(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162043
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 19/02 20060101AFI20241114BHJP
E04B 1/30 20060101ALI20241114BHJP
E04C 3/293 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01N19/02 A
E04B1/30 K
E04C3/293
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077201
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】金本 清臣
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FB02
2E163FD31
2E163FD42
2E163FF12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】RC-S間の摩擦係数を推定してより経済的な設計を可能にできる混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法を提供する。
【解決手段】混合構造梁1を、端部RC造部4における柱2に接合されている箇所が固定端であり、鉄骨梁部3におけるせん断力が作用する箇所が自由端である片持梁にモデル化し、鉄骨梁部における端部RC造部に囲繞されているRC囲繞部の長さ方向の微小区間の任意のО点周りの曲げモーメントのつり合い、О点周りのせん断力のつり合いから、摩擦係数が式(4)で求められる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート造の柱の間に架設される鉄骨梁部と、
前記鉄骨梁部の長さ方向の両端部を囲繞するとともに前記柱に接合される鉄筋コンクリート造の端部RC造部と、を有する混合構造梁における前記鉄骨梁部の長さ方向の中央部にせん断力が作用した際に前記端部RC造部内のコンクリート部と前記鉄骨梁部との間の摩擦係数を推定する方法であって、
前記混合構造梁を、前記端部RC造部における前記柱に接合されている箇所が固定端であり、前記鉄骨梁部における前記せん断力が作用する箇所が自由端である片持梁にモデル化し、
前記鉄骨梁部における前記端部RC造部に囲繞されているRC囲繞部の長さ方向の微小区間の任意のО点周りの曲げモーメントのつり合いは、下記の式(A)で示され、前記О点周りのせん断力のつり合いは、下記の式(B)で示され、下記の式(2)、(3)を下記の式(1)に代入し、前記摩擦係数が下記の式(4)で求められる、混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【請求項2】
前記О点は、前記微小区間における中心点である、請求項1に記載の混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の柱間に架設される梁として、柱間に架設される鉄骨梁部と、鉄骨梁部の両端部を囲繞して柱と接合される鉄筋コンクリート造の端部RC造部とを有する混合構造梁が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
混合構造梁は、鉄骨梁のみを使用する場合と比べて使用する鉄骨の断面サイズを小さくできるため、使用鋼材量が減り、コスト削減を図ることができる。混合構造梁は、鉄骨梁部の端部が柱の主筋と干渉しないため、鉄骨梁部を柱と接合するための加工が不要となり、コスト削減を図ることができるとともに、施工性を向上できる。更に、混合構造梁は、端部RC造部をプレキャスト化することにより、施工性を向上できる。
また、混合構造梁は、鉄骨梁部の両端部が端部RC造部に囲繞されているため、鉄骨梁のみを使用する場合と比べて剛性の高い架構を実現でき、層間変形角を抑えることができる。その結果、混合構造梁は、大スパン架構を構築できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
混合構造梁は、端部RC造部の梁主筋や鉄骨梁部の降伏を端部RC造部のコンクリート部の破壊よりも先行させ、これらの降伏に先んじて端部RC造部のコンクリート部がせん断破壊しないように設計する必要がある。設計上、混合構造梁には、
図16に示すような曲げモーメント、
図17に示すようなせん断力が作用することが想定される。このため、端部RC造部の設計は、
図16に示す端部RC造部の負担曲げモーメントM
RCおよび
図17に示す端部RC造部の負担せん断力Q
RCに対して行われる。
【0006】
混合構造梁では、鉄骨梁部の端部が柱と接合されておらず、切放しとなっている。このため、端部RC造部内での鉄骨梁部の負担曲げモーメントM
Sは、設計上、柱フェイス位置(端部位置)で0となる(
図16参照)。鉄骨梁部にせん断力が作用し、端部RC造部内の鉄骨梁部に曲げ引張力が発生すると、端部RC造部内の集中補強筋、せん断補強筋に囲まれたコンクリート部にせん断力が伝達され、矩形に閉鎖された集中補強筋、せん断補強筋とコンクリート部との間でせん断力がやり取りされ、端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間(以下、RC-S間と表記する)には摩擦力が生じる。このRC-S間に生じる摩擦力による曲げモーメントM
fを考慮した負担曲げモーメントM
RCおよび負担せん断力Q
RCは、設計上、想定しているRC-S間に生じる摩擦力による曲げモーメントM
fを考慮していない負担曲げモーメントM
RCおよび負担せん断力Q
RCよりも小さい。このため、端部RC造部のせん断設計は、存在応力よりも大きい負担曲げモーメントM
RCおよび負担せん断力Q
RCに対して行われるため、十分安全側の設計となっている。
【0007】
混合構造梁の設計において、RC-S間に生じる摩擦力による曲げモーメントMfを考慮することによって、より経済的な設計が可能になる。しかしながら、RC-S間に生じる摩擦力、すなわちRC-S間の摩擦係数の推定方法は、現状として確立されていない。
【0008】
そこで、本発明は、RC-S間の摩擦係数を推定してより経済的な設計を可能にできる混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法は、鉄筋コンクリート造の柱の間に架設される鉄骨梁部と、前記鉄骨梁部の長さ方向の両端部を囲繞するとともに前記柱に接合される鉄筋コンクリート造の端部RC造部と、を有する混合構造梁における前記鉄骨梁部の長さ方向の中央部にせん断力が作用した際に前記端部RC造部内のコンクリート部と前記鉄骨梁部との間の摩擦係数を推定する方法であって、前記混合構造梁を、前記端部RC造部における前記柱に接合されている箇所が固定端であり、前記鉄骨梁部における前記せん断力が作用する箇所が自由端である片持梁にモデル化し、前記鉄骨梁部における前記端部RC造部に囲繞されているRC囲繞部の長さ方向の微小区間の任意のО点周りの曲げモーメントのつり合いは、下記の式(A)で示され、前記О点周りのせん断力のつり合いは、下記の式(B)で示され、下記の式(2)、(3)を下記の式(1)に代入し、前記摩擦係数が下記の式(4)で求められる。
【0010】
【0011】
本発明では、端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数を推定できる。この端部RC造部内のRC-S間に生じる摩擦力による曲げモーメントMfを考慮した負担曲げモーメントMRC、負担せん断力QRCは、設計上、想定しているRC-S間に生じる曲げモーメントMfを考慮していない負担曲げモーメントMRC、負担せん断力QRCよりも小さくなる。このため、端部RC造部のより経済的な設計を可能にできる。
【0012】
本発明に係る混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法では、前記О点は、前記微小区間における中心点であってもよい。
【0013】
このような構成とすることによって、О点周りの曲げモーメントのつり合いおよびО点周りのせん断力のつり合いを容易に算出できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RC-S間の摩擦係数を推定してより経済的な設計を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】1つの柱の両側にそれぞれに接合されている混合構造梁の斜視図である。
【
図4】端部RC造部内の鉄骨梁部の微小区間を示す図である。
【
図6】試験体No.1-1およびNo.1-2の側面図である。
【
図7】試験体No.2-1およびNo.2-2の側面図である。
【
図8】試験体No.1-1のA区間における梁変形角R=+0.5%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図9】試験体No.1-2のB区間における梁変形角R=+0.5%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図10】試験体No.1-1のA区間における梁変形角R=+1.5%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図11】試験体No.1-2のB区間における梁変形角R=+1.0%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図12】試験体No.2-1のC区間における梁変形角R=+0.5%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図13】試験体No.2-2のD区間における梁変形角R=+0.5%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図14】試験体No.2-1のC区間における梁変形角R=+1.0%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図15】試験体No.2-2のD区間における梁変形角R=+1.0%の材軸位置と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【
図16】設計で想定される混合構造梁の曲げモーメント図である。
【
図17】設計で想定される混合構造梁のせん断力図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法について、
図1-
図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による混合構造梁1は、一対の鉄筋コンクリート造の柱2の間に架設されている。混合構造梁1は、一対の鉄筋コンクリート造の柱2を結ぶ水平方向に延びている。混合構造梁1が延びる方向を長さ方向と表記する。
図2では、1つの柱2の両側にそれぞれに混合構造梁1が接合されている様子を示している。
【0017】
図1および
図2に示すように、混合構造梁1は、鉄骨梁部3と、端部RC造部4と、を有する。
鉄骨梁部3は、鉄骨梁である。鉄骨梁部3は、例えば、H形鋼やI形鋼などの形鋼である。鉄骨梁部3の長さ方向の端面は、柱2の側面と略同じ位置に配置されている。鉄骨梁部3の長さ方向の端面は、柱2(柱梁接合部)の内部に挿入されていない。
端部RC造部4は、鉄筋コンクリート造で鉄骨梁部3の長さ方向の端部を囲繞している。端部RC造部4は、柱2と接合されている。端部RC造部4は、梁主筋41と、せん断補強筋42と、集中補強筋44と、コンクリート部43と、を有する。梁主筋41は、鉄骨梁部3の長さ方向に延び、鉄骨梁部3を囲むように複数設けられている。せん断補強筋42は、複数の梁主筋41を囲む鉄筋で、長さ方向に間隔をあけて複数設けられている。集中補強筋44は、梁主筋41の先端部に集中的に束ねて設けられている。コンクリート部43は、鉄骨梁部3、梁主筋41、せん断補強筋42および集中補強筋44を埋設している。
【0018】
梁主筋41は、鉄骨梁部3の長さ方向の端面よりも柱2側に突出し、柱2のコンクリートに埋設されている。
図2に示すように、柱2の両側それぞれに混合構造梁1が接合されている場合は、梁主筋41が一方の混合構造梁1の端部RC造部4、柱2、他方の混合構造梁1の端部RC造部4にわたるように設けられている。
鉄骨梁部3の端部で、端部RC造部4に囲繞されている部分をRC囲繞部31と表記する。
【0019】
混合構造梁1は、鉄骨梁部3の長さ方向の中央部32にせん断力が作用し、端部RC造部4内の鉄骨部3に曲げ引張力が作用すると端部RC造部4と鉄骨梁部3のRC囲繞部31との間(以下、RC-S間と表記する)には摩擦力が生じる。このRC-S間に生じる摩擦力を推定するために、本実施形態による混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法によってRC-S間の摩擦係数を推定する。
【0020】
本実施形態による混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法では、
図3に示すように、混合構造梁1を、端部RC造部4における柱2に接合されている箇所が固定端であり、鉄骨梁部3におけるせん断力が作用する箇所が自由端である片持梁にモデル化する。鉄骨梁部3におけるせん断力が作用する箇所は、端部RC造部4に囲繞されていない鉄骨梁部3の長さ方向の中央部32である。なお、鉄骨梁部3におけるせん断力が作用する箇所は、端部RC造部4に囲繞されていない鉄骨梁部3の長さ方向の中央であってもよいし、中央からずれた位置であってもよい。
図4に示す鉄骨梁部3のRC囲繞部31の微小区間33について、曲げモーメントのつり合いおよびせん断力のつり合いを下記のように設定する。
微小区間33は、長さ方向の微小区間である。微小区間33における長さ方向および高さ方向の中心をО点と表記する。
【0021】
微小区間33におけるО点周りの曲げモーメントのつり合いは、下記の式(A)で示す。
以下の式では、
Ms :端部RC造部4内の鉄骨梁部3の曲げモーメント
w :端部RC造部4内の鉄骨梁部3に作用する支圧力(本実施形態では、端部RC造部4内の鉄骨梁部3のフランジに作用する支圧力)
e :鉄骨梁部3のせい(本実施形態では、上フランジと下フランジの芯々間距離)
μ :端部RC造部4内のコンクリート部43と鉄骨梁部3との間の摩擦係数
f :端部RC造部4内の鉄骨梁部3に作用する支圧力の摩擦抵抗力
とする。
【0022】
【0023】
微小区間33におけるО点周りのせん断力のつり合いは、下記の式(B)で示す。
【0024】
【0025】
上記の式(2)、(3)を上記の式(1)に代入することによって、RC-S間の摩擦係数が下記の式(4)で求められる。
【0026】
【0027】
既往の混合構造梁の実験結果から端部RC造部4内の鉄骨梁部3が負担する曲げモーメントおよびせん断力を算出し、これらの数値を用いて本実施形態の混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法によってRC-S間の摩擦係数の推定を試みた。
【0028】
図5に試験体の一覧を示し、
図6および
図7に試験体図を示す。試験体は、No.1-1、No.1-2、No.2-1、No.2-2の4体である。各試験体は、混合構造梁1の端部RC造部4における柱2に接合されている箇所が固定端であり、鉄骨梁部3におけるせん断力が作用する箇所が自由端である片持梁としたものである。
図6に試験体No.1-1およびNo.1-2を示す。試験体No.1-1およびNo.1-2は、同じ柱2に接合されている。試験体No.1-1は、柱2の一方側(左側)に接合され、試験体No.1-2は、柱2の他方側(右側)に接合されている。
図7に試験体No.2-1およびNo.2-2を示す。試験体No.2-1およびNo.2-2は、同じ柱2に接合されている。試験体No.2-1は、柱2の一方側(左側)に接合され、試験体No.2-2は、柱2の他方側(右側)に接合されている。
【0029】
No.1-1における端部RC造部4が設けられている領域を符号Aで示し、No.1-2における端部RC造部4が設けられている領域を符号Bで示し、No.2-1における端部RC造部4が設けられている領域を符号Cで示し、No.2-2における端部RC造部4が設けられている領域を符号Dで示す。
図8-
図15に示すグラフにおいても同じ符号で示している。
地震によって混合構造梁が変形する時の梁変形角をRで示すものとする。実験では、梁変形角Rを±0.25%、±0.5%、±1.0%、±1.5%、±2%、±3%、±5%と設定し、これに従って鉄骨梁部の加力位置にせん断力を作用させている。
図8-
図15には、鉄骨梁部の加力位置に所定の梁変形角Rとなるようにせん断力を作用させた場合の一部の結果を示している。
【0030】
図8-
図15に示すように、RC-S間の摩擦係数は、混合構造梁1における鉄骨梁部3のみの部分(鉄骨梁部3長さ方向の中央部32)から端部RC造部4が設けられている部分に切り替わる位置において、てこの原理で鉄骨梁部3に入力されたせん断力Qが端部RC造部4に伝達されることがわかる。混合構造梁1における鉄骨梁部3のみの部分から端部RC造部4が設けられている部分に切り替わる位置は、試験体No.1-1を示す
図8、10では、矢印Aが示す範囲の左側の端部位置、試験体No.1-2を示す
図9、11では、矢印Bが示す範囲の右側の端部位置、試験体No.2-1を示す
図12、14では、矢印Cが示す範囲の左側の端部位置、試験体No.2-2を示す
図13、15では、矢印Dが示す範囲の右側の端部位置が相当する。
【0031】
また、混合構造梁1の柱2側の端部では、鉄骨梁部3の柱2側の端部が柱2と接合されずに切放しとなっていることから摩擦係数μが急変していることがわかる。
端部RC造部4における中央付近でせん断力が大きくなることから、RC-S間の摩擦係数μとしては、
図8-
図15それぞれにおいて実線で示す端部RC造部4の長さ方向の中央付近の値が妥当であると考えられる。
図8-
図15には、RC-S間の摩擦係数μの妥当値も示している。
【0032】
次に、本実施形態による混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法の作用・効果について説明する。
本実施形態による混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法では、RC-S間の摩擦係数μを推定できる。この端部RC造部4内のRC-S間に生じる摩擦力による曲げモーメントMfを考慮した負担曲げモーメントMRC、負担せん断力QRCは、設計上、想定しているRC-S間に生じる摩擦力による曲げモーメントMfを考慮していない負担曲げモーメントMRC、負担せん断力QRCよりも小さくなる。このため、端部RC造部4のより経済的な設計を可能にできる。
【0033】
以上、本発明による混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0034】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。
本実施形態に係る混合構造梁における端部RC造部内のコンクリート部と鉄骨梁部との間の摩擦係数推定方法は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「9.産業と技術革新の基板をつくろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0035】
1 混合構造梁
2 柱
3 鉄骨梁部
4 端部RC造部
31 RC囲繞部
32 中央部
43 コンクリート部