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特開2024-162020異常検出装置、及び静電容量検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162020
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】異常検出装置、及び静電容量検出装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/955 20060101AFI20241114BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241114BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H03K17/955 G
G06F3/041 430
G06F3/044 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077158
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
【テーマコード(参考)】
5J050
【Fターム(参考)】
5J050AA36
5J050BB23
5J050CC19
5J050FF25
(57)【要約】
【課題】装置自身が異常の有無を検出することができる異常検出装置、及び静電容量検出装置を提供する。
【解決手段】異常検出装置11は、検出対象2の接触又は接近に応じた静電容量を発生する電極3の静電容量の変化を検出する静電容量検出装置1に使用される。素子14は、静電容量検出装置1の制御回路7と電極3とを結ぶ配線9にスイッチング部12を介して接続されている。判定部20は、スイッチング部12をオフして素子14を配線9に繋がないときに制御回路7に入力される静電容量と、スイッチング部12をオンして素子14を配線9に繋いだときに制御回路7に入力される静電容量とに基づいて、静電容量検出装置1の異常の有無を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の接触又は接近に応じた静電容量を発生する電極の静電容量の変化を検出する静電容量検出装置に使用される異常検出装置であって、
前記静電容量検出装置の制御回路と前記電極とを結ぶ配線にスイッチング部を介して接続された素子と、
前記スイッチング部をオフして前記素子を前記配線に繋がないときに前記制御回路に入力される静電容量と、前記スイッチング部をオンして前記素子を前記配線に繋いだときに前記制御回路に入力される静電容量とに基づいて、前記静電容量検出装置の異常の有無を判定する判定部と、を備える異常検出装置。
【請求項2】
前記素子は、コンデンサである、請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項3】
前記コンデンサの充電及び放電を選択的に実行可能な充放電回路を備え、
前記判定部は、異常判定を実行するのに先立ち、前記充放電回路によって放電経路を形成することにより、前記コンデンサを放電させ、放電後に前記充放電回路によって充電経路を形成することにより、異常有無の判定に必要な電荷を前記コンデンサに充電する、請求項2に記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記電極は、複数設けられ、
前記スイッチング部及び前記素子の組は、前記電極ごとに設けられている、請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項5】
前記電極に繋がる複数端子コネクタの第1端子と前記制御回路との間に接続された前記配線に、前記スイッチング部としての第1スイッチング部を介して接続された前記素子としての第1素子と、
前記複数端子コネクタの第2端子に第2スイッチング部を介して接続された第2素子と、を備え、
前記判定部は、前記第1スイッチング部及び前記第1素子を用いた第1異常判定と、前記第2スイッチング部及び前記第2素子を用いた第2異常判定と、を実行する、請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項6】
前記第2素子としてのコンデンサの充電及び放電を選択的に実行可能な第2素子用充放電回路を備え、
前記判定部は、前記第2異常判定を実行するのに先立ち、前記第2素子用充放電回路によって放電経路を形成することにより、前記コンデンサを放電させ、放電後に前記第2素子用充放電回路によって充電経路を形成することにより、異常有無の判定に必要な電荷を前記コンデンサに充電する、請求項5に記載の異常検出装置。
【請求項7】
検出対象の接触又は接近に応じた静電容量を発生する電極と、前記電極の静電容量の変化を検出する制御回路と、を備える静電容量検出装置であって、
前記電極及び前記制御回路を結ぶ配線にスイッチング部を介して接続された素子と、
前記スイッチング部をオフして前記素子を前記配線に繋がないときに前記制御回路に入力される静電容量と、前記スイッチング部をオンして前記素子を前記配線に繋いだときに前記制御回路に入力される静電容量とに基づいて、前記静電容量検出装置の異常の有無を判定する判定部と、を備える静電容量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出装置、及び静電容量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、押圧操作される複数の操作ボタンが設けられたコントローラが周知である。特許文献1のコントローラは、静電容量の変化によって押圧操作を検出する静電シートと、操作ボタンごとに設けられたメカニカルスイッチと、を備える。このコントローラは、静電シートがタッチ操作を検出しつつ、メカニカルスイッチがオンを検出したとき、メカニカルスイッチが押圧操作されたと検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-134228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、メカニカルスイッチを押圧操作した後に手を離しても、メカニカルスイッチの可動部が元の状態に復帰しないことに対する懸念が記載されている。そこで、特許文献1の場合、静電シートがタッチ操作を検出していないにも関わらず、メカニカルスイッチがオンの状態をとったとき、メカニカルスイッチが元の状態に復帰していないとして、メカニカルスイッチが異常であることを報知するようにしている。
【0005】
ところで、静電シートを用いたタッチセンサにおいては、例えば、タッチセンサに発生する異常を装置自身が検出できることが求められている。しかし、特許文献1は、押圧操作時にメカニカルスイッチが元の状態に戻らない故障を検出する技術であるので、前述のニーズに対応することができない。よって、タッチセンサの異常を装置自身で検出可能な技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する異常検出装置は、検出対象の接触又は接近に応じた静電容量を発生する電極の静電容量の変化を検出する静電容量検出装置に使用される装置であって、前記静電容量検出装置の制御回路と前記電極とを結ぶ配線にスイッチング部を介して接続された素子と、前記スイッチング部をオフして前記素子を前記配線に繋がないときに前記制御回路に入力される静電容量と、前記スイッチング部をオンして前記素子を前記配線に繋いだときに前記制御回路に入力される静電容量とに基づいて、前記静電容量検出装置の異常の有無を判定する判定部と、を備える。
【0007】
前記課題を解決する静電容量検出装置は、検出対象の接触又は接近に応じた静電容量を発生する電極と、前記電極の静電容量の変化を検出する制御回路と、を備える装置であって、前記電極及び前記制御回路を結ぶ配線にスイッチング部を介して接続された素子と、前記スイッチング部をオフして前記素子を前記配線に繋がないときに前記制御回路に入力される静電容量と、前記スイッチング部をオンして前記素子を前記配線に繋いだときに前記制御回路に入力される静電容量とに基づいて、前記静電容量検出装置の異常の有無を判定する判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、装置自身が異常の有無を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る異常検出装置の構成を示す回路図である。
図2】複数電極の配置パターンを示す模式図である。
図3】異常判定の動作を説明するための回路図である。
図4】異常判定の動作を説明するための回路図である。
図5】異常判定の手順を示すフローチャートである。
図6】異常検出装置の動作を説明するための回路図である。
図7】第2実施形態に係る異常検出装置の構成を示す回路図である。
図8】(a)は接続ケーブルを複数端子コネクタに接続するときの説明図であり、(b)は複数端子コネクタに接続ケーブルが半嵌合となっている状態を示す説明図である。
図9】第1異常判定の動作を説明するための回路図である。
図10】第2異常判定の動作を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を説明する。
(静電容量検出装置1)
図1に示すように、静電容量検出装置1は、検出対象2の接触又は接近に基づいて静電容量が変化する電極3を備える。検出対象2は、例えば、指等の人体の一部である。電極3は、例えば、検知面4の裏面に配置される電極シートが用いられる。静電容量検出装置1は、検知面4に対する検出対象2の接触又は接近を、電極3の静電容量の変化に基づいて検出する。静電容量検出装置1は、例えば、車両に使用される。
【0011】
静電容量検出装置1は、例えば、自己容量方式により、ユーザの人体の一部が触れる検知面4に対するユーザのタッチ操作を検出する。タッチ操作は、例えば、指をタッチして直ぐに離すタップ操作、指をタッチしたまま暫く静止する長押し操作、指を一定方向に動かすなぞり操作、指を一定方向に短く動かすスワイプ操作を含む。また、タッチ操作は、2本以上の指を広げたり摘まんだりするピンチ操作、2本以上の指を回す回転操作、2本以上の指を広げるストレッチ操作を含む。
【0012】
(静電容量検出装置1の電気構成)
図1に示す通り、静電容量検出装置1は、静電容量検出装置1の動作を制御する制御回路7を備える。制御回路7は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、各種メモリなどから構成される。制御回路7は、電極3の静電容量を入力する静電検出ポート8を有する。静電検出ポート8は、線上に電圧調整用の抵抗R1が設けられた配線9を介して電極3に接続されている。制御回路7は、電極3に発生する静電容量を、静電検出ポート8から電圧値で入力する。
【0013】
(電極3)
図2に示すように、電極3は、複数の操作位置を検出できるように複数設けられている。本例の場合、電極3は、第1電極3a、第2電極3b、第3電極3c、第4電極3d、及び第5電極3eの5つを含む。本例の場合、電極3の配置パターンは、例えば、第1電極3aを中心として、その周囲に第2電極3b~第5電極3eが並ぶ例を挙げている。制御回路7は、第1電極3a~第5電極3eから静電容量を各々入力する。そして、制御回路7は、第1電極3a~第5電極3eの静電容量の変化を監視することにより、どの電極3がタッチ操作されたのかを検出する。
【0014】
また、図2に示す電極配置パターンの場合、静電容量検出装置1は、検知面4における上下左右の十字方向への指の操作を検出可能としてもよい。具体的には、第1電極3aから第2電極3bへのタッチ操作の切り替わりが検出された場合、図中の上方向への操作があったと検出するとともに、第2電極3bから第1電極3aへのタッチ操作の切り替わりが検出された場合、図中の下方向への操作があったと検出してもよい。このように、他の電極3の間でも同様の検出方法をとることにより、十字方向の操作を検出可能としてもよい。
【0015】
(異常検出装置11)
図1に示す通り、静電容量検出装置1は、静電容量検出装置1に発生する異常を検出する異常検出装置11を備える。異常検出装置11は、例えば、所定のタイミングにおいて異常判定の処理を実行することにより、静電容量検出装置1に発生する異常を自発的に検出する。異常判定の処理を実行するタイミングとしては、例えば、静電容量検出装置1に電力が供給されたタイミングや、電力供給中の定期的なタイミングなどが挙げられる。
【0016】
異常検出装置11は、電極3と制御回路7とを結ぶ配線9にスイッチング部12を介して接続された素子14を備える。素子14は、例えば、コンデンサ16である。素子14は、スイッチング部12及びグランドの間に接続されている。電極3が複数の場合、スイッチング部12及び素子14の組は、電極3ごとに設けられている。
【0017】
スイッチング部12は、例えば、トランジスタである。この場合、トランジスタは、コレクタが抵抗R1及び電極3の中点17に接続され、エミッタが素子14に接続され、ベースが制御回路7の第1出力ポート18に接続されている。スイッチング部12は、第1出力ポート18から出力される信号に基づいて、オンとオフとが切り替えられる。
【0018】
異常検出装置11は、異常検出装置11において異常の有無を判定する判定部20を備える。判定部20は、例えば、制御回路7に設けられている。判定部20は、スイッチング部12をオフして素子14を配線9に繋がないときに制御回路7に入力される静電容量と、スイッチング部12をオンして素子14を配線9に繋いだときに制御回路7に入力される静電容量とに基づいて、静電容量検出装置1の異常の有無を判定する。電極3が複数の場合、判定部20は、各電極3の異常判定を順に実行する。
【0019】
(異常判定)
判定部20は、例えば、スイッチング部12及び素子14を用いた異常判定を実行する。本例の場合、異常判定は、例えば、静電容量検出装置1のオープン故障の有無を判定する処理である。オープン故障は、例えば、電気経路が開放される異常である。オープン故障で検出する対象は、例えば、静電検出ポート8の接続箇所P1、抵抗R1の一方の抵抗端の接続箇所P2、抵抗R2の他方の抵抗端の接続箇所P3などが挙げられる。判定部20は、第1出力ポート18から出力する信号に基づいてスイッチング部12を制御することにより、オープン故障の有無の判定を実行する。
【0020】
(素子14の充放電)
図1に示す通り、異常検出装置11は、素子14であるコンデンサ16の充電及び放電を選択的に実行可能な充放電回路22を備える。異常検出装置11に充放電回路22を設けるのは、例えば、コンデンサ16に寄生容量が発生していても、コンデンサ16が放電→充電されることにより、制御回路7でコンデンサ16の正しい静電容量が検出できるようにするためである。
【0021】
充放電回路22は、充放電回路22の経路を接続又は遮断するための第1充放電用スイッチング部24及び第2充放電用スイッチング部25を有する。第1充放電用スイッチング部24は、例えば、素子14及び第2充放電用スイッチング部25の間に接続されている。第1充放電用スイッチング部24は、例えば、トランジスタである。この場合、第1充放電用スイッチング部24は、コレクタが素子14とスイッチング部12との中点26に接続され、エミッタが第2充放電用スイッチング部25と抵抗R2との中点27に接続され、ベースが制御回路7の第2出力ポート28に接続されている。電圧調整用である抵抗R2は、一端が第2充放電用スイッチング部25に接続され、他方がグランドに接続されている。第1充放電用スイッチング部24は、第2出力ポート28から入力する信号に基づいて、オンオフが制御される。
【0022】
第2充放電用スイッチング部25は、例えば、トランジスタである。この場合、第2充放電用スイッチング部25は、コレクタが電圧調整用の抵抗R3を介して電源+Bに接続され、エミッタが中点27に接続され、ベースが制御回路7の第3出力ポート29に接続されている。第2充放電用スイッチング部25は、第3出力ポート29から入力する信号に基づいて、オンオフが制御される。
【0023】
判定部20は、異常判定(オープン故障の判定)を実行するのに先立ち、充放電回路22によって放電経路を形成することにより、素子14を放電させる。そして、判定部20は、素子14の放電後に、充放電回路22によって充電経路を形成することにより、異常有無の判定に必要な電荷を素子14に充電する。判定部20は、素子14の充電後、スイッチング部12及び素子14を用いた異常判定を実行する。
【0024】
次に、本実施形態の異常検出装置11(静電容量検出装置1)の作用について説明する。
(素子14の放電→充電の動作)
図3に示すように、判定部20は、定期又は不定期に、スイッチング部12、第1充放電用スイッチング部24、及び第2充放電用スイッチング部25を用いて、異常判定を実行する。まず、判定部20は、素子14に蓄えられる電荷を最適化するために、素子14の充放電を実行する。具体的には、判定部20は、第2出力ポート28からHiレベル信号を出力することにより、第1充放電用スイッチング部24をオンする。第1充放電用スイッチング部24がオンされると、素子14から第1充放電用スイッチング部24を介して抵抗R2に電流が流れる放電経路が形成される。よって、素子14の電荷がゼロ又はその付近の値となる。
【0025】
続いて、図4に示すように、判定部20は、第2出力ポート28及び第3出力ポート29の両方からHiレベル信号を出力することにより、第1充放電用スイッチング部24及び第2充放電用スイッチング部25をオンする。第1充放電用スイッチング部24及び第2充放電用スイッチング部25がオンされると、電源+Bから第1充放電用スイッチング部24及び第2充放電用スイッチング部25を経由して素子14に電流が流れる充電経路が形成される。よって、素子14に最適な電荷が充電される。
【0026】
(異常判定の具体的な処理)
図5は、異常判定(オープン故障の有無の判定)の主処理の流れを示す。まず、判定部20は、スイッチング部12がオフのときに静電検出ポート8に入力される静電容量を取得しておく。すなわち、判定部20は、電極3のみの静電容量を静電検出ポート8で検出する。
【0027】
続いて、ステップ101において、判定部20は、素子14の電荷を最適化した後、第1出力ポート18からHiレベル信号を出力することにより、スイッチング部12をオンする。すなわち、判定部20は、静電容量検出装置1のオープン故障の有無を判定するために、素子14を有効にする。
【0028】
図6に示すように、スイッチング部12がオンされた場合、素子14からスイッチング部12及び抵抗R1を経由して静電検出ポート8に電流が流れる経路が形成される。すなわち、静電検出ポート8には、電極3及び素子14の両方の静電容量が入力される。
【0029】
ここで、静電容量検出装置1にオープン故障が発生していないとき、スイッチング部12がオンされると、静電検出ポート8に入力される静電容量は、素子14の電荷分、増加する。すなわち、スイッチング部12のオンオフの前後で、静電検出ポート8に入力される静電容量に変化が生じる。
【0030】
一方、静電容量検出装置1にオープン故障が発生していた場合、電極3の電荷は静電検出ポート8に入力されず、かつ、スイッチング部12をオンして素子14を有効にしても、素子14の電荷が静電検出ポート8に入力されない。すなわち、静電容量検出装置1にオープン故障が発生すると、スイッチング部12がオンオフされる前後で、静電検出ポート8に入力される静電容量に変化が生じない。よって、スイッチング部12をオンしても静電容量に変化が生じない場合には、オープン故障ありと判定できる。
【0031】
図5に示す通り、ステップ102において、判定部20は、第1出力ポート18からHiレベル信号を出力してスイッチング部12をオンした後、静電検出ポート8に入力される静電容量が増加したか否かを判定する。静電容量は、オープン故障の発生時、増加し、オープン故障の非発生時、増加しない。ステップ102の判定において、静電容量が増加したと判定された場合、ステップ103に移行する。一方、ステップ102の判定において、静電容量が増加していないと判定された場合、ステップ104に移行する。
【0032】
ステップ103において、判定部20は、静電容量の増加時、静電容量検出装置1に異常がないと判定する。すなわち、判定部20は、スイッチング部12がオンした後に静電容量が増加した場合、静電容量検出装置1の状態が「異常なし」であると判定する。
【0033】
ステップ104において、判定部20は、静電容量の非増加時、静電容量検出装置1に異常があると判定する。すなわち、判定部20は、スイッチング部12がオンした後も静電容量に変化がない場合、静電容量検出装置1の状態が「異常あり」であると判定する。判定部20は、異常ありと判定した場合、例えば、異常ありの旨の通知を実行することが好ましい。異常ありの通知は、例えば、車載ディスプレイを用いた視覚的な通知や、車載スピーカを用いた音声による通知などが挙げられる。
【0034】
電極3が複数の場合、判定部20は、各電極3の異常判定を順に実行する。例えば、第1電極3a~第5電極3eの5つの電極3が存在する場合、第1電極3a~第5電極3eについて、異常判定を順に実行する。よって、電極3が複数存在する場合でも、各電極3について、異常有無を検出することが可能となる。
【0035】
(第1実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1.1)異常検出装置11は、検出対象2の接触又は接近に応じた静電容量を発生する電極3の静電容量の変化を検出する静電容量検出装置1に使用される。異常検出装置11が備える素子14は、静電容量検出装置1の制御回路7と電極3とを結ぶ配線9にスイッチング部12を介して接続されている。異常検出装置11が備える判定部20は、スイッチング部12をオフして素子14を配線9に繋がないときに制御回路7に入力される静電容量と、スイッチング部12をオンして素子14を配線9に繋いだときに制御回路7に入力される静電容量とに基づいて、静電容量検出装置1の異常の有無を判定する。
【0036】
本構成によれば、例えば静電容量検出装置1の配線9が正しく接続されていない配線異常が発生した場合、異常有無の判定においてスイッチング部12をオンにして素子14を有効にしても、素子14を制御回路7に接続することができない。このため、スイッチング部12のオンオフの前後で静電容量の変化が生じないので、静電容量検出装置1に配線異常が発生していると判定することが可能となる。よって、装置自身が異常の有無を検出することができる。
【0037】
(1.2)素子14は、コンデンサ16である。この構成によれば、汎用のコンデンサ16を用いて異常検出装置11の構成を簡素化できる。
(1.3)異常検出装置11は、コンデンサ16の充電及び放電を選択的に実行可能な充放電回路22を備える。判定部20は、異常判定を実行するのに先立ち、充放電回路22によって放電経路を形成することにより、コンデンサ16を放電させ、放電後に充放電回路22によって充電経路を形成することにより、異常有無の判定に必要な電荷をコンデンサ16に充電する。この構成によれば、コンデンサ16に蓄電する電荷を最適化することが可能となるので、異常有無の判定精度を向上できる。
【0038】
(1.4)電極3は、複数設けられている。スイッチング部12及び素子14の組は、電極3ごとに設けられている。この構成によれば、電極3が複数設けられている場合であっても、各電極3において異常有無を判定することが可能となる。よって、静電容量検出装置1の信頼性の向上に寄与する。
【0039】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態に記載した異常判定(第1異常判定と記す)の他に、第2異常判定も行う実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。なお、第2実施形態においては、スイッチング部12を第1スイッチング部13とし、素子14を第1素子15とし、充放電回路22を第1素子用充放電回路23とする。
【0040】
(検出ユニット34)
図7に示すように、静電容量検出装置1は、電極3を含む検出ユニット34を備える。検出ユニット34は、電極3を外部(例えば、制御回路7など)に接続するための複数の接続端子35を有する複数端子コネクタ36を備える。接続端子35は、例えば、1つの電極3に対し、2つの端子(第1端子37a、及び第2端子37b)を有する。このため、電極3が複数の場合、第1端子37a及び第2端子37bの端子対は、複数設けられる。
【0041】
(接続ケーブル40)
図8(a)に示すように、検出ユニット34は、接続ケーブル40を介して制御回路7に電気接続されている。接続ケーブル40は、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)が使用されている。制御回路7から延びる接続ケーブル40の端部は、検出ユニット34の複数端子コネクタ36に接続される。
【0042】
(第2異常判定)
図8(b)に示すように、接続ケーブル40は、傾いた状態で複数端子コネクタ36に接続されてしまうことがある。このように、複数端子コネクタ36と接続ケーブル40とが傾いて接続されて半嵌合の状態になってしまうと、複数端子コネクタ36の端子と接続ケーブル40の端子との一部が接触しないコネクタ接触不良が発生してしまう。本例の場合、第2異常判定は、このような端子同士の一部が接触しないコネクタ接触不良の有無を判定する処理である。
【0043】
(異常検出装置11)
図7に示す通り、第1端子37aは、静電検出ポート8に繋がる配線9に接続されている。第2端子37bは、第2スイッチング部38を介して第2素子39に接続されている。このように、複数端子コネクタ36は、配線9が接続された第1端子37aと、第2スイッチング部38に接続された第2端子37bと、を有する。電極3は、電気経路が途中で分岐することにより、第1端子37a及び第2端子37bの各々に接続されている。
【0044】
第2素子39は、第2スイッチング部38及びグランドの間に接続されている。第2素子39は、例えば、コンデンサ41である。電極3が複数の場合、第2スイッチング部38及び第2素子39の組は、電極3ごとに設けられている。
【0045】
第2スイッチング部38は、例えば、トランジスタである。この場合、トランジスタは、コレクタが複数端子コネクタ36の第2端子37bに接続され、エミッタが第2素子39に接続され、ベースが制御回路7の第4出力ポート42に接続されている。第2スイッチング部38は、第4出力ポート42から出力される信号に基づいて、オンとオフとが切り替えられる。
【0046】
判定部20は、例えば、第2素子39及び第2スイッチング部38を用いた第2異常判定を実行する。判定部20は、第4出力ポート42から出力する信号に基づいて第2スイッチング部38を制御することにより、第2異常判定を実行する。本例の場合、判定部20は、第1スイッチング部13及び第1素子15を用いた第1異常判定と、前述の第2異常判定と、の両方を実行する。第1異常判定及び第2異常判定は、同時に実行されてもよいし、異なるタイミングで実行されてもよい。
【0047】
(第2素子39の充放電)
図7に示す通り、異常検出装置11は、第2素子39であるコンデンサ41の充電及び放電を選択的に実行可能な第2素子用充放電回路44を備える。異常検出装置11に第2素子用充放電回路44を設けるのは、例えば、第2素子39に寄生容量が発生していても、第2素子39が放電→充電されることにより、制御回路7で第2素子39の正しい静電容量が検出できるようにするためである。
【0048】
第2素子用充放電回路44は、前述の第1素子用充放電回路23と同様の構成である。具体的には、第3充放電用スイッチング部45、第4充放電用スイッチング部46、及び、2つの電圧調整用の抵抗R4、R5を有する。第3充放電用スイッチング部45のベースは、制御回路7の第5出力ポート47に接続されている。第4充放電用スイッチング部46のベースは、制御回路7の第6出力ポート48に接続されている。
【0049】
次に、本実施形態の異常検出装置11(静電容量検出装置1)の作用について説明する。
(第1異常判定の処理)
図9に示すように、判定部20は、定期又は不定期に、第1出力ポート18からHiレベル信号を出力して第1スイッチング部13をオンすることにより、第1異常判定を実行する。第1異常判定は、静電容量検出装置1におけるオープン故障の有無の判定である。なお、説明は省略するが、第1スイッチング部13がオンする前に、第1素子用充放電回路23によって、第1素子15の電荷が最適化されることが好ましい。
【0050】
第1スイッチング部13がオンされた場合、第1素子15から第1スイッチング部13及び抵抗R1を経由して静電検出ポート8に電流が流れる経路が形成される。すなわち、静電検出ポート8には、電極3及び第1素子15の両方の静電容量が入力される。判定部20は、第1スイッチング部13のオンオフの前後で静電検出ポート8に入力される静電容量に基づいて、オープン故障の有無を判定する。具体的には、判定部20は、静電容量の増加を検出した場合、オープン故障なしと判定し、静電容量の増加を検出しない場合、オープン故障ありと判定する。
【0051】
(第2異常判定の処理)
図10に示すように、判定部20は、定期又は不定期に、第2スイッチング部38、第3充放電用スイッチング部45、及び第4充放電用スイッチング部46を用いて、第2異常判定を実行する。第2異常判定は、第1異常判定に連続して実行されてもよいし、第1異常判定とは無関係なタイミングで実行されてもよい。まず、判定部20は、第2素子39に蓄えられる電荷を最適化するために、第2素子39の充放電を実行する。なお、第2素子39の電荷を最適化する動作は、前述した第1素子15の電荷を最適化する動作と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
判定部20は、第2素子39の電荷を最適化した後、第4出力ポート42からHiレベル信号を出力することにより、第2スイッチング部38をオンする。すなわち、判定部20は、静電容量検出装置1のコネクタ接触不良の有無を判定するために、第2素子39を有効にする。第2スイッチング部38がオンされた場合、第2素子39から第2端子37b、第1端子37a、及び抵抗R1を経由して静電検出ポート8に電流が流れる経路が形成される。
【0053】
ここで、複数端子コネクタ36にコネクタ接触不良が発生していない場合、静電検出ポート8には、電極3及び第2素子39の両方の静電容量が入力される。よって、判定部20は、第2スイッチング部38がオンされた場合、静電検出ポート8で入力する静電容量が増加していれば、複数端子コネクタ36にコネクタ接触不良が発生していないと判定する。
【0054】
一方、複数端子コネクタ36(図10の場合は、第1端子37a)にコネクタ接触不良が発生している場合、電極3の電荷は静電検出ポート8に入力されず、かつ、第2スイッチング部38をオンして第2素子39を有効にしても、第2素子39の電荷が静電検出ポート8に入力されない。すなわち、静電容量検出装置1にコネクタ接触不良が発生すると、第2スイッチング部38がオンオフされる前後で、静電検出ポート8に入力される静電容量に変化が生じない。よって、第2スイッチング部38をオンしても静電容量に変化が生じない場合には、コネクタ接触不良ありと判定できる。
【0055】
判定部20は、複数端子コネクタ36にコネクタ接触不良ありと判定した場合、例えば、コネクタ接触不良ありの旨の通知を実行することが好ましい。コネクタ接触不良ありの通知は、例えば、車載ディスプレイを用いた視覚的な通知や、車載スピーカを用いた音声による通知などが挙げられる。
【0056】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0057】
(2.1)異常検出装置11は、電極3に繋がる複数端子コネクタ36の第1端子37aと制御回路7との間に接続された配線9に、スイッチング部12としての第1スイッチング部13を介して接続された素子14としての第1素子15を備える。異常検出装置11は、複数端子コネクタ36の第2端子37bに第2スイッチング部38を介して接続された第2素子39を備える。判定部20は、第1スイッチング部13及び第1素子15を用いた第1異常判定と、第2スイッチング部38及び前記第2素子39を用いた第2異常判定と、を実行する。この構成によれば、第1スイッチング部13及び第1素子15を用いて配線異常を検出することができる。また、例えば複数端子コネクタ36が半嵌合となった接触不良が発生した場合、異常有無の判定において第2スイッチング部38をオンにして第2素子39を有効にしても、第2素子39を制御回路7に接続することができない。このため、第2スイッチング部38のオンオフの前後で静電容量の変化が生じないので、複数端子コネクタ36の接触不良も検出することができる。
【0058】
(2.2)異常検出装置11は、第2素子39としてのコンデンサ41の充電及び放電を選択的に実行可能な第2素子用充放電回路44を備える。判定部20は、第2異常判定を実行するのに先立ち、第2素子用充放電回路44によって放電経路を形成することにより、コンデンサ41を放電させ、放電後に第2素子用充放電回路44によって充電経路を形成することにより、異常有無の判定に必要な電荷をコンデンサ41に充電する。この構成によれば、第2素子39であるコンデンサ41に蓄電する電荷を最適化することが可能となるので、複数端子コネクタ36の接触不良の有無の判定精度を向上できる。
【0059】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
・各実施形態において、スイッチング部12(第1スイッチング部13)及び第2スイッチング部38は、トランジスタに限らず、例えば、FETやリレーでもよい。
・各実施形態において、素子14(第1素子15)及び第2素子39は、コンデンサ16、41に限らず、静電検出ポート8の入力の特性を変化することが可能な部材であればよい。
【0061】
・各実施形態において、充放電回路22(第1素子用充放電回路23)及び第2素子用充放電回路44を省略してもよい。
・各実施形態において、静電容量検出装置1は、相互容量方式としてもよい。
【0062】
・各実施形態において、電極3が複数の電極配置パターンは、適宜変更できる。
・各実施形態において、異常検出装置11(静電容量検出装置1)は、車両に使用されることに限らず、他の機器や装置に使用されてもよい。
【0063】
・各実施形態において、判定部20は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0064】
・各実施形態において、本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0065】
1…静電容量検出装置、2…検出対象、3…電極、7…制御回路、9…配線、11…異常検出装置、12…スイッチング部、13…第1スイッチング部、14…素子、15…第1素子、16…コンデンサ、20…判定部、22…充放電回路、23…第1素子用充放電回路、36…複数端子コネクタ、37a…第1端子、37b…第2端子、38…第2スイッチング部、39…第2素子、41…コンデンサ、44…第2素子用充放電回路。
図1
図2
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