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特開2024-162015画像形成装置、プログラム及びチャート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162015
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置、プログラム及びチャート
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20241114BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G15/01 Z
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077144
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 庄一
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA32
2H270KA55
2H270LA19
2H270LA22
2H270LC02
2H270LC06
2H270LC07
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD15
2H270MC59
2H270MD05
2H270MD06
2H270MD07
2H270MD17
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EA11
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300ED01
2H300EH16
2H300EJ09
2H300GG09
2H300GG21
2H300GG33
2H300QQ10
2H300RR20
2H300RR21
2H300RR22
2H300RR34
2H300RR35
2H300RR38
2H300RR39
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】用紙に形成される画像における色ずれを精度良く補正する。
【解決手段】画像形成装置1は、中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部34と、前記画像形成部34により画像が形成された前記用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する測定方法を決定する第1決定部(第3制御部36)と、前記第1決定部により決定された前記測定方法に基づいて、少なくとも前記用紙面内における色ずれを補正するためのチャートの内容を決定する第2決定部(第3制御部36)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された前記用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する測定方法を決定する第1決定部と、
前記第1決定部により決定された前記測定方法に基づいて、少なくとも前記用紙面内における色ずれを補正するためのチャートの内容を決定する第2決定部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
ユーザーによる前記測定方法の選択を受け付ける受付部を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記画像形成装置の構成に基づいて、前記測定方法の選択肢を表示部に表示し、前記選択肢における選択を受け付ける請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記測定方法は、インラインの画像読取装置を用いる方法、インライン以外の画像読取装置を用いる方法、インラインの色情報検出装置を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーによる目視による方法である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2決定部は、前記第1決定部により決定された前記測定方法が、前記インライン以外の画像読取装置を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーによる目視による方法の場合、前記チャートの向き、前記用紙の識別情報、及び前記用紙内の読取領域のうち少なくともいずれかを示す情報を前記チャートに含むことを決定する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙の属性を示す用紙属性情報を取得する取得部を備え、
前記第1決定部は、前記取得部により取得された前記用紙属性情報に基づいて、前記測定方法におけるユーザーによる選択を制限する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記用紙の属性を示す用紙属性情報を取得する取得部を備え、
前記第2決定部は、前記取得部により取得された前記用紙属性情報に基づいて前記チャートの内容を決定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記用紙属性情報として、検知部により検知された前記用紙の物性値を取得する請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記所定箇所は、前記用紙属性情報及び/または前記測定方法に基づく位置である請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部を備える画像形成装置のコンピューターを、
前記画像形成部により画像が形成された前記用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する測定方法を決定する第1決定部、
前記第1決定部により決定された前記測定方法に基づいて、少なくとも前記用紙面内における色ずれを補正するためのチャートの内容を決定する第2決定部、
として機能させるプログラム。
【請求項11】
中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部により形成される色ずれを補正するためのチャートであって、
前記複数色のうちの第1色により形成される第1パターンと、
前記複数色のうちの有彩色である第2色により形成される第2パターンと、
を備え、
前記第1パターンが前記第2パターンを覆い隠すように、複数の前記第1パターン及び前記第2パターンが形成され、
前記第2パターンは、前記第1パターンの前記用紙搬送方向中央より上流側、または下流側に位置するチャート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラム及びチャートに関する。
【背景技術】
【0002】
プロダクションプリンティング市場において、厚紙のニーズの高い分野が増えている。そこで、近年、ニーズの増加に伴い、中間転写を用いた電子写真方式の印刷にて、厚紙が印刷の影響を受けやすい紙送り方向の色ずれが、課題として顕在化している。
【0003】
これに関連して、特許文献1は、転写ニップ部における用紙の搬送速度及び定着ニップ部における用紙の搬送速度を制御して、色ずれの発生を防ぐ画像形成装置を開示する。
【0004】
特許文献2は、連続印刷時において用紙の紙厚に応じた色ずれ補正を行って、印刷物における色ずれを抑制する画像形成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6624840号公報
【特許文献2】特開2018-84617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置における装置構成は、目的に応じて変わる。
例えば、効率的に大量の印刷物を印刷する場合、画像形成装置は、画像形成部と後処理部の間にインラインの画像読取装置またはインラインの色情報検出装置を備える。この場合、画像形成装置は、インラインの画像読取装置による読取結果またはインラインの色情報検出装置による検出結果に基づいて、画像形成の各種調整を行う。
画像形成装置をより小面積の領域に設置する場合、画像形成装置は、インラインの画像読取装置及びインラインの色情報検出装置を備えない。この場合、画像形成装置は、目視による印刷物の観察結果や外部の測色器による測色結果に基づいて、画像形成の各種調整を行う。
紙原稿の複写をする場合、画像形成装置は、インライン以外の画像読取装置を備える。
以上のように、様々な装置構成である画像形成装置においても色ずれを精度良く補正することが求められる。
【0007】
本発明は、用紙に形成される画像における色ずれを精度良く補正できる画像形成装置、プログラム及びチャートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、
中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された前記用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する測定方法を決定する第1決定部と、
前記第1決定部により決定された前記測定方法に基づいて、少なくとも前記用紙面内における色ずれを補正するためのチャートの内容を決定する第2決定部と、
を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
ユーザーによる前記測定方法の選択を受け付ける受付部を備える。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、
前記受付部は、前記画像形成装置の構成に基づいて、前記測定方法の選択肢を表示部に表示し、前記選択肢における選択を受け付ける。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記測定方法は、インラインの画像読取装置を用いる方法、インライン以外の画像読取装置を用いる方法、インラインの色情報検出装置を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーによる目視による方法である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、
前記第2決定部は、前記第1決定部により決定された前記測定方法が、前記インライン以外の画像読取装置を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーによる目視による方法の場合、前記チャートの向き、前記用紙の識別情報、及び前記用紙内の読取領域のうち少なくともいずれかを示す情報を前記チャートに含むことを決定する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、
前記用紙の属性を示す用紙属性情報を取得する取得部を備え、
前記第1決定部は、前記取得部により取得された前記用紙属性情報に基づいて、前記測定方法におけるユーザーによる選択を制限する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記用紙の属性を示す用紙属性情報を取得する取得部を備え、
前記第2決定部は、前記取得部により取得された前記用紙属性情報に基づいて前記チャートの内容を決定する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の画像形成装置において、
前記取得部は、前記用紙属性情報として、検知部により検知された前記用紙の物性値を取得する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項6または7に記載の画像形成装置において、
前記所定箇所は、前記用紙属性情報及び/または前記測定方法に基づく位置である。
【0017】
請求項10に記載のプログラムは、
中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部を備える画像形成装置のコンピューターを、
前記画像形成部により画像が形成された前記用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する測定方法を決定する第1決定部、
前記第1決定部により決定された前記測定方法に基づいて、少なくとも前記用紙面内における色ずれを補正するためのチャートの内容を決定する第2決定部、
として機能させる。
【0018】
請求項11に記載のチャートは、
中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部により形成される色ずれを補正するためのチャートであって、
前記複数色のうちの第1色により形成される第1パターンと、
前記複数色のうちの有彩色である第2色により形成される第2パターンと、
を備え、
前記第1パターンが前記第2パターンを覆い隠すように、複数の前記第1パターン及び前記第2パターンが形成され、
前記第2パターンは、前記第1パターンの前記用紙搬送方向中央より上流側、または下流側に位置する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、用紙に形成される画像における色ずれを精度良く補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
図3A】チャートを形成済みの用紙を原稿読取ユニットにより読み取る例を示す図である。
図3B】マークを形成済みの用紙の一例を示す図である。
図3C】マークを形成済みの用紙の一例を示す図である。
図4】画像読取用チャートが形成された一枚の用紙の例を示す図である。
図5A】画像読取用パッチの一例を示す図である。
図5B】画像読取用パッチの一例を示す図である。
図5C】画像読取用パッチの一例を示す図である。
図5D】画像読取用パッチの一例を示す図である。
図5E】画像読取用パッチの一例を示す図である。
図6】色情報検出用チャートが形成された一枚の用紙の例を示す図である。
図7】色情報検出用パッチが有するユニットの例を示す図である。
図8】色情報検出用パッチが有するユニットの詳細を示す図である。
図9A】色情報検出用パッチが有するユニットに色ずれが発生した例を示す図である。
図9B】色情報検出用パッチが有するユニットに色ずれが発生した例を示す図である。
図10A】色情報検出用パッチが有するユニットの別例を示す図である。
図10B】色情報検出用パッチが有するユニットの別例を示す図である。
図11】色情報検出用パッチが有するユニットに色ずれが発生した例を示す図である。
図12】色情報検出用パッチが有するユニットにおいて、形成される画像の形成位置が用紙搬送方向に色ずれ量0、小、中、大だけずれた場合を示す図である。
図13】色情報検出用パッチにおいて色ずれが発生した場合の有彩色のはみ出し量を模したパターンで形成した参考パッチの例を示す図である。
図14】ジョブ前制御処理の流れを示すフローチャートである。
図15】色ずれ量の測定値の例を示す図である。
図16】レジスト速度及び定着速度における調整量の例を示す図である。
図17】ジョブ中制御処理の流れを示すフローチャートである。
図18】変形例の画像形成システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
(1.画像形成装置の構成)
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1及び図2に示すように、給紙装置10と、検知装置20と、本体部30と、色情報検出装置40と、画像読取装置50と、後処理装置60を備える。
画像形成装置1において、用紙の搬送方向に沿って上流側から、給紙装置10、検知装置20、本体部30、色情報検出装置40、画像読取装置50、後処理装置60の順に配置される。
【0023】
(1-1.給紙装置の構成)
給紙装置10は、第1制御部11と、搬送部12と、給紙部13等を備える。
【0024】
第1制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。
第1制御部11のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って給紙装置10の各部を統括制御する。
例えば、第1制御部11は、ジョブに応じて、いずれかの給紙部13の給紙トレイ131~133から用紙を検知装置20に搬送する。
【0025】
搬送部12は、給紙部13から検知装置20までを接続する搬送経路121を備え、用紙を搬送する。
給紙部13は、予め定められた紙種やサイズごとに用紙を収納する給紙トレイ131~133を有する。例えば、給紙トレイ131は、給紙トレイ132に収納されている用紙よりも大きいサイズの用紙を収納する。給紙トレイ133は、給紙トレイ131,132に収納されている用紙よりも紙厚が厚い用紙を収納する。
【0026】
(1-2.検知装置の構成)
検知装置20は、給紙装置10の用紙搬送方向下流側、且つ本体部30の用紙搬送方向上流側に位置する。
検知装置20は、給紙装置10から搬送された用紙の物性を検知し、得られた検知結果である物性値を後述する第3制御部36に出力する。
検知装置20は、用紙の坪量、剛度、含水率、表面性等を含む複数種類の用紙の物性に関する値(物性値)を検知する。物性値は、物性に換算(変換)可能な情報であってもよい。
【0027】
検知装置20は、例えば内部にイメージセンサー及び照明部等を備えて用紙外形の画像を読み取ってもよい。この場合、検知装置20は、用紙サイズを、例えばmm単位、またはA4縦送り等の代表的な用紙サイズとして検知してもよい。当該用紙サイズは、例えば用紙搬送方向の長さ、及びこれに直交する方向の幅である。この場合のA4縦送りは、用紙搬送方向の長さ297mm、用紙幅210mmである。給紙トレイ131~133の各々は、用紙サイズを大まかに検知可能なセンサーを備えている場合が多い。この場合、当該検知装置20により、より詳細かつ確実に用紙サイズを検知することができる。
【0028】
検知装置20は、第2制御部21と、検知部22と、搬送部23等を備える。
【0029】
第2制御部21は、CPU、ROM、RAMを備える。
第2制御部21のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って検知装置20の各部を統括制御する。
例えば、第2制御部21は、給紙装置10から搬送されてきた用紙を検知部22により検知させ、得られた物性値を第3制御部36に出力する。次に、第2制御部21は、検知済みの用紙を搬送部23により本体部30に搬送する。
【0030】
検知部22は、用紙内の物性値を検知する。
検知部22は、用紙の物性値としての、用紙の坪量、剛度、含水率、表面性等を検知するそれぞれのセンサーを有する。
【0031】
例えば、用紙の坪量を検知するセンサーは、発光部と受光部を備え、用紙を透過する光の減衰量により、坪量を測定する。検知部22は、物性値としての坪量を第2制御部21に出力する。
【0032】
用紙の剛度を検知するセンサーは、用紙の剛性に応じた物性を検知する。例えば、当該センサーは、湾曲した搬送路に用紙を搬送させたときに、曲がった搬送路で、搬送路を構成する一方の外側ガイド板を、用紙が押す力、または変位量を機械的に測定する。検知部22は、当該用紙が押す力または変位量に基づいた、物性値としての剛度を第2制御部21に出力する。
【0033】
用紙の含水率を検知するセンサーは、例えば近赤外線方式のOH基の光吸収量を光学的に検知する。当該センサーは、近赤外線領域の所定の波長の光を用紙に照射し、その用紙の含水率に応じて光の吸収率が変化する性質を利用したものである。別の例として、当該センサーは、偏向フィルターで分離した反射光を用いて用紙内部の反射成分の光量変化分を測定することで含水率を測定してもよい。検知部22は、物性値としての含水率を第2制御部21に出力する。
【0034】
用紙の表面性(平滑性、平滑度)を検知するセンサーは、例えば、用紙に照射された光の正反射光と散乱反射光の強度及び/又はその強度比率を出力する反射センサーを有する。当該センサーは、当該強度比率に基づいて表面性を測定する。検知部22は、物性値としての表面性を第2制御部21に出力する。
【0035】
検知部22は、上記のセンサーの他に、用紙の比重及び導電度等を検知するセンサーを有していてもよい。
【0036】
搬送部23は、複数のローラー対を備え、給紙装置10から搬送された用紙を検知部22に搬送する。
次に、搬送部23は、検知部22により検知された用紙を本体部30に搬送する。
【0037】
(1-3.本体部の構成)
本体部30は、検知装置20の用紙搬送方向下流側、且つ色情報検出装置40の用紙搬送方向上流側に位置する。
本体部30は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ、又は、外部装置(図示無し)から受信した印刷ジョブのジョブ画像データに基づいて電子写真方式によりカラー画像を形成する。次に、本体部30は、画像形成済みの用紙を色情報検出装置40に搬送する。
本体部30は、図1及び図2に示すように、操作部31と、表示部32と、原稿読取ユニット33と、画像形成部34と、第3制御部36と、記憶部37と、通信部38と、画像処理部39と、を備える。
【0038】
操作部31は、表示部32の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備える。
操作部31は、ユーザーの操作に基づく操作信号を第3制御部36に出力する。
【0039】
表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備える。
表示部32は、第3制御部36から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0040】
原稿読取ユニット33は、自動原稿給紙装置(ADF:Auto Document Feeder)、スキャナー等を備える。
原稿読取ユニット33は、原稿の画像を読み取って得られた画像データを第3制御部36に出力する。
【0041】
画像形成部34は、画像処理部39により画像処理が行われた画像データに基づいて、検知装置20から搬送された用紙上に、中間転写方式により画像を形成する。本実施形態において当該用紙は枚葉紙である。
画像形成部34は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、特色の各色に対応する感光体ドラム341Y,341M,341C,341K,341S、中間転写ベルト342、2次転写ローラー343、定着部344、反転経路345、レジスト部346等を備える。
【0042】
画像形成部34は、感光体ドラム341Yを一様に帯電した後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光し、静電潜像を形成する。次に、画像形成部34は、感光体ドラム341Y上の静電潜像にイエロー色のトナーを付着させ、現像を行う。
感光体ドラム341M,341C,341K,341Sについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム341Yと同様であるため、説明を省略する。
【0043】
画像形成部34は、感光体ドラム341Y,341M,341C,341K,341S上に形成した各色のトナー像を、回転する中間転写ベルト342上に逐次転写する(1次転写)。すなわち、画像形成部34は、中間転写ベルト342上に、5色のトナー像を重ね合わせたカラートナー像を形成する。
画像形成部34は、中間転写ベルト342上のカラートナー像を、2次転写ローラー343により、用紙上に一括して転写する(2次転写)。中間転写ベルト342及び2次転写ローラー343により形成されるニップ部が転写部である。
【0044】
定着部344は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備える。
定着部344は、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0045】
本体部30において用紙の片面に画像を形成する片面印刷の場合、第3制御部36は、用紙を定着部344から色情報検出装置40に搬送する。
一方、用紙の両面に画像を形成する両面印刷の場合、第3制御部36は、用紙を定着部344から反転経路345に搬送して、用紙面を反転する。次に、第3制御部36は、用紙を用紙搬送方向においてレジスト部346より上流側に再度給紙する。
【0046】
レジスト部346は、レジストローラーを備え、転写部に用紙を搬送する。
レジスト部346は、検知装置20から搬送された用紙の傾きを補正するとともに、用紙の搬送タイミングを調整する。
【0047】
第3制御部36は、CPU、RAM、ROM等を備える。
第3制御部36のCPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開する。第3制御部36は、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、本体部30の動作を統括的に制御する。
例えば、第3制御部36は、出力された用紙に対して後処理を行う場合には、後処理装置60に所定の後処理を実行する指示を出す。
【0048】
記憶部37は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。
記憶部37は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを第3制御部36から読み書き可能に記憶する。
【0049】
記憶部37は、給紙トレイ131~133と、そこに収納されている用紙の坪量、サイズ、紙種等の情報とを対応付けてそれぞれ記憶している。
【0050】
通信部38は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードを備える。
通信部38は、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。
【0051】
画像処理部39は、記憶部37に記憶された画像データ、原稿読取ユニット33により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行う。次に、画像処理部39は、画像処理後の画像データを画像形成部34に送信する。
当該画像処理は、階調処理、中間調処理、色変換処理等を含む。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0052】
(1-4.色情報検出装置の構成)
色情報検出装置40は、本体部30の用紙搬送方向下流側、且つ画像読取装置50の用紙搬送方向上流側に位置する。
色情報検出装置40は、本体部30から搬送された用紙の色情報を検出し、得られた検出結果を第3制御部36に出力する。
色情報検出装置40は、第4制御部41と、色情報検出部42と、搬送部43等を備える。
【0053】
第4制御部41は、CPU、ROM、RAMを備える。
第4制御部41のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って色情報検出装置40の各部を統括制御する。
例えば、第4制御部41は、本体部30から搬送されてきた用紙に形成された画像の色情報を色情報検出部42により検出させ、得られた検出結果を第3制御部36に出力する。次に、第4制御部41は、検出済みの用紙を搬送部43により画像読取装置50に搬送する。
【0054】
色情報検出部42は、用紙内の色情報を検出する。
色情報検出部42は、例えば、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のLED(Light Emitting Diode)、レンズ、受光素子等を備えたカラーセンサーを有する。
色情報検出部42は、用紙上に形成された画像にLEDから光を照射し、その光の反射量により色情報を検出して第4制御部41に出力する。
【0055】
搬送部43は、複数のローラー対を備え、本体部30から搬送された用紙を色情報検出部42に搬送する。
次に、搬送部43は、色情報検出部42により検出された用紙を画像読取装置50に搬送する。
【0056】
(1-5.画像読取装置の構成)
画像読取装置50は、色情報検出装置40の用紙搬送方向下流側、且つ後処理装置60の用紙搬送方向上流側に位置する。
画像読取装置50は、色情報検出装置40から搬送された用紙を読み取り、得られた読取画像のデータを第3制御部36に出力する。
画像読取装置50は、第5制御部51と、画像読取部52と、搬送部53と、パージトレイである排紙トレイ54等を備える。
排紙トレイ54は、画像読取部52と後処理装置60との間に設けられ、用紙をパージする。
【0057】
第5制御部51は、CPU、ROM、RAMを備える。
第5制御部51のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って画像読取装置50の各部を統括制御する。
例えば、第5制御部51は、色情報検出装置40から搬送されてきた用紙を画像読取部52により読み取らせ、得られた読取画像のデータを第3制御部36に出力する。次に、第5制御部51は、読み取り済みの用紙を搬送部53により後処理装置60に搬送する、または排紙トレイ54に排出する。
【0058】
画像読取部52は、読取部521,522を有する。
読取部521は、用紙の一方の面の画像を読み取り、読取画像データを取得する。
読取部522は、用紙の他方の面の画像を読み取り、読取画像データを取得する。
【0059】
読取部521,522は、ラインイメージセンサー、照明部等を備える。
ラインイメージセンサーには、1画素ごとに光電変換する複数の撮像素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device))が用紙の幅方向に一次元状に並べて配置されている。用紙の幅方向は、用紙搬送方向に直交する方向である。
照明部は、用紙を適切に読取可能とするために用紙に光を照射する。照明部は、例えばLED、及び発光した光を読取範囲に均等に広げる拡散部材等で構成される。
読取部521,522は、ラインイメージセンサー及び照明部を統合したCIS(Contact Image Sensor)、または二次元エリアセンサー及び照明部等を備えてもよい。
【0060】
画像読取部52は、読取部521,522により、色情報検出装置40から搬送されてきた用紙の上側の面、下側の面、及び両面のうちのいずれかを読み取る。次に、画像読取部52は、読取結果として生成した読取画像を第5制御部51に出力する。
画像読取部52は、ラインイメージセンサー等による用紙読取時に用紙イメージの背景となる背景部材を備えてもよい。
【0061】
搬送部53は、複数のローラー対を備え、色情報検出装置40から搬送された用紙を画像読取部52に搬送する。次に、搬送部53は、第5制御部51の制御の下、画像読取部52により読み取られた用紙を後処理装置60に搬送する、または排紙トレイ54に排出する。例えば、搬送部53は、不具合がない用紙(正常紙)を後処理装置60に搬送する。一方、搬送部53は、不具合がある用紙(異常紙)を排紙トレイ54に排出する。
【0062】
(1-6.後処理装置の構成)
後処理装置60は、画像読取装置50の用紙搬送方向下流側に位置し、画像読取装置50から搬送された用紙に後処理を施す。
後処理装置60は、第6制御部61と、後処理部62と、搬送部63と、排紙トレイ64を備える。
【0063】
第6制御部61は、CPU、RAM、ROM等を備える。
第6制御部61のCPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開する。第6制御部61は、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、後処理装置60の動作を統括的に制御する。
【0064】
後処理部62は、画像読取装置50から搬送された用紙に後処理を施す。当該後処理は、例えば、断裁、折り目加工、ミシン目加工、筋付けクリース、箔押し、ニス加工、各種製本等である。
【0065】
搬送部63は、複数のローラー対を備え、画像読取装置50から搬送された用紙を後処理部62に搬送する。
次に、搬送部63は、後処理部62により後処理が施された用紙を排紙トレイ64に排紙する。
【0066】
本実施形態においては、本体部30の第3制御部36が、画像形成装置1全体を統括的に制御しているがこれに限らない。検知装置20の第2制御部21、色情報検出装置40の第4制御部41、または画像読取装置50の第5制御部51が画像形成装置1全体を統括的に制御する構成であっても良い。
【0067】
上記のように構成された画像形成装置1において、本体部30は、印刷ジョブを実行する前に、チャートを印刷ジョブの対象用紙に形成する。当該チャートは、本体部30により形成された画像における、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、特色のうちの少なくとも2色間における色ずれ量を測定するためものである。
【0068】
(1-7.画像形成装置1の構成の別例)
例えば、画像形成装置1は、画像読取装置50を備えないとしてもよい。この場合、ユーザーは、本体部30によりチャートが形成され、排紙された用紙を原稿読取ユニット33に載置する。原稿読取ユニット33は、載置されたチャートが形成済みの用紙を読み取り、読取結果である読取画像データを第3制御部36に出力する。第3制御部36は、原稿読取ユニット33によって読み取られた読取画像データを取得する。
または、この場合、ユーザーは、本体部30によりチャートが形成され、排紙された用紙を外部のスキャナーに載置する。当該スキャナーは、画像形成装置1と通信可能に接続されている。当該スキャナーは、載置されたチャートが形成済みの用紙を読み取り、読取結果である読取画像データを画像形成装置1に送信する。第3制御部36は、当該スキャナーによって読み取られた読取画像データを取得する。
【0069】
図3Aに、原稿読取ユニット33が、チャートを形成済みの用紙Sを読み取る例を示す。外部のスキャナーが、チャートを形成済みの用紙を読み取る場合も同様である。
チャートを形成済みの用紙Sは、図3Aに示すように、原稿読取ユニット33の装置上面33a内の読取可能範囲33bより大きい場合がある。読取可能範囲33bの大きさは例えば、A3サイズである。この場合、ユーザーは、用紙Sを断裁して、用紙Sのチャートが形成された箇所を読取可能範囲33b内に載置する必要がある。
【0070】
用紙Sを断裁する場合、図3B図3Cに示すように、本体部30は、用紙SにマークM1を形成する。当該マークM1は、断裁後の断裁片が元の用紙Sのどの部分であったのかを、マークM1が形成される位置及びマークM1の数により識別するためのものである。図3B図3Cに示す例において、破線は断裁線を示す。
図3Bに示す例は、原稿読取ユニット33が、用紙S内の読取箇所S1のみを読み取る場合である。この場合、本体部30は、読取箇所S1の端部または隅部にマークM1を形成する。
図3Cに示す例は、原稿読取ユニット33が、用紙Sの全面を読み取る場合である。この場合、本体部30は、用紙Sの端部または隅部にマークM1を形成する。
マークM1は、図3B図3Cに示す例に限らず、他形状のマークであってもよい。
【0071】
第3制御部36は、マークM1に基づいて、原稿読取ユニット33による読取画像を回転したり、読取画像の順序を入れ替えたりする等の補正をしてもよい。
【0072】
用紙Sを断裁する場合、第3制御部36は、ユーザーが容易に作業できるように、断裁線、断裁方法、断裁後の色ずれ量の測定方法、チャートに関する情報等を用紙Sに形成してもよい。第3制御部36は、これらの情報を示すマーク、番号、説明文、QRコード(登録商標)等の各種バーコード等を用紙Sに形成してもよい。
【0073】
画像形成装置1は、色情報検出装置40を備えないとしてもよい。この場合、ユーザーは、本体部30により画像が形成され、排紙された用紙を外部の測色器により測定する。ユーザーは、操作部31を介して、当該測色器の測色結果を入力する。第3制御部36は、入力された測色結果を取得する。
または、この場合、ユーザーは、本体部30によりチャートが形成され、排紙された用紙を目視により観察して色ずれ量を測定する。ユーザーは、操作部31を介して、目視による測定結果を入力する。第3制御部36は、入力された目視による測定結果を取得する。
【0074】
(2.チャート)
次に、本体部30による画像形成時における色ずれ量を測定するためのチャートを説明する。
【0075】
(2-1.画像読取用チャート)
対象用紙に形成されたチャートを画像読取装置50、原稿読取ユニット33または外部のスキャナーにより読み取り、読取結果である読取画像に基づいて、各色の各方向における色ずれ量を測定する場合を説明する。この場合、本体部30は、画像読取用チャートを印刷ジョブの対象用紙に形成する。
【0076】
図4に、画像読取用チャートが形成された一枚の用紙の例を示す。図4に示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図4に示すように、画像読取用チャートは、複数の画像読取用パッチP1を有する。
マークM2は、用紙の先端を示す。マークM3は、用紙の後端を示す。マークM4は、主走査方向における用紙の手前または奥を示す。
マークM2、マークM3及びマークM4は、画像読取領域を特定するために用いられる。画像読取装置50により画像読取用チャートを読み取る場合、画像形成装置1は、用紙内における画像読取用チャートが形成される位置を把握できる。そのため、この場合、画像読取領域を特定するためのマークM2、マークM3及びマークM4は不要である。
【0077】
マークM5は、画像読取用チャートを複数の用紙に形成する場合に、当該用紙が何枚目であるかを示す識別情報である。画像読取装置50により画像読取用チャートを読み取る場合、画像形成装置1は、画像読取装置50が読み取っている用紙が何枚目であるかを把握できる。そのため、この場合、マークM5は不要である。
【0078】
図5A図5Eに、画像読取用パッチP1の例を示す。図5A図5Eに示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図5Aに示す画像読取用パッチP1aでは、両端にブラック、その間にイエロー、マゼンタ及びシアンの単独のトナーで形成される矩形のパターンを一列に配置している。画像読取用パッチP1aは、副走査方向の色ずれを評価するためのパッチである。前記単独のトナーは、例えば「白」等の特色を含んでいてもよい。または、前記単独のトナーは、例えばマゼンタ及びシアンの2色と、両端のブラックのみ等であってもよく、測定に利用しやすい色数のみで構成するようにしてもよい。
図5Bに示す画像読取用パッチP1bは、直交する2つの画像読取用パッチP1aを有する。画像読取用パッチP1bにおいて、2つの画像読取用パッチP1aは重なっていてもよいし、離間していてもよい。画像読取用パッチP1bは、主走査方向及び副走査方向の色ずれを評価するためのパッチである。
【0079】
図5Cに示す画像読取用パッチP1cは、互いに離間したイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの単独のトナーで形成される矩形のパターンをそれぞれ一つずつ有する。画像読取用パッチP1cは、主走査方向及び副走査方向において画像読取用パッチP1bより小さい。
図5Dに示す画像読取用パッチP1dでは、ブラックで囲んだ中にイエロー、マゼンタ及びシアンの単独のトナーで形成される矩形のパターンを配置している。
画像読取用パッチP1c,P1dは、主走査方向及び副走査方向の色ずれを評価するためのパッチである。
画像読取用パッチP1c,P1dでは、例えば、ブラックのパターンに対するその他の色のパターンの座標を測定することにより色ずれ量を測定する。
【0080】
図5Eに示す画像読取用パッチP1eは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの単独のトナーで形成されるハーフトーンの矩形のパターンをそれぞれ一つずつ有する。画像読取用パッチP1eの元画像データでは当該4つのパターンがずれなく重なっている。画像読取用パッチP1eの形成時に色ずれが発生した場合、図5Eに示すように、4つのパターンが所定色ずれ量だけずれて重なる。当該色ずれ量は、主走査方向及び副走査方向のうちの一方または両方における色ずれ量である。
【0081】
画像読取用パッチP1a,P1b,P1cは、目視による視認性が高いため、ユーザーが目視で観察して色ずれ量を測定するためのチャートとして用いてもよい。
【0082】
(2-2.色情報検出用チャート)
チャートを色情報検出装置40により検出、外部の測色器により測色、またはユーザーの目視により測定した結果に基づいて、各色の各方向における色ずれ量を測定する場合を説明する。この場合、本体部30は、色情報検出用チャートを印刷ジョブの対象用紙に形成する。
【0083】
図6に、色情報検出用チャートが形成された一枚の用紙の例を示す。図6に示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図6に示すように、色情報検出用チャートは、複数の色情報検出用パッチP2を有する。
マークM6は、当該用紙内における複数の色情報検出用パッチP2の番号を示す識別情報である。色情報検出装置40により色情報検出用チャートを検出する場合、画像形成装置1は、色情報検出装置40が検出している色情報検出用パッチP2が何番目であるかを把握できる。そのため、この場合、マークM6は不要である。
【0084】
色情報検出用パッチP2は、図7に示すように、複数のユニットU1を有する。色情報検出用パッチP2は、例えば、100個のユニットU1を有する。
ユニットU1の大きさは、色情報検出装置40や外部の測色器の測定範囲内にユニットU1が複数個含まれるような大きさである。ユニットU1の大きさは、例えば、1mm以下である。
【0085】
図8に、ユニットU1の詳細を示す。図8に示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図8に示す例において、ユニットU1は、パターンPa、パターンPb及びパターンPcを有する。
パターンPaは、用紙搬送方向下流側に位置するマゼンタのトナーで形成されたパターンである。パターンPaは、用紙搬送方向を紙面上方向としたときに上に凸の形状である。
パターンPbは、用紙搬送方向上流側に位置するシアンのトナーで形成されたパターンである。パターンPbは、用紙搬送方向を紙面上方向としたときに下に凸の形状である。
パターンPcは、ブラックのトナーで形成された矩形状のパターンであり、パターンPa及びパターンPbを覆い隠すように、パターンPa及びパターンPb上に重ねられる。図8に示す例においては、パターンPcを透過させて描画しているが実際には透過しておらず、パターンPa及びパターンPbは見えない。
【0086】
パターンPcの色は、ブラックに限らず、特色であるホワイトであってもよい。パターンPcの色は、他の色を実質的に覆い隠すことができる隠蔽色であればよい。
パターンPa及びパターンPbの色は、図8に示す例に限らない。イエロー、マゼンタ、及びシアンのうちの異なる2色であればよい。
【0087】
本実施形態では、後述のように、例えばマゼンタのトナーで形成される画像の形成位置がブラックのトナーで形成される画像の形成位置に対して用紙搬送方向にずれた場合に色ずれが検知可能である。つまり、マゼンタのトナーで形成される画像の形成位置がブラックのトナーで形成される画像に対して用紙搬送方向の逆方向にずれた場合には検知できない。したがって、色情報検出用パッチP2により、色ずれの方向も検知することができる。しかし、色情報検出用パッチP2は、前述のように用紙搬送方向の逆方向の色ずれは検知できない。
用紙搬送方向の逆方向の色ずれを検知するには、ユニットU1のデザインを紙面上下について逆に構成すればよい。色情報検出用パッチP2が図8に示すユニットU1と、これとは紙面上下逆の構成であるユニットを組み合わせて備えている場合を説明する。この場合の色情報検出用パッチP2により、用紙搬送方向、及び当該方向の逆方向の色ずれにおいて、色ずれの方向と大きさが検知可能となる。
【0088】
図9A図9Bに、ユニットU1において色ずれが発生した例を示す。図9A図9Bに示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図9Aに示す例は、マゼンタのトナーで形成される画像の形成位置が用紙搬送方向にずれた場合である。この場合、パターンPaの一部がパターンPcで隠蔽されないため、色情報検出用パッチP2は、目視ではブラックとマゼンタが混ざった色に見える。または、この場合の色情報検出用パッチP2を色情報検出装置40で検出すると、ブラックとマゼンタが混ざった色が検出される。または、この場合の色情報検出用パッチP2を外部の測色器で測色すると、ブラックとマゼンタが混ざった色が測色される。
マゼンタのトナーで形成される画像の形成位置における用紙搬送方向の色ずれ量が大きいほど、色情報検出用パッチP2は、よりマゼンタに近い色となる。
図9Bに示す例は、シアンのトナーで形成される画像の形成位置が用紙搬送方向と逆方向にずれた場合である。この場合、パターンPbの一部がパターンPcで隠蔽されないため、色情報検出用パッチP2は、目視ではブラックとシアンが混ざった色に見える。または、この場合の色情報検出用パッチP2を色情報検出装置40で検出すると、ブラックとシアンが混ざった色が検出される。または、この場合の色情報検出用パッチP2を外部の測色器で測色すると、ブラックとシアンが混ざった色が測色される。
シアンのトナーで形成される画像の形成位置における用紙搬送方向と逆方向の色ずれ量が大きいほど、色情報検出用パッチP2は、よりシアンに近い色となる。
【0089】
色情報検出用チャートは、中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部34により形成される色ずれを補正するためのチャートである。
色情報検出用チャートは、複数色のうちの第1色(ブラック)により形成される第1パターン(パターンPc)と、複数色のうちの有彩色である第2色(例えば、マゼンタ)により形成される第2パターン(例えば、パターンPa)と、を備え、前記第1パターンが前記第2パターンを覆い隠すように、複数の前記第1パターン及び前記第2パターンが形成され、前記第2パターンは、前記第1パターンの前記用紙搬送方向中央より上流側、または下流側に位置する。
【0090】
図10A図10Bに、図8に示すユニットU1の別例を示す。図10A図10Bに示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図10Aに示すユニットU1aにおいて、パターンPaは、用紙搬送方向を紙面上方向としたときに下に凸の形状である。パターンPbは、用紙搬送方向を紙面上方向としたときに上に凸の形状である。
図10Bに示すユニットU1bにおいて、パターンPa及びパターンPbは、矩形状である。
【0091】
図11に、ユニットU1,U1a,U1bにおいて、マゼンタのトナーで形成される画像の形成位置が用紙搬送方向に色ずれ量dだけずれた場合を示す。この場合、ユニットU1よりユニットU1aの方がパターンPcからはみ出したパターンPaの面積であるはみ出し量が大きい。そのため、ユニットU1を有する色情報検出用パッチP2よりもユニットU1aを有する色情報検出用パッチP2の方が、よりマゼンタに近い色となる。
【0092】
画像形成時におけるパターンPcからのパターンPaのはみ出し量は、画像形成プロセスの特性に因る。そのため、画像形成時に発生しうる色ずれ量の大きさ、色ずれによる色情報検出用パッチP2の色の変化量及び画像形成プロセスの特性に応じて、当該色の変化が見えやすいように、ユニットU1,U1a,U1bを選択することが好ましい。
例えば、画像形成プロセスにおいて描画のにじみやボケがなく、ビットマップ画像(元画像)のパターン通りに画像形成できる場合、ユニットU1bのような簡潔なパターンを選択することが好ましい。
【0093】
色情報検出用パッチP2を用いて色ずれ量を測定する場合の測定感度は、次のものに因る。具体的には、パターンPcに対する色ずれ量dによりはみ出すパターンPaのはみ出し量、及び色情報検出用パッチP2における単位面積当たりのユニットU1の密度である。そのため、当該測定感度を上げたい場合には、ユニットU1をより小さくして、ユニットU1をより高い密度で配置する。
しかし、画像形成時において比較的大きな色ずれ量が発生する場合、当該色ずれ量に対する色情報検出用パッチP2の色調変化量が飽和し、色ずれ量が正確に測定できない場合がある。この場合の例を図12に示す。
【0094】
図12に、ユニットU1aにおいて、マゼンタのトナーで形成される画像の形成位置が用紙搬送方向に色ずれ量0、小、中、大だけずれた場合を示す。図12に示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図12に示す例において、色ずれ量が0、小、中である場合、パターンPcに対するパターンPaのはみ出し量は、色ずれ量に応じている。しかし、色ずれ量が大である場合は、色ずれ量が中である場合よりもパターンPcに対するパターンPaのはみ出し量が小さく、色調変化量が低下する。これは、パターンPaが隣接するユニットU1aのパターンPcにもぐりこんでいる状態である。
したがって、色情報検出用パッチP2を用いて色ずれ量を測定する場合の測定感度は、次のものに応じて設定することが好ましい。具体的には、チャートを形成する用紙、及び当該チャートを形成する画像形成プロセスの特性により想定される最大色ずれ量である。
【0095】
図6に戻り、参考パッチP3は、色情報検出用パッチP2での用紙搬送方向または用紙搬送方向と逆方向における、各色の色ずれ量を判定するための色調比較用のパッチである。参考パッチP3は、色情報検出用パッチP2において色ずれが発生した場合の色調のみを真似たカラーパッチであってよい。または、参考パッチP3は、色情報検出用パッチP2において色ずれが発生した場合の有彩色のはみ出し量を模したパターンで形成したパッチであってもよい。当該有彩色は、イエロー、マゼンタ、またはシアンである。
チャートを色情報検出装置40により検出、または外部の測色器により測色した結果に基づいて、各色の各方向における色ずれ量を測定する場合、参考パッチP3を形成しなくともよい。
【0096】
図13に、色情報検出用パッチP2において色ずれが発生した場合の有彩色のはみ出し量を模したパターンで形成した参考パッチP3の例を示す。図13に示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図13に示す例において、参考パッチP3は、マゼンタのトナーで形成された複数のライン状のパターンPdを有する。パターンPdは、用紙搬送方向と長尺方向が平行になるように配置される。参考パッチP3は、パターンPdの一部を覆い隠すブラックのトナーで形成された複数の矩形状のパターンPeを有する。
参考パッチP3において色ずれが発生した場合でも、パターンPeに対するパターンPdのはみ出し量は、一定である。これにより、参考パッチP3は、色情報検出用パッチP2において色ずれが発生した場合の色調を安定して再現できる。
【0097】
第3制御部36は、色情報検出用チャートを印刷ジョブの対象用紙に形成する際に、図4に示すマークM2~M5を対象用紙に形成してもよい。
この場合、マークM2、マークM3及びマークM4は、色情報検出用チャートの形成領域を特定するために用いられる。
色情報検出装置40により色情報検出用チャートを検出する場合、画像形成装置1は、用紙内における色情報検出用チャートが形成される位置を把握できる。そのため、この場合、色情報検出用チャートの形成領域を特定するためのマークM2、マークM3及びマークM4は不要である。
色情報検出装置40により色情報検出用チャートを検出する場合、画像形成装置1は、色情報検出装置40が検出している用紙が何枚目であるかを把握できる。そのため、この場合、マークM5は不要である。
【0098】
つまり、後述する第2決定部としての第3制御部36は、次のことを決定する。
具体的には、後述する第1決定部により決定された測定方法が、インライン以外の画像読取装置(原稿読取ユニット33または外部のスキャナー)を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーの目視による方法の場合、チャートの向き、用紙の識別情報、及び用紙内の読取領域のうち少なくともいずれかを示す情報(マークM1~M5)をチャートに含むことである。
【0099】
(3.画像形成装置の動作)
次に、画像形成装置1において印刷ジョブを実行する前に実行されるジョブ前制御処理を説明する。
第3制御部36は、記憶部37に記憶されているプログラムと協働してジョブ前制御処理を実行する。
第3制御部36は、ジョブ前制御処理を、例えば、本体部30が通信部38を介して外部装置等から印刷ジョブのジョブ情報を受信した際に実行する。当該外部装置は、例えばパーソナルコンピューターである。
図14に、ジョブ前制御処理のフローチャートを示す。
【0100】
(3-1.ジョブ前制御処理)
第3制御部36は、用紙属性情報及び機種属性情報を取得する(ステップA1)。
つまり、第3制御部36は、用紙の属性を示す用紙属性情報を取得する。第3制御部36は、取得部として機能する。
【0101】
用紙属性情報は、印刷ジョブの対象用紙の坪量、サイズ、紙種、物性値等である。
第3制御部36は、例えば、対象用紙の坪量、サイズ及び紙種を、給紙トレイ131~133に対応付けられた情報から取得する。
第3制御部36は、例えば、検知装置20により対象用紙を検知することにより、対象用紙の物性値を取得する。
つまり、取得部としての第3制御部36は、用紙属性情報として、検知部22により検知された用紙の物性値を取得する。
機種属性情報は、画像形成装置1が色情報検出装置40及び/または画像読取装置50を備えているか等の情報である。
【0102】
次に、第3制御部36は、ステップA1において取得した機種属性情報に基づいて、対象用紙に形成するチャートにおける色ずれ量の測定方法を決定する(ステップA2)。
つまり、第3制御部36は、画像形成部34により画像が形成された用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する測定方法を決定する。第3制御部36は、第1決定部として機能する。
具体的には、画像形成装置1が色情報検出装置40を備えている場合を説明する。この場合、第3制御部36は、対象用紙に形成したチャートに対して色情報検出装置40より色情報を検出し、当該検出結果に基づいて色ずれ量を測定すると決定する。
または、画像形成装置1が画像読取装置50を備えている場合を説明する。この場合、第3制御部36は、対象用紙に形成したチャートを画像読取装置50により読み取り、当該読取結果に基づいて色ずれ量を測定すると決定する。
【0103】
画像形成装置1が色情報検出装置40及び画像読取装置50の両方を備えている場合を説明する。この場合、対象用紙に形成したチャートに対して色情報検出装置40より色情報を検出するか、または画像読取装置50により読み取るかをユーザーにより選択可能としてもよい。この場合、第3制御部36は、表示部32に選択肢を表示し、操作部31を介したユーザーによる選択入力を受け付ける。この際、第3制御部36は、表示部32にそれぞれの選択肢の自動度や精度に基づいて推奨する選択肢を表示してもよい。
または、第3制御部36は、前回ジョブ前制御処理を実行した際のユーザーによる選択を流用してもよい。
【0104】
画像形成装置1が色情報検出装置40及び画像読取装置50の両方を備えていない場合を説明する。この場合、対象用紙に形成したチャートに対して外部の測色器により測色するか、ユーザーの目視により色ずれ量を測定するか、原稿読取ユニット33により読み取るか、または外部のスキャナーにより読み取るかをユーザーにより選択可能としてもよい。この場合、第3制御部36は、表示部32に選択肢を表示し、操作部31を介したユーザーによる選択入力を受け付ける。この際、第3制御部36は、表示部32にそれぞれの選択肢の自動度や精度に基づいて推奨する選択肢を表示してもよい。
または、第3制御部36は、前回ジョブ前制御処理を実行した際のユーザーによる選択を流用してもよい。
つまり、本発明では、画像形成装置1が色情報検出装置40及び画像読取装置50を備えない構成であっても、色ずれ量を測定できる。
【0105】
以上のように、第3制御部36は、ユーザーによる測定方法の選択を受け付ける。第3制御部36は、受付部として機能する。
受付部としての第3制御部36は、画像形成装置の構成に基づいて、測定方法の選択肢を表示部32に表示し、選択肢における選択を受け付ける。
測定方法は、インラインの画像読取装置50を用いる方法、インライン以外の画像読取装置(原稿読取ユニット33または外部のスキャナー)を用いる方法、インラインの色情報検出装置40を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーによる目視による方法である。
【0106】
ステップA2において、第3制御部36は、ステップA1で取得した用紙属性情報に基づいて、測定方法のユーザーによる選択を制限してもよい。
例えば、対象用紙の剛度が原稿読取ユニット33のADFで読み取りができない程度に高い場合を説明する。この場合、第3制御部36は、表示部32に測定方法の選択肢を表示する際に、原稿読取ユニット33のADFを用いて読み取ることを表示しない。
つまり、第1決定部としての第3制御部36は、取得部として取得した用紙属性情報に基づいて、測定方法におけるユーザーによる選択を制限する。
【0107】
次に、第3制御部36は、ステップA2で決定した測定方法に応じたチャートの種類を選択する(ステップA3)。
具体的には、次の場合に、第3制御部36は、色情報検出用チャートを選択する。具体的には、対象用紙に形成したチャートに対して色情報検出装置40より色情報を検出する場合、外部の測色器により測色する場合、またはユーザーの目視により色ずれ量を測定する場合である。
対象用紙に形成したチャートを画像読取装置50、原稿読取ユニット33または外部のスキャナーにより読み取る場合、第3制御部36は、画像読取用チャートを選択する。
【0108】
次に、第3制御部36は、ステップA3で選択した種類のチャートにおいて、ステップA1で取得した用紙属性情報に基づいてデザインを決定する(ステップA4)。
つまり、第3制御部36は、第1決定部として決定した測定方法に基づいて、少なくとも用紙面内における色ずれを補正するためのチャートの内容を決定する。第3制御部36は、第2決定部として機能する。
第2決定部としての第3制御部36は、取得部として取得した用紙属性情報に基づいてチャートの内容を決定する。
具体的には、第3制御部36は、チャートが有するパッチの数、パッチの配置位置、用紙属性情報から想定される最大色ずれ量に応じたパターンの形状等を決定する。
【0109】
次に、第3制御部36は、画像形成部34を制御して、ステップA4でデザインを決定したチャートを対象用紙に形成する(ステップA5)。
第3制御部36は、ステップA5において、チャートを対象用紙に形成する際に、印刷ジョブの設定情報に基づいて、チャートを対象用紙に形成する。
印刷ジョブの設定情報は、例えば、片面印刷、または両面印刷か、片面印刷の場合は表面と裏面のどちらに印刷するかを示す情報を含む。
印刷ジョブの設定情報は、例えば、印刷枚数を示す情報を含む。
印刷ジョブの設定情報は、例えば、連続通紙中の特定の用紙にのみ印刷することを示す情報を含む。
第3制御部36は、印刷ジョブの設定情報と同じ、または近い設定でチャートを形成することが好ましい。
【0110】
次に、第3制御部36は、ステップA2で決定した測定方法により、ステップA5で形成したチャートにおける色ずれ量を測定する(ステップA6)。
つまり、第3制御部36は、画像形成部34により画像が形成された用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する。第3制御部36は、測定部として機能する。
【0111】
図15に、ステップA6で測定される色ずれ量の例を示す。図15に示す例において、矢印の方向は、用紙搬送方向を示す。
図15に示す例において、チャートは、用紙の主走査方向中央部に形成された複数の十字パターンを含む。
チャートを形成する位置は、図15に示す例に限らない。第3制御部36は、主走査方向の複数の位置にチャートを形成してもよい。第3制御部36は、用紙属性情報、色情報検出装置40の検出可能範囲、または画像読取装置50の読取可能範囲に応じた主走査方向の位置においてチャートを形成してもよい。
チャートを形成する位置は、色ずれ量が測定される用紙面内の所定箇所である。
つまり、当該所定箇所は、用紙属性情報及び/または測定方法に基づく位置である。
図15に示す例において、第3制御部36は、チャートを2色のトナーにより形成しているがこれに限らない。第3制御部36は、チャートを3色以上のトナーにより形成してもよい。
【0112】
ステップA6において、第3制御部36は、色ずれ量として、各色間の色ずれ量の積分値、平均値、最大値、中央値、最頻値等を測定する。
つまり、測定部としての第3制御部36は、複数色間における色ずれ量の積分値を、色ずれ量として測定する。
測定部としての第3制御部36は、複数色間における色ずれ量の最大値を、色ずれ量として測定する。
【0113】
次に、第3制御部36は、ステップA6で測定した色ずれ量は、所定の第1閾値より大きいか否かを判断する(ステップA7)。当該所定の第1閾値は、予め設定されている。
測定した色ずれ量が第1閾値より大きい場合(ステップA7;YES)を説明する。この場合、第3制御部36は、本体部30の画像形成プロセスにおけるレジスト速度及び/または定着速度における調整値(補正値)を算出して調整する(ステップA8)。
レジスト速度は、レジスト部346における用紙の搬送速度である。
定着速度は、定着部344における用紙の搬送速度である。
ステップA8において、第3制御部36は、ステップA6で測定した色ずれ量が所定の第1閾値以下になるように、レジスト速度及び/または定着速度を調整する。
次に、第3制御部36は、本処理をステップA5に移行する。
【0114】
ステップA8において、第3制御部36は、ステップA1で取得した用紙属性情報及びステップA6で測定した色ずれ量に基づいて、レジスト速度及び/または定着速度における調整量を算出する。
第3制御部36は、対象用紙の坪量が200~350gsmである場合のレジスト速度の調整量Vr1を下記式(1)により算出する。
Vr1(%) = Ar1 * (X * T1 * W)・・・(1)
第3制御部36は、対象用紙の坪量が200~350gsmである場合の定着速度の調整量VF1を下記式(2)により算出する。
VF1(%) = AF1 * (X * T1 * W)・・・(2)
第3制御部36は、対象用紙の坪量が350gsmより大きい場合のレジスト速度の調整量Vr2を下記式(3)により算出する。
Vr2(%) = Ar2 * (X * T2 * W)・・・(3)
第3制御部36は、対象用紙の坪量が350gsmより大きい場合の定着速度の調整量VF2を下記式(4)により算出する。
VF2(%) = AF2 * (X * T2 * W)・・・(4)
【0115】
上記式において、対象用紙の坪量は、ステップA1で取得した用紙属性情報である。
Ar1、AF1、Ar2、及びAF2は、単位変換の定数である。Ar1とAr2は、同一値でもよいし、異なる値でもよい。AF1とAF2は、同一値でもよいし、異なる値でもよい。
Xは、ステップA6で測定した色ずれ量である。
T1、T2は、対象用紙の坪量である。
Wは、対象用紙の主走査方向の幅である。
【0116】
上記式(1)~(4)において、対象用紙の坪量が200~350gsmである場合と、対象用紙の坪量が350gsmより大きい場合に分けたが、坪量の分類はこれに限らない。
【0117】
ステップA8において、第3制御部36は、用紙の紙種や用紙の主走査方向の幅ごとの単位変換の定数を格納するテーブルに基づいて、レジスト速度及び/または定着速度における調整量を算出してもよい。
この場合、第3制御部36は、例えば、対象用紙の坪量が200~250gsmであり、主走査方向の幅が297mmである場合のレジスト速度の調整量Vr3を下記式(5)により算出する。第3制御部36は、この場合の定着速度の調整量VF3を下記式(6)により算出する。
Vr3(%) = Ar3 * X・・・(5)
VF3(%) = AF3 * X・・・(6)
この場合、第3制御部36は、例えば、対象用紙の坪量が251~300gsmであり、主走査方向の幅が297mmである場合のレジスト速度の調整量Vr4を下記式(7)により算出する。第3制御部36は、この場合の定着速度の調整量VF4を下記式(8)により算出する。
Vr4(%) = Ar4 * X・・・(7)
VF4(%) = AF4 * X・・・(8)
Ar3、AF3、Ar4、及びAF4は、単位変換の定数である。Ar3とAr4は、同一値でもよいし、異なる値でもよい。AF3とAF4は、同一値でもよいし、異なる値でもよい。
【0118】
図16に、レジスト速度及び定着速度における調整量の例を示す。
図16に示すように、調整量は、0%のように単一の値であってもよいし、0.2~0.3%のように所定の範囲の値でもよい。調整量が所定の範囲の値である場合、第3制御部36は、この範囲に調整値が収まるように、レジスト速度及び定着速度における加減速の制御を繰り返す場合の目標値とする。
【0119】
一方、測定した色ずれ量が第1閾値以下である場合(ステップA7;NO)を説明する。この場合、第3制御部36は、ステップA1で取得した用紙属性情報に基づいて、画像変形処理における補正値を算出し(ステップA9)、本処理を終了する。
ステップA9において、第3制御部36は、測定した色ずれ量が0となるように、画像変形処理における補正値を算出する。
第3制御部36は、印刷ジョブ実行時において、ステップA9で算出した補正値によりジョブ画像の画像変形処理を行う。次に、第3制御部36は、画像変形処理後のジョブ画像を対象用紙に形成する。
【0120】
上記画像変形処理として、公知の手法を用いることができる。
第3制御部36は、例えば、ジョブ画像上に格子状のメッシュを定義し、そのメッシュの交点各々の位置変化量において色ずれを局所的に相殺する方向を定める。次に、第3制御部36は、メッシュ各々の位置変化量を、各々の座標変化量とし、単位メッシュ(矩形)の変形をアフィン変換や射影変換で表現し、変形処理を行う。
局所的な変形処理は、扱う画像情報量が多いので、第3制御部36は、例えば画像処理に用いられるASIC等に組み込まれる既存の画像変形処理を用いてもよい。
【0121】
つまり、第3制御部36は、取得部として取得した用紙属性情報及び測定部として測定した色ずれ量に基づいて、少なくとも用紙面内における色ずれを補正するための制御を行う。第3制御部36は、制御部として機能する。
少なくとも用紙面内における色ずれを補正するための制御は、ステップA8でレジスト速度及び/または定着速度における調整値(補正値)を算出して調整(補正)することを含む。
つまり、制御部としての第3制御部36は、レジスト部346における搬送速度(レジスト速度)及び/または定着部344における搬送速度(定着速度)を調整して色ずれを補正する。
少なくとも用紙面内における色ずれを補正するための制御は、ステップA9で算出した補正値によりジョブ画像の画像変形処理を行うことを含む。
つまり、制御部としての第3制御部36は、色ずれを補正する画像変形処理を行う。
【0122】
ステップA8実施後の2回目のステップA5において、第3制御部36は、想定される色ずれ量を測定でき、且つ適切な測定感度が得られるように、ステップA4で決定したチャートのデザインを調整してもよい。
具体的には、第3制御部36は、1回目のステップA5で、色調変化量が飽和しないようなチャートを形成する。
第3制御部36は、2回目のステップA5で、より詳細な測定ができるように、1回目のステップA5で形成したチャートのデザインを調整する。次に、第3制御部36は、調整したチャートを対象用紙に形成する。例えば、第3制御部36は、1回目のステップA5で形成したチャートを全体的に小さくする。これにより、測定感度を高めることができる。
【0123】
2回目のステップA5後、第3制御部36は、ステップA2で決定した測定方法により、2回目のステップA5で形成したチャートにおける色ずれ量を測定する(ステップA6)。
つまり、測定部としての第3制御部36は、レジスト部346における搬送速度(レジスト速度)及び/または定着部344における搬送速度(定着速度)の調整後に、色ずれ量を測定する。
【0124】
2回目のステップA6で測定した色ずれ量が第1閾値以下である場合(ステップA7;NO)、第3制御部36は、ステップA1で取得した用紙属性情報に基づいて、画像変形処理における補正値を算出し(ステップA9)、本処理を終了する。
つまり、制御部としての第3制御部36は、レジスト部346における搬送速度(レジスト速度)及び/または定着部344における搬送速度(定着速度)の調整後の色ずれ量を画像変形処理により補正する。
【0125】
次に、例えば、印刷ジョブの設定情報が両面印刷や複数枚印刷を示す場合を説明する。この場合、第3制御部36は、上記ジョブ前制御処理のステップA4で、それぞれの場合に応じたチャートの内容を決定してもよい。次に、第3制御部36は、それぞれの場合ごとにステップA4~ステップA9を実行する。
【0126】
上記ジョブ前制御処理において、第3制御部36は、ステップA7を実行せずに、ステップA6の後にステップA9を実行してもよい。
しかし、所定の第1閾値より大きい色ずれ量をステップA9で算出する画像変形処理の補正値で補正しようとすると、当該補正値が大きすぎて次の問題が発生する。具体的には、画像変形処理における調整マージンの不足、色ずれ量が変動することによる補正効果が安定しない状態等である。
【0127】
上記ジョブ前制御処理において、第3制御部36は、測定した色ずれ量が第1閾値以下である場合(ステップA7;NO)、ステップA9を実行せずに、本処理を終了してもよい。
【0128】
第3制御部36が、ステップA1で取得した用紙属性情報が示す用紙属性に近い属性である用紙を対象用紙として過去に上記ジョブ前制御処理を実行して算出した補正値を記憶部37に記憶している場合を説明する。
つまり、記憶部37は、色ずれを補正する補正値を、用紙の属性ごとに記憶する。
この場合、第3制御部36は、過去に実行したジョブ前制御処理のステップA9で算出した補正値を今回の印刷ジョブに流用するか否かのユーザーによる選択を受け付ける。ユーザーにより過去に算出した補正値を今回の印刷ジョブに流用することが選択された場合、第3制御部36は、ステップA2以降の処理を中止する。
【0129】
ジョブ前制御処理のステップA8を実行し、且つステップA9を実行しないことが予め設定されている場合を説明する。この場合、第3制御部36は、ジョブ前制御処理のステップA8を実行することのみにより、色ずれを補正してもよい。
ジョブ前制御処理のステップA8を実行せず、且つステップA9を実行することが予め設定されている場合を説明する。この場合、第3制御部36は、ジョブ前制御処理のステップA9を実行することのみにより、色ずれを補正してもよい。
【0130】
第3制御部36は、ジョブ実行時において所定印刷枚数ごとに、上記ジョブ前制御処理を実行するとしてもよい。
第3制御部36は、給紙トレイ131~133内、本体部30内、または画像形成装置1が設置されている環境等において温度や湿度が所定値を超えた場合に上記ジョブ前制御処理を実行するとしてもよい。
【0131】
印刷ジョブにおいて冊子等を印刷する場合であって、複数種類の用紙が対象用紙である場合を説明する。
この場合、第3制御部36は、印刷ジョブのページ構成順に、用紙に対応する色ずれを補正する色ずれ補正値を切り替える。この場合、第3制御部36は、対象用紙の物性値、当該物性値に対応する色ずれ補正値等に基づいて、画像形成における制御を変更する。具体的には、第3制御部36は、印刷ジョブ内の色ずれ補正値の平均値により補正を行い、画像形成を実行する。または、第3制御部36は、印刷ジョブ内の色ずれ補正値の代表値により補正を行い、画像形成を実行する。または、第3制御部36は、印刷ジョブ内で複数の色ずれ補正値を切り替えながら補正を行い、画像形成を実行する。
【0132】
画像形成装置1において複数の印刷ジョブを連続で印刷する場合を説明する。この場合、第3制御部36は、上記ジョブ前制御処理において、複数の印刷ジョブに対応する複数種類のチャートを形成する。次に、第3制御部36は、複数種類のチャートにおける色ずれ量をそれぞれ測定し、それぞれの色ずれ補正値を算出する。
【0133】
第3制御部36は、上記ジョブ前制御処理において、通紙モードごとチャートを形成し、色ずれ量を測定して色ずれ補正値を算出してもよい。当該通紙モードは、片面印刷、両面印刷等である。
第3制御部36は、上記ジョブ前制御処理において、転写速度や用紙先後端の余白量に基づいて、チャートを形成し、色ずれ量を測定して色ずれ補正値を算出してもよい。
【0134】
第3制御部36は、色ずれ補正値を用紙ごとにテーブルに格納し記憶部37に記憶してもよい。
第3制御部36は、記憶部37に記憶している色ずれ補正値の数が比較的多くなった場合、用紙の物性値や色ずれ補正値が近い値のものを平均し、当該平均値のみを記憶部37に記憶してもよい。
検知装置20により検知された第1の用紙の物性値が、記憶部37に記憶している第2の用紙の物性値に近い場合を説明する。この場合、第3制御部36は、第1の用紙の色ずれ補正値として、第2の用紙の色ずれ補正値を流用してもよい。
色ずれ補正値を算出するために複数種類のチャートの印刷が必要な場合を説明する。この場合、第3制御部36は、複数種類のチャートの一部を印刷する。次に、第3制御部36は、残りのチャートに対して、印刷ジョブの対象用紙の物性値と近い物性値を持つ用紙に対応する色ずれ補正値を流用してもよい。
【0135】
次に、画像形成装置1において印刷ジョブを実行中に実行されるジョブ中制御処理を説明する。
第3制御部36は、記憶部37に記憶されているプログラムと協働してジョブ中制御処理を実行する。
第3制御部36は、例えば、後処理装置60が断裁処理機能を備えている場合に、ジョブ中制御処理に実行する。
図17に、ジョブ中制御処理のフローチャートを示す。
【0136】
(3-2.ジョブ中制御処理)
第3制御部36は、印刷ジョブのジョブ画像、及びチャートを対象用紙に形成する(ステップB1)。
具体的には、第3制御部36は、後処理装置60により断裁される位置(余白部)にチャートを形成する。
ステップB1において、第3制御部36は、比較的小さなパッチを有するチャートを形成する。比較的小さなパッチは、例えば、図5C図5Eに示す画像読取用パッチP1である。
ステップB1において、第3制御部36は、余白部に形成可能であれば、図5A図5Bに示す画像読取用パッチP1を有するチャートを形成してもよい。
【0137】
ステップB1において、第3制御部36は、用紙内全体における色ずれを測定できるように、用紙の全周において複数のパッチが配置されたチャートを形成してもよい。
ステップB1において、第3制御部36は、用紙内の色ずれ特性が把握しやすい箇所のみにパッチが配置されたチャートを形成してもよい。当該用紙内の色ずれ特性が把握しやすい箇所は、例えば、用紙先端から副走査方向において所定距離だけ離れた箇所である。
【0138】
次に、第3制御部36は、ジョブ前制御処理のステップA2で決定した測定方法により、ステップB1で形成したチャートにおける色ずれ量を測定する(ステップB2)。
次に、第3制御部36は、ステップB2で測定した色ずれ量における印刷ジョブ開始時からの変化量の累積値が所定の第2閾値より大きいか否かを判断する(ステップB3)。当該所定の第2閾値は、予め設定されている。
【0139】
色ずれ量における変化量の累積値が第2閾値以下である場合(ステップB3;NO)を説明する。この場合、第3制御部36は、画像変形処理において、色ずれ量が0になるように補正し(ステップB4)、本処理を終了する。
【0140】
一方、色ずれ量における変化量の累積値が第2閾値より大きい場合(ステップB3;YES)、第3制御部36は、実行中である印刷ジョブを中断する(ステップB5)。
次に、第3制御部36は、上記ジョブ前制御処理を実行する(ステップB6)。
次に、第3制御部36は、ステップB5で中断した印刷ジョブを再開し(ステップB7)、本処理を終了する。
【0141】
上記ジョブ中制御処理のステップB1において、第3制御部36は、チャートを形成しないとしてもよい。この場合、ステップB2において、第3制御部36は、形成したジョブ画像に基づいて、色ずれ量を測定する。
具体的には、第3制御部36は、ジョブ画像において色ずれを視認しやすいエッジ等の特徴を持つ箇所を抽出する。当該色ずれを視認しやすいエッジは、例えば、複数色が重なったエッジである。次に、第3制御部36は、形成したジョブ画像の抽出した箇所における色ずれ量を測定する。次に、第3制御部36は、測定した色ずれ量が予め設定された所定の第3閾値を超えているか否かを判断する。測定した色ずれ量が第3閾値を超えている場合、第3制御部36は、色ずれ量が第3閾値を超えている印刷物をヤレ紙として、例えば、排紙トレイ54から排紙する。この場合、第3制御部36は、ヤレ紙として排紙された用紙に形成した画像を再印刷する。
【0142】
(4.変形例)
次に、本発明の変形例について説明する。
図18に、本変形の画像形成システム100の概略構成図を示す。
画像形成システム100は、画像形成装置1A,1B,1C、システム制御部200等を備える。
システム制御部200は、画像形成装置1A,1B,1Cと、LAN等によりそれぞれ通信可能に接続している。
【0143】
画像形成システム100において、システム制御部200は、画像形成装置1A,1B,1Cが記憶する色ずれ量を補正する色ずれ補正値と、用紙の種類との関係を記憶する。システム制御部200は、各画像形成装置における色ずれ補正値を算出するためのチャートの印刷及び色ずれ量の測定を制御する。
【0144】
画像形成システム100において、多量、または多色、箔押し、ラミネート等の各種処理を含む印刷ジョブを実行する場合を説明する。
この場合、システム制御部200は、印刷ジョブの要件に合う用紙及び色ずれ補正値を保持している画像形成装置に印刷ジョブを振り分けて送信する。
例えば、システム制御部200は、画像形成装置1Aのみが色ずれ補正値を記憶している用紙を対象用紙とする印刷ジョブを、画像形成装置1Aに送信し、実行させる。
【0145】
複数種類の用紙を対象用紙とする印刷ジョブを実行する場合であり、当該複数種類の用紙に対応する色ずれ補正値を記憶する画像形成装置がない場合を説明する。この場合、システム制御部200は、当該複数種類の用紙に対応する色ずれ補正値を算出するための処理が最も少ない画像形成装置に当該印刷ジョブを送信する。当該画像形成装置は、不足している色ずれ補正値を算出するために、対象用紙にチャートを形成し、色ずれ量を測定する。その後、当該画像形成装置は、算出した色ずれ補正値により補正を行い、印刷ジョブを実行する。
【0146】
システム制御部200は、画像形成装置1A,1B,1Cが記憶する色ずれ補正値に基づいて、印刷ジョブの対象用紙に対して最も良い特性を持つ画像形成装置に印刷ジョブを送信し、実行させてもよい。
【0147】
(5.効果)
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1は、中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部34と、前記画像形成部34により画像が形成された前記用紙面内の所定箇所における色ずれ量を測定する測定方法を決定する第1決定部(第3制御部36)と、前記第1決定部により決定された前記測定方法に基づいて、少なくとも前記用紙面内における色ずれを補正するためのチャートの内容を決定する第2決定部(第3制御部36)と、を備える。
これにより、様々な装置構成に対応する、色ずれ量を測定する測定方法に応じた色ずれを補正するためのチャートの内容を決定できる。
したがって、用紙に形成される画像における色ずれを精度良く補正できる。
【0148】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、ユーザーによる前記測定方法の選択を受け付ける受付部(第3制御部36)を備える。
これにより、ユーザーが所望する測定方法に応じた色ずれを補正するためのチャートの内容を決定できる。
【0149】
また、本実施形態に係る画像形成装置1において、前記受付部(第3制御部36)は、前記画像形成装置1の構成に基づいて、前記測定方法の選択肢を表示部32に表示し、前記選択肢における選択を受け付ける。
これにより、画像形成装置1の構成に基づいた、且つユーザーが所望する測定方法に応じた色ずれを補正するためのチャートの内容を決定できる。
【0150】
また、本実施形態に係る画像形成装置1において、前記測定方法は、インラインの画像読取装置50を用いる方法、インライン以外の画像読取装置(原稿読取ユニット33または外部のスキャナー)を用いる方法、インラインの色情報検出装置40を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーによる目視による方法である。
これにより、様々な方法で色ずれ量を測定できる。
【0151】
また、本実施形態に係る画像形成装置1において、前記第2決定部(第3制御部36)は、前記第1決定部(第3制御部36)により決定された前記測定方法が、前記インライン以外の画像読取装置(原稿読取ユニット33または外部のスキャナー)を用いる方法、インライン以外の測色器を用いる方法、またはユーザーによる目視による方法の場合、前記チャートの向き、前記用紙の識別情報、及び前記用紙内の読取領域のうち少なくともいずれかを示す情報(マークM1~M5)を前記チャートに含むことを決定する。
これにより、対象用紙に形成されたチャートの向き、チャートが形成された用紙の識別情報、及びチャートが形成された用紙内の画像読取領域を容易に把握できる。
【0152】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、前記用紙の属性を示す用紙属性情報を取得する取得部(第3制御部36)を備え、前記第1決定部(第3制御部36)は、前記取得部により取得された前記用紙属性情報に基づいて、前記測定方法におけるユーザーによる選択を制限する。
これにより、用紙属性情報に適さない測定方法をユーザーが選択することを防止できる。
【0153】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、前記用紙の属性を示す用紙属性情報を取得する取得部(第3制御部36)を備え、前記第2決定部(第3制御部36)は、前記取得部により取得された前記用紙属性情報に基づいて前記チャートの内容を決定する。
これにより、用紙属性情報に応じた適切なチャートの内容を決定できる。
【0154】
また、本実施形態に係る画像形成装置1において、前記取得部(第3制御部36)は、前記用紙属性情報として、検知部22により検知された前記用紙の物性値を取得する。
これにより、用紙の物性値に応じた適切なチャートの内容を決定できる。
【0155】
また、本実施形態に係る画像形成装置1において、前記所定箇所は、前記用紙属性情報及び/または前記測定方法に基づく位置である。
これにより、用紙属性情報及び/または測定方法に応じた適切な位置において色ずれ量を測定できる。
【0156】
また、本実施形態に係るチャート(色情報検出用チャート)は、中間転写方式により用紙に複数色の画像形成を行う画像形成部34により形成される色ずれを補正するためのチャートであって、前記複数色のうちの第1色(ブラック)により形成される第1パターン(パターンPc)と、前記複数色のうちの有彩色である第2色(イエロー、マゼンタ、またはシアン)により形成される第2パターン(パターンPa及び/またはパターンPb)と、を備え、前記第1パターンが前記第2パターンを覆い隠すように、複数の前記第1パターン及び前記第2パターンが形成され、前記第2パターンは、前記第1パターンの前記用紙搬送方向中央より上流側、または下流側に位置する。
これにより、色情報検出用チャートが備える色情報検出用パッチP2において色ずれが発生した場合に、色情報検出用パッチP2の色調に基づいて、色ずれの方向及び色ずれ量を把握できる。
【0157】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0158】
例えば、色情報検出装置40は、用紙にカール矯正処理や加湿処理を実施する構成を備えていてもよい。
【0159】
また、画像形成装置1は、図示しない印刷ジョブ生成や印刷管理を行うプリントコントローラー、図示しない他の画像形成システムや業務管理システム等と、相互に連携するための情報を送受信可能に構成されていてもよい。
【0160】
また、本実施形態においては、本体部30の第3制御部36が、画像形成装置1全体を統括的に制御しているがこれに限らない。制御装置を別に設け、当該制御装置の制御部が画像形成装置1全体を統括的に制御してもよい。
【0161】
その他、画像形成装置1を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0162】
1、1A、1B、1C 画像形成装置
10 給紙装置
11 第1制御部
12 搬送部
121 搬送経路
13 給紙部
131、132、133 給紙トレイ
20 検知装置
21 第2制御部
22 検知部
23 搬送部
30 本体部
31 操作部
32 表示部
33 原稿読取ユニット
34 画像形成部
341Y、341M、341C、341K、341S 感光体ドラム
342 中間転写ベルト
343 2次転写ローラー
344 定着部
345 反転経路
346 レジスト部
36 第3制御部(取得部、第1決定部、第2決定部、受付部)
37 記憶部
38 通信部
39 画像処理部
40 色情報検出装置
41 第4制御部
42 色情報検出部
43 搬送部
50 画像読取装置
51 第5制御部
52 画像読取部
53 搬送部
54 排紙トレイ
60 後処理装置
61 第6制御部
62 後処理部
63 搬送部
64 排紙トレイ
100 画像形成システム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18