(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161926
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】転写シート
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20241114BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B32B27/30 A
B32B27/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076981
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北城 大造
(72)【発明者】
【氏名】林田 寿子
(72)【発明者】
【氏名】川上 正人
(72)【発明者】
【氏名】戸根 健輔
(72)【発明者】
【氏名】阿竹 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 健一
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK15C
4F100AK15D
4F100AK15J
4F100AK22C
4F100AK22D
4F100AK22J
4F100AK25B
4F100AK42A
4F100AL01C
4F100AL01D
4F100AL06C
4F100AR00C
4F100AR00D
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4F100BA04
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4F100EJ05B
4F100EJ422
4F100JL11C
4F100JL11D
(57)【要約】
【課題】
耐擦過性および箔切れ性が良好な保護層を有する転写シートの提供。
【解決手段】
基材上に保護層と接着層が積層されており、前記接着層を被転写体に当接した状態で加熱することで前記被転写体と接着し、その後、前記基材を剥離することで前記被転写体に前記保護層を転写することが可能な転写シートであって、前記保護層と前記接着層の間に接着強化層が設けられており、前記保護層は、アクリルポリオールと、前記アクリルポリオールの水酸基と30℃以上70℃以下で反応する第1の架橋剤と、が架橋した架橋物と、前記アクリルポリオールのカルボキシ基と80℃以上160℃以下で反応する第2の架橋剤と、を含有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に保護層と接着層が積層されており、
前記接着層を被転写体に当接した状態で加熱することで前記被転写体と接着し、その後、前記基材を剥離することで前記被転写体に前記保護層を転写することが可能な転写シートであって、
前記保護層と前記接着層の間に接着強化層が設けられており、
前記保護層は、
アクリルポリオールと、前記アクリルポリオールの水酸基と30℃以上70℃以下で反応する第1の架橋剤と、が架橋した架橋物と、
前記アクリルポリオールのカルボキシ基と80℃以上160℃以下で反応する第2の架橋剤と、を含有する、
ことを特徴とする転写シート。
【請求項2】
前記第1の架橋剤はイソシアネート系化合物であり、前記第2の架橋剤はオキサゾリン基含有ポリマーである、ことを特徴とする請求項1に記載の転写シート。
【請求項3】
前記接着強化層はビニル系化合物の熱変性物を含有する、ことを特徴とする請求項1に記載の転写シート。
【請求項4】
前記接着層はビニル系化合物を含有する材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の転写シート。
【請求項5】
前記ビニル系化合物はカルボニル基を含む、ことを特徴とする請求項3または4に記載の転写シート。
【請求項6】
前記ビニル系化合物は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体である、ことを特徴とする請求項3または4に記載の転写シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録物の表面に保護層を転写形成する転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録物の表面に透明な保護層を転写して、記録面に耐擦過性を付与する転写シートが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基材上に保護層と表面層が積層された熱転写シートが開示されている。表面層は接着層として機能し、これを記録物(被転写体ともいう)の表面に接着して保護層と表面層を基材から剥離することで、表面が保護層で覆われた記録物が製造できる。また、保護層は、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸カルボキシアルキル等の重合成分を含む重合物で形成されており、その厚みを10μm以下にすることで、基材から剥離する際の箔切れ性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の保護層は薄く耐擦過性が不十分であった。保護層を厚くすることで耐擦過性は改善できるが、保護層が厚いと、転写シートと被転写体との接着物から保護層で覆われた記録物を切り離す際に、保護層が被転写体のエッジに沿って綺麗に切断できず、箔切れ性が悪化する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、次のような構成の転写シートを用いる。
【0007】
基材上に保護層と接着層が積層されており、前記接着層を被転写体に当接した状態で加熱することで前記被転写体と接着し、その後、前記基材を剥離することで前記被転写体に前記保護層を転写することが可能な転写シートであって、前記保護層と前記接着層の間に接着強化層が設けられており、前記保護層は、アクリルポリオールと、前記アクリルポリオールの水酸基と30℃以上70℃以下で反応する第1の架橋剤と、が架橋した架橋物と、前記アクリルポリオールのカルボキシ基と80℃以上160℃以下で反応する第2の架橋剤と、を含有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐擦過性および箔切れ性に優れた保護層を有する転写シートが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】尾引きが発生した記録物を被転写体側から見た上面図である。
【
図3】第2の架橋剤の機能を説明するための説明図である。
【
図4】接着強化層の加熱前後の変化を示す比較図である。
【
図5】記録物の製造方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
[転写シート]
図1に示すように、本発明の転写シート10は、基材50上に保護層40と接着強化層30と接着層20が積層されたものである。本発明の転写シート10は、接着層20を被転写体80の記録面に当接した状態で加熱することで被転写体80と接着でき、その後基材50を剥離することで、被転写体80に保護層40が転写された記録物100を製造することができる。
【0012】
[基材]
本発明で使用される基材50は、転写シート10のカールを抑制し、搬送性を良好にする役割を果たすと同時に、転写後に剥離することが可能である。
【0013】
基材50を構成する素材は、転写シート10の用途に応じて適宜選択すればよい。ただし、転写シート10と被転写体80の接着時(以下、単に「接着時」ともいう)に加熱されることから、耐熱性、寸法安定性、加工の容易さ等を考慮して、樹脂製のフィルムを用いることが好ましい。基材の厚みに関しては、保護層や接着強化層を塗工して積層すること、接着時に加熱されることを考慮して、12μm以上50μm以下とすることが好ましい。厚みを12μm以上とすることで塗工時のカールの影響を低減でき、50μm以下とすることで接着層への熱伝導性を上げることができる。
【0014】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン-4フッ化エチレン共重合体等のポリフッ化エチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体樹脂;三酢酸セルロース、セロハン等のセルロース系樹脂;ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の、その他の合成樹脂;等からなるフィルムが挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の、融点(Tm)が100℃以上の結晶性樹脂からなるフィルムは、比較的安価で入手しやすい上、耐熱性や寸法安定性に優れているので好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を複合あるいは積層して用いてもよい。
【0015】
また、上記樹脂フィルムには、接着時の熱伝導性を上げる目的で、樹脂フィルム中にシリカ、アルミナ、グラファイト等のフィラーを添加したり、搬送性を向上させる目的で、フィルムの裏面(保護層40を設けない面)に滑りを改善する補助層を設けてもよい。
【0016】
[離型層]
本発明の転写シート10は、転写後の基材の剥離性を改良するために、基材50と保護層40の間に離型層(不図示)を設けてもよい。離型層は、転写シート10と被転写体80の接着物から基材50を剥離する際に、基材と共剥離されるものであり、公知の離型剤を用いて基材上に形成することができる。離型剤としては、例えば、シリコーンワックスなどのワックス類に代表されるシリコーンワックス、シリコーン樹脂などのシリコーン系の離型剤、フッ素樹脂などのフッ素系離型剤、ポリエチレン樹脂等が挙げられ、それぞれを単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、本発明における離型層には、密着性付与剤や帯電防止剤などの添加剤を添加してもよい。
【0017】
[保護層]
本発明の転写シート10は、これを用いて製造される記録物100を、様々な環境変化や、薬品、摩擦等から保護できる保護層40を備えている。また、本発明の転写シート10を用いて製造される記録物100は保護層40を通して観察されるため、保護層40は透明であり、その透明度は、JIS K7375に基づく全光線透過率で50%以上であることが好ましく、JIS K7375に基づく全光線透過率で90%以上であることがさらに好ましい。
【0018】
保護層40の素材としては熱可塑性のアクリル樹脂が好ましく、例えば、ポリメタクリレート、スチレン-アクリル共重合体、ポリエチレンアクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステルとビニル化合物の共重合体等が使用できる。中でも、アクリル酸エステルとビニル化合物の共重合物が好ましく、特に、分子内に複数の水酸基を有するアクリルポリオールは、後述する第1の架橋剤(イソシアネート系化合物)を用いて穏和な条件で架橋できるので好ましい。
【0019】
また、分子内に水酸基を有するアクリルポリオールは、同分子内にカルボキシ基を有していることが好ましい。これにより、第1の架橋剤で架橋した架橋物を後述する第2の架橋剤でさらに架橋することができ、保護層の耐擦過性と箔切れ性を同時に改善することができる。
【0020】
ここで、箔切れ性とは、転写シート10と被転写体80を接着した接着物から記録物100を切り離す工程において、保護層40と、接着強化層30と、接着層20と、が被転写体80のエッジに沿った形状で剥離される際の切り離されやすさを意味する。箔切れ性が悪いと、
図2に示すように、保護層40から接着層20までの切断面にバリ70や尾引き71が発生する。尾引きとは、記録物100を一方の端部から切り離す際に下流側で生じる現象であり、保護層40から接着層20までの積層物が、被転写体80のエッジから大きく突出して切れることを意味する。
【0021】
保護層40に使用するアクリルポリオールの水酸基とカルボキシ基の総量は、アクリルポリオール1gに対して0.1mmol以上であればよい。また、水酸基とカルボキシ基の含有比率はモル比で1:0.1~1:1.5の範囲で、溶媒への溶解度やコーティング時の粘度を考慮して選択すればよい。
【0022】
さらに、保護層40に使用するアクリルポリオールは、重量平均分子量(Mw)と、官能基(-OH、-COOH)の総含有量(水酸基価(mgKOH/g)と酸価(mgKOH/g)の総量)と、の比率が1,000:1~2,500:1の範囲であることが好ましい。官能基の総量に対する重量平均分子量の比率を1,000以上にすることで分子間の架橋の間隔が適度になり、保護層に必要な擦過耐性が得られる。また、官能基の総量に対する重量平均分子量の比率を2,500以下にすることで、転写シート10をロール状に巻き取る際に、保護層に割れが発生することを防止できる。
【0023】
また、保護層40に使用するアクリルポリオールのTg(ガラス転移温度)は、40℃以上80℃以下であることが好ましい。Tgがこの範囲であれば、異なるTgを有するアクリルポリオールを2種類以上併用してもよい。Tgが40℃以上のアクリルポリオールを使用することで耐擦過性が良好となり、Tgが80℃以下のアクリルポリオールを使用することで、転写シート10をロール状に巻き取った際に保護層40が基材50から剥離することを抑制できる。
【0024】
保護層40には、透明度を損なわない範囲で、シリカやアルミナなどのナノサイズの無機微粒子を添加してもよい。これにより、保護層40の箔切れ性がさらに向上できる。
【0025】
保護層40は、前述したアクリルポリオールと、後述する第1および第2の架橋剤と、任意の溶媒と、を混合して塗工液を調整し、これを基材50上にコーティングすることで形成される。コーティング時の乾燥温度は、アクリルポリオールの水酸基と第1の架橋剤との反応温度よりも高く、かつ、アクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤との反応温度よりも低くすることが好ましく、具体的には40~70℃の範囲に設定することが好ましい。これにより、第2の架橋剤を反応させずに保護層40を形成することができる。本発明では、良好な箔切れ性を得るために、アクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤との反応を、転写シート10が被転写体80に接着されるまで極力抑えることが重要となる。
【0026】
保護層40の厚みは特に限定しないが、8μm以上30μm以下であることが好ましい。保護層40の厚みを8μm以上とすることで耐擦過性が確保でき、保護層40の厚みを30μm以下とすることで箔切れ性が確保できる。
【0027】
[第1の架橋剤]
本発明における保護層40は、主成分であるアクリルポリオールが第1の架橋剤によって架橋された架橋物を含有している。これにより、保護層40の耐擦過性が向上される。アクリルポリオールの第1の架橋剤による架橋物は、基材50上に保護層40を形成する際に僅かに生成する場合もあるが、大部分は形成した保護層40に新たに加熱処理を行うことで生成される。一方、加熱処理を行う際に第2の架橋剤が反応しないように考慮する必要があるため、加熱処理の温度はアクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤が反応する温度よりも低い40℃~70℃の範囲に設定することが好ましい。また、加熱処理の時間は特に限定されず、アクリルポリオールと第1の架橋剤とが50%以上架橋するように調整すればよい。
【0028】
第1の架橋剤としては、アクリルポリオールの水酸基と反応する官能基(例えば、-NCO)を有する公知のイソシアネート系化合物が利用できるが、比較的温和な条件で反応するもの、例えば、アクリルポリオールの水酸基と30℃以上70℃以下で反応するものが好ましくい。さらに、30℃以上70℃以下で5~100時間加熱した場合に、アクリルポリオールの水酸基と50%以上反応するものがより好ましい。
【0029】
イソシアネート系化合物には、ジイソシアネートのような2官能型のポリイソシアネートや、後述する3官能型のポリイソシアネートが存在するが、3官能型のポリイソシアネートの方が、少量で高い架橋度が得られるので好ましい。また、3官能型のポリイソシアネートには、3つに分岐したアルキル鎖の末端に官能基(-NCO)が結合したビウレット型やアダクト型のポリイソシアネート、イソシアヌレート環に付加した3つのアルキル鎖に官能基(-NCO)が結合したイソシアヌレート型のポリイソシアネートが存在するが、イソシアヌレート型のポリイソシアネートの方が構造的に安定しているので好ましい。さらに、イソシアヌレート型のイソシアネートとして、芳香族系のTDI(トルエンジイソシアネート)や、脂肪族系のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)が存在するが、HDIはTDIよりも耐候性に優れている(紫外線によって黄変しにくい)ので好ましく使用できる。
【0030】
第1の架橋剤の添加量は、アクリルポリオールの水酸基(-OH)と第1の架橋剤の官能基(-NCO)の含有比率が、モル比で1:0.75~1:1.0となるように調整することが好ましい。この範囲に制御することで、耐擦過性に優れた保護層40が形成できる。なお、アクリルポリオールの水酸基(-OH)と第1の架橋剤の官能基(-NCO)の含有量は、以下の計算式より算出できる。
水酸基量(mmol)=アクリルポリオールの使用量(g)×アクリルポリオールの水酸基価(mgKOH/g)/KOHの式量(56.1g/mol)・・・式1
NCO量(mmol)=第1の架橋剤の使用量(g)×NCO含有量(%)/NCOの式量(42.0g/mol)×1000・・・式2
【0031】
[第2の架橋剤]
本発明における保護層40は、第1の架橋剤で架橋されたアクリルポリオールの架橋物や、第1の架橋剤で架橋されていない未反応のアクリルポリオールを架橋する第2の架橋剤を含有している。これにより、保護層40の耐摩耗性をさらに向上させ、同時に箔切れ性を改善することができる。
【0032】
第2の架橋剤は、アクリルポリオールのカルボキシ基と反応できる化合物であり、カルボキシ基と反応する温度は、第1の架橋剤がアクリルポリオールの水酸基と反応する温度(30℃以上70℃以下)よりも高いものが好ましい。具体的には、アクリルポリオールのカルボキシ基と80℃以上160℃以下で反応するものが好ましく、80℃以上160℃以下で1分間加熱した場合に、アクリルポリオールのカルボキシ基と1.0%以上反応できるものがより好ましい。第2の架橋剤を保護層40に添加することで、アクリルポリオールと第2の架橋剤との反応を、転写シート10と被転写体80を接着する工程(すなわち、保護層40が80℃以上に加熱される工程)で生じさせることができる。そして、保護層40に部分的に架橋度が高い領域(例えば、
図3に示す領域(b))を作ることで、保護層40の耐摩耗性と箔切れ性を改善することができる。また、第2の架橋剤として、アクリルポリオールのカルボキシ基と160℃以下で反応するものを用いることで、転写シート10と被転写体80の接着時に、耐熱性が低い被転写体80(例えば、PVC製のカード)が変形することを抑制できる。
【0033】
アクリルポリオールのカルボキシ基と反応する化合物としては、ジアミン、ジオール、ジイソシアネート、ジオキサゾリン等のモノマーや、オキサゾリン基含有ポリマー、ポリカルボジイミド樹脂等のポリマーが挙げられるが、中でもオキサゾリン基含有ポリマーは、アクリルポリオールのカルボキシ基と80℃以上160℃以下の範囲で反応するので好ましい。分子量は特に限定されないが、箔切れ性を考慮して5×104以下のものを選択することが好ましい。
【0034】
第2の架橋剤の添加量は、アクリルポリオールのカルボキシ基(-COOH)と第2の架橋剤の官能基(オキサゾリン基)の含有比率が、モル比で1:0.75~1:1.25となるように調整することが好ましい。この範囲に制御することで耐擦過性に優れた保護層40が形成できる。なお、アクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤の官能基の含有量は、以下の計算式より算出できる。
カルボキシ基量(mmol)=アクリルポリオールの使用量(g)×アクリルポリオールの水酸基価(mgKOH/g)/KOHの式量(56.1g/mol)・・・式3
オキサゾリン基量(mmol)=第2の架橋剤の使用量(g)×固形分濃度(%)×オキサゾリン当量(mmol/g)・・・式4
【0035】
保護層40に第2の架橋剤を添加することで、保護層40の耐摩耗性と箔切れ性を同時に改善できる理由については、次のように推察している。
【0036】
転写シート10の被転写体80への接着は、
図4(b)に示すように、転写シート10を被転写体80に重ね合わせて、これをヒートローラー90と加圧ローラー91で加熱・加圧することで行われる。その際に、保護層40はヒートローラー90で加熱され、保護層40が80℃以上に達すると、保護層内の第1の架橋剤で架橋されたアクリルポリオールの架橋物、または第1の架橋剤で架橋されていない未反応のアクリルポリオールのカルボキシ基と、第2の架橋剤の官能基(オキサゾリン基)とが反応する。特に、
図3の領域(b)は、領域(a)よりもニップ圧が高く保護層へ伝わる熱量が大きいので、反応が進み易く架橋度が高くなる。これにより、領域(b)では保護層40の耐摩耗性が向上したと考えられる。
【0037】
一方、
図3の領域(a)のように被転写体80がない領域は、領域(b)よりもニップ圧が下がるので、ヒートローラー90から保護層40に伝わる熱量が低くなる。よって、領域(a)では、アクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤との反応が進まず、アクリルポリオールの第2の架橋剤による架橋度が低くなる。つまり、領域(b)とその近傍は、領域(a)よりも硬く、脆くなる。また、領域(a)と領域(b)では、ラミネート時にかかる圧力が異なるので、保護層40の2つの領域の境界に小さなクラックが発生し易くなり、これを起点として切れ目が生じ易くなったことで箔切れ性が向上したと考えられる。
【0038】
[接着強化層]
本発明の転写シート10は、保護層40と接着層20との間の接着強度を向上させるために、保護層40と接着層20の間に接着強化層30を備えている。接着強化層30の厚みに制限はないが、薄すぎると接着強度が確保できず、厚すぎると箔切れ性が悪くなるため、0.01μm~1μmの範囲で調整することが好ましい。
【0039】
接着強化層30に用いる材料は、特に限定されないが、転写後に接着強化層30が画像上に配置されることから、透明性を有する材料を選択することが好ましい。具体的には、酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル系化合物が挙げられる。中でも、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、保護層40との接着強度に優れているので好ましい。
【0040】
本発明の転写シート10は、基材50上に保護層40と接着強化層30をこの順に形成して積層体を製造した後、得られた積層体に加熱処理を施し、その後、該積層体の接着強化層30上に接着層20を形成することで製造できる。加熱処理自体は、保護層40中のアクリルポリオールと第1の架橋剤を反応させる目的で実施されるが、このとき接着強化層30が加熱されることで、架橋後の保護層40(すなわち、アクリルポリオールと第1の架橋剤とで生成される架橋物を含む保護層)と接着強化層30との接着性が向上できる。保護層40、接着強化層30、および接着層20を形成する装置は特に限定されず、公知のコーターが使用できる。
【0041】
接着強化層30を加熱することで、架橋後の保護層40と接着強化層30の接着性が向上できる詳細な理由は不明である。しかしながら、予め架橋した保護層40(アクリルポリオールと第1の架橋剤とで生成される架橋物を含む保護層)の上に接着強化層30を形成すると、保護層40と接着強化層30の接着性が著しく低下する。また、後述するように加熱したビニル系化合物を分析すると、熱変性した物質が確認できることから、この熱変性物が保護層40と接着強化層30の接着性に関与している可能性が高いと推察される。
【0042】
接着強化層30がビニル系化合物の熱変性物を含むことは、加熱前後の接着強化層30を赤外分光法(IR)で測定することで確認できる。例えば、接着強化層30に使用する塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を単独で加熱すると、
図4に示すような結果が得られる。点線は加熱前の接着強化層30の吸収曲線、実線は加熱後の接着強化層30の吸収曲線であり、基準を1230cm
-1のC-O伸縮に基づくピークに合わせると、加熱前後で波形が変化している。具体的には、1230cm
-1のピークを基準にした場合の、加熱前の1700cm
-1のピーク(X、C=O伸縮)に対する加熱後の1700cm
-1のピーク(Y)の相対強度が変化しており、この変化から加熱後の接着強化層30に熱変性物が含まれていることが確認できる。接着強化層30に塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を用いた場合、ピーク(Y)のピーク(X)に対する相対強度が110%以上であれば、架橋物を含む保護層40と接着層20との間の接着強度が良好となり、好ましい。
【0043】
また、赤外分光法によるデータ(
図4)を観察すると、加熱前後の1700cm
-1のピーク強度の変化は、C=O伸縮振動に基づくピークが1710cm
-1から1700cm
-1へシフトしたことで生じているように見える。つまり、ビニル系化合物の熱変性物は、ビニル系化合物中のカルボニル基の一部が変異したものであり、これが接着強化層30内に生成されたことで接着強化層30自体の性質が変化し、その結果として、架橋した保護層40と接着強化層30の接着性が改善されたのではないかと考えられる。なお、接着強化層30中のビニル系化合物の熱変性物は、転写シート10の断面を斜めに切断し、その切断面を顕微赤外分光光度計を用いて測定することで直接確認することも可能である。
【0044】
[接着層]
本発明の転写シート10は、被転写体80と接着できるように、接着強化層30上に接着層20を有する。接着層20の厚みは、薄すぎると接着性が確保できず、厚すぎると箔切れ性に影響があるため、0.1μm~3μmの範囲で調整することが好ましい。
【0045】
接着層20に用いる材料は、特に限定されず公知のものが使用できるが、転写後、接着層20が画像上に配置されることから、透明性を有する材料を選択することが好ましい。また、製造した転写シート10をロール状に巻き取る際に、接着層20の基材50への貼り付きを防止するために、接着層20にはTgが室温以上、熱転写温度以下である材料を用いることが好ましい。
【0046】
具体的には、酢酸ビニル、ポリオール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース、オレフィン、スチレン、ユリア、メラミン、フェノール、レゾルシノール、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド、イソシアネート、クロロプレンゴム、二トリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリサルファイド、ブチルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、変性シリコーンゴム、ウレタンゴム、シリル化ウレタンなどの樹脂系接着剤;ケイ酸ソーダ等の水ガラス系、セラミックス系などの無機系接着剤が挙げられる。これらのうちの1種もしくは複数が併用できるが、接着強化層との接着性を考慮して、接着強化層と同じ材料を用いるのがより好ましい。
【0047】
中でも、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含む材料は、熱変性物を含む接着強化層30や後述する被転写体80との接着強度に優れているので好ましい。
【0048】
[記録物]
本発明の記録物100は、被転写体80の記録面側に、接着層20、接着強化層30、保護層40が順に積層されたものである。
【0049】
[被転写体]
被転写体80の材質は特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、パルプやコットンなどからなる紙、コート紙やアート紙等のコーティング紙、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-Gなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリエステル系樹脂などのフィルムあるいはカードが挙げられる。被転写体80は、これらを単独あるいは積層した複合物であってもよい。また、被転写体80の記録面に形成されている画像は、活版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法で形成されていてもよいし、電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式等の公知の記録方法で形成されていてもよい。
【0050】
[記録物の製造方法]
本発明の記録物100は、
図5に示した工程で製造することができる。
【0051】
具体的には、接着層20を被転写体80の記録面に当接し、転写シート10と被転写体80を重ねた状態でヒートローラー90および加圧ローラー91を用いて加熱および加圧して接着する(
図5(a)、(b)参照)。その後、剥離ローラー92を用いて基材50を剥離することで記録物100が得られる(
図5(c)、(d)参照)。尚、ヒートローラー90の温度は、第2の架橋剤がアクリルポリオールのカルボキシ基と反応できるように、80℃~200℃の範囲に設定することが好ましい。これにより、保護層40内の架橋度を
図3に示す領域(a)と領域(b)とで異ならせることができる。また、加圧ローラー91は、線圧で5~10kgfの範囲に設定することが好ましい。線圧が5kgf未満だと、転写シート10と被転写体80が接着できない場合があり、線圧が10kgfを超えると、被転写体80が変形する場合がある。加熱・加圧する装置は特に限定されず、公知のラミネーターが使用できる。
【実施例0052】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。ただし、本発明は、下記の実施例によっていかなる制限を受けるものではない。なお、以下の記載における「部」、「%」は特に断らない限り質量基準である。
【0053】
[保護層形成用塗工液Aの調製]
アクリルポリオール(商品名:アクリディックBL-616-BA、Tg:60℃、水酸基価::18mgKOH/g、固形分濃度:45.0%、DIC社製)30.00部(水酸基量:4.33mmol、カルボキシ基量:0.48mmol)と、第1の架橋剤(商品名:デュラネートTPA-100、NCO量:23.1%、固形分濃度:100%、旭化成社製)0.787部(NCO量:4.33mmol)と、第2の架橋剤(商品名:エポクロスRPS-1005、オキサゾリン当量=0.27mmol/g、日本触媒社製)1.782部(オキサゾリン基量:0.48mmol)と、MEK4.153部をスタティックミキサーで混合し、保護層形成用塗工液Aを調整した。塗工液におけるアクリルポリオールの水酸基量と第1の架橋剤のイソシアネートの含有比率は1:1、アクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤のオキサゾリン基の含有比率は1:1である。
【0054】
[保護層形成用塗工液Bの調製]
第1の架橋剤の使用量を0.590部(NCO量:3.25mmol)に変更したこと以外は、保護層形成用塗工液Aと同様にして保護層形成用塗工液Bを調整した。塗工液におけるアクリルポリオールの水酸基量と第1の架橋剤のイソシアネート基の含有比率は1:0.75、アクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤のオキサゾリン基の含有比率は1:1である。
【0055】
[保護層形成用塗工液Cの調製]
第2の架橋剤の使用量を0.891部(オキサゾリン基量:0.24mmol)とした以外は、保護層形成用塗工液Aと同様にして保護層形成用塗工液Cを調整した。塗工液におけるアクリルポリオールの水酸基量と第1の架橋剤のイソシアネート基の含有比率は1:1、アクリルポリオールのカルボキシ基と第2の架橋剤のオキサゾリン基の含有比率は1:0.5である。
【0056】
[保護層形成用塗工液Dの調製]
第2の架橋剤を使用しなかったこと以外は、保護層形成用塗工液Aと同様にして保護層形成用塗工液Dを調整した。
【0057】
[保護層形成用塗工液Eの調製]
第1の架橋剤を使用しなかったこと以外は、保護層形成用塗工液Aと同様にして保護層形成用塗工液Eを調整した。
【0058】
[接着強化層形成用塗工液の調製]
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(商品名:ソルバインC、固形分:30%、昭和インキ社製)1部に、MEK1部を加えて接着強化層形成用塗工液を調整した。
【0059】
[接着層形成用塗工液の調製]
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(商品名:ソルバインC、固形分:30%、昭和インキ社製)1部に、MEK1部を加えて接着層形成用塗工液を調整した。
【0060】
[転写シートAの製造]
基材としてPETフィルム(商品名:テトロンG2、厚さ:25μm、帝人デュポンフィルム社製)を用意し、その上に、保護層形成用塗工液Aを乾燥後の保護層の厚みが12.5μmになるようにグラビアコーター(塗工速度:5m/分、乾燥温度:60℃)を用いて塗工した。次に、保護層上に、接着強化層形成用塗工液を乾燥後の層の厚みが1μmになるようにグラビアコーター(塗工速度:5m/分、乾燥温度:60℃)を用いて塗工し、その後60℃で5日間加熱処理を行って、保護層中のアクリルポリオールを第1の架橋剤で架橋した。次に、接着強化層上に、接着層形成用塗工液を乾燥後の接着層の厚みが1μmになるようにグラビアコーター(塗工速度:5m/分、乾燥温度:60℃)を用いて塗工し、転写シートAを製造した。
【0061】
(接着強化層の熱変性物の確認)
接着強化層形成用塗工液Aをシャーレに入れて60℃で乾燥し、乾燥後の層の厚みが1μmの疑似接着強化層を2つ作製した。その後、一方を60℃で5日間加熱して、これと、加熱しなかったものを赤外分光光度計(製品名:IR Prestige-21、島津製作所社製、)で各々3回測定(測定時の積算回数:200)し、その平均スペクトルから各々の1710cm-1のピーク強度を求めた。さらに、加熱しなかったものに対する加熱したものの相対強度を求めることで、接着強化層中の熱変性物の有無を確認した。得られた相対強度は120%であった。
【0062】
[転写シートB~Eの製造]
保護層形成用塗工液Aを、保護層形成用塗工液B~Eに変更したこと以外は転写シートAと同様にして転写シートB~Eを製造した。
【0063】
(実施例1)
転写シートAの接着層20を被転写体80であるPVCカードに当接し、転写シートAと被転写体80を重ねた状態でヒートローラーと加圧ローラーを用いて加熱加圧して接着し、その後、基材50を剥離することで記録物Aを製造した。ヒートローラーの設定温度は180℃、加圧ローラーによる線圧は8kgf、搬送速度は30mm/sであった。尚、この条件の下でPVCカードのみを通すと、カード上面の表面温度は100℃まで上昇した。
【0064】
(評価1:保護層の耐擦過性)
テーバー摩耗試験(製品名:ロータリーアブレーションテスタ TS-2、東洋精機製作所社製)を用いて、回転速度:60rpm、荷重:500g、摩耗輪:CS-10Fを試験条件として記録物Aの保護層の耐擦過性を評価した。得られた結果を表1に示す。表内の「耐擦過性」における「〇」は摩耗輪を2,000回以上回転させても印字面が削られなかったことを示し、「△」は摩耗輪の回転数が1,000回以上2,000回未満で印字面が削られたことを示し、「×」は摩耗輪の回転数が1,000回未満で印字面が削られたことを示す。
【0065】
(評価2:箔切れ性)
被転写体に転写シートを加熱圧着した後、基材を剥離させる際に非接着部を角度90°で引張り、被転写体側に残ったカード端部からはみ出ている保護層の長さを評価した。得られた結果を表1に示す。表内の「箔切れ性」における「〇」はカード端部からはみ出ている保護層の長さが0.1mm未満であることを示し、「△」はカード端部からはみ出ている保護層の長さが0.1mm以上0.2mm未満であることを示し、「×」はカード端部からはみ出ている保護層の長さが0.2mm以上であることを示す。
【0066】
(実施例2、3)
転写シートAを転写シートB、Cに変更したこと以外は、実施例1と同様にして記録物B、Cを作製し、耐擦過性と箔切れ性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
(比較例1、2)
転写シートAを転写シートD、Eに変更したこと以外は、実施例1と同様にして記録物D、Eを作製し、耐擦過性と箔切れ性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0068】
【0069】
表1から明らかなように、アクリルポリオールと第1の架橋剤による架橋物(接着強化層形成後の加熱処理で生成)と、第2の架橋剤と、を含有する保護層を有する転写シート(実施例1~3)は、第2の架橋剤を含まない転写シート(比較例1)よりも箔切れ性が良好であった。また、アクリルポリオールと第1の架橋剤による架橋物と、第2の架橋剤と、を含有する保護層を有する転写シート(実施例1~3)は、第1の架橋剤を含まない転写シート(比較例2)よりも耐擦過性が良好であった。
【0070】
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
基材上に保護層と接着層が積層されており、
前記接着層を被転写体に当接した状態で加熱することで前記被転写体と接着し、その後、前記基材を剥離することで前記被転写体に前記保護層を転写することが可能な転写シートであって、
前記保護層と前記接着層の間に接着強化層が設けられており、
前記保護層は、
アクリルポリオールと、前記アクリルポリオールの水酸基と30℃以上70℃以下で反応する第1の架橋剤と、が架橋した架橋物と、
前記アクリルポリオールのカルボキシ基と80℃以上160℃以下で反応する第2の架橋剤と、を含有する、
ことを特徴とする転写シート。
(構成2)
前記第1の架橋剤はイソシアネート系化合物であり、前記第2の架橋剤はオキサゾリン基含有ポリマーである、ことを特徴とする構成1に記載の転写シート。
(構成3)
前記接着強化層はビニル系化合物の熱変性物を含有する、ことを特徴とする構成1または構成2に記載の転写シート。
(構成4)
前記接着層はビニル系化合物を含有する材料からなる、ことを特徴とする構成1~3のいずれか一項に記載の転写シート。
(構成5)
前記ビニル系化合物はカルボニル基を含む、ことを特徴とする構成3または4に記載の転写シート。
(構成6)
前記ビニル系化合物は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体である、ことを特徴とする構成3~5のいずれか一項に記載の転写シート。