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  • -端子および同軸コネクタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162065
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】端子および同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20241114BHJP
【FI】
H01R24/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077246
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 梨紗
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AA21
5E223AB45
5E223AC12
5E223AC23
5E223CA13
5E223CC09
5E223GA08
5E223GA11
5E223GA22
5E223GA52
(57)【要約】
【課題】端子の切断痕が相手側端子に影響を与え難くすることを目的とする。
【解決手段】相手側端子90に接続される筒部52を備える端子50であって、開口部52aを有する筒部52と、基端が開口部に連なると共に、先端にキャリア57から切断された切断痕56aが形成されたキャリアカット部56と、を備え、切断痕は、相手側端子における端子との接続時の移動軌跡を避ける位置に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側端子に接続される筒部を備える端子であって、
開口部を有する前記筒部と、
基端が前記開口部に連なると共に、先端にキャリアから切断された切断痕が形成されたキャリアカット部と、
を備え、
前記切断痕は、前記相手側端子における前記端子との接続時の移動軌跡を避ける位置に配置されている、端子。
【請求項2】
請求項1に記載の端子であって、
前記筒部は、同径部分が連続する筒本体を含み、
前記キャリアカット部は、前記筒本体の中心軸に対して前記筒本体の内周側または外周側に傾く方向に延在している、端子。
【請求項3】
請求項2に記載の端子であって、
前記切断痕が前記筒本体の外周面の延長上よりも内周側または前記筒本体の内周面の延長上より外周側に位置するように、前記キャリアカット部は前記筒本体の中心軸に対して傾いている、端子。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の端子であって、
前記筒部は、前記筒本体の中心軸に対して前記キャリアカット部と同じ側に傾くテーパ状のガイド部を含む、端子。
【請求項5】
請求項4に記載の端子であって、
前記キャリアカット部と前記ガイド部との間にスリットが形成されている、端子。
【請求項6】
請求項2または請求項3に記載の端子であって、
前記キャリアカット部は、前記筒本体の中心軸に対して前記筒本体の内周側に傾くように延在しており、
前記相手側端子は、前記筒本体の外周側に接するように、前記筒部に接続される、端子。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子であって、
前記筒部は、前記相手側端子に挿入される部分、または、前記相手側端子に外嵌めされる部分である、端子。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子であって、
前記筒部を第1筒部としたとき、
前記第1筒部に対して前記開口部とは反対側に位置する第2筒部をさらに備える、端子。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子と、
前記端子に対して同軸上に配置された同軸配置端子と、
前記端子と前記同軸配置端子との間に介在する絶縁体と、
を備える、同軸コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載の同軸コネクタであって、
前記筒部を第1筒部としたとき、
前記端子は、前記第1筒部に対して前記開口部とは反対側に位置する第2筒部をさらに備え、
前記相手側端子を第1相手側端子としたとき、
前記第1筒部に前記第1相手側端子が接続されると共に、前記第2筒部に第2相手側端子が接続されることで、前記第1相手側端子を有する第1相手側コネクタと、前記第2相手側端子を有する第2相手側コネクタとを、中継接続する、同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子および同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンタクトサブアセンブリを開示している。コンタクトサブアセンブリは、中央コンタクト、誘電性ホルダおよび外側コンタクトを含む。特許文献1には、外側コンタクトがキャリアストリップに接続されたままの状態で、コンタクトサブアセンブリが組み立てられることと、コンタクトサブアセンブリが、使用前に、キャリアストリップから取り外されることとが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-49827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外側コンタクトがキャリアストリップから取外された後、外側コンタクトに切断痕が残る可能性がある。外側コンタクトと相手側コンタクトを接続する際に、外側コンタクトの切断痕が相手側コンタクトに影響を与え難くすることが望まれる。
【0005】
そこで、本開示は、端子の切断痕が相手側端子に影響を与え難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の端子は、相手側端子に接続される筒部を備える端子であって、開口部を有する前記筒部と、基端が前記開口部に連なると共に、先端にキャリアから切断された切断痕が形成されたキャリアカット部と、を備え、前記切断痕は、前記相手側端子における前記端子との接続時の移動軌跡を避ける位置に配置されている、端子である。
【0007】
また、本開示の同軸コネクタは、上記端子と、前記端子に対して同軸上に配置された同軸配置端子と、前記端子と前記同軸配置端子との間に介在する絶縁体と、を備える同軸コネクタである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端子の切断痕が相手側端子に影響を与え難い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態に係る中継同軸コネクタを備える機器を示す斜視図である。
図2図2図1のII-II線断面図である。
図3図3は可動側外導体と外導体との接続構造を示す斜視図である。
図4図4は可動側外導体と外導体との接続前の状態を示す斜視図である。
図5図5図4のV-V線における断面図である。
図6図6は変形例に係る外導体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の端子は、次の通りである。
【0012】
(1)相手側端子に接続される筒部を備える端子であって、開口部を有する前記筒部と、基端が前記開口部に連なると共に、先端にキャリアから切断された切断痕が形成されたキャリアカット部と、を備え、前記切断痕は、前記相手側端子における前記端子との接続時の移動軌跡を避ける位置に配置されている、端子である。
【0013】
この端子によると、切断痕が、相手側端子の接続時の移動軌跡を避ける位置に配置されているため、キャリアカット部の切断痕が相手側端子に接触し難くなり、当該切断痕が相手側端子に影響を与え難い。
【0014】
(2)(1)の端子であって、前記筒部は、同径部分が連続する筒本体を含み、前記キャリアカット部は、前記筒本体の中心軸に対して前記筒本体の内周側または外周側に傾く方向に延在していてもよい。
【0015】
この場合、キャリアカット部は、筒本体の中心軸に対して筒本体の内周側または外周側に傾く方向に延在しているため、筒本体の内周側または外周側に接するように接続される相手側端子が切断痕に接触し難い。
【0016】
(3)(2)の端子であって、前記切断痕が前記筒本体の外周面の延長上よりも内周側または前記筒本体の内周面の延長上より外周側に位置するように、前記キャリアカット部は前記筒本体の中心軸に対して傾いていてもよい。
【0017】
これにより、筒本体の外周側または内周側に接するように接続される相手側端子が切断痕に接触し難い。
【0018】
(4)(2)または(3)の端子であって、前記筒部は、前記筒本体の中心軸に対して前記キャリアカット部と同じ側に傾くテーパ状のガイド部を含んでもよい。
【0019】
これにより、ガイド部によって、相手側端子を筒本体の外周側または内周側に容易に案内できる。
【0020】
(5)(4)の端子であって、前記キャリアカット部と前記ガイド部との間にスリットが形成されていてもよい。
【0021】
これにより、キャリアカット部をキャリアに繋げた状態のまま、筒部の加工を容易に行える。
【0022】
(6)(2)から(5)のいずれか1つの端子であって、前記キャリアカット部は、前記筒本体の中心軸に対して前記筒本体の内周側に傾くように延在しており、前記相手側端子は、前記筒本体の外周側に接するように、前記筒部に接続されてもよい。
【0023】
これにより、筒本体の外周側に接するように、相手側端子が筒部に接続される場合に、当該相手側端子が切断痕に接触し難い。
【0024】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの端子であって、前記筒部は、前記相手側端子に挿入される部分、又は、前記相手側端子に外嵌めされる部分であってもよい。
【0025】
これにより、筒部が、相手側端子に挿入されるか外嵌めされる際に、切断痕が相手側端子に接触し難い。
【0026】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの端子であって、前記筒部を第1筒部としたとき、前記第1筒部に対して前記開口部とは反対側に位置する第2筒部をさらに備えてもよい。
【0027】
このように、端子の一端側に第1筒部が位置し、他端側に第2筒部が位置する場合、第1筒部または第2筒部の開口縁に切断痕が形成され易い。このような場合に、切断痕が相手側端子に接触し難くできる。
【0028】
また、本開示の同軸コネクタは次の通りである。
【0029】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの端子と、前記端子に対して同軸上に配置された同軸配置端子と、前記端子と前記同軸配置端子との間に介在する絶縁体と、を備える同軸コネクタである。
【0030】
同軸コネクタの端子において、端子の切断痕が相手側端子に与える影響を抑制でき、良好な接続状態が維持され易い。
【0031】
(10)(9)の同軸コネクタであって、前記筒部を第1筒部としたとき、前記端子は、前記第1筒部に対して前記開口部とは反対側に位置する第2筒部をさらに備え、前記相手側端子を第1相手側端子としたとき、前記第1筒部に前記第1相手側端子が接続されると共に、前記第2筒部に第2相手側端子が接続されることで、前記第1相手側端子を有する第1相手側コネクタと、前記第2相手側端子を有する第2相手側コネクタとを、中継接続してもよい。
【0032】
このように、同軸コネクタがコネクタの中継用コネクタとして用いられる場合、いずれかの端部に切断痕が形成される可能性がある。当該切断痕が相手側コネクタおよび第2相手側コネクタに影響を与え難い。
【0033】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子および同軸コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0034】
[実施形態]
以下、実施形態に係る端子および同軸コネクタについて説明する。端子は電気的な接続を行うための部品である。同軸コネクタは、当該端子を備える接続部品である。図1は同軸コネクタとしての中継同軸コネクタ40を備える機器10を示す斜視図である。図2図1のII-II線断面図である。
【0035】
<機器の全体構成について>
機器10は、例えば、カメラ機器である。カメラ機器は、例えば、車載用の機器である。機器10は、カメラ機器でなくてもよい。
【0036】
機器10は、ケース12と、実装基板20とを備える。ケース12内に実装基板20が収容されている。実装基板20に基板用同軸コネクタ60が固定されている。
【0037】
ケース12は、第1ケース13と、第2ケース14とを備える。第1ケース13および第2ケース14は、例えば、樹脂によって形成される。第1ケース13と第2ケース14とが合体することで、実装基板20を収容する直方体箱状のケース12が構成される。機器10がカメラ機器である場合、第1ケース13は撮像用のレンズまたは窓を有しており、第2ケース14が外部接続用同軸コネクタ30を有していることが想定される。
【0038】
外部接続用同軸コネクタ30は、実装基板20と、外部の電気部品とを接続するための同軸コネクタである。例えば、外部接続用同軸コネクタ30は、外部の電気部品に接続されたケーブルが接続される同軸コネクタである。外部接続用同軸コネクタ30が接続されるケーブルは、例えば、同軸ケーブルである。
【0039】
より具体的には、ケース12の底部15に保持筒部16が突設されている。保持筒部16は、円筒であり、底部15の中央部から外側に突出している。保持筒部16の内側開口は第2ケース14内に開口し、保持筒部16の外側開口は第2ケース14外に開口している。保持筒部16の中心軸の方向中間部に保持仕切部17が形成されている。本実施形態では、保持筒部16の中心軸の方向中間部であって内側開口寄りの位置に保持仕切部17が形成されている。保持仕切部17は、保持筒部16のうち内側開口側の空間と、外側開口側の空間とを仕切っている。保持仕切部17に保持孔17hが形成されており、当該保持孔17hに外部接続用同軸コネクタ30が挿入されて保持される。
【0040】
本実施形態では、保持筒部16の外周部に、ケーブルの端部に取付けられたケーブルコネクタを保持するための係止突部18aが形成されている。係止突部18aが形成されることは必須ではない。
【0041】
外部接続用同軸コネクタ30は、外部接続用内導体32と、外部接続用誘電体34と、外部接続用外導体36とを備える。
【0042】
外部接続用内導体32は、細長い棒状に形成されており、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用内導体32は、基板用同軸コネクタ60とは反対側から可動側外導体50に接続される第2相手側端子の一例である。外部接続用誘電体34は、樹脂等の誘電体によって形成されており、外部接続用内導体32の周りを囲んでいる。本実施形態では、外部接続用誘電体34は、誘電体である。外部接続用外導体36は、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用外導体36は、外部接続用誘電体34の周りを囲む筒状に形成されている。
【0043】
外部接続用同軸コネクタ30は、基板用同軸コネクタ60とは反対側から中継同軸コネクタ40に接続される第2相手側コネクタの一例である。
【0044】
実装基板20は、例えば、銅箔等によって回路が形成された回路基板21を含む。回路基板21には電子部品が実装されていてもよい。機器10がカメラ機器である場合、実装基板20は、回路基板21と、当該回路基板21に実装された撮像素子22とを含むことが想定される。撮像素子22は、第1ケース13の撮像用のレンズまたは窓に対向し、当該レンズまたは窓を回して外側景色を撮像する。以下、撮像素子22が向く第1ケース13側を前側、それとは反対側の第2ケース14側を後側という場合がある。
【0045】
本実施形態では、基板用同軸コネクタ60は、回路基板21のうち撮像素子22とは反対側の面に位置している。基板用同軸コネクタ60は、回路基板21にはんだ付等によって固定され、当該回路基板21から上記外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。基板用同軸コネクタ60は、例えば、内導体62と、外導体90とを備える。内導体62と外導体90とのそれぞれが回路基板21にはんだ付等によって固定され、当該回路基板21から突出している。内導体62に後述する可動側内導体42が接続される。外導体90は、間隔をあけて内導体62の周りを囲んでいる。外導体90に後述する端子としての可動側外導体50が接続される。外導体90は、端子の一例である可動側外導体50に接続される相手側端子の一例である。基板用同軸コネクタ60は、内導体62と外導体との間に介在する誘電体を備えてもよい。
【0046】
基板用同軸コネクタ60は、中継同軸コネクタ40に接続される相手側同軸コネクタの一例である。
【0047】
基板用同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが、中継同軸コネクタ40を介して接続される。中継同軸コネクタ40は、例えば、可動側内導体42と、可動側誘電体44と、可動側外導体50とを備える。
【0048】
可動側外導体50は、金属等の導電材によって形成されている。可動側外導体50は、筒部52を備えており、全体的に筒状に形成されている。可動側外導体50は、相手側端子としての外導体90に接続される端子の一例である。
【0049】
可動側内導体42は、金属等の導電材によって細長い形状に形成されている。可動側内導体42は、端子としての可動側外導体50に対して同軸上に配置された同軸配置端子の一例である。
【0050】
可動側内導体42の周囲を可動側誘電体44が囲んでいる。誘電体は絶縁体の一種と把握できる。可動側誘電体44の周囲を可動側外導体50が囲んでいる。可動側誘電体44は、端子としての可動側外導体50と、同軸配置端子としての可動側外導体50との間に介在する絶縁体の一例である。
【0051】
可動側内導体42が内導体62に挿入接続されると共に、可動側外導体50が外導体90に挿入接続された状態で、中継同軸コネクタ40が基板用同軸コネクタ60に接続されている。この状態で、中継同軸コネクタ40は、基板用同軸コネクタ60からさらに外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。外部接続用内導体32が可動側内導体42に挿入接続されると共に、可動側外導体50が外部接続用外導体36に挿入接続されることで、中継同軸コネクタ40が外部接続用同軸コネクタ30に接続される。
【0052】
これにより、外部からのケーブルが、当該外部接続用同軸コネクタ30に接続されることで、当該ケーブルの接続先である外部の電気部品と、ケース12内の実装基板20とが電気的に接続される。
【0053】
上記中継同軸コネクタ40と基板用同軸コネクタ60との接続状態において、可動側内導体42は内導体62に対して傾いた状態で挿入接続可能である。また、可動側外導体50は、外導体90に対して傾いた状態で挿入接続可能である。つまり、中継同軸コネクタ40は、基板用同軸コネクタ60に対して傾いた状態で接続され得る(図2の矢印P1参照)。これにより、本機器10の組付作業時または完成状態において、基板用同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが同軸上で対向する位置からずれていたとしても(図2の矢印P2参照)、基板用同軸コネクタ60に対して中継同軸コネクタ40が傾くことで、当該位置ずれが吸収される。
【0054】
<可動側外導体と外導体との接続構造について>
可動側外導体50と外導体90との接続構造についてより具体的に説明する。図3は可動側外導体50と外導体90との接続構造を示す斜視図である。図4は可動側外導体50と外導体90との接続前の状態を示す斜視図である。図5図4のV-V線における断面図である。
【0055】
外導体90は、外導体筒部92と、外側弾性片94とを含む。
【0056】
外導体筒部92は、内側に間隔をあけて内導体62を配置可能な筒状に形成されている。外導体筒部92のうち基端部に部分的な凸部が形成され、この凸部が回路基板21にはんだ付けされてもよい。凸部は、外導体筒部92の基端部において中心軸Xに沿って回路基板21側に突出する部分的な凸部であってもよいし、外導体筒部92の基端部から内周側に向う部分的な凸部であってもよい。
【0057】
外導体筒部92のうち回路基板21とは反対側に位置する先端側の環状縁部から複数の外側弾性片94が延出している。
【0058】
複数の外側弾性片94は、外導体90の周方向において間隔をあけて形成されている。本実施形態では、複数の外側弾性片94は、外導体90の周りにおいて均等間隔で分散している。
【0059】
それぞれの外側弾性片94は、先端側に向って内周側に向うように傾斜している。外側弾性片94の先端部は、内周側に向って凸となるように湾曲する湾曲部95に形成されている。湾曲部95のうち最も内側に突出する頂部95aが、可動側外導体50の筒部52の外周部に接触する接点である。外側弾性片94のうち頂部94aよりも先端側の部分は、外側弾性片94の先端に向って徐々に外周側に向うガイド面94bに形成されている。
【0060】
上記のように、頂部94aがその先端側部分および基端側部分に対して内周側に突出している。中心軸Xに沿って見ると、頂部94aは、外導体筒部92の内周面よりも内側に位置している。このため、可動側外導体50が外導体筒部92に対して斜め姿勢であっても、外側弾性片94の頂部94aは、可動側外導体50の筒部52の外周部に接触して導通を得ることができる。
【0061】
可動側外導体50は、筒部52と、キャリアカット部56とを備える。筒部52は、上記相手側端子としての外導体が接続される部分である。可動側外導体50は、例えば、金属板を所定形状に打抜いた後、曲げ加工するプレス加工等によって形成される。本実施形態では、可動側外導体50は、第2相手側端子としての外部接続用外導体36が接続される第2筒部58を備える。
【0062】
筒部52は、筒形状、ここでは、円筒形状に形成されている部分である。筒部52は、一方端側に位置する開口部52aを有する。筒部52の開口部52aは、回路基板21を向いている。筒部52に対して、当該開口部52a側から外導体90が外嵌め接続される。
【0063】
本実施形態では、筒部52は、同径部分が連続する筒本体52Bを含む。筒本体52Bの外径は、上記複数の頂部95aの内接円よりも大きい。このため、複数の外側弾性片94は、頂部95aを筒本体52Bの外周部に押付けた状態で、当該筒本体52Bに外嵌めされ得る。また、筒本体52Bの外径は、外導体筒部92の内径よりも小さい。このため、筒本体52Bは、外導体筒部92内に挿入され得る。
【0064】
また、筒部52は、ガイド部53を含む。ガイド部53は、筒本体52Bのうちの一端側の開口縁から延出するテーパ状に形成されている。より具体的には、ガイド部53は、筒本体52Bの開口縁から徐々に縮径するように延出するテーパ状に形成されている。本実施形態において、後述するように、キャリアカット部56は、筒本体52Bの中心軸Xに沿って外側に向うに連れて中心軸X側に向うように傾斜している。ガイド部53は、中心軸Xに対してキャリアカット部56と同じ側に傾いている。
【0065】
ガイド部53は、筒本体52Bの開口縁のうちの一部領域以外に環状に広がるように形成されている。つまり、ガイド部53は、周方向において部分的な凹み53gが形成された環状テーパ状に形成されている。ガイド部53は、省略されてもよい。
【0066】
キャリアカット部56は、筒部52の開口部52aから延出する部分である。キャリアカット部56の基端は、開口部52aに連なっている。より具体的には、筒本体52Bの一方側開口縁の周方向の一部からキャリアカット部56が延出している。キャリアカット部56が形成される位置は、ガイド部53のうち凹み53gが形成された部分である。
【0067】
キャリアカット部56の両端とガイド部53との間には、スリット52Sが形成されている。これにより、キャリアカット部56がキャリア57に繋がったママの状態で、筒本体52Bおよびガイド部53を全体的に筒状に曲げる加工が容易に行われる。
【0068】
キャリアカット部56の先端には、切断痕56aが形成されている。切断痕56aは、キャリアカット部56がキャリア57から切断された後に残る切断痕跡である。
【0069】
すなわち、可動側外導体50は、プレス加工によって形成されることが想定される。例えば、可動側外導体50は、金属板を所定形状に打抜いた後、曲げ加工することによって形成される。曲げ加工は、絞り加工であってもよい。可動側外導体50を連続的に製造するため、或いは、可動側外導体50の曲げ加工時の搬送および保持を容易にするため、所定形状に打抜かれた金属板は、キャリア57に繋がったまま曲げ加工された後、キャリア57から分断されることが想定される。
【0070】
キャリアカット部56は、曲げ加工時およびその前の搬送時においてキャリア57に繋がっていた部分である。キャリアカット部56とキャリア57とは、曲げ加工後に剪断等によって切断されることが想定される。このため、例えば、切断痕56aは、剪断によって形成されるだれ面、剪断面、および破断面を含むことが想定される。切断痕56aは、剪断によって形成された痕跡である必要は無く、切断加工に応じた切断痕跡であってもよい。
【0071】
上記切断痕56aは、外導体90における可動側外導体50との接続時における、外導体90の移動軌跡を避ける位置に配置されている。
【0072】
本実施形態では、理想的には、外導体90の中心軸と可動側外導体50の中心軸とを一致させた状態で、外導体90内に可動側外導体50が挿入されることが想定される。各外側弾性片94の頂部95aの内接円は、筒本体52Bの外径よりも小さいので、接続時の外側弾性片94の頂部95aの移動軌跡は、筒本体52Bの外周面の延長面F1よりも内周側に位置することが想定される。また、外側弾性片94が筒本体52Bの内周側に過度に入り込んでいると、外側弾性片94を筒本体52Bの外側に配置し難くなる。このため、各外側弾性片94の頂部95aの内接円は、筒本体52Bの内径よりも大きいことが想定される。このため、接続時の外側弾性片94の頂部94aの移動軌跡は、筒本体52Bの内周面の延長面F2よりも外周側に位置することが想定される。つまり、頂部95aの移動軌跡Lは、上記延長面F1と延長面F2との間に位置することが想定される。
【0073】
上記移動軌跡Lを回避するため、切断痕56aは、筒本体52Bに対して内周側に寄った位置、具体的には、筒本体52Bの外周面の延長面F1よりも内周側、より好ましくは、頂部95aの移動軌跡Lよりも内周側に配置される。
【0074】
キャリアカット部56は、筒本体52Bの中心軸Xに対して筒本体52Bの内周側に傾く方向に延在している。これにより、キャリアカット部56の先端の切断痕56aが、筒本体52Bに対して内周側に寄るように配置される。好ましくは、切断痕56aは、筒本体52Bの外周面の延長面F1よりも内周側に配置され、さらに好ましくは、頂部95aの移動軌跡Lよりも内周側に配置される。
【0075】
キャリアカット部56が中心軸Xに対して傾いていることは必須ではなく、キャリアカット部56が途中でL字状に曲っていてもよい。
【0076】
上記可動側外導体50を、外導体90に挿入すると、外導体90の複数の外側弾性片94が、筒部52の外周側を囲むように配置され、筒部52の外周部に接触する。この際、外側弾性片94の内向きの頂部94aは、筒本体52Bの外周面の延長面F1よりも内周側で、かつ、筒本体52Bの内周面の延長面F2よりも外周側の位置を移動する。
【0077】
上記したように、キャリアカット部56は、筒本体52Bの中心軸Xに対して筒本体52Bの内周側に傾く方向に延在している。これにより、キャリアカット部56の先端に位置する切断痕56aが、筒本体52Bの外周面の延長面F1よりも内周側に配置される。このため、キャリアカット部56に対応する位置に配置された外側弾性片94は、切断痕56aよりも外周側を通ってキャリアカット部56の外周側の傾斜面に接触することができる。
【0078】
上記したように、ガイド部53は、中心軸Xに対してキャリアカット部56と同じ側、つまり、内周側に傾いている。他のキャリアカット部56は、ガイド部53の先端面の外周側を通ってガイド部53の外周面に接触することができる。
【0079】
外導体90が可動側外導体50にさらに押込まれると、複数の外側弾性片94は、キャリアカット部56またはガイド部53の外周面上を移動して外周側に広げられ、筒本体52Bの外周部に接触することができる。これにより、可動側外導体50が外導体90に挿入接続される。
【0080】
<効果等>
以上のように構成された可動側外導体50によると、切断痕56aが、外導体90の移動軌跡Lを避ける位置に配置されているため、切断痕56aが外導体90に接触し難くなり、切断痕56aが外導体90に影響を与え難い。例えば、切断痕56aが外導体90の表面のめっき層に与える影響を抑制することができる。
【0081】
なお、切断痕56aの鋭利な部分を無くすために、切断痕が形成された箇所を面取することも想定される。面取加工自体が追加の作業工程を発生させる。また、単なる面取加工では、微細なエッジ部分が残存する可能性がある。本実施形態では、切断痕56a自体が接続時における外導体90の移動軌跡を避ける位置に形成されているため、作業工程増を抑制しつつ、切断痕56aが外導体90に影響を与えることがより確実に抑制される。
【0082】
上記切断痕56aの配置を実現するための一例として、キャリアカット部56は、中心軸Xに対して筒本体52Bの内周側に傾く方向に延在している。これにより、筒本体52Bの外周側に接するように接続される外導体90の外側弾性片94が切断痕56aに接触し難くできる。また、傾くキャリアカット部56によって、外側弾性片94を筒本体52Bの外周側に容易に案内できる。
【0083】
切断痕56aは、筒本体52Bの外周面の延長面F1よりも内周側に位置するように、キャリアカット部56が中心軸Xに対して傾いていれば、筒本体52Bの外周側に接するように接続される外側弾性片94が切断痕56aに接触し難い。
【0084】
なお、公差を考慮して、切断痕56aが外側弾性片94の頂部95aの移動軌跡Lを避けた位置に配置されることが好ましい。例えば、中心軸Xに対する切断痕56aの距離が、複数の頂部95aを通過する内接円の半径に対して-5パーセントの範囲内となるように、切断痕56aが配置されてもよい。筒本体52Bの外周面の延長面F1に対する切断痕56aの位置は、例えば、キャリアカット部56の基端の曲げ量によって調整され得る。
【0085】
また、筒部52は、筒本体52Bの中心軸Xに対してキャリアカット部56と同じ側に傾くテーパ状のガイド部53を含む。このため、ガイド部53によって、外導体90の外側弾性片94を、筒本体52Bの外周側に容易に案内できる。キャリアカット部56とガイド部53とが、環状に並ぶ複数の外側弾性片94を同じような動きで筒本体52Bの外周側に案内できる。このため、可動側外導体50と外導体90との接続構造を、同軸構造に近付け易くなる。これにより、中継同軸コネクタ40の通信性能を良好にし易い。
【0086】
また、キャリアカット部56とガイド部53との間にスリット52Sが形成されている。このため、キャリアカット部56をキャリア57に繋げた状態のまま、筒部52の加工を容易に行える。例えば、テーパ状のガイド部が1周連続している場合、そのようなガイド部を加工することは難しい可能性がある。本実施形態では、ガイド部53がキャリアカット部56によって分断されているので、キャリアカット部56の両側で別々に半周以下の部分を容易に加工できる。
【0087】
また、キャリアカット部56とガイド部53との間にスリット52Sが形成されているため、キャリアカット部56をキャリア57に繋げた状態のまま、筒部52の加工を容易に行える。例えば、キャリアカット部56を先に曲げた後、ガイド部53を曲げる加工を実施できるので、それらを一括して曲げ加工する場合と比較して、各曲げ加工を容易に実施できる。
【0088】
また、相手側端子としての外導体90が、筒本体52Bの外周側に接するように、筒部52に接続される場合、キャリアカット部56は、中心軸Xに対して筒本体52B内周側に傾くように延在していれば、外導体90の外側弾性片94が切断痕56aに接触し難い。また、外側弾性片94が、キャリアカット部56によって筒本体52Bの外周側に円滑に案内される。
【0089】
また、筒部52は、相手側端子としての外導体90に挿入されるため、筒部52が当該外導体90に挿入される際に、切断痕56aが外導体90に接触し難い。
【0090】
また、筒部52を第1筒部とすると、第1筒部52に対して開口部52aとは反対側に第2筒部58が位置する。以下、必要に応じて、筒部52は、第1筒部52と称される場合がある。第2側筒部58に第2相手側端子としての外部接続用外導体36が接続される。このように、両端が筒形状をなす端子については、両端開口のいずれかにキャリアからの切断痕が残らざるを得ない可能性がある。このような場合に、切断痕56aが、相手側端子の接続時の移動軌跡を避けて配置される。これにより、切断痕56aが相手側端子としての外導体90に接触することが抑制される。
【0091】
また、中継同軸コネクタ40のような同軸コネクタにおいては、2つの端子を同軸上に配置する構成上、筒部52を有する端子の利用が適している。かかる同軸コネクタにおいて、端子としての可動側外導体50の切断痕56aが相手側端子としての外導体90に与える影響を抑制でき、良好な接続状態が維持され易い。
【0092】
また、中継同軸コネクタ40の筒部52に相手側端子としての外導体90が接続され、第2筒部58に第2相手側端子としての外部接続用外導体36が接続される。これにより、外導体90と外部接続用外導体36とが可動側外導体50を介して中継接続される。この場合に、可動側外導体50の両端部が筒形状をなすため、筒の開口縁に切断痕56aが位置してしまう。このような場合に切断痕56aを、外導体90の接続時の移動軌跡を避けるように配置することで、当該切断痕56aが外導体90に接触し難くなり、切断痕56aが基板用同軸コネクタ60および基板用同軸コネクタ60に与える影響を抑制できる。
【0093】
[変形例]
上記実施形態では、筒部52が相手側端子としての外導体90に挿入される例が説明された。図6に示すように、筒部52に対応する筒部152は、相手側端子としての外導体90に対応する外導体190に外嵌めされてもよい。
【0094】
この場合、外導体190の弾性片194は、筒部152内に挿入され、筒部152の内周部に接触する。このため、弾性片194の外向きの頂部194aは、筒部152の筒本体52Bの内周面の延長面F2よりも外周側で、かつ、筒本体52Bの外周面の延長面F1よりも内周側の位置を移動することが想定される。
【0095】
そこで、キャリアカット部56に対応するキャリアカット部156は、筒本体52Bの中心軸Xに対して筒本体52Bの外周側に傾く方向に延在しているとよい。これにより、キャリアカット部156の先端に位置する切断痕156aが、筒本体52Bの内周面の延長面F2よりも外周側に配置されるとよい。
【0096】
ガイド部53に対応するガイド部153も、中心軸Xに対してキャリアカット部56と同じ側、つまり、外周側に傾いているとよい。
【0097】
この変形例によると、外導体190を筒部152に挿入すると、外導体190の弾性片194が、ガイド部153またはキャリアカット部156の内周面に接触する。これにより、外側弾性片94が中心軸Xに向けて押されつつ、筒本体52Bの内周面に向けて案内され、当該内周面に接触する。これにより、外導体190と、筒部152を備える端子としての可動側外導体150とが接続される。
【0098】
弾性片194が、ガイド部153またはキャリアカット部156の内周面に接触する際、切断痕156aは、弾性片194の移動軌跡から外れて外周側に位置する。このため、弾性片194は、切断痕156aに接触し難い。このため、上記実施形態と同様に、切断痕156aが外導体190に影響を与え難い。
【0099】
本実施形態では、キャリアカット部56、156を備える端子が中継同軸コネクタ40の可動側外導体50である例が説明された。キャリアカット部を備える端子は、筒部を備える端子であれば適用可能であり、例えば、中継同軸コネクタの可動側内導体、基板用同軸コネクタの内導体若しくは外導体、また、外部接続用同軸コネクタの外部接続用内導体若しくは外部接続用外導体に適用されてもよい。
【0100】
なお、上記実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0101】
10 機器
12 ケース
13 第1ケース
14 第2ケース
15 底部
16 保持筒部
17 保持仕切部
17h 保持孔
18a 係止突部
20 実装基板
21 回路基板
22 撮像素子
30 外部接続用同軸コネクタ(第2相手側コネクタ)
32 外部接続用内導体
34 外部接続用誘電体
36 外部接続用外導体(第2相手側端子)
40 中継同軸コネクタ(同軸コネクタ)
42 可動側内導体(同軸配置端子)
44 可動側誘電体(絶縁体)
50、150 可動側外導体(端子)
52、152 筒部(第1筒部)
52B 筒本体
52a 開口部
53、153 ガイド部
52S スリット
53g 凹み
56、156 キャリアカット部
56a、156a 切断痕
57 キャリア
58 第2筒部
60 基板用同軸コネクタ(相手側コネクタ、第1相手側コネクタ)
62 内導体
90、190 外導体(相手側端子、第1相手側端子)
92 外導体筒部
94、194 外側弾性片
94a、194a 頂部
94b ガイド面
95 湾曲部
95a 頂部
F1 延長面
F2 延長面
L 移動軌跡
X 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6