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  • -部品実装機および部品実装方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161986
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】部品実装機および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/04 B
H01L21/60 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077100
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 光彦
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
【Fターム(参考)】
5E353BB04
5E353CC04
5E353EE41
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353JJ60
5E353MM04
5E353MM08
5E353MM10
5E353QQ01
5F044PP02
(57)【要約】
【課題】導電性ボールを効率良く装着する。
【解決手段】部品実装機10では、マルチノズルヘッド31は、複数の吸引孔33に導電性ボールB1を一括吸着し、基板1の複数のボール搭載箇所2に導電性ボールB1を一括搭載する。インデックスヘッド41は、ノズル44ごとに吸着した導電性ボールB1をボール搭載箇所2に1個ずつ個別搭載する。撮像装置61は、マルチノズルヘッド31により一括吸着または一括搭載された導電性ボールB1を撮像する。欠落箇所検出手段71は、導電性ボールB1を撮像した画像に基づく画像認識処理により、導電性ボールB1の欠落箇所B2を検出する。動作制御部72は、マルチノズルヘッド31による一括搭載動作の後、欠落箇所B3に対して、インデックスヘッド41により導電性ボールB1の個別搭載動作を実行させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子点状に形成された複数の吸引孔に複数の導電性ボールを一括吸着するマルチノズルを有し、基板における複数のボール搭載箇所に対して複数の前記導電性ボールを一括搭載するマルチノズルヘッドと、
複数のノズルを装填可能な複数のノズルホルダを有し、複数の前記ノズルごとに吸着した前記導電性ボールを前記ボール搭載箇所に対して1個ずつ個別搭載するインデックスヘッドと、
前記マルチノズルヘッドにより一括吸着または一括搭載された前記導電性ボールを撮像する撮像装置と、
前記導電性ボールを撮像した画像に基づく画像認識処理により、前記導電性ボールの欠落箇所を検出する欠落箇所検出手段と、
前記マルチノズルヘッドによる一括搭載動作の後、検出された前記欠落箇所に対して、前記インデックスヘッドにより前記導電性ボールの個別搭載動作を実行させる動作制御部と、
を備えた、部品実装機。
【請求項2】
前記基板における前記ボール搭載箇所のそれぞれについて、前記インデックスヘッドの複数の前記ノズルのいずれかを割り付ける割り付けデータを記憶する記憶部をさらに備えており、
前記動作制御部は、
前記欠落箇所検出手段が前記欠落箇所を検出した場合に、前記ボール搭載箇所のうち前記欠落箇所にのみ前記導電性ボールを個別搭載する動作を、前記インデックスヘッドに実行させる、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記動作制御部は、前記欠落箇所にのみ前記導電性ボールを個別搭載するときに、前記記憶部に記憶された前記割り付けデータを無視してホルダ先頭の前記ノズルから順に前詰めで前記導電性ボールの再割り付けを行った後、複数の前記ノズルに前記導電性ボールを吸着させる、請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記インデックスヘッドの前記ノズルホルダに装填された前記ノズルの種類の判定を行い、前記導電性ボールの吸着が可能な前記ノズルの種類であると判定された前記ノズルに対して前記再割り付けを行う、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
格子点状に形成された複数の吸引孔に複数の導電性ボールを一括吸着するマルチノズルを有するマルチノズルヘッドを用いて、基板における複数のボール搭載箇所に対して複数の前記導電性ボールを一括搭載する一括搭載ステップと、
前記マルチノズルヘッドにより一括吸着または一括搭載された前記導電性ボールを撮像した画像に基づく画像認識処理により、前記導電性ボールの欠落箇所を検出する欠落箇所検出ステップと、
複数のノズルを装填可能な複数のノズルホルダを有するインデックスヘッドを用いて、複数の前記ノズルごとに吸着した前記導電性ボールを前記ボール搭載箇所に対して1個ずつ個別搭載することで、前記欠落箇所に前記導電性ボールを補充する個別搭載ステップと、
を含む、部品実装方法。
【請求項6】
前記マルチノズルヘッドと前記インデックスヘッドとを備える部品実装機における前記マルチノズルヘッドを用いて、前記一括搭載ステップを行った後、
前記マルチノズルヘッドを前記インデックスヘッドに交換して、前記個別搭載ステップを行う、請求項5に記載の部品実装方法。
【請求項7】
基板搬送方向に沿った上流側に位置する第1の部品実装機が備える前記マルチノズルヘッドを用いて、前記一括搭載ステップを行った後、
前記第1の部品実装機の下流側に位置する第2の部品実装機が備える前記インデックスヘッドを用いて、前記個別搭載ステップを行う、請求項5に記載の部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装機および部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機がよく知られている。この種の部品実装機では、大型ヘッドや撮像装置などを備えることがある。例えば、大型ヘッドは、複数の吸引孔に複数の導電性ボールを一括吸着した後、基板における複数の電極上に複数の導電性ボールを一括搭載する。撮像装置は、大型ヘッドにより一括吸着または一括搭載された導電性ボールを撮像する。この種の従来技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-184803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の部品実装機では、導電性ボールを撮像した画像に基づく画像認識処理により、導電性ボールの欠落箇所を検出する。そして、補充用ヘッドを用いて、検出された欠落箇所に導電性ボールを1個ずつ搭載する。しかし、補充用ヘッドは、導電性ボールを1個しか装着できないため、装着時間が長く、効率が悪いという問題がある。そこで本明細書は、導電性ボールを効率良く装着するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する部品実装機は、マルチノズルヘッドと、インデックスヘッドと、撮像装置と、欠落箇所検出手段と、動作制御部と、を備える。マルチノズルヘッドは、格子点状に形成された複数の吸引孔に複数の導電性ボールを一括吸着するマルチノズルを有し、基板における複数のボール搭載箇所に対して複数の導電性ボールを一括搭載する。インデックスヘッドは、複数のノズルを装填可能な複数のノズルホルダを有し、複数のノズルごとに吸着した導電性ボールをボール搭載箇所に対して1個ずつ個別搭載する。撮像装置は、マルチノズルヘッドにより一括吸着または一括搭載された導電性ボールを撮像する。欠落箇所検出手段は、導電性ボールを撮像した画像に基づく画像認識処理により、導電性ボールの欠落箇所を検出する。動作制御部は、マルチノズルヘッドによる一括搭載動作の後、検出された欠落箇所に対して、インデックスヘッドにより導電性ボールの個別搭載動作を実行させる。上述した構成によると、導電性ボールの欠落箇所を検出した際に、一度に複数の導電性ボールを吸着可能なインデックスヘッドを用いて導電性ボールを欠落箇所に個別搭載することができる。このため、導電性ボールを効率良く装着することができる。
【0006】
また、本明細書が開示する部品実装方法は、一括搭載ステップと、欠落箇所検出ステップと、個別搭載ステップと、を含む。一括搭載ステップでは、格子点状に形成された複数の吸引孔に複数の導電性ボールを一括吸着するマルチノズルを有するマルチノズルヘッドを用いて、基板における複数のボール搭載箇所に対して複数の導電性ボールを一括搭載する。欠落箇所検出ステップでは、マルチノズルヘッドにより一括吸着または一括搭載された導電性ボールを撮像した画像に基づく画像認識処理により、導電性ボールの欠落箇所を検出する。個別搭載ステップでは、複数のノズルを装填可能な複数のノズルホルダを有するインデックスヘッドを用いて、複数のノズルごとに吸着した導電性ボールをボール搭載箇所に対して1個ずつ個別搭載することで、欠落箇所に導電性ボールを補充する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の部品実装機の電気的構成を示すブロック図である。
図2】はんだボールを吸着したマルチノズルヘッドを示す説明図である。
図3】マルチノズルヘッドを示す下面図である。
図4】インデックスヘッドを示す下面図である。
図5】基板を示す平面図である。
図6図5のA-A線断面図である。
図7】実装処理を示すフローチャートである。
図8】リファレンス番号と実装点との関係を示す表である。
図9】実装順とリファレンス番号との関係を示す表である。
図10】ノズルの位置とリファレンス番号との関係を示す表である。
図11】スキップ処理を行うリファレンス番号を示す表である。
図12】再割り付け後におけるノズルの位置とリファレンス番号との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(態様1)本明細書に開示する部品実装機は、基板におけるボール搭載箇所のそれぞれについて、インデックスヘッドの複数のノズルのいずれかを割り付ける割り付けデータを記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。動作制御部は、欠落箇所検出手段が欠落箇所を検出した場合に、ボール搭載箇所のうち欠落箇所にのみ導電性ボールを個別搭載する動作を、インデックスヘッドに実行させてもよい。このような構成によると、割り付けデータに基づいてボール搭載箇所のそれぞれに導電性ボールを搭載可能なインデックスヘッドを用いて、欠落個所にのみ導電性ボールを個別搭載することができる。
(態様2)本明細書に開示する部品実装機では、動作制御部は、欠落箇所にのみ導電性ボールを個別搭載するときに、記憶部に記憶された割り付けデータを無視してホルダ先頭のノズルから順に前詰めで導電性ボールの再割り付けを行った後、複数のノズルに導電性ボールを吸着させてもよい。このような構成によると、割り付けデータを無視して前詰めでノズルに対して再割り付けを行うため、効率的に欠落個所に導電性ボールを個別搭載することができる。
(態様3)本明細書に開示する部品実装機では、動作制御部は、インデックスヘッドのノズルホルダに装填されたノズルの種類の判定を行い、導電性ボールの吸着が可能なノズルの種類であると判定されたノズルに対して再割り付けを行ってもよい。このような構成によると、ノズルの種類に応じて適切に再割り付けを行うことができる。
(態様4)本明細書に開示する部品実装方法では、マルチノズルヘッドとインデックスヘッドとを備える部品実装機におけるマルチノズルヘッドを用いて一括搭載ステップを行った後、マルチノズルヘッドをインデックスヘッドに交換して、個別搭載ステップを行ってもよい。このような構成によると、1台の部品実装機によって、一括搭載ステップと個別搭載ステップを実行することができる。
(態様5)本明細書に開示する部品実装方法では、基板搬送方向に沿った上流側に位置する第1の部品実装機が備えるマルチノズルヘッドを用いて一括搭載ステップを行った後、 第1の部品実装機の下流側に位置する第2の部品実装機が備えるインデックスヘッドを用いて個別搭載ステップを行ってもよい。このような構成によると、上流側に位置する部品実装機を用いて一括搭載ステップを実行し、下流側に位置する部品実装機を用いて個別搭載ステップを実行するため、マルチノズルヘッドをインデックスヘッドに交換する必要が無い。
【0009】
(実施例)
以下、本実施例の部品実装機について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施例の部品実装機10は、基板1(図5図6参照)に電子部品(図示省略)を実装するための装置であり、基板1の搬送方向に沿って複数台配列されている。部品実装機10は、基板搬送装置11、XYロボット21、マルチノズルヘッド31、インデックスヘッド41、マークカメラ51、撮像カメラ61(撮像装置)及び制御装置70等を備えている。基板搬送装置11は、基板1を部品実装機10の上流から下流に向けて搬送し、基板1を部品実装機10内の作業位置に位置決めする装置である。
【0010】
XYロボット21には、マルチノズルヘッド31またはインデックスヘッド41が交換可能に取り付けられている。XYロボット21は、マルチノズルヘッド31が取り付けられた際にX方向及びY方向に移動することにより、はんだボール供給装置(図示省略)の上方と基板1の上方との間でマルチノズルヘッド31を移動させる。同様に、XYロボット21は、インデックスヘッド41が取り付けられた際にX方向及びY方向に移動することにより、はんだボール供給装置(図示省略)の上方と基板1の上方との間でインデックスヘッド41を移動させる。XYロボット21は、マルチノズルヘッド31またはインデックスヘッド41を案内するガイドレールや、マルチノズルヘッド31またはインデックスヘッド41をガイドレールに沿って移動させる移動機構や、移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。
【0011】
図1図3に示すように、マルチノズルヘッド31が有するマルチノズル32の下面には、複数の吸引孔33が格子点状に形成されている。各吸引孔33には、複数のはんだボールB1(導電性ボール)が一括吸着されるようになっている。そして、マルチノズルヘッド31は、基板1の上面に設定された複数のボール搭載箇所である端子2(図5図6参照)に対して、各はんだボールB1を一括搭載する。図5に示すように、各端子2は、基板1の上面に設定されたはんだボール搭載領域A1内において、格子点状に配置されている。また、基板1の上面におけるはんだボール搭載領域A1外には、複数の部品3が実装されている。
【0012】
マルチノズルヘッド31によりはんだボールB1を基板1に実装するには、まず、はんだボール供給装置内にある複数のはんだボールB1の近傍に吸引孔33の開口部が到達するまで、マルチノズル32を下方に移動させる。次に、吸引孔33ではんだボールB1を吸着し、マルチノズル32を上方に移動させる。吸引孔33にはんだボールB1を吸着する処理が終了すると、XYロボット21を駆動して、マルチノズルヘッド31を基板1の上方に移動させる。そして、マルチノズル32を基板1に向かって下降させ、マルチノズル32によるはんだボールB1の吸着を停止することで、基板1にはんだボールB1を実装する。
【0013】
図1図4に示すように、インデックスヘッド41は、ロータリーヘッド42と、複数(ここでは12個)のノズルホルダ43と、複数(ここでは12個)のノズル44とを備えている。インデックスヘッド41は、ノズル44ごとに吸着したはんだボールB1を、基板1における端子2に対して1個ずつ個別搭載する装置である。ロータリーヘッド42は、複数のノズルホルダ43が配置された円筒状の部材である。各ノズルホルダ43は、ノズル44を装填可能な円筒状の部材であり、ロータリーヘッド42の中心軸を基準として等角度間隔(ここでは30°間隔)に配置されている。ノズル44は、負圧を利用して、はんだボールB1及び電子部品(図示省略)を吸着して保持する部材である。図4には、4つのノズル44がはんだボールB1を保持した状態が示されている。
【0014】
なお、ロータリーヘッド42は、ロータリーヘッド42の中心軸を中心として矢印F1方向(図4参照)に回転する。また、各ノズルホルダ43(ノズル44を含む)は、ノズルホルダ43の中心軸を中心として矢印F2方向(図4参照)に回転する。これに伴い、ノズル44に保持されたはんだボールB1や電子部品も、矢印F2方向に回転する。さらに、ノズルホルダ43は、上下方向(図4の奥行方向)に移動する。これに伴い、ノズル44が昇降するとともに、ノズル44に保持されたはんだボールB1または電子部品も昇降する。
【0015】
インデックスヘッド41によりはんだボールB1を基板1に実装するには、まず、はんだボール供給装置内にあるはんだボールB1にノズル44の吸着面が当接するまで、ノズル44を下方に移動させる。次に、ノズル44ではんだボールB1を吸着し、ノズル44を上方に移動させる。ノズル44にはんだボールB1を吸着する処理が終了すると、XYロボット21を駆動して、インデックスヘッド41を基板1の上方に移動させる。そして、ノズル44を基板1に向かって下降させ、ノズル44によるはんだボールB1の吸着を停止することで、基板1にはんだボールB1を実装する。
【0016】
図1に示すように、マークカメラ51は、XYロボット21に取り付けられており、XYロボット21とともに移動可能に構成されている。マークカメラ51は、基板搬送装置11により作業位置に搬入されてきた基板1の上方に移動して、その基板1に付されたマーク(図示省略)を撮像する。マークカメラ51は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いて構成されている。
【0017】
撮像カメラ61は、マルチノズルヘッド31により一括吸着されたはんだボールB1を含む画像を下方から撮像する。撮像カメラ61は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を用いて構成されている。マルチノズルヘッド31に吸着されたはんだボールB1を撮像する際には、はんだボールB1をはんだボール供給装置から基板1に搬送する途中で、マルチノズルヘッド31を撮像カメラ61上で一旦停止させる。この状態で、撮像カメラ61によりはんだボールB1を撮像して画像処理することにより、はんだボールB1の欠落箇所B2(図3参照)を検出することができる。
【0018】
図1に示すように、制御装置70は、CPUやメモリ等により構成されたコンピュータからなる。制御装置70は、欠落箇所検出手段71及び動作制御部72の機能を有している。欠落箇所検出手段71は、はんだボールB1を撮像した画像に基づく画像認識処理を行う。そして、欠落箇所検出手段71は、画像認識処理の結果から、はんだボールB1の欠落箇所B2を検出する。また、動作制御部72は、マルチノズルヘッド31による一括搭載動作の後、マルチノズルヘッド31の欠落箇所B2に相当する位置にある基板1上の欠落箇所B3(図5図6参照)に対して、インデックスヘッド41によりはんだボールB1の個別搭載動作を実行させる。
【0019】
また、制御装置70には、基板搬送装置11、XYロボット21、マルチノズルヘッド31、インデックスヘッド41、マークカメラ51及び撮像カメラ61が接続されている。さらに、制御装置70のメモリには、基板1にはんだボールB1を実装するための基本プログラムや、マルチノズルヘッド31及びインデックスヘッド41等のシーケンス動作を制御するプログラムが格納されている。
【0020】
また、制御装置70のメモリには、吸着に使用するノズル44を電子部品ごとにリファレンスで管理するオーダーデータが記憶されている。なお、リファレンスとは、電子部品の実装点(X,Y)に付与されたリファレンス番号(例えば、Ref1,Ref2,Ref3,Ref4,Ref5,Ref6)である(図8参照)。各処理データは、リファレンス番号で登録されている。そして、図9に示すように、実装順のデータは、リファレンス番号を用いて登録される。また、メモリ(記憶部)には、基板1における複数の端子2(即ち、各リファレンス番号)のそれぞれについて、実装順にインデックスヘッド41の各ノズル44(図4の〈1〉,〈2〉,〈3〉,〈4〉,〈5〉,〈6〉)のいずれかを割り付ける割り付けデータ(部品搭載データ)が記憶されている(図10参照)。したがって、図8~10に示すオーダーデータでは、Ref1からRef6まで順番に、リファレンス番号に割り付けられたノズル44(すなわち、図4の〈1〉,〈2〉,〈3〉,〈4〉,〈5〉,〈6〉の順番で割り付けられたノズル44)を使用して電子部品が実装される。
【0021】
次に、部品実装機10による部品実装方法を説明する。
【0022】
図7に示すステップS10において、制御装置70は、基板搬送装置11により基板1の搬入処理を行う。次に、制御装置70は、はんだボール供給装置により供給された複数のはんだボールB1をマルチノズルヘッド31の吸引孔33に吸着させる(ステップS20)。具体的に言うと、制御装置70は、マルチノズルヘッド31を駆動してマルチノズル32を昇降させて、はんだボールB1の吸着を行わせる。
【0023】
次に、制御装置70は、XYロボット21を駆動することにより、XYロボット21に装着されたマルチノズルヘッド31を撮像カメラ61の上方に移動させる。そして、制御装置70は、マルチノズルヘッド31により一括吸着されたはんだボールB1を含む画像を、撮像カメラ61に撮像させる(ステップS30)。その結果、マルチノズルヘッド31を下方から見た画像(図3に示すような画像)が撮像される。
【0024】
続くステップS40(一括搭載ステップ)において、制御装置70は、マルチノズルヘッド31を用いて、基板1における複数の端子2に対して複数のはんだボールB1を一括搭載する。そして、一括搭載ステップを行った後、制御装置70(欠落箇所検出手段71)はステップS50(欠落箇所検出ステップ)を行う。具体的に言うと、制御装置70は、はんだボールB1を撮像した画像(すなわち、ステップS30で撮像した画像)に基づく画像認識処理の結果から、はんだボールB1の欠落箇所B2(図3参照)を検出する。次に、制御装置70は、欠落箇所B2を検出したか否かを判定する(ステップS60)。
【0025】
欠落箇所B2を検出したと判定された場合、制御装置70は、XYロボット21に装着されているマルチノズルヘッド31をインデックスヘッド41に交換して、ステップS70(個別搭載ステップ)を行う。具体的に言うと、制御装置70(動作制御部72)は、基板1における複数の端子2のうち、はんだボールB1の欠落箇所B3(図5図6参照)となる端子2にのみはんだボールB1を個別搭載する動作を、インデックスヘッド41に実行させる。詳述すると、まず、制御装置70は、欠落箇所B3にのみはんだボールB1を個別搭載するときに、メモリに記憶された割り付けデータを無視する。例えば、図11に示すように、リファレンス番号(Ref2,Ref4)の端子2が欠落箇所B3である場合、他のリファレンス番号(Ref1,Ref3,Ref5,Ref6)のデータをスキップ処理(Skip)する。そして、ホルダ先頭のノズル44a(図4参照)から順に前詰めではんだボールB1の再割り付けを行う(図12参照)。なお、図3図5の比較から明らかなように、ステップS60において撮像した画像から検出される欠落箇所B2は、マルチノズルヘッド31にはんだボールB1が吸着された状態で検出される。このため、ステップS70ではんだボールB1が個別搭載される基板1上の欠落箇所B3は、画像上で検出された欠落箇所B2に基づいて算出される。
【0026】
その後、制御装置70は、各ノズル44(図4では、ノズル44a,44b)にはんだボールB1を吸着させる。そして、ノズル44a,44bごとに吸着したはんだボールB1を、基板1上の端子2に対して1個ずつ個別搭載することにより、各欠落箇所B3にはんだボールB1が補充される。なお、ステップS60において欠落箇所B2を検出していないと判定された場合、制御装置70は、ステップS70の処理を行わずに、電子部品を実装する処理を行う。
【0027】
その後、制御装置70は、部品供給装置(図示省略)により供給された電子部品(図示省略)をインデックスヘッド41のノズル44に吸着させる。具体的に言うと、制御装置70は、インデックスヘッド41を駆動して各ノズル44を旋回移動させ、所定位置にあるノズル44を昇降させて電子部品の吸着を行わせる。
【0028】
次に、制御装置70は、XYロボット21を駆動することにより、電子部品を基板1上の実装すべき位置に配置するようにインデックスヘッド41を移動させる。具体的に言うと、制御装置70は、所定位置にあるノズル44に保持された電子部品が所定のはんだボールB1の真上に位置するように、インデックスヘッド41を移動させる。そして、制御装置70は、ノズルホルダ43を昇降させて電子部品を基板1上に配置する。制御装置70は、これらの処理を、ノズル44を変更して繰り返し行い、各ノズル44に吸着した全ての電子部品を順次基板1上に配置していく。
【0029】
そして、基板1に対して全ての電子部品の実装が完了すると、制御装置70は、基板搬送装置11により基板1を搬出し、他の基板1に対して電子部品の実装を行う。その後、全ての基板1において電子部品の実装が完了すると、制御装置70は、ここでの処理を終了する。
【0030】
以上説明したように、本実施例の部品実装機10では、まず、マルチノズルヘッド31により、基板1の複数の端子2に対して各はんだボールB1を一括搭載する。はんだボールB1の欠落箇所B2を検出すると、基板1の欠落箇所B3に対して、インデックスヘッド41によりはんだボールB1の個別搭載動作を実行させる。従って、はんだボールB1の欠落箇所B2を検出した際に、一度に複数の導電性ボールB1を吸着可能なインデックスヘッド41を用いてはんだボールB1を基板1の欠落箇所B3に個別搭載することができる。このため、はんだボールB1を効率良く装着することができる。
【0031】
また、本実施例の部品実装機10では、基板1上の端子2のそれぞれについて、割り付けデータによってインデックスヘッド41の複数のノズル44のいずれかが割り付けられているが、欠落箇所B3にのみはんだボールB1を個別搭載する際は、割り付けデータを無視してホルダ先頭のノズル44から順に前詰めではんだボールB1の再割り付けが行われる。従って、あらかじめオプチマイズされた動作がデフォルトで実行されているときでも、上記の再割り付けの結果、より多くのはんだボールB1が一度のピックアンドプレースで吸着されて実装されるようになる。
【0032】
以上、実施例について説明したが具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。上記の実施例では、個別搭載ステップ(ステップS70)において、ノズル44に吸着したはんだボールB1のみを端子2に搭載していたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、ノズル44に吸着したはんだボールB1のみを端子2に搭載した後、別のノズル44に吸着した電子部品をはんだボールB1の上に搭載してもよい。
【0033】
上記の実施例では、マルチノズルヘッド31を用いて、基板1における複数の端子2に対して複数のはんだボールB1を一括搭載する一括搭載ステップ(ステップS40)を行った後、はんだボールB1を撮像した画像に基づく画像認識処理により、はんだボールB1の欠落箇所を検出する欠落箇所検出ステップ(ステップS50,S60)を行っていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、マルチノズルヘッド31により一括吸着されたはんだボールB1を含む画像を撮像するステップ(ステップS30)を行った後であって、一括搭載ステップを行う前の段階で、欠落箇所検出ステップを行ってもよい。
【0034】
上記の実施例では、撮像装置としての撮像カメラ61が、マルチノズルヘッド31により一括吸着されたはんだボールB1を撮像し、欠落箇所検出手段71が、マルチノズルヘッド31に吸着されたはんだボールB1の欠落箇所B2を検出し、インデックスヘッド41が、欠落箇所B2に相当する位置にある基板1上の欠落箇所B3に対して、はんだボールB1の個別搭載動作を実行していた。しかし、実施例はこの構成に限定されるものではない。例えば、マークカメラ51を撮像装置として用いてもよい。そして、マークカメラ51が、マルチノズルヘッド31により基板1に一括搭載されたはんだボールB1を撮像し、欠落箇所検出手段71が、基板1上の欠落箇所B3を検出し、インデックスヘッド41が、欠落箇所B3に対してはんだボールB1の個別搭載動作を実行してもよい。
【0035】
上記の実施例では、制御装置70が、欠落箇所B3にのみはんだボールB1を個別搭載するときに、メモリに記憶された割り付けデータを無視して、ホルダ先頭のノズル44a(図4参照)から順に前詰めではんだボールB1の再割り付けを行っていたが(図12参照)、この構成のみに限定されるものではない。例えば、他の実施例では、制御装置70が、インデックスヘッド41のノズルホルダ43に装填されたノズル44の種類の判定をさらに行い、はんだボールB1の吸着が可能なノズル44の種類であると判定されたノズル44に対して再割り付けを行うようにしてもよい。なお、はんだボールB1の吸着が可能なノズル44とは、例えば、はんだボールB1の外径よりも小さな内径を有するノズルである。
【0036】
上記の実施例では、マルチノズルヘッド31を用いて、一括搭載ステップ(ステップS40)を行った後、マルチノズルヘッド31をインデックスヘッド41に交換して、個別搭載ステップ(ステップS70)を行っていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、基板搬送方向に沿った上流側に位置する部品実装機10(第1の部品実装機)が備えるマルチノズルヘッド31を用いて、一括搭載ステップを行った後、第1の部品実装機の下流側に位置する部品実装機10(第2の部品実装機)が備えるインデックスヘッド41を用いて、個別搭載ステップを行ってもよい。この場合、例えば、基板に一括搭載されたはんだボールB1を撮像装置で撮像し、その撮像した画像に基づいて欠落箇所検出手段が基板1上の欠落箇所B3を検出するように構成した場合は、当該撮像装置と欠落箇所検出手段は、上流側に位置する部品実装機10に装備されてもよいし、欠落箇所B3に個別搭載する部品実装機10に装備されてもよいし、あるいは、上流側に位置する部品実装機10と個別搭載する部品実装機10の間に配置された検査装置に装備されてもよい。また、マルチノズルヘッドに一括吸着されたはんだボールB1を撮像し、その撮像した画像に基づいて欠落箇所検出手段が欠落箇所B3を検出するように構成した場合は、当該撮像装置は一括搭載する上流側に位置する部品実装機に装備されるが、欠落箇所検出手段は、一括搭載する上流側に位置する部品実装機に装備されてもよいし、欠落箇所B3に個別搭載する部品実装機10に装備されてもよいし、あるいは、一括搭載する上流側に位置する部品実装機10と個別搭載する部品実装機10の間に配置された検査装置に装備されてもよい。なお、欠落箇所検出手段が上流側に位置する部品実装装置に装備される場合、もしくは、欠落箇所検出手段が一括搭載する部品実装機10と個別搭載する部品実装機10の間に配置された検査装置に装備される場合は、欠落箇所でない搭載箇所に対する実装をスキップする情報、もしくは欠落箇所に対する実装を指示する情報を、欠落箇所検出手段を装備する装置から個別搭載する部品実装装置へ通知するようにすればよい。
【0037】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
1: 基板
2: ボール搭載箇所としての端子
10: 部品実装機
31: マルチノズルヘッド
32: マルチノズル
33: 吸引孔
41: インデックスヘッド
43: ノズルホルダ
44,44a,44b: ノズル
51: 撮像装置としてのマークカメラ
61: 撮像装置としての撮像カメラ
71: 欠落箇所検出手段
72: 動作制御部
B1: 導電性ボールとしてのはんだボール
B2,B3: 欠落箇所
図1
図2
図3
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図5
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図11
図12