(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162055
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】位置測定装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G01D5/20 110E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077227
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】519427239
【氏名又は名称】眞鍋 三男
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 三男
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA41
2F077AA43
2F077FF34
2F077PP26
(57)【要約】
【課題】本発明は、測定精度を向上させると共に、リニアエンコーダの構造を単純化することを目的とする。
【解決手段】スケール12は、測定軸方向に配列された複数の第1マーカコイル16aと、複数の第1マーカコイル16aに対して縦方向にずれた位置で、測定軸方向に配列された複数の第2マーカコイル16bとを備える。各第2マーカコイル16bは、各第1マーカコイル16aと縦方向に隣合わない位置に配置されている。スライダ10は、励磁コイル22および受信コイル34を備えている。励磁コイル22は、測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、スケール12のコイル配置面に対向する。受信コイル34は、コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルとを備える。受信コイル34は、受信領域を周回する上側ループ34Uおよび下側ループ34Lを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回することを特徴とする位置測定装置。
【請求項2】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
スライダであって、前記励磁領域に対して交わる方向に広がり、前記測定軸方向に広がる受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記スケールとの間に前記励磁コイルを挟む位置で、前記第1列と前記第2列との間を周回することを特徴とする位置測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の位置測定装置であって、
前記励磁コイルは、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、
前記S字ブロックに形成される2つの前記励磁領域のうちの一方の上側に1つの前記第1ループコイルが対向するときに、2つの前記励磁領域のうちの他方の下側に1つの前記第2ループコイルが対向することを特徴とする位置測定装置。
【請求項4】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回することを特徴とする位置測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の位置測定装置であって、
各前記第2ループコイルは、各前記第1ループコイルに対して斜向かいに配置され、各前記第1ループコイルおよび各前記第2ループコイルの横方向の長さは等しく、
前記励磁コイルは、
往路、接続路および復路、または復路、接続路および往路を形成するU字区間を複数備えており、
複数の前記U字区間が、
前記第1ループコイルと前記第2ループコイルとが斜向かいとなる前記測定軸上の位置に配置されていることを特徴とする位置測定装置。
【請求項6】
測定軸方向に配列された複数のループコイルを備えるスケールと、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれるコイル受信領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する受信コイルであって、前記励磁コイルに対し、前記測定軸方向に交わる縦方向にずれた位置に配置された受信コイルと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記励磁コイルおよび前記受信コイルは、それぞれの往路および復路の前記測定軸方向の位置が揃えられ、
前記励磁コイルは、直列に接続された第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを含み、
前記受信コイルは、直列に接続された第1受信コイルおよび第2受信コイルを含み、
前記第1励磁コイルと前記第2励磁コイルとの間、および前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとの間は、Nをある整数とし、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられていることを特徴とする位置測定装置。
【請求項7】
請求項1、請求項2、および請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記制御部は、
前記受信コイルから出力された信号の値に基づいて、前記スライダに対する前記スケールの位置、または、前記スケールに対する前記スライダの位置を測定することを特徴とする位置測定装置。
【請求項8】
請求項1、請求項2および請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、
2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする位置測定装置。
【請求項9】
請求項1、請求項2および請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記スケールは、定尺としての帯状部材を含み、
複数の前記スケールが、結線されることなく継ぎ足し可能となっていることを特徴とする位置測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定装置に関し、特に、電磁誘導を利用した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業分野およびサービス業分野において用いられる製造装置、測定装置等は、処理対象物やセンサを移動させる可動部を備えている。可動部の動作を制御するため、このような装置には可動部の位置を測定する位置測定装置が用いられている。例えば、工作機械には、加工対象物がテーブルの上に載せられ、加工対象物の所望の位置にドリルが接触するようにテーブルまたはドリルを移動させるものがある。可動部としてのテーブルまたはドリルの位置を測定するため、工作機械には位置測定装置としてリニアエンコーダが設けられる。
【0003】
リニアエンコーダには、例えば、光学式や電磁誘導式のリニアエンコーダがある。光学式のリニアエンコーダでは、複数の目盛(マーカ)が直線状に配列されたスケールが可動部に固定され、光センサによって各マーカが検出される。リニアエンコーダは、検出されたマーカの位置に基づいてスケールの位置を測定する。電磁誘導式のリニアエンコーダでは、複数の磁石が直線状に配列されたスケール、あるいはコイルが配置されたスケールが可動部に固定され、磁気センサによって各磁石またはコイルの各ループ区間が検出される。リニアエンコーダは、検出された磁石またはループ区間の位置に基づいてスケールの位置を測定する。
【0004】
以下の特許文献1には、電磁誘導式のリニアエンコーダが記載されている。特許文献3には、光学式のリニアエンコーダが記載されている。特許文献2には、電磁誘導式および光学式のいずれにも構成し得るリニアエンコーダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-145858号公報
【特許文献2】特開2011-232074号公報
【特許文献3】特開2010-145201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電磁誘導式のリニアエンコーダには、スケールに配置されたコイルに電源回路が接続されたものや、誘導起電力を検出する検出回路が接続されたものがある。このようなリニアエンコーダではスケールの構造が複雑になってしまうことがある。光学式のリニアエンコーダでは、スケールに異物が付着した場合には、センサがマーカを光学的に検出することが困難となったり測定誤差が生じたりする場合がある。
【0007】
本発明は、測定精度を向上させると共に、リニアエンコーダの構造を単純化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記受信領域を周回する一対のループを含み、前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、スライダであって、前記励磁領域に対して交わる方向に広がり、前記測定軸方向に広がる受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記スケールとの間に前記励磁コイルを挟む位置で、前記第1列と前記第2列との間を周回することを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記励磁コイルは、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、前記S字ブロックに形成される2つの前記励磁領域のうちの一方の上側に1つの前記第1ループコイルが対向するときに、2つの前記励磁領域のうちの他方の下側に1つの前記第2ループコイルが対向する。
【0011】
また、本発明は、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記受信領域を周回する一対のループを含み、前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回する。
【0012】
望ましくは、各前記第2ループコイルは、各前記第1ループコイルに対して斜向かいに配置され、各前記第1ループコイルおよび各前記第2ループコイルの横方向の長さは等しく、前記励磁コイルは、往路、接続路および復路、または復路、接続路および往路を形成するU字区間を複数備えており、複数の前記U字区間が、前記第1ループコイルと前記第2ループコイルとが斜向かいとなる前記測定軸上の位置に配置されている。
【0013】
また、本発明は、測定軸方向に配列された複数のループコイルを備えるスケールと、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれるコイル受信領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する受信コイルであって、前記励磁コイルに対し、前記測定軸方向に交わる縦方向にずれた位置に配置された受信コイルと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記励磁コイルおよび前記受信コイルは、それぞれの往路および復路の前記測定軸方向の位置が揃えられ、前記励磁コイルは、直列に接続された第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを含み、前記受信コイルは、直列に接続された第1受信コイルおよび第2受信コイルを含み、前記第1励磁コイルと前記第2励磁コイルとの間、および前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとの間は、Nをある整数とし、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられていることを特徴とする。
【0014】
望ましくは、前記制御部は、前記受信コイルから出力された信号の値に基づいて、前記スライダに対する前記スケールの位置、または、前記スケールに対する前記スライダの位置を測定する。
【0015】
望ましくは、前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置される。
【0016】
望ましくは、前記スケールは、定尺としての帯状部材を含み、複数の前記スケールが、結線されることなく継ぎ足し可能となっている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、測定精度を向上させると共に、リニアエンコーダの構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るリニアエンコーダの構成を示す図である。
【
図3】
図2に対し、スケールにおける第1マーカコイルおよび第2マーカコイルが追加して描かれた図である。
【
図4】
図3に示された状態に対し、右方向に4分の1ピッチだけスケールが変位した状態を示す図である。
【
図5】
図3に示された状態に対し、左方向に4分の1ピッチだけスケールが変位した状態を示す図である。
【
図6】
図3に示された状態に対し、右方向に2分の1ピッチだけスケールが変位した状態を示す図である。
【
図7】スケールの位置と位置測定信号Vxの大きさとの関係を示す図である。
【
図9】
図8に対し、スケールにおける第1マーカコイルおよび第2マーカコイルが追加して描かれた図である。
【
図11】
図10に対し、スケールにおける第1マーカコイルおよび第2マーカコイルが追加して描かれた図である。
【
図14】第2実施形態に係るリニアエンコーダの構成を示す図である。
【
図15】第2実施形態におけるスライダの構成例を示す図である。
【
図16】
図15に対し、スケールにおける第1マーカコイルおよび第2マーカコイルが追加して描かれた図である。
【
図17】
図16に示された状態に対し、右方向に4分の1ピッチだけスケールが変位した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。複数の図面に示された同一の事項については同一の符号を付してその説明を簡略化する。また、本明細書における上、下、左、右、奥、手前等の方向を示す用語は、図面における方向を示す。方向を示すこれらの用語は、構成を説明するための便宜上のものであり、各構成要素を配置する際の姿勢を限定するものではない。
【0020】
以下の説明では、本発明の各実施形態に係るリニアエンコーダ(位置測定装置)が、可動テーブルを備える工作機械に用いられる例について述べる。ただし、本発明に係る位置測定装置は、工作機械の他、その他の製造装置、測定装置、ロボット等に用いられてもよい。この場合、位置測定装置は、搭載先の装置における可動部材を測定対象物とし、可動部材の位置を測定する。また、本明細書における「コイル」の用語は、ループを描くループコイルを意味する。
【0021】
図1には、本発明の第1実施形態に係るリニアエンコーダ100の構成が示されている。リニアエンコーダ100は、スライダ10、スケール12および制御部30を備えている。スライダ10には、右方向をx軸正方向(測定軸方向)とし、上方向をy軸正方向とするxy座標系が定義されている。スライダ10は、工作機械における非可動な固定部材に固定されている。x=0の位置は、工作機械の固定部材における基準位置となる。
【0022】
スケール12は、移動方向であるx軸方向に延伸する帯状部材14、帯状部材14上に配置された複数の第1マーカコイル16aおよび複数の第2マーカコイル16bを備えている。帯状部材14は、剛性の材料や可撓性の材料によって形成されてよい。帯状部材14は可動テーブルに固定されており、矢印32で示されているように、可動テーブルと共にx軸方向に移動する。スケール12には、y軸方向に延びる基準線LZが定められており、スケール12の位置は基準線LZのx軸座標値として定義される。スケール12が固定された可動テーブルの位置も同様に、基準線LZのx軸座標値として定義される。なお、基準線LZは仮想的な直線であり、必ずしも帯状部材14に表記されていなくてもよい。
【0023】
複数の第1マーカコイル16aは、帯状部材14の上側にx軸方向に配列され、複数の第2マーカコイル16bは、帯状部材14の下側にx軸方向に配列されている。すなわち、複数の第1マーカコイル16aが配列された上側の第1列に対し、測定軸方向(x軸方向)に垂直な縦方向(y軸方向)にずれた下側の第2列に、複数の第2マーカコイル16bが配列されている。各第2マーカコイル16bは、各第1マーカコイル16aと縦方向に隣合わない位置に配置されている。すなわち、各第2マーカコイル16bは、隣接する第1マーカコイル16aの間の位置に配置され、近接する第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bは、斜向かいに配置されている。なお、以下の説明では、第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bを併せて「マーカコイル16」ということがある。
【0024】
各マーカコイル16は、縦方向および横方向が、それぞれ、y軸方向およびx軸方向に揃えられた矩形のループを描く。各マーカコイル16のx軸方向の長さ(幅)は、例えば、0.1mm以上2mm以下であってよい。また、各マーカコイル16のy軸方向の長さ(高さ)は10mm以上40mm以下であってよい。ただし、
図1では、横方向の長さを誇張して各マーカコイルが描かれている。その他の図面についても同様である。
【0025】
スライダ10は、交流磁界が発生する励磁面を有し、励磁面をスケール12側に向けて、スケール12よりも手前側に配置されている。スライダ10と第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bとの間の電磁気的な相互作用によって、スライダ10は位置測定信号Vxを生成し、位置測定信号Vxを制御部30に出力する。
【0026】
すなわち、第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bには、スライダ10から交流磁界が与えられると渦電流が流れる。渦電流によって、これらのコイルは、スライダ10から与えられた交流磁界を打ち消すような応答・交流磁界を発生する。後述するように、スライダ10には、応答・交流磁界を受信する受信コイルが設けられている。受信コイルは、応答・交流磁界を受信し、応答・交流磁界に基づく位置測定信号Vxを生成する。スライダ10は制御部30に位置測定信号Vxを出力する。
【0027】
制御部30は、プログラムに応じて演算処理を実行するプロセッサによって構成されてよい。制御部30は、位置測定信号Vxに基づいてスケール12の位置を求める。ここで、位置測定信号Vxは、スケール12がx軸方向に移動した場合に、時間波形が周期的となる信号である。スケール12が1ピッチだけ移動する毎に、スライダ10は、1周期の位置測定信号Vxを制御部30に出力する。ここで、1ピッチとは、第1マーカコイル16aの配置間隔または第2マーカコイル16bの配置間隔をいう。なお、第1マーカコイル16aの配置間隔と第2マーカコイル16bの配置間隔は等しい。第1マーカコイル16aと、第2マーカコイル16bのx軸方向の長さ(幅)は、2分の1ピッチよりも若干小さく、例えば、後述する励磁コイルおよび受信コイルを構成する導線の太さの2倍以上だけ、2分の1ピッチよりも小さい。
【0028】
後述するように、制御部30は、位置測定信号Vxに基づいて、スケール12の基準線LZの位置、すなわちスケール12の位置を求める。制御部30は、可動部材を制御するサーボ制御装置等にスケール12の位置を出力する。
【0029】
図2には、スライダ10の第1構成例としてスライダ10-1が、スケール12と共に示されている。ただし、説明の便宜上、スケール12における各マーカコイル16が、
図2では省略されている。スライダ10-1は、交流電力源20、励磁コイル22、受信コイル34および受信アンプ28を備えている。励磁コイル22は、第1接続端24、第2接続端26、往路1-1~1-3、復路2-1、2-2および横方向路3-1~3-4を備えている。
【0030】
励磁コイル22では、第1接続端24から下方向に往路1-1が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路3-1が右方向に伸びている。さらに、横方向路3-1の右端から上方向に復路2-1が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路3-2が右方向に伸びている。横方向路3-2の右端から下方向に往路1-2が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路3-3が右方向に伸びている。さらに、横方向路3-3の右端から上方向に復路2-2が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路3-4が右方向に伸びている。横方向路3-4の右端から下方向に往路1-3が伸びて、下端における第2接続端26に至る。往路1-1~1-3、復路2-1および2-2のそれぞれの長さは等しい。また、横方向路3-1~3-4のそれぞれの長さは、2分の1ピッチである。
【0031】
なお、本明細書における「往路」の用語は、下方向(y軸負方向)にコイルを辿って構造が説明される場合の経路をいう。また、「復路」の用語は、上方向(y軸正方向)にコイルを辿って構造が説明される場合の経路をいう。「往路」および「復路」の用語は、コイルの構造を説明するための便宜上のものであり、コイルに流れる電流や、コイルに現れる電圧の向き、コイルを配置する際の姿勢等を限定するものではない。
【0032】
往路1-1と復路2-1との間に挟まれる励磁領域A、復路2-1と往路1-2との間に挟まれる励磁領域B、往路1-2と復路2-2との間に挟まれる励磁領域C、および、復路2-2と往路1-3との間に挟まれる励磁領域Dは、スケール12のコイル配置面に対向している。
【0033】
励磁コイル22の第1接続端24と第2接続端26との間には、交流電力源20が接続されている。交流電力源20は、第1接続端24と第2接続端26との間に交流電圧を印加する。これによって、励磁コイル22に交流電流が流れる。
【0034】
受信コイル34は、スケール12のコイル配置面に対向する受信領域を周回する一対のループを描く。受信コイル34は、励磁コイル22とスケール12との間に設けられていてもよいし、励磁コイル22よりも手前側に設けられてもよい。一対のループのうちの一方である上側ループ34Uは、複数の第1マーカコイル16aが配列された第1列に対応する位置で、横方向に長い矩形状に周回する。一対のループのうちの他方である下側ループ34Lは、複数の第2マーカコイル16bが配列された第2列に対応する位置で、横方向に長い矩形状に周回する。
【0035】
上側ループ34Uと下側ループ34Lは直列に接続されており、上側ループ34Uと下側ループ34Lは、互いに逆方向に周回している。受信コイル34の一端は、受信アンプ28の正相端子に接続され、受信コイル34の他端は、受信アンプ28の逆相端子に接続されている。すなわち、上側ループ34Uの一端は受信アンプ28の正相端子に接続され、上側ループ34Uの他端は下側ループ34Lの一端に接続され、下側ループ34Lの他端は受信アンプ28の逆相端子に接続されている。上側ループ34Uと下側ループ34Lが、互いに逆方向に周回していることで、上側ループ34Uと下側ループ34Lに外来ノイズ電磁波によって発生するノイズ電圧が抑制される。
【0036】
図3は、
図2に対し、スケール12における第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bが追加して描かれたものに相当する。
図3に示されている状態では、励磁領域AおよびCのそれぞれに対向するマーカ配置面に、第1列における第1マーカコイル16aが位置している。また、励磁領域BおよびDのそれぞれに対向するマーカ配置面に、第2列における第2マーカコイル16bが位置している。
【0037】
図2および
図3に示されているように、励磁コイル22は、往路1-1、横方向路3-1、復路2-1、横方向路3-2および往路1-2の順に経路が形成されたS字ブロック、および往路1-2、横方向路3-3、復路2-2、横方向路3-4および往路1-3の順に経路が形成されたS字ブロックを含む。このようなS字ブロックに形成される2つの励磁領域のうちの一方の上側に1つの第1ループコイルとしての第1マーカコイル16aが対向するときに、2つの励磁領域のうちの他方の下側に1つの第2ループコイルとしての第2マーカコイル16bが対向する。
【0038】
励磁コイル22に流れる電流によって、励磁領域AおよびCからは、励磁領域AおよびCに対応する各第1マーカコイル16aに鎖交する交流磁界が発せられる。これによって、各第1マーカコイル16aに渦電流が流れ、渦電流によって、各第1マーカコイル16aは、励磁コイル22から与えられた交流磁界を打ち消すような応答・交流磁界を発生する。
【0039】
また、励磁コイル22に流れる電流によって、励磁領域BおよびDからは、励磁領域BおよびDに対応する各第2マーカコイル16bに鎖交する交流磁界が発せられる。これによって、各第2マーカコイル16bに渦電流が流れ、渦電流によって、各第2マーカコイル16bは、励磁コイル22から与えられた交流磁界を打ち消すような応答・交流磁界を発生する。
【0040】
図3に示された第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bには、ある時刻における応答・交流磁界の向きが示されている。白丸中に「・」が示された記号は、描画面から手前側に向かう磁界を意味する。白丸中に「×」が示された記号は、描画面から奥側に向かう磁界を意味する。
図3に示されているように、励磁領域AおよびCに対応する第1マーカコイル16aと、励磁領域BおよびDに対応する第2マーカコイル16bとでは、発せられる応答・交流磁界の向きが逆向きである。
【0041】
励磁領域AおよびCに対応する第1マーカコイル16aから発せられる応答・交流磁界は、受信コイル34の上側ループ34Uに鎖交し、励磁領域BおよびDに対応する第2マーカコイル16bから発せられる応答・交流磁界は、受信コイル34の下側ループ34Lに鎖交する。これによって、上側ループ34Uおよび下側ループ34Lには、互いに逆回り方向を正極性とする誘導起電力が発生する。上記のように、上側ループ34Uと下側ループ34Lは互いに逆方向に周回し、直列に接続されている。したがって、上側ループ34Uに発生する誘導起電力と、下側ループ34Lに発生する誘導起電力とが加算されて得られる電圧が、位置測定信号Vxとして受信コイル34から受信アンプ28に出力される。受信アンプ28は、位置測定信号Vxを増幅して制御部30に出力する。
【0042】
図4には、
図3に示された状態に対し、右方向(x軸正方向)に4分の1ピッチだけ、すなわちP/4だけスケール12が変位した状態が示されている。励磁領域AおよびBには、1つの第1マーカコイル16aが対向し、励磁領域BおよびCには、1つの第2マーカコイル16bが対向し、励磁領域CおよびDには1つの第1マーカコイル16aが対向する。励磁領域Aの左端には、第2マーカコイル16bが右側半分だけ対向し、励磁領域Dの右端には、左半分だけ16b第2マーカコイルが対向する。
【0043】
励磁領域AおよびBからは、これらに跨って対向する第1マーカコイル16aに対し、互いに逆向きの磁界が発生する。これによって、励磁領域AおよびBに跨って対向する第1マーカコイル16aには互いに逆向きの渦電流が流れ、互いに逆向きの渦電流が抑制し合い、あるいは相殺する。
【0044】
励磁領域BおよびCからは、これらに跨って対向する第2マーカコイル16bに対し、互いに逆向きの磁界が発生する。これによって、励磁領域BおよびCに跨って対向する第2マーカコイル16bには互いに逆向きの渦電流が流れ、互いに逆向きの渦電流が抑制し合い、あるいは相殺する。
【0045】
励磁領域CおよびDからは、これらに跨って対向する第1マーカコイル16aに対し、互いに逆向きの磁界が発生する。これによって、励磁領域CおよびDに跨って対向する第1マーカコイル16aには互いに逆向きの渦電流が流れ、互いに逆向きの渦電流が抑制し合い、あるいは相殺する。
【0046】
したがって、励磁領域A~Dに対向する各マーカコイル16には渦電流が流れないか、微小である。そのため、各マーカコイル16から発せられる応答・交流磁界は生じないか、あるいは微小であり、各マーカコイル16によって受信コイル34に発生する誘導起電力も微小または0となる。
【0047】
また、励磁領域Aの左端に右側半分だけ対向する第2マーカコイル16bと、励磁領域Dの右端に左半分だけ対向する第2マーカコイル16bには、互いに逆向きの渦電流が流れ、これら両端の2つの第2マーカコイル16bからは、互いに逆向きの応答・磁界が発生する。これら両端の2つの第2マーカコイル16bから発せられた応答・磁界が受信コイル34の下側ループ34Lに鎖交したとしても、誘導起電力が互いに抑制または相殺され、受信コイル34には誘導起電力が生じないか、生じる誘導起電力は微小である。
【0048】
したがって、
図4に示された状態で、受信アンプ28から制御部30に出力される位置測定信号Vxは、微小であるか、または0である。
【0049】
図5には、
図3に示された状態に対し、左方向(x軸負方向)に4分の1ピッチ、すなわちP/4だけスケール12が変位した状態が示されている。励磁領域AおよびBには、1つの第2マーカコイル16bが対向し、励磁領域BおよびCには、1つの第1マーカコイル16aが対向し、励磁領域CおよびDには1つの第2マーカコイル16bが対向する。励磁領域Aの左端には、第1マーカコイル16aが右側半分だけ対向し、励磁領域Dの右端には、左半分だけ第1マーカコイル16aが対向する。
【0050】
図4に示された状態と同様の原理によって、
図5に示された状態で、受信アンプ28から制御部30に出力される位置測定信号Vxは、微小であるか、または0である。
【0051】
図6には、
図3に示された状態に対し、右方向(x軸正方向)に2分の1ピッチ、すなわちP/2だけスケール12が変位した状態が示されている。
【0052】
励磁領域AおよびCに対応する第2マーカコイル16bから発せられる応答・交流磁界は、受信コイル34の下側ループ34Lに鎖交し、励磁領域BおよびDに対応する第1マーカコイル16aから発せられる応答・交流磁界は、受信コイル34の上側ループ34Uに鎖交する。これによって、上側ループ34Uおよび下側ループ34Lには、互いに逆回り方向を正極性とする誘導起電力が発生する。上記のように、上側ループ34Uと下側ループ34Lは互いに逆方向に周回し、直列に接続されている。したがって、上側ループ34Uに発生する誘導起電力と、下側ループ34Lに発生する誘導起電力とが加算されて得られる電圧が、位置測定信号Vxとして受信アンプ28に出力される。ただし、受信コイル34から受信アンプ28に出力される位置測定信号Vxは、
図3に示されている状態とは逆極性になる。
【0053】
図7には、スケール12の位置と位置測定信号Vxの大きさとの関係が示されている。横軸は、スケール12の基準線Lzの位置(x軸座標値)を示し、縦軸は位置測定信号Vxを示す。
図3、
図4、
図5および
図6に示された状態でのスケール12の位置が、それぞれ、x=P/4、x=P/2、x=0およびx=3P/4とされている。位置測定信号Vxの大きさは、例えば、位置測定信号Vxの波高値や実効値であってよい。また、位置測定信号Vxの極性は、
図3に示された状態での位置測定信号Vxと同相の電圧が正とされ、逆相の電圧が負とされている。
【0054】
図7に示されているように、スケール12がx=0の位置にあるときに位置測定信号Vxは0となり、スケール12がx軸正方向に移動するに従って位置測定信号Vxは増加する。そして、スケール12がx=P/4の位置にあるときに位置測定信号Vxは最大となる。スケール12がさらにx軸正方向に移動するに従って位置測定信号Vxは減少し、スケール12がx=P/2の位置にあるときに位置測定信号Vxは0となる。スケール12がx=P/2の位置からx=3P/4の位置まで移動すると、位置測定信号Vxは最小(負方向に最大)となる。そして、スケール12がx=3P/4の位置からx=Pの位置に向かうと共に、位置測定信号Vxは増加し、スケール12がx=Pの位置に達した所で位置測定信号Vxは0となる。
【0055】
このように、位置測定信号Vxは、x軸方向の1ピッチの長さPを1周期とするxを変数とした周期関数で表される。スケール12が1/2ピッチだけ移動するごとに、正の極大値と負の極小値が交互に現れる。
【0056】
制御部30は、スケール12の基準線LZが、スライダ10に定められたx=0の位置を通過した後において、位置測定信号Vxが0となった回数CZを計数する。ただし、制御部30は、位置測定信号Vxと、位置測定信号Vxの時間微分値に基づいて、スケール12の移動方向を検出する。制御部30は、検出した移動方向に基づいて回数CZの極性、すなわち、回数CZが正の値であるか、負の値であるかを決定する。制御部30は、1ピッチの長さPにCZを掛け合わせることで、スケール12の基準線LZの位置を求める。
【0057】
図8には、スライダ10の第2構成例としてスライダ10-2が、スケール12と共に示されている。ただし、説明の便宜上、スケール12における各マーカコイル16が、
図8では省略されている。スライダ10-2は、各励磁領域A~Dに交わる方向に広がる受信領域に受信コイル40を配置したものである。
図8に示される構成例では、各励磁領域A~Dに垂直であり、x軸方向(測定軸方向)に広がる受信領域に受信コイル40が設けられている。すなわち、受信領域はzx平面に平行である。受信コイル40は、励磁コイル22におけるx軸方向の中心線に対応する位置で、励磁コイル22よりも手前側で、x軸方向に長い矩形のループを描いている。
【0058】
図9は、
図8に対し、スケール12における第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bが追加して描かれたものに相当する。
図9に示されている状態では、励磁領域AおよびCのそれぞれに対向するマーカ配置面に、第1列における第1マーカコイル16aが位置している。励磁領域BおよびDのそれぞれに対向するマーカ配置面に、第2列における第2マーカコイル16bが位置している。
【0059】
第1マーカコイル16aが発生する応答・交流磁界と、第2マーカコイル16bが発生する応答・交流磁界は、同一の向きで受信コイル40に鎖交する。したがって、第1マーカコイル16aが発生する応答・交流磁界に基づく誘導起電力と、第2マーカコイル16bが発生する誘導起電力とが加算されて得られる電圧が、位置測定信号Vxとして受信コイル40から受信アンプ28に出力される。
【0060】
第2構成例に係るスライダ10-2の励磁コイル22とスケール12の構造は、第1構成例に係るスライダ10-1と同様である。スケール12がx軸方向に移動したときには、第1構成例と同様、
図7に示されるように、受信コイル40から出力される位置測定信号Vxが変化する。制御部30は、受信アンプ28から出力される位置測定信号Vxに基づいて、スケール12の位置を求める。
【0061】
図10には、スライダ10の第3構成例としてスライダ10-3が、スケール12と共に示されている。ただし、説明の便宜上、スライダ10-3における各マーカコイル16が、
図10では省略されている。スライダ10-3は、励磁コイル42が、x軸方向(測定軸方向)に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、スケール12のコイル配置面に対して交わる方向に広がっているものである。
図10に示されている構成例では、x軸方向に垂直なy軸方向に往路および復路が形成されている。往路および復路に挟まれる励磁領域は、スケール12のコイル配置面に対して垂直に広がっている。
【0062】
励磁コイル42は、受信コイル34よりも手前側に配置されている。励磁コイル42は、第1接続端24、第2接続端26、往路1-1~1-3、接続路4-1~4-3、横方向路3-1、3-2および復路2-1~2-3を備えている。励磁コイル42では、第1接続端24から下方向に往路1-1が伸びて、奥方向に折れ曲がって接続路4-1がz軸負方向に伸びている。さらに、接続路4-1の奥の一端から上方向に復路2-1が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路3-1が右方向に伸びている。横方向路3-1の右端から下方向に往路1-2が伸びて、手前方向に折れ曲がって接続路4-2がz軸正方向に伸びている。さらに、接続路4-2の手前側の一端から上方向に復路2-2が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路3-2が右方向に伸びている。横方向路3-2の右端から下方向に往路1-3が伸びて、奥方向に折れ曲がって接続路4-3がz軸負方向に伸びている。さらに、接続路4-3の奥の一端から上方向に復路2-3が伸びて、上端における第2接続端26に至る。
【0063】
往路1-1、接続路4-1および復路2-1と、往路1-2、接続路4-2および復路2-2と、往路1-3、接続路4-3および復路2-3は、それぞれ、U字区間U1~U3を形成している。往路1-1と復路2-1との間に挟まれる励磁領域a、往路1-2と復路2-2との間に挟まれる励磁領域b、および往路1-3と復路2-3との間に挟まれる励磁領域cは、スケール12のコイル配置面に垂直である。
【0064】
図11は、
図10に対し、スケール12における第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bが追加して描かれたものに相当する。U字区間U1の左上と、U字区間U2およびU3に挟まれるコイル配置面上の領域の上側には、第1マーカコイル16aが位置している。また、U字区間U1およびU2に挟まれるコイル配置面上の領域の下側と、U字区間U3の右下には、第2マーカコイル16bが位置している。
【0065】
図10および
図11に示されているように、各第2マーカコイル16b(各第2ループコイル)は、各第1マーカコイル16a(各第1ループコイル)に対して斜向かいに配置されている。各第1マーカコイル16aおよび各第2マーカコイル16bの横方向の長さは等しい。励磁コイル42は、往路、接続路および復路、または復路、接続路および往路を形成するU字区間を複数備えており、複数のU字区間が、第1マーカコイル16aと第2マーカコイル16bとが斜向かいとなるx軸(測定軸)上の位置に配置されている。
【0066】
励磁コイル42は、U字区間U1の左上の第1マーカコイル16aと、U字区間U1およびU2に挟まれるコイル配置面上の領域の下側の第2マーカコイル16bに鎖交する交流磁界を発生し、これら2つの第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bには、応答・交流磁界が発生する。
【0067】
励磁コイル42は、U字区間U1およびU2に挟まれるコイル配置面上の領域の下側の第2マーカコイル16bと、U字区間U2およびU3に挟まれるコイル配置面上の領域の上側の第1マーカコイル16aに鎖交する交流磁界を発生し、第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bには、応答・交流磁界が発生する。
【0068】
励磁コイル42は、U字区間U2およびU3に挟まれるコイル配置面上の領域の上側の第1マーカコイル16aと、U字区間U3の右下の第2マーカコイル16bに鎖交する交流磁界を発生し、第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bには、応答・交流磁界が発生する。
【0069】
各第1マーカコイル16aから発生した応答・交流磁界は、受信コイル34の上側ループ34Uに鎖交し、各第2マーカコイル16bから発生した応答・交流磁界は、受信コイル34の下側ループ34Lに鎖交する。これによって、上側ループ34Uおよび下側ループ34Lには、互いに逆回り方向を正極性とする誘導起電力が発生する。上記のように、上側ループ34Uと下側ループ34Lは互いに逆方向に周回し、直列に接続されている。したがって、上側ループ34Uに発生する誘導起電力と、下側ループ34Lに発生する誘導起電力とが加算されて得られる電圧が、位置測定信号Vxとして受信コイル34から受信アンプ28に出力される。受信アンプ28は、位置測定信号Vxを増幅して制御部30に出力する。
【0070】
スケール12がx軸方向に移動したときには、第1構成例と同様、
図7に示されるように、受信コイル34から出力される位置測定信号Vxが変化する。制御部30は、受信アンプ28から出力される位置測定信号Vxに基づいて、スケール12の位置を求める。
【0071】
図12および
図13には、スライダ10の第4構成例としてスライダ10-4がスケール12と共に示されている。ただし、説明の便宜上、スケール12における各マーカコイル16が、
図12では省略されている。スライダ10-4は、第1励磁コイル22-1、第2励磁コイル22-2、第1交流電力源20-1、第2交流電力源20-2および受信コイル34を備えている。第1励磁コイル22-1および第2励磁コイル22-2は、
図2に示された第1構成例における励磁コイル22と同様の構成を有している。
図13は、
図12に対し、スケール12の各マーカコイル16に発生する応答・交流磁界の方向を示したものに相当する。
【0072】
第1励磁コイル22-1および第2励磁コイル22-2は、Nを適切な整数として、x軸方向に2NP±P/4の間隔を隔てて配置されている。すなわち、第1励磁コイル22-1および第2励磁コイル22-2は、x軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されている。整数Nは、第1励磁コイル22-1がx軸方向に及ぶピッチ数に1を加えた整数であってよい。
図12および
図13に示される例において、Nは3以上であってよい。第1励磁コイル22-1の両端には第1交流電力源20-1が接続され、第2励磁コイル22-2の両端には第2交流電力源20-2が接続されている。また、受信コイル34は、第1励磁コイル22-1および第2励磁コイル22-2が配置された領域に及んでいる。
【0073】
スライダ10-5は、以下に説明する動作原理によって、インダクトシン位置検出装置におけるスライダとして動作する。第1交流電力源20-1および第2交流電力源20-2は、それぞれ、(数1)および(数2)のように表される交流電圧V1およびV2を出力する。
【0074】
(数1) V1=-A・sin(k・α)・sin(ωt)
【0075】
(数2) V2=A・cos(k・α)・sin(ωt)
【0076】
ここで、Aは振幅を表す係数である。kはx軸方向の波数であり、2π/Pで表される。αは調整変数であり、その意義については後述する。ωは、交流電圧V1およびV2の角周波数である。tは時間変数である。
【0077】
スケール12の位置をXとすると、受信コイル34から出力される位置測定信号Vxは、(数3)のように表される。
【0078】
(数3) Vx=K・cos(kX)・V1+K・sin(kX)・V2
=-K・A・sin(kα)・cos(kX)・sin(ωt)
+K・A・cos(kα)・sin(kX)・sin(ωt)
=K・A・sin(k(X-α))・sin(ωt)
【0079】
制御部30は、位置測定信号Vxが0に近付くか、または位置測定信号Vxが0となるような調整変数αの値を求めることで、スケール12の位置Xを求める。
【0080】
なお、受信コイル34は、
図8および
図9に示される第2構成例における受信コイル40のように、励磁領域に交わる方向に広がる受信領域で周回するコイルであってもよい。例えば、受信コイル34は、励磁領域に対して垂直に広がる受信領域で周回するコイルであってもよい。
【0081】
また、第1励磁コイル22-1および第2励磁コイル22-2としては、
図10および
図11に示される第3構成例における励磁コイル42のように、励磁領域が、スケール12のコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルが用いられてもよい。例えば、励磁領域が、スケール12のコイル配置面に対して垂直に広がる励磁コイルが用いられてもよい。
【0082】
図14には、第2実施形態に係るリニアエンコーダ102の構成が示されている。リニアエンコーダ102は、スライダ50、スケール58および制御部70を備えている。スケール58は、移動方向であるx軸方向に延伸する帯状部材14、帯状部材14上に配置された複数のマーカコイル56を備えている。複数のマーカコイル56は、
図1に示されたリニアエンコーダ100における第1マーカコイル16aおよび第2マーカコイル16bの縦方向の長さを、第1列および第2列の両者に及ぶ長さとしたものに相当する。
【0083】
図15には、スライダ50の構成例が示されている。スライダ50は、交流電力源20、インダクトシン励磁コイル60、インダクトシン受信コイル62および受信アンプ28を備えている。ただし、説明の便宜上、スケール58における各マーカコイル56が、
図15では省略されている。インダクトシン励磁コイル60は、スケール58の第1列に対応する位置に設けられている。インダクトシン励磁コイル60は、第1接続端24および第2接続端26を備えている。また、インダクトシン励磁コイル60は、Mを2以上の整数として、M-1段に亘って直列接続された往復ブロック64を備えている。各往復ブロック64では、上端から下方向に往路7-1が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路8-1が右方向に伸び、さらに、横方向路8-1の右端から上方向に復路9-1が伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路0-1が右方向に伸びている。初段の往路7-1の上端は第1接続端24となっている。
【0084】
最終段である第M段のブロックは、上端から下方向に往路7-Mが伸びて、右方向に折れ曲がって横方向路8-Mが右方向に伸び、さらに、横方向路8-Mの右側から上方向に復路9-Mが伸びて第2接続端26に至る構造を有する。
【0085】
インダクトシン励磁コイル60は、直列接続された第1励磁コイル60-1および第2励磁コイル60-2から構成される。第1励磁コイル60-1が備える往路および復路の数と、第2励磁コイル60-2が備える往路および復路の数は同一である。ただし、第1励磁コイル60-1および第2励磁コイル60-2は、これらを接続する横方向路を共有している。すなわち、第1励磁コイル60-1の右端の横方向路は、第2励磁コイル60-2の左端の横方向路と共通である。第1励磁コイル60-1および第2励磁コイル60-2によって共有される横方向路の長さは、nを0以上の整数として、2nP±P/4であってよい。この横方向路の長さは、x軸に対応する空間位相を単位として、2nπ±π/4と表される。これによって、第1励磁コイル60-1の各往路と、第2励磁コイル60-2の対応する各往路との間は、x軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられる。同様に、第1励磁コイル60-1の各復路と、第2励磁コイル60-2の対応する各復路との間は、x軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられる。
【0086】
インダクトシン受信コイル62は、インダクトシン励磁コイル60に対し、x軸方向に垂直な方向にずれた位置に配置されている。すなわち、インダクトシン受信コイル62は、各スケール58の第2列に対応する位置に設けられている。インダクトシン受信コイル62は、直列に接続された第1受信コイル62-1および第2受信コイル62-2を備えている。第1受信コイル62-1が備える往路および復路の数と、第2受信コイル62-2が備える往路および復路の数は同一である。インダクトシン受信コイル62は、インダクトシン励磁コイル60と同様の構造を有している。ただし、第1受信コイル62-1は、第1励磁コイル60-1に対し、左端の往路が取り除かれた形状を有し、第2受信コイル62-2は、第2励磁コイル60-2に対し、右端の復路が取り除かれた形状を有している。第1受信コイル62-1と第2受信コイル62-2との間は、x軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられる。第1受信コイル62-1および第2受信コイル62-2の各往路および各復路の長さは、第1励磁コイル60-1および第2励磁コイル60-2の各往路および各復路の長さと異なってもよい。
【0087】
第1受信コイル62-1の往路および復路のx軸上の位置は、それぞれ、第1励磁コイル60-1の復路および往路の位置に揃えられている。同様に、第2受信コイル62-2の往路および復路のx軸上の位置は、それぞれ、第2励磁コイル60-2の復路および往路の位置に揃えられている。
【0088】
第1受信コイル62-1の左側の一端(第2受信コイル62-2に接続されていない側の一端)は、受信アンプ28の逆相端子に接続されている。第2受信コイル62-2の右側の一端(第1受信コイル62-1に接続されていない側の一端)は、受信アンプ28の正相端子に接続されている。
【0089】
図16は、
図15に対し、スケール58におけるマーカコイル56が追加して描かれたものに相当する。第1励磁コイル60-1の励磁領域がマーカコイル56の上側に対向するときに、その励磁領域とx軸方向における同一の位置にある、第1受信コイル62-1のコイル受信領域は、そのマーカコイル56の下側に対向する。ここで、第1励磁コイル60-1の励磁領域とは、第1励磁コイル60-1の往路と復路との間に挟まれた領域をいい、第1受信コイル62-1のコイル受信領域とは、第1受信コイル62-1の往路と復路との間に挟まれた領域をいう。
【0090】
第1励磁コイル60-1に流れる電流によって、第1励磁コイル60-1の各励磁領域からは、各励磁領域に対応するマーカコイル56に鎖交する交流磁界が発せられる。これによって、励磁領域に対応するマーカコイル56に渦電流が流れ、渦電流によって、そのマーカコイル56は、第1励磁コイル60-1から与えられた交流磁界を打ち消すような応答・交流磁界を発生する。第1受信コイル62-1の各コイル受信領域には、応答・交流磁界が鎖交し、応答・交流磁界に応じた誘導起電力が発生する。
【0091】
第1励磁コイル60-1の励磁領域がマーカコイル56の上側に対向するときには、第2励磁コイル60-2の励磁領域および第2受信コイル62-2のコイル受信領域は、隣接するマーカコイル56に跨った位置にある。すなわち、第2励磁コイル60-2の各励磁領域は、マーカコイル56の上側に対向する位置から、4分の1ピッチだけ右側または左側にずれた位置にあり、第2受信コイル62-2の各コイル受信領域は、マーカコイル56の下側に対向する位置から、4分の1ピッチだけ右側または左側にずれた位置にある。ここで、第2励磁コイル60-2の励磁領域とは、第2励磁コイル60-2の往路と復路との間に挟まれた領域をいい、第2受信コイル62-2のコイル受信領域とは、第2受信コイル62-2の往路と復路との間に挟まれた領域をいう。
【0092】
1つのマーカコイル56には、右側の一部に対向する第2励磁コイル60-2の一部から発せられる交流磁界と、左側の一部に対向する左側の第2励磁コイル60-2の一部から発せられる交流磁界が、逆向きに鎖交する。したがって、マーカコイル56から発せられる応答・交流磁界は微小であるかまたは0である。これによって、第2受信コイル62-2に発生する誘導起電力は微小であるかまたは0である。インダクトシン受信コイル62からは、主に、第1受信コイル62-1で発生する誘導起電力が、位置測定信号Vxとして受信アンプ28に出力される。
【0093】
図17には、
図16に示された状態に対し、右方向(x軸正方向)に4分の1ピッチだけ、すなわちP/4だけスケール58が変位した状態が示されている。
図17に示されている状態では、
図16に示された第1励磁コイル60-1、マーカコイル56および第1受信コイル62-1で生じていた物理現象が、第2励磁コイル60-2、マーカコイル56および第2受信コイル62-2で生じる。また、
図16に示された第2励磁コイル60-2、マーカコイル56および第2受信コイル62-2で生じていた物理現象が、第1励磁コイル60-1、マーカコイル56および第1受信コイル62-1で生じる。
【0094】
したがって、第2受信コイル62-2の各コイル受信領域には、応答・交流磁界が鎖交し、第2受信コイル62-2には、応答・交流磁界に応じた誘導起電力が発生する。一方、第1受信コイル62-1に発生する誘導起電力は微小であるかまたは0である。インダクトシン受信コイル62からは、主に、第2受信コイル62-2で発生する誘導起電力が、位置測定信号Vxとして受信アンプ28に出力される。
【0095】
スケール58が右方向、または左方向に移動した場合、第1励磁コイル60-1、マーカコイル56および第1受信コイル62-1で生じる物理現象と、第2励磁コイル60-2、マーカコイル56および第2受信コイル62-2で生じる物理現象との間には、空間位相でπ/4の差がある。また、第1受信コイル62-1で発生した誘導起電力と、第2受信コイル62-2で発生した誘導起電力とを加算して得られる電圧が、位置測定信号Vxとして受信アンプ28に出力される。したがって、第2実施形態におけるスライダ50は、(数1)~(数3)によって原理が説明されるインダクトシン・スライダとして動作する。制御部70は、位置測定信号Vxが0に近付くか、または位置測定信号Vxが0となるような調整変数αの値を求めることで、スケール58の位置Xを求めてよい。
【0096】
図14~
図17に示された第2実施形態に係るリニアエンコーダ102によれば、
図12に示されるように2つの交流電力源を用いることなく簡単な構成で、インダクトシン・リニアエンコーダが実現される。さらに、インダクトシン励磁コイル60およびインダクトシン受信コイル62のそれぞれは、同一平面上に形成される。したがって、第1実施形態に係る第1構成例~第3構成例に係るスライダに比べて、構造が簡単となる。
【0097】
なお、上記の各実施形態および各構成例では、スケールが、定尺としての帯状部材を含んでよい。複数のスケールが、結線されることなく継ぎ足し可能となっていてもよい。これによってスケールの構造が簡略化される。
【0098】
また、上記では、スライダ10が非可動な固定部材に固定され、スライダに対するスケールの位置を測定する実施形態が示された。本発明は、スライダとスケールの位置関係を測定するものである。したがって、本発明によって、スケールが非可動な固定部材に固定され、スケールに対するスライダの位置を測定する位置測定装置が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1-1~1-3 往路、2-1~2-3,7-1,7-M 復路、3-1~3-4,9-1,9-M 横方向路、4-1~4-3,8-1,8-M,0-1,0-(M-1) 接続路、10,10-1~10-4,50 スライダ、12,58 スケール、14 帯状部材、16,16a,16b マーカコイル、20 交流電力源、22,42 励磁コイル、24 第1接続端、26 第2接続端、28 受信アンプ、30,70 制御部、32 矢印、34,40 受信コイル、34U 上側ループ、34L 下側ループ、56 ループコイル、60 インダクトシン励磁コイル、60-1 第1励磁コイル、60-2 第2励磁コイル、62 インダクトシン受信コイル、62-1 第1受信コイル、62-2 第2受信コイル、64 往復ブロック、100,102 リニアエンコーダ。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
前記励磁コイルは、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、
前記S字ブロックに形成される2つの前記励磁領域のうちの一方の上側に1つの前記第1ループコイルが対向するときに、2つの前記励磁領域のうちの他方の下側に1つの前記第2ループコイルが対向することを特徴とする位置測定装置。
【請求項2】
位置測定装置であって、
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
前記位置測定装置は、
前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、
2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする位置測定装置。
【請求項3】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
スライダであって、前記励磁領域に対して交わる方向に広がり、前記測定軸方向に広がる受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記スケールとの間に前記励磁コイルを挟む位置で、前記第1列と前記第2列との間を周回することを特徴とする位置測定装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の位置測定装置であって、
前記励磁コイルは、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、
前記S字ブロックに形成される2つの前記励磁領域のうちの一方の上側に1つの前記第1ループコイルが対向するときに、2つの前記励磁領域のうちの他方の下側に1つの前記第2ループコイルが対向することを特徴とする位置測定装置。
【請求項5】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
各前記第2ループコイルは、各前記第1ループコイルに対して斜向かいに配置され、各前記第1ループコイルおよび各前記第2ループコイルの横方向の長さは等しく、
前記励磁コイルは、
往路、接続路および復路、または復路、接続路および往路を形成するU字区間を複数備えており、
複数の前記U字区間が、
前記第1ループコイルと前記第2ループコイルとが斜向かいとなる前記測定軸上の位置に配置されていることを特徴とする位置測定装置。
【請求項6】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
前記位置測定装置は、
前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、
2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする位置測定装置。
【請求項7】
測定軸方向に配列された複数のループコイルを備えるスケールと、
スライダであって、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれるコイル受信領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する受信コイルであって、前記励磁コイルに対し、前記測定軸方向に交わる縦方向にずれた位置に配置された受信コイルとを含むスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記励磁コイルおよび前記受信コイルは、それぞれの往路および復路の前記測定軸方向の位置が揃えられ、
前記励磁コイルは、直列に接続された第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを含み、
前記受信コイルは、直列に接続された第1受信コイルおよび第2受信コイルを含み、
前記第1励磁コイルと前記第2励磁コイルとの間、および前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとの間は、Nをある整数とし、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられていることを特徴とする位置測定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3および請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記制御部は、
前記受信コイルから出力された信号の値に基づいて、前記スライダに対する前記スケールの位置、または、前記スケールに対する前記スライダの位置を測定することを特徴とする位置測定装置。
【請求項9】
請求項1、請求項3、請求項5および請求項7のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、
2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする位置測定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3および請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記スケールは、定尺としての帯状部材を含み、
複数の前記スケールが、結線されることなく継ぎ足し可能となっていることを特徴とする位置測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記受信領域を周回する一対のループを含み、前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、前記励磁コイルは、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、前記S字ブロックに形成される2つの前記励磁領域のうちの一方の上側に1つの前記第1ループコイルが対向するときに、2つの前記励磁領域のうちの他方の下側に1つの前記第2ループコイルが対向することを特徴とする。また、本発明は、位置測定装置であって、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記受信領域を周回する一対のループを含み、前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、前記位置測定装置は、前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、本発明は、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記受信領域を周回する一対のループを含み、前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、各前記第2ループコイルは、各前記第1ループコイルに対して斜向かいに配置され、各前記第1ループコイルおよび各前記第2ループコイルの横方向の長さは等しく、前記励磁コイルは、往路、接続路および復路、または復路、接続路および往路を形成するU字区間を複数備えており、複数の前記U字区間が、前記第1ループコイルと前記第2ループコイルとが斜向かいとなる前記測定軸上の位置に配置されていることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明は、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記受信領域を周回する一対のループを含み、前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、前記位置測定装置は、前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明は、測定軸方向に配列された複数のループコイルを備えるスケールと、スライダであって、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれるコイル受信領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する受信コイルであって、前記励磁コイルに対し、前記測定軸方向に交わる縦方向にずれた位置に配置された受信コイルとを含むスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記励磁コイルおよび前記受信コイルは、それぞれの往路および復路の前記測定軸方向の位置が揃えられ、前記励磁コイルは、直列に接続された第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを含み、前記受信コイルは、直列に接続された第1受信コイルおよび第2受信コイルを含み、前記第1励磁コイルと前記第2励磁コイルとの間、および前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとの間は、Nをある整数とし、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられていることを特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
前記励磁コイルは、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、
前記S字ブロックに形成される2つの前記励磁領域のうちの一方の上側に1つの前記第1ループコイルが対向するときに、2つの前記励磁領域のうちの他方の下側に1つの前記第2ループコイルが対向することを特徴とする位置測定装置。
【請求項2】
位置測定装置であって、
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループの対のうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
前記位置測定装置は、
前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、
2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする位置測定装置。
【請求項3】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
スライダであって、前記励磁領域に対して交わる方向に広がり、前記測定軸方向に広がる受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記スケールとの間に前記励磁コイルを挟む位置で、前記第1列と前記第2列との間を周回することを特徴とする位置測定装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の位置測定装置であって、
前記励磁コイルは、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、
前記S字ブロックに形成される2つの前記励磁領域のうちの一方の上側に1つの前記第1ループコイルが対向するときに、2つの前記励磁領域のうちの他方の下側に1つの前記第2ループコイルが対向することを特徴とする位置測定装置。
【請求項5】
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
各前記第2ループコイルは、各前記第1ループコイルに対して斜向かいに配置され、各前記第1ループコイルおよび各前記第2ループコイルの横方向の長さは等しく、
前記励磁コイルは、
往路、接続路および復路、または復路、接続路および往路を形成するU字区間を複数備えており、
複数の前記U字区間が、
前記第1ループコイルと前記第2ループコイルとが斜向かいとなる前記測定軸上の位置に配置されていることを特徴とする位置測定装置。
【請求項6】
位置測定装置であって、
測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、
複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、
スライダであって、
前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、
前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記受信コイルは、
前記受信領域を周回する一対のループを含み、
前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、
前記位置測定装置は、
前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、
2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする位置測定装置。
【請求項7】
測定軸方向に配列された複数のループコイルを備えるスケールと、
スライダであって、往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する励磁コイルと、
往路、横方向路、復路、横方向路および往路の順に経路が形成されたS字ブロックを含み、往路および復路に挟まれるコイル受信領域が、前記スケールのコイル配置面に対向する受信コイルであって、前記励磁コイルに対し、前記測定軸方向に交わる縦方向にずれた位置に配置された受信コイルとを含むスライダと、
前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、
前記励磁コイルおよび前記受信コイルは、それぞれの往路および復路の前記測定軸方向の位置が揃えられ、
前記励磁コイルは、直列に接続された第1励磁コイルおよび第2励磁コイルを含み、
前記受信コイルは、直列に接続された第1受信コイルおよび第2受信コイルを含み、
前記第1励磁コイルと前記第2励磁コイルとの間、および前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとの間は、Nをある整数とし、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔で隔てられていることを特徴とする位置測定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3および請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記制御部は、
前記受信コイルから出力された信号の値に基づいて、前記スライダに対する前記スケールの位置、または、前記スケールに対する前記スライダの位置を測定することを特徴とする位置測定装置。
【請求項9】
請求項1、請求項3、請求項5および請求項7のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、
2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする位置測定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3および請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の位置測定装置であって、
前記スケールは、定尺としての帯状部材を含み、
複数の前記スケールが、結線されることなく継ぎ足し可能となっていることを特徴とする位置測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明は、位置測定装置であって、測定軸方向に配列された複数の第1ループコイルと、複数の前記第1ループコイルが配列された第1列に対し、前記測定軸方向に垂直な縦方向にずれた第2列で、前記測定軸方向に配列された複数の第2ループコイルと、を備えるスケールであって、各前記第2ループコイルが、各前記第1ループコイルと前記縦方向に隣合わない位置に配置されたスケールと、スライダであって、前記測定軸方向に交わる方向に往路および復路を形成し、往路および復路に挟まれる励磁領域が、前記スケールのコイル配置面に対して交わる方向に広がる励磁コイルと、前記コイル配置面に対向する受信領域を周回する受信コイルと、を備えるスライダと、前記受信コイルから出力される信号に基づいて、前記スライダと前記スケールとの位置関係を測定する制御部と、を備え、前記受信コイルは、前記受信領域を周回する一対のループを含み、前記一対のループのうちの一方は前記第1列に対応する位置を周回し、他方は、前記第2列に対応する位置を周回し、前記位置測定装置は、前記測定軸方向に配列され、個別に励振される2つの前記励磁コイルを備え、2つの前記励磁コイルは、Nをある整数として、前記スケールに規定された前記測定軸に対応する空間位相を単位として、2Nπ±π/4の間隔を隔てて配置されることを特徴とする。