(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162045
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】基板処理装置及びその基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077205
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000134028
【氏名又は名称】株式会社SCREEN SPE テック
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】迎垣 孝一
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 宏平
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA12
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA43
5F131DB02
5F131DB58
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD42
5F131DD57
5F131DD59
5F131DD65
5F131DD82
5F131GA14
5F131GA33
5F131GA92
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
(57)【要約】
【課題】薄型の基板であっても、カセットへの収納時に基板を汚染することなく、処理後に基板をカセットに元の順序で収納できる。
【解決手段】第1の収納動作PA1及び第2の収納動作PA2時には、収納される基板Wの下方に基板Wが存在しない。したがって、薄型の基板Wで上に凸状に反っていても、基板Wと干渉することなくインデクサロボットIRのハンドを進入させることができる。また、収納時にスロットと基板Wが摺動してパーティクルが発生しても、基板Wが汚染される恐れがない。上下方向の基板Wの順序がバッファカセットBFを介して入れ換えられるので、処理ブロック7による処理を行った後、カセットC内の基板Wの上下方向における順序は、処理前のカセットCにおける順序と同じになる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置において、
高さ方向に複数個のスロットを備え、高さ方向に複数枚の基板を収納するカセットを載置するカセット載置部と、
前記カセットと同様のスロットを備え、バッファとして用いるバッファカセットを載置するバッファカセット載置部と、
前記カセットに収納された基板を処理する処理部と、
前記カセット載置部と、前記バッファカセット載置部と、前記処理部との間で基板を搬送する搬送ロボットと、
前記搬送ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記カセット載置部に載置されたカセットを対象として、前記カセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第1の取り出し動作と、
前記バッファカセット載置部に載置されたバッファカセットを対象として、前記バッファカセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第1の収納動作と、
前記バッファカセット載置部に載置されたバッファカセットを対象として、前記バッファカセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第2の取り出し動作と、
前記カセット載置部に載置されたカセットを対象として、前記カセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第2の収納動作と、
を前記搬送ロボットに行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記処理部で基板を処理する前に、前記第1の取り出し動作と、前記第1の収納動作と、前記第2の取り出し動作とを前記搬送ロボットに行わせ、前記処理部にて基板を処理した後に、前記第2の収納動作を前記搬送ロボットに行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記処理部で基板を処理する前に、前記第1の取り出し動作を前記搬送ロボットに行わせ、前記処理部で基板を処理した後に、前記第1の収納動作と、前記第2の取り出し動作と、前記第2の収納動作とを前記搬送ロボットに行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記カセット載置部は、少なくとも2個のカセットを載置し、
前記バッファカセット載置部は、少なくとも2個のバッファカセットを載置し、
前記制御部は、前記カセットの1個と、前記バッファカセットの1個とを対応付けて1ペアとし、少なくとも第1のペアと第2のペアとして取り扱い、
前記第1のペアを対象として、前記第1の取り出し動作と、前記第1の収納動作とを前記搬送ロボットに行わせた後、前記第2の取り出し動作により前記処理部に基板を搬送させ、前記第2の収納動作により前記処理部で処理を終えた基板を搬送させ、前記第2の取り出し動作及び前記第2の収納動作の合間において、
前記第2のペアを対象として、前記第1の取り出し動作と、前記第1の収納動作とを前記搬送ロボットに行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記カセットと前記バッファカセットとは、規格化された搬送用カセットであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記搬送ロボットは、平面視でアルファベットのI型形状を呈するハンドと、前記ハンドの上面に形成され、前記基板の下面を支持する支持部と、前記ハンドが進退する方向において前記ハンドの進入先に相当する位置に形成され、前記基板の外周縁を係止するガイドとを備え、
前記制御部は、前記第1の取り出し動作及び前記第2の取り出し動作の際には、取り出し対象の基板が収納された高さ位置より下方であって、前記カセット及び前記バッファカセットの前記複数個のスロットにおける高さ方向の間隔より長い距離かつ、前記カセット及び前記バッファカセットの底面から、前記複数個のスロットのうちの最下部までの間隔より短い距離で前記ハンドを前記カセット及び前記バッファカセットに進入させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置において、
前記ハンドは、前記ガイドが、反っていない基板を扱う場合よりも高くしてあることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
基板を処理する基板処理装置における基板搬送方法において、
カセット載置部に載置された、高さ方向に複数個のスロットを備え、高さ方向に複数枚の基板を収納するカセットから基板を搬送して、処理部で基板に処理を行ってから前記カセットに基板を戻す際に、
前記カセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第1の取り出し動作を行う過程と、
前記第1の取り出し動作を行う過程の後、バッファカセット載置部に載置された、前記カセットと同様のスロットを備えた、バッファとして用いるバッファカセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第1の収納動作を行う過程と、
前記第1の収納動作を行う過程の後、前記バッファカセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第2の取り出し動作を行う過程と、
前記カセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第2の収納動作を行う過程と、
を実施することを特徴とする基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示器や有機EL(Electroluminescence)表示装置用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板(以下、単に基板と称する)を処理する基板処理装置及びその基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、カセットと、アームと、処理室と、制御部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。カセットは、複数個のスロットを形成されている。1つのスロットは、1枚の基板を収納する。カセットは、複数枚の基板を高さ方向に積層して収納する。カセットは、ロードポートに載置される。処理室は、基板を一枚ずつ受け入れて処理を行う。制御部は、アームを操作して、カセットから基板を一枚ずつ下から順に取り出す。そして、制御部は、一枚ずつ基板を処理室に搬送する。制御部は、処理室で処理を終えた基板を一枚ずつカセットに搬送して収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、カセットの下から順に取り出した基板を、例えば、処理後にカセットの下から順に収納する。
【0005】
基板をカセットに収納する際には、基板の外周縁の下面とスロットの当接部とが摺動する。そのためカセットに基板を収納する場合、パーティクルが発生して、その下方に既に収納されている基板の処理面を汚染する恐れがある。
【0006】
そこで、カセットの上から順に収納することが考えられる。しかしながら、これでは複数枚の基板の収納順序がカセットとは上下で反転してしまう。このように収納順序が反転することは、基板を管理する上で問題となる。
【0007】
ここで、逆に、カセットの上から基板を取り出し、処理後にカセットに上から基板を収納することが考えられる。しかしながら、これらの場合には、次のような別異の問題が生じ得る。
【0008】
ところで、最近は、パワー半導体デバイスのために厚みが薄い基板が用いられることがある。薄型の基板は、カセットに収納された際に、自重で基板の中央が反って、下に凸状となることがある。また、薄型の基板は、種々の熱処理を経て形成された被膜の熱膨張率の相違により、基板が上に反って上に凸状となっていることがある。このように薄型の基板で上に凸状の基板の場合には、上述した前者(下から取り出しと収納)では、カセットに基板を収納する際に下の基板とアームとが干渉する恐れがある。また、薄型の基板で下に凸状の基板の場合には、上述した後者(上から取り出しと収納)では、カセットから基板を取り出す際にアームと取り出し対象の基板とが干渉する恐れがある。つまり、特に、薄型の基板の場合には、カセットへの収納時に基板を汚染することなく、処理後に基板をカセットに元の順序で収納することが困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、薄型の基板であっても、カセットへの収納時に基板を汚染することなく、処理後に基板をカセットに元の順序で収納できる基板処理装置及びその基板搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置において、高さ方向に複数個のスロットを備え、高さ方向に複数枚の基板を収納するカセットを載置するカセット載置部と、前記カセットと同様のスロットを備え、バッファとして用いるバッファカセットを載置するバッファカセット載置部と、前記カセットに収納された基板を処理する処理部と、前記カセット載置部と、前記バッファカセット載置部と、前記処理部との間で基板を搬送する搬送ロボットと、前記搬送ロボットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記カセット載置部に載置されたカセットを対象として、前記カセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第1の取り出し動作と、前記バッファカセット載置部に載置されたバッファカセットを対象として、前記バッファカセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第1の収納動作と、前記バッファカセット載置部に載置されたバッファカセットを対象として、前記バッファカセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第2の取り出し動作と、前記カセット載置部に載置されたカセットを対象として、前記カセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第2の収納動作と、を前記搬送ロボットに行わせることを特徴とするものである。
【0011】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御部は、搬送ロボットを操作して、第1の取り出し動作と、第1の収納動作と、第2の取り出し動作と、第2の収納動作により、カセットから取り出した基板を処理部で処理してカセットへ戻す。カセットの最下段のスロットとカセットの底面との間は、各スロットの間隔よりも広い。したがって、第1の取り出し動作及び第2の取り出し動作時には、薄型の基板で下に凸状に反っていても、基板と干渉することなく搬送ロボットを進入させることができる。
【0012】
第1の収納動作及び第2の収納動作時には、基板の収納時に収納される基板の下方には基板が存在しない。したがって、薄型の基板で上に凸状に反っていても、基板と干渉することなく搬送ロボットを進入させることができる。また、収納時にスロットと基板が摺動してパーティクルが発生しても、基板が汚染される恐れがない。
【0013】
さらに、上下方向の基板の順序がバッファカセットを介して入れ換えられる。したがって、処理部による処理を行った後、カセット内の基板の上下方向における順序は、処理前のカセットにおける順序と同じになる。したがって、薄型の基板であっても、カセットへの収納時に基板を汚染することなく、処理後に基板をカセットに元の順序で収納できる。
【0014】
また、本発明において、前記制御部は、前記処理部で基板を処理する前に、前記第1の取り出し動作と、前記第1の収納動作と、前記第2の取り出し動作とを前記搬送ロボットに行わせ、前記処理部にて基板を処理した後に、前記第2の収納動作を前記搬送ロボットに行わせることが好ましい(請求項2)。
【0015】
制御部は、処理部にて基板を処理した後に、搬送ロボットに対して第2の収納動作を行わせる。したがって、処理部で処理を終えた後に、基板をカセットに迅速に収納できる。その結果、処理後の基板が汚染されるリスクを低減できる。また、処理部に基板を搬送する前にカセットからバッファカセットへの搬送を行う。この際に、カセットから取り出し不可能な形態の基板があれば、制御部が認識できる。したがって、カセット内の全ての基板について処理履歴を同じにできる。
【0016】
また、本発明において、前記制御部は、前記処理部で基板を処理する前に、前記第1の取り出し動作を前記搬送ロボットに行わせ、前記処理部で基板を処理した後に、前記第1の収納動作と、前記第2の取り出し動作と、前記第2の収納動作とを前記搬送ロボットに行わせることが好ましい(請求項3)。
【0017】
制御部は、処理部で基板を処理した後に、第1の収納動作と、第2の取り出し動作と、第2の収納動作とを前記搬送ロボットに行わせる。つまり、処理部で処理を終えた後に、バッファカセットを介して基板の収納順序を入れ換える。したがって、カセット載置部にカセットが載置されてから基板に対する処理部での処理を迅速に開始できる。
【0018】
また、本発明において、前記カセット載置部は、少なくとも2個のカセットを載置し、前記バッファカセット載置部は、少なくとも2個のバッファカセットを載置し、前記制御部は、前記カセットの1個と、前記バッファカセットの1個とを対応付けて1ペアとし、少なくとも第1のペアと第2のペアとして取り扱い、前記第1のペアを対象として、前記第1の取り出し動作と、前記第1の収納動作とを前記搬送ロボットに行わせた後、前記第2の取り出し動作により前記処理部に基板を搬送させ、前記第2の収納動作により前記処理部で処理を終えた基板を搬送させ、前記第2の取り出し動作及び前記第2の収納動作の合間において、前記第2のペアを対象として、前記第1の取り出し動作と、前記第1の収納動作とを前記搬送ロボットに行わせることが好ましい(請求項4)。
【0019】
制御部は、第1のペアを対象として、処理部に基板を搬出し、処理部から基板を搬入する際に、第2の取り出し動作及び第2の収納動作を行う。この動作の間隔は、処理部のタクトタイムに依存する。そこで、第2の取り出し動作及び第2の収納動作の合間において、第2のペアを対象として、第1の取り出し動作と、第1の収納動作とを搬送ロボットに行わせる。したがって、第1のペアの基板に対する処理が完了すると、第2のペアの基板に対する処理を迅速に開始できる。その結果、スループットを向上できる。
【0020】
また、本発明において、前記カセットと前記バッファカセットとは、規格化された搬送用カセットであることが好ましい(請求項5)。
【0021】
規格化された搬送用カセットであるので、特別な構造のカセットを用意する必要がない。したがって、従来からある装置にも制御系のソフトウエアを改造するだけで容易に実施できる。
【0022】
また、本発明において、前記搬送ロボットは、平面視でアルファベットのI型形状を呈するハンドと、前記ハンドの上面に形成され、前記基板の下面を支持する支持部と、前記ハンドが進退する方向において前記ハンドの進入先に相当する位置に形成され、前記基板の外周縁を係止するガイドとを備え、前記制御部は、前記第1の取り出し動作及び前記第2の取り出し動作の際には、取り出し対象の基板が収納された高さ位置より下方であって、前記カセット及び前記バッファカセットの前記複数個のスロットにおける高さ方向の間隔より長い距離かつ、前記カセット及び前記バッファカセットの底面から、前記複数個のスロットのうちの最下部までの間隔より短い距離で前記ハンドを前記カセット及び前記バッファカセットに進入させることが好ましい(請求項6)。
【0023】
制御部は、第1の取り出し動作及び第2の取り出し動作の際には、取り出し対象の基板が収納された高さ位置より下方であって、複数個のスロットにおける高さ方向の間隔より長い距離かつ、カセット及びバッファカセットの底面から、複数個のスロットのうちの最下部までの間隔より短い距離でハンドを進入させる。複数個のスロットにおける高さ方向の間隔より長い距離であるので、薄型の基板が下に凸状に反っていても干渉することなくハンドを進入させることができる。
【0024】
また、本発明において、前記ハンドは、前記ガイドが、反っていない基板を扱う場合よりも高くしてあることが好ましい(請求項7)。
【0025】
基板が下に凸状に反っていても、ガイドを高くしているので、基板の外周縁を係止できる。複数個のスロットにおける高さ方向の間隔より長い距離でアームを進入させるので、ガイドを高くしても干渉しない。
【0026】
また、請求項8に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置における基板搬送方法において、カセット載置部に載置された、高さ方向に複数個のスロットを備え、高さ方向に複数枚の基板を収納するカセットから基板を搬送して、処理部で基板に処理を行ってから前記カセットに基板を戻す際に、前記カセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第1の取り出し動作を行う過程と、前記第1の取り出し動作を行う過程の後、バッファカセット載置部に載置された、前記カセットと同様のスロットを備えた、バッファとして用いるバッファカセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第1の収納動作を行う過程と、前記第1の収納動作を行う過程の後、前記バッファカセットの最下段のスロットから上方に向かって順に基板を取り出す第2の取り出し動作を行う過程と、前記カセットの最上段のスロットから下方に向かって順に基板を収納する第2の収納動作を行う過程と、を実施することを特徴とするものである。
【0027】
[作用・効果]請求項8に記載の発明によれば、第1の取り出し動作を行う過程と、第1の収納動作を行う過程と、第2の取り出し動作を行う過程と、第2の収納動作を行う過程とを実施して、カセットから取り出した基板を処理部で処理して元のカセットへ戻す。カセットの最下段のスロットとカセットの底面との間は、各スロットの間隔よりも広い。したがって、第1の取り出し動作及び第2の取り出し動作を行う過程では、薄型の基板で下に凸状に反っていても、基板と干渉することなく搬送ロボットを進入させることができる。
【0028】
第1の収納動作及び第2の収納動作を行う過程では、基板の収納時に収納される基板の下方には基板が存在しない。したがって、薄型の基板で上に凸状に反っていても、基板と干渉することなく搬送ロボットを進入させることができる。また、収納時にスロットと基板が摺動してパーティクルが発生しても、基板が汚染される恐れがない。
【0029】
さらに、上下方向の基板の順序がバッファカセットを介して入れ換えられる。したがって、処理部による処理を行った後、カセット内の基板の上下方向における順序は、処理前のカセットにおける順序と同じになる。したがって、薄型の基板であっても、カセットへの収納時に基板を汚染することなく、処理後に基板をカセットに元の順序で収納できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御部は、搬送ロボットを操作して、第1の取り出し動作と、第1の収納動作と、第2の取り出し動作と、第2の収納動作により、カセットから取り出した基板を処理部で処理してカセットへ戻す。カセットの最下段のスロットとカセットの底面との間は、各スロットの間隔よりも広い。したがって、第1の取り出し動作及び第2の取り出し動作時には、薄型の基板で下に凸状に反っていても、基板と干渉することなく搬送ロボットを進入させることができる。
【0031】
第1の収納動作及び第2の収納動作時には、基板の収納時に収納される基板の下方には基板が存在しない。したがって、薄型の基板で上に凸状に反っていても、基板と干渉することなく搬送ロボットを進入させることができる。また、収納時にスロットと基板が摺動してパーティクルが発生しても、基板が汚染される恐れがない。
【0032】
さらに、上下方向の基板の順序がバッファカセットを介して入れ換えられる。したがって、処理部による処理を行った後、カセット内の基板の上下方向における順序は、処理前のカセットにおける順序と同じになる。したがって、薄型の基板であっても、カセットへの収納時に基板を汚染することなく、処理後に基板をカセットに元の順序で収納できる。
できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】(a)は、インデクサロボットのハンドを示す平面図であり、(b)は、側面図である。
【
図4】基板の搬送例1を説明するための模式図である。
【
図5】基板の搬送例2を説明するための模式図である。
【
図6】基板の搬送例3を説明するための模式図である。
【
図7】基板の搬送例3を説明するための模式図である。
【
図8】基板の搬送例3を説明するための模式図である。
【
図9】基板の搬送例3を説明するための模式図である。
【
図10】基板の搬送例3を説明するための模式図である。
【
図11】基板の搬送例3を説明するための模式図である。
【
図12】基板の搬送例3を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【0035】
<1.全体構成>
【0036】
基板処理装置1は、基板Wに対して所定の処理を行う。基板Wは、例えば、平面視で円形状を呈する。基板Wは、シリコン、SiC、化合物半導体などの材料で構成されているものがある。基板処理装置1が取り扱う基板Wは、特に構成する材料を問わない。但し、本実施例では、基板Wは、SiC製のである場合を例にとって説明する。SiC製の基板Wは、パワー半導体デバイスの製造に用いられることが多い。そのため、SiC製の基板Wは、薄型である。したがって、SiC製の基板Wは、反りが生じ易い。反りは、重力に引かれて下に凸状になる場合と、上に凸状になる場合とがある。基板Wは、種々のプロセスにより被膜が形成され、熱処理が行われる。そのため、基板Wは、上に凸状に反りが生じるものもある。特に、基板WがSiC製である場合は、薄型であるので、基板Wに反りが生じ易い。
【0037】
基板処理装置1は、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とを備えている。基板処理装置1は、処理ブロック7において、例えば、枚葉式で基板Wを処理する。枚葉式は、一枚の基板Wを水平姿勢の状態で一枚ずつ処理する。
【0038】
本明細書では、便宜上、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とが並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7から搬入出ブロック3に向かう方向を「前方XF」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方XB」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方YR」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方YL」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。
【0039】
<2.搬入出ブロック>
【0040】
搬入出ブロック3は、載置台9を備えている。搬入出ブロック3は、例えば、4個の載置台9を備えている。4個の載置台9は、幅方向Yに直線状に配置されている。各載置台9は、1個のカセットCを載置できる。カセットCは、基板Wを収納する。カセットCは、高さ方向に複数枚の基板Wを積層して収納できる。複数枚の基板Wは、例えば、25枚である。カセットCの詳細については、後述する。ここでは、各載置台9を区別する必要がある場合には、左方YLから右方YRに向かって載置台9a、9b、9c、9dと称する。
【0041】
<3.インデクサブロック>
【0042】
インデクサブロック5は、基板処理装置1における搬入出ブロック3の後方XBに隣接して配置されている。インデクサブロック5は、インデクサロボットIRを備えている。
【0043】
インデクサロボットIRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。インデクサロボットIRは、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動可能に構成されている。インデクサロボットIRは、一つのハンド13を備えている。ハンド13は、例えば、多関節アーム11の先端部に取り付けられている。ハンド13は、1枚の基板Wを保持する。ハンド13は、多関節アーム11の伸縮により、前後方向Xに進退可能に構成されている。ハンド13は、平面視でアルファベットのI型形状を呈する。ハンド13の詳細は、後述する。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動するとともに、鉛直方向Z周りに回転し、鉛直方向Zに昇降し、ハンド13を前後方向Xに進退させることにより、搬入出ブロック3に載置されている各カセットCとの間で基板Wを受け渡す。同様にして、インデクサロボットIRは、後述するセンターロボットCRとの間で基板Wを受け渡す。
【0044】
なお、上述したインデクサロボットIRが本発明における「搬送ロボット」に相当する。
【0045】
<4.処理ブロック>
【0046】
処理ブロック7は、例えば、基板Wに対して、密着性強化処理、加熱処理、冷却処理、塗布処理、現像処理などを行う。密着性強化処理は、基板Wの処理面における被膜の密着性を強化するための処理面改質処理を行う。加熱処理は、基板Wを加熱して、処理面を乾燥させる。加熱処理は、基板Wを加熱して、基板Wに塗布された被膜から溶媒を除去する。冷却処理は、基板Wを冷却して、基板Wの温度を室温に戻す。塗布処理は、被膜形成用の塗布液を基板の処理面に供給して、基板Wの処理面に被膜を形成する。現像処理は、基板Wに形成され、露光された感光性塗布膜の不要部分を除去する。
【0047】
処理ブロック7は、平面視において、前方XFの左方YLにタワーTW1と、前方XFの右方YRにタワーTW2と、後方XBの左方YLにタワーTW3と、後方XBの右方YRにタワーTW4とを備えている。処理ブロック7は、インデクサブロック5の後方XBであって、タワーTW1,TW3と、タワーTW2,TW4との間に搬送路15を備えている。搬送路15は、前後方向Xに長く形成されている。
【0048】
各タワーTW1~TW4は、鉛直方向Zに長い。各タワーTW1~TW4は、上述した各処理を行う処理ユニットを積層して配置されている。例えば、タワーTW1、TW3は、密着性強化処理、加熱処理、冷却処理を行う処理ユニットを備えている。例えば、タワーTW2は、塗布処理を行う処理ユニットを複数個積層して備えている。例えば、タワーTW4は、現像処理を行う処理ユニットを複数個積層して備えている。基板Wは、必要な処理に応じて各タワーTW1~TW4はTW4の処理ユニットに搬送される。
【0049】
搬送路15には、センターロボットCRが配置されている。センターロボットCRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。センターロボットCRは、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。センターロボットCRは、例えば、第1のハンド17と第2のハンド19とを備えている。第1のハンド17と第2のハンド19とは、それぞれ1枚の基板Wを保持する。第1のハンド17は、例えば、多関節アーム21の先端部に取り付けられている。第2のハンド19は、例えば、多関節アーム23の先端部に取り付けられている。第1のハンド17は、多関節アーム21の伸縮により、前後方向X及び幅方向Yに進退可能に構成されている。第2のハンド19も同様に、多関節アーム23の伸縮により、前後方向X及び幅方向Yに進退可能に構成されている。第1のハンド17と第2のハンド19とは、互いに独立して動作可能である。センターロボットCRは、インデクサロボットIRとの基板Wの受け渡し時に互いのハンド13と第1のハンド17及び第2のハンド19とが干渉しない。第1のハンド17及び第2のハンド19は、例えば、平面視でアルファベットのV型形状を呈する。したがって、I型形状のハンド13とV型形状の第1のハンド17及び第2のハンド19とが干渉しない。
【0050】
なお、上述した処理ブロック7が本発明における「処理部」に相当する。
【0051】
<5.制御系>
【0052】
基板処理装置1は、制御部25と、指示部27とを備えている。制御部25は、CPU及びメモリを備えている。メモリは、例えば、制御ブログラムや、基板Wを処理する条件や手順を規定したレシピを記憶する。制御部25は、上述した各部を操作して、レシピに応じて基板Wに対して処理を行わせる。制御部25は、処理に応じてインデクサロボットIR及びセンターロボットIRを操作して、基板Wを各部に搬送する。指示部27は、制御部25に指示を行う。指示は、例えば、処理開始やレシピの指定などである。
【0053】
<6.カセットの詳細>
【0054】
ここで
図2を参照して、上述したカセットCの詳細な構造について説明する。なお、
図2は、カセットの正面図である。
【0055】
カセットCは、いわゆるオープン型の構造である。カセットCは、筐体31と、側壁33と、載置脚35と、Hバー37と、スロット39とを備えている。
【0056】
筐体31は、前後方向X(後方XB)から見て、逆凹状を呈する。換言すると、筐体31は、天井部材31aのうち、幅方向Yの両端部から下方に垂下し、幅方向Yに離間した一対の側壁33を備える。一対の側壁33の底部には、載置脚35が形成されている。載置脚35の間には、Hバー37が形成されている。側壁33が対向する内側には、鉛直方向に複数個のスロット39が形成されている。スロット39は、側壁33の内側が、中央に向かって下向きの傾斜面とされた上面と、中央に向かって上向きの傾斜面とされた下面とを有する仕切り部材41と、中央に向かって下向きの傾斜面とされた上面を有する載置脚35とで構成されている。仕切り部材41は、鉛直方向Zに離間して複数個設けられている。基板Wは、スロット39に載置される。カセットCは、複数個のスロット39に基板Wが載置されることで、複数枚の基板Wを収納する。
【0057】
カセットCは、複数個のスロット39の鉛直方向Zにおける各間隔が一定で形成されている。この間隔をピッチSPと称する。このピッチSPは、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格で規定されている。ピッチSPの具体的な寸法は、例えば、基板Wが6インチ径では4.75mmであり、基板Wが8インチ径では6.35mmである。
【0058】
カセットCは、底面から最下部のスロット39までの間隔であるクリアランスCLがピッチSPより大きく形成されている。クリアランスCLは、載置脚35の底面、つまりカセットCの底面から、鉛直方向Zに形成されている複数個のスロット39のうちの最下部のものまでの鉛直方向Zにおける間隔である。クリアランスCLも、ピッチSPと同様に規格化されている。クリアランスCLの具体的な寸法は、例えば、基板Wが6インチ径では5.08mmであり、基板Wが8インチ径では16.4mmである。クリアランスCLは、ピッチSPより大きい。
【0059】
本実施例におけるカセットCは、例えば、半導体プロセスにおいて基板Wを搬送するために用いられる搬送用カセットであることが好ましい。搬送用カセットは、規格化され、汎用品として販売されているものである。そのため、入手が容易であり、特殊品よりコストを抑制できる。
【0060】
<7.ハンドの詳細>
【0061】
ここで、
図3を参照して、上述したハンド13の詳細について説明する。なお、
図3(a)は、インデクサロボットのハンドを示す平面図であり、
図3(b)は、側面図である。
【0062】
ハンド13は、取付部43と、後端支持片45と、延出部47と、前端支持片49と、ガイド51と、支持部53とを備えている。
【0063】
取付部43は、多関節アーム11の先端部に取り付けられる。後端支持片45及び前端支持片49は、取付部43から右方YR及び左方YLに延出されている。後端支持片45は、平面視で取付部43側が円弧状に形成されている。延出部47は、後端支持片45から前端支持片49までを構成する。延出部47は、後端支持片45から前後方向Xに長い。延出部47は、前後方向Xの途中から前端支持片49に向かって厚さが薄く形成されている。
【0064】
前端支持片49は、上面にガイド51が形成されている。ガイド51は、基板Wの外周縁を係止する。ガイド51は、基板Wの側面を引っかける。本実施例における後述するように、ピッチSPの制限を受けない。そのため、本実施例のハンド13は、ガイド51の高さを従来の装置のものよりも高くできる。したがって、ガイド51を従来装置よりも高くすることにより、基板Wが下に凸状に反っていても、基板Wの外周縁を確実に係止できる。その結果、薄型の基板Wであってもハンド13で確実に取り出しができる。
【0065】
<8-1.搬送例1>
【0066】
次に、
図4を参照して、搬送制御の一例について説明する。なお、
図4は、基板の搬送例1を説明するための模式図である。
【0067】
制御部25は、基板Wに対して、例えば、次のような処理を行う。カセットCに積層収納された複数枚の基板Wを取り出して処理ブロック7に順次に搬送し、加熱処理、密着性強化処理、塗布処理、加熱処理、を順に行って複数枚の基板Wの表面に塗布被膜を形成させる。そして、元のカセットCに複数枚の基板Wを収納する。
【0068】
このような処理を行う際には、制御部25は、次のようにインデクサロボットIRと、センターロボットCRを操作する。
【0069】
まず、制御部25は、指示部27を介して、載置台9aのカセットCに処理対象の基板Wが収納されていることを指示される。制御部25は、指示部27を介して、載置台9bのカセットCをバッファカセットBFとして使用することが指示される。制御部25は、指示部27を介して上述した基板Wに対する処理のレシピが指示される。制御部25は、指示部27を介して処理開始が指示されると、次のように搬送制御を行う。
【0070】
なお、上述した載置台9が本発明における「カセット載置部」及び「バッファカセット載置部」に相当する。
【0071】
制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、載置台9aに載置されたカセットCを対象として、カセットCの最下段のスロット39から上方に向かって順に基板Wを取り出す第1の取り出し動作GA1と、載置台9bに載置されたカセットC(バッファカセットBF)を対象として、バッファカセットBFの最上段のスロット39から下方に向かって順に基板Wを収納する第1の収納動作GA1とを行わせる。
【0072】
これらの第1の取り出し動作GA1と第2の収納動作GA1により、カセットCの全ての基板WがバッファカセットBFに移動される。
【0073】
次に、制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、バッファカセットBFを対象として、バッファカセットBFの最下段のスロット39から上方に向かって順に基板Wを取り出す第2の取り出し動作GA2を行わせる。このとき、制御部25は、センターロボットCRを操作して、バッファカセットBFから取り出された基板WをセンターロボットCRに受け取らせ、順次に処理ブロック7に搬送させる。
【0074】
上述した第1の取り出し動作GA1及び第2の取り出し動作GA2において、制御部25は、インデクサロボットIRのハンド13について、鉛直方向Zにおける位置を次のように操作することが好ましい。つまり、取り出し対象の基板Wが収納された高さ位置より下方であって、スロット39のピッチSPより長い距離かつ、カセットC及びバッファカセットBFの底面におけるクリアランスCLより短い距離でハンド13を進入させる。複数個のスロット39のピッチSPより長い距離であるので、薄型の基板Wが下に凸状に反っていても干渉することなくハンド13を進入させることができる。また、基板Wの反りの状態ごとに、ハンド13の進入高さをティーチングする繁雑な作業も不要である。
【0075】
制御部25は、処理ブロック7で処理が終わった基板WをセンターロボットCRで処理ブロック7から搬送させ、インデクサロボットIRを操作し、載置台9aのカセットCを対象として、カセットCの最上段のスロット39から下方に向かって順に基板Wを収納する第2の収納動作PA2を行わせる。
【0076】
上述した搬送例1によると、カセットCのクリアランスCLは、各スロット39の間隔よりも広い。したがって、第1の取り出し動作GA1及び第2の取り出し動作GA2時には、薄型の基板Wで下に凸状に反っていても、基板Wと干渉することなくインデクサロボットIRのハンド13を進入させることができる。
【0077】
第1の収納動作PA1及び第2の収納動作PA2時には、基板Wの収納時に収納される基板Wの下方に基板Wが存在しない。したがって、薄型の基板Wで上に凸状に反っていても、基板Wと干渉することなくインデクサロボットIRのハンド13を進入させることができる。また、収納時にスロット39と基板Wが摺動してパーティクルが発生しても、下方に基板Wが存在しないので、基板Wが汚染される恐れがない。
【0078】
さらに、上下方向の基板Wの順序がバッファカセットBFを介して入れ換えられる。したがって、処理ブロック7による処理を行った後、カセットC内の基板Wの上下方向における順序は、処理前のカセットCにおける順序と同じになる。したがって、薄型の基板Wであっても、カセットCへの収納時に基板Wを汚染することなく、処理後に基板Wを元のカセットCに元の順序で収納できる。
【0079】
また、制御部25は、処理ブロック7にて基板Wを処理した後に、インデクサロボットIRに対して第2の収納動作PA2を行わせる。したがって、処理ブロック7で処理を終えた後に、基板WをカセットCに迅速に収納できる。その結果、処理後の基板Wが汚染されるリスクを低減できる。また、処理ブロック7に基板Wを搬送する前にカセットCからバッファカセットBFへの搬送を行う。この際に、カセットCから取り出し不可能な形態の基板Wがあれば、制御部25が認識できる。したがって、途中まで処理ブロック7で処理を行った状態で、取り出し不可が原因となって処理をやり直すような不都合が生じない。その結果、カセットC内の全ての基板Wについて処理履歴を同じにできる。
【0080】
なお、バッファカセットBFは、カセットCと同じである。つまり、規格化された搬送用カセットであるので、特別な構造のカセットを用意する必要がない。したがって、従来装置にも制御系のソフトウエアを改造するだけで容易に実施できる。バッファカセットBFは、カセットCと同様のスロット39を備えている。
【0081】
<8-2.搬送例2>
【0082】
次に、
図5を参照して、搬送制御の一例について説明する。なお、
図5は、基板の搬送例2を説明するための模式図である。
【0083】
基板Wに対する処理は、上述した搬送例1と同じであるものとする。また、カセットC及びバッファカセットBFが載置されている場所も同じであるとする。
【0084】
搬送例2では、制御部25は、次のようにインデクサロボットIRと、センターロボットCRを操作する。
【0085】
制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、載置台9aに載置されたカセットCを対象として、カセットCの最下段のスロット39から上方に向かって順に基板Wを取り出す第1の取り出し動作GA1を行わせる。
【0086】
次に、制御部25は、センターロボットCRを操作して、載置台9aに載置されたカセットCから取り出された基板WをセンターロボットCRに受け取らせ、順次に処理ブロック7に搬送させる。
【0087】
制御部25は、処理ブロック7で処理が終わった基板WをセンターロボットCRで処理ブロック7から搬送させる。制御部25は、インデクサロボットIRを操作し、載置台9bのバッファカセットBFを対象として、バッファカセットBFの最上段のスロット39から下方に向かって順に基板Wを収納する第1の収納動作PA1を行わせる。
【0088】
次に、制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、バッファカセットBFを対象として、バッファカセットBFの最下段のスロット39から上方に向かって順に基板Wを取り出す第2の取り出し動作GA2を行わせる。さらに、制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、載置台9aのカセットCを対象として、カセットCの最上段のスロット39から下方に向かって順に基板Wを収納する第2の収納動作PA2を行わせる。
【0089】
この搬送例2は、上述した搬送例1とはバッファカセットBFに搬送する順序が異なっている。つまり、制御部25は、処理ブロック7で基板Wを処理した後に、第1の収納動作PA1と、第2の取り出し動作GA2と、第2の収納動作PA2とをインデクサロボットIRに行わせる。つまり、処理ブロック7で処理を終えた後に、バッファカセットBFを介して基板Wの収納順序を入れ換える。したがって、カセット載置台9aにカセットCが載置されてから基板Wに対する処理ブロック7での処理を迅速に開始できる。そのため、他の装置で基板Wに行った処理から本基板処理装置1にて処理を行うまでの時間を短くできる。したがって、本搬送例2は、前の処理から本処理までの待ち時間が長いと処理に悪影響がある場合に有効である。この搬送制御例が好ましいものとしては、例えば、露光後の基板Wを現像処理する場合が挙げられる。露光後は、できるだけ速やかに現像処理することが望ましいからである。
【0090】
<8-3.搬送例3>
【0091】
上述した搬送例1,2は、1個のカセットCと、1個のカセットC(バッファカセットBF)を用いた搬送例である。これは、「ユニカセットモード」とも呼ばれる。次に、
図6~
図12を参照して、複数個のカセットCと複数個のバッファカセットBFとを対象とした場合の搬送例3について説明する。
【0092】
具体的には、載置台9aに載置されたカセットC1と、載置台9bに載置されたバッファカセットBF1とを第1のペアとし、載置台9cに載置されたカセットC2と、載置台9dに載置されたバッファカセットBF2とを第2のペアとして取り扱う場合について説明する。この搬送例3は、「フレックスフロー」とも呼ばれる。
【0093】
まず、制御部25は、
図6に示すように、インデクサロボットIRを操作して、カセットC1に対して第1の取り出し動作GA1を行わせる。続けて、制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、バッファカセットBF1に対して第1の収納動作PA1を行わせる。これらの第1の取り出し動作GA1と第1の収納動作PA1を全ての基板Wに対して連続して行わせる。
【0094】
次に、制御部25は、
図7に示すように、インデクサロボットIRを操作して、バッファカセットBF1に対して第2の取り出し動作GA2を行わせる。さらに、制御部25は、センターロボットCRを操作して、インデクサロボットIRが取り出した基板Wを処理ブロック7に搬送させる。制御部25は、上述した第2の取り出し動作GA2により、処理ブロック7で一度に収容して処理を行うことができる最大枚数の基板Wを処理ブロック7に取り込ませる。
【0095】
図8に示すように、制御部25は、処理ブロック7で処理を終えた基板WがセンターロボットCRで搬出されてきた場合には、インデクサロボットIRを操作して、カセットC1に対して第2の収納動作PA2を行わせる。処理ブロック7に最大枚数の基板Wを取り込ませた状態では、処理ブロック7において処理を終えた基板Wが搬出されるまでの間(処理ブロック7のタクトタイム)、インデクサロボットIRは搬送に関わっていない。そこで、制御部25は、インデクサロボットIRが搬送に関わっていない時間を利用して、カセットC2からバッファカセットBF2への基板Wの搬送を行わせる。
【0096】
具体的には、
図9に示すように、インデクサロボットIRに対してバッファカセットBF1から処理ブロック7への第2の取り出し動作GA2を行わせ、インデクサロボットIRに対して処理ブロック7からカセットC1への第2の収納動作PA2を行わせる。これらの動作の合間において、制御部25はインデクサロボットIRを操作して、カセットC2に対して第1の取り出し動作GA1を行わせる。続けて、制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、バッファカセットBF2に対して第1の収納動作PA1を行わせる。これらの第1の取り出し動作GA1と第1の収納動作PA1を、バッファカセットBF1における第2の取り出し動作GA2とカセットCにおける第2の収納動作PA2とを妨げないようにして、全ての基板Wに対して行わせる。
【0097】
換言すると、制御部25は、第2の取り出し動作GA2と第2の収納動作PA2とを優先的に動作させつつ、カセットC2及びバッファカセットBF2を対象として、第1の取り出し動作GA1と第1の収納動作PA1をインデクサロボットIRに行わせる。
【0098】
そして、
図10に示すように、第1のペアであるカセットC1とバッファカセットBF1による全ての基板Wに対する処理が完了した場合には、
図11に示すように、制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、バッファカセットBF2に対して第2の取り出し動作GA2を行わせ、基板Wを処理ブロック7に搬送させる。その後、制御部25は、インデクサロボットIRを操作して、処理を終えて処理ブロック7から搬出されてきた基板Wを対象にて、カセットC2に対して第2の収納動作PA2を行わせる。さらに、オペレータが未処理の基板Wが収納された新たなカセットC1を載置台9aに載置する。そして、
図12に示すように、バッファカセットBF2に対する第2の取り出し動作GA2とカセットC2に対する第2の収納動作PA2との合間に、新たなカセットC1からバッファカセットBF1に基板Wの搬送(第1の取り出し動作GA1及び第1の収納動作PA1)を行わせる。
【0099】
上述した搬送例3によると、第1のペアであるカセットC1とバッファカセットBF1の基板Wに対する処理が完了すると、第2のペアであるカセットC2とバッファカセットBF2の基板Wに対する処理を迅速に開始できる。その結果、基板処理装置1のスループットを向上できる。
【0100】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0101】
(1)上述した実施例では、基板処理装置1の搬入出ブロック3が4個の載置台9を備えている構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。
【0102】
本発明を実施するには、バッファカセットBF1,BF2が2個必要である。そのため、未処理の基板Wを収納したカセットCを載置できるのが、搬入出ブロック3のうち載置台9の二箇所のみである。これに伴い、本発明に係る基板処理装置1のオペレータは、従来装置のオペレータよりも、未処理の基板Wを収納したカセットCを頻繁に載置する手間が増える。そこで、
図13に示すように、搬入出ブロック3が6個の載置台9を備えた基板処理装置1Aとしてもよい。この基板処理装置1Aは、載置台9を載置台9a~9fと備え、そのうちの、載置台9c、9fにバッファカセットBF1,BF2を載置する。このようにすることで、従来と同じ個数のカセットCを載置できるので、オペレータの手間を同じにできる。また、搬入出ブロック3が5個の載置台9を備える構成や、7個以上の載置台9を備える構成であってもよい。
【0103】
(2)上述した実施例では、基板処理装置1の搬入出ブロック3の載置台9にバッファカセットBFを載置している。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、
図14に示すような構成を採用してもよい。
【0104】
すなわち、搬入出ブロック3は、カセットCのみを載置する載置台9を備え、インデクサブロック5は、バッファカセットBF1,BF2を載置する棚を備えている。このように構成することで、基板処理装置1の幅方向Yの寸法を大きくすることなく、バッファカセットBF1,BF2を用いた搬送を行わせることができる。
【0105】
(3)上述した実施例では、カセットC及びバッファカセットBFを搬送用カセットとしている。しかしながら、本発明は、このようなカセットに限定されない。
【0106】
(4)上述した実施例では、基板処理装置1がインデクサロボットIRとセンターロボットCRとで基板Wを直接的に受け渡している。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。
【0107】
すなわち、インデクサブロック5と処理ブロック7との間に受け渡し部を備えるようにしてもよい。このように構成することにより、基板Wの受け渡し時にインデクサロボットIRと、センターロボットCRとの動作を同期させる必要がなくなり、基板Wの搬送動作を種々に設定しやすくできる。
【0108】
(5)上述した実施例では、基板処理装置1が、基板Wに対して、密着性強化処理、加熱処理、冷却処理、塗布処理、現像処理などを行う処理ブロック7を備えている構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。
【0109】
(6)上述した実施例では、基板処理装置1のインデクサロボットIRが平面視でアルファベットのI型形状を呈するハンド13を備えている。しかしながら、本発明は、このような形状のハンド13に限定されない。
【0110】
(7)上述した実施例では、基板Wが収容されていた元のカセットCに処理後の基板Wを戻している。しかしながら、本発明は、このような搬送形態に限定されない。つまり、本発明は、元のカセットCとは異なるカセットCに処理後の基板Wを戻すように搬送する形態を含む。
【0111】
(8)上述した実施例では、基板WがSiC製であるとして説明したが、本発明は、他の材料からなる基板Wであっても適用できる。
【0112】
(9)上述した実施例では、カセットCとして、オープン型のカセットを例にとって説明した。本発明は、このようなカセットCに限定されない。例えば、密閉型のカセットであるFOUP(Front Opening Unify Pod)であっても適用できる。
【符号の説明】
【0113】
1 … 基板処理装置1,1A、1B
W … 基板
3 … 搬入出ブロック
5 … インデクサブロック
7 … 処理ブロック
9 … 載置台
C … カセット
BF … バッファカセット
IR … インデクサロボット
13 … ハンド
TW1~TW4 … タワー
CR … センターロボット
25 … 制御部
39 … スロット
SP … ピッチ
CL … クリアランス
GA1 … 第1の取り出し動作
PA1 … 第1の収納動作
GA2 … 第2の取り出し動作
PA2 … 第2の収納動作