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特開2024-162056タルク及びポリテトラフルオロエチレン混合シールテープの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162056
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】タルク及びポリテトラフルオロエチレン混合シールテープの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20241114BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20241114BHJP
   C08J 5/22 20060101ALI20241114BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20241114BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20241114BHJP
   B29C 55/06 20060101ALI20241114BHJP
   B29C 55/18 20060101ALI20241114BHJP
   B29B 9/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08J3/12 A
C08J3/16 CEW
C08J5/22
B29C48/305
B29C48/08
B29C55/06
B29C55/18
B29B9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077228
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】506020492
【氏名又は名称】有限会社ヤマカツラボ
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝年
(72)【発明者】
【氏名】澤井 美智子
(72)【発明者】
【氏名】増田 亜沙美
【テーマコード(参考)】
4F070
4F071
4F201
4F207
4F210
【Fターム(参考)】
4F070AA24
4F070AB09
4F070AC22
4F070AC36
4F070AE01
4F070AE28
4F070DA03
4F070DA33
4F070DA39
4F070DA46
4F071AA27
4F071AB26
4F071AC02
4F071AC05
4F071AE04
4F071AE19
4F071AE22
4F071AG28
4F071AG34
4F071BA01
4F071BB04
4F071BB06
4F071BB07
4F071BC01
4F071BC12
4F201AA17
4F201AB16
4F201AH81
4F201AR02
4F201AR06
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC13
4F201BD05
4F201BL03
4F207AA17
4F207AB16
4F207AG01
4F207AH81
4F207AR12
4F207KA04
4F207KL84
4F207KM15
4F207KW41
4F210AA17
4F210AB16
4F210AG01
4F210AH81
4F210AR12
4F210AR20
4F210QA03
4F210QA04
4F210QC02
4F210QD34
4F210QG01
4F210QG18
4F210QM15
4F210QN01
4F210QN21
(57)【要約】
【課題】本発明は、タルク粉末と非常にフィブリル化しやすいPTFE乳化重合粒子粉末を用いてペースト押出成形によって製造する過程において、タルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉末との混合手段を具体的に明らかにしたタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、タルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉末とドライアイスとをカッターミキサーへ投入し、10℃以下の低温下において寸動運転による低速撹拌混合と繰り返し運転による高速撹拌混合とを行ってPTFE乳化重合粒子粉末を粉砕し、タルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉砕粉末とを含む予備成形物を押出金型に投入し、押し出された押出シートを圧延ロール及び加熱ロールにより延伸し、延伸した助剤除去薄膜フィルムを押出方向に裁断してリボン状のシールテープを製造する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程から製造されることを特徴とするタルク及びポリテトラフルオロエチレン混合シールテープの製造方法。
第1工程:粒径2~5μmのタルク粉末と、粒径0.2~0.3μmのポリテトラフルオロエチレンが凝集した平均粒径500μmのポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉末と、ドライアイスとを用意する。
第2工程:前記タルク粉末40~60重量部とポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉末との混合粉末100重量部と、砕いたドライアイス30~50重量部とを、容器部と回転刃を備えるカッターミキサーの容器部に投入し、カッターミキサーの回転刃を回転速度平均1500rpmで2~4秒の間隔で4~6回の寸動運転による低速撹拌混合を行い、引き続き、回転速度平均3000rpmで15~25秒の間隔で4~6回の繰り返し運転による高速撹拌混合を行ってポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉末を粉砕し、粒径が30μm以下のポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉砕粉末とタルク粉末との混合粉砕粉末を10℃以下の環境下で作製する。
第3工程:前記混合粉砕粉末を造粒用容器に移して造粒液を注入し、撹拌しながら10℃以下の環境下で造粒混合物を作製し、その後、当該造粒混合物を110~130℃に加熱して造粒液を蒸発乾燥し、造粒混合粉末を作製する。
第4工程:前記造粒混合粉末に、助剤として石油系の溶剤15~25重量部を注入して25~60℃に加温し、10~20kg/cmの圧力をかけて予備成形物を作製する。
第5工程:筒状のシリンダー部と末広がりの出口部を有するフラットダイ部とからなる押出金型を使用し、当該シリンダー部に前記予備成形物を挿入し、フラットダイ部から押し出して厚み2~3mmの押出シートを作製する。
第6工程:前記押出シートを圧延ロールにより圧延して厚さ50~200μmの圧延フィルムを作製する。
第7工程:前記圧延フィルムに含まれる助剤を250℃以下で加熱除去し、加熱ロールを使用して1.5倍から3~4倍に押出方向に延伸した薄膜フィルムを作製する。
第8工程:前記薄膜フィルムを5~20mm幅で押出方向に裁断してリボン状のシールテープを作製する。
【請求項2】
請求項1における第2工程において、タルク粉末及びポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉末との合計100重量部と、砕いたドライアイス30~50重量部とを、着色剤0.5~2重量部と共にカッターミキサーの容器部に投入する
ことを特徴とする請求項1に記載のタルク及びポリテトラフルオロエチレン混合シールテープの製造方法。
【請求項3】
請求項1における第2工程が、ポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉末40~60重量部と、砕いたドライアイス30~50重量部とを、カッターミキサーの容器部に投入し、カッターミキサーの回転刃を回転速度平均1500rpmで2~4秒の間隔で4~6回の寸動運転による低速撹拌混合を行い、引き続き、回転速度平均3000rpmで15~25秒の間隔で4~6回の繰り返し運転による高速撹拌混合を行ってポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉末を粉砕し、その後に前記投入したポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉末との和が100重量部になる量のタルク粉末を当該カッターミキサーの容器部に投入して低速撹拌混合を行い、粒径が30μm以下のポリテトラフルオロエチレン乳化重合粒子粉砕粉末とタルク粉末との混合粉砕粉末を10℃以下の環境下で作製する
ことを特徴とする請求項1に記載のタルク及びポリテトラフルオロエチレン混合シールテープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タルク及びポリテトラフルオロエチレン混合シールテープの製造方法に関し、特定の無機粉末、すなわちタルク粉末を含有するネジ継手シール用未焼成ポリテトラフルオロエチレンシールテープの製造方法に関する。以下、「ポリテトラフルオロエチレン」を単に「PTFE」という。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ネジ継手シール用未焼成PTFEテープの製造において、PTFEファインパウダーの水性分散液とタルクとを混合して共凝析すること、凝析したPTFEファインパウダーとタルクとをPTFEがフィブリル化しないように低温で混合すること、が記載されている。
【0003】
特許文献2には、熱可塑性樹脂パウダーとフッ素樹脂パウダーを混合するにあたり、混合機内を、フッ素樹脂の軟化点(ガラス転移点)以下に温度制御すること、その温度制御の方法として、ドライアイス投入によりフッ素樹脂の軟化点以下になるようにすることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、PTFEファインパウダーを解砕するために、PTFEファインパウダーとドライアイスとをカッターミキサー投入し、単に低速撹拌混合及び高速撹拌混合を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO96/30458公報
【特許文献2】特開平10-237254公報
【特許文献2】特開2015-151543公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、PTFEがフィブリル化しないように低温で混合することは記載されているが、どのようにして低温で混合するかについては具体的に開示されていない。
【0007】
特許文献2には、混合機内を、フッ素樹脂の軟化点(ガラス転移点)以下に温度制御することが記載されているが、PTFEのガラス転移点は115℃であり、115℃以下とするだけでは体積変化を起こす可能性があり、また、単にフッ素樹脂パウダーと記載されているだけで、非常にフィブリル化しやすいPTFE乳化重合粒子を用いることは記載されていない。
【0008】
特許文献3における解砕方法では、撹拌混合の途中でドライアイスを追加しなければ温度が上昇しすぎる問題があった。
【0009】
本発明は、タルク粉末と非常にフィブリル化しやすいPTFE乳化重合粒子粉末を用いてペースト押出成形によって製造する過程において、PTFEが体積変化を起こさない室温転移点19℃付近以下に温度を制御すると共にタルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉末との混合手段を具体的に明らかにしたタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法は、以下の工程から製造されることを特徴とする。
第1工程:粒径2~5μmのタルク粉末と、粒径0.2~0.3μmのPTFEが凝集した平均粒径500μmのPTFE乳化重合粒子粉末と、ドライアイスとを用意する。
第2工程:前記タルク粉末40~60重量部とPTFE乳化重合粒子粉末との混合粉末100重量部と、砕いたドライアイス30~50重量部とを、容器部と回転刃を備えるカッターミキサーの容器部に投入し、カッターミキサーの回転刃を回転速度平均1500rpmで2~4秒の間隔で4~6回の寸動運転による低速撹拌混合を行い、引き続き、回転速度平均3000rpmで15~25秒の間隔で4~6回の繰り返し運転による高速撹拌混合を行ってPTFE乳化重合粒子粉末を粉砕し、粒径が30μm以下のPTFE乳化重合粒子粉砕粉末とタルク粉末との混合粉砕粉末を10℃以下の環境下で作製する。
第3工程:前記混合粉砕粉末を造粒用容器に移して造粒液を注入し、撹拌しながら10℃以下の環境下で造粒混合物を作製し、その後、当該造粒混合物を110~130℃に加熱して造粒液を蒸発乾燥し、造粒混合粉末を作製する。
第4工程:前記造粒混合粉末に、助剤として石油系の溶剤15~25重量部を注入して25~60℃に加温し、10~20kg/cmの圧力をかけて予備成形物を作製する。
第5工程:筒状のシリンダー部と末広がりの出口部を有するフラットダイ部とからなる押出金型を使用し、当該シリンダー部に前記予備成形物を挿入し、フラットダイ部から押し出して厚み2~3mmの押出シートを作製する。
第6工程:前記押出シートを圧延ロールにより圧延して厚さ50~200μmの圧延フィルムを作製する。
第7工程:前記圧延フィルムに含まれる助剤を250℃以下で加熱除去し、加熱ロールを使用して1.5倍から3~4倍に押出方向に延伸した薄膜フィルムを作製する。
第8工程:前記薄膜フィルムを5~20mm幅で押出方向に裁断してリボン状のシールテープを作製する。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法は、請求項1における第2工程において、タルク粉末及びPTFE乳化重合粒子粉末との合計100重量部と、砕いたドライアイス30~50重量部とを、着色剤0.5~2重量部と共にカッターミキサーの容器部に投入することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の請求項3に係るタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法は、請求項1における第2工程が、PTFE乳化重合粒子粉末40~60重量部と、砕いたドライアイス30~50重量部とを、カッターミキサーの容器部に投入し、カッターミキサーの回転刃を回転速度平均1500rpmで2~4秒の間隔で4~6回の寸動運転による低速撹拌混合を行い、引き続き、回転速度平均3000rpmで15~25秒の間隔で4~6回の繰り返し運転による高速撹拌混合を行ってPTFE乳化重合粒子粉末を粉砕し、その後に前記投入したPTFE乳化重合粒子粉末との和が100重量部になる量のタルク粉末を当該カッターミキサーの容器部に投入して低速撹拌混合を行い、粒径が30μm以下のPTFE乳化重合粒子粉砕粉末とタルク粉末との混合粉砕粉末を10℃以下の環境下で作製することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係るタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法は、適量のドライアイスを投入したことによりタルク粉末と非常にフィブリル化しやすいPTFE乳化重合粒子粉末とがPTFEの体積変化を起こさない室温転移点19℃付近以下で撹拌混合できる利点があり、また、具体的な低速撹拌混合及び高速撹拌混合を行う撹拌混合の方法によりPTFE乳化重合粒子粉末が粒径が30μm以下に粉砕されると共に撹拌混合の途中でドライアイスを追加する工程が不要である利点がある。
【0014】
また、請求項2に係るタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法は、完成したシールテープが着色されているため、タルク粉末を混合したシールテープであることの目安になる利点がある。
【0015】
さらに、請求項3に係るタルク及びPTFE混合シールテープの製造方法は、タルク粉末を低速撹拌混合するので、タルク粉末が損傷することなくPTFE乳化重合粒子粉砕粉末と混合されるので、完成したシールテープをネジ継手シールとして用いた場合にネジ部の摩耗や損傷が発生しない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例0017】
本実施例に係るタルク及びPTFE混合シールテープは、以下の製造方法により製造した。
【0018】
[材料の準備(第1工程)]
まず、タルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉末とドライアイスとを用意する。
【0019】
タルク粉末は、レーザー回析法によるD50の粒径が2.8μm(商品名:微粉ミクロエースP-8日本タルク株式会社製)であって、モース硬度1のものを750g用意した。なお、タルク粉末は、粒径は2~5μmの範囲のものであればよい。
【0020】
PTFE乳化重合粒子粉末は、電子顕微鏡で測定される粒径0.2~0.3μmのほぼ球形のPTFEが凝集したものであって、ふるい分け試験方法JIS Z 8815による平均粒径500μmの二次粒子で形成されたPTFEファインパウダー(商品名 F-104 ダイキン工業株式会社製)750gを用意した。
【0021】
シールテープにおけるタルク粉末の含有量は、タルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉末との総量100重量部に対して、経済的効果と地球資源の持続性から40重量部以上とし、安定なテープ化が可能な60重量部以下とした。本実施例においては50重量部である。
【0022】
そして、砕いたドライアイス600gを用意した。ドライアイスはタルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉末との総量100重量部に対して30~50重量部が適切である。
【0023】
[PTFE乳化重合粒子粉末の粉砕(第2工程)]
前記タルク粉末とPTFE乳化重合粒子粉末との混合粉末1500gと砕いたドライアイス600gとをポリエチレン袋に入れて軽く撹拌してから、カッターミキサー(DITO SAMA製 Food Processor Cutter Mixer 3.5LT-2Speed 1500RPMと3000RPM)の容器部に投入した。カッターミキサーは容器部と回転刃とを備え、容器部はステンレス製の槽であり、回転刃はカッターナイフタイプで平刃の上向きタイプが使用されているものである。なお、圧縮作用が起きる底部のスキッパは除去した。また、邪魔板(バッフル)はステンレス製にした。
【0024】
<低速撹拌混合>
前記混合粉末とドライアイスとをカッターミキサーへ投入後、カッターミキサーの回転刃を回転速度平均1500rpmで2~3秒程度の間隔で4回の寸動運転による低速撹拌混合を行った。なお、低速撹拌混合における寸動運転は、2~4秒程度の間隔で4~6回とするのが適切である。
【0025】
回転停止後の粉体温度をアルコール温度計で測定したところ、粉体温度はPTFEの室温転移点19℃付近以下の-35℃であった。
【0026】
<高速撹拌混合>
当該低速撹拌混合に引き続いて、カッターミキサーの回転刃を回転速度平均3000rpmで30秒の間隔で4回の繰り返し運転による高速撹拌混合を行って、PTFE乳化重合粒子粉末の二次凝集を粉砕し、レーザー回析法によるD50の粒径が30μm以下のPTFE乳化重合粒子粉砕粉末とタルク粉末との混合粉砕粉末を作製した。高速撹拌混合における繰り返し運転は、15~25秒の間隔で4~6回とするのが適切である。
【0027】
回転停止後の粉体温度はPTFEの室温転移点19℃付近以下である-30℃であった。温度の測定は赤外線温度計(A&D Company,Limited)で測定した。この時点においては、ドライアイス投入の効果として10℃以下の環境下で混合粉砕粉末が作製されたことになる。
【0028】
[造粒混合粉末の作製(第3工程)]
前記混合粉砕粉末を直径300mmのステンレス製のボールからなる造粒用容器に移し、当該造粒用容器にイソプロピルアルコール50%水溶液400ccを造粒液として注入し、電動ホイッパーで撹拌しながら造粒混合物を作製した。この工程の終了までの温度はPTFEの室温転移点19℃付近以下の-10℃であった。この時点においても前記ドライアイス投入の効果として10℃以下の環境下で造粒混合物が作製されたことになる。
【0029】
前記造粒混合物をオーブンに入れ、120℃前後(110~130℃が適切)の温度で4時間加熱して前記のイソプロピルアルコール50%水溶液を蒸発乾燥し、造粒混合粉末を作製した。このときの造粒混合粉末の平均粒径は約800μmであった。
【0030】
このようにして作成された前記造粒混合粉末から以下の方法でシールテープの作製を行った。
【0031】
[予備成形物の作製(第4工程)]
〈助剤混合〉
ポリエチレン製の容器に収納した前記造粒混合粉末500gに、助剤として石油系の溶剤(Isopar-H、エクソン化学株式会社製)23重量部すなわち115gを注入し、PTFEの室温転移点19℃付近以上の30℃の保温ボックスに収納して24時間放置して助剤注入混合粉末を作製した。前記の助剤は15~25重量部が適切である。また、保温ボックスの温度は25~60℃が適切である。
【0032】
〈予備成形〉
まず、後述する押出工程における押出金型のシリンダーに挿入できるように、予備成形物を作製する金型として50mm角の金型を使用し、当該金型に前記助剤注入混合粉末(500g相当)を投入して15kg/cmの圧力をかけて予備成形物を作製した。前記の圧力は10~20kg/cmが適切である。
【0033】
[押出シートの作製(第5工程)]
押出シートを作製するには、筒状のシリンダー部と末広がりの出口部を有するフラットダイ部とから構成される押出金型を使用する。当該シリンダー部に前記予備成形物を挿入し、当該予備成形物をフラットダイ部から押し出して、末広がりした幅150mm、厚み2.5mmの押出シートを作製した。幅及び厚みはフラットダイ部の出口部の大きさに左右されるが、2~3mmの厚みに押し出すので適切である。
【0034】
[圧延フィルムの作製(第6工程)]
前記の押出シートを50℃に温水中で温め、直径200mmの圧延ロールで100μmの圧延フィルムを作製した。
【0035】
[薄膜フィルムの作製(第7工程)]
前記の圧延フィルムに含まれる助剤を200℃のオーブン中で蒸発乾燥した。この時のフィルムの比重は1.4g/CCであった。さらに直径300mm、温度300℃の一対の加熱ロール間で2倍の長さに押出方向に延伸した薄膜フィルムを作製した。比重は0.8g/CCであった。
【0036】
前記圧延ロールによる圧延フィルムは50~200μmの範囲で、その厚みに応じて1.5倍から3~4倍に延伸して薄膜フィルムを作製するのが適切である。
【0037】
[シールテープの作製(第8工程)]
さらに、薄膜フィルムを10mm幅で押出方向に裁断し、完成品としてリボン状のシールテープを作製した。シールテープの幅は用途に応じて5~20mmとするのが適切である。
【実施例0038】
実施例1における[PTFE乳化重合粒子粉末の粉砕]を以下のように変更することができる。
【0039】
実施例1における[PTFE乳化重合粒子粉末の粉砕(第2工程)]の低速撹拌混合の前に、着色剤としてタルク粉末及びPTFE乳化重合粒子粉末との全体量の1重量部に相当する(顔料)べんがら1.5gを投入した。すなわち、タルク粉末及びPTFE乳化重合粒子粉末との合計1500g(100重量部)と、砕いたドライアイス50重量部とを、タルク粉末及びPTFE乳化重合粒子粉末との全体量の1重量部に相当する(顔料)べんがら1.5gと共にカッターミキサーの容器部に投入した。着色剤の投入量はタルク粉末及びPTFE乳化重合粒子粉末との全体量の0.5~2重量部が適切である。
【0040】
そして実施例1と同様に行って着色したシールテープを完成させた。
【0041】
このような製法を採用すれば、タルク粉末が混合されたシールテープであることの目安になる利点があり、従来品と色調で異なる着色によって識別が可能となる。
【実施例0042】
実施例1における[PTFE乳化重合粒子粉末の粉砕]を以下のように変更することができる。
【0043】
PTFE乳化重合粒子粉末50重量部と、砕いたドライアイス50重量部とを、カッターミキサーの容器部に投入し、カッターミキサーの回転刃を回転速度平均1500rpmで3秒程度の間隔で5回の寸動運転による低速撹拌混合を行い、引き続き、回転速度平均3000rpmで20秒の間隔で5回の繰り返し運転による高速撹拌混合を行ってPTFE乳化重合粒子粉末を粉砕し、その後にタルク粉末50重量部を当該カッターミキサーの容器部に投入して低速撹拌混合を行い、粒径が30μm以下のPTFE乳化重合粒子粉砕粉末とタルク粉末との混合粉砕粉末を10℃以下の環境下で作製する。
【0044】
そして実施例1と同様に行ってシールテープを完成させた。
【0045】
このような方法を採用した場合には、タルク粉末は低速撹拌混合されるので、タルク粉末が損傷することなくPTFE乳化重合粒子粉末と混合される。したがって、当該シールテープをネジ継手シールとして用いた場合にネジ部の摩耗や損傷が発生しない。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。