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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161951
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】巻上機及びエレベーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/08 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B66B11/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077034
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋嗣
【テーマコード(参考)】
3F306
【Fターム(参考)】
3F306AA07
3F306BA07
3F306BB01
3F306BB03
(57)【要約】
【課題】薄型化の要求に反することなく、ロープ仕様に応じてシーブの厚み寸法を適切に設定することができる巻上機を提供する。
【解決手段】巻上機は、ロープが巻き掛けられるシーブと、シーブが嵌合状態で固定される円筒部を有するドラムとを備える。ドラムは、シーブが嵌合される円筒部の外周面よりも外側に位置する第1の円周上に複数形成された第1のネジ孔と、円筒部の外周面よりも内側に位置する第2の円周上で、かつ円筒部の突端面に複数形成された第2のネジ孔とを有する。シーブは、第1のネジ孔又は第2のネジ孔に噛み合うボルトによってドラムに固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープが巻き掛けられるシーブと、前記シーブが嵌合状態で固定される円筒部を有するドラムとを備える巻上機であって、
前記ドラムは、前記シーブが嵌合される前記円筒部の外周面よりも外側に位置する第1の円周上に複数形成された第1のネジ孔と、前記円筒部の外周面よりも内側に位置する第2の円周上で、かつ前記円筒部の突端面に複数形成された第2のネジ孔とを有し、
前記シーブは、前記第1のネジ孔又は前記第2のネジ孔に噛み合うボルトによって前記ドラムに固定されている
巻上機。
【請求項2】
前記第1のネジ孔と前記第2のネジ孔は、円周方向で互いに同じ位置に形成されている
請求項1に記載の巻上機。
【請求項3】
前記ドラムは、放射状に配列された複数のリブ部を有し、
前記第1のネジ孔と前記第2のネジ孔は、前記リブ部の延長線上に形成されている
請求項2に記載の巻上機。
【請求項4】
前記シーブは、前記第1のネジ孔に噛み合うボルトによって前記ドラムに固定され、
前記シーブの厚み寸法は、前記円筒部の突出寸法と同じである
請求項1に記載の巻上機。
【請求項5】
前記シーブは、前記円筒部の突端面を覆う鍔部を有するとともに、前記鍔部にボルト挿入孔が設けられ、前記ボルト挿入孔を通して前記第2のネジ孔に噛み合うボルトによって前記ドラムに固定されている
請求項1に記載の巻上機。
【請求項6】
前記ボルト挿入孔は、前記ボルトの頭部を収容するザグリ部を有する
請求項5に記載の巻上機。
【請求項7】
ロープを巻き上げる巻上機と、前記巻上機の駆動により昇降する乗りかご及び釣り合いおもりと、を備えるエレベーターであって、
前記巻上機は、前記ロープが巻き掛けられるシーブと、前記シーブが嵌合状態で固定される円筒部を有するドラムとを備え、
前記ドラムは、前記シーブが嵌合される前記円筒部の外周面よりも外側に位置する第1の円周上に複数形成された第1のネジ孔と、前記円筒部の外周面よりも内側に位置する第2の円周上で、かつ前記円筒部の突端面に複数形成された第2のネジ孔とを有し、
前記シーブは、前記第1のネジ孔又は前記第2のネジ孔に噛み合うボルトによって前記ドラムに固定されている
エレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻上機及びエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの巻上機は、主軸が固定された筐体と、主軸に回転自在に取り付けられたドラムと、ドラムにボルトによって固定されたシーブとを備えている。巻上機のシーブには、予め決められた仕様(以下、「ロープ仕様」という。)に基づいてロープが巻き掛けられる。
【0003】
ロープ仕様は、シーブに巻き掛けられるロープの直径と本数によって決まる。このため、例えば、ロープの直径が10mm、ロープの本数が4本である場合を第1のロープ仕様とし、ロープの直径が8mm、ロープの本数が6本である場合を第2のロープ仕様とすると、第2のロープ仕様に適したシーブの厚み寸法は、第1のロープ仕様に適したシーブの厚み寸法よりも大きくなる。その主な理由は、ロープの本数が多くなると、その分、シーブの外周面に形成される溝の数が多くなるからである。
【0004】
一方で、巻上機を構成する各々の部品をロープ仕様ごとに専用に設計して製造すると、部品の管理などが煩雑になり、コストアップにつながる。このため、従来においては、シーブに求められる厚み寸法が小さいロープ仕様であっても、シーブに求められる厚み寸法が大きいロープ仕様に合わせてシーブの厚み寸法を設定することにより、シーブ以外の部品を共通化している。具体的には、例えば、上記第1のロープ仕様に適用するシーブの厚み寸法を、上記第2のロープ仕様に適したシーブの厚み寸法と同じ寸法に設定することにより、シーブ以外の部品を共通化している。
【0005】
エレベーターの巻上機に関しては、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-11140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したようにシーブに求められる厚み寸法が大きいロープ仕様に合わせてシーブの厚み寸法を設定すると、シーブに求められる厚み寸法が小さいロープ仕様の巻上機では、シーブを含めた巻上機全体の厚み寸法が大きくなり、薄型化の要求に反してしまう。
【0008】
本発明の目的は、薄型化の要求に反することなく、ロープ仕様に応じてシーブの厚み寸法を適切に設定することができる巻上機とこれを備えたエレベーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば、特許請求の範囲に記載された構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一つを挙げるならば、ロープが巻き掛けられるシーブと、シーブが嵌合状態で固定される円筒部を有するドラムとを備える巻上機、又はこの巻上機を備えるエレベーターである。ドラムは、シーブが嵌合される円筒部の外周面よりも外側に位置する第1の円周上に複数形成された第1のネジ孔と、円筒部の外周面よりも内側に位置する第2の円周上で、かつ円筒部の突端面に複数形成された第2のネジ孔とを有する。シーブは、第1のネジ孔又は第2のネジ孔に噛み合うボルトによってドラムに固定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、薄型化の要求に反することなく、ロープ仕様に応じてシーブの厚み寸法を適切に設定することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るエレベーターの構成例を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る巻上機の構成を示す正面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4図2に示す巻上機からシーブを取り外した状態を示す図である。
図5図4に示す巻上機のV-V断面図である。
図6】第2実施形態に係る巻上機の構成を示す正面図である。
図7図6に示す巻上機のVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係るエレベーターの構成例を示す概略図である。
図1に示すように、エレベーター10は、ビルなどの建築構造物の昇降路11に設置される。エレベーター10は、巻上機12と、ロープ13と、乗りかご14と、釣り合いおもり15と、プーリ16と、を備えている。
【0014】
巻上機12は、乗りかご14を昇降させるためにロープ13を巻き上げる機器であって、シーブ17を備えている。巻上機12は、昇降路11の頂部に設けられた機械室18に設置されている。乗りかご14は、図示しないかごガイドレールに案内されて昇降路11を昇降する。乗りかご14の上部には、かごプーリ19が配置されている。
【0015】
釣り合いおもり15は、図示しないおもりガイドレールに案内されて昇降路11を昇降する。釣り合いおもり15の上部には、おもりプーリ20が配置されている。ロープ13は、かごプーリ19と、巻上機12のシーブ17と、プーリ16と、おもりプーリ20に、それぞれ巻き掛けられている。
【0016】
上記構成からなるエレベーター10においては、巻上機12の駆動によりシーブ17を回転させ、このシーブ17の回転よってロープ13を巻き上げることにより、乗りかご14と釣り合いおもり15が互いに反対方向に昇降する。
なお、エレベーター10の構成は、図1に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。
【0017】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態に係る巻上機の構成を示す正面図であり、図3は、図2のIII-III断面図である。
図2及び図3に示すように、巻上機12は、上述したシーブ17の他に、中空の主軸25と、主軸25が固定された筐体26と、主軸25に軸受27介して回転自在に支持されたドラム28と、ドラム28の回転を制動するブレーキ29と、ステータ30と、磁石31と、エンコーダ32と、回転伝達部材33とを備えている。
【0018】
筐体26は、図3に示すように、本体部34と、脚部35とを有する。本体部34は、ドラム28の一部と、ステータ30等を収容する収容部36と、主軸25が取り付けられるボス部37とを一体に有する。収容部36は、本体部34の外周部に形成され、ボス部37は、本体部34の中心部に形成されている。主軸25は、本体部34のボス部37に嵌合状態で固定されている。脚部35は、筐体26の下部に配置されている。脚部35は、巻上機12を機械室18に設置する場合に、図示しないボルトによって巻上機12を機械室18の床に固定するための部分である。
【0019】
ドラム28は、ステータ30及び磁石31と共に、巻上機12のモータを構成する。具体的には、ドラム28は、モータのロータとして機能する。ドラム28は、ドラム28の外周部に位置するヨーク部41と、ヨーク部41よりもドラム28の内周側に位置する円筒部42と、ヨーク部41と円筒部42との間に位置する円板部43と、円筒部42よりもドラム28の内周側に位置する軸受取付部44と、円筒部42と軸受取付部44との間に位置するリブ部45とを一体に有する。
【0020】
ヨーク部41は、円環状に形成されている。ヨーク部41は、本体部34の収容部36に収容されている。ヨーク部41の内周面には磁石31が取り付けられている。円筒部42は、主軸25の中心軸方向(以下、単に「中心軸方向」ともいう。)において、ヨーク部41と反対側に突出する状態で形成されている。円板部43は、巻上機12を正面方向から見て、ステータ30と重なる位置に配置されている。円板部43は、ヨーク部41と円筒部42を連結している。軸受取付部44は、軸受27が取り付けられる部分である。軸受取付部44には、2つの軸受27が中心軸方向に並んで取り付けられている。リブ部45は、図2に示すように、ドラム28の円周方向に複数設けられている。また、複数のリブ部45は、ドラム28を正面方向から見て放射状に配列されている。
【0021】
エンコーダ32は、主軸25の中空部に取り付けられている。エンコーダ32は、シーブ17の回転に関する情報(回転量、回転速度等)を検出する機器、すなわちロータリーエンコーダである。回転伝達部材33は、ドラム28と一体に回転することにより、ドラム28の回転をエンコーダ32に伝達する部材である。回転伝達部材33は、円板状に形成されている。回転伝達部材33は、軸受27の取付部位を覆い隠すようにドラム28に取り付けられている。主軸25の中心軸方向において、回転伝達部材33の端面33aは、円筒部42の突端面42aと同一平面(面一)に配置されている。
【0022】
図4は、図2に示す巻上機からシーブを取り外した状態を示す図であり、図5は、図4に示す巻上機のV-V断面図である。
図4及び図5に示すように、ドラム28の円板部43には複数(図例では6つ)のネジ孔51が形成され、ドラム28の円筒部42にも複数(図例では6つ)のネジ孔52が形成されている。ネジ孔51は、第1のネジ孔に相当し、ネジ孔52は、第2のネジ孔に相当する。ネジ孔51は、第1のロープ仕様(後述)に適した厚み寸法を有するシーブをドラム28に取り付けるためのネジ孔である。ネジ孔52は、第1のロープ仕様と異なる第2のロープ仕様(後述)に適した厚み寸法を有するシーブをドラム28に取り付けるためのネジ孔である。
【0023】
図4に示すように、複数のネジ孔51は、円筒部42の外周面よりも外側(大径側)に位置する第1の円周C1上に形成されている。これに対して、複数のネジ孔52は、円筒部42の外周面よりも内側(小径側)に位置する第2の円周C2上に形成されている。また、複数のネジ孔52は、円筒部42の突端面42aに形成されている。
【0024】
ネジ孔51とネジ孔52は、ドラム28の円周方向で互いに同じ位置に形成されている。具体的には、複数のネジ孔51は、円周方向に60°の角度ピッチで形成され、複数のネジ孔52も、円周方向に60°の角度ピッチで形成されている。また、ネジ孔51とネジ孔52は、リブ部45と同じ角度ピッチで、リブ部45の延長線上に形成されている。
【0025】
再び図2及び図3に戻って説明する。シーブ17は、円環状に形成されている。シーブ17の外周面には複数の溝55が形成されている。溝55のサイズ及び数は、シーブ17に巻き掛けられるロープの仕様によって決まる。第1実施形態においては、ロープ仕様の一例として、ロープの直径が10mm、ロープの本数が4本である場合を想定して、シーブ17に4つの溝55が形成されている。4つの溝55は、シーブ17の中心軸方向に所定の間隔で並んでいる。また、溝55の幅及び間隔は、ロープの直径に対応して設定されている。
【0026】
シーブ17の厚み寸法L1は、円筒部42の突出寸法L2(図5)と同じ寸法に設定されている。シーブ17の厚み寸法L1は、シーブ17の中心軸方向の一端面から他端面までの寸法である。円筒部42の突出寸法L2は、円板部43の外面43aを基準に規定される円筒部42の突出寸法である。シーブ17をドラム28の円筒部42に取り付ける場合、シーブ17の一端面は円板部43の外面43aに突き当てられる。このため、シーブ17の厚み寸法L1を円筒部42の突出寸法L2と同じ寸法に設定することにより、円筒部42の突端面42aからシーブ17を突出させることなく、円筒部42にシーブ17を取り付けることができる。
【0027】
シーブ17には複数のボルト挿入孔56が設けられている。複数のボルト挿入孔56は、上述した複数のネジ孔51(図4)と同じ位置関係になるように設けられている。ボルト挿入孔56は、シーブ17の固定に用いられるボルト57を挿入するための孔である。本実施形態においては、一例として、ボルト57が六角孔付きボルトである場合を示している。ボルト挿入孔56は、シーブ17を厚み方向に貫通する状態で形成されている。ボルト挿入孔56は、ボルト57の頭部を収容するザグリ部56a(図3)を有している。これにより、ボルト57の頭部がシーブ17の端面から突出することを抑制できる。
【0028】
上記構成からなるシーブ17は、ドラム28の円筒部42の外周面に嵌合されている。また、シーブ17に設けられた複数のボルト挿入孔56には、それぞれに対応するボルト57が挿入されている。各々のボルト57は、ドラム28の円板部43に形成されたネジ孔51に噛み合っており、その状態で適度なトルクにより締め付けられている。シーブ17は、各々のボルト57の締め付け力により円板部43の外面43aに押し付けられている。これにより、シーブ17は、円筒部42に嵌合された状態で固定されている。
【0029】
第1実施形態に係る巻上機12において、シーブ17の厚み寸法L1は、溝55の並び方向に余分な厚みを確保することなく、ロープ仕様に適した寸法に設定されている。ロープ仕様に適した寸法とは、ロープ仕様で規定される直径及び本数のロープを巻き掛けるために必要なサイズ及び数の溝を、シーブの外周面に形成するのに求められる最小限の寸法である。このため、上述したロープ直径=10mm、ロープ本数=4本のロープ仕様を巻上機12のシーブ17に適用する場合に、シーブ17を含めた巻上機12全体の厚み寸法を小さく抑えることができる。したがって、巻上機12に求められる薄型化の要求に応えることができる。
【0030】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る巻上機の構成を示す正面図であり、図7は、図6に示す巻上機のVII-VII断面図である。
第2実施形態においては、上述した第1実施形態の場合と比較して、シーブの構成が異なり、シーブ以外の部品は共通である。以下、詳しく説明する。
【0031】
図6及び図7に示すように、巻上機12Aのシーブ17Aは、円環状に形成されている。シーブ17Aの外周面には複数の溝55Aが形成されている。溝55Aのサイズ及び数は、シーブ17Aに巻き掛けられるロープの仕様によって決まる。第2実施形態においては、ロープ仕様の一例として、ロープの直径が8mm、ロープの本数が6本である場合を想定して、シーブ17Aに6つの溝55Aが形成されている。6つの溝55Aは、シーブ17Aの中心軸方向に所定の間隔で並んでいる。また、溝55Aの幅及び深さは、ロープの直径に対応して設定されている。
【0032】
ここで、第1実施形態に係る巻上機12に適用されるロープ仕様を第1のロープ仕様とし、第2実施形態に係る巻上機12Aに適用されるロープ仕様を第2のロープ仕様とすると、第2のロープ仕様に適したシーブの厚み寸法は、第1のロープ仕様に適したシーブの厚み寸法よりも大きくなる。このため、シーブ17Aの厚み寸法L3は、シーブ17の厚み寸法L1よりも大きく設定されている。また、第2実施形態における溝55Aの幅は、第1実施形態における溝55の幅よりも狭く設定され、第2実施形態における溝55Aの間隔は、第1実施形態における溝55の間隔よりも狭く設定されている。
【0033】
また、シーブ17Aは、鍔部58を一体に有している。鍔部58は、シーブ17Aの中心軸方向の端部に形成されている。また、鍔部58は、円筒部42の外周面に嵌合されるシーブ17Aの内周面よりも内側(小径側)に突出する状態で形成されている。シーブ17Aの鍔部58には、複数のボルト挿入孔59が設けられている。複数のボルト挿入孔59は、上述した複数のネジ孔52(図4)と同じ位置関係になるように設けられている。ボルト挿入孔59は、シーブ17Aの固定に用いられるボルト60を挿入するための孔である。本実施形態においては、一例として、ボルト60が六角孔付きボルトである場合を示している。ボルト挿入孔59は、ボルト60の頭部を収納するザグリ部59aを有している。これにより、ボルト60の頭部がシーブ17Aの端面から突出することを抑制できる。
【0034】
上記構成からなるシーブ17Aは、ドラム28の円筒部42の外周面に嵌合されている。また、シーブ17Aの鍔部58に設けられた複数のボルト挿入孔59には、それぞれに対応するボルト60が挿入されている。各々のボルト60は、ドラム28の円筒部42に形成されたネジ孔52に噛み合っており、その状態で適度なトルクにより締め付けられている。シーブ17Aは、各々のボルト60の締め付け力により円筒部42の突端面42aに押し付けられている。これにより、シーブ17Aは、円筒部42に嵌合された状態で固定されている。また、円筒部42の突端面42aは、シーブ17Aの鍔部58によって覆われている。
【0035】
第2実施形態に係る巻上機12Aにおいて、シーブ17Aの厚み寸法L3は、巻上機12Aに適用される第2のロープ仕様に適した寸法に設定されている。また、前述した第1実施形態に係る巻上機12においても、シーブ17の厚み寸法L2が、巻上機12に適用される第1のロープ仕様に適した寸法に設定されている。これにより、第1実施形態及び第2実施形態のいずれにおいても、ロープ仕様に応じてシーブの厚み寸法を適切に設定することができる。また、第1実施形態に係る巻上機12と第2実施形態に係る巻上機12Aでは、シーブ17,17A以外の部品を共通化することができる。
【0036】
また、第2実施形態に係る巻上機12Aにおいては、円筒部42の突端面42aを覆う鍔部58をシーブ17Aに設けるとともに、鍔部58に設けたボルト挿入孔59を通して円筒部42のネジ孔52にボルト60を噛み合わせた構成を採用している。これにより、円板部43のネジ孔51を利用してシーブ17Aをボルトにより固定する場合に比べて、ボルト60の長さを短くすることができる。
【0037】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、ネジ孔51とネジ孔52は、円周方向で互いに同じ位置に形成されている(図4)。このため、ドラム28の円筒部42に対して、厚み寸法が小さいシーブ17及び厚み寸法が大きいシーブ17Aのいずれを取り付ける場合でも、作業者はネジ孔51,52の位置を混同することがない。よって、シーブの取付作業がしやすくなる。
【0038】
また、第1実施形態及び第2においては、放射状に配列されたリブ部45の延長線上にネジ孔51,52が形成されている。このため、ドラム28の円筒部42にシーブ17又はシーブ17Aを取り付ける場合、作業者は、リブ部45の位置を目印にして、ネジ孔51とボルト挿入孔56の位置合わせや、ネジ孔52とボルト挿入孔59の位置合わせを行うことができる。また、ボルト57,60の締め付けによって負荷が加わるドラム28の強度をリブ部45によって効果的に補強することができる。
【0039】
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0040】
たとえば、上記実施形態においては、回転伝達部材33の端面33aを円筒部42の突端面42aと同一平面に配置しているが、これに限らず、回転伝達部材33の端面33aを円筒部42の突端面42aよりも引っ込んだ位置に配置してもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、好ましい例として、ネジ孔51とネジ孔52を円周方向で互いに同じ位置に形成しているが、これに限らず、ネジ孔51とネジ孔52を円周方向で異なる位置に形成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…エレベーター、12,12A…巻上機、13…釣り合いおもり、14…乗りかご、15…釣り合いおもり、17,17A…シーブ、28…ドラム、42…円筒部、42a…突端面、45…リブ部、51…ネジ孔(第1のネジ孔)、52…ネジ孔(第2のネジ孔)、56,59…ボルト挿入孔、56a,59a…ザグリ部、57,60…ボルト、58…鍔部、C1…第1の円周、C2…第2の円周
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7