(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161984
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】冷却発熱兼用衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20241114BHJP
A41D 1/00 20180101ALI20241114BHJP
【FI】
A41D13/005 108
A41D1/00 D
A41D1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077097
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】593161375
【氏名又は名称】山真製鋸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
【テーマコード(参考)】
3B030
3B211
【Fターム(参考)】
3B030AA01
3B030AA02
3B030AA03
3B030AA06
3B030AB05
3B030AB06
3B030AB08
3B030AB12
3B211AA01
3B211AB01
3B211AB11
3B211AC01
3B211AC13
3B211AC21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高温環境と寒冷環境のいずれの環境でも快適に着用できる冷却発熱兼用衣服の提供。
【解決手段】冷却発熱兼用ベストは、冷却衣服として着用する場合には、表地側の蓋体を開いて凍結した飲料入りのペットボトルを収容すると共に、水も入れて裏地側に這い回された熱交換用チューブに冷やした水を流す。熱交換用チューブに接触して身体側が冷やされる。防寒用の発熱衣服として着用する場合には、表地と裏地との間の電熱シート69、71、71が発熱して、裏地側が温められる。その際、熱交換用チューブがスペーサとして働く。従って、裏地と着用者の上着との間に隙間ができたり、裏地と着用者の上着が接触していても、軽く接触するだけで圧接状態にはならない。そのため、前後左右から熱を十分に受け取ることができる。しかも、長時間にわたって着用していても、低温やけどが発生するような接触状態にはならない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上着本体と、前記上着本体の後身ごろの表地と裏地との間に設けられた断熱仕切りと、前記表地と前記断熱仕切りとの間に設けられ、保冷材が出し入れ自在に収容される収容部と、前記上着本体の内面側に露出して這わされ、両端側が前記収容部に接続された可撓性で耐熱性の熱交換用チューブと、前記裏地と前記断熱仕切りとの間に収容されて設けられた電熱シートを備え、
冷却流体が前記収容部を通過して保冷剤により冷やされながら前記熱交換用チューブ中を循環すると、冷却衣服になり、
前記電熱シートの通電により熱を発生すると、発熱衣服になることを特徴とする冷却発熱兼用衣服。
【請求項2】
請求項1に記載した冷却発熱兼用衣服において、
上着本体の裏地はメッシュ状の柔軟な素材で構成されていることを特徴とする冷却発熱兼用衣服。
【請求項3】
請求項1に記載した冷却発熱兼用衣服において、
熱交換用チューブはシリコーンゴムで構成されていることを特徴とする冷却発熱兼用衣服。
【請求項4】
請求項1に記載した冷却発熱兼用衣服において、
電熱シートは、左右の前身ごろにもそれぞれ設けられていることを特徴とする冷却発熱兼用衣服。
【請求項5】
請求項1に記載した冷却発熱兼用衣服において、
裏地と断熱仕切りとの間には保形シートも収容され、電熱シートは前記保形シートと裏地との間に配置されることを特徴とする冷却発熱兼用衣服。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載した冷却発熱兼用衣服において、
保冷剤が凍結可能な液体入りのペットボトルであることを特徴とする冷却発熱兼用衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境と寒冷環境それぞれの環境において使い分けられる冷却発熱兼用衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夏場等の高温環境下での作業では汗をかき易く、熱中症になり易い。これを防止するために、特許文献1に記載のように、凍結したペットボトルに接触させて冷却させた水を衣服に取り付けたチューブ中を循環させるタイプの冷却衣服が提案されている。この冷却衣服では、快適な冷却効果を長時間にわたって維持できながら、軽量で着心地もよい。
また、冬場等の寒冷環境下での作業では、体温が低下しないように末梢血管の収縮や寒冷ふるえなどの体温調節反応が起こり、それに付随して、血圧が上昇したり、筋肉の動きが悪くなり、手作業がしにくくなったり、排尿の回数が増えて気づかないうちに脱水が進行したりする。これを防止するために、特許文献2に記載のように、衣服に電熱部品を取付け、その電熱部品の発する熱により、当該衣服を温める防寒衣服が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-11483号公報
【特許文献2】実用新案登録第3229950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では業務用だけでなく、日常生活での個人的使用も増えてきている。
しかしながら、上記のような衣服は冷却用と防寒用とそれぞれ専用の用途にカスタマイズされており、一年を通して使用しようとすると、冷却衣服と防寒衣服をそれぞれ用意しておく必要があり、その分だけ、費用が掛かる。
更に、防寒衣服については、暖房費の節約のために、室内の日常生活でも積極的に利用されるようになっているが、そのまま寝てしまったりすると長時間皮膚が熱源に接触することになり、低温やけどになる恐れがある。そのため、一定時間経過すると自動的に電源供給がOFFになるような仕組みになっていたり、前身ごろ側を開いて防寒効果を敢えて犠牲にして着用したりしている。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、高温環境と寒冷環境のいずれの環境でも、それぞれの効能が十分に発揮されて快適に着用できる、新規且つ有用な冷却発熱兼用衣服を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために為されたものであり、上着本体と、前記上着本体の後身ごろの表地と裏地との間に設けられた断熱仕切りと、前記表地と前記断熱仕切りとの間に設けられ、保冷材が出し入れ自在に収容される収容部と、前記上着本体の内面側に露出して這わされ、両端側が前記収容部に接続された可撓性で耐熱性の熱交換用チューブと、前記裏地と前記断熱仕切りとの間に収容されて設けられた電熱シートを備え、冷却流体が前記収容部を通過して保冷剤により冷やされながら前記熱交換用チューブ中を循環すると、冷却衣服になり、前記電熱シートの通電により熱を発生すると、発熱衣服になることを特徴とする冷却発熱兼用衣服である。
【0007】
好ましくは、上着本体の裏地はメッシュ状の柔軟な素材で構成されている。
好ましくは、熱交換用チューブはシリコーンゴムで構成されている。
好ましくは、電熱シートは、左右の前身ごろにもそれぞれ設けられている。
好ましくは、裏地と断熱仕切りとの間には保形シートも収容され、電熱シートは前記保形シートと裏地との間に配置される。
好ましくは、保冷剤が凍結可能な液体入りのペットボトルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の冷却発熱兼用衣服は、高温環境と寒冷環境のいずれの環境でも、それぞれの効能が十分に発揮されて快適に着用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る冷却発熱兼用ベストの前身ごろを開いて平面状に展開した状態を外側から示した図である。
【
図2】
図1の冷却発熱兼用ベストを内側から示した図である。
【
図4】
図1の冷却発熱兼用ベストの分解斜視図である。
【
図5】
図1の冷却発熱兼用ベストへのペットボトルの出し入れの仕方の説明図である。
【
図6】
図1の冷却発熱兼用ベストを冷却用に着用した状態を示す図である。
【
図7】
図1の冷却発熱兼用ベストを防寒用に着用した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る冷却発熱兼用衣服を図面にしたがって説明する。
図1、
図2に示すように、冷却発熱兼用衣服は上着の一種であるベスト型の冷却発熱兼用ベスト1になっており、ベスト本体3の後身ごろ5と左右の前身ごろ7、9とは肩部を介して連なっている。表地11はナイロン、ポリエステル等の合成繊維のハリの有る生地で構成されており、裏地13はポリエステル等の合成繊維がメッシュ状に編み込まれた通気性の良い柔軟な生地で構成されている。表地11と裏地13がそれぞれの輪郭縁で縫着されて一体化している。なお、裏地13は一枚の布地が連続しているが、表地11は肩部の近傍で分離してその境界が引出口11aになっている。
【0011】
左前身ごろ7と後身ごろ5の間の脇下部分では、ベルト15と移動カン17を利用してベルト長さ調整可能に連結されている。右前身ごろ9と後身ごろ5の間の脇下部分も同様に連結される。
左前身ごろ7と右前身ごろ9の間も、ベルト19とバックル21(雌バックル21a、雄バックル21b)を利用して着脱自在に連結される。
【0012】
表地11の外面側では、左前身ごろ7の中間から下側にかけて、表地11と同じ素材の袋布を利用して張付け状の外ポケット23が設けられている。この外ポケット23はマチ付きで突出しており、マチ部分がファスナ27で開閉するようになっている。また、外ポケット23の袋布を利用して、切込み状の内ポケットが構成されており、切込み部のファスナ25で開閉するようになっている。
外ポケット23の上側では、左前身ごろ7を横断するように、伸縮テープの両端が左前身ごろ7に対して縫着されて、挿通型ガイド部29が設けられている。
右前身ごろ9側でも同様に構成されている。但し、右前身ごろ9側では、外ポケット23の上側にスイッチ31が取付けられている。このスイッチ31については、後で詳述する。
【0013】
また、表地11側では、後身ごろ5の下側に、表地11と同じ素材の袋布が内面側から重ね合され縫着されて、切込み状の内ポケット33が構成されており、切込み部のファスナ35で開閉するようになっている。
上側には円形の開口穴37(
図4)が形成されている。
【0014】
裏地13の外面側では、挿通型ガイド部29と同様な構成で挿通部分を小さくした挿通型ガイド部39が複数取り付けられている。
【0015】
図4に示すように、後身ごろ5側では、開口穴37を開口とする内ポケットが設けられている。この内ポケットは2種類になっており、開口穴37を開口として共用し、外側の保冷ポケット41が内側の収容ポケット45を包み込んだ形になっている。
保冷ポケット41は、縦長の平袋状で、2枚の後身ごろ5に対向した輪郭を有する袋布で構成されている。袋布はポリエチレンの基材シートにアルミ蒸着された断熱シート41a、41bになっており、アルミ面が互いに向き合う形でそれぞれの縁が縫着されて平袋状に製袋化されている。断熱シート41aは、表地11側に対して内張りされた状態になっており、開口穴37に対応して開口穴43が形成されている。断熱シート41bは裏地13側に対しては縁だけが結合している。裏地13側の断熱シート41bが裏地13側に対して断熱仕切りになっている。
なお、保冷ポケット41は肩部では断熱シート41a、41bが結合されずに開放されており、表地11側の引出口11aを介して外部に開放されている。
【0016】
収容ポケット45は縦長長方形の平袋状の収容部になっており、2枚の袋布で構成されている。袋布は防水性の合成樹脂シートで構成されており、封止シールにより製袋化されている。収容ポケット45はその両面が保冷ポケット41の内面に重ね合された状態になっており、断熱シート41aに対応して開口穴47が形成されている。
収容ポケット45側の開口穴47と、保冷ポケット41側の開口穴43と、表地11側の開口穴37が、それぞれの穴縁どうしが揃えられた状態で重ね合され、その重ね合された穴縁に口金49(
図1、
図5)が取り付けられている。従って、ベスト本体3の内部から、収容ポケット45が開口穴47を介して直接外方に開放されている。この収容ポケット45は保冷ポケット41に包まれているが、保冷ポケット41の開口穴43は収容ポケット45で閉じられた状態になる。
口金49に蓋体51を取り付けると、この開口穴47は閉じる。
【0017】
裏地13の外面側に取り付けられた挿通型ガイド部39に可撓性で耐熱性も有る熱交換用チューブ53が挿通されて左前身ごろ7から後ろ身ごろ5を介して右前身ごろ9にわたって、湾曲しながら蛇行状に這い回された状態で一筆書き状に延びている。熱交換用チューブ53はシリコーンゴムで形成されており、管径は4~6mm程度である。
裏地13と断熱シート41bを貫通する貫通穴55がハトメリングを利用して形成されており、熱交換用チューブ53の両端側はこの貫通穴55を通って、保冷ポケット41の内部に入り込んでいる。
【0018】
そして、熱交換用チューブ53の一端側は収容ポケット45の上側にそのまま接続されている。また、熱交換用チューブ53の他端側は、貫通穴55と同様な構成の貫通穴57を介して内ポケット33内に入り込み、そこに収容されているポンプ59を経由した上で、保冷ポケット41内に戻されて、収容ポケット45に接続されている。
従って、収容ポケット45が閉じられると、収容ポケット45と熱交換用チューブ53が環状に連なった冷却流体の閉鎖流路になる。
【0019】
ポンプ59のコード61は、貫通穴57と同様に設けられた貫通穴63を通されて、保冷ポケット41の内部に入り込み、引出口11aから外に引き出されている。外に引き出されたコード61は挿通型ガイド部29の間を通り抜けて、そのコネクタ61aはモバイルバッテリー65に脱着自在に接続される。モバイルバッテリー65は外ポケット23に収容できる。
【0020】
収容ポケット45の口金49から蓋体51を取り外して、保冷剤として凍結させた液体入りのペットボトルPを出し入れするようになっている。
また、収容ポケット45に冷却流体としての適量の水Wを供給して、熱交換用チューブ53内を満たして連続した流路を形成できる。収容ポケット45には水Wは満杯に入れる必要はなく、連続した流路を形成できる程度であればよい。
ペットボトルPと水Wを供給して流路を形成した状態で、モバイルバッテリー65の操作によりポンプ59を作動させると、前記流路が冷却流体循環経路になり、収容ポケット45内に流入してきた水WはペットボトルPにより冷やされて、収容ポケット45外に流出していき、熱交換用チューブ53中を絶えず冷たい水Wが流通することになる。
【0021】
図3に示すように、後身ごろ5側では、裏地13と、保冷ポケット41の断熱シート41bとの間には、比較的剛性の合成樹脂製の保形シート67が挟み込まれている。そして、保形シート67と裏地13との間に、電熱シート69が配置されている。この電熱シート69は扁平な長方形になっており、基布の内部に炭素繊維の束で構成された電熱式の発熱線が蛇行状態で埋設されている。
保形シート67に電熱シート69が重ね合されるので、着用者が動いても電熱シートがずれたり、丸まったりすることが抑えられている。
【0022】
左右の前身ごろ7、9側でも、電熱シート69より一回り小さいサイズの電熱シート71が表地11と裏地13の間に配置されている。左右の前身ごろ7、9側は裏地13と表地11は重なり合っているので、その間に挟み込まれた電熱シート71はずれたり、丸まったりすることが抑えられており、保形シートは設けられていない。
電熱シート69には2本のコード73、73が接続され、一方のコード73は一方の電熱シート71と接続されており、他方のコード73と、他方の電熱シート71に接続された別のコード73が共に裏地13側の首周りに形成された引出口13aから外に引き出されている。
【0023】
引き出された2本のコード73は、上記したスイッチ31に接続されている。スイッチ31には別のコード75も接続されており、このコード75のコネクタ75aはモバイルバッテリー77に着脱自在に接続される。モバイルバッテリー77は外ポケット23に収容できる。
電熱シート69、71、71はコード73、75を介してモバイルバッテリー77と接続されると回路が構成されるので、その状態でスイッチ31をONにすると、モバイルバッテリー77から電熱シート69、71、71の発熱線に通電されて発熱する。
【0024】
冷却発熱兼用ベスト1は上記のように構成されており、着用して、左右の前身ごろ7、9側のベルト19をバックル21で留めることで、後身ごろ5と、左右の前身ごろ7、9で身体の胴部を包み込んだ状態にできる。裏地13は柔軟で、着用者の体形に追従することが可能であり、熱交換用チューブ53は蛇行状に這い回されながら裏地13に対して適度に分布配置されているので、その状態では、それぞれの裏地13が熱交換用チューブ53を介して着用者の身体の上着と万遍なく接触し、且つ裏地13そのものが直接着用者の身体の上着と接触する面積は大幅に抑えられる。
【0025】
図6に示すように、冷却衣服として着用する場合には、蓋体51を開いて凍結した飲料入りのペットボトルPを収容すると共に、水Wも入れて水Wの流路を形成する。収容ポケット45は平袋状になっているが、合成樹脂製の柔軟な素材で構成されており、
図5に示すように、ペットボトルPが収容されると変形して中間部が膨らんだ状態になり、底部側はそれに伴い鋭角状に広がる。熱交換用チューブ53への流出側は底部側で接続されているので、極少量の水Wを入れるだけで流路を形成できる。
【0026】
なお、保形シート67が配置されているので、ペットボトルPを入れたことによりできた膨らみは表地11側に主に反映されることになり、着心地に悪影響は与えない。
そして、モバイルバッテリー65を接続する。このモバイルバッテリー65にはスイッチが配設されているので、このスイッチをONにすることで、ポンプ59が作動して、冷やされた水Wが熱交換用チューブ53中を循環する。熱交換用チューブ53は冷却チューブとして働くので、着用者はこの熱交換用チューブ53を介して水Wから冷気を受け取る。
【0027】
保冷ポケット41は断熱シート41a、41bで構成されており、その保冷ポケット41の中に収容ポケット45が配置されているので、ペットボトルPの保冷持続効果を十分に期待できる。
但し、保冷ポケット41の隙間に別の固形の保冷剤を収容することも可能なので、そこに保冷剤を収容すれば、ペットボトルPを更に長い時間にわたって保冷することができ、着用者は長時間にわたって安定した冷却効果を享受することができる。
【0028】
図7に示すように、防寒用に発熱衣服として着用する場合には、ジャケットJの下に着用する。
先ず、収容ポケット45と熱交換用チューブ53から水Wを抜き取り、保冷ポケット41も空にする。
そして、モバイルバッテリー77を接続する。ベスト本体3に取付けられたスイッチ31をONにすることで、通電されて電熱シート69、71、71が発熱する。断熱仕切りがあるので、発生した熱は裏地13側に伝わる。
図7では熱交換用チューブ53は図示省略されているが、裏地13の外面は熱交換用チューブ53が取付けられており、
図6に示すように、着用者の背中や腹には蛇行状に這い回された熱交換用チューブ53が介在する。この熱交換用チューブ53が耐熱性なので、熱源側の裏地13と圧接しても劣化しない。
【0029】
この熱交換用チューブ53がスペーサとして働く。従って、裏地13と着用者の上着との間に隙間ができたり、裏地13と着用者の上着が接触していても、軽く接触するだけで圧接状態にはならない。また、熱交換用チューブ53側からも熱は伝わるが、チューブ内は空気で満たされており、積極的に温めるような熱にはならない。更に、着用者の上着との接触面積は僅かであり、着用者のちょっとした動きで接触位置がずれる。
ベスト本体3の左右の前身ごろ7、9を閉じた状態で着用するので、前後左右から熱を十分に受け取ることができる。しかも、長時間にわたって着用していても、熱交換用チューブ53が上記したように介在するので、低温やけどが発生するような接触状態にはならず、安全に防寒効果を享受することができる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、熱交換用チューブ53、電熱シート69、71の材質はその時点で特性やコストの面から最適なものを選択すればよい。
熱交換用チューブ53の這わせ方についても同様である。
【符号の説明】
【0031】
1…冷却発熱兼用ベスト 3…ベスト本体 5…後身ごろ
7…左前身ごろ 9…右前身ごろ 11…表地
11a…引出口 13…裏地 13a…引出口
15…ベルト 17…移動カン 19…ベルト
21…バックル 21a…雌バックル 21b…雄バックル
23…外ポケット 25…ファスナ 27…ファスナ
29…挿通型ガイド部 31…スイッチ 33…内ポケット
35…ファスナ 37…開口穴 39…挿通型ガイド部
41…保冷ポケット 41a、41b…断熱シート
43…開口穴 45…収容ポケット 47…開口穴
49…口金 51…蓋体 53…熱交換用チューブ
55…貫通穴 57…貫通穴 59…ポンプ
61…コード 61a…コネクタ 63…貫通穴
65…モバイルバッテリー 67…保形シート 69…電熱シート
71…電熱シート 73…コード 75…コード
75a…コネクタ 77…モバイルバッテリー
P…ペットボトル W…水 J…ジャケット