(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161930
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プラグイン端子構造
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20241114BHJP
H01H 73/16 20060101ALI20241114BHJP
H01R 29/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H01H73/16
H01R29/00 B
H01R29/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076993
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高羽 晃平
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030EA01
5G030XX04
5G030XX20
(57)【要約】
【課題】左右に備えられたプラグイン端子部が回動可能であるプラグイン端子構造において、各プラグイン端子部が同時に同じ相に接続することにならないようにすること。
【解決手段】プラグイン端子部11を回動可能に左右に備え、各々のプラグイン端子部が接続される相を切り替え可能としたプラグイン端子構造1であって、左右に位置するプラグイン端子部は、各々、接続される相を二つの相から選択可能であり、左右に位置するプラグイン端子部の双方にとって選択可能な相である共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部を設定する場合にプラグイン端子部が位置することになる空間と、共通選択相に対して接続するように他方のプラグイン端子部を設定する場合にプラグイン端子部が位置することになる空間と、が一部重複するように構成する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグイン端子金具を有するプラグイン端子部を回動可能に左右に備え、各々のプラグイン端子部のプラグイン端子金具が接続される相を切り替え可能としたプラグイン端子構造であって、
左右に位置するプラグイン端子部は、各々、回動させてプラグイン端子金具の高さを切り替えることで接続される相を二つの相から選択可能であり、かつ、一方のプラグイン端子部が接続可能な相の一つは、他方のプラグイン端子部が接続できない相であり、
左右に位置するプラグイン端子部のプラグイン端子金具の双方にとって選択可能な相である共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合にプラグイン端子部が位置することになる空間と、共通選択相に対して接続するように他方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合にプラグイン端子部が位置することになる空間と、が一部重複するように構成されたプラグイン端子構造。
【請求項2】
プラグイン端子部は、プラグイン端子金具を保持し、かつ、相切り替え可能に回動する回動ホルダを備え、
回動ホルダに、プラグイン端子金具よりも外方に突出する腕部を備えた請求項1に記載のプラグイン端子構造。
【請求項3】
一方のプラグイン端子部に備える腕部は、共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合に、他方のプラグイン端子部側へ突出する請求項2に記載のプラグイン端子構造。
【請求項4】
プラグイン端子金具を有するプラグイン端子部を回動可能に左右に備え、各々のプラグイン端子部のプラグイン端子金具が接続される相を切り替え可能としたプラグイン端子構造であって、
左右に位置するプラグイン端子部は、各々、回動させてプラグイン端子金具の高さを切り替えることで接続される相を二つの相から選択可能であり、かつ、一方のプラグイン端子部が接続可能な相の一つは、他方のプラグイン端子部が接続できない相であり、
プラグイン端子部を回動させることにより移動可能な干渉部を備え、
左右に位置するプラグイン端子部のプラグイン端子金具の双方にとって選択可能な相である共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合には、共通選択相に対して接続するように他方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合におけるプラグイン端子部の配置に必要な空間に干渉部が位置することになるプラグイン端子構造。
【請求項5】
干渉部として利用可能な干渉部材を備え、かつ、2つのプラグイン端子部間に隔壁を備え、
隔壁に設けた穴部に差し込まれた干渉部材は、一端が隔壁よりも一方のプラグイン端子部側に位置し、他端が隔壁よりも他方のプラグイン端子部側に位置しながら移動可能である請求項4に記載のプラグイン端子構造。
【請求項6】
相の選択により定まった電圧を表示するために用いる表示部材に干渉部を備えた請求項4に記載のプラグイン端子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグイン端子構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や2に記載されているように、ネジ式ブレーカをプラグイン式ブレーカに変換するアダプタ又はプラグイン式ブレーカにおいて、相切り替えをできる構造とすることが知られている。特許文献1や2に記載されている例では、隔壁を挟んで左右方向に2つのプラグイン端子部を備えており、各々のプラグイン端子部を回動させることによりプラグイン端子金具の上下方向の位置を変更し上下方向に並んだ主幹バーに横方向から接続できるようにしている。このような構造としているため、100V配線と200V配線の電圧変更や、100V配線時のL1相とL2相の相バランスの調整を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-331986号公報
【特許文献2】特開2007-134117号公報
【0004】
ところで、特許文献1や2に記載されている構造では、プラグイン端子部を回動させることにより、プラグイン端子金具の上下方向の位置を変更できるため、各々のプラグイン端子金具が同じ相となる位置に配置できてしまう。このような配置であると、電気を流すことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、左右に備えられたプラグイン端子部が回動可能であるプラグイン端子構造において、各プラグイン端子部が同時に同じ相に接続することにならないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、プラグイン端子金具を有するプラグイン端子部を回動可能に左右に備え、各々のプラグイン端子部のプラグイン端子金具が接続される相を切り替え可能としたプラグイン端子構造であって、左右に位置するプラグイン端子部は、各々、回動させてプラグイン端子金具の高さを切り替えることで接続される相を二つの相から選択可能であり、かつ、一方のプラグイン端子部が接続可能な相の一つは、他方のプラグイン端子部が接続できない相であり、左右に位置するプラグイン端子部のプラグイン端子金具の双方にとって選択可能な相である共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合にプラグイン端子部が位置することになる空間と、共通選択相に対して接続するように他方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合にプラグイン端子部が位置することになる空間と、が一部重複するように構成されたプラグイン端子構造とする。
【0007】
また、プラグイン端子部は、プラグイン端子金具を保持し、かつ、相切り替え可能に回動する回動ホルダを備え、回動ホルダに、プラグイン端子金具よりも外方に突出する腕部を備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、一方のプラグイン端子部に備える腕部は、共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合に、他方のプラグイン端子部側へ突出する構成とすることが好ましい。
【0009】
また、プラグイン端子金具を有するプラグイン端子部を回動可能に左右に備え、各々のプラグイン端子部のプラグイン端子金具が接続される相を切り替え可能としたプラグイン端子構造であって、左右に位置するプラグイン端子部は、各々、回動させてプラグイン端子金具の高さを切り替えることで接続される相を二つの相から選択可能であり、かつ、一方のプラグイン端子部が接続可能な相の一つは、他方のプラグイン端子部が接続できない相であり、プラグイン端子部を回動させることにより移動可能な干渉部を備え、左右に位置するプラグイン端子部のプラグイン端子金具の双方にとって選択可能な相である共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合には、共通選択相に対して接続するように他方のプラグイン端子部のプラグイン端子金具を設定する場合におけるプラグイン端子部の配置に必要な空間に干渉部が位置することになるプラグイン端子構造とすることが好ましい。
【0010】
また、干渉部として利用可能な干渉部材を備え、かつ、2つのプラグイン端子部間に隔壁を備え、隔壁に設けた穴部に差し込まれた干渉部材は、一端が隔壁よりも一方のプラグイン端子部側に位置し、他端が隔壁よりも他方のプラグイン端子部側に位置しながら移動可能である構成とすることが好ましい。
【0011】
また、相の選択により定まった電圧を表示するために用いる表示部材に干渉部を備えた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、左右に備えられたプラグイン端子部が回動可能であるプラグイン端子構造において、各プラグイン端子部が同時に同じ相に接続することにならないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】プラグイン端子構造を備えたプラグイン式ブレーカの例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すプラグイン式ブレーカのカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すプラグイン式ブレーカからカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施形態の第一のプラグイン端子部の斜視図である。
【
図5】
図4に示す第一のプラグイン端子部を
図4とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図6】実施形態の第二のプラグイン端子部の斜視図である。
【
図7】
図6に示す第二のプラグイン端子部を
図6とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図8】
図4に示す第一のプラグイン端子部と
図6に示す第二のプラグイン端子部の並び例を示す正面図である。ただし、プラグイン端子部をN相とL1相に接続できるように設定した例である。
【
図9】
図8に示す第一のプラグイン端子部と第二のプラグイン端子部の平面図である。
【
図10】
図1に示すプラグイン式ブレーカの正面図及びプラグイン端子構造周りの平面図である。ただし、正面図は上側に示しており、平面図は下側に示している。また、プラグイン端子部をN相とL1相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をN相とL2相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をL1相とL2相に接続できるように設定した例を示している。
【
図11】
図1に示すプラグイン式ブレーカの正面図及びプラグイン端子構造周りの平面図である。ただし、(a)に正面図を示しており、(b)に平面図を示している。なお、このプラグイン式ブレーカは第一のプラグイン端子部と第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定できるが、第一のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定したため、第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定しようとしても、第一のプラグイン端子部の腕部と第二のプラグイン端子部の腕部が干渉することになり、第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定することができないことを示している。
【
図12】
図1に示すプラグイン式ブレーカの正面図及びプラグイン端子構造周りの平面図である。ただし、(a)に正面図を示しており、(b)に平面図を示している。なお、このプラグイン式ブレーカは第一のプラグイン端子部と第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定できるが、第一のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定したため、第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定しようとしても、第一のプラグイン端子部の腕部と第二のプラグイン端子部が干渉することになり、第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定することができないことを示している。
【
図13】
図1に示す例とは異なるプラグイン式ブレーカからカバーを取り外した状態を示す斜視図である。なお、隔壁に設けられた穴部に干渉部材が挿入されている。
【
図15】
図13に示す例で使用されている干渉部材の斜視図である。
【
図16】
図13に示すプラグイン式ブレーカの正面図である。ただし、プラグイン端子部をN相とL1相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をN相とL2相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をL1相とL2相に接続できるように設定した例を示している。
【
図17】
図13に示すプラグイン式ブレーカの正面図である。ただし、このプラグイン式ブレーカは第一のプラグイン端子部と第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定できるが、第一のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定したため、第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定しようとしても、干渉部材と第二のプラグイン端子部が干渉することになり、第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定することができないことを示している。
【
図18】プラグイン端子構造周りの一部を切断した状態を示す斜視図である。ただし、プラグイン端子部をN相とL1相に接続できるように設定した例を示している。
【
図19】プラグイン端子構造周りの一部を切断した状態を示す斜視図である。ただし、プラグイン端子部をL1相とL2相に接続できるように設定した例を示している。
【
図20】表示部材の斜視図である。ただし、この表示部材は上端面が着色されている。
【
図21】
図20に示す表示部材を異なる方向から見た斜視図である。
【
図22】
図19に示すプラグイン端子部と表示部材の背面図と平面図である。ただし、(a)に背面図を示しており、(b)の平面図を示している。
【
図23】実施例3におけるプラグイン端子部と表示部材の配置例を示す背面図である。ただし、このプラグイン式ブレーカは第一のプラグイン端子部と第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定できるが、第二のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定したため、第一のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定しようとしても、表示部材を動かすことができず、第一のプラグイン端子部をL2相に接続できるように設定することができないことを示している。
【
図24】実施例3におけるプラグイン端子部と表示部材の配置例を示す背面図である。ただし、プラグイン端子部をN相とL1相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をN相とL2相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をL1相とL2相に接続できるように設定した例を示している。
【
図25】実施例3におけるプラグイン端子部と表示部材の配置例を示す側面図である。ただし、プラグイン端子部をN相とL1相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をN相とL2相に接続できるように設定した例、プラグイン端子部をL1相とL2相に接続できるように設定した例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態のプラグイン端子構造1は、プラグイン端子金具111を有するプラグイン端子部11を回動可能に左右に備え、各々のプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111が接続される相を切り替え可能とする。また、左右に位置するプラグイン端子部11は、各々、回動させてプラグイン端子金具111の高さを切り替えることで接続される相を二つの相から選択可能であり、かつ、一方のプラグイン端子部11が接続可能な相の一つは、他方のプラグイン端子部11が接続できない相であり、左右に位置するプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111の双方にとって選択可能な相である共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111を設定する場合にプラグイン端子部11が位置することになる空間と、共通選択相に対して接続するように他方のプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111を設定する場合にプラグイン端子部11が位置することになる空間と、が一部重複するように構成されている。このため、左右に備えられたプラグイン端子部11が回動可能であるプラグイン端子構造1において、各プラグイン端子部11が同時に同じ相に接続することにならないようにすることが可能となる。
【0015】
プラグイン端子構造1は、上下方向に並べた図示しないバー部材に対して横方向から接続するようにして利用される。典型的には三枚のバー部材が上下方向に並べられるが、この場合、N相となるバー部材、L1相となるバー部材、L2相となるバー部材が、上下方向に並ぶことになる。プラグイン端子構造1は、このうちの二種類のバー部材と接続される。
【0016】
図1から
図3に示すことから理解されるように、プラグイン端子構造1は、プラグイン式ブレーカPBに備えられるようにすることができるが、そのような例に限らない。例えば、ネジ式ブレーカをプラグイン式ブレーカPBに変換するアダプタにプラグイン端子構造1が備えられるものとしてもよい。ただし、以下では、プラグイン端子構造1がプラグイン式ブレーカPBに備えられる場合を例に挙げて説明をする。また、以下では三種類の実施例について説明をする。
【実施例0017】
図1から
図3に示す例のプラグイン式ブレーカPBは、回動可能なカバー13で覆うことが可能なプラグイン端子構造1を備えている。このプラグイン式ブレーカPBは接続対象とする相を切り替え可能なものであり、接続対象とする相を切り替える場合には、プラグイン端子金具111を有するプラグイン端子部11を回動させる。なお、実施形態のプラグイン端子部11は、各々、特定の二つの相の中から接続される相を選択できる。
【0018】
実施形態のプラグイン端子部11は、プラグイン式ブレーカPBの右側と左側に一つずつ配置されており、右側に配置したプラグイン端子部11と、左側に配置したプラグイン端子部11と、がN相、L1相、L2相の中から各々異なる一つと接続させることができる。
【0019】
図4から
図7に示すことから理解されるように、実施形態のプラグイン端子部11は、バー部材に接続するプラグイン端子金具111と、プラグイン端子金具111を保持する回動ホルダ112を備えている。実施形態の回動ホルダ112は回動軸部112bを備え、ケース14に対して回動可能に取り付けられている。この回動ホルダ112を回動することで、接続する相の切り替えを可能にする。なお、プラグイン端子金具111を保持し、かつ、相切り替え可能に回動する回動ホルダ112に、プラグイン端子金具111よりも外方に突出する腕部112aを備えた構成とするのが好ましい。
【0020】
これら二つのプラグイン端子部11は、例えば
図8及び
図9に示すことから理解されるように、隣り合うようにしつつ、プラグイン端子金具111の高さがずれるように配置される。この高さのずれ(上下方向のずれ)により、二つのプラグイン端子部11が互いに異なる相に接続可能となる。
【0021】
プラグイン端子部11同士の配置の仕方は
図8に示したような例の他にもあるが、右側に配置されたプラグイン端子部11と左側に配置されたプラグイン端子部11と、を組み合わせると、プラグイン端子構造1としては、三種類の組み合わせが考えられる。例えば、
図10に示すような三種類である。この例では、上下方向に三段階の高さで設定されたバー部材の三相のうちの、一番上がL1相、一番下がL2相、真ん中がN相である構成としているが、相の配置はこの限りではない。例えば、一番上に位置する相をL2相とし、他の二つをL1相とN相の何れかとなるように構成してもよい。なお、
図10に示す例では、L2相が左右に位置するプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111の双方にとって選択可能な相である共通選択相となる。また、L1相とN相はいずれか一方のプラグイン端子部11しか接続の設定ができない相である。
【0022】
また、
図10に示す例では、左側に位置する第一のプラグイン端子部11AがN相とL2相の何れかを選択できるようにし、右側に位置する第二のプラグイン端子部11BがL1相とL2相の何れかを選択できるようにしているが、このような構成に限る必要はない。例えば、右側に位置する第二のプラグイン端子部11BがN相とL2相の何れかを選択できるようにしたり、左側に位置する第一のプラグイン端子部11AがN相とL1相の何れかを選択できるようにしたりしてもよい。このような場合、異なるプラグイン端子部11が選択できる相の組み合わせは、
図10に示す例とは変えるように構成する。
【0023】
実施形態では、プラグイン端子部11を180度回動させることで、接続される相が切り替えられるが、相の切り替えに必要な角度を180度以外とする構成としてもよい。ただし、180度回転させることで相の切り替えをできる構成にすれば、プラグイン端子部11が複雑な構成となることを抑制することができる。
【0024】
なお、
図3に示すことから理解されるように、プラグイン端子構造1は右側に配置したプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111と、左側に配置したプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111と、の間に隔壁12を備えている。この隔壁12は、プラグイン端子金具111同士が短絡することを抑制するために設けられている。隔壁12を設ける場合、プラグイン端子部11の回動可能な角度の範囲も制限を受けうるが、プラグイン端子部11の回動可能な角度は少なくとも180度以上であることが好ましい。実施形態では、プラグイン端子部11の回動可能な角度は略180度である。
【0025】
ただし、左右に位置するプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111の双方にとって選択可能な相である共通選択相に接続可能なように、一方のプラグイン端子部11が設定されていると、他方のプラグイン端子部11の回動角度は180度未満となる。この例では、
図11に示すことから理解されるように、一方のプラグイン端子部11の腕部112aと他方のプラグイン端子部11の腕部112aが当たり、他方のプラグイン端子部11の移動範囲を抑制するからである。
【0026】
図11に示す例では、第一のプラグイン端子部11Aの回動中心から見てプラグイン端子金具111の差込口111aとは反対側で、第一のプラグイン端子部11Aの腕部112aと第二のプラグイン端子部11Bの腕部112aが当接する。この場合、第二のプラグイン端子部11Bを押し込んでも、第一のプラグイン端子部11Aを押しのけることはできない。ただし、このような動作で第一のプラグイン端子部11Aを押しのけることができるようにしてもよい。この場合、例えば、第二のプラグイン端子部11Bが共通選択相に接続可能な設定となり、第一のプラグイン端子部11Aが共通選択相に接続できなくなるように構成すればよい。なお、押しのけただけでは、どちらのプラグイン端子部11も共通選択相に接続できない構成としてもよい。
【0027】
ところで、この例では、第一のプラグイン端子部11Aと第二のプラグイン端子部11Bの各々に腕部112aを備えている。腕部112aは、プラグイン端子部11が共通選択相に対して接続可能な配置がなされた場合に、プラグイン端子金具111よりも右側若しくは左側に突出するように構成するのが好ましい。この腕部112aは、一方のプラグイン端子部11を共通選択相に対して接続可能な配置とした場合に他方のプラグイン端子部11側に突出するものであればよいため、プラグイン端子部11の左右のうち一方側に設けられていれば十分である。
【0028】
図10に示すことから理解されるように、左右のプラグイン端子部11の間に隔壁12が設けられている場合、一方のプラグイン端子部11が共通選択相に対して接続可能な配置がなされた場合に、そのプラグイン端子部11の腕部112aの一部が、隔壁12よりも他方のプラグイン端子部11側に位置する構成とするのが好ましい。ただし、このような構成とすることは必須ではない。例えば、腕部112a同士が隔壁12の左右両端の間の位置で当接するように構成することも考えられる。いずれにせよ、一方のプラグイン端子部11に備える腕部112aは、共通選択相に対して接続するように一方のプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111を設定する場合に、他方のプラグイン端子部11側へ突出することになる構成とするのが好ましい。
【0029】
図10及び
図11に示す例では、左右双方のプラグイン端子部11に腕部112aを備えているが、一方のプラグイン端子部11にのみ腕部112aを備えるようにしてもよい(
図12参照)。この場合、腕部112aは長めに設定するのが好ましい。一方のプラグイン端子部11に備えられた腕部112aが、他方のプラグイン端子部11に備えられた回動ホルダ112に当接することで、他方のプラグイン端子部11の回動角度を十分に制限する必要があるからである。
実施例1では、プラグイン端子部11同士の干渉により、各プラグイン端子部11が同時に同じ相に接続することにならないようにした例を説明した。しかし、プラグイン端子部11同士が干渉しなくても、各プラグイン端子部11が同時に同じ相に接続することにならないようにすることは可能である。例えば、一方のプラグイン端子部11を動かすことにより、移動させることができる干渉部を備えた構成とし、干渉部が他方のプラグイン端子部11の移動範囲を規制するようにすればよい。
この例では、一方のプラグイン端子部11が共通選択相に対して接続可能な配置がなされた場合には、干渉部材21の一部は、他方のプラグイン端子部11のプラグイン端子金具111を共通選択相に対して接続するように設定する場合にプラグイン端子部11が位置することになる空間に侵入することになる。このため、干渉部材21は、他方のプラグイン端子部11が共通選択相に対して接続可能な配置となることを抑制することになる。
干渉部材21を設ける態様は、このような例に限る必要はない。ただし、干渉部として利用可能な干渉部材21を備え、かつ、2つのプラグイン端子部11間に隔壁12を備える場合には、隔壁12に設けた穴部121に差し込まれた干渉部材21は、一端が隔壁12よりも一方のプラグイン端子部11側に位置し、他端が隔壁12よりも他方のプラグイン端子部11側に位置しながら移動可能である構成とするのが好ましい。
なお、干渉部材21を用いれば、実施例1で設けたような腕部112aが不要となる。このため、プラグイン端子構造1の左右幅を抑制できる。また、実施形態のように、プレート状の干渉部材21とすれば、簡易な構造とすることができる。