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特開2024-162018生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦システムなど
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162018
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦システムなど
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241114BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077153
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】523143475
【氏名又は名称】株式会社 海馬
(74)【代理人】
【識別番号】100183564
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 伸也
(72)【発明者】
【氏名】北村 勝利
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC18
5L050CC18
(57)【要約】
【課題】AIプロンプトエンジニアの技術を競う場を提供すると共にAIプロンプトエンジニアの技能を客観的に評価するための、生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦システムなどを提供する
【解決手段】生成の目標となる題材を含む題材情報1aに基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報2aを受け付ける受付手段2と、前記生成物の評価に関する評価情報3aを出力する評価手段3とを備える評価装置11と、前記生成物を生成している競技者12の映像よび/または前記生成物を生成している操作画面の画面表示を含む画面情報4aを取得する画面取得手段4と、画面情報4aを送信する送信手段5とを備える送信装置13とからなる、生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータからなり、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムであって、
生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付ける受付手段と、前記生成物の評価に関する評価情報を出力する評価手段とを備える評価装置と、
前記生成物を生成している前記競技者の映像よび/または前記生成物を生成している操作画面の画面表示を含む画面情報を取得する画面取得手段と、前記画面情報を送信する送信手段とを備える送信装置とからなる、
生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦のシステム。
【請求項2】
前記送信装置が、前記画面情報に前記生成物情報に関連する関連情報を付加する付加手段を備えている、請求項1記載の生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦のシステム。
【請求項3】
前記題材情報をインターネット上で公開する公開手段を備えている、請求項2記載の生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦システム。
【請求項4】
複数のコンピュータからなり、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムに用いる評価装置であって、
生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付ける受付手段と、
前記生成物の評価に関する評価情報を出力する評価手段とを備える、評価装置。
【請求項5】
前記題材情報をインターット上で公開する公開手段を備えている、請求項4記載の評価装置。
【請求項6】
前記題材が生成の目標とする画像とほぼ同様な画像を生成することであり、且つ、前記評価情報が前記題材情報と前記生成物情報とを数値解析して算出される類似度である、請求項4または5記載の評価装置。
【請求項7】
所定以上の類似度に対応する競技者を選別する選別手段をさらに備えており、
前記公開手段が、前記選別された競技者が競うための第2題材情報を公開し、
前記受付手段が、前記選別された競技者により生成される第2生成物情報を受け付け、
前記評価手段が、前記第2生成物情報の評価に関する第2評価情報を出力する、請求項6記載の評価装置。
【請求項8】
複数のコンピュータで実行され、且つ、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムに用いる方法であって、
生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付け、
前記題材を含む生成物の評価に関する評価情報を出力し、
前記競技者の端末から送信される前記競技者の映像および/または前記生成物を生成している操作画面の画面表示を含む画面情報を取得する、生成系AIによる生成物の評価および生成過程の観戦の方法。
【請求項9】
複数のコンピュータで実行され、且つ、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムに用いる評価方法であって、
生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付け、
前記生成物の評価に関する評価情報を出力する、評価方法。
【請求項10】
前記題材情報をインターネット上で公開する、請求項9記載の評価装置。
【請求項11】
前記題材が生成の目標とする画像とほぼ同様な画像を生成することであり、且つ、前記評価情報が前記題材情報と前記生成物情報とを数値解析して算出される類似度である、請求項9または10記載の評価方法。
【請求項12】
所定以上の類似度に対応する競技者を選別し、
前記選別された競技者が競うための第2題材情報を公開し、
前記選別された競技者により生成される第2生成物情報を受け付け、
前記第2生成物情報の評価に関する第2評価情報を出力する、請求項11記載の評価方法。
【請求項13】
前記題材情報から前記生成物情報を生成するのを予選とし、
前記第2題材情報から前記第2生成物情報を生成するのを次戦とする、請求項12記載の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦のシステムなどに関する。さらにはeスポーツを介する生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦のシステムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンピュータゲームを競技とする、いわゆるeスポーツの大会が開催されている。例えば、格闘系のゲーム(特許文献1参照)、パズル系のゲームなどを用いて、競技者がゲームの技能を競っている。
【0003】
近年、生成系AI(生成系人工知能(Generative AI))と呼ばれる技術が社会に拡大している。生成系AIとは、例えば、デジタルの生成物としての、画像や動画、音声や音楽、文章やコードなどを新たに生成するAIのことである。生成系AIにおいて、「・・のようなイラストを描いて」や「・・について教えて」のようなAIに対する指示のことをAIプロンプトまたは単にプロンプト(質問や指示)と呼んでいる。AIプロンプトによる指示には、何らかのコツがあるように、指示の仕方によってAIで生成される生成物(回答)は変わる。
またAIから意図した回答を得るためのAIプロンプトを作成する者をAIプロンプトエンジニアと呼ぶ。AIプロンプトエンジニアは、生成系AIの能力を最大限に活かすために、適切なプロンプトを作成し、AIから得られる回答や提案を分析・評価し、その結果に基づいて一層適切なAIプロンプトを設計する。このAIプロンプトを開発・最適化する学問はAIプロンプトエンジニアリングと呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-171282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、実際にやらせてみないと、その技能が把握しづらい技術・ノウハウというものがある。例えば、生成系AIの生成物(回答)の質はAIプロンプト(質問や指示)の質と量によって変化する。このためプロンプトの質や量が適切かどうかは、実際に生成系AIに入力してみないと分からない傾向にある。
他方、eスポーツの大会では、所定のルールの下、公衆の面前で競技が行われており、いわば客観的で公平に技量が評価されている。
【0006】
ここで、eスポーツとして、AIプロンプトの作成技術を競う場が提供できると、AIプロンプトエンジニアリングの普及に貢献でき、AIプロンプトエンジニアの育成を助け、優秀なAIプロンプトエンジニアの発掘に寄与できる。AIプロンプトエンジニアの雇用拡大に貢献でき、全体として、eスポーツと技能評価を併せた教育エンターテイメントとなり得る。
【0007】
そこで本発明は、AIプロンプトエンジニアの技術を競う場を提供すると共にAIプロンプトエンジニアの技能を客観的に評価するための、生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦のシステムなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦のシステムは、複数のコンピュータからなり、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムであって、生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付ける受付手段と、前記生成物の評価に関する評価情報を出力する評価手段とを備える評価装置と、前記生成物を生成している前記競技者の映像よび/または前記生成物を生成している操作画面の画面表示を含む画面情報を取得する画面取得手段と、前記画面情報を送信する送信手段とを備える送信装置とからなることを特徴としている。
【0009】
「生成過程」とは、競技者であるAIプロンプトエンジニアが、適切なプロンプトを作成し、AIから得られる回答や提案を分析・評価し、その結果に基づいて一層適切なAIプロンプトを再設計し、AIプロンプトを開発・最適化して生成物を生成する過程のことであり、それらに換算できる情報である。
【0010】
「題材情報」とは、競技者に生成系AIを用いて生成して欲しい物、生成して欲しい物のイメージまたは雰囲気、生成のための方向性を示すものであり、例えば、競技者が生成するためのお題やテーマとなる題材としての情報である。情報としては、テキスト、音声、画像、動画のそれぞれのデータまたはそれらのデータの複数の組み合わせである。具体的には、例えば、生成して欲しい画像や動画、音声や音楽、文章やプログラムのコードの情報を提示したり、さらには生成すべき画像や動画、音声や音楽、文章やプログラムを与えないで、それらの出来上がりの雰囲気、イメージを示唆したりする情報である。さらに上述した情報に換算できる情報を含む概念である。
【0011】
「生成物情報」とは、前記題材情報に基づいて競技者の作成したAIプロンプトに基づいて生成系AIにより生成された電子データの生成物に相当し、その生成物に換算できる情報を含む概念である。
【0012】
「評価情報」とは、生成物情報がどのぐらい題材情報に近づいているのか/題材情報に基づいているのかの度合いを示す情報である。例えば、題材情報として、具体的なテキスト、音声、画像、動画の情報が与えられた場合には、生成物情報の題材情報との類似の度合いを解析により数値化した類似度を評価情報とする。例えば、類似度は、複数の観点を解析してそれぞれ得られる。観点としては、例えば、題材情報が画像であるなら、構図、色彩、タッチ、形状などである。例えば、複数の観点におけるそれぞれの類似度の平均値を評価情報としたり、全ての観点におけるそれぞれの類似度を合計したものを評価情報としたり、その他公知の評価に関する技術を用いて評価情報とする。また類似度の他に、第三者による投票数、専門家による選択を数値化した数値情報に基づいたものでもよい。また類似度と数値情報を加えて評価情報としてもよい。評価情報は、前述した類似度および/または数値情報に換算できる情報を含む概念である。
【0013】
「画面情報」とは、競技者の競技している様子を示す画像の情報および/または競技者が操作している操作画面の画面表示の情報であり、それらに換算できる情報を含む概念である。なお画像としては、動画像としてもよいし、所定時間送りの画像としてもよい。
【0014】
・「受付手段」は、実施形態では工程S3-S4(図5参照)が対応する。
・「評価手段」は、実施形態では工程S5(図5参照)が対応する。
・「画面取得手段」は、実施形態では工程T1-T2(図8参照)が対応する。
・「送信手段」は、実施形態では工程T3(図8参照)が対応する。
【0015】
(2)このような生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦システムは、前記送信装置が、前記画面情報に前記生成物情報に関連する関連情報を付加する付加手段を備えているのが好ましい。
【0016】
「関連情報」とは、視聴者向けに送信される画面情報に関連する情報を付加するものであり、競技者が競っている技術、テクニック、ノウハウを解説するための情報を含み、それらに換算できる情報を含む概念である。
・「付加手段」は、実施形態では工程T2(図8参照)が対応する。
【0017】
(3)また前記題材を含む題材情報をインターネット上で公開する公開手段を備えているのが好ましい。
【0018】
・「公開手段」は、実施形態では工程S1(図5参照)が対応する。
【0019】
(4)本発明の評価装置は、複数のコンピュータからなり、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムに用いる評価装置であって、生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付ける受付手段と、前記生成物の評価に関する評価情報を出力する評価手段とを備えることを特徴としている。
【0020】
(5)このような評価装置は、前記題材情報をインターット上で公開する公開手段を備えているのが好ましい。
【0021】
(6)また前記題材が生成の目標とする画像とほぼ同様な画像を生成することであり、且つ、前記評価情報が前記題材情報と前記生成物情報とを数値解析して算出される類似度であるのが好ましい。
【0022】
(7)また所定以上の類似度に対応する競技者を選別する選別手段をさらに備えており、前記公開手段が、前記選別された競技者が競うための第2題材情報を公開し、前記受付手段が、前記選別された競技者により生成される第2生成物情報を受け付け、前記評価手段が、前記第2生成物情報の評価に関する第2評価情報を出力するのが好ましい。
・「選別手段」は、実施形態では工程S3(図4参照)が対応する。
【0023】
(8)本発明の生成系AIによる生成物の評価および生成過程の観戦の方法は、複数のコンピュータで実行され、且つ、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムに用いる方法であって、生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付け、前記題材を含む生成物の評価に関する評価情報を出力し、前記競技者の端末から送信される前記競技者の映像および/または前記生成物を生成している操作画面の画面表示を含む画面情報を取得することを特徴としている。
【0024】
(9)本発明の評価方法は、複数のコンピュータで実行され、且つ、競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムに用いる評価方法であって、生成の目標となる題材を含む題材情報に基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報を受け付け、前記生成物の評価に関する評価情報を出力することを特徴としている。
【0025】
(10)このような評価方法は、前記題材情報をインターネット上で公開するのが好ましい。
【0026】
(11)また前記題材が生成の目標とする画像とほぼ同様な画像を生成することであり、且つ、前記評価情報が前記題材情報と前記生成物情報とを数値解析して算出される類似度であるのが好ましい。
【0027】
(12)また所定以上の類似度に対応する競技者を選別し、前記選別された競技者が競うための第2題材情報を公開し、前記選別された競技者により生成される第2生成物情報を受け付け、前記第2生成物情報の評価に関する第2評価情報を出力するのが好ましい。
【0028】
(13)また前記題材情報から前記生成物情報を生成するのを予選とし、前記第2題材情報から前記第2生成物情報を生成するのを次戦とするのが好ましい。
【0029】
(14)また前記競技者を特定する特定情報を取得し、対応する前記評価情報に紐付けて記憶部に記憶する特定情報手段を備えているのが好ましい。
【0030】
・「特定情報手段」は、実施形態では工程S6(図5参照)が対応する。
・「特定情報」とは、競技者を特定するための情報であり、例えば、ID、ユーザネーム、氏名、マイナンバ、年金番号、免許証の番号、顔を含む身体的な特徴などの人物を特定できる情報であり、それらに紐付いた情報や、それらに換算できる情報を含む概念である。
【0031】
(15)また前記生成物情報を作成した前記AIプロンプトを含む指示情報を取得し、前記生成物情報に紐付けて記憶部に記憶する記憶部する指示情報手段を備えているのが好ましい。
【0032】
・「指示情報」とは、プロンプトと呼ばれる生成系AIに対するテキスト情報の指示または命令であり、さらに音声で入力してテキストに変換されるものを含み、それに換算できる情報を含む概念である。
・「指示情報手段」は、実施形態では工程S6(図5参照)が対応する。
【発明の効果】
【0033】
生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦システムなどは、AIプロンプトエンジニアの技術を客観的に評価しつつ、eスポーツのエンターテイメントとして第三者を楽しませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】競技者のAIプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するためのシステムの概略図である。
図2図1に示すシステムの一実施形態を示す機能ブロック図である。
図3】評価装置および配信装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。
図4】競技者端末および視聴者端末のハードウェア構成の一例を示す概略図である。
図5】評価装置および競技者端末の処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。
図6】人物情報データベースのデータ構造の一例を示す概略図である。
図7】ルール条件のデータ構造の一例を示す概略図である。
図8】競技者端末、送信装置および視聴者端末の処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[1.概略説明]
(システム10)
まず、図1を用いて生成系AIによる生成物の評価・生成過程の観戦のシステム(以下、単にシステムという。)を説明する。図1にはシステム10を示している。システム10では、まず競技者には所定のお題が与えられる、お題に基づいて競技者12はAIプロンプトを設計する、設計されたAIプロンプトにより生成系AI(生成系人工知能(Generative AI))16に生成物を生成させる、生成された生成物を評価する、その上で、前記AIプロンプトの設計および生成物の生成過程はインターネット上に配信され、視聴者がeスポーツとして観戦する、というものである。
なお以後の説明において、AIプロンプト、AIプロンプトエンジニアリングおよびAIプロンプトエンジニアについて、それぞれ単に、プロンプト、プロンプトエンジニアリングおよびプロンプトエンジニアと呼ぶ。
【0036】
生成物の生成過程を観戦するeスポーツの大会として、プロンプトの作成技術を競う場を提供すると、プロンプトエンジニアリングの普及に貢献でき、プロンプトエンジニアの育成を助け、優秀なプロンプトエンジニアの発掘に寄与できる。同時に、大会を通じて、プロンプトエンジニアのプロンプト技能を第三者評価できると、プロンプトエンジニアの雇用拡大に貢献でき、全体として、eスポーツと技能評価を併せた教育エンターテイメントとなり得る。
【0037】
システム10では、競技者12が操作している競技者端末15、競技者端末から指示を受ける生成系AI16、生成系AIで生成された生成物を評価する評価装置11、競技者端末15の表示画面を送信する送信装置13および表示画面が送信される視聴者14の聴者端末17が、通信ネットワーク18を介して通信可能に接続されている。
【0038】
(競技の種類)
競技の種類としては、例えば、以下の種類の生成物の生成が想定される。なおこれら以外の種類であってもよい。
・Text-to-COMICとしての「AI漫画(例えば4コマ漫画」)
・Text-to-Imageとしての「商品写真/ロゴ」
・Text-to-MUSICとしての「AI作曲」
・Text-to-VIDEOとしての「AI動画」
・Text-to-TEXTとしての「AI生成プログラミング」
・Text-to-Imageとしての「画像生成AI」
・Text-to-Photoとしての「写真アート」
【0039】
(お題のタイプ)
お題のタイプとしては、明確なゴール(目標)を設定し、目標とほぼ同じものを生成するタイプと、曖昧な目標を提示し、自由に表現させるタイプとがある。
明確な目標を設定するタイプの場合、目標として例えば目標となる画像を提示し、その目標画像とほぼ同じ画像を生成させる。目標画像と生成画像との類似度はAIの画像認識により処理することができるので、評価を自動的に行うことができ、かつ、評価にかかる時間を短縮することができる。
一方で、曖昧な目標を提示するタイプの場合、競技者に自由に表現させるので、評価方法として、第三者、専門家またはスポンサーの投票数を加味して決定する。
【0040】
(通信ネットワーク18)
通信ネットワーク18は、例えば、インターネットの通信網であり、その他、携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0041】
(生成系AI16)
生成系AI16とは、例えば、デジタルの生成物としての、画像や動画、音声や音楽、文章やコードなどを新たに生成するAIのことである。本実施形態では、クラウドAIとして、クラウド上のサーバ装置で生成物を生成するための処理が行われている。なお競技者端末で処理を行うようにしてもよいし、処理の一部を競技者端末15で行うようにしてもよい。
生成系AI16は、例えば、インターネット上などに存在する既存の文章や画像イメージを大量に機械学習し、これに強化学習を組み合わせるなどして、一定レベルの品質の文章や画像を生成するものである。プロンプトと呼ばれる指示によって生成物を生成する。
【0042】
(プロンプト)
プロンプトは、生成系AIに対するテキスト情報の指示または命令である。競技者12はキーボードなどの入力装置を介してプロンプトを入力する。音声で入力し、テキストに変換して生成系AIに命令してもよい。
【0043】
[2.各構成]
(評価装置11)
図2に評価装置11の一実施形態を示す。評価装置11は、生成の目標となる題材を含む題材情報1aをインターネット(通信ネットワーク)18を介して公開する公開手段1と、生成物を含む生成物情報2aを受け付ける受付手段2と、生成物の評価に関する評価情報3aを出力する評価手段3とを主として備えている。
【0044】
(公開手段1)
公開手段1は、題材情報1aをインターネットを介して公に開示する。公開は評価装置11が所定のWEBページ上にアップロードして公開してもよいし、競技者12の予め登録された送信先に送信してもよい。題材情報1aは、テキスト、音声、画像、動画のそれぞれのデータまたはそれらのデータの複数の組み合わせである。
【0045】
(受付手段2)
受付手段2は、競技者12により作成された生成物情報1aを受信する。本実施形態では、例えば、競技者12により生成物情報1aが評価装置11に送信される。
【0046】
(評価手段3)
評価手段3は、生成物の評価に関する評価情報3aを出力する。評価は題材情報1aに照らし合わせて行われる。評価は、例えば、AIにより題材情報1aとの類似度を算出して行われる。また視聴者14の投票による投票数を集計して行ってもよい。さらにAIによる類似度と投票による投票数を組み合わせて、評価情報3aとしてもよい。
【0047】
(送信装置13)
送信装置13は、生成物を生成している競技者12の映像よび/または生成物を生成している操作画面の画面表示を含む画面情報4aを取得する画面取得手段4と、前記画面情報4aを送信する送信手段5とを主として備えている。
【0048】
(画面取得手段4)
画面取得手段4は、競技者端末15から画面情報4aを取得する。本実施形態では、例えば、競技者端末15により画面情報4aが送信装置13に送信される。
【0049】
(送信手段5)
送信手段5は、画像情報4aを視聴者端末17へ送信する。本実施形態では、インターネット18上に通信可能に接続された配信のためのサーバ(図示せず)に画像情報4aをアップロードする。視聴者14は、視聴者端末17を用いて、配信のためのサーバを介して画像情報4aを視聴する。視聴者14は、ほぼリアルタイムで画像情報4aを観戦してもよいし、リアルタイムに数分または数時間遅れて、または、競技後に前記配信のためのサーバに記憶されている画像情報4aをストリーミング再生により視聴してもよい。なおダウンロード再生して視聴してもよい。
【0050】
(付加手段6)
本実施形態では、さらに画面情報4aに生成物情報2aに関連する関連情報6aを付加する付加手段6を備えている。
【0051】
(競技者端末15、視聴者端末17)
競技者端末15、視聴者端末17は、本実施形態においては、例えば、パソコン(パーソナルコンピュータ)やスマートフォンである。なお、携帯電話、タブレット型端末などでもよい。
競技者端末15、視聴者端末17はそれぞれ表示部19a、入出力部19bを備えている。
【0052】
(表示部19a)
表示部19a(図4参照)としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、有機EL(EL:Electroluminescence)などの画面を表示する装置が用いられる。
【0053】
(入出力部19b)
入出力部19b(図4参照)としては、例えば、マイク、スピーカまたはキーボードである。キーボードの代わりに、マイクを介して音声でテキストを入力したり、表示部19aをタッチすることでテキストを入力したりしてもよい。入出力部19bは、競技者端末15、視聴者端末17に内蔵しているものや、外部機器として競技者端末15、視聴者端末17に接続するものでもよい。その他、入出力部は従来公知のものを採用することができる。
【0054】
(画像送信手段7)
競技者端末15は、画像送信手段7を備えている。画像送信手段7は、競技者12が表示部19aを介して操作している画面表示を画面情報7aとして送信する。本実施形態では、画面情報7aと共に競技者12の競技中の音声をマイク19bにより送信している。
【0055】
(投票手段8)
視聴者端末17は、投票手段8を備えている。投票手段8は投票情報8aを評価装置11に送信する。投票情報8aは投票数を含み、それに換算できる概念である。本実施形態では、評価装置11のWEBページにアクセスして投票している。なお投票用のサーバのWEBページにアクセスして投票してもよい。
【0056】
[3.ハードウェア構成]
次に図3及び図4用いて、評価装置11、送信装置12、競技者端末12および視聴者端末17のそれぞれのハードウェア構成を説明する。
【0057】
(評価装置11、送信装置12のハードウェア構成)
次いで、評価装置11のハードウェア構成を説明する。なお送信装置12のハードウェア構成は評価装置11のハードウェア構成とほぼ同じであるので、説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の評価装置11では、例えば、コンピュータを用いている。評価装置11はCPU(またはGPU)30を備えたものである。そのCPU30には、例えば、メモリ(以下、記憶部という。)31と、記憶デバイス32などを接続/読み込むための接続ポート33と、ネットワークを介して外部と通信するための通信回路34とがバスライン35を介して接続されている。記憶部31には、システム10を処理するための評価装置プログラム36(送信装置13には送信装置プログラム36a)が記憶されている。またブラウザプログラム37、さらにはOS38(オペレーティングシステム)が記憶されていてもよい。
【0058】
(競技者端末12、視聴者端末17のハードウェア構成)
競技者端末12、視聴者端末17のハードウェア構成は、前述の評価装置11のハードウェア構成とほぼ同じであるので、同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。本実施形態の競技者端末12では、例えば、コンピュータを用いている。
図4に示すように、競技者端末12のバスライン35には表示部19a、入出力部19bが接続されている。また競技者端末12のコンピュータの記憶部31には、システム10を処理するための競技者端末プログラム39(視聴者端末17には視聴者端末プログラム39a)が記憶されている。さらにブラウザプログラム37、さらにはOS38(オペレーティングシステム)が記憶されていてもよい。
【0059】
本実施形態では、装置プログラム36、36a及び端末プログラム39、39aは、それぞれOS38およびブラウザプログラム37の機能を利用して協働して動作してもよい。なお装置プログラム36、36a及び端末プログラム39、39aとして、それぞれブラウザプログラム37、OS38を利用せず、単独で動作するようにしてもよい。
【0060】
上述した装置プログラム36、36a及び端末プログラム39、39aのハードウェア構成では、図2の機能ブックス図に示す機能を、例えば、CPU30と装置プログラム36、36a及び端末プログラム39、39aとを用いて実現するようにしているが、その一部または全部をマイコンなどの論理回路、あるいは、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いてシーケンス制御してもよい。
【0061】
[4.プログラム]
(生成物を評価するまでのフローチャート)
図5は、システム10の評価装置11および競技者端末15でそれぞれ用いられる評価装置プログラム36および競技者端末プログラム39の処理の一実施形態を示すフローチャートである。図5は主に生成物を評価するまでのフローチャートである。フローチャートは、システム10に用いる評価方法40を示している。
【0062】
(S0:ユーザ登録)
本実施形態では、競技者12は競技の開始前に、視聴者14は視聴前に、ユーザ登録を行う。なお競技が開始した後・視聴した後に登録をしてもよいし、登録をせずに本システム10を利用してもよい。
【0063】
(ログイン登録)
システム10を利用しようとする競技者12、視聴者14は、それぞれの端末を通じて、登録用のサーバにユーザ登録するための登録フォームの送信を要請する。本実施形態では、例えば、WEBブラウザの機能を用いている。なお評価装置11または送信装置13を登録用のサーバとしてもよい。登録フォームには、ログイン処理に用いるユーザ名、パスワード、システム10で使用するハンドル名、ユーザ情報などが入力される。なおこれらの登録項目は、一度に登録してもよいし、その都度登録するようにしてもよい。サーバは登録フォームから入力された情報を取得する。登録フォームに記載された情報は、人物情報データベース(以下、人物情報DBという。)20(図6参照)として記憶部31に登録される。
【0064】
(人物情報DB20のデータ構造)
次いで図6に人物情報DB20のデータ構造を示す。図に示している人物情報DB20において、例えば、符号21はユーザの識別番号(ID)、符号22はユーザのメールアドレスなどの連絡先、符号23は評価情報、符号24は人物の属性に関する情報(属性情報)であり、役職、専門家、スポンサーなどに関する情報である。評価情報はユーザが競技者12として参加した場合に登録される(後に続く第3実施形態で説明する)。登録される評価情報は、最高得点を記録してもよいし、最新の得点で上書きするようにしてもよい。
【0065】
(ログイン処理)
ログインしようとする競技者12、視聴者14は、例えば、それぞれシステム10の端末プログラム39、39a(図3参照)を起動し、ログイン情報入力画面に登録したユーザ名、パスワードを入力する。サーバは、ユーザ登録のデータベース(図示せず)を参照し、送信されたユーザ名およびパスワードと同一の登録があるのか検索する。同一の登録がない場合は、ログイン情報の入力画面を表示し、再入力を促す。なおソーシャルログインと呼ばれる仕組みを用いて、ログインしてもよい。同一の登録が確認されると、システム10にログインする。競技者12がログインすると、生成物情報1a、画像情報4aを送信するための端末プログラム39(図4参照)が起動する。一方で視聴者14がログインすると、投票情報7aを送信するための端末プログラム39a(図4参照)が起動する。
【0066】
(S1:お題を公開する)
評価装置11のCPU30(図3参照)は、お題としての題材情報1aを所定の時刻が到来すると、インターネット12上に公開された所定のWEBページにアップロードする。競技者12は前記WEBページにアクセスして題材情報1aを確認する。本実施形態では、例えば、前記所定の時刻は、ルール条件25として記憶部31に記憶されている。
【0067】
(ルール条件25)
図7にルール条件25を示す条件テーブルのデータ構造を示す。図に示している条件テーブルは、複数の条件が予め記憶されている。図では、例えば、条件A、Bが示されている。設定される条件の項目としては、例えば、題材情報1aの公開ルール26、競技の開始ルール27、競技の終了ルール28、その他のルール29である。
【0068】
(公開ルール26)
公開ルール26は題材情報1aを公開するルールに関する。条件Aでは、公開用のWEBページへのアップロード時刻が記載されている。条件Bでは、公開時刻0:00が到来したら、予め登録された競技者12の連絡先22に題材情報1aを送信する。公開ルール26について、競技者12が題材情報1aを確認できる状態になれば、他の手法を用いてもよい。
【0069】
(S2:生成物を作成)
図5に戻って、競技者12は開始ルール27に基づいて競技を開始する。競技者12は、競技者端末15を介して生成系AI16から得られる回答や提案を分析・評価し、その結果に基づいて一層適切なAIプロンプトを競技者端末15を用いて設計する。競技者端末15は、競技者12により作成されたプロンプトに基づいて生成系AI16から生成物を取得する。
また後述するが、競技の開始に際し、競技者端末12は画面情報4aを送信装置13に送信する。
【0070】
(開始ルール27)
開始ルール27(図7参照)は、競技の開始についてのルールである。条件Aでは、公開とほぼ同時に競技を開始する。条件Bでは公開から所定の時間を空けて競技を開始する。時間を空けることにより、競技者12に準備時間を与え、事前準備の仕方を含めて競技者12の能力を評価する。開始ルール27は、競技者12に競技の開始が確認できれば、他のルールを用いてもよい。開始ルール27が守られているかどうかは、競技者12の画面情報4aから確認できる。開始時または開始前に画面情報4aが送信装置13に送信されるようにしてもよい。
【0071】
(S3:生成物を送信する、S4:受付けを終了する)
図5に戻って、競技者12は完成した生成物情報2aを評価装置11に送信する。このときプロンプトを含む指示情報42aを評価装置11に送信してもよい。
次いで評価装置11は、例えば、ルール条件25に基づいて生成物情報2aの受付けを終了する。
【0072】
(終了ルール28)
終了ルール28(図7参照)は、競技の終了についてのルールである。条件Aでは、終了の時間、すなわち所定の時間の経過または所定の時刻の到達により競技を終了する。本実施形態では、終了になると、評価手段3は生成物情報2aの受付けを止める。その他、生成物情報2aの端末15からの送信時間または評価装置11への受信時間を確認し、終了の時間を超えた生成物情報2aを次工程S5の処理に移行させないようにしてもよい。
条件Bでは、開始から5分後に終了する。短時間で作成させることで、即興における実力を図るためである。なお5分より短くても良いし、5分より長くしてもよい。長くする場合は、じっくり検討する力を図ることができる。一方で、視聴者14を飽きさせない程度の時間を設定するのがよい。
【0073】
(S5:生成物を評価する)
図5に戻って、評価装置11は生成物情報2aを評価する評価情報3aを出力する。本実施形態では、評価情報3aを競技者端末15に送る。なお評価情報3aを所定のWEBページ上で公開してもよいし、予め登録された送信先に送信してもよい。
【0074】
(類似度の数値解析)
本実施形態では、お題が、「公開された目標画像と類似する画像を生成する」、というものである。評価装置11は、題材情報1aと生成物情報2aの類似度を算出する。画像の類似度を算出するのにマッチングの手法が用いられる。マッチングは、あるパターン画像を画像全体の中から探し出す処理である。マッチングの手法には、例えば、テンプレートマッチングと特徴量マッチングとがある。なおマッチングの手法は特に限定されない。
本実施形態では、例えば、類似度の評価をするために特徴量のマッチングを行ってる。特徴量検出には、例えば、AKAZE(Accelarated KAZE)の手法を用いている。特徴量検出は、画像の中から特徴的な部分を抽出するものである。特徴量のマッチングには、例えば、総当たりマッチング(Bruet-Force Matcher)の手法が用いられる。
【0075】
(評価方法のその他)
類似度は、複数の観点を解析して取得するようにしてもよい。観点としては、例えば、題材情報が画像であるなら、色彩、タッチ、構図、形状などである。例えば、複数の観点におけるそれぞれの類似度の平均値を評価情報としたり、全ての観点におけるそれぞれの類似度を合計したものを評価情報としたり、その他公知の評価に関する技術を用いて評価情報としてもよい。
色彩の類似度は、例えば、比較する2つの画像のある画素の色差を画素の類似度とし、全ての画素に対して画素の類似度を算出し、全ての画素の類似度を合計して2つの画像の類似度としてもよい。
タッチの類似度は、例えば、比較する2つの画像の所定の画素から、線の太さの差を類似度として算出するものである。全ての画素に対して類似度を算出し、全ての類似度を合計して2つの画像の類似度を算出するというものである。
その他、構図、形状などについても従来公知の類似度の解析の手法を用いてもよい。
【0076】
また類似度の他に、第三者による投票数を数値化した投票情報7aに基づいて評価をしてもよい。投票による場合は、曖昧な目標(題材)を提示するタイプで、競技者に自由に表現させるタイプの評価に適している。曖昧とは、出来上がりの雰囲気、イメージ、それらを示唆し、具体的な指示をしないということである。また類似度と投票情報7aを加えて評価情報としてもよい。前記数値はログイン登録時に入力された属性情報24(図6参照)に基づいて、例えば、専門家またはスポンサーの投票について評価点が高くなるような重み付けをしてもよい。
【0077】
(視聴者が視聴/投票するまでのフローチャート)
図7は、システム10の送信装置13、競技者端末15および視聴者端末17でそれぞれ用いられる送信装置プログラム36a、競技者端末プログラム39および視聴者端末プログラム39aの処理の一実施形態を示すフローチャートである。図7は主に視聴者が投票するまでのフローチャートである。図5および図7で示しているフローチャートは、システム10に用いる観戦方法41を示している。
【0078】
(T1)競技者端末15は画像情報4aを送信する。送信装置13は画像情報4aを取得する。競技者12は、競技開始時または開始前に画面情報4aを送信装置に送信可能な状態にしておく。
【0079】
(T2)画像情報4aに関連情報6aを付加する。本実施形態では、例えば、関連情報4aとして、プロンプトエンジニアリングの専門家および/または司会者による音声情報、さらには専門家・司会者の映像情報を画面情報4aに付加する。
【0080】
(T3)送信装置13は関連情報6aが付加された画面情報4aをインターネット上の所定のサーバに公開する。視聴者14は視聴者端末17を介して前記サーバにアクセスして視聴する。なお送信装置13を関連情報6aが付加された画面情報4aの配信のためのサーバとしてもよい。
【0081】
(T4)視聴者14の入力に基づいた投票情報7aを評価装置11に送信する。本実施形態では、例えば、所定の投票用のWEBサーバからダウンロードされた投票用のWEBページを介して、視聴者14が評価すべき競技者12への投票である投票情報7aを評価装置11に送信する。
【0082】
[5.他の実施形態]
次にシステム10の他の実施形態を説明する。以下に説明する変形例及び他の実施形態は、前述したシステム10とほぼ同様であるので、同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
(システム10の変形例1)
システム10の変形例を説明する。変形例1では、評価装置11により題材情報1aを公開しない。例えば、ラジオ、テレビなどの第三者を介在させて公開する。さらに例えば、新聞・雑誌の紙面に印字された活字や写真を用いてデジタルデータ以外の手法で公開してもよい。
【0084】
(システム10の変形例2)
変形例2では、生成系AIに入力するためのプロンプトを、第2のプロンプトの入力に基づき第2の生成系AIにより生成している。競技者12は第2のプロンプトを設計している。例えば、生成系AI(例えば第1の生成系AIとする)16が画像生成をするものである場合に、第2の生成系AIで第1の生成系AIに入力すべきプロンプトを設計している。
なお第2の生成系AIに入力する第2プロンプトを第3の生成系AIで設計するといったように、次々と連鎖的に生成系AIを増やしてもよい。
【0085】
(システム10の変形例3)
変形例3では、視聴者端末17に投票手段8を備えていない。視聴者14の投票に頼らずに評価手段3で評価情報3aを出力する。例えば、お題が、「目的画像と同様の画像を生成せよ」の場合などには、評価手段3で類似度が数値解析により出力できるからである。
【0086】
(第2実施形態)
次にシステム10の他の実施形態を説明する。図2に戻って、第2実施形態にかかるシステム10aは、生成物情報1aを作成したプロンプトを含む指示情報42aを取得する指示情報手段42(二点鎖線参照)と、指示情報42aに、評価装置11から得られる生成物情報1aを紐付けて記憶する記憶部31とを備えている。
指示情報42aとは、プロンプトと呼ばれる生成系AIに対するテキスト情報の指示または命令であり、それに換算できる情報を含む概念である。
指示情報手段18による処理は、端末プログラム39a(図5参照)の工程S6に相当する。
【0087】
(第3実施形態)
次にシステム10のさらに他の実施形態を説明する。第3実施形態にかかるシステム10bは、競技者12を特定する特定情報43a(図6参照)を取得し、対応する評価情報3aに紐付けて記憶部31に記憶する特定情報手段43(二点鎖線参照)を備えている。
特定情報43aとは、競技者12を特定するための情報であり、人物特定DB20に記録されている情報である。例えば、ID、ユーザネーム、氏名の他、マイナンバ、年金番号、免許証の番号、顔を含む身体的な特徴などの人物を特定できる情報であり、それらに紐付いた情報や、それらに換算できる情報を含む概念である。
特定情報手段19による処理は、端末プログラム39a(図5参照)の工程S6に相当する。
【0088】
(第4実施形態)
次にシステム10の他の実施形態を説明する。第4実施形態にかかるシステム10cでは、評価装置11に選別手段9(二点鎖線参照)をさらに備えている。システム10cにおける題材は、目標とする画像とほぼ同様な画像を生成することである。さらにシステム10cにおける評価情報3aが題材情報1aと生成物情報2aとを数値解析して算出される類似度である。選別手段9は所定以上の類似度に対応する競技者12を選別する。選別手段9は評価情報3aと紐付けられた競技者12の特定情報43a(図6の符号23参照)に基づいて選別されるべき競技者12を特定する。
選別手段9による処理は、端末プログラム39a(図5参照)の工程S7に相当する。
【0089】
[5.競技方法]
(予選)
次いで、図2および図5を用いて、第4実施形態のシステム10cについて、さらに詳細に説明する。システム10cにおいては、まず、予選のお題として、「目標画像と同じような画像を生成する」が提示される。画像の類似の度合いは、AIの画像認識機能を利用して短時間で算出できる。このため予選において、多人数の技能を短時間で評価することができる。例えば、競技者12に3-5分間で画像を生成してもらい、数分で類似度を算出できると、観戦すべき競技として視聴者14の過度な負担を防止する。
【0090】
(複数の予選)
その後、評価情報3aの結果が所定以上の良好な競技者12を選別する。その後、予め定めた人数、例えば2~8人で決勝戦を行う。一方で、選別された競技者12により、再度、同じような予選を繰り返し、さらに技能が高い競技者12を選別してもよい。予選を複数回にする場合は、毎回が異なる観点となるようにしてもよい。さらに複数の予選で得た評価情報3aを合計し、または、合計したものを平均し、それぞれ成績順に競技者12を選別してもよい。
【0091】
(準決勝、決勝など)
準決勝、決勝では、曖昧な目標を提示するタイプのお題(第2題材情報)とすれば、競技者12が表現力を発揮した生成物(第2生成物情報)が生成されるのを促すことができる。表現力を評価する場合、投票による評価(第2評価情報)とするのがよい。さらに投票による評価を前述した類似度の評価の一部に用いてもよい。
【0092】
[6.その他]
上述の実施形態では、評価装置11と送信措置13とを別に設けているが、一体に設けてもよい。
前述の実施形態に、その他として記載した事項を、それぞれを適宜に組み合わせて用いることができる。
競技者端末15から生成物情報1aを評価装置11に送信する際に、競技者12を特定する情報を別途送信してもよい。なおログインしている場合はユーザの識別番号(ID)21が送信されている。
図5で示す工程S6と工程S7は逆の順番にしてもよい。
【0093】
[7.まとめ]
(1)(4)(8)(9)システム10(評価装置11、評価方法40、観戦方法41)は、複数のコンピュータからなり、競技者12のプロンプトの入力に基づいて生成系AIで生成される生成物を評価すると共に、前記生成物の生成過程を観戦するものであって、生成の目標となる題材を含む題材情報1aに基づいて生成される前記生成物を含む生成物情報2aを受け付ける受付手段2と、前記生成物の評価に関する評価情報3aを出力する評価手段3とを備える評価装置11と、前記生成物を生成している前記競技者の映像よび/または前記生成物を生成している操作画面の画面表示を含む画面情報4aを取得する画面取得手段4と、前記画面情報を送信する送信手段5とを備える送信装置13とからなることを特徴としている。
このためシステム10はプロンプトエンジニアの技術を客観的に評価しつつ、eスポーツのエンターテイメントとして視聴者14(第三者)を楽しませることができる。プロンプトの作成技術を競う場が提供できるので、プロンプトエンジニアリングの普及に貢献でき、プロンプトエンジニアの育成を助け、優秀なプロンプトエンジニアの発掘に寄与できる。AIプロンプトエンジニアの雇用拡大に貢献でき、全体として、eスポーツと技能評価を併せた教育エンターテイメントとなり得る。
【0094】
(2)このようなシステム10において、送信装置13が、画面情報に生成物情報2aに関連する関連情報を付加する付加手段6を備えているので、視聴者12が生成過程の状況を把握するのを助けることができる。
【0095】
(3)(5)(10)また生成の目標となる題材を含む題材情報1aをインターネット上で公開する公開手段1を備えているので、どこからでも評価を受けることができる。
【0096】
(6)(11)また前記題材が目標とする画像とほぼ同様な画像を生成することであり、且つ、評価情報3aが題材情報1aと生成物情報2aとを数値解析して算出される類似度であるので、多数の競技者を短時間で公平に評価できる。
【0097】
(7)(12)所定以上の類似度に対応する競技者12を選別する選別手段9をさらに備えており、公開手段1が、前記選別された競技者が競うための第2題材情報を公開し、受付手段2が、前記選別された競技者により生成される第2生成物情報を受け付け、評価手段3が、第2生成物情報の評価に関する第2評価情報を出力するので、選別された競技者同士で、新たな第2題材情報で競い合うことができる。
【0098】
(13)題材情報1aから生成物情報2aを生成するのを予選とし、第2題材情報から第2生成物情報を生成するのを次戦とするので、多数の競技者12の中から実力のある競技者を選別し、実力者同士の競技を見せることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 公開手段
1a 題材情報
2 受付手段
2a 生成物情報
3 評価手段
3a 評価情報
4 画面取得手段
4a 画面情報
5 送信手段
6 付加手段
6a 関連情報
7 画面送信手段
8 投票手段
8a 投票情報
9 選別手段
9a 指示情報
9b 特定情報
10 生成物の評価・生成過程の観戦システム(システム)
10a 第2実施形態
10b 第3実施形態
10c 第4実施形態
11 評価装置
12 競技者
13 送信装置
14 視聴者
15 競技者端末
16 生成系人工知能(生成系AI)
17 視聴者端末
18 通信ネットワーク
19a 表示部
19b 入出力部
20 人物情報DB
21 識別番号(ID)
22 連絡先
23 評価情報
24 人物の属性
25 ルール条件
26 公開ルール
27 競技の開始ルール
28 競技の終了ルール
29 その他のルール
30 CPU
31 メモリ
32 記録デバイス
33 接続ポート
34 通信回路
35 バスライン
36 評価装置プログラム
36a 送信装置プログラム
37 ブラウザプログラム
38 OS
39 競技者端末プログラム
39a 視聴者端末プログラム
40 評価方法
41 観戦方法
42 指示情報取得手段
42a 指示情報
43 特定情報取得手段
43a 特定情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8