m、続いてIV投与される5又は6mg/ml/分カルボプラチン AUCを受ける。(iii)ゲムシタビン+シスプラチン:参加者は、4~6サイクルの間又は疾患進行まで、各21日サイクルの1日目及び8日目にIV投与されるゲムシタビン1250mg/m、並びに21日ごとに1日目にIV投与されるシスプラチン75mg/mを受ける。(iv) ゲムシタビン+カルボプラチン:参加者は、4~6サイクルの間又は疾患進行まで、各21日サイクルの1日目及び8日目にIV投与されるゲムシタビン1250mg/m並びに21日ごとに1日目にIV投与されるカルボプラチンAUC 5又は6mg/ml/分を受ける。(v)ペメトレキセド+シスプラチン(非扁平上皮組織学のみ):参加者は、4~6サイクルの間21日ごとに1日目にペメトレキセド500mg/m iv、続いてIV投与されるシスプラチン75mg/m、続いて研究の残りの間又は文書化された疾患進行まで、任意のペメトレキセド500mg/m維持を受ける。(vi)ペメトレキセド+カルボプラチン(非扁平上皮組織学のみ):参加者は、4~6サイクルの間21日ごとに1日目に、IV投与されるペメトレキセド500mg/m、続いてIV投与されるカルボプラチン AUC 5又は6mg/ml/分、続いて研究の残りの間又は文書化された疾患進行まで任意のペメトレキセド500mg/m維持を受ける。
【0301】
手順及び評価
スクリーニングで行われるべき手順は、インフォームドコンセント;組み入れ/除外基準の評価;医療、組織学及び併用薬の履歴の記録;人口動態の記録;PD-L1評価のため並びに上皮増殖因子受容体及び未分化リンパ腫キナーゼ変異及びC-ros癌遺伝子受容体チロシンキナーゼ融合のための腫瘍組織サンプルの収集及び検査;X線検査腫瘍評価
;腫瘍量評価;胸部X線;血清妊娠検査;12誘導心電図;有害事象(AE)記録;バイタルサイン、身長、及び体重評価を含む身体検査;米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス評価;並びに検査室検査を含む。任意のゲノム下位研究のためのサンプルも得られ得る。
【0302】
処置期間の間、以下の手順が有効性及び安全性を評価するために行われる:有効な患者質問票検査を使用したQOL測定、身体検査、ECOGパフォーマンスステータス評価;バイタルサイン;妊娠する可能性のある女性についての妊娠検査を含む検査室検査;AE及び併用薬の記録。X線検査腫瘍量評価及びRECIST1.1基準に基づく腫瘍量評価のためのコンピュータ断層撮影又は磁気共鳴画像法(又はポジトロン断層撮影)は、研究の間の前もって指定された時点に行われる。
【0303】
生存データは、死亡、追跡の損失、又は研究同意の撤回まで、3か月ごとに電話により又は来院時に集められる。
【0304】
結果
R2810組み合わせレジメンは、PD-L1を1%~<50%の間発現する腫瘍を有する患者において、及び研究集団全体において、PFS中央値を4か月までに増加すると期待される(標準治療白金ダブレット化学療法について6ヶ月から、いずれかのR2810組み合わせレジメンについて10か月まで増加)。REGN2810及び4~6サイクルの白金ダブレット化学療法又はREGN2810もしくはREGN2810及びイピリムマブは、白金ダブレット化学療法と比較してOSを延長し、そしてORRを改善する。
【0305】
実施例15:その腫瘍がPD-L1を≧50%発現する進行性又は転移性の非小細胞肺癌を有する患者の第一選択処置にける、REGN2810(抗PD-1抗体)、白金ベースダブレット化学療法、及びイピリムマブ(抗CTLA-4抗体)の組み合わせ対ペムブロリズマブ単剤療法の組み合わせの臨床研究
この実施例は、その腫瘍がPD-L1を腫瘍細胞の≧50%において発現し、かつ彼らの進行性疾患のための全身処置を以前に受けていない、進行性又は転移性の扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有する患者における、ペムブロリズマブ単剤療法に対する、REGN2810単剤療法、白金ベースダブレット化学療法、及びイピリムマブ(4用量まで投与される)の組み合わせの臨床研究を記載する。
【0306】
研究の主要目的は、その腫瘍が腫瘍細胞の≧50%においてプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を発現する進行性の扁平上皮または非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者の第一選択処置において、REGN2810(セミプリマブ)とイピリムマブとの組み合わせ治療(本明細書以後でREGN2810/ipiと呼ばれる)及びREGN2810と2サイクルのみの白金ベースダブレット化学療法とイピリムマブとの組み合わせ治療(本明細書以後で「REGN2810/chemo/ipi」と呼ばれる)の無増悪生存(PFS)を、標準治療ペムブロリズマブ単剤療法と比較することである。さらなる目的は、全生存、腫瘍応答、患者報告アウトカム、安全性、及び薬物動態(PK)のさらなる特徴づけを含む。
【0307】
研究集団
標的集団は、≧50% PD-L1+腫瘍細胞、IIIB期又はIV期、扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有し、彼らの進行性疾患のための処置を以前に受けていなかった≧18歳の男性及び女性を含む。
【0308】
組入れ基準
1) ≧18歳の男性及び女性
2) IIIB期又はIV期疾患の組織学的又は細胞学的に文書化された扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有し、再発又は転移NSCLCのための全身処置を以前に受けていない患者
3) アジュバント又はネオアジュバント白金ダブレット化学療法(手術及び/又は放射線療法の後)を受け、かつ治療完了後6か月より後に再発性又は転移性疾患を発症した患者
4) アジュバント又はネオアジュバントPD-1又はPD-L1遮断を受け、かつ治療完了後12か月より後に再発性又は転移性疾患を発症した患者は適格である
5) 以前に照射されていない転移/再発部位からの記録保存された又は新しく得られたホルマリン固定腫瘍組織
6) 中央検査室により行われたIHCにより、腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現する腫瘍細胞
7) RECIST1.1基準に従ってコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴画像法(MRI)によりX線検査で測定可能な少なくとも1つの病変。その部位に文書化された(X線検査の)疾患進行がある場合、標的病変は以前に照射された領域に位置していてもよい。
8) ECOGパフォーマンスステータス≦1
9) 少なくとも3か月の予測される寿命
10) 以下に定義される適切な器官及び骨髄機能:
11) ヘモグロビン≧8.0g/dL
12) 好中球絶対数≧1.0×10/L
13) 血小板数≧75,000/mm
14) 糸球体濾過率(GFR)>30mL/分/1.73m
15) 臨床的に確認されたジルベール症候群と診断された患者を除いて、総ビリルビン≦1.5×正常上限(ULN)(肝臓転移の場合≦3×ULN)
16) アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)及びアラニンアミノ基転移酵素(ALT)≦3×ULN又は肝臓転移の場合≦5×ULN
17) アルカリホスファターゼ≦2.5×ULN(又は肝臓もしくは骨転移の場合≦5.0×ULN)
18) Hyの法則(ALT>3×ULN及びビリルビン>2×ULN)について基準を満たさない
19) 来診及び研究関連手順に従う意思がありかつ従うことができる
20) 署名したインフォームドコンセントを提出する
21) 研究関連質問票を理解し、そして全ての項目に記入することができる。
【0309】
除外基準:1.生涯で≦100のタバコの喫煙として定義して、喫煙をしたことがない患者;2.活動性又は未処置の脳転移又は脊髄圧迫。中枢神経系(CNS)転移が適切に処置され、そして患者が登録前の少なくとも2週間に神経学的にベースラインに戻っていた場合(CNS処置に関連する残留徴候又は症状を除く)、患者は適格である。患者は、(免疫抑制用量の)コルチコステロイド治療を中止していなければならない(ステロイドの中止のタイミングに関する詳細については除外基準7)を参照のこと)、3.EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座、又はROS1融合について陽性と試験された腫瘍を有する患者。全ての患者は、EGFR変異、ALK再構成、及びROS1融合について彼らの腫瘍を評価される。4.インフォームドコンセントの前1年に脳炎、髄膜炎、又は制御されないてんかん。5.間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症、器質化肺炎)又は管理を支援するためにグルココルチコイドの免疫抑制用量を必要とした活動性、非伝染性間質性肺炎、又は最近5年以内に肺炎の病歴。肺炎が登録の≧6か月前に回復しているかぎり、照射野における放射線肺炎の病歴は許容される。6.全身免疫抑制処置での処置を必要とした重大な自己免疫疾患の進行中又は最近の証拠、これは免疫関連の処置下で発現した有害事象(irTEAE)についてのリスクを示唆し得る。以下は除外ではない:白斑症、
消散した小児喘息、ホルモン補充のみを必要とする残存甲状腺機能低下症、又は全身処置を必要としない乾癬。7.無作為化の14日以内にコルチコステロイド治療(>10mgプレドニゾン/日又は等価物)を必要とする状態を有する患者。それらが免疫抑制意図で投与されていないかぎり、たとえプレドニゾン/日>10mg又は等価物であっても生理的補充用量は許容される。吸入又は局所ステロイドは許容されるが、ただしそれらは自己免疫障害の処置のためのものではない。
【0310】
研究設計
この臨床試験は、IIIB期又はIV期扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有し、その腫瘍が腫瘍細胞の≧50%においてPD-L1を発現し、かつ彼らの進行性疾患のための全身処置を以前に受けていない患者において、REGN2810/ipi対REGN2810/chemo/ipi対ペムブロリズマブ単剤療法の有効性及び安全性の研究である。
【0311】
研究は以下の3つの期間からなる:スクリーニング、処置、及び経過観察。患者は無作為化の前28日以内に彼らの適格性を決定するためにスクリーニング評価を受ける。適格な患者は、以下の処置アームのうちの1つに1:1:1で無作為に選ばれる:
処置アームA:ペムブロリズマブ 単剤療法200mg3週間ごと(Q3W)108週間
処置アームB:108週間REGN2810 350mg Q3W及び6週間ごと(Q6W)イピリムマブ50mg4用量まで
処置アームC:108週間REGN2810 350mg Q3W及び白金ベースダブレット化学療法Q3W2サイクル及びイピリムマブ50mg6週ごと(Q6W)4用量まで
患者は、彼らの割り当てられた処置を108週間の処置期間の間受ける。固形がんの治療効果判定基準バージョン1.1(RECIST1.1)で定義された進行性疾患、許容できない毒性、同意の撤回、死亡、別の抗癌処置の開始により、又は処置アームB及びC、患者については、完全寛解(CR)もしくは部分応答(PR)の特定の状況において、処置は早期に中止され得る。治療中にRECIST 1.1で定義された進行性疾患を経験する患者は、治験責任医師が患者は臨床的有用性を経験していると判断した場合、及び患者が108週の処置期間を完了していない場合には研究処置を継続してもよい。さらなる進行性疾患(初期の進行性疾患の時点から腫瘍量のさらに10%増加の増加として定義される)が確認された場合、REGN2810(及び適用可能な場合イピリムマブ)を中止しなければならず、そして適切な場合は他の抗癌治療が考慮される。進行の最初の証拠を超える処置への同様のアプローチは、処置アームAにおいてペムブロリズマブを受けている患者に提供される。
【0312】
研究処置
処置アームA:108週間IV注入Q3Wとして200mgで投与されるペムブロリズマブ
処置アームB:4用量まで50mg Q6Wで約90分かけてIV投与されるイピリムマブと組み合わせた、108週間静脈内(IV)注入Q3Wとして350mgで投与されるREGN2810
処置アームC:2サイクルの間Q3WでIV投与される白金ベースダブレット化学療法と、及び4用量まで50mg Q6Wで約90分かけてIV投与されるイピリムマブと組み合わせた、108週間Q3WでIV注入として350mgで投与されるREGN2810。
【0313】
手順及び評価
スクリーニングで行われるべき手順は、インフォームドコンセント;組み入れ/除外基
準の評価;医療、腫瘍学及び併用薬の履歴の記録;人口動態の記録;PD-L1評価のため並びに上皮増殖因子受容体及び未分化リンパ腫キナーゼ変異及びC-ros癌遺伝子受容体チロシンキナーゼ融合のための腫瘍組織サンプルの収集及び検査;ベースラインX線検査腫瘍評価及び腫瘍量評価;胸部X線;血清妊娠検査;12誘導心電図;バイタルサイン、身長、及び体重評価を含む身体検査一式;米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス評価;有害事象(AE)記録;並びに検査室検査を含む。任意のゲノム下位研究のためのサンプルも得られ得る。
【0314】
処置期間の間、以下の手順が有効性及び安全性を評価するために行われる:有効な患者質問票検査を使用したQOL測定、身体検査、ECOGパフォーマンスステータス評価;バイタルサイン;妊娠する可能性のある女性についての妊娠検査を含む検査室検査;AE及び併用薬の記録。X線検査腫瘍量評価及びRECIST1.1基準に基づく腫瘍量評価のためのコンピュータ断層撮影又は磁気共鳴画像法(又はポジトロン断層撮影)は、研究の間の前もって指定された時点に行われる。
【0315】
生存データは、死亡、追跡の損失、又は研究同意の撤回まで、3か月ごとに電話により又は来院時に集められる。
【0316】
結果
いずれのREGN2810組み合わせも、ペムブロリズマブ単剤療法と比較して1~5か月PFSを延長すると期待される。化学療法及び/又は抗CTLA-4抗体と組み合わせたREGN2810はペムブロリズマブ単剤療法と比較してOSを延長し、そしてORRを改善する。
【0317】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施態様により範囲を限定されるべきではない。実際に、本明細書に記載されるものに加えて本発明の様々な改変は、前述の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。このような改変は添付の特許請求の範囲内であることを意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
【配列表】
2024016192000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺癌を処置するか又は肺癌患者の生存を増加させる方法で使用するための、プログラム細胞死1(PD-1)に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物であって、前記方法は:
(a)非小細胞肺癌を有する患者を選択すること、ここで前記患者における腫瘍組織が腫瘍細胞の<50%においてプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を発現し、及び、前記患者は、上皮成長因子受容体(EGFR)変異、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)転座、及び/又はROS1融合について陽性と試験されていない;並びに
(b)治療有効量の、前記PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの1又はそれ以上の用量を患者に投与し、それにより患者における肺癌を処置すること
を含み、
ここで、前記PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(HCVR)の3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)及び軽鎖可変領域(LCVR)の3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含み、ここでHCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;及びLCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む、
上記医薬組成物。
【請求項2】
患者は:
(a)肺癌のための全身処置で以前に処置されていなかった;又は
(b)抗腫瘍療法で以前に処置されていた、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
非小細胞肺癌は局所的に進行性であり及び患者は確定した化学放射線療法の候補ではなく、又は、非小細胞肺癌は転移性である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
抗腫瘍療法は、白金ベースの化学療法を含む、請求項2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(a)患者は、扁平上皮若しくは非扁平上皮III期若しくはIV期肺癌を有する;又は
(b)患者は、進行性若しくは再発性非小細胞肺癌を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
抗体の各用量は:
(a)週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、又は4週ごとに1回、投与される;及び/又は
(b)抗体の20~1500mgを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
抗体の各用量は:
(a)抗体の200、250、300、350、450、600、750、800、1000又は1050mg;及び/又は
(b)抗体の350mgであって、3週ごとの投与のためのものである、
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
抗体の各用量は0.1~10mg/患者の体重kgを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
抗体の各用量は、1、3、4、5、6又は10mg/患者の体重kgを含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
各用量は、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、又は4週ごとに1回、投与される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、患者への静脈内注入として投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、化学療法、抗細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4(CTLA-4)抗体、放射線、手術、抗リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)抗体、抗PD-L1抗体、シクロホスファミド、ワクチン、抗グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)抗体、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害融合タンパク質、抗VEGF抗体、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、腫瘍特異的抗原に対する抗体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、細胞毒、サイトカイン、T細胞療法、抗炎症薬、及び栄養補助食品からなる群より選択される第二の治療剤またはレジメンと組み合わせて投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
抗体は:
(a)白金ベースの化学療法と組み合わせて;及び/又は
(b)抗CTLA-4抗体と組み合わせて、
投与される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
抗体の少なくとも1回の用量の投与は、単剤療法として白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、患者の無増悪生存(PFS)又は全生存(OS)の増加を生じる、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
(a)PFSは、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して少なくとも1か月
増加する;
(b)OSは、白金ベースの化学療法を投与された患者と比較して、少なくとも1か月増加する、
請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
HCVRは配列番号1のアミノ酸配列を含み、及びLCVRは配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
抗体は:
(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む;又は
(b)セミプリマブである、
請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
肺癌を処置するか又は肺癌患者の生存を増加させる方法で使用するための、プログラム細胞死1(PD-1)に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物であって、前記方法は:
(a)非小細胞肺癌を有する患者を選択すること、ここで:(i)前記患者における腫瘍組織が腫瘍細胞の<50%においてプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を発現し;(ii)前記患者は、上皮成長因子受容体(EGFR)変異、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)転座、及び/又はROS1融合について陽性と試験されていない;(iii)患者は確定した化学放射線療法の候補ではなく、又は非小細胞肺癌は転移性であり;及び(iv)患者は、肺癌のための全身性処置で以前に処置されていなかった;並びに
(b)治療有効量の抗体の1又はそれ以上の用量を患者に投与し、それにより患者における肺癌を処置すること
を含み;
ここで、前記抗体は、重鎖可変領域(HCVR)の3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)及び軽鎖可変領域(LCVR)の3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含み、ここでHCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;及びLCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含み;並びに
前記抗体は、350mgの用量で3週ごとに静脈内投与される、
上記医薬組成物。
【請求項19】
HCVRは配列番号1のアミノ酸配列を含み、及びLCVRは配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項18又は19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
抗PD-1抗体は、セミプリマブである、請求項18~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】