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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162017
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】冷蔵庫及び冷蔵庫システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20241114BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20241114BHJP
   A23B 7/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F25D23/00 302Z
F25D23/00 301Z
F25D11/00 101B
A23B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077147
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 真理子
(72)【発明者】
【氏名】添田 舞子
(72)【発明者】
【氏名】小池 成彦
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
4B169
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA11
3L045LA02
3L045LA18
3L045PA02
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA24
3L345DD58
3L345FF04
3L345FF16
3L345FF17
3L345FF19
3L345FF21
3L345HH12
3L345JJ17
3L345KK02
3L345KK04
4B169AA03
4B169CA03
4B169KD02
4B169KD03
(57)【要約】
【課題】貯蔵室内における使用者の所望の箇所に所望の機能を付加することができるとともに、付与された機能の種類及び箇所に応じた制御が可能である冷蔵庫等を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、貯蔵室が形成された冷蔵庫本体1と、貯蔵室内の予め設定された着脱位置に着脱可能に設けられ、予め設定された機能を提供する機能提供部31と当該機能ユニットの機能提供部が提供する機能を特定可能な識別情報を予め記憶したICタグ32とを有する機能ユニット30と、着脱位置に取り付けられた機能ユニット30のICタグ32に記憶されている識別情報を読み取るタグ読取装置50と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成された冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室内の予め設定された着脱位置に着脱可能に設けられ、予め設定された機能を提供する機能提供部と、前記機能提供部が提供する機能を特定可能な識別情報を予め記憶した記憶部とを有する機能ユニットと、
前記着脱位置に取り付けられた前記機能ユニットの前記記憶部に記憶されている前記識別情報を読み取る読取手段と、を備えた冷蔵庫。
【請求項2】
前記読取手段が読み取った前記識別情報に応じた表示を行う表示手段をさらに備えた請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記表示手段は、前記貯蔵室内の食品に応じて推奨する前記機能ユニットに関する情報を表示可能である請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵室の内部を冷却する冷却手段と、
前記冷却手段を制御する制御手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記読取手段が読み取った前記識別情報に応じて、前記冷却手段の制御を変更する請求項1又は請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記読取手段が読み取った前記識別情報を外部に送信する通信手段をさらに備えた請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記機能ユニットは、互いに機能が異なる複数の機能提供部を備えた請求項1又は請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記機能ユニットは、当該機能ユニットの前記機能提供部による作用が及ぶ対象となる収納スペースの少なくとも一部に視覚的な変化を起こすことが可能である請求項1又は請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記着脱位置から取り外された前記機能ユニットを収納可能な収納部をさらに備えた請求項1又は請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
請求項5に記載の冷蔵庫と、
前記通信手段と通信可能に設けられた端末装置と、を備え、
前記端末装置は、前記通信手段から送信された前記識別情報に応じた表示が可能である冷蔵庫システム。
【請求項10】
前記通信手段と通信可能に設けられたサーバ装置をさらに備え、
前記冷蔵庫は、前記貯蔵室の内部を冷却する冷却手段をさらに備え、
前記サーバ装置は、前記冷却手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記通信手段から送信された前記識別情報に応じて、前記冷却手段の制御を変更する請求項9に記載の冷蔵庫システム。
【請求項11】
前記端末装置は、前記貯蔵室内の食品に応じて推奨する前記機能ユニットに関する情報を表示可能である請求項9又は請求項10に記載の冷蔵庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫及び冷蔵庫システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の庫内に配置され主として紫外線を特定収納容器もしくは特定箇所に収納される収納物に直接もしくは透光板を介して照射を行う単数または複数の光源と、単数または複数の光源を間隔を置いて点灯消灯する冷蔵庫本体に設けられた制御装置とを備えた冷蔵庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-329614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような冷蔵庫においては、紫外線の照射による効果を得るためには、食品を特定の収納容器又は箇所に収納しなくてはならない。また、紫外線の照射以外の食品保存に有益な効果、例えば、脱臭、エチレン除去、調湿等を容易に得ることが難しい。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、冷蔵庫の貯蔵室内における使用者の所望する箇所に、使用者が所望する機能を付加することができるとともに、付与された機能の種類及び箇所に応じた情報表示等の制御が可能である冷蔵庫及び冷蔵庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る冷蔵庫は、貯蔵室が形成された冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内の予め設定された着脱位置に着脱可能に設けられ、予め設定された機能を提供する機能提供部と、前記機能提供部が提供する機能を特定可能な識別情報を予め記憶した記憶部とを有する機能ユニットと、前記着脱位置に取り付けられた前記機能ユニットの前記記憶部に記憶されている前記識別情報を読み取る読取手段と、を備える。
【0007】
本開示に係る冷蔵庫システムは、上記のように構成された冷蔵庫と、前記冷蔵庫に設けられ、前記読取手段が読み取った前記識別情報を外部に送信する通信手段と、前記通信手段と通信可能に設けられた端末装置と、を備え、前記端末装置は、前記通信手段から送信された前記識別情報に応じた表示が可能である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る冷蔵庫及び冷蔵庫システムによれば、冷蔵庫の貯蔵室内における使用者の所望する箇所に、使用者が所望する機能を付加することができるとともに、付与された機能の種類及び箇所に応じた制御が可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る冷蔵庫の構成を示す側断面図である。
図2】実施の形態1に係る冷蔵庫及び冷蔵庫システムの制御系統の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る冷蔵庫の野菜室の構成の一例を示す上面図である。
図4】実施の形態1に係る冷蔵庫の野菜室の構成の別例を示す側断面図である。
図5】実施の形態1に係る冷蔵庫の野菜室の構成の別例を示す側断面図である。
図6】実施の形態1に係る冷蔵庫の野菜室の構成の別例を示す側断面図である。
図7】実施の形態1に係る冷蔵庫の機能ユニットの別例を示す図である。
図8】実施の形態1に係る冷蔵庫の冷蔵室内の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る冷蔵庫及び冷蔵庫システムを実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から図8を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は冷蔵庫の構成を示す側断面図である。図2は冷蔵庫及び冷蔵庫システムの制御系統の構成を示すブロック図である。図3は冷蔵庫の野菜室の構成の一例を示す上面図である。図4から図6のそれぞれは冷蔵庫の野菜室の構成の別例を示す側断面図である。図7は冷蔵庫の機能ユニットの別例を示す図である。図8は冷蔵庫の冷蔵室内の要部を示す図である。
【0012】
本開示では、原則として、冷蔵庫本体1が使用可能な状態に設置されたときを基準として、各方向を定義する。また、図1に示すのは本開示に係る冷蔵庫本体1の構成の一例である。すなわち、図1によって示される冷蔵庫本体1を構成する各部材の寸法、位置関係及び形状等は、実際のものとは必ずしも完全に一致しない場合がある。また、冷蔵庫本体1の構成は、図1によって示されるものに限定されるものではない。
【0013】
図1に示すように、この実施の形態に係る家庭用の冷蔵庫本体1は、複数の異なる温度帯の貯蔵室を備えている。これらの複数の貯蔵室は、発泡ウレタン等の断熱部材からなる断熱筐体内において仕切られて設けられている。これらの貯蔵室は、具体的にここでは、冷蔵室7、チルド室8、切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12である。貯蔵室は、冷蔵庫本体1において上下方向に4段構成となって配置されている。
【0014】
冷蔵室7及びチルド室8は、冷蔵庫本体1の最上段に配置されている。冷蔵室7の前面部には扉が開閉自在に設けられている。冷蔵室7の内部の最下段は仕切られており、チルド室8が設けられている。チルド室8には、引出し式の容器が備えられている。チルド室8は、冷蔵室7の内部に設けられているが、冷蔵室7より低い温度を保つことができる貯蔵室である。
【0015】
冷蔵室7の1つ下段、すなわち、冷蔵庫本体1の上から2段目には、切替室9及び製氷室10が配置されている。これらの切替室9及び製氷室10は、冷蔵庫本体1の上から2段目において左右に並べて配置されている。このため、図1においては、これらの切替室9及び製氷室10が図面に向かって奥行き方向に重なっている。切替室9は、使用者が操作パネル5を操作することにより、予め定められた複数の設定温度のうちから所望の温度を選択し、室内の温度を切り替えることができる。
【0016】
切替室9及び製氷室10の1つ下段、すなわち、冷蔵庫本体1の上から3段目には、野菜室12が配置されている。野菜室12は、主に果菜類、葉菜類、根菜類等の野菜、果物等を収納するためのものである。野菜室12の1つ下段、すなわち、冷蔵庫本体1の最下段には、冷凍室11が配置されている。冷凍室11は、主に貯蔵対象を比較的長期にわたって冷凍保存する際に用いるためのものである。
【0017】
冷蔵室7の正面部には、当該冷蔵室7を開閉するための冷蔵室扉7aが設けられている。冷蔵室扉7aは、例えば、両開き式の回転式の扉である。両開き式の冷蔵室扉7aは、右扉及び左扉により構成されている。冷蔵室扉7aの外側表面には、操作パネル5が設けられている。なお、冷蔵室扉7aは、他に例えば、片開き式の回転式の扉であってもよい。
【0018】
切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12は、例えば、それぞれ、引出し式の扉によって開閉される。これらの引出し式の扉は、各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに沿って冷蔵庫本体1の奥行方向にスライドできるようになっている。冷蔵庫の使用者は、引出し式の扉をスライドさせることで、切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12を開閉する。それぞれの貯蔵室の扉の内側には、扉を閉じた際に冷蔵庫本体1との間に隙間が生じないようにするため、シリコンゴムと磁石で構成されたパッキンが設けられている。
【0019】
切替室9内に食品等を収納できる切替室収納ケース21が設けられてもよい。製氷室10内に貯氷ケース22が設けられてもよい。製氷室10内には、冷蔵室7内にある給水タンクからの水を受けて自動で製氷する製氷皿が配置されている。貯氷ケース22は、製氷皿で製氷された後、製氷皿から離氷された氷を貯留する。また、冷凍室11内に食品等を収納できる冷凍室収納ケース23が設けられてもよい。
【0020】
この実施の形態に係る冷蔵庫本体1においては、野菜室12内に野菜室上ケース24及び野菜室下ケース25が設けられている。野菜室下ケース25は、野菜室扉12aのフレーム(図示せず)によって支持されている。野菜室下ケース25の上側には、野菜室上ケース24が載置されている。野菜室扉12aを前方へと引き出すと、野菜室下ケース25及び野菜室上ケース24が野菜室扉12aと一体となって前方へと引き出される。野菜室扉12aを引き出した状態で、野菜室上ケース24だけを後方へスライドすると、野菜室下ケース25だけが引き出された状態となる。野菜室下ケース25だけが引き出された状態では、野菜室下ケース25に食品を出し入れすることができる。野菜室上ケース24は、例えば,ナス、パセリ等の小物野菜の収納に適している。野菜室下ケース25は、例えば、キャベツ、白菜、大根等の大物野菜、あるいは、大型のペットボトル等の収納に適している。
【0021】
なお、冷蔵庫本体1に備えられた貯蔵室の数、貯蔵室の配置、貯蔵室を開閉するための扉の構成等は、以上で説明した例に限定されるものではない。例えば、冷蔵室7を開閉するための扉は、スライド式であってもよい。また、切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12を開閉するための扉は、回転式であってもよい。
【0022】
冷蔵庫本体1は、各貯蔵室へ供給する空気を冷却するための冷凍機構として、圧縮機2、冷却器3、送風機4及び風路18等を備える。圧縮機2及び冷却器3は、図示を省略している凝縮器及び絞り装置等とにより、冷凍サイクルを構成している。圧縮機2は、冷凍サイクル内の冷媒を、圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって、各貯蔵室へ供給する空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、図1に示すように、冷蔵庫本体1の背面側の下部に配置される。
【0023】
風路18は、冷凍サイクルによって冷却された空気を各貯蔵室へ供給するためのものである。風路18は、例えば、冷蔵庫本体1の背面側に配置されている。冷凍サイクルを構成している冷却器3は、この風路18内に設置される。また、風路18内には、冷却器3で冷却された空気を各貯蔵室へ送るための送風機4も設置されている。
【0024】
送風機4が動作すると、冷却器3で冷却された空気、すなわち冷気が、風路18を通って、冷凍室11、切替室9、製氷室10及び冷蔵室7へ送られる。これにより、冷凍室11、切替室9、製氷室10及び冷蔵室7の各貯蔵室内が冷却される。また、野菜室12には、冷蔵室7から戻った冷気が図示しない戻り風路を介して導入される。これにより、野菜室12内が冷却される。野菜室12を通過した空気は、冷却器3が設置されている風路18内へと戻される。風路18内へと戻された空気は、再び冷却器3によって冷却され、冷蔵庫本体1内を循環する。
【0025】
また、風路18からそれぞれの貯蔵室へと通じる中途の箇所には、ダンパが設けられている。このダンパは、図1では図示を省略している。各ダンパの開閉状態が変化することで、各貯蔵室へと供給される冷気の風量が調節される。貯蔵室へと供給される冷気の風量は、送風機4の運転が制御されることによっても調節される。また、各貯蔵室へと供給される空気の温度は、圧縮機2の運転が制御されることで調節される。
【0026】
各貯蔵室には、内部の温度を検出するサーミスタが設置される。前述したダンパ、送風機4及び圧縮機2は、サーミスタの検出結果に基いて制御される。ダンパ、送風機4及び圧縮機2は、各貯蔵室内の温度が予め設定された設定温度になるように制御される。この実施の形態において、以上のように設けられた圧縮機2と冷却器3とを含む冷凍サイクル回路、送風機4、風路18及びダンパは、貯蔵室の内部を冷却する冷却手段の一例である。
【0027】
冷蔵庫本体1は、制御装置6を備えている。制御装置6は、例えば、図1に示すように、冷蔵庫本体1の背面側の上部に設けられる。制御装置6には、冷蔵庫本体1の動作を制御するための制御回路等が備えられている。制御装置6の各機能は、この制御回路によって実現される。
【0028】
図2は、この実施の形態に係る冷蔵庫本体1の制御系統の要部構成を機能的に示すブロック図である。制御装置6の制御回路には、例えば、プロセッサ6a及びメモリ6bが備えられている。制御装置6は、メモリ6bに記憶されたプログラムをプロセッサ6aが実行することによって予め設定された処理を実行し、冷蔵庫本体1を制御する。
【0029】
プロセッサ6aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ6bには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0030】
なお、制御装置6の制御回路は、例えば、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御装置6の制御回路の一部が専用のハードウェアとして形成され、かつ、当該制御回路にプロセッサ6a及びメモリ6bが備えられていてもよい。一部が専用のハードウェアとして形成される制御回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又は、これらを組み合わせたもの等が該当する。
【0031】
また、制御装置6は、通信部6cを備えている。通信部6cは、冷蔵庫本体1の制御装置6が外部機器との通信を行うための回路である。冷蔵庫本体1と通信する外部機器として、図2では、端末装置61及びサーバ装置62を図示している。端末装置61は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PC等である。サーバ装置62は、冷蔵庫本体1が設置された建物内に設置されていてもよいし、冷蔵庫本体1が設置された建物の外部に設置されていてもよい。冷蔵庫本体1が設置された建物の外部にサーバ装置62が設置されている場合、サーバ装置62と制御装置6との通信は、例えば、インターネット等の通信ネットワークを介して行ってもよい。
【0032】
操作パネル5は、入力部5a及び表示部5bを備えている。入力部5aは、各貯蔵室の保冷温度等を設定するための操作スイッチ等である。表示部5bは、各貯蔵室の温度等の各種情報を表示する液晶ディスプレイ等である。操作パネル5は、使用者に報知するための表示ランプ、スピーカ等をさらに有してもよい。また、操作パネル5は、入力部5aと表示部5bの液晶表示部を兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。入力部5aは、使用者による当該入力部5aの操作に応じた信号を制御装置6へ出力する。そして、制御装置6には、操作パネル5の入力部5aからの信号が入力される。また、制御装置6は、操作パネル5の表示部5bに表示制御信号を出力し、表示部5bの動作を制御する。
【0033】
図2では図示を省略しているが、制御装置6には、各貯蔵室の内部の温度を検出するサーミスタから信号が入力される。制御装置6は、入力された信号に基づいて、各貯蔵室内が設定された温度に維持されるように、圧縮機2、冷却器3及び送風機4の動作並びに各ダンパの開度等を制御する処理を実行する。なお、図2では、各ダンパの図示を省略している。
【0034】
この実施の形態に係る冷蔵庫は、機能ユニット30、ユニット設置ホルダー40及びタグ読取装置50を備えている。図3に示す構成例では、野菜室下ケース25に3つのユニット設置ホルダー40として、第1ユニット設置ホルダー40a、第2ユニット設置ホルダー40b及び第3ユニット設置ホルダー40cが設けられている。本開示においては、第1ユニット設置ホルダー40a、第2ユニット設置ホルダー40b及び第3ユニット設置ホルダー40cを区別せず総称する場合に、ユニット設置ホルダー40という。図示の例では、野菜室下ケース25の一側の内面に第1ユニット設置ホルダー40aが設けられている。そして、野菜室下ケース25の他側の内面に第2ユニット設置ホルダー40b及び第3ユニット設置ホルダー40cが設けられている。
【0035】
ユニット設置ホルダー40は、機能ユニット30を着脱自在に保持可能である。ユニット設置ホルダー40は、貯蔵室である野菜室12の内部における予め設定された着脱位置に配置されている。したがって、機能ユニット30は、貯蔵室内の予め設定された着脱位置に着脱可能に設けられる。
【0036】
図2に示すように、機能ユニット30は、機能提供部31及びICタグ32を備えている。機能提供部31は、予め設定された機能を提供するためのものである。機能提供部31が提供する機能は、貯蔵室内での食品保存に有益な効能を与えるものである。機能ユニット30として、具体的に例えば、可視光照射機能ユニット30a、調湿機能ユニット30b、エチレン除去機能ユニット30c、紫外線照射機能ユニット30d及び脱臭機能ユニット30e等が挙げられる。
【0037】
可視光照射機能ユニット30aは、機能提供部31として可視光照射部31aを備えている。可視光照射部31aは、可視光領域の波長の光を照射可能である。可視光照射部31aが照射する可視光の波長は、例えば、青色、赤色等のクロロフィルを刺激する作用を有するものにする。可視光照射部31aは、そのような波長含む光を発する光源として例えばLED等を有している。
【0038】
調湿機能ユニット30bは、機能提供部31として調湿部31bを備えている。調湿部31bは、例えば、炭酸カルシウムである卵殻と、二酸化ケイ素である珪藻土とを含んでいる。卵殻は多孔質状となっており、高湿時は水分を吸収することで結露を抑制し、低湿時は吸収した水分を放出することで貯蔵室内の湿度を維持する。調湿部31bは、例えば、粉砕した卵殻と珪藻土とを混合して焼成することで製造される。
【0039】
エチレン除去機能ユニット30cは、機能提供部31としてエチレン除去部31cを備えている。エチレン除去部31cは、例えば、活性炭、ゼオライト等の多孔質材料を有し、エチレンを吸着して除去できる。また、エチレン除去部31cは、他に例えば、過マンガン酸カリウム等によりエチレンを分解したり、パラジウム等の触媒によってエチレンを分解したりして除去するものであってもよい。
【0040】
紫外線照射機能ユニット30dは、機能提供部31として紫外線照射部31dを備えている。紫外線照射部31dは、紫外線領域の波長の光を照射可能である。紫外線照射部31dが照射する紫外線の波長は、例えば、野菜の抗酸化物質生成機能を活性化する作用を有するもの、あるいは、肉、魚等のたんぱく質を分解してアミノ酸を増量させる作用を有するもの等にするとよい。紫外線照射部31dは、そのような波長含む光を発する光源として例えばLED等を有している。
【0041】
脱臭機能ユニット30eは、機能提供部31として脱臭部31eを備えている。脱臭部31eは、活性炭、高吸水性ポリマー等による臭気物質の吸着、光触媒による臭気物質の分解等により臭気物質を除去できる。なお、機能ユニット30は、以上の他に例えば、抗菌作用を有する抗菌機能ユニット等であってもよい。
【0042】
また、例えば、可視光照射機能ユニット30a、紫外線照射機能ユニット30d等では、機能提供部31が機能を発揮するために、機能提供部31を駆動等するための電力が必要である。このような場合、機能ユニット30は、機能提供部31を駆動等するための電源となる電池を内蔵していてもよい。あるいは、機能ユニット30をユニット設置ホルダー40に取り付けた際に、冷蔵庫本体1から機能ユニット30に非接触給電等で機能ユニット30の機能提供部31に電力を供給してもよい。
【0043】
ICタグ32は、識別情報を予め記憶した記憶部である。記憶部であるICタグ32に記憶される識別情報は、当該機能ユニット30の機能提供部31が提供する機能を一意に特定可能な情報である。例えば、可視光照射機能ユニット30aのICタグ32には、当該機能ユニット30が可視光照射機能を有することを示す識別情報が記憶されている。
【0044】
タグ読取装置50は、予め設定された読み取り可能範囲にある機能ユニット30のICタグ32に記憶されている識別情報を非接触で読み取り可能である。以降の説明においては、タグ読取装置50が、機能ユニット30のICタグ32に記憶されている識別情報を読み取ることを、機能ユニット30のICタグ32を読み取る、ともいう。タグ読取装置50は、ユニット設置ホルダー40と同数設けられる。すなわち、図示の例では、3つのタグ読取装置50として、第1タグ読取装置50a、第2タグ読取装置50b及び第3タグ読取装置50cが設けられている。本開示においては、第1タグ読取装置50a、第2タグ読取装置50b及び第3タグ読取装置50cを区別せず総称する場合に、タグ読取装置50という。
【0045】
図3に示す構成例では、タグ読取装置50は、野菜室12内の側壁に設けられている。タグ読取装置50は、野菜室12内の側壁における、野菜室扉12aを閉じた状態で野菜室下ケース25のユニット設置ホルダー40に対向する位置に配置されている。すなわち、第1タグ読取装置50aは、野菜室扉12aを閉じた状態で第1ユニット設置ホルダー40aに対向する位置に配置されている。同様に、第2タグ読取装置50bは、野菜室扉12aを閉じた状態で第2ユニット設置ホルダー40bに対向する位置に配置されている。そして、第3タグ読取装置50cは、野菜室扉12aを閉じた状態で第2ユニット設置ホルダー40bに対向する位置に配置されている。
【0046】
第1タグ読取装置50aは、野菜室扉12aを閉じた状態で第1ユニット設置ホルダー40aに取り付けられた機能ユニット30のICタグ32を読み取り可能である。同様に、第2タグ読取装置50bは、野菜室扉12aを閉じた状態で第2ユニット設置ホルダー40bに取り付けられた機能ユニット30のICタグ32を読み取り可能である。そして、第3タグ読取装置50cは、野菜室扉12aを閉じた状態で第3ユニット設置ホルダー40cに取り付けられた機能ユニット30のICタグ32を読み取り可能である。タグ読取装置50は、前述した着脱位置に取り付けられた機能ユニット30の記憶部(ICタグ32)に記憶されている識別情報を読み取る読取手段である。
【0047】
それぞれのユニット設置ホルダー40には、使用者が所望する任意の機能ユニット30を取り付けることができる。これにより、冷蔵庫本体1の貯蔵室内における使用者の所望する位置に、使用者が所望する機能を付加することができる。また、制御装置6は、タグ読取装置50が読み取った識別情報を取得することで、冷蔵庫本体1のどの貯蔵室内のどの位置にどの機能を有する機能ユニット30が取り付けられているのかを把握でき、機能ユニット30の種類及び設置箇所に応じた情報表示等の各種制御が可能である。
【0048】
図3に示す例では、第1ユニット設置ホルダー40aには可視光照射機能ユニット30aが取り付けられている。そして、可視光照射機能ユニット30aの近傍に、キャベツ、白菜等のある程度長く保存する葉物野菜を置く。これにより、保存中に野菜の光合成機能を活性化して野菜に含まれる糖、抗酸化物質を増量することができる。第2ユニット設置ホルダー40bには調湿機能ユニット30bが取り付けられている。調湿機能ユニット30bの近傍に、光照射は必要ないが乾燥による劣化を抑制したいもの、例えばキノコ、モヤシ、買ってきた当日に食べる予定の葉物野菜等を置くことで、これらの食品の乾燥を防ぎ鮮度を保持できる。第3ユニット設置ホルダー40cにはエチレン除去機能ユニット30cが取り付けられている。エチレン除去機能ユニット30cの近傍には、長く少しずつ食べるもの、例えばリンゴ等を置くとよい。リンゴは自身が生成するエチレンで劣化が進むが、エチレン除去機能ユニット30cによりエチレンを除去することで劣化を抑制できる。
【0049】
図4に示すのは、機能ユニット30、ユニット設置ホルダー40及びタグ読取装置50の別の配置例である。同図に示す例では、野菜室上ケース24の上方、野菜室12内の天井面に第1ユニット設置ホルダー40a及び第1タグ読取装置50aが設けられている。また、野菜室下ケース25の奥側の面である背面には、第2ユニット設置ホルダー40b及び第3ユニット設置ホルダー40cが設けられている。そして、第2タグ読取装置50b及び第3タグ読取装置50cは、野菜室12内の奥側の面である背面に配置されている。
【0050】
図4に示す例では、第1ユニット設置ホルダー40aに紫外線照射機能ユニット30dが取り付けられている。そして、紫外線照射機能ユニット30dの近傍の野菜室上ケース24内には、パセリ、チコリ等の小物の葉物野菜、あるいは、ピーマン、ナス等を置くとよい。これにより、これらの野菜の保存中に抗酸化物質生成機能を活性化し、抗酸化物質を増量することができる。第2ユニット設置ホルダー40bには脱臭機能ユニット30eが取り付けられている。また、第3ユニット設置ホルダー40cには可視光照射機能ユニット30aが取り付けられている。これにより、下ケースの奥という空気が滞留しやすく臭気がたまりやすい場所の臭いを除去しつつ、キャベツ、白菜等の大型野菜に対し、保存中の光合成機能を活性化して野菜に含まれる糖、抗酸化物質を増量することができる。
【0051】
図5に示すのは、機能ユニット30、ユニット設置ホルダー40及びタグ読取装置50の、さらに別の配置例である。同図に示すように、野菜室下ケース25の内部は、仕切りにより複数の区画に分割されていてもよい。同図に示す例では、野菜室下ケース25が前後に仕切られており、最も手前側のペットボトル等を主に収納するスペースと、野菜室上ケース24が蓋となる奥側の野菜収納スペースとに分割されている。そして、奥側の野菜収納スペースは、左右に大きく仕切られた上で、一方のスペースはさらに前後に仕切られている。
【0052】
このようにして、奥側の野菜収納スペースは3つに仕切られており、それぞれのスペースにユニット設置ホルダー40及びタグ読取装置50が設けられている。例えば、左手前の第1ユニット設置ホルダー40aには可視光照射機能ユニット30aを取り付け、当該スペースに葉物野菜を収納する。また、左奥の第2ユニット設置ホルダー40bには調湿機能ユニット30bを取り付け、当該スペースにはレンコン、ニンジン等の小型で適度な湿度を保つ必要がある野菜を入れる。そして、右側の第3ユニット設置ホルダー40cにも調湿機能ユニット30bを取り付ける。当該スペースには、ダイコン、ゴボウ、カボチャ等の大型で適度な湿度を保つ必要がある野菜を入れる。
【0053】
このようにすることで、それぞれの機能ユニット30の作用が及ぶ範囲を明確に分け、機能ユニット30による有益な作用を、より得やすくできる。なお、仕切りは、可動式にして各スペースの広さを変更できるようにしてもよい。また、仕切りを着脱式にして、スペースの分割数を変更できるようにしてもよい。これにより、例えば葉物野菜の多い冬から春、果菜類の多い夏、根菜類の多い秋から冬等、季節及び収納する食品の量に応じて収納スペースの大きさを調節できる。
【0054】
機能ユニット30は、互いに機能が異なる複数の機能提供部31を備えてもよい。図6及び図7に示すのは、1つの機能ユニット30が2つの機能提供部31を有する例である。これらの図に示す例では、可視光-調湿ハイブリッド機能ユニット30fは、2つの機能提供部31として、可視光照射部31aと調湿部31bとを備えている。調湿部31bは、通電することで一面側で除湿し、他面側で加湿する固体電解質膜からなる除加湿膜である。可視光-調湿ハイブリッド機能ユニット30fは、表裏利用型の機能ユニットであり、図6に示すように、例えば、収納スペースの仕切りを貫通して設けられたユニット設置ホルダー40に取り付けて使用される。可視光照射部31aが可視光を照射する側を調湿部31bが加湿する側とする。そして、可視光を照射し、かつ、加湿する側の収納スペースには葉物野菜を収納する。一方、調湿部31bが除湿する側の収納スペースには、ジャガイモ、玉ねぎ等、風通しの良い冷暗所保存、すなわち、湿気のこもらない場所での保存が望ましい野菜を入れる。1つの機能ユニット30に電源が必要な複数の機能を持つことで、電源が1つで済み、設置場所もコンパクト化できる。これは、他の電源が必要な機能であってもよく、また、電源を必要としない機能提供部31であっても一体型の機能ユニット30にすることで設置場所のコンパクト化を図ることができるのは同様である。
【0055】
なお、ユニット設置ホルダー40の個数と設置位置は上述の説明に固定されるものではなく、冷蔵庫使用者の利便性に基づく仕分け領域に応じた数と位置で設置するとよい。また、ユニット設置ホルダー40は、野菜室下ケース25等の収納ケースと一体成型で設けられてもよいし、収納ケースから分離可能に設けられてもよい。ユニット設置ホルダー40を収納ケースから分離可能にする場合、例えば、ユニット設置ホルダー40は、収納ケースの任意の箇所に磁石等で取り付けられるようにしてもよいし、収納ケースにユニット設置ホルダー40の取付箇所の示す凹み等を形成しておいてもよい。また、ユニット設置ホルダー40とタグ読取装置50とを一体に設けてもよい。
【0056】
また、機能ユニット30の作用が及ばない、すなわち、ユニット設置ホルダー40がない収納スペースを設けてもよい。そのような収納スペースには、例えばこんにゃく、塩蔵わかめ等、冷暗所が存在しなくなった住宅であるため仕方なく冷蔵庫に収納するが、密封されていたり脱水済みであったりするため、冷やす以上のことを必要としない食品を入れるスペースとして利用できる。
【0057】
また、機能ユニット30、ユニット設置ホルダー40及びタグ読取装置50を設ける貯蔵室は、野菜室12に限らない。他に例えば、冷蔵室7、チルド室8等、多様な食品を収納する貯蔵室に、機能ユニット30、ユニット設置ホルダー40及びタグ読取装置50を設けてもよい。一例として、チルド室8を野菜室12のように使う場合、例えば葉物野菜であれば光合成機能を刺激する可視光照射機能ユニット30aを使用し、十分に熟したイチゴであればそれ以上熟して味が落ちないようエチレン除去機能ユニット30cを使用するとよい。また、他に例えば、チルド室8内に肉、魚、ナチュラルチーズが混在する場合は、生臭いにおいがチルド室8内に充満するので、脱臭機能ユニット30eを使用するとよい。魚でも干物がある場合は、たんぱく質を分解しアミノ酸を増量させるよう、その表面に紫外線を照射する紫外線照射機能ユニット30dを使用してもよい。
【0058】
この実施の形態に係る冷蔵庫においては、制御装置6は、読取手段であるタグ読取装置50が読み取った識別情報に応じて、操作パネル5の表示部5bに、どのような機能の機能ユニット30が取り付けられているかを表示させてもよい。この場合、操作パネル5の表示部5bは、読取手段が読み取った識別情報に応じた表示を行う表示手段である。
【0059】
例えば、制御装置6は、表示部5bに、図3から図5に示したような貯蔵室内の配置図を表示し、この表示図上に、どの機能ユニット30が取り付けられているのかを示してもよい。また、他に例えば、制御装置6は、表示部5bに、文字情報により「野菜室」等の貯蔵室名、「野菜室下ケース」等の収納ケース名、「右」、「左」、「手前」、「奥」等の収納ケースにおける位置、及び、「可視光照射」等のユニット機能名を適宜に組み合わせることで、どの貯蔵室のどの位置にどの機能ユニット30が取り付けられているのかを示してもよい。
【0060】
このような冷蔵庫によれば、冷蔵庫使用者は、どの貯蔵室内のどの位置にどの機能の機能ユニット30が取り付けられているのか、すなわち、取り付けられている機能ユニット30の種類及び設置箇所を容易に把握できる。そして、使用者が、冷蔵庫本体1の扉を開けなくても、貯蔵室内に収納されている食品の種類及び収納場所を想起する一助となる。
【0061】
この実施の形態に係る冷蔵庫においては、制御装置6は、読取手段であるタグ読取装置50が読み取った識別情報に応じて、前述した冷却手段の制御を変更してもよい。例えば、脱臭機能ユニット30e及びエチレン除去機能ユニット30cの一方又は両方が取り付けられている貯蔵室内は不要なガスがたまりやすいことが懸念されている。このため、制御装置6は、脱臭機能ユニット30e及びエチレン除去機能ユニット30cの一方又は両方が取り付けられている貯蔵室内に流入させる風量を多くする、あるいは、風量は変えないが風速を上げる等の制御を行ってもよい。
【0062】
また、同じ機能ユニット30が1つの貯蔵室の複数箇所に取り付けられている場合、制御装置6は、当該機能を必要とする青果物が当該貯蔵室内の多数を占めているものと判断して、冷却手段を制御してもよい。例えば、野菜室12に複数の可視光照射機能ユニット30aがついている場合、葉物野菜など光合成機能を刺激するとよいものが多く収納されているものとみなせる。この場合、制御装置6は、例えば、野菜室12全体を光照射タイミングに合わせて制御する。具体的には、光が照射されている時間帯は光合成機能の刺激をより活性化するために野菜室12の設定温度を10℃から15℃程度にする。これは、室温よりやや低いのが一般的な野菜室12の設定温度である5℃から10℃よりも高めの温度である。一方、光が照射されない時間帯は消耗を抑えるために、野菜室12の設定温度を野菜が凍らない程度の低温、具体的には-2℃から5℃程度にする。これにより、より保存中の栄養素増量効果を高くすることができる。他の機能ユニット30に関しても、適宜見合った制御を実施してもよい。
【0063】
この実施の形態に係る冷蔵庫システムにおいては、制御装置6の通信部6cは、読取手段であるタグ読取装置50が読み取った識別情報を、冷蔵庫本体1の外部に送信してもよい。この場合、通信部6cは、読取手段が読み取った識別情報を外部に送信する通信手段である。これにより、冷蔵庫本体1の外部にある端末装置61及びサーバ装置62において、冷蔵庫本体1の貯蔵室内に取り付けられている機能ユニット30の種類、設置箇所等の情報を活用できる。
【0064】
例えば、端末装置61は、通信部6cから送信された識別情報を受信する。そして、端末装置61は、受信した識別情報に応じて、当該端末装置61のディスプレイに情報を表示してもよい。この場合、端末装置61のディスプレイにおける表示内容は、冷蔵庫本体1の表示部5bにおける表示内容と同様である。すなわち、端末装置61は、通信部6cから送信された識別情報に応じて、当該端末装置61のディスプレイに、どのような機能の機能ユニット30が冷蔵庫本体1の貯蔵室内に取り付けられているかを表示させる。
【0065】
このような冷蔵庫システムよっても、冷蔵庫使用者は、どの貯蔵室内のどの位置にどの機能の機能ユニット30が取り付けられているのか、すなわち、取り付けられている機能ユニット30の種類及び設置箇所を容易に把握できる。そして、使用者が、冷蔵庫本体1の扉を開けなくても、貯蔵室内に収納されている食品の種類及び収納場所を想起する一助となる。
【0066】
また、サーバ装置62は、冷蔵庫本体1の冷却手段を制御する制御手段を備えていてもよい。そして、サーバ装置62の制御手段は、前述した冷蔵庫本体1の制御装置6と同様に、読取手段であるタグ読取装置50が読み取った識別情報に応じて、冷蔵庫本体1の冷却手段の制御を変更してもよい。この場合、サーバ装置62は、通信部6cから送信された識別情報を受信する。そして、サーバ装置62は、受信した識別情報に応じて、冷蔵庫本体1の冷却手段の制御を変更する。
【0067】
なお、端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれの機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサ及びメモリを備えていてもよい。処理回路は、専用ハードウェアであってもよい。処理回路の一部が専用ハードウェアとして形成され、かつ、当該処理回路はさらにプロセッサ及びメモリを備えていてもよい。
【0068】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェアである処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路が少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを備える場合、端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれの機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0069】
ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0070】
このようにして、端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれの処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれの各機能を実現することができる。端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれの処理回路が少なくともプロセッサ及びメモリを備える場合、端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれにおいてメモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行し、端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれのハードウェアとソフトウェアとが協働することによって、端末装置61及びサーバ装置62のそれぞれが備える各部の機能が実現される。なお、冷蔵庫システムは、単一のサーバ装置62により冷蔵庫本体1の動作が制御される構成に限定されるものではない。冷蔵庫本体1は、複数の装置が連携することで動作を制御されてもよい。
【0071】
この実施の形態に係る冷蔵庫及び冷蔵庫システムにおいては、制御装置6は、操作パネル5の表示部5bに、貯蔵室内の食品に応じて推奨する機能ユニット30に関する情報を表示させてもよい。また、端末装置61のディスプレイに、冷蔵庫本体1の貯蔵室内の食品に応じて推奨する機能ユニット30に関する情報を表示してもよい。使用者が貯蔵室内に収納する食品名等を、例えば操作パネル5の入力部5a又は端末装置61を操作して入力すると、制御装置6は、操作パネル5の表示部5bに、入力された食品について推奨する機能を有する機能ユニット30の名前等を表示させる。
【0072】
一例として、「キャベツ」と入力された場合、推奨する機能ユニット30として可視光照射機能ユニット30aが候補に挙がる。制御装置6は、操作パネル5の表示部5bに、推奨する機能ユニット30として「可視光照射機能ユニット」と表示させる。可視光照射機能ユニット30aが既に取り付けられている場合は、制御装置6は、操作パネル5の表示部5bに、可視光照射機能ユニット30aの取り付け場所を表示させてもよい。
【0073】
使用者が、それ以外の機能ユニット30を使いたい場合、例えば、「その他おすすめ」を選択することで、次点候補である調湿機能ユニット30bが挙げられる。また、冷蔵庫使用者が食品名を入力しなくても、例えば、購入履歴、冷蔵庫本体1に設けたカメラの映像等で食品の種類がわかる場合、適切な機能ユニット30をアドバイスしてもよい。例えば、葉物野菜のようにほとんどエチレンガスを放出しない野菜なのにエチレン除去機能ユニット30cを使用している場合は、「この野菜には可視光照射機能ユニットがよりオススメ」等のメッセージを冷蔵庫使用者に知らせたり、その利用頻度に応じて機能ユニット30の追加購入を勧めたりしてもよい。また、機能ユニット30の使用時間を計測し、交換時期等を冷蔵庫使用者に報知してもよい。このような情報を冷蔵庫使用者に提供することで、野菜保存に関する専門的な知識がなくとも複数ある機能ユニット30を有効に利用できるようになる。
【0074】
また、取り付けられている機能ユニット30の種類に応じて、当該機能ユニット30の機能提供部31による作用が及ぶ対象となる収納スペースの少なくとも一部に視覚的な変化を起こし、より区別しやすくしてもよい。例えば、各機能ユニット30の種類に応じて異なる色のLEDを設け点灯させてもよい。このようにすることで、使用者は、機能ユニット30の種類及び機能ユニット30の作用が及ぶ対象となる収納スペースを視覚的に把握できる。
【0075】
図8に示すように、冷蔵庫本体1は、着脱位置すなわちユニット設置ホルダー40から取り外された機能ユニット30を収納可能なユニット収納部70をさらに備えてもよい。これにより、未使用の機能ユニット30を定位置で保管できる。図8に示す構成例では、ユニット収納部70が冷蔵室7の最上段に設けられている。ユニット収納部70は、冷蔵室7の内壁面に設けたガイドに沿ってスライドさせて着脱できる。ユニット収納部70は機能ユニット30を個別に収納できるよう複数の個別スペースに仕切られており、個別スペース毎に密閉できるようになっている。これにより、調湿機能ユニット30b等の機能提供部31の劣化を抑制できる。なお、ユニット収納部70に保管されている未使用の機能ユニット30のICタグを読み取るタグ読取装置(図示せず)を設けてもよい。この場合、ユニット収納部70の個別スペース毎に機能ユニット30のICタグを読み取れるようにするとなおよい。
【0076】
なお、本開示においては、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態を任意に組み合わせてもよい。以下に、本開示の諸態様の例を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
貯蔵室が形成された冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室内の予め設定された着脱位置に着脱可能に設けられ、予め設定された機能を提供する機能提供部と、前記機能提供部が提供する機能を特定可能な識別情報を予め記憶した記憶部とを有する機能ユニットと、
前記着脱位置に取り付けられた前記機能ユニットの前記記憶部に記憶されている前記識別情報を読み取る読取手段と、を備えた冷蔵庫。
(付記2)
前記読取手段が読み取った前記識別情報に応じた表示を行う表示手段をさらに備えた付記1に記載の冷蔵庫。
(付記3)
前記表示手段は、前記貯蔵室内の食品に応じて推奨する前記機能ユニットに関する情報を表示可能である付記2に記載の冷蔵庫。
(付記4)
前記貯蔵室の内部を冷却する冷却手段と、
前記冷却手段を制御する制御手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記読取手段が読み取った前記識別情報に応じて、前記冷却手段の制御を変更する付記1から付記3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
(付記5)
前記読取手段が読み取った前記識別情報を外部に送信する通信手段をさらに備えた付記1に記載の冷蔵庫。
(付記6)
前記機能ユニットは、互いに機能が異なる複数の機能提供部を備えた付記1から付記5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
(付記7)
前記機能ユニットは、当該機能ユニットの前記機能提供部による作用が及ぶ対象となる収納スペースの少なくとも一部に視覚的な変化を起こすことが可能である付記1から付記7のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
(付記8)
前記着脱位置から取り外された前記機能ユニットを収納可能な収納部をさらに備えた付記1から付記7のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
(付記9)
付記5に記載の冷蔵庫と、
前記通信手段と通信可能に設けられた端末装置と、を備え、
前記端末装置は、前記通信手段から送信された前記識別情報に応じた表示が可能である冷蔵庫システム。
(付記10)
前記通信手段と通信可能に設けられたサーバ装置をさらに備え、
前記冷蔵庫は、前記貯蔵室の内部を冷却する冷却手段をさらに備え、
前記サーバ装置は、前記冷却手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記通信手段から送信された前記識別情報に応じて、前記冷却手段の制御を変更する付記9に記載の冷蔵庫システム。
(付記11)
前記端末装置は、前記貯蔵室内の食品に応じて推奨する前記機能ユニットに関する情報を表示可能である付記9又は付記10に記載の冷蔵庫システム。
【符号の説明】
【0077】
1 冷蔵庫本体
2 圧縮機
3 冷却器
4 送風機
5 操作パネル
5a 入力部
5b 表示部
6 制御装置
6a プロセッサ
6b メモリ
6c 通信部
7 冷蔵室
7a 冷蔵室扉
8 チルド室
9 切替室
10 製氷室
11 冷凍室
12 野菜室
12a 野菜室扉
18 風路
21 切替室収納ケース
22 貯氷ケース
23 冷凍室収納ケース
24 野菜室上ケース
25 野菜室下ケース
30 機能ユニット
30a 可視光照射機能ユニット
30b 調湿機能ユニット
30c エチレン除去機能ユニット
30d 紫外線照射機能ユニット
30e 脱臭機能ユニット
30f 可視光-調湿ハイブリッド機能ユニット
31 機能提供部
31a 可視光照射部
31b 調湿部
31c エチレン除去部
31d 紫外線照射部
31e 脱臭部
32 ICタグ
40 ユニット設置ホルダー
40a 第1ユニット設置ホルダー
40b 第2ユニット設置ホルダー
40c 第3ユニット設置ホルダー
50 タグ読取装置
50a 第1タグ読取装置
50b 第2タグ読取装置
50c 第3タグ読取装置
61 端末装置
62 サーバ装置
70 ユニット収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8