(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161988
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電波情報受信装置、電波情報受信システム、電波情報受信方法および電波情報受信プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/04 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G01S5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077102
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】小川 辰也
(72)【発明者】
【氏名】栗原 崇
(72)【発明者】
【氏名】喜田 雅人
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062CC14
(57)【要約】
【課題】電波の発信源の位置の推定精度を向上することを可能にする。
【解決手段】
電波情報受信装置が、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、センサに対する受信電波の方向の情報と受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信し、複数のセンサのうちのいずれかのセンサから電波情報を受信した場合、受信した電波情報に基づいて、受信した電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に受信方向を向けさせ、受信電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行い、受信センサから受信した電波情報と、制御対象センサから電波情報を受信した場合には制御対象センサから受信した電波情報とに基づいて、受信電波の発信源の位置を推定し、受信電波の発信源の位置の情報を出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信部と、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御部と、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定部と、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力部と
を備える電波情報受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信センサの位置と前記受信電波の方向の情報とに基づいて、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域を推定する、
請求項1に記載の電波情報受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含むセンサを、前記制御対象センサとして決定する、
請求項1または請求項2に記載の電波情報受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記制御対象センサに対して、前記受信周波数と前記受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる場合より狭いアンテナビーム幅を指定する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電波情報受信装置。
【請求項5】
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信手段と、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御手段と、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定手段と、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力手段と
を備える電波情報受信システム。
【請求項6】
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信し、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行い、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定し、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する、
電波情報受信方法。
【請求項7】
前記受信センサの位置と前記受信電波の方向の情報とに基づいて、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域を推定する、
請求項6に記載の電波情報受信方法。
【請求項8】
前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含むセンサを、前記制御対象センサとして決定する、
請求項6または請求項7に記載の電波情報受信方法。
【請求項9】
前記制御対象センサに対して、前記受信周波数と前記受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる場合より狭いアンテナビーム幅を指定する、
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の電波情報受信方法。
【請求項10】
コンピュータに、
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信機能と、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御機能と、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定機能と、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力機能と
を実現させる電波情報受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波情報受信装置、電波情報受信システム、電波情報受信方法および電波情報受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不法無線局を見つけるための方法として、受信障害の通報などをきっかけとして調査者が現場に赴き、測定器などを用いて調査する方法がある。しかし、この方法では、調査者による現地調査によって不法無線局の位置が推定されるので、手間がかかる。
【0003】
この手間を軽減する方法として、フィールドに設置された多くのセンサが電波を受信し、受信された電波の情報に基づいて電波の発信源の位置を推定する方法が考えられる。電波の発信源の位置の推定方法には、AOA(Angle of Arrival)方式、POA(Power of Arrival)方式、TDOA(Time Difference of Arrival)方式などがある。これらの方法では、複数箇所のセンサで受信された電波の情報に基づいて、電波の発信源の位置が推定される。
【0004】
また、関連技術としては、特許文献1から特許文献3に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-242232号公報
【特許文献2】特開2003-078945号公報
【特許文献3】特開2004-212185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くのセンサで電波を検知する場合、センサの各々は、たとえば、受信周波数を変えながら、また、受信方向を変えながら、電波の受信を試みる。(なお、この動作は、スキャンと呼ばれることがある。)そのため、スキャンには時間がかかる。
【0007】
スキャンに時間がかかると、センサの各々で同一の電波が異なるタイミングで受信される可能性がある。そして、発信源が移動している場合、あるセンサで電波が受信されてから他のセンサで当該電波が受信されるまでの間に、発信源が移動する可能性がある。その結果、移動している発信源の位置の推定精度が下がる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、電波の発信源の位置の推定精度を向上することを可能にする電波情報受信装置、電波情報受信システム、電波情報受信方法および電波情報受信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様において、電波情報受信装置は、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信部と、前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御部と、前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定部と、前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力部とを備える。
【0010】
また、本発明の他の態様において、電波情報受信システムは、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信手段と、前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御手段と、前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定手段と、前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力手段とを備える。
【0011】
また、本発明の他の態様において、電波情報受信方法は、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信し、前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行い、前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定し、前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する。
【0012】
また、本発明の他の態様において、電波情報受信プログラムは、コンピュータに、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信機能と、前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御機能と、前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定機能と、前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電波の発信源の位置の推定精度を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一の実施形態の電波情報受信装置の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態の電波情報受信装置の動作フローの例を示す図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態の電波情報受信装置を含むシステムの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態の電波情報受信装置の構成例を示す図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態の電波情報受信装置が表示装置に表示させる画像の例を示す図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態のセンサにおけるスキャンの動作フローの例を示す図である。
【
図9】本発明の第二の実施形態の電波情報受信装置の動作フローの例を示す図である。
【
図10】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施の形態について説明する。
【0016】
なお、第一の実施の形態における電波情報受信装置10の具体的な一例が、後述する第二の実施の形態における電波情報受信装置20である。
【0017】
まず、本実施形態の電波情報受信装置10の構成例について説明する。
図1に、本実施形態の電波情報受信装置10の構成例を示す。電波情報受信装置10は、受信部11、制御部12、推定部13および出力部14を含む。
【0018】
受信部11は、複数のセンサから電波情報を受信する。複数のセンサの各々は、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる。電波情報は、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報である。電波情報は、センサに対する受信電波の方向の情報と受信電波の周波数の情報とを含む。
【0019】
制御部12は、受信部11が複数のセンサのうちのいずれかから電波情報を受信した場合、受信部11が受信した電波情報に基づいて、制御対象センサに対して制御を行う。制御対象センサは、受信センサとは異なるセンサである。受信センサは、受信部11が受信した電波情報の送信元のセンサである。制御部12は、制御対象センサに対して、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に受信方向を向けさせ、受信電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う。
【0020】
推定部13は、受信部11が受信センサから受信した電波情報と、受信部11が制御対象センサから電波情報を受信した場合には制御対象センサから受信した電波情報とに基づいて、受信電波の発信源の位置を推定する。
【0021】
出力部14は、受信電波の発信源の位置の情報を出力する。
【0022】
次に、本実施形態の電波情報受信装置10の動作フローの例について説明する。
図2に本実施形態の電波情報受信装置10の動作フローの例を示す。
【0023】
制御部12は、受信部11が複数のセンサのうちのいずれかから電波情報を受信した場合、受信部11が受信した電波情報に基づいて、制御対象センサに対して制御を行う(ステップS101)。
【0024】
推定部13は、受信部11が受信センサから受信した電波情報と、受信部11が制御対象センサから電波情報を受信した場合には制御対象センサから受信した電波情報とに基づいて、受信電波の発信源の位置を推定する(ステップS102)。
【0025】
出力部14は、受信電波の発信源の位置の情報を出力する(ステップS103)。
【0026】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、電波情報受信装置10は、受信部11、制御部12、推定部13および出力部14を含む。受信部11は、複数のセンサから電波情報を受信する。複数のセンサの各々は、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる。電波情報は、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報である。電波情報は、センサに対する受信電波の方向の情報と受信電波の周波数の情報とを含む。制御部12は、受信部11が複数のセンサのうちのいずれかから電波情報を受信した場合、受信部11が受信した電波情報に基づいて、制御対象センサに対して制御を行う。制御対象センサは、受信センサとは異なるセンサである。受信センサは、受信部11が受信した電波情報の送信元のセンサである。制御部12は、制御対象センサに対して、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に受信方向を向けさせ、受信電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う。推定部13は、受信部11が受信センサから受信した電波情報と、受信部11が制御対象センサから電波情報を受信した場合には制御対象センサから受信した電波情報とに基づいて、受信電波の発信源の位置を推定する。出力部14は、受信電波の発信源の位置の情報を出力する。
【0027】
このように、電波情報受信装置10は、電波情報を受信した場合、制御対象センサに対して、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に受信方向を向けさせ、受信電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う。そのため、制御対象センサで早期に電波が受信される可能性が向上する。その結果、発信源が移動している場合でも、あるセンサで電波が受信されてから他のセンサで電波が受信されるまでの発信源の移動距離が小さくなる。そのため、電波の発信源の位置の推定精度を向上することが可能になる。
【0028】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施の形態における電波情報受信装置20について説明する。なお、第一の実施の形態における電波情報受信装置10の具体的な一例が、第二の実施の形態における電波情報受信装置20である。
【0029】
まず、
図3に本実施形態の電波情報受信装置20を含むシステムの構成例を示す。電波情報受信装置20は、センサ50-i(iは1以上N以下の整数)と互いに接続する。また、電波情報受信装置20は、表示手段60と互いに接続する。センサ50-iおよび電波情報受信装置20は監視システム40に含まれる。
【0030】
センサ50-iは、電波を受信する。センサ50-iにより受信された電波を、以降、受信電波と呼ぶ。また、センサ50-iは、受信電波についての電波情報を電波情報受信装置20へ出力する。
【0031】
電波情報は、電波に関する情報である。電波情報は、方向情報と周波数情報とを含む。方向情報は、センサ50-iに対する電波の到来方向を示す情報である。また、周波数情報は、電波の周波数を示す情報である。センサ50-iは、たとえば、ビームフォーミングや回転によって指向性を制御可能なアンテナにより、電波の到来方向を推定することができる。
【0032】
また、電波情報は、位置特定情報を含んでいてもよい。位置特定情報は、発信源の位置の特定に使用できる情報である。位置特定情報は、AOA方式、POA方式、TDOA方式などで使用される情報を含んでいてもよい。
【0033】
また、電波情報は、電波の発信源の識別情報である電波識別情報を含んでいてもよい。電波識別情報は、発信源の個体を識別可能な情報である。電波識別情報は、たとえば、IMEI(International Mobile Equipment Identity)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、MAC(Media Access Control)アドレスなどを含んでいてもよい。発信源がドローンである場合、電波識別情報は、ドローンの識別情報であるリモートID(identification)を含んでいてもよい。
【0034】
また、電波情報は、電波の変調方式、センサ50-iにおける受信信号レベルなどの情報を含んでいてもよい。たとえば、電波情報は、SS-RSRQ(Reference Signal Received Quality)などの情報を含んでいてもよい。
【0035】
センサ50-iは、固定的に設置されていてもよいし、移動可能であってもよい。また、センサ50-iから電波情報受信装置20へ電波情報を出力するための通信方法は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0036】
センサ50-iは、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる。以降、この動作を、スキャンと呼ぶことがある。
【0037】
より具体的には、センサ50-iは、所定の受信対象の周波数の中で、受信周波数を変更する。また、センサ50-iは、所定の受信対象の方向の中で、受信方向を変更する。また、センサ50-iは、受信対象の周波数と受信対象の方向との組み合わせを網羅するように、受信周波数および受信方向を変更する。そして、センサ50-iは、変更された受信周波数および受信方向で、電波の受信を試みる。
【0038】
受信対象のセンサ50-iは、自律的にスキャンを行ってもよいし、電波情報受信装置20など、他の装置からの指示によってスキャンを行ってもよい。
【0039】
表示手段60は、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。表示手段60は、画像を表示する。本実施形態では、電波情報受信装置20は、受信電波の発信源の位置情報を表示手段60に出力する。しかし、位置情報の出力先は任意である。電波情報受信装置20は、表示手段60以外の出力先に位置情報を出力してもよい。
【0040】
次に、
図4に本実施形態の電波情報受信装置20の構成例を示す。本実施形態の電波情報受信装置20は、受信部21、制御部22、推定部23および出力部24を含む。
【0041】
受信部21は、センサ50-1~50-Nのうち、電波を受信したセンサ50-iから、受信電波の電波情報を受信する。受信電波は、センサ50-iで受信された電波である。電波情報は、電波についての情報である。電波情報は、方向情報と周波数情報とを含む。方向情報は、センサ50-iに対する電波の到来方向を示す情報である。また、周波数情報は、電波の周波数を示す情報である。
【0042】
受信部21は、前述のスキャンによってセンサ50-iで電波が受信されると、受信電波の電波情報をセンサ50-iから受信する。また、受信部21は、後述の受信試行制御によってセンサ50-iで電波が受信された場合にも、受信電波の電波情報をセンサ50-iから受信する。
【0043】
制御部22は、受信部21がセンサ50-1~50-Nのうちのいずれか一つから電波情報を受信した場合、受信部21が受信した電波情報に基づいて、制御対象センサに対して受信試行制御を行う。
【0044】
ここで、制御対象センサは、センサ50-1~50-Nのうち、受信センサとは異なるセンサである。受信センサは、受信部21が受信した電波情報の送信元のセンサである。また、受信試行制御は、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に受信方向を向けさせ、受信電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御である。このとき制御対象センサにおけるスキャンは中断される。また、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域を、存在可能性領域と呼ぶことがある。
【0045】
より具体的には、制御部22は、たとえば、スキャン中のセンサから受信部21が電波情報を受信すると、センサ50-1~50-Nに対して、スキャンを中断させる。そして、制御部22は、受信部21が受信した電波情報によって情報が示される電波を、位置推定の対象の電波(以降、対象電波と呼ぶ)とする。また、制御部22は、受信部21で受信された電波情報に基づいて、対象電波の存在可能性領域を推定する。制御部22は、受信センサの位置と、電波情報に含まれる方向情報とに基づいて、存在可能性領域を推定することができる。制御部22は、たとえば、方向情報の誤差を見込んで、方向情報が示す方向を中心とした扇形の範囲を、存在可能性領域として推定してもよい。
【0046】
また、制御部22は、受信センサに対して、電波情報に含まれる方向情報が示す方向に受信方向を固定させる制御を行い、さらに二以上の複数回、または所定時間の間、対象電波についての電波情報が受信部21によって受信されるのを待ってもよい。そして、制御部22は、受信された二以上の複数個の電波情報に基づいて、存在可能性領域を推定してもよい。この場合、存在可能性領域として推定される扇形の範囲が、一つの電波情報に基づいて推定された場合より狭くなる。
【0047】
なお、対象電波についての電波情報であるか否かは、たとえば、電波情報に含まれる周波数情報によって判断されてもよいし、電波情報に電波識別情報が含まれる場合には、電波識別情報によって判断されてもよい。
【0048】
次に、制御部22は、制御対象センサを決定する。制御部22は、存在可能性領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含むセンサを、制御対象センサとして決定する。なお、受信可能範囲は、センサで受信することができる電波の発信源が存在することができる範囲である。センサは、当該センサの受信可能範囲から発信される電波を受信できる可能性がある。
【0049】
図5に、制御対象センサの説明のための図を示す。たとえば、
図5のように、センサ50-1~50-5が存在し、センサ50-3で電波が受信されたとする。そして、存在可能性領域として、破線の扇形の範囲が推定されたとする。この場合、存在可能性領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含むセンサは、センサ50-2とセンサ50-5である。そのため、制御部22は、センサ50-2とセンサ50-5とを、制御対象センサとして決定する。
【0050】
そして、制御部22は、制御対象センサに対して、受信試行制御を行う。すなわち、制御部22は、制御対象センサに対して、存在可能性領域に受信方向を向けさせ、対象電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる。制御部22は、存在可能性領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含む受信方向が二以上の複数ある場合には、その受信方向の各々を順に指定して、制御対象センサに電波の受信を試みさせる。
【0051】
図6に、受信方向の説明のための図を示す。
図6に示される例の場合、センサ50-5では、存在可能性領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含む受信方向が三つある。そのため、制御部22は、三つの受信方向を、制御対象センサに対して順に指定する。なお、いずれか一つの受信方向で対象電波が受信された場合には、まだ指定されていない受信方向が残っていても、制御部22は、受信方向の指定を終了してもよい。
【0052】
制御部22は、受信試行制御を終了すると、センサ50-1~50-Nの各々に対して、スキャンを再開させる。
【0053】
また、制御部22は、受信試行制御において、スキャンの場合より狭いアンテナビーム幅(高分解能)を、制御対象センサに対して指定してもよい。この場合、スキャンは広いアンテナビーム幅で実施され、受信試行制御は狭いアンテナビーム幅で実施されることになる。このようにすると、受信試行制御において、受信電波の方向の推定精度が向上するので、発信源の位置の推定精度が向上する。発信源の位置の推定は、推定部23で行われる。
【0054】
なお、アンテナビーム幅の変更は、たとえば、センサ50-iのアンテナ素子数が多い場合には、使用する素子数を変更することで、実現が可能である。また、センサ50-iが、アンテナビーム幅が広いアンテナと狭いアンテナとを備え、制御部22からの指示に従って、使用するアンテナを変更してもよい。
【0055】
推定部23は、受信部21が受信センサから受信した電波情報と、受信部21が制御対象センサから電波情報を受信した場合には制御対象センサから受信した電波情報とに基づいて、受信電波(対象電波)の発信源の位置を推定する。
【0056】
推定部23は、たとえば、AOA方式によって、受信電波の発信源の位置を推定する。なお、AOA方式は、複数のセンサから電波の方向へ伸ばした直線の交点を、発信源の位置として推定する方法である。なお、発信源の位置は、点ではなく範囲によって示されてもよい。また、推定部23は、POA方式やTDOA方式によって、受信電波の発信源の位置を推定してもよい。この場合、電波情報は、使用される位置特定方式に応じた位置特定情報を含む。
【0057】
出力部24は、受信電波の発信源の位置の情報である位置情報を出力する。
【0058】
本実施形態では、出力部24は、位置情報を表示手段60に出力する。また、本実施形態では、出力部24は、位置情報を、画像を表示手段60に表示させるための画像情報として出力する。すなわち、出力部24は、位置情報を表示手段60に出力することによって、画像を表示手段60に表示させる。
【0059】
出力部24は、既知の受信電波に関する情報については、出力を抑制してもよい。既知の受信電波に関する情報の出力を抑制すると、電波情報受信装置20から出力先への情報量を削減でき、また、通信負荷を低減することができる。また、利用者にとっては、情報の取捨選択が容易になる。制御部22についても、受信部21が受信した電波情報が、既知の受信電波についての電波情報であった場合には、受信試行制御を行わなくてもよい。
【0060】
このように、本実施形態では、あるセンサで電波が受信された場合に、当該電波の発信源が存在する可能性がある領域に他のセンサの受信方向を向けるので、他のセンサで早期に電波が受信される可能性が向上する。そのため、発信源が移動している場合でも、あるセンサで電波が受信されてから他のセンサで電波が受信されるまでの発信源の移動距離が小さくなる。その結果、移動している発信源の位置の推定精度を向上することができる。
【0061】
次に、出力部24が表示手段60に表示させる画像の具体例について説明する。
【0062】
たとえば、画像は、地図上の発信源の位置に、発信源を示す画面アイテムを含むものであってもよい。また、発信源の位置は、ピンポイントではなく、ある程度の幅を持った範囲で推定されることが多い。そのため、発信源を示す画面アイテムは、発信源が存在すると推定される範囲を示す大きさで表示されてもよい。
【0063】
また、画像は、さらに、各々の電波について、電波情報の少なくとも一部を表示してもよい。たとえば、画像は、発信源を示す画面アイテムに対応付けて、電波識別情報を表示してもよい。
図7は、表示画像の例を示す図である。
図7の例の場合、円は、発信源を示す画面アイテムである。このように、画像には、地図上の発信源の位置に、発信源を示す画面アイテムが配置される。また、
図7の例の場合、画面アイテムの大きさは、発信源が存在すると推定される範囲を示す。
【0064】
また、出力部24は、表示手段60ではない出力先に位置情報を出力してもよい。たとえば、位置情報は、電波の発信源の位置に関する情報を含むデータであってもよい。
【0065】
次に、本実施形態の電波情報受信装置20およびセンサ50-iの動作フローの例について説明する。また、
図9に、本実施形態の電波情報受信装置20の動作フローの例を示す。
【0066】
まず、本実施形態のセンサ50-iにおけるスキャンの動作フローの例について説明する。
図8に、センサ50-iにおけるスキャンの動作フローの例を示す。
【0067】
センサ50-iは、所定の受信対象の周波数の中で、受信周波数を変更する。また、センサ50-iは、所定の受信対象の方向の中で、受信方向を変更する。
【0068】
まず、センサ50-iは、受信周波数を初期値に設定する(ステップS201)。また、センサ50-iは、受信方向を初期値に設定する(ステップS202)。
【0069】
そして、センサ50-iは、設定された受信周波数および受信方向での電波の受信を試行する(ステップS203)。
【0070】
センサ50-iは、電波を受信した場合(ステップS204でYES)、受信電波の電波情報を電波情報受信装置20へ送信する(ステップS205)。
【0071】
電波の受信の試行から所定時間が経過するなど、受信の試行を終了すると、センサ50-iは、所定の受信対象の方向の中に、未試行の方向があるか確認する。センサ50-iは、未試行の方向があれば(ステップS206でYES)、受信方向を変更し(ステップS207)、電波の受信を試行する(ステップS203)。
【0072】
センサ50-iは、未試行の方向がなければ(ステップS206でNO)、所定の受信対象の周波数の中に、未試行の周波数があるか確認する。センサ50-iは、未試行の周波数があれば(ステップS208でYES)、受信周波数を変更する(ステップS209)。また、センサ50-iは、受信方向を初期値に設定して(ステップS202)、電波の受信を試行する(ステップS203)。
【0073】
センサ50-iは、未試行の周波数がなければ(ステップS208でNO)、ステップS201から再度スキャンを行う。
【0074】
次に、本実施形態の電波情報受信装置20の動作フローの例について説明する。
図9に、本実施形態の電波情報受信装置20の動作フローの例を示す。
【0075】
受信部21は、スキャンによってセンサ50-iで電波が受信されると、受信電波の電波情報をセンサ50-iから受信する(ステップS301)。
【0076】
制御部22は、スキャン中のセンサから受信部21が電波情報を受信すると、センサ50-1~50-Nに対して、スキャンを中断させる。そして、制御部22は、受信部21が受信した電波情報によって情報が示される電波を、位置推定の対象の電波(対象電波)とする。また、制御部22は、受信部21で受信された電波情報に基づいて、対象電波の存在可能性領域を推定する(ステップS302)。
【0077】
次に、制御部22は、制御対象センサを決定する(ステップS303)。
【0078】
そして、制御部22は、制御対象センサに対して、受信試行制御を行う(ステップS304)。すなわち、制御部22は、制御対象センサに対して、存在可能性領域に受信方向を向けさせ、対象電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる。
【0079】
受信部21は、受信試行制御によって制御対象センサで電波が受信された場合、受信電波の電波情報を制御対象センサから受信する。
【0080】
推定部23は、受信部21が受信センサから受信した電波情報と、受信部21が制御対象センサから電波情報を受信した場合には制御対象センサから受信した電波情報とに基づいて、受信電波(対象電波)の発信源の位置を推定する(ステップS305)。
【0081】
出力部24は、受信電波の発信源の位置の情報である位置情報を出力する(ステップS306)。
【0082】
制御部22は、受信試行制御を終了すると、センサ50-1~50-Nの各々に対して、スキャンを再開させる(ステップS307)。
【0083】
なお、制御部22は、ステップS302におけるスキャンの中断を実施しなくてもよい。また、この場合、制御部22は、ステップS304における受信試行制御の前に、制御対象センサのスキャンを中断させ、受信試行制御の実施から所定時間後に、制御対象センサのスキャンを再開させてもよい。また、制御部22は、制御対象センサ以外のセンサについては、スキャンを中断させなくてもよい。
【0084】
そして、受信部21が制御対象センサ以外のセンサ(スキャンを実施しているセンサ)から電波情報を受信した場合には、制御部22は、受信した電波情報によって情報が示される電波を、次の対象電波としてもよい。そして、制御部22は、先の対象電波についてのステップS306までの動作が終了した後に、次の対象電波について、ステップS302からの動作を実施してもよい。また、制御部22は、先の対象電波についての動作と次の対象電波とを並列で実施してもよい。この場合、先の対象電波についての動作と次の対象電波についての動作で、同一のセンサが制御対象センサと決定された場合には、制御部22は、当該制御対象センサに対して、先の対象電波についての受信試行制御を先に行い、その後、次の対象電波についての受信試行制御を行ってもよい。
【0085】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、電波情報受信装置20は、受信部21、制御部22、推定部23および出力部24を含む。受信部21は、複数のセンサから電波情報を受信する。複数のセンサの各々は、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる。電波情報は、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報である。電波情報は、センサに対する受信電波の方向の情報と受信電波の周波数の情報とを含む。制御部22は、受信部21が複数のセンサのうちのいずれかから電波情報を受信した場合、受信部21が受信した電波情報に基づいて、制御対象センサに対して制御を行う。制御対象センサは、受信センサとは異なるセンサである。受信センサは、受信部21が受信した電波情報の送信元のセンサである。制御部22は、制御対象センサに対して、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に受信方向を向けさせ、受信電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う。推定部23は、受信部21が受信センサから受信した電波情報と、受信部21が制御対象センサから電波情報を受信した場合には制御対象センサから受信した電波情報とに基づいて、受信電波の発信源の位置を推定する。出力部24は、受信電波の発信源の位置の情報を出力する。
【0086】
このように、電波情報受信装置20は、電波情報を受信した場合、制御対象センサに対して、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に受信方向を向けさせ、受信電波の周波数を受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う。そのため、制御対象センサで早期に電波が受信される可能性が向上する。その結果、発信源が移動している場合でも、あるセンサで電波が受信されてから他のセンサで電波が受信されるまでの発信源の移動距離が小さくなる。そのため、電波の発信源の位置の推定精度を向上することが可能になる。
【0087】
また、本実施形態では、制御部22は、受信センサの位置と受信電波の方向の情報とに基づいて、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域を推定する。これにより、電波情報受信装置20は、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域の推定を実現することができる。
【0088】
また、本実施形態では、制御部22は、受信電波の発信源が存在する可能性がある領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含むセンサを、制御対象センサとして決定する。これにより、電波情報受信装置20は、受信電波を受信できる可能性があるセンサを制御対象センサとすることができる。
【0089】
また、本実施形態では、制御部22は、制御対象センサに対して、受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる場合(スキャンの場合)より狭いアンテナビーム幅を指定してもよい。この場合、スキャンは広いアンテナビーム幅で実施され、受信試行制御は狭いアンテナビーム幅で実施されることになる。これにより、受信試行制御において、受信電波の方向の推定精度が向上するので、発信源の位置の推定精度を向上することができる。
【0090】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における電波情報受信装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、電波情報受信装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、電波情報受信装置は、専用の装置として実現してもよい。また、電波情報受信装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0091】
図10は、本発明の各実施形態の電波情報受信装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0092】
たとえば、
図1の受信部11、制御部12および出力部14は、通信インタフェース91と演算装置とで、推定部13は、演算装置93で実現することが可能である。
【0093】
通信インタフェース91は、各実施形態の電波情報受信装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、電波情報受信装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0094】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0095】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0096】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0097】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0098】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0099】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0100】
本発明の各実施形態は、たとえば、
図10に例示した情報処理装置90により電波情報受信装置を構成し、この電波情報受信装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0101】
この場合、電波情報受信装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、電波情報受信装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0102】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、電波情報受信装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう電波情報受信装置を構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して電波情報受信装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0103】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0104】
(付記1)
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信部と、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御部と、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定部と、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力部と
を備える電波情報受信装置。
【0105】
(付記2)
前記制御部は、前記受信センサの位置と前記受信電波の方向の情報とに基づいて、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域を推定する、
付記1に記載の電波情報受信装置。
【0106】
(付記3)
前記制御部は、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含むセンサを、前記制御対象センサとして決定する、
付記1または付記2に記載の電波情報受信装置。
【0107】
(付記4)
前記制御部は、前記制御対象センサに対して、前記受信周波数と前記受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる場合より狭いアンテナビーム幅を指定する、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の電波情報受信装置。
【0108】
(付記5)
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信手段と、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御手段と、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定手段と、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力手段と
を備える電波情報受信システム。
【0109】
(付記6)
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信し、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行い、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定し、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する、
電波情報受信方法。
【0110】
(付記7)
前記受信センサの位置と前記受信電波の方向の情報とに基づいて、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域を推定する、
付記6に記載の電波情報受信方法。
【0111】
(付記8)
前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域の少なくとも一部を受信可能範囲として含むセンサを、前記制御対象センサとして決定する、
付記6または付記7に記載の電波情報受信方法。
【0112】
(付記9)
前記制御対象センサに対して、前記受信周波数と前記受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる場合より狭いアンテナビーム幅を指定する、
付記6から付記8のいずれか一項に記載の電波情報受信方法。
【0113】
(付記10)
コンピュータに、
受信周波数と受信方向とを変更しながら電波の受信を試みる複数のセンサから、複数のセンサの各々で受信された受信電波についての情報であって、センサに対する前記受信電波の方向の情報と前記受信電波の周波数の情報とを含む電波情報を受信する受信機能と、
前記複数のセンサのうちのいずれかのセンサから前記電波情報を受信した場合、受信した前記電波情報に基づいて、受信した前記電波情報の送信元のセンサである受信センサとは異なるセンサである制御対象センサに対して、前記受信電波の発信源が存在する可能性がある領域に前記受信方向を向けさせ、前記受信電波の周波数を前記受信周波数として、電波の受信を試みさせる制御を行う制御機能と、
前記受信センサから受信した電波情報と、前記制御対象センサから前記電波情報を受信した場合には前記制御対象センサから受信した前記電波情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置を推定する推定機能と、
前記受信電波の発信源の位置の情報を出力する出力機能と
を実現させる電波情報受信プログラム。
【0114】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0115】
10、20 電波情報受信装置
11、21 受信部
12、22 制御部
13、23 推定部
14、24 出力部
40 監視システム
50-i センサ
60 表示手段
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体