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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162036
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241114BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241114BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/60 500
G03B15/00 V
G03B15/00 Q
G03B11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077187
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中明 靖文
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
(72)【発明者】
【氏名】石渡 忠司
(72)【発明者】
【氏名】土屋 圭二
【テーマコード(参考)】
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H083CC07
2H083CC58
5C122DA14
5C122DA16
5C122EA02
5C122FA06
5C122FF09
5C122FH12
5C122FH14
5C122FK24
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】太陽光を受けたときに、センサを保護しつつ、車両及び人物等の認識を行うことができる画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】画像処理装置101は、赤外線カメラ200から、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する熱画像データ取得部160と、所定条件を満たす飽和画素の有無を検出する飽和検出部173と、赤外線センサ230への光の入射を遮蔽するシャッタ220の動作を制御するシャッタ制御部150と、熱画像データを表示装置300に表示させる表示制御部180と、を備え、シャッタ制御部150は、飽和検出部173が飽和画素を検出した場合、シャッタ220を閉じるとともに、所定フレーム毎にシャッタ220を開く制御を行い、表示制御部180は、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じている期間に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの映像を表示装置300に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱画像を撮像する赤外線カメラから、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する熱画像データ取得部と、
前記熱画像データにおける飽和画素であって、所定条件を満たす前記飽和画素の有無を検出する飽和検出部と、
前記赤外線カメラが備える赤外線センサへの光の入射を遮蔽するシャッタの動作を制御するシャッタ制御部と、
前記熱画像データ取得部が取得した前記熱画像データを、表示装置に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記シャッタ制御部は、前記飽和検出部が前記所定条件を満たす前記飽和画素を検出した場合、前記シャッタを閉じるとともに、所定フレーム毎に前記シャッタを開く制御を行い、
前記表示制御部は、前記シャッタ制御部が前記シャッタを閉じている期間に、前記シャッタが閉じる直前の前記フレームの前記熱画像を前記表示装置に表示させる、
画像処理装置。
【請求項2】
前記熱画像データから所定物体を検出する画像認識部をさらに備え、
前記画像認識部は、前記シャッタ制御部が前記シャッタを閉じている期間は、前記シャッタが閉じる直前の前記フレームの前記熱画像から前記所定物体を検出する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記熱画像データから所定物体を検出する画像認識部と、
前記画像認識部が検出した前記所定物体の位置の動きを予測する予測部と、
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記シャッタ制御部が前記シャッタを閉じている期間は、前記シャッタが閉じる直前に認識された前記所定物体について前記予測部が予測した前記位置を示す表示を行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、移動体に設置され、
前記移動体の移動状態を取得する移動情報取得部をさらに備え、
前記シャッタ制御部は、前記飽和検出部が前記所定条件を満たす前記飽和画素を検出した場合、前記シャッタを閉じてから前記シャッタを開く所定フレーム毎の期間を、前記移動情報取得部が取得した前記移動体の移動状態によって変化させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
熱画像を撮像する赤外線カメラから、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する熱画像データ取得ステップと、
前記熱画像データにおける飽和画素であって、所定条件を満たす前記飽和画素の有無を検出する飽和検出ステップと、
前記飽和検出ステップで前記所定条件を満たす前記飽和画素が検出された場合、前記赤外線カメラが備える赤外線センサへの光の入射を遮蔽するシャッタを閉じるとともに、所定フレーム毎に前記シャッタを開く制御を行うシャッタ制御ステップと、
前記熱画像データ取得ステップで取得した熱画像データを、表示装置に表示させ、前記シャッタを閉じている期間に、前記シャッタが閉じる直前の前記フレームの前記熱画像を前記表示装置に表示させる、表示制御ステップと、
を画像処理装置が実行する、
画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光が赤外線センサに入射した場合に、シャッタを閉じて赤外線センサを保護することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-187078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の赤外線センサでは、シャッタを閉じている期間は、人物等の認識が行われない。特許文献1の赤外線センサを車両に適用する場合には、走行によって外部の状態が変化することから、シャッタ閉による太陽光からの赤外線センサの保護と、車両及び人物等の認識による警告とを両立させることが望まれている。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、太陽光を受けたときに、赤外線センサを保護しつつ、車両及び人物等の認識を行うことができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本開示は、熱画像を撮像する赤外線カメラから、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する熱画像データ取得部と、前記熱画像データにおける飽和画素であって、所定条件を満たす前記飽和画素の有無を検出する飽和検出部と、前記赤外線カメラが備える赤外線センサへの光の入射を遮蔽するシャッタの動作を制御するシャッタ制御部と、前記熱画像データ取得部が取得した前記熱画像データを、表示装置に表示させる表示制御部と、を備え、前記シャッタ制御部は、前記飽和検出部が前記所定条件を満たす前記飽和画素を検出した場合、前記シャッタを閉じるとともに、所定フレーム毎に前記シャッタを開く制御を行い、前記表示制御部は、前記シャッタ制御部が前記シャッタを閉じている期間に、前記シャッタが閉じる直前の前記フレームの前記熱画像を前記表示装置に表示させる、画像処理装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、熱画像を撮像する赤外線カメラから、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する熱画像データ取得ステップと、前記熱画像データにおける飽和画素であって、所定条件を満たす前記飽和画素の有無を検出する飽和検出ステップと、前記飽和検出ステップで前記所定条件を満たす前記飽和画素が検出された場合、前記赤外線カメラが備える赤外線センサへの光の入射を遮蔽するシャッタを閉じるとともに、所定フレーム毎に前記シャッタを開く制御を行うシャッタ制御ステップと、前記熱画像データ取得ステップで取得した熱画像データを、表示装置に表示させ、前記シャッタを閉じている期間に、前記シャッタが閉じる直前の前記フレームの前記熱画像を前記表示装置に表示させる、表示制御ステップと、を画像処理装置が実行する、画像処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、太陽光を受けたときに、センサを保護しつつ、車両及び人物等の認識を行うことができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る撮像システムの構成を例示したブロック図である。
図2】実施形態1に係る撮像システムにおいて、赤外線カメラの詳細構成を模式的に例示したブロック図である。
図3】実施形態1に係る画像処理部の構成を例示したブロック図である。
図4】実施形態1に係る画像処理装置において、通常時の取得熱画像データ及び出力熱画像データを例示した概念図である。
図5】実施形態1に係る画像処理装置において、太陽光検出時の取得熱画像データ及び出力熱画像データを例示した概念図である。
図6】実施形態1に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。
図7】実施形態2に係る撮像システムの構成を例示したブロック図である。
図8】実施形態2に係る画像処理装置において、画像認識部が所定物体を認識した熱画像データの表示例を示した図である。
図9】実施形態2に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。
図10】実施形態3に係る撮像システムの構成を例示したブロック図である。
図11】実施形態3に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。
図12】実施形態4に係る撮像システムの構成を例示したブロック図である。
図13】実施形態4に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。また、図面が煩雑にならないように、いくつかの符号は省略されている。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1に係る画像処理装置及び撮像システムについて、図1を用いて説明する。図1は、実施形態1に係る撮像システム1の構成を例示したブロック図である。図1に示すように、撮像システム1は、画像処理装置101、赤外線カメラ200、及び、表示装置300を備えている。撮像システム1は、例えば、車両において用いられ、周囲の熱画像を取得する車両用の撮像システム1や、監視用途に用いられる撮像システム1等である。
【0012】
赤外線カメラ200は、熱画像(赤外線画像)を撮像する。赤外線カメラ200は、赤外線センサを有している。なお、赤外線カメラ200の構成については後述する。赤外線カメラ200は、被写体からの赤外線を赤外線センサで検出することにより、熱画像を撮像する。赤外線カメラ200は、物体から放射される遠赤外線を可視化することが可能な遠赤外線(Far Infrared Rays)カメラである。赤外線カメラ200で撮像した熱画像のデータを熱画像データ(又は赤外線画像データ)ともいう。熱画像データは、例えば、毎秒15から60フレームの複数のフレームで構成される動画像である。
【0013】
赤外線カメラ200は、熱画像データを、画像処理装置101に出力する。なお、赤外線カメラ200から画像処理装置101が取得する熱画像データを取得熱画像データともいう。熱画像データは、赤外線カメラで撮像された熱画像データを示す。
【0014】
画像処理装置101は、取得熱画像データに対して画像処理を行うことで、表示画像データを生成する。例えば、画像処理装置101は、赤外線カメラ200の画素ばらつきの補正等の各種処理を行う。
【0015】
画像処理装置101は、画像処理が施された表示画像データを表示装置300に出力する。なお、画像処理装置101で画像処理が施されて、表示装置300に出力される表示画像データを出力熱画像データともいう。つまり、取得熱画像データは、画像処理装置101による処理前のデータであり、出力熱画像データは、処理後のデータである。
【0016】
表示装置300は、表示画像データを表示するためのディスプレイ等を備えている。表示装置300は、画像処理装置101において、画像処理が施された表示画像データを表示する。
【0017】
画像処理装置101は、物理的な構成として、制御IF(インタフェース)110、ROM(Read Only Memory)120、RAM(Random Access Memory)130を備える。画像処理装置101は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの処理としてプログラムによって実現される機能ブロックとして、システム制御部140、シャッタ制御部150、熱画像データ取得部160、画像処理部170、飽和検出部173、及び、表示制御部180をさらに備えている。これらの構成は、便宜的に、バスを介して適宜通信可能に接続されている構成として示す。
【0018】
熱画像データ取得部160は、熱画像を撮像する赤外線カメラ200から、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する。熱画像データ取得部160は、例えば、赤外線カメラ200からの熱画像データを取得するためのIF(インターフェース)を備えている。なお、熱画像データ取得部160と、赤外線カメラ200とのインタフェースは、有線接続であってもよく、無線接続であってもよい。
【0019】
ROM120は、画像処理装置101を制御するための制御プログラムや各種パラメータを格納する。例えば、ROM120は、画像処理部170で実行される画像処理プログラムを格納している。また、ROM120は、システム制御部140で実行されるシステム制御プログラムを格納している。
【0020】
RAM130は、各種プログラムやその実行に用いるパラメータなどを格納している。さらに、画像処理部170の演算データ等を記憶する。
【0021】
システム制御部140は、撮像システム1の全体を制御する。システム制御部140のプロセッサが制御プログラムを実行することで、システム全体を制御することができる。
【0022】
システム制御部140は、シャッタ制御部150を備えている。シャッタ制御部150は、赤外線カメラ200のシャッタの開閉を制御する。具体的には、シャッタ制御部150は、赤外線カメラ200が備える赤外線センサへの光の入射を遮蔽するシャッタの動作を制御する。シャッタ制御部150は、シャッタを開閉するための制御信号を出力する。
【0023】
制御IF110は、赤外線カメラ200を制御するためのインタフェースである。例えば、シャッタ制御部150は、制御IF110を介して、赤外線カメラ200のシャッタを開閉するための制御信号を出力する。また、画像処理装置101は、制御IF110を介して、赤外線カメラ200に各種の信号やデータを送信することができる。さらに、制御IF110は、赤外線カメラ200からの各種の信号やデータ等を受信することができる。例えば、制御IF110は、赤外線カメラ200の温度センサで測定された環境温度を取得する。
【0024】
画像処理部170は、熱画像データ取得部160で取得された熱画像データに対して、所定の画像処理を行う。
【0025】
画像処理部170は、飽和検出部173を備えている。飽和検出部173は、熱画像データにおける飽和画素であって、所定条件を満たす飽和画素の有無を検出する。飽和画素は、例えば、画素データが上限値となった状態の画素をいう。例えば、撮像データの各画素の輝度レベルがゼロから16383までの14ビットで表現されている場合に、輝度レベルが16383の値を有する座標の画素を飽和画素としてもよい。なお、飽和画素の所定条件は、上限値となることに限らず、予め設定した他の値としてもよい。
【0026】
飽和検出部173は、所定条件を満たす飽和画素の有無として、太陽光の直接入射に該当する飽和画素の有無を検出してもよい。飽和検出部173は、所定条件を満たす飽和画素の有無として、画素にダメージを生じさせる飽和画素の有無を検出してもよい。
【0027】
画像処理部170における処理については後述する。画像処理部170が取得熱画像データに対して画像処理を行うことで、出力熱画像データが生成される。
【0028】
表示制御部180は、熱画像データ取得部160が取得した熱画像データを、表示装置300に表示させる。具体的には、表示制御部180は、熱画像データ取得部160が取得した取得熱画像データを、画像処理部170で処理された後に、表示装置300に表示させる。表示制御部180は、出力熱画像データを表示装置300に出力するインタフェースである。
【0029】
図2は、実施形態1に係る撮像システム1において、赤外線カメラ200の詳細構成を模式的に例示したブロック図である。図2に示すように、赤外線カメラ200は、レンズ210、シャッタ220、赤外線センサ230、伝送デバイス240及び温度センサ250を備えている。
【0030】
レンズ210は、被写体からの赤外光を赤外線センサ230の受光面に結像する。赤外線センサ230は、複数の画素を備えている。赤外線センサ230の各画素が被写体からの赤外光を受光する。これにより、被写体の熱画像を撮像することができる。例えば、赤外線センサ230は、遠赤外線を検出するためのマイクロボロメータを有してもよい。赤外線センサ230は、2次元アレイ状配列された複数の画素を備えている。各画素の検出値(検出信号)が被写体の熱画像を形成する。
【0031】
伝送デバイス240は、画像処理装置101に各種の信号やデータを伝送するためのインタフェースとなる。伝送デバイス240は、赤外線センサ230で撮像された熱画像データを画像処理装置101に伝送する。また、伝送デバイス240は、画像処理装置101からの制御信号を受信する。
【0032】
温度センサ250は、赤外線カメラ200の使用環境における温度を測定する。伝送デバイス240は、温度センサ250で測定された環境温度を画像処理装置101に送信する。
【0033】
シャッタ220は、赤外線センサ230の前面側に配置される。シャッタ220は、外部から赤外線センサ230に入射する赤外光を含む光を遮る。シャッタ220は、開閉可能な機構を有している。シャッタ220は、シャッタ制御部150からの制御信号によって開閉する。シャッタ220が閉じた状態(以下、単に、閉状態とも呼ぶ。)では、レンズ210からの赤外光が赤外線センサ230に入射しなくなる。つまり、閉状態では、レンズ210からではなくシャッタ220からの赤外光が赤外線センサ230に入射する。シャッタ220が開いた状態(以下、単に、開状態とも呼ぶ。)では、レンズ210からの赤外光が赤外線センサ230に入射する。なお、シャッタ220は、赤外線センサ230の撮像範囲を熱的な均一面とするとすることができる。例えば、シャッタ220は、レンズ210の前面側に配置されたバリヤ又はカバーのようなものであってもよい。
【0034】
次に、画像処理部170の構成について図3を用いて説明する。図3は、実施形態1に係る画像処理部170の構成を例示したブロック図である。図3に示すように、画像処理部170は、飽和検出部173の他に、さらに、欠陥画素補正部171及びNUC(Non-Uniformity Correction)部172を備えてもよい。画像処理部170は、システム制御部140及びRAM130と連携し、所定の処理を実行する。
【0035】
欠陥画素補正部171は、RAM130に予め記憶されている赤外線センサ230の欠陥画素の画素値を、欠陥画素の周辺の画素における画素値から補間処理を行う。欠陥画素補正部171は、熱画像データ取得部160が取得した取得熱画像データに対して、上述の補間処理を行い、補間処理を行った画像データを、NUC部172に出力する。
【0036】
NUC部172は、画素間の出力ばらつきを補正するための処理を行う。
【0037】
飽和検出部173は、前述したように、熱画像データの飽和画素を検出する。飽和検出部173は、取得した熱画像データに飽和画素を検出した場合に、飽和画素の検出結果を示す信号を、システム制御部140に出力する。
【0038】
次に、本実施形態に係る画像処理装置101において、シャッタ制御部150及び表示制御部180等の動作を説明する。図4は、実施形態1に係る画像処理装置101において、通常時の取得熱画像データ及び出力熱画像データを例示した概念図である。図4に示すように、通常時において、画像処理装置101における熱画像データ取得部160は、熱画像を撮像する赤外線カメラ200から、複数のフレームF1~F30を含む熱画像データを取得する。通常時は、例えば、赤外線センサ230に太陽光の直接入射を検出していない時を含む。したがって、通常時は、飽和検出部173は、太陽光の直接入射による飽和画像を検出していない時を含む。通常時には、表示制御部180は、熱画像データ取得部160が取得した取得熱画像データを、出力熱画素データとして表示装置300に表示させる。
【0039】
図5は、実施形態1に係る画像処理装置101において、太陽光検出時の取得熱画像データ及び出力熱画像データを例示した概念図である。図5に示すように、太陽光の直接入射検出時、すなわち、飽和検出部173が所定条件を満たす飽和画素を検出した場合には、シャッタ制御部150は、シャッタ220を閉じるように制御する。それとともに、シャッタ制御部150は、所定フレーム毎にシャッタ220を開く制御を行う。所定フレーム毎は、例えば、5フレーム毎である。
【0040】
具体的には、シャッタ制御部150は、飽和検出部173が太陽光の直接入射による飽和画素を検出した場合、シャッタ220を閉じつつ、5フレーム毎にシャッタ220を開く。例えば、シャッタ制御部150は、フレームF1を取得する際には、シャッタ220を開き、フレームF2~F5を取得する際には、シャッタ220を閉じる。シャッタ制御部150は、フレームF6を取得する際には、シャッタ220を開き、フレームF7~F10を取得する際には、シャッタ220を閉じる。シャッタ制御部150は、フレームF11を取得する際には、シャッタ220を開き、フレームF12~F15を取得する際には、シャッタ220を閉じる。
【0041】
このように、シャッタ制御部150は、飽和検出部173が太陽光の直接入射による飽和画素を検出した場合、所定数のフレームに渡るシャッタ220の開状態と、所定数のフレームに渡るシャッタ220の閉状態とを含む開閉動作を繰り返す。例えば、図5では、1つの開閉動作におけるシャッタ220の開状態のフレーム数は、1フレームであり、1つの開閉動作におけるシャッタ220の閉状態のフレーム数は、4フレームである。1つの開閉動作におけるフレーム数は、5フレームである。よって、シャッタ制御部150は、飽和検出部173が太陽光の直接入射による飽和画素を検出した場合、太陽光の直接入射による飽和画素が検出されなくなるまで、5フレームの周期で開閉動作を繰り返す。
【0042】
表示制御部180は、シャッタ制御部150がシャッタ220を開いている期間に、開いたシャッタ220を通して取得したフレームの熱画像を表示装置300に表示させる。一方、表示制御部180は、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じている期間に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像を表示装置300に表示させる。
【0043】
具体的には、フレームF1を取得する際には、シャッタ制御部150は、シャッタ220を開く。表示制御部180は、開いたシャッタ220を通して取得したフレームF1の熱画像を表示装置300に表示させる。フレームF2~F5を取得する際には、シャッタ制御部150は、シャッタ220を閉じる。表示制御部180は、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じているフレームF2~F5の期間に、シャッタ220が閉じる直前のフレームF1の熱画像を表示装置300に表示させる。
【0044】
フレームF6を取得する際には、シャッタ制御部150は、シャッタ220を開く。表示制御部180は、開いたシャッタ220を通して取得したフレームF6の熱画像を表示装置300に表示させる。フレームF6の熱画像を取得した際、フレームF6の熱画像に対し、太陽光の直接入射による飽和画素を検出する。フレームF6の熱画像に太陽光の直接入射による飽和画素が検出された場合、再度、5フレームの周期で開閉動作を繰り返す。したがって、フレームF7~F10を取得する際には、シャッタ制御部150は、シャッタ220を閉じている。表示制御部180は、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じているフレームF7~F10の期間に、シャッタ220が閉じる直前のフレームF6の熱画像を表示装置300に表示させる。フレームF6の熱画像に太陽光の直接入射による飽和画素が検出されない場合、シャッタ220を閉じる処理は行わない。結果的に、飽和検出部173が太陽光の直接入射を検出している期間、シャッタ220の開閉動作が繰り返される。
【0045】
このように、表示制御部180は、飽和検出部173が太陽光の直接入射による飽和画素を検出している期間、所定数のフレームに渡って開いたシャッタ220を通して取得したフレームの表示と、所定数のフレームに渡ってシャッタ220が閉じる直前に取得したフレームの表示とを含む開閉表示動作を繰り返す。例えば、図5では、1つの開閉表示動作におけるシャッタ220の開状態のフレーム数は、1フレームであり、1つの開閉表示動作におけるシャッタ220の閉状態のフレーム数は、4フレームである。1つの開閉表示動作におけるフレーム数は、5フレームである。よって、表示制御部180は、飽和検出部173が太陽光の直接入射による飽和画素を検出している期間、5フレームの周期で開閉表示動作を繰り返す。
【0046】
次に、本実施形態に係る画像処理方法について図6を用いて説明する。本実施形態の画像処理方法は、以下に示すステップを画像処理装置101が実行する。図6は、実施形態1に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。図6に示すように、まず、システム制御部140は、熱画像データ取得部160に、熱画像データの取得を開始させる(ステップS101)。ステップS101に示す熱画像データの取得開始は、画像処理装置101が車両に搭載されている場合、車両が動作可能な状態となった場合や、ユーザの操作によって開始される。本実施形態の画像処理方法は、熱画像を撮像する赤外線カメラ200から、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する熱画像データ取得ステップを実行する。
【0047】
次に、システム制御部140は、飽和検出部173に、太陽光の直接入射による飽和画素の検出を開始させる(ステップS102)。次に、システム制御部140は、表示制御部180に、熱画像データの通常の表示を開始させる(ステップS103)。
【0048】
次に、システム制御部140は、熱画像データの表示を終了するか判定する(ステップS104)。ステップS104に示す表示終了は、熱画像データの取得終了と言い換えてもよい。例えば、画像処理装置101が車両に搭載されている場合、車両の動作が終了した場合や、ユーザ操作によって終了する。熱画像データの表示を終了する場合(ステップS104のYes)、システム制御部140は、表示制御部180に熱画像データの表示を終了させる、または熱画像データ取得部160に熱画像データの取得を終了させる。システム制御部140は、画像処理装置101の動作を終了させることとしてもよい。熱画像データの表示を終了しない場合(ステップS104のNo)、システム制御部140は、飽和検出部173が飽和画素を検出しているか否かを判定する(ステップS105)。したがって、本実施形態の画像処理方法は、熱画像データにおける飽和画素であって、所定条件を満たす飽和画素の有無を検出する飽和検出ステップを実行する。ステップS105では、「所定条件を満たす飽和画素の有無」として、太陽光の直接入射に該当する飽和画素の有無を検出する。なお、画素にダメージを生じさせる飽和画素の有無の検出と言い換えてもよい。
【0049】
飽和検出部173が、太陽光の直接入射による飽和画素を検出していない場合(ステップS105のNo)、ステップS104に戻り、処理を繰り返す。この場合、図4に示すように、所定条件の飽和画素を検出していない場合は、取得熱画像データの各フレームに対応した出力熱画像データが表示装置300に表示される。一方、飽和検出部173が太陽光の直接入射による飽和画素を検出した場合(ステップS105のYes)、システム制御部140は、シャッタ制御部150にシャッタ220を閉じるように制御する(ステップS106)。そして、システム制御部140は、表示制御部180に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像の表示を開始させる(ステップS107)。ステップS107では、図5に示すように、例えば、シャッタ220を閉じる直前のフレームF1の熱画像を、フレームF2~F5の撮影期間に表示させる。
【0050】
次に、システム制御部140は、シャッタ220を閉じた状態で所定フレーム撮影したか否かを判定する(ステップS108)。所定フレーム撮影していない場合(ステップS108のNo)、システム制御部140は、所定フレーム撮影するまでステップS108を繰り返す。所定フレーム撮影した場合(ステップS108のYes)、システム制御部140は、シャッタ制御部150にシャッタ220を開く制御を行い(ステップS109)、ステップS105に推移する。
【0051】
したがって、本実施形態の画像処理方法は、飽和検出ステップで所定条件を満たす飽和画素が検出した場合、赤外線カメラ200が備える赤外線センサ230への光の入射を遮蔽するシャッタ220を閉じるとともに、所定フレーム毎にシャッタ220を開く制御を行うシャッタ制御ステップを実行する。また、本実施形態の画像処理方法は、熱画像データ取得ステップで取得した熱画像データを、表示装置300に表示させ、シャッタ220を閉じている期間に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像を表示装置300に表示させる、表示制御ステップを実行する。
【0052】
ステップS109では、図5に示すように、所定フレーム撮影期間は、例えば、1フレームに設定されてもよい。そして、ステップS105に戻り、処理を繰り返す。ステップS105において、フレームF6の撮影期間で、所定条件を満たす飽和画素が検出された場合、同様の処理を繰り返す。
【0053】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の画像処理装置101は、飽和検出部173が飽和画素を検出した場合、シャッタ220を閉じるとともに、所定フレーム毎にシャッタ220を開く。表示制御部180は、シャッタ220を閉じている期間に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像を表示装置300に表示させる。したがって、太陽光を受けたときに、赤外線センサ230を保護しつつ、ユーザは、表示装置300に表示された車両及び人物等の認識を行うことができる。
【0054】
具体的には、例えば、太陽が地平線に近い位置にあり、かつ太陽をバックに人物がいる状態の時に、そのまま撮影をしていると、赤外線センサ230が太陽光の影響で焼き付いてしまう。そこで、本実施形態では、赤外線カメラ200のシャッタ220を閉じるとともに所定フレーム毎に開くように、開状態及び閉状態を繰り返す。これにより、赤外線センサ230が太陽光による焼き付きを起こさないようにすることができるとともに、ユーザは、人物の認識を行うことができる。
【0055】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る画像処理装置及び撮像システムを説明する。図7は、実施形態2に係る撮像システム2の構成を例示したブロック図である。図7に示すように、撮像システム2において、画像処理装置102は、さらに、画像認識部190を備えている。画像認識部190は、熱画像データから所定物体を検出する。
【0056】
画像認識部190は、所定物体が撮影された熱画像データを機械学習させた学習モデルを参照し、取得した熱画像データに対して、所定物体らしさを示す閾値が所定値以上の区画に対して、所定物体が撮影されていると判断することで所定物体を検出する。
【0057】
図8は、実施形態2に係る画像処理装置102において、画像認識部190が所定物体を認識した熱画像データを表示装置300に表示した場合を例示した図である。図8に示すように、画像認識部190は、熱画像データにおけるフレームF1の熱画像に、走行中の他車両90を検出した場合の例として説明する。画像認識部190は、検出した他車両90の部分をシステム制御部140に出力してもよい。システム制御部140は、他車両90を含む部分を検出枠91で囲んで表示制御部180に表示させている。画像認識部190は、所定物体として、他車両90に限らず、人物(歩行者、自転車に乗車している人物)等を検出してもよい。
【0058】
シャッタ220が開いている場合には、画像認識部190は、開いたシャッタ220を通して取得されたフレームの熱画像から所定物体を検出する。一方、前述したように、シャッタ制御部150は、飽和検出部173が太陽光の直接入射による飽和画素を検出した場合、シャッタ220を閉じるとともに、所定フレーム毎にシャッタ220を開く制御を行う。この制御に伴って、画像認識部190は、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じている期間、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像から所定物体を検出する。
【0059】
シャッタ220を閉じているシャッタ閉期間に直前フレームの熱画像を表示装置300に表示させる場合には、以下の2通りの方法で行ってもよい。すなわち、画像認識部190に、連続して同一の熱画像毎に画像認識を行わせ、表示制御部180に、検出結果を表示させてもよい。また、画像認識部190が直前フレームで検出した検出結果を、表示制御部180にシャッタ閉期間中表示させてもよい。
【0060】
次に、本実施形態の画像処理方法を説明する。図9は、実施形態2に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。図9のステップS201及びステップS202は、図6に示す実施形態1のステップS101及びステップS102と同様の処理であるので説明を省略する。
【0061】
ステップS202の後で、システム制御部140は、画像認識部190に、所定物体の検出を開始させる(ステップS203)。次に、表示制御部180は、熱画像データ取得部160が取得した熱画素データに加えて、画像認識部190が認識した所定物体の検出結果についての通常の表示を開始する(ステップS204)。
【0062】
次に、システム制御部140は、熱画像データ及び検出結果についての表示を終了するか否かを判定する(ステップS205)。熱画像データ及び検出結果についての表示を終了する場合(ステップS205のYes)、システム制御部140は、表示制御部180に熱画像データ及び検出結果についての表示を終了させる。熱画像データ及び検出結果についての表示を終了しない場合(ステップS205のNo)、ステップS206に進む。図9のステップS206及びステップS207は、図6に示す実施形態1のステップS105及びステップS106と同様の処理であるので説明を省略する。ただし、ステップS206のNoの場合には、ステップS205に戻る。
【0063】
次に、システム制御部140は、表示制御部180に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像及び検出結果についての表示を開始させる(ステップS208)。ステップS208では、図5に示すように、例えば、シャッタ220を閉じる直前のフレームF1の熱画像を、フレームF2~F5の撮影期間に表示させる。また、シャッタ220を閉じる直前のフレームF1において、所定物体が検出されている場合は、検出枠91が付された熱画像を、フレームF2~F5の撮影期間に表示させる。シャッタ220を閉じる直前のフレームF1において、所定物体が検出されていない場合は、検出枠91が付されていない熱画像を、フレームF2~F5の撮影期間に表示させる。
【0064】
図9のステップS209及びステップS210は、図6に示す実施形態1のステップS108及びステップS109と同様の処理であるので説明を省略する。ただし、ステップS209のNoの場合には、ステップS209に戻る。ステップS210の後は、ステップS206に戻る。
【0065】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、画像認識部190は、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じている期間に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像から所定物体を検出する。よって、赤外線センサ230を保護しつつ、画像処理装置102のユーザは、シャッタ220が閉じられている期間においても、人物及び他車両90等の認識を行うことができる。
【0066】
これまでの関連する撮像システムでは、太陽光が画角内に入った時には、赤外線センサ230の焼き付きが発生するために、シャッタ220を閉じる処理を行っている。その為、太陽光が地平線の近い位置にある時には、人物等がいても赤外線カメラ200は、人物等を撮像できず、人物等を認識することができない。これに対して、本実施形態では、シャッタ220を閉じている期間にも、所定フレーム毎にシャッタ220が開くので、コマ送りのような映像になるものの、画像認識部190による人物等の認識をすることができる。よって、撮像システム2が車両などの移動体に搭載されている場合には、人物等との衝突回避のための警告や、ユーザによる人物等の認識を行うことができる。
【0067】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る撮像システムを説明する。図10は、実施形態3に係る撮像システムの構成を例示したブロック図である。図10に示すように、本実施形態の撮像システム3は、予測部151をさらに備えている。具体的には、システム制御部140は、予測部151を備えている。予測部151は、画像認識部190の機能であってもよい。予測部151は、画像認識部190が検出した所定物体の位置を予測する。例えば、予測部151は、検出している所定物体の位置をフレーム毎の移動推移から予測する。予測部151は、シャッタ220が閉じられる前において検出された所定物体の位置の推移から、シャッタ220が閉じられている期間における所定物体の位置を予測する。
【0068】
予測部151は、シャッタ220が閉じられる前において検出された所定物体が、フレーム毎に所定方向に一定速度での移動を示している場合、シャッタ220が閉じられている期間においても、同一方向に一定速度で移動していることを予測する。予測部151は、シャッタ220が閉じられる前において検出された所定物体が、フレーム毎に所定方向に所定の加減速を伴って移動している場合、シャッタ220が閉じられている期間においても、同一方向に同一の加減速を伴って移動していることを予測する。また、予測部151は、シャッタ220が閉じられる前における所定物体の移動方向に基づき、シャッタ220が閉じられている期間における所定物体の移動方向を予測する。
【0069】
表示制御部180は、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じている期間に、シャッタ220が閉じる直前に認識された所定物体について予測部151が予測した位置を示す表示を行う。
【0070】
次に、本実施形態の画像処理方法を説明する。図11は、実施形態3に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。図11のステップS301及びステップS302は、図9に示す実施形態2のステップS201及びステップS202と同様の処理であるので説明を省略する。
【0071】
ステップS302の後で、画像認識部190は、所定物体の検出を開始し、予測部151は、検出された所定物体の位置の予測を開始する(ステップS303)。図11のステップS304からステップS307の処理は、図9に示す実施形態2のステップS204からステップS207と同様の処理であるので説明を省略する。ただし、ステップS306のNoの場合には、ステップS305に戻る。
【0072】
ステップS307において、シャッタ220が閉じられた場合、システム制御部140は、表示制御部180に、シャッタ220が閉じる直前のフレームの熱画像及び所定物体の移動予測位置の表示を開始させる(ステップS308)。ステップS308では、図5に示すように、例えば、シャッタ220を閉じる直前のフレームF1の熱画像を、フレームF2~F5の撮影期間に表示させる。また、シャッタ220を閉じる直前のフレームF1において、所定物体が検出されている場合は、シャッタ220を閉じる直前のフレームF1とその前のフレームなどにおいて検出された所定物体の位置から予測された所定物体の予測された位置を示す検出枠91が付された熱画像を、フレームF2~F5の撮影期間に表示させる。
【0073】
図11のステップS309及びステップS310は、図9に示す実施形態2のステップS209及びステップS210と同様の処理であるので説明を省略する。ただし、ステップS309のNoの場合には、ステップS309に戻る。ステップS310の後は、ステップS306に戻る。
【0074】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、予測部151は、画像認識部190によって検出された所定物体の位置を予測する。さらに、シャッタ制御部150がシャッタ220を閉じている期間においては、シャッタ220が閉じる直前に認識された所定物体の位置から予測された位置を示す検出枠等を表示する。これにより、赤外線センサ230を保護しつつ、画像処理装置103のユーザは、シャッタ220が閉じられている期間においても、人物及び他車両90等の予測された移動先を認識することができる。よって、撮像システム3が車両などの移動体に搭載されている場合には、人物等との衝突回避のための警告や、ユーザによる人物等の位置確認を行うことができる。
【0075】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る撮像システムを説明する。本実施形態の撮像システムは、実施形態1~3における「所定フレーム期間撮影」の期間を変化させる。例えば、システム制御部140は、撮像システムが設置された移動体の移動状態によって「所定フレーム期間撮影」の期間を変化させる。
【0076】
図12は、実施形態4に係る撮像システム4の構成を例示したブロック図である。図12に示すように、本実施形態の撮像システム4において、画像処理装置104は、車両等の移動体に設置され、CAN(Controller Area Network)400に接続されている。CAN400は、移動体の制御装置等から移動体の移動状態を示す情報が取得可能である。移動体の移動状態は、移動体の走行速度や、旋回状態などの情報を含む。
【0077】
また、画像処理装置104は、移動情報取得部152をさらに備えている。具体的には、システム制御部140は、移動情報取得部152を含んでいる。移動情報取得部152は、CAN400を介して移動体の移動状態を取得する。
【0078】
本実施形態のシャッタ制御部150は、飽和検出部173が所定条件を満たす飽和画素を検出している期間、シャッタ220を閉じてからシャッタ220を開く所定フレーム毎の期間を、移動情報取得部152が取得した移動体の移動状態によって変化させる。
【0079】
本実施形態は、シャッタ220の開状態毎における赤外線センサ230に対する太陽の位置が重複しないようにすることを目的に含んでいる。よって、例えば、車両の走行が、旋回状態であれば、短期間で赤外線センサ230に対する太陽の位置が変動する。車両が停止状態であれば、複数回のシャッタ220の開状態において、赤外線センサ230の同一位置に太陽光が撮影されてしまう。
【0080】
そこで、シャッタ制御部150は、例えば、太陽光の直接入射による飽和画素が検出された時に、車両が停止状態である場合は、10フレーム分撮影する期間をシャッタの閉状態とし、1フレーム分撮影する期間をシャッタの開状態とすることで、再度、太陽光の直接入射による飽和画素の有無を判断する。例えば、太陽光の直接入射による画素飽和が検出された時に、車両が旋回(交差点における旋回などステア角が大きい場合)している状態である場合は、3フレーム分撮影する期間をシャッタの閉状態とし、1フレーム分撮影する期間をシャッタの開状態とすることで、再度、太陽光の直接入射による飽和画素の有無を判断する。このように、赤外線センサ230に入射する太陽光の位置の変化が大きい移動状態の場合には、開状態の間隔を短くし(閉状態の期間を短くし)、赤外線センサ230に入射する太陽光の位置の変化が小さい移動状態の場合には、開状態の間隔を長く(閉状態の期間を長く)してもよい。
【0081】
なお、シャッタ制御部150は、赤外線カメラ200の撮影画角における移動体の移動速度が速いほど、シャッタ220を閉じてからシャッタ220を開く所定フレーム毎の期間を短くしてもよい。ここで、撮影画角における移動体の移動速度が速いほどとは、走行速度が速い及び/または遅いのみでもよいし、旋回方向の移動の有無のみであってもよいし、両者が組み合わされたものでもよい。
【0082】
次に、本実施形態の画像処理方法を説明する。図13は、実施形態4に係る画像処理方法を例示したフローチャート図である。図13のステップS401及びステップS402は、図6に示す実施形態1のステップS101及びステップS102と同様の処理であるので説明を省略する。
【0083】
ステップS402の後で、移動情報取得部152は、移動体の移動状態の取得を開始する(S403)。
【0084】
ステップS404~ステップS410は、図6に示す実施形態1のステップS103~ステップS109と同様の処理であるので説明を省略する。ただし、ステップS406のNoは、ステップS405に進み、ステップS409のNoは、ステップS409に進み、ステップS410の後は、ステップS406に進む。また、ステップS409及びステップS410において、シャッタ制御部150は、シャッタ220を閉じてからシャッタ220を開く所定フレーム毎の期間を、移動情報取得部152が取得した移動体の移動状態によって変化させる。
【0085】
本実施形態によれば、シャッタ220の開状態毎における赤外線センサ230に対する太陽の位置が重複しないようにすることができ、赤外線センサ230の焼き付けを低減させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~3の記載に含まれている。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1~4の各構成のいずれかを組み合わせたものも本実施形態の技術思想の範囲内である。また、下記のように、画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムも実施形態の技術的思想の範囲である。
【0087】
(付記1)
熱画像を撮像する赤外線カメラから、複数のフレームで構成される熱画像データを取得する熱画像データ取得ステップと、
前記熱画像データにおける飽和画素であって、所定条件を満たす前記飽和画素の有無を検出する飽和検出ステップと、
前記飽和検出ステップで前記所定条件を満たす前記飽和画素が検出された場合、前記赤外線カメラが備える赤外線センサへの光の入射を遮蔽するシャッタを閉じるとともに、所定フレーム毎に前記シャッタを開く制御を行うシャッタ制御ステップと、
前記熱画像データ取得ステップで取得した熱画像データを、表示装置に表示させ、前記シャッタを閉じている期間は、前記シャッタが閉じる直前の前記フレームの前記熱画像を前記表示装置に表示させる、表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
(付記2)
前記熱画像データから所定物体を検出する画像認識ステップをさらに備え、
前記画像認識ステップでは、前記シャッタを閉じている期間は、前記シャッタが閉じる直前の前記フレームの前記熱画像から前記所定物体を検出する、
付記1に記載の画像処理プログラム。
(付記3)
前記熱画像データから所定物体を検出する画像認識ステップと、
前記画像認識ステップにおいて検出した前記所定物体の位置の動きを予測する予測ステップと、
をさらに備え、
前記表示制御ステップでは、前記シャッタを閉じている期間は、前記シャッタが閉じる直前に認識された前記所定物体について予測された前記位置を示す表示を行う、
付記1に記載の画像処理プログラム。
(付記4)
移動体の移動状態を取得する移動情報取得ステップをさらに備え、
前記シャッタ制御ステップでは、前記飽和検出ステップにおいて前記所定条件を満たす前記飽和画素を検出した場合、前記シャッタを閉じてから前記シャッタを開く所定フレーム毎の期間を、前記移動情報取得ステップにおいて取得された前記移動体の移動状態によって変化させる、
付記1に記載の画像処理プログラム。
【0088】
また、上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリや各種ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1、2、3、4 撮像システム
90 他車両
91 検出枠
101、102、103、104 画像処理装置
110 制御IF
120 ROM
130 RAM
140 システム制御部
150 シャッタ制御部
151 予測部
152 移動情報取得部
160 熱画像データ取得部
170 画像処理部
171 欠陥画素補正部
172 NUC部
173 飽和検出部
180 表示制御部
190 画像認識部
200 赤外線カメラ
210 レンズ210
220 シャッタ
230 赤外線センサ
240 伝送デバイス
250 温度センサ
300 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13