(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162014
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】スイング機能付き車両
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20241114BHJP
【FI】
B62K5/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077143
(22)【出願日】2023-05-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】304003837
【氏名又は名称】有限会社藤原ホイル
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久男
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA01
3D011AA04
(57)【要約】
【課題】スイング機能を備えた車両における停車時の転倒を防止し、安定した走りを確保する。
【解決手段】フレーム1に接続されるリンク機構10と、ハンドルポスト3の回転をリンク機構10へ伝達する伝達機構70を備え、伝達機構70は内部に流体が充填された第一シリンダ80及び第二シリンダ90と、第一シリンダ80と第二シリンダ90との間で流体を流通させる流体通路71とを備え、第一シリンダ80が備える第一ロッド81がハンドルポスト3の回転に伴って進退動作し、第一ロッド81の進退動作が流体通路71を通じて第二シリンダ90が備える第二ロッド91の進退動作に連動してリンク機構10に伝達されることで、前輪F又は後輪Rが備える二つの車輪W,Wに対してフレーム1を左右へスイングさせる車両とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(F)及び後輪(R)を結ぶフレーム(1)と、前記フレーム(1)に回転自在に支持されたハンドルポスト(3)と、前記前輪(F)及び前記後輪(R)の少なくとも一方に車体幅方向に並列する二つの車輪(W,W)を備え、前記ハンドルポスト(3)の回転によって前記前輪(F)が左右へ操舵される車両において、
前記フレーム(1)に接続されるリンク機構(10)と、前記ハンドルポスト(3)の回転を前記リンク機構(10)へ伝達する伝達機構(70)を備え、
前記伝達機構(70)は内部に流体が充填された第一シリンダ(80)及び第二シリンダ(90)と、前記第一シリンダ(80)と前記第二シリンダ(90)との間で流体を流通させる流体通路(100)とを備え、前記第一シリンダ(80)が備える第一ロッド(81)が前記ハンドルポスト(3)の回転に伴って進退動作し、前記第一ロッド(81)の進退動作が前記流体通路(100)を通じて前記第二シリンダ(90)が備える第二ロッド(91)の進退動作に連動して前記リンク機構(10)に伝達されることで、前記二つの車輪(W,W)に対して前記フレーム(1)を左右へスイングさせることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記リンク機構(10)は、車体幅方向に向く下部リンクバー(12)と、前記下部リンクバー(12)よりも上方に設けられ車体幅方向に向く上部リンクバー(11)とを備え、前記第二ロッド(91)は、前記上部リンクバー(11)又は前記下部リンクバー(12)に接続されている請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記リンク機構(10)は、車体幅方向に向く下部リンクバー(12)と、前記下部リンクバー(12)よりも上方に設けられ車体幅方向に向く上部リンクバー(11)と、前記上部リンクバー(11)又は前記下部リンクバー(12)に接続されたばね機構(30)を受ける受け部材(13)を備え、前記第二ロッド(91)は、前記受け部材(13)に接続されている請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記下部リンクバー(12)は、前記後輪(R)が備える前記二つの車輪(W,W)を支持している請求項1から3のいずれか一つに記載の車両。
【請求項5】
前記伝達機構(70)は、前記ハンドルポスト(3)の回転によって回転するピニオン(72)と、前記ピニオン(72)に噛み合うラック(73)とを備え、前記ラック(73)は前記第一ロッド(81)に接続されている請求項1から3のいずれか一つに記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前輪又は後輪に車体幅方向に並列する二つの車輪を備え、フレームを車体幅方向に傾斜させるスイング機能を備えた車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前輪に車体幅方向に並列する二つの車輪を備えた前二輪車両や、後輪に車体幅方向に並列する二つの車輪を備えた後二輪車両がある。
【0003】
例えば、特許文献1の前二輪車両は、操向ハンドルに連なる操向軸がハンドルポストに回動自在に支承されている。ハンドルポストには、リンク機構を介して左右のサイドポストが連結されている。左右のサイドポストの下端には、左右の前輪をそれぞれ回転自在に支持する左右のフロントフォークが接続されている。リンク機構は4節リンク機構からなり、左右のフロントフォークに連結され、左右のサイドポストに両端がピン結合される上部リンク、上部リンクよりも下方に配置されて左右のサイドポストに両端がピン結合される下部リンクを備えている。上部リンクの中央部と、下部リンクの中央部は、ハンドルポストに回動自在に連結されている。
【0004】
また、特許文献2の前二輪車両は、フレームポストに操向回転自在に支持されているハンドル軸と、左右の前輪をそれぞれ回転自在に支持する左右のホークバーと、左右のホークバーを連結して4節リンク機構(平行リンク)を形成する上下のリンクバーと、ハンドル軸を上下のリンクバーの各中央部に揺動自在に連結する連結部と、平行リンクとハンドル軸間に設けられた左右の前輪軸間の高さ位置の変化を防止する方向に復元力を与えるばね手段とを含んで構成されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3,4の後二輪車両は、車体の前後方向へ伸びるフレームと、フレームの前端に設けられた筒状のセンターポストと、センターポストに取り付けられた前輪用の操舵機構を備えている。操舵機構は、前輪を回転自在に支持するフロントフォーク部材と、センターポストに挿通されるハンドルポストと、操舵ハンドル等から構成されている。また、フレームの後端には、左右の後輪間の車軸を支持する後輪保持部が接続されている。運転者の踏力でクランクペダルを回転させると、チェーンを介して後輪が駆動される。
【0006】
なお、電動補助自転車の後二輪車両は、フレームの中央付近に、運転者の踏力をアシストする踏力補助装置が設けられている。運転者の踏力が入力されるクランクペダルが踏力補助装置に接続され、シャフトやチェーンを介して、後輪の左右のタイヤホイールを結ぶ車軸に駆動力が伝達されるようになっている。また、近年は、エンジン等の原動機を備えたバイクにおいても、後二輪車両が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-337779号公報
【特許文献2】特開2010-042710号公報
【特許文献3】特開平10-264875号公報
【特許文献4】特開平10-264872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のスイング機能を備えた前二輪車両や後二輪車両では、交差点やカーブを通過する時に車体を傾斜させることで、左右の後輪が接地した状態を維持しつつ、スムーズな走行が可能である。しかし、スイング機能を備えた車両では、例えば、運転者が片足を地面について停車しているような状態で、運転者がバランスを崩すと車体が大きく傾斜して転倒する恐れがある。また、車体の傾斜が不充分であったり過度であったりすると、安定した走りを確保できない恐れもある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、前輪又は後輪に車体幅方向に並列する二つの車輪を備え、フレームを車体幅方向に傾斜させるスイング機能を備えた車両において、停車時における転倒を防止し、安定した走りを確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、前輪及び後輪を結ぶフレームと、前記フレームに回転自在に支持されたハンドルポストと、前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方に車体幅方向に並列する二つの車輪を備え、前記ハンドルポストの回転によって前記前輪が左右へ操舵される車両において、前記フレームに接続されるリンク機構と、前記ハンドルポストの回転を前記リンク機構へ伝達する伝達機構を備え、前記伝達機構は内部に流体が充填された第一シリンダ及び第二シリンダと、前記第一シリンダと前記第二シリンダとの間で流体を流通させる流体通路とを備え、前記第一シリンダが備える第一ロッドが前記ハンドルポストの回転に伴って進退動作し、前記第一ロッドの進退動作が前記流体通路を通じて前記第二シリンダが備える第二ロッドの進退動作に連動して前記リンク機構に伝達されることで、前記二つの車輪に対して前記フレームを左右へスイングさせることを特徴とする車両を採用した。
【0011】
ここで、前記リンク機構は、車体幅方向に向く下部リンクバーと、前記下部リンクバーよりも上方に設けられ車体幅方向に向く上部リンクバーとを備え、前記第二ロッドは、前記上部リンクバー又は前記下部リンクバーに接続されている構成を採用できる。
【0012】
また、前記リンク機構は、車体幅方向に向く下部リンクバーと、前記下部リンクバーよりも上方に設けられ車体幅方向に向く上部リンクバーと、前記上部リンクバー又は前記下部リンクバーに接続されたばね機構を受ける受け部材を備え、前記第二ロッドは、前記受け部材に接続されている構成を採用できる。
【0013】
これらの各態様において、前記下部リンクバーは、前記後輪の前記二つの車輪を支持している構成を採用できる。
【0014】
さらに、これらの各態様において、前記伝達機構は、前記ハンドルポストの回転によって回転するピニオンと、前記ピニオンに噛み合うラックとを備え、前記ラックは前記第一ロッドに接続されている構成を採用できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、後輪に車体幅方向に並列する二つの車輪を備えた後二輪車両において、停車時における転倒を防止でき、また、安定した走りを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3A】
図1のフロント部を示す正面図(直進状態)
【
図3B】
図1のフロント部を示す正面図(左操舵状態)
【
図6A】リンクユニットの上部リンクバーを示す正面図
【
図7A】リンクユニットの下部リンクバーを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態からなる後二輪車両Cを、図面に基づいて説明する。
図1~
図9は第一の実施形態を、
図10~
図12は第二の実施形態を示している。第一の実施形態では前輪FL/FRに車体の幅方向に並列する二つの車輪(タイヤホイール)W,Wを、後輪Rに一つの車輪(タイヤホイール)Wを備えた前二輪自転車を例に、この発明のスイング機能付き車両を説明し、第二の実施形態では前輪Fに一つの車輪Wを、後輪RL/RRに車体の幅方向に並列する二つの車輪W,Wを備えた後二輪自転車を例に、この発明のスイング機能付き車両を説明する。
【0018】
(第一の実施形態)
第一の実施形態の前二輪車両Cの基本構成は、
図1に示すように、車体の前後方向に延びるフレーム1によって、前輪Fと後輪Rとが結ばれている。フレーム1のダウンチューブの前端には筒状のセンターポスト(ヘッドチューブ)4が設けられ、センターポスト4には、前輪用の操舵機構が取り付けられている。操舵機構は、前輪Fを構成する二本のタイヤホイールWを車軸Aの軸回りに回転自在に支持する車輪支持部材(フロントフォーク部材)60と、車輪支持部材60を支持するハンドルポスト3を備えている。ハンドルポスト3はセンターポスト4に挿通されて、フレーム1に対して軸回り回転自在に支持されている。ハンドルポスト3の上端3aには、クランプ部材によって操舵ハンドル2が接続されている。
【0019】
フレーム1から立ち上がるシートチューブ1cの上部には、サドル5が昇降自在に取り付けられている。サドル5に座る運転者は、操舵ハンドル2の両端のグリップ部2aを掴んで操作できるようになっている。また、操舵ハンドル2の両端には前輪FL/FR及び後輪Rに付与する制動力を調整するブレーキレバーが設けられている。運転者が操舵ハンドル2を左右に回動させることにより、ハンドルポスト3がフレーム1に対して軸回り回転して二輪の前輪FL/FRが左右に操舵される。なお、車輪支持部材60は、上方側が一本の軸で構成され、タイヤホイールW側は二股に分かれてその先端で二輪の前輪FL/FRのタイヤホイールWの車軸Aの両端を支持する構造となっている。
【0020】
また、フレーム1は、その後方側にチェーンステー1aとシートステー1bを一体に備えている。シートステー1bは、フレーム1の前後方向に伸びるチェーンステー1aの後端とシートチューブ1cの上部とを結んでいる。以下、チェーンステー1aとシートステー1bを後輪支持部9と総称する。後輪支持部9の後端に、後輪Rを構成する一本のタイヤホイールWが車軸Bの軸回りに回転自在に支持されている。運転者の踏力でクランクペダル7を回転させると、フロントスプロケット8aとリアスプロケット8bとの間に巻回された無端状のチェーン6を介して後輪Rが駆動される。
【0021】
また、フレーム1には、車輪支持ユニットUが取り付けられている。車輪支持ユニットUは、対の車輪支持部材60,60とハンドルポスト3との間に設けられ、ハンドルポスト3と対の車輪支持部材60,60とを車体幅方向へ揺動自在に支持する第一のリンク機構(スイング機構)10と、対の車輪支持部材60,60とハンドルポスト3との間に設けられる第二のリンク機構(操舵機構)40と、を備えている。また、車輪支持ユニットUには、ハンドルポスト3の軸回り回転を第一のリンク機構10へ伝達する伝達機構70が取り付けられている。
【0022】
対の車輪支持部材60,60の上端は、それぞれ筒状を成す対のサイドポスト50,50内に挿通されてその対のサイドポスト50,50に支持されている。左側の車輪支持部材60は、左側のサイドポスト50に軸回り回転自在に支持され、右側の車輪支持部材60は、右側のサイドポスト50に軸回り回転自在に支持されている。左右の車輪Wの回転中心面、タイヤを保持するリム部の幅方向中心線を含む面は、左右それぞれのサイドポスト50の軸線を含む位置、又は、そのサイドポスト50の軸線と平行な位置に配置されている。なお、左右のサイドポスト50,50の軸線同士は、互いに平行であるか、あるいは、上方へ向かって徐々に近づくようにややキャンバーを付けた構成であってもよい。
【0023】
第一のリンク機構10(請求項では、単にリンク機構(10)と称する)は、上部リンクバー11と、上部リンクバー11よりも下方に設けられる下部リンクバー12と、上部リンクバー11の中央部及び下部リンクバー12の中央部をそれぞれハンドルポスト3に対して揺動自在に連結する揺動軸15,16とを備えている。上部リンクバー11及び下部リンクバー12は、それぞれ車体幅方向に伸びる長手状の部材で構成されている。
【0024】
上部リンクバー11及び下部リンクバー12の両端は、それぞれ対のサイドポスト50,50間にピン結合されて、その接続部はピンの軸回りに揺動自在である。上部リンクバー11とサイドポスト50,50とは、それぞれピン17を介して接続されている。また、下部リンクバー12とサイドポスト50,50とは、それぞれピン18を介して接続されている。ピン17,18の軸線は車体の前後方向を向き、且つ、サイドポスト50,50の軸線に直交するように設定されている。これにより、左右のサイドポスト50,50、上部リンクバー11及び下部リンクバー12で四節クランク機構を構成している。
【0025】
上部リンクバー11は、センターポスト4に対して揺動軸15の軸周りに揺動自在である。揺動軸15は、センターポスト4に固定され、上部リンクバー11の長手方向中央を貫通している。上部リンクバー11は、車体幅方向右端が上昇すれば車体幅方向左端が下降し、上部リンクバー11の車体幅方向右端が下降すれば車体幅方向左端が上昇する。ここで、センターポスト4に不動の揺動軸15と上部リンクバー11との間に軸受を配置してもよいし、揺動軸15と上部リンクバー11とを一体として、センターポスト4と揺動軸15との間に軸受を配置してもよい。
【0026】
上部リンクバー11の構造を、
図6A及び
図6Bに示す。上部リンクバー11は、センターポスト4を挟んで車体幅方向一方側(運転者から見て右側)に配置される第一上部リンクバー11aと、他方側(運転者から見て左側)に配置される第二上部リンクバー11bとに分割して構成されている。図中の符号11dは揺動軸15が挿通される孔であり、符号11eは揺動軸15の拡径した頭部が保持される座繰り部である。また、第一上部リンクバー11a及び第二上部リンクバー11bは、それぞれ二枚の板材が車体前後方向に並列して配置されて、その二枚の板材が連結材11cで接続されている。
【0027】
下部リンクバー12は、揺動軸16の軸周りに揺動自在である。揺動軸16は、センターポスト4に固定され、下部リンクバー12の長手方向中央を貫通している。下部リンクバー12は、車体幅方向右端が上昇すれば車体幅方向左端が下降し、下部リンクバー12の車体幅方向右端が下降すれば車体幅方向左端が上昇する。ここで、センターポスト4に不動の揺動軸16と下部リンクバー12との間に軸受を配置してもよいし、揺動軸16と下部リンクバー12とを一体として、センターポスト4と揺動軸16との間に軸受を配置してもよい。
【0028】
下部リンクバー12の構造を、
図7A及び
図7Bに示す。下部リンクバー12も同様に、センターポスト4を挟んで車体幅方向一方側に配置される第一下部リンクバー12aと、他方側に配置される第二下部リンクバー12bとに分割して構成されている。図中の符号12dは揺動軸16が挿通される孔であり、符号12eは揺動軸16の拡径した頭部が保持される座繰り部である。また、第一下部リンクバー12a及び第二下部リンクバー12bは、それぞれ二枚の板材が車体前後方向に並列して配置されて、その二枚の板材が連結材12cで接続されている。この連結材12cとは別に、二枚の板材同士はバネ受け33で接続されている。
【0029】
ばね機構(サスペンション機構30)は、センターポスト4に揺動自在に連結される受け部材13と、その受け部材13に支持される弾性部材31を備えている。受け部材13は、連結部19によってセンターポスト4に支持されている。また、弾性部材31は、下部リンクバー12と受け部材13との間に配置されるコイルバネで構成されている。
【0030】
受け部材13の構造を、
図8A、
図8B及び
図8Cに示す。また、受け部材13は、二枚の板材が車体前後方向に並列して配置されて連結材13dで接続されている。この連結材13dとは別に、二枚の板材同士はバネ受け32で接続されている。図中の符号13cは上部リンクバー11が備える支持突起11fが侵入する凹部である。支持突起11fは傾斜面13eに沿って底へ向かってガイドされて、凹部13cの底を押圧することで受け部材13を保持する。
【0031】
図3A及び
図3Bに示すように、弾性部材31の下端は下部リンクバー12の両端のバネ受け33に当接した状態に保持され、弾性部材31の上端は受け部材13の両端のバネ受け32に当接した状態に保持されている。図中の符号34は、上部リンクバー11と受け部材13との相対移動を案内するガイドを示し、図中の符号13fは、ガイドが入り込む孔を示している。
【0032】
なお、この実施形態では、上部リンクバー11は、第一上部リンクバー11aと第二上部リンクバー11bとに分割して構成されているが、これを、全長に亘って連続する一つの部材で構成してもよい。また、下部リンクバー12についても同様に、第一下部リンクバー12aと第二下部リンクバー12bを、全長に亘って連続する一つの部材で構成してもよい。受け部材13については、左右両側に弾性部材31を配置しているため、左右で部材を分割せずに全長に亘って連続する一つの部材で構成することが望ましい。
【0033】
左右のばね機構30は、サスペンション機能のほかに、センターポスト4を傾斜状態(水平方向に対して車体幅方向いずれかの側へ傾斜した状態)から中立状態(傾斜していない状態)に復帰させる復元機能も発揮する。なお、このようなサスペンション機能及び復元機能を求めない場合は、左右のばね機構30を省略してもよい。また、左右のばね機構30を構成するコイルバネ31,31の軸線同士は、互いに平行であるか、あるいは、上方へ向かって徐々に近づくようにややキャンバーを付けた構成であってもよい。
【0034】
第二のリンク機構40は、
図2A及び
図2Bに示すように、ハンドルポスト3の下端3bに接続される横方向へ伸びる中央接続片46と、その中央接続片46の前端部に設けられる上下方向の接続軸46a,46bを備えている。ハンドルポスト3と中央接続片46とは一体に軸回り回転するように固定されている。
【0035】
対の車輪支持部材60の上端には、前方へ突出する接続片41a,41bが設けられ、その接続片41a,41bの端部に上下方向の支持軸45a,45bが設けられている。運転者から見て右側の車輪支持部材60から伸びる接続片41aの支持軸45aと、ハンドルポスト3の下端に設けられた中央接続片46から立ち上がる接続軸46aとの間は、操舵用リンクバー43aで接続されている。また、運転者から見て左側の車輪支持部材60から伸びる接続片41bの支持軸45bと、中央接続片46から立ち上がる接続軸46bとの間は、同じく操舵用リンクバー43bで接続されている。各操舵用リンクバー43a,43bの両端は、それぞれ環状の接続部42a,42b及び環状の接続部44a,44bを介して、支持軸45a,45b及び接続軸46a,46bの軸回りに揺動自在である。運転者が操舵ハンドル2を旋回動作させると、第二のリンク機構40の機能によって、左右それぞれの車輪支持部材60がサイドポスト50の軸回りに回転して、車輪W,Wが同方向に回転する。直進方向に対する各車輪W,Wの操舵角は、操舵ハンドル2の旋回量(回転角度)によって調整することができる。これにより、交差点やカーブを通過する際の旋回が可能である。
【0036】
図2A及び
図2Bに示すように、フレーム1には内部に流体が充填された第一シリンダ80が、また、第一のリンク機構10には内部に流体が充填された第二シリンダ90が備えられている。第一シリンダ80と第二シリンダ90との間は流体通路100で接続されて、互いに流体が行き来できるようになっている。ここで、流体として、例えば作動油を用いることができるが、液体・気体の別を問わず、他の流体であってもよい。第一シリンダ80は、フレーム1のダウンチューブ前端に固定され、第二シリンダ90は第一のリンク機構10に対してブラケット98及びボルト98a等で固定されている。
【0037】
第一シリンダ80は、ハンドルポスト3の回転に伴って進退動作する第一ロッド81を備えている。ハンドルポスト3の回転は、伝達機構70を介して第一シリンダ80の第一ロッド81に伝達される。第一シリンダ80は、
図4A~
図4Cに示すように、筒状のシリンダケース82内にシリンダ室83が形成されており、そのシリンダ室83内にピストン86が筒軸方向に沿って進退自在に収容されている。ピストン86には、第一ロッド81が接続されている。第一ロッド81は、ピストン86に対して筒軸方向一方側と筒軸方向他方側へそれぞれ突出して設けられて、ピストン86とともに一体に進退する。
【0038】
この実施形態の伝達機構70は、ハンドルポスト3の回転によって回転するピニオン72と、ピニオン72に噛み合うラック73とを備え、ラック73は第一ロッド81に接続されて構成されている。具体的には、第一ロッド81には、駆動部材74が接続されている。駆動部材74は長手状部材で構成されて、その長手方向両端が、第一ロッド81の筒軸方向一方側の端部と筒軸方向他方側の端部に接続されてナット81aで固定されている。駆動部材74の長手方向中央には、ボルト74aによってラック73が固定されている。ハンドルポスト3の下端3bにはピニオン72が固定されており、ピニオン72の歯72aがラック73の歯73aに噛み合っている。これにより、ハンドルポスト3の回転動作が第一ロッド81の進退動作として伝達される。
【0039】
第一ロッド81の進退動作は、流体通路100を通じて第二シリンダ90に伝達される。第二シリンダ90は、第一シリンダ80の動作に連動して進退動作する第二ロッド91を備えている。
図5A~
図5Cに示すように、筒状のシリンダケース92内にシリンダ室93が形成されており、そのシリンダ室93内にピストン96が筒軸方向に沿って進退自在に収容されている。ピストン96には、第二ロッド91が接続されている。第二ロッド91は、ピストン96に対して筒軸方向一方側と筒軸方向他方側へそれぞれ突出して設けられて、ピストン96とともに一体に進退する。
【0040】
流体通路100は二つの通路で構成され、一つの通路は、第一シリンダ80のシリンダ室83のうち一方のシリンダ室83aの開口84aと、第二シリンダ90のシリンダ室93のうち一方のシリンダ室93aの開口94aとを結んでいる。また、もう一つの通路は、第一シリンダ80のシリンダ室83のうち他方のシリンダ室83bの開口84bと、第二シリンダ90のシリンダ室93のうち他方のシリンダ室93bの開口94bとを結んでいる。
【0041】
これにより、ピストン86の移動により第一シリンダ80の一方のシリンダ室83aの容積が縮小すると、第二シリンダ90の一方のシリンダ室93aへ流体が移動する。これにより、一方のシリンダ室93aの容積が増大してピストン96を押圧するので、第二ロッド91が他方側へ(他方のシリンダ室93bの容積が縮小する側へ)進出する。また、ピストン86の移動により第一シリンダ80の他方のシリンダ室83bの容積が縮小すると、第二シリンダ90の他方のシリンダ室93bへ流体が移動する。これにより、他方のシリンダ室93bの容積が増大してピストン96を押圧するので、第二ロッド91が一方側へ(一方のシリンダ室93aの容積が縮小する側へ)進出する。
【0042】
第二ロッド91には、駆動部材97が接続されている。駆動部材97と受け部材13とは、リンクバー105によって接続されている。リンクバー105の一方の端部は、駆動部材97に対してピン105bで接続されて、互いにピン105bの軸回りに揺動自在である。また、リンクバー105の他方の端部は、受け部材13に設けられた接続部106に対してピン105aで接続されて、互いにピン105aの軸回りに揺動自在である。ピン105aは、接続部106の孔107(
図8B、
図8C参照)に挿通される。受け部材13は、支持突起11fが凹部13cに係合することで上部リンクバー11に保持されているので、第二ロッド91は、駆動部材97及びリンクバー105を介して上部リンクバー11に接続されていることになる。
【0043】
第二ロッド91が
図3Aに示す状態から図中右側へ伸長すると、上部リンクバー11及び受け部材13からの反力で、下部リンクバー12が図中左方向へ相対移動するように、第一のリンク機構10が変形する。すなわち、下部リンクバー12が図中左方向へ押し出され、逆に上部リンクバー11が図中右方向に押し出される方向に第一のリンク機構10が変形する。
図3Bは、変形後の第一のリンク機構10である。
図3Bは、路面に接地した前輪FL/FRに対して、フレーム1が車体幅方向左側へ傾倒して左操舵(旋回)状態である。また、第二ロッド91が
図3Aに示す状態から図中左側へ伸長すると、下部リンクバー12が図中右方向へ相対移動するように、第一のリンク機構10が変形する。すなわち、下部リンクバー12が図中右方向へ押し出され、逆に上部リンクバー11が図中左方向に押し出される方向に第一のリンク機構10が変形する。これにより、路面に接地した前輪FL/FRに対して、フレーム1が車体幅方向右側へ傾倒して右操舵(旋回)状態となる。
【0044】
このように、第二ロッド91の進退が第一のリンク機構10に伝達されることで、二つの車輪W,Wに対してフレーム1が左右へスイングする。操舵度合いに応じてフレーム1を傾倒させることができるので、安定した走りを確保できるとともに、停車時に不用意にスイングすることを規制することで転倒を防止できる。
【0045】
この実施形態では、第二ロッド91が受け部材13を介して間接的に上部リンクバー11に接続されている態様としているが、第二ロッド91が直接的に上部リンクバー11に接続されている態様としてもよい。また、第二ロッド91が、間接的又は直接的に下部リンクバー12に接続されている態様としてもよい。これは、後述の実施形態においても同様である。
【0046】
なお、
図9は、第一の実施形態における伝達機構70の変形例を示している。
【0047】
図9の伝達機構70は、ハンドルポスト3の回転によってハンドルポスト3の軸回りに回転する回転部材77と、回転部材77と駆動部材74とは、リンクバー75によって接続されている。リンクバー75の一方の端部は、駆動部材74の係止部76に対してピン75aで接続されて、互いにピン75aの軸回りに揺動自在である。また、リンクバー75の他方の端部は、回転部材77に対してピン75bで接続されて、互いにピン75bの軸回りに揺動自在である。これにより、ハンドルポスト3の回転動作が第一ロッド81の進退動作として伝達される。
【0048】
この変形例における伝達機構70以外の構成は、前述の実施形態と同様とできるので、その説明を省略する。
【0049】
(第二の実施形態)
この発明の第二の実施形態を、
図10~
図12に示す。以下、第一の実施形態との差異点である後輪RR/RLの構造、その後輪RR/RL側に取り付けられる第一のリンク機構10及び第二シリンダ90等の構成を中心に説明する。
【0050】
第二の実施形態は、
図10に示すように、一輪の前輪FのタイヤホイールWが車輪支持部材60によって支持されて、二輪の後輪RR/RLのタイヤホイールWが後輪支持部9に支持されている後二輪自転車である。ハンドルポスト3がフレーム1に対して軸回り回転して、前輪Fが左右に操舵される。
【0051】
図11に示すように、後輪支持部9には第一のリンク機構10が接続され、その第一のリンク機構10には後輪Rの二つの車輪W,Wを結ぶ車軸Bを回転自在に支持する軸受63,63が接続されている。二輪の後輪RR/RLのタイヤホイールWは、車軸Bの両端部に取り付けられている。運転者の踏力でクランクペダル7を回転させると、フロントスプロケット8aとリアスプロケット8bとの間に巻回された無端状のチェーン6を介して後輪RR/RLが駆動される。チェーン6は、二輪の後輪RR/RLを結ぶ車軸Bに設けられたスプロケットに巻回されるが、右側の後輪RRと左側の後輪RLをそれぞれ別々の車軸B,Bで支持して、一方の車軸Bのみにスプロケットを設けてもよい。
図11及び
図12中の符号62はブレーキディスクである(ブレーキパッド及びブレーキキャリパ等は図示せず)。ブレーキディスク62は、両方の車輪W,Wにそれぞれ設けられている。
【0052】
第一のリンク機構10は、上部リンクバー11及び下部リンクバー12と、左右のばね機構30とで構成されている。左右のばね機構30は、上部リンクバー11及び下部リンクバー12に対してピンの軸回りに揺動自在である。左右のばね機構30、上部リンクバー11及び下部リンクバー12で四節クランク機構を構成している。
【0053】
左右のばね機構30は、左右一対のコイルバネ31,31で構成されている。各コイルバネ31,31の上下に取り付けられたバネ受け32は、上部リンクバー11の両端及び下部リンクバー12の両端に対してそれぞれピン接合されている。このため、左右のばね機構30は、上部リンクバー11及び下部リンクバー12に対してピンの軸回りに揺動自在である。これにより、左右のばね機構30、上部リンクバー11及び下部リンクバー12で四節クランク機構を構成している。また、下部リンクバー12の長手方向両端は、車軸Bを支持する軸受63,63にボルト63aを介して固定されている。これにより、後輪RR/RLの二つの車輪W,Wは、下部リンクバー12に支持されている。
【0054】
左右のばね機構30は、サスペンション機能のほかに、フレーム1を傾斜状態(水平方向に対して車体幅方向いずれかの側へ傾斜した状態)から中立状態(傾斜していない状態)に復帰させる復元機能も発揮する。なお、このようなサスペンション機能及び復元機能を求めない場合は、左右のばね機構30を省略して、その代わりに上部リンクバー11や下部リンクバー12と同様な伸縮機能がない通常のリンクバーによって、上部リンクバー11と下部リンクバー12の左端同士、上部リンクバー11と下部リンクバー12の右端同士をピン接合してもよい。
【0055】
後輪支持部9に取り付けられるこれらの装置、すなわち、第一のリンク機構10、車軸B及び後輪RR/RL等によって、車輪支持ユニットUを構成している。
【0056】
前述の実施形態と同様に、第一シリンダ80は、フレーム1のダウンチューブ前端に固定されている。また、第二シリンダ90は第一のリンク機構10に対してブラケット98及びボルト98a等で固定されている。
【0057】
運転者が操舵ハンドル2を旋回動作させると、第二のリンク機構40の機能によって、左右それぞれの車輪支持部材60がサイドポスト50の軸回りに回転して、前輪Fの車輪Wが同方向に回転する。これにより、交差点やカーブを通過する際の旋回が可能である。
【0058】
また、運転者が行う操舵ハンドル2の操作によりハンドルポスト3が軸回り回転すると、ハンドルポスト3の回転動作が伝達機構70を通じて第一ロッド81の進退動作として伝達される。第一ロッド81の進退動作は、流体通路100を通じて第二シリンダ90に伝達されて第二ロッド91が動作する。
【0059】
第二ロッド91が
図11に示す状態から図中右側へ伸長すると、下部リンクバー12が図中右方向へ相対移動するように、第一のリンク機構10が変形する。すなわち、下部リンクバー12が図中右方向へ押し出され、逆に上部リンクバー11が図中左方向に押し出される方向に第一のリンク機構10が変形する。これにより、フレーム1及び後輪支持部9を車体幅方向左側へ傾斜させ、運転者の重心移動を促進して車両の左旋回をスムーズにする。
図12は、変形後の第一のリンク機構10である。
図12は、路面に接地した後輪RL/RRに対して、フレーム1が車体幅方向左側へ傾倒して左操舵(旋回)状態である。これにより、運転者の重心移動を促進して車両の右旋回をスムーズにする。
【0060】
また、第二ロッド91が
図11に示す状態から図中右側へ伸長すると、下部リンクバー12が図中左方向へ相対移動するように、第一のリンク機構10が変形する。すなわち、下部リンクバー12が図中左方向へ押し出され、逆に上部リンクバー11が図中右方向に押し出される方向に第一のリンク機構10が変形する。これにより、フレーム1及び後輪支持部9を右方向へ傾斜させ、運転者の重心移動を促進して車両の右旋回をスムーズにする。これにより、運転者の重心移動を促進して車両の右旋回をスムーズにする。
【0061】
このように、第二ロッド91の進退が第一のリンク機構10に伝達されることで、後輪RL/RRの二つの車輪W,Wに対してフレーム1が左右へスイングする。操舵度合いに応じてフレーム1を傾倒させることができるので、安定した走りを確保できるとともに、停車時に不用意にスイングすることを規制することで転倒を防止できる。
【0062】
上記の第二の実施形態では、シートステー1b及びチェーンステー1aで後輪支持部9を構成したが、後輪支持部9の形態は、車両の仕様に応じて種々の態様を採用できる。
【0063】
なお、前述の各実施形態において、上部リンクバー11と下部リンクバー12との車体幅方向への相対移動をロックすることでスイング機能を停止するロック機構を、第一のリンク機構10のいずれかの場所に備えさせてもよい。また、それに代えて又は加えて、ハンドルポスト3の回転の第一シリンダ80への伝達を入断する切り替え機構を、伝達機構70のいずれかの箇所に備えさせてもよい。ロック機構や切り替え機構は、車両の仕様に応じて選択的に取り付けることができる。
【0064】
また、上記の各実施形態では、前二輪自転車及び後二輪自転車を例にこの発明の内容を説明したが、これ以外にも、例えば、運転者の踏力をモータの駆動力によって補助する踏力補助装置を備えた電動補助自転車(前二輪又は後二輪タイプの電動補助自転車)、原動機付自転車(前二輪又は後二輪タイプの原動機付自転車)、その他のバイク(前二輪又は後二輪タイプのトライク(特定二輪車))等、フレーム1が左右へスイング可能な各種の車両Cにおいても、この発明を適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 フレーム
2 操舵ハンドル
3 ハンドルポスト
4 センターポスト
9 後輪支持部
10 第一のリンク機構(リンク機構)
11 上部リンクバー
12 下部リンクバー
13 受け部材
15,16 揺動軸
30 ばね機構
70 伝達機構
80 第一シリンダ
81 第一ロッド
90 第二シリンダ
91 第二ロッド
100 流体通路
【手続補正書】
【提出日】2023-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(F)及び後輪(R)を結ぶフレーム(1)と、前記フレーム(1)に回転自在に支持されたハンドルポスト(3)と、前記前輪(F)及び前記後輪(R)の少なくとも一方に車体幅方向に並列する二つの車輪(W,W)を備え、前記ハンドルポスト(3)の回転によって前記前輪(F)が左右へ操舵される車両において、
前記フレーム(1)に接続されるリンク機構(10)と、前記ハンドルポスト(3)の回転を前記リンク機構(10)へ伝達する伝達機構(70)を備え、
前記伝達機構(70)は内部に流体が充填された第一シリンダ(80)及び第二シリンダ(90)と、前記第一シリンダ(80)と前記第二シリンダ(90)との間で流体を流通させる流体通路(100)とを備え、前記第一シリンダ(80)が備える第一ロッド(81)が前記ハンドルポスト(3)の回転に伴って進退動作し、前記第一ロッド(81)の進退動作が前記流体通路(100)を通じて前記第二シリンダ(90)が備える第二ロッド(91)の進退動作に連動して前記リンク機構(10)に伝達されることで、前記二つの車輪(W,W)に対して前記フレーム(1)を左右へスイングさせるものであり、
前記リンク機構(10)は、車体幅方向に向く下部リンクバー(12)と、前記下部リンクバー(12)よりも上方に設けられ車体幅方向に向く上部リンクバー(11)と、前記上部リンクバー(11)又は前記下部リンクバー(12)に接続されたばね機構(30)を受ける受け部材(13)を備え、前記第二ロッド(91)は、前記受け部材(13)に接続されている車両。
【請求項2】
前記下部リンクバー(12)は、前記後輪(R)が備える前記二つの車輪(W,W)を支持している請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前輪(F)及び後輪(R)を結ぶフレーム(1)と、前記フレーム(1)に回転自在に支持されたハンドルポスト(3)と、前記前輪(F)及び前記後輪(R)の少なくとも一方に車体幅方向に並列する二つの車輪(W,W)を備え、前記ハンドルポスト(3)の回転によって前記前輪(F)が左右へ操舵される車両において、
前記フレーム(1)に接続されるリンク機構(10)と、前記ハンドルポスト(3)の回転を前記リンク機構(10)へ伝達する伝達機構(70)を備え、
前記伝達機構(70)は内部に流体が充填された第一シリンダ(80)及び第二シリンダ(90)と、前記第一シリンダ(80)と前記第二シリンダ(90)との間で流体を流通させる流体通路(100)とを備え、前記第一シリンダ(80)が備える第一ロッド(81)が前記ハンドルポスト(3)の回転に伴って進退動作し、前記第一ロッド(81)の進退動作が前記流体通路(100)を通じて前記第二シリンダ(90)が備える第二ロッド(91)の進退動作に連動して前記リンク機構(10)に伝達されることで、前記二つの車輪(W,W)に対して前記フレーム(1)を左右へスイングさせるものであり、
前記伝達機構(70)は、前記ハンドルポスト(3)の回転によって回転するピニオン(72)と、前記ピニオン(72)に噛み合うラック(73)とを備え、前記ラック(73)は前記第一ロッド(81)に接続されている車両。