(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162029
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01D 33/10 20060101AFI20241114BHJP
A01D 25/04 20060101ALI20241114BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A01D33/10
A01D25/04
A01B69/00 303M
A01B69/00 303K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077176
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
【テーマコード(参考)】
2B043
2B072
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB12
2B043DC03
2B043EA08
2B043EB05
2B043EB12
2B043EC14
2B043ED12
2B072AA03
2B072BA12
2B072CA22
2B072EA15
2B072FA03
2B072GA18
(57)【要約】
【課題】 従来の作業車両については、作物搬送装置を通過する作物の選別作業における作業性が必ずしも十分に良好でないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 作物収穫装置200により収穫された作物を左右の後輪120の間の空間を通って後方へ搬送する作物搬送装置300と、作物搬送装置300により搬送された作物を収納する作物収納体400と、を備えており、作物搬送装置300は、作物を上方へ汲上げる作物汲上げコンベアー310を有し、作物汲上げコンベアー310により汲上げられた作物が作物収納体400に収納される前に作物を選別する作物選別作業を行うための作物選別作業者用座席140が、設けられており、作物選別作業者用座席140は、運転者用座席130の左側および右側の少なくとも一方の側へ配置されているディガーピッカー作業機である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を収穫する、左右の前輪(110)および左右の後輪(120)の間の空間へ配置された作物収穫装置(200)と、
作物収穫装置(200)により収穫された作物を左右の後輪(120)の間の空間を通って後方へ搬送する作物搬送装置(300)と、
作物搬送装置(300)により搬送された作物を収納する作物収納体(400)と、
を備えており、
作物搬送装置(300)は、作物を上方へ汲上げる作物汲上げコンベアー(310)を有し、
作物汲上げコンベアー(310)により汲上げられた作物が作物収納体(400)に収納される前に作物を選別する作物選別作業を行うための作物選別作業者用座席(140)が、設けられており、
作物選別作業者用座席(140)は、運転者用座席(130)の左側および右側の少なくとも一方の側へ配置されていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
作物選別作業が行われる、作物汲上げコンベアー(310)の作物選別作業部(311)は、水平であることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
作物選別作業部(311)は、回動可能であることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
作物収納体(400)を昇降させる作物収納体昇降機構(410)を備えており、
作物を作物収納体(400)へ向かって案内する櫛歯形状の作物ガイド(401)が、作物収納体昇降機構(410)により最高位置へ上昇された作物収納体(400)の開口部の位置より高い位置へ設けられていることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
運転者用座席(130)の着座状態を検出する運転者用着座センサー(131)と、
自動走行制御を行うコントローラー(800)と、
を備えており、
運転者用着座センサー(131)により検出された着座状態がオフ状態であるとき、コントローラー(800)は自動旋回走行を保留する自動走行制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
作物選別作業者用座席(140)の着座状態を検出する作物選別作業者用着座センサー(141)を備えており、
運転者用着座センサー(131)により検出された着座状態がオン状態からオフ状態になった後にあらかじめ定められた期間が経過しても、作物選別作業者用着座センサー(141)により検出された着座状態がオフ状態であるとき、コントローラー(800)は自動直進走行を保留する自動走行制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
作物搬送装置(300)の動力は、動力伝達経路(500)を経て後輪(120)の後輪駆動トランスミッションケース(510)から取出し可能であり、
作物搬送装置(300)の動力が後進状態において後輪駆動トランスミッションケース(510)から取出されないように、ワンウェイクラッチ(520)が動力伝達経路(500)へ設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉ねぎピッカーのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
走行車体の左右一側に作物を収穫する収穫装置を設け、走行車体の左右他側に収穫した作物を収容する収容部を設け、走行車体の後部に収穫した作物の選別作業をするための選別部を機体左右方向に設け、選別部の後方に補助作業者が座る補助座席を設け、収容部に収容した作物を載置する載置部を設けると共に、載置部に載置した作物を機体前方に搬送する搬送装置を設け、載置部の後側に昇降装置を設け、載置した作物が多くなるにつれて下降する支持部材を昇降装置に片持ち支持状態で設け、支持部材を搬送装置の搬送作用部よりも下方の位置まで下降する構成とし、支持部材上の作物を搬送装置に受け渡し可能に構成した野菜収穫機のような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能が玉ねぎピッカーのような作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、従来の作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
より具体的には、たとえば、作物搬送装置を通過する作物の選別作業における作業性が必ずしも十分に良好でないことに本発明者は気付いた。
【0007】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手を向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、作物を収穫する、左右の前輪(110)および左右の後輪(120)の間の空間へ配置された作物収穫装置(200)と、
作物収穫装置(200)により収穫された作物を左右の後輪(120)の間の空間を通って後方へ搬送する作物搬送装置(300)と、
作物搬送装置(300)により搬送された作物を収納する作物収納体(400)と、
を備えており、
作物搬送装置(300)は、作物を上方へ汲上げる作物汲上げコンベアー(310)を有し、
作物汲上げコンベアー(310)により汲上げられた作物が作物収納体(400)に収納される前に作物を選別する作物選別作業を行うための作物選別作業者用座席(140)が、設けられており、
作物選別作業者用座席(140)は、運転者用座席(130)の左側および右側の少なくとも一方の側へ配置されていることを特徴とする作業車両である。
【0009】
第2の本発明は、作物選別作業が行われる、作物汲上げコンベアー(310)の作物選別作業部(311)は、水平であることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0010】
第3の本発明は、作物選別作業部(311)は、回動可能であることを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0011】
第4の本発明は、作物収納体(400)を昇降させる作物収納体昇降機構(410)を備えており、
作物を作物収納体(400)へ向かって案内する櫛歯形状の作物ガイド(401)が、作物収納体昇降機構(410)により最高位置へ上昇された作物収納体(400)の開口部の位置より高い位置へ設けられていることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0012】
第5の本発明は、運転者用座席(130)の着座状態を検出する運転者用着座センサー(131)と、
自動走行制御を行うコントローラー(800)と、
を備えており、
運転者用着座センサー(131)により検出された着座状態がオフ状態であるとき、コントローラー(800)は自動旋回走行を保留する自動走行制御を行うことを特徴とする第4の本発明の作業車両である。
【0013】
第6の本発明は、作物選別作業者用座席(140)の着座状態を検出する作物選別作業者用着座センサー(141)を備えており、
運転者用着座センサー(131)により検出された着座状態がオン状態からオフ状態になった後にあらかじめ定められた期間が経過しても、作物選別作業者用着座センサー(141)により検出された着座状態がオフ状態であるとき、コントローラー(800)は自動直進走行を保留する自動走行制御を行うことを特徴とする第5の本発明の作業車両である。
【0014】
第7の本発明は、作物搬送装置(300)の動力は、動力伝達経路(500)を経て後輪(120)の後輪駆動トランスミッションケース(510)から取出し可能であり、
作物搬送装置(300)の動力が後進状態において後輪駆動トランスミッションケース(510)から取出されないように、ワンウェイクラッチ(520)が動力伝達経路(500)へ設けられていることを特徴とする第1から第6のいずれかの本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0015】
第1の本発明により、使い勝手を向上することが可能である。
【0016】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、使い勝手をさらに向上することが可能である。
【0017】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0018】
第4の本発明により、第3の本発明の効果に加えて、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0019】
第5の本発明により、第4の本発明の効果に加えて、安全性を向上することが可能である。
【0020】
第6の本発明により、第5の本発明の効果に加えて、安全性をさらに向上することが可能である。
【0021】
第7の本発明により、第1から第6のいずれかの本発明の効果に加えて、構成を簡素化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の斜視図(その一)
【
図2】本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の斜視図(その二)
【
図3】本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の斜視図(その三)
【
図4】本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の左側面図
【
図5】本発明における実施の形態の第一の変形例のディガーピッカー作業機の斜視図
【
図6】本発明における実施の形態の第一の変形例のディガーピッカー作業機の作物収納体昇降機構近傍の斜視図
【
図7】本発明における実施の形態の第二の変形例のディガーピッカー作業機の斜視図(その一)
【
図8】本発明における実施の形態の第二の変形例のディガーピッカー作業機の斜視図(その二)
【
図9】本発明における実施の形態の第二の変形例のディガーピッカー作業機の作物選別作業者用座席近傍の模式的な左側面図
【
図10】本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の作物搬送装置近傍の斜視図
【
図11】本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の動力伝達機構説明図
【
図12】本発明における実施の形態の第三の変形例のディガーピッカー作業機の動力伝達機構説明図
【
図13】本発明における実施の形態の第四の変形例のディガーピッカー作業機の作物搬送装置近傍の斜視図
【
図14】本発明における実施の形態の第四の変形例のディガーピッカー作業機の動力伝達機構説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0025】
本実施の形態のディガーピッカー作業機の動作について説明しながら、コントローラー800などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0026】
本実施の形態のディガーピッカー作業機は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0027】
ディガーピッカー作業機は、作物が玉ねぎである典型的な場合においては、玉ねぎピッカーまたはオニオンピッカーとも呼ばれる、小回りの利く小型ディガーピッカー作業機であり、しばしば海外で利用される大型ディガーピッカー作業機では必ずしもない。すなわち、一般的なディガーピッカー作業機の態様はさまざまであり、たとえば、作物がじゃがいもであり、このようなディガーピッカー作業機がじゃがいもピッカーまたはポテトピッカーとも呼ばれるディガーピッカー作業機である態様も考えられる。
【0028】
(1)はじめに、
図1から6を主として参照しながら、本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の構成および動作について具体的に説明する。
【0029】
ここに、
図1から3は本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の斜視図(その一から三)であり、
図4は本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の左側面図であり、
図5は本発明における実施の形態の第一の変形例のディガーピッカー作業機の斜視図であり、
図6は本発明における実施の形態の第一の変形例のディガーピッカー作業機の作物収納体昇降機構410近傍の斜視図である。
【0030】
作物収穫装置200は、作物を収穫する、左右の前輪110および左右の後輪120の間の空間へ配置された収穫装置である。
【0031】
作物搬送装置300は、作物収穫装置200により収穫された作物を左右の後輪120の間の空間を通って後方へ搬送する搬送装置である。
【0032】
作物収納体400は、作物搬送装置300により搬送された作物を収納する収納体である。
【0033】
作物搬送装置300は、作物を上方へ汲上げる作物汲上げコンベアー310を有する。
【0034】
作物汲上げコンベアー310により汲上げられた作物が作物収納体400に収納される前に作物を選別する作物選別作業を行うための作物選別作業者用座席140が、設けられている。
【0035】
作物選別作業者用座席140は、運転者用座席130の左側および右側の少なくとも一方の側へ配置されている。
【0036】
小型四輪トラクターの車体構成を利用する野菜収穫作業車両において、作物収穫装置200が前輪110および後輪120の間に配置されており、作物収納体400は車体後部の運転者用座席130の後方に配置されている。作物収穫装置200は車体中央部に配置されており、地上からの作物収穫装置200の高さは車体下側位置の高さより小さく、上下方向における作物収穫装置200の稼働距離を含む車高が確保される。作物が運転者用座席130の後方の作物収納体400に落下するように、作物搬送装置300は後輪120の間の空間を通って延伸し、作物を載せて搬送するために必要な寸法が確保される。左右方向における運転者用座席130の両方の側においてまたは一方の側において、補助席としての作物選別作業者用座席140が作物収穫装置200に向くように配置されているので、作物選別作業者用座席140に座っている作物選別作業者は作物搬送装置300を通過する作物を楽に選別することができる。
【0037】
作物搬送装置300が走行上部の一方の側にあり、運転者用座席130および作物選別作業者用座席140が左右方向における反対側へ独立的に配置されるレイアウトが採用される態様においては、運転および作物選別作業の連携が困難になりやすいので、作業遅れなどが運転に反映されにくいことがある。
【0038】
本実施の形態においては、作物搬送装置300は運転者用座席130の下側を通過し、作物選別作業者用座席140は後ろ側を向くように左右方向における運転者用座席130の両方の側へ設けられているので、作物搬送装置300を通過する作物の選別作業における作業性を重視するコンパクトな野菜収穫装置構成が実現される。
【0039】
作物選別作業者用座席140が運転者用座席130の横側に配置されているので、運転者は作業遅れなどを間違いなく認識することができる。自動走行の場合においては、基本的に作物選別作業者用座席140に座っている一人のオペレーターが、走行向きの変更などが必要であるときのみ、運転者用座席130に移動することができるので、省力化が実現される。
【0040】
作物選別作業が行われる、作物汲上げコンベアー310の作物選別作業部311は、水平である。
【0041】
作物汲上げコンベアー310の上端部は後方へ向かって屈曲させられており、作物選別作業が容易に行われるように、作物選別作業部311のための空間が確保される。
【0042】
作物の視認が容易になるように、作物汲上げコンベアー310の作物選別作業部311の後端部は垂直にまたは斜めに延伸させられていてもよい。
【0043】
作物選別作業者用座席140に座っている作物選別作業者の前で、下方から上昇した作物が水平方向へ移動するので、奇形の作物の発見が作物移動向きの変化にともなう視認角度の変化で容易になる。
【0044】
作物汲上げコンベアー310の作物汲上げラグ1011は、板状ラグであるが、作物の視認が容易になるように、格子状ラグまたはメッシュ状ラグであってもよい。
【0045】
作物選別作業部311は、回動可能である。
【0046】
作物選別作業部311の水平性を決定する、コンベアー終端屈曲部の倒伏度が矢印Aの方向において回動操作で調節可能であることにより、走行部本体から作物汲上げコンベアー310の側へ向く作物選別作業者用座席140を設けるための作業スペースが十分に確保される。
【0047】
作物選別作業者用座席140が運転者用座席130の左右方向における横側へ設けられているので、後向き姿勢での作物選別作業は容易である。
【0048】
作物収納体昇降機構410は、作物収納体400を昇降させる収納体昇降機構である。
【0049】
作物収納体昇降機構410が、平行リンク昇降機構ではない、直動方式のフォークリフト昇降機構として作物汲上げコンベアー310の後方へ配置される、第一の変形例の態様も、考えられる。
【0050】
作物を作物収納体400へ向かって案内する櫛歯形状の作物ガイド401が、作物収納体昇降機構410により最高位置へ上昇された作物収納体400の開口部の位置より高い位置へ設けられている。
【0051】
収穫のときの作物収納体400の位置調節は、フォークリフトの長いストロークを利用する、フォークリフト高さ調節のみで行うことができるのみならず、トラックなどへの積込み、および積降しも容易に行うことができる。
【0052】
強度が要求される、フォークリフト昇降機構のマスト状の縦スライド部材1006が作物汲上げコンベアー310の左右方向における外側へ配置されていることにより、作物搬送が妨げられにくい。
【0053】
縦スライド部材1006は、作物汲上げコンベアー310の補強部材としても機能することができる。
【0054】
左右方向において分割された二つの部材として設けられた縦スライド部材1006を繋いでいる、上側の下駄状の横リンク部材1007の位置は、作物収納体400が作物収納体昇降機構410により最低位置へ上昇されたリフト最下降状態においても、作物汲上げコンベアー310の上端位置より高いので、作物搬送が妨げられにくい。
【0055】
フォークリフト昇降機構の上下方向における昇降のためのシリンダー部材は作物植付け条の間の中央部近傍へ配置されているので、作物搬送が妨げられにくい。
【0056】
作物ガイド401はフォークリフト側へ設けられており、作物が作物汲上げコンベアー310から離脱させられる高さは作物収納体400の高さに応じて変化してもよい。
【0057】
作物搬送装置300の搬送方向は上方に位置する後側部分において水平方向であり、作物収納体昇降機構410が作物搬送装置300の後方へ設けられている。リフト昇降が行われる作物収納体400への作物搬送がスムーズに行われるように、作物搬送装置300、作物収納体昇降機構410、ならびに運転者用座席130および作物選別作業者用座席140が配置される。
【0058】
作物が作物搬送装置300により上昇するように搬送される前側部分において、作物の視認はやや困難であるが、搬送系から収納系への送込みが行われる水平な後側部分において、作物の視認は容易であるので、作物の良否判断をともなう作物選別作業が効率的に行われる。
【0059】
滑らかな曲面を有するホイールキャップ1001が前輪110の内側へ設けられているので、前輪110が玉ねぎのような作物と接触して引掛かかりにくく、こぼれ落ちとも呼ばれる作物の巻込みの発生が抑制される。
【0060】
ホイールキャップ1001は、前輪110とともに回転しないように自由回転方式で支持されている。
【0061】
作物収納体400の部分は作物汲上げコンベアー310と着脱可能であり、いわゆる積込み構成および降着構成が落下吸収のための一対の差込みリンク1002で同時に実現される。
【0062】
後輪120のフェンダー1005は、作物汲上げコンベアー310の巻込み防止板としても機能する。
【0063】
作物選別作業者用座席140の車体外側は開放されているので、緊急のときの降車は容易である。
【0064】
(2)つぎに、
図7から9を主として参照しながら、本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0065】
ここに、
図7および8は本発明における実施の形態の第二の変形例のディガーピッカー作業機の斜視図(その一および二)であり、
図9は本発明における実施の形態の第二の変形例のディガーピッカー作業機の作物選別作業者用座席140近傍の模式的な左側面図である。
【0066】
バータイプシートである作物選別作業者用座席140への着座は、完全な着座ではなく、立ち姿勢に近い姿勢での着座であり、補助者である作物選別作業者の姿勢の自由度は大きい、第二の変形例の態様も、考えられる。
【0067】
運転者用着座センサー131は、運転者用座席130の着座状態を検出する着座センサーである。
【0068】
運転者用着座センサー131により検出された着座状態がオフ状態であるとき、コントローラー800は自動旋回走行を保留する自動走行制御を行う。
【0069】
畝または畔へ追従する自動走行制御が行われているとき、運転者用座席130へ座っているオペレーターが作物選別作業者用座席140へ移動すると、自動直進走行のモードへの移行が行われる
作物選別作業者用着座センサー141は、作物選別作業者用座席140の着座状態を検出する着座センサーである。
【0070】
オペレーターの移動は、運転者用着座センサー131および作物選別作業者用着座センサー141で確実に検出される。
【0071】
運転者用着座センサー131により検出された着座状態がオン状態からオフ状態になった後にあらかじめ定められた期間が経過しても、作物選別作業者用着座センサー141により検出された着座状態がオフ状態であるとき、コントローラー800は自動直進走行を保留する自動走行制御を行う。
【0072】
自動走行制御が行われているとき、オペレーターが運転者用座席130から離れた後、所定の時間が経過しても、作物選別作業者用座席140へのオペレーターの移動が検出されない場合、安全のための自動停車が一時的に行われる。
【0073】
運転者用座席130への着座が畔終端部での自動旋回走行の前に検出されず、作物選別作業者用着座センサー141への着座のみが検出された場合において、自動旋回は開始されず、安全のための自動停車が一時的に行われる。
【0074】
作物選別作業者用座席140の展開収納状態は、運転者用座席130のアームレストからの展開または収納を検出することにより、判断される。
【0075】
作物汲上げコンベアー310のコンベアー終端屈曲部が作物収納体400の収納体内容量または収納体リフト位置に応じて徐々に起立させられることにより、コンベアー終端角度は調節可能である。
【0076】
運転者用座席130の左右方向における横側であるステップ側は掘下げられており、作物選別作業者用スペース1003が設けられている。
【0077】
ホイールモーター1004が後輪120の車軸へ取付けられる態様においては、機械式のPTOおよび後輪120を駆動するためのリアトランスミッションケースは不要であり、シャーシ後端部の長さが短いことにより、作物汲上げコンベアー310および作物収納体400が前方へ向かって寄集められて配置される構成を採用することができる。
【0078】
リアトランスミッションケースが利用されないので、前後進操作部および作業機操作部をハンドルコラムの周辺などへ移動させることにより、運転者用座席130の左側へまたは右側へ設けられた作物選別作業の補助のためのスペースは容易に確保される。
【0079】
作物選別作業者用座席140を前倒しのようなシート背面の折畳みで収納することにより、フロアを通っての容易なオペレーター移動が実現される。
【0080】
折畳まれた作物選別作業者用座席140は、運転者用座席130のアームレストとしても機能する。
【0081】
作物選別作業者用座席140の折畳み収納においては、運転者用座席130のシート左側またはシート右側から引出されたアーム部材1008を利用することにより、作物選別作業者用座席140のシート座面のアーム上重ねまたはアーム挟込みが行われる。
【0082】
アーム部材1008を上下方向において移動させることにより、作物選別作業者用座席140の高さを自由に調節することができる。
【0083】
(3)つぎに、
図10から14を主として参照しながら、本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0084】
ここに、
図10は本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の作物搬送装置300近傍の斜視図であり、
図11は本発明における実施の形態のディガーピッカー作業機の動力伝達機構説明図であり、
図12は本発明における実施の形態の第三の変形例のディガーピッカー作業機の動力伝達機構説明図であり、
図13は本発明における実施の形態の第四の変形例のディガーピッカー作業機の作物搬送装置300近傍の斜視図であり、
図14は本発明における実施の形態の第四の変形例のディガーピッカー作業機の動力伝達機構説明図である。
【0085】
作物搬送装置300の動力は、動力伝達経路500を経て後輪120の後輪駆動トランスミッションケース510から取出し可能である。
【0086】
作物搬送装置300の動力が後進状態において後輪駆動トランスミッションケース510から取出されないように、ワンウェイクラッチ520が動力伝達経路500へ設けられている。
【0087】
後輪車高上げケースとも呼ばれる後輪駆動トランスミッションケース510から作物搬送装置300の作物掘取りコンベアーおよび作物搬送コンベアーなどへ駆動動力を伝達するための伝達部へワンウェイクラッチ520を挿入することにより、後進のときのコンベアー逆転駆動が回避される。
【0088】
左右一対の後輪駆動トランスミッションケース510の何れと接続するかが選択可能であり、車速と作物搬送装置300の駆動速度比は選択的に変更可能であってもよい。
【0089】
左右一対の後輪駆動トランスミッションケース510の一方との接続はコンベアー低速駆動のための接続であり、左右一対の後輪駆動トランスミッションケース510の他方との接続はコンベアー高速駆動のための接続である。
【0090】
左右の両方の接続がそれぞれのワンウェイクラッチ520を介して行われる構成を採用することにより、コンベアー高速駆動がオーバーランニング作用で優先的に行われる。
【0091】
コンベアー高速駆動のための接続のみがワンウェイクラッチ520を介して行われる構成においては、ワンウェイクラッチ520をオフすることにより、コンベアー低速駆動への変更が行われる。
【0092】
いわゆる押引き方式のクラッチまたはシフト方式のクラッチであるワンウェイクラッチ520が、ワイヤーケーブルを利用する手動方式でまたは電動方式でオンオフされることにより、車速と作物搬送装置300の駆動速度比はリモート操作で変更される。
【0093】
作物搬送装置300の動力が車体走行動力を利用して取込まれる態様において、車体後進にともなう作物搬送装置300の逆転運転が回避されるように、ワンウェイクラッチ520が動力入力部へ設けられる。
【0094】
単一の動力源による動力分配構成が車体サイズ増大を抑制する目的で採用される構成において、野菜搬送向きは車体前進向きと一致するので、車体後進にともなう動力向き逆転の悪影響が発生しないように、ワンウェイクラッチ520が挿入される。
【0095】
作物掘取りコンベアーおよび作物搬送コンベアーなどを有する作物搬送装置300の駆動動力の伝達において、車速連動の動力伝達がエンジン1010から後輪駆動トランスミッションケース510を介して行われ、所定の速度の動力伝達がモーター1009から行われる、第三の変形例の態様も、考えられる。
【0096】
後輪駆動トランスミッションケース510からの車速連動の速度がモーター1009からの所定の速度をオーバーランニングで超えると、作物搬送装置300の駆動速度の切替えが車速連動を実現する同調による行われる。
【0097】
モーター1009が停止すると、作物搬送装置300の駆動速度はこのような同調により車速とほぼ完全に連動する。
【0098】
モーター1009の増速により、車速との同調をともなわない作物搬送装置300の高速化が行われてもよい。
【0099】
もちろん、作物掘取りコンベアーおよび作物搬送コンベアーなどを有する作物搬送装置300の駆動動力の伝達において、車速連動の動力伝達がモーター1009から後輪駆動トランスミッションケース510を介して行われ、所定の速度の動力伝達がエンジン1010から作物搬送装置駆動トランスミッションケース1012を介して行われる、第四の変形例の態様も、考えられる。
【0100】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0101】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0102】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0103】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0104】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0105】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0106】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0107】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明における作業車両は、使い勝手を向上することができ、玉ねぎピッカーのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0109】
110 前輪
120 後輪
130 運転者用座席
131 運転者用着座センサー
140 作物選別作業者用座席
141 作物選別作業者用着座センサー
200 作物収穫装置
300 作物搬送装置
310 作物汲上げコンベアー
311 作物選別作業部
400 作物収納体
401 作物ガイド
410 作物収納体昇降機構
500 動力伝達経路
510 後輪駆動トランスミッションケース
520 ワンウェイクラッチ
800 コントローラー
1001 ホイールキャップ
1002 差込みリンク
1003 作物選別作業者用スペース
1004 ホイールモーター
1005 フェンダー
1006 縦スライド部材
1007 横リンク部材
1008 アーム部材
1009 モーター
1010 エンジン
1011 作物汲上げラグ
1012 作物搬送装置駆動トランスミッションケース
A 矢印