(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162046
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241114BHJP
F21V 9/35 20180101ALI20241114BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20241114BHJP
F21V 14/06 20060101ALI20241114BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20241114BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241114BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21V9/35
F21V9/38
F21V14/06
F21V9/40 100
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077206
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】503098724
【氏名又は名称】株式会社オキサイド
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧尾 諭
(72)【発明者】
【氏名】徳光 聖茄
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で出力光の色彩を調整することの可能な光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る光源装置は、複合蛍光体素子と、光源部と、レンズとを備えている。複合蛍光体素子は、蛍光色の互いに異なる複数種類のタイル状蛍光体が並べられた構成となっている。光源部は、入射励起光を複合蛍光体素子の光入射面に照射することが可能となっている。レンズは、反射励起光の進行路上に配置されており、反射励起光と蛍光光との合成光を出力光として外部に出力することが可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光色の互いに異なる複数種類のタイル状蛍光体が並べられた複合蛍光体素子と、
各前記タイル状蛍光体を励起することの可能な励起光である入射励起光を前記複合蛍光体素子の光入射面に照射することの可能な光源部と、
前記入射励起光のうち前記光入射面で反射された光である反射励起光、もしくは前記入射励起光のうち前記複合蛍光体素子を透過した光である透過励起光と、前記複合蛍光体素子から発せられた蛍光光とを合成し、それにより得られた合成光を出力光として外部に出力することの可能なレンズと
を備えた
光源装置。
【請求項2】
前記複数種類のタイル状蛍光体は、同一平面内に配置されている
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記複合蛍光体素子において、2種類の前記タイル状蛍光体が設けられ、
第1の種類の第1のタイル状蛍光体と、第2の種類の第2のタイル状蛍光体とが、それぞれの側面が互いに接するように配置されている
請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
第1の種類の複数の第1のタイル状蛍光体と、第2の種類の複数の第2のタイル状蛍光体とが、前記光入射面において交互に配置されている
請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数の第1のタイル状蛍光体と、前記複数の第2のタイル状蛍光体とが、それぞれの側面が1点で接するように配置されている
請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記複合蛍光体素子において、3種類の前記タイル状蛍光体が設けられ、
第1の種類の第1のタイル状蛍光体と、第2の種類の第2のタイル状蛍光体と、第3の種類の第3のタイル状蛍光体とが、それぞれの側面が1点で接するように配置されている
請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
各前記タイル状蛍光体が三角形状、四角形状および六角形状のいずれかの形状となっており、
前記複数種類のタイル状蛍光体が前記光入射面において隙間なく配置されている
請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記複数種類のタイル状蛍光体が、六角形状の第1の種類の複数の第1のタイル状蛍光体と、三角形状の第1の種類の複数の第1のタイル状蛍光体とを含み、前記光入射面において隙間なく配置されている
請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
前記入射励起光の、前記光入射面における入射ビーム径を調整可能な調整機構を更に備えた
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記調整機構は、
前記光源部と前記複合蛍光体素子との間に配置され、前記入射励起光を集光することの可能な集光レンズと、
前記集光レンズを前記入射励起光の光軸上で移動させて、前記集光レンズの位置を調整することの可能なレンズ位置調整部と
を有する
請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記入射励起光の光強度を変化させることの可能な制御部を更に備えた
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記入射励起光の、前記光入射面における照射位置を調整可能な制御部を更に備えた
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体を励起光により励起して、蛍光体より発光する光を出射する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光体光源が、例えば、特許文献1~3に開示されている。
【0003】
特許文献1には、同一材料の複数の微小蛍光体を並べた集合体で構成された蛍光体光源を回転放物面鏡の焦点位置に配置し、蛍光体光源に対して励起光を照射して波長変換された蛍光を回転放物面鏡で反射させることにより出力光を得ることが開示されている。特許文献2には、橙色蛍光体および赤色蛍光体の混合物によって構成された複合蛍光体に対して照射する励起光に含まれる青色光成分と緑色成分の強度割合を変えることにより、複合蛍光体から得られる出力光の色調を変えることが開示されている。特許文献3には、赤色蛍光体ストライプ、緑色蛍光体ストライプおよび青色蛍光体ストライプを並べたスクリーンに対して、励起光を走査ビームとして照射することにより、画像光(出力光)を得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-200782号公報
【特許文献2】国際公開WO2020/066839号公報
【特許文献3】特開2013-079378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,3では、出力光の色彩を調整することについては、開示も示唆もなされていない。また、特許文献2では、出力光の色彩を調整することについては開示されているものの、励起光に含まれる青色光成分と緑色成分の強度割合を変える必要があり、システムとしては非常に複雑なものにならざるを得ない。従って、簡易な構成で出力光の色彩を調整することの可能な光源装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る光源装置は、複合蛍光体素子と、光源部と、レンズとを備えている。複合蛍光体素子は、蛍光色の互いに異なる複数種類のタイル状蛍光体が並べられた構成となっている。光源部は、各タイル状蛍光体を励起することの可能な励起光である入射励起光を複合蛍光体素子の光入射面に照射することが可能となっている。レンズは、入射励起光のうち光入射面で反射された光である反射励起光の進行路上に配置されている。レンズは、入射励起光のうち光入射面で反射された光である反射励起光と、複合蛍光体素子から発せられた蛍光光とを合成し、それにより得られた合成光を出力光として外部に出力することが可能となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施の形態に係る光源装置によれば、蛍光色の互いに異なる複数種類のタイル状蛍光体が並べられた複合蛍光体素子の光入射面に入射励起光を照射するようにしたので、反射励起光と蛍光光とを合成し、それにより得られた合成光を出力光として外部に出力するようにしたので、例えば、入射励起光の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、出力光の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光の色彩を調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る光源装置の構成例を表す図である。
【
図2】
図2は、
図1の複合蛍光体素子の平面構成例を表す図である。
【
図3】
図3は、
図2の複合蛍光体素子の光入射面においてビームスポットを移動させる様子の一例を表す図である。
【
図4】
図4は、出力光のスペクトル分布の一例を表す図である。
【
図5】
図5は、
図3の光入射面においてビームスポットを移動させたときの出力光の色度の一例を表す図である。
【
図6】
図6は、
図1の複合蛍光体素子の平面構成の一変形例を表す図である。
【
図7】
図7は、
図1の複合蛍光体素子の平面構成の一変形例を表す図である。
【
図8】
図8は、
図7の光入射面においてビームスポットを移動させたときの出力光の色度の一例を表す図である。
【
図9】
図9は、
図1の複合蛍光体素子の平面構成の一変形例を表す図である。
【
図10】
図10は、
図9の光入射面においてビームスポットを移動させたときの出力光の色度の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。
【0010】
<1.実施の形態>
[構成]
本発明の一実施の形態に係る光源装置1の構成について説明する。
図1は、光源装置1の構成例を表したものである。光源装置1は、発光部10と、複合蛍光体素子20と、レンズ30と、レンズ群40と、レンズ位置調整部50と、ヒートシンク60、照射位置調整部70および制御部80とを備えている。レンズ位置調整部50および照射位置調整部70は、調整完了後、必要に応じて省略することが可能である。
【0011】
発光部10は、複合蛍光体素子20に含まれる各タイル状蛍光体(後述)を励起することの可能な励起光(入射励起光L1)を発することが可能となっている。発光部10は、入射励起光L1を複合蛍光体素子20の光入射面20A(
図2参照)に対して蛍光体素子20の光入射面の法線とは異なる角度で入射させることが可能となっている。複合蛍光体素子20に含まれる各タイル状蛍光体の上面が光入射面20Aとなっている。
【0012】
発光部10は、入射励起光L1の光軸AX2が蛍光体素子20の光入射面の法線AX1に対して角度θ1で交差する位置に配置されている。蛍光体素子20の光入射面における光軸AX2と法線AX1とのなす角(角度θ1)は、0度よりも大きく90度よりも小さい角度となっており、例えば、35度となっている。発光部10は、例えば、入射励起光L1を発する半導体レーザを含んで構成されている。入射励起光L1の波長は、可視波長域内の波長であり、例えば、青色波長域内の波長である。
【0013】
入射励起光L1の波長は、青色波長域内の波長に限定されるものではなく、複合蛍光体素子20に含まれる各タイル状蛍光体を励起させることの可能な波長となっている。発光部10は、入射励起光L1を反射させて複合蛍光体素子20に入射させるミラーを有していてもよい。このような場合であっても、複合蛍光体素子20の光入射面20Aにおける光軸AX2と法線AX1とのなす角(角度θ1)は、0度よりも大きく90度よりも小さい角度となっており、例えば、35度となっている。
【0014】
複合蛍光体素子20は、蛍光色の互いに異なる複数種類のタイル状蛍光体がヒートシンク60の表面に並べられた構成となっている。つまり、複数種類のタイル状蛍光体は、同一平面内に配置されている。なお、
図2には、複合蛍光体素子20において、2種類のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22)が設けられている場合が例示されている。以下では、複合蛍光体素子20において、2種類のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22)が設けられているものとして説明を行うものとする。
【0015】
第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22は、それぞれの側面が互いに接するように配置されている。第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22が平面視において四角形状となっているとする。このとき、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22は、それぞれの側面の一辺が互いに接するように配置されている。
【0016】
第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22において、互いに接する側面の長さは、例えば、最適な入射ビーム径と同程度の長さか、またはそれよりも若干大きな長さとなっている(条件α)。入射励起光L1の密度が高すぎると熱飽和が発生することがあり、また、入射励起光L1の密度が低すぎると蛍光効率が低くなってしまうため、最適な入射ビーム径が存在する。最適な入射ビーム径は、例えば、0.5mm以上10mm以下となっている。従って、複合蛍光体素子20が上記の条件αを満たすことにより、熱飽和のない、蛍光効率の高い光源装置1が得られる。
【0017】
第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22において、厚さは、入射励起光L1が透過して裏面から漏れ出ることのない程度の厚さとなっていてもよい。第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22において、厚さが、入射励起光L1が透過して裏面から漏れ出る程度に薄くなっていてもよい。ただし、この場合には、ヒートシンク60の表面には、入射励起光L1および蛍光光L3を高反射率で反射可能な反射膜が形成されていることが好ましい。そのような反射膜としては、例えば、Ag等の金属膜、または、誘電体多層膜などが挙げられる。
【0018】
第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22の材料系としては、例えば、1または複数の希土類元素が添加された、粉体材料を塗布されたものやアルミニウムおよび酸素を含むガーネット構造の単結晶材料、共晶体材料または無機化合物材料の蛍光体が挙げられる。なお、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22の材料系は、例えば、粉体の蛍光体を焼結により固めた焼結体であってもよい。複合蛍光体素子20は、例えば、ヒートシンク60の表面、または、上述の反射膜の表面に複数のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22)を貼り付けることにより形成されてもよい。複合蛍光体素子20は、例えば、四角柱状の第1のタイル状蛍光体21と四角柱状の第2のタイル状蛍光体22とを互いに接合して一体化した後、一体化により形成されたブロックを所定の厚さで切断することにより形成されてもよい。
【0019】
第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22は、それぞれ、入射励起光L1が入射する光入射面20Aを有するタイル状の素子である。第1のタイル状蛍光体21では、入射励起光L1が光入射面20Aに入射すると、第1のタイル状蛍光体21に含まれる蛍光体が入射励起光L1によって励起され、蛍光体から蛍光光L3aが発せられる。第2のタイル状蛍光体22では、入射励起光L1が光入射面20Aに入射すると、第2のタイル状蛍光体22に含まれる蛍光体が入射励起光L1によって励起され、蛍光体から蛍光光L3bが発せられる。複合蛍光体素子20では、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22のうち少なくとも一方から発せられた蛍光光が蛍光光L3として外部に発せられる。
【0020】
蛍光光L3は、光入射面20Aのうち、入射励起光L1が入射した箇所から放射光となって外部に出力される。蛍光光L3は、出射角度(法線AX1に対する角度)が0度のとき出力強度が最も大きく、出射角度が大きくなるにつれて出力強度が徐々に低下する分布を有している。蛍光光L3を有効に利用するには、蛍光量低下を、出射角度0度のときの値の50%程度にまで抑えることが好ましい。従って、蛍光光L3のうち、蛍光光L3の出射角度が0度以上60度以下の範囲内の成分を利用することができるよう、レンズ30を配置することが好ましい。
【0021】
レンズ30は、入射励起光L1のうち、光入射面20Aで反射された光(以下、「反射励起光L2」と称する。)と、複合蛍光体素子20から発せられた蛍光光L3とを合成し、それにより得られた合成光を出力光L4として外部に出力する。出力光L4は、例えば、レンズ30によって平行光となっている。レンズ30は、反射励起光L2の進行路上に配置されている。レンズ30は、レンズ30の光軸AX3が反射励起光L2の光軸と重なり合うか、または所定の角度範囲内(例えば光軸AX3の角度±5°の範囲内)で交差する位置に配置されている。このとき、レンズ30は、レンズ30の光軸AX3が法線AX1に対して、光軸AX1側とは反対側に角度θ2で交差する位置に配置されている。角度θ2は、0度よりも大きく90度よりも小さい角度となっており、例えば、35度となっている。レンズ30は、上述したように、蛍光光L3のうち、蛍光光L3の出射角度が0度以上60度以下の範囲内の成分を利用することが可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0022】
レンズ群40は、発光部10から発せられた光(入射励起光L1)を複合蛍光体素子20の光入射面20Aに照射する。レンズ群40は、例えば、発光部10から発せられた光(入射励起光L1)を平行光化するレンズ41と、レンズ41によって平行光化された光(入射励起光L1)を集光するレンズ42とを含んで構成されている。レンズ42は、レンズ42の焦点距離がレンズ42と、複合蛍光体素子20において入射励起光L1が照射される部分との距離と等しくなるか、または、概ね等しくなる位置に配置される。レンズ42の位置は、レンズ位置調整部50によって調整される。
【0023】
レンズ位置調整部50は、レンズ42を光軸AX2上で移動させて、レンズ42の位置(レンズ42の焦点位置)を調整することの可能な機構である。レンズ位置調整部50は、レンズ42を支持する支持部と、支持部を光軸AX2と平行な方向に移動させることの可能な駆動部とにより構成されている。レンズ位置調整部50は、制御部80による制御に従って、レンズ42の位置を調整し、それにより、複合蛍光体素子20の光入射面20Aに入射する入射励起光L1の入射ビーム径を変化させることが可能となっている。つまり、レンズ位置調整部50は、入射励起光L1の、複合蛍光体素子20の光入射面20Aにおける入射ビーム径を調整可能な調整機構となっている。
【0024】
入射励起光L1の入射ビーム径が変化することによって、入射励起光L1の、複合蛍光体素子20の光入射面20Aにおける光密度や照射面積が変化し、それによって、反射励起光L2および蛍光光L3の光量や、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3a,L3bの割合が変化する。反射励起光L2および蛍光光L3の光量や、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3a,L3bの割合が変化すると、出力光L4の色彩が変化する。つまり、レンズ位置調整部50は、レンズ42の位置を調整することにより、出力光L4の色彩を調整するようになっている。
【0025】
ヒートシンク60は、入射励起光L1が複合蛍光体素子20に照射されることにより複合蛍光体素子20から発せられる熱を排出することの可能な放熱部材である。ヒートシンク60は、例えば、アルミニウム合金、または銅合金によって構成されている。ヒートシンク60の表面、または、複合蛍光体素子20の入射面20Aとは反対側の面20Bには、例えば、上述したような反射膜が積層されていてもよい。反射膜は、ヒートシンク60と複合蛍光体素子20との間に配置されている。複合蛍光体素子20の面20Bに、Ag等の金属膜で構成された反射膜が設けられている場合、反射膜の表面に、Au,Ni等の金属膜を設けることにより、金属膜とヒートシンク60とを、半田を介して互いに接合することができる。
【0026】
照射位置調整部70は、法線AX1の向きを維持した状態で、ヒートシンク60とともに複合蛍光体素子20を光入射面20Aと平行な面内(XY平面内)に移動させたり、法線AX1と平行な方向(Z方向)に移動させたりすることの可能な機構である。照射位置調整部70は、ヒートシンク60および複合蛍光体素子20を支持する支持部と、支持部をXY平面内に移動させたりZ方向に移動させたりすることの可能な駆動部とにより構成されている。照射位置調整部70は、制御部80による制御に従って、ヒートシンク60および複合蛍光体素子20の3次元位置を調整し、それにより、複合蛍光体素子20の光入射面20Aに入射する入射励起光L1の照射位置や入射ビーム径を変化させることが可能となっている。つまり、照射位置調整部70は、入射励起光L1の、複合蛍光体素子20の光入射面20Aにおける入射励起光L1の照射位置や入射ビーム径を調整可能な調整機構となっている。
【0027】
照射位置調整部70によって入射励起光L1の入射ビーム径が変化することによって、入射励起光L1の、複合蛍光体素子20の光入射面20Aにおける光密度や照射面積が変化し、それによって、反射励起光L2および蛍光光L3の光量や、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3a,L3bの割合が変化する。反射励起光L2および蛍光光L3の光量や、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3a,L3bの割合が変化すると、出力光L4の色彩が変化する。つまり、照射位置調整部70は、入射励起光L1の入射ビーム径を調整することにより、出力光L4の色彩を調整するようになっている。
【0028】
一方、照射位置調整部70によって入射励起光L1(ビームスポットSP)の照射位置が変化することによって、ビームスポットSPの光密度や照射面積は変化しない。しかし、ビームスポットSPの照射位置が変化することによって、ビームスポットSPが、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22の双方を同時に照射したり、第1のタイル状蛍光体21だけを照射したり、第2のタイル状蛍光体22だけを照射したりするようになる。
【0029】
例えば、
図2に示したように、ビームスポットSPが、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22の双方の光入射面20Aを照射しているとする。このとき、蛍光光L3には、蛍光光L3aおよび蛍光光L3bが含まれる。ビームスポットSPの中心が、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22のうち、互いに接する側面上にある場合、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3aおよび蛍光光L3bの割合は、概ね50%/50%となる。このときのビームスポットSPをビームスポットSP0と称するものとする(
図3参照)。
【0030】
一方で、ビームスポットSPの中心が、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22のうち、互いに接する側面から、第1のタイル状蛍光体21側に徐々に移動した場合、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3aの割合が徐々に大きくなる。そして、ビームスポットSPが第1のタイル状蛍光体21だけを照射するようになった場合、蛍光光L3=蛍光光L3aとなる。このときのビームスポットSPをビームスポットSP1と称するものとする(
図3参照)。
【0031】
また、ビームスポットSPの中心が、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22のうち、互いに接する側面から、第2のタイル状蛍光体22側に徐々に移動した場合、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3bの割合が徐々に大きくなる。そして、ビームスポットSPが第2のタイル状蛍光体22だけを照射するようになった場合、蛍光光L3=蛍光光L3bとなる。このときのビームスポットSPをビームスポットSP2と称するものとする(
図3参照)。
【0032】
図4は、出力光L4のスペクトル分布の一例を表したものである。
図4からは、ビームスポットSP0,SP1,SP2ごとに光強度の山の形状やピーク位置が異なることがわかる。
図5は、光入射面20AにおいてビームスポットSPを移動させたときの出力光の色度の一例を表したものである。なお、
図5には、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3a,L3bのそれぞれの割合が例示されている。
図5からは、ビームスポットSP0,SP1,SP2ごとに色度が異なることがわかる。以上のことから、照射位置調整部70によって入射励起光L1の照射位置が変化することによって、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3aおよび蛍光光L3bの割合が変化し、それによって、出力光L4の色彩が変化することがわかる。つまり、照射位置調整部70は、入射励起光L1の照射位置を調整することにより、出力光L4の色彩を調整するようになっている。
【0033】
制御部80は、発光部10に制御信号を出力することにより、発光部10の発光・消光や、入射励起光L1の光強度を制御することが可能となっている。制御部80は、さらに、レンズ位置調整部50に制御信号を出力することにより、レンズ位置調整部50の動作を制御することが可能となっている。レンズ42の位置を調整後、固定することで出力光L4の色彩を固定化できる。制御部80は、さらに、照射位置調整部70に制御信号を出力することにより、照射位置調整部70の動作を制御することが可能となっている。入射励起光L1の照射位置を調整後、固定することで出力光L4の色彩を固定化できる。
【0034】
[効果]
次に、光源装置1の効果について説明する。
【0035】
本実施の形態では、蛍光色の互いに異なる複数種類のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22)が並べられた複合蛍光体素子20の光入射面20Aに入射励起光L1が照射される。これにより、反射励起光L2と蛍光光L3とを合成し、それにより得られた合成光が出力光L4として外部に出力される。このとき、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0036】
本実施の形態では、複数種類のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22)が同一平面内に配置されている。これにより、例えば、各タイル状蛍光体をヒートシンク60に直接、接触させることができるので、ヒートシンク60を介して各タイル状蛍光体の熱を効率良く排出することができる。
【0037】
本実施の形態では、第1のタイル状蛍光体21と第2のタイル状蛍光体22とが、それぞれの側面が互いに接するように配置されている。これにより、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22の双方を同時に照射したり、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22のうちいずれか一方だけを照射したりすることにより、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0038】
本実施の形態では、入射励起光L1の、光入射面20Aにおける入射ビーム径を調整可能なレンズ位置調整部50および照射位置調整部70が設けられている。これにより、レンズ位置調整部50および照射位置調整部70の少なくとも一方を用いて、入射ビーム径を変えることにより、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0039】
本実施の形態では、入射励起光L1の、光入射面20Aにおける照射位置を調整可能な照射位置調整部70が設けられている。これにより、照射位置調整部70を用いて、入射励起光L1の、光入射面20Aにおける照射位置を変えることにより、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0040】
本実施の形態では、制御部80によって入射励起光L1の光強度を変化させることができる。これにより、出力光L4に含まれる反射励起光L2および蛍光光L3の割合を変えることにより、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0041】
<2.変形例>
以下に、光源装置1の変形例について説明する。なお、以下では、上記実施の形態と共通の構成要素に対しては、上記実施の形態で付されていた符号と同一の符号が付される。また、上記実施の形態と異なる構成要素の説明を主に行い、上記実施の形態と共通の構成要素の説明については、適宜、省略するものとする。
【0042】
[変形例A]
上記実施の形態において、例えば、
図6に示したように、2つの第1のタイル状蛍光体21および2つの第2のタイル状蛍光体22が光入射面20Aにおいて交互に配置されていてもよい。このとき、第1のタイル状蛍光体21と第2のタイル状蛍光体22とが、例えば、
図6に示したように、それぞれの側面が互いに接するように配置されている。また、2つの第1のタイル状蛍光体21および2つの第2のタイル状蛍光体22が、例えば、
図6に示したように、四角形状となっており、光入射面20Aにおいて隙間なく配置されている。また、2つの第1のタイル状蛍光体21および2つの第2のタイル状蛍光体22が、例えば、
図6に示したように、それぞれの側面が1点で(図中のP1で)接するように配置されている。
【0043】
本変形例において、複合蛍光体素子20は、例えば、ヒートシンク60の表面、または、上述の反射膜の表面に複数のタイル状蛍光体(2つの第1のタイル状蛍光体21および2つの第2のタイル状蛍光体22)を貼り付けることにより形成されてもよい。本変形例において、複合蛍光体素子20は、例えば、四角柱状の2つの第1のタイル状蛍光体21と四角柱状の2つの第2のタイル状蛍光体22とを交互に接合して一体化した後、一体化により形成されたブロックを所定の厚さで切断することにより形成されてもよい。
【0044】
このような構成とした場合には、第1のタイル状蛍光体21の一部と第2のタイル状蛍光体22の一部とを含む領域に入射励起光L1を照射することにより、最大で4枚のタイル状蛍光体(2つの第1のタイル状蛍光体21および2つの第2のタイル状蛍光体22)に同時に照射することが可能である。その結果、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0045】
また、図中のP1を含む領域に入射励起光L1を照射することにより得られる出力光L4における蛍光光L3a,L3bの空間分布が、上記実施の形態の出力光L4における蛍光光L3a,L3bの空間分布よりも均一となる。その結果、出力光L4の色彩の空間分布をより均一にすることができる。
【0046】
[変形例B]
上記実施の形態において、複合蛍光体素子20が、例えば、
図7に示したように、蛍光色の互いに異なる3種類のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21,第2のタイル状蛍光体22,第3のタイル状蛍光体23)が同一平面内に並べられた構成となっていてもよい。
【0047】
第3のタイル状蛍光体23は、例えば、第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22と同種の蛍光体によって構成されている。第3のタイル状蛍光体23は、入射励起光L1が入射する光入射面20Aを有するタイル状の素子である。第3のタイル状蛍光体23では、入射励起光L1が光入射面20Aに入射すると、第3のタイル状蛍光体23に含まれる蛍光体が入射励起光L1によって励起され、蛍光体から蛍光光L3cが発せられる。複合蛍光体素子20では、第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22および第3のタイル状蛍光体23のうち少なくとも一方から発せられた蛍光光が蛍光光L3として外部に発せられる。
【0048】
第1のタイル状蛍光体21および第2のタイル状蛍光体22は、例えば、
図7に示したように、それぞれの側面が互いに接するように配置されている。第2のタイル状蛍光体22および第3のタイル状蛍光体23は、例えば、
図7に示したように、それぞれの側面が互いに接するように配置されている。第3のタイル状蛍光体23および第1のタイル状蛍光体21は、例えば、
図7に示したように、それぞれの側面が互いに接するように配置されている。第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22および第3のタイル状蛍光体23は、例えば、
図7に示したように、四角形状(ひし形形状)となっており、光入射面20Aにおいて隙間なく配置されている。また、第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22および第3のタイル状蛍光体23は、例えば、
図7に示したように、それぞれの側面が1点で(図中のP2で)接するように配置されている。
【0049】
本変形例において、複合蛍光体素子20は、例えば、ヒートシンク60の表面、または、上述の反射膜の表面に複数のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21,第2のタイル状蛍光体22,第3のタイル状蛍光体23)を貼り付けることにより形成されてもよい。本変形例において、複合蛍光体素子20は、例えば、ひし形の柱状の第1のタイル状蛍光体21と、ひし形の柱状の第2のタイル状蛍光体22と、ひし形の柱状の第3のタイル状蛍光体23を接合して一体化した後、一体化により形成されたブロックを所定の厚さで切断することにより形成されてもよい。
【0050】
このような構成とした場合には、第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22および第3のタイル状蛍光体23のうち、少なくとも2つの蛍光体の一部を含む領域に入射励起光L1を照射することにより、最大で3枚のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22および第3のタイル状蛍光体23)に同時に照射することが可能である。その結果、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、例えば、
図8に示したように、略三角形状の領域内で出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。なお、
図8には、蛍光光L3に含まれる蛍光光L3a,L3b,L3cのそれぞれの割合が例示されている。
【0051】
[変形例C]
上記実施の形態において、複合蛍光体素子20が、例えば、
図9に示したように、蛍光色の互いに異なる4種類のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21,第2のタイル状蛍光体22,第3のタイル状蛍光体23,第4のタイル状蛍光体24)が同一平面内に並べられた構成となっていてもよい。
【0052】
第4のタイル状蛍光体24は、例えば、第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22および第3のタイル状蛍光体23と同種の蛍光体によって構成されている。第4のタイル状蛍光体24は、入射励起光L1が入射する光入射面20Aを有するタイル状の素子である。第4のタイル状蛍光体24では、入射励起光L1が光入射面20Aに入射すると、第4のタイル状蛍光体24に含まれる蛍光体が入射励起光L1によって励起され、蛍光体から蛍光光L3dが発せられる。複合蛍光体素子20では、第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22、第3のタイル状蛍光体23および第4のタイル状蛍光体24のうち少なくとも一方から発せられた蛍光光が蛍光光L3として外部に発せられる。
【0053】
第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22、第3のタイル状蛍光体23および第4のタイル状蛍光体24は、例えば、
図9に示したように、四角形状となっており、光入射面20Aにおいて隙間なく配置されている。また、第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22、第3のタイル状蛍光体23および第4のタイル状蛍光体24は、例えば、
図9に示したように、それぞれの側面が1点で(図中のP3で)接するように配置されている。
【0054】
本変形例において、複合蛍光体素子20は、例えば、ヒートシンク60の表面、または、上述の反射膜の表面に複数のタイル状蛍光体(第2のタイル状蛍光体22、第3のタイル状蛍光体23および第4のタイル状蛍光体24)を貼り付けることにより形成されてもよい。本変形例において、複合蛍光体素子20は、例えば、四角柱状の第1のタイル状蛍光体21と、四角柱状の第2のタイル状蛍光体22と、四角柱状の第3のタイル状蛍光体23、四角柱状の第4のタイル状蛍光体24を接合して一体化した後、一体化により形成されたブロックを所定の厚さで切断することにより形成されてもよい。
【0055】
このような構成とした場合には、第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22、第3のタイル状蛍光体23および第4のタイル状蛍光体24のうち、少なくとも2つの蛍光体の一部を含む領域に入射励起光L1を照射することにより、最大で4枚のタイル状蛍光体(第1のタイル状蛍光体21、第2のタイル状蛍光体22、第3のタイル状蛍光体23および第4のタイル状蛍光体24)に同時に照射することが可能である。その結果、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、例えば、
図10に示したように、略台形状の領域内で出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0056】
[変形例D]
上記実施の形態において、例えば、
図11に示したように、三角形状の複数の第1のタイル状蛍光体21と、三角形状の複数の第2のタイル状蛍光体22とが同一平面内に並べられた構成となっていてもよい。また、上記実施の形態において、例えば、
図12に示したように、四角形状の複数の第1のタイル状蛍光体21と、四角形状の複数の第2のタイル状蛍光体22とが同一平面内に並べられた構成となっていてもよい。このようにした場合には、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0057】
[変形例E]
上記実施の形態において、例えば、
図13に示したように、六角形状の複数の第1のタイル状蛍光体21、六角形状の複数の第2のタイル状蛍光体22、三角形状の複数の第3のタイル状蛍光体23、および三角形状の複数の第4のタイル状蛍光体24が、光入射面20Aにおいて隙間なく配置されていてもよい。このとき、各タイル状蛍光体(各第1のタイル状蛍光体21、各第2のタイル状蛍光体22、各第3のタイル状蛍光体23、各第4のタイル状蛍光体24)のサイズが、ビームスポットSPのサイズよりも小さくなっている。これにより、複数のタイル状蛍光体に対して入射励起光L1(ビームスポットSP)を同時に照射することができる。その結果、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0058】
なお、本変形例において、第1のタイル状蛍光体21と、第3のタイル状蛍光体23が互いに共通の波長の蛍光光を発するようになっていてもよい。また、本変形例において、第2のタイル状蛍光体22と、第4のタイル状蛍光体24とが互いに共通の波長の蛍光光を発するようになっていてもよい。このようにした場合であっても、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0059】
[変形例F]
上記実施の形態において、例えば、
図14に示したように、六角形状の複数の第1のタイル状蛍光体21、および六角形状の複数の第2のタイル状蛍光体22が、光入射面20Aにおいて隙間なく配置されていてもよい。このとき、各タイル状蛍光体(各第1のタイル状蛍光体21、各第2のタイル状蛍光体22)のサイズが、ビームスポットSPのサイズよりも小さくなっている。これにより、複数のタイル状蛍光体に対して入射励起光L1(ビームスポットSP)を同時に照射することができる。その結果、例えば、入射励起光L1の照射位置、照射面積もしくは照射強度等を調整するだけで、出力光L4の色彩を調整することが可能である。従って、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0060】
[変形例G]
上記実施の形態およびその変形例において、複合蛍光体素子20が入射励起光L1を透過することの可能な蛍光体素子となっていてもよい。この場合、ヒートシンク60は、例えば、高い熱伝導性および光透過性を有するサファイア基板等によって構成されていていてもよい。複合蛍光体素子20は、ヒートシンク60に対して例えば光透過性の接着剤によって固定されていてもよい。また、複合蛍光体素子20が2つのサファイア基板によって挟み込まれていてもよい。
【0061】
レンズ30は、入射励起光L1のうち、複合蛍光体素子20を透過した光(以下、「透過励起光」と称する。)と、複合蛍光体素子20から発せられた蛍光光L3とを合成し、それにより得られた合成光を出力光L4として外部に出力する。レンズ30は、透過励起光の進行路上に配置されている。レンズ30は、レンズ30の光軸AX3が透過励起光の光軸と重なり合うか、または所定の角度範囲内(例えば光軸AX3の角度±5°の範囲内)で交差する位置に配置されている。
【0062】
本変形例では、複合蛍光体素子20を透過した透過励起光と、蛍光光L3とを合成し、それにより得られた合成光が出力光L4として外部に出力される。このようにした場合であっても、上記実施の形態およびその変形例と同様、簡易な構成で出力光L4の色彩を調整することが可能である。
【0063】
本発明は、レーザディスプレイ(レーザプロジェクタ、レーザTV、ヘッドマウントディスプレイ等)や、レーザ照明(顕微鏡、ヘッドランプ、室内間接照明、植物工場等)、プロジェクションマッピング、医療(レーザメス等)などの様々な分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…光源装置、10…発光部、20…複合蛍光体素子、20A…光入射面、20B…面、21,21a,21b…第1のタイル状蛍光体、22,22a,22b…第2のタイル状蛍光体、23…第3のタイル状蛍光体、24…第4のタイル状蛍光体、30…レンズ、40…レンズ群、41,42…レンズ、50…レンズ位置調整部、60…ヒートシンク、70…照射位置調整部、80…制御部、AX1…法線、AX2,AX3…光軸、L1…入射励起光、L2…反射励起光、L3…蛍光光、L4…出力光、SP,SP0,SP1,SP2…ビームスポット、θ1,θ2…角度。