(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161996
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】パネルユニット
(51)【国際特許分類】
E06B 3/44 20060101AFI20241114BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20241114BHJP
E05F 15/673 20150101ALI20241114BHJP
E05F 15/652 20150101ALI20241114BHJP
【FI】
E06B3/44
E06B3/46
E05F15/673
E05F15/652
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077113
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅徳
【テーマコード(参考)】
2E014
2E052
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014FA03
2E014FB00
2E014FC02
2E052AA01
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA14
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052GC02
2E052GC06
(57)【要約】
【課題】室外側及び室内側のいずれから見た場合でも、窓開口の全開時に面材ユニットが目視されることがなく、意匠性に優れる窓開口を建物の躯体壁に容易に構築することができるパネルユニットを提供すること。
【解決手段】建物の躯体壁に取り付けられ、それぞれ窓開口が形成された室外側壁部及び室内側壁部の間に配置されるパネルユニットであって、開口部を有するパネル本体と、開口部の内周側に取り付けられる開口部装置と、を備え、開口部装置は、枠体と、枠体の内周側にスライド移動可能に納められ、スライド移動することによって窓開口を開閉する面材ユニットと、枠体の内周側に形成され、窓開口を全開状態とした面材ユニットを収納する収納空間部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体壁に取り付けられ、それぞれ窓開口が形成された室外側壁部及び室内側壁部の間に配置されるパネルユニットであって、
開口部を有するパネル本体と、
前記開口部の内周側に取り付けられる開口部装置と、を備え、
前記開口部装置は、
枠体と、
前記枠体の内周側にスライド移動可能に納められ、スライド移動することによって前記窓開口を開閉する面材ユニットと、
前記枠体の内周側に形成され、前記窓開口を全開状態とした前記面材ユニットを収納する収納空間部と、
を有する、パネルユニット。
【請求項2】
前記パネル本体は、前記開口部の外周側に断熱材を有する、請求項1に記載のパネルユニット。
【請求項3】
前記開口部装置は、前記面材ユニットをスライド移動可能に取り付ける面材ユニット移動機構を有する、請求項1又は2に記載のパネルユニット。
【請求項4】
前記面材ユニット移動機構は、前記面材ユニットを着脱可能に取り付ける、請求項3に記載のパネルユニット。
【請求項5】
前記開口部装置は、前記枠体の内周側にそれぞれ独立してスライド移動可能に納められる複数の前記面材ユニットを有する、請求項1又は2に記載のパネルユニット。
【請求項6】
前記開口部装置は、複数の前記面材ユニットをそれぞれ独立してスライド移動可能に取り付ける複数の面材ユニット移動機構を有する、請求項5に記載のパネルユニット。
【請求項7】
複数の前記面材ユニット移動機構は、複数の前記面材ユニットをそれぞれ着脱可能に取り付ける、請求項6に記載のパネルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体の内側に障子をスライド可能に配置させた片引き戸からなる建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具は、室外側に外付けされ、枠体の内側の左右領域のうちの一方の領域が、室内側から建物躯体によって覆われている。そのため、窓開口を全開にしたときに、室内側から障子が目視されず、意匠性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の建具では、窓開口を全開にしたときの障子が建物躯体の室外側に配置される。そのため、建具を室外側から見た場合の意匠性に課題を有している。
【0005】
本開示は、室外側及び室内側のいずれから見た場合でも、窓開口の全開時に面材ユニットが目視されることがなく、意匠性に優れる窓開口を建物の躯体壁に容易に構築することができるパネルユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物の躯体壁に取り付けられ、それぞれ窓開口が形成された室外側壁部及び室内側壁部の間に配置されるパネルユニットであって、開口部を有するパネル本体と、前記開口部の内周側に取り付けられる開口部装置と、を備え、前記開口部装置は、枠体と、前記枠体の内周側にスライド移動可能に納められ、スライド移動することによって前記窓開口を開閉する面材ユニットと、前記枠体の内周側に形成され、前記窓開口を全開状態とした前記面材ユニットを収納する収納空間部と、を有する、パネルユニットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】パネルユニットを室外側から見た正面図である。
【
図2】パネルユニットを室内側から見た正面図である。
【
図3】
図1に示すA-A線に沿うパネルユニットの縦断面図である。
【
図4】
図2に示すB-B線に沿うパネルユニットの横断面図である。
【
図5】躯体壁とパネルユニットとを分解して示す斜視図である。
【
図6】躯体壁に取り付けられたパネルユニットを
図1に示すA-A線と同一の部位で切断したときの縦断面図である。
【
図7】躯体壁に取り付けられたパネルユニットを
図2に示すB-B線と同一の部位で切断したときの横断面図である。
【
図8】躯体壁に取り付けられたパネルユニットを
図2に示すC-C線と同一の部位で切断したときの横断面図である。
【
図9】開口部装置のみを室外側から見た斜視図である。
【
図11】面材ユニット移動機構に対する面材ユニットの取付け構造を室外側から見た斜視図である。
【
図12】面材ユニット移動機構に対する面材ユニットの取付け構造を室内側から見た背面図である。
【
図14】面材ユニットを下方向にスライド移動させる様子を説明する縦断面図である。
【
図15】パネルユニットにおける窓開口の上部を拡大して示す縦断面図である。
【
図16】パネルユニットにおける窓開口の下部を拡大して示す縦断面図である。
【
図17】パネルユニットにおける窓開口の一方の縦部を拡大して示す横断面図である。
【
図18】パネルユニットにおける窓開口の他方の縦部を拡大して示す横断面図である。
【
図19】室外側の化粧部材を取り外す様子を示す縦断面図である。
【
図20】室外側の化粧部材及びカバー部材を取り外す様子を示す横断面図である。
【
図21】室外側の全ての化粧部材及びカバー部材を取り外した状態を室外側から見た図である。
【
図22】面材ユニットが横方向にスライド移動して収納空間部に収納されるように構成されるパネルユニットの動作例を示す図である。
【
図23】面材ユニットが上方向にスライド移動して収納空間部に収納されるように構成されるパネルユニット動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示のパネルユニットの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。パネルユニット1は、
図5に示すように、躯体壁100に室外側X1から取り付けられることによって、
図6及び
図7に示すように、躯体壁100に施工される室外側壁部3と室内側壁部4との間に配置される。
【0009】
ここで、図中に示す方向及び面について定義する。図中の矢印において、X1-X2に沿う方向は、パネルユニット1及び躯体壁100の室内外方向を示す。X1は室外側であり、X2は室内側である。
図1は、パネルユニット1を室外側X1から見た図であり、
図2は、パネルユニット1を室内側X2から見た図である。見込み方向は、室内側方向に沿う方向である。見込み面は、見込み方向に沿って配置される面である。見付け方向は、見込み方向に直交する方向である。見付け面は、見込み方向に沿って配置される面である。
【0010】
パネルユニット1は、パネル本体10と、開口部装置2と、を有して構成される。パネル本体10は、開口部装置2を取り付けるための矩形の開口部10aを有する。パネル本体10は、パネル枠11と、パネル板12と、によって構成される。
【0011】
パネル枠11は、複数の角材を縦横に矩形に枠組みすることによって形成される。開口部10aは、パネル枠11の内側空間によって画定される。開口部10aは、パネルユニット1に取り付けられる開口部装置2の外形寸法に対応している。具体的には、開口部10aは、縦長に形成される開口部装置2の外形寸法に対応する縦長に形成されている。
【0012】
本実施形態のパネル枠11は、
図2に示すように、それぞれ平行に配置される一対ずつの上横材11a、下横材11b及び左右の縦材11cによって構成される。一対の上横材11a,11aの間には、一対の上横材11a,11aを繋ぐように、複数の間柱11dが左右方向に間隔をあけて設けられている。一対の下横材11b,11bの間には、一対の下横材11b,11bを繋ぐように、複数の間柱11eが左右方向に間隔をあけて設けられている。複数の間柱11dと複数の間柱11eとは、上下方向に沿って同一線上に並ぶように配置されている。さらに、一対の上横材11a,11aの間、一対の下横材11b,11bの間及び一対の縦材11c,11cの間には、それぞれグラスウール等の断熱材11fが収容されている。断熱材11fは、開口部10aの外周を取り囲んでいるため、開口部10aの内周側と外周側との間の熱の伝達が抑制される。そのため、パネルユニット1は断熱性に優れる。
【0013】
パネル板12は、パネル枠11の一方の側面に、ねじ、釘もしくは接着剤によって貼り付けられる。パネル板12は、パネル枠11の外形形状よりも大きな矩形の合板からなり、パネル枠11の外側に張り出している。パネル板12において、パネル枠11の開口部10aに対応する領域は、開口部10aと同一形状に切り欠かれている。
【0014】
開口部装置2は、枠体20と、枠体20の内周側に取り付けられる複数枚の面材ユニット5と、を有する。開口部装置2は、枠体20の内周側に面材ユニット5を取り付けた状態で、室外側X1からパネル本体10の開口部10aの内周側に納められる。
図3及び
図4に示すように、開口部装置2とパネル本体10の上横材11aとの間、及び開口部装置2とパネル本体10の縦材11cとの間には、両者の間の隙間を調整するスペーサ部材11eが介在されている。
【0015】
開口部装置2は、
図3及び
図4に示すように、フランジ部201を貫通する固定ねじ202によって、パネル本体10のパネル板12の室外側面12aに固定される。フランジ部201は、枠体20の屋外側X1の端部から枠体20の外周方向に一体に張り出している。
【0016】
開口部装置2が固定されたパネル板12の室外側面12aには、開口部10aを除く全面に止水シート13が貼着されている。止水シート13は、開口部装置2のフランジ部201及び固定ねじ202を覆い隠している。そのため、パネルユニット1は、室外側X1からの防水性能に優れる。
【0017】
開口部装置2を有するパネルユニット1は、
図5に示すように、躯体壁100に形成された矩形のパネル用開口部101に、室外側X1から取り付けられる。躯体壁100は、木造軸組工法によって構築されている。パネル用開口部101は、上下の桁材102,103と、桁材102,103に亘って設けられる左右一対の間柱104と、の間に形成されている。パネル用開口部101は、上下の桁材102,103に亘る躯体壁100の高さ方向の全体に亘る高さを有する。パネルユニット1は、パネル枠11をパネル用開口部101内に嵌合させて、屋外側X1から取り付けられる。これによって、パネルユニット1は、躯体壁100の高さ方向に亘る一壁面を構成する。
【0018】
パネルユニット1の周囲の躯体壁100にも、パネル板12と同様の図示しないパネル板が施工される。
【0019】
躯体壁100にパネルユニット1が取り付けられた後に、パネルユニット1の周囲の躯体壁100の室外側X1及び室内側に、それぞれ室外側壁部3及び室内側壁部4が施工される。これによって、躯体壁100に取り付けられたパネルユニット1は、室外側壁部3と室内側壁部4との間に配置される。室外側壁部3及び室内側壁部4には、
図6及び
図7に示すように、それぞれ面材ユニット5によって開閉される矩形の側壁開口部311,411が形成されている。パネルユニット1は、室外側壁部3及び室内側壁部4に形成される側壁開口部311,411に対応する領域以外において、室外側壁部3及び室内側壁部4によって覆われており、室外側X1及び室内側X2のいずれからも目視されない。
【0020】
開口部装置2の枠体20は、
図3、
図4及び
図9に示すように、上枠21、下枠22、及び左右の縦枠23を矩形に枠組みすることによって構成される。上枠21は、パネル本体10の開口部10aの上部に配置され、開口部10aの左右方向に延びている。下枠22は、開口部10aの下部に配置され、開口部10aの左右方向に延びている。左右の縦枠23は、開口部10aの左右縦部に配置され、開口部10aの上下方向に延びている。枠体20の内側領域は、
図3及び
図9に示すように、上半分の窓領域R1と、下半分の収納領域R2と、に分かれている。
【0021】
収納領域R2には、収納空間部203が形成される。収納空間部203は、開口部装置2に設けられる面材ユニット5を収納する空間である。収納空間部203は、遮蔽板24,25によって室外側X1及び室内側X2からそれぞれ遮蔽されている。
【0022】
面材ユニット5は、枠体20の内周側に配置される。本実施形態の開口部装置2は、
図3及び
図4に示すように、3枚の面材ユニット5A,5B,5Cを有する。3枚の面材ユニット5A,5B,5Cは、同一サイズであり、開口部装置2の室内外方向に面するように並んで配置される。本実施形態において、最も室外側X1に配置される面材ユニット5Aは、日除けルーバーによって構成される。中央に配置される面材ユニット5Bは、網戸によって構成される。最も室内側に配置される面材ユニット5Cは、ガラス戸によって構成される。以下の説明において、面材ユニット5A,5B,5Cに共通する説明の場合は、単に面材ユニット5という。
図9において、面材ユニット5A,5B,5Cは、それぞれ縦に切断され、室外側X1から見て右端部側のみを示している。
【0023】
面材ユニット5は、
図10に示すように、四周に亘る矩形の框体50の内周側に、面材ユニット5の種類に応じた面材54を納めることによって構成される。框体50は、上框51、下框52、及び左右の縦框53を矩形に框組みすることによって構成される。面材54は、框体50に対して室外側X1から取り付けられる上下左右の4つの押縁55によって、框体50の内周側に固定される。
【0024】
面材ユニット5の大きさは、枠体20の内周側の大きさよりも小さい。詳しくは、面材ユニット5の横幅は、枠体20の内周側の左右方向の幅よりもやや小さい。面材ユニット5の高さは、枠体20の内周側の高さの略半分である。
図9は、ガラス戸からなる面材ユニット5Cを示しているが、他の面材ユニット5A,5Bも、面材54の種類が異なる以外、同様の構成を有する。
【0025】
上框51、下框52、及び左右の縦框53は、それぞれ框体50の見付け方向の外周側に向けて突出する突壁部を有する。詳しくは、上框51は、室外側の端部から上方に向けて延びる突壁部511を有する。下框52は、室外側の端部から下方に向けて延びる突壁部521を有する。左右の縦框53は、室外側の端部から左右の外側方に向けて延びる突壁部531を有する。突壁部511,521,531は、上框51、下框52、及び縦框53の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0026】
室外側壁部3及び室内側壁部4は、パネルユニット1が取り付けられた後の躯体壁100の室外側X1及び室内側X2の表面にそれぞれ設けられる。室外側壁部3及び室内側壁部4は、側壁部本体31,41と、化粧部材32,42と、を有する。
【0027】
側壁部本体31,41は、それぞれ躯体壁100の室外側X1及び室内側X2の表壁面を形成する壁板材である。側壁開口部311,411は、側壁部本体31,41に形成されている。側壁部本体31,41は、枠体20の内側領域の収納領域R2を屋外側X1及び屋内側X2から完全に覆い隠している。枠体20の内側領域の窓領域R1は、側壁開口部311,411の位置に対応して配置されている。
【0028】
本実施形態の室外側X1の側壁開口部311は、室内側X2の側壁開口部411よりも横幅及び高さがやや大きい。詳しくは、室外側X1の側壁開口部311の横幅及び高さは、それぞれ面材ユニット5の横幅及び高さよりも大きい。そのため、室外側X1の側壁開口部311は、その内周側に面材ユニット5を通過させることが可能である。これに対して、室内側X2の側壁開口部411の横幅及び高さは、それぞれ面材ユニット5の横幅及び高さとほぼ同じである。側壁開口部311,411は、窓領域R1の空間を挟んで室外側X1と室内側X2とを連通している。
【0029】
化粧部材32、42は、側壁開口部311,411の内周縁の四周に沿って矩形枠状に配置される。室外側壁部3及び室内側壁部4の窓開口3a,4aは、化粧部材32、42の内側の矩形領域によって画定される。化粧部材32、42は、それぞれ窓開口3a,4aの周縁に沿って配置され、窓開口3a,4aの室外側X1及び室内側X2の開口枠を形成する。窓開口3a,4aは、
図1、
図2、
図6及び
図7に示すように、室外側X1及び室内側X2から見て、同一の開口面積を有する。
図6及び
図7に示すように、室外側X1及び室内側X2から見たときの化粧部材32、42の内周面32a,42aの位置は、面材ユニット5の框体50の内周縁50aの位置と同一もしくは内周縁50aの位置よりも見付け方向の内周側に配置される。そのため、面材ユニット5の四周に亘る框体50は、化粧部材32、42によって室外側X1及び室内側X2から覆い隠される。
【0030】
図6及び
図7に示すように、室外側壁部3の化粧部材32は、上側化粧部材321、下側化粧部材322、及び左右の縦側化粧部材323によって、室外側の側壁開口部311の内周縁に沿って矩形枠状に組付けられる。上側化粧部材321、下側化粧部材322、及び左右の縦側化粧部材323は、それぞれ側壁開口部311の各辺に沿って延びる断面矩形の中空の型材によって形成される。化粧部材32を構成する上側化粧部材321、下側化粧部材322、及び左右の縦側化粧部材323は、予め様々な大きさのものを用意しておき、開口部装置2よりも室外側X1の壁厚、すなわち、側壁部本体31と後述の断熱部材6とを合わせた壁厚に対応した大きさのものを選択して使用することができる。これによって、化粧部材32は、様々な壁厚に対応することが可能である。
【0031】
室内側壁部4の化粧部材42は、上部化粧部材421、下部化粧部材422、及び左右の縦側化粧部材423によって、室内側X2の側壁開口部411の内周縁に沿って矩形枠状に組付けられる。上部化粧部材421、下部化粧部材422、及び左右の縦側化粧部材423は、それぞれ側壁開口部411の各辺に沿って延びる板状の額縁部材によって形成される。
【0032】
化粧部材32の上側化粧部材321は、
図15に示すように、中空形状の化粧部材本体3211と、化粧部材本体3211の室外側X1の端部から上方に突出する突出壁部3212と、を有する。上側化粧部材321の室外側見付け面321aは、化粧部材本体3211と突出壁部3212とに亘って形成される。側壁開口部311内に露出する上枠21の室外側見付け面21aには、室外側X1に向けて平行に突出する上下一対の取付壁部211,212が設けられる。上側化粧部材321は、化粧部材本体3211及び突出壁部3212から室内側X2に向けて突出する一対の係合片3213,3214を取付壁部211,212に係合させることによって、上枠21に着脱可能に取り付けられる。
【0033】
化粧部材32の下側化粧部材322は、
図16に示すように、中空形状の化粧部材本体3221と、化粧部材本体3221の室外側X1の端部から下方に突出する突出壁部3222と、を有する。下側化粧部材322の室外側見付け面322aは、化粧部材本体3221と突出壁部3222とに亘って形成される。側壁開口部311内に露出する遮蔽板24の表面24aには、室外側X1に向けて平行に突出する上下一対の取付壁部241,242が設けられる。下側化粧部材322は、化粧部材本体3221及び突出壁部3222から室内側X2に向けて突出する一対の係合片3223,3224を取付壁部241,242に係合させることによって、遮蔽板24の上端部に着脱可能に取り付けられる。
【0034】
化粧部材32の縦側化粧部材323は、
図17及び
図18に示すように、中空形状の化粧部材本体3231と、化粧部材本体3231の室外側X1の端部から左右の外側方に突出する突出壁部3232と、を有する。縦側化粧部材323の室外側見付け面323aは、化粧部材本体3231と突出壁部3232とに亘って形成される。側壁開口部311内に露出する縦枠23の室外側見付け面23aには、室外側X1に向けて平行に突出する左右一対の取付壁部231,232が設けられる。縦側化粧部材323は、化粧部材本体3231及び突出壁部3232から室内側X2に向けて突出する一対の係合片3233,3234を取付壁部231,232に係合させることによって、縦枠23に着脱可能に取り付けられる。
【0035】
図9、
図17及び
図18に示すように、側壁開口部311内に露出する左右の縦枠23には、面材ユニット5の框体50の左右の縦框53の少なくとも一部を室外側X1から覆い隠すカバー材233が設けられる。カバー材233は、上枠21と室外側X1の遮蔽板24の上端部との間に亘って延びている。カバー材233の内端233aの位置は、縦框53における内周縁50aの位置及び縦側化粧部材323における内周面32aの位置よりも、それぞれ見付け方向の外周側に配置される。そのため、カバー材233は、縦側化粧部材323によって覆い隠されている。縦枠23には、面材ユニット5の上框51よりも上方の位置及び下框52よりも下方の位置に、それぞれ見付け方向の内周側に突出する取付片234が設けられている。カバー材233は、取付片234に螺合する取付ねじ235によって、室外側X1から着脱可能に取り付けられる。
【0036】
図15~
図18に示すように、室外側X1の側壁開口部311の内周面に沿ってシーリング材34が設けられている。シーリング材34は、窓開口3a,4aの外周側を取り囲むように設けられる。詳しくは、シーリング材34は、側壁開口部311と上枠21の取付壁部212、遮蔽板24の取付壁部242、及び左右の縦枠23の取付壁部232との間の隙間をそれぞれシールしている。上側化粧部材321、下側化粧部材322、及び左右の縦側化粧部材323の突出壁部3212,3222,3232は、係合片3214,3224,3234よりもさらに見付け方向の外周側に張り出し、シーリング材34を室外側から覆い隠している。シーリング材34の屋内側X2には、四周に亘って、シーリング材34の屋内側X2の位置を規制するバックアップ材341が配置されている。
【0037】
上側化粧部材321、下側化粧部材322、及び左右の縦側化粧部材323のそれぞれの室外側見付け面321a,322a,323aには、側壁部本体31の表面と同様の色及び質感を持つ塗装あるいは表面材の張り付けを行ってもよい。これによって、上側化粧部材321、下側化粧部材322、及び左右の縦側化粧部材323を室外側X1から見た場合に、側壁部本体31と化粧部材32とが区別されることなく同一壁面として視認されるため、室外側X1の壁面自体に面材ユニット5が嵌め込まれたかのような印象を与えることができる新規な意匠を表現することができる。
【0038】
枠体20の内周側には、面材ユニット5を上方向及び下方向にスライド移動させる面材ユニット移動機構26が設けられる。面材ユニット移動機構26は、枠体20の左右の縦枠23の内周側、且つ面材ユニット5の左右の外側方にそれぞれ配置される。面材ユニット移動機構26は、面材ユニット5の数に対応して、面材ユニット5を左右から挟む位置に、それぞれ同数設けられる。本実施形態では、左右の縦枠23の内周側、且つ面材ユニット5の左右の外側方に、3枚の面材ユニット5A,5B,5Cに対応する3基ずつの合計6基の面材ユニット移動機構26が配置される。
【0039】
面材ユニット移動機構26は、
図11及び
図12に示すように、縦枠23の長さ方向に沿って延びるガイドレール261と、ガイドレール261の内側に平行に配置され、縦枠23の長さ方向に沿って延びるボールねじ262と、面材ユニット5を取り付ける取付部263と、ボールねじ262を回転させる駆動源であるモータ264と、ガイドレール261及びボールねじ262の上端部及び下端部をそれぞれ支持する支持部材265と、を有する。取付部263は、1つの面材ユニット移動機構26に、上下に離れて2つ設けられている。支持部材265は、ボールねじ262を回転可能に支持する。
【0040】
取付部263は、枠体20の内周側に向けて突出する板状部材である。取付部263は、ボールねじ262に螺合する取付部本体263aと、取付部本体263aからガイドレール261に向けて突出し、ガイドレール261に対して上下にスライド可能に係合する係合部263bと、取付部本体263aから面材ユニット5に向けて突出し、面材ユニット5を固定する固定片263cと、を有する。
【0041】
2つの取付部263は、面材ユニット5を上下から挟んで固定する。詳しくは、上側の取付部263の固定片263cは、面材ユニット5の上框51の見込み面51aに接して配置される。下側の取付部263の固定片263cは、面材ユニット5の下框52の見込み面52aに接して配置される。上框51及び下框52は、室外側から突壁部511,521を貫通する固定ねじ266によって、固定片263cにそれぞれ固定される。これによって、面材ユニット5は、左右の面材ユニット移動機構26の間に配置される。
【0042】
本実施形態の開口部装置2は、左右の縦枠33の内周側に3基ずつの面材ユニット移動機構26を有する。左右の面材ユニット移動機構26の2つのモータ264は同期して正逆方向に回転駆動する。1枚の面材ユニット5を固定する左右の面材ユニット移動機構26は、2つのモータ264を同期して正逆方向に回転駆動させることによって、左右のボールねじ262を同期して正逆方向に回転させる。ボールねじ262が正逆方向に回転すると、取付部263がガイドレール261に沿って上下にスライドし、面材ユニット5を上方向及び下方向にスライド移動させる。本実施形態では、面材ユニット5Aを固定する左右の面材ユニット移動機構26の2つのモータ264を第1モータ264Aとし、面材ユニット5Bを固定する面材ユニット移動機構26の2つのモータ264を第2モータ264Bとし、面材ユニット5Cを固定する面材ユニット移動機構26の2つのモータ264を第3モータ264Cとする。
【0043】
第1モータ264A、第2モータ264B、及び第3モータ264Cのそれぞれの駆動は、
図13に示すように、開口部装置2に設けられるモータ制御装置250によって制御される。ユーザは、携帯型あるいは壁面設置型のリモートコントローラ300を操作することによって、第1モータ264A、第2モータ264B、及び第3モータ264Cを選択的に正逆方向に回転駆動させる。これによって、ユーザは、任意の面材ユニット5A,5B,5Cを独立して上方向及び下方向にスライド移動させることができる。例えば、面材ユニット5A,5B,5Cが窓開口3a,4aを閉鎖する全閉位置に配置された状態において、ユーザが、リモートコントローラ300によって第3モータ264Cを逆方向に回転駆動させると、
図14に示すように、面材ユニット5Cのみが、開方向である下方向にスライド移動し、収納空間部203に収納される。面材ユニット5Cが収納空間部203内に完全に収納されると、面材ユニット5Cは室外側X1及び室内側X2から見えなくなる。反対に、ユーザが、第3モータ264Cを正方向に回転駆動させると、面材ユニット5Cのみが収納空間部203内から閉方向である上方向にスライド移動する。
【0044】
面材ユニット5は、室外側X1から固定ねじ266を取り外すことによって、面材ユニット移動機構26から簡単に取り外すことができる。これによって、面材ユニット5のメンテナンス、交換等を行うことができる。本実施形態のように複数の面材ユニット5A,5B,5Cが設けられる場合、複数の面材ユニット5A,5B,5Cは、面材ユニット移動機構26によって、それぞれ独立してスライド移動可能及び着脱可能に取り付け可能である。そのため、複数の面材ユニット5A,5B,5Cの任意の面材ユニット5を独立して面材ユニット移動機構26から取り外すことによって、面材ユニット5の数を調整することもできる。
【0045】
図1及び
図2に示すように、全閉位置に配置される面材ユニット5は、窓開口3a,4aを閉鎖している。この状態において、窓開口3a,4aの内周側に臨む面材ユニット5の四周に亘る框体50は、室外側壁部3及び室内側壁部4によって覆われており、室外側X1及び室内側X2のいずれからも目視されない。
【0046】
図6~
図8に示すように、開口部装置2と室外側壁部3及び室内側壁部4との間の隙間には、それぞれ断熱部材6が配置される。特に、
図8に示すように、収納空間部203の室外側X1及び室内側X2に断熱部材6が配置されることによって、断熱性能が劣る収納空間部203における断熱性を向上させることができる。具体的な断熱部材6としては、樹脂発泡材、真空断熱材等が挙げられる。特に、真空断熱材は、厚みが薄くても一定の断熱性能を確保することができるため、収納空間部203の室外側X1及び室内側X2の断熱部材6を真空断熱材によって構成することによって、収納空間部203における断熱性を効果的に向上させることができる。
【0047】
次に、面材ユニット5の取り外し方法について
図19~
図21を参照して説明する。まず、
図19及び
図20示すように、上側化粧部材321、下側化粧部材322、及び左右の縦側化粧部材323を室外側X1から取り外す。縦側化粧部材323を取り外した後、カバー材233を取り付けている取付ねじ235を室外側X1から外して、カバー材233を取り外す。これによって、
図21に示すように、室外側X1の側壁開口部311が広く開放され、その内側に、最も室外側X1の面材ユニット5Aの全体が露出する。
図21には、側壁開口部311に露出する面材ユニット5Aの右側の縦框53が示されているが、面材ユニット5Aの左側の縦框53も同様に側壁開口部311に露出する。
【0048】
その後、面材ユニット5Aを面材ユニット移動機構26に固定している固定ねじ266を室外側X1から外す。これによって、面材ユニット5Aを面材ユニット移動機構26から取り外す。面材ユニット移動機構26から取り外された面材ユニット5Aは、側壁開口部311を通して室外側X1に取り出される。これと同様にして、面材ユニット5B,5Cも、面材ユニット移動機構26から取り外すことができる。
【0049】
以上、本開示のパネルユニット1の一実施形態について説明したが、本開示のパネルユニットは上記の実施形態に限定されず、本開示の要旨に逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、面材ユニットは下方向にスライド移動することによって収納空間部に収納されるものに限定されない。面材ユニットは、
図22に示すパネルユニット1Aに設けられる開口部装置の面材ユニット5のように、横方向にスライド移動することによって収納空間部203に収納されるように設けられてもよい。面材ユニットの移動方向は左右方向に限定されない。面材ユニットは、
図23に示すパネルユニット1Bに設けられる開口部装置の面材ユニット5のように、上方向にスライド移動することによって収納空間部203に収納されるように設けられてもよい。
【0050】
開口部装置2に取り付けられる面材ユニット5の数及び種類は、本実施形態に示す数及び種類に限定されない。開口部装置2に取り付けられる面材ユニット5の数は、少なくとも1枚であればよい。本開示のパネルユニットは、躯体壁100の室内外方向の壁厚に応じて、開口部装置2に設けられる面材ユニット5及び面材ユニット移動機構26の数を適宜調整することができる。そのため、本開示のパネルユニットは、様々な壁厚を有する住宅に対応可能である。
【0051】
開口部装置2に取り付けられる複数の面材ユニット5は、それぞれ異なる機能を有するものに限定されず、それぞれ任意の機能を有するものであってよい。したがって、複数の面材ユニット5のうちのいずれか2枚以上あるいは全ての面材ユニット5が同一の機能を有するものであってもよい。
【0052】
本実施形態のパネルユニット1によれば、以下の効果を奏する。
【0053】
以上の実施形態では、室外側X1の化粧部材32を着脱可能に設けることによって、面材ユニット5を室外側X1から取り付け及び取り外し可能に構成されるが、これに限定されない。室内側X2の化粧部材42を着脱可能に設けることによって、面材ユニット5を室内側X2から取り付け及び取り外し可能に構成されてもよい。さらに、化粧部材32,42をそれぞれ着脱可能に設けることによって、面材ユニット5を室外側X1及び室内側X2のいずれからも取り付け及び取り外し可能に構成されてもよい。
【0054】
以上のように構成される本実施形態に係るパネルユニット1は、以下の効果を奏する。
【0055】
(1) 建物の躯体壁100に取り付けられ、それぞれ窓開口3a,4aが形成された室外側壁部3及び室内側壁部4の間に配置されるパネルユニット1であって、開口部10aを有するパネル本体10と、開口部10aの内周側に取り付けられる開口部装置2と、を備え、開口部装置2は、枠体20と、枠体20の内周側にスライド移動可能に納められ、スライド移動することによって窓開口3a,4aを開閉する面材ユニット5と、枠体20の内周側に形成され、窓開口3a,4aを全開状態とした面材ユニット5を収納する収納空間部203と、を有する、パネルユニット1である。
【0056】
これによれば、室外側壁部3と室内側壁部4との間の躯体壁100に取り付けるだけで、室外側X1及び室内側X2のいずれから見た場合でも、窓開口3a,4aの全開時に面材ユニット5が目視されることがなく、意匠性に優れる窓開口3a,4aを建物の躯体壁100に容易に構築することができる。
【0057】
(2) 上記(1)に記載のパネルユニット1において、パネル本体10は、開口部10aの外周側に断熱材11fを有する。
【0058】
これによれば、開口部10aの外周側を取り囲む断熱材11fによって、開口部10aの内周側と外周側との間の熱の伝達が抑制される。そのため、パネルユニット1は断熱性に優れる。
【0059】
(3) 上記(1)又は(2)に記載のパネルユニット1において、開口部装置2は、面材ユニット5をスライド移動可能に取り付ける面材ユニット移動機構26を有する。
【0060】
これによれば、面材ユニット移動機構26によって開口部装置2の面材ユニット5を容易にスライド移動させることができる。
【0061】
(4) 上記(3)に記載のパネルユニット1において、面材ユニット移動機構26は、面材ユニット5を着脱可能に取り付ける。
【0062】
これによれば、面材ユニット5を面材ユニット移動機構26から取り外し及び取り付け可能であるため、面材ユニット5のメンテナンス及び交換が容易に行える。
【0063】
(5) 上記(1)又は(2)に記載のパネルユニット1において、開口部装置2は、枠体20の内周側にそれぞれ独立してスライド移動可能に納められる複数の面材ユニット5A,5B,5Cを有する。
【0064】
これによれば、複数の面材ユニット5A,5B,5Cをそれぞれ独立してスライド移動させることによって、窓開口3a,4aに任意の面材ユニット5を配置させることができる。
【0065】
(6) 上記(5)に記載のパネルユニット1において、開口部装置2は、複数の面材ユニット5A,5B,5Cをそれぞれ独立してスライド移動可能に取り付ける複数の面材ユニット移動機構26を有する。
【0066】
これによれば、複数の面材ユニット移動機構26によって開口部装置2に設けられる複数の面材ユニット5をそれぞれ容易にスライド移動させることができる。
【0067】
(7) 上記(6)に記載のパネルユニット1において、複数の面材ユニット移動機構26は、複数の面材ユニット5A,5B,5Cをそれぞれ着脱可能に取り付ける。
【0068】
これによれば、任意の面材ユニット5A,5B,5Cをメンテナンスあるいは交換可能であるとともに、開口部装置2に設けられる面材ユニット5の数を調整することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B パネルユニット、 2 開口部装置、 20 枠体、 26 面材ユニット移動機構、 203 収納空間部、 3 室外側壁部、 4 室内側壁部、 3a,4a 窓開口、 5,5A,5B,5C 面材ユニット、 10 パネル本体、 10a 開口部、 11d 断熱材、 100 躯体壁