(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162066
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】制御装置、通信装置、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/32 20090101AFI20241114BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20241114BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20241114BHJP
【FI】
H04W36/32
H04W48/16 134
H04W16/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077247
(22)【出願日】2023-05-09
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】土橋 正和
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067FF03
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】ユーザや通信事業者にとって利便性の高い態様でモバイルIABノードにおけるアクセス制限に係る切り替えを実現可能とする仕組みを提供する。
【解決手段】アクセス制限が設定されているモバイルIABノードに対して、前記アクセス制限を解除することを求める要求を送信する送信手段を備える、制御装置が開示される。好ましくは、送信手段は、所定条件を満たす場合に、要求を送信する。また、好ましくは、UE(User Equipment)から接続可能な基地局がない旨を含む通知を受信する第1の受信手段を更に備え、所定条件は、通知を受信した場合に満たされる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス制限が設定されているモバイルIABノードに対して、前記アクセス制限を解除することを求める要求を送信する送信手段を備える、制御装置。
【請求項2】
前記送信手段は、所定条件を満たす場合に、前記要求を送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
UE(User Equipment)から接続可能な基地局がない旨を含む通知を受信する第1の受信手段を更に備え、
前記所定条件は、前記通知を受信した場合に満たされる、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記受信手段は、RRCメッセージにより前記通知を受信する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記通知は、前記UEの位置情報を含み、
前記送信手段は、前記位置情報に基づいて、前記アクセス制限の解除が適用される位置範囲に関する範囲情報を生成し、前記範囲情報を前記要求に含める、請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
外部装置から所定指示を受信する第2の受信手段を更に備え、
前記所定条件は、前記所定指示を受信した場合に満たされる、請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記所定指示は、前記モバイルIABノードの管理者または所有者が前記アクセス制限の解除を許可した場合に生成される、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記所定条件は、前記モバイルIABノードに係るIABネットワークのIABドナーの状態が所定状態である場合に満たされる、請求項2に記載の制御装置。
【請求項9】
前記要求は、前記アクセス制限の解除の開始時に関する情報、前記アクセス制限の解除を実行した場合の終了時に関する情報、及び、前記アクセス制限の解除が適用される位置範囲に関する範囲情報、のうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記送信手段は、BAP(Backhaul Adaptation Protocol)、SIB(System Information Block)、又はF1AP(F1 Application Protocol)を使用して前記要求を送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記送信手段は、周辺に位置する不特定の1つ以上のモバイルIABノードに対して、前記要求を繰り返し送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項12】
前記モバイルIABノードに係るIABネットワークのIABドナーに設けられる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記モバイルIABノードに係るIABネットワークの外部に位置する制御装置であり、
前記制御装置の前記送信手段は、前記IABネットワークのIABドナーを介して、前記要求を送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
接続可能な基地局がない旨の通知を、IABネットワークのIABドナーに送信する、通信装置。
【請求項15】
アクセス制限に関する状態を、アクセス制限が設定されている第1状態と、アクセス制限が設定されていない又は前記第1状態よりも制限度合いが緩い第2状態との間で切り替える処理手段と、
前記第1状態において制限対象のUE(User Equipment)からの接続要求を受け付けず、前記第2状態において制限対象のUEからの接続要求を受け付けるアクセス制御手段とを備え、
前記処理手段は、前記第1状態においてアクセス制限を解除することを求める第1の要求を受信した場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えを実行する、通信装置。
【請求項16】
前記処理手段は、前記第1の要求を受信した場合、前記第1状態から前記第2状態への切替条件の成否を判断する、請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
前記処理手段は、前記第2状態において前記アクセス制限の解除を停止することを求める第2の要求を受信した場合、前記第2状態から前記第1状態への切り替えを実行する、請求項15に記載の通信装置。
【請求項18】
前記第1の要求は、前記アクセス制限の解除が適用される位置範囲に関する範囲情報を含み、
自局が前記位置範囲に位置するか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記処理手段は、前記第1の要求を受信した場合に、前記判定手段の判定結果に基づいて、自局が前記位置範囲に位置する場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えを実行する、請求項15から17のうちのいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項19】
通信を制御する制御方法であって、
アクセス制限が設定されているモバイルIABノードに対して、前記アクセス制限を解除することを求める要求を送信する工程を含む、制御方法。
【請求項20】
コンピュータに、
アクセス制限が設定されているモバイルIABノードに対して、前記アクセス制限を解除することを求める要求を送信する工程、を実行させるためのプログラム。
【請求項21】
通信を制御する制御方法であって、
アクセス制限に関する状態を、アクセス制限が設定されている第1状態と、アクセス制限が設定されていない又は前記第1状態よりも制限度合いが緩い第2状態との間で切り替える切替工程と、
前記第1状態において制限対象のUE(User Equipment)からの接続要求を受け付けず、前記第2状態において制限対象のUEからの接続要求を受け付ける工程とを有し、
前記切替工程では、前記第1状態においてアクセス制限を解除することを求める第1の要求を受信した場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えが実行されること特徴とする制御方法。
【請求項22】
コンピュータに、
アクセス制限に関する状態を、アクセス制限が設定されている第1状態と、アクセス制限が設定されていない又は前記第1状態よりも制限度合いが緩い第2状態との間で切り替える切替工程と、
前記第1状態において制限対象のUE(User Equipment)からの接続要求を受け付けず、前記第2状態において制限対象のUEからの接続要求を受け付ける工程と、を実行させるためのプログラムであって、
前記切替工程では、前記第1状態においてアクセス制限を解除することを求める第1の要求を受信した場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えが実行されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、通信装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標)において、バックホール用の通信技術としてIABの規格化が進んでいる。IABは、Integrated Access and Backhaulの略語である。
【0003】
IAB技術は、基地局とユーザ機器(UE:User Equipment)との間のアクセス通信に用いられる28GHz帯等のミリ波無線通信を、バックホール通信として同時に利用する技術である(特許文献1)。
【0004】
IAB技術を用いたバックホール通信においては、IABノードと呼ばれる中継機器が従来の基地局に相当するIABドナーからの通信をミリ波通信により中継する。さらにIABノードは、他の複数のIABノードとの間で通信リンクを形成し、IABドナーを始点としたネットワークツリーを形成することで、エリアを拡大することが可能である。
【0005】
IAB技術において、IABドナーとIABノード間、及びIABノード間はBAP(Backhaul Adaptation Protocol)を介して制御される。
【0006】
BAPは、主に複数のIABノード間でデータをルーティングするためのプロトコルとして規定されている。
【0007】
これまで3GPPのIABに関連する仕様検討において、Release-17までは固定基地局(移動を伴わないIABノード)について仕様策定を実施してきた。
【0008】
現在、3GPP(登録商標)ではRelease-18でユースケースとなる車載リレー(Vehicle Mounted Relay)と、そのユースケースを実現するための仕様策定が行われる予定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
車載リレーは、IABノード相当の機能を自動車や電車などの移動体に搭載することを想定している。移動するIABノードといった特性から車載リレーは、モバイルIABやモバイルIABノードとも呼称される。このようなモバイルIABノードを実際に動作させるためには、これまで議論されてきた固定基地局を想定した仕様だけでは満たせない様々な要件が必要となる。
【0011】
ところで、モバイルIABノードは、公衆網のカバレッジエリアを広げたり、公衆網の輻輳を緩和したりするための臨時ノードとして柔軟に公衆網を調整するといった役割を担うことが期待される。
【0012】
また、モバイルIABノードは、自動車等の所有者やその家族等、一部の関係者のUEに接続相手を限定するアクセス制限を行い、車載の個人向けブロードバンド回線として使用するといった役割を担うことも期待されている。
【0013】
モバイルIABノードに対して前者の役割を担わせるか、後者の役割を担わせるかの動作モードを切り替え可能にすることも1つのユースケースとして考えられる。具体例について説明する。例えば、アクセス制限をかけた個人向けブロードバンド回線として利用する役割で動作するモバイルIABノードについて、そのアクセス制限を一時的に解除し、公衆網として利用できるようにすると、柔軟に公衆網の輻輳を緩和できると考えられる。
【0014】
しかしながら、ユーザや通信事業者にとって利便性の高い態様でモバイルIABノードにおけるアクセス制限に係る切り替えを実現可能とする仕組みが考えられていないといった課題がある。
【0015】
本発明は、上述の課題の少なくとも1つを鑑みなされたものである。本発明の1つの側面としては、ユーザや通信事業者にとって利便性の高い切り替えの仕組みを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの側面としての制御装置は、アクセス制限が設定されているモバイルIABノードに対して、前記アクセス制限を解除することを求める要求を送信する送信手段を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の1つの側面によれば、ユーザや通信事業者にとって利便性の高い態様でモバイルIABノードにおけるアクセス制限に係る切り替えを実現可能とする仕組みを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明におけるIABドナー及びモバイルIABノードのハードウェア機能ブロック図である。
【
図2A】本発明におけるIABドナーのソフトウェア機能ブロック図である。
【
図2B】本発明におけるモバイルIABノードのソフトウェア機能ブロック図である。
【
図5】実施形態1におけるUEの動作を示すフロー図である。
【
図6】実施形態1におけるIABドナーの動作を示すフロー図である。
【
図7】本発明におけるモバイルIABノードの動作を示すフロー図である。
【
図10】実施形態2におけるIABドナーの動作を示すフロー図である。
【
図12】実施形態4におけるシステム構成図である。
【
図14】実施形態4におけるUEの動作を示すフロー図である。
【
図15】本実施形態におけるIABドナーの動作を示すフロー図である。
【
図16】本実施形態におけるモバイルIABノードの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。
【0020】
[実施形態1]
図1は本実施形態におけるIABドナーのハードウェア機能ブロック図である。なお、
図1は、IABドナーのハードウェア機能ブロック図であるが、モバイルIABノードのハードウェア機能ブロック図も同様であってよい。以下では、一例として、IABドナー及びモバイルIABノードは同様のハードウェア構成であるものとする。
【0021】
IABドナー及びモバイルIABノードのハードウェア機能ブロック101は、制御部102、記憶部103、無線通信部104、無線アンテナ制御部105、GPS通信部106及びGPSアンテナ制御部107を含む。
【0022】
制御部102は、記憶部103に記憶される制御プログラムを実行することにより装置全体を制御する。制御部102は、例えば、CPUやMPU等の1以上のプロセッサにより構成され、記憶部103であるRAMに読みだされた制御プログラムを実行することにより通信装置の全体を制御する。なお、後述するフローチャートで説明する制御部201が行う各処理は、ASICやFPGA等のハードウェア回路を用いて実現することもできる。なお、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略語である。また、ハードウェア回路と、CPUやMPU等のプロセッサとを協働することで、後述するフローチャートで説明する処理を実現することもできる。
【0023】
記憶部103は、制御部102が実行する制御プログラムと、セルIDや接続されるUE情報当の各種情報を記憶する。記憶部103は、主記憶部及び補助記憶部を含んでよい。主記憶部は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などである。主記憶部は、制御部102が実行する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)やアプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータを記憶又は一時保存してよい。補助記憶部は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶してよい。例えば、不揮発性の記憶領域に記憶された制御プログラムはRAM(Random Access Memory)に展開され、制御部102を構成するプロセッサにより実行される。このように、制御部102及び記憶部103は、所謂コンピュータとして機能してよい。
【0024】
無線通信部104は、3GPP(登録商標)規格に準拠するLTE(Long Term Evolution)、5G NR(New Radio)等のセルラー網通信を行う。
【0025】
無線アンテナ制御部105は、無線通信部104において実行される無線通信に使用するアンテナを制御する。
【0026】
GPS通信部106は、GPS(Global Positioning System)衛星からの衛星信号を受信して、経度・緯度情報等の位置特定情報を含む現在の位置情報を取得する。なお、GPS通信部106は、衛星信号に基づいて現在位置を計測(測位)する機能を有してよい。
【0027】
GPSアンテナ制御部107は、GPS通信部106において実行される通信に使用するアンテナ(図示せず)を制御する。
【0028】
図2Aは本実施形態におけるIABドナーのソフトウェア機能ブロック図である。
【0029】
IABドナーのソフトウェア機能ブロック201は、記憶部103に格納され、制御部102において実行される。
【0030】
ソフトウェア機能ブロック201は、信号送信部202、信号受信部203、データ記憶部204、接続制御部205、アクセス制限解除要求通知判断部206、及びメッセージ生成部207を備える。
【0031】
信号送信部202及び信号受信部203は、制御部102を介して無線通信部104を制御し、UEや外部装置と3GPP(登録商標)規格に準拠したLET、5Gなどのセルラー網通信を実行する。
【0032】
データ記憶部204は、実体である記憶部103の制御、管理を行い、ソフトウェアそのもの及び、セル情報や、IABドナーに接続しているUEやモバイルIABノードに関する情報等を記憶保持する。また、接続制御部205は、無線通信時に制御部102を介して無線アンテナ制御部105を制御する。
【0033】
アクセス制限解除要求通知判断部206は、モバイルIABノードにアクセス制限解除要求を通知するか否かを判断する。本実施形態では、UEから接続可能な基地局がない旨の通知を受信したこと、及び/又は、外部装置から解除要求を通知するように要求されたこと、を条件として、モバイルIABノードに解除要求を通知すると判断する。
【0034】
また、アクセス制限解除要求通知判断部206は、自局(IABドナー)の状態を判断基準に加えてもよい。例えば、UEから接続可能な基地局がない旨を受信したときに自身の接続可能台数(自身に接続可能なUEの台数)が上限に達していなければ、モバイルIABノードに解除要求を通知しないと判断する。接続台数が上限に達する頻度が高いことや、自身とUE間のスループットの低下など通信品質が悪いことを検知し、自らモバイルIABノードに解除要求を通知するように判断してもよい。
【0035】
メッセージ生成部207は、モバイルIABノードに通知するアクセス制限解除要求のメッセージの生成を行う。
【0036】
図2Bは本実施形態におけるモバイルIABノードのソフトウェア機能ブロック図である。
【0037】
モバイルIABノードのソフトウェア機能ブロック211は、通信送信部212、通信受信部213、データ記憶部214、接続制御部215、アクセス制限制御部216、及びアクセス制限解除判断部217を備える。
【0038】
各部212から215の構成は、
図2Aを参照して上述した各部202から205と同様なため、説明は省略する。
【0039】
アクセス制限制御部216は、自身に接続するUEのアクセス制限の制御を行う。アクセス制限が有効な場合、特定のUEのアクセスのみアクセス許可し、アクセス制限が無効な場合、すべてのUEからのアクセスを許可する。
【0040】
アクセス制限解除判断部217は、外部からのアクセス制限解除要求に従ってアクセス制限解除を行うか否かを判断する。解除を行う条件としては、モバイルIABノード所有者の解除の許可等が考えられる。事前に解除要求への対応を設定しておいてもよいし、解除要求が通知されたタイミングで、所有者のUE等を介して解除許可の是非を確認してもよい。
【0041】
また、アクセス制限解除判断部217は、アクセス制限を再開する判断も行うこととしてもよい。アクセス制限を再開する条件としては、アクセス制限の解除要求を最後に受信してから一定期間経過したこと、所有者がアクセス制限の再開を指示した等を含んでよい。
【0042】
図3は本実施形態におけるシステム構成の一例を示す図である。
【0043】
移動通信システムにおいて、CN(Core Network)へ接続するIABドナー302が存在し、その周辺にUE301、モバイルIABノード303、モバイルIABノード304、複数のその他UEが存在する。
【0044】
IABドナー302にはモバイルIABノード303及び複数のその他UEが接続し、IABドナー302の接続数は上限に達しているものとする。モバイルIABノード303はIABドナー302に接続しており、アクセス制限が有効になっている。モバイルIABノード304はIABドナー302以外の基地局に接続している。あるいは、モバイルIABノード304は、現在RRC Idle状態で動作している、すなわち、いずれの基地局に接続していない状態であるとともにアクセス制限が有効になっている状態であってもよい。
【0045】
UE301はモバイルIABノード303及び、304のアクセス権を有していないものとする。本実施形態ではモバイルIABノードのアクセス制限はCAG(Closed Access Group)機能を用いるものとする。CAG機能は3GPP(登録商標)が既定した非公共ネットワーク向けの機能の1つである。非公共ネットワークは、Non-Public Networkとも呼ばれ、以下、NPNと略す場合がある。具体的には、CAG機能は、NPNを構成する基地局がUEのアクセス権を制御する機能のことである。基地局はNPNの識別IDであるCAG IDを報知し、受信したUEは自身に保存されているアクセス可能なCAGのリストと照合しアクセス権の有無を確認する。アクセス権がない場合、その基地局は接続処理の対象から除外される。この状況でUE301が検出できる基地局はIABドナー302だけであり、IABドナー302は接続数上限により接続できないため、UE301は「接続可能な基地局がない」状態となっている。
【0046】
このような状況において、UE301をセルラー網に接続させるため、モバイルIABノード303及びモバイルIABノード304のアクセス制限を解除する手順について説明する。
【0047】
図4は本実施形態におけるシーケンス図を示している。
【0048】
UE(以下UE301)はIABドナー302に対し、S401において接続要求(RRC Setup Request)を通知する。接続要求を受けたIABドナー302は自身の接続数が上限に達していることからUE301を接続させないと判断し、S402において接続拒否(RRC Reject)を通知する。接続拒否を受信したUE301は、検出できる基地局すべてに接続できない状況となり「接続可能な基地局がない」であると判断する。
【0049】
S403において、UE301はIABドナー302に対して「接続可能な基地局がない」旨を通知する。検出可能な基地局が複数ある場合は、もっとも電波強度の高い基地局に対して通知する。本実施形態ではIABドナー302に対してのみ通知するが、複数の基地局に対して通知してもよい。通知方法は接続要求と同様にRRC(Radio Resource Control)プロトコルを使用する。RRCプロトコルとは、LTE及び5GシステムにおいてUEと基地局間の通信で使用されるレイヤ3のプロトコルである。5Gの場合TS 38.331で規定されている。「接続可能な基地局がない」旨を通知は接続要求(RRC Setup Request)のメッセージフォーマットを使用して通知する。RRC Setup Requestには「EstablishmentCase」なる接続理由を入れる項目がある。「接続可能な基地局がない」旨の定義を新規に追加し、この項目に入れることで、セルラー網に接続前(RRC IDLE)のUEから基地局に対し「接続可能な基地局がない」旨を通知することができる。本実施形態ではRRC Setup Request を用いるが、新規メッセージフォーマットを定義してもよい。
【0050】
UE301から「接続可能な基地局がない」旨の通知を受けたIABドナー302は、S404において、モバイルIABノードに対してアクセス制限解除要求を通知する。
【0051】
ここで、通知方法について2種類の方法が考えられる。具体的には、第1の方法として、モバイルIABノード303のように自身(IABドナー302)に接続しているモバイルIABノードに対して通知する方法がある。第2の方法として、モバイルIABノード304のように自身に接続していないモバイルIABノードに対して通知する方法である。
【0052】
第1の方法では、自身に接続しているモバイルIABノードに対しての通知であるため、送信先が明確である。例えばモバイルIABノードのBAP(Backhaul Adaptation Protocol)アドレスに対してBAPメッセージを用いて通知することができる。BAPメッセージとは3GPP(登録商標)により規定されている5GシステムにおいてIABノードに対するデータをルーティングするために使用されるレイヤ2のプロトコルのことである。BAPはTS 38.340で既定されている。なお、BAPメッセージに代えて、F1AP(F1 Application Protocol)を用いてモバイルIABノードに通知するようにしてもよい。F1APはTS38.473で規定されている。ここで通知するメッセージには、次のような情報項目を含める。
情報項目1:要求内容
情報項目2:期間
情報項目1の要求内容には「アクセス制限の解除の開始」や「アクセス制限の解除の停止」等の時間情報を含める。本実施形態では触れないが、「アクセス制限の開始」及び「アクセス制限の停止」も含めることで、外部からモバイルIABノードに対してアクセス制限を有効にするようなことも可能となる。
情報項目2の期間には変更要求の有効期間を含める。アクセス制限解除要求に応じたモバイルIABがアクセス制限を再開する際の判断に使用される。期間が短時間の場合、モバイルIABノードは有効期間経過後「アクセス制限の解除の停止」の要求を待たずにアクセス制限を再開できる。なお、モバイルIABノードは、かかる有効期間中にIABドナーから「アクセス制限の解除の停止」の要求があった場合は、アクセス制限を再開できる。
【0053】
なお、第1の方法による通知先のモバイルIABノードは、IABネットワークを形成するすべてのモバイルIABノードのうちの一部のモバイルIABノードであってもよいし、IABネットワークを形成するすべてのモバイルIABノードであってもよい。一部のモバイルIABノードの場合、当該一部のモバイルIABノードは、UE(基地局に接続できないUE)の近傍に位置するモバイルIABノードを含んでもよい。
【0054】
第2の方法では、自身に接続していないモバイルIABノードに対しての通知であるため、送信先が不明である。そこで、自分の周囲に報知情報を報知することで周囲に居るモバイルIABノードに対してアクセス制御要求を通知する。報知には例えばSIB(System Information Block)を用いる。第1の方法と同様に、第2の方法でも、報知情報には以下を含める。次のような情報項目を含める。
情報項目1:要求内容
情報項目2:期間
S401からS404は、UEが基地局に接続できない間、定期的に繰り返される。
【0055】
アクセス制限解除要求を受信したモバイルIABノードは、後述する判断手段によりアクセス制限解除を行うか否かを判断し、制限解除すると判断した場合、S405において、モバイルIABノードはアクセス制限を解除する。
【0056】
モバイルIABノードがアクセス制限を解除すると、UE301からモバイルIABノードを検出できるようになり、UE301は検出したモバイルIABノードに対して接続処理を開始する。以降は3GPP(登録商標)仕様TS 38.300に記載されたUEの接続確立の手順に従い、UEはモバイルIABノードに対して接続を確立する手順となる。
【0057】
S406において、UE301はモバイルIABノードに対し、接続要求(RRC Setup Request)を通知する。接続可能である場合、S407において、モバイルIABノードはUE301に対し RRC Setup を通知する。このメッセージには接続処理に必要なセルの構成情報等が含まれる。最後に、S408において、UE301はモバイルIABノードに対して接続完了(RRC Setup Complete)を通知し、接続処理は完了する。
【0058】
次に、上記シーケンスにおける各装置の処理についてフロー図で説明する。
【0059】
図5は、実施形態1におけるUE(UE301)の動作を示すフロー図である。
【0060】
S501からS503は3GPP(登録商標)仕様TS 38.300に記載されたUEの接続手順である。
【0061】
S501において、UEは基地局が報知する情報から周囲に接続候補となる基地局があるか判定する。接続候補となる基地局がある場合、S502へ進む。
【0062】
S502において、UEは接続候補となる基地局に対し優先順位に従って順に接続処理を行う。
【0063】
S503において、UEは接続処理の結果を確認する。接続候補となる基地局すべてに接続できなかった場合、S504へ進む。いずれかの基地局に接続できた場合、処理を終了する。
【0064】
S504において、接続候補となる基地局に対し「接続可能な基地局がない」旨を通知する。通知手段は
図4のS403で説明した通りである。通知が完了すると、再びS501へ進み繰り返し処理を行う。
【0065】
図6は、実施形態1におけるIABドナー302の動作を示すフロー図である。
【0066】
S601において、IABドナー302のアクセス制限解除要求通知判断部206は、「アクセス制限解除要求」を通知するか否かを判定する。本実施形態では、UEから「接続可能な基地局がない」通知を受信したか否かの条件で判定する。通知を受信した場合、S602へ進む。
【0067】
S602において、モバイルIABノードへ通知する「アクセス制限解除要求」のメッセージを生成する。生成するメッセージは
図4のS404で説明した通りである。自身に接続するモバイルIABノード向けにBAPメッセージと、周囲に居るモバイルIABノード向けに報知情報を、それぞれ生成する。なお、自身に接続するモバイルIABノードが複数存在する場合、その一部又は全部に対してBAPメッセージが生成されてよい。また、本実施形態では、BAPメッセージと報知情報の両方を生成するが、いずれかのみ生成してもよい。UEから「接続可能な基地局がない」通知に基づいてモバイルIABへアクセス制限解除要求を出す場合は、メッセージに含む情報として、情報項目1:要求内容を「アクセス制限の解除の開始」、情報項目2:期間を「短時間」とする。これは、UEの救済が一時的な措置であるためである。加えて、モバイルIABノードはIABドナー302のセル範囲外に移動することが可能であり、IABドナー302の「アクセス制限の停止要求」を受信できるとは限らない。IABドナー302からの「アクセス制限の停止要求」を待たずに、モバイルIABノードの判断でアクセス制限を再開させるために有効期限を設ける。
【0068】
S603において、モバイルIABノードに対し、生成した「アクセス制限解除要求」のメッセージを通知する。通知が完了すると、再びS601へ進み繰り返し処理を行う。
【0069】
図7は、本実施形態におけるモバイルIABノードの動作を示すフロー図である。
【0070】
S700において、モバイルIABノードのアクセス制限解除判断部217は、アクセス制限解除を実行中であるか否かを判定する。アクセス制限解除を実行中である場合は、S704に進み、アクセス制限解除を実行中でない場合は、S701に進む。
【0071】
S701において、IABドナー302から「アクセス制限解除要求」を受信したか否かを確認する。受信した場合、S702へ進む。受信していない場合、次の処理周期でS700からの処理に戻る。
【0072】
S702において、モバイルIABノードのアクセス制限解除判断部217は、アクセス制限解除の条件を満たしているか否かを判定する。本実施形態ではモバイルIABノードの所有者により事前にアクセス制限解除の許可が設定されているか否かの条件で判定する。アクセス制限解除の許可設定はデータ記憶部214に保存されている。条件を満たしている場合、S703へ進む。条件を満たしていない場合、次の処理周期でS700からの処理に戻る。
【0073】
S703において、モバイルIABノードのアクセス制限制御部216は、アクセス制限している場合、アクセス制限解除を開始する。この場合、次の処理周期でS700からの処理に戻る。
【0074】
S704において、モバイルIABノードのアクセス制限解除判断部217は、アクセス制限の再開の条件を満たしているか否かを判定する。本実施形態では「アクセス制限解除要求」を最後に受信してから一定期間経過したか否かの条件で判定する。一定期間とは、最後に受信した「アクセス制限解除要求」に含まれる「期間」の値を用いる。所有者により一定期間に上限を設けてもよい。解除要求の「期間」の値と、事前に所有者により設定された上限のいずれかを経過した場合、アクセス制限の再開の条件を満たしたと判断する。この場合、S705へ進み、アクセス制限解除を停止しアクセス制限を再開する(S705)。アクセス制限の再開の条件を満たしていないと判断した場合、次の処理周期でS700からの処理に戻る。
【0075】
本実施形態1では、IABドナー302がUEから「接続可能な基地局がない」通知を受信したことに基づいて、周囲のモバイルIABノードへ対してアクセス制限解除要求を通知する手順について説明した。これにより、モバイルIABノードのアクセス制限を外部から解除させることが可能となり、接続不可能なUEを救済することができる。
【0076】
[実施形態2]
実施形態1では、IABドナー302がUEから「接続可能な基地局がない」通知を受信したことに基づいて、周囲のモバイルIABノードに対してアクセス制限解除要求を通知した。本実施形態ではUE以外の外部装置の通知に基づいて、周囲のモバイルIABノードに対してアクセス制限解除要求を通知する手順について説明する。
【0077】
実施形態2に関して想定されるユースケースとしては、例えば、通信事業者による通信の混雑解消が考えられる。
【0078】
特定のエリアでイベントが開催され、通信の混雑が予想される場合、通信事業者は自身が管理する基地局の設置情報に基づいてそのエリアに設定されている基地局(IABドナー)を特定する。特定した基地局に対し周囲のモバイルIABノードにアクセス制限の解除要求を通知するように指示を出す。そうすることで、特定のエリアの基地局数を一時的に増やすことができ、接続可能なUEの数を増やすことができる。
【0079】
図8は本実施形態におけるシステム構成の一例を示す図である。
【0080】
特定エリアに設置されているIABドナー302が存在し、その周辺にモバイルIABノード303、モバイルIABノード304が存在している。モバイルIABノード303、モバイルIABノード304は実施形態1と同様である。外部装置801は移動通信システムを介してIABドナー302と通信可能である。
【0081】
このような状況において、外部装置801からIABドナー302を介してモバイルIABノード303及びモバイルIABノード304のアクセス制限を解除する手順について説明する。
【0082】
図9は本実施形態におけるシーケンス図を示している。
【0083】
外部装置801はIABドナー302に対し、S901においてアクセス制限解除の通知開始要求を通知する。
【0084】
アクセス制限解除の通知開始要求とは、IABドナー302がモバイルIABノードに対して行う要求を開始するように求める要求である。そして、アクセス制限解除の通知開始要求とは、IABドナー302が「アクセス制限解除要求」をモバイルIABノードに通知する処理をIABドナー302が開始するように、IABドナー302に求める要求である。外部装置801がコアネットワーク(5GC)の場合、5GCと基地局間はNGインターフェースで接続される。NGインターフェースを介したApplication層のメッセージに関してはTS38.413で規定されている。本実施形態のアクセス制限解除の開始要求と後述するアクセス制限解除の停止要求は、この規定に則り新規に定義したメッセージを用いる。これら要求は同一のメッセージを用い、以下の情報項目を含める。
情報項目1:要求内容
情報項目2:期間
情報項目3:アクセス制限解除要求に含める内容
情報項目1:要求内容には「通知の開始」「通知の停止」等の情報を含める。情報項目2:期間には通知要求の有効期限を含める。情報項目3:アクセス制限解除要求に含める内容には、通知開始要求を受信したIABドナー302が周囲のモバイルIABノードに通知するアクセス制限解除要求のメッセージに含める内容に関する情報を含める。本実施形態では、情報項目1:要求内容に「通知の開始」、情報項目2:期間に「無期限」、情報項目3:アクセス制限解除要求に含める内容に「要求内容(アクセス制限解除の開始)、期限(短時間)」を含めるものとする。本実施形態では、外部装置801とIABドナー302は固定された装置であり通信も永続的に可能である。そのため、外部装置801とIABドナー302間の通信量を軽減するため、情報項目2:期間を「無期限」として、通知開始要求を送信する回数が1回で済むようにしている。通知開始要求を受信したIABドナー302は周囲のモバイルIABノードに対してアクセス制限解除要求を通知する。通知する手段及び内容は実施形態1と同様である。説明は省略する。アクセス制限解除要求を受信したモバイルIABノードも実施形態1と同様にアクセス制限解除を行う。説明は省略する。IABドナー302はアクセス制限解除要求を定期的に通知し続け、S902において、外部装置801からのアクセス制限解除の通知停止要求を受信したことをもって、アクセス制限解除要求の通知を停止する。外部装置801からのアクセス制限解除の通知要求には、情報項目1:変更内容に「通知の停止」、情報項目2:期間に「無期限」を含める。
【0085】
図9では、IABドナー302は、その周囲のモバイルIABノードに対してアクセス制限解除要求を通知する。この場合、アクセス制限解除要求は、特定のモバイルIABノードに向けてではなく、周囲のモバイルIABノードに対してブロードキャストされてよい。
図9に示す例では、一のモバイルIABノードによりアクセス制限解除が実行された後も、S902まで、アクセス制限解除要求の定期的な通知が実行される。ここで、S901からS902までの期間、IABドナー302の周囲に位置するモバイルIABノードは変化しうる。例えば、ある時点でIABドナー302の周囲に位置する一のモバイルIABノードが、その後のある時点でIABドナー302の周囲に位置しなくなる場合もありうる。この点、
図9に示す処理は、アクセス制限解除要求の定期的な通知が実行されるので、IABドナー302の周囲に位置するモバイルIABノードが動的に変化しうる状況下で好適となる。すなわち、
図9に示す処理によれば、かかる状況下においても、アクセス制限解除要求をIABドナー302の周囲の1つ以上のモバイルIABノードに高い信頼性で通知できる。
【0086】
次に、上記シーケンスにおける各装置の処理について説明する。
【0087】
図10は、本実施形態におけるIABドナー302の動作を示すフロー図である。
【0088】
S1001において、IABドナー302のアクセス制限解除要求通知判断部206は、「アクセス制限解除要求」を通知するか否かを判定する。本実施形態では、外部装置801から「アクセス制限解除の通知開始要求」を受信したか否かの条件で判定する。受信した場合、S1002へ進み、そうでない場合は、受信待機状態となる。
【0089】
S1002において、IABドナー302のメッセージ生成部207はモバイルIABノードへ通知する「アクセス制限解除要求」のメッセージを生成する。生成するメッセージはS602と同様である。メッセージに含める内容はS1001において外部装置801から受信した通知開始要求に含まれる情報項目3:「アクセス制限解除要求に含める内容」をもとに決定する。メッセージを生成すると、S1003へ進む。
【0090】
S1003において、モバイルIABノードに「アクセス制限解除要求」を通知する。処理内容はS603と同様である。通知が完了すると、S1004へ進む。
【0091】
S1004において、アクセス制限解除要求通知判断部206は、「アクセス制限解除要求」の通知を停止するか否かを判定する。本実施形態では、外部装置801から「アクセス制限解除の通知停止要求」を受信したか否かの条件で判定する。受信した場合、再びS1001へ進み繰り返し処理を行う。受信していない場合、再びS1002へ進み、制限解除要求の通知処理を行う。
【0092】
モバイルIABノードの動作は、実施形態1に関連して上述した
図7と同様であり、説明を省略する。
【0093】
実施形態2では、IABドナー302が外部装置801から「アクセス制限解除の通知開始要求」を受信したことに基づいて、周囲のモバイルIABノードへ対してアクセス制限解除要求を通知する手順について説明した。これにより、外部から特定のエリアに存在する不特定多数のモバイルIABノードに対してアクセス制限解除を行うことができる。
【0094】
[実施形態3]
これまでの実施形態ではIABドナー302が周囲に存在する不特定多数のモバイルIABノードに対してアクセス制限解除を通知する内容について説明した。しかしながら、モバイルIABノードの所有者が自身の所有するUEやサーバから遠隔操作でモバイルIABノードのアクセス制限を変更するなど、特定のモバイルIABノードのみアクセス制限を変更したいユースケースも考えられる。
【0095】
本実施形態では、外部装置から直接モバイルIABノードへアクセス制限解除要求を通知する方法を説明する。
【0096】
本実施形態におけるシステム構成の一例は
図8と同様であるが、外部装置801が外部装置802で置換される。実施形態3に係るユースケースの場合、外部装置802とは、モバイルIABノードの所有者の指示を受け、モバイルIABノードへ制限解除要求を送信するサーバ装置等である。モバイルIABノードの所有者の指示は、例えば、アクセス制限解除要求のAPI(Application Programming Interface)をAF(Application Function)に公開することで取得する。外部装置802とIABドナー302は、実施形態2による外部装置801とIABドナー302と同様にNGインターフェースによって接続されている。外部装置802からモバイルIABノードへの通知は、BAPメッセージ等のルーティングプロトコルによってIABドナー302を介してモバイルIABノードへ通知される。
【0097】
図11は本実施形態におけるシーケンス図を示している。
【0098】
S1101において、外部装置802からモバイルIABノードに対して、アクセス制限解除要求が通知される。アクセス制限解除要求の内容は、実施形態1、2でIABドナー302がモバイルIABノードに対して通知していたメッセージと同様である。ただし、アクセス制限解除要求は、ユニキャストにより特定のモバイルIABノードに向けて送信されてよい。
【0099】
この場合、情報項目1:要求内容に「アクセス制限解除の開始」、情報項目2:期間に「無期限」を含める。これにより所有者が「アクセス制限解除の停止」を要求するまで設定が継続される。解除要求を受信したモバイルIABノードはS1102において、アクセス制限を解除する。
【0100】
S1103において、外部装置からモバイルIABノードに対して、アクセス制限解除の停止要求が通知される。メッセージはS1101のメッセージと同様である。当該メッセージに含める内容は、情報項目1:変更内容に「アクセス制限解除の停止」、情報項目2:期間に「無期限」を含める。解除の停止要求を受信したモバイルIABノードはS1104において、アクセス制限解除を停止する。
【0101】
本実施形態におけるモバイルIABノードの動作を示すフロー図は、実施形態1に関連して上述した
図7と同様である。説明は省略する。
【0102】
実施形態3では、外部装置から「アクセス制限解除要求」を特定のモバイルIABノードへ対して通知する手順について説明した。これにより、外部から特定のモバイルIABノードに対してアクセス制限解除を行うことができる。
【0103】
[実施形態4]
上述した実施形態1及び2では、IABドナー302のセル内に存在する不特定多数のモバイルIABノードすべてに対してアクセス制限解除要求を通知していた。しかしながら、制限解除するエリアが限定的である場合(例えば比較的狭い場合)、必要以上のモバイルIABノードへ解除要求を通知してしまう。本実施形態では、制限解除するエリアを限定する方法について説明する。エリアを限定する例として、実施形態1で説明した接続可能な基地局がない状態のUEの周辺に限定したエリアに対して制限解除要求を出す方法について説明する。
【0104】
図12は、本実施形態におけるシステム構成の一例を示す図である。
【0105】
図12に示す例では、
図3に示した実施形態1のシステム構成に対して、制限解除要求エリア1200を追加している。制限解除要求エリア1200は、接続可能な基地局がない状態のUE301を囲うように設定されたエリアである。このエリア付近に存在するモバイルIABノードのみアクセス制限解除を行うことで、アクセス制限解除するエリアを限定することができる。このエリアの情報は、IABドナー302が生成する。UEが通知するUEの位置情報に基づいて、接続可能な基地局がない状態のUEすべてが含まれるように範囲を設定し、生成した範囲情報をモバイルIABノード303及び304に対して通知する。範囲情報を受信したモバイルIABノードは、自身の位置と範囲情報を比較し、アクセス制限解除を行うか否かの判断を行う。このようにして、アクセス制限解除のエリアを限定することができる。
【0106】
次に、
図13を用いて本実施形態のシーケンスについて説明する。
【0107】
図13は本実施形態におけるシーケンス図を示している。
【0108】
S401とS402は、上述した実施形態1の
図4と同様なため説明は省略する。
【0109】
S403Aにおいて、UE301はIABドナー302に対して「接続可能な基地局がない」旨を通知する。この際、自身の位置情報をメッセージに含める。通知方法は実施形態1のようにRRC Setup Requestのフォーマットを使用しない。この場合、RRC Setup Requestに現在のUEの位置情報を追加した新規メッセージフォーマットを使用する。本実施形態ではIABドナー302はUE301が通知するメッセージによってUE301の位置を特定する内容について説明する。しかしながら、通知に位置情報は含めず、IABドナー302がUE301の電波強度等の情報からUEの位置を特定してもよい。
【0110】
UE301から通知を受信したIABドナー302は、UE301の位置情報に基づいて、接続可能な基地局がない状態のUE301すべてが含まれるように範囲を設定する。同じUE301から再び通知を受けた場合は、UE301の位置情報を更新して範囲情報を設定する。
【0111】
S404Aにおいて、モバイルIABノードに対してアクセス制限解除要求を通知する。この要求に先ほど設定した範囲情報を含める。通知方法は実施形態1と同様である。
【0112】
アクセス制限解除要求を受信したモバイルIABノードは、アクセス制限解除を行うか否かを判断し、制限解除すると判断した場合、S405において、モバイルIABノードはアクセス制限を解除する。アクセス制限解除を行うか否かの判断は、実施形態1の所有者の許可の有無に加えて、受信した範囲情報を用いて判断を行う。例えば自身の位置が範囲情報のエリアに含まれている場合、アクセス制限を解除すると判断する。判断するタイミングは、制限解除要求を受信した時点で判断してもよいし、受信した範囲情報を一時的に保持しておき、範囲情報に含まれるエリアに移動したタイミングで再度判断してもよい。自身の電波性能や、移動速度、想定される範囲の滞在時間などを判断条件に含めてもよい。
モバイルIABノードがアクセス制限解除を行うと、UEからモバイルIABノードが検出できるようになり、実施形態1と同様に接続処理を開始する。S406からS408は上述した実施形態1の
図4と同様のため説明は省略する。
【0113】
各装置の動作について説明する。基本的に実施形態1と同様である。
【0114】
図14は、本実施形態におけるUEの動作を示すフロー図である。S501からS503は、実施形態1の
図5と同様なため、説明は省略する。
【0115】
S504Aにおいて、UEはIABドナー302に「接続可能な基地局がない」旨を通知する。このときメッセージにUEの位置情報を含めて通知する。
【0116】
図15は本実施形態におけるIABドナー302の動作を示すフロー図である。
【0117】
S601は、上述した実施形態1の
図6と同様なため、説明は省略する。
【0118】
S602Aにおいて、IABドナー302はモバイルIABノードに通知する「アクセス制限解除要求」メッセージを生成する。このときメッセージにUEの位置情報に基づいて設定した範囲情報を含める。S603は、上述した実施形態1の
図6と同様なため、説明は省略する。
【0119】
図16は、本実施形態におけるモバイルIABノードの動作を示すフロー図である。
【0120】
S701及びS701は、上述した実施形態1の
図7と同様なため、説明は省略する。
【0121】
S702及びS702Aにおいて、アクセス制限解除判断部217は、アクセス制限解除の条件を満たしているか否かを判定する。本実施形態ではモバイルIABノードの所有者により事前にアクセス制限解除の許可が設定されているか否か(S702)に加えて、受信した範囲情報に自身の現在位置が含まれているか否か(S702A)を条件とする。範囲情報に自身の現在位置が含まれている場合、S703へ進みアクセス制限解除を開始する。範囲情報に自身の現在位置が含まれていない場合、次の処理周期でS700からの処理に戻る。
【0122】
S703は、上述した実施形態1の
図7と同様なため、説明は省略する。
【0123】
S704及びS704Aにおいて、モバイルIABノードのアクセス制限解除判断部217は、アクセス制限の再開の条件を満たしているか否かを判定する。本実施形態では「アクセス制限解除要求」を最後に受信してから一定期間経過したか否か(S704)に加えて、最後に受信した範囲情報に自身の現在位置が含まれているか否か(S704A)を条件とする。自身の現在位置が範囲情報に含まれていない場合(S704Aで“NO”)、S705へ進み、そうでない場合、次の処理周期でS700からの処理に戻る。
【0124】
S705は、上述した実施形態1の
図7と同様なため、説明は省略する。
【0125】
実施形態4では、アクセス制限解除要求に範囲情報を含めることで、アクセス制限解除するモバイルIABの範囲を限定する手順について説明した。これにより、特定のエリアに存在するモバイルIABノードのアクセス制限を外部から解除させることが可能となる。本実施形態では、UEの位置情報に基づいて範囲情報を設定したが、実施形態2で説明した外部装置からのアクセス制限解除要求の通知要求や、実施形態3で説明した外部装置からのアクセス制限解除要求のメッセージに範囲情報を含めることで、外部から範囲情報を直接的に指定(設定)することも可能である。
【0126】
なお、本実施形態において、範囲情報の示すエリアの大きさは、一定であってもよいし、可変とされてもよい。例えば、範囲情報の示すエリアは、UEが比較的高い密度で位置する領域をカバーするように動的に変更されてもよい。また、範囲情報の示すエリアは、イベントの有無や、時間帯や季節等に応じて変化されてもよい。
【0127】
以上、各実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0128】
例えば、上述した実施形態では、モバイルIABノードにおけるアクセス制限に係る状態は、制限が設定された状態と、制限が(完全に)解除された状態の2種類であるが、これに限られない。例えば、モバイルIABノードにおけるアクセス制限に係る状態は、制限が設定された状態と、制限が部分的に解除された状態と、制限が解除された状態の3種類を有してもよい。この場合、実施形態1(他の実施形態も同様)において、IABドナー302は、対象のモバイルIABノードに対して、当該アクセス制限を部分的に解除することを求める要求を送信してもよい。あるいは、モバイルIABノードは、IABドナー302からの要求に応えて、制限が部分的に解除された状態を形成してもよい。
【0129】
また、上述した実施形態において、アクセス制限解除要求を受け入れるモバイルIABノードに対してインセンティブを付与する仕組みを追加してもよい。例えば、アクセス制限解除要求を受け入れた回数や時間等に応じて、モバイルIABノードに係る所有者にインセンティブ(ポイント等)が付与されてもよい。この場合、アクセス制限解除要求を受け入れるモバイルIABノードの増加が期待でき、通信の効率化を図ることができる。
【0130】
第3の実施形態では、外部装置からIABドナーを経由する遠隔操作でIABノードのアクセス制限を変更する場合を例示した。これに加えて、モバイルIABノードの所有者が自身の所有するUEからモバイルIABノードに対する直接の無線通信でアクセス制限状態の変更を指示するように構成することもできる。この場合、BluetoothやIEEE802.11規格シリーズ等の無線通信方式でモバイルIABノードとUEを接続する。BluetoothやIEEE802.11規格シリーズ等の無線通信方式でモバイルIABノードと無線接続したUEは、図示省略の設定画面を介してアクセス制限状態の変更操作を受け付ける。変更操作を受け付けたことを検知したUEは、アクセス制限状態の変更指示をモバイルIABノードに送信する。当該変更指示を受信したモバイルIABノードは、変更指示に従って、他のIABノードやIABドナー等と協働してアクセス制限状態を変更する。
【0131】
なお、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0132】
[付記1]
アクセス制限が設定されているモバイルIABノードに対して、前記アクセス制限を解除することを求める要求を送信する送信手段を備える、制御装置。
【0133】
[付記2]
前記送信手段は、所定条件を満たす場合に、前記要求を送信する、付記1に記載の制御装置。
【0134】
[付記3]
UE(User Equipment)から接続可能な基地局がない旨を含む通知を受信する第1の受信手段を更に備え、
前記所定条件は、前記通知を受信した場合に満たされる、付記2に記載の制御装置。
【0135】
[付記4]
前記受信手段は、RRCメッセージにより前記通知を受信する、付記3に記載の制御装置。
【0136】
[付記5]
前記通知は、前記UEの位置情報を含み、
前記送信手段は、前記位置情報に基づいて、前記アクセス制限の解除が適用される位置範囲に関する範囲情報を生成し、前記範囲情報を前記要求に含める、付記3又は4に記載の制御装置。
【0137】
[付記6]
外部装置から所定指示を受信する第2の受信手段を更に備え、
前記所定条件は、前記所定指示を受信した場合に満たされる、付記2から5のうちのいずれか1項に記載の制御装置。
【0138】
[付記7]
前記所定指示は、前記モバイルIABノードの管理者または所有者が前記アクセス制限の解除を許可した場合に生成される、付記6に記載の制御装置。
【0139】
[付記8]
前記所定条件は、前記モバイルIABノードに係るIABネットワークのIABドナーの状態が所定状態である場合に満たされる、付記2から5のうちのいずれか1項に記載の制御装置。
【0140】
[付記9]
前記要求は、前記アクセス制限の解除の開始時に関する情報、前記アクセス制限の解除を実行した場合の終了時に関する情報、及び、前記アクセス制限の解除が適用される位置範囲に関する範囲情報、のうちの少なくともいずれか1つを含む、付記1から8のうちのいずれか1項に記載の制御装置。
【0141】
[付記10]
前記送信手段は、BAP(Backhaul Adaptation Protocol)、SIB(System Information Block)、又はF1AP(F1 Application Protocol)を使用して前記要求を送信する、付記1から9のうちのいずれか1項に記載の制御装置。
【0142】
[付記11]
前記送信手段は、周辺に位置する不特定の1つ以上のモバイルIABノードに対して、前記要求を繰り返し送信する、付記1から10のうちのいずれか1項に記載の制御装置。
【0143】
[付記12]
前記モバイルIABノードに係るIABネットワークのIABドナーに設けられる、付記1から11のうちのいずれか1項に記載の制御装置。
【0144】
[付記13]
前記制御装置は、前記モバイルIABノードに係るIABネットワークの外部に位置する制御装置であり、
前記制御装置の前記送信手段は、前記IABネットワークのIABドナーを介して、前記要求を送信する付記1から12のいずれか1項に記載の制御装置。
【0145】
[付記14]
接続可能な基地局がない旨の通知を、IABネットワークのIABドナーに送信する、通信装置。
【0146】
[付記15]
アクセス制限に関する状態を、アクセス制限が設定されている第1状態と、アクセス制限が設定されていない又は前記第1状態よりも制限度合いが緩い第2状態との間で切り替える処理手段と、
前記第1状態において制限対象のUE(User Equipment)からの接続要求を受け付けず、前記第2状態において制限対象のUEからの接続要求を受け付けるアクセス制御手段とを備え、
前記処理手段は、前記第1状態においてアクセス制限を解除することを求める第1の要求を受信した場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えを実行する、通信装置。
【0147】
[付記16]
前記処理手段は、前記第1の要求を受信した場合、前記第1状態から前記第2状態への切替条件の成否を判断する、付記15に記載の通信装置。
【0148】
[付記17]
前記処理手段は、前記第2状態において前記アクセス制限の解除を停止することを求める第2の要求を受信した場合、前記第2状態から前記第1状態への切り替えを実行する、付記15又は16に記載の通信装置。
【0149】
[付記18]
前記第1の要求は、前記アクセス制限の解除が適用される位置範囲に関する範囲情報を含み、
自局が前記位置範囲に位置するか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記処理手段は、前記第1の要求を受信した場合に、前記判定手段の判定結果に基づいて、自局が前記位置範囲に位置する場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えを実行する、付記15から17のうちのいずれか1項に記載の通信装置。
【符号の説明】
【0150】
101 ハードウェア機能ブロック
102 制御部
103 記憶部
104 無線通信部
105 無線アンテナ制御部
106 GPS通信部
107 GPSアンテナ制御部
201 IABドナーのソフトウェア機能ブロック
202 信号送信部(送信手段の一例)
203 信号受信部(第1、第2の受信手段の一例)
204 データ記憶部
205 接続制御部(送信手段の一例)
206 アクセス制限解除要求通知判断部(送信手段の一例)
207 メッセージ生成部
211 モバイルIABノードのソフトウェア機能ブロック
212 信号送信部(処理手段の一例)
213 信号受信部(処理手段の一例)
214 データ記憶部
215 接続制御部
216 アクセス制限制御部(処理手段、アクセス制御手段の一例)
217 アクセス制限解除判断部(処理手段、アクセス制御手段、判定手段の一例)
301 UE
302 IABドナー(制御装置の一例)
303 モバイルIABノード
304 モバイルIABノード
801 外部装置
802 外部装置(制御装置の一例)
1200 アクセス制限解除要求エリア