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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161985
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
E03C1/042 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077099
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洵輝
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BE07
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】構造が簡潔で外観見栄えの良い水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓を提供する。
【解決手段】本体部2に対して吐水管部3が首振り可能に取付けられた水栓1である。本体部2に設けられた上円筒部11と、吐水管部3に設けられた第4円筒部34と、を有し、上円筒部11が第4円筒部34に挿入された状態でカバー部材4が被せ付けられることによって相対回転可能かつ中心軸A方向への相対移動不能に連結されている。本体部2における上円筒部11の根本側には第1円環部12cが形成されており、吐水管部3における第4円筒部34の先端側には第2円環部35が形成されている。第1円環部12cにおける周方向の両端面部である第1端面部12c1が第2円環部35における周方向の両端面部である第2端面部35cのいずれかに当接することによって本体部2に対する吐水管部3の中心軸Aを中心とする回転の角度を規制がされる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓であって、
前記水栓本体と前記吐水管部とのうちの一方に設けられた略円筒状の第1接続部と、前記水栓本体と前記吐水管部とのうちの他方に設けられた略円筒状の第2接続部と、前記第1接続部が前記第2接続部に挿入された状態で前記水栓本体と前記吐水管部を同一の中心軸を中心に相対回転可能かつ前記中心軸の方向への相対移動不能に連結するカバー部材と、を有し、
前記水栓本体における前記第1接続部の根本側には前記中心軸に垂直な面で切った断面が略C字状で前記中心軸の方向に所定寸法延びる第1円環部が形成されており、
前記吐水管部における前記第2接続部の先端側には前記中心軸に垂直な面で切った断面が略C字状で前記中心軸の方向に所定寸法延びる第2円環部が形成されており、
前記第1円環部における周方向の両端面部である第1端面部が前記第2円環部における周方向の両端面部である第2端面部のいずれかに当接することによって前記水栓本体に対する前記吐水管部の前記中心軸を中心とする回転の角度を規制するように構成されている水栓。
【請求項2】
請求項1において、
前記カバー部材は、略円筒形状をしており、前記中心軸の方向の一端部側に内径方向に延びたフランジ部が形成されており、前記中心軸の方向の他端部側の内径部分に雌ねじ部が形成されており、
前記水栓本体における前記第1円環部より根本側の外径部には雄ねじ部が形成されており、
前記吐水管部における前記第2円環部より根本側の外径部には縮径部が形成されており、
前記第1接続部が前記第2接続部に挿入された状態で前記第2接続部に前記カバー部材を被せ付けて、前記縮径部に前記フランジ部の内側面を当接させた状態で前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合させることによって前記水栓本体と前記吐水管部が前記中心軸を中心に相対回転可能かつ前記中心軸の方向への相対移動不能に連結されている水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関する。詳しくは、水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓において、吐水管部の首振り角度を規制する構造が提案されている。特許文献1に開示された水栓においては、吐水管と、吐水管が嵌装される水栓本体部と、水栓本体部の吐出口の内周面に接するように配置される環状の回動規制部材と、吐水管を水栓本体部に回転自在に接続するための固定ナットと、を有する。さらに、吐水管の吐水口と反対側端部に吐水管の側面部の一部が軸方向に延びて設けられた吐水管側規制部が配置され、回動規制部材の内周面から突出して形成された本体側規制部を有する。吐水管の回転運動に伴って吐水管側規制部が本体側規制部に当接することにより吐水管の回転運動が規制されるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7061527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された水栓においては、回動規制部材に別部品の本体側規制部が取付けられており、構造が複雑であるという問題があった。また、固定ナットが水栓本体の外径より大きい外径を有する大型のもので全体が外部に露出している。これによって、水栓の外観品質の悪化を招くおそれがあるという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、構造が簡潔で外観見栄えの良い水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓であって、前記水栓本体と前記吐水管部とのうちの一方に設けられた略円筒状の第1接続部と、前記水栓本体と前記吐水管部とのうちの他方に設けられた略円筒状の第2接続部と、前記第1接続部が前記第2接続部に挿入された状態で前記水栓本体と前記吐水管部を同一の中心軸を中心に相対回転可能かつ前記中心軸の方向への相対移動不能に連結するカバー部材と、を有し、前記水栓本体における前記第1接続部の根本側には前記中心軸に垂直な面で切った断面が略C字状で前記中心軸の方向に所定寸法延びる第1円環部が形成されており、前記吐水管部における前記第2接続部の先端側には前記中心軸に垂直な面で切った断面が略C字状で前記中心軸の方向に所定寸法延びる第2円環部が形成されており、前記第1円環部における周方向の両端面部である第1端面部が前記第2円環部における周方向の両端面部である第2端面部のいずれかに当接することによって前記水栓本体に対する前記吐水管部の前記中心軸を中心とする回転の角度を規制するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓において、水栓本体と吐水管部とのうちの一方に第1接続部を形成し、水栓本体と吐水管部とのうちの他方に第2接続部を形成して、第1接続部が第2接続部に挿入された状態でカバー部材により中心軸を中心に相対回転可能かつ中心軸方向への相対移動不能とされている。そして、第1円環部の第1端面部が第2円環部の第2端面部のいずれかに当接することで水栓本体に対する吐水管部の中心軸を中心とする回転の角度を規制するように構成されている。これによって、部品の増加を伴わない簡潔な構造で、外観見栄え良く水栓本体に対して吐水管部が首振り可能に取付けられた水栓を提供することができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記カバー部材は、略円筒形状をしており、前記中心軸の方向の一端部側に内径方向に延びたフランジ部が形成されており、前記中心軸の方向の他端部側の内径部分に雌ねじ部が形成されており、前記水栓本体における前記第1円環部より根本側の外径部には雄ねじ部が形成されており、前記吐水管部における前記第2円環部より根本側の外径部には縮径部が形成されており、前記第1接続部が前記第2接続部に挿入された状態で前記第2接続部に前記カバー部材を被せ付けて、前記縮径部に前記フランジ部の内側面を当接させた状態で前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合させることによって前記水栓本体と前記吐水管部が前記中心軸を中心に相対回転可能かつ前記中心軸の方向への相対移動不能に連結されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、水栓本体の第1円環部と吐水管部の第2円環部がカバー部材によって覆われているので、水栓本体に対する吐水管部の中心軸を中心とする回転の角度を規制する部分においてビスの頭部等の外観に現れる部分がなく見栄えが良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である水栓を斜め上方から見た斜視図である。
図2】上記実施形態における水栓の分解斜視図である。
図3図1におけるIII-III矢視線断面図である。
図4図3におけるIV-IV矢視線断面図である。
図5】本体部と吐水管部の連結部分の構造を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る水栓1について、図1図5を用いて説明する。水栓1は、キッチンのカウンターの上面部に配設される湯水混合水栓で、図1は本体部2と吐水管部3とを示している。各図において、水栓1を基準とした前後左右上下の各方向を矢印で示し、方向に関する記述はこの矢印で示す方向に基づいて行う。
【0012】
図1図5に示すように、水栓1は、本体部2と、吐水管部3と、カバー部材4と、を有する。ここで、本体部2が、特許請求の範囲の「水栓本体」に相当する。
【0013】
図1図5に示すように、本体部2は、カウンターの上面部(図示せず)に固定される部材で、湯水を混合して調温する湯水混合部(図示せず)からの湯水を吐水管部3に供給する略円筒状の部材である。本体部2は、上側から順に、上円筒部11、回転角度規制部12、中円筒部13、鍔部14、下円筒部15を有する。ここで、上円筒部11が、特許請求の範囲の「第1接続部」に相当する。
【0014】
上円筒部11は、中心軸Aを中心とする外径部11aと内径部11bを有する円筒状部分で、外径部11aには周方向に延びる上下2本のオーリング溝11a1が形成されている。
【0015】
上円筒部11の根本側に位置する回転角度規制部12は、図4に示すように、中心軸Aの方向から見て、外径部11aと同一の外径の外径部12aにおける前側の周方向の一部である中心角θ1が140度の円弧部分に扇形状の第1円環部12cを形成した断面形状をした部分である。第1円環部12cの外径は、後述する連結部材30における第4円筒部34の外径面部34aの外径とほぼ等しい。回転角度規制部12における中心軸Aの方向である上下方向の寸法は、上円筒部11における上下方向の寸法の1/4程度である。回転角度規制部12は、中心軸Aを中心とする内径部11bと同一の内径の内径部12bを有する。第1円環部12cの周方向の両端部には、径方向に延びる第1端面部12c1が形成されている。中心軸Aを中心として各第1端面部12c1のなす角度は140度である。
【0016】
中円筒部13は、中心軸Aを中心とする外径部13aと内径部13bを有する円筒状部分である。外径部13aの外径は、外径部11aの外径の2倍程度であり、下端部側に雄ねじ部13a1が形成されている。中円筒部13の上下方向の寸法は、上円筒部11の上下方向の寸法の3/4程度である。内径部13bは、上部の中心軸Aを中心とする内径部11bと同一の内径の上内径部13b1と、下部の中心軸Aを中心とする内径部11bの内径の2倍程度の内径の下内径部13b2と、上内径部13b1と下内径部13b2を連結する上方に向かうにつれて徐々に縮径する中内径部13b3と、を有する。
【0017】
鍔部14は、中心軸Aを中心とする外径部14aと内径部14bを有する円筒状部分で、外径部14aの外径は外径部11aの外径の3倍程度であり、内径部14bの内径は下内径部13b2の内径と同一である。鍔部14の上下方向の寸法は、上円筒部11の上下方向の寸法の1/6程度である。
【0018】
下円筒部15は、中心軸Aを中心とする外径部15aと内径部15bを有する円筒状部分で、外径部15aの外径は外径部11aの外径の1.5倍程度であり、内径部15bの内径は下内径部13b2の内径と同一である。外径部15aには、雄ねじが形成されており、カウンターの上面部に設けられた貫通孔の中に上から下円筒部15を挿入し、鍔部14の下面をカウンターの上面部に当接させた状態で下から図示しないナットを雄ねじに対して締め付けることによって本体部2はカウンターの上面部に固定される。下円筒部15の上下方向の寸法は、上円筒部11の上下方向の寸法の2倍程度である。
【0019】
内径部11b、内径部12b、内径部13b、内径部14b、内径部15bは連通して流路を形成している。
【0020】
図1図5に示すように、吐水管部3は、吐水管20と、吐水管20の一端部側の内部に配設された連結部材30と、を有する。
【0021】
吐水管20は、グースネック状に湾曲した管状体で一端に吐水口21が設けられ、他端に上下方向に中心軸Aが延びる連結部材取付部22が設けられている。連結部材取付部22は、下端部が後述するカバー部材4の外筒面部41と同径の円形で上方に向かうにつれて前面側が中心軸Aの方向に傾くように変化していく変則的な形状をした外表面部23と、中心軸Aを本体部2と共通にする内表面部24と、を有している。内表面部24の上方は、吐水口21に連結される内側面25で囲まれる空間につながっている。内表面部24は、上方から下方に向かって、それぞれ中心軸Aを共通軸として同軸で上下に延びている第1内径部24a、第2内径部24b、第3内径部24c、第4内径部24d、第5内径部24eを有している。第1内径部24aは、上下方向の寸法が、上円筒部11の上下方向の寸法の2/5程度であり、内径は上円筒部11の外径部11aの外径の1.1倍程度である。第2内径部24bは、上下方向の寸法が、上円筒部11の上下方向の寸法の1/4程度であり、内径は上円筒部11の外径部11aの外径の1.3倍程度である。第3内径部24cは、上下方向の寸法が、上円筒部11の上下方向の寸法の2/5程度であり、内径は上円筒部11の外径部11aの外径の1.4倍程度である。第5内径部24eは、上下方向の寸法が、上円筒部11の上下方向の寸法の1/4程度であり、内径は上円筒部11の外径部11aの外径の1.8倍程度である。第4内径部24dは、上下方向の寸法が、上円筒部11の上下方向の寸法の1/10程度であり、第3内径部24cの下端部と第5内径部24eの上端部とを連結するように上方に向かうにつれて徐々に縮径している部分である。
【0022】
図2図5に示すように、連結部材30は、中心軸Aを中心とする略円筒状の部材である。連結部材30は、上側から順に、第1円筒部31、第2円筒部32、第3円筒部33、第4円筒部34を有する。ここで、第3円筒部33と第4円筒部34が、それぞれ特許請求の範囲の「縮径部」と「第2接続部」に相当する。
【0023】
第1円筒部31は、中心軸Aを中心とする外径面部31aと内径面部31bを有する円筒状部分で、外径面部31aには周方向に延びる1本のオーリング溝31a1が形成されている。第1円筒部31の上下方向の寸法は、吐水管20における第1内径部24aの上下方向の寸法の2/3程度であり、外径面部31aの外径は第1内径部24aの内径よりわずかに小さく設定されている。吐水管20に対して連結部材30が取付けられたとき、外径面部31aは、第1内径部24aに当接した状態とされる。内径面部31bの内径は、本体部2における上円筒部11の内径部11bの内径と同一とされている。
【0024】
第2円筒部32は、中心軸Aを中心とする外径面部32aと内径面部32bを有する円筒状部分で、下端部側に径方向に若干延びる拡径部32a1が形成されている。第2円筒部32の上下方向の寸法は、吐水管20における第2内径部24bから第5内径部24eまでの寸法より若干短く設定されている。外径面部32aの外径は、吐水管20における第2内径部24bの内径よりわずかに小さく設定されている。吐水管20に対して連結部材30が取付けられたとき、外径面部32aの上端部側は、吐水管20における第2内径部24bに対して接着により固定される。このとき、拡径部32a1の上端部は、吐水管20における第4内径部24dの上端部に位置し、外径面部32aの下端部は、吐水管20における第5内径部24eの上下方向中央部に位置する。内径面部32bの内径は、第1円筒部31における内径面部31bの内径と同一である。
【0025】
第3円筒部33は、中心軸Aを中心とする外径面部33aと内径面部33bを有する円筒状部分である。第3円筒部33の上下方向の寸法は、吐水管20における第1内径部24aの上下方向の寸法の1.5倍程度である。内径面部33bは、上側が内径面部32bと同一の内径の孔で、下側は、外接円が内径面部32bより大きい六角柱状の孔とされている。連結部材30が、カバー部材4によって本体部2に対して回動可能に取付けられたとき、外径面部33aはカバー部材4の第1内筒面部43に対して摺動可能に当接する。
【0026】
第4円筒部34は、中心軸Aを中心とする外径面部34aと内径面部34bを有する円筒状部分で、外径面部34aには周方向に延びる上下2本のリング部材溝34a1が形成されている。リング部材51は、周方向の断面が矩形状をした略円筒状の樹脂製部材で、外径面部51aと、内径面部51bと、を有する。外径面部51aの直径は、カバー部材4における第2内筒面部44の直径よりわずかに小さく設定されている。内径面部51bの直径は、リング部材溝34a1の底面部の直径とほぼ同じである。リング部材51には、上下方向に貫き周方向に分割する分割スリット51cが形成されている。外径面部51aには、径方向外側に向かってわずかに突出して上下方向に延びる突条51a1が周方向に等間隔で複数設けられている。リング部材51は、連結部材30が、カバー部材4によって本体部2に対して回動可能に取付けられたとき、本体部2の中心軸Aに対してカバー部材4の中心軸を一致させるとともに、連結部材30のカバー部材4に対する回転摺動を円滑にする働きをするものである。第4円筒部34の先端部側である後側の下端部には、下方に向かって延びる第2円環部35が配設されている。第2円環部35は、図4に示すように、中心軸Aの方向から見て、外径面部34aと同一の外径で中心角θ2が90度の外径面部35aと、内径面部34bと同一の内径で中心角θ2が90度の内径面部35bと、を有する扇形状の断面形状をした部分である。第2円環部35における上下方向の寸法は、本体部2における第1円環部12cの上下方向の寸法とほぼ等しく設定されている。第2円環部35の周方向の両端部には、径方向に延びる第2端面部35cが形成されている。中心軸Aを中心として各第2端面部35cのなす角度は90度である。各第2端面部35cと外径面部35aとが交わるコーナ部及び各第2端面部35cと内径面部35bとが交わるコーナ部には面取りが施されている。外径面部34aの上端部と外径面部33aの下端部との間には、水平方向に延びる段差面部34a2が形成されている。内径面部34bは、上側が内径面部33bの下側とつながる外接円が内径面部32bより大きい六角柱状の孔とされ、下側が、内径が本体部2における上円筒部11の外径部11aの外径よりわずかに大きい丸孔とされている。
【0027】
図2図4に示すように、カバー部材4は、中心軸Aを中心とする外筒面部41と内筒面部42を有する円筒状の部材である。外筒面部41は、上下方向同一の外径で、吐水管20の連結部材取付部22の外径と同一とされている。内筒面部42は、上側から順に、第1内筒面部43、第2内筒面部44、第3内筒面部45、第4内筒面部46を有する。
【0028】
第1内筒面部43は、内径が連結部材30における第3円筒部33の外径面部33aの外径よりわずかに大きく、上下方向の寸法が第3円筒部33の外径面部33aの上下方向の寸法の1/2程度とされている。第1内筒面部43の上端部には水平方向に延びる上面部43aが形成され、第1内筒面部43の下端部には水平方向に延びる下面部43bが形成されている。ここで、第1内筒面部43と上面部43aと下面部43bとで形成される部分が、特許請求の範囲の「フランジ部」に相当する。また、下面部43bが、特許請求の範囲の「内側面」に相当する。
【0029】
第2内筒面部44は、内径が連結部材30における第4円筒部34の外径面部34aの外径よりわずかに大きく、上下方向の寸法が連結部材30における第4円筒部34の外径面部34aの上下方向の寸法より若干大きく設定されている。
【0030】
第3内筒面部45は、内径が第2内筒面部44の内径より若干大きく、上下方向の寸法が第2内筒面部44の上下方向の寸法の1/4程度とされている。連結部材30が、カバー部材4によって本体部2に対して回動可能に取付けられたとき、第3内筒面部45は、本体部2の回転角度規制部12と連結部材30の第2円環部35に対応する上下位置にある。
【0031】
第4内筒面部46は、内径が第3内筒面部45の内径とほぼ等しく、上下方向の寸法が第2内筒面部44の上下方向の寸法の1/2程度とされている。連結部材30を、カバー部材4によって本体部2に対して回動可能に取付けるとき、第4内筒面部46に形成された雌ねじ部46aが本体部2における中円筒部13の雄ねじ部13a1に螺合する。
【0032】
本体部2に対する吐水管部3の組付け方について説明する。まず、図2及び図3に示すように、本体部2の上円筒部11に2本のオーリング(図示せず)を取付けるとともに、連結部材30の第4円筒部34に2つのリング部材51を取付ける。具体的には、上円筒部11の2つのオーリング溝11a1のそれぞれにオーリングを上方から拡げながら押し下げて嵌め込む。次に、第4円筒部34の2つのリング部材溝34a1のそれぞれにリング部材51を分割スリット51cから周方向に拡げながら嵌め込む。この状態で、本体部2の上円筒部11に対して連結部材30の第4円筒部34を被せるように嵌め込む。このとき、図3及び図4に示すように、本体部2の第1円環部12cが前側に、連結部材30の第2円環部35が後側に配置されるようにする。そして、連結部材30の段差面部34a2の上に樹脂製の摺動を円滑化する樹脂リング52を載置した状態でカバー部材4を被せ付ける。具体的には、連結部材30の第3円筒部33の外径面部33aにカバー部材4の第1内筒面部43を相対回動可能に当接させる。この状態で、本体部2の雄ねじ部13a1に対してカバー部材4の雌ねじ部46aに螺合させ、樹脂リング52が段差面部34a2と下面部43bに挟まれた状態とする。続いて、カバー部材4の上面部43aに樹脂製の摺動を円滑化する樹脂パッキン53を載置した状態で吐水管20の連結部材取付部22を連結部材30の第1円筒部31、第2円筒部32、第3円筒部33に被せるように嵌め込んで接着固定する。具体的には、予め連結部材30の第2円筒部32の上側部分と吐水管20の第2内径部24bに接着剤を塗布した状態で、吐水管20の連結部材取付部22を連結部材30の第1円筒部31、第2円筒部32、第3円筒部33に被せるように嵌め込んで連結部材取付部22の下端部を樹脂パッキン53に当接させ第2円筒部32の上側部分と第2内径部24bを接着する。これによって、吐水管20は連結部材30と一体となって吐水管部3を構成し、本体部2に対して中心軸Aを中心として回動可能となる。図1図3及び図4に示すように、吐水管20の吐水口21を前方向(使用者の方向)に向けたとき、第2円環部35の位置は、後方向で第1円環部12cの各第1端面部12c1の間の周方向の中間位置にある。ここから吐水管部3は、第2円環部35の各第2端面部35cのいずれかが、第1円環部12cの各第1端面部12c1のいずれかに当接するまで左右に65度ずつ回転が可能となる。このとき、2つのリング部材51は、本体部2の中心軸に対する吐水管部3の中心軸を一致させるとともに回転摺動を円滑にする働きをし、樹脂リング52と樹脂パッキン53は、本体部2に対する吐水管部3の回転摺動を円滑にする働きをする。また、2つのオーリングは、本体部2と吐水管部3の水密を保つ働きをする。この状態で、吐水管部3の内側面25、第1内径部24a、内径面部31b、内径面部32b、内径面部33b、内径面部34bと、本体部2の内径部11b、内径部12b、内径部13b、内径部14b、内径部15bと、で囲まれる空間は、水密状態で連結される。そして、連結部材30と本体部2の上円筒部11、回転角度規制部12、中円筒部13は、吐水管20とカバー部材4によって覆われ外部から視認不能となる。
【0033】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。水栓1は、本体部2に第1円環部12cが形成され、連結部材30に第2円環部35が形成されて、上円筒部11が、第4円筒部34に挿入された状態でカバー部材4により中心軸Aを中心に相対回転可能かつ上下方向への相対移動不能とされている。そして、第1円環部12cの各第1端面部12c1のいずれかに第2円筒部32の各第2端面部35cが当接することで本体部2に対する吐水管部3の中心軸Aを中心とする回転の角度を規制するように構成されている。これによって、部品の増加を伴わない簡潔な構造で外観見栄え良く本体部2に対して吐水管部3が首振り可能に取付けられた水栓1を提供することができる。
【0034】
また、水栓1は、本体部2に第1円環部12cと連結部材30の第2円環部35がカバー部材4によって覆われているので、本体部2に対する連結部材30の中心軸Aを中心とする回転の角度を規制する部分においてビスの頭部等の外観に現れる部分がなく見栄えが良い。
【0035】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0036】
1.上記実施形態においては、本体部2の上円筒部11に対して、連結部材30の第4円筒部34が径方向外側からかぶさるように嵌合されるように構成した。しかし、これに限らず、連結部材30の第4円筒部34を小径として本体部2の上円筒部11が径方向外側からかぶさるように嵌合されるように構成してもよい。
【0037】
2.上記実施形態においては、第1円環部12cと第2円環部35の外径を同一のものとして構成したが異なるものとして構成してもよい。また、第2円環部35の内径を外径部12aの外径と略同一であるものとして構成したが外径部12aの外径より小さいものとして構成してもよい。
【0038】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
1 水栓、2 本体部(水栓本体)、3 吐水管部、4 カバー部材、11 上円筒部(第1接続部)、12 回転角度規制部、12c 第1円環部、13a1 雄ねじ部、20 吐水管、30 連結部材、33 第3円筒部(縮径部)、34 第4円筒部(第2接続部)、35 第2円環部、35c 第2端面部、43 第1内筒面部、43a 上面部、
43b 下面部(内側面)、46a 雌ねじ部、A 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5