(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162057
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】刺激緩和剤及びその製造方法並びに皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/737 20060101AFI20241114BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20241114BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241114BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61K31/737
A61P17/16
A61Q19/00
A61K8/73
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077229
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】593053335
【氏名又は名称】リファインホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(72)【発明者】
【氏名】坪井 誠
(72)【発明者】
【氏名】濱本 祥吾
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C083AD211
4C083AD212
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC03
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD38
4C083EE12
4C083EE13
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA26
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
(57)【要約】
【課題】安全性が高く、優れた刺激抑制能を有する刺激緩和剤を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの糖単位構造中に硫酸基を有し、かつ、この硫酸基が1価の陽イオンと塩を形成している硫酸化多糖類の塩を含むことを特徴とする刺激緩和剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの糖単位構造中に硫酸基を有し、かつ前記硫酸基が1価の陽イオンと塩を形成する硫酸化多糖類塩を含むことを特徴とする刺激緩和剤。
【請求項2】
前記硫酸化多糖類塩が、フコース、ラムノース、ガラクトース、グルコース、マンノース及びフルクトースからなる群より選ばれた1又は2以上の六炭糖構成単位を有するものであり、そのうちの少なくとも1つの六炭糖単位構造中に硫酸基を有するものである請求項1に記載の刺激緩和剤。
【請求項3】
前記硫酸化多糖類塩が、フノリ由来の多糖類であるフノランのナトリウム塩である請求項1に記載の刺激緩和剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の刺激緩和剤を、硫酸化多糖類塩の固形分換算で、0.000001質量%~0.01質量%で含む皮膚外用剤。
【請求項5】
フノリの粉末を水に溶解してフノリ水溶液を調製する工程と、
前記フノリ水溶液に1価の陽イオンを加えて加熱する工程と、
前記加熱後の水溶液を分子量分画して硫酸化多糖類塩を回収する工程と、
を含む、刺激緩和剤の製造方法。
【請求項6】
フノリの粉末を水に溶解してフノリ水溶液を調製する工程と、
前記フノリ水溶液に酸を加えて酸性にした後、脱塩する工程と、
前記脱塩後の水溶液に1価の陽イオンを加えて中和する工程と、
前記中和後の水溶液を分子量分画して硫酸化多糖類塩を回収する工程と、
を含む、刺激緩和剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品や医薬品などの皮膚と接触する組成物に添加して使用される刺激緩和剤及びその製造方法並びに皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品成分は安全性が重要視されるため、皮膚に対する刺激性がほとんどない濃度範囲で用いられる。しかし、皮膚のバリア機能が低下している場合は、一般的に皮膚刺激反応がほとんどない成分でも皮膚刺激を引き起こすことがある。皮膚に対する刺激を緩和するため、この皮膚バリア機能の修復成分や、他の成分がもつ刺激性を緩和する成分などが報告されている。例えば、特許文献1には、炭水化物又はその誘導体を活性成分として含有する組成物が、染料による皮膚刺激を緩和し、及び染料による炎症を予防又は防止することが開示されている。炭水化物又はその誘導体の具体例としては、単糖類、オリゴ糖類及び多糖類からなる群から選択された一つ以上である。
【0003】
また、特許文献2には、微生物由来酵素の作用によって産生された多糖類(レバン)が、皮膚刺激緩和効能を有することが開示されている。レバンは、β(2→6)で結合したフルクトースポリマーであり、バシラス・サチリスなどの種々の微生物によって蔗糖を基質にして産生される。しかしながら、化粧品の刺激物質として代表的な乳酸刺激を充分に抑制し、かつ、それ自体の安全性、安定性に優れた天然由来の刺激緩和剤はこれまでなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013-511512号公報
【特許文献2】特開2003-277225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、安全性が高く、優れた刺激抑制能を有する刺激緩和剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、フノリを特定の抽出方法によって抽出したフノリ多糖類において優れた機能性を発揮する特定構造の多糖体分子があり、皮膚外用剤に添加することで、肌への医薬品や化粧品による刺激を緩和し得ることを見出した。すなわち、本発明は、以下の実施形態を含む。
【0007】
(1)少なくとも1つの糖単位構造中に硫酸基を有し、かつこの硫酸基が1価の陽イオンと塩を形成する硫酸化多糖類塩を含むことを特徴とする刺激緩和剤。
(2)硫酸化多糖類塩が、フコース、ラムノース、ガラクトース、グルコース、マンノース及びフルクトースからなる群より選ばれた1又は2以上の六炭糖構成単位を有するものであり、そのうちの少なくとも1つの六炭糖構成単位中に硫酸基を有するものである(1)に記載の刺激緩和剤。
(3)硫酸化多糖類塩が、フノリ由来の多糖類であるフノランのナトリウム塩である(1)に記載の刺激緩和剤。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の刺激緩和剤を、硫酸化多糖類塩の固形分換算で0.000001質量%~0.01質量%の量で含む皮膚外用剤。
(5)フノリの粉末を水に溶解してフノリ水溶液を調製する工程と、フノリ水溶液に1価の陽イオンを加えて加熱する工程と、この加熱後の水溶液を分子量分画して硫酸化多糖類塩を回収する工程と、を含む、刺激緩和剤の製造方法。
(6)フノリの粉末を水に溶解してフノリ水溶液を調製する工程と、フノリ水溶液に酸を加えて酸性にした後、脱塩する工程と、この脱塩後の水溶液に1価の陽イオンを加えて中和する工程と、中和後の水溶液を分子量分画して硫酸化多糖類塩を回収する工程と、を含む、刺激緩和剤の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る刺激緩和剤は、極めて少量の使用によっても肌への医薬品や化粧品の肌刺激を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1で行ったフノランNaの刺激緩和試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る刺激緩和剤及びその製造方法、並びにこの刺激緩和剤を含む皮膚外用剤について詳細に説明するが、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
(刺激緩和剤)
本実施形態に係る刺激緩和剤は、有効成分として、少なくとも1つの糖単位構造中に硫酸基を有し、かつこの硫酸基が1価の陽イオンと塩を形成する硫酸化多糖類塩を含むことを特徴とするものである。この硫酸化多糖類塩を構成する多糖類の構造としては、少なくとも1つの糖単位構造の中に硫酸基を有するものである限り、特に限定されない。糖単位構造としては、六炭糖を含むことが好ましく、1種の六炭糖構成単位より構成されるホモ多糖類であっても、あるいは少なくとも1種の六炭糖構成単位を含みかつ2種以上の糖構成単位からなるヘテロ多糖類であってもよい。
【0012】
ヘテロ多糖類である場合、少なくとも1種の六炭糖構成単位以外の糖構成単位としては三炭糖構成単位、四炭糖構成単位、五炭糖構成単位あるいは六炭糖構成単位のいずれであっても良く、これらの任意の組合せにより、2ないしそれ以上の糖構成単位を構成し得る。
【0013】
本実施形態に係る硫酸化多糖類塩を構成する多糖類に含まれる六炭糖構成単位としては、特に限定されず、例えば、フコース、ラムノース、ガラクトース、グルコース、マンノース及びフルクトースのうちのいずれであってもよく、これらのうちの1又は2以上の六炭糖構成単位を有するものが含まれる。そして、その六炭糖構成単位中の少なくとも一部に硫酸基を有するものであれば良い。
【0014】
本実施形態に係る硫酸化多糖類塩は、これを構成する多糖類の糖単位構造において、任意の位置に硫酸基を有すればよく、例えば、当該六炭糖構成単位の2、3、4、5及び/又は6位に硫酸基を有するものであってもよいが、4及び/又は6位に硫酸基を有するものが好ましく、6位に硫酸基を有するものが最も好ましい。例えば、フコースの4位のOHや、ガラクトースの6位のOHが硫酸化(半硫酸エステル)されたものを挙げることができる。
【0015】
また、本実施形態に係る硫酸化多糖類塩を構成する多糖類の糖単位構造において、六炭糖構成単位中の少なくとも一部に硫酸基を有するものである限り、特に限定されないが、硫酸基を有する構成単位が、例えば硫酸化多糖類塩を構成する全糖単位構造のうちの0.1~100%、好ましくは1~100%、10~100%、30~100%、40~100%、50~100%といった割合で含まれていることが望ましい。また全糖単位構造のうちの50%以上、好ましくは60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上が硫酸基を有する六炭糖構成単位を有するものであれば、全糖単位構造のうちの100%が硫酸基を有する糖単位構造を有するものと実質的に効果に変りはない。
【0016】
本実施形態に係る硫酸化多糖類塩は、さらに1価の陽イオン、例えば、Na+、K+、NH4
+など、好ましくは、Na+及びK+、特に好ましくはNa+により塩化されたものである。すなわち、上記したような硫酸基を有する多糖類は、塩の状態でないと自己加水分解が進み所定の機能が発揮されず、かつ塩を形成するための対イオンが、例えば、Ca2+のような2価の陽イオンであると、糖単位構造中に硫酸基を有する硫酸化多糖類塩であっても、肌への医薬品や化粧品による刺激を緩和するといった刺激緩和機能が見られず、1価の陽イオンの塩である場合に初めてこのような刺激緩和機能が奏されることが明らかとなったものである。従って、本発明に係る硫酸化多糖類塩はカルシウム等の2価の陽イオンを実質的に含まないことが好ましい。ここで「実質的に含まない」とは、例えば、その存在量がモル単位で5%以下、1%以下、0.1%以下、0.01%以下、0.001%以下であることを意味し、さらに好ましくは限りなくゼロに近いそれ以下の量である。
【0017】
本実施形態に係る硫酸化多糖類塩としては、上記したような構造を有するものである限り、合成により得られるものであっても、天然の各種原料より抽出されるものであってもいずれでもよいが、好ましくは天然由来のものであり、特に、フノリ由来のもの、例えば、フノランのナトリウム塩などが望ましい。フノリとは、紅藻類、フノリ科、フノリ属(学名:Gloiopeltis)に属する海藻であり、我が国においては、フクロフノリ、マフノリ、ハナフノリが良く知られている。本発明で用いるフノリは、これら海藻から異物を除去し、適宜精製して、乾燥させ、剪断或いは粉末化したものであっても良く、また、一旦抽出物を得て、それを粒状化又は粉末化したものであってもよい。
【0018】
特に限定されるわけではないが、フノランのナトリウム塩に係る硫酸化多糖類塩としては、例えば、以下に示すような構造式を有するものが例示される。
【化1】
(但し、これらの式中nは1~20000、より好ましくは、例えば、1~10000、10~8000、100~5000、200~4000、1000~2000である。)であるものが示される。
【0019】
本実施形態に係る刺激緩和剤は、上記のような硫酸化多糖類塩を含有してなるものであり、その含有量は、硫酸化多糖類塩の固形分換算で0.00001質量%から99質量%まで所望の濃度に調製して用いることができる。本実施形態の刺激緩和剤は、他の成分がもつ刺激性を緩和する成分であり、所望の有効成分を含む医薬品や化粧品を製造するための添加剤として使用することが好ましい。
【0020】
(皮膚外用剤)
本実施形態に係る皮膚外用剤は、上述した刺激緩和剤を含有してなるものである。
本実施形態の皮膚外用剤としては、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、石鹸、クレンジングクリーム、クレンジングローション、洗顔料等の皮膚洗浄料、シャンプー、リンス、トリートメント等の洗髪用化粧料や、ヘアクリーム、ヘアスプレー、ヘアトニック、ヘアジェル、ヘアローション、ヘアオイル、ヘアエッセンス、ヘアウォーター、ヘアワックス、ヘアフォーム等の整髪料、育毛・養毛料、ファンデーション、白粉、おしろい、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、眉墨、まつ毛等のメークアップ化粧料、美爪料等の仕上げ用化粧料、香水類、歯磨き類、含嗽剤等の口腔用組成物等の化粧料組成物、外用薬用製剤、軟膏、ハップ剤、浴用剤、薬用歯磨き、口中清涼剤等の薬用口腔用組成物、薬用化粧品、染毛剤、育毛剤、脱毛防止剤、除毛剤等の毛髪溶剤液臭・防臭防止剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等の外用医薬部外品、外用医薬品等が挙げられる。
【0021】
なお本実施形態に係る皮膚外用剤中における、上記刺激緩和剤の含有量は、特に限定されるわけではないが、例えば、水溶液の形態の組成物において、皮膚外用剤全体に対して硫酸化多糖類塩の固形分換算で0.000001質量%以上、好ましくは0.00001質量%以上、さらに好ましくは0.0001質量%以上といったごく少量の配合によっても、非常に良好な肌刺激緩和効果を発揮することができる。配合量の上限値としても特に限定されるわけではないが、経済的な見地から例えば、0.1質量%以下、特に0.05質量%、さらには0.01質量%以下であることが望ましい。特に好ましい範囲としては、0.00005質量%~0.0005質量%である。
【0022】
上記皮膚外用剤には、上述した成分の他にも、必要とする効能、効果に応じて以下の物質から適宜選択して配合することができる。例えば、一般に用いられている油脂類、界面活性剤、保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤及び増粘剤、多価アルコール類、精油及び香料類、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、植物粉砕物及び生薬類、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤等の各種化粧料成分が挙げられる。
【0023】
上記油脂類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えば、大豆油、アーモンド油、パラフィン、セタノール、アボガド油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、卵黄油、ひまし油、スクワラン、ラノリン、流動パラフィン、白色ワセリン等の植物性油脂;牛脂、豚脂、馬脂、タートル油、ミンク油、パーセリン油、スクワラン等の動物性油脂;メチルポリシロキサン、ベヘニルアルコール、トリカプリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィン、DHA、EPA等の合成油脂等が挙げられる。
【0024】
上記界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ジエタノールアミド等の陰イオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン性界面活性剤;グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖エステル、脂肪酸アミド等の非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリペプチド誘導体、天然系界面活性剤等が挙げられる。
【0025】
上記保湿剤としては、ピロリドンカルボン酸ソーダ、パンテテイン-Sスルホン酸塩等の合成保湿剤;ヒアルロン酸、エラスチン、ケラチン、デルマタン硫酸、コラーゲン、胎盤抽出液、ローヤルゼリー及びこれらの加水分解物、微生物発酵液、例えばキチン、キトサン、ペクチン、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン等や、その他の植物や動物由来の抽出液、植物油及びそのエステル化物、誘導体等の天然保湿剤等が挙げられる。
【0026】
上記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩や誘導体、アルブチンやこれらの誘導体、胎盤抽出液、その他の植物や動物由来の抽出液等が挙げられる。
【0027】
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等の有機酸、無機酸及びその塩類等が挙げられる。
【0028】
上記粘結剤及び増粘剤としては、一般に化粧料で汎用されている、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ローカストビーンガム、寒天、カーボポール、キサンタンガム、ベントナイト等が挙げられる。
【0029】
上記多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリセリン(26E.O)等が挙げられる。
【0030】
上記精油及び香料類としては、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ラズベリー油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、ミカン油、トウヒ油、シトロネロール、テルペン類、コーヒー油、茶油、椿油、ラズベリーケトン等の天然及び合成香料等が挙げられる。
【0031】
上記防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸等が挙げられる。
【0032】
上記酸化防止剤としては、例えば、EDTA4Na、EDTA2Na、ブチルオキシトルエン、ヒドロキシブチルトルエン、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0033】
上記紫外線吸収剤としては、紫外線を選択的に吸収する性質を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、メトキシケイ皮酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸オクチル等が挙げられる。
【0034】
上記顔料としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルク、カーボン、薬用炭等が挙げられる。
【0035】
上記植物粉砕物及び生薬類としては、レモンの皮、海藻、ヒノキ、ヒバ、フッカス、米ヌカ、ショウブ、ショウキョウ、カンゾウ、チンピ、ユズ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ケイヒ、ウバイ、ヨモギ、ドクダミ、モモノハ、カミツレ、アロエ、ジャスミン、ローズヒップ、ラベンダー、グァバ、オウゴン、クコ、レイシ、ニワトコ、アシタバ、ウコギ、ゴボウ、黒ゴマ、黒米、藤三七人参、高麗人参、田七人参、セッコツ草、センキュウ等の粉砕物及びその乾燥物並びにその抽出液等が挙げられる。
【0036】
上記無機塩類及び無機酸類としては、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、ホウ酸、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、二水素化マグネシウム、海水乾燥物等が挙げられる。
【0037】
上記洗浄剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルエーテルカルボン酸塩等のアニオン界面活性剤、脂肪族等が挙げられる。
【0038】
上記乳化剤は、化粧品原料として公知の物質を用いることができる。特に好ましいものとして、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンジステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンジイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン分岐脂肪酸エステル;大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、更にこれらのレシチン類を酵素処理によりモノアシル体としたリゾレシチン及び/又は水素添加リゾレシチン、ヒドロキシル 化したヒドロキシレシチン等のレシチン類;モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン分岐脂肪酸エステル:等を挙げることができ、1種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
更に、上記皮膚外用剤は、上記のもの以外にも、必要に応じてその他の成分として、乳糖、牛乳、練乳等の乳由来成分;チタン、タルク等の無機顔料;イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジン等の殺菌剤;ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンP、CoQ10、CoQ9、CoQ8、チオクト酸等のビタミン類及び補酵素、無水珪酸、合成珪酸アルミニウム等の流動化剤;医薬品、医薬部外品並びに化粧品用タール系色素等を適宜配合できる。
【0040】
上記皮膚外用剤には、上述した成分の他にも、美容、美顔及び皮膚の治療等を目的とする薬効成分等の各種化粧料成分を適宜配合することができる。上記薬効成分としては、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エチナシ葉エキス、オウバクエキス、オオムギエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クマザサエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、酵母エキス、コンフリーエキス、コケモモエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、スイカズラエキス、セイヨウキズナエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、ゼニアオイエキス、センブリエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チョウジエキス、チガヤエキス、トマトエキス、納豆エキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノ蜂蜜、トウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、モモ葉エキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス等が挙げられる。
【0041】
また、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、ビタミンC、ビタミンD、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンE及びビタミンE誘導体等の血行促進剤、β-カロチン及びカロチノイド誘導体等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、γ-オリザノール、タンパク質分解酵素等の創傷治癒剤、セファランチン、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、アセチルパントテニルエチルエーテル、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、カンフル、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、1-メントール、メントールのピロリドンカルボン酸塩、モノニトログアヤコール、尿素、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン及び女性ホルモン様物質、カンタリスチンキ、シクロスポリン、鎮痛剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗菌性物質等も任意に配合することができる。
【0042】
本実施形態の皮膚外用剤の投与対象は、好ましくは温血脊椎動物であり、より好ましくは哺乳動物である。本明細書において哺乳動物は、例えば、ヒト、並びにサル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの非ヒト哺乳動物が挙げられる。本実施形態の皮膚外用剤は、皮膚刺激改善を所望するヒトの対象者に適用することが好ましい。
【0043】
(製造方法)
本実施形態に係る刺激緩和剤の有効成分を構成する硫酸化多糖体は、藻類などの植物性天然原料から製造することができる。植物性天然原料を粉末化し、水を加えて溶解する。溶解液に、塩化ナトリウムなどの1価イオンとなる塩を加え、加熱する。加熱後、分子量により分離することで、硫酸化多糖体の1価イオンの塩を取り出すことが出来る。
【0044】
ここで、植物性天然原料とは、藻類を含む自然界に存在するあらゆる植物を意味する。このような植物性天然原料は、藻類としては、特に限定されるわけではないが、例えば、褐藻類(例えば、コンブ属海藻、ワカメ属海藻、レッソニア属海藻、マクロシスチス属海藻、カジメ属海藻、アラメ属海藻、アスコフィラム、ダービリアなど)、紅藻類(例えば、キリンサイ属海藻、イバラノリ属海藻、ムカデノリ属海藻、テングサ属海藻、オゴノリ属海藻、フノリ属海藻、アマノリ属海藻など)、緑藻類(例えばミル属海藻、アオサ属海藻、アオノリ属海藻、イワヅタ属海藻、ヒトエグサ属海藻など)等が挙げられる。その他の植物としては、特に限定されるわけではないが、例えば、柑橘類、テンサイ、リンゴ等が挙げられる。これらのうち、好ましいものとしては、藻類、特に紅藻類が挙げられ、代表的にはフノリ属海藻を原料とするものが例示できる。
【0045】
好ましい実施形態において、刺激緩和剤の製造方法は、フノリの粉末を水に溶解してフノリ水溶液を調製する工程と、このフノリ水溶液に1価の陽イオンを加えて加熱する加熱工程と、加熱後の水溶液を分子量分画して硫酸化多糖類塩を回収する工程とを含む。この加熱工程に代えて、フノリ水溶液に酸(塩酸、硫酸又は有機酸)を加えて酸性にした後、脱塩する工程と、脱塩後の水溶液に1価の陽イオンを加えて中和する工程を含んでもよい。その後、分子量により分離することで、1価の陽イオンで塩化された硫酸化多糖類塩を回収することが出来る。
【0046】
加熱工程において使用する1価の陽イオンとなる塩としては、特に限定されるわけではないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどを用いることができる。熱水中における、水に対するこれらの塩の添加量としては、特に限定されないが、例えば、0.0001~10モル/L、さらに、例えば、0.001~5モル/L、0.01~2モル/L、好ましくは0.1~1モル/Lの濃度である。
【0047】
加熱工程における熱水の温度としては、特に限定されないが、例えば、40℃以上であり、さらに、例えば、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上、120℃以上の温度である、具体例を挙げれば、熱水として、水を溶媒として用いて常圧(1013hPa±50hPa)にて、100℃以下、例えば、55~65℃の温度で行うものである。
【0048】
この加熱に必要な時間は、選択された温度によって変わりうるが、1時間~2ヶ月、例えば、例えば、1時間~1ヶ月、1時間~15日、1時間~10日、1時間~5日、1時間~3日、1時間~2日、1時間~1日、5時間~1ヶ月、5時間~15日、5時間~10日、5時間~5日、5時間~3日、5時間~2日、5時間~1日、10時間~1ヶ月、10時間~15日、10時間~10日、10時間~5日、10時間~3日、または10時間~2日である。である。
【0049】
上記加熱工程は、溶媒としての1価の陽イオンを含む水中に、原料となるフノリを混合し、一定時間放置するものを含みうる。この放置は、適当な撹拌を含みうる。
【0050】
加熱工程は、1回以上、例えば、1~5回反復される。例えば、40~50℃、50~60℃、60~70℃、70~80℃または50~70℃で、1回又は複数回行うことができるものである。さらに、複数回反復して抽出を行う場合には、各回毎の温度は、異なるものとしても同じものとしても良く、例えば、回数を経るごとに温度を漸次高めるといった態様を取ることも可能である。好ましくは、50~60℃以上であるとよく、さらに55℃以上であるとよい。
【0051】
上記加熱工程においては、必要に応じて、例えば、加圧された液体抽出(pressurized liquid extraction:PLE)、超音波支援抽出(microwave assisted extraction:MAE)、亜臨界抽出(subcritical extraction:SE)、またはこれらの組み合わせなどの技術を併用することも可能である。亜臨界抽出は、亜臨界水抽出(subcritical water extraction:SWE)である。亜臨界水抽出は、超加熱された水抽出(superheated water extraction)または加圧された熱水抽出(pressurized hot water extraction:PHWE)とも言う。
【0052】
続いて、硫酸化多糖類塩を回収する方法は、例えば、加熱工程又は中和工程後の溶液を、分子量分画膜による分画法、又はゲルろ過法等により分子量分画することができる。分子量分画膜による分画法としては、限外ろ過膜を用いて工業的に分子量分画を行うことができ、例えば旭化成株式会社製のMF膜(精密ろ過膜)又はUF膜(限外ろ過膜)であるマイクローザ(商品名)等を使用することによって所定範囲の分子量画分を調製することができる。ゲルろ過法の例としては、生化学工業社製のセルロファインGCL-300等を用いることができる。また、これらの分子量分画法、ゲルろ過法を組み合せることにより、任意の分子量画分を調製することができる。
【0053】
本実施形態の方法で製造された刺激緩和剤は、さらに薬理学的又は化粧学的に許容される担体と混合することにより皮膚外用剤を製造することができる。皮膚外用剤及び薬理学的又は化粧学的に許容される担体については、上述したとおりである。
【0054】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
【実施例0055】
(製造例1)
粉末化した海藻フノリ乾燥物に水を加えて、成分が絡み合った構造をほぐすように溶解した。1分子単位となるように溶解部分と不溶部分を正確に分離した。溶解液に、塩化ナトリウムを加え、加熱した。加熱後、分子量により分離することで、6位O-硫酸化多糖体のナトリウム塩を取り出した(以下、このものを「フノランNa」と称する。)。フノランNaの構造解析を、2-アミノピリジンを用いた蛍光標識法による還元末端糖及び糖組成の分析、塩化バリウムを用いた比濁法による硫酸含量の分析、NMR分析により行ったところ、糖構成単位としてD-ガラクトースを有し、少なくともこのD-ガラクトース糖構成単位の一部のものが6位に硫酸基を有するものであることが確認された。得られた6位O-硫酸化多糖体ナトリウム塩を0.01~0.001%含有する水溶液を調製し、これを試料とした。
【0056】
(製造例2)
フノリ(海藻)を粉末化し、水を加えて溶解した。溶解液に、塩酸を加えて液を酸性にし、続いて脱塩した後、水酸化ナトリウムを用いて、中和した。再び脱塩を行った後、分子量により分離することで、6位O-硫酸化多糖体のナトリウム塩(フノランNa)を取り出すことができた。
【0057】
(実施例1)フノランNaの刺激緩和試験
<被験者>
刺激性を感じやすい敏感肌を自覚する、同意取得時の年齢が20歳以上60歳以下の日本人女性10人を本試験参加者とした。これらの被験者は、以下の試験方法による皮膚刺激試験の陽性対照である乳酸5%刺激にて平均スコアが2以上であった。
【0058】
<試験方法>
皮膚刺激試験はヒトの肌を用いた試験である。顔を温水にて洗顔後、静かな部屋で20分待機させて馴化させた。右頬に陽性対照として乳酸5%溶液(化粧品用乳酸5gを蒸留水に溶解し100mLとしてもの)を適量(約20μl)塗布し、塗布直後(30秒後)、塗布2分後及び塗布5分後の刺激を感ずるスコアを以下の基準に従い判定させた。判定終了後、試験部位はこすらずに速やかに冷水、もしくは温水で洗い流させた。
【0059】
【0060】
評価点は塗布直後(30秒後)・塗布2分後・塗布5分後の合計スコアを観察回数3回で除した平均スコアとした。被験者には微弱な刺激を観察するため試験中は会話などせず、試験に集中させた。
【0061】
<刺激緩和試験>
製造例1で調製した試料を用いて、フノランNaが1ppm含有した乳酸5%溶液を被検品として調製した。この被験品約20μlを上記被験者の皮膚に塗布し、皮膚刺激試験と同様に塗布直後(30秒後)、塗布2分後及び塗布5分後の平均スコアとした。判定終了後、試験部位はこすらずに速やかに冷水、もしくは温水で洗い流させた。
【0062】
<試験結果>
表1と同じ判定基準にて判定した結果を以下の表2及び
図1に示す。
【表2】
【0063】
表2及び
図1に示したように、陽性対照として使用した乳酸5%溶液を塗布した場合に比べ、フノランNaを1ppm含有した試料を塗布した場合に平均スコアは有意に低下していることが分かった。
【0064】
(実施例2)
フノランNaを0.1ppm又は0.01ppm含有した乳酸5%溶液(約20μl)を用いて実施例1と同様の試験方法により、刺激緩和試験を行った。その結果を以下の表3に示す。
【0065】
【0066】
表3に示したように、フノランNaを0.1ppm又は0.01ppm添加した場合でも、陽性対照に比べて平均スコアが低下する傾向が認められた。これらの肌刺激判定結果より、フノランNaを、0.1ppm以下は、濃度依存的に刺激緩和効果が減衰し、1ppm以上での刺激緩和効果の確かさが証明されたことから、フノランNaを、肌への刺激を与える可能性のある物質や製品に0.01~1ppm配合することで、刺激緩和素材として有効であるとわかった。
本発明の刺激緩和剤は、スキンケア製品やメイクアップ製品などすべての化粧品に極めて少量添加するだけで、これまで化粧品製品に肌の違和感を覚えていた人々が、違和感なく自由に利用することができる、医薬品、化粧品等の皮膚外用剤を提供することができる可能性がある。