(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161945
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077021
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 清誠
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD40
2F129DD64
2F129EE88
2F129EE93
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF70
2F129FF71
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】駐車場を探して車両が走行したことについての指標を提供する。
【解決手段】車両の駐車地点を取得することと、駐車地点から第一所定距離内に車両が最初に入った地点である第一地点を取得することと、第一地点から駐車地点まで車両が実際に走行した第一距離を取得することと、第一地点から駐車地点までの所定経路における第二距離を取得することと、車両の駐車前の挙動に応じた指標を、第一距離と第二距離との比較に応じて出力することと、を実行するように構成された制御部を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車地点を取得することと、
前記駐車地点から第一所定距離内に前記車両が最初に入った地点である第一地点を取得することと、
前記第一地点から前記駐車地点まで前記車両が実際に走行した第一距離を取得することと、
前記第一地点から前記駐車地点までの所定経路における第二距離を取得することと、
前記車両の駐車前の挙動に応じた指標を、前記第一距離と前記第二距離との比較に応じて出力することと、
を実行するように構成された制御部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第二距離として、最短経路における距離を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第二距離として、前記第一所定距離を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第二距離として、記憶部に記憶されている過去の他の車両の前記第一地点から前記駐車地点までの経路に対応する距離を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記駐車地点から第二所定距離以上の地点を出発地点とする車両に限り、前記指標を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、目的地周辺の駐車場の空き情報をリアルタイムで取得して、条件に合った駐車場までの経路を案内することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、駐車場を探して車両が走行したことについての指標を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様の一つは、車両の駐車地点を取得することと、前記駐車地点から第一所定距離内に前記車両が最初に入った地点である第一地点を取得することと、前記第一地点から前記駐車地点まで前記車両が実際に走行した第一距離を取得することと、前記第一地点から前記駐車地点までの所定経路における第二距離を取得することと、前記車両の駐車前の挙動に応じた指標を、前記第一距離と前記第二距離との比較に応じて出力することと、を実行するように構成された制御部を備える情報処理装置である。
【0006】
また、本発明の他の態様は、上記の情報処理をコンピュータに実行させる情報処理方法、この情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びこのプログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車場を探して車両が走行したことについての指標を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】車両が第一地点から駐車地点を初めから目指して走行したと仮定した場合の車両の走行軌跡を示した図である。
【
図3】実施形態に係るシステムを構成する車両及びサーバのそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態におけるサーバにおいて駐車距離差を出力する処理を示したフローチャートである。
【
図5】第2実施形態におけるサーバにおいて駐車距離差を出力する処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
車両のナビゲーションシステムから案内された駐車場に到着する前に、その駐車場が満車になると、ユーザは他の駐車場を探す必要がある。ナビゲーションシステムで駐車場の空きについての情報を提供していない場合には、ユーザが空いている駐車場を自力で探す
ために、付近を走り回ることがある。このように駐車場を探す車両が多く走り回ると、渋滞が発生する虞がある。また、観光地などにおいて、ユーザの満足度が低下する虞がある。一方、このような原因で渋滞が発生しても、他の原因によって渋滞が発生している場合と区別することが困難な場合もある。そうすると、渋滞の緩和のために適切な措置を講ずることが困難になり得る。
【0010】
かかる問題を解決するために、本開示の態様の一つである情報処理装置は、車両の駐車地点を取得することと、駐車地点から第一所定距離内に車両が最初に入った地点である第一地点を取得することと、第一地点から駐車地点まで車両が実際に走行した第一距離を取得することと、第一地点から駐車地点までの所定経路における第二距離を取得することと、車両の駐車前の挙動に応じた指標を、第一距離と第二距離との比較に応じて出力することと、を実行するように構成された制御部を備える。
【0011】
車両の駐車地点は、例えば車両に搭載されている位置情報センサの検出値を車両から受信することで取得できる。車両の駐車地点は、例えば車両のパワースイッチが操作されて車両のシステムがシャットダウンされた位置、IG-ONの状態からIG-OFFの状態となった位置、車両の外部からドアロックが行われた位置などを例示できる。第一所定距離は、駐車地点に駐車する前に駐車場を探すために車両が走り回った場合と、駐車地点に初めから向かって駐車した場合とで走行距離の差が生じる距離である。第一所定距離は、例えば1kmである。第一地点は、駐車地点から第一所定距離内に車両が最初に入った地点であるため、1トリップでその後に車両が駐車地点から第一所定距離外に移動し、再度第一所定距離内に入ったとしても第一地点は変わらない。第一距離は、第一地点から駐車地点まで車両が実際に走行した距離である。この第一距離は、例えば車両の走行履歴に応じて取得することができる。
【0012】
また、制御部は所定経路における第二距離を取得する。所定経路は、例えば初めから駐車地点を目標地点として走行した場合の車両の経路である。所定経路は、例えば、第一地点から駐車地点までの最短経路であってもよい。最短経路は、例えば車両が通行可能な道路を最も短い距離で移動可能な経路である。また、他の一例として、所定経路は、第一地点から駐車地点までの一般的な経路であってもよい。例えば、幹線道路などの車両が比較的通りやすい道路を優先的に選択した場合の経路を所定経路としてもよい。また、他の一例として、所定経路は、第一地点から駐車地点までを直線で結んだと仮定した経路であってもよい。この場合、第二距離は、第一所定距離と等しくなる。
【0013】
ここで、第一距離と第二距離との差は、駐車場を探すために車両が走り回るほど大きくなる。すなわち、第一距離と第二距離との差が大きいほど、駐車場を探して車両が走行した距離が長いといえる。したがって、第一距離と第二距離との差を、車両の駐車前の挙動に応じた指標として扱うことができる。この指標を出力することにより、例えば駐車場への誘導方法を見直すことができる。なお、他の一例として、第一距離と第二距離との比を、車両の駐車前の挙動に応じた指標としてもよい。
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、実施形態に係るシステム1の概略を示す図である。
図1の例では、システム1は、車両10及びサーバ30を含む。
図1では、例示的に1台の車両10を図示しているが、これに限らず車両10は複数存在し得る。車両10及びサーバ30は、ネットワークN1によって相互に接続されている。なお、ネットワークN1は、例えば、インターネッ
ト等の世界規模の公衆通信網でありWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークN1は、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0016】
図1には、車両10が駐車地点A2に駐車するまでの車両10の走行軌跡を示している。
図1において、白抜き矢印は、車両10の進行方向を示している。まず、車両10は、第一地点A1を通過している。第一地点A1は、駐車地点A2から第一所定距離内に車両10が最初に入った地点である。ここでいう最初に入った地点とは、例えば車両10が駐車地点A2に駐車する直前のトリップにおいて最初に入った地点である。車両10は、第一地点A1から第一駐車場P1を目指して走行している。しかし、第一駐車場P1が満車だったため、次に、第二駐車場P2を目指して車両10が走行している。しかし、第二駐車場P2も満車だったため、さらに駐車地点A2を目指して走行し、最終的に駐車地点A2に駐車している。このように、車両10は、第一地点A1、第一駐車場P1、第二駐車場P2を経てから駐車地点A2に到達している。このように、車両10は駐車地点A2から第一所定距離の内外を走り回って駐車地点A2に到達している。
【0017】
一方、
図2は、車両10が第一地点A1から駐車地点A2を初めから目指して走行したと仮定した場合の車両10の走行軌跡を示した図である。
図2において、白抜き矢印は、車両10の進行方向を示している。車両10は、第一地点A1から交差点A3を経て、駐車地点A2に到達している。
図1に示した車両10の実際の走行距離(第一距離)と、
図2に示した車両10の仮定の走行距離(第二距離)との差は、交差点A3から第一駐車場P1及び第二駐車場P2を経て交差点A3に戻る距離に相当する。この距離の差は、駐車場を探すために車両10が無駄に走行した距離といえる。そして、この距離の差が短くなるほど、移動時間を短縮することができるため、ユーザの満足度が高くなるし、渋滞の発生を抑制することもできる。
【0018】
そこで、サーバ30は、車両10の駐車前の挙動に応じた指標を、第一距離と第二距離との比較に応じて出力する。例えば、この指標は、車両10が駐車場を探すためにどれだけ走行したのかを示す指標である。この指標は、例えば、第一距離と前記第二距離との差として出力される。なお、他の一例として、この指標は、第一距離と第二距離との比として出力されてもよい。サーバ30は、例えば、ディスプレイに第一距離と前記第二距離との差を表示させる。
【0019】
次に、
図3に基づいて、車両10及びサーバ30のハードウェア及びソフトウェアの構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るシステム1を構成する車両10及びサーバ30のそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。サーバ30は、制御部31、記憶部32、通信モジュール33、及び入出力装置34を有する。
【0020】
サーバ30は、プロセッサ(CPU、GPU等)、主記憶装置(RAM、ROM等)、補助記憶装置(EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等)を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能(ソフトウェアモジュール)を実現することができる。ただし、一部または全部のモジュールは、例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア回路によってハードウェアモジュールとして実現されてもよい。
【0021】
制御部31は、所定のプログラムを実行することで、サーバ30の各種機能を実現する演算ユニットである。制御部31は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサによって実現することができる。また、制御部31は、RAM、ROM(Read Only Memory)、
キャッシュメモリ等を含んで構成されてもよい。制御部31の詳細については後述する。
【0022】
記憶部32は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部32には、制御部31にて実行されるプログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。また、記憶部32には、データベース(車両情報DB321及び地図情報DB322)が構築されており、当該データベースに、各車両10から収集した車両情報、及び地図情報が記憶される。
【0023】
車両情報DB321には、車両IDと紐付けして、車両10の位置情報及び時刻情報が格納されている。位置情報及び時刻情報は、車両IDと紐付けされて所定時間毎に車両10から発信される。また、車両情報DB321には、車両10のシステムの起動状態が格納される。例えば、車両10のシステムが起動した時刻(パワーオンの時刻)及びシステムがシャットダウンした時刻(パワーオフの時刻)が格納される。以下では、車両ID、位置情報、時刻情報、及び車両10のシステムの起動状態に関する情報を合わせて車両情報という。制御部31は、車両10から受信した車両情報を車両情報DB321に格納する。
【0024】
また、地図情報DB322には、地図情報として、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、区間に関する区間データ、及び、車線数に関する車線データ等が格納されている。
【0025】
通信モジュール33は、サーバ30をネットワークN1に接続するための通信インタフェースである。通信モジュール33は、例えば、ネットワークインタフェースボード、無線通信のための無線通信インタフェース等を含むように構成されてよい。サーバ30は、通信モジュール33を介して、各車両10との間でデータ通信を行うことができる。
【0026】
入出力装置34は、オペレータが行った入力操作を受け付け、オペレータに対して情報を提示する手段である。具体的には、入出力装置34は、マウス、キーボード等の入力を行うための装置、及びディスプレイ、スピーカ等の出力を行うための装置を含む。入出力装置34は、例えば、タッチパネルディスプレイ等により一体的に構成されてもよい。
【0027】
なお、サーバ30の具体的なハードウェア構成は、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。
【0028】
次に、車両10について説明する。車両10は、制御部11、記憶部12、通信モジュール13、位置情報センサ14、及びパワースイッチを含んで構成される。制御部11は、所定のプログラムを実行することで、車両10の各種機能を実現する演算ユニットである。制御部11は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサによって実現することができる。また、制御部11は、RAM、ROM(Read Only Memory)、キャッシュメモリ等を含んで構成されてもよい。
【0029】
記憶部12は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部12には、制御部11にて実行されるプログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。記憶部12には、位置情報センサ14の検出値が記憶されている。
【0030】
通信モジュール13は、車両10をネットワークN1に接続するための通信手段である。本実施形態では、車両10は、3G、LTE、5G、6G等の移動体通信サービスを利用して、ネットワークN1経由で他の装置(例えば、サーバ30)と通信を行うことがで
きる。
【0031】
位置情報センサ14は、所定の周期で、車両10の位置情報(例えば緯度、経度)を取得する。位置情報センサ14は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信部
、無線通信部等である。
【0032】
パワースイッチ15は、車両10の起動状態を変化させるためのスイッチであって、運転者が押すことで車両10を起動させたり、または、車両10の機能を停止させたりするためのスイッチである。なお、運転者がパワースイッチ15を押して車両10が起動している状態をパワーオンの状態といい、ユーザがパワースイッチ15を再度押して車両10が機能を停止している状態をパワーオフの状態という。パワースイッチ15は、IGスイッチであってもよい。パワーオンの状態はIGオンの状態に対応し、パワーオフの状態はIGオフの状態に対応する。
【0033】
車両10の制御部11は、所定の時間毎に、位置情報センサ14の検出値及び車両10の起動状態を、車両ID及び時刻情報と共にサーバ30へ送信する。このように、車両10の制御部11は、所定の時間毎に、車両情報をサーバ30へ送信している。なお、車両10の起動状態は、運転者がパワースイッチ15を操作した場合に限り、サーバ30へ送信してもよい。ここで、車両10のシステムが起動していない場合には、サーバ30において車両10が駐車状態であると判定することができる。
【0034】
次に、サーバ30の制御部31について詳述する。サーバ30の制御部31は、車両10から取得した車両情報に基づいて、第一地点A1から駐車地点A2までの車両10の実際の走行距離である第一距離を算出する。そのため、制御部31は、車両10の駐車地点A2と、駐車地点A2から第一所定距離内に車両10が最初に入った地点である第一地点A1とを特定する。駐車地点A2は、例えば車両10のシステムがシャットダウンした地点として車両情報から取得する。第一地点A1は、車両10が駐車地点A2に移動したトリップにおいて、駐車地点A2から第一所定距離内に車両10が最初に入った地点として車両情報から取得する。第一地点A1から駐車地点A2までの各時刻における車両10の位置から、各時刻間の走行距離を算出して積算することにより、第一距離を算出することができる。
【0035】
また、サーバ30の制御部31は、第二距離を算出する。そのため、制御部31は、第一地点A1から駐車地点A2までの最短経路を生成する。最短経路は、第一地点A1から駐車地点A2まで車両10が走行し得る経路のうち、距離が最も短い経路である。この最短経路は、仮に、第一地点A1から駐車地点A2までの経路をナビゲーションシステムで検索したときに提示される経路であってもよい。
【0036】
そして、制御部31は、第一距離と第二距離との差を算出する。この差を、駐車距離差と称する。駐車距離差は、駐車場を探すために車両10が余計に走行した距離に相当する。サーバ30は、駐車距離差を算出すると、入出力装置34から出力する。このときに、例えば、駐車距離差をディスプレイに表示させる。
【0037】
次に、サーバ30において駐車距離差を出力する処理について説明する。
図4は、第1実施形態におけるサーバ30において駐車距離差を出力する処理を示したフローチャートである。
図4に示したフローチャートは、車両10の駐車前の挙動に応じた指標を提供する地域(対象地域と称する。)において車両10ごとに実行される。なお、車両情報DB321には、複数の車両10に対応する車両情報が格納されているものとして説明する。対象地域はサーバ30のオペレータによって任意に設定可能である。
【0038】
ステップS101において、制御部31は、車両10が駐車したか否か判定する。制御部31は、例えば、パワーオンの状態(IGオンの状態としてもよい。)からパワーオフの状態(IGオフの状態としてもよい。)に変化した場合に車両10が駐車されたと判定する。パワースイッチ15(IGスイッチとしてもよい。)の状態は車両10から送信される車両情報に含まれており、車両情報DB321に記憶されている。ステップS101で肯定判定された場合にはステップS102へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0039】
ステップS102において、制御部31は、対象となる車両10の車両情報を車両情報DB321から抽出する。ステップS103において、制御部31は、駐車地点A2を取得する。制御部31は、車両10のパワースイッチ15がオフの状態となった時点での位置を、駐車地点A2として取得する。次に、ステップS104において、制御部31は、第一地点A1を取得する。制御部31は、駐車地点A2から第一所定距離(例えば1km)内に最初に入った地点を、第一地点A1として取得する。このときに、車両10が駐車地点A2に到着したときのトリップにおける車両10の位置の推移から第一地点A1を特定する。
【0040】
ステップS105において、制御部31は、第一距離を算出する。制御部31は、ステップS104で取得した第一地点A1からステップS103で取得した駐車地点A2までに車両10が実際に走行した距離を算出する。このときに、制御部31は、車両10の位置の推移から、車両10が実際に走行した距離を算出する。ステップS106において、制御部31は、ステップS104で取得した第一地点A1からステップS103で取得した駐車地点A2までの最短経路を生成する。制御部31は、地図情報DB322に格納されている情報を利用して、最短経路を生成する。この最短経路の生成には公知の技術を利用できる。なお、本ルーチンでは最短経路を生成しているが、他の一例として、他の車両10の走行履歴に基づいた経路を生成してもよい。例えば、他の車両10が第一地点A1から駐車地点A2まで走行した経路のうち、最短の経路をステップS106において生成してもよい。さらに他の一例として、他の車両10が第一地点A1から駐車地点A2まで走行した経路のうち、最も多い車両10が走行した経路をステップS106において生成してもよい。このように、他の車両10が実際に走行した経路を比較の対象とすることにより、現実的な指標を得ることができる。また、他の一例として、第一地点A1から駐車地点A2までを直線で結んだ経路をステップS106において生成してもよい。このようにすることで、地図データを必要とせずに簡易的に最短経路を生成することができる。そのため、地図データの利用コスト及び最短経路の検索コストが不要となる。
【0041】
ステップS107において、制御部31は、第二距離を算出する。制御部31は、ステップS106において生成した最短経路の距離を地図情報DB322に格納されている地図情報に基づいて算出する。この算出には公知の技術を利用できる。なお、他の一例として、ステップS106において、第一地点A1から駐車地点A2までを直線で結んだ経路を生成した場合には、第二距離としてステップS104で利用した第一所定距離を用いることができる。
【0042】
ステップS108において、制御部31は、駐車距離差を算出する。制御部31は、ステップS105において算出した第一距離から、ステップS107において算出した第二距離を減算することにより、駐車距離差を算出する。そして、ステップS108において、制御部31は、ステップS108において算出した駐車距離差を、車両10の駐車前の挙動に応じた指標として出力する。なお、ステップS108において算出した駐車距離差を記憶部32に記憶させておき、オペレータからの要求に応じて駐車距離差を出力してもよい。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、車両10が駐車地点A2に駐車する前の挙動に応じた指標をとして駐車距離差を算出して提供することができる。これにより、一台の車両10が駐車場を探すためにどの程度走り回っていたのかを定量化することができる。すなわち、車両10が駐車するまでの間にどれだけ無駄な距離を移動したのか判断可能となる。この指標は、ユーザの不満度や渋滞の発生のしやすさと相関があるため、これらの改善に利用することができる。また、駐車場を探して走り回った車両10の割合を提供することもできる。
【0044】
<第2実施形態>
第2実施形態では、車両10の出発地点から駐車地点A2までの距離が第二所定距離以上の車両10に限り、駐車距離差を算出する。ここで、第1実施形態で提供する駐車距離差は、例えば、観光客が観光地で駐車場を探すために観光地を走り回る場合の指標として提供することができる。しかし、観光地に住んでいる人が日常の買い物などをするために観光地を走り回る場合までも含めてしまうと、趣旨に合わない。そこで、第2実施形態では、地元民の車両10の挙動を除外して駐車距離差を提供する。ここで、地元民の車両10は、出発地点が駐車地点A2からある程度近い距離にあると考えられる。そこで、車両10の出発地点から駐車地点A2までの距離が第二所定距離以上の車両10に限って駐車距離差を算出することにより、地元民の車両10を除外することができる。第二所定距離は、地元民の車両10を除外できる距離として記憶部32に記憶されている。
【0045】
次に、サーバ30において駐車距離差を出力する処理について説明する。
図5は、第2実施形態におけるサーバ30において駐車距離差を出力する処理を示したフローチャートである。
図5に示したフローチャートは、対象地域において車両10ごとに実行される。なお、車両情報DB321には、複数の車両10に対応する車両情報が格納されているものとして説明する。また、
図4に示したフローチャートと同じ処理が実行されるステップについては説明を省略する。
【0046】
図5に示したフローチャートでは、ステップS103の処理が完了するとステップS201へ進む。ステップS201において、制御部31は、出発地点を取得する。出発地点は、車両10が駐車地点A2に移動したトリップにおいて出発した地点である。この出発地点は、パワースイッチ15が操作されてパワーオフの状態からパワーオンの状態に変化した地点である。ステップS202において、制御部31は、ステップS103で取得した駐車地点A2から、ステップS201で取得した出発地点までの距離を算出する。この距離は、例えば直線距離である。そして、ステップS203において、制御部31は、ステップS202で算出した距離が、第二所定距離以上であるか否か判定する。ステップS203で肯定判定された場合にはステップS104へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0047】
以上説明したように本実施形態によれば、車両10の駐車前の挙動に応じた指標を、より精度よく提供することができる。
【0048】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0049】
また、例えば、第一地点を特定するための第一所定距離を駐車場の密度に応じて設定してもよい。例えば、駐車場間の距離が長い場合に、第一所定距離を比較的短くしてしまうと、第一所定距離外で駐車場を探すために車両10が走り回ることがある。そのため、車両10が走り回ると考えられる範囲に応じて第一所定距離を設定したほうが、より現実的な指標を得ることができる。したがって、駐車場の密度が低いほど、第一所定距離を長くしてもよい。
【0050】
また、制御部31は、繁忙期において複数の車両10のうち第一距離と第二距離との差が所定差以上となる車両10の割合である第一割合を取得することと、閑散期において複数の車両10のうち第一距離と第二距離との差が所定差以上となる車両10の割合である第二割合を取得することと、記第一割合から第二割合を減算した割合を、繁忙期において駐車場を探した車両10の割合として出力することと、をさらに実行するように構成されていてもよい。ここで、閑散期の挙動は地元民の日常生活に対応する挙動であると考えられる。また、地元民の車両10は、繁忙期であっても閑散期と同じような挙動を示す。この挙動は、駐車場を探すための挙動ではないので、繁忙期において駐車場を探した車両10の割合から除外することで、指標の精度を高めることができる。
【0051】
また、制御部31は、車両10が所定施設で停止した場合には、所定施設から駐車地点A2まで車両10が実際に走行した距離を、第一距離として取得してもよい。ここで、送り迎えなどが行われる所定施設までの走行は、駐車場を探すための挙動ではないので、その後の挙動を駐車場を探した車両10の挙動として扱うことで指標の精度を高めることができる。所定施設は、例えば駅または学校である。
【0052】
本発明は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0053】
1 システム
10 車両
30 サーバ
31 制御部
32 記憶部
33 通信モジュール
34 入出力装置