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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161993
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】プロセスユニットおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077108
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】西山 武志
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134HD17
2H134HF07
2H134KF06
2H134KF07
2H134KF08
2H134KG07
2H134KG08
2H134KH15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成でクリーニングブレードの反転を防止できるプロセスユニットを提供する。
【解決手段】プロセスユニット60は、感光体ドラム36、感光体ドラムの表面に残存したトナーを掻き取るクリーニングブレード64、および感光体ドラムの回転方向におけるクリーニングブレードの上流側おいて当該感光体ドラムの両端部のそれぞれに当接するように設けられたトナー保持部材80を備える。トナー保持部材は、感光体ドラムとの当接面80dに凹凸を有している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像が形成される感光体ドラムを備えるプロセスユニットであって、
前記感光体ドラムの表面に残存したトナーを掻き取るクリーニングブレード、および
前記感光体ドラムの回転方向における前記クリーニングブレードの上流側おいて当該感光体ドラムの両端部のそれぞれに当接するように設けられ、当該感光体ドラムとの当接面に凹凸を有するトナー保持部材を備える、プロセスユニット。
【請求項2】
前記クリーニングブレードと前記トナー保持部材との間に隙間が形成されている、請求項1記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記トナー保持部材は、現像領域外に設けられる、請求項1または2記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記トナー保持部材は、
現像領域外に設けられる部材本体、
前記部材本体の前記現像領域側の端縁から前記現像領域内に第1距離だけ突出する延出部、および
前記部材本体の前記現像領域側の端部および前記延出部の前記クリーニングブレードと対向する面に形成され、前記延出部の突出端から前記現像領域の外側に向かって前記第1距離よりも大きい第2距離の位置まで延びる切欠きを有する、請求項1または2記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記切欠きは、前記クリーニングブレードと前記トナー保持部材との間隔が前記現像領域の内側に向かうに従って大きくなるように形成されている、請求項4記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記トナー保持部材は、前記クリーニングブレードを支持する支持部材に設けられた付勢部材によって支持されており、前記付勢部材の付勢力によって前記感光体ドラムに押圧されている、請求項1または2記載のプロセスユニット。
【請求項7】
請求項1記載のプロセスユニットを備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は画像形成装置に関し、特にたとえば、感光体ドラムと感光体ドラムの表面に残存したトナーを掻き取るクリーニングブレードとを備える、プロセスユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプロセスユニットを備える画像形成装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の画像形成装置は、潜像担持体(感光体ドラム)と、潜像担持体に当接して潜像担持体表面をクリーニングするクリーニング部材(クリーニングブレード)と、潜像担持体に接触して潜像を現像する現像剤担持体(現像ローラ)とを有する。クリーニング部材には、潜像担持体とクリーニング部材との隙間を埋めるクリーニングシール部材がクリーニング部材長手端部に当接しており、現像剤担持体には、現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤規制部材と現像剤を供給する開口と現像剤担持体との隙間を埋める現像剤シール部材が現像剤担持体長手端部に当接している。そして、現像剤シール部材には、潤滑剤が塗布され、現像剤シール部材内側端部は、クリーニングブレード端部より内側にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-181713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、クリーニングブレードよりも現像ローラの方が長いことを前提として、現像剤シール部材に潤滑剤を塗布することでクリーニングブレードの反転(捲れ)を防止している。しかしながら、特許文献1の技術では、部材に潤滑剤を塗布する必要があるので、その分コストが上がる。また、クリーニングブレードよりも現像ローラの方が短い場合には、適用できない。
【0005】
それゆえに、この開示の主たる目的は、新規な、プロセスユニットおよび画像形成装置を提供することである。
【0006】
この開示の他の目的は、簡単な構成でクリーニングブレードの反転を防止できる、プロセスユニットおよび画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の開示は、表面にトナー像が形成される感光体ドラムを備えるプロセスユニットであって、感光体ドラムの表面に残存したトナーを掻き取るクリーニングブレード、および感光体ドラムの回転方向におけるクリーニングブレードの上流側おいて当該感光体ドラムの両端部のそれぞれに当接するように設けられたトナー保持部材を備える。トナー保持部材は、たとえば不織布、織布および発泡材などの柔軟性を有する多孔質材によって形成され、感光体ドラムとの当接面に凹凸を有している。
【0008】
第1の開示によれば、感光体ドラムとの当接面に凹凸を有するトナー保持部材をクリーニングブレードの上流側に設けるという簡単な構成で、感光体ドラムの両端部における摩擦係数変化を抑制できる。したがって、クリーニングブレードの反転を適切に防止できる。
【0009】
第2の開示は、第1の開示に従属し、クリーニングブレードとトナー保持部材との間に隙間が形成されている。
【0010】
第3の開示は、第1または第2の開示に従属し、トナー保持部材は、現像領域外に設けられる。
【0011】
第4の開示は、第1または第2の開示に従属し、トナー保持部材は、現像領域外に設けられる部材本体、部材本体の現像領域側の端縁から現像領域内に第1距離だけ突出する延出部、および部材本体の現像領域側の端部および延出部のクリーニングブレードと対向する面に形成され、延出部の突出端から現像領域の外側に向かって第1距離よりも大きい第2距離の位置まで延びる切欠きを有する。
【0012】
第4の開示によれば、製造誤差および取付誤差などによってトナー保持部材の配置位置が目標位置からずれてしまった場合でも、クリーニングブレードの反転を適切に防止できる。
【0013】
第5の開示は、第4の開示に従属し、切欠きは、クリーニングブレードとトナー保持部材との間隔が現像領域の内側に向かうに従って大きくなるように形成されている。
【0014】
第6の開示は、第1または第2の開示に従属し、トナー保持部材は、クリーニングブレードを支持する支持部材に設けられた付勢部材によって支持されており、付勢部材の付勢力によって感光体ドラムに押圧されている。
【0015】
第7の開示は、第1の開示に係るプロセスユニットを備える、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
この開示によれば、感光体ドラムとの当接面に凹凸を有するトナー保持部材をクリーニングブレードの上流側に設けるという簡単な構成で、クリーニングブレードの反転を防止できる。
【0017】
この開示の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この開示の第1実施例のプロセスユニットを備える画像形成装置の内部構造を概略的に示す図である。
図2】プロセスユニットを示す右側面図である。
図3】プロセスユニットを示す底面図である。
図4図2のIV-IV線におけるプロセスユニットの断面を示す断面図である。
図5】感光体ドラムを取り外した状態のプロセスユニットを示す底面図である。
図6】プロセスユニットのトナー保持部材周辺部を示す図である。
図7】トナー保持部材および付勢部材を示す正面図である。
図8】トナー保持部材および付勢部材を示す底面図である。
図9】クリーニングブレードの支持部材に取り付けられたトナー保持部材を示す平面図である。
図10】クリーニングブレードの支持部材に取り付けられたトナー保持部材を示す底面図である。
図11図10のX-X線におけるクリーニングブレード等の断面を示す断面図である。
図12】トナー保持部材の配置位置を説明するための模式図である。
図13】第2実施例のトナー保持部材および付勢部材を示す底面図である。
図14】クリーニングブレードの支持部材に取り付けられた第2実施例のトナー保持部材を示す底面図である。
図15】第2実施例のトナー保持部材の配置位置を説明するための模式図である。
図16】第2実施例のトナー保持部材の作用を説明するための模式図である。
図17】第3実施例のトナー保持部材および付勢部材を示す正面図である。
図18】第3実施例のトナー保持部材および付勢部材を示す底面図である。
図19】第4実施例のトナー保持部材および付勢部材を示す正面図である。
図20】第4実施例のトナー保持部材および付勢部材を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施例]
図1を参照して、この開示の第1実施例であるプロセスユニット60は、感光体ドラム36、クリーニングブレード64等を備えるクリーニングユニット38、および帯電ローラ70等を備える帯電ユニット40などを一体化したものであり、画像形成装置10の装置本体12に対して着脱可能に設けられる。
【0020】
なお、この明細書では、画像形成装置10を操作するユーザの立ち位置に対向する面、つまり図示しない操作ユニットが設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定する。なお、操作ユニットは、図1の紙面の手前側に設けられている。また、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、前面側から画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。
【0021】
先ず、画像形成装置10の構成について概略的に説明する。図1に示すように、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有するモノクロ複合機であって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に対して単色の画像を形成する。画像形成装置10は、装置本体12およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0022】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF24(自動原稿送り装置)が設けられる。また、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷開始指示などの入力操作を受け付ける操作ユニットが設けられる。操作ユニットには、タッチパネル付きのディスプレイおよび各種の操作ボタン等が設けられる。
【0023】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0024】
装置本体12内には、CPUおよびメモリ等を含む制御部(図示せず)、および画像形成部30などが設けられる。制御部は、操作ユニットへの入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0025】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーニングユニット38、帯電ユニット40、転写ローラ42、定着ユニット44およびトナー補給装置46等を備え、給紙トレイ48等から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ50に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0026】
感光体ドラム36は、表面に感光層が形成されたドラム本体36a(図2参照)を備える像担持体であって、前後方向に延びるように設けられる。帯電ユニット40は、帯電ローラ70(図4参照)等を備え、感光体ドラム36(ドラム本体36a)の表面を所定の電位に帯電させる。クリーニングユニット38は、クリーニングブレード64(図4参照)等を備え、現像および画像転写後の感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。また、感光体ドラム36、クリーニングユニット38および帯電ユニット40は、一体化(カートリッジ化)されており、これらによってプロセスユニット60が構成される。プロセスユニット60は、装置本体12の前面側から着脱することが可能である。プロセスユニット60の具体的構成については後述する。
【0027】
露光ユニット32は、レーザダイオードおよびポリゴンミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、感光体ドラム36の左側に所定間隔をあけて配置される。露光ユニット32は、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像ユニット34は、現像槽および現像ローラ34a等を備え、感光体ドラム36の下側に配置される。現像ユニット34は、感光体ドラム36の表面にトナーを供給し、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像をトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)。
【0028】
転写ローラ42は、感光体ドラム36の表面に形成されたトナー像を用紙に転写するための部材であって、感光体ドラム36を押圧するように設けられる。画像形成時には、転写ローラ42に所定の電圧が印加されることによって、感光体ドラム36と転写ローラ42との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用により、感光体ドラム36と転写ローラ42との間のニップ域(転写ニップ部)を用紙が通過する間に、感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0029】
定着ユニット44は、加熱ローラおよび加圧ローラ等を備え、プロセスユニット60および転写ローラ42の上方に配置される。加熱ローラは、内部に設けられた熱源によって所定の定着温度となるように加熱される。そして、加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ域(定着ニップ部)を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0030】
また、装置本体12内には、給紙トレイ48等から搬送される用紙をレジストローラ52、転写ニップ部および定着ニップ部を経由させて排紙トレイ50(排紙部)に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット44を通過した後の用紙を、転写ニップ部の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ54が適宜設けられる。
【0031】
次に、プロセスユニット60の構成について具体的に説明する。図2~4に示すように、プロセスユニット60は、感光体ドラム36、クリーニングユニット38および帯電ユニット40等を備え、これらはプロセスフレーム62によって所定の配置態様で一体的に保持される。
【0032】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成されたドラム本体36aを備える。基体の両端部には、フランジが嵌め込まれるようにして固定的に取り付けられ、このフランジの中心部を貫通するように金属製のドラム軸36bが設けられる。ドラム軸36bの両端部は、プロセスフレーム62に設けられるベアリングによって回転可能に支持される。また、図示は省略するが、ドラム軸36bの後端部には、カップリング部およびギア列などを介して駆動モータが連結される。ドラム本体36aは、このドラム軸36bの回転に伴って回転する。つまり、感光体ドラム36は、プロセスフレーム62によってドラム軸36b回りに回転可能に支持されており、駆動モータから伝達される駆動力によって回転する。
【0033】
クリーニングユニット38は、クリーニングブレード64および搬送部材66などを備え、感光体ドラム36の上側に設けられる。クリーニングブレード64は、ウレタンゴム等の弾性材料によって形成される長板状の部材であって、金属製の支持部材68によって支持される。クリーニングブレード64は、感光体ドラム36に沿って前後方向に延びるように設けられ、その長手方向(前後方向)の長さは、感光体ドラム36(ドラム本体36a)の軸方向長さよりも少し大きく設定される。クリーニングブレード64の先端部(エッジ部分)は、用紙への転写位置よりも感光体ドラム36の回転方向における下流側(つまり印字後)において感光体ドラム36の表面に当接される。このようなクリーニングブレード64は、印字後に感光体ドラム36の表面に残存したトナーを機械的に掻き取って除去する。クリーニングブレード64によって掻き取られたトナー(廃トナー)は、搬送部材66によって図示しない廃トナーボックスに送り込まれる。
【0034】
帯電ユニット40は、帯電ローラ70およびクリーニングローラ72等を備え、感光体ドラム36の左側に設けられる。帯電ローラ70は、鉄などの金属によって形成される円柱状(丸棒状)の導電性支持体である軸部70aを備える。この軸部70aの外周面上には、両端部を残して、弾性層および抵抗層を含むローラ部70bが形成される。弾性層は、感光体ドラム36に対する給電や、感光体ドラム36との良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性とを有する材料によって形成される。抵抗層は、弾性層中に含有される軟化油や可塑剤などのブリードアウトを防止すると共に、帯電ローラ70全体の電気抵抗を調整するために設けられており、導電性または半導電性を有する材料によって形成される。
【0035】
帯電ローラ70のローラ部70bは、現像ローラ34aよりも少し大きく、感光体ドラム36(ドラム本体36a)とほぼ同じか少し小さい軸方向長さを有しており、感光体ドラム36と平行に配置される。すなわち、感光体ドラム36における現像領域R1(着磁領域)は、帯電領域R2よりも狭く(軸方向長さが小さく)、感光体ドラム36の両端部には、帯電領域であってかつ非現像領域である領域R3が形成される(図7参照)。そして、帯電ローラ70は、ローラ部70bの外側面がドラム本体36aの外側面に所定圧で当接(接触)した状態で、感光体ドラム36の回転に伴って従動回転しながら、感光体ドラム36(具体的にはドラム本体36a)の表面を所定の電位に帯電させる。また、クリーニングローラ72は、感光体ドラム36と反対側の位置において、帯電ローラ70の表面と接触するように配置され、帯電ローラ70の表面に付着したトナー等の異物を除去する。
【0036】
このようなプロセスユニット60においては、上述のように、印字後に感光体ドラム36の表面に残留したトナーは、クリーニングブレード64によって掻き取られて回収される。この回収されるトナー(廃トナー)は、クリーニングブレード64のエッジ部分(つまりクリーニングブレード64と感光体ドラム36との当接部)における潤滑剤としての役割を担っている。このため、クリーニングブレード64と感光体ドラム36との当接部にトナーが少ない状況が続くと、摩擦抵抗が増大してクリーニングブレード64が反転してしまう恐れがある。特に、感光体ドラム36の両端部(具体的には、感光体ドラム36の帯電領域R2内であってかつ現像領域R1外となる領域R3)では、供給されるトナーが少ないため、急激な摩擦係数変化が発生してクリーニングブレード64が反転し易い。
【0037】
そこで、この第1実施例では、感光体ドラム36の両端部に当接するようにトナー保持部材80を設け、このトナー保持部材80によって少量のトナーをクリーニングブレード64の上流側に保持しておくことで、簡単な構造で、クリーニングブレード64の反転を防止できるようにした。以下、具体的に説明する。
【0038】
図4図6に示すように、トナー保持部材80は、感光体ドラム36の回転方向におけるクリーニングブレード64の上流側おいて、感光体ドラム36の両端部のそれぞれに当接するように設けられる。トナー保持部材80は、不織布、織布および発泡材などの柔軟性を有する多孔質材によって形成され、感光体ドラム36との当接面80dには、無数の凹凸が形成される。ただし、トナー保持部材80は、感光体ドラム36との当接面80dに凹凸を有していればよく、必ずしもその内部全体に拡がるように孔(空隙)が形成されている必要はない。また、クリーニングブレード64の先端面とトナー保持部材80のブレード対向面80eとの間には、所定間隔の隙間Gが形成される。詳細は後述するように、トナー保持部材80の当接面80dおよび隙間Gに少量のトナーを保持しておくことで、感光体ドラム36の両端部とクリーニングブレード64との間の摩擦係数変化が抑制されて、クリーニングブレード64の反転が防止される。
【0039】
具体的には、図7および図8に示すように、トナー保持部材80は、直方体状に形成される。この実施例では、トナー保持部材80は、感光体ドラム36との当接面80d側(先端側)に設けられる不織布層80aと、後述する付勢部材82側(基端側)に設けられる緩衝層80bとを含む複層構造を有している。不織布層80aは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維およびアクリル繊維などで形成された不織布によって形成される。緩衝層80bは、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等で形成された弾性材によって形成される。また、不織布層80aおよび緩衝層80bのそれぞれは、緩衝層80bおよび付勢部材82のそれぞれに対して、両面テープまたは接着剤などによって固定(固着)される。つまり、不織布層80aと緩衝層80bとの間、および緩衝層80bと付勢部材82との間には、両面テープまたは接着剤などの接合層80cが形成される。接合層80cを含むトナー保持部材80の厚さd1は、たとえば2.5mm~3.0mmである。また、トナー保持部材80の長手方向(感光体ドラム36の軸方向)の長さd2は、たとえば5.0mm~12.0mmであり、トナー保持部材80の短手方向(感光体ドラム36の周方向)の長さd3は、たとえば2.0mm~5.0mmである。
【0040】
このようなトナー保持部材80は、付勢部材82によって支持される。付勢部材82は、トナー保持部材80を感光体ドラム36側に向かって付勢する部材であって、トナー保持部材80は、付勢部材82の付勢力によって感光体ドラム36に押圧(所定圧で当接)される(図6参照)
具体的には、付勢部材82は、PET等の合成樹脂によって形成されるシート状の部材であって、厚み方向に弾性変形可能に形成される。付勢部材82の厚さは、たとえば0.1mm~0.5mmである。この実施例では、付勢部材82は、矩形状の弾性変形部82aと、弾性変形部82aの一方端部(基端部)から両側方(感光体ドラム36の軸方向)に突出する矩形状の取付部82bとを含む略T字状に形成される。この弾性変形部82aの他端部(先端部)にトナー保持部材80が固着される。
【0041】
図9図11に示すように、トナー保持部材80が固着された付勢部材82は、クリーニングブレード64の支持部材68に取り付けられる。すなわち、トナー保持部材80は、支持部材68に設けられた付勢部材82によって支持される。具体的には、両面テープまたは接着剤などを用いて付勢部材82の取付部82bが支持部材68に固着される。付勢部材82の弾性変形部82aの先端部は、自由端となっており、この弾性変形部82aの先端部に固着されたトナー保持部材80は、クリーニングブレード64の先端部よりも感光体ドラム36の回転方向における上流側に配置される。
【0042】
なお、図7図11(後述する他の実施例の図13図14、および図17図20についても同様)では、プロセスユニット60への取付前(感光体ドラム36に対する当接前)のクリーニングブレード64およびトナー保持部材80などを示している。プロセスユニット60にクリーニングブレード64およびトナー保持部材80を取り付けたときには、図6に示すように、クリーニングブレード64の先端部およびトナー保持部材80の当接面80dは、感光体ドラム36を押圧することで感光体ドラム36の表面に沿うように変形し、クリーニングブレード64の先端面とトナー保持部材80のブレード対向面80eとの間には、隙間Gが形成される。隙間Gは、感光体ドラム36から離れるに従って間隔が狭くなる先細り形状となっており、隙間Gの大きさは、最も大きい部分(感光体ドラム36側の部分)で、たとえば0.1mm~1.0mmである。また、プロセスユニット60にクリーニングブレード64およびトナー保持部材80を取り付けたときには、付勢部材82の弾性変形部82aは湾曲し、その復元力によってトナー保持部材80を感光体ドラム36側に向かって付勢する。
【0043】
図9図11に戻って、付勢部材82を支持部材68に固着する際には、支持部材68の端縁の位置と取付部82bの外縁の位置と揃えるようにすることで、トナー保持部材80が所定位置に配置される。
【0044】
ここで、図12に示すように、トナー保持部材80は、現像領域R1外の領域に設けられる。この際には、少なくとも感光体ドラム36(正確にはドラム本体36a)の帯電領域R2内であってかつ現像領域R1外となる領域R3の全長(感光体ドラム36の軸方向における全長)において、感光体ドラム36と当接するように設けられることが好ましい。この実施例では、現像領域R1の端縁から感光体ドラム36の端縁まで延びるように、現像領域R1外の領域の全長に亘ってトナー保持部材80が設けられる。
【0045】
また、この際には、トナー保持部材80の内縁の位置と現像領域R1の端縁の位置とが正確に一致するように、トナー保持部材80を配置することが好ましい。これは、トナー保持部材80の内縁が現像領域R1の端縁よりも外側に配置されると、トナー保持部材80が配置されない領域R3の内側部分において、摩擦係数が上昇してこの部分を中心にクリーニングブレード64が反転する恐れがあるからである。また、トナー保持部材80の内縁が現像領域R1の端縁よりも内側に突出するように配置されると、現像領域R1内にトナー保持部材80が入り込んだ部分において、隙間Gおよびその近傍のトナー保持部材80の当接面80dにトナーが挟まり過ぎて、この大量に挟まったトナーによって感光体ドラム36の表面が押圧されて荒らされる恐れがある。そして、感光体ドラム36の表面が荒らされると、荒らされた部分において摩擦係数が上昇し、この部分を中心にクリーニングブレード64が反転する恐れがあるからである。
【0046】
図6に示すように、このようなトナー保持部材80を備えるプロセスユニット60では、クリーニングブレード64によって感光体ドラム36の表面から掻き取られたトナー(廃トナー)が、感光体ドラム36の回転方向における上流側および軸方向における内側から、感光体ドラム36の表面とトナー保持部材80の当接面80dとの間、およびクリーニングブレード64の先端面とトナー保持部材80のブレード対向面80eとの隙間Gに入り込むことで、トナー保持部材80の当接面80dに形成された凹凸の凹部(繊維間の空隙)および隙間Gのそれぞれには、少量のトナーが保持(貯留)される。つまり、当接面80dの凹部は、第1トナー貯留部として機能し、隙間Gは、第2トナー貯留部として機能する。そして、トナー保持部材80の当接面80dおよび隙間Gに保持された少量のトナーが、潤滑剤として感光体ドラム36の表面に長期にわたって再供給されることで、感光体ドラム36の両端部(領域R3)における急激な摩擦係数変化が抑制される。これにより、クリーニングブレード64の反転が適切に防止される。
【0047】
なお、通常のテキスト印刷のみでも、トナー保持部材80の当接面80dおよび隙間Gにトナーを保持させておくことは可能である。しかし、トナー保持部材80によるトナーの保持量(貯留量)を確保して、より確実にクリーニングブレード64の反転を防止するため、以下のような強制貯留モードを実行するようにしてもよい。
【0048】
たとえば、画像形成装置10の制御部は、感光体ドラム36の回転回数または印字枚数に対する印字率またはトナー使用量を算出し、所定回転回数または所定印字枚数での印字率またはトナー使用量が閾値以下の場合(たとえば、直近60枚の印字率の平均が0.8%以下の場合)には、強制的にベタ吐きを実行するとよい。このベタ吐きは、現像領域R1の全長に行うようにしてもよいし、現像領域R1の両端部のみに行うようにしてもよい。また、画像形成装置10の制御部は、感光体ドラム36の所定回転回数または所定印字枚数ごとに、感光体ドラム36を逆回転させる制御を実行してもよい。
【0049】
以上のように、この第1実施例によれば、感光体ドラム36との当接面80dに凹凸を有するトナー保持部材80をクリーニングブレード64の上流側に設けるという簡単な構成で、感光体ドラム36の両端部における摩擦係数変化を抑制できる。したがって、クリーニングブレード64の反転を適切に防止できる。
【0050】
[第2実施例]
次に、図13図16を参照して、この開示の第2実施例であるプロセスユニット60について説明する。この第2実施例では、トナー保持部材80の形状が上述の第1実施例と異なっており、製造誤差および取付誤差などによってトナー保持部材80の配置位置が感光体ドラム36の軸方向にずれてしまった場合にも、適切に対応できるようにしている。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0051】
図13および図14に示すように、第2実施例では、トナー保持部材80は、略直方体状に形成される部材本体90と、部材本体90の現像領域R1側の端縁(内縁)から内側に突出する延出部92とを有する。また、部材本体90の現像領域R1側の端部(内縁部)および延出部92のブレード対向面80eには、切欠き94が形成される。この実施例では、切欠き94は、クリーニングブレード64の端面とトナー保持部材80との間隔(隙間G)が現像領域R1の内側に向かうに従って徐々に大きくなる傾斜面状に形成される。すなわち、延出部92を含むトナー保持部材80の現像領域R1側の端部は、三角柱状に形成されている。感光体ドラム36の軸方向(クリーニングブレード64の長手方向)に対する切欠き94の傾斜角度は、たとえば30度~60度である。
【0052】
このようなトナー保持部材80は、図15に示すように、部材本体90が現像領域R1外に配置され、延出部92が現像領域R1内に配置される。また、感光体ドラム36の軸方向における切欠き94の基端94aから先端94bまでの長さ(つまり、切欠き94が延出部92の突出端92bから現像領域R1の外側に向かって延びる第2距離H2)は、延出部92の基端92aから突出端92bまでの突出長さ(つまり延出部92が現像領域R1内に突出する第1距離H1)よりも大きい。すなわち、切欠き94は、現像領域R1の端縁よりも現像領域R1の外側に第3距離H3だけ入り込むように形成されている。
【0053】
この第3距離H3の大きさは、製造誤差などによってトナー保持部材80の配置位置が現像領域R1側にずれる可能性のある最大値に設定され、たとえば1.0mmである。また、第1距離H1の大きさは、製造誤差などによってトナー保持部材80の配置位置が現像領域R1の外側にずれる可能性のある最大値と同じか少し大きい値に設定され、たとえば3.0mmである。
【0054】
図16に示すように、このようなトナー保持部材80を備えるプロセスユニット60では、製造誤差などによってトナー保持部材80が目標位置Xから現像領域R1側に最大でずれた最内ずれ位置Yに配置された場合でも、トナー保持部材80の現像領域R1内に入り込んだ部分とクリーニングブレード64との間には、切欠き94によって比較的大きな空間(隙間G)が形成される。このため、現像領域R1内において隙間Gに挟まったトナーの貯留圧力は小さく、また、トナーは隙間Gから感光体ドラム36の径方向外側(上側)に逃げることができるので、トナーによって感光体ドラム36の表面が押圧されて荒らされることを防止できる。一方、トナー保持部材80が目標位置Xから現像領域R1の外側に最大でずれた最外ずれ位置Zに配置された場合でも、現像領域R1の外側にトナー保持部材80が配置される状態を保持できるので、感光体ドラム36の両端部における急激な摩擦係数変化を抑制することができる。
【0055】
また、クリーニングブレード64の端面とトナー保持部材80との間隔(隙間G)が現像領域R1の内側に向かうに従って徐々に大きくなるように切欠き94を形成することで、延出部92を含むトナー保持部材80の現像領域R1側の端部においては、トナー保持部材80の当接面80dで保持されるトナーの量を現像領域R1の外側に向かうに従って大きくすることができる。したがって、感光体ドラム36の両端部における急激な摩擦係数変化をより適切に抑制することができる。
【0056】
以上のように、第2実施例によれば、製造誤差および取付誤差などによってトナー保持部材80の配置位置が目標位置Xからずれてしまった場合でも、感光体ドラム36の両端部における急激な摩擦係数変化を抑制することができ、クリーニングブレード64の反転を適切に防止できる。
【0057】
[第3実施例]
次に、図17および図18を参照して、この開示の第3実施例であるプロセスユニット60について説明する。この第3実施例では、トナー保持部材80の形状が上述の第1実施例および第2実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例および第2実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0058】
上述の第2実施例では、トナー保持部材80の切欠き94を傾斜面状に形成したが、この第3実施例では、図17および図18に示すように、クリーニングブレード64の端面とトナー保持部材80との間隔(隙間G)が現像領域R1の内側に向かうに従って徐々に大きくなる階段状に切欠き94を形成している。
【0059】
この第3実施例においても、第2実施例と同様に、トナー保持部材80の配置位置が目標位置Xからずれてしまった場合でも、クリーニングブレード64の反転を適切に防止できる。
【0060】
なお、上述の第2実施例および第3実施例では、トナー保持部材80の切欠き94をクリーニングブレード64の端面とトナー保持部材80との間隔が現像領域R1の内側に向かうに従って徐々に大きくなるように形成しているが、トナー保持部材80の切欠き94は、感光体ドラム36の軸方向においてクリーニングブレード64の端面とトナー保持部材80との間隔が一定となるように形成してもよい。
【0061】
また、図19および図20に示す第4実施例のように、トナー保持部材80の切欠き94は、トナー保持部材80の先端(当接面80d)から基端側に向かう(つまり感光体ドラム36から遠ざかる)に従って徐々に小さくなる傾斜面状に形成することもできる。
【0062】
さらに、上述の各実施例では、クリーニングブレード64とトナー保持部材80との間に隙間Gを形成しているが、隙間Gは必ずしも形成される必要はない。
【0063】
さらにまた、上述の各実施例では、クリーニングブレード64を支持する支持部材68に設けられた付勢部材82によってトナー保持部材80を支持しているが、付勢部材82またはトナー保持部材80は、プロセスフレーム62に取り付けることもできる。
【0064】
なお、本明細書中で挙げた、画像形成装置10の具体的な構成は、いずれも単なる一例であり、実際の製品の仕様に応じて適宜変更可能である。たとえば、画像形成装置は、必ずしも複合機である必要はなく、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。また、画像形成装置は、モノクロ機に限定されず、多色の画像を形成可能なカラー機であってもよい。
【0065】
また、上で挙げた具体的な部品形状、寸法および配置態様などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 …画像形成装置
12 …装置本体
14 …画像読取装置
30 …画像形成部
34a …現像ローラ
36 …感光体ドラム
38 …クリーニングユニット
40 …帯電ユニット
60 …プロセスユニット
64 …クリーニングブレード
68 …支持部材
70 …帯電ローラ
80 …トナー保持部材
82 …付勢部材
94 …切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
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図18
図19
図20