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  • -コネクタの取付構造 図1
  • -コネクタの取付構造 図2
  • -コネクタの取付構造 図3
  • -コネクタの取付構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161932
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コネクタの取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20241114BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F16B5/02 A
H01R13/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077001
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】白井 智洋
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA03
3J001KB02
(57)【要約】
【課題】コネクタを覆うカバーの未装着を回避し、コネクタをカバーによって良好に保護できるコネクタの取付構造を提供する。
【解決手段】筐体2に取り付けられ、周囲がカバー40によって覆われるコネクタ10の取付構造であって、コネクタ10は、筐体2に固定するためのボルト3が挿通されるボルト孔15と、ボルト孔15の近傍において、ボルト孔15へ挿通させたボルト3の頭部3aとの干渉位置に突設された突起部16と、を有し、カバー40は、ボルト孔15と連通し、ボルト3が挿通される連通孔61と、連通孔61をボルト孔15に連通させた状態で突起部16が係合する切欠き部62と、を有し、突起部16は、切欠き部62に係合されることにより、ボルト3の頭部3aと非干渉状態とされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に取り付けられ、周囲がカバーによって覆われるコネクタの取付構造であって、
前記コネクタは、
前記筐体に固定するためのボルトが挿通されるボルト孔と、
前記ボルト孔の近傍において、前記ボルト孔へ挿通させた前記ボルトの頭部との干渉位置に突設された突起部と、
を有し、
前記カバーは、
前記ボルト孔と連通し、前記ボルトが挿通される連通孔と、
前記連通孔を前記ボルト孔に連通させた状態で前記突起部が係合する切欠き部と、
を有し、
前記突起部は、前記切欠き部に係合されることにより、前記ボルトの頭部と非干渉状態とされる、
コネクタの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パワーユニットを制御するためのPCU(パワーコントロールユニット)の筐体にコネクタが取り付けられ、このコネクタがプロテクタによって覆われていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-1642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のプロテクタは、PCUの筐体に取り付けられたコネクタを覆うように配置させ、ボルトによって締結して装着される。つまり、コネクタがプロテクタを装着せずにPCUの筐体に取り付けられる構造であるため、プロテクタの未装着状態が生じる。このため、プロテクタによってコネクタが保護されないでPCUが稼働されるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、コネクタを覆うカバーの未装着を回避し、コネクタをカバーによって良好に保護できるコネクタの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のコネクタの取付構造は、
筐体に取り付けられ、周囲がカバーによって覆われるコネクタの取付構造であって、
前記コネクタは、
前記筐体に固定するためのボルトが挿通されるボルト孔と、
前記ボルト孔の近傍において、前記ボルト孔へ挿通させた前記ボルトの頭部との干渉位置に突設された突起部と、
を有し、
前記カバーは、
前記ボルト孔と連通し、前記ボルトが挿通される連通孔と、
前記連通孔を前記ボルト孔に連通させた状態で前記突起部が係合する切欠き部と、
を有し、
前記突起部は、前記切欠き部に係合されることにより、前記ボルトの頭部と非干渉状態とされる。
【0007】
この構成のコネクタによれば、コネクタへのカバーの未装着状態では、ボルト孔に挿通したボルトの頭部が突起部と干渉するため、筐体への締結ができなくなる。これに対して、コネクタの突起部は、カバーの切欠き部に係合されることにより、ボルトの頭部と非干渉状態とされ、ボルトの締結が可能となる。つまり、カバーを装着しない限りコネクタをボルトによって筐体に締結できない構造であるので、カバーの未装着状態でコネクタが筐体へ取り付けられる不具合を回避できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタを覆うカバーの未装着を回避し、コネクタをカバーによって良好に保護できるコネクタの取付構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るコネクタの取付構造を説明するPCUの斜視図である。
図2】カバーでコネクタシェルが覆われたコネクタの斜視図である。
図3】コネクタのコネクタシェルを説明する斜視図及び一部の拡大図である。
図4】カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るコネクタの取付構造を説明するPCUの斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタの取付構造は、PCU(パワーコントロールユニット)1に対するコネクタ10の取付構造である。コネクタ10は、PCU1に取り付けられている。また、コネクタ10は、カバー40が装着されており、このカバー40によって外周が覆われる。
【0012】
コネクタ10が取り付けられるPCU1は、例えば、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)あるいはプラグインハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)などの車両に搭載される。このPCU1は、車両を駆動させる駆動モータ等のパワーユニットを制御する。
【0013】
コネクタ10は、PCU1の筐体2の側面に取り付けられている。このコネクタ10は、例えば、バッテリなどの外部機器(図示略)から延びるワイヤハーネスに接続されたもので、PCU1と外部機器との間で送給電させるための高圧コネクタである。
【0014】
コネクタ10は、コネクタシェル11を有しており、このコネクタシェル11の内部に接続端子(図示略)を備えている。コネクタシェル11は、接続端子が端部に接続されたワイヤハーネスの電力線12が下端から引き出されている。
【0015】
図2は、カバーでコネクタシェルが覆われたコネクタの斜視図である。図3は、コネクタのコネクタシェルを説明する斜視図及び一部の拡大図である。図4は、カバーの斜視図である。
【0016】
図2に示すように、コネクタ10は、コネクタシェル11がPCU1の筐体2の側面に対してボルト3によって締結された状態で取り付けられる。そして、この筐体2に取り付けられたコネクタ10は、その内部の接続端子が、PCU1内の端子(図示略)に電気的に接続される。
【0017】
図3に示すように、コネクタシェル11は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成されたもので、PCU1への取り付け側に、周囲へ張り出すフランジ部13を有している。このフランジ部13は、角部が固定部14とされており、これらの固定部14は、ボルト孔15を有している。ボルト孔15には、コネクタ10を筐体2へ締結して固定するためのボルト3が挿通される。
【0018】
コネクタシェル11の固定部14には、ボルト孔15の近傍位置に突起部16が設けられている。突起部16は、筐体2への取り付け方向と反対側へ突設されている。また、この突起部16は、コネクタ10を筐体2へ締結するボルト3をボルト孔15へ挿し込んだ際に、このボルト3の頭部3aが干渉する位置に突設されている(図2参照)。
【0019】
コネクタシェル11のフランジ部13は、その上縁に、ネジ孔21が形成された取付部22を有している。この取付部22には、カバー40をコネクタシェル11へ取り付けるためのネジ23が上方から螺合可能とされている(図2参照)。
【0020】
また、コネクタシェル11には、その上部に、樹脂部品からなる検電用開口部(図示略)を露出させる開口部35が形成されている。これらの検電用開口部は、検電用のプローブ(図示略)を挿し込むための開口部であり、この検電用開口部にプローブを挿し込むことにより、コネクタ10の内部の電圧が測定可能とされている。
【0021】
図4に示すように、カバー40は、上板部41と、側板部42とを有している。カバー40は、例えば、鉄板等をプレス加工することにより形成されている。側板部42は、上板部41の後縁から下方へ延在されている。
【0022】
このカバー40は、その上板部41の両側部に、固定片43を有している。固定片43は、延在部51と、当接部52と、締結部53とを有している。延在部51は、上板部41の側縁から下方へ延在されている。当接部52は、延在部51の下縁に連設され、上板部41から離れるにしたがって斜め下方へ延在されている。締結部53は、当接部52における側板部42と反対側の側縁に連設されている。この締結部53は、当接部52から上方へ屈曲され、上板部41から離れるにしたがって斜め上方へ延在されている。
【0023】
固定片43の締結部53には、連通孔61が形成されている。また、締結部53には、連通孔61の近傍位置に、切欠き部62が形成されている。切欠き部62は、上下方向に沿って形成されて下方側が開放されている。切欠き部62は、コネクタシェル11の固定部14に形成された突起部16が挿通可能とされている。なお、カバー40は、突起部16の突出寸法以上の板厚を有している。したがって、突起部16は、締結部53の表面から突出することなく、締結部53の切欠き部62に挿通される。
【0024】
また、カバー40は、上板部41における前縁から上方へ延在し、さらに、前方へ屈曲して水平に延びる取付片65を有している。この取付片65には、ネジ23が挿通可能な孔部66が形成されている。
【0025】
次に、PCU1へコネクタ10を取り付ける場合について説明する。
図2に示すように、コネクタ10に対して、その上方側からカバー40を取り付ける。具体的には、コネクタ10のコネクタシェル11の上部にカバー40を被せる。そして、このカバー40の取付片65の孔部66にネジ23を挿し込み、このネジ23をコネクタシェル11の取付部22のネジ孔21にねじ込む。
【0026】
このように、コネクタ10にカバー40を取り付けることにより、コネクタ10の上面及び背面がカバー40によって覆われる。これにより、コネクタシェル11の上部に形成された開口部35および開口部35から露出する検電用開口部がカバー40の上板部41によって塞がれる。
【0027】
また、コネクタ10にカバー40を取り付けると、カバー40の締結部53に形成された切欠き部62に対して、その下端の開放側からコネクタシェル11の固定部14に形成された突起部16が挿入される。これにより、突起部16は、カバー40の締結部53の表面から突出することなく、切欠き部62内に収容された状態となる。また、この状態において、カバー40の締結部53に形成された連通孔61がコネクタシェル11の固定部14に形成されたボルト孔15と連通される。
【0028】
このように、コネクタ10にカバー40を取り付けたら、このカバー40が取り付けられたコネクタ10をPCU1の筐体2の側面におけるコネクタ10の取り付け位置に宛がう。そして、カバー40の締結部53の連通孔61が連通したコネクタシェル11の固定部14のボルト孔15へボルト3を挿し込み、筐体2のネジ孔(図示略)へねじ込んで締結する。これにより、コネクタ10は、内部の接続端子が、PCU1内の端子(図示略)に電気的に接続された状態でPCU1に取り付けられる。
【0029】
このとき、コネクタシェル11の固定部14に形成された突起部16は、カバー40の締結部53の表面から突出することなく、切欠き部62内に収容された状態であるので、コネクタ10をPCU1へ固定するボルト3は、その頭部3aが突起部16に干渉することがない。したがって、カバー40が取り付けられたコネクタ10をボルト3によってPCU1の筐体2へ円滑に締結して取り付けることができる。
【0030】
ここで、本実施形態において、コネクタ10にカバー40を取り付けることなくコネクタ10をPCU1へ取り付けようとすると、コネクタシェル11の固定部14のボルト孔15へ挿し込んだボルト3の頭部3aが固定部14に形成された突起部16に干渉する。したがって、コネクタ10へのカバー40の未装着状態では、ボルト3をPCU1の筐体2のネジ孔へ螺合させて締結させることができない。これに対して、コネクタ10の突起部16は、カバー40の切欠き部62に係合されることにより、ボルト3の頭部3aと非干渉状態とされ、ボルト3の締結が可能となる。
【0031】
つまり、本実施形態によれば、カバー40を装着しない限りコネクタ10をボルト3によってPCU1の筐体2に締結できない構造であるので、カバー40の未装着状態で筐体2へコネクタ10が取り付けられる不具合を回避できる。
【0032】
つまり、カバー40が未装着のコネクタ10を筐体2に取り付けてPCU1を稼働させることが可能な構造と比較し、特に、PCU1の稼働時における検電用開口部および開口部35からの水や泥等の浸入を回避でき、安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0033】
2 筐体
3 ボルト
3a 頭部
10 コネクタ
15 ボルト孔
16 突起部
40 カバー
61 連通孔
62 切欠き部
図1
図2
図3
図4