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特開2024-161975情報処理装置、及び三次元造形システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161975
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び三次元造形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20241114BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20241114BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20241114BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241114BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/106
B33Y50/02
B33Y30/00
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077086
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲角▼谷 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 孝幸
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL52
4F213WL85
4F213WL92
(57)【要約】
【課題】三次元造形物の造形精度を向上させることができる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】三次元造形用データを生成する情報処理装置であって、複数のスライス層のうちの第1スライス層の造形パスを示す造形パス情報に基づいて、当該造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を含む三次元造形用データを生成する生成部と、当該造形パスに含まれる線分のうちの第1線分の長さを示す第1線分長情報と、当該造形パスに含まれる線分のうち第1線分と異なる第2線分の長さを示す第2線分長情報と、第1線分が延伸する方向を示す第1線分方向情報と、第2線分が延伸する方向を示す第2線分方向情報とを取得する取得部と、第1線分長情報、第2線分長情報、第1線分方向情報、第2線分方向情報に基づいて、実行コマンド情報を変更する変更部と、を備える情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置であって、
前記複数のスライス層のうちの第1スライス層の造形パスを示す造形パス情報に基づいて、前記造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を含む前記三次元造形用データを生成する生成部と、
前記造形パスに含まれる線分のうちの第1線分の長さを示す第1線分長情報と、前記造形パスに含まれる線分のうち前記第1線分と異なる第2線分の長さを示す第2線分長情報と、前記第1線分が延伸する方向を示す第1線分方向情報と、前記第2線分が延伸する方向を示す第2線分方向情報とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1線分長情報、前記第2線分長情報、前記第1線分方向情報、前記第2線分方向情報に基づいて、前記生成部により生成された前記実行コマンド情報を変更する変更部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記第1スライス層を示すスライス層情報に基づいて、前記造形パス情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記三次元造形物の形状を示す形状情報に基づいて、前記スライス層情報を生成する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記実行コマンド情報に基づいて、前記第1線分の終点を示す第1線分終点情報と、前記第2線分の始点を示す第2線分始点情報と、前記造形パス情報が示す前記造形パスに沿って前記三次元造形装置が移動させるノズルの移動速度を示す移動速度情報とを取得し、
前記変更部は、前記取得部により取得された前記第1線分長情報、前記第2線分長情報、前記第1線分方向情報、前記第2線分方向情報、前記第1線分終点情報、前記第2線分始点情報、前記移動速度情報に基づいて、前記生成部により生成された前記実行コマンド情報を変更する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置と、
前記三次元造形装置と、
を備える三次元造形システム。
【請求項6】
前記三次元造形装置は、
前記三次元造形物が造形されるステージと、
前記ステージ上に造形材料を吐出するノズルと、
前記ノズルに供給される前記造形材料の流量を制御する第1モーターと、
前記ステージと前記ノズルとの相対的な位置を変更する第2モーターと、
前記実行コマンド情報に基づいて、前記第1モーター、前記第2モーターのそれぞれを制御する制御部と、
前記三次元造形用データを記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、所定値以上の長さの直線に沿って前記造形材料を前記ノズルから吐出する場合、第1回転速度で前記第1モーターを駆動させ、前記所定値未満の長さの直線に沿って前記造形材料を前記ノズルから吐出する場合、前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度で前記第1モーターを駆動させる、
請求項5に記載の三次元造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、情報処理装置、及び三次元造形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部を溶融した造形材料を積層して三次元造形物を造形する三次元造形装置についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、三次元造形装置と情報処理装置とを備える三次元造形システムであって、三次元造形装置は、造形材料を造形テーブルに向かって吐出するノズルと、ノズルに接続されている造形材料の流路を開閉する開閉機構と、造形テーブルとノズルとの相対位置を変更する移動機構と、造形データに従って、開閉機構と移動機構とを制御する制御部とを備え、情報処理装置は、造形テーブルに対するノズルの相対的な移動方向及び移動距離を示す造形パスと、造形材料の吐出を示す吐出パラメーターとを含む造形パス情報に基づいて、造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を含む三次元造形用データを生成し、生成した三次元造形用データを三次元造形装置に送信する造形データ生成部を備え、実行コマンド情報が示すコマンドには、開閉機構を駆動させる開閉コマンドが含まれている、三次元造形システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-155833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような三次元造形システムでは、造形パス上の位置のうち各種のコマンドが実行される位置は、三次元造形物の造形にとって好適な位置ではない場合があった。これは、三次元造形物の造形精度を悪化させるため、望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本開示の一態様は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置であって、前記複数のスライス層のうちの第1スライス層の造形パスを示す造形パス情報に基づいて、前記造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を含む前記三次元造形用データを生成する生成部と、前記造形パスに含まれる線分のうちの第1線分の長さを示す第1線分長情報と、前記造形パスに含まれる線分のうち前記第1線分と異なる第2線分の長さを示す第2線分長情報と、前記第1線分が延伸する方向を示す第1線分方向情報と、前記第2線分が延伸する方向を示す第2線分方向情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記第1線分長情報、前記第2線分長情報、前記第1線分方向情報、前記第2線分方向情報に基づいて、前記生成部により生成された前記実行コマンド情報を変更する変更部と、を備える情報処理装置である。
【0007】
また、本開示の他の態様は、上記に記載の情報処理装置と、前記三次元造形装置と、を備える三次元造形システムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】三次元造形システム1の構成の一例を示す図である。
図2】造形パス情報の一例を示す図である。
図3図2に示した造形パス情報にコマンドが追加された後の実行コマンド情報の一例を示す図である。
図4】情報処理装置20が実行する処理のうち、三次元造形用データを生成する処理の流れの一例を示す図である。
図5図2に示した造形パス情報に追加された線分マーカーの一例を示す図である。
図6図5に示した造形パス情報にコマンドが追加された後の実行コマンド情報の一例を示す図である。
図7】第2パラメーター情報の一例を示す図である。
図8図6に示した実行コマンド情報内のコマンドの位置がステップS220の処理によって移動させられた後の様子の一例を示す図である。
図9】第2パラメーター情報の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<三次元造形システムの概要>
まず、実施形態に係る三次元造形システムの概要について説明する。
【0011】
実施形態に係る三次元造形システムは、情報処理装置と、三次元造形装置を備える。ここで、情報処理装置は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する。情報処理装置は、生成部と、取得部と、変更部を備える。生成部は、複数のスライス層のうちの第1スライス層の造形パスを示す造形パス情報に基づいて、造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を含む三次元造形用データを生成する。取得部は、当該造形パスに含まれる線分のうちの第1線分の長さを示す第1線分長情報と、当該造形パスに含まれる線分のうち第1線分と異なる第2線分の長さを示す第2線分長情報と、第1線分が延伸する方向を示す第1線分方向情報と、第2線分が延伸する方向を示す第2線分方向情報とを取得する。そして、変更部は、取得部により取得された第1線分長情報、第2線分長情報、第1線分方向情報、第2線分方向情報に基づいて、生成部により生成された実行コマンド情報を変更する。これにより、当該三次元造形システム、及び情報処理装置は、三次元造形装置に実行させたい動作を所望の位置において実行させることができ、三次元造形物の造形精度を向上させることができる。
【0012】
以下では、実施形態に係る三次元造形システムの構成と、当該三次元造形システムが備える情報処理装置が行う処理とについて詳しく説明する。
【0013】
<三次元造形システムの構成>
以下、実施形態に係る三次元造形システムの構成について、三次元造形システム1を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、三次元造形システム1の構成の一例を示す図である。
【0015】
三次元造形システム1は、三次元造形装置10と、情報処理装置20を備える。
【0016】
三次元造形装置10は、情報処理装置20からの制御に応じて、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として積層させることにより、三次元造形物の造形を行う。
【0017】
三次元造形装置10は、例えば、ステージ11と、造形ヘッド12と、第1モーター13と、第2モーター14と、第1制御部15と、第1記憶部16を備える。なお、三次元造形装置10は、ステージ11と、造形ヘッド12と、第1モーター13と、第2モーター14と、第1制御部15と、第1記憶部16とに加えて、他の装置、他の部材等を備える構成であってもよい。
【0018】
ステージ11は、三次元造形物が造形される造形面を有する台である。
【0019】
造形ヘッド12は、ステージ11上に造形材料を吐出するノズルNzを含んで構成される。造形ヘッド12は、例えば、単位時間あたりの造形材料の吐出量を調整可能なプリンターヘッドである。なお、造形ヘッド12は、当該プリンターヘッドに代えて、造形材料を吐出可能な他の装置であってもよい。
【0020】
第1モーター13は、造形ヘッド12のノズルNzに供給される造形材料の流量を制御するモーターである。
【0021】
第2モーター14は、ステージ11とノズルNzとの相対的な位置を変更する移動機構を駆動させるモーターである。すなわち、第2モーター14は、ステージ11とノズルNzとの相対的な位置を変更するモーターである。
【0022】
第1制御部15は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサーを備え、三次元造形装置10の全体を制御する。例えば、第1制御部15は、情報処理装置20により生成された三次元造形用データに含まれる実行コマンド情報に基づいて、第1モーター13、第2モーター14のそれぞれを制御する。実行コマンド情報は、第1制御部15により実行可能なコマンドを含む情報のことである。実行コマンド情報については、後述する。
【0023】
第1記憶部16は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。第1記憶部16は、例えば、三次元造形用データ等の各種の情報を記憶する。
【0024】
なお、三次元造形装置10は、三次元造形物の造形を行うことが可能な構成であれば、他の構成であってもよい。
【0025】
情報処理装置20は、例えば、第2制御部21と、第2記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25を備える。なお、情報処理装置20は、第2制御部21と、第2記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25とに加えて、他の装置、他の部材等を備える構成であってもよい。
【0026】
第2制御部21は、CPU、FPGA等のプロセッサーを備え、情報処理装置20の全体を制御する。第2制御部21は、例えば、取得部211と、生成部212と、変更部213と、装置制御部214を備える。第2制御部21が備えるこれらの機能部は、例えば、当該プロセッサーが第2記憶部22に記憶された各種の指令(例えば、プログラム、プログラムに含まれる各コマンド等)を実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0027】
取得部211は、各種の情報を取得する。
【0028】
生成部212は、取得部211により取得された各種の情報に基づいて、実行コマンド情報及び三次元造形用データのそれぞれを生成する。
【0029】
変更部213は、取得部211により取得された各種の情報に基づいて、生成部212により生成された実行コマンド情報の変更を行う。
【0030】
装置制御部214は、生成部212により生成された三次元造形用データに基づいて、三次元造形装置10を制御する。
【0031】
なお、取得部211、生成部212、変更部213、装置制御部214のそれぞれが有する機能のうちの一部又は全部は、1つの機能部として統合されてもよい。
【0032】
第2記憶部22は、HDD、SSD等の記憶装置である。
【0033】
入力受付部23は、タッチパッド、キーボード、マウス等を含む入力装置である。なお、入力受付部23にタッチパッドが含まれている場合、タッチパッドは、タッチパネルとして表示部25と一体に構成されてもよい。
【0034】
通信部24は、有線と無線とのうちの少なくとも一方によって他の装置との通信を行う通信装置である。以下では、一例として、通信部24が、有線によって情報処理装置20と通信可能に接続されている場合について説明する。
【0035】
表示部25は、ディスプレイを含む表示装置である。
【0036】
以上のような構成の三次元造形システム1において、情報処理装置20は、ユーザーからの受け付けた操作に応じて、形状情報を受け付ける。形状情報は、三次元造形物の形状を示す情報であれば、如何なる情報であってもよく、例えば、CAD(Computer Aided Design)データである。形状情報を受け付けた後、情報処理装置20は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、受け付けた形状情報が示す形状のオブジェクトを生成する。オブジェクトを生成した後、情報処理装置20は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、生成したオブジェクトを、複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした複数のスライス層のそれぞれを示すスライス層情報を生成する。スライス層情報を生成した後、情報処理装置20は、スライス層情報が示す複数のスライス層毎に、スライス層の造形パスを示す造形パス情報を生成する。あるスライス層の造形パスは、当該スライス層を形成する場合において、造形材料を吐出しながら移動するノズルNzのステージ11に対する走査経路のことである。換言すると、あるスライス層の造形パスは、当該スライス層を形成する場合において、造形材料を吐出しながら移動するノズルNzの、ステージ11の造形面に沿って相対的に移動する走査経路のことである。造形パス情報は、スライス層の造形パスを示すことが可能な情報であれば、如何なる情報であってもよく、例えば、STL(Stereolithography)データである。ここで、図2は、造形パス情報の一例を示す図である。図2に示したように、実行コマンド情報には、造形ヘッド12のノズルNzの先端を一致させる位置を示す座標が、当該先端を一致させる順に上から下に向かって並んでいる。例えば、図2における座標(X2,Y2)が示す位置は、座標(X1,Y1)が示す位置の次に造形ヘッド12のノズルNzの先端を位置させる位置である。
【0037】
スライス層毎の造形パス情報を生成した後、情報処理装置20は、生成したスライス層毎の造形パス情報毎に、造形パス情報が示す造形パス上の各位置において実行されるコマンドを、第2記憶部22に予め記憶されたコマンド追加規則情報に基づいて造形パス情報に追加し、実行コマンド情報として生成する。すなわち、前述の実行コマンド情報は、コマンドが追加された後の造形パス情報のことである。このため、ある造形パス情報にコマンドが追加された後の実行コマンド情報は、当該造形パス情報が示す造形パスを示す。ここで、造形パス情報に追加されるコマンドの形式は、そのコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に実行させることが可能な形式であれば、如何なる形式であってもよく、例えば、Gコードである。また、造形パス情報に追加されるコマンドは、三次元造形装置10に各種の動作を開始させるコマンド、当該動作を終了させるコマンド、当該動作を変化させるコマンド等であり、例えば、第1モーター13の回転を開始させるコマンド、第1モーター13の回転数を上昇させるコマンド、第1モーター13の回転数を低下させるコマンド、第1モーター13の回転を終了させるコマンド、第2モーター14の回転を開始させるコマンド、第2モーター14の回転数を上昇させるコマンド、第2モーター14の回転数を低下させるコマンド、第2モーター14の回転を終了させるコマンド等であるが、これらに限られるわけではない。また、コマンド追加規則情報は、造形パスの形状等に応じて、造形パス上のいずれの位置にどのようなコマンドを追加するのかを規定する情報である。コマンド追加規則情報は、ユーザーにより生成、編集、削除が可能な情報であってもよく、予め決められた情報であってもよい。ここで、実行コマンド情報は、より具体的には、造形パス情報において造形パス上の各位置を示す座標の少なくとも一部にコマンドが追加された情報であり、例えば、DATデータである。スライス層毎に実行コマンド情報を生成した後、情報処理装置20は、生成した各実行コマンド情報を含む三次元造形用データを生成する。三次元造形用データには、実行コマンド情報に加えて、他の情報が含まれている。しかしながら、本実施形態では、当該他の情報についての説明を省略する。
【0038】
ここで、図3は、図2に示した造形パス情報にコマンドが追加された後の実行コマンド情報の一例を示す図である。また、図3に示したように、実行コマンド情報には、ある座標が示す位置において三次元造形装置10に実行させたい動作に対応付けられたコマンドが、当該座標の直下に配置されている。例えば、図3に示した例では、コマンドC1は、座標(X11,Y11)が示す位置において三次元造形装置10に実行させたい動作に対応付けられたコマンドの一例を示す。また、例えば、当該例では、コマンドC2は、座標(X32,Y32)が示す位置において三次元造形装置10に実行させたい動作に対応付けられたコマンドの一例を示す。なお、座標(X1,Y1)のように直下にコマンドが配置されていない座標が示す位置では、三次元造形装置10は、それまでに三次元造形装置10が実行した動作を継続する。例えば、座標(X1,Y1)にノズルNzの先端が到達するまでの間に、三次元造形装置10が造形ヘッド12を速度V1で移動させていた場合、且つ、コマンドC1が三次元造形装置10に造形ヘッド12の速度を速度V2に変更させるコマンドであった場合、三次元造形装置10は、座標(X1,Y1)が示す位置から座標(X10,Y10)が示す位置までの間、造形ヘッド12を速度V1で移動させ、座標(X11,Y11)が示す位置から造形ヘッド12を速度V2で移動させる。なお、当該コマンドは、第2モーター14の回転数を変化させるコマンドの一例である。
【0039】
ここで、コマンド追加規則情報に基づいて生成された実行コマンド情報において、造形パス上の位置のうち各種のコマンドが実行される位置は、三次元造形物の造形にとって好適な位置ではない場合があった。これは、三次元造形物の造形精度を悪化させるため、望ましくない。
【0040】
そこで、情報処理装置20は、スライス層情報が示す複数のスライス層毎に、スライス層の造形パスを示す造形パス情報に基づいて、造形パスに含まれる各線分の長さを示す線分長情報と、造形パスに含まれる各線分が延伸する方向を示す線分方向情報とを取得する。そして、情報処理装置20は、取得した線分長情報及び線分方向情報とに基づいて、予め生成しておいた実行コマンド情報を変更する。換言すると、情報処理装置20は、取得した線分長情報及び線分方向情報とに基づいて、予め生成しておいた実行コマンド情報を修正する。これにより、情報処理装置20は、実行コマンド情報において、造形パス上の位置のうち各種のコマンドが実行される位置を、三次元造形物の造形にとって好適な位置にすることができる。その結果、情報処理装置20は、三次元造形物の造形精度を向上させることができる。以下では、情報処理装置20が行う処理のうち、このような実行コマンド情報を変更する処理について詳しく説明する。
【0041】
<実行コマンド情報を変更する処理>
以下、図4を参照し、三次元造形用データを生成する処理を例に挙げて、当該処理に含まれる処理として、実行コマンド情報を変更する処理について説明する。なお、実行コマンド情報を変更する処理は、三次元造形用データを生成する処理と独立な処理であってもよい。
【0042】
図4は、情報処理装置20が実行する処理のうち、三次元造形用データを生成する処理の流れの一例を示す図である。以下では、一例として、図4に示したステップS110の処理が実行されるよりも前のタイミングにおいて、三次元造形用データの生成を情報処理装置20に開始させる処理開始操作を情報処理装置20が受け付けている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、形状情報が第2記憶部22に予め記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、前述のコマンド追加規則情報が第2記憶部22に予め記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、第1パラメーター情報が第2記憶部22に予め記憶されている場合について説明する。第1パラメーター情報は、三次元造形物の造形に関するパラメーターのうち、情報処理装置20がユーザーから受け付けたパラメーターを示す情報である。第1パラメーター情報には、例えば、造形材料の積層ピッチを示すパラメーター、三次元造形物として積層される造形材料のうちインフィル領域に積層される造形材料の充填密度を示すパラメーター、インフィル領域内への造形材料の充填パターンを示すパラメーター、ノズルNzの径を示すパラメーター等のそれぞれを示すが含まれている。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、第2パラメーター情報が第2記憶部22に予め記憶されている場合について説明する。第2パラメーター情報については、後述する。
【0043】
処理開始操作を受け付けた後、取得部211は、第2記憶部22に予め記憶されている形状情報を第2記憶部22から読み出して取得する(ステップS110)。なお、取得部211は、ステップS110において、第2記憶部22に記憶された形状情報を第2記憶部22から読み出す構成に代えて、インターネット等を介して接続された他の装置から形状情報を取得する構成であってもよく、外付けのフラッシュメモリー等から形状情報を取得する構成であってもよく、他の方法により形状情報を取得する構成であってもよい。
【0044】
次に、生成部212は、ステップS110において取得部211により取得された形状情報が示す形状のオブジェクトを生成する。そして、生成部212は、生成したオブジェクトを、複数のスライス層にスライスし、スライスした複数のスライス層のそれぞれを示すスライス層情報を生成する(ステップS120)。ここで、生成部212は、ステップS120においてオブジェクトを複数のスライス層にスライスする際、第2記憶部22に予め記憶されている第1パラメーター情報を第2記憶部22から読み出し、読み出した第1パラメーター情報に基づいて、オブジェクトを複数のスライス層にスライスする。なお、生成部212がオブジェクトを複数のスライス層にスライスする方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0045】
次に、生成部212は、ステップS120において生成したスライス層情報に基づいて、スライス層情報が示す複数のスライス層毎に、スライス層の造形パスを示す造形パス情報を生成する(ステップS130)。ここで、生成部212は、ステップS130において、あるスライス層の造形パスを示す造形パス情報を、当該スライス層を示すスライス層情報の下階層に格納する。なお、各スライス層の造形パスを示す造形パス情報の生成方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0046】
次に、生成部212は、ステップS120においてオブジェクトをスライスした複数のスライス層のそれぞれを1つずつ対象スライス層として選択し、選択した対象スライス層毎に、ステップS150~ステップS220の処理を繰り返し行う(ステップS140)。なお、本実施形態では、処理の流れを明確に示すため、対象スライス層が選択される毎にステップS150~ステップS220の処理を生成部212が順に行う場合について説明するが、複数のスライス層毎に繰り返し行われるステップS150~ステップS220の処理は、並列に行われてもよい。
【0047】
ステップS140において対象スライス層が選択された後、生成部212は、ステップS130において生成した対象スライス層の造形パス情報に、線分マーカーを追加する(ステップS150)。ここで、ステップS150の処理について説明する。生成部212は、ステップS150において、以下のような処理を当該造形パス情報へ線分マーカーを追加する処理として実行する。すなわち、生成部212は、当該造形パス情報が示す造形パスに含まれている線分を、当該造形パス上において当該造形パスの始点に近い方から順に1つずつ対象線分として選択する。対象線分を選択した後、生成部212は、選択した対象線分の始点の座標と、選択した対象線分の終点の座標とを特定する。ここで、ある線分の始点は、当該線分が有する2つの端点のうち、当該線分を含む造形パス上において当該造形パスの始点に近い方の端点のことである。また、ある線分の終点は、当該線分が有する2つの端点のうち、当該線分を含む造形パス上において当該造形パスの終点に近い方の端点のことである。生成部212は、当該造形パス情報に含まれる座標のうち、対象線分の始点の座標と一致する座標が対象線分の始点であることを示す線分始点情報を、当該造形パス情報に追加する。例えば、生成部212は、当該造形パス情報における当該座標の直上に線分始点情報を追加する。また、生成部212は、当該造形パス情報に含まれる座標のうち、対象線分の終点の座標と一致する座標が対象線分の終点であることを示す線分終点情報を、当該造形パス情報に追加する。例えば、生成部212は、当該造形パス情報における当該座標の直下に線分終点情報を追加する。ここで、ある線分の始点を示す線分始点情報は、当該線分の始点を示すことが可能な情報であれば、如何なる情報であってもよく、例えば、当該線分の始点を示すマーカーである。また、ある線分の終点を示す線分終点情報は、当該線分の終点を示すことが可能な情報であれば、如何なる情報であってもよく、例えば、当該線分の終点を示すマーカーである。このため、本実施形態では、ある線分の始点を示す線分始点情報と、当該線分の終点を示す線分終点情報とを区別する必要が無い限り、前述のように、まとめて当該線分を示す線分マーカーと称して説明する。生成部212は、対象線分を示す線分マーカーの当該造形パス情報への追加を、対象線分を選択する毎に繰り返し行う。
【0048】
図5は、図2に示した造形パス情報に追加された線分マーカーの一例を示す図である。図5に示した例では、生成部212は、図2に示した造形パス情報が示す造形パスのうち、座標(X1,Y1)が示す位置から座標(X11,Y11)が示す位置までの間の経路を1つの線分として選択している。この場合、生成部212は、座標(X1,Y1)を、当該1つの線分の始点の座標として特定するとともに、座標(X11,Y11)を、当該1つの線分の終点の座標として特定する。その結果、生成部212は、図5に示したように、座標(X1,Y1)が当該1つの線分の始点であることを示す線分始点情報として、線分始点マーカーS1を当該造形パス情報に追加している。図5に示した例では、線分始点マーカーS1は、当該造形パス情報において、座標(X1,Y1)の直上に追加されている。また、生成部212は、図5に示したように、座標(X11,Y11)が当該1つの線分の終点であることを示す線分終点情報として、線分終点マーカーG1を実行コマンド情報に追加している。当該例では、線分終点マーカーG1は、実行コマンド情報において、座標(X11,Y11)の直下に追加されている。つまり、これらの線分マーカーは、図2に示した造形パス情報に含まれる座標のうち、当該1つの線分上のすべての座標を挟み込むように当該造形パス情報に追加されている。従って、当該線分マーカーは、当該1つの線分を示している。
【0049】
また、図5に示した例では、生成部212は、同様に、図2に示した造形パス情報が示す造形パスのうち、座標(X12,Y12)が示す位置から座標(X32,Y32)が示す位置までの間の経路を1つの線分として選択している。このため、生成部212は、図5に示したように、座標(X12,Y12)が当該1つの線分の始点であることを示す線分始点情報として、線分始点マーカーS2を実行コマンド情報に追加している。図5に示した例では、線分始点マーカーS2は、当該造形パス情報において、座標(X12,Y12)の直上に追加されている。また、生成部212は、図5に示したように、座標(X32,Y32)が当該1つの線分の終点であることを示す線分終点情報として、線分終点マーカーG2を実行コマンド情報に追加している。つまり、これらの線分マーカーは、図2に示した当該造形パス情報に含まれる座標のうち、当該1つの線分上のすべての座標を挟み込むように当該造形パス情報に追加されている。従って、当該線分マーカーは、当該1つの線分を示している。
【0050】
次に、生成部212は、第2記憶部22に予め記憶されたコマンド追加規則情報を第2記憶部22から読み出す。そして、生成部212は、読み出したコマンド追加規則情報と、ステップS150において線分マーカーを追加した造形パス情報とに基づいて、当該造形パス情報が示す造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を生成する(ステップS160)。なお、生成部212がコマンド追加規則情報と当該造形パス情報とに基づいて実行コマンド情報を生成する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。ここで、図6は、図5に示した造形パス情報にコマンドが追加された後の実行コマンド情報の一例を示す図である。図6に示した例では、図3に示した実行コマンド情報と同様に、コマンドC1が座標(X11,Y11)の直下に追加されている。また、当該例では、図3に示した実行コマンド情報と同様に、コマンドC2が座標(X31,Y31)の直下に追加されている。
【0051】
次に、生成部212は、ステップS160において生成した実行コマンド情報に含まれる各線分マーカーが示す線分を、当該実行コマンド情報が示す造形パス上において当該造形パスの始点に近い方から順に1つずつ第1線分として選択し、選択した第1線分毎に、ステップS180~ステップS220の処理を繰り返し行う(ステップS170)。なお、ステップS170~ステップS220の繰り返し処理は、並列に行われてもよい。また、生成部212は、ステップS170において、ステップS150において線分マーカーを追加した後の造形パス情報に含まれる各線分マーカーが示す線分を、当該造形パス情報が示す造形パス上において当該造形パスの始点に近い方から順に1つずつ第1線分として選択する構成であってもよい。
【0052】
ステップS170において第1線分が選択された後、生成部212は、ステップS160において生成した実行コマンド情報が示す造形パス上において、第1線分の当該造形パスの終点に近い方の隣に位置する線分を、第2線分として選択する(ステップS180)。
【0053】
次に、取得部211は、ステップS160において生成部212により生成された実行コマンド情報に基づいて、ステップS170において選択した第1線分の長さを示す第1線分長情報と、ステップS180において選択した第2線分の長さを示す第2線分長情報と、当該第1線分が延伸する方向を示す第1線分方向情報と、当該第2線分が延伸する方向を示す第2線分方向情報とを取得する(ステップS190)。なお、取得部211による第1線分長情報、第2線分長情報、第1線分方向情報、第2線分方向情報のそれぞれを取得する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。なお、図4では、ステップS190の処理が「長さ及び方向特定」によって示されている。
【0054】
次に、変更部213は、ステップS190において取得部211により取得された第1線分方向情報及び第2線分方向情報に基づいて、第1線分と第2線分との間の角度を、線分間角度として特定する(ステップS200)。なお、変更部213による線分間角度の特定方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0055】
次に、変更部213は、第2記憶部22に予め記憶された第2パラメーター情報を第2記憶部22から読み出す。そして、変更部213は、読み出した第2パラメーター情報と、ステップS190において取得部211により取得された第1線分長情報及び第2線分長情報と、ステップS200において特定した線分間角度とに基づいて、実行コマンド情報のうち第1線分及び第2線分の少なくとも一方に関する情報を変更するか否かについて判定する(ステップS210)。ここで、ステップS210の処理について説明する。
【0056】
まず、第2パラメーター情報について説明する。第2パラメーター情報は、実行コマンド情報の変更に関する情報として、情報処理装置20がユーザーから予め受け付けたパラメーターを示す情報を含む情報である。図7は、第2パラメーター情報の一例を示す図である。図7に示した例では、第2パラメーター情報では、第1線分長情報と、第2線分長情報と、線分間角度を示す線分間角度情報と、変更の要否を示す変更要否情報と、変更を行う対象となるコマンドに対応付けられた線分を示す変更対象情報と、変更内容を示す変更内容情報とが対応付けられた情報である。ここで、ある線分に対応付けられたコマンドは、当該線分上のいずれかの位置において三次元造形装置10に実行させる動作に対応付けられたコマンドのことである。ただし、図7では、第1線分長情報が「第1線分の長さ[mm]」によって示されている。また、図7では、第2線分長情報が「第2線分の長さ[mm]」によって示されている。また、図7では、線分間角度情報が「角度[°]」によって示されている。また、図7では、変更要否情報が「変更の要否」によって示されている。また、図7では、変更対象情報が「変更対象」によって示されている。また、図7では、変更内容情報が「変更内容」によって示されている。なお、第2パラメーター情報では、第1線分長情報と、第2線分長情報と、線分間角度情報と、変更要否情報と、変更対象情報と、変更内容情報との情報に対して、他の情報が更に対応付けられていてもよい。
【0057】
例えば、図7に示した第2パラメーター情報における最上段のレコードは、第1線分の長さが10[mm]であり、第2線分の長さが10[mm]であり、線分間角度が150[°]である場合、実行コマンド情報の変更を行う必要が無いことを示している。
【0058】
また、例えば、図7に示した第2パラメーター情報における上から2番目のレコードは、第1線分の長さが10[mm]であり、第2線分の長さが10[mm]であり、線分間角度が90[°]である場合、実行コマンド情報の変更を行う必要があることを示している。また、当該レコードは、当該場合、第1線分に対応付けられたコマンドを、変更を行う対象となるコマンドとして示している。また、当該レコードは、当該場合、実行コマンド情報内において、第1モーター13の回転数を低下させるコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に行わせる位置を、変更前位置P1から変更後位置P2へ変更することを、変更の内容として示している。ここで、変更前位置P1は、第1線分上の位置のうち、第1モーター13の回転数を低下させるコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に行わせる位置のことである。また、変更後位置P2は、第1線分上の位置のうち、変更前位置に造形ヘッド12のノズルNzが位置するタイミングよりも0.5秒前のタイミングにおいて造形ヘッド12のノズルNzが位置する位置のことである。なお、変更後位置P2は、「0.5秒前」のように時間によって示されているが、これに代えて、距離、座標等の他のパラメーターによって示されてもよい。
【0059】
また、例えば、図7に示した第2パラメーター情報における上から3番目のレコードは、第1線分の長さが1[mm]であり、第2線分の長さが1[mm]であり、線分間角度が90[°]である場合、実行コマンド情報の変更を行う必要があることを示している。また、当該レコードは、当該場合、第1線分及び第2線分のそれぞれに対応付けられたコマンドを、変更を行う対象となるコマンドとして示している。また、当該レコードは、当該場合、実行コマンド情報内において、第1モーター13の回転数を低下させるコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に行わせる位置を、変更前位置P3から変更後位置P4へ変更することを、変更の内容として示している。ここで、変更前位置P3は、第1線分上の位置のうち、第1モーター13の回転数を低下させるコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に行わせる位置のことである。また、変更後位置P4は、第1線分上の位置のうち、変更前位置に造形ヘッド12のノズルNzが位置するタイミングよりも1.2秒前のタイミングにおいて造形ヘッド12のノズルNzが位置する位置のことである。なお、変更後位置P4は、「1.2秒前」のように時間によって示されているが、これに代えて、距離、座標等の他のパラメーターによって示されてもよい。また、当該レコードは、当該場合、実行コマンド情報内において、第1モーター13の回転数を上昇させるコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に行わせる位置を、変更前位置P5から変更後位置P6へ変更することを、変更の内容として示している。ここで、変更前位置P5は、第2線分上の位置のうち、第1モーター13の回転数を上昇させるコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に行わせる位置のことである。また、変更後位置P6は、第2線分上の位置のうち、変更前位置に造形ヘッド12のノズルNzが位置するタイミングよりも0.4秒後のタイミングにおいて造形ヘッド12のノズルNzが位置する位置のことである。なお、変更後位置P6は、「0.4秒後」のように時間によって示されているが、これに代えて、距離、座標等の他のパラメーターによって示されてもよい。
【0060】
なお、第2パラメーター情報において、第1線分長情報は、第1線分の長さが含まれる範囲を示す情報に代えられてもよい。また、第2パラメーター情報において、第2線分長情報は、第2線分の長さが含まれる範囲を示す情報に代えられてもよい。また、第2パラメーター情報において、線分間角度情報は、線分間角度が含まれる範囲を示す情報に代えられてもよい。
【0061】
変更部213は、ステップS210において、このような第2パラメーター情報に含まれるレコードの中から、第1線分長情報が示す第1線分の長さと、第2線分長情報が示す第2線分の長さと、線分間角度が示す角度との3つのパラメーターを含むレコードを特定する。そして、変更部213は、特定したレコードに対応付けられた変更要否情報に基づいて、実行コマンド情報のうち第1線分及び第2線分の少なくとも一方に関する情報を変更するか否かについて判定する。すなわち、変更部213は、実行コマンド情報の変更を行う必要が無いことを示していると判定した場合、実行コマンド情報のうち第1線分及び第2線分の両方に関する情報を変更しないと判定する。一方、変更部213は、実行コマンド情報の変更を行う必要があることを示していると判定した場合、実行コマンド情報のうち第1線分及び第2線分のうち少なくとも一方に関する情報を変更すると判定する。なお、以下では、説明の便宜上、当該レコードを、対象レコードと称して説明する。
【0062】
ステップS210において、生成部212は、実行コマンド情報のうち第1線分及び第2線分の両方に関する情報を変更しないと変更部213が判定した場合(ステップS210-NO)、ステップS170に遷移し、次の第1線分を選択する。ここで、生成部212は、ステップS170において、第1線分として未選択の線分が存在しない場合、ステップS140に遷移し、次の対象スライス層を選択する。また、生成部212は、ステップS140において、対象スライス層として未選択のスライス層が存在しない場合、ステップS140~ステップS220の繰り返し処理を終了し、ステップS230に遷移する。
【0063】
一方、変更部213は、実行コマンド情報のうち第1線分及び第2線分のうち少なくとも一方に関する情報を変更すると判定した場合(ステップS210-YES)、ステップS210において特定した対象レコードに基づいて、変更を行う対象となるコマンドと、変更の内容とのそれぞれを特定する。そして、変更部213は、特定したコマンドの実行コマンド情報上における位置を変更する(ステップS220)。図3では、ステップS220の処理が「実行コマンド情報変更」によって示されている。例えば、変更部213は、ステップS210において特定した対象レコードが、図5に示した第2パラメーター情報における上から2番目のレコードであった場合、実行コマンド情報内において、第1モーター13の回転数を低下させるコマンドに対応付けられた動作を三次元造形装置10に行わせる位置を、変更前位置P1から変更後位置P2へ変更する。
【0064】
ここで、図8は、図6に示した実行コマンド情報内のコマンドの位置がステップS220の処理によって移動させられた後の様子の一例を示す図である。図8に示した例では、座標(X11,Y11)の直下の位置に位置していたコマンドC1の位置は、座標(X2,Y2)の直下の位置に変更されている。これは、変更部213が、第2パラメーター情報に基づいてコマンドC1の位置を変更したためである。一方、当該例では、座標(X31,Y31)の直下の位置に位置していたコマンドC2の位置は、変更されていない。これは、変更部213が、第2パラメーター情報に基づいてコマンドC2の位置を変更しなかったためである。
【0065】
このように、情報処理装置20は、第1線分長情報、第2線分長情報、第1線分方向情報、第2線分方向情報に基づいて、生成した実行コマンド情報を変更する。これにより、情報処理装置20は、実行コマンド情報において、造形パス上の位置のうち各種のコマンドが実行される位置を、三次元造形物の造形にとって好適な位置にすることができる。その結果、情報処理装置20は、三次元造形物の造形精度を向上させることができる。
【0066】
ステップS220の処理が行われた後、生成部212は、ステップS170に遷移し、次の第1線分を選択する。ここで、生成部212は、ステップS170において、第1線分として未選択の線分が存在しない場合、ステップS140に遷移し、次の対象スライス層を選択する。また、生成部212は、ステップS140において、対象スライス層として未選択のスライス層が存在しない場合、ステップS140~ステップS220の繰り返し処理を終了し、ステップS230に遷移する。
【0067】
ステップS140~ステップS220の繰り返し処理を終了した後、生成部212は、当該繰り返し処理によって変更した後の実行コマンド情報を含む三次元造形用データを生成する(ステップS230)。
【0068】
次に、生成部212は、ステップS230において生成した三次元造形用データを第2記憶部22に記憶させ(ステップS240)、図3に示したフローチャートの処理を終了する。
【0069】
以上のように、情報処理装置20は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置10に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置である。そして、情報処理装置20は、複数のスライス層のうちの第1スライス層の造形パスを示す造形パス情報に基づいて、造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を含む三次元造形用データを生成する生成部212と、当該造形パスに含まれる線分のうちの第1線分の長さを示す第1線分長情報と、当該造形パスに含まれる線分のうち第1線分と異なる第2線分の長さを示す第2線分長情報と、第1線分が延伸する方向を示す第1線分方向情報と、第2線分が延伸する方向を示す第2線分方向情報とを取得する取得部211と、取得部211により取得された第1線分長情報、第2線分長情報、第1線分方向情報、第2線分方向情報に基づいて、生成部212により生成された実行コマンド情報を変更する変更部213と、を備える。これにより、情報処理装置20は、実行コマンド情報において、造形パス上の位置のうち各種のコマンドが実行される位置を、三次元造形物の造形にとって好適な位置にすることができる。その結果、情報処理装置20は、三次元造形物の造形精度を向上させることができる。
【0070】
なお、装置制御部214は、例えば、ステップS240において第2記憶部22に記憶された三次元造形用データを三次元造形装置10に出力し、三次元造形装置10を制御することができる。この場合、三次元造形装置10の第1制御部15は、情報処理装置20から取得した三次元造形用データに基づいて、三次元造形装置10を動作させ、三次元造形物の造形を行う。これにより、第1制御部15は、例えば、所定値以上の長さの直線に沿って造形材料をノズルNzから吐出する場合、第1回転速度で第1モーター13を駆動させ、所定値未満の長さの直線に沿って造形材料をノズルNzから吐出する場合、第1回転速度よりも遅い第2回転速度で第1モーター13を駆動させることができる。その結果、三次元造形装置10は、三次元造形物の造形精度を向上させることができる。
【0071】
また、上記において説明した取得部211は、ステップS190において、第1線分長情報、第2線分長情報、第1線分方向情報、第2線分方向情報に加えて、実行コマンド情報に基づいて、第1線分終点情報と、第2線分始点情報と、移動速度情報とを取得する構成であってもよい。ここで、第1線分終点情報は、第1線分の終点を示す情報のことである。また、第2線分始点情報は、第2線分の始点を示す情報のことである。また、移動速度情報は、実行コマンド情報が示す造形パスに沿って三次元造形装置10が移動させるノズルNzの移動速度を示す情報のことである。この場合、変更部213は、ステップS220において、第1線分長情報、前記第2線分長情報、線分間角度情報、第1線分終点情報、第2線分始点情報、移動速度情報に基づいて、実行コマンド情報を変更する。これにより、情報処理装置20は、実行コマンド情報において、造形パス上の位置のうち各種のコマンドが実行される位置を、より確実に、三次元造形物の造形にとって好適な位置にすることができる。例えば、第1線分終点情報が示す終点と、第2線分始点情報が示す始点とが一致している場合、第1線分と第2線分とが直接接続されていることが分かる。また、例えば、第1線分終点情報が示す終点と、第2線分始点情報が示す始点とが一致していない場合、第1線分と第2線分とが曲線に近い経路又は曲線の経路を介して接続されていることが分かる。従って、変更部213は、この場合、第1線分と第2線分との接続の仕方に応じて、コマンドの位置を変更することができる。また、変更部213は、この場合、ノズルNzの移動速度に応じて、コマンドの位置を変更することもできる。その結果、情報処理装置20は、実行コマンド情報内におけるコマンドの位置を、より細かく変更することができ、その結果、実行コマンド情報において、造形パス上の位置のうち各種のコマンドが実行される位置を、より確実に、三次元造形物の造形にとって好適な位置にすることができる。
【0072】
ステップS190において取得部211が、第1線分長情報、第2線分長情報、第1線分方向情報、第2線分方向情報、第1線分終点情報、第2線分始点情報、移動速度情報を取得する場合、第2パラメーター情報は、図9に示すような情報となる。図9は、第2パラメーター情報の他の例を示す図である。図9に示した例では、第2パラメーター情報では、第1線分長情報と、第2線分長情報と、線分間角度情報と、第1線分終点情報と、第2線分始点情報と、移動速度情報と、変更要否情報と、変更対象情報と、変更内容情報とが対応付けられた情報である。ただし、図9では、第1線分長情報が「第1線分の長さ[mm]」によって示されている。また、図9では、第2線分長情報が「第2線分の長さ[mm]」によって示されている。また、図9では、線分間角度情報が「角度[°]」によって示されている。また、図9では、第1線分終点情報が「第1線分の終点]」によって示されている。また、図9では、第2線分始点情報が「第2線分の始点]」によって示されている。また、図9では、移動速度情報が「ノズルの速度[mm/s]]」によって示されている。また、図9では、変更要否情報が「変更の要否」によって示されている。また、図9では、変更対象情報が「変更対象」によって示されている。また、図9では、変更内容情報が「変更内容」によって示されている。なお、図9に示した第2パラメーター情報では、第1線分長情報と、第2線分長情報と、線分間角度情報と、第1線分終点情報と、第2線分始点情報と、移動速度情報と、変更要否情報と、変更対象情報と、変更内容情報との情報に対して、他の情報が更に対応付けられていてもよい。
【0073】
また、上記において説明した内容は、如何様に組み合わされてもよい。
【0074】
<付記>
[1]
複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置であって、前記複数のスライス層のうちの第1スライス層の造形パスを示す造形パス情報に基づいて、前記造形パス上の各位置において実行されるコマンドを示す実行コマンド情報を含む前記三次元造形用データを生成する生成部と、前記造形パスに含まれる線分のうちの第1線分の長さを示す第1線分長情報と、前記造形パスに含まれる線分のうち前記第1線分と異なる第2線分の長さを示す第2線分長情報と、前記第1線分が延伸する方向を示す第1線分方向情報と、前記第2線分が延伸する方向を示す第2線分方向情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記第1線分長情報、前記第2線分長情報、前記第1線分方向情報、前記第2線分方向情報に基づいて、前記生成部により生成された前記実行コマンド情報を変更する変更部と、を備える情報処理装置。
[2]
前記生成部は、前記第1スライス層を示すスライス層情報に基づいて、前記造形パス情報を生成する、[1]に記載の情報処理装置。
[3]
前記生成部は、前記三次元造形物の形状を示す形状情報に基づいて、前記スライス層情報を生成する、[2]に記載の情報処理装置。
[4]
前記取得部は、前記実行コマンド情報に基づいて、前記第1線分の終点を示す第1線分終点情報と、前記第2線分の始点を示す第2線分始点情報と、前記造形パス情報が示す前記造形パスに沿って前記三次元造形装置が移動させるノズルの移動速度を示す移動速度情報とを取得し、前記変更部は、前記取得部により取得された前記第1線分長情報、前記第2線分長情報、前記第1線分方向情報、前記第2線分方向情報、前記第1線分終点情報、前記第2線分始点情報、前記移動速度情報に基づいて、前記生成部により生成された前記実行コマンド情報を変更する、[1]から[3]のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
[5]
[1]から[4]のうちいずれか一項に記載の情報処理装置と、前記三次元造形装置と、を備える三次元造形システム。
[6]
前記三次元造形装置は、前記三次元造形物が造形されるステージと、前記ステージ上に造形材料を吐出するノズルと、前記ノズルに供給される前記造形材料の流量を制御する第1モーターと、前記ステージと前記ノズルとの相対的な位置を変更する第2モーターと、前記実行コマンド情報に基づいて、前記第1モーター、前記第2モーターのそれぞれを制御する制御部と、前記三次元造形用データを記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、所定値以上の長さの直線に沿って前記造形材料を前記ノズルから吐出する場合、第1回転速度で前記第1モーターを駆動させ、前記所定値未満の長さの直線に沿って前記造形材料を前記ノズルから吐出する場合、前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度で前記第1モーターを駆動させる、[5]に記載の三次元造形システム。
【0075】
以上、この開示の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0076】
また、以上に説明した装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここで、当該装置は、例えば、三次元造形装置10、情報処理装置20等である。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0077】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル又は差分プログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…三次元造形システム、10…三次元造形装置、11…ステージ、12…造形ヘッド、13…第1モーター、14…第2モーター、15…第1制御部、16…第1記憶部、20…情報処理装置、21…第2制御部、22…第2記憶部、23…入力受付部、24…通信部、25…表示部、211…取得部、212…生成部、213…変更部、214…装置制御部、Nz…ノズル
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9