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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161940
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】潜熱蓄熱粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/06 20060101AFI20241114BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20241114BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20241114BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C09K5/06 M ZAB
C08G18/75
C08G18/00 A
C08G18/08 038
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077015
(22)【出願日】2023-05-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】390028048
【氏名又は名称】根上工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慶
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA06
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA14
4J034CA15
4J034CA16
4J034CA17
4J034CB02
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC22
4J034CC23
4J034CC27
4J034CC34
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD06
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DF01
4J034DF02
4J034DG02
4J034DP18
4J034DP19
4J034GA06
4J034GA23
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HA09
4J034HB08
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC16
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC53
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC70
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA03
4J034JA13
4J034JA42
4J034MA02
4J034MA12
4J034MA22
4J034MA24
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034RA02
4J034RA03
4J034RA10
4J034RA11
4J034RA12
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】
【課題】長期保管及び/又は長期使用によっても潜熱蓄熱物質が漏洩しない潜熱蓄熱粒子;JIS-K7121で測定される融点が30℃以上の潜熱蓄熱物質を用いた場合であっても粒子化可能な潜熱蓄熱粒子;及び/又は比較的少ない工程で製造できる潜熱蓄熱粒子;の提供。
【解決手段】ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなり、110℃、6時間加熱後の重量減少である加熱減量が2重量%以下である潜熱蓄熱粒子により、上記課題を解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなり、110℃、6時間加熱後の重量減少である加熱減量が2重量%以下である潜熱蓄熱粒子。
【請求項2】
前記潜熱蓄熱粒子は、JIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下である請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項3】
前記潜熱蓄熱物質が、水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下である請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項4】
前記ポリウレタンポリウレア樹脂が脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有する請求項1記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項5】
潜熱蓄熱粒子は、その体積平均粒子径が1~500μmである請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の潜熱蓄熱粒子を含む材料。
【請求項7】
ポリイソシアネート、及び潜熱蓄熱物質を有する原料組成物を、水を含む分散媒に分散させて懸濁液を得る工程;及び
前記懸濁液にポリオール及びポリアミンを添加し、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン及び前記ポリオールを反応させる工程;
を有することにより、
ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び前記潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなり、110℃、6時間加熱後の重量減少である加熱減量が2重量%以下である潜熱蓄熱粒子を得る、潜熱蓄熱粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱蓄熱粒子及びその製造方法、並びに潜熱蓄熱粒子を含む材料に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の物理的状態の変化(相転移;凝固・融解)に伴う潜熱(転移熱)を利用した潜熱蓄熱物質を樹脂カプセルで封じ込めたコアシェル型の潜熱蓄熱粒子が知られており、建築物や建造物などの構造材料;ビルディング、家屋、地下街などの空調用途など、温度制御のために用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1、特許文献2は、ポリウレタンポリウレア、ポリウレタン、ポリウレアのいずれか1種からなるシェル部を有する潜熱蓄熱粒子を開示している。
また、特許文献3は、シェル部にビニルモノマーを用い、コア部にn-パラフィンを用いる蓄熱粒子を開示している。
【0004】
さらに、特許文献4は、シェル部にメラミン樹脂を用い、コア部にn-パラフィンを用いる蓄熱粒子を開示している。なお、シェル部にメラミン樹脂を用いた場合、シックハウス症候群などの原因物質であるアルデヒドが発生する、という課題がある。
【0005】
潜熱蓄熱物質を樹脂カプセルで封じ込めたコアシェル型の潜熱蓄熱粒子は、コア部に含まれる潜熱蓄熱物質の凝固/融解に伴って熱が出し入れされるが、該凝固/融解は、コア部の収縮/膨張を伴い、該収縮/膨張がシェル部に負荷をかけることにつながる。したがって、コア部の収縮/膨張を長期間行うと、シェル部が負荷に耐えられずに破壊され、潜熱蓄熱物質が漏洩する、という課題がある。特に、相転移(凝固・融解)の温度が高い潜熱蓄熱物質は一般に、凝固/融解に伴う収縮/膨張の体積変化が大きいため、シェル部がより破壊される傾向にあり、潜熱蓄熱物質の漏洩の課題が顕著となる。
【0006】
一方、昨今のCPU高性能化により、電子機器の過昇温防止や人体に触れる装置については低温やけど防止のニーズが高くなり、装置に埋め込むことが可能な、JIS-K7121で測定される融点が30℃以上の潜熱蓄熱粒子の製品化が期待されている。
【0007】
例えば特許文献5は、アルデヒドを発生させずに、潜熱蓄熱物質の漏洩の課題を改善し、耐久性に優れた潜熱蓄熱粒子を開示している。しかしながら、相転移温度が30℃を超える潜熱蓄熱物質を用いた場合、潜熱蓄熱粒子として粒子化できない、という課題がある。
また、例えば特許文献6は、ポリウレタン膜またはポリウレア膜と特定の脂肪酸エステルからなる蓄熱用マイクロカプセルを開示している。しかしながら、長期使用において融解凝固による膨張収縮を繰り返した場合、膜材劣化による脂肪酸エステルが漏洩するという課題がある。
【0008】
さらに、例えば特許文献7は、多孔質中空粒子を製造し、孔を通じて潜熱蓄熱物質を含侵させ、その後にポリアミドをコーティングして孔を塞いで潜熱蓄熱粒子を得る方法及びそれによって得られる潜熱蓄熱粒子を開示している。しかしながら、この製造方法は、工程が多段であり、煩雑な製造工程が必要であるため、実用化に向いていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009-91473号公報。
【特許文献2】特開2009-148676号公報。
【特許文献3】特許第5651272号公報。
【特許文献4】特許第4808476号公報。
【特許文献5】特開2017-137437号公報。
【特許文献6】特許第6899307号公報。
【特許文献7】特開2016-34622号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記課題を解決した潜熱蓄熱粒子は未だ開発・製品化されていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決することにある。
すなわち、本発明の目的は、長期保管及び/又は長期使用によっても潜熱蓄熱物質が漏洩しない潜熱蓄熱粒子を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、又は上記目的の他に、JIS-K7121で測定される融点が30℃以上の潜熱蓄熱物質を用いた場合であっても粒子化可能な潜熱蓄熱粒子を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の目的は、上記目的に加えて、又は上記目的の他に、比較的簡便な工程で製造できる潜熱蓄熱粒子及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、又は上記目的の他に、上記潜熱蓄熱粒子を有する材料を提供することにある。
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために、以下の発明を見出した。
<1> ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなり、110℃、6時間加熱後の重量減少である加熱減量が2重量%以下である潜熱蓄熱粒子。
【0013】
<2> 上記<1>において、潜熱蓄熱粒子は、JIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下、好ましくは35~55℃、より好ましくは35~50℃であるのがよい。
<3> 上記<1>又は<2>において、潜熱蓄熱物質は、水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下であるのがよく、好ましくは水/オクタノール分配係数LogPが8.0以上10.0以下の脂肪酸エステル(A)、及び水/オクタノール分配係数LogPが9.2以上、10.0以下のn-パラフィン(B)から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
【0014】
<4> 上記<1>~<3>のいずれかにおいて、ポリウレタンポリウレア樹脂が脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有するのがよい。
<5> 上記<1>~<4>のいずれかにおいて、潜熱蓄熱粒子は、その体積平均粒子径が1~500μm、好ましくは5~300μm、より好ましくは10~250μm、最も好ましくは20~200μmであるのがよい。
【0015】
<6> 上記<1>~<5>のいずれかにおいて、シェル部はポリウレタンポリウレア樹脂から本質的になるのがよい。ここで、本願明細書において、「ポリウレタンポリウレア樹脂から本質的になる」とは、シェル部を構成する物質100重量部のうち、「ポリウレタンポリウレア樹脂」が95重量部以上、好ましくは97重量部以上、より好ましくは99重量部以上、最も好ましくは100重量部であることを意味する。
<7> 上記<1>~<6>のいずれかにおいて、シェル部は、ポリウレタンポリウレア樹脂のみからなるのがよい。
【0016】
<8> 上記<1>~<7>のいずれかにおいて、コア部は潜熱蓄熱物質から本質的になるのがよい。ここで、本願明細書において、「潜熱蓄熱物質から本質的になる」とは、潜熱蓄熱粒子のJIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下となれば、潜熱蓄熱物質の量及びその種類、並びに潜熱蓄熱物質以外の物質の量及びその種類は問わないことを意味する。なお、「潜熱蓄熱物質から本質的になる」とは、コア部を構成する物質100重量部のうち、「潜熱蓄熱物質」が95重量部以上、好ましくは97重量部以上、より好ましくは99重量部以上、最も好ましくは100重量部であることを意味する。
<9> 上記<1>~<8>のいずれかにおいて、コア部は潜熱蓄熱物質のみからなるのがよい。
【0017】
<10> 上記<1>~<9>のいずれかにおいて、潜熱蓄熱粒子はシェル部及びコア部から本質的になるのがよい。ここで、本願明細書において、「シェル部及びコア部から本質的になる」とは、「シェル部」及び「コア部」以外の部を有してもよいが、潜熱蓄熱粒子100重量部中、「シェル部」及び「コア部」以外の部が5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、最も好ましくは0重量部であることを意味する。
<11> 上記<1>~<10>のいずれかにおいて、潜熱蓄熱粒子は前記シェル部及び前記コア部のみからなるのがよい。
【0018】
<12> 上記<1>~<11>のいずれかに記載の潜熱蓄熱粒子を有する材料。材料の例として、樹脂シート、ゴムシート、合成紙、媒体(水、熱媒体)、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、ゴムなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
<13> 上記<1>~<12>のいずれかに記載の潜熱蓄熱粒子を製造する製造方法。
【0019】
<14> ポリイソシアネート、及び潜熱蓄熱物質を有する原料組成物を、水を含む分散媒に分散させて懸濁液を得る工程;及び
前記懸濁液にポリオール及びポリアミンを添加し、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン及び前記ポリオールを反応させる工程;
を有することにより、
ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び前記潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなり、110℃、6時間加熱後の重量減少である加熱減量が2重量%以下である潜熱蓄熱粒子を得る、潜熱蓄熱粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、上記課題を解決することができる。
本発明により、長期保管及び/又は長期使用によっても潜熱蓄熱物質が漏洩しない潜熱蓄熱粒子を提供することができる。
また、本発明により、上記効果に加えて、又は上記効果の他に、JIS-K7121で測定される融点が30℃以上の潜熱蓄熱物質を用いた場合であっても粒子化可能な潜熱蓄熱粒子を提供することができる。
【0021】
さらに、本発明により、上記効果に加えて、又は上記効果の他に、比較的簡便な工程で製造できる潜熱蓄熱粒子及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明により、上記効果に加えて、又は上記効果の他に、上記潜熱蓄熱粒子を有する材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の潜熱蓄熱粒子の一例を示す断面図である。
図2】本発明の潜熱蓄熱粒子を有する材料の一例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願に記載する発明(以降、「本発明」と略記する場合がある)について説明する。
本願は、ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び潜熱蓄熱物質を有するコア部を有する潜熱蓄熱粒子であって、該潜熱蓄熱粒子の加熱減量が2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下である潜熱蓄熱粒子を提供する。
また、本願は、上記潜熱蓄熱粒子の製造方法を提供する。
さらに、本願は、上記潜熱蓄熱粒子を有する材料を提供する。
【0024】
<潜熱蓄熱粒子>
本発明の潜熱蓄熱粒子は、ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び潜熱蓄熱物質を有するコア部を有する。
図1は、本発明の潜熱蓄熱粒子の一例の断面図を示す。潜熱蓄熱粒子10は、潜熱蓄熱物質を有するコア部12と、コア部12を被覆するポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部14とを有する。
【0025】
本発明の潜熱蓄熱粒子は、その加熱減量が2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下であるのがよい。
加熱減量は、加熱前に潜熱蓄熱粒子の重量を測定した後に、潜熱蓄熱粒子を110℃、6時間、加熱し、その後、再度潜熱蓄熱粒子の重量を測定し、その差である重量減少から求めることができる。
加熱減量が上記範囲にあることにより、所望の特性を有する潜熱蓄熱粒子、例えば長期保管及び/又は長期使用によっても潜熱蓄熱物質が漏洩しない潜熱蓄熱粒子を提供することができる。
また、加熱減量が上記範囲にあることにより、所望の特性を有する潜熱蓄熱粒子、例えば相転移温度が30℃を超える潜熱蓄熱物質を用いた場合であっても粒子化可能な潜熱蓄熱粒子を提供することができる。
【0026】
本発明の潜熱蓄熱粒子は、JIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下、好ましくは35~55℃、より好ましくは35~50℃であるのがよい。
【0027】
本発明の潜熱蓄熱粒子は、シェル部及びコア部以外に、シェル部の外側に最外層部などを有してもよい。
なお、最外層部は、潜熱蓄熱粒子に耐熱性、耐溶剤性、耐水性等の機能を付与する層であるのが好ましく、その材料として、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂の硬化物、無機化合物などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0028】
本発明の潜熱蓄熱粒子は、シェル部及びコア部から本質的になるのがよく、好ましくは本発明の潜熱蓄熱粒子は、シェル部及びコア部のみからなるのがよい。なお、「シェル部及びコア部から本質的になる」とは、「シェル部」及び「コア部」以外の部を有してもよいが、潜熱蓄熱粒子100重量部中、「シェル部」及び「コア部」以外の部が5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、最も好ましくは0重量部であることを意味する。
【0029】
本発明の潜熱蓄熱粒子は、その体積平均粒子径が、1~500μm、好ましくは5~300μm、より好ましくは10~250μm、最も好ましくは20~200μmであるのがよい。
なお、「体積平均粒子径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準のメジアン径をいう。
潜熱蓄熱粒子の体積平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、潜熱蓄熱粒子の潜熱蓄熱量が充分に大きくなる。また、加熱と冷却とを繰り返してもコア部の潜熱蓄熱物質が滲出しにくい。また、シェル部の機械的強度が高くなり、圧縮等によってシェル部が破損しにくい。潜熱蓄熱粒子の体積平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、潜熱蓄熱粒子および他の材料(建材、媒体等)を含む材料、例えば蓄熱材とした際に、潜熱蓄熱粒子が目立たなくなり、上記材料、例えば蓄熱材の外観が良好となる。
潜熱蓄熱粒子の体積平均粒子径は、例えば、後述する潜熱蓄熱粒子の製造方法において分散媒中の分散剤の含有量を多くすることによって小さくでき、分散剤の含有量を少なくすることによって大きくできる。
【0030】
潜熱蓄熱粒子の形状として、真球状、一部が歪んだ球状、だるま形状、円柱状、錘形状、直方体状等が挙げられるがこれらに限定されない。
潜熱蓄熱粒子における潜熱蓄熱物質の量は、シェル部の機械的強度およびコア部の潜熱蓄熱量の点から、潜熱蓄熱粒子の100重量部のうち、30~99.9重量部、好ましくは50~99重量部、より好ましくは60~99重量部、最も好ましくは70~90重量部であるのがよい。
【0031】
<シェル部>
本発明の潜熱蓄熱粒子のシェル部は、ポリウレタンポリウレア樹脂を有してなる。
ここで、「ポリウレタンポリウレア」とは、ウレタン結合(-NHC(O)O-)及びウレア結合(-NHC(O)NH-)を有する高分子化合物をいう。なお、ウレタン結合及びウレア結合はそれぞれ複数個存在するのが好ましい。
本発明の潜熱蓄熱粒子のシェル部は、潜熱蓄熱物質の漏れ等の上記課題が発生しなければ、ポリウレタンポリウレア樹脂以外の材料を有してもよい。
ポリウレタンポリウレア樹脂以外の材料として、ポリウレタンポリウレア以外の樹脂、ゴム、フィラー、機能付与剤、不可避不純物などを挙げることができるがこれらに限定されない。
ポリウレタンポリウレア樹脂は、シェル部を構成する物質100重量部のうち、50重量部以上、好ましくは70重量部以上、より好ましくは90重量部以上、最も好ましくは100重量部であるのがよい。
他の成分の含有量は、ポリウレタンポリウレアの100重量部に対して、50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下、最も好ましくは0重量部であるのがよい。
【0032】
本発明の潜熱蓄熱粒子のシェル部は、ポリウレタンポリウレア樹脂から本質的になるのがよく、好ましくはポリウレタンポリウレア樹脂のみからなるのがよい。
ここで、「ポリウレタンポリウレア樹脂から本質的になる」とは、シェル部を構成する物質100重量部のうち、「ポリウレタンポリウレア樹脂」が95重量部以上、好ましくは 97重量部以上、より好ましくは99重量部以上、最も好ましくは100重量部であることを意味する。
【0033】
本発明の潜熱蓄熱粒子のシェル部の厚さは、得られる潜熱蓄熱粒子の粒径、用いるシェル部の材料、特に用いるポリウレタンポリウレア樹脂などに依存するが、機械的強度及び/又は潜熱蓄熱物質の揮発防止の点から、0.03~40μmであるのがよく、好ましくは0.1~25μm、より好ましくは0.2~20μm、最も好ましくは0.5~15μmであるのがよい。
【0034】
ポリウレタンポリウレア樹脂は、シェル部の機械的強度がさらに高くなる点から、ポリイソシアネートとポリオールの反応に由来するウレタン結合、およびポリイソシアネートとポリアミンの反応に由来するウレア結合の両方の結合を有することが好ましい。
すなわち、ポリウレタンポリウレア樹脂は、ポリイソシアネート、ポリオール及びポリアミンに由来し、後述する本発明の潜熱蓄熱粒子の製造方法において、それらを用いるのがよい。なお、それらの材料は、由来に制限はなく、例えば化石燃料由来であっても、バイオマス由来であってもよい。
【0035】
<<ポリイソシアネート>>
ポリイソシアネートとして、イソシアネート基を2つ有する2官能イソシアネート、イソシアネート基を3つ以上有する多官能イソシアネートを挙げることができる。
【0036】
2官能イソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン-2,4(または2,6)-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ハロゲン化フェニルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの重合体、ジフェニルメタンジイソシアネートの重合体、ヘキサメチレンジイソシアネートの重合体、3-フェニル-2-エチレンジイソシアネート、クメン-2,4-ジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-エトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4’-ジイソシアネートジフェニルエーテル、5,6-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートジフェニルエーテル、ベンジジンジイゾシアネート、9,10-アンスラセンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートベンジル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアネートジフェニルメタン、2,6-ジメチル-4,4’-ジイソシアネートジフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジイソシアネートジフェニル、1,4-アンスラセンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0037】
多官能イソシアネートとして、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、2,4,4’-トリイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート、2官能イソシアネートの3量体(ビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体)等を挙げることができる。
【0038】
本発明において、ポリイソシアネートとして、脂環式ジイソシアネートであるのが好ましい。ポリイソシアネートが脂環式であれば、潜熱蓄熱物質との相溶性から重合時におけるシェル部とコア部の形成が均一に進行し、緻密かつ十分な強度を有する耐久性に優れた潜熱蓄熱粒子が得ることができる。
脂環式ジイソシアネートとして、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
<<ポリオール>>
ポリオールとは、化合物中に水酸基(OH基)が2以上存在する化合物をいう。
ポリオールとして、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、炭素数が1~20の脂肪族多価アルコール等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0040】
また、ポリオールとして、潜熱蓄熱物質が滲出しにくく、機械的強度が高い潜熱蓄熱粒子が得られやすい点から、炭素数が1~20の脂肪族多価アルコールが好ましい。
炭素数が1~20の脂肪族多価アルコールとして、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等挙げることができるが、これらに限定されない。
ポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
<<ポリアミン>>
ポリアミンとは、化合物中にアミノ基(NH基)が2以上存在する化合物をいう。
ポリアミンとして、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0042】
ポリウレタンポリウレアにおけるポリイソシアネートに由来する構成単位、ポリオールに由来する構成単位およびポリアミンに由来する構成単位のそれぞれの好ましい割合は、後述する潜熱蓄熱粒子の製造方法におけるポリイソシアネート、ポリオールおよびポリアミンのそれぞれの好ましい仕込割合と同様である。
【0043】
<コア部>
コア部は、潜熱蓄熱物質を有してなる。コア部は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を有してもよい。
他の成分として、樹脂、ゴム、フィラー、機能付与剤、不可避不純物、などを挙げることができるがこれらに限定されない。
フィラーとして、金属、金属化合物、炭素材料(カーボンブラック、カーボンナノチューブ、膨張黒鉛、炭素繊維)、ガラス、鉱物などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0044】
機能付与剤として、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、難燃化剤、加硫剤、加硫助剤、防菌・防カビ剤、分散剤、着色防止剤、発泡剤、防錆剤、重金属不活性化剤、融点調整剤(凝固点降下剤)、加水分解抑制剤などを挙げることができるがこれらに限定されない。
他の成分は、潜熱蓄熱物質100重量部に対して、3重量部以下、好ましくは2重量部以下、より好ましく1重量部以下、最も好ましくは0重量部であるのがよい。
【0045】
コア部は、潜熱蓄熱物質から本質的になるのがよく、好ましくは潜熱蓄熱物質のみからなるのがよい。
ここで、本願明細書において、「潜熱蓄熱物質から本質的になる」とは、潜熱蓄熱粒子のJIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下となり、潜熱蓄熱物質の量及びその種類、並びに潜熱蓄熱物質以外の物質の量及びその種類は問わないことを意味する。なお、「潜熱蓄熱物質から本質的になる」とは、コア部を構成する物質100重量部のうち、「潜熱蓄熱物質」が95重量部以上、好ましくは97重量部以上、より好ましくは99重量部以上、最も好ましくは100重量部であることを意味する。
【0046】
潜熱蓄熱物質は、水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下であるのがよく、水/オクタノール分配係数LogPが8.0以上、10.0以下の脂肪酸エステル(A)、および/または水/オクタノール分配係数LogPが9.2以上、10.0以下のn-パラフィン(B)から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。脂肪酸エステル(A)およびn-パラフィン(B)のLogPが規定値範囲にある場合、以下3点のメリットが生まれる。
(1)相溶性から重合時におけるシェル部とコア部の形成が均一に進行するため、緻密かつ十分な強度を有する耐久性に優れた潜熱蓄熱粒子が得られる。
(2)潜熱蓄熱物質のJIS-K7121で測定される融点が30℃より高くなるため、室温では固体状態にあり、潜熱蓄熱粒子になった後も揮発しづらく長期保管性に優れる。
(3)潜熱蓄熱物質のJIS-K7121で測定される融点が60℃より低いため、重合温度の65℃では液体状態を示すことから、良好なコアシェル型を有する潜熱蓄熱粒子を重合することができる。
【0047】
水/オクタノール分配係数(LogP値)の測定は、JIS Z-7260-107( 2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、水/オクタノール分配係数(LogP値)は実測に代わって、計算化学的手法または経験的方法により 見積もることも可能である。
【0048】
LogPの計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J. Chem. Inf. Comput. Sci., 27, p. 21 (1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J. Chem. Inf. Comput. Sci., 29, p. 163 (1989))、Broto’s fragmentation法(Eur. J. Med. Chem. Chim. Theor., 19, p.71 (1984))、CLogP法(参考文献Leo, A., Jow, P. Y. C., Silipo, C., Hansch, C., J. Med. Chem., 18, 865 (1975))などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法、CLogP法がより好ましい。なお、CLogP法を用いる場合、Molinspiration Cheminformatics社のWebに公開されている無料ソフトウェアを用いて計算を行うことができる。
【0049】
本発明の潜熱蓄熱粒子のコア部は、蓄熱量が大きい点、精密な温度制御ができる点、及び粒子製造の容易性の観点などから、上述したとおり、潜熱蓄熱物質を用いる。なお、潜熱蓄熱物質は、潜熱蓄熱粒子としての用途に依存して選択するのがよい。
潜熱蓄熱物質は、水/オクタノール分配係数LogPが8.0以上、10.0以下の脂肪酸エステル(A)、および水/オクタノール分配係数LogPが9.2以上、10.0以下のn-パラフィン(B)である。脂肪酸エステル(A)、n-パラフィン(B)は、各々単独で又は混合して使用してもよい。
【0050】
水/オクタノール分配係数LogPが8.0以上、10.0以下(JIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下)の脂肪酸エステル(A)としては、ステアリン酸メチル、アラキジン酸メチル、ベヘン酸メチル、リグノセリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチルなどが例示できる。脂肪酸エステル(A)としては、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチルが好ましく、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチルがより好ましい。
特に、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチルであると、安価で高純度の工業製品が入手でき、また脂環式イソシアネートとの相性がよく、重合時にコアシェル構造のシェル部(壁膜)形成が均一に進行して十分な強度を有する潜熱蓄熱粒子が得られるため好ましい。
脂肪酸エステル(A)は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
水/オクタノール分配係数LogPが9.2以上、10.0以下(JIS-K7121で測定される融点が30℃以上、60℃以下)のn-パラフィン(B)としては、エイコサン、ドコサン、テトラコサン、ヘキサコサンなどが例示できる。n-パラフィン(B)としては、エイコサン、ドコサンが好ましい。
特にエイコサン、ドコサンであると、安価で高純度の工業製品が入手できるため、好ましい。n-パラフィン(B)は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0052】
本発明では、コア部の全量が、脂肪酸エステル(A)、及びまたはn-パラフィン(B)であることが好ましいが、これら以外の潜熱蓄熱物質を併用してもよい。
脂肪酸エステル(A)、およびn-パラフィン(B)以外の潜熱蓄熱物質を併用する場合、脂肪酸エステル(A)及び/またはn-パラフィン(B)の合計重量割合は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%であるのがよい。
【0053】
脂肪酸エステル(A)、n-パラフィン(B)以外の潜熱蓄熱物質としては、「脂肪酸エステル(A)以外の脂肪酸エステル」、「n-パラフィン(B)以外のn-パラフィン」、「石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス)」、「脂肪酸」、「脂肪族エーテル」、「脂肪族ケトン」、「脂肪族アルコール」を挙げることができる。
【0054】
脂肪酸エステル(A)以外の脂肪酸エステルとして、次のものを使用することができる。
例えば、水/オクタノール分配係数LogPが8.0未満(JIS-K7121で測定される融点が30℃未満)の脂肪酸エステルとして、パルミチン酸メチル、ミリスチン酸メチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ラウリルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
また、例えば、水/オクタノール分配係数LogPが10.0超(JIS-K7121で測定される融点が30℃超)の脂肪酸エステルとして、ステアリン酸ステアリルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0055】
n-パラフィン(B)以外のn-パラフィンとして、次のものを使用することができる。
例えば、水/オクタノール分配係数LogPが9.2未満(JIS-K7121で測定される融点が30℃未満)のn-パラフィンとして、ノナデカン、オクタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン、テトラデカンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
また、例えば、水/オクタノール分配係数LogPが10.0超(JIS-K7121で測定される融点が60℃超)のn-パラフィンとして、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0056】
石油ワックスとして、炭素数が20以上のものが好ましい。
石油ワックスとして、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
パラフィンワックスは、石油または天然ガスを原料として減圧蒸留の留出物から分離精製して製造される、常温において固体の飽和炭化水素である。
【0057】
パラフィンワックスとして、炭素数が20~40のものが好ましい。
パラフィンワックスの市販品として、日本精蝋社製のHNP-9、HNP-51、FNP-0090、FT115などを挙げることができるがこれらに限定されない。
マイクロクリスタリンワックスは、石油を原料として減圧蒸留残渣油または重質留出油から分離精製して製造される、常温において固体の飽和炭化水素である。
マイクロクリスタリンワックスとして、炭素数が30~60のものが好ましい。
【0058】
脂肪酸として、炭素数が8~30の脂肪酸が好ましい。
脂肪酸は、直鎖飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分岐飽和脂肪酸および分岐不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、潜熱量が大きい点から、直鎖飽和脂肪酸が好ましい。
直鎖飽和脂肪酸として、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸などを挙げることができるがこれらに限定されない。
脂肪酸金属塩として、12-ヒドロキシステアリン酸リチウム、2-エチルヘキサン酸アルミニウムなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0059】
脂肪族エーテルとして、炭素数が14~60の脂肪酸エーテルが好ましい。
脂肪族エーテルとして、ヘプチルエーテル、オクチルエーテル、テトラデシルエーテル、ヘキサデシルエーテル等が挙げられ、酸素原子数が1つであり、対称構造を有するエーテルが好ましい。
脂肪族ケトンとして、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、3-ノナノン、シクロヘプタノンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
脂肪族アルコールとして、炭素数が8~60の脂肪族アルコールが好ましい。
脂肪族アルコールとして、1級アルコールが好ましい。
脂肪族アルコールとして、2-ドデカノール、1-テトラデカノール、7-テトラデカノール、1-オクタデカノール、1-エイコサノール、1,10-デカンジオールなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
潜熱蓄熱物質は、その由来は制限されず、脂肪酸エステル(A)、n-パラフィン(B)を含め、例えば、化石燃料由来、バイオマス由来のいずれを使用してもよい。
【0060】
<潜熱蓄熱粒子の製造方法>
本願は、上述の潜熱蓄熱粒子の製造方法も提供する。
該製造方法は、例えば、
ポリイソシアネート、及び潜熱蓄熱物質を有する原料組成物を、水を含む分散媒に分散させて懸濁液を得る工程;及び
前記懸濁液にポリオール及びポリアミンを添加し、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン及び前記ポリオールを反応させる工程;
を有する。
【0061】
これにより、上述したとおり、ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び前記潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなり、110℃、6時間加熱後の重量減少である加熱減量が2重量%以下である潜熱蓄熱粒子を得ることができる。
なお、「ポリイソシアネート」、「ポリオール」、「潜熱蓄熱物質」、「ポリアミン」、「ポリウレタンポリウレア樹脂」、「シェル部」、「コア部」、「潜熱蓄熱粒子」は、上述の定義と同じ定義を有する。
【0062】
ポリイソシアネート、及び潜熱蓄熱物質を有する原料組成物を、水を含む分散媒に分散させて懸濁液を得る工程は、用いるポリイソシアネート、用いる潜熱蓄熱物質、用いる分散媒などに依存するが、その条件として、用いるポリイソシアネート等に依存する従来公知の条件を用いることができるがそれに限定されない。分散の際に分散質及び分散媒を攪拌するのがよい。
なお、この工程において、コア部に含まれる潜熱蓄熱物質以外の成分を添加してもよい。
【0063】
分散媒は、水を含む。分散媒は水以外に分散剤を有してもよい。
分散剤として、セルロース系水溶性樹脂(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、第3リン酸塩類、コロイダルシリカなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散剤の含有量は、水の100重量部に対して0.001~5重量部、好ましくは0.1~4.9重量部、より好ましくは0.5~4.8重量部、最も好ましくは1.0~4.7重量部であるのがよい。
【0064】
分散媒は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤として、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両面界面活性剤などを挙げることができるがこれらに限定されない。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
原料組成物は、ウレタン化触媒を有するのがよい。
ウレタン化触媒として、ジブチル錫ラウレート等の金属系触媒、トリエチルアミン等のアミン系触媒などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0066】
次いで、本発明の製造方法は、前記懸濁液にポリオール及びポリアミンを添加し、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン及び前記ポリオールを反応させる工程を行う。
この工程は、用いる懸濁液、具体的には用いるポリイソシアネート、用いる潜熱蓄熱物質、用いる分散媒などに依存し、且つ用いるポリオール、用いるポリアミンなどに依存する。ポリオール及びポリアミンの添加中、添加後は、懸濁液を攪拌するのがよい。
【0067】
ポリイソシアネート、ポリオールおよびポリアミンの量は、用いるポリイソシアネート、用いるポリオール、用いる潜熱蓄熱物質、用いる分散媒、用いるポリアミンなどに依存する。
例えば、ポリイソシアネートの量は、ポリイソシアネート、ポリオール及びポリアミンの合計100重量部のうち、5~99.5重量部、好ましく45~98.0重量部、より好ましくは55~96.5重量部、最も好ましくは65~95.0重量部であるのがよい。
また、例えば、ポリオールの量は、ポリイソシアネート、ポリオール及びポリアミンの合計100重量部のうち、1~80重量部、2~50重量部、より好ましくは3~30重量部、最も好ましくは5~20重量部であるのがよい。
さらに、例えば、ポリアミンの量は、ポリイソシアネート、ポリオールおよびポリアミンの合計100重量部のうち、0.5~15重量部、好ましく1.5~14重量部、より好ましくは2.0~12重量部、最も好ましくは3.0 ~10重量部であるのがよい。
【0068】
反応させる工程において加温するのがよい。
加温条件は、用いる懸濁液、具体的には用いるポリイソシアネート、用いる潜熱蓄熱物質、用いる分散媒などに依存し、且つ用いるポリオール、用いるポリアミンなどに依存するが、その条件として、温度50~70℃などで1~6時間、次いで温度90~100℃などで1~3時間などを挙げることができるがこれらに限定されない。
なお、加温の際、懸濁液を攪拌するのがよい。
【0069】
反応させる工程後、室温まで冷却し、従来公知の固液分離法により、潜熱蓄熱粒子を回収する。
回収した潜熱蓄熱粒子は、洗浄し、乾燥するのがよい。
【0070】
<本発明の潜熱蓄熱粒子を有する材料>
本願は、潜熱蓄熱粒子を有する材料を提供する。
本発明の潜熱蓄熱粒子はそのまま用いても、他の材料と混合し潜熱蓄熱粒子を有する材料として用いてもよい。
材料の例として、紙、媒体(水、熱媒体)、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、ゴム、エラストマー、熱可塑性エラストマーなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
例えば、合成紙、プラスチックフィルム、ゴムシート、金属シート、ガラス等のシート状物からなる支持体上の少なくとも一方の面に、本発明の潜熱蓄熱粒子を配置してもよい。この潜熱蓄熱粒子層は、必要に応じて、更にバインダー樹脂(例えばウレタンアクリレート、アクリルアクリレート等のUV硬化樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の水溶性樹脂)、増粘剤、レベリング剤、バインダー樹脂硬化剤(有機過酸化物、光ラジカル発生剤)などを含んでもよい。これらは併用してもよい。
特に、本発明の潜熱蓄熱粒子は、樹脂と混合し、潜熱蓄熱粒子を有する樹脂シート、ゴムシートとして提供するのがよい。なお、潜熱蓄熱粒子を有する材料中の潜熱蓄熱粒子の含有量は特に限定されない。
図2は、本発明の潜熱蓄熱粒子を有する材料の一例の断面図を示す。例えば、本発明の潜熱蓄熱粒子10を熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂などの樹脂22と混合し、得られた材料20を基材24に塗布し、その後乾燥することにより、表面に本発明の潜熱蓄熱粒子を有する材料である蓄熱シートなどを提供することができる。
【0071】
本発明の潜熱蓄熱粒子、潜熱蓄熱粒子を有する材料は、種々の用途に適用することができる。
例えば、電子デバイス(例えば、携帯電話(特に、スマートフォン)、ウェアラブル、携帯情報端末、パーソナルコンピューター(特に、携帯用のパーソナルコンピューター)、ゲーム機、及び、リモコン等);電気で動くモビリティ(自動車、バイク、ドローン)の電池バッテリーケース;日中の急激な温度上昇又は室内での暖冷房時の温調に適した建材(例えば、床材、屋根材、及び、壁材等);環境温度の変化又は運動時もしくは安静時の体温変化等に応じた調温に適した衣類(例えば、下着、上着、防寒着、及び、手袋等);寝具;不要な排出熱を蓄えて熱エネルギーとして利用する排熱利用システム、等の用途に用いることができるがこれらに限定されない。
なお、用途として以下のものを挙げることができるが、潜熱蓄熱粒子による熱の出し入れを利用できる分野であれば、下記の用途に限定されない。
ヒートポンプ;ビルディング、家屋、地下街等の空調用途;車両の空調、キャニスター用途;ICチップ等の電子部品・電機電子機器の昇温防止用途;衣類の恒温用途;生鮮食品または臓器輸送容器の保冷用途;建築物(家屋、ビル等)、建造物(道路、橋梁等)における構造材料の恒温用途;カーブミラー等の鏡面の防曇用途;路面の凍結防止用途;冷蔵庫等の家電用品の冷却・恒温用途;生活用品としての保冷材、カイロ用途等。
【実施例0072】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌機付き2Lのセパラブルフラスコに水800gを仕込み、水に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの10gを溶解して分散媒を調製した。
ミリスチン酸セチル(LogP:9.93、融点47℃、潜熱量230J/g)210g、及び水添XDIのイソシアヌレート体80gを混合して原料組成物を調製した。なお、LogPは、CLogP法に基づくMolinspiration Cheminformatics社のWebに公開されている無料ソフトウェアを用いて計算を行った。
前記分散媒を50℃に昇温し、300rpmで撹拌しながら分散媒に原料組成物を加え、重合用懸濁液を調製した。
重合用懸濁液を撹拌しながら、該液にエチレングリコール5g、エチレンジアミンの5gを添加し、1時間撹拌した。次いで、重合用懸濁液を60℃に昇温し、2時間撹拌し、さらに95℃に昇温し、1時間撹拌した。
分散液を室温まで冷却し、固液分離によって分散液中の粒子を回収した。
【0073】
得られた粒子を水で充分に洗浄した後、60℃で20時間乾燥して体積平均粒子径151μmの蓄熱粒子を得た。なお、体積平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-950V2)を用い、体積基準のメジアン径を体積平均粒子径とした。
上記記載の粒子を示差走査熱量測定計(DSC、リガク社製、DSCvesta)でJIS K-7121に準拠して測定した。得られたDSCチャートから融点、潜熱量を確認したところ、それぞれ47℃、170J/gであった。
また、上記で得られた粒子を、長期使用における耐久性を確認する目的で、25℃から30分かけて65℃まで加熱しさらに30分かけて25℃まで冷却する融解凝固サイクルを100サイクル行い、その後、油取り紙へのコア部に含まれる材料の溶出を確認する冷熱衝撃試験にかけたところ、油取り紙への該材料の溶出は確認されなかった。
【0074】
さらに、長期保存性を確認する目的で、加速試験として110℃×6時間の加熱減量を測定したところ0.1%であった。
加熱減量は、下記式(1)にて加熱処理前後の重量変化から加熱量を算出した。加熱減量の評価は3回行い、その平均値とした。
[加熱減量(%)]=100×{[加熱処理前の潜熱蓄熱粒子の重量(g)]-[処理後の潜熱蓄熱粒子の重量(g)]}/[加熱処理前の潜熱蓄熱粒子の重量(g)] 式(1)
【0075】
(実施例2~11、比較例1~8)
実施例1において、溶剤、ポリイソシアネート、潜熱蓄熱物質、分散媒の種類または量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、潜熱蓄熱粒子を得た。「溶剤」を用いる場合、潜熱蓄熱物質、ポリイソシアネートと共に混合し、原料組成物を調整した。「溶剤」は、その後の95℃に昇温し1時間攪拌する工程で、粒子より揮発させた。
なお、実施例及び比較例で用いた潜熱蓄熱物質について、以下に記す。
潜熱蓄熱物質の融点、潜熱量は前述の粒子の測定方法と同様の方法で測定した。
ミリスチン酸セチル(LogP:9.93、融点47℃、潜熱量230J/g)
ステアリン酸メチル(LogP:8.32、融点38℃、潜熱量220J/g)
n-ドコサン(LogP:9.56、融点42℃、潜熱量250J/g)
ステアリン酸ステアリル(LogP:10.29、融点62℃、潜熱量230J/g)
ヘキサデカン酸メチル(LogP:7.37、融点27℃、潜熱量220J/g)
テトラデカン酸メチル(LogP:6.36、融点18℃、潜熱量210J/g)
n-ヘプタデカン(LogP:8.79、融点9、19℃、潜熱量230J/g)
n-オクタコサン(LogP10.1、融点64℃、潜熱量165J/g)。
【0076】
得られた粒子について、実施例1と同様に、体積平均粒子径測定、融点測定、冷熱衝撃試験、加熱減量測定を行った。その結果を表2に示す。なお、表2の「冷熱衝撃試験」において、「○」は、冷熱衝撃試験後に、潜熱蓄熱物質の溶出が確認されなかったことを、「×」は、冷熱衝撃試験後に、潜熱蓄熱物質の溶出が確認されたことを、それぞれ示す。
表1及び表2から、実施例1~11は、所望の特性、すなわち所望の加熱減量値、所望の融点、所望の冷熱衝撃試験耐性、所望の体積平均粒子径を有することがわかる。
【0077】
一方、比較例1は、ポリイソシアネートとしてHDIのイソシアヌレート体を用いたが、上記方法によっては粒子化できないことがわかった。
また、比較例2は、潜熱蓄熱物質としてステアリン酸ステアリルを用いたが、上記方法によっては粒子化できないことがわかった。
さらに、比較例5は、潜熱蓄熱物質としてn-オクタコサンを用いたが、上記方法によっては粒子化できないことがわかった。
【0078】
比較例3は、潜熱蓄熱物質としてテトラデカン酸メチルを用いて粒子化したが、加熱減量値(2.2%)が所望の値とはならず、また、融点(18℃)も所望の値ではなかった。
比較例4は、潜熱蓄熱物質としてn-ヘプタデカンを用いて粒子化したが、加熱減量値(2.5%)が所望の値とはならず、融点(9℃及び19℃)も所望の値ではなく、さらに冷熱衝撃試験耐性を有していなかった。
比較例6~8は、ポリオール(比較例6)、ポリアミン(比較例7)、ポリオール及びポリアミン(比較例8)を用いずに粒子化したが、いずれも冷熱衝撃試験耐性を有していなかった。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなる潜熱蓄熱粒子であって前記ポリウレタンポリウレア樹脂が脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有し、前記潜熱蓄熱物質は水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下であ、上記潜熱蓄熱粒子。
【請求項2】
前記潜熱蓄熱粒子は、JIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下である請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項3】
前記水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下である潜熱蓄熱物質が、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、及びn-ドコサンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項4】
前記脂環式ジイソシアネートが1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項5】
潜熱蓄熱粒子は、その体積平均粒子径が1~500μmである請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の潜熱蓄熱粒子を含む材料。
【請求項7】
ポリイソシアネート、及び潜熱蓄熱物質を有する原料組成物を、水を含む分散媒に分散させて懸濁液を得る工程;及び
前記懸濁液にポリオール及びポリアミンを添加し、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン及び前記ポリオールを反応させる工程;
を有することにより、
ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び前記潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなる潜熱蓄熱粒子であって前記ポリウレタンポリウレア樹脂が脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有し、前記潜熱蓄熱物質は水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下である潜熱蓄熱粒子を得る、潜熱蓄熱粒子の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなる潜熱蓄熱粒子であって、前記ポリウレタンポリウレア樹脂が脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有し、前記潜熱蓄熱物質は水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下であり且つJIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下である、上記潜熱蓄熱粒子。
【請求項2】
前記水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下である潜熱蓄熱物質が、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、及びn-ドコサンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項3】
前記脂環式ジイソシアネートが1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項4】
潜熱蓄熱粒子は、その体積平均粒子径が1~500μmである請求項1に記載の潜熱蓄熱粒子。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の潜熱蓄熱粒子を含む材料。
【請求項6】
ポリイソシアネート、及び潜熱蓄熱物質を有する原料組成物を、水を含む分散媒に分散させて懸濁液を得る工程;及び
前記懸濁液にポリオール及びポリアミンを添加し、前記ポリイソシアネート、前記ポリアミン及び前記ポリオールを反応させる工程;
を有することにより、
ポリウレタンポリウレア樹脂を有するシェル部、及び前記潜熱蓄熱物質を有するコア部を有してなる潜熱蓄熱粒子であって前記ポリウレタンポリウレア樹脂が脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有し、前記潜熱蓄熱物質は水/オクタノール分配係数LogPが8以上10以下であり且つJIS-K7121で測定される融点が30℃以上60℃以下である潜熱蓄熱粒子を得る、潜熱蓄熱粒子の製造方法。