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特開2024-16203癌の予防及び治療のための抗原性ペプチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016203
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】癌の予防及び治療のための抗原性ペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20240130BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240130BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240130BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20240130BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240130BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240130BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20240130BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20240130BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20240130BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/21
C12N5/0784
C07K14/47
C07K7/06
A61K39/00 H
A61K47/64
A61K47/69
A61K35/15
A61K35/741
A61K31/7088
A61K45/00
A61K48/00
A61P43/00 121
A61P37/04
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191203
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2020555892の分割
【原出願日】2019-04-11
(31)【優先権主張番号】18305444.4
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/077512
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519122286
【氏名又は名称】エンテローム エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・シェーヌ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ボニー
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・ストロッツィ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】癌免疫療法に有用な各種ペプチドを提供する。ヒト腫瘍抗原の断片とは異なるが、アミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを提供する。
【解決手段】本発明は、ヒト腫瘍抗原の断片とは異なるが、アミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを提供する。本発明は更に、そのような抗原性ペプチド及びそのような抗原性ペプチドをコードする核酸を含む免疫原性化合物、ナノ粒子、細胞、及び医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号32、220、1~31、33~219、221~580、及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることを特徴とする抗原性ペプチド。
【請求項2】
前記抗原性ペプチドが、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1に記載の抗原性ペプチド。
【請求項3】
前記抗原性ペプチドが、配列番号861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1に記載の抗原性ペプチド。
【請求項4】
前記抗原性ペプチドが、配列番号1~160、162~253、及び255~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から2のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項5】
前記抗原性ペプチドが、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項2及び4のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項6】
前記抗原性ペプチドが、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から5のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項7】
前記抗原性ペプチドが、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から6のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項8】
前記抗原性ペプチドが、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から7のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項9】
前記抗原性ペプチドが、配列番号30、32、194、220、254、及び255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から2のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項10】
前記抗原性ペプチドが、配列番号32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から2のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項11】
前記抗原性ペプチドが、配列番号220で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から2のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項12】
前記抗原性ペプチドが、配列番号255で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から2のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項13】
前記抗原性ペプチドの長さが、30アミノ酸を超えない請求項1から12のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項14】
前記抗原性ペプチドの長さが、25アミノ酸を超えない請求項1から12のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項15】
前記抗原性ペプチドの長さが、20アミノ酸を超えない請求項1から12のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項16】
前記抗原性ペプチドの長さが、15アミノ酸を超えない請求項1から12のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項17】
前記抗原性ペプチドが、完全長(微生物叢)タンパク質ではない請求項1から16のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチドを含むことを特徴とする免疫原性化合物。
【請求項19】
前記抗原性ペプチドが、担体分子に結合されている請求項18に記載の免疫原性化合物。
【請求項20】
前記担体分子が、担体タンパク質又は担体ペプチドである請求項19に記載の免疫原性化合物。
【請求項21】
式(I)のポリペプチドを含む又はからなる請求項18から20のいずれかに記載の免疫原性化合物。
PepNt-CORE-PepCt (I)
(式中、
-「PepNt」は、0~500個のアミノ酸残基の長さを有するポリペプチドからなり、式(I)の前記ポリペプチドのN末端に位置し、
-COREは、請求項1から17のいずれかに定義される抗原性ペプチドからなり、
-「PepCt」は、0~500個のアミノ酸残基の長さを有するポリペプチドからなり、式(I)の前記ポリペプチドのC末端に位置する。)
【請求項22】
-請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチドの少なくとも1つ、又は
-請求項18から21のいずれかに記載の免疫原性化合物の少なくとも1つと、
任意に、アジュバントとがロードされたことを特徴とするナノ粒子。
【請求項23】
請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチド又は請求項18から21のいずれかに記載の免疫原性化合物がロードされたことを特徴とする細胞。
【請求項24】
前記細胞が、抗原提示細胞、好ましくは樹状細胞である請求項23に記載の細胞。
【請求項25】
請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチド、請求項21に定義される式(I)の前記ポリペプチド、又は請求項18~21のいずれかに記載の、ペプチド又はタンパク質である免疫原性化合物をコードすることを特徴とする核酸。
【請求項26】
前記核酸が、DNA分子又はRNA分子、好ましくはゲノムDNA;cDNA;siRNA;rRNA;mRNA;アンチセンスDNA;アンチセンスRNA;リボザイム;相補的RNA及び/又はDNA配列;発現エレメント、調節エレメント、及び/又はプロモーターを含む又は含まないRNA及び/又はDNA配列;ベクター;及びそれらの組合せから選択される請求項25に記載の核酸。
【請求項27】
請求項25から26のいずれかに記載の核酸を含むことを特徴とする宿主細胞。
【請求項28】
前記核酸が、ベクターである請求項27に記載の宿主細胞。
【請求項29】
前記宿主細胞が、細菌細胞、好ましくは腸内細菌細胞である請求項27から28のいずれかに記載の宿主細胞。
【請求項30】
-請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
-請求項18から21のいずれかに記載の免疫原性化合物、
-請求項22に記載のナノ粒子、
-請求項23から24のいずれかに記載の細胞、
-請求項25から26のいずれかに記載の核酸、及び/又は
-請求項27から29のいずれかに記載の宿主細胞、及び、
任意に、1以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項31】
1以上の免疫刺激剤を更に含む請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記免疫刺激剤が、免疫アジュバント及び抗原提示細胞からなる群から選択される請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記抗原提示細胞が、樹状細胞である請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
(i)請求項1から17のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる抗原性ペプチド;
(ii)請求項18から21のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる免疫原性化合物;
(iii)請求項22に記載の少なくとも2つの異なるナノ粒子;及び/又は
(iv)請求項17から18のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる核酸を含む請求項30から33のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項35】
-請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
-請求項18から21のいずれかに記載の免疫原性化合物、
-請求項22に記載のナノ粒子、
-請求項23から24のいずれかに記載の細胞、
-請求項25から26のいずれかに記載の核酸、
-請求項27から29のいずれかに記載の宿主細胞、及び/又は
-請求項30から34のいずれかに記載の医薬組成物を含むことを特徴とするキット。
【請求項36】
前記抗原性ペプチド、前記免疫原性化合物、前記ナノ粒子、前記細胞、前記核酸、前記宿主細胞、及び/又は前記医薬組成物を使用することによって癌を予防又は治療するための指示を含むパッケージインサート又は指示リーフレットを更に含む請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記キットが、請求項1から17のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドを含む請求項35から36のいずれかに記載のキット。
【請求項38】
前記キットが、請求項18から21のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる免疫原性化合物を含む請求項35から36のいずれかに記載のキット。
【請求項39】
前記キットが、請求項22に記載の少なくとも2つの異なるナノ粒子を含む請求項35から36のいずれかに記載のキット。
【請求項40】
前記キットが、請求項25から26のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる核酸を含む請求項35から36のいずれかに記載のキット。
【請求項41】
癌の予防及び/又は治療における使用のための、
請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
請求項18から21のいずれかに記載の免疫原性化合物、
請求項22に記載のナノ粒子、
請求項23から24のいずれかに記載の細胞、
請求項25から26のいずれかに記載の核酸、
請求項27から29のいずれかに記載の宿主細胞、
請求項30から34のいずれかに記載の医薬組成物、又は
請求項35から40のいずれかに記載のキット。
【請求項42】
前記癌が、神経膠腫、腎臓癌、皮膚癌、特に、メラノーマ、肺癌、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、及び前立腺癌から選択される請求項41に記載の使用のための抗原性ペプチド、免疫原性化合物、ナノ粒子、細胞、核酸、宿主細胞、医薬組成物、又はキット。
【請求項43】
請求項1から17のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドの組合せ。
【請求項44】
請求項18から21のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる免疫原性化合物の組合せ。
【請求項45】
請求項22に記載の少なくとも2つの異なるナノ粒子の組合せ。
【請求項46】
請求項25から26のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる核酸の組合せ。
【請求項47】
癌の予防及び/又は治療における使用のための請求項43から46のいずれかに記載の組合せ。
【請求項48】
前記少なくとも2つの異なる成分が、異なる組成物に含まれる請求項43から47のいずれかに記載の組合せ。
【請求項49】
前記少なくとも2つの異なるの成分が、同一の組成物に含まれる請求項43から47のいずれかに記載の組合せ。
【請求項50】
前記少なくとも2つの異なる成分が、異なる投与経路を介して投与される請求項43から48のいずれかに記載の組合せ。
【請求項51】
前記少なくとも2つの異なる成分が、同一の投与経路を介して投与される請求項43から49のいずれかに記載の組合せ。
【請求項52】
前記少なくとも2つの異なる成分が、連続して投与される請求項43から48、50、及び51のいずれかに記載の組合せ。
【請求項53】
前記少なくとも2つの異なる成分が、ほぼ同時に投与される請求項43から51のいずれかに記載の組合せ。
【請求項54】
癌を予防及び/又は治療する、又はそれを必要とする被験体における抗腫瘍応答を開始、増強、又は延長するための方法であって、前記被験体に、
-請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
-請求項18から21のいずれかに記載の免疫原性化合物、
-請求項22に記載のナノ粒子、
-請求項23から24のいずれかに記載の細胞、
-請求項25から26のいずれかに記載の核酸、
-請求項27から29のいずれかに記載の宿主細胞、
-請求項30から34のいずれかに記載の医薬組成物、及び/又は
-請求項43から53のいずれかに記載の組合せを投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
前記癌が、神経膠腫、腎臓癌、皮膚癌、特に、メラノーマ、肺癌、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、及び前立腺癌から選択される請求項54に記載の方法。
【請求項56】
請求項1から17のいずれかに記載の抗原性ペプチドを含むことを特徴とするペプチド-MHC(pMHC)多量体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌治療、より詳細には免疫療法による癌治療の分野に関する。特に、本発明は、癌免疫療法に有用な各種ペプチドを提供する。
【背景技術】
【0002】
癌は、世界で主要な死因の1つである。世界保健機関(WHO)によれば、2012年だけで、世界中で1,400万の新たな症例と820万の癌関連死が報告され、今後20年以内に、新たな癌症例数が約70%増加すると予測されている。これまでのところ、世界の年間総新規症例数の60%超が、アフリカ、アジア、中南米で発生している。これらの地域はまた、世界の癌による死亡の70%を占めている。男性の間では、癌の最も一般的な5部位は、肺、前立腺、結腸直腸、胃、及び肝臓であり、一方、女性では、乳房、結腸直腸、肺、子宮頸部、及び胃である。
【0003】
癌は、外科手術、放射線療法、細胞傷害性化学療法、及び内分泌操作により長年対処されてきた。これらは通常、疾患を最もよく制御するために順番に組み合わされる。しかしながら、これらの標準的治療法の真の有効性に対する主要な制限は、治療に伴う正常組織の付随的損傷、低治癒率、及び固有の薬物耐性をもたらすそれらの不正確な特異性にある。
【0004】
近年、特に腫瘍及び正常細胞の発現プロファイリングの大きな進歩により、癌治療法の開発が著しく進歩しており、最近の研究及び免疫療法又は分子標的療法における最初の臨床結果が、この疾患に対する認識を変え始めている。
【0005】
有望な抗癌免疫療法が現実のものとなり、宿主免疫系が腫瘍抗原を認識できるという証拠が、米国食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品局(EMA)という規制当局により現在承認されている抗癌剤の開発につながった。様々な治療アプローチには、特に、エクスビボで増殖した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子免疫伝達、癌細胞ワクチン、免疫刺激サイトカイン及びその変異体、パターン認識受容体(PRR)アゴニスト、及び腫瘍抗原又は免疫チェックポイントを標的とする免疫調節モノクローナル抗体が含まれる(非特許文献1)。
【0006】
残念なことに、かなりの割合の患者が依然としてこれらの免疫療法のいくつかに対する固有の耐性を示すか、又は治療過程で耐性を獲得することさえあり得る。例えば、3年生存率は、切除不能又は転移性メラノーマにおける抗CTLA-4抗体イピルムマブで約20%であると報告されおり(非特許文献2及び非特許文献3)、一方、PD-1を標的とする別のチェックポイント阻害剤、ニボルマブによる3年生存率は、腎細胞癌(RCC)で44%、非小細胞肺癌(NSCLC)で18%であると報告されている(非特許文献4及び非特許文献5)。したがって、根本的な薬剤耐性は、これらの免疫療法の有効性に対する確固たる障壁となっている。したがって、この障壁を打破するには、癌治療への異なるアプローチが必要であることは明らかである。
【0007】
これらの免疫療法を用いて治療された多数の対象における応答の欠如は、欠陥のある抗腫瘍免疫応答と関連している可能性がある(抗原提示細胞(APC)による抗原提示における欠陥又はT細胞による抗原認識における欠陥として)。換言すれば、免疫療法に対する陽性反応は、ヒト癌細胞によって発現されるMHCクラスI拘束性抗原を認識することができる特定のリンパ球サブセットを発達させる免疫系の能力と相関する(非特許文献6)。この仮説は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子免疫伝達への応答が患者に輸血されたCD8T細胞の数と直接相関することを示すデータによって強く支持される(非特許文献7)。したがって、強力な抗腫瘍応答は、免疫反応性ペプチドの提示及びこれらの抗原を認識するように「訓練された」十分な数の反応性細胞の存在に依存する。
【0008】
腫瘍抗原ベースのワクチン接種は、癌治療に対する独自のアプローチであり、これは、特定の耐久性のある方法で腫瘍を認識、攻撃、破壊するために患者自身の免疫システムを動員させることができるため、大きな関心を集めている。腫瘍細胞は実際、免疫系によって認識されやすい多数のペプチド抗原を発現することが知られている。したがって、このような抗原に基づくワクチンは、患者の全生存期間を改善するだけでなく、腫瘍抗原の低毒性及び低分子量に起因して、免疫応答のモニタリング及びGMPグレード製品の調製にも大きな機会を提供する。腫瘍抗原の例には、特に、通常はサイレントな遺伝子又は過剰発現された遺伝子から転写されたタンパク質の副産物、及びオンコウイルスによって発現されたタンパク質(非特許文献6)、細胞性タンパク質の点突然変異から生じるネオ抗原が含まれる。後者は、CTLA-4阻害剤で治療された患者における全生存期間の増加と直接関連していることが示されているので、特に興味深い(非特許文献2及び非特許文献8)。
【0009】
それにもかかわらず、癌ワクチンを開発することができるヒト腫瘍抗原の数は限られている。特に、突然変異した又は修飾された自己タンパク質に由来する抗原は、免疫寛容及び/又は望ましくない自己免疫副作用を誘発する可能性がある。
【0010】
したがって、当該技術分野で遭遇する制限を克服することができる代替の癌治療薬を同定することが当技術分野において必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Galuzzi et al., Classification of current anticancer immunotherapies. Oncotarget. 2014 Dec 30;5(24):12472-508
【非特許文献2】Snyder et al., Genetic basis for clinical response to CTLA-4 blockade in melanoma. N Engl J Med. 2014 Dec 4;371(23):2189-2199
【非特許文献3】Schadendorf et al., Pooled Analysis of Long-Term Survival Data From Phase II and Phase III Trials of Ipilimumab in Unresectable or Metastatic Melanoma. J Clin Oncol. 2015 Jun 10;33(17):1889-94
【非特許文献4】Mc Dermott et al., Survival, Durable Response, and Long-Term Safety in Patients With Previously Treated Advanced Renal Cell Carcinoma Receiving Nivolumab. J Clin Oncol. 2015 Jun 20;33(18):2013-20
【非特許文献5】Gettinger et al., Overall Survival and Long-Term Safety of Nivolumab (Anti-Programmed Death 1 Antibody, BMS-936558, ONO-4538) in Patients With Previously Treated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2015 Jun 20;33(18):2004-12
【非特許文献6】Kvistborg et al., Human cancer regression antigens. Curr Opin Immunol. 2013 Apr;25(2):284-90
【非特許文献7】Besser et al., Adoptive transfer of tumor-infiltrating lymphocytes in patients with metastatic melanoma: intent-to-treat analysis and efficacy after failure to prior immunotherapies. Clin Cancer Res. 2013 Sep 1;19(17):4792-800
【非特許文献8】Brown et al., Neo-antigens predicted by tumor genome meta-analysis correlate with increased patient survival. Genome Res. 2014 May;24(5):743-50
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述の必要を満たすことを目的としている。この目的は、以下に記載される主題、特に本発明によって提供される項目及び添付の特許請求の範囲において以下に記載される主題によって達成される。
【0013】
本発明の項目
本発明は、特に以下の項目を提供する。
1.配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド。
2.配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目1に記載の抗原性ペプチド。
3.配列番号861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目1に記載の抗原性ペプチド。
4.配列番号1~160、162~253、及び255~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目1から2のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
5.前記抗原性ペプチドが、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目2又は項目4に記載の抗原性ペプチド。
6.前記抗原性ペプチドが、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目1から5のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
7.前記抗原性ペプチドが、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目1から6のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
8.前記抗原性ペプチドが、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目1から7のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
9.前記抗原性ペプチドが、配列番号30、32、194、220、254、及び255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる項目1から2のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
10.項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物。
11.前記抗原性ペプチドが、担体分子に結合されている項目10に記載の抗原性ペプチド。
12.前記担体分子が、担体タンパク質又は担体ペプチドである項目11に記載の免疫原性化合物。
13.式(I)のポリペプチドを含む又はからなる項目10から12のいずれかに記載の免疫原性化合物。
PepNt-CORE-PepCt (I)
(式中、
-「PepNt」は、0~500個のアミノ酸残基の長さを有するポリペプチドからなり、式(I)の前記ポリペプチドのN末端に位置し、
-COREは、項目1から6のいずれかに定義される抗原性ペプチドからなり、-「PepCt」は、0~500個のアミノ酸残基の長さを有するポリペプチドからなり、式(I)の前記ポリペプチドのC末端に位置する。)
14.-項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチドの少なくとも1つ、又は
-項目10から13のいずれかに記載の免疫原性化合物の少なくとも1つと、
任意に、アジュバントとがロードされたナノ粒子。
15.項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチド又は項目10から13のいずれかに記載の免疫原性化合物がロードされた細胞。
16.前記細胞が、抗原提示細胞(APC)、好ましくは樹状細胞である項目15に記載の細胞。
17.項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチド、項目13に定義される式(I)のポリペプチド、又は項目10~13のいずれかに記載の、ペプチド又はタンパク質である免疫原性化合物をコードする核酸。
18.前記核酸が、DNA分子又はRNA分子、好ましくはゲノムDNA;cDNA;siRNA;rRNA;mRNA;アンチセンスDNA;アンチセンスRNA;リボザイム;相補的RNA及び/又はDNA配列;発現エレメント、調節エレメント、及び/又はプロモーターを含む又は含まないRNA及び/又はDNA配列;ベクター;及びそれらの組合せから選択される請求項17に記載の核酸。
19.項目17から18のいずれかに記載の核酸を含む宿主細胞。
20.前記核酸が、ベクターである項目19に記載の宿主細胞。
21.前記宿主細胞が、細菌細胞、好ましくは腸内細菌細胞である項目19から20のいずれかに記載の宿主細胞。
22.-項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
-項目10から13のいずれかに記載の免疫原性化合物、
-項目14に記載のナノ粒子、
-項目15から16のいずれかに記載の細胞、
-項目17から18のいずれかに記載の核酸、及び/又は
-項目19から21のいずれかに記載の宿主細胞、及び、
任意に、1以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含む医薬組成物。
23.1以上の免疫刺激剤を更に含む項目22に記載の医薬組成物。
24.前記免疫刺激剤が、免疫アジュバント及び抗原提示細胞からなる群から選択される項目23に記載の医薬組成物。
25.前記抗原提示細胞が、樹状細胞である項目24に記載の医薬組成物。
26.(i)項目1から9のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる抗原性ペプチド;
(ii)項目10から13のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる免疫原性化合物;
(iii)項目14に記載の少なくとも2つの異なるナノ粒子;及び/又は
(iv)項目17から18のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる核酸を含む項目22~25のいずれかに記載の医薬組成物。
27.-項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
-項目10から13のいずれかに記載の免疫原性化合物、
-項目14に記載のナノ粒子、
-項目15から16のいずれかに記載の細胞、
-項目17から18のいずれかに記載の核酸、
-項目19から21のいずれかに記載の宿主細胞、及び/又は
-項目22から26のいずれかに記載の医薬組成物を含むキット。
28.前記抗原性ペプチド、前記免疫原性化合物、前記ナノ粒子、前記細胞、前記核酸、前記宿主細胞、及び/又は前記医薬組成物を使用することによって癌を予防又は治療するための指示を含むパッケージインサート又は指示リーフレットを更に含む項目27に記載のキット。
29.前記キットが、項目1から9のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドを含む項目27から28のいずれかに記載のキット。
30.前記キットが、項目10から13のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる免疫原性化合物を含む項目27から28のいずれかに記載のキット。
31.前記キットが、項目14に記載の少なくとも2つの異なるナノ粒子を含む項目27から28のいずれかに記載のキット。
32.前記キットが、項目15から16のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる核酸を含む項目27から28のいずれかに記載のキット。
33.癌の予防及び/又は治療における使用のための、
項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
項目10から13のいずれかに記載の免疫原性化合物、
項目14に記載のナノ粒子、
項目15から16のいずれかに記載の細胞、
項目17から18のいずれかに記載の核酸、
項目19から21のいずれかに記載の宿主細胞、
項目22から26のいずれかに記載の医薬組成物、又は
項目27から32のいずれかに記載のキット。
34.前記癌が、神経膠腫、腎臓癌、皮膚癌、特に、メラノーマ、肺癌、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、及び前立腺癌から選択される項目33に記載の使用のための抗原性ペプチド、免疫原性化合物、ナノ粒子、細胞、核酸、宿主細胞、医薬組成物、又はキット。
35.癌の予防及び/又は治療における使用のための、項目1から9のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドの組合せ。
36.癌の予防及び/又は治療における使用のための、項目10から13のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる免疫原性化合物の組合せ。
37.癌の予防及び/又は治療における使用のための、項目14に記載の少なくとも2つの異なるナノ粒子の組合せ。
38.癌の予防及び/又は治療における使用のための、項目17から18のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる核酸の組合せ。
39.前記少なくとも2つの異なる成分が、異なる組成物に含まれる項目35から38のいずれかに記載の使用のための組合せ。
40.前記少なくとも2つの異なるの成分が、同一の組成物に含まれる項目35から38のいずれかに記載の使用のための組合せ。
41.前記少なくとも2つの異なる成分が、異なる投与経路を介して投与される項目35から39のいずれかに記載の使用のための組合せ。
42.前記少なくとも2つの異なる成分が、同一の投与経路を介して投与される項目35から40のいずれかに記載の使用のための組合せ。
43.前記少なくとも2つの異なる成分が、連続して投与される項目35から39、41、及び42のいずれかに記載の使用のための組合せ。
44.前記少なくとも2つの異なる成分が、ほぼ同時に投与される項目35から42のいずれかに記載の使用のための組合せ。
45.癌を予防及び/又は治療する、又はそれを必要とする被験体における抗腫瘍応答を開始、増強、又は延長するための方法であって、前記被験体に、
-項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
-項目10から13のいずれかに記載の免疫原性化合物、
-項目14に記載のナノ粒子、
-項目15から16のいずれかに記載の細胞、
-項目17から18のいずれかに記載の核酸、
-項目19から21のいずれかに記載の宿主細胞、
-項目22から26のいずれかに記載の医薬組成物、及び/又は
-項目35から44のいずれかに記載の組合せを投与することを含む方法。
46.前記癌が、神経膠腫、腎臓癌、皮膚癌、特に、メラノーマ、肺癌、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、及び前立腺癌から選択される項目45に記載の方法。
47.項目1から9のいずれかに記載の抗原性ペプチドを含むペプチド-MHC(pMHC)多量体。
【0014】
本発明、特に上で概説した各項目について、以下、より詳細に説明する。
【0015】
定義
本明細書において特段の断りがない限り、本願において使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。更に、文脈から異なる方法が必要とされない限り、本明細書中で使用される命名法、並びに細胞及び組織培養の技術は、当該技術分野においてよく知られている通常使用されるものである。
【0016】
そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Owenら(Kuby Immunology, 7th, edition, 2013 - W. H. Freeman)及びSambrookら(Molecular cloning: A laboratory manual 4th edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press - Cold Spring Harbor, NY, USA, 2012)。
【0017】
それにもかかわらず、本明細書における各種用語の使用に関して、以下の定義がより具体的に適用される。
【0018】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」、及びこれらの用語の変形は、好ましくは通常のペプチド結合によって、或いは、イソステリックペプチド(isosteric peptides)の場合などのように、修飾されたペプチド結合によって互いに結合された少なくとも2つのアミノ酸を含むペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質を意味する。「(ポリ)ペプチド」という用語は、ペプチド及び/又はポリペプチドを意味する。特に、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、ペプチド結合(-NHCO-)を介して互いに結合した任意の長さのアミノ酸の連続鎖を意味する。ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、インビトロ及び/又はインビボで細胞において構造的及び/又は機能的役割を果たし得る。「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」という用語は、好ましくは、2個から少なくとも約1000個のアミノ酸残基のサイズのアミノ酸鎖を包含する。「ペプチド」という用語は、好ましくは、本明細書において、約30アミノ酸未満のサイズのアミノ酸鎖を包含し、一方、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、好ましくは、少なくとも30アミノ酸のサイズのアミノ酸鎖を包含する。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では相互変換可能に使用される。好ましい実施形態では、「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」という用語は、非ペプチド構造要素を含むペプチド類似体として定義される「ペプチド模倣物」も含み、これらのペプチドは、天然の親ペプチドの生物学的作用を模倣する又はそれに拮抗することができる。ペプチド模倣体は、酵素で切断可能なペプチド結合などの古典的なペプチド特性を欠く。特に、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、遺伝暗号によって定義された20個のアミノ酸以外のアミノ酸を、これらのアミノ酸に加えて含むことができ、又は遺伝暗号によって定義された20個のアミノ酸以外のアミノ酸から構成されることができる。特に、本発明の文脈におけるペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、翻訳後成熟プロセスなどの天然プロセス又は化学プロセスによって修飾されたアミノ酸から等しく構成することができ、これらは当業者によく知られている。そのような修飾は、文献に十分詳述されている。これらの修飾は、ポリペプチドの任意の箇所に現れることがあり、即ち、ペプチド骨格中、アミノ酸鎖中、更にはカルボキシ又はアミノ末端に現れることがある。特に、ペプチド又はポリペプチドは、ユビキチン化に続いて分岐する、又は分岐の有無にかかわらず環状であり得る。このタイプの修飾は、当業者によく知られた天然又は合成の翻訳後プロセスの結果であり得る。本発明の文脈における用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」は、特に、修飾されたペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質も含む。例えば、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の修飾には、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合固定、脂質又は脂質誘導体の共有結合固定、ホスファチジルイノシトールの共有結合固定、共有結合又は非共有結合の架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、PEG化を含むグリコシル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセス、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セネロイル化、硫酸化(sulfatation)、アルギニル化又はユビキチン化などのアミノ酸付加などを含むことができる。このような修飾は、文献に十分に詳述されている(Proteins Structure and Molecular Properties(1993)2nd Ed.,T.E.Creighton,New York;Post-translational Covalent Modifications of Proteins(1983)B.C.Johnson,Ed.,Academic Press,New York;Seifter et al.(1990)Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors,Meth.Enzymol.182:626-646 and Rattan et al.,(1992)Protein Synthesis:Post-translational Modifications and Aging,Ann NY Acad Sci,663:48-62)。したがって、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」は、好ましくは、リポペプチド、リポタンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質などを含む。
【0019】
好ましい実施形態では、(ポリ)ペプチド又はタンパク質は、「古典的」(ポリ)ペプチド又はタンパク質であり、それにより「古典的」(ポリ)ペプチド又はタンパク質は、典型的には、遺伝暗号によって定義される20種のアミノ酸から選択されるアミノ酸が、通常のペプチド結合により互いに結合されて構成される。
【0020】
当技術分野でよく知られているように、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、核酸によってコードされ得る。「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」という用語は、本明細書では相互変換可能に使用され、天然ヌクレオチド(例えば、A、T、G、C、及びU)又は合成ヌクレオチドの正確な連続物、即ち、少なくとも2つのヌクレオチドの鎖を意味する。特に、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」という用語は、DNA又はRNAを意味する。核酸は、好ましくは一本鎖、二本鎖、又は部分的に二本鎖のDNA又はRNAを含み、好ましくはゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、リボソームDNA(rDNA)、及びRNAなどの前記DNAの転写産物から選択される。核酸の好ましい例としては、リボソームRNA(rRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA);アンチセンスDNA、アンチセンスRNA;相補的RNA及び/又はDNA配列、リボザイム、発現エレメントを含む又は含まない(相補的)RNA/DNA配列、ベクター;ミニ遺伝子、遺伝子断片、調節エレメント、プロモーター、及びそれらの組合せが挙げられる。核酸(分子)及び/又はポリヌクレオチドの更なる好ましい例としては、例えば、組換えポリヌクレオチド、ベクター、オリゴヌクレオチド、rRNA、mRNA、又は転移RNA(tRNA)などのRNA分子、又は前記したDNA分子が挙げられる。好ましくは、核酸(分子)は、DNA分子又はRNA分子;好ましくは、gDNA;cDNA;rRNA;mRNA;アンチセンスDNA;アンチセンスRNA;相補的RNA及び/又はDNA配列;発現エレメント、調節エレメント、及び/又はプロモーターを含む又は含まないRNA及び/又はDNA配列;ベクター;及びそれらの組合せから選択される。特定のアミノ酸配列をコードすることができるヌクレオチド配列を決定することは、当業者の技能の範囲内である。
【0021】
本発明に係る(ポリ)ペプチド及び/又は核酸は、当技術分野における任意の公知の方法によって調製することができ、この方法としては、任意の合成方法、任意の組換え方法、任意のエクスビボ生成法など、及びそれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。このような技術は、上述した文献に十分に説明されている。
【0022】
本明細書で使用される「抗原性ペプチド」という用語は、それが投与される被験体における免疫応答を誘発/誘起、上昇、延長、又は維持する傾向があるペプチドを意味する。特に、抗原性ペプチドは、(ヒトの)腫瘍抗原(の断片/エピトープ)の配列変異体である。換言すれば、抗原性ペプチドは、好ましくは(ヒトの)腫瘍抗原(の断片/エピトープ)とは異なるが、好ましくは(ヒトの)腫瘍抗原(の断片/エピトープ)とアミノ酸類似性を有する。好ましくは、抗原性ペプチドによって誘発/誘起、上昇、延長、又は維持される免疫応答は、(また)(ヒトの)腫瘍抗原のそれぞれの(断片/エピトープ)を標的とする。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「腫瘍抗原」という用語は、腫瘍特異的抗原及び腫瘍関連抗原を含む。一般に、「腫瘍抗原」又は「腫瘍タンパク質」という用語は、本明細書において、腫瘍細胞において、場合により正常細胞においても産生され、被験体への投与時に免疫応答を誘発し得る抗原性物質を意味する。ヒトでは、それらは発現パターン、機能又は遺伝的起源にしたがって分類され、限定されるものではないが、過発現した自己抗原(HER2/neu及びその変異体dHER2、p53、ウィルムス腫瘍1、エフリン受容体、プロテイナーゼ-3、ムチン-1、メソテリン、EGFR、CD20);がん精巣(CT)抗原(MAGE-1、BAGE、GAGE、NY-ESO-1など);ネオ抗原としても知られる変異抗原(MUM-1、bcr-abl、ras、b-raf、p53、CDK-4、CDC27、ベータカテニン、アルファアクテニン-4に由来する変異体など);組織特異的分化抗原(メラノーマ抗原Melan A/MART-1、チロシナーゼ、TRP1/pg75、TRP2、gp100、ガングリオシドGM3、GM2、GD2、及びGD3;前立腺癌抗原PSMA、PSA、及びPAPなど);腫瘍ウイルス(HPV、EBVなど)によって発現されるウイルス抗原;癌胎児性抗原(α-フェトプロテインAFP及び癌胎児性抗原CEAなど);及び遍在性抗原(テロメラーゼ、hTERT、サバイビン、mdm-2、CYP-1B1)(Srinivasan and Wolchok, Tumor antigens for cancer immunotherapy:therapeutic potential of xenogeneic DNA vaccines.J Transl Med.2004 Apr 16;2(1):12)が挙げられる。したがって、ヒト腫瘍抗原は当技術分野でよく知られている。例えば、インターロイキン-13受容体サブユニットα-2(IL-13Rα2又はIL13RA2)は、ヒトではIL13RA2遺伝子によってコードされる膜結合タンパク質である。網羅的ではないが、IL13RA2は潜在的な免疫療法の標的として報告されている(Beardら;Clin Cancer Res;72(11);2012を参照)。IL13RA2の高発現は、結腸直腸癌の浸潤、肝転移、及び予後不良と更に関連している(Barderasら;Cancer Res;72(11);2012)。特に、本発明に係る抗原性ペプチドは、好ましくは、表1Bに示される腫瘍抗原(のエピトープ/断片)の配列変異体であり、特に、表1Bのそれぞれの腫瘍抗原について概説される疾患において使用することができる。
【0024】
本明細書で使用される「微生物叢」という用語は、これまでに植物から動物に至るまで研究されたあらゆる多細胞生物中又は上に存在する、共生微生物を意味する。特に、微生物叢は、宿主の免疫学的、ホルモン的、代謝的恒常性にとって重要であることが分かっている。微生物叢は、細菌、古細菌、原生生物、真菌、及びウイルスを含む。したがって、「微生物叢配列変異体」は、微生物叢で生じる(例えば、微生物叢タンパク質に含まれ得る)、参照配列(特に、ヒト腫瘍抗原のエピトープ/断片)参照配列の配列変異体である。「配列変異体」は、典型的には、特に配列の全長に亘って、即ち(参照)腫瘍抗原の断片/エピトープと少なくとも50%の配列同一性を共有する。好ましくは、配列変異体は、参照配列、即ち(参照)腫瘍抗原の断片/エピトープと少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有する。配列同一性は、当技術分野で知られているように、特に以下に説明するように計算することができる。好ましくは、配列変異体は、参照配列の特定の機能、例えば、腫瘍エピトープとしてのその機能及び/又は免疫応答を誘起又は維持する能力を保持する。微生物叢配列変異体は、好ましくは、細菌配列変異体、古細菌配列変異体、原生生物配列変異体、真菌配列変異体、及びウイルス配列変異体からなる群から選択される。より好ましくは、微生物叢配列変異体は細菌配列変異体である。
【0025】
解剖学的には、微生物叢は、皮膚、結膜、乳腺、膣、胎盤、精液、子宮、卵胞、肺、唾液、口腔(特に、口腔粘膜)、及び胃腸管、特に腸を含む多くの組織及び体液のいずれかの上部又は内部に存在する。本発明の文脈において、微生物叢配列変異体は、好ましくは、胃腸管の微生物叢の配列変異体(胃腸管に存在する微生物)、より好ましくは、腸の微生物叢の配列変異体(腸内に存在する微生物)である。したがって、微生物叢配列変異体は、(ヒト)腸内細菌配列変異体(即ち、(ヒト)腸内に存在する細菌の配列変異体)であることが最も好ましい。
【0026】
微生物叢は多くの多細胞生物(植物から動物までこれまでに研究されたあらゆる多細胞生物)内部及び上部に見られるが、ヒトの内部及び上部に見られる微生物叢が好ましい。そのような微生物叢を、本明細書では「ヒト微生物叢」と呼ぶ(ここで、ヒトという用語は、特に、微生物叢の局在化/常駐を意味する)。本発明の文脈において、微生物叢配列変異体は、ヒト微生物叢配列変異体である。
【0027】
「免疫原性化合物」という用語は、本発明に係る抗原性ペプチドを含む化合物を意味する。「免疫原性化合物」は、それが投与される被験体において、前記抗原性ペプチドに対する免疫応答を誘発/誘起、上昇、延長、又は維持することができる。いくつかの実施形態では、免疫原性化合物は、担体タンパク質などのタンパク質に結合された、少なくとも1つの抗原性ペプチド、或いはそのような抗原性ペプチドを含む少なくとも1つの化合物を含む。
【0028】
「担体タンパク質」は、通常、本発明に係る抗原性ペプチドなどのカーゴを輸送することができるタンパク質である。例えば、担体タンパク質は、そのカーゴを、膜を横切って輸送することができる。本発明の文脈において、担体タンパク質は、特に(また)、それに結合された抗原性ペプチドに対する免疫応答を誘起することができるペプチド又はポリペプチドを包含する。担体タンパク質は、当技術分野で知られている。
【0029】
或いは、そのような担体ペプチド又はポリペプチドは、免疫アジュバントの形態で共投与され得る。
【0030】
好ましくは、本明細書に記載の抗原性ペプチドは、CD4+ Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドに、例えば共有結合又は非共有結合によって共投与又は結合され得る。本明細書に記載の抗原性ペプチドは、好ましくはMHCクラスIに結合するが、CD4+ヘルパーエピトープを更に使用して、効率的な免疫応答を提供することができる。Th1ヘルパー細胞は、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン-2(IL-2)を分泌し、DC及びT細胞における共刺激シグナルの発現を増強することにより、効率的な樹状細胞(DC)の活性化と特定のCTLの活性化を維持できる(Galaineら,Interest of Tumor-Specific CD4 T Helper 1 Cells for Therapeutic Anticancer Vaccine. Vaccines (Basel).2015 Jun 30;3(3):490-502)。
【0031】
例えば、アジュバントペプチド/タンパク質は、好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドと異なってもよい。好ましくは、アジュバントペプチド/タンパク質は、免疫記憶を呼び起こすことができる、又は非特異的なヘルプを提供するか又は特異的なヘルパーペプチドであり得る。破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、又はPADREペプチドなどの非特異的T細胞ヘルプを提供するためのいくつかのヘルパーペプチドが文献に記載されている(Adoteviら,Targeting antitumor CD4 helper T cells with universal tumor-reactive helper peptides derived from telomerase for cancer vaccine. Hum Vaccin Immunother.2013 May;9(5):1073-7,Slingluff CL, The present and future of peptide vaccines for cancer:single or multiple, long or short, alone or in combination? Cancer J. 2011 Sep-Oct;17(5):343-50)。したがって、破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、及びPADREペプチドは、そのようなアジュバントペプチド/タンパク質の好ましい例である。特に、本明細書に記載の抗原性ペプチド、又は前記抗原性ペプチドを含むポリペプチドは、例えば、共有結合又は非共有結合によって、配列MAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号856)のHHD-DR3ペプチドに結合することができる。このペプチドは、本発明の文脈において好ましい、(免疫アジュバント特性を有する)ヘルパーペプチドの別の例である。別の好ましい例は、h-pAg T13L(配列:TPPAYRPPNAPIL;配列番号860;Bhasin M, Singh H, Raghava GP (2003) MHCBN:a comprehensive database of MHC binding and non-binding peptides. Bioinformatics 19: 665-666)である。好ましいヘルパーペプチドの更なる例としては、UCP2ペプチド(例えば、国際公開第2013/135553A1号又はDosset M, Godet Y, Vauchy C, Beziaud L, Lone YC, Sedlik C, Liard C, Levionnois E, Clerc B, Sandoval F, Daguindau E, Wain-Hobson S, Tartour E, Langlade-Demoyen P, Borg C, Adotevi O:Universal cancer peptide-based therapeutic vaccine breaks tolerance against telomerase and eradicates established tumor. Clin Cancer Res. 2012 Nov 15;18(22):6284-95. doi:10.1158/1078-0432.CCR-12-0896.Epub 2012 Oct 2)及びBIRC5ペプチド(例えば、欧州特許公開第2119726A1号又はWidenmeyer M, Griesemann H, Stevanovic S, Feyerabend S, Klein R, Attig S, Hennenlotter J, Wernet D, Kuprash DV, Sazykin AY, Pascolo S, Stenzl A, Gouttefangeas C, Rammensee HG: Promiscuous survivin peptide induces robust CD4+ T-cell responses in the majority of vaccinated cancer patients. Int J Cancer. 2012 Jul 1;131(1):140-9. doi: 10.1002/ijc.26365. Epub 2011 Sep 14)が挙げられる。最も好ましいヘルパーペプチドは、UCP2ペプチドである(アミノ酸配列:KSVWSKLQSIGIRQH;配列番号859、例えば、国際公開第2013/135553A1号又はDossetら,Clin Cancer Res. 2012 Nov 15;18(22):6284-95)。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「免疫原性組成物」という用語は、免疫応答を誘起、誘発、上昇、延長、又は維持することができる組成物、特に、哺乳動物に投与したときに、特に、ヒト個体に投与したときに、免疫応答を誘起、誘発、上昇、延長、又は維持することができる組成物を意味する。好ましくは、免疫原性組成物は、1以上の免疫アジュバント物質を更に含む。
【0033】
「薬学的に許容される賦形剤又は担体」とは、本明細書において、活性剤の送達、安定性、又はバイオアベイラビリティを改善し、それが投与された被験体によって代謝されることができ、且つ無毒である医薬品グレードの化合物を意味する。本発明に係る好ましい賦形剤及び担体は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、並びにそれらの組合せなどの医薬品で一般に使用される任意の賦形剤又は担体を含む。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムを組成物に含有させることが好ましい。薬学的に許容される賦形剤又は担体は、湿潤剤又は乳化剤、又は保存剤などの少量の補助物質を更に含むことができる。
【0034】
「ワクチン」とは、本明細書では、予防又は治療のいずれかによって有害な抗原に対する保護が提供されるように、生物の免疫系を刺激することができる組成物を意味する。予防的ワクチンが好ましい。好ましくは、ワクチン又はワクチン組成物は、1以上の免疫アジュバント物質を更に含む。
【0035】
本明細書に記載の本発明の異なる態様及び実施形態によれば、「被験体」又は「宿主」は、好ましくは哺乳動物を意味し、最も好ましくはヒトを意味する。前記被験体は、癌を患っている、又は癌を発症している疑いがある、又は癌を発症するリスクがある。
【0036】
本明細書で使用される「癌」という用語は、悪性新生物を意味する。特に、「癌」という用語は、本明細書では、制御されない細胞の分裂と、浸潤による隣接組織への直接増殖又は転移による遠位部への移入のいずれかによる、これらの細胞の他の組織に侵入する能力とを特徴とする疾患又は障害のクラスの任意のものを意味する。転移は、癌細胞が血流又はリンパ系を介して輸送される段階として定義される。それは、特に、食道癌、胃癌、十二指腸癌、小腸癌、虫垂癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、肛門癌、膵臓癌、肝癌、胆嚢癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膣癌、外陰部癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、胸腺癌、脳癌、神経系癌、神経膠腫、口腔癌、皮膚癌、血液癌、リンパ腫、眼癌、骨癌、骨髄癌、筋肉癌などを含む。本発明の文脈においては、メラノーマ、頭頸部癌、乳癌、結腸直腸癌、又は腎癌(例えば、明細胞腎細胞癌)が好ましい。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「予防している(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防(prophylaxis)」、又は「予防する(prevent)」という用語は、一般に、疾患又は状態の発症を発症前に回避又は最小限にすることを意味し、一方、「治療している(treating)」、「治療(treatment)」、又は「治療する(treat)」は、発症後の疾患又は状態(又は疾患又は状態の症状)を低減、改善、又は治癒することを含む。「予防している」という用語は、「発症の可能性を低減すること」又は「再発の可能性を低減すること」を含む。
【0038】
本明細書で使用される「有効量」又は「有効用量」は、所望の効果を提供する量である。治療目的の場合、有効量は、有益又は所望の臨床結果を提供するのに十分な量である。所定用途に好ましい有効量は、例えば、被験体のサイズ、年齢、体重、予防又は治療対象の疾患/障害の種類、及び疾患/障害が開始してからの時間を考慮して、当業者によって容易に決定することができる。本発明の文脈においては、予防又は治療の観点から、組成物の有効量は、疾患/障害に対する体液性及び/又は細胞性免疫応答を誘発するのに十分な量である。
【0039】
本明細書及びその後に続く特許請求の範囲全体を通して、特に必要としない限り、用語「含む」並びに「含み」及び「含んでいる」などの変形は、指定されている部材、整数、又は工程を含むが、任意の他の指定されていない部材、整数、又は工程を除外するものではないことを意味すると理解される。用語「からなる」は、任意の他の指定されていない部材、整数、又は工程が除外される、用語「含む」の具体的な実施形態である。本発明において、用語「含む」は、用語「からなる」を包含する。したがって、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」及び「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、Xのみからなっていてもよく、追加の何かを含んでいてもよい(例えば、X+Y)。
【0040】
用語「a」及び「an」及び「the」、並びに本発明の説明(特に、特許請求の範囲)において使用される同様の参照は、本明細書に指定されているか又は文脈上明示的に否定されていない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲内の各別個の値を個別に参照する簡易的な方法として機能することを意図する。本明細書において特に指定しない限り、各個別の値は、本明細書に個々に列挙されているかのように明細書に組み込まれる。明細書中のいずれの言語も、本発明の実施に必須の任意の請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0041】
用語「実質的に」は、「完全に」を除外するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含んでいなくてもよい。必要な場合、用語「実質的に」は、本発明の定義から省略されることもある。
【0042】
数値xに関連する用語「約」は、x±10%を意味する。
【0043】
更なる定義は、明細書全体で与えられる。
【0044】
本発明は、本発明の好ましい実施形態を含む以下の詳細な説明、及び本明細書に含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。
【0045】
詳細な説明
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル、及び試薬に、これらは変わる可能性があるので、限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。特段の断りがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解されるのと同一の意味を有する。
【0046】
以下に、本発明の要素について説明する。これら要素は、具体的な実施形態と共に列挙されるが、これらを任意の方式で任意の数組み合わせて更なる実施形態を生み出すことができることを理解すべきである。様々に記載される実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に記載される実施形態に限定することを意図するものではない。この記載は、明示的に記載された実施形態を任意の数の開示された及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施形態をサポート及び包含すると理解すべきである。更に、特に指定しない限り、本願における全ての記載された要素の任意の入れ換え及び組合せが本願の記載によって開示されるとみなすべきである。
【0047】
本発明者らは、腫瘍細胞に対する特異的な免疫応答を誘発するために使用することができる一連の抗原性ペプチドを同定した。これらの抗原性ペプチドは、表1A及び表1Bに示されるように、ヒト腫瘍抗原(の断片)とは異なりますが、アミノ酸類似性を有する。
【0048】
特に、本発明に係る抗原性ペプチドは、ヒトの腸からの共生細菌によって産生されるポリペプチド及びタンパク質に含まれる。
【0049】
したがって、本発明に係る抗原性ペプチドは、ヒトの配列ではなく、細菌の配列である。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、ヒトの免疫レパートリーが、ヒト腫瘍抗原の断片に対してアミノ酸類似性を有する細菌ペプチド(腸からの共生細菌によって産生されるタンパク質に含まれる)に対して反応性を有するT細胞クローンを含むと考えている。特に、本発明に係る抗原性ペプチドは、対応するヒトペプチドよりも強い免疫応答を誘発することができる。その理由は、厳密にヒトペプチドを認識することができるT細胞は、成熟中に自己抗原を認識するものが枯渇する(本発明に係る抗原性ペプチドに当てはまらない)からである。これは、これらのペプチドが(ヒト)個体に投与されたときに、本明細書に記載の抗原性ペプチドが免疫応答、特に、T細胞応答を誘発することができる理由を説明することができる。
【0050】
したがって、本発明者らは、腸の共生細菌によって産生されるタンパク質は、腫瘍抗原を「模倣」することができ、腫瘍細胞に対する特異的な免疫応答を誘発するために使用できると考えている。これらの知見は、共生細菌が、腫瘍細胞の根絶に寄与する可能性があるという更なる証拠を与える。
【0051】
本明細書に開示される抗原性ペプチドは、よく知られた技術を使用して調製することができる。例えば、ペプチドは、組換えDNA技術又は化学合成によって合成的に調製することができる。本明細書に開示されるペプチドは、個別に、又は2つ以上のペプチド(例えば、2つ以上のペプチド、又はペプチド及び非ペプチド)を含むより長いポリペプチドとして合成することができる。抗原性ペプチドは、単離することができる、即ち、他の天然に存在する宿主細胞タンパク質及びその断片を実質的に含まないように精製することができ、例えば、少なくとも約70%、80%、又は90%精製することができる。好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、単離された抗原性ペプチドである。
【0052】
本発明に係る抗原性ペプチド
第1の態様において、本発明は、配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドを提供する。好ましくは、抗原性ペプチドは、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含むまたからなる。また、抗原性ペプチドは、配列番号861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0053】
したがって、本発明は、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドに関する。本明細書で使用される「腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する」という表現は、特に、表1A及び表1Bにおいて、以下に記載されるIL13RA2又は他の例示されたヒト腫瘍抗原などの(参照)ヒト腫瘍抗原の断片の配列変異体を意味する。「配列変異体」は、典型的には、特に配列の全長に亘って、参照配列、即ち(参照)腫瘍抗原の断片と少なくとも50%の配列同一性を共有する。好ましくは、配列変異体は、参照配列、即ち(参照)腫瘍抗原の断片に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有する。配列同一性は、当技術分野で知られているように、特に以下に説明するように計算することができる。好ましくは、配列変異体は、参照配列の特定の機能、例えば、腫瘍エピトープとしての機能及び/又は免疫応答を誘発又は維持する能力を保持する。特に、アミノ酸配列変異体は、参照配列中のアミノ酸の1以上が変異された(例えば、欠失又は置換された)又は1以上のアミノ酸が参照アミノ酸配列の配列中に挿入された変異配列を有する。例えば、少なくとも90%同一である変異体配列は、参照配列の100アミノ酸当たり、10個以下の変異、即ち、欠失、挿入、又は置換の任意の組合せを有する。
【0054】
2つ以上の配列の同一性(類似性)を比較するための方法は、当技術分野でよく知られている。2つの配列が同一であるパーセンテージは、例えば、数学的アルゴリズムを用いて決定することができる。使用できる数学的アルゴリズムの好ましいが限定的ではない例は、Karlinら(1993),PNAS USA,90:5873-5877のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、BLAST又はNBLASTプログラムなどのBLASTファミリーのプログラム(Altschulら,1990,J.Mol.Biol.215,403-410又はAltschulら(1997),Nucleic Acids Res,25:3389-3402も参照されたい(これらは、ワールドワイドウェブサイト上のNCBIのホームページncbi.nlm.nih.govからアクセス可能である))及びFASTA(Pearson(1990),Methods Enzymol.183,63-98;Pearson and Lipman(1988),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 85,2444-2448)に統合されている。これらのプログラムにより、他の配列とある程度同一である配列を特定することができます。更に、ウィスコンシン配列分析パッケージ、バージョン9.1(Devereuxら,1984,Nucleic Acids Res.,387-395)で利用可能なプログラム、例えば、プログラムBESTFIT及びGAPも、2つのポリヌクレオチド間の同一性%及び2つの(ポリ)ペプチド配列間の同一性%を決定するために使用できる。BESTFITは、Smith and Waterman(1981),J.Mol.Biol.147,195-197の「ローカルホモロジー」アルゴリズムを使用し、2つの配列間の類似性の最良の単一領域を見つける。
【0055】
典型的には参照配列として機能する(参照)腫瘍抗原の「断片」は、好ましくは少なくとも7個、より好ましくは少なくとも8個、最も好ましくは(少なくとも)9個のアミノ酸又は10個のアミノ酸を含む。(参照)腫瘍抗原(タンパク質)の「断片」は、完全長腫瘍抗原(タンパク質)ではないことが理解される。したがって、(参照)腫瘍抗原の「断片」は、全長(参照)腫瘍抗原の95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の最大長を有し得る。いくつかの実施形態では、(参照)腫瘍抗原の断片の長さは、(完全長)(参照)腫瘍抗原の長さの50%を超えない。他の実施形態では、(参照)腫瘍抗原の断片の長さは、(完全長)(参照)腫瘍抗原の長さの20%又は10%を超えない。
【0056】
一般に、本発明に係る抗原性ペプチドは、任意の長さであり得る。好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドの長さは、350アミノ酸を超えない。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドの最大長は、300又は250アミノ酸であり得る。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドの最大長は、200アミノ酸を超えず、例えば、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、又は13アミノ酸以下である。特に、本発明に係る抗原性ペプチドの長さは、好ましくは最大で30又は25アミノ酸、より好ましくは最大で20又は15アミノ酸であり、長さが10又は9アミノ酸のより小さな分子が更により好ましい。特に、抗原性ペプチドは、抗原性ペプチドが由来する腸からの共生細菌によって産生される完全長タンパク質ではない。
【0057】
より一般には、本発明は、ヒト腫瘍抗原の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる抗原性ペプチドを提供する。ヒト腫瘍抗原は、ACPP、ANKRD30A、AREG、ASCL1、ASCL2、BIRC5、CA9、CCNA1、CCND1、CDH17、CDH6、CDKN2A、CEACAM5、CHI3L1、CHI3L2、COL11A1、CT83、CTCFL、DCT、DMRTA2、EGFR、ERBB2、ERG、ESR1、EZH2、FAP、FLT1、FOXM1、FSIP1、GAL3ST1、GPR143、HES6、IL13RA2、KISS1R、KLHDC8A、KLHL14、KLK4、KRT81、LEMD1、LRRC15、MAGEA1、MAGEA10、MAGEA11、MAGEA12、MAGEA4、MLANA、NKX2-1、NPTX2、PAGE3、PAX2、PCDHB16、PIWIL1、PMEL、PRAME、PTHLH、SEMG1、SERHL2、SLC45A3、SLC6A3、SNX31、SOX11、SPINK1、STEAP1、TBL1Y、TDRD1、TOP2A、TPTE、TRPM8、TYMS、TYR、UPK2、VCAM1、WFDC2、WT1、ZEB1、ZNF165、及びZNF280Aからなる群から選択することができる。
【0058】
特に、本発明は、ヒト腫瘍抗原の断片の微生物叢配列変異体である抗原性ペプチドを提供し、ヒト腫瘍抗原の断片は、配列番号580~858及び888~895のいずれかを含む又はからなることができる。以下の表1Aは、本発明に係る抗原性ペプチドの概要を、それらのアミノ酸配列及び配列番号、並びにヒト腫瘍抗原の対応する断片/エピトープ(本明細書では「ヒト参照ペプチド」とも呼ぶ)と共に示す。表1Aはまた、本発明に係る各抗原性ペプチドがどの腫瘍抗原に関連するかについての情報を与える。配列番号1~580及び861~887は、本発明に係る抗原性ペプチドを示す
【0059】
表1A 本発明に係る抗原性ペプチド
【表1A】
【0060】
表1Aから分かるように、本発明に係る抗原性ペプチドは、各「ヒト参照ペプチド」及び各腫瘍抗原にしたがって分類することができる。
【0061】
一実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「FLFLLFFWL」(配列番号581)、「SLSLGFLFL」(配列番号582)、又は「LSLGFLFLL」(配列番号583)など腫瘍抗原ACPP(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~4のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ACPPの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのACPP断片(ヒト参照ペプチド)「FLFLLFFWL」(配列番号581)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号2又は3で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのACPP断片(ヒト参照ペプチド)「SLSLGFLFL」(配列番号582)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号4で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのACPP断片(ヒト参照ペプチド)「LSLGFLFLL」(配列番号583)の配列変異体であることがより好ましい。
【0062】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「YTSNDSYIV」(配列番号584)、「ILIDSGADI」(配列番号585)、「SLFESSAKI」(配列番号586)、又は「SLTPLLLSI」(配列番号587)などの腫瘍抗原ANKRD30A(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号5~15のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ANKRD30Aの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号5で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのANKRD30A断片(ヒト参照ペプチド)「YTSNDSYIV」(配列番号584)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号6、7、又は8で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのANKRD30A断片(ヒト参照ペプチド)「ILIDSGADI」(配列番号585)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号9又は10で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのANKRD30A断片(ヒト参照ペプチド)「SLFESSAKI」(配列番号586)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号11、12、13、14、又は15で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのANKRD30A断片(ヒト参照ペプチド)「SLTPLLSI」(配列番号587)の配列変異体である。
【0063】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「MSAVILTAV」(配列番号588)又は「ALAAIAAFM」(配列番号589)などの腫瘍抗原AREG(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号16~24のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原AREGの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号16又は17で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのAREG断片(ヒト参照ペプチド)「MSAVILTAV」(配列番号588)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号18、19、20、21、22、23、又は24で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのAREG断片(ヒト参照ペプチド)「ALAAIAAFM」(配列番号589)の配列変異体であることがより好ましい。
【0064】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「VSAAFQAGV」(配列番号590)などの腫瘍抗原ASCL1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号25で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ASCL1の断片の配列変異体である。即ち、配列番号25で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、ASCL1断片(ヒト参照ペプチド)「VSAAFQAGV」(配列番号590)の配列変異体である。
【0065】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「KLVNLGFQA」(配列番号591)又は「ELLDFSSWL」(配列番号592)などの腫瘍抗原ASCL2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、配列番号26~29のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ASCL2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号26又は27で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのASCL2断片(ヒト参照ペプチド)「KLVNLGFQA」(配列番号591)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号28又は29で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのASCL2断片(ヒト参照ペプチド)「ELLDFSSWL」(配列番号592)の配列変異体であることがより好ましい。
【0066】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LTLGEFLKL」(配列番号593)などの腫瘍抗原BIRC5(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30~32のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドである腫瘍抗原BIRC5の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の配列変異体である。更により好ましくは、抗原性ペプチドは、配列番号32を含む又はからなる。
【0067】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AAGDILALV」(配列番号594)、「ALVFGLLFA」(配列番号595)、「FQYEGSLTT」(配列番号596)、「HLSTAFARV」(配列番号597)、「LSLLLLVPV」(配列番号598)、「QLLLSLLLL」(配列番号599)、「VQLLLSLLL」(配列番号600)などの腫瘍抗原CA9(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号33~50のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CA9の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号33又は34で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCA9断片(ヒト参照ペプチド)「AAGDILALV」(配列番号594)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号35、36、又は37で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCA9断片(ヒト参照ペプチド)「ALVFGLLFA」(配列番号595)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号38で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCA9断片(ヒト参照ペプチド)「FQYEGSLTT」(配列番号596)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号39、40、又は41で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCA9断片(ヒト参照ペプチド)「HLSTAFARV」(配列番号597)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号42、43、又は44で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCA9断片(ヒト参照ペプチド)「LSLLLLVPV」(配列番号598)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号45、46、又は47で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCA9断片(ヒト参照ペプチド)「QLLLSLLLL」(配列番号599)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号48、49、又は50で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCA9断片(ヒト参照ペプチド)「VQLLLSLLL」(配列番号600)の配列変異体であることがより好ましい。
【0068】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「NLAKYVAEL」(配列番号601)又は「LIAAAAFCL」(配列番号602)などの腫瘍抗原CCNA1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号51~55のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CCNA1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号51で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCCNA1断片(ヒト参照ペプチド)「NLAKYVAEL」(配列番号601)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号52、53、54、又は55で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCCNA1断片(ヒト参照ペプチド)「LIAAAAFCL」(配列番号602)の配列変異体であることがより好ましい。
【0069】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LLNDRVLRA」(配列番号603)などの腫瘍抗原CCND1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号56で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CCND1の断片の配列変異体である。即ち、配列番号56で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、CCND1断片(ヒト参照ペプチド)「LLNDRVLRA」(配列番号603)の配列変異体である。
【0070】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「GILLTTLLV」(配列番号604)、「ILAVVFIRI」(配列番号605)、「ILLTTLLVI」(配列番号606)、又は「LVIGIILAV」(配列番号607))などの腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号57~63のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CDH17の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号57で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH17断片(ヒト参照ペプチド)「GILLTTLLV」(配列番号604)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号58又は59で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH17断片(ヒト参照ペプチド)「ILAVVFIRI」(配列番号605)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号60、61、又は62で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH17断片(ヒト参照ペプチド)「ILLTTLLVI」(配列番号606)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号63で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH17断片(ヒト参照ペプチド)「LVIGIILAV」(配列番号607)の配列変異体であることがより好ましい。
【0071】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALVAILLCI」(配列番号608)、「EMSDVGTFV」(配列番号609)、「EMSTYLLPV」(配列番号610)、「FLLEEYTGS」(配列番号611)、「ILLCIVILL」(配列番号612)、又は「LLVTVVLFA」(配列番号613)などの腫瘍抗原CDH6(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号64~81のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CDH6の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号64、65、66、67、68、69、又は70で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH6断片(ヒト参照ペプチド)「ALVAILLCI」(配列番号608)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号71で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH6断片(ヒト参照ペプチド)「EMSDVGTFV」(配列番号609)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号72で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH6断片(ヒト参照ペプチド)「EMSTYLLPV」(配列番号610)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号73で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH6断片(ヒト参照ペプチド)「FLLEEYTGS」(配列番号611)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号74又は75で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH6断片(ヒト参照ペプチド)「ILLCIVILL」(配列番号612)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号76、77、78、79、80、又は81で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCDH6断片(ヒト参照ペプチド)「LLVVVVLFA」(配列番号613)の配列変異体であることがより好ましい。
【0072】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AVALVLMLL」(配列番号614)などの腫瘍抗原CDKN2A(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号82で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CDKN2Aの断片の配列変異体である。即ち、配列番号82で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、CDKN2A断片(ヒト参照ペプチド)「AVALVLMLL」(配列番号614)の配列変異体である。
【0073】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LLTFWNPPT」(配列番号615)などの腫瘍抗原CEACAM5(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号83で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CEACAM5の断片の配列変異体である。即ち、配列番号83で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、CEACAM5断片(ヒト参照ペプチド)「LLTFWNPPT」(配列番号615)の配列変異体である。
【0074】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「KQLLLSAAL」(配列番号616)、「LLLSAALSA」(配列番号617)、「QLAGAMVWA」(配列番号618)、「SQTGFVVLV」(配列番号619)、又は「TLASETGV」(配列番号620))などの腫瘍抗原CHI3L1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号84~114のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CHI3L1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号84又は85で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L1断片(ヒト参照ペプチド)「KQLLLSAAL」(配列番号616)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、又は109で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L1断片(ヒト参照ペプチド)「LLLSAALSA」(配列番号617)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号110、111、又は112で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L1断片(ヒト参照ペプチド)「QLAGAMVWA」(配列番号618)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号113で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L1断片(ヒト参照ペプチド)「SQTGFVVLV」(配列番号619)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号114で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L1断片(ヒト参照ペプチド)「TLASSETGV」(配列番号620)の配列変異体であることがより好ましい。
【0075】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ILSIGGYL」(配列番号621)、「HLIYSFASI」(配列番号622)、「VLIHELAEA」(配列番号623)、又は「SLWAGVVVL」(配列番号624)などの腫瘍抗原CHI3L2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号115~119のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CHI3L2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号115で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L2断片(ヒト参照ペプチド)「ILLSIGGYL」(配列番号621)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号116で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L2断片(ヒト参照ペプチド)「HLIYSFASI」(配列番号622)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号117又は118で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L2断片(ヒト参照ペプチド)「VLIHELAEA」(配列番号623)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号119で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCHI3L2断片(ヒト参照ペプチド)「SLWAGVVVL」(配列番号624)の配列変異体であることがより好ましい。
【0076】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「WLWDFTVTT」(配列番号625)などの腫瘍抗原COL11A1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号120で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原COL11A1の断片の配列変異体である。即ち、配列番号120で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、COL11A1断片(ヒト参照ペプチド)「WLWDFTVTT」(配列番号625)の配列変異体である。
【0077】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LLASSILCA」(配列番号626)などの腫瘍抗原CT83(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号121~123のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CT83の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号121、122、又は123で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのCT83断片(ヒト参照ペプチド)「LLASSILCA」(配列番号626)の配列変異体である。
【0078】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「KLAVSLAET」(配列番号627)などの腫瘍抗原CTCFL(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号124で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原CTCFLの断片の配列変異体である。配列番号124で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、CTCFL断片(ヒト参照ペプチド)「KLAVSLAET」(配列番号627)の配列変異体である。
【0079】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALVGLFVLL」(配列番号628)、「GLFVLLAFL」(配列番号629)、「SVYDFFVWL」(配列番号630)、又は「VVMGTLVAL」(配列番号631)などの腫瘍抗原DCT(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号125~132のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原DCTの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号125又は126で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのDCT断片(ヒト参照ペプチド)「ALVGLFVLL」(配列番号628)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号127、128、又は129で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのDCT断片(ヒト参照ペプチド)「GLFVLLAFL」(配列番号629)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号130で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのDCT断片(ヒト参照ペプチド)「SVYDFFVWL」(配列番号630)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号131又は132で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのDCT断片(ヒト参照ペプチド)「VVMGTLVAL」(配列番号631)の配列変異体であることがより好ましい。
【0080】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「GTAEGLALA」(配列番号632)又は「GLAAGLGPA」(配列番号633)などの腫瘍抗原DMRTA2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号133から134のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原DMRTA2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号133で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのDMRTA2断片(ヒト参照ペプチド)「GTAEGLALA」(配列番号632)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号134で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのDMRTA2断片(ヒト参照ペプチド)「GLAAGLGPA」(配列番号633)の配列変異体であることがより好ましい。
【0081】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALESILHRI」(配列番号634)、「ALLAALCPA」(配列番号635)、「ALLALLAAL」(配列番号636)、「ILDEAYVMA」(配列番号637)、「LLLLLVVAL」(配列番号638)、「MVGALLLLL」(配列番号639)、「NLQEILHGA」(配列番号640)、又は「SLAVVSLNI」(配列番号641)などの腫瘍抗原EGFR(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号135~150のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原EGFRの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号135又は136で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「ALESILHRI」(配列番号634)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号137で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「ALLAALCPA」(配列番号635)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号138、139、140、141、142、143、又は144で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「ALLALLAAL」(配列番号636)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号145で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「ILDEAYVMA」(配列番号637)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号146で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「LLLLLVVAL」(配列番号638)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号147で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「MVGALLLLL」(配列番号639)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号148で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「NLQEILHGA」(配列番号640)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号149又は150で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEGFR断片(ヒト参照ペプチド)「SLAVVSLNI」(配列番号641)の配列変異体であることがより好ましい。
【0082】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AVVGILLVV」(配列番号642)、「ILDEAYVMA」(配列番号643)、「LLALLPPGA」(配列番号644)、「SIISAVVGI」(配列番号645)、又は「VVLGVVFGI」(配列番号646))などの腫瘍抗原ERBB2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号151~162のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ERBB2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号151、152、153、又は154で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのERBB2断片(ヒト参照ペプチド)「AVVGILLVV」(配列番号642)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号155で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのERBB2断片(ヒト参照ペプチド)「ILDEAYVMA」(配列番号643)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号156、157、158、又は159で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのERBB2断片(ヒト参照ペプチド)「LLALLPPGA」(配列番号644)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号160で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのERBB2断片(ヒト参照ペプチド)「SIISAVVGI」(配列番号645)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号161又は162で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド、特に、配列番号162で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのERBB2断片(ヒト参照ペプチド)「VVLGVVFGI」(配列番号646)の配列変異体であることがより好ましい。
【0083】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「FLLELLSDS」(配列番号647)又は「QLWQFLLEL」(配列番号857)などの腫瘍抗原ERG(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号163~164のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ERGの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号163で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのERG断片(ヒト参照ペプチド)「FLLELLSDS」(配列番号647)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号164で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのERG断片(ヒト参照ペプチド)「QLWQFLLEL」(配列番号857)の配列変異体であることがより好ましい。
【0084】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号165~192のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ESR1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号165で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「ALLDAEPPI」(配列番号648)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号166又は167で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「KITDTLIHL」(配列番号649)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号168又は169で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「KLLFAPNLL」(配列番号650)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号170で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「LLDAEPPIL」(配列番号651)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号171又は172で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「LLNSGVYTF」(配列番号652)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号173で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「LMIGLVWRS」(配列番号653)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号174、175、176、177、178、179、180、又は181で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「PLYDLLLEM」(配列番号654)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号182、183、184、185、186、187、又は188で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「QLLLILSHI」(配列番号655)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号189又は190で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「RLAQLLLIL」(配列番号656)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号191で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「TLIHLMAKA」(配列番号657)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号192で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのESR1断片(ヒト参照ペプチド)「VLDKITDTL」(配列番号658)の配列変異体であることがより好ましい。
【0085】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号193~194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原EZH2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号193で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEZH2断片(ヒト参照ペプチド)「FMVEDETVL」(配列番号659)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号194に示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのEZH2断片(ヒト参照ペプチド)「SMFRVLIGT」(配列番号660)の配列変異体である。
【0086】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号195~201のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原FAPの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号195、196、又は197で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFAP断片(ヒト参照ペプチド)「ATSAVLALL」(配列番号661)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号198で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFAP断片(ヒト参照ペプチド)「TGWAGGFFV」(配列番号662)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号199、200、又は201で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFAP断片(ヒト参照ペプチド)「VLALLVMCI」(配列番号663)の配列変異体であることがより好ましい。
【0087】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号202~216のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原FLT1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号202、203、204、205、206、207、又は208で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「ALLSCLLLT」(配列番号664)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号209で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「CVAATLFWL」(配列番号665)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号210で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「EMYSEIPEI」(配列番号666)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号211又は212で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「KMASTLVVA」(配列番号667)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号213で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「SIFDKIYST」(配列番号668)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号214で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「TLFWLLLTL」(配列番号669)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号215で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「VLLWEIFSL」(配列番号670)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号216で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFLT1断片(ヒト参照ペプチド)「WLKDGLPAT」(配列番号671)の配列変異体であることがより好ましい。
【0088】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号217~227及び861~877のいずれか、例えば、配列番号217~227のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原FOXM1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号217又は218で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「ILLDISFPG」(配列番号672)の配列変異体である。FOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「ILLDISFPG」(配列番号672)の配列変異体である本発明に係る抗原性ペプチドの更なる例としては、配列番号861、862、863、864、865、又は866で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドが挙げられる。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号219で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LLDISFPGL」(配列番号673)の配列変異体であることがより好ましい。FOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LLDISFPGL」(配列番号673)の配列変異体である本発明に係る抗原性ペプチドの別の例としては、配列番号867で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドが挙げられる。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号220で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の配列変異体であることがより好ましい。FOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の配列変異体である本発明に係る抗原性ペプチドの別の例としては、配列番号868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドが挙げられる。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号221、222、又は223で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「RVSSYLVPI」(配列番号675)の配列変異体であることがより好ましい。FOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「RVSSYLVPI」(配列番号675)の配列変異体である本発明に係る抗原性ペプチドの更なる例として、配列番号869、870、又は871で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドが挙げられる。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号224で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「SLSKILLDI」(配列番号676)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号225又は226で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「SQLSYSQEV」(配列番号677)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号227で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「WAAELPFPA」(配列番号678)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号872で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「NLSLHDMFV」(配列番号888)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号873又は874で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「KMKPLLPRV」(配列番号889)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号875又は876で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「YLVPIQFPV」(配列番号890)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号877で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「YMAMIQFAI」(配列番号891)の配列変異体であることがより好ましい。更により好ましくは、抗原性ペプチドは、配列番号32を含む又はからなる。
【0089】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号228~231のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原FSIP1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号228で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFSIP1断片(ヒト参照ペプチド)「LLNESETKV」(配列番号679)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号229、230、又は231で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFSIP1断片(ヒト参照ペプチド)「RLVELLKDL」(配列番号680)の配列変異体であることがより好ましい。
【0090】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「GLASTTPEA」(配列番号681)又は「RMAREVAAL」(配列番号682)などの腫瘍抗原GAL3ST1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号232から234のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原GAL3ST1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号232で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのGAL3ST1断片(ヒト参照ペプチド)「GLASTTPEA」(配列番号681)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号233又は234で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのGAL3ST1断片(ヒト参照ペプチド)「RMAREVAAL」(配列番号682)の配列変異体であることがより好ましい。
【0091】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「FLLSLAFYG」(配列番号683)、「ILNPAQGFL」(配列番号番号684)、「MAWGLATLL」(配列番号685)、又は「RLALGLLQL」(配列番号686)などの腫瘍抗原GPR143(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号235~247のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原GPR143の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号235、236、又は237で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのGPR143断片(ヒト参照ペプチド)「FLLSLAFYG」(配列番号683)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号238で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのGPR143断片(ヒト参照ペプチド)「ILNPAQGFL」(配列番号684)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号239で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのGPR143断片(ヒト参照ペプチド)「MAWGLATLL」(配列番号685)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号240、241、242、243、245、246、又は247で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのGPR143断片(ヒト参照ペプチド)「RLALGLLQL」(配列番号686)の配列変異体であることがより好ましい。
【0092】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「RLLLAGAEV」(配列番号687)などの腫瘍抗原HES6(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号248で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原HES6の断片の配列変異体である。即ち、配列番号248で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、HES6断片(ヒト参照ペプチド)「RLLLAGAEV」(配列番号687)の配列変異体である。
【0093】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号249~255のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原IL13RA2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号249、250、又は251で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「CLYTFLIST」(配列番号688)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号252で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「FLISTTFGC」(配列番号689)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号253で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「VLLDTNYNL」(配列番号690)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号254又は255で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド、特に、配列番号255で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の配列変異体であることがより好ましい。IL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILIL」(配列番号692)の配列変異体である本発明に係る抗原性ペプチドの更なる例としては、配列番号878又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドが挙げられる。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号880、881、又は882で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「FLISTTFGCT」(配列番号892)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号883で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「YLYLQWQPPL」(配列番号893)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号884又は885で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「GVLLDTNYNL」(配列番号894)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号886又は887で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「FQLQNIVKPL」(配列番号895)の配列変異体であることがより好ましい。更により好ましくは、抗原性ペプチドは、配列番号255を含む又はからなる。
【0094】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALYLLPLLA」(配列番号693)、「FALYNLLAL」(配列番号694)、「QLFLVLQAL」(配列番号695)、「RLVAAVVLL」(配列番号696)、「VLAERAGAV」(配列番号697)、「WLVPLFFAA」(配列番号698)、又は「YLLPLLATC」(配列番号699)などの腫瘍抗原KISS1R(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号256~287のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原KISS1Rの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号256、257、又は258で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKISS1R断片(ヒト参照ペプチド)「ALYLLPLLA」(配列番号693)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号259、260、又は261で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKISS1R断片(ヒト参照ペプチド)「FALYNLLAL」(配列番号694)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号262で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKISS1R断片(ヒト参照ペプチド)「QLFLVLQAL」(配列番号695)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号263で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKISS1R断片(ヒト参照ペプチド)「RLVAAVVLL」(配列番号696)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号264で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKISS1R断片(ヒト参照ペプチド)「VLAERAGAV」(配列番号697)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号266、267、268、又は269で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKISS1R断片(ヒト参照ペプチド)「WLVPLFFAA」(配列番号698)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、又は287で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKISS1R断片(ヒト参照ペプチド)「YLLPLLATC」(配列番号699)の配列変異体であることがより好ましい。
【0095】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「GLSDAVEAL」(配列番号700)又は「MLREAAMGI」(配列番号701)などの腫瘍抗原KLHDC8A(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号288~289のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原KLHDC8Aの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号288で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKLHDC8A断片(ヒト参照ペプチド)「GLSDAVEAL」(配列番号700)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号289で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKLHDC8A断片(ヒト参照ペプチド)「MLREAAMGI」(配列番号701)の配列変異体であることがより好ましい。
【0096】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALIPAPELV」(配列番号702)、「NLLHGLNLL」(配列番号NO:703)、又は「YVSSLPQPL」(配列番号704)などの腫瘍抗原KLHL14(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号290~292のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原KLHL14の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号290で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKLHL14断片(ヒト参照ペプチド)「ALIPAPELV」(配列番号702)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号291で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKLHL14断片(ヒト参照ペプチド)「NLLHGLNLL」(配列番号703)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号292で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKLHL14断片(ヒト参照ペプチド)「YVSSLPQPL」(配列番号704)の配列変異体であることがより好ましい。
【0097】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「YLILGVAGS」(配列番号705)などの腫瘍抗原KLK4(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号293~296のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原KLK4の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号293、294、295、又は296で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのKLK4断片(ヒト参照ペプチド)「YLILGVAGS」(配列番号705)の配列変異体である。
【0098】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「NMDCIIAEI」(配列番号706)などの腫瘍抗原KRT81(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号297で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原KRT81の断片の配列変異体である。即ち、配列番号297で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、KRT81断片(ヒト参照ペプチド)「NMDCIIAEI」(配列番号706)の配列変異体である。
【0099】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AVLGIFIIV」(配列番号707)又は「KLAVLGIFI」(配列番号708)などの腫瘍抗原LEMD1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号298~299のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原LEMD1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号298で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのLEMD1断片(ヒト参照ペプチド)「AVLGIFIIV」(配列番号707)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号299で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのLEMD1断片(ヒト参照ペプチド)「KLAVLGIFI」(配列番号708)の配列変異体であることがより好ましい。
【0100】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AIAAIVIGI」(配列番号709)、「ALACSLAAC」(配列番号710)、「IVIGIVALA」(配列番号711)、「RIVAVPTPL」(配列番号712)、又は「SLKELSPGI」(配列番号713)などの腫瘍抗原LRRC15(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号300~307のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原LRRC15の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号300で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのLRRC15断片(ヒト参照ペプチド)「AIAAIVIIG」(配列番号709)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号301で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのLRRC15断片(ヒト参照ペプチド)「ALACSLAAC」(配列番号710)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号302で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのLRRC15断片(ヒト参照ペプチド)「IVIGIVALA」(配列番号711)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号303、304、又は305で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのLRRC15断片(ヒト参照ペプチド)「RIVAVPTPL」(配列番号712)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号306又は307で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのLRRC15断片(ヒト参照ペプチド)「SLKELSPGI」(配列番号713)の配列変異体であることがより好ましい。
【0101】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「KVADLVGFL」(配列番号714)又は「LVLGTLEEV」(配列番号858)などの腫瘍抗原MAGEA1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号308~309のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原MAGEA1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号308で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA1断片(ヒト参照ペプチド)「KVADLVGFL」(配列番号714)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号309で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA1断片(ヒト参照ペプチド)「LVLGTLEEV」(配列番号858)の配列変異体であることがより好ましい。
【0102】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AVSSSSPLV」(配列番号722)、「KVDELAHFL」(配列番号723)、又は「KVLEHVVRV」(配列番号724)などの腫瘍抗原MAGEA4(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号320~322のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原MAGEA4の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号320で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA4断片(ヒト参照ペプチド)「AVSSSSPLV」(配列番号722)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号321で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA4断片(ヒト参照ペプチド)「KVDELAHFL」(配列番号723)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号322で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA4断片(ヒト参照ペプチド)「KVLEHVVRV」(配列番号724)の配列変異体であることがより好ましい。
【0103】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「GMLSDVQSM」(配列番号715)又は「ILILILSIV」(配列番号716)などの腫瘍抗原MAGEA10(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号310~313のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原MAGEA10の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号310又は311で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA10断片(ヒト参照ペプチド)「GMLSDVQSM」(配列番号715)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号312又は313で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA10断片(ヒト参照ペプチド)「ILILILSIV」(配列番号716)の配列変異体であることがより好ましい。
【0104】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AMDAIFGSL」(配列番号717)、「GLITKAEML」(配列番号718)、「GTLEELPAA」(配列番号719)、又は「KVLEYIANA」(配列番号720)などの腫瘍抗原MAGEA11(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号314~318のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原MAGEA11の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号314で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA11断片(ヒト参照ペプチド)「AMDAIFGSL」(配列番号717)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号315で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA11断片(ヒト参照ペプチド)「GLITKAEML」(配列番号718)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号316又は317で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA11断片(ヒト参照ペプチド)「GTLEELPAA」(配列番号719)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号318で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMAGEA11断片(ヒト参照ペプチド)「KVLEYIANA」(配列番号720)の配列変異体であることがより好ましい。
【0105】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「QLVFGIEVV」(配列番号721)などの腫瘍抗原MAGEA12(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号319で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原MAGEA12の断片の配列変異体である。即ち、配列番号319で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、MAGEA12断片(ヒト参照ペプチド)「QLVFGIEVV」(配列番号721)の配列変異体である。
【0106】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「VILVVLLLI」(配列番号725)などの腫瘍抗原MLANA(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号323~334のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原MLANAの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、又は334で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのMLANA断片(ヒト参照ペプチド)「VILVVLLLI」(配列番号725)の配列変異体である。
【0107】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「MTAAGVPQL」(配列番号726)又は「SVSDILSPL」(配列番号727)などの腫瘍抗原NKX2-1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号335~340のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原NKX2-1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号335で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのNKX2-1断片(ヒト参照ペプチド)「MTAAGVPQL」(配列番号726)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号336、337、338、339、又は340で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのNKX2-1断片(ヒト参照ペプチド)「SVSDILSPL」(配列番号727)の配列変異体であることがより好ましい。
【0108】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALLAASVAL」(配列番号728)、「LLAASVALA」(配列番号729)、「QLLRKVAEL」(配列番号730)、「TLPELYAFT」(配列番号731)、又は「YLYGKIKKT」(配列番号732)などの腫瘍抗原NPTX2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号341~351のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原NTPX2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号341、342、343、又は344で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのNPTX2断片(ヒト参照ペプチド)「ALLAASVAL」(配列番号728)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号345、346、347、又は348で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのNPTX2断片(ヒト参照ペプチド)「LLAASVALA」(配列番号729)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号349で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのNPTX2断片(ヒト参照ペプチド)「QLLRKVAEL」(配列番号730)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号350で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのNPTX2断片(ヒト参照ペプチド)「TLPELYAFT」(配列番号731)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号351で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのNPTX2断片(ヒト参照ペプチド)「YLYGKIKKT」(配列番号732)の配列変異体であることがより好ましい。
【0109】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号352~354のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原PAGE3の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号352、353、又は354で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPAGE3断片(ヒト参照ペプチド)「QVLGLAAYL」(配列番号733)の配列変異体である。
【0110】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号355~358のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原PAX2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号355、356、357、又は358で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPAX2断片(ヒト参照ペプチド)「GLDEVKSSL」(配列番号734)の配列変異体である。
【0111】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原CDH17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号359~365のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原PCDHB16の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号359で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドPCDHB16断片(ヒト参照ペプチド)「FVLLSLSGA」(配列番号735)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号360で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPCDHB16断片(ヒト参照ペプチド)「SLFLFSVLL」(配列番号736)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号361で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPCDHB16断片(ヒト参照ペプチド)「SLTVYLVVA」(配列番号737)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号362、363、又は364で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPCDHB16断片(ヒト参照ペプチド)「VLLFVAVRL」(配列番号738)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号365で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPCDHB16断片(ヒト参照ペプチド)「VSSLFLFSV」(配列番号739)の配列変異体である。
【0112】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「SIAGFVASI」(配列番号740)などの腫瘍抗原PIWIL1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号366で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原PIWIL1の断片の配列変異体である。即ち、配列番号366で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、PIWIL1断片(ヒト参照ペプチド)「SIAGFVASI」(配列番号740)の配列変異体である。
【0113】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ILVLMAVV」(配列番号741)、「LIVGILLVL」(配列番号742)、「LMAVVLASL」(配列番号743)、「PLLDGTATL」(配列番号744)、「SLADTNSLA」(配列番号745)、又は「VLQAAIPLT」(配列番号746)などの腫瘍抗原PMEL(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号367~379のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原PMELの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号367で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPMEL断片(ヒト参照ペプチド)「ILLVLMAVV」(配列番号741)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号368、369、370、371、372、又は373で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPMEL断片(ヒト参照ペプチド)「LIVGILLVL」(配列番号742)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号374又は375で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPMEL断片(ヒト参照ペプチド)「LMAVVLASL」(配列番号743)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号376で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPMEL断片(ヒト参照ペプチド)「PLLDGTATL」(配列番号744)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号377又は378で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPMEL断片(ヒト参照ペプチド)「SLADTNSLA」(配列番号745)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号379で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPMEL断片(ヒト参照ペプチド)「VLQAAIPLT」(配列番号746)の配列変異体であることがより好ましい。
【0114】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AVLDGLDVL」(配列番号747)、「QLLALLPSL」(配列番号748)、「RLRELLCEL」(配列番号749)、又は「VLYPVPLES」(配列番号750)などの腫瘍抗原PRAME(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号380~387のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原PRAMEの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号380又は381で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPRAME断片(ヒト参照ペプチド)「AVLDGLDVL」(配列番号747)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号382、383、384、又は385で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPRAME断片(ヒト参照ペプチド)「QLLALLPSL」(配列番号748)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号386で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPRAME断片(ヒト参照ペプチド)「RLRELLCEL」(配列番号749)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号387で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのPRAME断片(ヒト参照ペプチド)「VLYPVPLES」(配列番号750)の配列変異体であることがより好ましい。
【0115】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AVFLLSYAV」(配列番号751)などの腫瘍抗原PTHLH(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号388で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原PTHLHの断片の配列変異体である。即ち、配列番号388で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、PTHLH断片(ヒト参照ペプチド)「AVFLLSYAV」(配列番号751)の配列変異体である。
【0116】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「FVLSLLLIL」(配列番号752)、「IIFVLSLLL」(配列番号753)、又は「LILEKQAAV」(配列番号754)などの腫瘍抗原SEMG1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号389~400のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SEMG1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号389、390、391、392、393、394、395、396、又は397で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSEMG1断片(ヒト参照ペプチド)「FVLSLLLIL」(配列番号752)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号398又は399で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSEMG1断片(ヒト参照ペプチド)「IIFVLSLLL」(配列番号753)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号400で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSEMG1断片(ヒト参照ペプチド)「LILEKQAAV」(配列番号754)の配列変異体であることがより好ましい。
【0117】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LISELKLAV」(配列番号755)、「RAIEHVLQV」(配列番号756)、「SSFDRLIPL」(配列番号757)、又は「TLKEQFQFV」(配列番号758)などの腫瘍抗原SERHL2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号401~405のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SERHL2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号401で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSERHL2断片(ヒト参照ペプチド)「LISELKLAV」(配列番号755)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号402で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSERHL2断片(ヒト参照ペプチド)「RAIEHVLQV」(配列番号756)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号403又は404で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSERHL2断片(ヒト参照ペプチド)「SSFDRLIPL」(配列番号757)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号405で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSERHL2断片(ヒト参照ペプチド)「TLKEQFQFV」(配列番号758)の配列変異体であることがより好ましい。
【0118】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AILDSAFLL」(配列番号759)、「AISLVFSLV」(配列番号番号760)、「ALQILPYTL」(配列番号761)、「ALTGFTFSA」(配列番号762)、「AQLLLVNLL」(配列番号763)、「CLFGLLTLI」(配列番号764)、「GILLSLFLI」(配列番号765)、「GLLPPPPAL」(配列番号766)、「GLLTLIFLT」(配列番号767)、「GLVAIYFAT」(配列番号768)、「NLGALLPRL」(配列番号769)、又は「SVAAFPVAA」(配列番号770)などの腫瘍抗原SLC45A3の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号406~427のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SLC45A3の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号406で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「AILDSAFLL」(配列番号759)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号407又は408で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「AISLVFSLV」(配列番号760)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号409で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「ALQILPYTL」(配列番号761)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号410で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「ALTGFTFSA」(配列番号762)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号411で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「AQLLLVNLL」(配列番号763)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号412、413、414、又は415で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「CLFGLLTLI」(配列番号764)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号416又は417で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「GILLSLFLI」(配列番号765)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号418で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「GLLPPPPAL」(配列番号766)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号419、420、421、422、又は423で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「GLLTLIFLT」(配列番号767)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号424で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「GLVAIYFAT」(配列番号768)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号425又は426で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「NLGALLPRL」(配列番号769)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号427で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC45A3断片(ヒト参照ペプチド)「SVAAFPVAA」(配列番号770)の配列変異体であることがより好ましい。
【0119】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「FLLSLFCVT」(配列番号771)、「FSLGVGFGV」(配列番号772)、「GLIDEFQLL」(配列番号773)、「GMESVITGL」(配列番号774)、「ILFGVLIEA」(配列番号775)、「KIDFLLSVI」(配列番号776)、「LLFMVIAGM」(配列番号777)、「LVPYLLFMV」(配列番号778)、又は「QLTACLVLV」(配列番号779)などの腫瘍抗原SLC6A3(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号428~441のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SLC6A3の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号428、429、又は430で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「FLLSLFCVT」(配列番号771)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号431又は432で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「FSLGVGFGV」(配列番号772)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号433で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「GLIDEFQLL」(配列番号773)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号434で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「GMESVITGL」(配列番号774)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号435又は436で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「ILFGVLIEA」(配列番号775)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号437で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「KIDFLLSVI」(配列番号776)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号438又は439で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「LLFMVIAGM」(配列番号777)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号440で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「LVPYLLFMV」(配列番号778)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号441で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSLC6A3断片(ヒト参照ペプチド)「QLTACLVLV」(配列番号779)の配列変異体であることがより好ましい。
【0120】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「MISEKMVKL」(配列番号780)などの腫瘍抗原SNX31(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号442で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SNX31の断片の配列変異体である。即ち、配列番号442で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、SNX31断片(ヒト参照ペプチド)「MISEKMVKL」(配列番号780)の配列変異体である。
【0121】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LMFDLSLNF」(配列番号781)などの腫瘍抗原SOX11(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号443~445のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SOX11の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号443、444、又は445で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSOX11断片(ヒト参照ペプチド)「LMFDLSLNF」(配列番号781)の配列変異体である。
【0122】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALPAVMAGL」(配列番号782)又は「GLAEPQAAA」(配列番号783)などの腫瘍抗原SOX17(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号446~449のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SOX17の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号446で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSOX17断片(ヒト参照ペプチド)「ALPAVMAGL」(配列番号782)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号447、448、又は449で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSOX17断片(ヒト参照ペプチド)「GLAEPQAAA」(配列番号783)の配列変異体であることがより好ましい。
【0123】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「GIFLLSALA」(配列番号784)などの腫瘍抗原SPINK1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号450で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原SPINK1の断片の配列変異体である。即ち、配列番号450で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、SPINK1断片(ヒト参照ペプチド)「GIFLLSALA」(配列番号784)の配列変異体である。
【0124】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ASLTFLYTL」(配列番号785)、「AVLHAIYSL」(配列番号786)、「FFFAVLHAI」(配列番号787)、「GVIAAIVQL」(配列番号788)、「KIAAIIASL」(配列番号789)、「LIFKSILFL」(配列番号790)、「LLLGTIHAL」(配列番号791)、「LLSFFFAVL」(配列番号792)、「MIAVFLPIV」(配列番号793)、又は「SLLLGTIHA」(配列番号794))などの腫瘍抗原STEAP1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号451~468のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原STEAP1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号451で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「ASLTFLYTL」(配列番号785)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号452で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「AVLHAIYSL」(配列番号786)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号453で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「FFFAVLHAI」(配列番号787)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号454、455、456、又は457で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「GVIAAIVQL」(配列番号788)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号458、459、又は460で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「KIAAIIASL」(配列番号789)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号461で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「LIFKSILFL」(配列番号790)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号462で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「LLLGTIHAL」(配列番号791)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号463、464、又は465で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「LLSFFFAVL」(配列番号792)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号466で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「MIAVFLPIV」(配列番号793)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号467又は468で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのSTEAP1断片(ヒト参照ペプチド)「SLLLGTIHA」(配列番号794)の配列変異体であることがより好ましい。
【0125】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「SLSLIVAVI」(配列番号795)などの腫瘍抗原TBL1Y(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号469~470のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TBL1Yの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号469又は470で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTBL1Y断片(ヒト参照ペプチド)「SLSLIVAVI」(配列番号795)の配列変異体である。
【0126】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「IISPNLFYA」(配列番号796)、「LLDHVLIEM」(配列番号NO:797)、「VLIDEHLVL」(配列番号798)、「YSSEVLEYM」(配列番号799)などの腫瘍抗原TDRD1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号471~474のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TDRD1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号471で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTDRD1断片(ヒト参照ペプチド)「IISPNLFYA」(配列番号796)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号472で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTDRD1断片(ヒト参照ペプチド)「LLDHVLIEM」(配列番号797)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号473で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTDRD1断片(ヒト参照ペプチド)「VLIDEHLVL」(配列番号798)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号474で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTDRD1断片(ヒト参照ペプチド)「YSSEVLEYM」(配列番号799)の配列変異体であることがより好ましい。
【0127】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ILRPDTYI」(配列番号800)、「LMMTIINLA」(配列番号801)、「QLAGSVAEM」(配列番号802)、「SLMMTIINL」(配列番号803)、「TMLSSLARL」(配列番号804)、又は「YIFTMLSSL」(配列番号805)などの腫瘍抗原TOP2A(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号475~483のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TOP2Aの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号475で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TOP2Aの断片(ヒト参照ペプチド)「ILLRPDTYI」(配列番号800)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号476、477、又は478で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTOP2A断片(ヒト参照ペプチド)「LMMTIINLA」(配列番号801)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号479又は480で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTOP2A断片(ヒト参照ペプチド)「QLAGSVAEM」(配列番号802)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号481で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTOP2A断片(ヒト参照ペプチド)「SLMMTIINL」(配列番号803)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号482で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTOP2A断片(ヒト参照ペプチド)「TMLSSLARL」(配列番号804)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号483で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTOP2A断片(ヒト参照ペプチド)「YIFTMLSSL」(配列番号805)の配列変異体であることがより好ましい。
【0128】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「DLAGVIIEL」(配列番号806)、「FGLFGVFLV」(配列番号807)、「GLFGVFLVL」(配列番号808)、「ILDTAIIVI」(配列番号809)、「IVSSFAFGL」(配列番号810)、「RLLRLIILL」(配列番号811)、「SLAIALFFL」(配列番号812)、又は「YFWLHTSFI」(配列番号813)などの腫瘍抗原TPTE(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号484~504のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TPTEの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号484、485、486、487、488、489、又は490で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「DLAGVIIEL」(配列番号806)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号491、492、493、又は494で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「FGLFGVFLV」(配列番号807)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号495、496、又は497で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「GLFGVFLVL」(配列番号808)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号498又は499で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「ILDTAIIVI」(配列番号809)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号500又は501で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「IVSSFAFGL」(配列番号810)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号502で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「RLLRLIILL」(配列番号811)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号503で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「SLAIALFFL」(配列番号812)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号504で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTPTE断片(ヒト参照ペプチド)「YFWLHTSFI」(配列番号813)の配列変異体であることがより好ましい。
【0129】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AMFGYTVGT」(配列番号814)、「FIAGIVFRL」(配列番号番号815)、「FLLLFAYVL」(配列番号816)、「LLFAYVLLM」(配列番号817)、「LLLFAYVLL」(配列番号818)、「LVLYSLVFV」(配列番号819)、「NILLVNLLV」(配列番号820)、「QIADVIASL」(配列番号821)、「VLYSLVFVL」(配列番号822)、又は「YLVKINTKA」(配列番号823)などの腫瘍抗原TRPM8(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号505~518のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TRPM8の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号505で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「AMFGYTVGT」(配列番号814)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号506で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「FIAGIVFRL」(配列番号815)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号507で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「FLLLFAYVL」(配列番号816)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号508又は509で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「LLFAYVLLM」(配列番号817)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号510で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「LLLFAYVLL」(配列番号818)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号511で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「LVLYSLVFV」(配列番号819)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号512で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「NILLVNLLV」(配列番号820)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号513、514、515、又は516で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「QIADVIASL」(配列番号821)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号517で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「VLYSLVFVL」(配列番号822)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号518で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTRPM8断片(ヒト参照ペプチド)「YLVKINTKA」(配列番号823)の配列変異体であることがより好ましい。
【0130】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「FLDSLGFST」(配列番号824)、「SLRDEFPLL」(配列番号825)、又は「VLEELLWFI」(配列番号826)などの腫瘍抗原TYMS(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号519~524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TYMSの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号519、520、又は521で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYMS断片(ヒト参照ペプチド)「FLDSLGFST」(配列番号824)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号522又は523で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYMS断片(ヒト参照ペプチド)「SLRDEFPLL」(配列番号825)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号524で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYMS断片(ヒト参照ペプチド)「VLEELLWFI」(配列番号826)の配列変異体であることがより好ましい。
【0131】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALLAGLVSL」(配列番号827)、「AMVGAVLTA」(配列番号828)、「ISSDYVIPI」(配列番号829)、「LLAGLVSLL」(配列番号830)、「LLSPASFFS」(配列番号831)、「MVGAVLTAL」(配列番号832)、又は「VLTALLAGL」(配列番号833)などの腫瘍抗原TYR(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号525~539のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原TYRの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号525又は526で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYR断片(ヒト参照ペプチド)「ALLAGLVSL」(配列番号827)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号527、528、529、又は530で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYR断片(ヒト参照ペプチド)「AMVGAVLTA」(配列番号828)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号531で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYR断片(ヒト参照ペプチド)「ISSDYVIPI」(配列番号829)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号532で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYR断片(ヒト参照ペプチド)「LLAGLVSLL」(配列番号830)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号533で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYR断片(ヒト参照ペプチド)「LLSPASFFS」(配列番号831)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号534で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYR断片(ヒト参照ペプチド)「MVGAVLTAL」(配列番号832)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号535、536、537、538、又は539で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのTYR断片(ヒト参照ペプチド)「VLTALLAGL」(配列番号833)の配列変異体であることがより好ましい。
【0132】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ALTESLLVA」(配列番号834)、「LLALLSPGA」(配列番号835)、「LVLGFIIAL」(配列番号836)、「SLSGLLSPA」(配列番号837)、「TLPLILILL」(配列番号838)、「VLGFIIALA」(配列番号839)、又は「VVITVLLSV」(配列番号840)などの腫瘍抗原UPK2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号540~556のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原UPK2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号540、541、又は542で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのUPK2断片(ヒト参照ペプチド)「ALTESLLVA」(配列番号834)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号543で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのUPK2断片(ヒト参照ペプチド)「LLALLSPGA」(配列番号835)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号544、545、546、又は547で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのUPK2断片(ヒト参照ペプチド)「LVLGFIIAL」(配列番号836)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号548又は549で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのUPK2断片(ヒト参照ペプチド)「SLSGLLSPA」(配列番号837)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号550で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのUPK2断片(ヒト参照ペプチド)「TLPLILILL」(配列番号838)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号551、552、553、又は554で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのUPK2断片(ヒト参照ペプチド)「VLGFIIALA」(配列番号839)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号555又は556で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのUPK2断片(ヒト参照ペプチド)「VVITVLLSV」(配列番号840)の配列変異体であることがより好ましい。
【0133】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AQIGDSVML」(配列番号841)、「FASSLIIPA」(配列番号842)、「KSIDGAYTI」(配列番号843)、又は「SILEEGSSV」(配列番号844)などの腫瘍抗原VCAM1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号557~560のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原VCAM1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号557で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのVCAM1断片(ヒト参照ペプチド)「AQIGDSVML」(配列番号841)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号558で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのVCAM1断片(ヒト参照ペプチド)「FASSLIIPA」(配列番号842)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号559で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのVCAM1断片(ヒト参照ペプチド)「KSIDGAYTI」(配列番号843)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号560で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのVCAM1断片(ヒト参照ペプチド)「SILEEGSSV」(配列番号844)の配列変異体であることがより好ましい。
【0134】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LLFGFTLVS」(配列番号845)、「LLLFGFTLV」(配列番号846)、又は「RLGPLAAAL」(配列番号847)などの腫瘍抗原WFDC2(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号561~568のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原WFDC2の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号561、562、563、564、又は565で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのWFDC2断片(ヒト参照ペプチド)「LLFGFTLVS」(配列番号845)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号566で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのWFDC2断片(ヒト参照ペプチド)「LLLFGFTLV」(配列番号846)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号567又は568で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのWFDC2断片(ヒト参照ペプチド)「RLGPLAAAL」(配列番号847)の配列変異体であることがより好ましい。
【0135】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「DLNALLPAV」(配列番号848)などの腫瘍抗原WT1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号569で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原WT1の断片の配列変異体である。即ち、配列番号569で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドは、WT1断片(ヒト参照ペプチド)「DLNALLPAV」(配列番号848)の配列変異体である。
【0136】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「ILIPQVAYT」(配列番号849)、「NLSDIQNVL」(配列番号850)、又は「VQAVVLPTV」(配列番号851)などの腫瘍抗原ZEB1(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号570~574のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ZEB1の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号570又は571で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのZEB1断片(ヒト参照ペプチド)「ILIPQVAYT」(配列番号849)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号572又は573で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのZEB1断片(ヒト参照ペプチド)「NLSDIQNVL」(配列番号850)の配列変異体であることがより好ましい。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号574で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのZEB1断片(ヒト参照ペプチド)「VQAVVLPTV」(配列番号851)の配列変異体であることがより好ましい。
【0137】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「LVLEQFLTI」(配列番号852)又は「RISGYISEA」(配列番号853)などの腫瘍抗原ZNF165(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号575~578のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ZNF165の断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号575、576、又は577で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのZNF165断片(ヒト参照ペプチド)「LVLEQFLTI」(配列番号852)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、また、配列番号578で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのZNF165断片(ヒト参照ペプチド)「RISGYISEA」(配列番号853)の配列変異体であることがより好ましい。
【0138】
別の実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、「AMTDISSLA」(配列番号854)又は「VLLSNFYYG」(配列番号855)などの腫瘍抗原ZNF280A(ヒト参照ペプチド)の断片の微生物叢配列変異体である。別の好ましい実施形態では、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号579~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの腫瘍抗原ZNF280Aの断片の配列変異体である。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号579で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのZNF280A断片(ヒト参照ペプチド)「AMTDISSLA」(配列番号854)の配列変異体である。本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号580で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのZNF280A断片(ヒト参照ペプチド)「VLLSNFYYG」(配列番号855)の配列変異体であることがより好ましい。
【0139】
好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~160、162~253、及び255~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。より好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。更により好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。更により好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。最も好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。
【0140】
更に、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが特に好ましい。最も好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。最も好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号194又は220で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。最も好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号254又は255で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。
【0141】
本明細書中の例に示されるように、本発明に係る特定の抗原性ペプチドは、それ自体に対する強力な免疫応答の向上をもたらすと共に、最も重要なことに、腫瘍抗原に含まれるヒト参照ペプチドが寛容原性であっても、腫瘍抗原に含まれる、それらとアミノ酸類似性を有するペプチドに対する強力な免疫応答の向上をもたらす。
【0142】
有利なことに、本発明に係る抗原性ペプチドは、特に癌の予防又は治療における使用のための免疫原性化合物の形態であることができる。
【0143】
本発明に係る抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物
更なる態様において、本発明はまた、前記した本発明に係る抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物を提供する。特に、上記した抗原性ペプチドの好ましい実施形態は、本発明に係る免疫原性化合物にも適用される。例えば、免疫原性化合物に含まれる抗原性ペプチドは、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが好ましい。例えば、配列番号1~160、162~253、及び255~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドがより好ましい。例えば、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドが更により好ましい。例えば、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドが更により好ましい。例えば、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドが更により好ましい。例えば、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドが最も好ましい。例えば、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる本発明に係る抗原性ペプチドが特に好ましい。また、それらの組合せ、即ち、本発明に係る異なる抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物が好ましい。
【0144】
本明細書で使用されるとき、「免疫原性化合物」という用語は、哺乳動物に投与したときに、特に、ヒト個体に投与したときに、免疫応答を誘発、上昇、延長、又は維持することができる化合物、特に、免疫応答を誘発、上昇、延長、又は維持する化合物を意味する。
【0145】
一般に、「免疫原性化合物」という用語は、本発明に係る抗原性ペプチドを含む全ての種類の化合物を含む。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、担体分子に結合することができる、又は本発明に係る抗原性ペプチドは、ポリペプチド又はタンパク質(これらのポリペプチド又はタンパク質は、「別々に」存在してもよい。即ち、他の任意の化合物に結合されない、又は抗原性ペプチドを含むポリペプチド又はタンパク質を担体分子に結合することができる)に含有させることができる。
【0146】
好ましくは、本発明に係る免疫原性化合物は、抗原性ペプチド及び担体分子を含み、特に、抗原性ペプチド(又は抗原性ペプチドを含むポリペプチド又はタンパク質)が担体分子に結合している。好ましい担体分子は、担体タンパク質又は担体ペプチドである。好ましい実施形態によれば、上で定義した抗原性ペプチド、又は前記抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質は、例えば、共有結合又は非共有結合によって、担体タンパク質又は担体ペプチドに結合されている。或いは、本明細書に記載される担体タンパク質又は担体ペプチドは、免疫アジュバントの形態で(即ち、「免疫原性化合物」としてではなく、本明細書中、以下に記載される同時投与/併用療法として)同時投与することができる。
【0147】
担体分子はまた、脂質又は脂質様部分であり得る。この場合、免疫原性化合物は、リポペプチドであり得る。本明細書で使用されるとき、「リポペプチド」という用語は、ペプチド部分に共有結合された脂質又は脂質様部分を含む分子を意味する。一般に、「脂質」は非極性溶媒に可溶であるが、通常、「脂質」は水に溶解しない(又は容易には溶解しない)。脂質又は脂質様部分の例としては、脂肪酸、ワックス、ステロール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、及びリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、糖脂質、又はポリケチドであり得る。好ましくは、脂質は、脂肪酸又はその誘導体(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、及びリン脂質など)である。脂肪酸は、通常、カルボン酸基で終わる炭化水素鎖を含む。脂肪酸は、飽和又は不飽和であり得る。脂肪酸は、例えば、酸素、ハロゲン、窒素、又は硫黄などを含む官能基に結合することができる。好ましい脂肪酸は、14個の炭素原子を有するミリスチン酸(CH(CH12COOH)又は16個の炭素原子を有するパルミチン酸(CH(CH14COOH)などの飽和又は不飽和長鎖脂肪酸、及びホスファチジルグリセロール(PG)などのリン脂質である。
【0148】
好ましくは、本明細書に記載の抗原性ペプチド、又は抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質は、例えば、共有結合又は非共有結合によって、免疫アジュバント特性(例えば、CD4+Th1細胞の刺激を提供する)を有するタンパク質/ペプチドと共投与又は結合することができる。本明細書に記載の抗原性ペプチドは、好ましくはMHCクラスIに結合するが、CD4+ヘルパーエピトープを更に使用して、効率的な免疫応答を提供することができる。Th1ヘルパー細胞は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、及びインターロイキン-2(IL-2)を分泌し、樹状細胞(DC)とT細胞の共刺激シグナルの発現を向上させることによって、効率的な樹状細胞(DC)活性化と特異的CTL活性化を維持することができる(Galaine et al., Interest of Tumor-Specific CD4 T Helper 1 Cells for Therapeutic Anticancer Vaccine. Vaccines (Basel). 2015 Jun 30;3(3):490-502)
【0149】
例えば、アジュバントペプチド/タンパク質は、好ましくは、免疫記憶を呼び起こす又は非特異的ヘルプをもたらす非腫瘍抗原である、又は特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドであることができる。破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、又はPADREペプチドなどの非特異的T細胞ヘルプを与えるためのいくつかのヘルパーペプチドが文献に記載されている(Adotevi et al., Targeting antitumor CD4 helper T cells with universal tumor-reactive helper peptides derived from telomerase for cancer vaccine. Hum Vaccin Immunother. 2013 May;9(5):1073-7, Slingluff CL, The present and future of peptide vaccines for cancer: single or multiple, long or short, alone or in combination? Cancer J. 2011 Sep-Oct;17(5):343-50)。したがって、破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、及びPADREペプチドは、そのようなアジュバントペプチド/タンパク質の好ましい例である。更に、特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドが好ましい。特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドは、通常、MHCクラスII、特にHLA-DR、HLA-DP、又はHLA-DQによって提示される。特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドは、HER2、NY-ESO-1、hTERT、又はIL13RA2などの共通の過剰発現腫瘍抗原の配列の断片であることができる。そのような断片は、好ましくは少なくとも10アミノ酸、より好ましくは少なくとも11アミノ酸、更により好ましくは少なくとも12アミノ酸、最も好ましくは少なくとも13アミノ酸の長さを有する。特に、13~24アミノ酸の長さを有する、HER2、NY-ESO-1、hTERT、又はIL13RA2などの共通の過剰発現腫瘍抗原の断片が好ましい。好ましい断片は、MHCクラスIIに結合し、したがって、例えば、IEDBのMHCクラスII結合予測ツール(Immune epitope database and analysis resource; Supported by a contract from the National Institute of Allergy and Infectious Diseases, a component of the National Institutes of Health in the Department of Health and Human Services ; URL: http://www.iedb.org/; http://tools.iedb.org/mhcii/)を用いて同定することができる。好ましくは、アジュバントペプチド/タンパク質は、配列MAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号856)のHHD-DR3ペプチドであり得る。別の好ましい例は、h-pAg T13L(配列:TPPAYRPPNAPIL;配列番号860;Bhasin M, Singh H, Raghava GP (2003) MHCBN: a comprehensive database of MHC binding and non-binding peptides. Bioinformatics 19: 665-666)である。好ましいアジュバントペプチド/タンパク質、特にヘルパーペプチドの更なる例としては、UCP2ペプチド(例えば、国際公開第2013/135553A1号又はDosset et al. Clin Cancer Res. 2012 Nov 15;18(22):6284-95に記載されている)及びBIRC5ペプチド(例えば、欧州特許出願公開第2119726A1号又はWidenmeyer et al. Int J Cancer. 2012 Jul 1;131(1):140-9に記載されている)が挙げられる。最も好ましいヘルパーペプチドは、UCP2ペプチド(アミノ酸配列:KSVWSKLQSIGIRQH;配列番号859、例えば、国際公開第2013/135553A1号又はDosset et al., Clin Cancer Res. 2012 Nov 15;18(22):6284-95に記載されている)である。
【0150】
本発明に係る免疫原性化合物は、また、本発明に係る抗原性ペプチドを含むポリペプチド又はタンパク質であることが好ましい。好ましくは、そのようなタンパク質又はポリペプチドは、組換えタンパク質又はポリペプチド、例えば融合タンパク質である。「組換え」という用語は、それが自然界には存在しないしないことを意味する。
【0151】
好ましい実施形態では、本発明に係る免疫原性化合物は、式(I)のポリペプチドを含む又はからなる。
PepNt-CORE-PepCt (I)
式中、
-「PepNt」は、0~500個のアミノ酸残基の長さを有するポリペプチドからなり、式(I)のポリペプチドのN末端に位置し、
-「CORE」は、上で定義される本発明に係る抗原性ペプチドからなり、
-「PepCt」は、0~500個のアミノ酸残基の長さを有するポリペプチドからなり、式(I)のポリペプチドのC末端に位置する。
【0152】
例えば、免疫原性化合物は、式(Ia)又は(Ib)のポリペプチドを含む又はからなることができる。
PepNt-CORE (Ia);又は
CORE-PepCt(Ib)
式中、「PepNt」及び「PepCt」及び「CORE」は、上で定義した通りである。
【0153】
好ましくは、式(I)、(Ia)、又は(Ib)のポリペプチドは、融合ペプチド又は融合タンパク質、特に、組換え融合ペプチド又はタンパク質である。
【0154】
上で定義したポリペプチド又は免疫原性化合物は、また、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、及び1000個のアミノ酸などの9~1000個のアミノ酸を含むことが好ましい。したがって、「PepNt」及び「PepCt」の長さは、該当する場合、それに応じて定義することができる。
【0155】
上で定義した「PepNt」及び「PepCt」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、及び500アミノ酸残基などの0~500個のアミノ酸残基を含むことができる。
【0156】
担体分子に結合された式(I)のポリペプチドを含む又はからなる免疫原性化合物などの本発明の免疫原性化合物を生成するために使用される担体分子のタイプは、当業者の技術常識の範囲内である。特に、担体分子の機能は、腫瘍抗原に対する免疫応答を増強させるためにサイトカインヘルプ(又はT細胞ヘルプ)を提供することである。
【0157】
好ましくは、抗原性ペプチドは、好ましくは共有結合又は非共有結合によって、担体分子、特に担体タンパク質に結合される。ペプチドが任意に結合される担体分子は、多種多様な公知の担体から選択することができる。ワクチン目的の担体分子の例としては、ヒト又はウシ血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)及び脂肪酸などのタンパク質が包含される。式(I)の抗原性ペプチドが共有結合し得る担体分子の他の実施形態としては、細菌毒素又はトキソイド、例えば、ジフテリア、コレラ、E.coli熱不安定性又は破傷風トキソイド、髄膜炎菌外膜タンパク質(欧州特許出願第0372501号)、合成ペプチド(欧州特許出願第0378881号及び同第0427347号)、熱ショックタンパク質(国際公開第93/17712号)、百日咳タンパク質(国際公開第98/58668号)、H.インフルエンザ由来のタンパク質D(国際公開第00/56360号)、及びC.ディフィシル由来の毒素A又はB(国際公開第00/61761号)が挙げられる。
【0158】
より好ましくは、担体タンパク質又は担体ペプチドは、本明細書に記載されるCD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドである。その好ましい例としては、免疫記憶を呼び起こす又は非特異的ヘルプを提供する、又は破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、又はPADREペプチドなどの特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドであり得る非腫瘍抗原であり得る。別の好ましい例としては、前記HER2、NY-ESO-1、hTERT、又はIL13RA2などの共通の過剰発現腫瘍抗原の断片などの、MHCII、特に、HLA-DR、HLA-DP、又はHLA-DQによって提示され得る特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドである。特に好ましい実施形態では、担体タンパク質又は担体ペプチドは、免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドであり、HHD-DR3担体ペプチドMAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号856)であり得る。特に、「PepNt」及び/又は「PepCt」は、HHD-DR3担体ペプチドMAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号856)などの担体タンパク質又は担体ペプチドに対応し得る。別の好ましい例は、h-pAg T13L(配列:TPPAYRPPNAPIL;配列番号860;Bhasin M, Singh H, Raghava GP (2003) MHCBN: a comprehensive database of MHC binding and non-binding peptides. Bioinformatics 19: 665-666)である。好ましい担体タンパク質/ペプチド、特にヘルパーペプチドの更なる例としては、UCP2ペプチド(例えば、国際公開第2013/135553A1号又はDosset et al., Clin Cancer Res. 2012 Nov 15;18(22):6284-95に記載されている)及びBIRC5ペプチド(例えば、欧州特許出願公開第2119726A1号又はWidenmeyer et al., Int J Cancer. 2012 Jul 1;131(1):140-9に記載されている)が挙げられる。最も好ましいヘルパーペプチドは、UCP2ペプチド(アミノ酸配列:KSVWSKLQSIGIRQH;配列番号859)である。
【0159】
更に、式(I)、(Ia)、又は(Ib)に係るポリペプチドにおいて、「PepNt」及び/又は「PepCt」は、好ましくは、本明細書に記載のCD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドに対応し得る。
【0160】
更に、免疫原性化合物は、本発明に係る抗原性ペプチドのN末端又は前記抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質のN末端に共有結合した、本明細書に記載のCD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドを含む又はからなり得る。
【0161】
好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチド(又は前記抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質)は、リンカー部分を介して担体分子に共有結合する。
【0162】
好ましいリンカー剤は、GMBS、スルホ-GMBS、SMPB、及びスルホ-SMPBの名称のリンカー剤を包含する。
【0163】
上で定義された免疫原性化合物のいくつかの実施形態では、リンカー剤は、GMBS(N-[γ-マレイミドブチリル-オキシ]スクシンイミドエステル)、スルホ-GMBS(N-[γ-マレイミドブチリル-オキシ]スルホスクシンイミド)エステル)、SMPB(スクシンイミジル4-[p-マレイミドフェニル]ブチレート)、及びスルホ-SMPB(スルホスクシンイミジル4-[p-マレイミドフェニル]ブチレート)からなる群から選択される。
【0164】
2つのタンパク質を一般にリンカー剤、より具体的にはGMBS、スルホ-GMBS、SMPB、及びスルホ-SMPBからなる群から選択されるリンカー剤とコンジュゲートさせる方法は、当業者によく知られている。実例として、そのようなプロトコルは、Pierce Company(米国イリノイ州)によって公に利用可能にされているリーフレットに開示されている。GMBS、スルホ-GMBS、SMPB、及びスルホ-SMPBは、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基とマレイミド基の両方を含むヘテロ二官能性リンカー剤からなる。GMBS、スルホ-GMBS、SMPB、又はスルホ-SMPBを使用したコンジュゲーションは、通常、2段階の手順で行われる。第1の工程では、アミン含有タンパク質を、pH7~9で、数倍モル過剰のリンカー剤と反応させてアミド結合を形成した後、通常は、脱塩又は透析によって過剰の未反応リンカー剤を除去する。第2の工程では、スルフヒドリル含有分子(例えば、式(I)のペプチド)を添加して、pH6.5~7.5で、第1のタンパク質に既に結合しているマレイミド基と反応させて、安定なチオエーテル結合を形成する。
【0165】
本発明に係る抗原性ペプチド(又は式(I)のポリペプチドなどの前記抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質)をアミン含有担体タンパク質に共有結合させるためのリンカー剤としてSMPB又はスルホ-SMPBを使用することにより、以下の式(II)のコンジュゲートが得られる。
【化1】
(II)
式中、
-R1は、アミン含有担体タンパク質の1つの反応性基からなり、それに結合するNH基は、(i)アミン含有担体タンパク質のN末端に位置するアルファアミノ基又は(ii)アミン含有担体タンパク質のリジン(K)アミノ酸残基に由来する側鎖アミノ基に由来する;及び
-R2は、本発明に係る抗原性ペプチド(又は式(I)のポリペプチドなどの前記抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質)からなり、それに結合する硫黄(S)原子は、式(I)のペプチドのN末端又はC末端に位置するシステイン残基のスルフヒドリル(SH)基に由来する。いくつかの実施形態では、スルフヒドリル部分は、非天然アミノ酸、又は式(I)のペプチドの末端に存在する任意の他の分子の一部であり得る。
【0166】
本発明に係る抗原性ペプチド(又は式(I)のポリペプチドなどの前記抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質)をアミン含有担体タンパク質、特にCRM197担体タンパク質、に共有結合させるためのリンカー剤としてGMBS又はスルホ-GMBSを使用することにより、以下の式(III)のコンジュゲートが得られる。
【化2】
(III)
式中、
-R1は、アミン含有担体タンパク質の1つの反応性基からなり、それに結合するNH基は、(i)アミン含有担体タンパク質のN末端に位置するアルファアミノ基又は(ii)アミン含有担体タンパク質のリジン(K)アミノ酸残基に由来する側鎖アミノ基に由来する;及び
-R2は、本発明に係る抗原性ペプチド(又は式(I)のポリペプチドなどの前記抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質)からなり、それに結合する硫黄(S)原子は、式(I)のペプチドのN末端又はC末端に位置するシステイン残基のスルフヒドリル(SH)基に由来する。いくつかの実施形態では、スルフヒドリル部分は、非天然アミノ酸、又は式(I)のペプチドの末端に存在する任意の他の分子の一部であり得る。
【0167】
抗原性ペプチドを含むペプチド-MHC(pMHC)多量体
更なる態様において、本発明はまた、本発明に係る抗原性ペプチドを含むペプチド-MHC(pMHC)多量体を提供する。
【0168】
本明細書で使用されるとき、「ペプチド-MHC多量体」(pMHC)という用語は、本発明の抗原性ペプチドがロードされた主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質サブユニットから構成される安定な多量体複合体を意味する。一般に、「MHC多量体」は、MHC分子のオリゴマー形態である。MHC分子の主な機能は、抗原に結合することである。本発明によれば、前記抗原は、本発明に係る抗原性ペプチドである。したがって、本発明の抗原性ペプチドが「ロードされた」MHCタンパク質の複合体は、典型的には、本発明の抗原性ペプチドが1以上のMHCタンパク質に結合されていることを意味する。本発明の「ペプチド-MHC多量体」(pMHC)としては、ペプチド-MHC二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、又は八量体が挙げられるが、これらに限定されない。MHC四量体及び五量体が好ましい。「主要組織適合性複合体」(MHC)という用語は、ヒト白血球抗原(HLA)を含むさまざまな種で記述されている組織適合性抗原システムを包含することを意味する総称である。ヒトにおいては、MHCクラスI分子、即ち、HLA-A、HLA-B、及びHLA-Cをコードする3つの主要な異なる遺伝子座が存在する。HLA-A01、HLA-A02、及びHLA-A11は、これらの遺伝子座から発現され得る各種MHCクラスI対立遺伝子の例である。
【0169】
本発明の一実施形態では、pMHC多量体は、ペプチド/MHCクラスI多量体である。別の特定の実施形態では、pMHC多量体は、MHCクラスI/ペプチド多量体に対応するHLAである。したがって、pMHC多量体は、HLA-A-ペプチド多量体、HLA-B-ペプチド多量体、HLA-C-ペプチド多量体、HLA-E-ペプチド多量体、MICA-ペプチド多量体、及びMICB-ペプチド多量体からなる群から選択されるHLA-ペプチド多量体であり得る。
【0170】
pHMC多量体を得るための方法は当該技術分野で知られており、例えば、参照により本明細書に援用する国際公開第96/26962号及び同第01/18053号に記載されている。
【0171】
本発明のMHC分子及び抗原性ペプチドに加えて、pMHCは、多量体化剤及び/又は標識(例えば、視覚化のための)などの更なる成分を含むことができる。標識の例としては、蛍光標識、例えば、ストレプトアビジンなどの蛍光標識タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光標識としては、アロフィコシアニン(APC)、フィコエリトリン(PE)、R-フィコエリトリン(R-PE)、及びフルオレセインイソチオシアネート(FITC)が挙げられる。好ましい標識はビオチンである。
【0172】
本発明の一実施形態では、前記pMHC多量体を使用して、MHCクラスIペプチド複合体又は前記したMHCクラスI/ペプチド複合体に対応するHLAに特異的なT細胞集団を視覚化することができる。例えば、pMHC多量体は、MHCの重鎖がビオチン化された多量体であることができ、これは、ストレプトアビジンとの四量体としての組合せを可能にする。このようなpMHC四量体は、適切なTCR担体Tリンパ球に対する結合活性が高いため、免疫蛍光法によって反応性集団を視覚化するために使用できる。本発明の別の実施形態では、前記pMHC多量体は、本明細書中に前記したpMHC複合体に特異的なT細胞集団のスクリーニング(フローサイトメトリー又は免疫磁気スクリーニング)による検出及び/又は単離に使用することができる。
【0173】
抗原性ペプチド又は免疫原性化合物がロードされた細胞
更なる態様において、本発明はまた、本発明に係る抗原性ペプチド、又は前記した本発明に係る抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物をロードした細胞を提供する。特に、前記した抗原性ペプチドの好ましい実施形態はまた、本発明に係る細胞にも適用される。例えば、細胞にロードされた、又は細胞にロードされた免疫原性化合物に含まれる抗原性ペプチドは、好ましくは、配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列、例えば、配列番号1から580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~160、162~253、及び255~580を含む又はからなることがより好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが最も好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが特に好ましい。また、それらの組合せ、即ち、本発明に係る異なる抗原性ペプチド(又はそれぞれの免疫原性化合物)がロードされた細胞が好ましい。
【0174】
本発明に係る抗原性ペプチド又は本発明に係る免疫原性化合物がロードされた好ましい細胞は、抗原提示細胞(APC)、より好ましくは樹状細胞(DC)である。
【0175】
APCは、その主な機能が抗原を処理し、それを細胞表面上に免疫系のT細胞に対して提示して、インビボでのT細胞応答を開始及び調節することであり、特に興味深い。本発明の文脈において、APCは、本発明に係る抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物をロードされていることが好ましい。これは、APCを、前記抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物にインビトロで曝露することによって行うことができる(Rizzo MM, Alaniz L, Mazzolini G. Ex vivo loading of autologous dendritic cells with tumor antigens. Methods Mol Biol. 2014;1139:41-4; Rolinski J, Hus I. Breaking immunotolerance of tumors: a new perspective for dendritic cell therapy. J Immunotoxicol. 2014 Oct;11(4):311-8に記載)。
【0176】
本発明に係る好ましいAPCは、樹状細胞(DC)である。本発明に係る少なくとも1つの抗原性ペプチド又は免疫原性化合物をDCと組み合わせることが実際に有利となり得る。その理由は、それらは最も強力なAPCであり、癌患者においてしばしば機能的に欠陥があると報告されているからである。DCは、当該技術分野の当業者によって、健常な適合性ドナー(即ち、DCがHLA関連である)又はそれらが機能的である場合(即ち、DCが自家である)には患者自身から、例えば、末梢血、又はCD14+単球又はCD34+造血前駆細胞などの末梢血細胞からの誘導によって、容易に得ることができる(Figdor CG, de Vries IJ, Lesterhuis WJ, Melief CJ. Dendritic cell immunotherapy: mapping the way. Nat Med. 2004 May;10(5):475-80)。DCは、実際に、S100、p55、CD83、及び/又はOX62などの表面マーカーによって末梢血の他の細胞と区別することができ、したがって、当該技術分野で周知の細胞培養技術を用いて前記マーカーに基づき単離及び精製することができる。
【0177】
抗原性ペプチドをコードする核酸及び核酸を含む宿主細胞
更なる態様において、本発明はまた、本発明に係る抗原性ペプチド、上で定義した式(I)のポリペプチド、又はペプチド又はタンパク質である本発明に係る免疫原性化合物をコードする核酸を提供する。特に、前記した抗原性ペプチドの好ましい実施形態はまた、本発明に係る核酸にも適用される。例えば、核酸によってコードされる抗原性ペプチドは、好ましくは、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~160、162~253、及び255~580を含む又はからなることがより好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが最も好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが特に好ましい。また、それらの組合せ、即ち、本発明に係る異なる抗原性ペプチドをコードする核酸が好ましい。
【0178】
核酸は、好ましくは一本鎖、二本鎖、又は部分的二本鎖の核酸を含み、好ましくはgDNA、cDNA、RNA、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、発現エレメントを含む又は含まない相補的RNA/DNA配列、ミニ遺伝子、遺伝子断片、調節エレメント、プロモーター、及びそれらの組合せから選択される。核酸(分子)及び/又はポリヌクレオチドの更なる好ましい例としては、組換えポリヌクレオチド、ベクター、オリゴヌクレオチド、rRNA、mRNA、又はtRNAなどのRNA分子、又は前記したDNA分子が挙げられる。したがって、核酸(分子)は、DNA分子又はRNA分子;好ましくは、gDNA;cDNA;rRNA;mRNA;アンチセンスDNA;アンチセンスRNA;相補的RNA及び/又はDNA配列;発現エレメント、調節エレメント、及び/又はプロモーターを含む又は含まないRNA及び/又はDNA配列;ベクター;及びそれらの組合せから選択される。
【0179】
治療、診断、試薬の分野、及び生物学的アッセイにおいて、インビトロ、インビボ、インサイチュ、又はエクスビボのいずれであっても、細胞内に核酸、例えばリボ核酸(RNA)を送達でき、例えば、核酸の細胞内翻訳及び目的とするコードされたペプチドの産生を引き起こすことは非常に興味深い。特に重要なのは、非統合型(non-integrative)ポリヌクレオチドの送達と機能である。したがって、mRNAなどの核酸が宿主の染色体に組み込まれないことが好ましい。一般に、mRNAなどの核酸は、例えば、コドン最適化などの当該技術分野で知られている方法によって、本発明の抗原性ペプチドの発現のために最適化することができる。更に、核酸は、例えば、その安定性を高め、その寿命を延ばし、及び/又は本発明の抗原性ペプチドの発現を上昇させるために改変することができる。したがって、本発明に係る抗原性ペプチドをコードする最適化又は修飾されたmRNA(mmRNA)が好ましい。mmRNAは、mRNAの最適な送達及び/又は本発明の抗原性ペプチドの最適な発現のためのそれらの機能的及び/又は構造的設計特徴において野生型mRNAと区別される(例えば、参照により本明細書に援用する国際公開第2013/151672A2号、国際公開第2013/101690A1号、国際公開第2013/052523A号に記載)。一般に、核酸は、「ネイキッド」で送達される、又は担体、例えば、カチオン性担体と会合させて送達させることができる。カチオン性担体(正に帯電)は通常、負に帯電した核酸と容易に会合する。担体は、例えば、ポリマー、タンパク質、脂質、及びナノ粒子を含む任意の種類のいずれかであることができる。カチオン性脂質及びナノ粒子(特に脂質ナノ粒子、LNP)は、核酸送達に好ましい。したがって、本発明はまた、担体(例えば、脂質、特にカチオン性脂質又はLNP)に会合される本明細書に記載の核酸を提供する。
【0180】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、ベクターであり得る。本発明の文脈で使用される「ベクター」という用語は、核酸分子、好ましくは人工核酸分子、即ち自然界には存在しない核酸分子を意味する。本発明の文脈におけるベクターは、所望の核酸配列を組み込む又は収容するのに適している。そのようなベクターは、収容ベクター、発現ベクター、クローニングベクター、移入ベクターなどであり得る。収容ベクターは、核酸分子の便利な収容を可能にするベクターである。したがって、ベクターは、例えば、本発明に係る所望の抗原性ペプチドなどに対応する配列を含み得る。発現ベクターは、mRNAなどのRNA、又はペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質などの発現産物の産生に使用することができる。例えば、発現ベクターは、プロモーター配列などの、ベクターの一続きの配列の転写に必要な配列を含み得る。クローニングベクターは、典型的には、核酸配列をベクターに組み込むために使用され得るクローニング部位を含むベクターである。クローニングベクターは、例えば、プラスミドベクター又はバクテリオファージベクターであり得る。移入ベクターは、核酸分子を細胞又は生物に移入するのに適したベクター、例えばウイルスベクターであり得る。本発明の文脈におけるベクターは、例えば、RNAベクター又はDNAベクターであり得る。好ましくは、ベクターはDNA分子である。例えば、本願の意味におけるベクターは、クローニング部位、抗生物質耐性因子などの選択マーカー、及び複製起点などのベクターの増殖に適した配列を含む。好ましくは、本願の文脈におけるベクターは、プラスミドベクターである。好ましくは、本願の文脈におけるベクターは、発現ベクターである。好ましいベクターは、細菌細胞での発現のためのベクターである。より好ましくは、ベクターは、いわゆる「生細菌ワクチンベクター」での発現に有用であり、生細菌細胞(細菌又は細菌胞子、例えば、内生胞子、外生胞子、又は微生物嚢胞など)がワクチンとして役立つことができる。その好ましい例が、da Silva et al., Live bacterial vaccine vectors: an overview; Braz J Microbiol. 2015 Mar 4;45(4):1117-29に記載されている。
【0181】
本発明に係る抗原性ペプチドをコードする核酸は、ネイキッド核酸、又はプラスミド又はウイルスベクターにクローニングされた核酸の形態であり得(Tregoning and Kinnear, Using Plasmids as DNA Vaccines for Infectious Diseases. Microbiol Spectr. 2014 Dec;2(6). doi: 10.1128/microbiolspec.PLAS-0028-2014)、後者が特に好ましい。本発明に係る適切なウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野における標準的な組換え技術を使用して、核酸をプラスミド又はウイルスベクターにクローンニングすることは当業者の技能の範囲内である。
【0182】
更なる態様において、本発明はまた、本発明に係る核酸を含む宿主細胞を提供する。また、それらの組合せ、即ち、例えば、本発明に係る異なる抗原性ペプチドをコードする、本発明に係る異なる核酸を含む宿主細胞が好ましい。
【0183】
好ましくは、宿主細胞に含まれる核酸は、好ましくはベクターである。好ましくは、宿主細胞は細菌細胞である。このような宿主細胞は、好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチド又は本発明に係る免疫原性化合物の産生のために使用することができる。更に、そのような宿主細胞はまた、ワクチンの活性成分であり得る。
【0184】
好ましくは、宿主細胞は細菌細胞であり、より好ましくは腸内細菌細胞である。「腸内細菌細胞」という用語は、(ヒトの)腸内に存在する細菌を意味する。
【0185】
そのような細菌宿主細胞は、「生細菌ワクチンベクター」として機能することができ、生細菌細胞(細菌又は細菌胞子、例えば、内生胞子、外生胞子、又は微生物嚢胞など)は、ワクチンとして機能し得る。その好ましい例が、da Silva et al., Live bacterial vaccine vectors: an overview; Braz J Microbiol. 2015 Mar 4;45(4):1117-29に記載されている。
【0186】
細菌細胞(細菌又は細菌胞子、例えば、内生胞子、外生胞子、又は微生物嚢胞など)、特に(全体の)腸内細菌種は、それらが含む(ポリ)ペプチド又は核酸よりも高い免疫応答を引き起こす可能性を有するため、有利であり得る。
【0187】
或いは、本発明に係る細菌細胞、特に腸内細菌は、プロバイオティクス、即ち、生きた腸内細菌の形態であることができ、したがって、それが提供できる健康上の利益のため、食品添加物として使用することができる。それらは、例えば、顆粒、丸剤、又はカプセル剤として凍結乾燥する又は消費用乳製品と直接混合することができる。
【0188】
抗原性ペプチド又は免疫原性化合物を含むナノ粒子
更なる態様において、本発明はまた、以下を含む、具体的には以下がロードされたナノ粒子を提供する:
-本発明に係る抗原性ペプチドの少なくとも1つ、又は
-本発明に係る免疫原性化合物の少なくとも1つ;及び
任意にアジュバント。
【0189】
特に、前記した抗原性ペプチドの好ましい実施形態は、本発明に係るナノ粒子にも適用される。例えば、ナノ粒子にロードされた、又はナノ粒子にロードされた免疫原性化合物に含まれる抗原性ペプチドは、好ましくは、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~160、162~253、及び255~580を含む又はからなることがより好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが最も好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが特に好ましい。また、それらの組合せ、即ち、本発明に係る異なる抗原性ペプチド(又はそれぞれの免疫原性化合物)でロードしたナノ粒子が好ましい。
【0190】
特にワクチンとしての使用のためのナノ粒子は、当該技術分野で知られており、例えば、Shao et al., Nanoparticle-based immunotherapy for cancer, ACS Nano 2015, 9(1):16-30; Zhao et al., Nanoparticle vaccines, Vaccine 2014, 32(3):327-37;及びGregory et al., Vaccine delivery using nanoparticles, Front Cell Infect Microbiol. 2013, 3:13, doi: 10.3389/fcimb.2013.00013. eCollection 2013, Reviewに記載されている。特に、ナノ粒子は、抗原性ペプチド(又は抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物/ポリペプチド/タンパク質/核酸)の送達に使用され、任意に、アジュバントとしても作用し得る。抗原性ペプチド(抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物/ポリペプチド/タンパク質/核酸)は、通常、ナノ粒子内にカプセル化される、又はナノ粒子の表面にリンク/結合(装飾)される(「コーティング」)。従来のアプローチと比較して、ナノ粒子はペイロード(抗原/アジュバント)を周囲の生物学的環境から保護し、半減期を延ばし、全身毒性を最小限に抑え、APCへの送達を促進し、更にはTAA特異的T細胞の活性化を直接誘発することができる。好ましくは、ナノ粒子は、300nm以下、より好ましくは200nm以下、最も好ましくは100nm以下のサイズ(直径)を有する。このようなナノ粒子は、食細胞の取り込みから適切に保護されており、循環における構造的完全性が高く、循環時間が長く、腫瘍増殖部位に蓄積することができ、腫瘍塊の奥深くまで浸透することができる。
【0191】
ナノ粒子の例としては、ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)などの高分子ナノ粒子;金ナノ粒子、酸化鉄ビーズ、酸化鉄酸化亜鉛ナノ粒子、カーボンナノチューブ、及びメソポーラスシリカナノ粒子などの無機ナノ粒子;カチオン性リポソームなどのリポソーム;免疫刺激複合体(ISCOM);ウイルス様粒子(VLP);自己組織化タンパク質などが挙げられる。
【0192】
ポリマーナノ粒子は、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)、ポリ(γ-グルタミン酸)(γ-PGA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、及びポリスチレンなどのポリマーに基づく/を含むナノ粒子である。高分子ナノ粒子は、抗原(例えば、抗原性ペプチド又はそれを含む(ポリ)ペプチド)を捕捉する又は抗原(例えば、抗原性ペプチド又はそれを含む(ポリ)ペプチド)に結合/コンジュゲートし得る。ポリマーナノ粒子は、それらの生分解速度が遅いため、例えば、特定の細胞への送達、又は徐放性抗原放出のために使用することができる。例えば、g-PGAナノ粒子を使用して疎水性抗原をカプセル化することができる。ポリスチレンナノ粒子は、さまざまな官能基で表面修飾できるため、様々な抗原にコンジュゲートできる。ポリ(L-乳酸)(PLA)、PLGA、PEG、及び多糖類などの天然ポリマーなどのポリマーを使用して、ナノサイズの親水性三次元ポリマーネットワークの一種であるヒドロゲルナノ粒子を合成することができる。ナノゲルは、柔軟なメッシュサイズ、多価コンジュゲーションのための大表面積、高含水量、及び抗原に対する高いロード容量などの好ましい特性を有する。したがって、好ましいナノ粒子は、キトサンナノゲルなどのナノゲルである。好ましいポリマーナノ粒子は、PEG及びPLGAに基づく/を含むナノ粒子である。
【0193】
無機ナノ粒子は、無機物質に基づく/無機物質を含むナノ粒子であり、そのようなナノ粒子の例としては、金ナノ粒子、酸化鉄ビーズ、酸化鉄酸化亜鉛ナノ粒子、カーボンナノ粒子(例えば、カーボンナノチューブ)、及びメソポーラスシリカナノ粒子が挙げられる。無機ナノ粒子は、堅固な構造と制御可能な合成を提供する。例えば、金ナノ粒子は、球、棒、立方体など、様々な形状で容易に製造できる。無機ナノ粒子は、例えば、炭水化物などで表面修飾されていてもよい。カーボンナノ粒子は、良好な生体適合性を提供し、例えば、ナノチューブ又は(メソポーラス)球として生成することができる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチド(又はそれを含む(ポリ)ペプチド)の複数のコピーを、カーボンナノチューブなどのカーボンナノ粒子上にコンジュゲートすることができる。。経口投与にはメソポーラスカーボンナノ粒子が好ましい。シリカベースのナノ粒子(SiNP)も好ましい。SiNPは生体適合性があり、選択的な腫瘍ターゲティングとワクチン送達において優れた特性を示す。SiNPの表面にある豊富なシラノール基は、細胞認識、特定の生体分子の吸収、細胞との相互作用の改善、及び細胞取り込みの向上などの更なる機能性を導入するための更なる修飾に使用できる。メソポーラスシリカナノ粒子が特に好ましい。
【0194】
リポソームは通常、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)などのリン脂質によって形成される。一般に、カチオン性リポソームが好ましい。リポソームは、リン脂質二重層シェルと水性コアとで自己組織化する。リポソームは、ユニラメラベシクル(単一のリン脂質二重層を有する)又はマルチラメラベシクル(水の層によって分離されたいくつかの同心円状リン脂質シェルを有する)として生成することができる。したがって、抗原はコア内又は異なる層/シェル間でカプセル化することができる。好ましいリポソーム系は、Inflexal(登録商標)V及びEpaxal(登録商標)などのヒトでの使用が承認されたものである。
【0195】
免疫刺激複合体(ISCOM)は、約40nm(直径)のケージ様粒子であり、コロイド状のサポニン含有ミセルであり、例えば、サポニンアジュバントQuil-A、コレステロール、リン脂質、及び(ポリ)ペプチド抗原(例えば、抗原性ペプチド又はそれを含むポリペプチド)から形成される。これらの球状粒子は、無極性相互作用によって抗原を捕捉することができる。2種類のISCOMが報告されており、いずれもコレステロール、リン脂質(通常は、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリン)とサポニン(Quil-Aなど)からなる。
【0196】
ウイルス様粒子(VLP)は、生体適合性キャプシドタンパク質の自己組織化によって形成される自己組織化ナノ粒子である。天然に最適化されたナノ粒子サイズと反復的な構造秩序により、VLPは、強力な免疫応答を誘発することができる。VLPは、サイズが20nm~800nm、通常は20~150nmのさまざまなウイルスに由来し得る。VLPは、これらのペプチド/タンパク質を粒子と融合する又は複数の抗原を発現させることによって、更なるペプチド又はタンパク質を発現するように操作することができる。更に、抗原をウイルス表面に化学的に結合させて、バイオコンジュゲートVLPを生成することができる。
【0197】
自己組織化タンパク質の例としては、フェリチン及び主要ヴォールトタンパク質(MVP)が挙げられる。フェリチンは、ほぼ球形の10nm構造に自己組織化できるタンパク質である。96ユニットのMVPは、幅約40nm、長さ70nmのサイズの樽型のヴォールトナノ粒子に自己組織化できる。最小相互作用ドメインと遺伝的に融合した抗原は、MVPと混合すると、自己組織化プロセスによってヴォールトナノ粒子内にパッケージ化できる。したがって、抗原(それを含むポリペプチドの本発明に係る抗原性ペプチドなど)は、自己組織化タンパク質又はその断片/ドメイン、例えば、MVPの最小相互作用ドメインに融合され得る。したがって、本発明はまた、自己組織化タンパク質(又はその断片/ドメイン)及び本発明に係る抗原性ペプチドを含む融合タンパク質を提供する。
【0198】
一般に、ナノ粒子(NP)の好ましい例としては、酸化鉄ビーズ、ポリスチレンミクロスフェア、ポリ(γ-グルタミン酸)(γ-PGA)NP、酸化鉄-酸化亜鉛NP、カチオン化ゼラチンNP、プルロニック(登録商標)安定化ポリ(プロピレンスルフィド)(PPS)NP、PLGA NP、(カチオン性)リポソーム、(pH応答性)高分子ミセル、PLGA、癌細胞膜被覆PLGA、脂質-リン酸カルシウム(LCP)NP、リポソーム-プロタミン-ヒアルロン酸(LPH)NP、ポリスチレンラテックスビーズ、磁気ビーズ、鉄デキストラン粒子、及び量子ドットナノ結晶が挙げられる。
【0199】
好ましくは、ナノ粒子は、アジュバント、例えば、toll様受容体(TLR)アゴニストを更に含む。それにより、抗原性ペプチド(抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物/ポリペプチド/タンパク質/核酸)は、樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞(APC)に、アジュバントと共に送達され得る。アジュバントは、ナノ粒子によってカプセル化される、又はナノ粒子の表面に、好ましくは抗原性ペプチドと同様に結合/コンジュゲートされ得る。
【0200】
特に好ましいアジュバントは、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(「ポリI:C」とも呼ばれる)及び/又はその誘導体ポリ-ICLCである。ポリI:Cはミスマッチの二本鎖RNAであり、一方の鎖はイノシン酸のポリマーであり、他方の鎖はシチジル酸のポリマーである。ポリI:Cは、toll様受容体3(TLR3)と相互作用することが知られている免疫刺激剤である。ポリI:Cは、TLR3の「天然の」刺激物質である二本鎖RNAと構造的に類似している。したがって、ポリI:Cは二本鎖RNAの合成類似体とみなすことができる。ポリ-ICLCは、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸、及びポリ-L-リジン二本鎖RNAの合成複合体である。ポリI:Cと同様に、ポリ-ICLCもTLR3のリガンドである。ポリI:C及びポリ-ICLCは通常、細胞毒性サイトカインの放出を刺激する。ポリ-ICLCの好ましい例は、Hiltonol(登録商標)である。
【0201】
医薬組成物
更なる態様において、本発明はまた、以下のうちの少なくとも1つを含む医薬組成物を提供する:
-本明細書に記載の本発明に係る抗原性ペプチド、
-本明細書に記載の本発明に係る免疫原性化合物、
-本明細書に記載の本発明に係るナノ粒子、
-本明細書に記載の本発明に係る細胞、
-本明細書に記載の本発明に係る核酸、及び/又は
-本明細書に記載の本発明に係る宿主細胞、及び
任意に、1以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体。
【0202】
特に、前記した抗原性ペプチドの好ましい実施形態は、本発明に係る医薬組成物にも適用される。例えば、医薬組成物に含まれる抗原性ペプチド、又は医薬組成物に含まれる免疫原性化合物、ナノ粒子、細胞、核酸、又は宿主細胞のいずれかに含まれる抗原性ペプチドは、好ましくは、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~160、162~253、及び255~580を含む又はからなることがより好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが最も好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが特に好ましい。
【0203】
また、それらの組合せ、即ち、本発明に係る異なるの抗原性ペプチドを含む医薬組成物が好ましい。例えば、医薬組成物は、
(i)本発明に係る少なくとも2つの異なる抗原性ペプチド;
(ii)本発明に係る少なくとも2つの異なる免疫原性化合物;
(iii)本発明に係る少なくとも2つの異なるナノ粒子;及び/又は
(iv)本発明に係る少なくとも2つの異なるの核酸を含むことができる。
【0204】
したがって、本発明は、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも)1つの抗原性ペプチドを含む医薬組成物を提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載される本発明に係る(少なくとも)1つの免疫原性化合物を含む医薬組成物を提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載される本発明に係る(少なくとも)1つのナノ粒子を含む医薬組成物を提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載される本発明に係る(少なくとも)1つの細胞を含む医薬組成物を提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載される本発明に係る(少なくとも)1つの核酸を含む医薬組成物を提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載される本発明に係る(少なくとも)1つの宿主細胞を含む医薬組成物を提供する。
【0205】
好ましくは、医薬組成物は、本発明に係る少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドを含む。
【0206】
特に、本発明は、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドとを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号32を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0207】
特に、本発明はまた、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドとを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2の断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号32を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0208】
特に、本発明はまた、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドとを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0209】
より好ましくは、医薬組成物は、本発明に係る少なくとも3つの異なる抗原性ペプチドを含む。
【0210】
特に、本発明はまた、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる第2の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる第3の抗原性ペプチドとを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第3の抗原性ペプチドが、配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号30を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0211】
医薬組成物はまた、前記した抗原性ペプチドの好ましい組合せに代えて、本発明の免疫原性化合物のそれぞれの組合せ、本発明のナノ粒子のそれぞれの組合せ、又は本発明の核酸のそれぞれの組合せを含み得ることが理解される。
【0212】
好ましくは、医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を更に含む。
【0213】
本発明の医薬組成物は、本発明の目的に適した任意の形態であることができる。例えば、前記組成物は、液体懸濁液、固体剤形(顆粒、丸剤、カプセル、又は錠剤)又はペースト若しくはゲルなどの非経口、経腸、又は局所投与に適した形態であることができる。意図された目的のために組成物の適切な形態を選択することは、当業者の技能の範囲内である。
【0214】
本発明に係る組成物は、例えば抗原性ペプチド又は免疫原性化合物の効果を向上させることができる他の活性剤を更に含むことができる。或いは、組成物は、他の活性剤(即ち、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、及び/又は本発明に係る宿主細胞以外のもの)を含まなくてもよい。
【0215】
本明細書で定義される医薬組成物は、好ましくは、免疫原性組成物、即ち、免疫応答を誘発、上昇、延長、又は維持することができる組成物である。これは、本発明に係る抗原性ペプチドによって、又は前記組成物に含まれる本発明に係る免疫原性化合物によって達成することができる。好ましくは、医薬組成物は、1以上の免疫アジュバント物質を更に含む。医薬組成物、特に免疫原性組成物は、本明細書では「ワクチン組成物」と呼ぶこともある。
【0216】
好ましくは、医薬組成物は、特に抗原性ペプチドによって媒介される免疫応答を上昇、増強、延長、又は維持するように、少なくとも1つの免疫刺激剤を更に含む。本発明に係る好ましい免疫刺激剤としては、免疫アジュバント、抗原提示細胞、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、免疫刺激剤は、免疫アジュバント又は抗原提示細胞(APC)である。
【0217】
好ましくは、免疫刺激剤は免疫アジュバントである。いくつかの免疫アジュバントは、抗原と免疫系との間の相互作用の持続時間を促進及び延長することができ、他の免疫アジュバントは、適応応答を誘発するように自然免疫の細胞を動員及び活性化することができる。前者のカテゴリに属するアジュバントとしては、ミョウバン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウムなどのミネラル化合物;及びパラフィンオイル、スターチオイル、フロイント完全/不完全アジュバント(FCA/FIA)、サポニン(例えば、キラヤ(Quillaja)、大豆、セネガ(Polygala senega)などの植物由来のもの)などの油性エマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。後者のカテゴリに属するアジュバントとしては、サイトカイン(例えば、GM-CSF;IL-1、IL-2、IL6、IL8、又はIL12などのインターロイキン;TNFα又はTNFβなどの腫瘍壊死因子(TNF);IFNα、IFNβ、IFNγ、又はIFNδなどのインターフェロンIFNSなどの免疫刺激複合体(ISCOM);イミキモド、レシキモド、又はMPLなどのtoll様受容体(TLR)のリガンド;樹状細胞(DC)又は腫瘍細胞に由来するエクソソームなどのエクソソーム;熱ショックタンパク質(gp96、hsp90、hsp70、カルレティキュリン、hsp110、hsp170などのHSP)、病原体関連分子パターン(PAMP)、トレハロースジミコレート(TDM)、ムラミルジペプチド(MDP)、多糖類-Kなどの多糖類(PLS)などの細菌産物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0218】
より好ましくは、免疫アジュバントは、本明細書に記載されるように、CD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドである。その好ましい例は、免疫記憶を呼び起こす、又は非特異的ヘルプを提供する、又は本明細書に記載の破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、又はPADREペプチドなどの特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドであり得る非腫瘍抗原である。別の好ましい例は、特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドであり、これは、MHCII、特にHLA-DR、HLA-DP、又はHLA-DQ、例えば、共通の過剰発現された腫瘍抗原の断片(前記したHER2、NY-ESO-1、hTERT、又はIL13RA2など)によって提示され得る。特に、免疫アジュバントは、配列MAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号856)のHHD-DR3ペプチドであり得る。このペプチドは、本発明の文脈において好ましい、(免疫アジュバント特性を有する)ヘルパーペプチドの別の例を表す。別の好ましい例は、h-pAg T13L(配列:TPPAYRPPNAPIL;配列番号860;Bhasin M, Singh H, Raghava GP (2003) MHCBN: a comprehensive database of MHC binding and non-binding peptides. Bioinformatics 19: 665-666)。好ましい免疫アジュバント、特にヘルパーペプチドの更なる例としては、UCP2ペプチド(例えば、国際公開第2013/135553A1号又はDosset et al.,. Clin Cancer Res. 2012 Nov 15;18(22):6284-95に記載)及びBIRC5ペプチド(例えば、欧州特許出願公開第2119726A1号又はWidenmeyer et al., Int J Cancer. 2012 Jul 1;131(1):140-9に記載)が挙げられる。最も好ましいヘルパーペプチドは、UCP2ペプチド(アミノ酸配列:KSVWSKLQSIGIRQH;配列番号859)である。
【0219】
好ましくは、医薬組成物は、本発明に係る少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドと、ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含む。
【0220】
好ましくは、医薬組成物は、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと、ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含む。より好ましくは、医薬組成物は、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと;配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと;ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含む。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号32を含む又はからなる抗原性ペプチドと;配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドと;UCP2ヘルパーペプチド(配列番号859)とを含む。
【0221】
医薬組成物は、また、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと、ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含むが好ましい。より好ましくは、医薬組成物は、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと;配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2の断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと;ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含む。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号32を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドと;UCP2ヘルパーペプチド(配列番号859)とを含む。
【0222】
医薬組成物は、また、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと;ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと;ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含む。より好ましくは、医薬組成物は、配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと;配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと;ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含む。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドと;配列番号225を含む又はからなる抗原性ペプチドと;UCP2ヘルパーペプチド(配列番号859)とを含む。
【0223】
より好ましくは、医薬組成物は、本発明に係る少なくとも3つの異なる抗原性ペプチドと、ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含む。
【0224】
特に、医薬組成物は、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原FOXM1断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第3の抗原性ペプチドと、ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含むことができる。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと;配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドと;配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第3の抗原性ペプチドと;ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含むことができる。更により好ましくは、医薬組成物は、配列番号30を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドと、ヘルパーペプチド、好ましくはUCP2ペプチド(配列番号859)とを含むことができる。
【0225】
特に好ましい免疫アジュバントは、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(「ポリI:C」とも呼ばれる)及び/又はその誘導体ポリ-ICLCである。ポリI:Cはミスマッチの二本鎖RNAであり、一方の鎖はイノシン酸のポリマーであり、他方の鎖はシチジル酸のポリマーである。ポリI:Cは、toll様受容体3(TLR3)と相互作用することが知られている免疫刺激剤である。ポリI:Cは、TLR3の「天然の」刺激物質である二本鎖RNAと構造的に類似している。したがって、ポリI:Cは二本鎖RNAの合成類似体とみなすことができる。ポリ-ICLCは、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸-ポリシチジル酸、及びポリ-L-リジン二本鎖RNAの合成複合体である。ポリI:Cと同様に、ポリ-ICLCもTLR3のリガンドである。ポリI:C及びポリ-ICLCは通常、細胞毒性サイトカインの放出を刺激する。ポリ-ICLCの好ましい例は、Hiltonol(登録商標)である。
【0226】
最も好ましくは、アジュバントは、Montanide ISA 51 VG及び/又はMontanide ISA 720 VGなどのMontanideである。これらのアジュバントは、水ベースの抗原性培地と混合すると、安定した油中水型エマルジョンを生成する。Montanide ISA 51 VGは、マンニドモノオレエート界面活性剤と鉱油のブレンドに基づくが、Montanide ISA 720VGは非鉱油を使用している(Aucouturier J, Dupuis L, Deville S, Ascarateil S, Ganne V. Montanide ISA 720 and 51: a new generation of water in oil emulsions as adjuvants for human vaccines. Expert Rev Vaccines. 2002 Jun;1(1):111-8; Ascarateil S, Puget A, Koziol M-E. Safety data of Montanide ISA 51 VG and Montanide ISA 720 VG, two adjuvants dedicated to human therapeutic vaccines. Journal for Immunotherapy of Cancer. 2015;3(Suppl 2):P428. doi:10.1186/2051-1426-3-S2-P428)。
【0227】
また、免疫刺激剤が抗原提示細胞(APC)であることも好ましい。APCは、また、その主な機能が抗原を処理し、細胞表面上で免疫系のT細胞に対して提示して、インビボでのT細胞応答を開始及び調節することであり、特に興味深い。本組成物において、APCは、本発明に係る抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物がロードされていることが好ましく、これは、APCを、前記抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物にインビトロで曝露することによって行うことができる(Rizzo et al., Methods Mol Biol. 2014;1139:41-4; Rolinski and Hus, J Immunotoxicol. 2014 Oct;11(4):311-8)。
【0228】
好ましくは、APCは樹状細胞(DC)である。DCは、最も強力なAPCであり、癌患者においてしばしば機能的に欠陥があると報告されている。DCは、当該技術分野の当業者によって、健常な適合性ドナー(即ち、樹状細胞がHLA関連である)又はそれらが機能的である場合(即ち、DCが自家である)には患者自身から、例えば、末梢血、又はCD14+単球又はCD34+造血前駆細胞などの末梢血細胞からの誘導によって、容易に得ることができる(Emens et al.,2008)。DCは、実際に、S100、p55、CD83、及び/又はOX62などの表面マーカーによって末梢血の他の細胞と区別することができ、したがって、当該技術分野で周知の細胞培養技術を用いて前記マーカーに基づき単離及び精製することができる。
【0229】
好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの抗癌治療剤を更に含むことができる。したがって、前記治療剤は、好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドが使用されるものと同一タイプの癌を予防及び/又は治療することができる。好ましくは、抗癌治療剤は、抗体、腫瘍細胞溶解物、化学療法剤、放射線治療剤、免疫チェックポイントモジュレーター、及びそれらの組合せから選択される。
【0230】
抗体は、癌治療において特に有利である。その理由は、癌細胞表面の特定の抗原に結合して治療を腫瘍に向けることができる(即ち、これらは腫瘍標的抗体と呼ばれる)又は癌で調節不全とされた免疫チェックポイントをブロックすることができる(即ち、これらは本明細書では免疫調節抗体と呼ばれる)からである。後者のタイプの抗体の目的は、癌の免疫抵抗性を阻害することでり、これは、腫瘍抗原に特異的なT細胞に対して特に観察することができる。実際、当該技術分野でよく知られているように、通常の生理学的条件下では、免疫チェックポイントは、自己寛容の維持(即ち、自己免疫の防止)に重要であり、免疫系が病原性感染に応答しているときに組織を損傷から保護する。しかし、癌では、免疫チェックポイントの発現が免疫抵抗性の重要なメカニズムとして調節不全になる可能性がある。前記耐性は、PD-L1チェックポイントに関して、メラノーマ、卵巣、肺、神経膠芽細胞腫、乳癌、及び膵臓癌で特に観察されている(Konishi et al., B7-H1 expression on non-small cell lung cancer cells and its relationship with tumor-infiltrating lymphocytes and their PD-1 expression. Clin Cancer Res. 2004 Aug 1;10(15):5094-100; Ghebeh et al., The B7-H1 (PD-L1) T lymphocyte-inhibitory molecule is expressed in breast cancer patients with infiltrating ductal carcinoma: correlation with important high-risk prognostic factors. Neoplasia. 2006 Mar;8(3):190-8; Hino et al., Tumor cell expression of programmed cell death-1 ligand 1 is a prognostic factor for malignant melanoma. Cancer. 2010 Apr 1;116(7):1757-66)。免疫チェックポイントの他の例としては、PD-L2、PD-1、CD80、CD86、CTLA-4、B7H3、B7H4、PVR、TIGIT、GAL9、LAG-3、GITR、CD137、TIM3、VISTA、VISTA-Rが挙げられるが、これらに限定されない(Pico de Coana et al., Checkpoint blockade for cancer therapy: revitalizing a suppressed immune system. Trends Mol Med. 2015 Aug;21(8):482-91; Pardoll DM. The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer. 2012 Mar 22;12(4):252-64)。
【0231】
抗体は通常、前記目的のために、ネイキッドのモノクローナル抗体の形態(即ち、非コンジュゲート)又は細胞に対して毒性であり得る、又は放射性であり得る別の分子にコンジュゲートされて使用される。
【0232】
癌免疫療法で使用されるよく知られたモノクローナル腫瘍標的抗体の例としては、アレムツズマブ(慢性リンパ性白血病)、ベバシズマブ(結腸直腸癌、多形性神経膠芽細胞腫、頸部癌、肺癌、腎癌)、ブレンツキシマブ/ベドチン(リンパ腫)、ブリナツマブ(急性リンパ芽球性白血病)、カツマキソマブ(EPCAM+癌における悪性腹水症)、セツキシマブ(頭頸部癌、結腸直腸癌)、デノスマブ(乳癌、前立腺癌、骨癌)、ゲムツズマブ/オゾガマイシン(急性骨髄性白血病)、イブリツマブ/チウキセタン(非ホジキンリンパ腫)、パニツムマブ(結腸直腸癌)、ペルツズマブ(乳癌)、オビヌツズマブ(慢性リンパ性白血病)、オファツムマブ(慢性リンパ性白血病)、オピリムマブ(メラノーマ)、ラムシルマブ(胃及び胃食道癌)、リツキシマブ(慢性リンパ性白血病及び非ホジキンリンパ腫)、シルツキシマブ(多中心性キャッスルマン病)、トシツモマブ(非ホジキンリンパ腫)、及びトラスツズマブ(乳房、胃癌、及び胃食道癌)が挙げられるが、これらに限定されない。一方、免疫調節抗体の例としては、CTLA4依存性免疫チェックポイントをブロックするイピリムマブ(メラノーマ)、PDCD1依存性免疫チェックポイントをブロックするニボルマブ(メラノーマ、肺癌)及びプレムブロリズブマブ(メラノーマ)、並びにいずれもPD-L1依存性免疫チェックポイントをブロックするMPDL3280A、MEDI4736、MEDI0680、及びMSB0010718C(Sharma and Allison, The future of immune checkpoint therapy. Science. 2015 Apr 3;348(6230):56-61)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0233】
癌免疫療法のための他の抗体は、Buque et al., Trial Watch: Immunomodulatory monoclonal antibodies for oncological indications. Oncoimmunology. 2015 Mar 2;4(4):e1008814. eCollection 2015 Apr; Redman et al., Mechanisms of action of therapeutic antibodies for cancer. Mol Immunol. 2015 Oct;67(2 Pt A):28-45;Simpson and Caballero, Monoclonal antibodies for the therapy of cancer MC Proc. 2014; 8(Suppl 4):O6、及び抗体ソサエティウェブサイト上(ウェブサイトリンクhttp://www.antibodysociety.org/news/approved_mabs.php上で利用可能なEU又はUSにおいて承認された又はレビュー中の治療用モノクローナル抗体のリスト)に記載されている。
【0234】
腫瘍細胞溶解物はまた、本発明に係る抗原性ペプチドと組み合わせることができる。腫瘍細胞は、内因性ペプチド-MHC複合体を提示することによって、及び、前記溶解物によって送達される抗原を処理及び提示することができる宿主の樹状細胞(DC)を介して、実際に免疫応答をプライミングすることができる。これにより、免疫応答を誘発できる抗原の範囲が広がる。腫瘍細胞溶解物は、腫瘍細胞を熱ショック及び/又は化学処理で処理することによって容易に得ることができ、自家(即ち、患者から単離される)又は同種異系(即ち、別の被験体から単離される)であることができる。
【0235】
標準的な化学療法薬及び放射線治療剤は、特にBaskarら(Baskar et al., Cancer and radiation therapy: current advances and future directions. Int J Med Sci. 2012;9(3):193-9)、Paciら(Paci et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part 1--cytotoxics. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2010-9)、及びWidmerら(Widmer et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part two--targeted therapies. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2020-36)によって詳細に文献記載されている。このような医薬と薬剤のリストは、cancer.govウェブサイト(http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/drugs)でも入手できる。
【0236】
好ましくは、本明細書で定義される抗原性ペプチドと組み合わせるための免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CD40、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM-3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、GITR、TNFR、及び/又はFasR/DcR3;から選択される1以上の免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤又は阻害剤;又はそれらの1以上のリガンドの活性化剤又は阻害剤である。
【0237】
より好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、(共)刺激性チェックポイント分子の活性化剤若しくは阻害チェックポイント分子の阻害剤、又はそれらの組合せである。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、(i)CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOSの活性化剤、又は(ii)A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CD40、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、PDL-1、PD-L2、TIM-3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はFasR/DcR3の阻害剤である。
【0238】
更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、阻害性チェックポイント分子の阻害剤である(しかし、刺激性チェックポイント分子の阻害剤がないことが好ましい)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、更により好ましくは、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、PDL-1、PD-L2、TIM-3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はDcR3の阻害剤又はそれらのリガンドの阻害剤である。
【0239】
また、免疫チェックポイントモジュレーターは、刺激性又は共刺激性チェックポイント分子の活性化剤であることが好ましい(しかし、阻害性チェックポイント分子の活性化剤がないことが好ましい)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOSの活性化剤又はそれらのリガンドの活性化剤である。
【0240】
免疫チェックポイントモジュレーターは、CD40経路、IDO経路、LAG3経路、CTLA-4経路、及び/又はPD-1経路のモジュレーターであることが更に好ましい。特に、免疫チェックポイントモジュレーターは、好ましくは、CD40、LAG3、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD-1、及び/又はIDOのモジュレーターであり、より好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD-1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤又はCD40の活性化剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4、PD-L1、PD-1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、LAG3、CTLA-4、及び/又はPD-1の阻害剤であり、最も好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4及び/又はPD-1の阻害剤である。
【0241】
したがって、抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA-4経路又はPD-1経路の公知のモジュレーターから選択することができる。好ましくは、本明細書で定義される抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA-4経路又はPD-1経路の公知のモジュレーターから選択することができる。特に好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1阻害剤である。CTLA-4経路及びPD-1経路の好ましい阻害剤としては、モノクローナル抗体Yervoy(登録商標)(Ipilimumab;Bristol Myers Squibb)及びTremelimumab(Pfizer/MedImmune)並びにOpdivo(登録商標)(Nivolumab;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(Pembrolizumab(Lambrolizumab又はMK-3475としても知られる);Merck)、Imfinzi(登録商標)(Durvalumab(MEDI4736としても知られる);MedImmune/AstraZeneca)、Tecentriq(登録商標)(Atezolizumab(MPDL3280Aとしても知られる);Roche/Genentech)、Pidilizumab(CT-011;CureTech)、MEDI0680(AMP-514;AstraZeneca)、Bavencio(登録商標)(Avelumab;Merck KGaA/Pfizer(MSB-0010718Cとしても知られる))、MIH1(Affymetrix)、LY3300054(Eli Lilly)、及びSpartalizumab(PDR001としても知られる;Novartis)が挙げられる。より好ましいチェックポイント阻害剤としては、CTLA-4阻害剤Yervoy(登録商標)(Ipilimumab;Bristol Myers Squibb)及びTremelimumab(Pfizer/MedImmune)並びにPD-1阻害剤Opdivo(登録商標)(Nivolumab;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(Pembrolizumab;Merck)、Pidilizumab(CT-011;CureTech)、MEDI0680(AMP-514;AstraZeneca)、AMP-224(PD-L2Fc融合タンパク質;MedImmune)が挙げられる。
【0242】
本明細書で定義される抗原性ペプチドとの組合せのための免疫チェックポイントモジュレーターは、また、Pembrolizumab、Ipilimumab、Nivolumab、Atezolizumab、Durvalumab、Tremelimumab、Avelumab、Spartalizumab、LAG525(抗-LAG-3モノクローナル抗体)、Epacadostat(INCB24360としても知られる;IDO阻害剤)、Varlilumab(抗-CD27モノクローナル抗体)、Urelumab(抗-CD137モノクローナル抗体)、AMP-224及びCM-24(抗-CEACAM1モノクローナル抗体)からなる群から選択される。
【0243】
本発明の目的のために適切な免疫抗癌治療剤を選択することは、当業者の技能の範囲内である。例えば、メラノーマの予防又は治療を望む場合、メラノーマ細胞からの溶解物及び/又は抗体イピリムマブを、好ましくは、適切な抗原性ペプチドと共に使用することができる。適切な抗原性ペプチドは、(i)当該技術分野で知られた及び/又は本明細書中の表1Bに記載されている特定のタイプの癌に対して適切な腫瘍抗原を選択する、及び(ii)本発明に係る適切な抗原性ペプチドを、前記した、例えば表1A中の選択した腫瘍抗原に対して選択することによって選択することができる。
【0244】
抗癌治療剤はまた、本発明の組成物と組み合わせて、同時に、別々に、又は連続して投与することができる。組成物及び治療剤が、別々に又は連続的な方法で投与される場合、それらは異なる剤形で投与することができる。
【0245】
したがって、別の態様では、本発明は、同時、別々、又は連続投与のための組み合わせ調製物としての、前記した本発明の組成物及び少なくとも1つの抗癌治療剤に関する。換言すれば、本発明は、同時、別々、又は連続投与のための、前記した本発明の組成物と少なくとも1つの抗癌治療剤との併用を提案する。
【0246】
キットオブパーツ
更なる態様では、本発明はまた、以下のうちの少なくとも1つを含むキットオブパーツ(本明細書では「キット」とも呼ばれる)を提供する。
-本明細書に記載の本発明に係る抗原性ペプチド、
-本明細書に記載の本発明に係る免疫原性化合物、
-本明細書に記載の本発明に係るナノ粒子、
-本明細書に記載の本発明に係る細胞、
-本明細書に記載の本発明に係る核酸、
-本明細書に記載の本発明に係る宿主細胞、及び/又は
-本明細書に記載の本発明に係る医薬組成物。
【0247】
特に、前記した抗原性ペプチドの好ましい実施形態は、本発明に係るキットにも適用される。例えば、キットに含まれる抗原性ペプチド、又はキットに含まれる免疫原性化合物、ナノ粒子、細胞、核酸、宿主細胞、又は医薬組成物のいずれかに含まれる抗原性ペプチドは、好ましくは、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~160、162~253、及び255~580を含む又はからなることがより好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが最も好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが特に好ましい。
【0248】
また、それらの組合せ、即ち、本発明に係る異なる抗原性ペプチドを含むキットが好ましい。特に、本発明に係るキットオブパーツは、前記成分のうちの1超、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の異なる成分を含むことができる。例えば、本発明に係るキットオブパーツは、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の異なる免疫原性化合物、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の異なる抗原性ペプチド、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の異なるナノ粒子、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の異なる細胞、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の異なる核酸、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の異なる宿主細胞、及び/又は少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の異なる医薬組成物を含むことができる。好ましくは、前記したキットオブパーツに含まれるそのような異なる各成分は、本発明に係る抗原性ペプチドが異なっており、例えば、1つの成分は、第1の抗原性ペプチドに関し、1つの成分は、(第1の抗原性ペプチドとは異なる)第2の抗原性ペプチドに関する。例えば、キットは、本発明に係る少なくとも2つの異なる免疫原性化合物を含むことができる。例えば、キットは、本発明に係る少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドを含むことができる。例えば、キットは、本発明に係る少なくとも2つの異なるナノ粒子を含むことができる。例えば、キットは、本発明に係る少なくとも2つの異なる核酸を含むことができる。
【0249】
キットに含まれる本発明に係る抗原性ペプチドの好ましい組合せは、前記した医薬組成物に含まれる本発明に係る抗原性ペプチドの好ましい組合せに対応する。
【0250】
したがって、本発明は、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)抗原性ペプチドを含むキットを提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)免疫原性化合物を含むキットを提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)ナノ粒子を含むキットを提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)細胞を含むキットを提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)核酸を含むキットを提供する。更に、本発明はまた、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)宿主細胞を含むキットを提供する。
【0251】
キットオブパーツの各種成分は、1以上の容器にパッケージングしてもよい。前記成分は、凍結乾燥又は乾燥形態で提供してもよいし、又は適切な緩衝液に溶解してもよい。キットはまた、防腐剤、増殖培地、及び/又は前記成分の保存及び/又は再構成のための緩衝液、洗浄液などを含む更なる試薬を含んでもよい。
【0252】
したがって、本発明は、本明細書に記載の本発明に係る少なくとも2つ、好ましくは3つの異なる抗原性ペプチド(又は抗原性ペプチドが異なる前記した免疫原性化合物、ナノ粒子、核酸、細胞など)と、任意に、UCP2ペプチドなどのヘルパーペプチド及び/又はMONTANIDE ISA 51などのアジュバントとを含むキットを提供する。異なる抗原性ペプチド(又は抗原性ペプチドが異なる前記した免疫原性化合物、ナノ粒子、核酸、細胞など)は、同一又は異なる容器に含有させることができる。例えば、キットは、本明細書に記載の第1の抗原性ペプチド及び本明細書に記載の第2の抗原性ペプチドを含む(単一の)容器を含むことができる。前記(単一の)容器は、更にまた、UCP2などのヘルパーペプチドを含むことができる。任意に、(単一の)容器に含まれる第1及び第2の抗原性ペプチド(及び、任意にヘルパーペプチド)を併せて、注射用水及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO)中に配合することができる。更に、キットは、MONTANIDE ISA 51などのアジュバントを含む更なる容器(抗原性ペプチドを含む容器とは異なる容器)を含むことができる。
【0253】
したがって、キットは、
(i)任意に、注射用水及びジメチルスルホキシド(DMSO)中に配合された、本発明の1以上の抗原性ペプチド(例えば、各抗原性ペプチドを少なくとも200又は300μg)と、任意に、UCP2などのヘルパーペプチド(例えば、ヘルパーペプチドを少なくとも200又は300μg)とを含む第1のバイアル;及び
(ii)MONTANIDE ISA 51(例えば、少なくとも0.4又は0.5ml)を含む第2のバイアルを含むことが好ましい。
【0254】
更に、キットは、1以上(例えば、2つ又は3つ)のシリンジ、例えば、シリコンフリーシリンジ及びラバーフリーシリンジを含むことができる。キットは、また、I-コネクタなどのコネクタを含むことができる。
【0255】
そのようなコネクタの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
Green Peptide(日本)によって開発されたI-コネクタ、
Didanorm(フランス)のリファレンスDIDRACDLLFTのコネクタ、
Promepla(モナコ)のI-コネクタ(ref:ODG0015ST)、及び
Smiths Medical(米国)のI-コネクタ(ref:MX494)。
【0256】
シリンジは、好ましくは、MONTANIDEに適していることが好ましい。即ち、シリコンフリー及びラバーフリー(即ち、プランジャー上にラバーチップがない)であり、好ましくは、また、ラテックスフリーである。そのようなシリンジの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
2ml INKJET(Ref:4606701V、B-Braun、ドイツ)、
5ml INKJET(Ref:4606710V、B-Braun、ドイツ)、
2ml Norm-Ject(Ref:4020.000V0、Henke Sass Wolf GMBH、ドイツ)、及び
5ml Norm-Ject(Ref:4050.000V0、Henke Sass Wolf GMBH、ドイツ)。
【0257】
例えば、キットは、(i)任意に、注射用水及びジメチルスルホキシド(DMSO)中に配合された、本発明の抗原性ペプチドを少なくとも300μg(又は2つ又は3つの抗原性ペプチド、それぞれ少なくとも300μg)、及び任意に、UCP2を少なくとも300μgを含む第1のバイアル、(ii)MONTANIDE ISA 51を少なくとも0,5ml含む第2のバイアル、(iii)シリコンフリー及びラバーフリーの2つのシリンジ、及び(iv)I-コネクタを含むことができる。
【0258】
任意に、キットはまた、注射用水のバイアル及び/又はバイアルアダプタを含むことができる。例えば、エマルジョンを得た後に患者にワクチン接種するための滅菌針を含むこともできる。キット内のシリンジは、例えば、2mlのシリンジであることができる。
【0259】
1つの特定の実施形態では、キットは、本発明に係る3つの異なる抗原性ペプチド、UCP2ペプチド、及びMONTANIDE ISA 51を含み、前記キットは、(i)注射用水及びDMSO中に配合された、本発明の3つの抗原性ペプチドのそれぞれを少なくとも300μgとUCP2(配列番号859)を少なくとも300μgとを含む第1のバイアル、(ii)MONTANIDE ISA 51を少なくとも0,5ml含む第2のバイアル、(iii)2つのシリコンフリー及びラバーフリーのシリンジ、及び(iv)I-コネクタを含む。キットに含まれる本発明の3つの抗原性ペプチドは、好ましくは、配列番号32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド、配列番号220で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド、及び配列番号255で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドである。
【0260】
更に、本発明に係るキットオブパーツは、任意に、使用説明書を含むことができる。したがって、キットは、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る医薬組成物を使用することによって癌を予防又は治療するための指示を含むパッケージインサート又は指示リーフレットを含むことが好ましい。
【0261】
前記成分のいずれかに加えて、キットは、本明細書に記載の抗癌治療剤を含むことも好ましい。
【0262】
更に、本発明はまた、癌を治療、予防、及び/又は安定化するためのワクチン接種キットを提供し、これは、本明細書に記載の医薬組成物又は本明細書に記載のワクチン、並びに癌の予防及び/又は治療における前記医薬組成物又は前記ワクチンの使用説明書を含む。
【0263】
医学的治療及び使用
前記したように、本発明の組成物は、治療目的、特に特定の腫瘍抗原/タンパク質に対する特異的免疫応答を誘発するために、例えば、それを必要とする患者の癌を予防又は治療するために特に有用であり得る。
【0264】
それに鑑みると、本発明は、癌の予防及び/又は治療における使用のための、以下を提供する。
-本明細書に記載の本発明に係る抗原性ペプチド、
-本明細書に記載の本発明に係る免疫原性化合物、
-本明細書に記載の本発明に係るナノ粒子、
-本明細書に記載の本発明に係る細胞、
-本明細書に記載の本発明に係る核酸、
-本明細書に記載の本発明に係る宿主細胞、
-本明細書に記載の本発明に係る医薬組成物、又は
-本明細書に記載の本発明に係るキット。
【0265】
特に、前記した抗原性ペプチドの好ましい実施形態は、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る使用にも適用される。例えば、癌の予防及び/又は治療において使用される抗原性ペプチド、又は癌の予防及び/又は治療において使用される免疫原性化合物、ナノ粒子、細胞、核酸、宿主細胞、又は医薬組成物のいずれかに含まれる抗原性ペプチドは、好ましくは、配列番号1~580のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどの配列番号1~580及び861~887のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号1~160、162~253、及び255~580を含む又はからなることがより好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、145、193、194、220、221、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、193、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、31、32、87、97、194、220、255、521、及び524のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが更により好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、87、97、及び194のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが最も好ましい。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、配列番号30、32、194、220、254、又は255のいずれかで示されるアミノ酸配列を含む又はからなることが特に好ましい。
【0266】
また、それらの組合せ、即ち、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る異なる抗原性ペプチドが好ましい。特に、前記した成分のうちの1超を、癌の予防及び/又は治療に使用することができる。例えば、少なくとも2つの異なる抗原性ペプチド、少なくとも2つの異なる免疫原性化合物、少なくとも2つの異なるナノ粒子、少なくとも2つの異なる細胞、少なくとも2つの異なる核酸、少なくとも2つの異なる宿主細胞、及び/又は少なくとも2つの異なる医薬組成物を、癌の予防及び/又は治療に使用することができる。好ましくは、前記した癌の予防及び/又は治療に使用される異なる成分は、本発明に係る抗原性ペプチドが異なり、例えば、1つの成分は、第1の抗原性ペプチドに関し、1つの成分は、(第1の抗原性ペプチドとは異なる)第2の抗原性ペプチドに関する。例えば、本発明に係る少なくとも2つの異なる免疫原性化合物を、癌の予防及び/又は治療において使用することができる。例えば、本発明に係る少なくとも2つの異なるの抗原性ペプチドを、癌の予防及び/又は治療において使用することができる。例えば、本発明に係る少なくとも2つの異なるナノ粒子を、癌の予防及び/又は治療において使用することができる。例えば、本発明に係る少なくとも2つの異なる核酸を、癌の予防及び/又は治療において使用することができる。
【0267】
したがって、本発明は、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)抗原性ペプチドを提供する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)免疫原性化合物を提供する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)ナノ粒子を提供する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)細胞を提供する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)核酸を提供する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)宿主細胞を提供する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)医薬組成物を提供する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも1つの)キットを提供する。
【0268】
したがって、本発明はまた、それを必要とする被験体において、癌を予防及び/又は治療する又は抗腫瘍応答を開始、増強、又は延長するための方法を提供し、前記方法は、前記被験体に以下を投与することを含む。
即ち、本明細書に記載の
-本発明に係る抗原性ペプチド、
-本発明に係る免疫原性化合物、
-本発明に係るナノ粒子、
-本発明に係る細胞、
-本発明に係る核酸、
-本発明に係る宿主細胞、
-本発明に係る医薬組成物、
-本発明に係るキット、又は
-本発明に係る組合せ。
【0269】
好ましくは、予防及び/又は治療される癌が、神経膠腫、腎臓癌、皮膚癌、特に、メラノーマ、肺癌、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、及び前立腺癌から選択される。
【0270】
更に、本発明は、被験体における、CD8細胞傷害性T細胞に依存する1以上のエピトープに対する免疫応答を誘発又は改善するための方法を提供し、前記方法は、前記被験体に以下のいずれかを投与することを含む。
即ち、本明細書に記載の
-本発明に係る抗原性ペプチド、
-本発明に係る免疫原性化合物、
-本発明に係るナノ粒子、
-本発明に係る細胞、
-本発明に係る核酸、
-本発明に係る宿主細胞、
-本発明に係る医薬組成物、
-本発明に係るキット、又は
-本発明に係る組合せ。
【0271】
CD8応答に依存する免疫応答は、炎症性応答、IFN-γ、TNF-α、及びIL-2mRNA又はタンパク質の1以上の発現の上昇などのプロ炎症性サイトカイン応答を、本発明の化合物の投与前のレベルに対して評価することによって決定することができる。それはまた、HLAペプチド多量体染色、ELISPOTアッセイ、及び遅延型過敏性試験によって測定される、本発明の化合物の投与後の抗原特異的T細胞の頻度又は絶対数の増加によっても測定できる。また、抗原特異的Tヘルパー細胞に依存する抗原特異的血清抗体の増加によって間接的に測定することもできる。
【0272】
本発明はまた、被験体における、複数のMHCクラスI分子によって制限される1以上の抗原又は抗原性エピトープに対する免疫応答を誘発又は改善するための方法を提供し、前記方法は、前記対象に以下のいずれかを投与することを含む。
即ち、本明細書に記載の
-本発明に係る抗原性ペプチド、
-本発明に係る免疫原性化合物、
-本発明に係るナノ粒子、
-本発明に係る細胞、
-本発明に係る核酸、
-本発明に係る宿主細胞、
-本発明に係る医薬組成物、
-本発明に係るキット、又は
-本発明に係る組合せ。
【0273】
複数のMHCクラスI分子によって制限される、本明細書に記載の複数のエピトープに対する免疫応答を、被験体において誘発又は改善するための方法は、抗原提示細胞上の別々のMHCクラスI分子に結合する個々のペプチドによるT細胞のインビトロ刺激後の、本発明の化合物の投与前のレベルに対する、IFN-γ、TNF-α、及びIL-2mRNAの1以上又はタンパク質の発現の増加を含むサイトカイン応答を評価することによって決定することができる。MHCクラスI分子への制限は、MHCクラスI分子を発現する抗原提示細胞を使用する、又はMHCクラスIブロッキング抗体を使用することによっても検証することができる。それはまた、MHCクラスI分子で組み立てられた多量体を使用するHLAペプチド多量体染色によって測定される、本発明の化合物の投与後の抗原特異的T細胞の頻度又は絶対数の増加によって測定することもできる。
【0274】
したがって、別の態様において、本発明はまた、以下を提供する。
医薬としての使用のための、本明細書に記載の
-本発明に係る抗原性ペプチド、
-本発明に係る免疫原性化合物、
-本発明に係るナノ粒子、
-本発明に係る細胞、
-本発明に係る核酸、
-本発明に係る宿主細胞、
-本発明に係る医薬組成物、
-本発明に係るキット、又は
-本発明に係る組合せ。
【0275】
本発明は、より詳細には、免疫療法のためのワクチンとして使用のための、上で定義した組成物に関する。更に、本明細書に記載の
-本発明に係る抗原性ペプチド、
-本発明に係る免疫原性化合物、
-本発明に係るナノ粒子、
-本発明に係る細胞、
-本発明に係る核酸、
-本発明に係る宿主細胞、
-本発明に係る医薬組成物、
-本発明に係るキット、又は
-本発明に係る組合せは、ワクチン、特に(癌)免疫療法のためのワクチンとして使用することができる。
【0276】
本発明の文脈で使用されるとき、「ワクチン」という用語は、典型的には特定の疾患、好ましくは癌に対して自然免疫及び/又は適応免疫を提供する(生物学的)調製物を意味する。したがって、ワクチンは、特に、治療される被験体の免疫系の自然免疫応答及び/又は適応免疫応答を支援する。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、典型的には、治療される患者において適応免疫応答をもたらす又は支持する。
【0277】
本発明の文脈において、ワクチン(組成物)は、腫瘍抗原に対して特異的な免疫応答を誘発することができ、したがって、好ましくは、癌を予防又は治療するために使用される。癌を予防又は治療するためのワクチンは、「癌ワクチン」と呼ばれることもある。
【0278】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、それを必要とする被験体における癌の予防及び/又は治療に使用するための、上で定義した組成物に関する。より好ましくは、本発明は、それを必要とする被験体における癌を予防又は治療するための薬剤を製造するための本発明の組成物の使用に関する。換言すれば、本発明は、それを必要とする被験体における癌を予防又は治療するための方法であって、本発明の組成物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法に関する。
【0279】
好ましくは、本明細書に記載の
-本発明に係る抗原性ペプチド、
-本発明に係る免疫原性化合物、
-本発明に係るナノ粒子、
-本発明に係る細胞、
-本発明に係る核酸、
-本発明に係る宿主細胞、
-本発明に係る医薬組成物、
-本発明に係るキット、又は
-本発明に係る組合せによって予防及び/又は治療される癌は、本明細書に記載の抗原性ペプチドの(参照)腫瘍抗原に関する。即ち、適切な抗原性ペプチドは、(i)当該技術分野で知られた及び/又は本明細書中の表1B(以下)に記載されている特定のタイプの癌に対して適切な腫瘍抗原を選択する、及び(ii)本発明に係る適切な抗原性ペプチドを、前記した、例えば表1A中の選択した腫瘍抗原に対して選択することによって選択することができる。当業者であれば、本発明の抗原性ペプチドが、予防又は治療される癌の性質に基づいて、及び/又は前記癌に関与するヒト遺伝子/ヒト腫瘍抗原に基づいて選択することができることを容易に理解しよう。
【0280】
したがって、癌の好ましい例を以下の表1Bに示す。特に、本発明に係る抗原性ペプチドは、表1Bに示される腫瘍抗原の断片の配列変異体であり、特に、表1Bのそれぞれの腫瘍抗原について概説される疾患において使用することができる。
【0281】
表1B:腫瘍抗原及び関連する治療適応症のリスト
【表1B】
【0282】
一般に、本発明の抗原性ペプチドは、「ネイキッド」で、又は本発明に係る免疫原性化合物、それがロードされた本発明に係る細胞、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、及び/又は本発明に係る医薬組成物の形態で投与することができる。
【0283】
好ましい実施形態では、それらは、腸内細菌種などの微生物の形態で投与することができる。腸内細菌種全体は、また、それらが含む(ポリ)ペプチド又は核酸よりも高い免疫応答を引き起こす可能性を有するため、有利であり得る。或いは、本発明に係る腸内細菌は、プロバイオティクス、即ち、生きた腸内細菌の形態であることができ、したがって、それが提供できる健康上の利益のため、食品添加物として使用することができる。それらは、例えば、顆粒、丸剤、又はカプセル剤として凍結乾燥する又は消費用乳製品と直接混合することができる。
【0284】
投与方法は当業者によく知られている。本発明の組成物に関して、それは、被験体に直接投与することができ、罹患器官(即ち、局所投与)又は全身(即ち、経腸又は非経口投与)に投与することができ、又は被験体又はヒト細胞株に由来する、後に被験体に投与される細胞にエクスビボで適用することもでき、又は、インビトロで使用して被験体に由来する免疫細胞の亜集団を選択し、前記被験体に後に再投与することもできる。経腸投与としては、経口及び直腸投与、並びに胃栄養チューブ、十二指腸栄養チューブ、又は胃瘻造設術による投与が挙げられ、非経口投与としては、特に、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、骨内、脳内、及び髄腔内注射が挙げられる。投与方法は、多くの場合、組成物中に存在する抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物、並びに治療される癌のタイプ及び前記組成物に含まれ得る他の活性剤に依存する。例えば、免疫原性化合物が上で定義した核酸である場合、投与は好ましくは筋肉内又は皮内注射であり、前記核酸がウイルスベクターにクローンニングされる場合、経口/経鼻投与が特に好ましい。或いは、抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物が上で定義した(ポリ)ペプチドである場合又は本明細書に記載のナノ粒子にロードされている場合、投与は、好ましくは筋肉内、皮内、又は経口投与である。しかしながら、更に代替的に、抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物が上で定義した腸内細菌の形態で送達される場合、特に腸内細菌がプロバイオティクスの形態である場合、投与は、好ましくは経口投与である。
【0285】
本発明に係る抗原性ペプチド、免疫原性化合物、及び核酸は、それを必要とする被験体へのそれらの投与を容易にするために、更にカプセル化することができる。例えば、それらを、ペプチドナノキャリア(免疫原性化合物が核酸又は(ポリ)ペプチドである場合に好ましい)、ビロソーム(免疫原性化合物が核酸又は(ポリ)ペプチドである場合に好ましい)、又はリポソーム-ポリカチオン-DNA複合体などの脂質ベースの担体システム(免疫原が核酸又は(ポリ)ペプチドである場合に好ましい)にカプセル化することができる(Trovato M, De Berardinis P. Novel antigen delivery systems. World J Virol. 2015 Aug 12;4(3):156-68; Saade F, Petrovsky N. Technologies for enhanced efficacy of DNA vaccines. Expert Rev Vaccines. 2012 Feb;11(2):189-209; Li et al., Peptide Vaccine: Progress and Challenges. Vaccines (Basel). 2014 Jul 2;2(3):515-36)。
【0286】
組成物はまた、所望の効果を達成するために1回超投与することができる。好ましい実施形態では、前記組成物は、繰り返し、少なくとも2回、好ましくは2回超投与される。これは、被験体が適切に免疫化されることを確実にするために、初回投与後、毎週、隔週、毎月、毎年、又は数年間などの長期間に亘って行うことができる。
【0287】
組合せ療法
本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、及び本発明に係る医薬組成物の、特に本発明に係る方法及び使用における投与は、単独で、又は抗癌治療剤などの癌の治療及び/又は予防に有用な助剤と組み合わせて行うことができる。
【0288】
したがって、前記治療剤は、好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドが使用されるものと同一タイプの癌を予防及び/又は治療することができる。本発明に係る特に好ましい抗癌治療剤としては、抗体、腫瘍細胞溶解物、化学療法剤、放射線治療剤、免疫チェックポイントモジュレーター、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0289】
抗体は、癌細胞表面の特異的抗原に結合して治療を腫瘍に向けることができるため(即ち、これらは腫瘍標的抗体と呼ばれる)、又は癌で調節不全である免疫チェックポイントをブロックすることができる(即ち、これらは、本明細書では免疫調節抗体と呼ばれる)ので、癌治療に特に有利である。後者のタイプの抗体の目的は、癌の免疫抵抗性を阻害することであり、腫瘍抗原に特異的なT細胞に対して特に観察できる。実際に、当該技術分野でよく知られているように、通常の生理学的条件下では、免疫チェックポイントは、自己寛容の維持(即ち、自己免疫の防止)に重要であり、免疫系が病原性感染に応答しているときに組織を損傷から保護する。しかし、癌では、免疫チェックポイントの発現が免疫抵抗性の重要なメカニズムとして調節不全になることがある。前記耐性は、PD-L1チェックポイントに関して、メラノーマ、卵巣癌、肺癌、神経膠芽腫、乳癌、及び膵臓癌で特に観察されている(Konishi et al., B7-H1 expression on non-small cell lung cancer cells and its relationship with tumor-infiltrating lymphocytes and their PD-1 expression. Clin Cancer Res. 2004 Aug 1;10(15):5094-100; Ghebeh et al., The B7-H1 (PD-L1) T lymphocyte-inhibitory molecule is expressed in breast cancer patients with infiltrating ductal carcinoma: correlation with important high-risk prognostic factors. Neoplasia. 2006 Mar;8(3):190-8; Hino et al., Tumor cell expression of programmed cell death-1 ligand 1 is a prognostic factor for malignant melanoma. Cancer. 2010 Apr 1;116(7):1757-66)。免疫チェックポイントの他の例としては、PD-L2、PD-1、CD80、CD86、CTLA4、B7H3、B7H4、PVR、TIGIT、GAL9、LAG-3、GITR、CD137、TIM3、VISTA、VISTA-Rが挙げられる(Pico de Coana et al., Checkpoint blockade for cancer therapy: revitalizing a suppressed immune system. Trends Mol Med. 2015 Aug;21(8):482-91; Pardoll DM1. The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer. 2012 Mar 22;12(4):252-64)。
【0290】
抗体は通常、前記目的のために、ネイキッドのモノクローナル抗体(即ち、非コンジュゲート)又は細胞に対して毒性であり得る又は放射性であり得る別の分子とコンジュゲートされた形態で使用される。
【0291】
癌免疫療で使用されるよく知られたモノクローナル腫瘍標的化抗体の例としては、アレムツズマブ(慢性リンパ性白血病)、ベバシズマブ(結腸直腸癌、多形性神経膠芽細胞腫、頸部癌、肺癌、腎癌)、ブレンツキシマブ/ベドチン(リンパ腫)、ブリナツマブ(急性リンパ芽球性白血病)、カツマキソマブ(EPCAM+癌の悪性腹水症)、セツキシマブ(頭頸部癌、結腸直腸癌)、デノスマブ(乳癌、前立腺癌、骨癌)、ゲムツズマブ/オゾガマイシン(急性骨髄性白血病)、イブリツマブ/チウキセタン(非ホジキンリンパ腫)、パニツムマブ(結腸直腸癌)、ペルツズマブ(乳癌)、オビヌツズマブ(慢性リンパ性白血病)、オファツムマブ(慢性リンパ性白血病)、オピリムマブ(メラノーマ)、ラムシルマブ(胃及び胃食道癌)、リツキシマブ(慢性リンパ性白血病及び非ホジキンリンパ腫)、シルツキシマブ(多中心性キャッスルマン病)、トシツモマブ(非ホジキンリンパ腫)、及びトラスツズマブ(乳房、胃癌、及び胃食道癌)が挙げられるが、これらに限定されない。一方、免疫調節抗体の例としては、CTLA4依存性免疫チェックポイントをブロックするイピリムマブ(メラノーマ)、PDCD1依存性免疫チェックポイントをブロックするニボルマブ(メラノーマ、肺癌)及びプレムブロリズブマブ(メラノーマ)、並びにいずれもPD-L1依存性免疫チェックポイントをブロックするMPDL3280A、MEDI4736、MEDI0680、及びMSB0010718C(Sharma and Allison, The future of immune checkpoint therapy. Science. 2015 Apr 3;348(6230):56-61)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0292】
癌免疫療法のための他の抗体は、Buqueら(Buque et al., Trial Watch: Immunomodulatory monoclonal antibodies for oncological indications. Oncoimmunology. 2015 Mar 2;4(4):e1008814. eCollection 2015 Apr)、Redmanら(Redman et al., Mechanisms of action of therapeutic antibodies for cancer. Mol Immunol. 2015 Oct;67(2 Pt A):28-45)、及びSimpson and Caballero, Monoclonal antibodies for the therapy of cancer MC Proc. 2014; 8(Suppl 4): O6、並びに抗体ソサエティウェブサイト上(ウェブサイトリンクhttp://www.antibodysociety.org/news/approved_mabs.php上で利用可能なEU又はUSにおいて承認された又はレビュー中の治療用モノクローナル抗体のリスト)に記載されている。
【0293】
腫瘍細胞溶解物はまた、本発明に係る抗原性ペプチドと組み合わせることができる。腫瘍細胞は、内因性ペプチド-MHC複合体を提示することによって、及び、前記溶解物によって送達される抗原を処理及び提示することができる宿主の樹状細胞(DC)を介して、実際に免疫応答をプライミングすることができる。これにより、免疫応答を誘発できる抗原の範囲が広がる。腫瘍細胞溶解物は、腫瘍細胞を熱ショック及び/又は化学処理で処理することによって容易に得ることができ、自家(即ち、患者から単離される)又は同種異系(即ち、別の被験体から単離される)であることができる。
【0294】
標準的な化学療法薬及び放射線治療剤は、特にBaskarら(Baskar et al., Cancer and radiation therapy: current advances and future directions. Int J Med Sci. 2012;9(3):193-9)、Paciら(Paci et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part 1--cytotoxics. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2010-9)、及びWidmerら(Widmer et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part two--targeted therapies. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2020-36)によって詳細に文献記載されている。このような医薬と薬剤のリストは、cancer.govウェブサイト(http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/drugs)でも入手できる。
【0295】
好ましくは、本明細書で定義される抗原性ペプチドと組み合わせるための免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CD40、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM-3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、GITR、TNFR、及び/又はFasR/DcR3;から選択される1以上の免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤又は阻害剤;又はそれらの1以上のリガンドの活性化剤又は阻害剤である。
【0296】
より好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、(共)刺激性チェックポイント分子の活性化剤若しくは阻害チェックポイント分子の阻害剤、又はそれらの組合せである。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、(i)CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOSの活性化剤、又は(ii)A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CD40、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、PDL-1、PD-L2、TIM-3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はFasR/DcR3の阻害剤である。
【0297】
更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、阻害性チェックポイント分子の阻害剤である(しかし、刺激性チェックポイント分子の阻害剤がないことが好ましい)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、更により好ましくは、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、PDL-1、PD-L2、TIM-3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はDcR3の阻害剤又はそれらのリガンドの阻害剤である。
【0298】
また、免疫チェックポイントモジュレーターは、刺激性又は共刺激性チェックポイント分子の活性化剤であることが好ましい(しかし、阻害性チェックポイント分子の活性化剤がないことが好ましい)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOSの活性化剤又はそれらのリガンドの活性化剤である。
【0299】
免疫チェックポイントモジュレーターは、CD40経路、IDO経路、LAG3経路、CTLA-4経路、及び/又はPD-1経路のモジュレーターであることが更により好ましい。特に、免疫チェックポイントモジュレーターは、好ましくは、CD40、LAG3、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD-1、及び/又はIDOのモジュレーターであり、より好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD-1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤又はCD40の活性化剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4、PD-L1、PD-1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、LAG3、CTLA-4、及び/又はPD-1の阻害剤であり、最も好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4及び/又はPD-1の阻害剤である。
【0300】
したがって、抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA-4経路又はPD-1経路の公知のモジュレーターから選択することができる。好ましくは、本明細書で定義される抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA-4経路又はPD-1経路の公知のモジュレーターから選択することができる。特に好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1阻害剤である。CTLA-4経路及びPD-1経路の好ましい阻害剤としては、モノクローナル抗体Yervoy(登録商標)(Ipilimumab;Bristol Myers Squibb)及びTremelimumab(Pfizer/MedImmune)並びにOpdivo(登録商標)(Nivolumab;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(Pembrolizumab(Lambrolizumab又はMK-3475としても知られる);Merck)、Imfinzi(登録商標)(Durvalumab(MEDI4736としても知られる);MedImmune/AstraZeneca)、Tecentriq(登録商標)(Atezolizumab(MPDL3280Aとしても知られる);Roche/Genentech)、Pidilizumab(CT-011;CureTech)、MEDI0680(AMP-514;AstraZeneca)、Bavencio(登録商標)(Avelumab;Merck KGaA/Pfizer(MSB-0010718Cとしても知られる))、MIH1(Affymetrix)、LY3300054(Eli Lilly)、及びSpartalizumab(PDR001としても知られる;Novartis)が挙げられる。より好ましいチェックポイント阻害剤としては、CTLA-4阻害剤Yervoy(登録商標)(Ipilimumab;Bristol Myers Squibb)及びTremelimumab(Pfizer/MedImmune)並びにPD-1阻害剤Opdivo(登録商標)(Nivolumab;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(Pembrolizumab;Merck)、Pidilizumab(CT-011;CureTech)、MEDI0680(AMP-514;AstraZeneca)、AMP-224(PD-L2Fc融合タンパク質;MedImmune)が挙げられる。
【0301】
本明細書で定義される抗原性ペプチドとの組合せのための免疫チェックポイントモジュレーターは、また、Pembrolizumab、Ipilimumab、Nivolumab、Atezolizumab、MEDI4736、Durvalumab、Tremelimumab、Avelumab、Spartalizumab、LAG525(抗-LAG-3モノクローナル抗体)、Epacadostat(正式にはINCB24360;IDO阻害剤)、Varlilumab(抗-CD27モノクローナル抗体)、Urelumab(抗-CD137モノクローナル抗体)、AMP-224及びCM-24(抗-CEACAM1モノクローナル抗体)からなる群から選択される。
【0302】
本発明の目的のために適切な免疫抗癌治療剤を選択することは、当業者の技能の範囲内である。例えば、メラノーマの予防又は治療を望む場合、メラノーマ細胞からの溶解物及び/又は抗体イピリムマブを、好ましくは、本明細書に記載の本発明に係る対応する抗原性ペプチドと共に使用することができる。
【0303】
抗癌治療剤はまた、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る医薬組成物と共に、本明細書に記載されるほぼ同時に又は連続して、同一又は異なるの医薬形態で投与することができる。したがって、本発明は、本明細書に記載される同時、別々、又は連続投与のための、本発明の組成物と本明細書に記載の前記少なくとも1つの抗癌治療剤との併用を提案する。
【0304】
更に、本発明はまた、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための、本発明に係る少なくとも2つの異なる抗原性ペプチドの組合せに関する。更に、本発明はまた、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための、本発明に係る少なくとも2つの異なる免疫原性化合物の組合せに関する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための、本発明に係る少なくとも2つの異なるナノ粒子の組合せに関する。更に、本発明はまた、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための、本発明に係る少なくとも2つの異なる核酸の組合せに関する。
【0305】
したがって、好ましい実施形態によれば、本発明に係る少なくとも2つの抗原性ペプチドは、例えば、同一医薬組成物中で組み合わせて投与することができる。例えば、少なくとも3つの抗原性ペプチド、少なくとも4つの抗原性ペプチド、少なくとも5つの抗原性ペプチド、少なくとも6つの抗原性ペプチド、少なくとも7つの抗原性ペプチド、少なくとも8つの抗原性ペプチド、少なくとも9つの抗原性ペプチド、少なくとも10個の抗原性ペプチド、少なくとも11個の抗原性ペプチド、少なくとも12個の抗原性ペプチド、少なくとも13個の抗原性ペプチド、少なくとも14個の抗原性ペプチド、少なくとも15個の抗原性ペプチド、少なくとも20個の抗原性ペプチド、少なくとも25個の抗原性ペプチド、少なくとも50個の抗原性ペプチド、少なくとも100個の抗原性ペプチド、少なくとも500個の抗原性ペプチド、少なくとも1000個の抗原性ペプチド、又は少なくとも1500個の抗原性ペプチドを、例えば、同一医薬組成物中で組み合わせて投与される。意図した目的に適した抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物の組合せを選択することは、当業者の技能の範囲内である。例えば、表1Bによる遺伝子によってコードされる腫瘍抗原を含むメラノーマの予防又は治療を望む場合、表1Aに記載される対応する抗原性ペプチドの任意の組合せを選択することができる。
【0306】
特に好ましい実施形態では、本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(例えば、同一タイプの癌及び/又は同一の参照抗原に関する)が組み合わされる。例えば、
(i)本発明に係る少なくとも2つの異なる免疫原性化合物;
(ii)本発明に係る少なくとも2つの異なる抗原性ペプチド;
(iii)本発明に係る少なくとも2つの異なるナノ粒子;又は
(iv)本発明に係る少なくとも2つの異なる核酸を組み合わせることができる。
【0307】
例えば、本発明は、以下の組合せを提供する。即ち、好ましくは、癌の予防及び/又は治療における使用のための、
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチド、及び
(ii)(第1とは異なる)本発明に係る第2の抗原性ペプチド。
【0308】
例えば、本発明は、以下の組合せを提供する。即ち、好ましくは、癌の予防及び/又は治療における使用のための、
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチドを含む本発明に係る免疫原性化合物、及び
(ii)(第1とは異なる)本発明に係る第2の抗原性ペプチドを含む本発明に係る免疫原性化合物。
【0309】
例えば、本発明は、以下の組合せを提供する。即ち、好ましくは、癌の予防及び/又は治療における使用のための、
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチドを含む本発明に係るナノ粒子、及び
(ii)(第1とは異なる)本発明に係る第2の抗原性ペプチドを含む本発明に係るナノ粒子。
【0310】
例えば、本発明は、以下の組合せを提供する。即ち、好ましくは、癌の予防及び/又は治療における使用のための、
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチドをコードするポリヌクレオチド含む本発明に係る核酸、及び
(ii)(第1とは異なる)本発明に係る第2の抗原性ペプチドをコードするポリヌクレオチド含むを含む本発明に係る核酸。
【0311】
更に、本発明に係る抗原性ペプチドはまた、(ペプチド「ファミリー」に関して前記した)対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープと組み合わせることができる。これにより、腫瘍に対して非常に効率的なT細胞クローンの選択が獲得/支援される。特に、本発明に係る抗原性ペプチド及び対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープは、共投与することができる。そのような共投与は、ほぼ同時(同時に)又は連続的であることができ、連続投与においては、本発明に係る抗原性ペプチドが最初に投与され、対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープがその後に投与されることが好ましい。特に、本発明に係る抗原性ペプチドを最初に投与することができ、対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープを(再)ブーストとして使用することができる。例えば、配列番号30、31、又は32による抗原性ペプチドを、配列番号593による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号87又は97による抗原性ペプチドを、配列番号617による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号145による抗原性ペプチドを、配列番号637による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号193による抗原性ペプチドを、配列番号659による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号194による抗原性ペプチドを、配列番号660による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号221による抗原性ペプチドを、配列番号675による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号220による抗原性ペプチドを、配列番号674による参照ペプチドと組み合わせることができる。。別の例では、配列番号255による抗原性ペプチドを、配列番号691による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号524による抗原性ペプチドは、配列番号826による参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号521による抗原性ペプチドを、配列番号824による参照ペプチドと組み合わせることができる。
【0312】
(a)本発明に係る抗原性ペプチド及び対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープ又は(b)本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチドなどの、組み合わせるペプチドを、
-本発明に係る同一の免疫原性化合物中又は本発明に係る異なる免疫原性化合物中で、
-本発明に係る同一のナノ粒子中又は本発明に係る異なるナノ粒子中に(ロードして)、
-本発明に係る同一の細胞中又は本発明に係る異なるの細胞中に(ロードして)、
-本発明に係る同一の核酸又は本発明に係る異なる核酸(によってコードされて)、
-本発明に係る同一の宿主細胞又は本発明に係る異なる宿主細胞(によって発現されて)、又は
-本発明に係る同一の医薬組成物中又は本発明に係る異なる医薬組成物中に(含有させて)投与することができる。
【0313】
以下において、それは、(本発明に係る使用のための組合せの)「2つの異なる成分」と呼ばれることがある。一般に、例えば、本発明に係る使用(併用療法)のための組合せの文脈における「2つの異なる成分」という表現は、
(1)本明細書に記載の本発明に係る抗原性ペプチド、本明細書に記載の本発明に係る免疫原性化合物、本明細書に記載の本発明に係るナノ粒子、本明細書に記載の本発明に係る細胞、本明細書に記載の本発明に係る核酸、本明細書に記載の本発明に係る宿主細胞、又は本明細書に記載の本発明に係る医薬組成物などの第1の成分;及び
(2)前記した抗癌治療剤、本明細書に記載の本発明に係る異なる抗原性ペプチド、本明細書に記載の本発明に係る異なる免疫原性化合物、本明細書に記載の本発明に係る異なるナノ粒子、本明細書に記載の本発明に係る異なる細胞、本明細書に記載の本発明に係る異なる核酸、本明細書に記載の本発明に係る異なる宿主細胞、本明細書に記載の本発明に係る異なる医薬組成物、又は、任意の形態の(本明細書に記載の免疫原性化合物、本明細書に記載のナノ粒子、本明細書に記載の(宿主)細胞、本明細書に記載の核酸、又は本明細書に記載の医薬組成物として「ネイキッドの」)ヒト腫瘍抗原の1以上の(断片)などの(第1の成分とは異なる)第2の成分を意味する。
【0314】
したがって、本発明に係る使用のための組合せ(併用療法)の文脈において本明細書で言及される「2つの異なる成分」は、好ましくは、予防及び/又は治療される疾患(癌)の文脈における活性成分である。換言すれば、少なくとも2つの異なる成分のそれぞれは、また、組合せ(即ち、組合せ投与)が通常、それらの予防的及び/又は治療的効果(例えば、免疫応答など)を、特に相乗的な方法で増強するものの、(本明細書に記載される組合せではなく)別々に投与された場合にも、前記癌を予防及び/又は治療するために有用であり得る。
【0315】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載される本発明に係る(少なくとも)2つの異なる抗原性ペプチドの組合せを提供する。この文脈において、(少なくとも)2つの異なる抗原性ペプチドは、免疫原性化合物、ナノ粒子、(医薬)組成物、又はそれらがロードされた細胞に含まれる、又は核酸(例えば、ベクター)によってコードされる、任意の形態、例えば、「ネイキッド」であることができる。したがって、(少なくとも)2つの異なる抗原性ペプチドは、(組み合わされる)(少なくとも)2つの異なる成分に含まれ得る。好ましい実施形態では、本発明に係る組合せの少なくとも2つの異なる成分は、本発明に係る少なくとも異なる抗原性ペプチドである(任意の形態、例えば、免疫原性化合物、ナノ粒子、細胞、医薬組成物に含まれる、又は核酸にコードされる、など)。
【0316】
好ましくは、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、同一タイプの癌、例えば、この癌に関連する同一又は異なる抗原及び/又はこの癌に関連する抗原内の同一又は異なる(参照)エピトープに関する。より好ましくは、少なくとも2つの異なる成分は、同一の腫瘍抗原に関連する。
【0317】
特定の実施形態では、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、同一又は異なるの組成物に含まれる。特定の実施形態では、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、同一又は異なる投与経路を介して投与される。特定の実施形態では、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、ほぼ同時に(同時に)又は連続して投与される。
【0318】
好ましくは、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、ほぼ同時に投与される。より一般的には、第1の成分が、第2の成分とほぼ同時に投与されることが好ましく、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、好ましくは同一形態で投与される(即ち、同一タイプの製剤、例えば、ナノ粒子、医薬組成物、などとして)。
【0319】
本明細書で使用される「ほぼ同時に」とは、特に同時投与、又は第1の成分の投与直後に第2の成分が投与される又は第2の成分の投与直後に第1の成分が投与されることを意味する。当業者は、「直後」には、第2の投与を準備するために必要な時間、特に第2の投与のための場所を露出及び消毒するために必要な時間、並びに「投与装置」(例えば、シリンジ、ポンプなど)の適切な調整を含むことを理解する。同時投与はまた、第1の成分と第2の成分の投与期間が重複する場合、又は例えば、1つの成分が、注入などによって30分間、1時間、2時間、又はそれ以上などのより長い期間に亘って投与され、他方の成分がそのような長時間のうちのある時点で投与される場合を含む。異なる投与経路及び/又は異なる投与部位が使用される場合、ほぼ同時に第1の成分及び第2の成分を投与することが特に好ましい。
【0320】
また、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、連続して投与することが好ましい。より一般的には、第1の成分及び第2の成分が連続して投与されることが好ましく、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、好ましくは同一形態で投与される(即ち、同一タイプの製剤、例えば、ナノ粒子、医薬組成物、などとして)。
【0321】
これは、第1の成分が、第2の成分の前後に投与されることを意味する。連続投与において、第1の成分の投与と第2の成分の投与との間の時間は、好ましくは1週間以内、より好ましくは3日間以内、更により好ましくは2日間以内、最も好ましくは24時間以内である。第1の成分と第2の成分が同一の日に投与され、第1の成分の投与と第2の成分の投与との間の時間が、好ましくは6時間以内、より好ましくは3時間以内、より好ましくは2時間以内、最も好ましくは1時間以内であることが特に好ましい。
【0322】
好ましくは、第1の成分及び第2の成分は、同一の投与経路を介して投与される。より一般的には、第1の成分及び第2の成分が同一の投与経路を介して投与されることが好ましく、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、好ましくは同一形態で投与される(即ち、同一タイプの製剤、例えば、ナノ粒子、医薬組成物、などとして)。
【0323】
また、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分が、別々の投与経路を介して投与されることも好ましい。より一般的には、第1の成分及び第2の成分は、別々の投与経路を介して投与されることが好ましく、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、好ましくは同一形態で投与される(即ち、同一タイプの製剤、例えば、ナノ粒子、医薬組成物、などとして)。
【0324】
好ましくは、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、同一の組成物に含まれる。より一般的には、第1の成分及び第2の成分が同一の組成物に含まれることが好ましく、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、好ましくは同一形態で投与される(即ち、同一タイプの製剤、例えば、ナノ粒子などとして)。
【0325】
また、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、異なる組成物に含まれることも好ましい。より一般的には、第1の成分及び第2の成分が異なる組成物に含まれることが好ましく、本発明に記載の使用のための組合せの少なくとも2つの異なる成分は、好ましくは同一形態で投与される(即ち、同一タイプの製剤、例えば、ナノ粒子などとして)。
【0326】
特に、本発明は、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せを提供し、前記組合せは、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明の第2の抗原性ペプチドとを含む。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せは、配列番号32を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0327】
特に、本発明は、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せを提供し、前記組合せは、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明の第2の抗原性ペプチドとを含む。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2の断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せは、配列番号32を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0328】
特に、本発明はまた、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せを提供し、前記組合せは、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第2の抗原性ペプチドとを含む提供する。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せは、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0329】
より好ましくは、本発明に係る組合せ(例えば、癌の予防及び/又は治療に使用するための)は、前記した少なくとも3つの異なる成分、特に本発明に係る少なくとも3つの異なる抗原性ペプチドを含む。2つの異なる成分の組合せに関する前記説明が、3つの異なる成分にも同様に適用される。
【0330】
したがって、本発明はまた、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せを提供し、前記組合せは、ヒト腫瘍抗原BIRC5の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる本発明に係る第1の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原FOXM1の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる第2の抗原性ペプチドと、ヒト腫瘍抗原IL13RA2の断片の微生物叢配列変異体を含む又はからなる第3の抗原性ペプチドとを含む。好ましくは、第1の抗原性ペプチドが、配列番号30、31、又は32で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのBIRC5断片(ヒト参照ペプチド)「LTLGEFLKL」(配列番号593)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第2の抗原性ペプチドが、配列番号220又は868で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのFOXM1断片(ヒト参照ペプチド)「LMDLSTTPL」(配列番号674)の微生物叢配列変異体を含む又はからなり、第3の抗原性ペプチドが、配列番号254、255、878、又は879で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドなどのIL13RA2断片(ヒト参照ペプチド)「WLPFGFILI」(配列番号691)又は「WLPFGFILIL」(配列番号692)の微生物叢配列変異体を含む又はからなる。更により好ましくは、例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せは、配列番号30を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号220を含む又はからなる抗原性ペプチドと、配列番号255を含む又はからなる抗原性ペプチドとを含む。
【0331】
例えば、癌の予防及び/又は治療における使用のための組合せは、前記抗原性ペプチドの好ましい組合せに代えて、本発明の免疫原性化合物のそれぞれの組合せ、本発明のナノ粒子のそれぞれの組合せ、又は本発明の核酸のそれぞれの組合せを含むことができる。
【0332】
以下では、添付図面の簡単な説明が与えられる。これら図面は、本発明をより詳細に説明することを意図している。しかし、これら図面は、本発明の主題を何ら制限することを何ら意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0333】
図1図1は、実施例2における、対応するヒトIL13RA2エピトープIL13RA2-Hと比較した抗原性ペプチドIL13RA2-B及びIL13RA2-Lに対するインビトロ親和性を示す。
図2図2は、実施例2における、対応するヒトBIRC5エピトープBIRC5-Hと比較した抗原性ペプチドBIRC5-B1、BIRC5-B2、及びBIRC5-B3に対するインビトロ親和性を示す。
図3図3は、実施例2における、(A)対応するヒトEZH2エピトープEZH2-Hと比較した抗原性ペプチドEZH2-Bに対するインビトロ親和性及び(B)対応するヒトEZH2エピトープEZH2-H2と比較した抗原性ペプチドEZH2-B2に対するインビトロ親和性を示す。
図4図4は、実施例2における、(A)対応するヒトTYMSエピトープTYMS-Hと比較した抗原性ペプチドTYMS-Bに対するインビトロ親和性及び(B)対応するヒトTYMSエピトープTYMS-H2と比較した抗原性ペプチドTYMS-B2に対するインビトロ親和性を示す。
図5図5は、実施例2における、(A)対応するヒトFOXM1エピトープFOXM1-Hと比較した抗原性ペプチドFOXM1-Bに対するインビトロ親和性及び(B)対応するヒトFOXM1エピトープFOXM1-H2と比較した抗原性ペプチドFOXM1-B2に対するインビトロ親和性を示す。
図6図6は、実施例2における、対応するヒトCHI3L1エピトープCHI3L1-Hと比較した抗原性ペプチドCHI3L1-B及びCHI3L1-B3に対するインビトロ親和性を示す。
図7図7は、実施例3における、免疫化スキームの概略図を示す。d:日間。
図8図8は、実施例3における、図に示される抗原性ペプチド(BIRC5-H、BIRC5-B1、BIRC5-B2、BIRC5-B3、FOXM1-H2、FOXM1-B2、EZH2-H2、EZH2-B2、IL13RA2-H、IL13RA2-B)をワクチン接種したマウスのELISPOTの結果を示す。各群について、スポット形成細胞(SFC)の規格化された数を示す。各ドットは、1頭の個体/マウスの平均値を表す。
図9図9は、実施例4における、図に示される抗原性ペプチドIL13R2A-Lでワクチン接種したHLA-A2トランスジェニックマウスのELISPOT結果及びヒトの対応するペプチドIL13RA2-Hとの交差反応性を示す。各群について、スポット形成細胞(SFC)の規格化された数を示す。
図10図10は、実施例5における、図に示される抗原性ペプチドBIRC5-B1でワクチン接種したHLA-A2トランスジェニックマウスのELISPOT結果及びヒトの対応するペプチドBIRC5-Hとの交差反応性を示す。各群について、スポット形成細胞(SFC)の規格化された数を示す。
図11図11は、実施例6における、図に示される抗原性ペプチドFOXM1-B2でワクチン接種したHLA-A2トランスジェニックマウスのELISPOT結果及びヒトの対応するペプチドFOXM1-H2との交差反応性を示す。各群について、スポット形成細胞(SFC)の規格化された数を示す。
図12図12は、実施例8における、対応するヒトIL13RA2エピトープIL13RA2-H、比較ペプチド1A9V、及び陽性対照HIVと比較した抗原性ペプチドIL13RA2-B及びIL13RA2-Lに対するインビトロ親和性を示す。
図13図13は、実施例9における、対応するヒトBIRC5エピトープBIRC5-H、比較ペプチド2M、及び陽性対照HIVと比較した抗原性ペプチドBIRC5-B1に対するインビトロ親和性を示す。
【実施例0334】
以下に、本発明の様々な実施形態及び態様を説明する具体例を提示する。しかし、本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。以下の調製及び実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することができるように与えられる。しかし、本発明は、例示される実施形態によって範囲が限定されるものではなく、前記実施形態は、本発明の1つの態様を説明することのみを意図し、機能的に等価な方法は、本発明の範囲内である。実際に、本明細書に記載するものに加えて、本発明の様々な変形例が、上述の記載、添付図面、及び以下の実施例から当業者に容易に明らかになる。全ての係る変形例は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【0335】
実施例1:抗原性ペプチドは、ヒトペプチドと比較して優れた結合親和性を有する。
本発明の例示抗原性ペプチド及びヒト腫瘍抗原の対応する断片(ヒト参照ペプチド)のMHCクラスIへの結合親和性を、インシリコで予測した。このような予測は、NetMHC 4.0サーバー(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetMHC/)を使用して取得され、Andreatta M, Nielsen M Gapped sequence alignment using artificial neural networks: application to the MHC class I system. Bioinformatics (2016) Feb 15;32(4):511-7に記載されている。この方法は、主要組織適合性複合体(MHC):ペプチド結合、特に、8~11アミノ酸の長さを有するペプチドの場合に高精度な予測を生成する。
【0336】
以下の表2は、結果、即ち、ペプチド-MHCクラスI結合の予測に関する情報を示す。
【表2】
表2:ペプチド-MHCクラスI結合のインシリコ予測。
【0337】
本発明に係る各抗原性ペプチドについて予測された結合親和性とヒト参照ペプチドについて予測された結合親和性との間の比較から、本発明に係る抗原性ペプチドがより優れた結合親和性を有することを明らかである。
【0338】
実施例2:抗原性ペプチドは、HLA-A 0201対立遺伝子に対してより優れた親和性を有する。
次に、様々な選択した抗原性ペプチド及びヒト腫瘍抗原(ヒト参照ペプチド)の対応する断片のHLA-A0201対立遺伝子に対する結合親和性をインビトロで確認した。即ち、配列番号32の配列の抗原性ペプチド(<<FMLGEFLKL>>;本明細書中、BIRC5-B1とも呼ばれる);配列番号30(<<YTLGEFLYI>>;本明細書中、BIRC5-B2とも呼ばれる);及び配列番号31(<<GLLGEFLQI>>、本明細書中、BIRC5-B3とも呼ばれる)を、BIRC5に由来する対応する参照ヒトペプチド(<<LTLGEFLKL>>、配列番号593、本明細書中、BIRC5-Hとも呼ばれる)と比較した。更に、配列番号97の配列(<<LLLSAALSV>>、本明細書中、CHI3L1Bとも呼ばれる)及び配列番号87(<<YLLSAALTI>>、本明細書中、CHI3L1 B3とも呼ばれる)の抗原性ペプチドを、CHI3L1に由来する対応する参照ヒトペプチド(<<LLLSAALSA>>、配列番号617、本明細書中、CHI3L1Hとも呼ばれる)と比較した。更に、配列番号145(<<ILDEAYVRV>>、本明細書中、EGFR-Bとも呼ばれる)の抗原性ペプチドを、EGFRに由来する対応する参照ヒトペプチド(<<ILDEAYVMA>>、配列番号637、本明細書中、EGFR-Hとも呼ばれる)と比較した。更に、配列番号193(<<FLVEDETVI>>、本明細書中、EZH2-Bとも呼ばれる)及び配列番号194(<<AVFRVLIPV>>、本明細書中、EZH2-B2とも呼ばれる)の抗原性ペプチドを、EZH2に由来する対応する参照ヒトペプチド(<<FMVEDETVL>>、配列番号659、本明細書中、EZH2-Hとも呼ばれる)及び(<<SMFRVLIGT>>、配列番号660、本明細書中、EZH2-H2とも呼ばれる)とそれぞれ比較した。更に、配列番号221(<<RLSSYLVEI>>、本明細書中、FOXM1-Bとも呼ばれる)及び配列番号220(<<LMDLSTTEV>>、本明細書中、FOXM1-B2とも呼ばれる)の抗原性ペプチドを、FOXM1に由来する対応する参照ヒトペプチド(<<RVSSYLVPI>>、配列番号675、本明細書中、FOXM1-Hとも呼ばれる)及び(<<LMDLSTTPL>>、配列番号674、本明細書中、FOXM1-H2とも呼ばれる)とそれぞれ比較した。更に、配列番号254(<<FLPFGFILV>>、本明細書中、IL13RA2-Bとも呼ばれる)及び配列番号255(<<FLPFGFILPV>>、本明細書んか、IL13RA2-Lとも呼ばれる)の抗原性ペプチドを、IL13RA2に由来する対応する参照ヒトペプチド(<<WLPFGFILI>>、配列番号691、本明細書中、IL13RA2-Hとも呼ばれる)と比較した。更に、配列番号524(<<SMEELLWFV>>、本明細書中、TYMS-Bとも呼ばれる)及び配列番号521(<<FLDSLGFSL>>、本明細書中、TYMS-B2とも呼ばれる)の抗原性ペプチドを、TYMSに由来する対応する参照ヒトペプチド(<<VLEELLWFI>>、配列番号826、本明細書中、TYMS-Hとも呼ばれる)及び<<FLDSLGFST>>、配列番号824、本明細書中、TYMS-H2とも呼ばれる)とそれぞれ比較した。
【0339】
A.材料及び方法
A1.T2細胞株に対するペプチドの親和性の測定。
実験プロトコルは、HLA-A0201によって提示されたペプチドについて検証されたものと同様である(Tourdot et al., A general strategy to enhance immunogenicity of low-affinity HLA-A2.1-associated peptides: implication in the identification of cryptic tumor epitopes. Eur J Immunol. 2000 Dec; 30(12):3411-21)。ペプチドの親和性測定は、HLA-A0201分子を発現するが、TAP1/2陰性であり、内因性ペプチドを提示できないヒト腫瘍細胞T2で達成される。
【0340】
T2細胞(1ウェルあたり2.10細胞)を、100ng/μlのヒトβ2mを添加したAIMV培地で、ペプチドの濃度を100μMから1.5625μMに低下させながら、37℃で16時間インキュベートする。次に、細胞を2回洗浄し、PEに結合した抗HLA-A2抗体(クローンBB7.2、BD Pharmagen)でマークする。
【0341】
分析は、FACS(Guava Easy Cyte)によって行う。
【0342】
各ペプチド濃度について、目的のペプチドに関連する標識の幾何平均を、バックグラウンドノイズから減じ、100μMの濃度における参照ペプチドHIV pol589-597で得られたHLA-A0202標識の幾何平均のパーセンテージとして報告する。次に、相対的な親和性を次のように決定する。

相対親和性=HLA-A0201の発現の20%を誘発する各ペプチドの濃度/HLA-A0201の発現の20%を誘発する参照ペプチドの濃度。
【0343】
A2.ペプチドの可溶化
各ペプチドは、アミノ酸組成を考慮して可溶化される。システイン、メチオニン、又はトリプトファンを含まないペプチドの場合、DMSOを総量の最大10%まで添加できる。他のペプチドは、水又はPBS(pH7.4)に再懸濁する。
【0344】
B.結果
各ペプチドの様々な濃度で得られたT2細胞の平均相対蛍光強度値(データは、HIVペプチドの平均蛍光に対して規格化する。即ち、100の値は、HIVペプチドで観察された最良の結合に等しい)を、以下の表3に示す。
【0345】
【表3】
【0346】
以下の表4は、試験した各ペプチドについて、HLA-A2発現の20%を誘発するために必要な濃度と、インビトロ結合親和性をまとめる。
【表4】
【0347】
更に、図1~6は、選択した例、即ち、対応するヒトIL13RA2断片IL13RA2-Hと比較した抗原性ペプチドIL13RA2-B及びIL13RA2-Lの結果(図1)、対応するヒトBIRC5断片BIRC5-Hと比較した抗原性ペプチドBIRC5-B1、BIRC5-B2、及びBIRC5-B3の結果(図2)、対応するヒトEZH2断片EZH2-Hと比較した抗原性ペプチドEZH2-Bの結果(図3A)及び対応するヒトEZH2断片EZH2-H2と比較した抗原性ペプチドEZH2-B2の結果(図3B)、対応するヒトTYMS断片TYMS-Hと比較した抗原性ペプチドTYMS-Bの結果(図4A)及び対応するヒトTYMS断片TYMS-H2と比較した抗原性ペプチドTYMS-B2の結果(図4B)、対応するヒトFOXM1断片FOXM1-Hと比較した抗原性ペプチドFOXM1-Hの結果(図5A)及び対応するヒトFOXM1断片FOXM1-H2と比較した抗原性ペプチドFOXM1-B2の結果(図5B)、並びに対応するヒトCHI3L1断片CHI3L1-Hと比較した抗原性ペプチドCHI3L1-B及びCHI3L1-B3の結果(図6)である。
【0348】
まとめると、結果から、本発明に係る抗原性ペプチドが、対応するヒト腫瘍抗原断片と少なくとも同様のHLA-A0201に対する結合親和性を示すことを示す。殆どの場合、本発明に係る抗原性ペプチドについて観察された結合親和性は、対応するヒトエピトープの結合親和性よりも強かった。いかなる理論に拘束されるものではないが、本発明に係る抗原性ペプチドの強い結合親和性は、免疫応答を高めるそれらの能力(即ち、それらの免疫原性)を反映していると想定される。
【0349】
実施例3:本発明に係る抗原性ペプチドによるマウスのワクチン接種は、ELISPOT-IFNγアッセイにおいて改善されたT細胞応答を誘発する。
A.材料及び方法
A.1マウスモデル
免疫スキームを図7に示す。簡単に説明すると、HLA-A2ヒト化マウス(HLA-A2(CB6F1-Tg(HLA-A*0201/H2-K)A0201)を、(マウスの性別と年齢に基づき)無作為に実験群に割り当て、各群を、共通のヘルパーペプチド(h-pAg T13L;配列:TPPAYRPPNAPIL;配列番号860;Bhasin M, Singh H, Raghava GP (2003) MHCBN: a comprehensive database of MHC binding and non-binding peptides. Bioinformatics 19: 665-666)(以下の表5に概説)に結合させた特異的ワクチン接種ペプチド(vacc-pAg)で免疫感作した。vacc-pAgは、各組で比較した(群1対群2、群1対群3;群1対群4;群5対群6;群7対群8;群9対群10)。これにより、単一ペプチドのネイティブバージョンと最適化バージョンとを、各ウェーブ(wave)において比較した。
【0350】
表5.実験グループの構成。h-pAg:「ヘルパー」ペプチド;vacc-pAg:ワクチン接種ペプチド。ブースト注射の回数を括弧内に示す。
【表5】
【0351】
ペプチドは以下のように提供した:
vacc-pAg:BIRC5-H、BIRC5-B1、BIRC5-B2、BIRC5-B3、FOXM1-H2、FOXM1-B2、EZH2-H2、EZH2-B2、IL13RA2-H、及びIL13RA2-B;いずれも、4mg/ml(4mM)の濃度で製造及び提供;
h-pAg:T13L;Eurogentecバッチ1713334を、10mg/mLの濃度で純粋な蒸留水に再懸濁
【0352】
動物を、0日目(d0)にプライム注射で免疫し、d14にブースト注射で免疫した。各マウスの尾部の基部に、オイルベースエマルジョン100μLをs.c.注射した。このオイルベースエマルジョンは、以下を含有した。
100μgのvacc-pAg(マウス1頭当たり4mg/mLストックを25μL);
150μgのh-pAg(マウス1頭当たり10mg/mLストックを15μL);
総量を50μLにする10μLのPBS(マウス1頭当たり);
不完全フロイントアジュバント(IFA)を1:1(v:v)の比率で添加(マウス1頭当たり50μL)。
【0353】
以下のように、各vacc-pAgについて個別のエマルジョンを調製した。IFA試薬を、15mLチューブ内のvacc-pAg/h-pAg/PBS混合物に添加し、濃厚なエマルジョンを生成するまで1分間の繰り返しサイクルにてボルテックス上で混合した。
【0354】
A.2分析
ブースト注射の7日後(即ち、d21)に、動物を安楽死させ、脾臓を採取した。脾細胞は、臓器を機械的破壊後、70μmろ過とFicoll密度勾配精製を行うことにより調製した。
【0355】
脾細胞を直ちに、ELISPOT-IFNγアッセイに用いた(表6)。1ウェル当たり210の総脾細胞を使用して、実験条件を3連で繰り返し、vacc-pAg(10μM)、イオノマイシン(0.1μM)とPMA(1μM)の存在下、又は培地のみの存在下で培養し、IFNγの分泌能を評価した。市販のELISPOT-IFNγキット(Diaclone Kit Mujrine IFNγ ELISpot)を製造元の指示にしたがって使用し、約19時間のインキュベーション後にアッセイを行った。
【0356】
表6.ELISPOT-IFNγアッセイのセットアップ
【表6】
【0357】
スポットは、CTLELISpotリーダーでカウントした。Prism-5ソフトウェア(GraphPad Software Inc.)を使用して、データプロットと統計解析を行った。
【0358】
B.結果
これらの実験には、合計50頭のHLA-A2(CB6F1-Tg(HLA-A0201/H2-Kb)A0201)マウスを使用した。マウスはいずれも、実験開始日時点で6~9週齢であった。この研究では、オスとメスの両方を使用した。動物は最大で1ケージ当たり5頭の群で収容されている。屠殺時に、脾臓T細胞集団をフローサイトメトリーで分析したところ、大多数がCD4+T細胞サブセットに属していたことが分かった。
【0359】
プレーティングし、適切な刺激でインキュベートした後、IFNγ産生細胞が生成し、これをカウントした。次に、データは、5010の合計T細胞当たりの特定のスポットの数(「培地のみ」の条件で得られた平均カウント数を減じたもの)として規格化した。
【0360】
次に、個々の平均値(3連から取得)を使用して、群の平均値をプロットした。T細胞の機能的能力は個体ごとに異なり得るので、データは、個体ごとのイオノマイシンとPMA応答のパーセンテージとしても表した(図8を参照)。
【0361】
全体として、本発明に係る抗原性ペプチド(BIRC5-B1、BIRC5-B2、BIRC5-B3、FOXM1-B2、EZH2-B2、及びIL13RA2-B)によるワクチン接種は、それぞれのヒト参照エピトープ(BIRC5-H、FOXM1-H2、EZH2-H2、及びIL13RA2-H)と比較して、ELISPOT-IFNγアッセイにおいて改善されたT細胞応答を誘発した。
【0362】
実施例4:HLA-A2トランスジェニックマウスにおけるIL13R2A-Lの免疫原性及び対応するヒトペプチドとの交差反応性。
A.材料及び方法
本発明の抗原性ペプチドIL13RA2-L(配列番号255)及び対応するヒト参照ペプチドIL13RA2-H(配列番号691)を、ヒトHLA-A2とHLA-DR3MHCを発現し、マウスH-2クラスI及びクラスIIMHCを欠いているオス及びメスのHHD DR3マウスの異なる群で試験した。5頭のマウス(オス及びメス)の各群に、0日目及び14日目に、IL13RA2-L(配列番号255)又はIL13RA2-H(配列番号691)を100μgと、ヘルパーペプチド(DR3)を150μgと、IFAを皮下注射した。21日目に、マウスを安楽死させ、脾細胞を調製し、IL13RA2-L又はヒトの対応するペプチドIL13RA2-Hでインビトロにて刺激して、IFN-γを分泌する能力をELISpotで評価した。コンカナバリンA(ConA)を陽性対照として使用した。
【0363】
B.結果
スポット形成細胞(SFC)の数(CD8細胞の数に対して規格化)を図9に示す。結果は、IL13RA2-Lで免疫感作したマウスについて示す。結果から、IL13RA2-Lでマウスを免疫感作すると、IL13RA2-L又はヒトの対応するペプチドのいずれかを接種した後に強力に反応できるT細胞を誘発できることが分かる。したがって、IL13RA2-Lは強力な免疫原性を有し、対応するヒトペプチドに対して効果的な免疫応答を引き起こすことができる。予想した通り、ヒトの対応するペプチドIL13RA2-Hによるマウスの免疫感作は、IL13RA2-L又はヒトの対応するペプチドIL13RA2-Hのいずれかの接種後に免疫応答を誘発しない(データは示さず)。
【0364】
これらの結果は、ヒトHLA-A2及びHLA-DR1 MHCを発現し、マウスH-2クラスI及びクラスII MHCを欠くHHD DR1マウス(5頭のマウスの群)で確認された。
【0365】
実施例5:HLA-A2トランスジェニックマウスにおけるBIRC5-B1の免疫原性及び対応するヒトペプチドとの交差反応性。
A.材料及び方法
本発明の抗原性ペプチドBIRC5-B1(配列番号32)及び対応するヒトペプチドBIRC5-H(配列番号593)を、ヒトHLA-A2及びHLA-DR3 MHCを発現し、マウスH-2クラスI及びクラスIIMHCを欠いているオス及びメスのHHD DR3マウスの別々の群で試験した。5頭のマウス(オス及びメス)の各群に、0日目及び14日目に、BIRC5-B1又はBIRC5-Hを100μgと、ヘルパーペプチド(DR3)を150μgと、IFAを皮下注射した。21日目に、マウスを安楽死させ、脾細胞を調製し、BIRC5-B1又はヒトペプチドBIRC5-Hでインビトロにて刺激して、IFN-γを分泌する能力をELISpotで評価した。ConAを陽性対照として使用した。
【0366】
B.結果
SFCの数(CD8細胞の数に対して規格化)を図10に示す。結果は、BIRC5-B1で免疫感作したマウスについて示す。結果から、BIRC5-B1でマウスを免疫感作すると、BIRC5-B1又はヒトの対応するペプチドBIRC5-Hのいずれかを接種した後に強力に反応できるT細胞を誘発できることが分かる。したがって、BIRC5-B1は強力な免疫原性を有し、対応するヒトペプチドに対して効果的な免疫応答を引き起こすことができる。予想した通り、ヒトの対応するペプチドBIRC5-Hによるマウスの免疫感作は、BIRC5-B1又はヒトの対応するペプチドに対して免疫応答を誘発しない(データは示さず)。
【0367】
これらの結果は、ヒトHLA-A2及びHLA-DR1 MHCを発現し、マウスH-2クラスI及びクラスII MHCを欠くHHD DR1マウス(5頭のマウスの群)で確認された。
【0368】
実施例6:HLA-A2トランスジェニックマウスにおけるFOXM1-B2の免疫原性及び対応するヒトペプチドとの交差反応性。
A.材料及び方法
本発明の抗原性ペプチドFOXM1-B2(配列番号220)及び対応するヒトペプチドFOXM1-H2(配列番号674)を、ヒトHLA-A2及びHLA-DR3 MHCを発現し、マウスH-2クラスI及びクラスIIMHCを欠いているオス及びメスのHHD DR3マウスの別々の群で試験した。5頭のマウス(オス及びメス)の各群に、0日目及び14日目に、FOXM1-B2又はFOXM1-H2を100μgと、ヘルパーペプチド(DR3)を150μgと、IFAを皮下注射した。21日目に、マウスを安楽死させ、脾細胞を調製し、FOXM1-B2又はヒトペプチドFOXM1-H2でインビトロにて刺激して、IFN-γを分泌する能力をELISpotで評価した。ConAを陽性対照として使用した。
【0369】
B.結果
SFCの数(CD8細胞の数に対して規格化)を図11に示す。結果は、FOXM1-B2で免疫感作したマウスについて示す。結果から、FOXM1-B2でマウスを免疫感作すると、FOXM1-B2又はヒトの対応するペプチドのいずれかを接種した後に強力に反応できるT細胞を誘発できることが分かる。したがって、FOXM1-B2は強力な免疫原性を有し、対応するヒトペプチドFOXM1-H2に対して効果的な免疫応答を引き起こすことができる。予想した通り、ヒトの対応するペプチドFOXM1-H2によるマウスの免疫感作は、FOXM1-B2又はヒトの対応するペプチドに対して免疫応答を誘発しない(データは示さず)。
【0370】
これらの結果は、ヒトHLA-A2及びHLA-DR1 MHCを発現し、マウスH-2クラスI及びクラスII MHCを欠くHHD DR1マウス(5頭のマウスの群)で確認された。
【0371】
まとめると、HHD DR3及びHHD DR1マウスで行た実施例4~6に記載のこれらの免疫原性研究から、本発明の3つの抗原性ペプチド、IL13RA2-L、BIRC5-B1、及びFOXM1-B2が強力な免疫応答を誘発したことが示された。対応するヒトペプチドについてIL13RA2-L、BIRC5-B1、及びFOXM1-B2に対して生成されたT細胞の交差反応性が、HHD DR3及びHHD DR1マウスで示された。
【0372】
したがって、これらの結果は、抗原ベースの免疫療法がインビボでのT細胞応答を改善することができ、本発明に係る抗原性ペプチドがその目的のために特に効果的であるという実験的証拠を提供する。
【0373】
実施例7:IL13RA2-Bは、HLA-A 0201対立遺伝子に対してより優れた親和性を有する。
この実施例は、配列番号254(FLPFGFILV、本明細書中、IL13RA2-Bとも呼ばれる)で示される本発明の抗原性ペプチドが、IL13RA2に由来する対応する参照ヒトペプチド(IL13RA2-H、WLPFGFILI、配列番号691)の他の配列変異体よりも、HLA-A0201対立遺伝子に対して高い親和性を有するという証拠を提供する。この実験では、配列番号254の抗原性ペプチド(IL13RA2-B)を以下のペプチドと比較した。
-比較ペプチド「1A9V」(配列番号896)(Eguchi Junichi et al., 2006, Identification of interleukin-13 receptor alpha 2 peptide analogues capable of inducing improved antiglioma CTL responses. Cancer Research 66(11): 5883-5891に記載)において、配列番号691の1位のトリプトファンがアラニン(1A)で置換され、配列番号691の9位のイソロイシンがバリン(9V)で置換されたもの;
-ペプチド「1I9A」(配列番号897)において、配列番号691の1位のトリプトファンがイソロイシン(1l)で置換され、配列番号691の9位のイソロイシンがアラニン(9A)で置換されたもの;及び
-ペプチド「1F9M」(配列番号898)において、配列番号691の1位のトリプトファンがフェニルアラニン(1F)で置換され、配列番号691の9位のイソロイシンがメチオニン(9M)で置換されたもの。
【0374】
A.材料及び方法
実験プロトコル、材料、及び方法は、前記した(ポリ)ペプチドを使用した点を除いて、実施例2に記載したものに対応する。
【0375】
B.結果
以下のインビトロ結合親和性が得られた。
【表7】
【0376】
したがって、本発明に係る抗原性ペプチド(IL13RA2-B;配列番号254)は、試験された他の全てのペプチドよりも大幅に高いHLA-A0201への結合親和性を示したが、一方、ペプチド「1A9V」(Eguchi Junichi et al., 2006, Identification of interleukin-13 receptor alpha 2 peptide analogues capable of inducing improved antiglioma CTL responses. Cancer Research 66(11): 5883-5891に記載)は、試験したペプチドの中で最も低い親和性を示した。
【0377】
実施例8:IL13RA2-Lは、HLA-A 0201対立遺伝子に対してより優れた親和性を有する。
この実施例は、配列番号255(本明細書中、IL13RA2-Lとも呼ばれる)で示される本発明の抗原性ペプチドが、配列番号254(FLPFGFILV、本明細書中、IL13RA2-Bとも呼ばれる)で示される本発明の抗原性ペプチドと同様にHLA-A0201対立遺伝子に対して高い親和性を有すると共に、IL13RA2に由来する対応する参照ヒトペプチド(IL13RA2-H、WLPFGFILI、配列番号691)及び他のその配列変異体よりも高い親和性を有するという証拠を提供する。この実験では、配列番号254の抗原性ペプチド(IL13RA2-B)を以下のペプチドと比較した。
-比較ペプチド「1A9V」(配列番号896)(Eguchi Junichi et al., 2006, Identification of interleukin-13 receptor alpha 2 peptide analogues capable of inducing improved antiglioma CTL responses. Cancer Research 66(11): 5883-5891に記載)において、配列番号691の1位のトリプトファンがアラニン(1A)で置換され、配列番号691の9位のイソロイシンがバリン(9V)で置換されたもの;
-配列番号254で示される本発明の抗原性ペプチド(IL13RA2-B);
-対応する参照ヒトペプチドIL13RA2-H(配列番号691);及び
-陽性対照(HIV)。
【0378】
A.材料及び方法
実験プロトコル、材料、及び方法は、前記した(ポリ)ペプチドを使用した点を除いて、実施例2に記載したものに対応する。
【0379】
B.結果
以下のインビトロ結合親和性が得られた。
【表8】
【0380】
したがって、本発明に係る抗原性ペプチド(IL13RA2-B;配列番号254及びIL13RA2-L;配列番号255)は、対応するヒトエピトープ(IL13RA2-H)及び比較ペプチド「1A9V」(Eguchi Junichi et al., 2006, Identification of interleukin-13 receptor alpha 2 peptide analogues capable of inducing improved antiglioma CTL responses. Cancer Research 66(11): 5883-5891に記載)よりも、HLA-A0201に対して大幅に高い結合親和性を示した。特に、抗原性ペプチドIL13RA2-L(配列番号255)は、HLA-A0201に対して強力な結合親和性を示し、即ち、100μMで最大HIV pol589-597結合活性の69%;25μMで96%及び6.25μMで43%である。結果は、図12にも示す。
【0381】
実施例9:BIRC5-B1はHLA-A 0201対立遺伝子に対してより優れた親和性を有する。
この実施例は、配列番号32で示される本発明の抗原性ペプチド(本明細書中、BIRC5-B1とも呼ばれる)が、BIRC5に由来する対応する参照ヒトペプチド(BIRC5-H、配列番号593)及びその比較配列変異体(「2M」;配列番号899)よりも高い親和性を有する証拠を提供する。この実験では、配列番号32の抗原性ペプチド(BIRC5-B1)を以下のペプチドと比較した。
-ペプチド「2M」(LMLGEFLKL;配列番号899)において、配列番号593の2位のスレオニンがメチオニン(2M)で置換されたもの;
-対応する参照ヒトペプチドBIRC5-H(配列番号593);及び
-陽性対照(HIV)。
【0382】
A.材料及び方法
実験プロトコル、材料、及び方法は、前記した(ポリ)ペプチドを使用した点を除いて、実施例2に記載したものに対応する。
【0383】
B.結果
以下のインビトロ結合親和性が得られた。
【表9】
【表10】
【0384】
まとめると、本発明に係る抗原性ペプチド(BIRC5-B1;配列番号32)は、対応するヒトエピトープ(BIRC5-H)及び比較ペプチド「2M」よりもHLA-A0201に対して大幅に高いインビトロ結合親和性を示した。結果は、図13にも示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2024016203000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号20で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする抗原性ペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載の抗原性ペプチドがロードされたことを特徴とするナノ粒子。
【請求項3】
請求項1に記載の抗原性ペプチドがロードされたことを特徴とする細胞。
【請求項4】
請求項1に記載の抗原性ペプチドをコードすることを特徴とする核酸。
【請求項5】
請求項4に記載の核酸を含むことを特徴とする宿主細胞又はウイルスベクター。
【請求項6】
-請求項1に記載の抗原性ペプチド、
-請求項2に記載のナノ粒子、又は
-請求項3に記載の細胞
を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項7】
免疫アジュバントを更に含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記免疫アジュバントがMontanideである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の抗原性ペプチド、及び配列番号254又は255で示されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチドを含む、請求項6から8のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
配列番号859で示されるアミノ酸配列からなるUCP2ペプチドを更に含む、請求項6から9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
-請求項1に記載の抗原性ペプチド、
-請求項2に記載のナノ粒子、
-請求項3に記載の細胞、及び/又は
-請求項6から10のいずれかに記載の医薬組成物
を含むことを特徴とするキット。
【請求項12】
癌の予防及び/又は治療における使用のための、
請求項1に記載の抗原性ペプチド、
請求項2に記載のナノ粒子、
請求項3に記載の細胞、
請求項6から10のいずれかに記載の医薬組成物、又は
請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記抗原性ペプチド、前記ナノ粒子、前記細胞、又は前記医薬組成物が、抗癌治療薬と組み合わせて投与される、請求項12に記載の使用のための抗原性ペプチド、ナノ粒子、細胞、又は医薬組成物。
【請求項14】
前記抗癌治療薬が、免疫チェックポイントモジュレーターである、請求項13に記載の使用のための抗原性ペプチド、ナノ粒子、細胞、又は医薬組成物。
【請求項15】
前記免疫チェックポイントモジュレーターが、PD-1をブロックする抗体である、請求項14に記載の使用のための抗原性ペプチド、ナノ粒子、細胞、又は医薬組成物。
【請求項16】
前記PD-1をブロックする抗体が、ニボルマブ又はプレムブロリズブマブである、請求項15に記載の使用のための抗原性ペプチド、ナノ粒子、細胞、又は医薬組成物。
【請求項17】
前記抗癌治療薬が、ベバシズマブである、請求項13に記載の使用のための抗原性ペプチド、ナノ粒子、細胞、又は医薬組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の抗原性ペプチドを含み、前記抗原性ペプチドが配列番号32及び配列番号859で示されるアミノ酸配列からなるUCP2ペプチドからなる、請求項13から17のいずれかに記載の使用のための抗原性ペプチド、ナノ粒子、細胞、又は医薬組成物。
【請求項19】
配列番号255で示されるアミノ酸配列からなる抗原性ペプチドを更に含む、請求項18に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の抗原性ペプチドを含むことを特徴とするペプチド-MHC(pMHC)多量体。
【請求項21】
T細胞集団のスクリーニングによる前記pMHC多量体に特異的なT細胞集団の検出及び/又は単離のための、請求項20に記載のpMHC多量体のインビトロにおける使用。