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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161994
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G03G21/16 120
G03G21/16 133
G03G21/16 138
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077109
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 龍之
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA04
2H171FA22
2H171GA06
2H171HA08
2H171HA09
2H171HA15
2H171HA20
2H171HA23
2H171JA24
2H171JA30
2H171JA33
2H171JA34
2H171JA36
2H171JA42
2H171KA04
2H171KA12
2H171KA29
2H171LA13
2H171LA17
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB02
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC02
2H171QC18
2H171QC22
2H171RA01
2H171RA03
2H171RA05
2H171RA08
2H171SA11
2H171SA12
2H171SA15
2H171SA19
2H171SA20
2H171SA22
2H171SA23
2H171SA28
2H171SA31
2H171SA37
(57)【要約】
【課題】通常印刷する前に、引き出しユニットを正常の位置に移動させることができる機構を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体との間で搬送部を構成し、画像形成装置本体から引き出し可能に設けられる引き出しユニット6を備える画像形成装置であって、引き出しユニット6は、引き出しユニット本体部80Aと、引き出しユニット本体部80Aに対して一端を回転自在に軸支された傾動部材80とを備え、傾動部材80は、引き出しユニット本体部80Aに対する正常位置に傾動部材80を移動させる移動機構120,130を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体との間で搬送部を構成し、前記画像形成装置本体から引き出し可能に設けられる引き出しユニットを備える画像形成装置であって、
前記引き出しユニットは、
引き出しユニット本体部と、
前記引き出しユニット本体部に対して一端を回転自在に軸支された傾動部材と、
を備え、
前記傾動部材は、前記引き出しユニット本体部に対する正常位置に前記傾動部材を移動させる移動機構を含む、
画像形成装置。
【請求項2】
前記移動機構は、偏芯カム機構を有し、
前記画像形成装置本体は、本体案内部材を有し、
前記移動機構は、前記偏芯カム機構を回転させて前記本体案内部材に当接させることにより、前記引き出しユニット本体部に対する正常位置に前記傾動部材を持ち上げ移動させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置本体は、前扉を有し、
前記前扉の内側に、前記本体案内部材が設けられている、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記本体案内部材は、前記引き出しユニットの重量に耐えうるよう、前記前扉に対して補強リブを用いて固定されている、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記傾動部材は、
搬送ローラと、
前記搬送ローラを回転させる支持軸と、
を含み、
前記偏芯カム機構は、前記支持軸に設けられている、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記引き出しユニット本体部には、前記搬送ローラと一対となるローラが設けられている、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記偏芯カム機構は、前記支持軸の逆回転に回転し、当該画像形成装置の通常印刷時の正回転には空転し、前記支持軸に負荷が加わらない、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記偏芯カム機構は、前記支持軸に対してワンウェイクラッチ機構を介して接続されている、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記偏芯カム機構は、前記支持軸に対して電磁クラッチを介して接続されている、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記移動機構は、前記引き出しユニット本体部に対する正常位置に前記傾動部材を移動させた後、前記移動機構を前記支持軸に負荷が加わらない退避位置に移動する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記移動機構の動作は、前記画像形成装置の初期動作時に動作させ、前記画像形成装置の通常印刷時には動作させない、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記移動機構の動作は、前記前扉を閉じた後通常印刷を開始するまでの間である、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記移動機構の動作は、前記画像形成装置本体に設けられたインターロックスイッチにより、前記前扉が閉状態を検知した後に動作させる、
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
当該画像形成装置は、記録紙収納手段を有し、
前記記録紙収納手段を当該画像形成装置に収納したことをセンサで検出し、前記移動機構を動作させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
手動により前記傾動部材を移動させて、前記傾動部材を前記引き出しユニット本体部に対する正常位置にすることができる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
当該画像形成装置は、感光体ドラムを有し、
前記搬送部は、前記感光体ドラムの下方に配設されている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙に画像を形成する画像形成装置に関し、特に記録紙のジャム処理に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙の表裏両面に画像を形成することができる画像形成装置では、通常記録紙を装置の画像形成手段に送って記録紙の片面に画像を形成した後、記録紙を再度該画像形成手段に送って、他面に画像を形成することによって、記録紙の両面に画像が形成される。
【0003】
この画像形成装置において、記録紙を再度画像形成手段に送る部分が引き出しユニットとして画像形成装置本体から取り出せるように構成され、引き出しユニットに形成された搬送路の記録紙のジャム処理がし易いように構成されている。
【0004】
このような構成を備える画像形成装置として、たとえば、特開2004-51361号公報(特許文献1)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-51361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本体内部に分離可能な搬送部を構成する引き出しユニットにおいて、本体手前側に引き出して引き出しユニットを分離開口することでJAM処理可能な構成となっている。しかし、引き出しユニットの本体内部への収納は手動で行なっており、引き出しユニットに設けられる傾動部材が半開き状態のまま、画像形成装置の前扉を閉め通常印刷してしまうと、引き出しユニット内でJAMが発生するおそれがあった。
【0007】
この開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、引き出しユニットに設けられる傾動部材の半開き状態を回避することが可能な機構を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]:画像形成装置本体との間で搬送部を構成し、上記画像形成装置本体から引き出し可能に設けられる引き出しユニットを備える画像形成装置であって、上記引き出しユニットは、引き出しユニット本体部と、上記引き出しユニット本体部に対して一端を回転自在に軸支された傾動部材と、を備え、上記傾動部材は、上記引き出しユニット本体部に対する正常位置に上記傾動部材を移動させる移動機構を含む。
【0009】
[2]:[1]に記載の画像形成装置であって、上記移動機構は、偏芯カム機構を有し、上記画像形成装置本体は、本体案内部材を有し、上記移動機構は、上記偏芯カム機構を回転させて上記本体案内部材に当接させることにより、上記引き出しユニット本体部に対する正常位置に上記傾動部材を持ち上げ移動させる。
【0010】
[3]:[2]に記載の画像形成装置であって、上記画像形成装置本体は、前扉を有し、上記前扉の内側に、上記本体案内部材が設けられている。
【0011】
[4]:[3]に記載の画像形成装置であって、上記本体案内部材は、上記引き出しユニットの重量に耐えうるよう、上記前扉に対して補強リブを用いて固定されている。
【0012】
[5]:[2]から[4]のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、上記傾動部材は、搬送ローラと、上記搬送ローラを回転させる支持軸と、を含み、上記偏芯カム機構は、上記支持軸に設けられている。
【0013】
[6]:[5]に記載の画像形成装置であって、上記引き出しユニット本体部には、上記搬送ローラと一対となるローラが設けられている。
【0014】
[7]:[6]に記載の画像形成装置であって、上記偏芯カム機構は、上記支持軸の逆回転に回転し、当該画像形成装置の通常印刷時の正回転には空転し、上記支持軸に負荷が加わらない。
【0015】
[8]:[7]に記載の画像形成装置であって、上記偏芯カム機構は、上記支持軸に対してワンウェイクラッチ機構を介して接続されている。
【0016】
[9]:[7]に記載の画像形成装置であって、上記偏芯カム機構は、上記支持軸に対して電磁クラッチを介して接続されている。
【0017】
[10]:[5]から[9]のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、上記移動機構は、上記引き出しユニット本体部に対する正常位置に上記傾動部材を移動させた後、上記移動機構を上記支持軸に負荷が加わらない退避位置に移動する。
【0018】
[11]:[1]から[10]のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、上記移動機構の動作は、上記画像形成装置の初期動作時に動作させ、上記画像形成装置の通常印刷時には動作させない。
【0019】
[12]:[3]から[10]のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、上記移動機構の動作は、上記前扉を閉じた後通常印刷を開始するまでの間である。
【0020】
[13]:[12]に記載の画像形成装置であって、上記移動機構の動作は、上記画像形成装置本体に設けられたインターロックスイッチにより、上記前扉が閉状態を検知した後に動作させる。
【0021】
[14]:[1]から[13]のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、当該画像形成装置は、記録紙収納手段を有し、上記記録紙収納手段を当該画像形成装置に収納したことをセンサで検出し、上記移動機構を動作させる。
【0022】
[15]:[1]に記載の画像形成装置であって、手動により上記傾動部材を移動させて、上記傾動部材を上記引き出しユニット本体部に対する正常位置にすることができる。
【0023】
[16]:[1]から[14]のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、当該画像形成装置は、感光体ドラムを有し、上記搬送部は、上記感光体ドラムの下方に配設されている。
【発明の効果】
【0024】
この画像形成装置によれば、通常印刷する前に、引き出しユニットを正常の位置に移動させることができる機構を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態の画像形成装置の構成を示す正面断面図である。
図2】実施の形態の画像形成装置の記録紙における搬送経路の構成の一部を示す正面断面図である。
図3】実施の形態の画像形成装置の引き出しユニットの構成を示す正面断面図である。
図4】記録紙の搬送状態を模式的に示す図である。
図5】実施の形態の画像形成装置引き出しユニットの構成を示す平面図である。
図6図5中のVI-VI線矢視に沿った端面図である。
図7】傾動部材の最大開放位置での、図5中のVII-VII線矢視に沿った端面図である。
図8図7中のVIII方向矢視図である。
図9】傾動部材の第1の位置での、図5中のVII-VII線矢視に沿った端面図である。
図10図9中のX方向矢視図である。
図11】偏芯カムを逆回転させた場合を示す図である。
図12】傾動部材の移動機構によるロック状態を示す、図5中のVII-VII線矢視に沿った端面図である。
図13図12中のXIII方向矢視図である。
図14】傾動部材の移動機構による偏芯カムと案内部材との位置関係を示す第1図である。
図15】傾動部材の移動機構による偏芯カムと案内部材との位置関係を示す第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図を参照しながら、実施の形態の画像形成装置について説明する。以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0027】
(画像形成装置1000)
図1から図5を参照して、本実施の形態における画像形成装置1000について説明する。各図面において、画像形成装置1000を正面より見て左右をX方向、上下をY方向、前後をZ方向とする。図1は、実施の形態の画像形成装置1000の構成を示す正面断面図、図2は、実施の形態の画像形成装置の記録紙における搬送経路の構成の一部を示す正面断面図、図3は、実施の形態の画像形成装置の引き出しユニットの構成を示す正面断面図、図4は、記録紙の搬送状態を模式的に示す図、図5は、実施の形態の画像形成装置引き出しユニットの構成を示す平面図、図6は、図5中のVI-VI線矢視に沿った端面図である。なお、図5に示す平面図は、傾動部材の表面形状を分かりやすくするために一部構造部材を破断して図示している。
【0028】
図1および図2を参照して、画像形成装置1000は、画像形成装置本体Aの上部に自動原稿送り装置1を設けるとともに、画像形成装置本体A内に画像読取装置2、画像形成手段3、記録紙収納手段4、および搬送手段5等を有している。画像形成装置本体Aには、前扉10が設けられている。この前扉10には、画像形成装置本体Aへの開状態および閉状態を検知するためのインターロックスイッチISが設けられている。
【0029】
自動原稿送り装置1は、画像形成装置本体Aの上部に設けられ、原稿を一枚ずつ送り出し、原稿の画像読取装置2へと搬送し、画像読取が終わった原稿を排紙する装置である。自動原稿送り装置1は、原稿を載置する原稿載置台11、原稿載置台11上に載置された原稿を分離する原稿分離手段12、原稿分離手段12で分離された原稿を搬送する原稿搬送手段13、原稿搬送手段13で搬送された原稿を排紙する原稿排紙手段14、原稿排紙手段14によって排紙された原稿を受け止め、載置する原稿排紙台15、および、原稿の両面の画像を読み取る際に原稿の表裏を反転させるための原稿反転手段16を有している。
【0030】
原稿載置台11上に載置された複数枚の原稿は、原稿分離手段12によって分離され、1枚ずつ搬送される。原稿分離手段12によって分離および搬送された原稿は、原稿搬送手段13によって搬送され、下方に設けられた画像読取装置2によって、スリット21を通して、原稿の画像が読み取られる。画像が読み取られた原稿は、原稿排紙手段14によって、原稿排紙台15上へと排紙される。
【0031】
原稿の両面の画像を読み取る際には、画像が読み取られた原稿は、原稿反転手段16によって原稿の表裏が反転されて、再度、原稿搬送手段13によって搬送され、画像読取手段によって、スリット21を通して、原稿の裏面の画像が読み取られる。裏面の画像が読み取られた原稿は、原稿排紙手段14によって、原稿排紙台15上へと排紙される。このような工程を、原稿載置台11上に載置された原稿の枚数分繰り返され、原稿の画像が読み取られる。
【0032】
自動原稿送り装置1は、一体に可倒式に構成されており、自動原稿送り装置1を起こしてプラテンガラス22上を開放することにより、プラテンガラス22上に原稿を直接載置することができるように構成している。本実施の形態では、原稿搬送手段13によって原稿を搬送しながら、原稿の画像を読み取る読取方式と、原稿をプラテンガラス22上に静止させた上で画像を読み取る読取方式とによって画像読取を行うことができる。
【0033】
画像読取装置2は、原稿の画像を読み取り画像データを得る手段であり、画像形成装置本体Aの上部に設けられている。画像読取装置2は、自動原稿送り装置1の原稿搬送手段13によって搬送されている原稿の画像を読み取るためのスリット状の開口部であるスリット21、原稿を直接載置(静置)するための原稿台であるプラテンガラス22、原稿に光照射する光源であるランプ231と原稿からの反射光を反射させる第1ミラー232とを一体化している第1ミラーユニット23、第1ミラー232からの光を反射させる第2ミラー241と第3ミラー242とを一体化した第2ミラーユニット24と、スリット21上或いはプラテンガラス22上の原稿からの反射光を後述のラインCCD26に結像させる結像手段である結像レンズ25、および、結像レンズ25によって結像された光像を光電変換して画像情報を得る画像読取手段であるラインCCD26を有している。
【0034】
自動原稿送り装置1によって送られている原稿を、画像読取装置2で読み取る際は、第1ミラーユニット23および第2ミラーユニット24は、図1に示した左端位置に位置し、第1ミラーユニット23がスリット21の下方に位置している。原稿搬送手段13によってスリット21上を搬送されている原稿を、ランプ231で光照射し、原稿から反射した光は、第1ミラー232、第2ミラー241、第3ミラー242、結像レンズ25を介して、ラインCCD26に入射する。ラインCCD26では、入射した光を光電変換して、原稿の画像を読み取る。プラテンガラス22上に原稿が直接載置された場合は、第1ミラーユニット23と第2ミラーユニット24とを、プラテンガラス22に沿って、図1において右方向に移動させながら、原稿の画像を読み取る。
【0035】
画像形成手段3は、画像読取装置2で得た画像データに基づいて所定のプロセススピードで搬送されている記録紙上に画像を形成する手段である。画像形成手段3は、光導電性感光層を有しトナー像を担持する像担持体である感光体ドラム31と、感光体ドラム31を一様帯電する帯電器32、ラインCCD26で読み取った画像情報に基づいて、感光体ドラム31上を露光して潜像を形成する露光手段であるレーザ書込系33、感光体ドラム31上の潜像を現像してトナー像を形成する現像器34、感光体ドラム31上に担持されたトナー像を、搬送されている記録紙上に転写する転写器35、トナー像が転写された記録紙を感光体ドラム31上から分離する分離器36、転写された後に感光体ドラム31上に残留したトナーを除去するクリーニング手段37、記録紙上のトナー像を定着する定着手段38を有している。感光体ドラム31の周囲に、帯電器32、レーザ書込系33、現像器34、転写器35、分離器36、クリーニング手段37が配置されている。
【0036】
感光体ドラム31は、図示しない駆動手段によって、矢示の方向(図2参照)に回転し、帯電器32による一様帯電、後述するレジストローラ56から送り出された記録紙の先端に同期せしめて露光が開始されたレーザ書込系33による潜像形成、現像器34による現像がなされて、ラインCCD26によって読み取られた画像情報に基づいたトナー像が形成される。形成されたトナー像は、転写器35によって、別途搬送されている記録紙上に転写される。トナー像が転写された記録紙は、分離器36によって感光体ドラム31上から分離され、定着手段38へと搬送され、そこで、加熱、加圧作用により、トナー像が記録紙に定着される。一方、トナー像が記録紙へ転写された感光体ドラム31は、さらに回転を続け、クリーニング手段37によって、感光体ドラム31上に残留したトナーが除去され、次の画像形成へと供される。
【0037】
本実施の形態では、感光体ドラム31とレジストローラ56との間の感光体ドラム31近傍に、レジストローラ56から送り出された記録紙を搬送する搬送ローラ39が設けられており、記録紙の搬送力アップに寄与させている。分離器36と定着手段38との間には、分離器36によって分離された記録紙を搬送するために、記録紙の下面側(画像形成された側とは反対側)を支持し、搬送する搬送ベルト391を設けている。
【0038】
記録紙収納手段4は、複数枚の記録紙を積層状態で収納する記録紙収納手段である。本実施の形態では、記録紙収納手段4として複数、すなわち、第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4B、第3記録紙収納手段4C有している。第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4Bおよび第3記録紙収納手段4Cを、画像形成手段3の下方に多段配置している。第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4Bおよび第3記録紙収納手段4Cに収納される記録紙としては、普通紙や再生紙などの記録紙の他に、OHTなど種々の記録媒体がある。
【0039】
次に、搬送手段5は、記録紙収納手段4から画像形成手段3へと記録紙を搬送する搬送手段であり、第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4Bおよび第3記録紙収納手段4Cのそれぞれに収納された記録紙を画像形成手段3へと搬送できるように記録紙供給手段4Xが構成されている。
【0040】
(搬送手段5)
図2を参照して、搬送手段5を詳細に説明する。搬送手段5による記録紙の搬送は、記録紙搬送路(符号なし)に沿って行われる。すなわち、第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4Bおよび第3記録紙収納手段4Cのそれぞれに収納された記録紙は、図2に示すように、記録紙収納手段4から記録紙を送り出す第1搬送路aと、第1搬送路aを経て送り出された記録紙を搬送する中間搬送路bと、中間搬送路bを経て搬送された記録紙を画像形成手段3へと搬送する第2搬送路cとを有した搬送路にそって、搬送手段5によって搬送される。第1搬送路aは、記録紙収納手段4からプレレジストローラ53に至るまでの搬送路であり、図2において右方向(略水平方向)への搬送路である。中間搬送路bは、プレレジストローラ53からループ形成ローラ55に至るまでの搬送路であり、図2において鉛直上方向への搬送路である。第2搬送路cは、ループ形成ローラ55から転写器35に至るまでの搬送路であり、図2において左方向への搬送路である。
【0041】
記録紙は、第1搬送路a、中間搬送路b、第2搬送路cの順に搬送される。本実施の形態では、第1搬送路aは、第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4Bおよび第3記録紙収納手段4Cのそれぞれに設けられている。中間搬送路bは、少なくとも一部が共用される搬送路であり、すなわち、第3記録紙収納手段4Cからの記録紙の中間搬送路bの途中に、第2記録紙収納手段4Bからの記録紙が、さらに、第1記録紙収納手段4Aからの記録紙が合流し、共用される搬送路である。第2搬送路cは、第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4Bおよび第3記録紙収納手段4Cのそれぞれからの記録紙を画像形成手段3へと搬送できるように構成されている。
【0042】
次に、搬送手段5の各構成(手段)について説明する。搬送手段5は、記録紙収納手段4の上方に配置され記録紙収納手段4に収納された記録紙を送り出す送り出し手段であるピックアップローラ51A、51B、51C、ピックアップローラ51A、51B、51Cにより送り出された記録紙を1枚ずつに分離するためにさばき搬送ローラ521A、521B、521C、および、さばきリタードローラ522A、522B、522Cとからなる分離手段52A、52B、52C(第1ループ形成手段も兼ねている)、分離手段52A、52B、52Cにより分離された記録紙を一旦突き当てられた後搬送を再開させる第1突き当て手段であるプレレジストローラ53A、53B、53C、プレレジストローラ53A、53B、53Cにより搬送された記録紙を搬送する中間搬送ローラである複数の中間搬送ローラ541、542、543、中間搬送ローラによって搬送された記録紙を搬送する第2ループ形成手段であるループ形成ローラ55、ループ形成ローラ55により搬送された記録紙が一旦突き当てられた後搬送を再開させる第2突き当て手段であるレジストローラ56および搬送ローラ39を有している。
【0043】
第1曲がり修正手段は、第1突き当て手段であるプレレジストローラ53A、53B、53Cと、第1ループ形成手段である分離手段52A、52B、52Cとから構成され、搬送される記録紙にループを形成して紙曲がりの修正を行う手段である。この第1曲がり修正手段に、後述するループ形成ガイド572A、572B、572Cを備えることが好ましい。第2曲がり修正手段は、第2突き当て手段であるレジストローラ56と、第2ループ形成手段であるループ形成ローラ55とから構成され、搬送される記録紙にループを形成して紙曲がりの修正を行う手段である。この第2曲がり修正手段に、後述するループ形成ガイドを備えることが好ましい。
【0044】
ピックアップローラ51A、51B、51C、さばき搬送ローラ521A、521B、521C、および、さばきリタードローラ522A、522B、522Cからなる分離手段52A、52B、52C、および、プレレジストローラ53A、53B、53Cは、第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4Bおよび第3記録紙収納手段4Cのそれぞれに対応して、同じ機能を有するものが設けられている。
【0045】
ピックアップローラ51A、51B、51Cは、記録紙収納手段4の上方に配置され記録紙収納手段4に収納された記録紙を送り出す送り出し手段である。ピックアップローラ51A、51B、51Cは、図2において図示しない駆動手段により上下動可能に設けられており、下位置に移動しているときは、第1搬送路a上に位置し、記録紙収納手段4に収納された複数枚の記録紙のうち最上位の記録紙に当接し、図示しない駆動手段により駆動されて、矢示の方向に回転し、最上位の記録紙を送り出すことが可能である。ピックアップローラ51A、51B、51Cが上位置に移動しているときは、記録紙とは離間した位置である。記録紙収納手段4は、図示しない底板等の手段により押し上げられ、収納されている複数枚の記録紙の上位置が常に同じ位置になるようになっている。
【0046】
分離手段52A、52B、52Cは、ピックアップローラ51A、51B、51Cにより送り出された記録紙を1枚ずつに分離する手段であり、第1搬送路aに設けられている。本実施の形態では、さばき搬送ローラ521A、521B、521Cと、さばきリタードローラ522A、522B、522Cとを有している。さばき搬送ローラ521A、521B、521Cは、搬送される記録紙の上面に当接し、図示しない駆動手段により矢示の方向に回転するローラであり、記録紙の搬送方向下流側に隣接するプレレジストローラ53A、53B、53Cへと記録紙を搬送するローラである。さばきリタードローラ522A、522B、522Cは、トルクリミッターが組み込まれたローラであり、さばき搬送ローラ521A、521B、521Cと協動してピックアップローラ51A、51B、51Cにより送り出された記録紙を1枚ずつに分離するローラである。分離手段52A、52B、52Cは、後述するように、記録紙の曲がりを修正するための第1曲がり修正手段を構成する第1ループ形成手段をも兼用する。
【0047】
本実施の形態では、記録紙収納手段4に収納された記録紙を送り出すピックアップローラ51A、51B、51Cと、1枚ずつ分離する分離手段52A、52B、52Cとを機能を分離して設けているが、これらを一体に機能させる送出手段としてもよい。例えば、ピックアップローラ51A、51B、51Cと、さばき搬送ローラ521A、521B、521Cとの間にベルトを懸架し、このベルトにさばきリタードローラ522A、522B、522Cを当接させる構成とすることにより、一体に機能させる送出手段とすることができる。この場合、この送出手段が、後述するように、記録紙の曲がりを修正するための第1曲がり修正手段を構成する第1ループ形成手段をも兼用する。
【0048】
プレレジストローラ53A、53B、53Cは、分離手段52A、52B、52Cにより分離された記録紙を一旦突き当てた後搬送を再開させる第1突き当て手段であり、いわゆる、レジストローラである。プレレジストローラ53A、53B、53Cは、一対の対向ローラによって構成されており、図示しない駆動手段によって矢示の方向に回転可能に、第1搬送路a上に設けられている。プレレジストローラ53A、53B、53Cは、記録紙が分離手段52A、52B、52Cによって搬送されてきたときには、回転を停止しており、このため、搬送されてきた記録紙は、一旦、プレレジストローラ53A、53B、53Cに突き当たり、その先端が停止せしめられる。その後、プレレジストローラ53A、53B、53Cの回転が開始され、記録紙はプレレジストローラ53A、53B、53Cによって再搬送されることになる。このように、記録紙をプレレジストローラ53A、53B、53Cに一旦突き当てることにより、記録紙の先端のタイミングを正確に取ることができ、搬送のバラツキを押さえることができる。
【0049】
本実施の形態では、プレレジストローラ53A、53B、53Cに記録紙の先端が突き当たった後でも、分離手段52A、52B、52Cによる記録紙の搬送を継続させるように構成しており、これにより、先端が停止せしめられている記録紙にループを形成して、紙の曲がりを修正することができる。本実施の形態においては、プレレジストローラ53A、53B、53Cの幅(記録紙の搬送方向と直交する方向の長さ)を、記録紙の搬送方向と直交する方向において中央部に設けられたピックアップローラ51A、51B、51C、さばき搬送ローラ521A、521B、521C、および、さばきリタードローラ522A、522B、522Cさばきリタードローラ522よりも、幅広のローラ(好ましくは、定型サイズの記録紙のうち、画像形成可能な最大サイズの幅方向に略等しい幅を有したのも)で構成することにより、確実な曲がり修正することおよび搬送のバラツキを抑えることができる。
【0050】
さらに、本実施の形態では、このループ形成を確実に行わせるために、分離手段52A、52B、52Cとプレレジストローラ53A、53B、53Cとの間に、記録紙の搬送を案内する案内部材として、上ガイド571A、571B、571Cおよび下ガイド572A、572B、572Cを設けている。本実施の形態では、下ガイド572A、572B、572Cを断面形状(図1、2のように見た場合)で逆山形に構成して、この下ガイド572A、572B、572Cに沿ったループ形状に、記録紙を案内するループ形成ガイドとして機能させている。曲がり修正手段として、このループ形成ガイドを設けることが好ましい。
【0051】
このように、本実施の形態では、回転を停止させているプレレジストローラ53A,53B、53Cに記録紙の先端が突き当てられ、分離手段52A、52B、52Cによる記録紙の搬送を継続させることにより、記録紙にループを形成して、紙の曲がりを確実に修正するように構成している。
【0052】
中間搬送ローラ541、542、543は、プレレジストローラ53A、53B、53Cにより搬送された記録紙を搬送する中間搬送ローラである。中間搬送ローラ541、542、543は、中間搬送路b上に設けられており、本実施の形態では、それぞれ一対の対向ローラで構成され、図示しない駆動手段によって矢示の方向に回転する。中間搬送ローラ541は、プレレジストローラ53A、53B、53Cにより搬送された記録紙を搬送する。すなわち、第1記録紙収納手段4A、第2記録紙収納手段4B、第3記録紙収納手段4Cからの記録紙を搬送するローラである。中間搬送ローラ542は、プレレジストローラ53B、53Cにより搬送された記録紙を搬送する、すなわち、第2記録紙収納手段4B、第3記録紙収納手段4Cからの記録紙を搬送するローラである。中間搬送ローラ543は、プレレジストローラ53Cにより搬送された記録紙を搬送する、即ち、第3記録紙収納手段4Cからの記録紙を搬送するローラである。
【0053】
ループ形成ローラ55は、中間搬送ローラ541により搬送された記録紙を搬送する手段である。ループ形成ローラ55は、一対の対向ローラによって構成されており、一方のループ形成ローラ55が開放する可動案内部材551の一端に設けられている。ループ形成ローラ55は、図示しない駆動手段によって矢示の方向に回転可能に、第2搬送路c上に設けられている。ループ形成ローラ55は、後述するように、記録紙の曲がりを修正するための第2曲がり修正手段を構成する第2ループ形成手段をも兼用する。
【0054】
同期搬送手段であるレジストローラ56は、ループ形成ローラ55により搬送された記録紙を一旦突き当てた後搬送を再開させる第2突き当て手段である。レジストローラ56は、一対の対向ローラによって構成されており、図示しない駆動手段によって矢示の方向に回転可能に、第2搬送路c上に設けられている。レジストローラ56は、記録紙がループ形成ローラ55によって搬送されてきたときには、回転を停止しており、このため、搬送されてきた記録紙は、一旦、レジストローラ56に突き当たり、その先端が停止せしめられる。
【0055】
その後、レジストローラ56の回転が開始され、記録紙はレジストローラ56によって再搬送されることになる。レジストローラ56から送り出された記録紙に同期せしめて、レーザ書込系33による潜像形成が開始され、記録紙と感光体ドラム31上のトナー像との同期がとられる。このように、記録紙をレジストローラ56に一旦突き当てた後に再度搬送することにより、記録紙の先端のタイミングを正確に取ることができ、搬送のバラツキを押さえることができるとともに、レーザ書込系33の同期が取りやすくなり、記録紙上の正確な位置に画像形成が可能となる。
【0056】
本実施の形態では、レジストローラ56に記録紙の先端が突き当たった後でも、ループ形成ローラ55による記録紙の搬送を継続させるように構成している。これにより、先端が停止せしめられている記録紙のループを形成して、紙の曲がりを修正することができる。さらに、本実施の形態では、ループ形成を確実に行わせるために、ループ形成ローラ55とレジストローラ56との間に、記録紙の搬送を案内する案内部材として、上ガイド581および下ガイド582を設けている。本実施の形態では、上ガイド581を断面形状(図1、2のように見た場合)で山形に構成して、この上ガイド581に沿ったループ形状に、記録紙を案内するループ形成ガイドとして機能させている。上ガイド581および下ガイド582の下流側に一対の搬送ローラ39が設けられ、搬送ローラ39とレジストローラ56との間には記録紙の搬送状態を検知する手段である光源L(L1)と、検知部材S(S1)が設けられている。
【0057】
このような構成(手段)を有する搬送手段5によって、第1記録紙収納手段4Aに収納された記録紙は、ピックアップローラ51A、分離手段52A、プレレジストローラ53A、中間搬送ローラ541、ループ形成ローラ55、および、レジストローラ56によって画像形成手段3へと搬送される。第2記録紙収納手段4Bに収納された記録紙は、ピックアップローラ51B、分離手段52B、プレレジストローラ53B、中間搬送ローラ542、541、ループ形成ローラ55、および、レジストローラ56によって画像形成手段3へと搬送される。第3記録紙収納手段4Cに収納された記録紙は、ピックアップローラ51C、分離手段52C、プレレジストローラ53C、中間搬送ローラ543、542、541、ループ形成ローラ55、および、レジストローラ56によって画像形成手段3へと搬送される。
【0058】
<引き出しユニット6>
図3を参照して、画像形成装置1000に採用される引き出しユニット6について説明する。引き出しユニット6には、片面に画像が形成された記録紙を表裏反転して再び画像形成手段3に搬送する再給紙手段、搬送手段5の一部、定着手段38および排紙手段が搭載されており、画像形成装置本体Aから引き出すことができるように構成されている(図5参照)。引き出しユニット6は再給紙手段、定着手段38および排紙手段を有するが、再給紙手段のみを搭載するように構成してもよい。
【0059】
引き出しユニット6は、後に説明するように、搬送手段5によって搬送された記録紙上に、画像形成手段3で画像が形成された記録紙を画像形成手段3に再給紙するための構成部を有するとともに、トナー像が定着された記録紙を定着手段38から排出する定着排出ローラ61、定着排出ローラ61により排出された記録紙をそのまま機外へ排出する場合と表裏反転させた後排出する又は裏面に画像形成するために再給紙する場合とで搬送路を切り替える切替手段62、再給紙される記録紙の表裏を反転させる反転手段65、および、反転手段65で反転された記録紙を画像形成手段3へと再給紙する再給紙路66を有している。
【0060】
画像形成された記録紙をそのまま、すなわち、画像形成された面を上側にして排出する場合は、切替手段62を図1図2において一点鎖線で示す位置に位置させ、定着排出ローラ61、排紙ローラ63によって、機外の排紙トレイ64へと記録紙を排出する。
【0061】
画像形成された記録紙の表裏を反転させて排紙、すなわち、画像形成された面を下側にして排出する場合は、切替手段62を図1図2において実線で示す位置に位置させ、定着排出ローラ61により搬送される記録紙を、一旦、反転手段65の方向へ搬送し、記録紙が切替手段62を通過した後、搬送方向を逆転させて、排紙ローラ63によって機外の排紙トレイ64へと排出する。
【0062】
一方、記録紙の裏面に画像形成する場合は、切替手段62を図1において実線で示す位置に位置させ、定着排出ローラ61により搬送される記録紙を、反転手段65の方向に搬送し、反転手段65によってスイッチバックを行わせることにより表裏反転を施し、再給紙路66へと搬送する。再給紙路66まで搬送された記録紙は、後述するループ形成ローラ55と後述する中間搬送ローラ541との間で搬送路に合流し、記録紙収納手段4からの給紙と同様に、画像形成手段3へと搬送される。
【0063】
<記録紙が搬送不良となった際の処理機構>
次に、本実施の形態における引き出しユニット6において、搬送手段より搬送された記録紙が搬送不良となった際の処理機構を説明する。
【0064】
図3に示すように、感光体ドラム31に形成されたトナー像が転写器35で転写された記録紙を感光体ドラム31上から分離器36で分離した後、記録紙を定着手段38に搬送する搬送ベルト391が設けられている。定着手段38で定着された記録紙を排紙部621に排紙せず、反転手段65へ搬送する手段として、切替手段62と一対の搬送ローラ57が設けられている。
【0065】
画像形成装置本体Aに固定した固定枠体A1、A2(図5参照)にスライド可能に設けられた引き出しユニット案内部材81および引き出しユニット案内部材82に、引き出しユニット6に構成した支持部材6A、6Bの両端が支持固定され、引き出しユニット6は画像形成装置本体Aより図示の手前側(Z方向)に引き出すことができる。
【0066】
引き出しユニット6は、支持部材6A、6Bが設けられる引き出しユニット本体部80Aと、引き出しユニット本体部80Aの下部位置において、引き出しユニット6の再給紙路66を開放するため、引き出しユニット本体部80Aに一端を回転自在に軸支された傾動部材80(図6参照)が設けられている。
【0067】
引き出しユニット6側には搬送ローラ70および搬送ローラ71が設けられ、傾動部材80側には搬送ローラ70および搬送ローラ71と一対となるように搬送ローラ701および搬送ローラ711が各々設けられている。この一対の搬送ローラ70と搬送ローラ701および搬送ローラ71と搬送ローラ711で搬送した記録紙をスイッチバックする反転手段65が引き出しユニット6内に設けられ、反転手段65には左右回転可能の一対の搬送ローラ651とスイッチバックする記録紙を案内する記録紙案内部77が設けられている。
【0068】
スイッチバックした記録紙を再給紙路66に搬送するため、引き出しユニット6側に搬送ローラ72、搬送ローラ73、搬送ローラ74および搬送ローラ75が設けられ、傾動部材80側には搬送ローラ72、搬送ローラ73、搬送ローラ74および搬送ローラ75と一対となるように搬送ローラ721、搬送ローラ731、搬送ローラ741および搬送ローラ751が各々設けられている。再給紙路66で給紙された記録紙を再び転写位置に搬送するため、引き出しユニット6側に一対の搬送ローラ76と、ループ形成ローラ55、レジストローラ56、搬送ローラ39が各々設けられている。
【0069】
ループ形成ローラ55を開放する可動案内部材551と、レジストローラ56の下流側に設けられ搬送された記録紙を検知するするため、記録紙の搬送方向に対して直角方向に配列された複数の光源Lと、受光素子Sと共に、レジストローラ56と、一対の搬送ローラ39との間を開放する可動案内部材561とが設けられており、光源Lは可動案内部材561に、受光素子Sは、支持部材6Aおよび支持部材6Bに各々設けられている。複数の光源Lと複数の受光素子Sからなるセンサは搬送される記録紙の先端を検知して、検知結果から記録紙の搬送タイミングや傾きや片寄りが検知される。
【0070】
次に、図2を参照して、搬送手段5による記録紙の搬送の動作について説明する。上述したように、いずれの記録紙収納手段4A、記録紙収納手段4Bおよび記録紙収納手段4Cに収納された記録紙であっても、同様の搬送がなされるので、ここでは、第1記録紙収納手段4Aに収納された記録紙の搬送について説明する。
【0071】
図示しない制御手段より給紙スタートの信号を受けると、先ず、ピックアップローラ51Aを下位置に移動させた後、ピックアップローラ51Aおよびさばき搬送ローラ521を矢示の方向に回転させる。これにより、第1記録紙収納手段4Aに収納されている複数枚の記録紙のうち最上位の記録紙を送り出し、分離手段52A(さばき搬送ローラ521Aとさばきリタードローラ522A)によって1枚ずつ分離されて搬送される。分離手段52Aによって分離され搬送された記録紙は、回転していないプレレジストローラ53Aに突き当たる。分離手段52Aによって記録紙が搬送されると、ピックアップローラ51Aの回転が停止され、このピックアップローラ51Aが上位置へと移動させられる。
【0072】
プレレジストローラ53Aに記録紙が突き当たった後も、分離手段52Aによる記録紙の搬送は継続される。従って、プレレジストローラ53Aによって先端が停止させられた記録紙は、更なる分離手段52Aによる搬送により、プレレジストローラ53Aと分離手段52Aとの間にループが形成される。このとき、形成されるループは、上ガイド571、下ガイド572によって、適正な形状で確実に形成されるとともに、十分なループを形成することができ、紙の曲がり修正を確実に行うことができる。
【0073】
ここで、プレレジスト再スタート信号は、先行する記録紙がある場合、先行する記録紙がループ形成ローラ55或いは中間搬送ローラ541で搬送されている場合はこの限りではない。但し、プレレジストローラ53Aから再搬送しようとする記録紙が、先行する記録紙と重ならない場合は、再搬送を開始してもよい。
【0074】
プレレジストローラ53Aにより搬送された記録紙は、中間搬送路b上の中間搬送ローラ541によって搬送され、さらに、ループ形成ローラ55によって搬送される。ループ形成ローラ55によって搬送された記録紙は、回転していないレジストローラ56に突き当たる。レジストローラ56に記録紙が突き当たった後も、ループ形成ローラ55による記録紙の搬送は継続される。従って、レジストローラ56によって先端が停止させられた記録紙は、更なるループ形成ローラ55による搬送により、レジストローラ56とループ形成ローラ55との間にループが形成される。このとき、形成されるループは、上ガイド581、582によって、適正な形状で確実に形成されるとともに、十分なループを形成することができ、プレレジストローラ53Aとレジストローラ56との間の搬送により生じた紙の曲がり修正を確実に行うことができる。
【0075】
記録紙に適度なループが形成されると、ループ形成ローラ55による搬送が停止され、制御手段によるレジスト再スタート信号に基づいて、レジストローラ56の回転が開始される。このレジストローラ56の回転周速度は、画像形成手段3による画像形成が行われるプロセススピードと同じ速度である。したがって、レジストローラ56に突き当たって停止していた記録紙は、レジスト再スタート信号に基づく回転開始とともに、正確なタイミングで搬送されることになる。このとき、ループ形成ローラ55は、レジストローラ56と同期して回転駆動されている。
【0076】
本実施の形態においては、図1および図2に示す記録紙収納手段4、ピックアップローラ51、分離手段52、プレレジストローラ53、および、上ガイド571、下ガイド572から構成される記録紙供給手段4Xをユニット化しており、この記録紙供給手段4Xを、複写機の前面に、一体的に引き出し可能に設けている。したがって、記録紙収納手段4内に記録紙が無くなった場合は、記録紙供給手段4Xを引き出し、記録紙を補充することができる。さらに、種々の種類の記録紙を使用すると、送り出し、分離近傍で紙詰まりが発生しやすいために、記録紙収納手段4のみを引き出し可能に設けた場合は、詰まった紙がローラに挟持された状態になり、引き出し時にその処理が複雑化するが、本実施の形態のように、ユニット化することにより、ローラに挟持された状態のままで引き出すことができ、紙詰まりの処理を容易にかつ確実に行うことができる。
【0077】
ピックアップローラ51、さばき搬送ローラ521とさばきリタードローラ522からなる分離手段52、プレレジストローラ53、および、上ガイド571、下ガイド572は、記録紙収納手段4A、記録紙収納手段4B、記録紙収納手段4Cそれぞれに対応して、同じ機能を有するものが設けられているので、記録紙供給手段4Xは、記録紙収納手段4A、記録紙収納手段4B、記録紙収納手段4Cに対応して設けられ(図に示すように、第1記録紙供給手段4AX、第2記録紙供給手段4BX、第3記録紙供給手段4CXとして設けている)、それぞれの第1記録紙供給手段4AX、第2記録紙供給手段4BX、第3記録紙供給手段4CXが独立して複写機に対して引き出し可能に設けられている。
【0078】
このようにして記録紙収納手段4A、記録紙収納手段4B、記録紙収納手段4Cから搬送された記録紙が順次ループ形成ローラ55、レジストローラ56、搬送ローラ39により、感光体ドラム31と転写器35間に搬送され、トナー像が転写された記録紙を感光体ドラム31上から分離器36で分離した後、搬送ベルト391で記録紙を定着手段38に搬送する。搬送後、片面記録の場合はそのまま切替手段62を一点鎖線位置に移動して排紙部621を介して外部の排紙トレイ64に排紙する。
【0079】
図3および図4に示すように、両面記録を行う場合は、定着手段38で定着された記録紙が排紙部621に排紙せず、実線位置の切替手段62により引き出しユニット6に記録紙を再給紙して、一対の搬送ローラ57、搬送ローラ70および搬送ローラ701、搬送ローラ71および搬送ローラ711、および、一対の搬送ローラ651で記録紙案内部7に搬送し、記録紙の後端を挟持した搬送ローラ651をスイッチバックさせ、次に、搬送ローラ72および搬送ローラ721、搬送ローラ73および搬送ローラ731、搬送ローラ74および搬送ローラ741、搬送ローラ75および搬送ローラ751で再給紙路66に給紙し、一対の搬送ローラ76により再びループ形成ローラ55、レジストローラ56、搬送ローラ39により感光体ドラム31と転写器35間に搬送して、記録紙の裏面が記録されることにより両面記録され分離器36で分離した後、定着手段38で定着され外部の排紙トレイ64に排紙する。
【0080】
一対の搬送ローラ76で搬送される記録紙を案内すると共に、開放可能に設けた記録紙案内部材90が設けられている。この記録紙案内部材90は常時マグネット等の吸引部材901で記録紙搬送路方向に吸引固定されている。次に、記録紙案内部材90の下流側に、開放可能の可動案内部材551の一端が支持軸552で支持部材6Aおよび支持部材6Bの記録紙搬送路に沿って回動自在に設けられている。
【0081】
この可動案内部材551の先端には一対のループ形成ローラ55のうちの一方のループ形成ローラ55が設けられ、他方のループ形成ローラ55を支持部材6Aおよび支持部材6Bに設けることによりループ形成ローラ55を一対の状態に形成している。さらに、支持軸552に設けた付勢部材(図示省略)により可動案内部材551を常時閉じ方向に付勢し、一対のループ形成ローラ55を一定の圧力で接触するようにしている。可動案内部材551の先端に開放用把手554を形成し、付勢部材(図示省略)に抗して可動案内部材551を矢印で示すように開き、一対のループ形成ローラ55を離間できるように構成している。
【0082】
さらに、可動案内部材551の下流側に設けられ、受光素子S(S1)と対峙した光源L(L1)を有する可動案内部材561は、一対のレジストローラ56の位置を支軸にして矢印で示すように開放可能に設けられており、他端に一方の搬送ローラ39と、把手563が設けられている。このように可動案内部材551、561を開放可することにより、転写器35の上流部における記録紙のジャムを解消することを容易に行うことができる。
【0083】
転写器35の上流部におけるジャムを解消する処理は、この部分が非常に狭いために、従来困難であったが、ジャム解消機構によりこのような問題が解消された。
【0084】
(引き出しユニット6の引き出し、および、収納の構成)
次に、図5から図7を参照して、引き出しユニット6の引き出し、および、収納の構成を説明する。引き出しユニット6は画像形成装置に配置された感光体ドラム31の下方に配設されている。引き出しユニット6は前述のように画像形成装置本体Aに対して引き出し収納可能な記録紙の一部の搬送路を形成し、転写紙の再給紙をするための搬送ローラを有する。
【0085】
操作レバー84(図5)を操作することにより、引き出しユニット6は引き出しユニット案内部材81および引き出しユニット案内部材82で案内されて画像形成装置本体Aより引き出すことが出来る。本体案内部材97に設けられた弾性部材(図示省略)が、係止部材86Aおよび係止部材86Bに係合するようになっている。本体案内部材97は、画像形成装置本体Aの前扉10の内側に設けられている。後述するが、本体案内部材97には、移動機構としての偏芯カム120が当接することから、引き出しユニット6の支えになる箇所であるため、本体案内部材97の下方には補強リブ等を設け、引き出しユニット6の重量に耐えうるような構造であるとよい。
【0086】
画像形成装置本体Aに構成した固定枠体A1および固定枠体A2に、案内部材81Aおよび案内部材82Aが固定して設けられている。案内部材81Aおよび案内部材82Aが引き出しユニット案内部材81および引き出しユニット案内部材82を案内する。引き出しユニット案内部材81および引き出しユニット案内部材82に、支持部材6Aおよび支持部材6Bの両端部が支持されている。支持部材6Bは係止ピン862および係止ピン863を有している。操作部材85は傾動部材80と一体で形成されている。
【0087】
固定枠体A1および固定枠体A2には、位置決め部材6C、位置決め部材6D、位置決め部材6Eおよび位置決め部材6Fが設けられ、引き出しユニット6を画像形成装置本体Aの所定位置に設置している。支持部材6Aおよび支持部材6Bには係止部83(図5)が設けられており、この係止部83が固定枠体A1に係止され、引き出しユニット6を画像形成装置本体Aとの保持状態を維持する。
【0088】
傾動部材80は支持部材6Aに軸支され、支持部材6Aおよび支持部材6Bに対し上昇した第1の位置Uと支持部材6Aおよび支持部材6Bに対し下降した第2の位置である最大開放位置Dまで傾動可能となっている。
【0089】
係止部材86Bは、曲げ部品86Baと成形カム部品86Bbと一体となっている。係止部材86Bは傾動部材80に軸支され係止ピン862に係止する。傾動部材80における第1の位置Uは、支持部材6Aおよび支持部材6Bに対して接近した位置にあり、第2の位置である最大開放位置Dは、支持部材6Aおよび支持部材6Bに対して下方に所定量傾斜した位置にある。係止部材86Aも、係止部材86Bと同様の構成である。
【0090】
引き出しユニット6を正面より見て左右にそれぞれ1つ設けたコイルバネ87は、一端をワイヤ88に固定し他端を支持部材6Bに固定して、2つのコイルバネ87は弾性特性が異なるもので、傾動部材80は2つのコイルバネ87により、力のつり合いを保って第1の位置Uから第2の位置である最大開放位置Dまで傾動可能となっている。コイルバネ87は、引張コイルバネであり、傾動部材80が第2の位置である最大開放位置Dより大きく下降することを防止している。図6に示すように、傾動部材80は、通常は位置bで引張コイルバネと傾動部材80の自重とが釣り合うようになっているが、引張コイルバネのバネ力が弱い場合は最大開放位置Dの近くの位置で釣り合うこともある。傾動部材80の軸受部80bは支持部材6Aに形成した軸98を軸受する。
【0091】
次に、引き出しユニット6を画像形成装置本体Aから引き出す動作について図5および図6を参照して説明する。
【0092】
1)操作レバー84(図5)により係止部83の係止状態を解除する。
【0093】
2)ここで操作部材85(図5)を矢印41の方向に引く。
【0094】
3)弾性部材が待避し、係止部材86Bおよび係止部材86Aが図示しないバネにより回動して係止ピン862および係止ピン862から、係止部材86Aも、係止部材86Bが外れる。
【0095】
4)引き出しユニット6が引き出し可能となり、案内部材82Aおよび案内部材81Aに、引き出しユニット案内部材82および引き出しユニット案内部材81がガイドされて、手前側に引き出しユニット6がスライドして引き出される。
【0096】
5)操作部材85を下方に押し下げることにより、引張コイルバネ87が伸びながら傾動部材80は第2の位置である最大開放位置Dの方向に開放される。なお、引張コイルバネ87は通常は図6に示す位置bでつり合うようになるが、引張コイルバネ87が弱い場合は、最大開放位置Dに近い位置までくることもある。
【0097】
6)傾動部材80は第2の位置である最大開放位置Dで図示しないストッパで停止する。再給紙路66(図1)が開放され、詰まっている記録紙を取り出すことができるようになる。
【0098】
引き出しユニット6を画像形成装置本体へ収納する動作については、上記と逆の動作を行なう。
【0099】
(移動機構)
ここで、本実施の形態における傾動部材80においては、搬送ローラ74と一対をなす搬送ローラ741を軸支持する支持軸110Bに、引き出しユニット6を画像形成装置本体Aに収納した際に、傾動部材80を正常な位置へ移動させる移動機構が設けられている。傾動部材80が、半開き状態のまま、引き出しユニット6を画像形成装置本体Aに収納し、画像形成装置の前扉10を閉め通常印刷してしまうと、引き出しユニット内でJAMが発生するおそれがあった。
【0100】
しかし、以下に説明する移動機構を設けることで、傾動部材80が正常位置に固定される。これにより、記録紙の再給紙路66(図3)が正常に確保され、引き出しユニット内でのJAM発生を抑制することを可能とする。
【0101】
以下、図5および図7から図15を参照して、傾動部材80に設けられた移動機構について説明する。図7は、傾動部材80の最大開放位置Dでの、図5中のVII-VII線矢視に沿った端面図、図8は、図7中のVIII方向矢視図、図9は、傾動部材80の第1の位置Uでの、図5中のVII-VII線矢視に沿った端面図、図10は、図9中のX方向矢視図、図11は、偏芯カム120を逆回転させた場合を示す図、図12は、傾動部材80の移動機構による上昇工程を示す、図5中のVII-VII線矢視に沿った端面図、図13は、図12中のXII方向矢視図、図14および図15は、傾動部材80の移動機構による偏芯カム120と本体案内部材97との位置関係を示す第1図および第2図である。
【0102】
図5および図7を参照して、画像形成装置1000の初期動作時において、傾動部材80に採用される移動機構の概要について説明する。支持部材6Aと支持部材6Bとの間には、支持軸110Aが回転可能に軸支持されている。支持軸110Aには、搬送ローラ74が設けられている。本実施の形態では、3つの搬送ローラ74が配置されているが、数量等に限定されるものではない。支持軸110Aには、ギアG1が設けられている。
【0103】
傾動部材80には、搬送ローラ74が対向する位置に搬送ローラ741が配置されている。搬送ローラ741は、支持軸110Bに保持されている。支持軸110Bの両端部は、軸受部材140により回転可能に軸支持されている。本実施の形態では、3つの搬送ローラ741が配置されているが、数量等に限定されるものではない。支持軸110Bには、ギアG2が設けられている。
【0104】
傾動部材80が、上昇位置において、支持部材6Bに固定された状態においては、それぞれの搬送ローラ74が搬送ローラ741に当接する。また、ギアG1とギアG2とが噛み合うことで、搬送ローラ74と搬送ローラ741とが同期して回転する。
【0105】
支持軸110Bには、ワンウェイクラッチ機構130を介して偏芯カム120が、搬送ローラ741と同軸上に設けられている。偏芯カム120は、ワンウェイクラッチ機構130の切替により、支持軸110Bとともに回転する状態(連結状態)と、支持軸110Bとともに回転しない状態(切り離し状態)とが選択可能に設けられている。本実施の形態では、偏芯カム120およびワンウェイクラッチ機構130により、傾動部材80の移動機構を構成する。
【0106】
図8に示すように、偏芯カム120の外周面は、支持軸110Bの中心から一の方向(図ではY方向)に偏芯した略楕円形状を有している。
【0107】
図9に示す状態は、傾動部材80を上昇させた後、操作レバー84を操作して、係止部材86Aおよび係止部材86Bにより、本体案内部材97に設けられた弾性部材に係合した状態である。よって、引き出しユニット6は、画像形成装置本体Aに収納された状態である。
【0108】
この状態では、偏芯カム120は、ワンウェイクラッチ機構130により支持軸110Bからは切り離されており、偏芯カム120の自重に基づき、偏芯カム120は、本体案内部材97に当接するしている。図示は、搬送ローラ74と搬送ローラ741とは、隙間なく当接するように図示しているが、ここでは、搬送ローラ74と搬送ローラ741との当接は不十分であり、搬送ローラ74と搬送ローラ741との間に転写紙が送り込まれた場合には、転写紙は送り出されずに、JAMが発生する状態とする。
【0109】
次に、図10に示すように、支持軸110を動かすことによりワンウェイクラッチ機構130で偏心カム120を支持軸110Bに連結し、支持軸110Bを所定方向への回転を開始させる。図示では、R2方向(逆回転方向)に回転させた場合を示しているが、ワンウェイクラッチ機構130では、R2方向(逆回転方向)への回転時に、偏芯カム120が支持軸110Bに連結する。他方、通常印刷運転時には、図11に示すように、R2とは反対のR1方向(正回転方向)に回転させることで、偏芯カム120は支持軸110Bから切り離されることとなる。
【0110】
次に、図12および図13に示すように、偏芯カム120の長径部分(L1)が、真下の位置まで回転した状態で、支持軸110Bを停止させる。この状態で、支持軸110Bが上方(図示のY)に持ち上げられる。その結果、搬送ローラ741による搬送ローラ74への当接力を高めることができる。これにより、傾動部材80を正常位置に持ち上げることが可能となる。その結果、画像形成装置1000の前扉10を閉め通常印刷をスタートしても、引き出しユニット6内でのJAMの発生を防止することを可能とする。
【0111】
なお、画像形成装置1000の通常印刷の場合には、搬送ローラ74と搬送ローラ741とにより転写紙が搬送されるために、支持軸110Bは通常運転として回転する。よって、通常印刷の場合には、ワンウェイクラッチ機構130により、偏芯カム120を支持軸110Bから切り離し、支持軸110Bに負荷が加わらないようにする。これにより、支持軸110Bは回転しても、偏芯カム120は回転せずに空転する状態となり、支持軸110B上の搬送ローラ74および搬送ローラ741に負荷をかけることはない。
【0112】
ワンウェイクラッチ機構130を設けない場合であっても、図14に示す状態から図15に示す退避位置にまで偏芯カム120をスライド移動(矢印Z1方向)させる機構を設けておいてもよい。これにより、退避位置では、偏芯カム120は、支持軸110Bとともに回動するが、偏芯カム120が、本体案内部材97に当接することはなく、支持軸110B上の搬送ローラ74および搬送ローラ741に負荷をかけることはない。
【0113】
偏芯カム120の支持軸110への接続の切替は、ワンウェイクラッチ機構130に限定されるものでなく、電磁クラッチ機構等で接続および切り離しを制御し、通常印刷時には偏芯カム120の負荷が支持軸110B上の搬送ローラ74および搬送ローラ741に伝わらない構成を採用してもよい。
【0114】
偏芯カム120を用いた移動機構による傾動部材80を移動させるタイミングは、画像形成装置1000の初期動作時に動作させ、画像形成装置1000の通常印刷時には動作させない制御だけでなく、前扉10を閉じた後通常印刷を開始するまでの間であってもよい。この場合、画像形成装置本体Aに設けられたインターロックスイッチISにより、前扉10の閉状態を検知するとよい。
【0115】
また、記録紙収納手段4を画像形成装置1000に収納したことを検知するためのセンサ(図示省略)を設け、このセンサで記録紙収納手段4が画像形成装置1000に収納されたことを検出した後に、偏芯カム120を用いた移動機構による傾動部材80を移動させてもよい。
【0116】
なお、偏芯カム120を用いた移動機構による傾動部材80の移動は、手動により上述の移動機構を作動させて、引き出しユニット本体部80Aに対する正常位置に傾動部材80を移動させてもよし、操作部材85を用いて傾動部材80を持ち上げるようにしてもよい。
【0117】
以上、本実施の形態における画像形成装置によれば、画像形成装置1000の初期動作時において、偏芯カム120を用いて傾動部材80を正常位置に持ち上げる移動機構を設けることで、引き出しユニット6に設けられる傾動部材80の半開き状態を回避する。その結果、画像形成装置1000の前扉10を閉め通常印刷をスタートしても、引き出しユニット6内でのJAMの発生を防止することを可能とする。
【0118】
以上、各実施の形態に基づき画像形成装置について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0119】
1 自動原稿送り装置、2 画像読取装置、3 画像形成手段、4 記録紙収納手段、4A 第1記録紙収納手段、4AX 第1記録紙供給手段、4B 第2記録紙収納手段、4BX 第2記録紙供給手段、4C 第3記録紙収納手段、4CX 第3記録紙供給手段、4X 記録紙供給手段、5 搬送手段、6 引き出しユニット、6A,6B 支持部材、6C,6D,6E,6F 位置決め部材、7,77 記録紙案内部、10 前扉、11 置台、12 原稿分離手段、13 原稿搬送手段、14 原稿排紙手段、15 原稿排紙台、16 原稿反転手段、21 スリット、22 プラテンガラス、23 第1ミラーユニット、24 第2ミラーユニット、25 結像レンズ、31 ドラム、32 帯電器、33 レーザ書込系、34 現像器、35 転写器、36 分離器、37 クリーニング手段、38 定着手段、39,57,70,71,72,73,74,75,76,521,521A,651,701,711,721,731,741,751 搬送ローラ、51,51A,51B,51C ピックアップローラ、52,52A,52B,52C 分離手段、53,53A,53B,53C プレレジストローラ、55 ループ形成ローラ、56 レジストローラ、61 定着排出ローラ、62 切替手段、63 排紙ローラ、64 排紙トレイ、65 反転手段、66 再給紙路、80 傾動部材、80A 引き出しユニット本体部、80b 軸受部、81,82 ユニット案内部材、81A,82A 案内部材、83 係止部、84 操作レバー、85 操作部材、86A,86B 係止部材、86Ba 曲げ部品、86Bb 成形カム部品、87 コイルバネ、88 ワイヤ、90 記録紙案内部材、97 本体案内部材、98 軸、110,110A,110B,552 支持軸、120 偏芯カム、130 ワンウェイクラッチ機構、140 軸受部材、231 ランプ、232 第1ミラー、241 第2ミラー、242 第3ミラー、391 搬送ベルト、522,522A リタードローラ、541,542,543 中間搬送ローラ、551,561 可動案内部材、554 開放用把手、563 把手、571,571A 上ガイド、572,581,582 ガイド、572A ループ形成ガイド、621 排紙部、862,863 係止ピン、901 吸引部材、1000 画像形成装置。
図1
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図3
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図5
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図7
図8
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