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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161972
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20241114BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A01D41/127 140
A01D41/127
A01D41/127 120
A01D41/127 100
A01B69/00 303M
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077081
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 匡良
【テーマコード(参考)】
2B043
2B074
2B396
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB14
2B043EA26
2B043EA32
2B043EB05
2B043EC14
2B043EE01
2B074AA01
2B074AB01
2B074AC02
2B074AF02
2B074BA13
2B074BA19
2B074CE01
2B074GJ07
2B396JA04
2B396JC07
2B396ML02
2B396QA24
2B396QA27
2B396QG03
2B396QG05
(57)【要約】
【課題】従来の構成に比べて、収穫作業時に同じ箇所を複数回走行する場合でも、作物データの算出精度を向上させること。
【解決手段】圃場(300)が予め定められた大きさ且つ予め定められた方向に沿って整列された第1のメッシュ(301)で区切られ、作物を収穫する作業機(13)の幅に基づいて設定され且つ第1のメッシュ(301)よりも大きさの小さい第2のメッシュ(302)が走行車体(2)の走行に応じて作成され、収穫量が測定された時点での走行車体(2)の位置情報に対応する第1のメッシュ(301)に対して、位置情報と収穫量とが対応付けて記憶されることで、従来の構成に比べて、収穫作業時に同じ箇所を複数回走行する場合でも、作物データの算出精度を向上させることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の位置情報を計測する測位手段(130)と、
圃場(300)の地図情報に基づいて、前記圃場(300)の領域を予め定められた大きさ且つ予め定められた方向に沿って整列された第1のメッシュ(301)に区切ると共に、前記圃場(300)の外縁(300a)を含む前記第1のメッシュ(301)は圃場(300)の領域外に一部がはみ出す態様とすることで前記圃場(300)の外縁(300a)が全て含まれるように前記第1のメッシュ(301)を作成する第1のメッシュ作成手段(120)と、
作物を収穫する作業機(13)の幅に基づいて設定され且つ前記第1のメッシュ(301)よりも大きさの小さい第2のメッシュ(302)であって、前記走行車体(2)の走行に応じて作成する第2のメッシュ作成手段(160)と、
前記第2のメッシュ(302)ごとに作物の収穫量を測定する収穫量測定手段(140)と、
前記収穫量が測定された時点での走行車体(2)の位置情報に対応する第1のメッシュ(301)に対して、前記位置情報と前記収穫量とを対応付けて記憶する収穫情報記憶手段(170)と、
を備えたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記収穫量情報に基づいて、前記第2のメッシュ(302)ごとの単位面積当たりの収穫量である単位収量を算出する単位収量算出手段(180)、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記圃場の外縁(300a)を含む第1のメッシュ(301)は、圃場内側に隣接する前記第1のメッシュ(301)における前記収穫量を取り込む
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記単位収量の情報が記憶済みの前記第1のメッシュ(301)に対して、前記走行車体(2)が再度通過する場合には、前記第1のメッシュ(301)に対して初回に登録された前記収穫量の情報を優先する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記単位収量の情報が記憶済みの前記第1のメッシュ(301)に対して、前記走行車体(2)が再度通過する場合には、前記第1のメッシュ(301)の中心位置を通過した時の前記収穫量の情報を優先する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第1のメッシュ(301)ごとの単位収量に基づいて、前記圃場(300)における前記第1のメッシュ(301)ごとの単位収量の分布を地図化した収量マップを作成するマップ作成手段(190)、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記走行車体(2)の位置を計測する測位装置(41)の測定位置と、走行車体(2)の車速と、に基づいて、作物が収穫された実際の位置と、前記第1のメッシュ(301)に登録された位置とのズレが補正された収量マップを作成する前記マップ作成手段(190)、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記位置のズレが補正された収量マップにおいて、単位収量が未登録の第1のメッシュ(301)が存在する場合には、前記未登録の第1のメッシュ(301)に隣接する第1のメッシュ(301)の単位収量に基づいて、前記未登録の第1のメッシュ(301)の単位収量を算出して補間する補間手段(210)、
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記第2のメッシュ(302)は、前記走行車体(2)の進行方向に沿った長さが前記走行車体(2)の全長以下に設定され、且つ、前記走行車体(2)の進行方向に交差する幅方向の長さは作業機(13)の幅以下であり、
前記第1のメッシュ(301)は、辺の長さが前記第2のメッシュ(302)の整数倍に設定された
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバイン等の作物を収穫する作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の作物を収穫する作業車両において、走行しながら収穫する際に、1秒ごとに作物の収量を測定し、2秒ごとにたんぱく質の測定を行って、収量やタンパク含有率等の作物データと、コンバイン(10)の位置情報を経時的に取得すると共に、コンバイン(10)の収穫作業走行に伴って、作物データが取得された回数分、収量用のポリゴンやタンパク質用ポリゴンを順次構築して、圃場がポリゴンで区分けされたマップを作成する技術が公知である(特許文献1)。
【0003】
また、小麦や稲等の穀稈を刈り取り、脱穀し、穀粒タンクに搬送、蓄積する作業において、刈り取りが行われる際のコンバインの位置と、収穫量が計測される時期のコンバインの位置とが、コンバインの走行によりズレることに応じて、圃場を区分けした微小区画に割り当てる収量を補正する技術が公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-8612号公報(「0055」-「0073」、図5
【特許文献2】特開2017-60443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載の従来の技術のように圃場を仮想的な区画に区分けする場合に、実際の圃場の外形が正方形や長方形のような理想的な形状をしている場合は問題ないが、現実の圃場は三角形状や台形状、平行四辺形状、五角形状等のように歪な形状であったり、圃場内に電柱のような障害物が存在して直線状に走行しながら収穫できない場合も珍しくない。したがって、実際の収穫作業では、平行な直線に沿った収穫作業だけで圃場全体の収穫は困難であり、基準となる圃場の一辺に対して斜めに走行しながら刈ったり、外周を回るように刈ったり、圃場の外側から刈らず中間部から刈ったり(中刈り)することがある。したがって、一度通過した領域に対して一部または全部重複しながら複数回走行することがしばしばある。よって、一度通過した場所を一部重複する形で再度通過する場合に、2回目は8条刈りでも2条分しか刈り取りしないといったこともある。特に、1回目に通過した場所を2回目は斜めに走行する場合もある。
また、収穫の最後の列が端数になる場合、例えば、8条刈りの作業車両で、最後の列は3条分しか残らないといった場合もある。
【0006】
特許文献1,2に記載の技術では、同じ場所を重複して走行したり、端数が存在する場合は、収穫量が少なくなる(例えば3条分)にもかかわらず面積は同じ(例えば8条分)となり、収穫量や単位収量等の値が極端に小さくなったりすることがあり、収量等の作物データの算出、推定の精度が低下する問題がある。
【0007】
本発明は、従来の構成に比べて、収穫作業時に同じ箇所を複数回走行する場合でも、作物データの算出精度を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行車体(2)の位置情報を計測する測位手段(130)と、圃場(300)の地図情報に基づいて、前記圃場(300)の領域を予め定められた大きさ且つ予め定められた方向に沿って整列された第1のメッシュ(301)に区切ると共に、前記圃場(300)の外縁(300a)を含む前記第1のメッシュ(301)は圃場(300)の領域外に一部がはみ出す態様とすることで前記圃場(300)の外縁(300a)が全て含まれるように前記第1のメッシュ(301)を作成する第1のメッシュ作成手段(120)と、作物を収穫する作業機(13)の幅に基づいて設定され且つ前記第1のメッシュ(301)よりも大きさの小さい第2のメッシュ(302)であって、前記走行車体(2)の走行に応じて作成する第2のメッシュ作成手段(160)と、前記第2のメッシュ(302)ごとに作物の収穫量を測定する収穫量測定手段(140)と、前記収穫量が測定された時点での走行車体(2)の位置情報に対応する第1のメッシュ(301)に対して、前記位置情報と前記収穫量とを対応付けて記憶する収穫情報記憶手段(170)と、を備えたことを特徴とする作業車両である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記収穫量情報に基づいて、前記第2のメッシュ(302)ごとの単位面積当たりの収穫量である単位収量を算出する単位収量算出手段(180)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記圃場の外縁(300a)を含む第1のメッシュ(301)は、圃場内側に隣接する前記第1のメッシュ(301)における前記収穫量を取り込むことを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記単位収量の情報が記憶済みの前記第1のメッシュ(301)に対して、前記走行車体(2)が再度通過する場合には、前記第1のメッシュ(301)に対して初回に登録された前記収穫量の情報を優先することを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記単位収量の情報が記憶済みの前記第1のメッシュ(301)に対して、前記走行車体(2)が再度通過する場合には、前記第1のメッシュ(301)の中心位置を通過した時の前記収穫量の情報を優先することを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記第1のメッシュ(301)ごとの単位収量に基づいて、前記圃場(300)における前記第1のメッシュ(301)ごとの単位収量の分布を地図化した収量マップを作成するマップ作成手段(190)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記走行車体(2)の位置を計測する測位装置(41)の測定位置と、走行車体(2)の車速と、に基づいて、作物が収穫された実際の位置と、前記第1のメッシュ(301)に登録された位置とのズレが補正された収量マップを作成する前記マップ作成手段(190)を備えたことを特徴とする請求項6に記載の作業車両である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記位置のズレが補正された収量マップにおいて、単位収量が未登録の第1のメッシュ(301)が存在する場合には、前記未登録の第1のメッシュ(301)に隣接する第1のメッシュ(301)の単位収量に基づいて、前記未登録の第1のメッシュ(301)の単位収量を算出して補間する補間手段(210)を備えたことを特徴とする請求項7に記載の作業車両である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記第2のメッシュ(302)は、前記走行車体(2)の進行方向に沿った長さが前記走行車体(2)の全長以下に設定され、且つ、前記走行車体(2)の進行方向に交差する幅方向の長さは作業機(13)の幅以下であり、前記第1のメッシュ(301)は、辺の長さが前記第2のメッシュ(302)の整数倍に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、走行車体(2)の走行に応じて作成される第2のメッシュ(302)よりも大きな第1のメッシュ(301)に位置情報と収穫量とを対応付けられることで、従来の構成に比べて、収穫作業時に同じ箇所を複数回走行する場合でも、作物データの算出精度を向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第2のメッシュ(302)ごとに単位収量を算出できる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、外縁(300a)を含む第1のメッシュ(301)の内側の収穫量を取り込むことで、内側の第1のメッシュ(301)に比べて、外縁(300a)で一部が欠けた状態の第1のメッシュ(301)の収量を、隣接する内側の第1のメッシュ(301)の収穫量で推定することができる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、端数が含まれる可能性の少ない初回に登録された収穫量の情報を使用して、第1のメッシュ(301)での作物データを推定できる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1のメッシュ(301)の中心を通過した時の収穫量の情報を使用することで、当該第1のメッシュ(301)の作物の状況を最も反映している可能性の高い作物データで、第1のメッシュ(301)での作物データを推定できる。
請求項6記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、収量マップで単位収量の分布を確認できる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明の効果に加えて、作物が収穫された実際の位置での単位収量の分布を確認できる。
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明の効果に加えて、第1のメッシュ(301)の一部が未登録の状態での収量マップの生成を防止できる。
請求項9記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1のメッシュ(301)の辺の長さが第2のメッシュ(302)の整数倍でない場合に比べて、処理負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の実施の形態の作業車両の一例としてのコンバインの側面図である。
図2図2図1の作業車両の正面図である。
図3図3図1の作業車両の平面図である。
図4図4図1の作業車両の背面図である。
図5図5は実施の形態の制御部の機能ブロック図である。
図6図6は実施の形態の地図情報と圃場メッシュの一例の説明図であり、図6(A)は圃場メッシュ作成前の地図情報の説明図、図6(B)は圃場メッシュが作成された状態の説明図である。
図7図7は実施の形態のメッシュの説明図であり、図7(A)は圃場における圃場メッシュと作業機メッシュの一例の説明図、図7(B)は作業機メッシュと圃場メッシュのそれぞれの大きさの説明図、図7(C)は作業機メッシュと圃場メッシュの大小関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態を、以下に説明する。
図1は本発明の実施の形態の作業車両の一例としてのコンバインの側面図である。
図2図1の作業車両の正面図である。
図3図1の作業車両の平面図である。
図4図1の作業車両の背面図である。
【0023】
図1図4において、本発明の実施の形態の作業車両の一例としてのコンバイン1は、車体2を有する。車体2の下部には、左右一対の走行装置11を有する。実施の形態の走行装置11は、一例として、無限軌道のいわゆるクローラーにより構成されている。車体2の右前方には、作業者が搭乗可能な搭乗部12が設置されている。車体2の前部には、圃場の作物を収穫する収穫装置13(作業機の一例)が配置されている。収穫装置13の後方には、収穫された穀粒を搬送する搬送装置14が配置されている。搬送装置14の後方には、搬送装置14で搬送された穀粒を脱穀する脱穀装置16が配置されている。脱穀装置16の右方には、脱穀装置16で処理された穀粒が収容されるグレンタンク17(容器の一例)が配置されている。グレンタンク17の後部には、グレンタンク17から圃場外のトラックのコンテナに穀粒を排出する排出装置18が接続されている。
車体2の後部には、藁を排出する藁排出装置19が配置されている。実施の形態の藁排出装置19は、藁を一時的に貯留することで、藁を束状にして排出が可能な装置、いわゆる、ドロッパで構成されている。すなわち、ドロッパ機能が作動中は、藁を束状にして排出可能であると共に、ドロッパ機能が停止中は、藁が束状にならずに収穫後の藁がそのまま排出される。
【0024】
実施の形態のコンバイン1には、測位装置の一例としての受信機41が搭乗部12の上面に設置されている。受信機41は、GNSS用の人工衛星42からの信号を受信して、コンバイン1の現在位置を計測可能である。したがって、実施の形態のコンバイン1は、GNSSを使用して自律走行(自動走行、無人走行)も可能であるし、搭乗部12に作業者が搭乗して操作に応じて走行する(手動走行、有人走行)も可能である。なお、自律走行時に、コンバイン1との間で無線通信が可能な端末51を操作する作業者は、コンバイン1の外部(圃場外または圃場内)にいることも可能であるし、端末51を携帯したまま搭乗部12に搭乗することも可能である。端末51には、表示部の一例であって、入力部の一例としてのタッチパネル51aや、入力ボタン51b、報知手段の一例としての図示しないスピーカや、音声入力部の一例としての図示しないマイク等が設けられている。端末51は、専用の端末とすることも可能であるし、タブレット端末やスマートフォンにアプリケーションソフトウェアをインストールする形態とすることも可能である。
【0025】
実施の形態のコンバイン1は、通信装置の一例としての無線通信モジュール(図示せず)が内蔵されており、通信回線61を介して、情報処理装置の一例としてのサーバ62や端末51との間で情報の送受信が可能になっている。
【0026】
(作業車両の制御部の説明)
図5は実施の形態の制御部の機能ブロック図である。
実施の形態のコンバイン1は、各機能を制御する制御部100を有する。制御部100は、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部100は、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部100は、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部100は、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施の形態の制御部100は、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータによ
り構成されている。よって、制御部100は、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0027】
制御部100には、搭乗部12に設置された図示しない入力ボタン(入力部の一例)や、GNSS用の受信機41、脱穀装置16からグレンタンク17への穀粒の搬送経路に設置された穀粒計SN1、脱穀装置16からグレンタンク17への穀粒の搬送経路に設置された水分計SN2、その他の図示しない各種センサ等の信号入力要素からの信号が入力される。また、制御部100は、サーバ62や端末51との間で信号の送受信が可能である。
【0028】
制御部100は、被制御要素の一例としての走行装置11や収穫装置13、搬送装置14、脱穀装置16、排出装置18等に制御信号を送信して、コンバイン1の走行や、収穫作業の実行/停止を制御可能である。
また、制御部100は、搭乗部12に設置された図示しないモニタ(表示部の一例)に制御信号を出力して、作業情報や作業状況を表示可能である。
【0029】
図6は実施の形態の地図情報と圃場メッシュの一例の説明図であり、図6(A)は圃場メッシュ作成前の地図情報の説明図、図6(B)は圃場メッシュが作成された状態の説明図である。
実施の形態の制御部100は、以下の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
地図情報記憶手段110は、コンバイン1で収穫作業が行われる圃場300の地図情報を記憶する。地図情報は、管理システムSにおいて予め準備された公知の地図情報を使用可能である。
【0030】
第1のメッシュ作成手段の一例としての圃場メッシュ作成手段120は、地図情報に基づいて、第1のメッシュの一例としての圃場メッシュ301を作成する。実施の形態の各圃場メッシュ301は、一例として、予め大きさが定められた長方形状に設定されており、長方形の辺は、南北方向または東西方向に沿って配置されている。実施の形態の各圃場メッシュ301は、幅W1が、整数倍の一例として、収穫装置13の幅W3の2倍(後述する作業機メッシュ302の幅W2の4倍)の長さに設定されている。なお、圃場メッシュ301の形状は、長方形に限定されず、正方形とすることも可能である。
【0031】
そして、実施の形態の圃場メッシュ301は、東西または南北方向に整列された状態で配置される。また、圃場メッシュ301は、圃場300の外縁300aの全てが含まれるように生成される。したがって、圃場メッシュ301は、圃場300の外縁300aを含む部分では、圃場300の領域外に一部がはみ出す態様となっている。よって、圃場メッシュ301の全体では、圃場300の外縁300aの全体をカバーしており、圃場メッシュ301の全体の広さは、圃場300よりも広い面積となる。
【0032】
圃場メッシュ301の生成は、市販の地図データにおいて、例えば、圃場300の四隅を、利用者が端末51で入力して指定したり、コンバイン1で非作業状態で走行して指定したりすると、地図データから外縁300aを自動生成し、四隅を基準として経線(南北方向)または緯線(東西方向)に沿った辺を有する圃場メッシュ301を生成することで、圃場メッシュ301を自動生成することが可能である。なお、四隅を指定する場合に限定されず、例えば、圃場への出入口等を指定することも可能であるし、外縁300aの複数カ所を指定する構成とすることも可能である。
また、市販の地図データが存在しない場合には、コンバイン1やトラクタ等の作業車両で、圃場300の外周を走行して外縁300aの情報を取得すると共に、四隅の指定から圃場メッシュ301を生成することも可能である。
【0033】
測位手段130は、GNSSの受信機41の受信情報に基づいて、コンバイン1の現在位置を計測する。実施の形態の測位手段130は、収穫作業中に、走行中のコンバイン1の位置情報を計測する。
収穫量測定手段140は、穀粒計SN1の計測結果に基づいて、計測期間内に通過した穀粒の量から、作物データの一例としての収穫量を計測する。収穫量測定手段140は、予め定められた計測期間(例えば2秒)毎に収穫量を計測する。穀粒計SN1での計測は、収穫作業の開始から終了までの期間行われる。収穫作業の開始は、作業機である収穫装置13の作動開始と連動するが、収穫作業の収量は、収穫装置13が停止しても、脱穀装置16の下流側の穀粒計SN1での計測のタイムラグがあるため、収穫装置13が停止してもタイムラグの機関は穀粒計SN1の計測が行われる。
【0034】
水分量計測手段150は、水分計SN2の計測結果に基づいて、作物データの一例としての穀粒の水分量を計測する。水分量計測手段150は、予め定められた計測間隔(例えば2秒)の間に計測された穀粒の水分量の平均値を出力する。なお、平均値に限定されず、最大値を使用したり、最小値を使用したり、累積値を使用することが可能である。また、収穫量と水分量は、同じタイミングで計測することが計測時刻が共通するため好ましいが、異なるタイミングとすることも可能である。
【0035】
なお、実施の形態では、穀粒計SN1や水分計SN2は、脱穀後の穀粒を計測する場合を例示したがこれに限定されない。例えば、脱穀前の穀粒を計測することも可能である。穀粒計SN1は、一例として、穀粒が衝突時に電流が流れる圧電式の衝撃センサを使用することが可能であるが、これに限定されない。穀粒の通過時に回転する羽根や板等の回転量や傾斜量を計測することで穀粒の流量を計測する構成とすることも可能である。また、穀粒計SN1は、圧電センサのように、穀粒の流量を計測する場合を例示したがこれに限定されず、例えば、グレンタンク17の重量の変化や、脱穀装置16の下流側に重量計測用のタンクを設けてタンクの重量変化から収穫量を計測する構成とすることも可能である。したがって、収穫量や平均収量の単位は、重量換算とすることも可能であるし、体積換算とすることも可能である。
【0036】
さらに、他にも、穀粒を計測するのではなく、作物の穀稈の量を計測し、穀稈の量から収穫量を推定、算出する構成とすることも可能である。穀稈を計測する場合には、脱穀後の穀稈を計測することも可能であるが、収穫装置13で収穫直後に計測することも可能である。また、収穫直後に計測を行う穀稈センサと穀粒計SN1を両方備え、収穫から穀粒計SN1での計測までの時間(タイムラグ)を計測し、利用者に提示したり、タイムラグの自動修正に利用することも可能である。
また、収穫直後の穀稈を計測する穀稈センサを設ける場合では、穀稈センサが穀稈を計測しない状態は、収穫装置13が作動していても作物が収穫されていない状況である。したがって、穀稈センサが穀稈を計測している場合にのみ、作業機メッシュ302や収穫量等の登録を行うようにすることも可能である。この時、穀稈センサが穀稈を計測しなくなってから、穀粒計SN1まで穀粒が到達するまでのタイムラグがあるため、穀稈センサが穀稈を計測しなくなっても、タイムラグの期間は、収穫量等の計測を継続することが好ましい。
【0037】
図7は実施の形態のメッシュの説明図であり、図7(A)は圃場における圃場メッシュと作業機メッシュの一例の説明図、図7(B)は作業機メッシュと圃場メッシュのそれぞれの大きさの説明図、図7(C)は作業機メッシュと圃場メッシュの大小関係の説明図である。
第2のメッシュ作成手段の一例としての作業機メッシュ作成手段160は、第2のメッシュの一例としての作業機メッシュ302をコンバイン1の走行に応じて作成する。実施の形態の作業機メッシュ作成手段160は、コンバイン1が走行中で、且つ、作業機の一例である収穫装置13の作動中(収穫作業中)である場合に、作業機メッシュ302を作成する。したがって、収穫装置13が作動中のコンバイン1の走行軌跡に沿って、作業機メッシュ302が作成される。
【0038】
実施の形態の作業機メッシュ302は、圃場メッシュ301よりも小さい大きさに設定されており、一例として長方形状に設定されており、コンバイン1の収穫装置13(作業機の一例)の幅に基づいて設定されている。一例として、作業機メッシュ302の幅W2は、作業機の一例としての収穫装置13の幅W3の1/2に設定されている。また、作業機メッシュ302のコンバイン1の進行方向に沿った長さL2は、一例として、圃場メッシュ301の長さL1の1/3の長さに設定されている。言い換えれば、実施の形態では、圃場メッシュ301の一辺の長さは、作業機メッシュ302の長さに対して、整数倍の一例としての3倍に設定されている。
【0039】
なお、圃場メッシュ301や作業機メッシュ302のサイズは、例示したものに限定されず、設計や仕様等に応じて適宜変更可能である。したがって、整数倍であることが望ましいが、整数倍にしないことも可能である。また、作業機メッシュ302の進行方向に沿った長さは、作業時のコンバイン1の走行速度や穀粒計SN1等の計測間隔(サンプリング間隔)等に応じて設定することが可能であり、できるだけ短い長さとすることで、作物データの詳細度(地図における解像度)を高くすることが可能である。他にも、利用者が圃場メッシュのサイズを指定できるようにすることも可能である。
【0040】
収穫情報記憶手段170は、作業機メッシュ記憶手段171と、圃場メッシュ記憶手段172と、を有し、収穫作業に伴う作業機メッシュ302や圃場メッシュ301、収穫量、水分量等の情報を記憶する。記憶された情報は、サーバ62や端末51に順次送信することも可能であるし、作業終了後に一括して送信することも可能である。
作業機メッシュ記憶手段171は、コンバイン1の走行に伴って作業機メッシュ作成手段160で作成された作業機メッシュ302の位置情報や向きを記憶(登録)すると共に、各作業機メッシュ302において計測された収穫量や、収穫された作物の水分量、収穫量や水分量の計測時の時刻を、収穫量等が計測された時点の現在位置に対応する作業機メッシュ302に対応付けて記憶する。
【0041】
実施の形態では、圃場メッシュ記憶手段172は、各圃場メッシュ301の位置情報と、各圃場メッシュ301の収穫量や水分量を、各圃場メッシュ301に対応付けて記憶する。
実施の形態の圃場メッシュ記憶手段172は、予め作成された各圃場メッシュ301に対して、作業機メッシュ302が作成される度に、作業機メッシュ302が含まれる圃場メッシュ301に、作業機メッシュ302の登録情報(収穫量等)を記憶(登録)していく。実施の形態では、1つの圃場メッシュ301に対して、複数の作業機メッシュ302が含まれるが、該当する圃場メッシュ301に含まれる全ての作業機メッシュ302の情報を関連付けて記憶する。
【0042】
したがって、例えば、1つの圃場メッシュ301に対して、複数の収穫量が登録されたり、複数の水分量の計測結果が登録されたり、各収穫量や各水分量が計測された時刻が登録されたりすることとなる。また、実施の形態の圃場メッシュ記憶手段172では、1つの作業機メッシュ302が複数の圃場メッシュ301に跨る場合は、各圃場メッシュ301に跨る面積に応じて、収穫量の値を按分して記憶する。
【0043】
単位収量算出手段180は、圃場メッシュ記憶手段172に記憶された収穫量の情報に基づいて、各圃場メッシュ301での平均収量を算出する。実施の形態では、各圃場メッシュ301に記憶された全ての収穫量を加算し、圃場メッシュ301の面積で除算することで、単位面積当たりの平均収量、すなわち、単位収量を圃場メッシュ301ごとに算出可能である。
この時、圃場300の外縁300aを含む圃場メッシュ301では、面積は、外縁300aよりも内側の部分の面積、すなわち、圃場300の内部に対応する面積を使用する。
【0044】
なお、圃場300の外縁300aを含む圃場メッシュ301については、この態様に限定されない。例えば、圃場内側の面積が小さい場合には誤差が出やすくなるため、外縁300aを含む圃場メッシュ301に隣接し且つ外縁300aを含まない圃場メッシュ301の平均収量を、外縁300aを含む圃場メッシュ301の平均収量に取り込むことが可能である。具体的には、隣接する圃場メッシュ301の平均収量を、外縁300aを含む圃場メッシュ301の平均収量に加算平均したり、隣接する圃場メッシュ301の平均収量を、外縁300aを含む圃場メッシュ301の平均収量として使用したりする態様とすることも可能である。
【0045】
また、単位収量算出手段180は、全ての圃場メッシュ301に登録された収穫量の総量を算出し、圃場の全面積で総量を除算することで、圃場全体の単位収量を算出する。さらに、単位収量算出手段180は、各作業機メッシュ302についても単位収量を算出する。実施の形態の単位収量算出手段180は、圃場での収穫作業が終了した場合に、単位収量を算出するが、これに限定されず、作業中に随時単位収量を計算、更新する構成とすることも可能である。
【0046】
マップ作成手段190は、収穫情報記憶手段170に記憶された情報に基づいて、収穫情報を地図化した地図状の収穫マップを作成する。実施の形態の収穫マップは、収穫量を地図化した収量マップや、各メッシュ301,302での平均収量を地図化した平均収量マップ、水分量の分布を地図化した水分量マップ、等を有し、端末51のタッチパネル51aに表示可能である。収量マップ等は、同時に表示する形態とすることも可能であるし、各マップを利用者の操作に応じて切り替えて表示することも可能である。
また、実施の形態では、収穫マップは、利用者の操作に応じて拡大(詳細図)、縮小(広域図)を切り替え可能であり、詳細図では作業機メッシュ302での収穫量や平均収量、平均水分量を表示し、広域図では圃場マップ201での収穫量(含まれる作業機メッシュ302の収穫量の合計値)や平均収量、平均水分量、あるいは圃場全体の収穫量や単位収量、平均水分量を表示することも可能である。表示は、各メッシュ301,302の枠内に、数値を表示することも可能であるし、圃場全体の平均に対して、高い範囲と低い範囲で色分けを行って表示する等、任意の表示方法を採用可能である。
【0047】
情報更新手段200は、利用者が収穫マップを確認しながら操作した内容に応じて、収穫情報記憶手段170に記憶された情報を更新する。例えば、収穫マップにおいて、利用者が、収穫量が登録される位置(作業機メッシュ302の位置)を変更する入力を行った場合には、収穫量の情報が関連付けられる作業機メッシュ302を変更する。すなわち、作物が収穫装置13で収穫されてから、脱穀され、穀粒計SN1で計測されるまでの間には、時間的なずれ(タイムラグ)が発生する。最初に作業機メッシュ302に登録されるのは、穀粒計SN1で計測が行われた時刻におけるコンバイン1の位置の作業機メッシュ302であるが、このタイムラグについて、利用者が収穫量が登録された時刻等を参照して、収穫が行われたコンバイン1の位置にずらす(シフトさせる)操作を行った場合には、情報更新手段200は、入力に応じて、収穫量の情報を収穫が行われたコンバイン1の位置の作業機メッシュ302に登録し直す(更新する)。なお、情報更新手段200で収穫情報記憶手段170の情報が更新されると、更新された情報に応じて単位収量の再計算(更新)やマップの更新が行われる。
【0048】
情報補間手段210は、情報更新手段200で収穫情報の更新が行われた場合に、作業機メッシュ302の中で収穫情報が存在しない作業機メッシュ302や圃場メッシュ301が発生した場合には、当該メッシュ301,302の周囲のメッシュ301,302の収穫情報の平均値を、当該メッシュ301,302の収穫情報として補間して登録、更新する。
【0049】
(実施の形態の作用)
前記構成を備えた実施の形態のコンバイン1では、圃場300での収穫作業時に、コンバイン1の走行に伴って、作業機メッシュ302が順次作成され、収穫量や水分量の計測結果が作業機メッシュ302に登録されていく。そして、作業機メッシュ302よりも大きな圃場メッシュ301において、含まれる作業機メッシュ302の情報に基づいて、平均収量や平均水分量が計算され、収穫マップに表示される。したがって、同じ圃場メッシュ301をコンバイン1が複数回収穫しながら走行しても、圃場メッシュ301内の作業機メッシュ302の収穫量が加算された後に圃場メッシュ301の面積から平均収量が算出される。よって、コンバインが斜めに走行したり、障害物を避けるように走行したりする圃場のように、収穫装置13が重複した状態でコンバイン1が走行したり、端数の条数を収穫装置13が収穫するような場合でも、単位収量の計算の誤差が少なくなる。したがって、実施の形態では、従来の構成に比べて、収穫作業時に同じ箇所を複数回走行する場合でも、圃場メッシュ301の領域の収穫量や、平均収量や平均水分量等の作物データの算出精度が向上する。
【0050】
特に、圃場の隅では、コンバイン1の旋回のために、事前に作業者が鎌等で刈っておき(手刈りしておき)、推奨されていないが、刈った稲穂等をその場に直置きし、コンバイン1の通過時に回収して脱穀のみを行うこともある。実施の形態では、この脱穀のみの作物データも作業機メッシュ302に登録、反映可能であり、圃場の作物の状況を精度よく計測可能である。
また、実施の形態では、平均収量が算出されており、例えば、圃場300の途中まで6条刈りのコンバインで収穫し、その後は4条刈りのコンバインで作業をするといったように、機種が異なる作業車両で作業を行う場合でも、圃場メッシュ301に登録していくことが可能である。すなわち、機種間の違いに対応することが可能であり、異なる機種での収穫作業のデータを、いわば合成することが可能である。したがって、異なる機種において、共通の収穫マップを利用することも可能である。
【0051】
なお、実施の形態では、圃場メッシュ301に含まれる全ての作業機メッシュ302のデータを使用する構成を例示したが、これに限定されない。実施の形態では、作業機メッシュ302の大きさが圃場メッシュ301の1/12であったが、作業機メッシュ302の大きさが圃場メッシュ301の大きさに近い場合(例えば、1/2の場合)には、圃場メッシュ301に複数の作業機メッシュ302が含まれていても、最初に通過した時にほとんど収穫されたものとみなし、圃場メッシュ301内の作業機メッシュ302において初回に登録された収穫量の情報を優先して、平均収量等の計算を行うことも可能である。
初回に登録された収穫量は、端数が含まれる可能性の少なく圃場メッシュ301での作物データを推定する場合に、適切である可能性が高い。
【0052】
他にも、初回登録では、圃場メッシュ301の端の部分を通過しただけの場合もあり得るため、圃場メッシュ301の中心位置を通過した場合の作業機メッシュ302の収穫量の情報を使用する構成とすることも可能である。したがって、圃場メッシュ301の中心を通過した時の収穫量の情報を使用することで、当該圃場メッシュ301の作物の状況を最も反映している可能性の高い作物データで、圃場メッシュ301での作物データを推定できる。
【0053】
また、実施の形態では、算出された作物データを地図化して、端末51で利用者が確認可能である。そして、利用者の操作で、収穫装置13での収穫時期と穀粒計SN1等での計測時期とのタイムラグが修正されると、修正後の収量マップも更新、表示されて、利用者が確認可能である。
この時、利用者のタイムラグ修正に伴って、収穫量等が存在しない(空欄の)メッシュ301,302が発生すると、周囲のメッシュ301,302のデータから補間が行われる。したがって、不自然にデータが存在しない収穫マップが作成されることが抑制される。
【0054】
なお、実施の形態では、タイムラグの修正前の収穫マップは、未確定の状態、いわば、仮のマップであり、利用者は仮のマップの状態を確認することが可能である。従来技術のように、コンバイン1でタイムラグを自動補正する場合には、結果だけを見ることとなり、タイムラグが適切に修正されているのかどうかを利用者が確認することができない上に、コンバイン1で収穫作業と並行して処理をするには、処理負荷が大きい問題もある。これに対して、仮のマップを表示したほうが、利用者が確認することも可能であるし、自動計算を行わない分、処理負荷が軽減される。
【0055】
さらに、実施の形態では、作業機メッシュ302の一辺の長さが圃場メッシュ301の一辺の長さの整数倍に設定されている。したがって、圃場300の中心部分のようにコンバイン1が直線状に重複せずに往復する場合には、作業機メッシュ302で圃場メッシュ301が整列した状態で埋まりやすく、収穫量等についても、按分等が必要なく、計算の負荷も軽減される。
なお、コンバイン1のCPU等の処理速度が向上して、処理負荷に余裕がある場合には、タイムラグの自動計算等をコンバイン1で行う構成とすることも可能である。したがって、収穫量等の作物データを、タイムラグの自動修正後の位置の作業機メッシュ302に登録することも可能である。タイムラグの計算には、脱穀装置16の脱穀速度や搬送装置14の搬送速度、コンバイン1の車速等が関係するが、GNSSのデータから車速を計算することも可能であるし、速度計や車輪の回転速度等を利用することも可能である。また、作業時の走行速度は、GNSSからその都度計算することも可能であるが、コンバイン1の型式ごとに設定された作業時の走行速度を利用することも可能である。
【0056】
前記実施の形態において、作業機メッシュ302に対して、作業機メッシュ302の途中で、旋回等により収穫装置13の作動が停止する場合には、収穫量の情報が半端な状態での結果となる。この場合、当該作業機メッシュ302の情報として登録することも可能であるが、コンバイン1の進行方向の手前側に隣接する作業機メッシュ302に、半端な収穫量の情報を加算して登録することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 作業車両、
2 走行車体、
13 作業機、
41 測位装置、
120 第1のメッシュ作成手段、
130 測位手段、
140 収穫量測定手段、
160 第2のメッシュ作成手段、
170 収穫情報記憶手段、
180 単位収量算出手段、
190 マップ作成手段、
210 補間手段、
300 圃場、
300a 外縁、
301 第1のメッシュ、
302 第2のメッシュ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7