(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162030
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ナビゲーションアラートシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20241114BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241114BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALN20241114BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G06Q50/10
G06Q30/0241
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077178
(22)【出願日】2023-05-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [展示会名] つくばフォーラム2022 [展示場所] NTT筑波研究開発センタ [開催日] 令和 4年 5月 18日 令和 4年 5月 19日
(71)【出願人】
【識別番号】000222082
【氏名又は名称】東名通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波場 英紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 達仁
(72)【発明者】
【氏名】細田 崇
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 公博
(72)【発明者】
【氏名】小西 洋平
【テーマコード(参考)】
2F129
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD24
2F129DD40
2F129EE81
2F129EE82
2F129EE87
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF65
2F129FF69
2F129HH25
5L030BB08
5L049BB08
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】適切な情報を適切な場所およびタイミングで乗員に伝えることが可能なナビゲーションアラートシステムを提供する。
【解決手段】
ナビゲーションアラートシステム100は、自動車C10に取り付けられ、衛星システムS10と協働して測位情報を取得するユーザセグメント210と、ユーザセグメント210が取得した測位情報を送出する送出手段240と、送出手段240が送出した測位情報に対応するアラート情報の有無を判定し、有と判定した場合にアラート情報を出力する地域情報サーバ400と、地域情報サーバ400が出力したアラート情報を乗員M10に報知する報知手段と、を備え、測位情報には、測位情報をユーザセグメント210が取得した日時の日時情報が含まれ、地域情報サーバ400は、日時情報を参照して、アラート情報の有無の判定結果または出力するアラート情報の内容を変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物のユーザに、当該乗り物の測位情報に対応するアラート情報を提供するナビゲーションアラートシステムであって、
前記乗り物に取り付けられ、衛星システムと協働して前記測位情報を取得するユーザセグメントと、
前記ユーザセグメントが取得した前記測位情報を送出する送出手段と、
前記送出手段が送出した前記測位情報に対応する前記アラート情報の有無を判定し、有と判定した場合に当該アラート情報を出力する判定手段と、
前記判定手段が出力した前記アラート情報を前記ユーザに報知する報知手段と、を備え、
前記測位情報には、当該測位情報を前記ユーザセグメントが取得した日時の日時情報が含まれ、
前記判定手段は、前記日時情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させる、
ナビゲーションアラートシステム。
【請求項2】
請求項1に記載されたナビゲーションアラートシステムであって、
前記乗り物または前記ユーザが発する非常情報を回収する回収手段を備え、
前記送出手段は、前記回収手段が回収した前記非常情報がある場合に、当該非常情報を前記測位情報と紐づけた状態で送出し、
前記測位情報には、前記日時における前記乗り物の位置の位置情報が含まれ、
さらに、前記測位情報と紐づけられた前記非常情報が前記送出手段から送出されたときに、前記非常情報を前記測位情報と対応付けて記憶する記憶手段を備えている、
ナビゲーションアラートシステム。
【請求項3】
請求項2に記載されたナビゲーションアラートシステムであって、
前記判定手段は、前記アラート情報とすることが可能な情報であるアラート情報候補と、当該アラート情報候補に対応する前記測位情報のフラグとを対応付けたデータ対が複数記憶されたデータベースを有して、前記送出手段が送出した前記測位情報がいずれかの前記データ対における前記フラグに該当する場合に、当該フラグに対応付けられた前記アラート情報候補を前記アラート情報として出力するものであり、
さらに、前記判定手段は、前記記憶手段が前記非常情報を前記測位情報と対応付けて記憶したときに、当該測位情報に前記フラグを設定し、当該フラグと対応付けた前記非常情報を前記アラート情報候補とすることで前記データ対を作成し、当該データ対を前記データベースに記憶させる、
ナビゲーションアラートシステム。
【請求項4】
請求項3に記載されたナビゲーションアラートシステムであって、
前記ユーザセグメントと前記送出手段とのセットを複数備え、
複数の前記セットに含まれる前記送出手段のそれぞれが、同一の前記判定手段に対して送出を行う、
ナビゲーションアラートシステム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載されたナビゲーションアラートシステムであって、
前記測位情報には、前記日時における前記乗り物の進行方向の方向情報が含まれ、
前記判定手段は、前記日時における前記方向情報を取得し、当該方向情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させる、
ナビゲーションアラートシステム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載されたナビゲーションアラートシステムであって、
前記測位情報には、前記日時における前記乗り物の位置の位置情報が含まれ、
前記判定手段は、前記日時における前記位置の天気情報を取得し、当該天気情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させる、
ナビゲーションアラートシステム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載されたナビゲーションアラートシステムであって、
前記送出手段は、前記ユーザセグメントが取り付けられた前記乗り物の属性情報を前記測位情報と紐づけた状態で送出し、
前記判定手段は、前記送出手段が送出した前記属性情報を取得し、当該属性情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させる、
ナビゲーションアラートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ナビゲーションアラートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物の現在地に関する情報をユーザに報知可能な情報報知装置が、従来知られている。例えば、特許文献1の情報報知装置では、「××商店 肉の特売」のように、現在地を中心に設定された検索地域に関係する情報を乗り物の外のデータベースから入手する技術が開示されている。当該情報報知装置は、現在地検出手段にGPSを用いることでナビゲーション装置に含めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、「特売」は一般的に期間を限って行われるものであるため、その情報は時機を逸しているときには意味のないものとなる。しかしながら、特許文献1の技術は、報知する情報が時機を逸しているか否かに関わらず、その情報を報知するものである。
【0005】
本開示は、このような点に鑑みて発明されたものであり、この発明が解決しようとする課題は、適切な情報を適切な場所およびタイミングでユーザに伝えることが可能なナビゲーションアラートシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のナビゲーションアラートシステムは次の構成を備える。
【0007】
まず、第1の開示は、乗り物のユーザに、当該乗り物の測位情報に対応するアラート情報を提供するナビゲーションアラートシステムであって、前記乗り物に取り付けられ、衛星システムと協働して前記測位情報を取得するユーザセグメントと、前記ユーザセグメントが取得した前記測位情報を送出する送出手段と、前記送出手段が送出した前記測位情報に対応する前記アラート情報の有無を判定し、有と判定した場合に当該アラート情報を出力する判定手段と、前記判定手段が出力した前記アラート情報を前記ユーザに報知する報知手段と、を備え、前記測位情報には、当該測位情報を前記ユーザセグメントが取得した日時の日時情報が含まれ、前記判定手段は、前記日時情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させるものである。
【0008】
第1の開示に係るナビゲーションアラートシステムは、日時情報を参照してアラート情報の出力の有無または出力するアラート情報の内容を変化させることができる。これにより、適切なアラート情報を適切な場所およびタイミングでユーザに伝えることが可能なナビゲーションアラートシステムを提供することができる。
【0009】
ここで、第1の開示に係るナビゲーションアラートシステムは、後述する第2の開示に係るナビゲーションアラートシステムであっても良い。この第2の開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいては、前記乗り物または前記ユーザが発する非常情報を回収する回収手段を備え、前記送出手段は、前記回収手段が回収した前記非常情報がある場合に、当該非常情報を前記測位情報と紐づけた状態で送出し、前記測位情報には、前記日時における前記乗り物の位置の位置情報が含まれ、さらに、前記測位情報と紐づけられた前記非常情報が前記送出手段から送出されたときに、前記非常情報を前記測位情報と対応付けて記憶する記憶手段を備えているものである。
【0010】
第2の開示に係るナビゲーションアラートシステムによれば、記憶手段は送出手段から送出された非常情報を測位情報と対応付けて記憶する。これにより、乗り物またはユーザが発する非常情報をその場で回収し、新たなアラート情報の候補として活用することができる。
【0011】
ここで、第2の開示に係るナビゲーションアラートシステムは、後述する第3の開示に係るナビゲーションアラートシステムであっても良い。この第3の開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいては、前記判定手段は、前記アラート情報とすることが可能な情報であるアラート情報候補と、当該アラート情報候補に対応する前記測位情報のフラグとを対応付けたデータ対が複数記憶されたデータベースを有して、前記送出手段が送出した前記測位情報がいずれかの前記データ対における前記フラグに該当する場合に、当該フラグに対応付けられた前記アラート情報候補を前記アラート情報として出力するものであり、さらに、前記判定手段は、前記記憶手段が前記非常情報を前記測位情報と対応付けて記憶したときに、当該測位情報に前記フラグを設定し、当該フラグと対応付けた前記非常情報を前記アラート情報候補とすることで前記データ対を作成し、当該データ対を前記データベースに記憶させるものである。
【0012】
第3の開示に係るナビゲーションアラートシステムによれば、回収手段が回収した非常情報とフラグとが対応付けられたデータ対は、データベースに記憶される。これにより、乗り物またはユーザが発する非常情報を、その場で新たなアラート情報として活用可能な状態にすることができる。
【0013】
ここで、第3の開示に係るナビゲーションアラートシステムは、後述する第4の開示に係るナビゲーションアラートシステムであっても良い。この第4の開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいては、前記ユーザセグメントと前記送出手段とのセットを複数備え、複数の前記セットに含まれる前記送出手段のそれぞれが、同一の前記判定手段に対して送出を行うものである。
【0014】
第4の開示に係るナビゲーションアラートシステムは、一のセットにおいて回収された非常情報をフラグと対応付けられたデータ対としてデータベースに記憶し、これを他のセットにおいてもアラート情報として活用可能な状態にすることができる。
【0015】
ここで、第1の開示から第4の開示のうちのいずれか一つに係るナビゲーションアラートシステムは、後述する第5の開示に係るナビゲーションアラートシステムであっても良い。この第5の開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいては、前記測位情報には、前記日時における前記乗り物の進行方向の方向情報が含まれ、前記判定手段は、前記日時における前記方向情報を取得し、当該方向情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させるものである。
【0016】
乗り物の測位情報に対応するアラート情報の中には、乗り物の進行方向によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、東西に延びる道路を西側に向かって走行している乗り物において、現在位置よりも東側で行われている通行止めの情報は、同じく西側で行われている車線規制の情報よりも重要性が低い。ここで、第5の開示に係るナビゲーションアラートシステムによれば、測位が行われた日時の、乗り物の進行方向の方向情報を参照してアラート情報の出力の有無またはアラート情報の内容を変化させることができる。これにより、乗り物の進行方向に対応した適切なアラート情報をその場でユーザに伝えることが可能なナビゲーションアラートシステムを提供することができる。
【0017】
ここで、第1の開示から第4の開示のうちのいずれか一つに係るナビゲーションアラートシステムは、後述する第6の開示に係るナビゲーションアラートシステムであっても良い。この第6の開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいて、前記測位情報には、前記日時における前記乗り物の位置の位置情報が含まれ、前記判定手段は、前記日時における前記位置の天気情報を取得し、当該天気情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させるものである。
【0018】
第6の開示に係るナビゲーションアラートシステムは、測位が行われた日時の、ユーザの現在位置における天気情報を参照してアラート情報の出力の有無またはアラート情報の内容を変化させることができる。これにより、ユーザの現在位置における天気に対応した適切なアラート情報をその場でユーザに伝えることが可能なナビゲーションアラートシステムを提供することができる。
【0019】
ここで、第1の開示から第4の開示のうちのいずれか一つに係るナビゲーションアラートシステムは、後述する第7の開示に係るナビゲーションアラートシステムであっても良い。この第7の開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいては、前記送出手段は、前記ユーザセグメントが取り付けられた前記乗り物の属性情報を前記測位情報と紐づけた状態で送出し、前記判定手段は、前記送出手段が送出した前記属性情報を取得し、当該属性情報を参照して、前記有無の判定結果または出力する前記アラート情報の内容を変化させるものである。
【0020】
乗り物に対するアラート情報の中には、乗り物の属性情報によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、進行先にあるガードの桁下制限高が「1.6m」であるという情報は、車高が1.8mのワゴン車には重要性が高いが、車高が1.5mであるセダン車には重要性が低い。また、「大型等」の補助標識が付された標識の情報は、乗り物が大型自動車または特定中型自動車でない限り重要性が低い。ここで、第7の開示に係るナビゲーションアラートシステムは、乗り物の属性情報を参照してアラート情報の出力の有無または出力するアラート情報の内容を変化させることができる。これにより、乗り物の属性情報に対応した適切なアラート情報をその場でユーザに伝えることが可能なナビゲーションアラートシステムを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示は、上記それぞれの構成をもつことにより、適切な情報を適切な場所およびタイミングでユーザに伝えることが可能なナビゲーションアラートシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ナビゲーションアラートシステム100の使用状態を説明する説明図である。
【
図2】ナビゲーションアラートシステム100の構成を説明する説明図である。
【
図3】地域データベース431を説明する説明図である。
【
図4】アラート情報550の伝達処理を説明する説明図である。
【
図5】データ対の作成処理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施形態>
本開示の第1の実施形態に係るナビゲーションアラートシステム100は、
図1に示すように、複数の乗り物(
図1では自動車C10、AC10)について、そのユーザ(
図1では乗員M10、AM10)に、乗り物の測位情報520に対応するアラート情報550(
図4参照)を提供するものである。なお、ナビゲーションアラートシステム100においてアラート情報550の提供先となる乗り物の数は、任意に変更できる。
【0024】
ここで、自動車C10および自動車AC10は、自動車C10には乗員M10が搭乗しており自動車AC10には乗員AM10が搭乗している点を除いて、全く同じ構成のものである。このため、以下においては、自動車C10および自動車AC10に搭載されるそれぞれの構成について、その詳細な説明を自動車C10に搭載される構成のそれぞれの説明により代表させて行う。そして、自動車AC10に搭載される構成のそれぞれについては、自動車C10に搭載される、構成のそれぞれの符号の頭に「A」をつけた符号を付すことで対応させ、その詳細な説明を省略する。
【0025】
ナビゲーションアラートシステム100は、それぞれ後述するユーザセグメント210と送出手段240とのセット200、気象データセンター300、および、地域情報サーバ400を備えている。送出手段240と、気象データセンター300と、地域情報サーバ400とは、それぞれコンピュータネットワークN10に接続されて、互いに情報のやり取りを行うことが可能となるようにされている。
【0026】
地域情報サーバ400は、複数の乗り物に搭載されるそれぞれのセット(
図1ではセット200、A200)において共通の送出先となるものである。すなわち、複数の乗り物に搭載されるそれぞれのセットの送出手段(
図1では送出手段240、A240)は、同一の地域情報サーバ400に対して送出を行う。ここで、地域情報サーバ400は、本開示における「判定手段」に相当する。
【0027】
<セットの構成>
セット200は、
図2に示すように、ユーザセグメント210および本体セグメント220を備えている。この本体セグメント220には、電源コード270が付設されている。ユーザセグメント210は、自動車C10(
図1参照)に取り付けられ、衛星システムS10と協働して測位情報520(
図3参照)を取得する。
【0028】
本実施形態においては、衛星システムS10は、全地球航法衛星システム(以下、「GNSS」とも称する)のサービス提供の用に用いられるインフラストラクチャーである。衛星システムS10は、少なくとも4つの人工衛星を含む衛星セグメントと、これらの人工衛星を管制する管制セグメントとを有する(図示省略)。このため、測位情報520には、
図3に示すように、当該測位情報520をユーザセグメント210(
図1参照)が取得した位置の位置情報521と、同じく日時の日時情報522とが含まれる。また、測位情報520には、日時情報522の日時における、速度の速度情報523と、加速度の加速度情報524と、進行方向の方向情報525とが含まれる。
【0029】
本体セグメント220は、
図2に示すように、ユーザセグメント210が測位した測位情報520(
図3参照)を乗員M10(
図1参照)が携帯する通信端末M11に送出する送出手段240と、アラート情報550(
図5参照)を乗員M10に報知する報知手段260とを有する。ここで、アラート情報550には、過去に起きた交通事故の情報の他、道路情報、およびイベント情報等の有用な情報(図示せず)が含まれる。電源コード270は、本体セグメント220を給電状態にする。
【0030】
<ユーザセグメントの構成>
ユーザセグメント210は、GNSSのサービスに対応した通信モジュール211を備えている。また、ユーザセグメント210と本体セグメント220との間には、互いの間で情報のやり取りおよび電力の融通を行うためのケーブル(
図2では通信ケーブル217)が接続されている。
【0031】
また、ユーザセグメント210には、補完センサ212と、制御用マイコン213とが付設されている。ここで、補完センサ212は、加速度センサ212Aおよびジャイロセンサ212Bを組み合わせたものである。制御用マイコン213は、ユーザセグメント210が直近に取得した測位情報520(
図3参照)を記憶する。
【0032】
制御用マイコン213は、ユーザセグメント210が測位情報520(
図3参照)の取得に失敗したときには、加速度センサ212Aが検出する加速度情報(
図3参照)、およびジャイロセンサ212Bが検出した進行方向の方向情報(
図3参照)を取得する。また、制御用マイコン213は、これらの情報と自身が記憶する測位情報520とから、現時点における測位情報520を推定する。そして、制御用マイコン213は、推定した測位情報520が、ユーザセグメント210と衛星システムS10との協働により取得された測位情報520であるとみなして、その後の処理を実行する。これにより、ユーザセグメント210は、衛星システムS10からの信号が届かない場所(例えばトンネル内)に位置している際にも、その処理を続行することができる。
【0033】
また、ユーザセグメント210には、レベル表示ランプ216が付設されている。このレベル表示ランプ216は、報知手段260の報知と同期して点灯するものであり、点灯する発光色がアラート情報550(
図4参照)に対応するレベル情報555(
図4参照)に応じて決められている。レベル情報555には、重要性が、高いもの、中程のもの、低いもの、無いものの4段階がある。このレベル情報555は、アラート情報550の重要性に対応して、地域情報サーバ400の管理者(
図2に示す分析手段432)が設定するものである。なお、レベル表示ランプ216は、
図1に示すように、乗員M10がその点灯をインジケーターランプ236の点灯と間違えないように、インジケーターランプ236から離れて位置される。
【0034】
<本体セグメントの構成>
本体セグメント220は、
図2に示すように、送出手段240および報知手段260の他、回収手段250、および、これらを制御する制御手段230を有する。回収手段250は、乗員M10(
図1参照)が発する非常情報530(
図3参照)を回収するものである。ただし、非常情報530は、乗り物(例えば自動車C10)それ自体が周囲の状況を判断できるものである場合は、この乗り物が発するものであっても良い。
【0035】
<制御手段の構成>
制御手段230には、電源装置231、制御基板233、温度センサ232A、湿度センサ232B、記憶媒体234、接続ボタン235、およびインジケーターランプ236が用いられる。これらにより、制御手段230は以下の機能を発揮することができる。
【0036】
制御手段230は、電源装置231により電源コード270からの電気エネルギーをユーザセグメント210および本体セグメント220に対応した電気エネルギーに変換させる。同じく、制御手段230は、自動車C10(
図1参照)の車内における温度の温度情報526A(
図3参照)を、温度センサ232Aにより取得する。同じく、制御手段230は、自動車C10の車内における湿度の湿度情報526B(
図3参照)を、湿度センサ232Bにより取得する。なお、温度情報526Aおよび湿度情報526Bは、以下においては「温湿度情報526(
図3参照)」とも称する。
【0037】
制御手段230(
図2参照)は、
図3に示すように、制御基板233(
図2参照)により測位情報520、温湿度情報526、および非常情報530を記憶媒体234(
図2参照)に記憶させる。ここで、記憶媒体234には、セット200(
図2参照)のID情報511(
図4参照)、およびナビゲーションアラートシステム100(
図2参照)を使用する際に乗員M10(
図1参照)が登録した自動車C10(
図1参照)の属性情報512が予め記憶されている。この属性情報512には、自動車C10の車種に対応した、車高情報512A、車幅情報512B、および車種区分情報512Cが含まれている。なお、本実施形態の記憶媒体234には、例えばUSBフラッシュメモリやSDカードが用いられる。また、本実施形態の車種区分情報512Cは、例えば「小型自動車」「大型自動車」などの、車種を区分する情報である。
【0038】
制御手段230は、
図2に示すように、制御基板233により、ID情報511(
図4参照)、属性情報512、測位情報520、温湿度情報526、および非常情報530(
図3参照)を記憶媒体234から読み取る。そして、制御手段230の制御基板233は、接続ボタン235に対して乗員M10(
図1参照)が入力を行った際には、ID情報511、属性情報512、測位情報520、温湿度情報526、および非常情報530を、送出手段240によって送出することが可能な状態にする。
【0039】
制御手段230は、インジケーターランプ236によりナビゲーションアラートシステム100が種々の状態にあることを乗員M10(
図1参照)に報知する。ここで、ナビゲーションアラートシステム100の状態には、給電部(図示せず)から電源装置231に給電状態であること、ユーザセグメント210から測位情報520(
図3参照)を取得可能な状態であること、送出手段240が種々の情報を送出可能な状態であることが含まれる。なお、本実施形態のインジケーターランプ236には、定格電圧がかけられることで発光するLEDがそれぞれ用いられる。
【0040】
<送出手段の構成>
送出手段240には、セット200とは別の通信端末M11を介して、情報をコンピュータネットワークN10上に無線送信する通信モジュール241が用いられる。ここで、送出手段240が送出する送出情報には、
図3に示すように、ユーザセグメント210(
図2参照)が取得する測位情報520が含まれる。また、上記送出情報には、ID情報511(
図4参照)、属性情報512、および温湿度情報526が含まれる。また、上記送出情報には、回収手段250(
図2参照)が回収した非常情報530を含ませることができる。この場合、送出手段240(
図2参照)は、非常情報530を測位情報520と紐づけた状態で送出する。
【0041】
通信端末M11がコンピュータネットワークN10を介して地域情報サーバ400と接続されるとき、
図2に示すように、上記送出情報は地域情報サーバ400に送信される。なお、本実施形態の通信端末M11には、例えば、通信モジュール241とコンピュータネットワークN10とが接続可能となるようにテザリングするスマートフォンが用いられる。
【0042】
<回収手段の構成>
非常情報530には、
図3に示すように、乗り物(
図1では自動車C10、AC10)が自動で発する自動非常情報530Aと、乗員M10(
図1参照)が自ら発する手動非常情報530Bと、の一方または両方が含まれる。この手動非常情報530Bは、例えば、乗員M10が認知した、乗り物の運転において注意すべき事項の情報(以下、「注意情報」)であっても良い。また、手動非常情報530Bは、例えば、乗員M10が認知した、現在位置周辺で行われている観光情報またはイベント情報であっても良い。ここで、「注意情報」は、例えば
図3に示す「西日がまぶしい。運転注意」「スクールゾーン。小学生に注意」等である。また、「観光情報」は、例えば
図3に示す「ソメイヨシノ満開」等である。また、「イベント情報」は、例えば
図3に示す「××商店 肉の日セール」等である。
【0043】
回収手段250には、
図2に示すように、自動非常情報530A(
図3参照)を回収する自動回収装置251と、手動非常情報530B(
図3参照)を回収する手動回収装置252とが含まれる。
【0044】
自動回収装置251には、例えば、ユーザセグメント210が取得する加速度情報524(
図3参照)が、所定の基準範囲(例えば±0.5Gの範囲内)から外れるときに自動非常情報530A(
図3参照)を発する処理装置が用いられる。
【0045】
手動回収装置252には、例えば、乗員M10(
図1参照)が情報入力の意思表示をする入力ボタン(図示せず)と、乗員M10が発する音声を拾うマイク(図示せず)と、マイクが拾う音声を一定時間、回収可能な状態にする制御基板233とが用いられる。この制御基板233は、マイクが拾う音声をテキスト情報(図示せず)として復号化が可能となるように符号化する。符号化された信号は、手動非常情報530B(
図3参照)に相当する。これにより、乗員M10が入力ボタンを押すことで、乗員M10の音声をマイクが一定時間、拾い、その信号を回収することができる。なお、手動回収装置252は、乗員M10が入力ボタンを押したことを手動非常情報530Bとして回収するものであっても良い。
【0046】
<報知手段の構成>
報知手段260には、地域情報サーバ400が出力したアラート情報550(
図4参照)およびレベル情報555(
図4参照)を乗員M10(
図1参照)に音声(図示省略)で報知する増幅器付スピーカー(図示せず)が用いられる。増幅器付スピーカーは、乗員M10が認識可能な音域および音量であり、アラート情報550を音声で報知する前に発信音(図示省略)を鳴らす。この発信音は、乗員M10に注意喚起を促すものであり、レベル情報555に応じて音域が異なる。また、発信音の発信は、上記ユーザセグメント210におけるレベル表示ランプ216の点灯開始と同期する。
【0047】
<電源コードの構成>
電源コード270は、自動車C10(
図1参照)の給電部(図示せず。例えばシガーソケット)と、電源装置231とを電気的に接続することが可能なものである。ここで、電源コード270は、シガープラグ271および給電ケーブル277を有する。これにより、自動車C10の給電部で本体セグメント220を給電状態にすることができる。なお、電源コード270には、電源装置231に過電流が流れないようにヒューズ273が内蔵されている。
【0048】
<気象データセンターの構成>
気象データセンター300は、コンピュータネットワークN10を介したクライアントのリクエスト541(
図4、
図5参照)に対して、天気情報543(
図3参照)をレスポンスとして提供するものである。ここで、「クライアント」の中には地域情報サーバ400が含まれる。
【0049】
<地域情報サーバの構成>
地域情報サーバ400は、測位情報520(
図3参照)に対応するアラート情報550(
図4参照)の「有無を判定し、「有」と判定した場合に当該アラート情報550を出力する。地域情報サーバ400は、通信手段410と、判別手段420と、記憶手段430と、アラート手段440とを有している。
【0050】
<通信手段の構成>
通信手段410は、通信端末M11およびコンピュータネットワークN10を介して、セット200との間で種々の情報の送受信を行う。通信手段410が受信する情報には、セット200の送出手段240が送出した、ID情報511(
図4参照)、属性情報512、測位情報520、温湿度情報526、および非常情報530(
図3参照)が含まれる。また、通信手段410は、送受信する相手のセット200に対して、このセット200に宛てたアラート情報550(
図4参照)およびレベル情報555(
図4参照)を送信する。送信されたアラート情報550は、セット200の報知手段260に送られる。送信されたレベル情報555は、送受信相手のセット200のユーザセグメント210に送られる。
【0051】
また、通信手段410は、コンピュータネットワークN10を介して、気象データセンター300との間で種々の情報の送受信を行う。すなわち、通信手段410は、位置情報521および日時情報522を含む測位情報520を、気象データセンター300に対するリクエスト541(
図4、
図5参照)として送信する。また、通信手段410は、測位情報520の位置情報521および日時情報522(
図3参照)に対応する天気情報543(
図3参照)を、気象データセンター300からのレスポンスとして受信する。
【0052】
これらにより、地域情報サーバ400は、セット200の送出手段240が送出した測位情報520から、対応する日時および位置の天気情報543(
図3参照)を取得することができる。
【0053】
なお、地域情報サーバ400が気象データセンター300から天気情報543(
図3参照)を取得することができなかったとき、地域情報サーバ400は、その分析手段432(後述)によって天気情報543を推定するものであっても良い。例えば、分析手段432は、セット200の送出手段240が送出した測位情報520から、地域データベース431(後述)において天気情報543の推定に必要な位置情報521、日時情報522、および温湿度情報526(
図3参照)を探し出す。そして、分析手段432は、送出手段240が送出した測位情報520に対応する日時および位置の天気情報543を推定する。
【0054】
<判別手段の構成>
判別手段420は、通信手段410において送出手段240から送出された非常情報530(
図3参照)が測位情報520(
図3参照)に紐づけられていると判別したときに、非常情報530を測位情報520と対応付けて記憶手段430に記憶させる。この際、判別手段420は、記憶手段430に属性情報512、温湿度情報526、および天気情報543(
図3参照)を当該測位情報520と対応付けて記憶させることができる。
【0055】
<記憶手段の構成>
記憶手段430は、測位情報520(
図3参照)と紐づけられた非常情報530(
図3参照)が送出手段240から送出されたときに、非常情報530を測位情報520と対応付けて記憶する。これにより、自動車C10(
図1参照)または乗員M10(
図1参照)が発する非常情報530(
図3参照)をその場で回収し、新たなアラート情報550(
図4参照)のアラート情報候補(図示せず)として活用することができる。ここで、記憶手段430は、地域データベース431および分析手段432を有するものである。地域データベース431は、本開示における「データベース」に相当する。以下に地域データベース431および分析手段432を説明する。
【0056】
地域データベース431は、アラート情報550(
図4参照)とすることが可能な情報であるアラート情報候補(図示せず)と、当該アラート情報候補に対応する測位情報520(
図3参照)のフラグ(図示せず)と、が対応付けられたデータ対(図示せず)が複数記憶されるものである。なお、地域データベース431には、コンピュータ読み取り可能に記憶するメディア(本実施形態では例えば、メモリおよびHDD)が用いられる。
【0057】
地域情報サーバ400は、その記憶手段430によって、非常情報530(
図3参照)を測位情報520(
図3参照)と対応付けて地域データベース431に記憶する。この際、地域情報サーバ400は、その分析手段432によって、測位情報520にフラグ(図示せず)を設定するとともに、このフラグに対応する非常情報530をアラート情報候補(図示せず)とすることで、データ対(図示せず)を新たに作成する。そして、地域情報サーバ400は、その記憶手段430によって、新たに作成されたデータ対を地域データベース431に記憶する。
【0058】
本実施形態においては、分析手段432は、測位情報520に含まれる種々のパラメータの1つまたは複数について、これを所定の区分基準で区分したものをフラグ(図示せず)として設定する。また、地域情報サーバ400は、新たに作成されたデータ対(図示せず)に、このデータ対に対応するレベル情報555(
図4参照)を紐づけて、これらを一緒に地域データベース431に記憶する。
【0059】
<アラート手段の構成>
アラート手段440は、送出手段240が送出した測位情報520(
図3参照)において、そのユーザセグメント210が取得する日時情報522(
図3参照)を参照して、アラート情報550(
図4参照)の有無の判定結果、または、出力するアラート情報550の内容を変化させるものである。これにより、適切なアラート情報550を適切な場所およびタイミングで乗員M10(
図1参照)に伝えることが可能なナビゲーションアラートシステム100を提供することができる。
【0060】
アラート手段440は、送出手段240が送出した測位情報520(
図3参照)および/または当該測位情報520に紐づけられたデータが地域データベース431におけるいずれかのデータ対(図示せず)のフラグ(図示せず)に該当する場合、出力すべきアラート情報550(
図4参照)が「有」であると判定して、ID情報511(
図4参照)宛てのセット200の報知手段260に出力する。ここで、当該フラグに対応付けられたアラート情報候補(図示せず)は、アラート情報550として処理される。また、アラート手段440は、送出手段240が送出した測位情報520および/または当該測位情報520に紐づけられたデータが地域データベース431におけるいずれのデータ対のフラグにも該当しない場合、出力すべきアラート情報550が「無」であると判定して、報知手段260への出力を行わない。
【0061】
すなわち、地域情報サーバ400のアラート手段440は、測位情報520(
図3参照)に含まれるおよび/または測位情報520に紐づけられたデータの1つまたは複数を参照してアラート情報550(
図4参照)の出力の有無の判定結果または出力するアラート情報550の内容を変化させる。これにより、自動車C10(
図1参照)または乗員M10(
図1参照)が発する非常情報530(
図3参照)を、その場で新たなアラート情報550とし、当該アラート情報550を適切な場所およびタイミングで乗員M10に伝えることができる。
【0062】
上記の具体例について、以下で例示的に説明する。
【0063】
自動車C10(
図1参照)の測位情報520(
図3参照)に対応するアラート情報550(
図4参照)の中には、日時情報522(
図3参照)によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、進行方向が西側であるため、西日がまぶしくて運転がしにくいおそれがあるという情報は、西日が差す夕方の時間帯には重要性が高いが、早朝の時間帯には重要性が低い。また、スクールゾーンの中の道路を走行しているため、小学生に注意すべきであるという情報は、小学生の通学時間または小学生が出歩いている可能性のある日中の時間には重要性が高いが、深夜の時間帯には重要性が低い。
【0064】
これに対し、アラート手段440は、測位情報520(
図3参照)に含まれる日時情報522(
図3参照)を参照する。そして、アラート手段440は、参照した日時情報522がいずれかのデータ対(図示せず)のフラグ(図示せず)に該当する場合に、このフラグに対応付けられたアラート情報候補(例えば「スクールゾーン。小学生に注意」等)をアラート情報550(
図4参照)として出力する。これにより、アラート手段440は、日時情報522が示す日時において重要性が高い情報のみを出力することができる。
【0065】
また、自動車C10(
図1参照)の測位情報520(
図3参照)に対応するアラート情報550(
図4参照)の中には、自動車C10の進行方向の方向情報525(
図3参照)によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、西日がまぶしくて運転がしにくいおそれがあるという情報は、自動車C10が西側に向かって走行している場合には重要性が高いが、東側に向かって走行している場合には重要性が低い。また、東西に延びる道路(図示せず)を西側に向かって走行している自動車C10において、現在位置よりも東側で行われている通行止めの情報は、同じく西側で行われている車線規制の情報よりも重要性が低い。
【0066】
これに対し、アラート手段440は、測位情報520(
図3参照)に含まれる方向情報525(
図3参照)を参照する。そして、アラート手段440は、参照した方向情報525がいずれかのデータ対(図示せず)のフラグ(図示せず)に該当する場合に、このフラグに対応付けられたアラート情報候補(例えば「西日がまぶしい。運転注意」等)をアラート情報550(
図4参照)として出力する。これにより、アラート手段440は、方向情報525が示す進行方向において重要性が高い情報のみを出力することができる。
【0067】
また、自動車C10(
図1参照)の測位情報520(
図3参照)に対応するアラート情報550(
図4参照)の中には、天気情報543(
図3参照)によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、西日がまぶしくて運転がしにくいおそれがあるという情報は、晴天の時は重要性が高いが、曇天または雨天の時は重要性が低い。また、路面凍結や積雪のため走行に注意すべきであるという情報は、気温が低い時には重要性が高いが、気温が高く雪や氷が残りえない時には重要性が低い。
【0068】
これに対し、アラート手段440は、測位情報520(
図3参照)に紐づけられた天気情報543(
図3参照)を参照する。そして、アラート手段440は、参照した天気情報543がいずれかのデータ対(図示せず)のフラグ(図示せず)に該当する場合に、このフラグに対応付けられたアラート情報候補(例えば「雪が残っている。走行注意」等)をアラート情報550(
図4参照)として出力する。これにより、アラート手段440は、天気情報543が示す天気において重要性が高い情報のみを出力することができる。
【0069】
また、自動車C10(
図1参照)に対するアラート情報550(
図4参照)の中には、自動車C10の属性情報512(
図3参照)によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、進行先にあるガードの桁下制限高が「1.6m」であるという情報は、車高が1.8mのワゴン車には重要性が高いが、車高が1.5mであるセダン車には重要性が低い。また、「大型等」の補助標識が付された標識の情報は、自動車C10が大型自動車または特定中型自動車でない限り重要性が低い。
【0070】
これに対し、アラート手段440は、測位情報520(
図3参照)に紐づけられた属性情報512(
図3参照)を参照する。そして、アラート手段440は、参照した属性情報512がいずれかのデータ対(図示せず)のフラグ(図示せず)に該当する場合に、このフラグに対応付けられたアラート情報候補(例えば「進行先のガード、桁下制限高が1.6m。迂回が必要」等)をアラート情報550(
図4参照)として出力する。これにより、アラート手段440は、自動車C10の属性情報512(
図3参照)において重要性が高い情報のみを出力することができる。
【0071】
<ナビゲーションアラートシステムの使用方法>
上述したナビゲーションアラートシステム100は、セット200および通信端末M11を自動車C10の車内に配置し、セット200および通信端末M11を給電状態および通信状態となるように接続する。ここで、乗員M10は、制御手段230のインジケーターランプ236によりナビゲーションアラートシステム100が種々の状態にあることを確認できる。また、本体セグメント220の記憶媒体234には、予めセット200のID情報511(
図4参照)、および自動車C10の属性情報512が記憶されている。これらの状態においてナビゲーションアラートシステム100の使用方法を以下に説明する。
【0072】
ここで、ナビゲーションアラートシステム100の使用方法には、非常情報530が発せられていないときに実行されるアラート情報550の提供処理と、非常情報530が発せられたときに実行されるデータ対(図示せず)の作成処理と、が含まれる。
【0073】
<アラート情報の伝達処理>
まず、ユーザセグメント210は、
図4に示すように、衛星システムS10と協働して、測位情報520を取得する。
【0074】
次に、ユーザセグメント210は、通信ケーブル217で本体セグメント220に測位情報520を送る。
【0075】
次に、本体セグメント220は、制御手段230の温度センサ232Aおよび湿度センサ232Bで温度情報526Aおよび湿度情報526Bを含む温湿度情報526を検出する。そして、本体セグメント220は、測位情報520、温湿度情報526を含む温湿度情報526を制御手段230の記憶媒体234に記憶させる。
【0076】
次に、本体セグメント220は、ユーザセグメント210から直近に取得した測位情報520を、対応するID情報511(
図4参照)、属性情報512、および温湿度情報526と紐づけられた状態にする。そして、本体セグメント220は、その送出手段240により、紐づけられた、それぞれのデータを通信端末M11およびコンピュータネットワークN10を介して地域情報サーバ400に送る。
【0077】
次に、地域情報サーバ400は、送出手段240から送られた測位情報520に含まれる位置情報521および日時情報522を、通信手段410によって気象データセンター300に送る。これは、位置情報521および日時情報522に対応する天気情報543を気象データセンター300に求めるリクエスト541の形で行われる。
【0078】
次に、気象データセンター300は、地域情報サーバ400からのリクエスト541に対応する天気情報543を、地域情報サーバ400へのレスポンスの形で送る。
【0079】
次に、地域情報サーバ400は、気象データセンター300から送られた天気情報543と、記憶媒体234に記憶された属性情報512とを、送出手段240から送られた測位情報520に紐づける。そして、地域情報サーバ400は、そのアラート手段440を用いて、紐づけられたデータのいずれかが、地域データベース431におけるいずれかのデータ対(図示せず)のフラグ(図示せず)に該当するか否かを判定する。「該当する」と判定された場合、地域情報サーバ400のアラート手段440は、ID情報511(
図4参照)が示すセット200の本体セグメント220に、アラート情報550および対応するレベル情報555を出力する。ここで、フラグに対応付けられたアラート情報候補(図示せず)は、アラート情報550として処理される。「該当しない」と判定された場合、地域情報サーバ400は、追加の処理を行わない。
【0080】
アラート情報550およびレベル情報555の出力に対し、本体セグメント220は、その報知手段260を使用して、アラート情報550を乗員M10に報知する。この報知は、アラート情報550と対応して出力されたレベル情報555が示す態様で行われる。
【0081】
次に、本体セグメント220は、アラート情報550と対応して出力されたレベル情報555を、通信ケーブル217を介してユーザセグメント210に送る。
【0082】
次に、ユーザセグメント210は、そのレベル表示ランプ216を、送られたレベル情報555に対応する態様で点灯させる。
【0083】
<データ対の作成処理>
まず、ユーザセグメント210は、
図5に示すように、衛星システムS10と協働して、測位情報520を取得する。
【0084】
次に、ユーザセグメント210は、通信ケーブル217で本体セグメント220に測位情報520を送る。
【0085】
次に、本体セグメント220は、制御手段230の温度センサ232Aおよび湿度センサ232Bで温度情報526Aおよび湿度情報526Bを含む温湿度情報526を検出する。そして、本体セグメント220は、測位情報520、温湿度情報526を含む温湿度情報526を制御手段230の記憶媒体234に記憶させる。
【0086】
次に、本体セグメント220は、その自動回収装置251が自動非常情報530Aを回収している場合に、この自動非常情報530Aを非常情報530として地域情報サーバ400に送る。また、本体セグメント220は、その手動回収装置252が乗員M10からの非常情報530(手動非常情報530B)を回収している場合に、この非常情報530を地域情報サーバ400に送る。この際、本体セグメント220は、非常情報530を、測位情報520、属性情報512、および温湿度情報526を紐づけた状態で送る。
【0087】
次に、地域情報サーバ400は、送出手段240から送られた測位情報520に含まれる位置情報521および日時情報522を、通信手段410によって気象データセンター300に送る。これは、位置情報521および日時情報522に対応する天気情報543を気象データセンター300に求めるリクエスト541の形で行われる。
【0088】
次に、気象データセンター300は、地域情報サーバ400からのリクエスト541に対応する天気情報543を、地域情報サーバ400へのレスポンスの形で送る。
【0089】
次に、地域情報サーバ400は、その記憶手段430によって、非常情報530を測位情報520と対応付けて自身の地域データベース431に記憶する。この際、地域情報サーバ400は、その分析手段432によって、測位情報520にフラグ(図示せず)を設定するとともに、このフラグに対応する非常情報530をアラート情報候補(図示せず)とすることで、データ対(図示せず)を新たに作成する。そして、地域情報サーバ400は、その記憶手段430によって、新たに作成されたデータ対を地域データベース431に記憶する。
【0090】
<作用・効果>
上述したナビゲーションアラートシステム100は、日時情報522を参照してアラート情報550の出力の有無または出力するアラート情報550の内容を変化させることができる。これにより、適切なアラート情報550を適切な場所およびタイミングで乗員M10に伝えることが可能なナビゲーションアラートシステム100を提供することができる。
【0091】
上述したナビゲーションアラートシステム100によれば、記憶手段430は送出手段240から送出された非常情報530を測位情報520と対応付けて記憶する。これにより、自動車C10または乗員M10が発する非常情報530をその場で回収し、新たなアラート情報550のアラート情報候補(図示せず)として活用することができる。
【0092】
上述したナビゲーションアラートシステム100によれば、回収手段250が回収した非常情報530とフラグ(図示せず)とが対応付けられたデータ対(図示せず)は、地域データベース431に記憶される。これにより、自動車C10または乗員M10が発する非常情報530を、その場で新たなアラート情報550として活用可能な状態にすることができる。
【0093】
上述したナビゲーションアラートシステム100は、一のセット200において回収された非常情報530をフラグ(図示せず)と対応付けられたデータ対(図示せず)として地域データベース431に記憶し、これを他のセット200においてもアラート情報550として活用可能な状態にすることができる。
【0094】
自動車C10の測位情報520に対応するアラート情報550の中には、自動車C10の進行方向によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、東西に延びる道路を西側に向かって走行している自動車C10において、現在位置よりも東側で行われている通行止めの情報は、同じく西側で行われている車線規制の情報よりも重要性が低い。ここで、上述したナビゲーションアラートシステム100によれば、測位が行われた日時の、自動車C10の進行方向の方向情報525を参照してアラート情報550の出力の有無またはアラート情報550の内容を変化させることができる。これにより、自動車C10の進行方向に対応した適切なアラート情報550をその場で乗員M10に伝えることが可能なナビゲーションアラートシステム100を提供することができる。
【0095】
上述したナビゲーションアラートシステム100は、測位が行われた日時の、乗員M10等の現在位置における天気情報543を参照してアラート情報550の出力の有無またはアラート情報550の内容を変化させることができる。これにより、乗員M10の現在位置における天気に対応した適切なアラート情報550をその場で乗員M10に伝えることが可能なナビゲーションアラートシステム100を提供することができる。
【0096】
自動車C10に対するアラート情報550の中には、自動車C10の属性情報512によって情報の重要性が変わってくるものがある。例えば、進行先にあるガードの桁下制限高が「1.6m」であるという情報は、車高が1.8mのワゴン車には重要性が高いが、車高が1.5mであるセダン車には重要性が低い。また、「大型等」の補助標識が付された標識の情報は、乗り物が大型自動車または特定中型自動車でない限り重要性が低い。ここで、上述したナビゲーションアラートシステム100は、乗り物の属性情報を参照してアラート情報550の出力の有無または出力するアラート情報550の内容を変化させることができる。これにより、自動車C10の属性情報512に対応した適切なアラート情報550をその場で乗員M10に伝えることが可能なナビゲーションアラートシステム100を提供することができる。
【0097】
本開示は、上記それぞれの構成をもつことにより、適切な情報を適切な場所およびタイミングで乗員M10に伝えることが可能なナビゲーションアラートシステム100を提供することができる。
【0098】
<他の実施形態>
以上、本発明を実施するための形態について、上述した実施形態によって説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明の目的を逸脱することなく種々の代用、手直し、変更が可能であることは明らかである。すなわち、本発明の目的を実施するための形態は、本明細書に添付した請求の範囲の精神および目的を逸脱しない全ての代用、手直し、変更を含みうるものである。例えば、本発明を実施するための形態として、以下のような種類の形態を実施することができる。
【0099】
本開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいて、セットを自動車以外の乗り物(例えばキックボードや船舶)に設置し、通信端末を携帯し、かつ、セットおよび通信端末を給電状態および通信状態となるように接続しても良い。
【0100】
本開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいて、回収手段における自動回収装置には乗員のバイタルデータを検出する処理装置(例えば、無線通信端末が付設されているリストバンド形状の脈拍検出装置)が用いられても良い。係る場合、地域情報サーバの管理者は、バイタルデータが急激に変化した要因を乗員に確認することができる。
【0101】
本開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいて、地域情報サーバの判別手段は、第二記憶手段を有しても良い。上記追加構成として、第二記憶手段には、自動非常情報に対応する所定の基準となる、基準加速度が記憶されていても良い。上記追加構成として、地域情報サーバの判別手段は、第二分析手段を有しても良い。上記追加構成として、第二分析手段は、送出手段から測位情報と紐づけられた状態で送出される加速度情報が、基準加速度と比べて大きいと判定するときに自動非常情報を取得しても良い。係る場合、自動回収装置を用いることなく自動非常情報を取得することができる。
【0102】
本開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいて、地域情報サーバの分析手段は、手動非常情報に相当する、復号化されたテキスト情報が非常情報として認識不可能なものである場合、当該手動非常情報を記憶手段に記憶させなくても良い。
【0103】
本開示に係るナビゲーションアラートシステムにおいて、制御手段は、報知手段が報知するアラート情報を日本語から外国語に切り替える切替手段を有しても良い。上記追加構成として、この切替手段は、例えば、乗員が外国語の言語情報を選択する選択ボタンと、言語情報を発信する決定ボタンとの組み合わせであっても良い。上記追加構成として、送出手段は、言語情報を測位情報と紐づけた状態で送出しても良い。上記追加構成として、記憶手段の地域データベースは、日本語のアラート情報と対応付けて外国語のアラート情報が記憶されていても良い。上記追加構成として、アラート手段は、送出手段が送出した言語情報を受けて日本語のアラート情報の代わりに外国語のアラート情報を出力しても良い。
【0104】
本開示に係るナビゲーションアラートシステムは、制御手段が、手動回収装置に用いられるマイクからの音声の入力に含まれるノイズを低減させる雑音消去回路を備えていても良い。係る場合、手動非常情報であるテキスト情報をより正確に取得することができる。
【符号の説明】
【0105】
100 ナビゲーションアラートシステム
200 セット
210 ユーザセグメント
211 通信モジュール
212 補完センサ
212A 加速度センサ
212B ジャイロセンサ
213 制御用マイコン
216 レベル表示ランプ
217 通信ケーブル
220 本体セグメント
230 制御手段
231 電源装置
232A 温度センサ
232B 湿度センサ
233 制御基板
234 記憶媒体
235 接続ボタン
236 インジケーターランプ
240 送出手段
241 通信モジュール
250 回収手段
251 自動回収装置
252 手動回収装置
260 報知手段
270 電源コード
271 シガープラグ
273 ヒューズ
277 給電ケーブル
300 気象データセンター
400 地域情報サーバ
410 通信手段
420 判別手段
430 記憶手段
431 地域データベース
432 分析手段
440 アラート手段
511 ID情報
512 属性情報
512A 車高情報
512B 車幅情報
512C 車種区分情報
520 測位情報
521 位置情報
522 日時情報
523 速度情報
524 加速度情報
525 方向情報
526 温湿度情報
526A 温度情報
526B 湿度情報
530 非常情報
530A 自動非常情報
530B 手動非常情報
541 リクエスト
543 天気情報
550 アラート情報
555 レベル情報
AC10 自動車
AM10 乗員
AM11 通信端末
A200 セット
A210 ユーザセグメント
A216 レベル表示ランプ
A236 インジケーターランプ
A240 送出手段
C10 自動車
M10 乗員
M11 通信端末
N10 コンピュータネットワーク
S10 衛星システム