(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161931
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】物干装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
D06F 57/08 20060101AFI20241114BHJP
D06F 57/12 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
D06F57/08 A
D06F57/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076999
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広晃
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内部が中空構造の壁であっても支障なく物干装置を利用することができる物干装置の取付構造を提供する。
【解決手段】内壁60及び外壁70を有する手摺壁100に設けられる物干装置の取付構造であって、内壁60及び外壁70に挟まれた内空において上下方向に延びる複数の柱材と、水平方向に延びるとともに複数の柱材同士を上下で連結する一対の胴縁30、40と、複数の柱材間に上下方向に延びる状態で配置され、上下方向の一部において内壁60が固定される固定具21が設けられる間柱と、上下方向において固定具21と重ならない位置で間柱に接合される取付金具と、を有し、物干装置300は取付金具に取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁及び外壁を有する手摺壁に設けられる物干装置の取付構造であって、
前記内壁及び外壁に挟まれた内空において上下方向に延びる複数の柱材と、
水平方向に延びるとともに前記複数の柱材同士を上下で連結する一対の胴縁と、
前記複数の柱材間に前記上下方向に延びる状態で配置され、前記上下方向の一部において前記内壁が固定される固定部が設けられる間柱と、
前記上下方向において前記固定部と重ならない位置で前記間柱に接合される取付金具と、を有し、
前記物干装置は前記取付金具に取り付けられていることを特徴とする物干装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の物干装置の取付構造であって、
前記取付金具は前記間柱の上部に接合されていることを特徴とする物干装置の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物干装置の取付構造であって、
前記物干装置は前記取付金具に対しビス留めされていることを特徴とする物干装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内壁及び外壁を有する手摺壁に設けられる物干装置の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベランダの手すりや建物の壁面に物干装置を設置して、物干装置に取り付けた竿に洗濯物を干すことが行われている。物干装置は、室内側に突出する一対の竿掛け部に竿をかけ渡して使用されることが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、ベランダやバルコニーの壁面に取り付けられる物干装置が開示されている。特許文献1に記載の物干装置は、取付具を介して、ベランダやバルコニーの腰壁を含む壁面に取り付けられる支柱と、支柱に対して上下方向に摺動自在に保持されるとともに、支柱に対して延出するように回転自在に支持されている竿掛け部材を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、物干装置が取り付けられる壁は、内部に中実構造を有する壁であるため、物干装置の利用時に作用する荷重にも耐えることができる。しかしながら、内部が中空構造である壁の場合、内部に中実構造を有する壁の場合と同程度の耐力を期待することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、内部が中空構造である壁であっても支障なく物干装置を利用することが可能になる物干装置の取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対して、本発明は、内壁及び外壁を有する手摺壁に設けられる物干装置の取付構造であって、前記内壁及び外壁に挟まれた内空において上下方向に延びる複数の柱材と、水平方向に延びるとともに前記複数の柱材同士を上下で連結する一対の胴縁と、前記複数の柱材間に前記上下方向に延びる状態で配置され、前記上下方向の一部において前記内壁が固定される固定部が設けられる間柱と、前記上下方向において前記固定部と重ならない位置で前記間柱に接合される取付金具と、を有し、前記物干装置は前記取付金具に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、内部が中空構造の壁であっても支障なく物干装置を利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る物干装置の取付構造が設けられる手摺壁全体の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る物干装置の取付構造が設けられる手摺壁の縦断面図である。
【
図3】物干装置と取付金具との取り付け部分を拡大した縦断面図である。
【
図4】物干装置と取付金具との取り付け部分を拡大した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る内壁及び外壁を有する手摺壁に設けられる物干装置の取付構造(以下単に「取付構造」と称する。)について、図面を参照して説明する。
図1は、取付構造が設けられる手摺壁100の斜視図であり、
図2は、取付構造が設けられる手摺壁100の縦断面図である。
【0011】
図1、2に示すように、手摺壁100は、例えばバルコニー200の外縁に沿って配置され、バルコニー200の床面201から立設されている。手摺壁100は、バルコニー200の先端に設けられた、高さ(床面201からの高さ)が1500mm以上のいわゆるハイウォール腰壁である。
【0012】
手摺壁100は、取付構造1と、内壁60と、外壁70と、手摺部101とを有して構成されている。手摺壁100は、バルコニー200において、左右方向に延びるように設けられ、
図1では一部のみ図示している。
図2に示すように、手摺壁100には物干装置300が取り付けられている。
【0013】
なお、以下の説明において、X方向は手摺壁100が延びる方向、Y方向は手摺壁100の厚み方向、Z方向はX方向及びY方向いずれの方向にも直交する上下方向を意味する。
【0014】
取付構造1は、手摺壁100の内壁60及び外壁70に挟まれた内空に設けられ、枠状に形成されている。取付構造1は、手摺壁100を構造的に補強するフレームとして設けられている。取付構造1は、柱材10と、間柱20と、上胴縁30と、下胴縁40と、取付金具50とを有して構成されている。
【0015】
柱材10は、手摺壁100の内部において上下方向(Z方向)に延びた状態で、取付構造1における左右方向(X方向)の両側に設けられている。柱材10は、バルコニー200の床面201から立設され、断面視長方形の角形鋼管などである。柱材10は、手摺壁100の下端から上端まで延びる、支柱として機能する部材である。
【0016】
間柱20は、手摺壁100の内部において、柱材10間に上下方向に延びる状態で複数配置されている。間柱20は、上下方向に沿って柱材10とほぼ同じ長さか少し短い長さを有する、断面視コ字状あるいはC字状の中空の部材である。複数の間柱20は、柱材10間においてほぼ等間隔に並んで配置されている。間柱20の本数は特に限定されるものではないが、間柱20の本数が増加するに従い、手摺壁100の強度が向上する。柱材10及び間柱20は、いずれも鋼鉄製である。
【0017】
間柱20には、1以上の固定具(固定部)21が設けられている。具体的には、
図2に示すように、各間柱20に対し、2個の固定具21が上下方向に離れた状態で取り付けられている。固定具21は、内壁60を間柱20に固定するために設けられている。固定具21の取り付けられる位置、個数は特に限定されるものではないが、内壁60を間柱20に対して強固に固定するためには、間柱20に設けられる固定具21の個数は多い方が望ましい。なお、固定具21が設けられていない間柱20があってもよい。固定具21は、間柱20に対し、例えば溶接により接合されている。
【0018】
上胴縁30は、手摺壁100の内部において、水平方向(X方向)に延びるように配置されている。具体的には、
図1及び
図2に示すように、上胴縁30は、柱材10及び間柱20により下方側から支持された状態で、手摺壁100の長手方向に沿って延びている。ハイウォール腰壁として機能する手摺壁100を構成する上胴縁30は、天井高さあるいは屋根高さの半分よりも高い位置に設けられている。上胴縁30には、手摺部101が上方から嵌め込まれるように設けられている。
【0019】
下胴縁40は、手摺壁100の内部において、水平方向に延びるように配置されている。具体的には、
図1及び
図2に示すように、下胴縁40は、上胴縁30と同様に手摺壁100の長手方向に沿って延びている。上胴縁30と下胴縁40は、複数の柱材10及び間柱20を上下で連結する。
【0020】
間柱20には、上部に取付金具50が設けられている。取付金具50は、物干装置300を手摺壁100に取り付けるために設けられている。物干装置300を手摺壁100に対して相対的に高い位置に取り付けるために、取付金具50は間柱20のうち上胴縁30に近い側に設けられている。
【0021】
内壁60は、手摺壁100の室内側の壁面を構成する平板状の部材である。内壁60は、間柱20に取り付けられた固定具21に固定される。
【0022】
外壁70は、手摺壁100の室外側の壁面を構成する平板状の部材である。外壁70は、内面側に設けられた取付枠70a(
図4参照)に対して間柱20側から打ち込まれるリベット81によって固定されている。
【0023】
なお、
図1においては、手摺壁100の内部構造を示すため、内壁60及び外壁70の図示を一部省略しているが、内壁60及び外壁70は、手摺壁100のそれぞれの面全体を覆うように設けられている。
【0024】
図2に示すように、物干装置300は、支柱301と、竿掛け部302と、固定部303とを有している。内壁60側から、固定部303、支柱301、竿掛け部302の順に位置している。
【0025】
支柱301は、上下方向に延びる棒状の部材であり、固定部303を介して手摺壁100に固定されている。固定部303は、上下方向において取付金具50と重なる位置で内壁60に対峙している。
【0026】
竿掛け部302は、支柱301に対して上下方向に摺動自在に支持されている。また、竿掛け部302は、長手方向が上下方向となる位置と長手方向が水平方向となる位置との範囲内で支柱301に対して回転自在に支持されている。
【0027】
ところで、これまでの物干装置300は、間柱20に取り付けられた木レンガ90(
図2において仮想的に二点鎖線で示す)に対して取り付けられていた。具体的には、
図2に仮想的に示すように、間柱20に対して取り付けられる木レンガ90の位置が予め決定されており、この木レンガ90に対して物干装置300が取り付けられる場合、物干装置300の取り付け位置の選択の自由度が制限されていた。
【0028】
これに対し、本実施形態では、物干装置300は木レンガ90に代えて取付金具50を介して間柱20に取り付けられている。間柱20には、上下方向に沿って2つの固定具21が取り付けられ、固定具21自体は例えば10mm~20mm程度の寸法を有している。
【0029】
取付金具50は、例えば100mm~300mm程度の長さを有するように構成されている。間柱20には複数の固定具21が取り付けられているが、固定具21自体の上下方向の寸法がそれほど大きくないため、複数の固定具21が間柱20に取り付けられたとしても、間柱20には取付金具50を接合するスペースが確保される。このため、取付金具50は、上下方向において固定具21と重ならない任意の位置で間柱20に接合することが可能である。従って、木レンガ90を介して物干装置300を取り付ける場合と比較して、取り付け位置の選択の自由度を高めることができる。
【0030】
その上で、取付金具50は、間柱20の上部に接合されている。具体的には、固定具21と干渉しない部分のうち、上側の固定具21と上胴縁30との間で間柱20に接合されている。即ち、間柱20に複数の固定具21が取り付けられた状態で、取付金具50はいずれの固定具21よりも上胴縁30に近い位置で間柱20に接合されている。これにより、物干装置300をバルコニー200の床面201から可能な限り離れた位置(1500mm以上)に取り付けることができる。従って、手摺壁100の高さが高い場合であっても、日当たりの良い状況を確保することができる。
【0031】
図3は、物干装置300と取付金具50との取り付け部分を拡大した縦断面図であり、
図4は、物干装置300と取付金具50との取り付け部分を拡大した横断面図である。
【0032】
図3及び
図4に示すように、物干装置300の固定部303は、内壁60と接する位置に固定プレート303aを有している。固定プレート303aは、上下方向及び左右方向に延びる板状の部材である。
【0033】
物干装置300は、取付金具50に対しビス留めされた状態で取り付けられている。具体的には、内壁60側から外壁70側に向けて、ビス80が固定プレート303a、内壁60、内壁60の取付枠60a、取付金具50の順に貫通し、これらに螺合されている。固定プレート303a、内壁60、取付枠60a、取付金具50には、それぞれビス80が螺合するネジ孔が必要に応じて形成されている。
【0034】
ビス80は、固定プレート303a、内壁60、取付枠60a、取付金具50を貫通することができるのであれば、いかなる長さであってもよい。また、物干装置300に対して螺合されているビス80の本数は、特に限定されるものではないが、物干装置300の取付強度を高めるためには、少なくとも5本以上設けることが望ましい。複数のビス80は、取付金具50に対し上下方向で均等な位置に配置されている。
【0035】
図4に示すように、取付金具50は一方側が開放された断面視コ字状に形成され、開口部50aを及び内側面50b有している。取付金具50は、上下方向で間柱20の少なくとも一部を覆う程度の大きさを有していればよい。
【0036】
図4に示すように、間柱20は、一方側が開放された断面視コ字状又はC字状に形成され、開口部20aを有している。間柱20は、開口部20aが内壁60側を向いた状態で配置されている。取付金具50は、開口部50aが外壁70側を向いた状態で固定されている。このように、間柱20と取付金具50は、開口部同士が対向した状態で接合されている。
【0037】
取付金具50の幅方向における寸法は、間柱20の幅方向における寸法よりもわずかに大きく形成されている。取付金具50は間柱20を挟むような状態で接合され、取付金具50の内側面50bと間柱20の外側面20bとが面接触する。取付金具50が間柱20に対して嵌め合わされた状態で、取付金具50と間柱20とは溶接により接合され、両者が一体化する。
【0038】
内壁60は、取付枠60aと固定具21とをリベット81で接合することにより、間柱20に固定されている。外壁70は、取付枠70aと間柱20とをリベット81で接合することにより、間柱20に固定されている。内壁60同士の継ぎ目部分、外壁70同士の継ぎ目部分には、それぞれガスケット82が設けられている。
【0039】
このように、実施形態に係る物干装置300の取付構造1は、内壁60及び外壁70に挟まれた内空において上下方向に延びる複数の柱材10と、水平方向に延びるとともに複数の柱材10同士を上方側で連結する上胴縁30及び下方側で連結する下胴縁40と、複数の柱材10間に上下方向に延びる状態で配置され、上下方向の一部において内壁60が固定されている固定具21が設けられる間柱20と、上下方向において固定具21と重ならない位置で間柱20に接合されている取付金具50とを有し、物干装置300は取付金具50に取り付けられている。
【0040】
これにより、物干装置300は、直接的には手摺壁100の内部の間柱20に設けられる取付金具50に支持される。従って、内部が中空構造の手摺壁100であっても物干装置の利用時に作用する荷重に耐えることができる。
【0041】
また、取付金具50は間柱20の上部に接合されている。これにより、物干装置300が取り付けられる取付金具50の位置を高い位置に確保することができる。従って、手摺壁100の高さが高い場合であっても、日当たりの良い状況を確保することができる。
【0042】
また、物干装置300は取付金具50に対しビス留めされている。これにより、物干装置300が取付金具50に強固に螺合されている。従って、物干装置300の手摺壁100に対する取り付け強度を確保することができる。
【0043】
以上、図面を参照して、本発明の各実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 取付構造
10 柱材
20 間柱
21 固定具
30 上胴縁
40 下胴縁
50 取付金具
60 内壁
70 外壁
80 ビス
100 手摺壁
300 物干装置