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2024-162011在庫管理装置、在庫管理方法、及び、在庫管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162011
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】在庫管理装置、在庫管理方法、及び、在庫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20241114BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G61/00 422
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077137
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大和
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】メーカヤードに置かれている他社資産となる商品を、需要家に対して商品を販売する企業側で在庫管理可能とする。
【解決手段】取得部が、商品を製造するメーカ側に商品の材料が入庫することでメーカ側から通知される、入庫した材料の入庫数、入庫した材料により生成される商品の納入先を示す納入先特定情報、生成される商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する。納入先別倉庫割り当て部は、入庫情報に含まれる納入先特定情報で示される納入先毎に、メーカ側の倉庫に保管されている各納入先用の材料に対して、各納入先用の仮想的な保管倉庫を示す倉庫特定情報の割り当てを行う。データ生成部は、割り当てられた仮想的な保管倉庫の倉庫特定情報、仮想的な保管倉庫で保管されている材料で生成される商品の商品特定情報、及び、仮想的な保管倉庫で保管されている材料の入庫数を含む在庫情報を生成する。出力制御部は、この在庫情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メーカ側で製造された商品が、メーカ側の倉庫に保管されることで通知される、メーカ側の倉庫に保管された商品の入庫数、入庫した前記商品の納入先を示す納入先特定情報、生成された前記商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する取得部と、
取得された前記入庫情報に含まれる前記納入先特定情報に基づいて、前記メーカ側の倉庫の前記納入先毎の商品の保管場所を、各前記納入先用の商品の保管倉庫として割り当てた倉庫特定情報を生成する納入先別倉庫割り当て部と、
各前記納入先の保管倉庫を示す前記倉庫特定情報、各前記納入先の保管倉庫で保管されている前記商品の商品特定情報及び在庫数を含む在庫情報を生成するデータ生成部と、
生成された前記在庫情報を出力する出力制御部と、
を有する在庫管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記メーカ側で前記商品がさらに製造され、前記納入先用の商品の保管倉庫に保管された際に送信される、保管した前記商品の入庫数、保管した前記商品の納入先を示す納入先特定情報、保管した前記商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得し、
前記入庫情報がさらに取得されると、前記在庫情報に含まれる前記倉庫特定情報で示される保管倉庫の納入先のうち、前記入庫情報の前記納入先特定情報で示される納入先の前記在庫数に、前記入庫情報に含まれる、保管した前記商品の入庫数を加算処理することで前記在庫情報を更新処理する記憶制御部を、さらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記メーカ側が前記商品を前記納入先に出荷した際に送信される、出荷した前記商品の出荷数、出荷した商品の商品特定情報、及び、出荷した商品の納入先を示す納入先特定情報を含む出荷情報を取得し、
前記記憶制御部は、前記出荷情報が取得されると、前記商品が出荷された前記納入先の前記在庫数から、出荷した前記商品の前記出荷数を減算処理した在庫数に、前記在庫情報の前記在庫数を更新処理すること、
を特徴とする請求項2に記載の在庫管理装置。
【請求項4】
前記記憶制御部は、棚卸を行うことで確認された前記商品の実際の在庫数と、棚卸時点での前記在庫情報で示される前記商品の在庫数との差異数が入力された際に、入力された前記差異数を、棚卸時点での前記在庫情報で示される前記在庫数に加減算処理して前記在庫情報の前記在庫数の調整を行い、
前記データ生成部は、調整された前記在庫数を含む在庫数報告書データを生成し、
前記出力制御部は、前記在庫数報告書データを出力すること、
を特徴とする請求項3に記載の在庫管理装置。
【請求項5】
前記データ生成部は、
少なくとも勘定科目名を指定する勘定科目名指定情報、前記在庫情報に含まれる金額のうち、計上に用いる金額として在庫金額を指定する金額指定情報、及び、前記在庫情報のうち、会計データの作成対象とする在庫情報を特定するための作成条件が記憶された記憶部を参照し、
前記在庫情報のうち、前記作成条件で指定される在庫情報に基づいて、前記勘定科目名指定情報で指定された勘定科目名、前記金額指定情報で指定された在庫金額、及び、取引先を含む会計データを生成し、
前記出力制御部は、前記会計データを出力すること、
を特徴とする請求項4に記載の在庫管理装置。
【請求項6】
取得部が、メーカ側で製造された商品が、メーカ側の倉庫に保管されることで通知される、メーカ側の倉庫に保管された商品の入庫数、入庫した前記商品の納入先を示す納入先特定情報、生成された前記商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する取得ステップと、
納入先別倉庫割り当て部が、取得された前記入庫情報に含まれる前記納入先特定情報に基づいて、前記メーカ側の倉庫の前記納入先毎の商品の保管場所を、各前記納入先用の商品の保管倉庫として割り当てた倉庫特定情報を生成する納入先別倉庫割り当てステップと、
データ生成部が、各前記納入先の保管倉庫を示す前記倉庫特定情報、各前記納入先の保管倉庫で保管されている前記商品の商品特定情報及び在庫数を含む在庫情報を生成するデータ生成ステップと、
出力制御部が、生成された前記在庫情報を出力する出力制御ステップと、
を有する在庫管理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
メーカ側で製造された商品が、メーカ側の倉庫に保管されることで通知される、メーカ側の倉庫に保管された商品の入庫数、入庫した前記商品の納入先を示す納入先特定情報、生成された前記商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する取得部と、
取得された前記入庫情報に含まれる前記納入先特定情報に基づいて、前記メーカ側の倉庫の前記納入先毎の商品の保管場所を、各前記納入先用の商品の保管倉庫として割り当てた倉庫特定情報を生成する納入先別倉庫割り当て部と、
各前記納入先の保管倉庫を示す前記倉庫特定情報、各前記納入先の保管倉庫で保管されている前記商品の商品特定情報及び在庫数を含む在庫情報を生成するデータ生成部と、
生成された前記在庫情報を出力する出力制御部として機能させること、
を特徴とする在庫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理装置、在庫管理方法、及び、在庫管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2021-157397号公報)には、製品の製造プロセスの休止の発生頻度を減少させることができ、効率的な生産を行うことが可能な製品の置場管理方法が開示されている。
【0003】
この製品の置場管理方法は、第1の工程にて処理された製品を貯蔵する第1の置場から、第2の工程にて処理される製品を貯蔵する第2の置場へ搬送する際の製品の置場管理方法となっている。具体的には、第1の予測ステップで、第1の予測期間の生産スケジュールについて、第1の予測期間に設定された複数の予測時点それぞれにおいて、第1の工程及び第2の工程で処理される製品数と、第1の置場及び第2の置場に貯蔵されている合計製品数とに基づき、休止の発生有無を予測する。
【0004】
第2の予測ステップでは、この第1の予測ステップで休止が発生しないと予測された生産スケジュールについて、第1の予測期間よりも短い第2の予測期間に設定された複数の予測時点それぞれにおいて、第1処理ライン及び第2処理ラインでの休止の発生有無を予測する。この第2の予測ステップで休止発生が予測されると、調整ステップで、生産スケジュールの調整を行う。これにより、製品の製造プロセスの休止の発生頻度を減少させることができ、効率的な生産を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-157397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば鉄鋼等の商品は、重量が重く、また、高価であるため、船で港に到着した際、又は、工場で製造された際に、メーカの置き場所(メーカヤード)から移動させると、高額な移動コストが発生する。
【0007】
このため、需要家(納入先)に対して商品を販売する企業は、自社の倉庫にその商品を移動せずに、商品を製造するメーカのメーカヤードに置かれている商品に対して出荷指示を行い、メーカヤードから直接、需要家に対して配送を行っている。
【0008】
しかし、メーカヤードに置かれている商品は、他社資産となるため、需要家に対して商品を販売している企業側で在庫管理することは困難となっていた。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、メーカヤードに置かれている他社資産となる商品を、需要家に対して商品を販売している企業側で在庫管理可能とした在庫管理装置、在庫管理方法、及び、在庫管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る在庫管理装置は、メーカ側で製造された商品が、メーカ側の倉庫に保管されることで通知される、メーカ側の倉庫に保管された商品の入庫数、入庫した商品の納入先を示す納入先特定情報、生成された商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する取得部と、取得された入庫情報に含まれる納入先特定情報に基づいて、メーカ側の倉庫の納入先毎の商品の保管場所を、各納入先用の商品の保管倉庫として割り当てた倉庫特定情報を生成する納入先別倉庫割り当て部と、各納入先の保管倉庫を示す倉庫特定情報、各納入先の保管倉庫で保管されている商品の商品特定情報及び在庫数を含む在庫情報を生成するデータ生成部と、生成された在庫情報を出力する出力制御部と、を有する。
【0011】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る在庫管理方法は、取得部が、メーカ側で製造された商品が、メーカ側の倉庫に保管されることで通知される、メーカ側の倉庫に保管された商品の入庫数、入庫した商品の納入先を示す納入先特定情報、生成された商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する取得ステップと、納入先別倉庫割り当て部が、取得された入庫情報に含まれる納入先特定情報に基づいて、メーカ側の倉庫の納入先毎の商品の保管場所を、各納入先用の商品の保管倉庫として割り当てた倉庫特定情報を生成する納入先別倉庫割り当てステップと、データ生成部が、各納入先の保管倉庫を示す倉庫特定情報、各納入先の保管倉庫で保管されている商品の商品特定情報及び在庫数を含む在庫情報を生成するデータ生成ステップと、出力制御部が、生成された在庫情報を出力する出力制御ステップとして機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、メーカヤードに置かれている他社資産となる商品を、需要家に対して商品を販売している企業側で在庫管理可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態の在庫管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、倉庫マスタの一例を示す図である。
図3図3は、需要家納入先コード変換マスタの一例を示す図である。
図4図4は、需要家別商品コード変換マスタの一例を示す図である。
図5図5は、仕訳連携変換マスタの一例を示す図である。
図6図6は、メーカにより製造された商品が各需要家用ヤード倉庫に保管されることで、実施の形態の在庫管理装置の在庫データが生成される様子を示す図である。
図7図7は、メーカにより製造された商品が各需要家用ヤード倉庫に保管されることで、メーカ側から在庫管理装置に送信されるヤード移動データ、及び、ヤード移動データに基づいて生成される移動データを示す図である。
図8図8は、需要家からの注文による受注入力を行うための受注入力画面の一例を示す図である。
図9図9は、在庫管理装置で生成した受注データを、メーカ側に送信する際に、納入先コード及び商品コード等を、メーカ側で用いている納入先コード及び商品コードに変換して送信する動作を説明するための図である。
図10図10は、メーカにより新たな商品が生産され各需要家用ヤード倉庫に保管されることで、在庫管理装置の在庫データが更新される様子を示す図である。
図11図11は、メーカにより需要家用ヤード倉庫に保管された商品が3月10日の午前中に出荷されることで、在庫管理装置の在庫データが更新される様子を示す図である。
図12図12は、メーカにより需要家用ヤード倉庫に保管された商品が3月10日の午後に出荷されることで、在庫管理装置の在庫データが更新される様子を示す図である。
図13図13は、棚卸前処理を説明するための図である。
図14図14は、担当者がメーカ側の需要家用ヤード倉庫に出向して在庫数を確認している様子を示す図である。
図15図15は、帳簿上の在庫数の調整を行うための在庫数調整データの一例を示す図である。
図16図16は、在庫数調整データに基づいて在庫数が調整された棚卸後の在庫データの一例を示す図である。
図17図17は、需要家に送信又は郵送される棚卸報告資料の一例を示す図である。
図18図18は、在庫照会画面の一例を示す図である。
図19図19は、在庫照会に用いられる在庫データの一例を示す図である。
図20図20は、管理帳票に出力可能な需要家別のーカヤードの在庫金額の一例を示す図である。
図21図21は、仕訳連携画面の一例を示す図である。
図22図22は、仕訳データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した実施の形態となる在庫管理装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(ハードウェア構成)
図1に示すように、実施の形態の在庫管理装置1は、メーカ側で鉄鋼を材料として製造された商品を、メーカ側の置き場所(メーカヤード)から納入先となる需要家に納品させる商取引を行う企業の端末装置であり、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。
【0016】
入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部、印刷装置、又は、スピーカ装置等を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網等のネットワーク50に接続される。
【0017】
ネットワーク50には、鉄鋼を材料として商品を製造するメーカのメーカ端末装置51と、商品の注文を行い、また、メーカにより製造された商品の納入先となる需要家の需要家端末装置52が接続されている。また、ネットワーク50には、在庫管理装置1を所有する企業の会計計上を行うためのソフトウェアである会計システム61が設けられた会計サーバ装置60が接続されている。なお、図1に点線のブロックで示すように、在庫管理装置1の記憶部2に設けられた会計システム61に会計計上を行うようにしてもよい。
【0018】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、メーカヤードに置かれている他社資産の在庫管理を可能とする在庫管理プログラムが記憶されている。また、この記憶部2には、倉庫マスタ11、需要家納入先コード変換マスタ12、需要家別商品コード変換マスタ13、仕訳連携変換マスタ14が記憶される他、後述する各種データが記憶されている。
【0019】
倉庫マスタ11には、図2に示すように倉庫コード、倉庫名、資産管理フラグ、需要家管理フラグ、及び、需要家コード(自社)がそれぞれ関連付けされて記憶されている。この倉庫マスタ11において、「C001」及び「C002」の倉庫コードは、メーカ側のメーカヤードを仮想的に自社の倉庫に見立てて付した倉庫コードである。すなわち、「C001」はメーカヤードを「第1の需要家用のヤード倉庫」に見立てて付した倉庫コードであり、「C002」の倉庫コードはメーカヤードを「第2の需要家用のヤード倉庫」に見立てて付した倉庫コードとなっている。
【0020】
管理資産フラグとしては、その倉庫の資産が自社資産である場合は「0:自社資産」と入力され、その倉庫の資産が他社資産である場合は「1:他社資産」として入力される。上述の「第1の需要家用のヤード倉庫」及び「第2の需要家用のヤード倉庫」の保管されている資産は他社資産であるため、それぞれに対しては、「1:他社資産」の管理資産フラグが入力される。
【0021】
需要家管理フラグとしては、その倉庫の資産の需要家を管理しない場合は「0管理しない」と入力され、その倉庫の資産の需要家を管理する場合は「1:管理する」と入力される。上述の「第1の需要家用のヤード倉庫」及び「第2の需要家用のヤード倉庫」は、それぞれ対応する需要家用の仮想的なヤード倉庫であるため、「1:管理する」の需要家管理フラグが入力される。
【0022】
また、「1:管理する」の需要家管理フラグが入力した場合、在庫管理装置1を所有する企業(自社)で用いている各需要家の需要家コード(需要家コード(自社))が必須の入力要件となっている。図2の例は、上述の「第1の需要家用のヤード倉庫」に対しては、自社で用いている「TOK001」の需要家コード(自社)が入力され、「第2の需要家用のヤード倉庫」に対しては、自社で用いている「TOK505」の需要家コード(自社)が入力された例である。
【0023】
需要家納入先コード変換マスタ12には、図3に示すように自社で用いている各需要家の需要家コード(需要家コード(自社))と、メーカ側で用いられている、各需要家の需要家コード(需要家コード(メーカ))とが、それぞれ関連付けされて記憶されている。図3の例は、自社で用いている「TOK001」の需要家に対しては、メーカ側では「109100001」の需要家コードが付されており、自社で用いている「TOK505」の需要家に対しては、メーカ側では「109155001」の需要家コードが付されていることを示している。
【0024】
需要家別商品コード変換マスタ13には、各需要家に納入している各商品に対する、「自社で用いている各需要家の需要家コード及び各商品の商品コード」と、「メーカ側で用いている各需要家の需要家コード及び各商品の商品コード」とが、それぞれ関連付けされて記憶されている。
【0025】
図4の例は、自社で「TOK001」の需要家コードで管理し、メーカ側で「109100001」の需要家コードで管理されている需要家に対して納入する「SH100001」の商品コード(自社)の商品は、メーカ側では「GLCC5001」の商品コード(メーカ)で管理されていることを示している。また、図4の例は、自社で「TOK505」の需要家コードで管理し、メーカ側で「109155001」の需要家コードで管理されている需要家に対して納入する「S135-180」の商品コード(自社)の商品は、メーカ側では「GLWSW950」の商品コード(メーカ)で管理されていることを示している。
【0026】
仕訳連携変換マスタ14には、図5に示すように、図2を用いて説明した第1の需要家用ヤード倉庫及び第2の需要家用ヤード倉庫における在庫の仕訳連携定義が記憶されている。具体的には、仕訳連携変換マスタ14には、第1の需要家用ヤード倉庫及び第2の需要家用ヤード倉庫における在庫は、仕訳連携の際に、借方勘定科目を「7053」とし、借方勘定科目名を「ヤード月末在庫」とすることが定義されている。
【0027】
また、金額は「在庫金額」の金額を用い、会計取引先コードは、図2に示した倉庫マスタ11に、倉庫コードに関連付けされている納入先コード(需要家コード(自社))を用いることが定義されている。さらに、作成条件としては、倉庫マスタ11の需要家管理フラグが「1:管理する」となっている需要家の在庫のみ、仕訳連携を行うことが定義されている。
【0028】
(在庫管理装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている在庫管理プログラムを実行することで、図1に示すように、取得部21、納入先別倉庫割り当て部22、データ生成部23、出力制御部24、表示制御部25及び記憶制御部26として機能する。
【0029】
取得部21は、メーカ側で製造された商品が、メーカ側の倉庫に保管されることで通知される、メーカ側の倉庫に保管された商品の入庫数、入庫した商品の納入先を示す納入先特定情報、生成された商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する。
【0030】
納入先別倉庫割り当て部22は、取得された入庫情報に含まれる納入先特定情報に基づいて、メーカ側の倉庫の納入先毎の商品の保管場所を、各納入先用の商品の保管倉庫として割り当てた倉庫特定情報(図6(a)等に示すC001等の倉庫コード)を生成する。
【0031】
データ生成部23は、各納入先の保管倉庫を示す倉庫特定情報、各納入先の保管倉庫で保管されている商品の商品特定情報(図6(a)等に示す商品コード)及び在庫数(図6(a)等に示す重量及び数量等)を含む在庫情報(図6(a)等に示す在庫データ)を生成する。
【0032】
出力制御部24は、生成された在庫情報を、出力装置7等の出力先に出力する。出力装置7としては、表示部の他、印刷装置、スピーカ装置、半導体メモリ、磁気記憶媒体等の外部記憶装置を用いることができる。
【0033】
また、取得部21は、メーカ側で商品がさらに製造され、納入先用の商品の保管倉庫に保管された際に送信される、保管した商品の入庫数、保管した商品の納入先を示す納入先特定情報、保管した商品の商品特定情報を含む入庫情報を取得する。
【0034】
この入庫情報がさらに取得されると、記憶制御部26は、在庫情報に含まれる倉庫特定情報で示される保管倉庫の納入先のうち、入庫情報の納入先特定情報で示される納入先の在庫数に、入庫情報に含まれる、保管した商品の入庫数を加算処理することで在庫情報を更新処理する。
【0035】
また、取得部21は、メーカ側が商品を納入先に出荷した際に送信される、出荷した商品の出荷数、出荷した商品の商品特定情報、及び、出荷した商品の納入先を示す納入先特定情報を含む出荷情報を取得する。
【0036】
この出荷情報が取得されると、記憶制御部26は、商品が出荷された納入先の在庫数から、出荷した商品の出荷数を減算処理した在庫数に、在庫情報の在庫数を更新処理する。
【0037】
また、記憶制御部26は、棚卸を行うことで確認された商品の実際の在庫数と、棚卸時点での在庫情報で示される商品の在庫数との差異数が入力された際に、入力された差異数を、棚卸時点での在庫情報で示される在庫数に加減算処理して在庫情報の在庫数の調整を行う。
【0038】
棚卸により在庫情報の在庫数の調整が行われると、データ生成部23は、調整された在庫数を含む在庫数報告書データ(図17に例示する棚卸報告資料)を生成し、出力制御部24は、この在庫数報告書データを出力する。出力制御部24は、生成された在庫数報告書データを、出力装置7等の出力先に出力する。出力装置7としては、表示部の他、印刷装置、スピーカ装置、半導体メモリ、磁気記憶媒体等の外部記憶装置を用いることができる。また、在庫数報告書データは、添付ファイルとして電子メールに添付され、需要家の需要家端末装置52に送信され、或いは、需要家に郵送される。
【0039】
また、データ生成部23は、少なくとも勘定科目名を指定する勘定科目名指定情報、在庫情報に含まれる金額のうち、計上に用いる金額として在庫金額を指定する金額指定情報、及び、在庫情報のうち、会計データの作成対象とする在庫情報を特定するための作成条件が記憶された記憶部(仕訳連携変換マスタ14)を参照する。そして、データ生成部23は、在庫情報のうち、作成条件で指定される在庫情報に基づいて、勘定科目名指定情報で指定された勘定科目名、金額指定情報で指定された在庫金額、及び、取引先を含む会計データを生成する。出力制御部は、この会計データを出力装置7等の出力先に出力する。出力装置7としては、表示部の他、印刷装置、スピーカ装置、半導体メモリ、磁気記憶媒体等の外部記憶装置を用いることができる。また、会計データは、図1に示す会計サーバ装置60のソフトウェアである会計システム61に計上され、又は、記憶部2に記憶されている会計システム61に計上される。
【0040】
(メーカヤードの在庫管理動作)
次に、実施の形態の在庫管理装置1における、上述のメーカヤードに入庫した各需要家用の在庫の管理動作を説明する。在庫管理装置1の取得部21~記憶制御部26は、記憶部2の在庫管理プログラムに基づいて機能することで、メーカヤードに入庫した各需要家用の在庫を以下のように管理する。
【0041】
まず、例えば図6(a)の在庫データで示すように、3月1日の時点で、メーカヤードに対して仮想的に割り当てた「C001」の倉庫コードの第1の需要家用ヤード倉庫には、商品コードが「SH100001」で在庫単価が「1000円」の商品は保管されていない状態であるとする。また、3月1日の時点で、メーカヤードに対して仮想的に割り当てた「C002」の倉庫コードの第2の需要家用ヤード倉庫には、商品コードが「SI35-180」で在庫単価が「1500円」の商品は保管されていない状態であるとする。
【0042】
この状態で、取得部21が3月7日付で、メーカ端末装置51からEDI(Electronic Data Interchange)受信データとして、図7(a)に示すヤード移動データを受信して取得したとする。このヤード移動データは、図7(a)に示すように、メーカ側で用いている納入先コードが「109100001」の納入先に対する、「GLCC5001」の商品コードの商品であり、重量は「1.2t」、数量は「2.4m」であったとする。また、取得したヤード移動データは、図7(a)に示すように、メーカ側で用いている納入先コードが「109155001」の納入先に対する、「GLWSW950」の商品コードの商品であり、重量は「7.4t」、数量は「3.7m」であったとする。
【0043】
メーカ端末装置51から、このようなヤード移動データが取得されると、データ生成部23は、取得されたヤード移動データの「納入先コード(=メーカ側で用いている需要家のコード)」に基づいて、図3に示した需要家納入先コード変換マスタ12を参照し、自社で用いている「需要家コード(自社)」を検出する。この例の場合、「109100001」の需要家コード(メーカ)に対しては、「TOK001」の需要家コード(自社)が検出される。また、「109155001」の需要家コード(メーカ)に対しては、「TOK505」の需要家コード(自社)が検出される。
【0044】
データ生成部23は、検出した「需要家コード(自社)」に基づいて、図2に示した倉庫マスタ11を参照し、「需要家コード(自社)」に対応する「倉庫コード」を検出する。この例の場合、「TOK001」の需要家コード(自社)に対しては、データ生成部23により、「C001」の倉庫コードが検出され、「TOK505」の需要家コード(自社)に対しては、データ生成部23により、「C002」の倉庫コードが検出される。
【0045】
次に、データ生成部23は、取得されたヤード移動データの「納入先コード」及び「商品コード」に基づいて、図4に示した需要家別商品コード変換マスタ13を参照し、ヤード移動データで示されるメーカ側で用いられている商品コード(メーカ)に対応する、自社で用いている商品コード(自社)を検出する。この例の場合、「GLCC5001」の商品コード(メーカ)に対応する商品コード(自社)として、「SH100001」の商品コード(自社)が検出される。また、「GLWSW950」の商品コード(メーカ)に対応する商品コード(自社)として、「S135-180」の商品コード(自社)が検出される。
【0046】
このような各情報を検出すると、データ生成部23は、図7(b)に示すように重量が「1.2t」、数量が「2.4m」で、商品コード(自社)が「SH100001」の商品が、「C001」の倉庫コードの第1の需要家用ヤード倉庫に入庫したことを示す移動データを生成する。また、データ生成部23は、図7(b)に示すように重量が「7.4t」、数量が「3.7m」で、商品コード(自社)が「SI35-180」の商品が、「C002」の倉庫コードの第2の需要家用ヤード倉庫に入庫したことを示す移動データを生成する。
【0047】
なお、この移動データには、自動採番された移動番号が付され、「ヤード入庫」の移動区分が付される。
【0048】
記憶制御部26は、このような移動データに基づいて、図6(b)に示すように、「C001」の倉庫コードの第1の需要家用ヤード倉庫に入庫した「SH100001」の商品コードの商品の重量(1.2t)、及び、数量(2.4m)を入力(更新)すると共に、重量に対応する在庫金額を算出して入力(更新)する(1.2t×1000円=1200円)。
【0049】
同様に、記憶制御部26は、移動データに基づいて、図6(b)に示すように、「C002」の倉庫コードの第1の需要家用ヤード倉庫に入庫した「SI35-180」の商品コードの商品の重量(7.4t)、及び、数量(3.7m)を入力(更新)すると共に、重量に対応する在庫金額を算出して入力(更新)する(7.4t×1500円=1万1千100円)。
【0050】
次に、例えば3月8日付で、需要家(=納入先)から需要家端末装置52を介して商品の注文が行われたとする。これにより、在庫管理装置1の操作者は、受注入力画面の表示指定操作を行う。この表示指定操作が行われると、表示制御部25は、図8に例示する受注入力画面を、出力装置7を介して表示する。操作者は、入力装置6を操作することで、図8に示すように、受注番号、受注日、納期、受注区分(ヤード受注)、倉庫コード、挿入先コードを入力する。この図8の例は、受注日は「2023年3月8日」で、納期は「2023年3月10日」とした例である。また、倉庫コードが「C001」の第1の需要家用ヤード倉庫からの出荷を指示しており、納入先は、納入先コードが「TOK001」の「〇〇製鉄所」であることを示している。
【0051】
また、操作者は、受注した商品の商品コード、商品名、受注数(重量及び数量)、受注単価、受注金額、仕入単価、仕入金額、及び、粗利等の明細入力を行う。
【0052】
このような受注入力が行われると、データ生成部23は、図9(a)に示すように、納入先コード(=需要家コード(自社))、納入先名、商品コード(自社)、商品名、重量、数量、及び、納期を含む発注データを生成する。また、データ生成部23は、需要家別商品コード変換マスタ13を参照し、納入先コード(=需要家コード(自社))を、メーカ側で用いている納入先コード(=需要家コード(メーカ))に変換すると共に、商品コード(自社)をメーカ側で用いている商品コード(需要家商品コード(メーカ))に変換した、図9(b)に例示する発注データを生成する。
【0053】
出力制御部24は、生成された発注データを、メーカ端末装置51に送信する。これにより、メーカ側において、この発注データに基づいて商品が製造され、メーカ側のメーカヤードに保管される。そして、例えば3月9日付で、この新たに製造された商品に対応する、図10(a)に例示する移動ヤードデータがメーカ側で生成され、在庫管理装置1に送信される。
【0054】
在庫管理装置1は、取得部21で、このヤード移動データを取得すると、データ生成部23が、図2図4に示した倉庫マスタ11~需要家別商品コードマスタ13を参照し、図10(b)に示す、メーカ側で新たに製造された商品に対応する移動データを生成する。この図10(b)の例は、メーカ側で、重量が「5.5t」で、数量が「11.0m」の、商品コードが「SH100001」の商品が製造され、この商品が、メーカヤード内の「C001」の倉庫コードの倉庫(置き場)に保管されたことを示している。また、この図10(b)の例は、メーカ側で、重量が「45.7t」で、数量が「22.85m」の、商品コードが「SI35-180」の商品が製造され、この商品が、メーカヤード内の「C002」の倉庫コードの倉庫(置き場)に保管されたことを示している。
【0055】
記憶制御部26は、このように「C001」の倉庫コードの倉庫(置き場)及び「C002」の倉庫コードの倉庫(置き場)に新たな在庫が保管されると、図6(b)に示した在庫データの重量及び数量に、図10(b)の移動データの重量及び数量をそれぞれ加算処理する。これにより、図10(c)に示すように、需要家からの発注により、メーカ側で製造された新たな商品の在庫を、元の在庫に加算するかたちで、在庫データが更新処理される。
【0056】
次に、例えば3月10日の午前中に、メーカ側が、発注データで示される需要家用の需要家用ヤード倉庫から、発注データで示される需要家に対して商品を出荷すると、図11(a)に示す出荷データがメーカ端末装置51を介して在庫管理装置1に送信される。在庫管理装置1の取得部21は、この出荷データを取得する。データ生成部23は、図4に示した需要家別商品コード変換マスタ13を参照することで、取得された出荷データの納入先コード(メーカ)及び商品コード(メーカ)を、自社で用いている納入先コード(自社)及び商品コード(自社)に変換し、図11(b)に示す売上データを生成する。記憶制御部26は、この売上データを記憶部2に記憶させる。
【0057】
また、記憶制御部26は、この売上データに基づいて、図10(c)に示した売上前の「〇〇製鉄所」の在庫データの重量及び数量から、図11(b)の売上データで示される、今回、「〇〇製鉄所」に売上られた商品の重量及び数量を減算処理して在庫金額を計算し直し、図11(c)に示すように在庫データを更新する。
【0058】
同様に、例えば3月10日の午後に、メーカ側が、発注データで示される需要家用の需要家用ヤード倉庫から、発注データで示される需要家に対して商品を出荷すると、図12(a)に示す出荷データがメーカ端末装置51を介して在庫管理装置1に送信される。在庫管理装置1の取得部21は、この出荷データを取得する。データ生成部23は、図4に示した需要家別商品コード変換マスタ13を参照することで、取得された出荷データの納入先コード(メーカ)及び商品コード(メーカ)を、自社で用いている納入先コード(自社)及び商品コード(自社)に変換し、図12(b)に示す売上データを生成する。記憶制御部26は、この売上データを記憶部2に記憶させる。
【0059】
また、記憶制御部26は、この売上データに基づいて、図11(c)に示した売上前の「××工場」の在庫データの重量及び数量から、図12(b)の売上データで示される、今回、「××工場」に売上られた商品の重量及び数量を減算処理して在庫金額を計算し直し、図12(c)に示すように在庫データを更新する。
【0060】
(棚卸処理)
次に、例えば3月末である3月31日に実施される棚卸による棚卸処理を説明する。この棚卸時には、まず、帳簿上の現在の在庫数を認識する「棚卸前処理」が行われる。すなわち、在庫管理装置1の操作者は、棚卸時となると、入力装置6を介して棚卸前処理画面の表示を指定操作する。
【0061】
この指定操作が行われると、表示制御部25は、図13(b)に示す棚卸前処理画面を、出力装置7を介して表示する。操作者は、この棚卸前処理画面に対して、棚卸日及び棚卸を行う倉庫の倉庫コードを入力する。この図13(b)の例は、棚卸を行う倉庫として、上述のようにメーカヤードに対して割り当てられた第2の需要家用ヤード倉庫を指定した例である。
【0062】
データ生成部23は、入力された倉庫コードに基づいて在庫データを参照し、図13(a)に例示するように、棚卸前処理画面で指定された倉庫に保管されている商品の、帳簿上の在庫数(重量及び数量)を示す棚卸データを生成する。図13(b)の例は、棚卸を行う倉庫として第1の需要家用ヤード倉庫(C001)及び第2の需要家用ヤード倉庫(C002)が指定され、この第1の需要家用ヤード倉庫及び第2の需要家用ヤード倉庫に保管されている商品(SH100001、SI35-180)の在庫数(4.3t/8.6m、42.6t/21.3m)を示す棚卸データが生成された例である。記憶制御部26は、この棚卸データを、記憶部2に記憶させる。
【0063】
次に、操作者又は担当者は、図14に示すようにメーカヤードに出向し、第1の需要家用ヤード倉庫に保管されている商品の在庫数、及び、第2の需要家用ヤード倉庫に保管されている商品の在庫数を目視で認識する。そして、操作者は、図12(c)に示した3月31日時点での在庫データで示される第1の需要家用ヤード倉庫(C001)及び第2の需要家用ヤード倉庫(C002)の在庫数量と、目視で認識した第1の需要家用ヤード倉庫(C001)及び第2の需要家用ヤード倉庫(C002)の在庫数量との差異数を算出する。
【0064】
そして、操作者は、第1の需要家用ヤード倉庫(C001)及び第2の需要家用ヤード倉庫(C002)の差異数を、在庫数調整入力画面を介して入力する。この在庫数調整入力画面に対して差異数の入力操作が行われると、データ生成部23は、図15(a)に示すように、第1の需要家用ヤード倉庫(C001)及び第2の需要家用ヤード倉庫(C002)の各商品(SH100001、SI35-180)の在庫数の差異数(=調整数)を示す在庫数調整データを生成する。
【0065】
この図15(a)の在庫数調整データの例は、第1の需要家用ヤード倉庫(C001)の商品(SH100001)の帳簿上の数量と実際にヤード倉庫に保管されている数量との間に、「1.0t、2.0m」の差異が発生していたことを示している。また、図15(b)の在庫数調整データの例は、第2の需要家用ヤード倉庫(C002)の商品(SI35-180)の帳簿上の数量と実際にヤード倉庫に保管されている数量との間に、「-1.2t、-0.6m」の差異が発生していたことを示している。
【0066】
次に、操作者は、入力装置6を介して棚卸入力画面の表示を指定操作する。この指定操作が行われると、表示制御部25は、図15(b)に示す棚卸入力画面を、出力装置7を介して表示する。操作者は、この棚卸入力画面に対して、「2023年3月31日」等の棚卸日、「通常棚卸」等の棚卸区分、「C002(第2の需要家ヤード倉庫の棚卸を行っている場合の例)」等の倉庫コード、及び、「SH100001」等の商品コード、及び、「鉄柱H型A001」等の商品名を入力する。
【0067】
また、操作者は、図15(a)に示した在庫数調整データに基づいて、棚卸入力画面の明細の入力欄のうち、棚卸情報の入力欄に、棚卸を行っている倉庫及び商品に対応する上述の差異数(=調整数)を入力する。
【0068】
すなわち、棚卸入力画面の明細の入力欄は、棚卸を行っている商品の商品コード及び商品名の入力欄他、棚卸前情報の表示欄、棚卸情報の入力欄、及び、棚卸後情報の表示欄が設けられている。表示制御部25は、棚卸前情報の表示欄に対しては、図12(c)に示した、その倉庫及び商品の、棚卸日における在庫数(この場合、重量及び数量)を、操作者が変更不可の状態で表示する。
【0069】
また、表示制御部25は、棚卸情報の入力欄に、上述の差異数(=調整数)が入力されると、この入力された差異数(=調整数)を、棚卸前情報の在庫数に対して加減算処理し、棚卸日の帳簿上の在庫数を実際の在庫数に合わせ込む演算処理を行う。これにより、帳簿上の在庫数が実際の在庫数に調整される。表示制御部25は、この調整の演算結果となる在庫数(重量、数量)を、操作者が変更不可の状態で、棚卸後情報の表示欄に表示する。
【0070】
次に、操作者は、棚卸入力画面を介して調整した倉庫(第1の需要家用ヤード倉庫又は第2の需要家用ヤード倉庫等)の在庫数の更新を、図16(a)に例示する棚卸更新画面を介して指定する。これにより、データ生成部23は、図16(b)に示すように、上述の差異数(=調整数)に基づいて調整した在庫数に更新した棚卸後の在庫データを生成する。記憶制御部26は、この棚卸後の在庫データを記憶部2に記憶させる。
【0071】
次に、データ生成部23は、この棚卸後の在庫データに基づいて、各需要家に対する棚卸報告資料に対応する棚卸報告資料データを生成する。この棚卸報告資料データは、操作者により入力される会計年月、棚卸日、宛先となる需要家名と共に、各商品のシステム帳簿在庫数、調整数、及び、棚卸結果数の各情報を含んで構成される。
【0072】
データ生成部23は、上述の棚卸前処理により作成した図13(a)に示す棚卸データから取得したシステム帳簿在庫数を、棚卸報告資料データに入力する。また、データ生成部23は、図15(a)に示した在庫数調整データから取得した調整数を、棚卸報告資料データに入力する。また、データ生成部23は、図16(b)に示した棚卸処理後の在庫データから取得した棚卸結果数を、棚卸報告資料データに入力する。
【0073】
この棚卸報告資料データは、出力制御部24により、対応する需要家の需要家端末装置52に送信され、又は、印刷装置に相当する出力装置7を介して印刷され、対応する需要家に郵送される。
【0074】
(在庫照会動作)
次に、実施の形態の在庫管理装置の場合、メーカヤードを、各需要家用ヤード倉庫に割り当てて管理しているため、在庫データに基づいて、指定した需要家用ヤード倉庫の在庫を迅速かつ正確に照会可能となっている。
【0075】
この場合、操作者は、図18に例示する在庫照会画面を表示操作し、日付、照会を行う倉庫の倉庫コード、得意先コード(=需要家又は納入先)の入力を行う。表示制御部25は、例えば図19に例示する在庫データを参照し、図18に示すように、入力された倉庫コード及び得意先コードに対応する在庫データを、在庫照会画面の明細の表示欄に表示する。図18の例は、第1の需要家用ヤード倉庫に保管されている「〇〇製鉄所」の在庫が照会された例である。
【0076】
従来は、需要家別のメーカヤード在庫管理については、表計算ソフトウェアで管理していた。しかし、表計算ソフトウェアによる管理では、メーカ側での商品の移動処理又は出荷処理等が行われることで、在庫管理に誤りが発生する不都合を生じていた。そして、このような在庫管理の誤りにより、需要家向けの在庫が確保されておらず、出荷業務が行えず、需要家からのクレームが発生する不都合を生じていた。
【0077】
しかし、実施の形態の在庫管理装置1は、システムでの需要家別メーカヤードの在庫管理を行うことができ、需要家別の確保在庫をシステムで管理可能とすることができ、従来、出荷業務で発生した障害を改善することができる。これにより、需要家からのクレームが発生する不都合を防止できる。
【0078】
また、需要家からメーカヤードの棚卸報告が求められた際、従来は、システムで在庫管理を行うことが困難であったため、表計算ソフトウェアで資料を作成していた。しかし、実施の形態の在庫管理装置1では、1つの需要家のメーカヤード在庫を1倉庫として管理できるため、棚卸処理を自社倉庫と同様の形式で行うことができる。このため、定期的に発生する定型業務(棚卸処理等)の作業時間の短縮化を図ることができる。
【0079】
また、需要家別に在庫管理できるため、他社資産の在庫を管理会計のバランスシート(BS:貸借対照表)上で把握可能とすることができる。このため、将来的な債務を把握でき、また、在庫過多となる不都合を防止できる。
【0080】
(仕訳連携動作)
次に、実施の形態の在庫管理装置1は、在庫データに基づいて、メーカヤードに設定した第1の需要家用ヤード倉庫及び第2の需要家用ヤード倉庫の在庫金額の仕訳データを生成して、会計システム61に連携可能としている。これにより、管理帳票に、例えば図20に例示する需要家別のーカヤードの在庫金額を出力して確認することができる。
【0081】
具体的には、仕訳連携を行う場合、操作者は、入力装置6を操作して、仕訳連携画面の表示を指定する。これにより、表示制御部25は、図21に例示する仕訳連携画面を、出力装置7を介して表示する。操作者は、この仕訳連携画面に対して会計年月を入力すると共に、会計期間に相当する対象日の入力を行う。
【0082】
データ生成部23は、図5に示した仕訳連携変換マスタ14を参照し、仕訳データを生成する際に用いることが指定されている借方勘定科目、借方勘定科目名、金額の取得元、会計取引先コードの取得元、仕訳データの作成対象とする倉庫を認識する。
【0083】
図5に示す仕訳連携変換マスタ14の例は、作成する仕訳データの借方勘定科目としては「7053」が指定され、借方勘定科目名としては「ヤード月末倉庫」が指定され、金額の取得元としては「在庫データの在庫金額」が指定されている例である。また、図5に示す仕訳連携変換マスタ14の例は、会計取引先コードの取得元として、図2に示す倉庫マスタ11に記憶されている納入先コード(=需要者コード(自社))が指定され、図2の倉庫マスタ11の需要家管理フラグが「1:管理する」になっているものを仕訳データの作成対象とすることが指定されている例である。
【0084】
データ生成部23は、図19に例示するように、仕訳連携変換マスタ14及び倉庫マスタ11で指定される需要家及び倉庫の在庫データを取得する。そして、図22に示すように、取得した在庫データに基づいて、各需要家用ヤード倉庫の在庫金額を示す仕訳データを生成する。
【0085】
一例として仕訳データは、計上日、勘定コード、科目名、会計取引先コード、会計取引先名、及び、計上額の各入力項目を有している。この例の場合、データ生成部23は、計上日として「2023年3月31日」を入力し、勘定コードとしては、仕訳連携変換マスタ14で指定された「7053」を入力する。また、データ生成部23は、科目名として、仕訳連携変換マスタ14で指定された「ヤード月末倉庫」を入力し、会計取引先コードとして、倉庫マスタ11に登録されている、「TOK001」、「TOK005」等の「需要家コード(自社)」を入力する。
【0086】
また、データ生成部23は、会計取引先名としては、「〇〇製鉄所」、「××工場」等の、第1の需要家用ヤード倉庫の需要家名、又は、第2の需要家用ヤード倉庫の需要家名を入力する。
【0087】
また、データ生成部23は、計上額としては、図19に示す同じ倉庫コードの在庫金額の合計額を入力する。例えば、「C001」の第1の需要家用ヤード倉庫の場合、在庫金額の合計金額は「11万8630円」である。このため、データ生成部23は、「C001」の第1の需要家用ヤード倉庫の需要家の計上額として「11万8630円」を、仕訳データに入力する。同様に、図19に示す「C002」の第2の需要家用ヤード倉庫の場合、在庫金額の合計金額は「17万4380円」である。このため、データ生成部23は、「C002」の第2の需要家用ヤード倉庫の需要家の計上額として「17万4380円」を、仕訳データに入力する。
【0088】
このように仕訳データが生成されると、記憶制御部26は、生成された仕訳データを記憶部2に記憶制御する。また、出力制御部24は、生成された仕訳データを、会計サーバ装置60の会計システム61、又は、記憶部2の会計システム61に送信して計上する。
【0089】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の在庫管理装置1は、メーカヤードに置かれた他社資産を自社資産と分けたうえで、システム管理可能とすることができる。このため、メンテナンス漏れにより需要家用の在庫確保が困難となる不都合を防止でき、出荷漏れを防止できる。
【0090】
また、システムでの需要家別メーカヤードの在庫管理を行うことができ、需要家別の確保在庫をシステムで管理可能とすることができ、従来、出荷業務で発生した障害を改善することができる。これにより、需要家からのクレームが発生する不都合を防止できる。
【0091】
また、1つの需要家のメーカヤード在庫を1倉庫として管理できるため、棚卸処理を自社倉庫と同様の形式で行うことができる。このため、定期的に発生する定型業務(棚卸処理等)の作業時間の短縮化を図ることができる。
【0092】
また、需要家別に在庫管理できるため、他社資産の在庫を管理会計のバランスシート(BS:貸借対照表)上で把握可能とすることができる。このため、将来的な債務を把握でき、また、在庫過多となる不都合を防止できる。
【0093】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0096】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0097】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0098】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0099】
また、在庫管理装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0100】
例えば、在庫管理装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて在庫管理装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0101】
また、この在庫管理装置1の在庫管理プログラムは、在庫管理装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0102】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための在庫管理プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0103】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した在庫管理装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0104】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0105】
また、在庫管理装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0106】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、ヤード在庫運用を行っている、例えば鉄鋼業界の在庫管理に適用して好適である。
【符号の説明】
【0108】
1 在庫管理装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 倉庫マスタ
12 需要家納入先コード変換マスタ
13 需要家別商品コード変換マスタ
14 仕訳連携変換マスタ
21 取得部
22 納入先別倉庫割り当て部
23 データ生成部
24 出力制御部
25 表示制御部
26 記憶制御部
50 ネットワーク
51 メーカ端末装置
52 需要家端末装置
60 会計サーバ装置
61 会計システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22