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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162032
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】加熱調理器の操作装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20241114BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
F24C15/00 S
F24C3/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077180
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】石垣 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀幸
(57)【要約】
【課題】操作盤部13の表面側に配置された操作摘み51と、操作盤部の裏側に配置された基板52と、操作盤部に形成した貫通孔131を通して操作摘みに連結される操作体53とを備え、基板に、操作摘みを介しての操作体の基板側への押動でオンするスイッチ54と、操作摘みを介しての操作体の回転を検出する回転センサ55とが配置された加熱調理器の操作装置において、貫通孔を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入することを抑制できるようにする。
【解決手段】操作体53に、操作盤部13の裏面の貫通孔131の周囲の部分に対向するシール部53bを設ける。更に、操作体53を操作盤部13側に付勢して、シール部53bを操作盤部13の裏面の貫通孔131の周囲の部分に当接させる付勢バネ59を設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器の操作盤部の裏側に間隔を存して配置された基板と、操作盤部の表面側に突出するように配置された押し操作及び回転操作自在な操作摘みと、操作盤部に形成した貫通孔を通して操作摘みに連結される操作体とを備え、基板に、操作摘みを介しての操作体の基板側への押動でオンして加熱調理器の加熱源を作動させるための信号を出力するスイッチと、操作摘みを介しての操作体の回転を検出して加熱源の加熱量を調節するための信号を出力する回転センサとが配置された加熱調理器の操作装置において、
操作体に、操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分に対向するシール部が設けられると共に、操作体を操作盤部側に付勢して、シール部を操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分に当接させる付勢バネが設けられることを特徴とする加熱調理器の操作装置。
【請求項2】
前記操作体は、前記操作盤部の裏面の前記貫通孔の周囲の部分に対向する対向面を有し、前記シール部は、対向面の外周部に突設した環状のリブで構成されることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器の操作装置。
【請求項3】
前記操作体は、伸縮自在であって、操作体を伸び方向に付勢するクッションバネを有し、クッションバネの付勢力は、前記スイッチをオンするのに要する押し力よりも強く設定され、操作体をスイッチがオンする位置まで押動させた後の更なる操作体の押動で操作体がクッションバネの付勢力に抗して収縮することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器の操作装置。
【請求項4】
請求項1記載の加熱調理器の操作装置であって、前記基板の前記操作盤部側の面に対向して、基板を覆う基板覆い板が設けられるものにおいて、前記操作体は、基板覆い板に対向する端面を有し、当該端面が基板覆い板に当接する押し切り位置まで操作体が押動可能であることを特徴とする加熱調理器の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器の加熱源を作動させる操作と加熱源の加熱量を調節する操作とを行う加熱調理器の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の操作装置として、加熱調理器の操作盤部の裏側に間隔を存して配置された基板と、操作盤部に形成した貫通孔を通して操作盤部の表面側に突出可能に配置された操作摘みと、操作摘みに連結される操作体とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、操作体にプッシュプッシュ機構を組み込み、操作摘みをその先端面が操作盤部の表面と面一になる没入位置から一旦押して手を離したときに、プッシュプッシュ機構の働きで操作摘みが操作盤部の表面側に突出した突出位置に変位し、操作摘みの回転操作が可能となるようにしている。また、基板に、操作摘みの突出位置への変位でオンして加熱調理器の加熱源を作動させるための信号を出力するスイッチと、操作摘みを介しての操作体の回転を検出して加熱源の加熱量を調節するための信号を出力する回転センサとを配置している。然し、このものでは、操作摘みの外周面に貫通孔内周面との擦れによる傷が付いて、体裁を損なうことがないように、貫通孔をその内周面と操作摘み外周面との間に所定の隙間が空くように大きくすることが必要になる。そのため、操作盤部に煮こぼれ汁がかかった場合、貫通孔を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入し易くなる。
【0003】
煮こぼれ汁を調理器内部に浸入しにくくするために、加熱調理器の操作装置として、操作盤部の表面側に突出するように配置された押し操作及び回転操作自在な操作摘みと、操作盤部に形成した貫通孔を通して操作摘みに連結される操作体とを備え、操作盤部の裏側に間隔を存して配置された基板に、操作摘みを介しての操作体の基板側への押動でオンして加熱調理器の加熱源を作動させるための信号を出力するスイッチと、操作摘みを介しての操作体の回転を検出して加熱源の加熱量を調節するための信号を出力する回転センサとを配置したものも考えられている。
【0004】
然し、このものでも、操作盤部に煮こぼれ汁がかかった場合、依然として貫通孔を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-87033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、貫通孔を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入することを抑制できるようにした加熱調理器の操作装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、加熱調理器の操作盤部の裏側に間隔を存して配置された基板と、操作盤部の表面側に突出するように配置された押し操作及び回転操作自在な操作摘みと、操作盤部に形成した貫通孔を通して操作摘みに連結される操作体とを備え、基板に、操作摘みを介しての操作体の基板側への押動でオンして加熱調理器の加熱源を作動させるための信号を出力するスイッチと、操作摘みを介しての操作体の回転を検出して加熱源の加熱量を調節するための信号を出力する回転センサとが配置された加熱調理器の操作装置において、操作体に、操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分に対向するシール部が設けられると共に、操作体を操作盤部側に付勢して、シール部を操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分に当接させる付勢バネが設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、操作体に設けたシール部が、付勢バネの付勢力を受けて、操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分に当接するため、貫通孔を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入することをシール部によって抑制できる。
【0009】
また、本発明において、操作体は、操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分に対向する対向面を有し、シール部は、対向面の外周部に突設した環状のリブで構成されることが望ましい。これによれば、操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分にリブのみが当接することになり、操作摘みの回転操作時の摺動抵抗を軽減して、操作性を向上させることができる。
【0010】
更に、本発明において、操作体は、伸縮自在であって、操作体を伸び方向に付勢するクッションバネを有し、クッションバネの付勢力は、スイッチをオンするのに要する押し力よりも強く設定され、操作体をスイッチがオンする位置まで押動させた後の更なる操作体の押動で操作体がクッションバネの付勢力に抗して収縮することが望ましい。これによれば、スイッチへの過度な押圧力の作用をクッションバネで吸収できる。そのため、スイッチが過度な押圧力を受けて損傷することを防止できる。尚、操作体の基板側への押動でスイッチがオンするまでは、操作体が収縮することはなく、スイッチを確実に押圧してオンすることができる。
【0011】
また、本発明において、基板の操作盤部側の面に対向して、基板を覆う基板覆い板が設けられる場合、操作体は、基板覆い板に対向する端面を有し、当該端面が基板覆い板に当接する押し切り位置まで操作体が押動可能であることが望ましい。これによれば、操作体を押し切り位置で更に押圧しても、押圧力は基板覆い板で受けられる。そのため、基板やスイッチを損傷することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の操作装置を具備する加熱調理器の斜視図。
図2図1のII-II線で切断した第1実施形態の操作装置の切断側面図。
図3図2のIII-III線で切断した切断平面図。
図4】第1実施形態の操作装置の分解状態の斜視図。
図5】(a)~(c)第1実施形態の操作装置の作動を示す切断平面図。
図6】本発明の第2実施形態の操作装置の切断側面図。
図7図6のVII-VII線で切断した切断平面図。
図8】第2実施形態の操作装置の分解状態の斜視図。
図9】(a)~(c)第2実施形態の操作装置の作動を示す切断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す加熱調理器1は、器体11の上面を覆う天板12上に露出する加熱源たる3個のコンロバーナ2と、器体11内に組み込んだグリル3とを備えるガスコンロである。加熱調理器1の前面には、グリル3を挟んで右側にコンロバーナ2用の操作盤部13が設けられ、左側にグリル3用の操作盤部13´が設けられている。コンロバーナ2用の操作盤部13には、右上部に位置して電源スイッチ4が配置されている。また、操作盤部13の表面側、即ち、前側に突出するように配置された操作摘み51を備えるコンロバーナ2用の操作装置5が3個のコンロバーナ2に合わせて3つ設けられている。同様に、グリル3用の操作盤部13´の前側に突出するように配置された操作摘み51´を備えるグリル3用の操作装置5´も設けられている。グリル3用の操作装置5´の構造は、コンロバーナ2用の操作装置5の構造と特に異ならないため、その説明は省略し、以下、コンロバーナ2用の操作装置5について詳述する。
【0014】
図2乃至図4を参照して、コンロバーナ2用の操作装置5は、上記操作摘み51と、操作盤部13の裏側に間隔を存して配置された基板52と、操作盤部13に形成した貫通孔131を通して操作摘み51に連結される操作体53とを備えている。基板52には、操作摘み51を介しての操作体53の基板52側、即ち、後方への押動でオンして、図外のコントローラに向けてコンロバーナ2を作動、即ち、点火させるための信号を出力するスイッチ54と、操作摘み51を介しての操作体53の回転を検出して、コントローラに向けてコンロバーナ2の加熱量、即ち、火力を調節するための信号を出力する回転センサ55とが配置されている。尚、操作摘み51の再度の押し操作でスイッチ54が再度オンしたとき、コントローラは、コンロバーナ2を消火する制御を行う。また、スイッチ54として、一度押されてオンすると、再度押されるまでオン状態に保持され、再度押されたときにオフするセルフロック型のものを用いることも可能である。
【0015】
回転センサ55は、回転可能で、且つ、後方に押し込み可能な入力軸551を有しており、入力軸551の回転方向及び回転量に応じたパルス信号を火力調節のための信号として出力する。また、回転センサ55は、入力軸551を非押し込み位置に付勢保持するバネ(図示せず)を内蔵すると共に、入力軸551の後端に対向する上記スイッチ54を内蔵している。そして、入力軸551をバネに抗して後方に押し込んだときに、スイッチ54がオンされるようにしている。
【0016】
操作盤部13は、前板13aと、前板13aの表面(前面)を覆う化粧板13bと、前板13aの裏面(後面)に重なる裏板13cとで構成されている。裏板13cは、操作盤部13の裏側で操作装置5の配置部を囲う内ケース14と一体化されている。内ケース14内には、基板52の操作盤部13側の面、即ち、前面に対向して、基板52を覆う基板覆い板56と、基板52を後側から支える支持板57とが設けられている。また、貫通孔131は、化粧板13b、前板13a、裏板13cの3者を貫通するように形成されている。
【0017】
操作盤部13には、操作摘み51の上方に位置させて、火力を表示するインジケータ部58が設けられている。インジケータ部58は、横1列に並設したレンズ付きの複数のインジケータ孔581と、これらインジケータ孔581に臨ませて配置した複数のLED582とで構成されている。そして、火力の増減に伴い発行するLED582の数が増減して、光が照射されるインジケータ孔581の数で火力が分かるようになっている。
【0018】
操作体53は、操作摘み51に回転及び前後方向に動かないように連結される軸部5311を有する入力側部材531と、回転センサ55の入力軸551に回転しないように外嵌する内筒部5321を有する出力側部材532と、入力側部材531と出力側部材532との間の中間部材533と、中間部材533と出力側部材532との間に介設したクッションバネ534とを備えている。入力側部材531は、中間部材533及び出力側部材532を囲う筒部5312と、筒部5312の前端の段付き形状の端壁部5313とを有している。上記軸部5311は、端壁部5313の中央段部5313aから前方に突出しており、中央段部5313a及び軸部5311が貫通孔131に挿入可能となっている。また、操作盤部13の裏板13cには、入力側部材531の筒部5312の外周面に近接対向して入力側部材531を回転及び前後動自在に案内するガイド部132が突設されている。
【0019】
出力側部材532は、内筒部5321の後端部から径方向に張出すフランジ部5322と、フランジ部5322から前方にのびて中間部材533に外挿される外筒部5323とを有している。また、フランジ部5322の外周面には、入力側部材531の筒部5312に形成した前後方向に長手の溝5314に係合する突起5324が突設されている。そして、操作摘み51の回転操作に伴う入力側部材531の回転で突起5324を介して出力側部材532も回転し、この回転が回転センサ55で検出されるようにしている。また、出力側部材532の内筒部5321の前端には、回転センサ55の入力軸551の前端面に当接する端壁部5325が設けられている。そして、出力側部材532が後方に押動されたときに、端壁部5325を介して入力軸551が後方に押されるようにしている。
【0020】
中間部材533は、入力側部材531の端壁部5313から後方に突出する棒状突起5315に外挿される内筒部5331と、出力側部材532の内筒部5321に外挿される外筒部5332と、内筒部5331と外筒部5332とを連結する前端の端壁部5333とを有している。クッションバネ534は、この端壁部5333と出力側部材532の端壁部5325との間に介設されている。そのため、クッションバネ534により、中間部材533が出力側部材532に対し前方に付勢、即ち、操作体53が伸び方向に付勢される。また、クッションバネ534の付勢力は、上記スイッチ54をオンするのに要する押し力よりも強く設定されている。尚、出力側部材532の内筒部5321の外周面には、中間部材533の外筒部5332に形成した前後方向にのびる係合孔5334に挿入される係合爪5326が突設されている。そして、中間部材533の出力側部材532に対するクッションバネ534の付勢力による前方への移動を係合孔5334の後縁への係合爪5326の係合で規制できるようにしている。
【0021】
操作摘み51を押し操作すると、入力側部材531が操作摘み51と一体に後方に押動され、所定ストローク押動したところで、図5(a)に示す如く、入力側部材531の端壁部5313が中間部材533の端壁部5333に当接する。以後、中間部材533が入力側部材531と一体に後方に押動され、これに伴いクッションバネ534を介して出力側部材532及び回転センサ55の入力軸551が中間部材533と一体に後方に押動されて、図5(b)に示す如く、スイッチ54がオンする。このように操作体53をスイッチ54がオンする位置まで押動させた後、更に、操作体53を後方に押動させると、操作体53がクッションバネ534の付勢力に抗して収縮、即ち、入力側部材531及び中間部材533が出力側部材532に対し後方に変位する。従って、スイッチ54への過度な押圧力の作用をクッションバネ534で吸収できる。そのため、スイッチ54が過度な押圧力を受けて損傷することを防止できる。尚、クッションバネ534の付勢力は、上記の如くスイッチ54をオンするのに要する押し力よりも強いため、操作体53の後方への押動でスイッチ54がオンするまでは、操作体53が収縮することはなく、スイッチ54を確実に押圧してオンすることができる。
【0022】
また、操作体53に、入力側部材531の筒部5312の後端面から成る、基板覆い板56に対向する端面53aを設けている。具体的には、基板覆い板56に、回転センサ55の入力軸551が遊挿される孔の孔縁部から前方に突出する突縁部561を設けて、操作体53の端面53aが突縁部561に対向するようにしている。そして、図5(c)に示す如く、操作体53の端面53aが突縁部561に当接する押し切り位置まで操作体53を押動可能としている。これによれば、操作体53を押し切り位置で更に押圧しても、押圧力は突縁部561、即ち、基板覆い板56で受けられる。そのため、基板52やスイッチ54を損傷することがない。
【0023】
ところで、操作体53の入力側部材531を中間部材533と一体化し、操作摘み51の押し操作を解除したときに、クッションバネ534の付勢力に抗した操作体53の収縮量と回転センサ55の入力軸551の押し込み量との合計ストローク分だけ入力側部材531が操作摘み51と共に前方に復動するように構成することも可能である。但し、これでは、操作盤部13に煮こぼれ汁がかかった場合、貫通孔131を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入する可能性がある。そこで、本実施形態では、操作体53に、操作盤部13の裏面の貫通孔131の周囲の部分に対向するシール部53bを設けると共に、操作体53を操作盤部13側、即ち、前方に付勢して、シール部53bを操作盤部13の裏面の貫通孔131の周囲の部分に当接させる付勢バネ59を設けている。これによれば、操作摘み51の押し操作後の押圧解除で、操作体53が付勢バネ59の付勢力で前方に復動して、シール部53bが操作盤部13の裏面の貫通孔131の周囲の部分に当接することになる。そのため、貫通孔131を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入することをシール部53bによって抑制できる。
【0024】
以下、シール部53b及び付勢バネ59についてより具体的に説明する。本実施形態では、操作体53の入力側部材531の端壁部5313の中央段部5313aより径方向外方部分の前面を、操作盤部13の裏面、即ち、操作盤部13の裏板13cの後面の貫通孔131の周囲の部分に対向する対向面53cとし、当該対向面53cの外周部に突設した環状のリブでシール部53bを構成している。また、操作体53の入力側部材531の筒部531に外挿される筒部5911と、基板覆い板56に着座する、筒部5911の後端のフランジ部5912とを有するバネ受け591を設けると共に、入力側部材531の筒部5312の外周面にアーチ状の耳片部5316を突設して、バネ受け591のフランジ部5912と耳片部5316との間に付勢バネ59を介設している。
【0025】
尚、バネ受け591の筒部5911には、耳片部5316の脚部5316aが前後方向に移動自在に挿入されるスリット5911aが形成されている。スリット5911aの側縁前端には、脚部5316aに係合可能な爪部5911bが設けられている。そして、入力側部材531が付勢バネ59の付勢力を受けて前方に外れることを、脚部5316aへの爪部5911bの係合で阻止できるようにしている。また、出力側部材532のフランジ部5322の外周面に、入力側部材531の筒部5312に形成した前後方向にのびる係合孔5317に挿入される係合爪5327を突設している。そして、操作体53の組立工程で入力側部材531が前方に外れることを、係合孔5317の後縁への係合爪5327の係合で阻止できるようにしている。
【0026】
以上の構成によれば、操作摘み51の押し操作後の押圧解除で、入力側部材531が付勢バネ59の付勢力で前方に復動して、シール部53bが操作盤部13の裏板13cの後面の貫通孔131の周囲の部分に当接する。これにより、貫通孔131を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入することを抑制できる。また、操作盤部13の裏板13cの後面の貫通孔131の周囲の部分にシール部53bたる環状のリブのみが当接することになり、操作摘み51の回転操作時の摺動抵抗を軽減して、操作性を向上させることができる。
【0027】
次に、図6乃至図9を参照して、第2実施形態の操作装置5について説明する。第2実施形態の操作装置5の基本的な構造は、上記第1実施形態のものと特に異ならず、第1実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の第1実施形態との最大の相違点は、第1実施形態のバネ受け591を省略して、付勢バネ59を入力側部材531と中間部材533との間に介設したことである。
【0028】
以下、具体的に説明すれば、入力側部材531に、第1実施形態の棒状突起5315に代えて、筒状突起5318を設けると共に、中間部材533に、第1実施形態の内筒部5331及び端壁部5333に代えて、筒状突起5318を前後方向に移動自在に受け入れる有底筒部5335を設けている。そして、入力側部材531の端壁部5313と中間部材533の有底筒部5335の底部との間に、筒状突起5318内に収まるように付勢バネ59を介設している。
【0029】
また、中間部材533の有底筒部5335の外周にフランジ部5336を突設すると共に、出力側部材532を、第1実施形態の外筒部5323を省略したものとして、中間部材533のフランジ部5336と出力側部材532のフランジ部5322との間にクッションバネ534を介設している。
【0030】
第2実施形態のものでは、操作摘み51の押し操作で入力側部材531が後方に所定ストローク押動したところで、図9(a)に示す如く、入力側部材531の筒状突起5318が中間部材533の有底筒部5335の底部に当接する。以後、中間部材533が入力側部材531と一体に後方に押動され、これに伴いクッションバネ534を介して出力側部材532及び回転センサ55の入力軸551が中間部材533と一体に後方に押動されて、図9(b)に示す如く、スイッチ54がオンする。その後、操作体53を更に後方に押動させると、操作体53がクッションバネ534の付勢力に抗して収縮、即ち、入力側部材531及び中間部材533が出力側部材532に対し後方に変位する。そして、操作体53は、第1実施形態のものと同様に、入力側部材531の筒部5312の後端面から成る、基板覆い板56に対向する端面53aが基板覆い板56の突縁部561に当接する、図9(c)に示す押し切り位置まで押動可能である。従って、第1実施形態のものと同様に、スイッチ54への過度な押圧力の作用をクッションバネ534で吸収できると共に、操作体53を押し切り位置で更に押圧しても、押圧力は基板覆い板56で受けられ、基板52やスイッチ54を損傷することがない。
【0031】
また、操作摘み51の押し操作を解除したときは、入力側部材531が付勢バネ59の付勢力で前方に復動して、第1実施形態のものと同様に、入力側部材531の端壁部5313の前面外周部の環状リブから成るシール部53bが操作盤部13の裏板13cの後面の貫通孔131の周囲の部分に当接し、貫通孔131を通して調理器内部に煮こぼれ汁が浸入することを抑制できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、操作体53をクッションバネ534によるクッション機能を得られるものとしているが、クッション機能を得ないのであれば、クッションバネ534を省略して、出力側部材532と中間部材533とを一体化し、更には、入力側部材531と出力側部材532と中間部材533との3者を一体化することも可能である。3者を一体化して操作体53を構成する場合は、操作体53が付勢バネ59の付勢力で前方に移動して、シール部53bが操作盤部13の裏面の貫通孔131の周囲の部分に当接するように、出力側部材532に相当する部位を回転センサ55の入力軸551に対し前方に摺動自在とすればよい。
【0033】
また、上記実施形態では、操作盤部13が加熱調理器1の前面に設けられているが、操作盤部13を加熱調理器1の上面に設けることも可能である。また、上記実施形態は、コンロバーナ2を加熱源とするガスコンロから成る加熱調理器の操作装置に本発明を適用したものであるが、IHコンロといったガスコンロ以外の加熱調理器の操作装置としても同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1…加熱調理器、13…操作盤部、131…貫通孔、2…コンロバーナ(加熱源)、5…操作装置、51…操作摘み、52…基板、53…操作体、53a…基板覆い板に対向する端面、53b…シール部、53c…操作盤部の裏面の貫通孔の周囲の部分に対向する対向面、534…クッションバネ、54…スイッチ、55…回転センサ、56…基板覆い板、59…付勢バネ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9