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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162027
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241114BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
C23C16/458
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077173
(22)【出願日】2023-05-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 優貴
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 啓太
(72)【発明者】
【氏名】公門 保明
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
4K030GA02
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB29
5F004BC03
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA04
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラズマ処理中に静電チャックから放出されるガスによる異常放電を防止する保持装置を提供する。
【解決手段】保持装置において、保持基板10は、ヘリウムガス等の熱伝導ガスを放出する多孔質体70を有し、多孔質体70の下面70b側に、多孔質体70に十分な流量のガスを導入するための空間Vを確実に確保するため、縦流路部120と接続し、第1表面S1に対して平行に延びた横流路部130を有する。多孔質体70は、第2表面S2側に配される多孔質体70の端面70bと、端面70bと対向する縦流路部120の底面120b1との間に空間Vが形成されるように縦流路部120に充填される。保持装置は、底面120b1と端面70bとの間に介在され、多孔質体70を支える支柱部126を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を保持する第1表面及び前記第1表面の反対側に配される第2表面を含む板状部材と、前記板状部材の内部に形成されるガス流路と、ガス透過性の多孔質体とを有する保持基板を備える保持装置であって、
前記ガス流路は、前記第1表面側に開口したガス流出口を含み、前記ガス流出口から前記第2表面側に延びつつ、前記多孔質体が充填される縦流路部と、前記縦流路部と接続し、前記第1表面に対して平行に延びた横流路部とを有し、
前記多孔質体は、前記第2表面側に配される前記多孔質体の端面と、前記端面と対向する前記縦流路部の底面との間に空間が形成されるように前記縦流路部に充填され、
前記底面と前記端面との間に介在され、前記多孔質体を支える支柱部を備える保持装置。
【請求項2】
前記支柱部は、前記板状部材の一部からなり、かつ前記板状部材の内部に形成された前記縦流路部の前記底面から前記端面に向かって凸状に盛り上がった形をなす請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記底面と前記端面との間において、前記支柱部の周りを囲むように前記空間が形成される請求項1又は請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記支柱部は、前記端面側から前記底面側に向かって広がるように傾斜した傾斜面を含む請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記支柱部は、複数あり、
前記空間は、隣り合った前記支柱部の間に形成される請求項1又は請求項2に記載の保持装置。
【請求項6】
前記支柱部は、前記多孔質体の一部からなり、かつ前記端面から前記底面に向かって凸状に盛り上がった形をなす請求項1に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造する際にウェハ(半導体ウェハ)を保持する保持装置の一例として、静電チャックが挙げられる(特許文献1参照)。静電チャックは、絶縁性のセラミックス(例えば、アルミナ)を主体とした保持基板(セラミック基板)を備えており、その保持基板の表面上でウェハが静電引力により保持される。静電引力は、保持基板の内部に設けられたチャック電極に電圧が印加されることで、発生する。
【0003】
この種の静電チャックでは、プラズマエッチング等のプラズマ処理において、保持基板とウェハとの間に、ヘリウムガス等の熱伝導ガスを供給して、ウェハから熱を取り除くことが行われている。そのため、静電チャックの保持基板の内部には、外部から供給された熱伝導ガスを、ウェハに向かって流すためのガス流路が形成されている。保持基板の表面には、ガス流路の終端に位置するガス流出口が複数設けられており、各ガス流出口から、ウェハに向かって熱伝導ガスが供給される。
【0004】
なお、プラズマ処理時に印加される高周波電力により、ガス流路内で異常放電(アーキング)が発生して、その異常放電により保持基板上のウェハが損傷することがあった。そのため、このような異常放電の発生を抑制するために、ガス流路の内部に、絶縁性のセラミック材料からなるガス透過性の多孔質体が設けられていた。多孔質体は、例えば、ガス流路の一部であり、ガス流出口から保持基板の厚み方向に真っ直ぐに延びた縦流路部の内部に、上面がガス流出口から露出する形で充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4959905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の保持装置において、ガス流路を利用して供給されるガス(熱伝導ガス等の不活性ガス)と、縦流路部内に充填されている多孔質体との圧力損失を抑制するために、多孔質体の下側の端面と、縦流路部の底側との間に空間を設けることが試みられていた。しかしながら、保持装置(保持基板)の作製時に、多孔質体が縦流路部の底側に位置ずれする等して、多孔質体の下面側の空間が潰れて確保できなくなる虞があった。
【0007】
本発明の目的は、ガス流路内に充填されている多孔質体の下面側に、多孔質体内に十分な流量のガスを導入するための空間が確実に確保される保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 対象物を保持する第1表面及び前記第1表面の反対側に配される第2表面を含む板状部材と、前記板状部材の内部に形成されるガス流路と、ガス透過性の多孔質体とを有する保持基板を備える保持装置であって、前記ガス流路は、前記第1表面側に開口したガス流出口を含み、前記ガス流出口から前記第2表面側に延びつつ、前記多孔質体が充填される縦流路部と、前記縦流路部と接続し、前記第1表面に対して平行に延びた横流路部とを有し、前記多孔質体は、前記第2表面側に配される前記多孔質体の端面と、前記端面と対向する前記縦流路部の底面との間に空間が形成されるように前記縦流路部に充填され、前記底面と前記端面との間に介在され、前記多孔質体を支える支柱部を備える保持装置。
【0009】
<2> 前記支柱部は、前記板状部材の一部からなり、かつ前記板状部材の内部に形成された前記縦流路部の前記底面から前記端面に向かって凸状に盛り上がった形をなす前記<1>に記載の保持装置。
【0010】
<3> 前記底面と前記端面との間において、前記支柱部の周りを囲むように前記空間が形成される前記<1>又は<2>に記載の保持装置。
【0011】
<4> 前記支柱部は、前記端面側から前記底面側に向かって広がるように傾斜した傾斜面を含む前記<1>から<3>の何れか1つに記載の保持装置。
【0012】
<5> 前記支柱部は、複数あり、前記空間は、隣り合った前記支柱部の間に形成される前記<1>又は<2>に記載の保持装置。
【0013】
<6> 前記支柱部は、前記多孔質体の一部からなり、かつ前記端面から前記底面に向かって凸状に盛り上がった形をなす前記<1>から<5>の何れか1つに記載の保持装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガス流路内に充填されている多孔質体の下面側に、多孔質体内に十分な流量のガスを導入するための空間が確実に確保される保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る保持装置の外観構成を模式的に表した斜視図
図2】実施形態1に係る保持装置の内部構造を模式的に表した断面図
図3】基板側ガス流路の一部を拡大した保持基板の断面図
図4図3のA-A線断面図
図5】保持基板の製造方法を模式的に表した説明図
図6】保持基板の製造方法を模式的に表した説明図
図7】実施形態2に係る保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図
図8】実施形態3に係る保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図
図9】実施形態3に係る保持基板の製造方法を模式的に表した説明図
図10】実施形態3に係る保持基板の製造方法を模式的に表した説明図
図11】実施形態4に係る保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図
図12】実施形態5に係る保持基板の基板側ガス流路の一部を拡大した断面図
図13図12のB-B線断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、実施形態1に係る保持装置100を、図1図6を参照しつつ説明する。保持装置100は、対象物(例えば、ウェハW)を、静電引力によって吸着して保持する静電チャックである。静電チャックは、例えば減圧されたチャンバー内でプラズマを用いてエッチングを行うプロセスにおいて、ウェハWを載置するテーブルとして使用される。
【0017】
図1は、実施形態1に係る保持装置100の外観構成を模式的に表した斜視図であり、図2は、実施形態1に係る保持装置100の内部構造を模式的に表した断面図である。保持装置100は、円板状の保持基板(セラミック基板)10と、その保持基板10よりも大きな円板状のベース部材20とを備える。例えば、保持基板10が、直径300mm及び厚み3mmの円板状をなす場合、ベース部材20は、直径340mm及び厚み20mmの円板状に設定される。なお、保持基板10及びベース部材20には、それぞれ、互いの位置合わせを行うための位置決め部(凹凸等)が設けられてもよい。
【0018】
保持基板10及びベース部材20は、保持基板10が上側に配され、かつベース部材20が下側に配された状態で、上下方向に互いに重ねられる。保持基板10及びベース部材20は、それらの間に介在される接合材30により、互いに接合される。
【0019】
保持基板10は、上側に配される略円形状の第1表面S1と、その第1表面S1の反対側(つまり、下側)に配され、かつベース部材20と対向する略円形状の第2表面S2とを有する。ベース部材20は、上側に配され、かつ保持基板10の第2表面S2と対向する略円形状の第3表面S3と、その第3表面S3の反対側(つまり、下側)に配される略円形状の第4表面S4とを有する。上述した接合材30は、保持基板10の第2表面S2とベース部材20の第3表面S3との間で挟まれつつ、層状に広がった状態となっている。
【0020】
保持基板10は、円板状の板状部材11と、その板状部材11の内部に形成された基板側ガス流路12とを備える。板状部材11の上側の表面が、保持基板10の第1表面S1となる。また、板状部材11の下側の表面が、保持基板10の第2表面S2となる。
【0021】
板状部材11は、セラミックスを主成分とする板状(円板状)をなした絶縁性の部材である。本明細書において、「主成分」とは、含有割合の最も多い成分を意味する。本実施形態の板状部材11は、アルミナ(Al)からなる。なお、他の実施形態においては、窒化アルミニウム(AlN)等の他のセラミックスからなるものであってもよい。
【0022】
基板側ガス流路(ガス流路の一例)12は、保持装置100が備える不活性ガス(例えば、熱伝導ガスであるヘリウムガス)を流すための流路60の一部を構成する。基板側ガス流路12は、保持基板10の板状部材11の内部に形成される。基板側ガス流路12は、保持基板10の第2表面S2に開口した入口12aと、第1表面S1に開口したガス流出口12bとを含む、保持基板10内を貫通する孔からなる。入口12aから不活性ガスが供給されると、不活性ガスは、基板側ガス流路12内を通って最終的にガス流出口12bから外部に排出される。
【0023】
図3は、基板側ガス流路12の一部を拡大した保持基板10の断面図であり、図4は、図3のA-A線断面図である。図3には、保持基板10を厚み方向に沿って切断した断面構造が示されている。基板側ガス流路12は、図2及び図3に示されるように、第1縦流路部120と、横流路部130と、第2縦流路部140とを備える。
【0024】
第1縦流路部120は、第1表面S1側に開口したガス流出口12bを含み、ガス流出口12bから第2表面S2側に、板状部材11の厚み方向に沿って延びた有底の流路である。この第1縦流路部120内に、後述する多孔質体70が充填される。
【0025】
横流路部130は、第1縦流路部120と接続し、第1表面S1に対して平行に延びた流路である。横流路部130の下流側の端部は、第1縦流路部120の上流側の端部と接続している。なお、基板側ガス流路12において、入口12a側が上流側であり、ガス流出口12bが下流側である。
【0026】
第2縦流路部140は、図2に示されるように、第2表面S2に開口した入口12aを含み、入口12aから第1表面S1側に、板状部材11の厚み方向に沿って延びた流路である。第2縦流路部140の下流側の端部は、横流路部130の上流側の端部と接続している。なお、入口12aは、基板側ガス流路12の入口をなしている。
【0027】
また、保持基板10は、基板側ガス流路12の一部である第1縦流路部120に充填され、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体70を備える。多孔質体70の詳細は、後述する。
【0028】
保持基板10は、更に、電極部材であるチャック電極40を備える。チャック電極40は、全体的には、第1表面S1に略平行な平面状(層状)をなしている。チャック電極40は、例えば、タングステン、モリブデン、白金等の電電性材料から形成される。チャック電極40は、図2に示されるように、保持基板10(板状部材11)の内部において、第1表面S1側に配されている。チャック電極40は、端子等を介して外部の電源に接続されており、チャック電極40に対して給電が行われると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが、保持基板10の第1表面S1に吸着保持される。なお、チャック電極40には、厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔41が形成されている。なお、他の実施形態において、電極部材として高周波電極、ヒータ電極を備えていてもよい。
【0029】
図1及び図2に示されるように、保持基板10の第1表面S1には、複数のガス流出口12bが設けられている。第1表面S1の外周縁部は、それよりも内側の部分と比べて僅かに上方に突出しつつ、円環状に形成されている。そのため、第1表面S1にウェハWが吸着保持されると、図2に示されるように、ウェハWと第1表面S1の内側の部分との間に隙間(ギャップ)Gが形成される。
【0030】
ベース部材20は、例えば、金属(アルミニウム、アルミニウム合金等)、金属とセラミックスの複合体(Al-SiC)、又はセラミックス(SiC)を主成分として構成される。
【0031】
ベース部材20の内部には、冷媒流路21が設けられている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体、水等)が流されることで、プラズマ熱の冷却が行われる。また、冷媒流路21に冷媒が流されると、ベース部材20が冷却され、接合材30を介したベース部材20と保持基板10との間の伝熱(熱引き)により、保持基板10が冷却される。その結果、保持基板10の第1表面S1で保持されたウェハWが冷却される。なお、冷媒流路21における冷媒の流量を適宜、調整することにより、第1表面S1で保持されたウェハWの温度を制御することができる。
【0032】
ベース部材20の内部には、流路60の一部を構成するベース側ガス流路22が設けられている。ベース側ガス流路22は、全体的には、ベース部材20の厚み方向に延びた貫通孔状をなしており、ベース部材20の第4表面S4に開口した入口22aと、第3表面S3に開口した出口22bとを備える。入口22aは、ベース側ガス流路22の入口をなすと共に、保持装置100に設けられた流路60全体の入口をなしている。
【0033】
接合材30は、例えば、シリコーン系の有機接合剤、無機接合剤、又はAl系の金属接着剤を含むボンディングシート等により構成される。接合材30としては、保持基板10及びベース部材20の双方に対して高い接着力を備えつつ、高い耐圧性及び熱伝導性を備えるものが好ましい。
【0034】
接合材30にも、流路60の一部を構成する接合側ガス流路31が形成されている。接合側ガス流路31は、層状の接合材30を厚み方向に貫通する孔からなる。
【0035】
流路60は、保持装置100の第1表面S1側に、不活性ガス(ヘリウムガス等)を供給するものである。第1表面S1には、上述したように、流路60の出口であるガス流出口12bが多数設けられており、各ガス流出口12bから不活性ガスが排出される形で、第1表面S1側に不活性ガスが供給される。このような流路60は、上述したように、ベース側ガス流路22と、接合側ガス流路31と、基板側ガス流路(ガス流路)12とを備える。
【0036】
流路60の入口22aは、ベース部材20の第4表面S4に複数設けられている。各入口22aから不活性ガス(図2中の矢印H)が供給されると、その不活性ガスは、各入口22aに接続したベース側ガス流路22、接合側ガス流路31及び基板側ガス流路(ガス流路)12を順次通過し、最終的に、第1表面S1に設けられた複数のガス流出口12bから排出される。
【0037】
ベース側ガス流路22の出口22bは、接合側ガス流路31の下側(ベース部材20側)の開口部と接続する。また、接合側ガス流路31の上側(保持基板10側)の開口部は、基板側ガス流路(ガス流路)12の入口12aと接続する。基板側ガス流路(ガス流路)12の入口12aは、保持基板10の第2表面S2に複数設けられている。
【0038】
このような基板側ガス流路(ガス流路)12の入口12aを含む第2縦流路部140は、その下流側で、複数の横流路部130と接続する。そして、各横流路部130には、それぞれ第1縦流路部120が接続されている。つまり、基板側ガス流路(ガス流路)12は、保持基板10(板状部材11)の内部において、上流側から下流側に向かって複数に分岐した形をなしている。
【0039】
次いで、多孔質体70及び多孔質体70が充填される基板側ガス流路12について、詳細に説明する。
【0040】
多孔質体70は、絶縁性のセラミックスを主成分とする、多数の気孔を含むガス透過性の部材である。多孔質体70は、基板側ガス流路12における複数の第1縦流路部120に対して、それぞれ充填される。多孔質体70は、全体的には、上下方向(保持基板10の厚み方向)に延びた形をなしており、内部に不活性ガスを通過させる通気経路が網目状に形成されている。通気経路は、多孔質体70内において、多数の気孔が互いに連なったものからなる。気孔は、多孔質体70の製造時(焼成時)に、粒子状の造孔材が焼失(消失)した痕として形成される。造孔材としては、例えば、合成樹脂製のビーズや炭素粉末等が利用される。
【0041】
第1縦流路部120は、図3に示されるように、全体的には、上下方向に延びた有底の筒状をなしている。第1縦流路部120は、第1表面S1側に配されるガス流出口12bと、第2表面S2側に配される底部120bとを有する。また、第1縦流路部120はガス流出口12bの反対側であり、かつ底部120bの上方(第1表面S1側)に、ガス流出口12bよりも大径の開口部12cを備えている。
【0042】
このような第1縦流路部120は、上端(第1表面S1側)に配され、ガス流出口12bを含む小径収容部121と、小径収容部121の下端(第2表面S2側)に接続し、小径収容部121よりも内径の大きい大径収容部122とを備える。
【0043】
小径収容部121は、ガス流出口12bから第2表面S2側に、板状部材11の厚み方向に沿って真っ直ぐに延びた周面121aを含む円筒状の孔部である。
【0044】
大径収容部122は、小径収容部121の下端(第2表面S2側)を取り囲むように配される環状の天井面122aと、この天井面122aの外縁から、板状部材11の厚み方向に沿って真っ直ぐに開口部12cまで延びた円筒状の周面122bを含む略円筒状の孔部である。
【0045】
第1縦流路部120は、更に、大径収容部122の下側(第2表面S2側)に、多孔質体70が充填されない底側流路部125を備えている。底側流路部125は、図4に示されるように、平面視で円形状をなした底部120bと、この底部120bの周縁から大径収容部122(第1表面S1側)に向かって立ち上がった略筒状の周面125aを含む部分である。なお、底側流路部125の周面125aの一部は、開口されており、その開口した部分(開口部)125bに、横流路部130の下流側の端部130bが接続される。
【0046】
また、底側流路部125は、底部120bの表面(底面)120b1から第1表面S1側に凸状に盛り上がった形の支柱部126を備えている。支柱部126は、板状部材11の一部からなり、かつ板状部材11の内部に形成された第1縦流路部120の底部120bの表面(底面)120b1から、多孔質体70の下側(第2表面S2側)の端面(下端面)70bに向かって凸状に盛り上がった形をなしている。本実施形態の場合、図4に示されるように、支柱部126は、円柱状をなしており、平面視で円形状をなした底部120bの略中央に配置されている。
【0047】
多孔質体70は、その下側に空間Vが形成されるように、第1縦流路部120に充填される。具体的には、多孔質体70は、大径収容部122の下側(第2表面S2側)に空間Vが形成されるように、第1縦流路部120の小径収容部121及び大径収容部122に充填される。このような多孔質体70は、第1表面S1側に配され、小径収容部121に充填される小径部71と、その小径部71の下端(第2表面S2側)に接続し、大径収容部122に充填される大径部72とを有する。なお、多孔質体70と、第1縦流路部120とは、互いに固相接合により一体化されている。
【0048】
小径部71は、全体的には、上下方向に延びた円柱状をなしており、第1縦流路部120の小径収容部121内に充填される。小径部71の上端面70aは、平面視で円形状をなしており、第2表面S2のガス流出口12bから露出している。本実施形態の場合、第1表面S1及び上端面70aは、互いに同一平面をなすように配されている。また、小径部71の周面は、小径収容部121の周面121aと密着しつつ、上下方向に真っ直ぐに延びた円環状をなしている。
【0049】
大径部72は、径方向の大きさが、小径部71及びガス流出口12bよりも大きい部分である。大径部72は、全体的には、上下方向に延びた円柱状をなしており、第1縦流路部120の大径収容部122内に充填される。大径部72は、環状の天井面122aと密着する円環状の上面と、この上面の外周縁から、板状部材11の厚み方向に沿って真っ直ぐに開口部12c側まで延びつつ、大径収容部122の円筒状の周面122bと密着する円環状をなしている。
【0050】
大径部72の下端面(第2表面S2側に配される多孔質体70の端面)70bは、平面視で円形状であり、開口部12cから底側流路部125に露出している。下端面70bは、横流路部130の上部及び開口部12cと、略同じ高さ位置に設定される。
【0051】
そして、下端面70bと底部120bの表面(底面)120b1との間に、支柱部126が介在されており、そのような支柱部126が、多孔質体70を下端面70b側から支える形となっている。なお、支柱部126の上端面126aは、多孔質体70の下端面70bの中央部分と密着して一体化されている。
【0052】
底部120bの表面(底面)120b1と下端面70bとの間において、支柱部126の周りを囲むように空間Vが形成されている。つまり、空間Vは、底側流路部125内において、支柱部126の周りを囲むような円環状をなしている。
【0053】
底側流路部125内に供給された不活性ガスは、下端面70bから多孔質体70内に供給される。下端面70bは、空間Vを間に置きつつ、底部120bの表面(底面)120b1と全面的に対向することにより、この下端面70bから、多孔質体70内に、十分な流量の不活性ガスを導入することができる。
【0054】
以上のように、本実施形態の保持装置100は、底部120bの表面(底面)120b1と多孔質体70の下端面70bとの間に介在され、多孔質体70を下端面70b側から支える支柱部126を備えている。そのため、本実施形態の保持装置100では、例えば、保持装置100(保持基板10)の製造時に、多孔質体70が第1縦流路部120の小径収容部121及び大径収容部122から下側に位置ずれすることが防止される。その結果、本実施形態の保持装置100では、多孔質体70の下端面70b側に、多孔質体70内に十分な流量の不活性ガスを導入するための空間Vを確実に確保することができる。
【0055】
また、本実施形態の場合、支柱部126は、板状部材11の一部からなり、かつ板状部材11の内部に形成された第1縦流路部120(底側流路部125)における底部120bの表面(底面)120b1から、多孔質体70の下端面70bに向かって凸状に盛り上がった形をなしている。このような支持部126は、底部120bの所定箇所に配置し易い。
【0056】
また、本実施形態の場合、底部120bの表面(底面)120b1と下端面70bとの間において、支柱部126の周りを囲むように空間Vが形成されているため、横流路部130から底側流路部125内(空間V)に供給された不活性ガスは、支柱部126の周りから支柱部126側に集まりつつ、支柱部126の周面に沿って多孔質体70の下端面70bに向かって上昇し易くなる。したがって、本実施形態の保持装置100では、多孔質体70内に、十分な流量の不活性ガスを効率的に供給することができる。
【0057】
続いて、本実施形態の保持装置100の製造方法の一例を説明する。ここで、先ず図5及び図6を参照しつつ、保持装置100を構成する保持基板10の製造方法について説明する。図5及び図6は、保持基板10の製造方法を模式的に表した説明図である。この保持基板10の製造方法は、グリーンシート(セラミックグリーンシート)を利用するシート積層法を応用したものである。なお、図5及び図6では、保持基板10の下側(第2表面S2側)が各図の上側に示され、かつ保持基板10の上側(第1表面S1側)が各図の下側に示される。
【0058】
先ず、図5(A)に示されるように、保持基板10の板状部材11を形成するためのグリーンシートを複数枚積層して、第1積層物80aが形成される。なお、第1積層物80aを構成する所定のグリーンシートには、導体層9が形成されており、そのようなグリーンシートが、他のグリーンシートに積層される。
【0059】
グリーンシート用のスラリーは、例えば、アルミナ粉末、アクリル系バインダ、分散剤、可塑剤等を含む混合物に、更に有機溶剤を加えたものを、ボールミルを用いて混合することで得られる。このスラリーを、キャスティング装置でシート状に成形し、その後、得られた成形物を乾燥させることで、複数枚のグリーンシートが得られる。
【0060】
また、導体層9を形成するためのメタライズペーストは、例えば、アルミナ粉末、アクリル系バインダ、有機溶剤の混合物に、タングステンやモリブデン等の導電性粉末を添加して混練することで得られる。このメタライズペーストを、例えばスクリーン印刷装置を用いて印刷することにより、特定のグリーンシート上に、導体層9が形成される。
【0061】
次いで、図5(B)に示されるように、第1積層物80aの所定箇所に、第1縦流路部120を形成するための孔部81が形成される。孔部81は、第1積層物80aを厚み方向に貫通する形で、略円筒状に設けられる。孔部81は、公知の加工装置(ルーター等)を利用して、第1積層物80aの所定箇所に形成される。
【0062】
次いで、図5(C)に示されるように、第1積層物80aの孔部81に対して、多孔質体70を形成するための多孔質体用ペースト7が充填される。多孔質体用ペースト7は、例えば、アルミナ粉末、造孔材、バインダ、有機溶剤等を含む混合物を混練することで得られる。多孔質体用ペースト7を孔部81に充填する方法としては、例えば、射出成型装置を用いる方法、スクリーン印刷装置を用いる方法等が挙げられる。なお、孔部81に多孔質体用ペースト7が充填された第1積層物80aは、適宜、乾燥される。
【0063】
その後、図6(D)に示されるように、第1積層物80aと、第2積層物80bとが積層される。第2積層物80bは、複数枚のグリーンシートが積層されたものからなる。なお、第2積層物80bの所定箇所には、基板側ガス流路12(第1縦流路部120の底側流路部125、横流路部130等)を形成するための溝部82や孔部(不図示)が設けられている。また、第2積層物80bには、支柱部126を形成するための凸部84が設けられている。第1積層物80a及び第2積層物80bからなる積層物は、例えば、20枚のグリーンシートの積層物からなり、それらは互いに熱圧着される。
【0064】
第1積層物80a及び第2積層物80bからなる積層物の外周は、適宜、切断されてもよい。そして、前記積層物をマシニングによって切削加工して円板状の成形体を作製する。その後、得られた成形体を脱脂焼成し、更に、脱脂焼成後の成形体を焼成(本焼成)することで、焼成体が得られる。
【0065】
その後、焼成体の表面に、凸状の外周縁部に対応する部分を遮蔽するマスクを配置し、例えばセラミックス等の粒体を投射するショットブラストを行うことにより、焼成体の表面に凸状の外周縁部を形成する。その後、この焼成体の表面を研磨加工等することにより、図6(E)に示されるような、板状部材11を有する保持基板10が得られる。
【0066】
ベース部材20の製造方法は、基本的に従来品の製造方法と同じである。そのため、その詳細説明は省略する。
【0067】
保持基板10及びベース部材20がそれぞれ作製された後、それらを、接合材30を利用して接合する。接合材30による保持基板10及びベース部材20の接合は、基本的には、従来品における接合と同じである。そのため、その詳細説明は省略する。このようにして、保持装置100が製造される。
【0068】
なお、図6(D)に示されるように、第1積層物80aと第2積層物80bとを積層する際に、第1積層物80a及び第2積層物80bには、厚み方向に、所定の圧力が加えられる。第1積層物80aの孔部81内に充填された多孔質体用ペースト7の下端面は、第2積層物80bの凸部84と当接して支えられているため、厚み方向に所定の圧力が加えられても、多孔質体用ペースト7が、溝部82側に位置ずれすることが防止される。したがって、本実施形態の保持装置100では、多孔質体70の下端面70b側に、多孔質体70内に十分な流量の不活性ガスを導入するための空間Vを確実に確保することができる。
【0069】
<実施形態2>
次いで、実施形態2に係る保持装置が備える保持基板10Aを、図7を参照しつつ説明する。図7は、実施形態2に係る保持基板10Aの基板側ガス流路12Aの一部を拡大した断面図である。本実施形態の保持基板10Aの基本的な構成は、実施形態1と同じである。そのため、図7では、実施形態1と対応する部分について、実施形態1と同一の符号に更に符号「A」を追加した符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0070】
保持基板10Aは、円板状の板状部材11Aと、その内部に形成された基板側ガス流路12Aとを備える。板状部材11Aの上側の表面が、保持基板10Aの第1表面SA1となり、板状部材11Aの下側の表面が、保持基板10Aの第2表面SA2となる。
【0071】
基板側ガス流路12Aは、図7に示されるように、第1縦流路部120Aと、横流路部130Aと、第2横流路部(不図示)とを備える。そして、基板側ガス流路12Aの一部である第1縦流路部120Aに、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体70Aが充填される。
【0072】
第1縦流路部120Aは、図7に示されるように、全体的には、上下方向に延びた有底の筒状をなしている。第1縦流路部120Aは、第1表面SA1側に配されるガス流出口12Abと、第2表面SA2側に配される底部120Abとを有する。また、第1縦流路部120Aはガス流出口12Abの反対側であり、かつ底部120Abの上方(第1表面SA1側)に、ガス流出口12Abよりも大径の開口部12Acを備えている。
【0073】
第1縦流路部120Aは、上端(第1表面SA1側)に配され、ガス流出口12Abを含む小径収容部121Aと、小径収容部121Aの下端(第2表面SA2側)に接続し、小径収容部121Aよりも内径の大きい大径収容部122Aとを備える。
【0074】
第1縦流路部120Aは、更に、大径収容部122Aの下側(第2表面SA2側)に、多孔質体70Aが充填されない底側流路部125Aを備えている。底側流路部125Aは、平面視で円形状をなした底部120Abと、この底部120Abの周縁から大径収容部122A(第1表面SA1側)に向かって立ち上がった略筒状の周面125Aaを含む部分である。なお、底側流路部125Aの周面125Aaの一部は、開口されており、その開口した部分(開口部)125Abに、横流路部130Aの下流側の端部130Abが接続される。
【0075】
底側流路部125Aは、底部120Abの表面(底面)120Ab1から第1表面SA1側に凸状に盛り上がった形の支柱部126Aを備えている。支柱部126Aは、板状部材11Aの一部からなり、かつ板状部材11Aの内部に形成された第1縦流路部120Aの底部120Abの表面(底面)120Ab1から、多孔質体70Aの下側(第2表面SA2側)の端面(下端面)70Abに向かって凸状に盛り上がった形をなしている。
【0076】
本実施形態の支柱部126Aは、端面(下端面)70Ab側から底部120Abの表面(底面)120Ab1側に向かって広がるように傾斜した傾斜面126Aaを含んでいる。支柱部126Aの上端126Abは、平面視で円形状をなしており、底部120Abの略中央に配置されている。支柱部126Aの傾斜面126Aaは、図7に示されるように、底部120Abの表面(底面)120Ab1側から、上端126Ab側に向かって滑らかに上るような形をなしている。傾斜面126Aaは、底側流路部125Aの底部120Abの周縁側から、中央に配される上端126Ab側に向かって盛り上がった形をなしている。
【0077】
多孔質体70Aは、その下側に空間VAが形成されるように、第1縦流路部120Aの小径収容部121A及び大径収容部122Aに充填される。多孔質体70Aは、小径収容部121Aに充填される小径部71Aと、その小径部71Aの下端(第2表面SA2側)に接続し、大径収容部122Aに充填される大径部72Aとを有する。多孔質体70Aと、第1縦流路部120Aとは、互いに固相接合により一体化されている。
【0078】
小径部71Aの上端面70Aaは、平面視で円形状をなしており、第2表面SA2のガス流出口12Abから露出している。第1表面SA1及び上端面70Aaは、互いに同一平面をなすように配されている。
【0079】
大径部72Aの下端面(第2表面SA2側に配される多孔質体70Aの端面)70Abは、平面視で円形状であり、開口部12Acから底側流路部125Aに露出している。下端面70Abは、横流路部130Aの上部及び開口部12Acと、略同じ高さ位置に設定される。
【0080】
下端面70Abと底部120Abの表面(底面)120Ab1との間に、支柱部126Aが介在されており、そのような支柱部126Aが、多孔質体70Aを下端面70Ab側から支える形となっている。なお、支柱部126Aの上端126Abは、多孔質体70Aの下端面70Abの中央部分と密着して一体化されている。
【0081】
底部120Abの表面(底面)120Ab1と下端面70Abとの間において、支柱部126Aの周りを囲むように空間VAが形成されている。つまり、空間VAは、底側流路部125A内において、支柱部126Aの周りを囲むような円環状をなしている。
【0082】
底側流路部125A内に供給された不活性ガスは、下端面70Abから多孔質体70A内に供給される。下端面70Abは、空間VAを間に置きつつ、底部120Abの表面(底面)120Ab1と全面的に対向することにより、この下端面70Abから、多孔質体70A内に、十分な流量の不活性ガスを導入することができる。
【0083】
本実施形態の保持装置100Aは、底部120Abの表面(底面)120Ab1と多孔質体70Aの下端面70Abとの間に介在され、多孔質体70Aを下端面70Ab側から支える支柱部126Aを備えている。そのため、本実施形態の保持装置では、例えば、保持装置(保持基板10A)の製造時に、多孔質体70Aが第1縦流路部120Aの小径収容部121A及び大径収容部122Aから下側に位置ずれすることが防止される。その結果、本実施形態の保持装置では、多孔質体70Aの下端面70Ab側に、多孔質体70A内に十分な流量の不活性ガスを導入するための空間VAを確実に確保することができる。
【0084】
また、本実施形態の場合、支柱部126Aは、板状部材11Aの一部からなり、かつ板状部材11Aの内部に形成された第1縦流路部120A(底側流路部125A)における底部120Abの表面(底面)120Ab1から、多孔質体70Aの下端面70Abに向かって凸状に盛り上がった形をなしている。このような支持部126Aは、底部120Abの所定箇所に配置し易い。
【0085】
また、本実施形態の場合、底部120Abの表面(底面)120Ab1と下端面70Abとの間において、支柱部126Aの周りを囲むように空間VAが形成されているため、横流路部130Aから底側流路部125A内(空間VA)に供給された不活性ガスは、支柱部126Aの周りから支柱部126A側に集まりつつ、支柱部126Aの周面に沿って多孔質体70Aの下端面70Abに向かって上昇し易くなる。特に、本実施形態の場合、支柱部126は、底部120Abの表面(底面)120Ab1側から、上端126Ab側に向かって滑らかに上るような形の傾斜面126Aaを含んでいるため、支柱部126Aの上端126Ab側に不活性ガスが集まり易く、多孔質体70A内に、十分な流量の不活性ガスを効率的に供給することができる。
【0086】
<実施形態3>
次いで、実施形態3に係る保持装置が備える保持基板10Bを、図8を参照しつつ説明する。図8は、実施形態3に係る保持基板10Bの基板側ガス流路12Bの一部を拡大した断面図である。本実施形態の保持基板10Bの基本的な構成は、実施形態1と同じである。そのため、図8では、実施形態1と対応する部分について、実施形態1と同一の符号に更に符号「B」を追加した符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0087】
保持基板10Bは、円板状の板状部材11Bと、その内部に形成された基板側ガス流路12Bとを備える。板状部材11Bの上側の表面が、保持基板10Bの第1表面SB1となり、板状部材11Bの下側の表面が、保持基板10Bの第2表面SB2となる。
【0088】
基板側ガス流路12Bは、図8に示されるように、第1縦流路部120Bと、横流路部130Bと、第2横流路部(不図示)とを備える。そして、基板側ガス流路12Bの一部である第1縦流路部120Bに、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体70Bが充填される。
【0089】
第1縦流路部120Bは、図8に示されるように、全体的には、上下方向に延びた有底の筒状をなしている。第1縦流路部120Bは、第1表面SB1側に配されるガス流出口12Bbと、第2表面SB2側に配される底部120Bbとを有する。また、第1縦流路部120Bはガス流出口12Bbの反対側であり、かつ底部120Bbの上方(第1表面SB1側)に、ガス流出口12Bbよりも大径の開口部12Bcを備えている。
【0090】
第1縦流路部120Bは、上端(第1表面SB1側)に配され、ガス流出口12Bbを含む小径収容部121Bと、小径収容部121Bの下端(第2表面SB2側)に接続し、小径収容部121Bよりも内径の大きい大径収容部122Bとを備える。
【0091】
第1縦流路部120Bは、更に、大径収容部122Bの下側(第2表面SB2側)に、多孔質体70Bが充填されない底側流路部125Bを備えている。底側流路部125Bは、平面視で円形状をなした底部120Bbと、この底部120Bbの周縁から大径収容部122B(第1表面SB1側)に向かって立ち上がった略筒状の周面125Baを含む部分である。なお、底側流路部125Bの周面125Baの一部は、開口されており、その開口した部分(開口部)125Bbに、横流路部130Bの下流側の端部130Bbが接続される。
【0092】
多孔質体70Bは、その下側に空間VBが形成されるように、第1縦流路部120Bの小径収容部121B及び大径収容部122Bに充填される。多孔質体70Bは、小径収容部121Bに充填される小径部71Bと、その小径部71Bの下端(第2表面SB2側)に接続し、大径収容部122Bに充填される大径部72Bとを有する。
【0093】
多孔質体70Bは、更に、支柱部126Bを備えている。支柱部70Bは、多孔質体70Bの一部からなり、かつ多孔質体70Bの大径部72Bの下端面70Bbから、底部120Bbの表面(底面)120Bb1に向かって凸状に盛り上がった形をなしている。支柱部126Bは、平面視で円形状をなしており、下端面79Bbの略中央に配置されている。支柱部126Bは、大径部72Bに対して一体的に設けられている。なお、多孔質体70Bと、第1縦流路部120Bとは、互いに固相接合により一体化されている。
【0094】
小径部71Bの上端面70Baは、平面視で円形状をなしており、第2表面SB2のガス流出口12Bbから露出している。第1表面SB1及び上端面70Baは、互いに同一平面をなすように配されている。
【0095】
大径部72Bの下端面70Bbは、平面視で、支柱部126Bの周りを囲むような円環状をなしており、開口部12Bcから底側流路部125Bに露出している。下端面70Bbは、横流路部130Bの上部及び開口部12Bcと、略同じ高さ位置に設定される。
【0096】
支柱部126Bは、下端面70Bbと底部120Bbの表面(底面)120Bb1との間に介在されており、そのような支柱部126Bが、多孔質体70Bを、大径部72Bの下端面70Bb側から支える形となっている。支柱部126Bの下端126Baは、底部120Bbの表面(底面)120Bb1の中央部分と密着して一体化されている。
【0097】
底部120Bbの表面(底面)120Bb1と、下端面70Bbとの間において、支柱部126Bの周りを囲むように空間VBが形成されている。つまり、空間VBは、底側流路部125B内において、支柱部126Bの周りを囲むような円環状をなしている。
【0098】
底側流路部125B内に供給された不活性ガスは、下端面70Bbから多孔質体70B内に供給されると共に、支柱部126Bの周面126Bbから多孔質体70B内に供給される。下端面70Bbは、空間VBを間に置きつつ、底部120Bbの表面(底面)120Bb1と全面的に対向することにより、この下端面70Bbから、多孔質体70B内に、十分な流量の不活性ガスを導入することができる。
【0099】
本実施形態の保持装置100Bは、底部120Bbの表面(底面)120Bb1と多孔質体70Bの下端面70Bbとの間に介在され、第1縦流路部120Bの小径収容部121B及び大径収容部122Bに充填されている多孔質体70Bの小径部71B及び大径部72Bを、下端面70Bb側から支える支柱部126Bを備えている。そのため、本実施形態の保持装置では、例えば、保持装置(保持基板10B)の製造時に、多孔質体70Bの小径部71B及び大径部72Bが、第1縦流路部120Bの小径収容部121B及び大径収容部122Bから下側に位置ずれすることが防止される。その結果、本実施形態の保持装置では、多孔質体70Bの大径収容部122Bの下端面70Bb側に、多孔質体70B内に十分な流量の不活性ガスを導入するための空間VBを確実に確保することができる。
【0100】
また、本実施形態の場合、支柱部126Bは、多孔質体70Bの一部からなり、支柱部126Bの周面126Bbから不活性ガスを、多孔質体70B内に導入することができる。また、このような支持部126Bは、底部120Bbの所定箇所に配置し易い。
【0101】
また、本実施形態の場合、底部120Bbの表面(底面)120Bb1と下端面70Bbとの間において、支柱部126Bの周りを囲むように空間VBが形成されているため、横流路部130Bから底側流路部125B内(空間VB)に供給された不活性ガスは、支柱部126B側に集まりつつ、支柱部126Bの周面に沿って多孔質体70Bの大径部72Bの下端面70Bbに向かって上昇し易くなる。したがって、多孔質体70B内に、十分な流量の不活性ガスを効率的に供給することができる。
【0102】
続いて、図9及び図10を参照しつつ、本実施形態の保持基板10Bの製造方法の一例を説明する。図9及び図10は、実施形態3に係る保持基板10Bの製造方法を模式的に表した説明図である。この保持基板10Bの製造方法は、実施形態1等と同様、グリーンシート(セラミックグリーンシート)を利用するシート積層法を応用したものである。なお、図9及び図10では、保持基板10Bの下側(第2表面SB2側)が各図の上側に示され、かつ保持基板10Bの上側(第1表面SB1側)が各図の下側に示される。
【0103】
先ず、図9(A)に示されるように、保持基板10Bの板状部材11Bを形成するためのグリーンシートを複数枚積層して、第1積層物80Baが形成される。第1積層物80Baを構成する所定のグリーンシートには、導体層9Bが形成されており、そのようなグリーンシートが、他のグリーンシートに積層される。
【0104】
次いで、図9(B)に示されるように、第1積層物80Baの所定箇所に、第1縦流路部120Bを形成するための孔部81Bが形成される。孔部81Bは、第1積層物80Baを厚み方向に貫通する形で、略円筒状に設けられる。
【0105】
次いで、図9(C)に示されるように、第1積層物80Baの孔部81Bに対して、多孔質体70Bを形成するための多孔質体用ペースト7Bが充填される。孔部81Bに多孔質体用ペースト7Bが充填された第1積層物80Baは、適宜、乾燥される。
【0106】
その後、図9(D)に示されるように、公知の加工装置(ルーター等)を利用して、第1積層物80Baにおける孔部81B内の多孔質体用ペースト7Bの一部や、板状部材11Bを形成するためのグリーンシートを削って、支柱部126Bを形成するための凸部7Baや、第1縦流路部120Bの底側流路部125B及び横流路部130Bを形成するための溝部82B等が設けられる。
【0107】
続いて、図9(E)に示されるように、第1積層物80Baと、第2積層物80Bbとが積層される。第2積層物80Bbは、複数枚のグリーンシートが積層されたものからなる。第1積層物80Ba及び第2積層物80Bbからなる積層物は、例えば、20枚のグリーンシートの積層物からなり、それらは互いに熱圧着される。
【0108】
第1積層物80Ba及び第2積層物80Bbからなる積層物の外周は、適宜、切断され、次いで、前記積層物をマシニングによって切削加工して円板状の成形体を作製する。その後、得られた成形体を脱脂焼成し、更に、脱脂焼成後の成形体を焼成(本焼成)することで、焼成体が得られる。
【0109】
その後、焼成体の表面に、凸状の外周縁部に対応する部分を遮蔽するマスクを配置し、例えばセラミックス等の粒体を投射するショットブラストを行うことにより、焼成体の表面に凸状の外周縁部を形成する。その後、この焼成体の表面を研磨加工等することにより、図6(F)に示されるような、板状部材11Bを有する保持基板10Bが得られる。
【0110】
図10(E)に示されるように、第1積層物80Baと第2積層物80Bbとを積層する際に、第1積層物80Ba及び第2積層物80Bbには、厚み方向に、所定の圧力が加えられる。第1積層物80Baの孔部81B内に充填された多孔質体用ペースト7Bの下端面の凸部7Baが、第2積層物80Bbと当接して支えられているため、厚み方向に所定の圧力が加えられても、多孔質体用ペースト7Bが、溝部82B側に位置ずれすることが防止される。したがって、保持基板10Bを備える本実施形態の保持装置100Bでは、多孔質体70Bの下端面70Bb側に、多孔質体70B内に十分な流量の不活性ガスを導入するための空間Vを確実に確保することができる。
【0111】
<実施形態4>
次いで、実施形態4に係る保持装置が備える保持基板10Cを、図11を参照しつつ説明する。図11は、実施形態4に係る保持基板10Cの基板側ガス流路12Cの一部を拡大した断面図である。本実施形態の保持基板10Cの基本的な構成は、実施形態1等と同じである。そのため、図11では、実施形態1と対応する部分について、実施形態1と同一の符号に更に符号「C」を追加した符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0112】
保持基板10Cは、円板状の板状部材11Cと、その内部に形成された基板側ガス流路12Cとを備える。板状部材11Cの上側の表面が、保持基板10Cの第1表面SC1となり、板状部材11Cの下側の表面が、保持基板10Cの第2表面SC2となる。
【0113】
基板側ガス流路12Cは、図11に示されるように、第1縦流路部120Cと、横流路部130Cと、第2横流路部(不図示)とを備える。そして、基板側ガス流路12Cの一部である第1縦流路部120Cに、セラミックスを主成分とするガス透過性の多孔質体70Cが充填される。
【0114】
第1縦流路部120Cは、図11に示されるように、全体的には、上下方向に延びた有底の筒状をなしている。第1縦流路部120Cは、第1表面SC1側に配されるガス流出口12Cbと、第2表面SC2側に配される底部120Cbとを有する。また、第1縦流路部120Cはガス流出口12Cbの反対側であり、かつ底部120Cbの上方(第1表面SC1側)に、ガス流出口12Cbよりも大径の開口部12Ccを備えている。
【0115】
第1縦流路部120Cは、上端(第1表面SC1側)に配され、ガス流出口12Cbを含む小径収容部121Cと、小径収容部121Cの下端(第2表面SC2側)に接続し、小径収容部121Cよりも内径の大きい大径収容部122Cとを備える。
【0116】
第1縦流路部120Cは、更に、大径収容部122Cの下側(第2表面SC2側)に、多孔質体70Cが充填されない底側流路部125Cを備えている。底側流路部125Cは、平面視で円形状をなした底部120Cbと、この底部120Cbの周縁から大径収容部122C(第1表面SC1側)に向かって立ち上がった略筒状の周面125Caを含む部分である。なお、底側流路部125Cの周面125Caの一部は、開口されており、その開口した部分(開口部)125Cbに、横流路部130Cの下流側の端部130Cbが接続される。
【0117】
底側流路部125Cにおける底部120Cbの表面(底面)120Cb1は、平面視で円形状をなしており、その中央に円柱状の支柱部126Cが配置されている。支柱部126Cは、緻密なセラミックスからなり、多孔質体70Cや板状部材11Cとは別に、予め焼成されたもの(焼結体)からなる。支柱部126Cは、多孔質体70Cの下側(第2表面SC2側)の端面(下端面)70Cbと、底部120Cbの表面(底面)120Cb1との間に挟まれる形で介在されており、そのような支柱部126Cが、多孔質体70Cを下端面70Cb側から支える形となっている。支柱部126Cは、平面視で、円形状の下端面70Cbの中央に配置されている。
【0118】
多孔質体70Cは、その下側に空間VCが形成されるように、第1縦流路部120Cの小径収容部121C及び大径収容部122Cに充填される。多孔質体70Cは、小径収容部121Cに充填される小径部71Cと、その小径部71Cの下端(第2表面SC2側)に接続し、大径収容部122Cに充填される大径部72Cとを有する。多孔質体70Cと、第1縦流路部120Cとは、互いに固相接合により一体化されている。
【0119】
小径部71Cの上端面70Caは、平面視で円形状をなしており、第2表面SC2のガス流出口12Cbから露出している。第1表面SC1及び上端面70Caは、互いに同一平面をなすように配されている。
【0120】
大径部72Cの下端面(第2表面SC2側に配される多孔質体70Cの端面)70Cbは、平面視で円形状であり、開口部12Ccから底側流路部125Cに露出している。下端面70Cbは、横流路部130Cの上部及び開口部12Ccと、略同じ高さ位置に設定される。
【0121】
底部120Cbの表面(底面)120Cb1と下端面70Cbとの間において、支柱部126Cの周りを囲むように空間VCが形成されている。つまり、空間VCは、底側流路部125C内において、支柱部126Cの周りを囲むような円環状をなしている。
【0122】
底側流路部125C内に供給された不活性ガスは、下端面70Cbから多孔質体70C内に供給される。下端面70Cbは、空間VCを間に置きつつ、底部120Cbの表面(底面)120Cb1と全面的に対向することにより、この下端面70Cbから、多孔質体70C内に、十分な流量の不活性ガスを導入することができる。
【0123】
本実施形態の保持装置が備える保持基板10Cは、底部120Cbの表面(底面)120Cb1と多孔質体70Cの下端面70Cbとの間に介在され、多孔質体70Cを下端面70Cb側から支える支柱部126Cを備えている。そのため、例えば、保持装置(保持基板10C)の製造時に、多孔質体70Cが第1縦流路部120Cの小径収容部121C及び大径収容部122Cから下側に位置ずれすることが防止される。その結果、本実施形態の保持装置では、多孔質体70Cの下端面70Cb側に、多孔質体70C内に十分な流量の不活性ガスを導入するための空間VCを確実に確保することができる。
【0124】
また、本実施形態の場合、底部120Cbの表面(底面)120Cb1と下端面70Cbとの間において、支柱部126Cの周りを囲むように空間VCが形成されているため、横流路部130Cから底側流路部125C内(空間VC)に供給された不活性ガスは、支柱部126C側に集まりつつ、支柱部126Cの周面に沿って多孔質体70Cの下端面70Cbに向かって上昇し易くなる。そのため、多孔質体70C内に、十分な流量の不活性ガスを効率的に供給することができる。
【0125】
<実施形態5>
次いで、実施形態5に係る保持装置が備える保持基板10Dを、図12及び図13を参照しつつ説明する。図12は、実施形態5に係る保持基板10Dの基板側ガス流路12Dの一部を拡大した断面図であり、図13は、図12のB-B線断面図である。本実施形態の保持基板10Dの基本的な構成は、実施形態1と同じである。そのため、図12及び図13では、実施形態1と対応する部分について、実施形態1と同一の符号に更に符号「D」を追加した符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0126】
保持基板10Dは、円板状の板状部材11Dと、その内部に形成された基板側ガス流路12Dとを備える。板状部材11Dの上側の表面が、保持基板10Dの第1表面SD1となり、板状部材11Dの下側の表面が、保持基板10Dの第2表面SD2となる。
【0127】
基板側ガス流路12Dは、図12に示されるように、第1縦流路部120Dと、横流路部130Dと、第2横流路部(不図示)とを備える。本実施形態の場合、基板側ガス流路12Dは、更に、横流路部130D以外に、横流路部131D~133Dを備えている。多孔質体70Dは、板側ガス流路12Dの一部である第1縦流路部120Dに充填される。
【0128】
第1縦流路部120Dは、図12に示されるように、全体的には、上下方向に延びた有底の筒状をなしている。第1縦流路部120Dは、第1表面SD1側に配されるガス流出口12Dbと、第2表面SD2側に配される底部120Dbとを有する。また、第1縦流路部120Dはガス流出口12Dbの反対側であり、かつ底部120Dbの上方(第1表面SD1側)に、ガス流出口12Dbよりも大径の開口部12Dcを備えている。
【0129】
第1縦流路部120Dは、上端(第1表面SD1側)に配され、ガス流出口12Dbを含む小径収容部121Dと、小径収容部121Dの下端(第2表面SD2側)に接続し、小径収容部121Dよりも内径の大きい大径収容部122Dとを備える。
【0130】
第1縦流路部120Dは、更に、大径収容部122Dの下側(第2表面SA2側)に、底側流路部125Dを備えている。底側流路部125Dは、平面視で円形状をなした底部120Dbと、この底部120Dbの周縁から大径収容部122D(第1表面SD1側)に向かって立ち上がった略筒状の周面125Daを含む部分である。なお、底側流路部125Dの周面125Daは、4箇所開口されており、その1つの開口した部分(開口部)125Dbに、横流路部130Dの下流側の端部130Dbが接続される。そして、残り3つの開口部125Dc、125Dd、125Deに、それぞれ横流路部131D、132D、133Dの各端部が接続される。
【0131】
多孔質体70Bは、その下側に空間VDが形成されるように、第1縦流路部120Dの小径収容部121D及び大径収容部122Dに充填される。多孔質体70Dは、小径収容部121Dに充填される小径部71Dと、その小径部71Dの下端(第2表面SD2側)に接続し、大径収容部122Dに充填される大径部72Dとを有する。多孔質体70Dと、第1縦流路部120Dとは、互いに固相接合により一体化されている。
【0132】
小径部71Dの上端面70Daは、平面視で円形状をなしており、第2表面SD2のガス流出口12Dbから露出している。第1平面SD1及び上端面70Daは、互いに同一平面をなすように配されている。
【0133】
大径部72Dの下端面70Dbは、開口部12Dcから底側流路部125Dに露出している。下端面70Dbは、横流路部130Dの上部及び開口部12Dcと、略同じ高さ位置に設定される。
【0134】
多孔質体70Dは、更に、複数の支柱部126Dを備えている。本実施形態の場合、多孔質体70Dは、4つの支柱部126D(126D1~126D4)を備えている。各支柱部126Dは、多孔質体70Dの一部からなり、かつ多孔質体70Dの大径部72Dの下端面70Dbから、底部120Dbの表面(底面)120Db1に向かって凸状に盛り上がった形をなしている。各支柱部126Dは、平面視で、中心角が90°の扇状をなしており、円形状の底部120Dbの表面(底面)120Db1上において、互いに間隔を保ちつつ4つに分かれて配置される。これら4つの各支柱部126Dの間には、図13に示されるように、互いに垂直に交わった形の空間VDが形成される。つまり、空間VDは、隣り合った支柱部126Dの間に形成される。なお、多孔質体70Dと、第1縦流路部120Dとは、互いに固相接合により一体化されている。
【0135】
各支柱部126Dは、下端面70Dbと底部120Dbの表面(底面)120Db1との間に介在されており、そのような各支柱部126Dが、多孔質体70Dを、大径部72Dの下端面70Db側から支える形となっている。各支柱部126Dは、大径部72Dに対して一体的に設けられている。
【0136】
横流路部130Dから送られてきた不活性ガスは、底側流路部125D内の空間VDに供給された後、各支柱部126Dの壁面126Daに沿いつつ、大径部72Dの下端面70Dbに向かって上昇することで、下端面70Db等から多孔質体70D内に導入される。また、不活性ガスは、各支柱部126Dの壁面126Da(特に、壁面126Daと底部120Dbの表面(底面)120Db1との境界部分や、壁面126Daと下端面70Dbとの境界部分等)等からも、多孔質体70D内される。このように大径部72Dの下端面70Dbや、支柱部126Dの壁面126Daが、空間VDに面しており、このような下端面70Db等から、多孔質体70D内に、十分な流量の不活性ガスを導入することができる。
【0137】
本実施形態の保持装置が備える保持基板10Dは、底部120Dbの表面(底面)120Db1と多孔質体70Dの下端面70Dbとの間に介在され、多孔質体70Dの大径部72Dを、下端面70Db側から支える複数の支柱部126Dを備えている。そのため、例えば、保持装置(保持基板10D)の製造時に、多孔質体70Dの小径部71D及び大径部72Dが、第1縦流路部120Dの小径収容部121D及び大径収容部122Dから下側に位置ずれすることが防止される。その結果、本実施形態の保持装置では、多孔質体70Dの下端面70Db側に、多孔質体70D内に十分な流量の不活性ガスを導入するための空間VDを確実に確保することができる。
【0138】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0139】
(1)ガス流出口から露出する多孔質体の上端面は、本発明の目的を損なわない限り、円形状以外の形(多角形状等)であってもよい。
【0140】
(2)多孔質体の上端面は、本発明の目的を損なわない限り、第1表面よりも下側にはいされてもよい。
【0141】
(3)不活性ガスを通すためのガス流路は、ベース部材に形成されなくてもよく、保持基板のみに形成されていてもよい。
【0142】
(4)上記実施形態で示した保持装置の製造方法は、一例であり、本発明の目的を損なわない限り、他の方法で製造されてもよい。
【0143】
(5)上記実施形態5では、4つの横流路部のうち、1つの横流路部から底側流路部内の空間に不活性ガスが供給されていたが、他の実施形態においては、複数の横流路部から、底側流路部内の空間に不活性ガスが供給されてもよい。
【符号の説明】
【0144】
100…保持装置、10…保持基板、11…板状部材、12…基板側ガス流路(ガス流路)、12b…ガス流出口、120…第1縦流路部(縦流路部)、130…横流路部、140…第2縦流路部、70…多孔質体、126…支柱部、V…空間、S1…第1表面、S2…第2表面、W…ウェハ(対象物)
図1
図2
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