(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162069
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20241114BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241114BHJP
H04N 23/65 20230101ALI20241114BHJP
G03B 7/091 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
G03B17/14
H04N23/55
H04N23/65
G03B7/091
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077250
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】青柳 麻由
【テーマコード(参考)】
2H002
2H101
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CC21
2H101EE08
2H101EE21
5C122EA68
5C122FB04
5C122FB08
5C122FF03
5C122GA01
5C122GA23
5C122GC76
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】 撮像装置の起動時間を短縮する為の交換レンズ絞り駆動と測光に関するシステムを提供する。
【解決手段】 撮像装置であって、該撮像装置に着脱可能かつ通信可能に装着される交換レンズ装置と、前記交換レンズ装置との通信を行う通信手段と、前記交換レンズ装置を含む光学系を介して被写体を撮像して画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段を制御する制御手段と、前記交換レンズ装置の絞りの開放処理に要する時間のうち、前記交換レンズ装置の絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を取得する駆動時間取得手段と、を有し、前記制御手段は、該撮像装置の電源がオンにされ、前記通信手段が前記交換レンズ装置から絞りの開放処理の要求を受信した時点から前記取得手段が取得した前記駆動時間だけ経過した時点で前記画像取得手段に画像の取得を開始させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
該撮像装置に着脱可能かつ通信可能に装着される交換レンズ装置と、
前記交換レンズ装置との通信を行う通信手段と、
前記交換レンズ装置を含む光学系を介して被写体を撮像して画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段を制御する制御手段と、
前記交換レンズ装置の絞りの開放処理に要する時間のうち、前記交換レンズ装置の絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を取得する駆動時間取得手段と、を有し
前記制御手段は、該撮像装置の電源がオンにされ、前記通信手段が前記交換レンズ装置から絞りの開放処理の要求を受信した時点から前記駆動時間取得手段が取得した前記駆動時間だけ経過した時点で前記画像取得手段に測光処理を開始させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記所定の大きさは、前記交換レンズ装置の絞りが開放に到達する位置、リセット位置に到達する位置、開放処理の要求を受信した以降で前記画像取得手段による画像の取得の品位が所定の条件を満たす位置のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記交換レンズ装置は前記撮像装置から供給される電源を用いて前記絞りを駆動する駆動手段を有し、
前記駆動手段は、該撮像装置の電源がオフにされる際に、前記絞りを第1の状態とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記交換レンズ装置は前記撮像装置から供給される電源を用いて前記絞りを駆動する駆動手段を有し、
前記駆動手段は前記駆動時間だけ経過した後も前記交換レンズ装置の絞りの開放処理を継続することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記交換レンズ装置、もしくは該撮像装置の少なくとも一方に前記絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を記憶する記憶手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を記録する記録手段をさらに有し、
前記通信手段は前記交換レンズ装置と通信を行い、装着されている前記交換レンズ装置の種別情報を取得し、
駆動時間取得手段は前記種別情報、および前記記録手段に記録された駆動時間をもとに該交換レンズ装置の絞りの駆動時間を取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記交換レンズ装置が該交換レンズ装置の絞りを第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を記録する記録手段をさらに有し、
前記駆動時間取得手段は、前記記録手段に記録された駆動時間を取得することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の状態は、前記絞りが小絞り状態であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像装置の制御方法であって、
該撮像装置に着脱可能かつ通信可能に装着される交換レンズ装置との通信を行う通信ステップと、
前記画像取得手段を制御する制御ステップと、
前記交換レンズ装置の絞りの開放処理に要する時間のうち、前記交換レンズ装置の絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を取得する駆動時間取得ステップと、
前記交換レンズ装置を含む光学系を介して被写体を撮像して画像を取得する画像取得ステップと、を有し
前記制御ステップにおいて、該撮像装置の電源がオンにされ、前記通信ステップにて前記交換レンズ装置から絞りの開放処理の要求を受信した時点から前記取得手段が取得した前記駆動時間だけ経過した時点で、画像取得ステップにおける測光処理を開始させることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項10】
可変絞りと該可変絞りを駆動する駆動手段とを有する交換レンズ装置が着脱可能かつ通信可能に装着される撮像装置のコンピュータに、請求項9に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変絞りを有する交換レンズ装置が着脱可能、もしくは可変絞りを有するレンズ装置を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可変絞りを有する交換レンズ装置には、撮像装置の電源オフの状態において交換レンズ装置を通った外光が撮像装置内のシャッタや撮像素子に照射されてこれらが劣化することを防止するために、可変絞りを閉状態に絞り込むものがある。特許文献1には、可変絞りが絞り込まれた状態で撮像装置の電源をオンにする操作が行われると、レンズの絞り羽の初期位置出し(絞り値を最小にするように開く「開放処理」、ここでは「リセット処理」と呼ぶ)を行う。その後、撮像装置が絞り羽根のリセット完了通知を受信したタイミングで測光を開始する発明が開示されている。また、特許文献2では交換レンズ装置が撮像装置に装着された際に撮像装置からの電源供給を検出することに応じて、撮像装置から可変絞りを制御するための通信を受けることなく駆動手段に可変絞りを閉状態から開状態に駆動させる発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-110000号公報
【特許文献2】特開2021-128266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、交換レンズの絞りを最小としてから駆動を行うため、撮像装置の起動に時間がかかってしまう。また、特許文献2でも、レンズの開放処理の完了を待つ必要があった。
【0005】
そこで本発明は、撮像装置の起動時間を短縮する為の交換レンズ絞り駆動と測光に関するシステムを提供することでカメラの起動時間を速くする事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像装置であって、該撮像装置に着脱可能かつ通信可能に装着される交換レンズ装置と、前記交換レンズ装置との通信を行う通信手段と、前記交換レンズ装置を含む光学系を介して被写体を撮像して画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段を制御する制御手段と、前記交換レンズ装置の絞りの開放処理に要する時間のうち、前記交換レンズ装置の絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を取得する駆動時間取得手段と、を有し、前記制御手段は、該撮像装置の電源がオンにされ、前記通信手段が前記交換レンズ装置から絞りの開放処理の要求を受信した時点から前記駆動時間取得手段が取得した前記駆動時間だけ経過した時点で前記画像取得手段に画像の取得を開始させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば撮像装置の電源オン時点(交換レンズ装置への電源供給の開始時点)から交換レンズ装置内の可変絞りが開状態に駆動されて撮像可能な状態となるまでの時間を短くすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るカメラ本体と交換レンズの構成を示すブロック図。
【
図2】本発明の通信処理に係る通信部の構成例を示すブロック図。
【
図3】本発明の実施例1におけるカメラの起動時の処理フローについて説明する図。
【
図4】本発明の実施例1におけるカメラの起動時の処理タイミングについて説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
以下、
図1等を参照して、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の構成および処理の流れについて説明する。本実施形態では、撮像装置としてデジタルカメラを例示するが、これに限られるものではない。例えば可変絞りを有する交換式のレンズと接続された撮像装置、可変絞りを有する光学系を内蔵したスマートフォンやタブレットなど、撮像機能を有する電子器にも本発明を適用することができる。
【0011】
図1は本発明の第1の実施形態に係る撮像装置(以下、「カメラ200」という)、および撮像アクセサリとしてのレンズ装置(以下、「レンズユニット100」という)を含む撮像システム(以下、カメラシステムという)の構成について説明する。
【0012】
レンズユニット100は、カメラ200に対して取り外し可能に装着されている交換レンズである。なお、本実施形態では交換可能なレンズユニット100がカメラ200に着脱可能な場合について説明しているが、レンズユニットがカメラと一体に設けられていてもよい。本カメラシステムでは、調歩同期式の通信方式を用いて、カメラからレンズへ各種アクチュエータ制御の要求を送信する。一方でレンズからカメラへ焦点距離やフォーカスモータの駆動状態あるいは絞りユニットの駆動状態、防振ユニットの駆動状態など各種レンズ情報をカメラに送信する。なお、レンズとカメラ本体が一体となっている撮像装置の場合は、各種レンズ情報を含めたすべての情報を撮像装置が一括で管理するような構成としてもよい。
【0013】
レンズユニット100とカメラ200は、結合機構であるマウント300を介して機械的および電気的に接続されている。レンズユニット100は、マウント300に設けられた電源端子部(図示せず)を介してカメラ200から電源を取得し、後述するレンズユニット100内の各種アクチュエータやレンズ制御部111に動作に必要な電源を供給する。また、レンズユニット100とカメラ200は、マウント300に設けられた通信端子部(後述の通信部112,208)を介して相互に通信を行う。
【0014】
レンズユニット100は、撮像光学系を有し、撮像光学系は、被写体OBJ側から順に、フィールドレンズ101と、変倍を行うズームレンズ(変倍レンズ)102と、光量を調節する絞りユニット114と、防振レンズ103と、焦点調節を行うフォーカスレンズ104とを含む。なお、レンズユニット100の撮影光学系は上述のような構成に限らない。
【0015】
ズームレンズ102とフォーカスレンズ104はそれぞれ、レンズ保持枠105、106により保持されている。レンズ保持枠105、106は、不図示のガイド軸により光軸方向(図中に破線で示す)に移動可能にガイドされており、ステッピングモータ107、108によって光軸方向に駆動される。ステッピングモータ107、108はそれぞれ、駆動パルスに同期してズームレンズ102およびフォーカスレンズ104を移動させる。防振レンズ103は、撮像光学系の光軸に直交する方向にシフトすることで、カメラ振れ(手振れ等)に起因する像振れを低減する。
【0016】
レンズ制御部111は例えばマイクロコンピュータ等で構成され、レンズユニット100内の各部の動作を制御するレンズの制御手段としての役割をもつ。また、レンズ制御部111は、レンズ通信部112を介して、カメラ200から送信されたレンズユニット100内の各種アクチュエータの制御要求コマンドやレンズ情報の送信要求コマンドを受信する。本実施例では、通信方式として調歩同期式通信を採用しており、カメラからレンズへのデータ送信端子、レンズからカメラへのデータ受信端子、および後述するカメラからレンズへの通信開始タイミングを供給するRTC端子によって通信を行う。詳細な通信のフロー制御については後述する。
【0017】
また、レンズ制御部111は、カメラ200からの制御要求コマンドに対応してレンズ各部の制御や、レンズ通信部112を介してレンズ情報の送信要求コマンドに対応するレンズデータをカメラ200に送信すること等が可能である。また、レンズ制御部111は、制御コマンドのうち変倍やフォーカシングに関するコマンドに応答してズーム駆動回路119およびフォーカス駆動回路120に駆動信号を出力してステッピングモータ107、108を駆動させることができる。これにより、ズームレンズ102による変倍動作を制御するズーム処理やフォーカスレンズ104による焦点調節動作を制御するAF処理を行う。
【0018】
レンズ制御部111は、後述するA/D変換回路123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ113を駆動させる。これにより、絞りユニット114による光量調節動作を制御する。
【0019】
さらに、レンズ制御部111は、レンズユニット100内に設けられた振動ジャイロ等の振れセンサ(不図示)により検出されたカメラの振れに応じて、防振駆動回路125を介して防振アクチュエータ(ボイスコイルモータ等)126を駆動する。これにより、防振レンズ103のシフト動作(防振動作)を制御する防振処理が行われる。
【0020】
マニュアルフォーカスリング130はマニュアルフォーカス時にユーザがレンズユニット100に駆動制御の指示を可能な操作部であり、エンコーダセンサ131は該マニュアルフォーカスリング位置を検出し、位置情報をレンズ制御部111に提供する。
【0021】
絞りユニット114は、絞り羽根114a、114bを備えて構成される。絞り羽根114a、114bの状態は、ホール素子115により検出され、増幅回路122およびA/D変換回路123を介してレンズ制御部111に入力される。なお、
図1では便宜上絞り羽が2枚しか図示されていないが、その枚数は適宜変更可能であり、既存の構成を適宜用いることが可能である。
【0022】
不揮発性メモリ127は電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ127には、レンズ制御部111の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施例にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラム等を指す。また、不揮発性メモリ127には後述するレンズユニット100の種別情報が予めデータとして記憶されていてもよい。その種別情報には後述する絞り羽根114a、114bがリセット位置に到達するまでにかかる処理時間などが含まれていてもよい。
【0023】
撮像素子201は、CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子である。本実施例では、撮像素子201としてCMOSセンサを用いている。CMOSセンサは、水平ライン毎に時間をずらしながら順次、電荷の蓄積と読み出しを行う。撮像制御回路(不図示)が、後述するカメラ制御部205からの指示に従って、撮像素子201の電荷の蓄積と読み出しを制御する。撮像素子201はレンズユニット100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。
【0024】
A/D変換部202は、撮像素子201からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0025】
画像処理部203は、A/D変換部202からのデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成し、取得した前記画像情報はDDR(DOUBLE DATA RATE SDRAM)等のメモリ210に格納される。すなわち画像取得手段としての役割を持つ。画像処理部203は、映像信号から被写体像のコントラス状態(撮像光学系の焦点状態)を示すフォーカス情報や露出状態を表す輝度情報を生成できる。また、映像信号を表示部206に出力し、表示部206は映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示することが可能である。
【0026】
不揮発性メモリ211、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ211には、カメラ制御部205の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施例にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラム等を指す。また、不揮発性メモリ211には後述するレンズユニット100の種別情報に基づく絞り羽根114a、114bがリセット位置に到達するまでにかかる処理時間などが予めデータとして記憶されている。
【0027】
カメラ制御部205は、不図示の撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチ等のカメラ操作部材からの入力に応じてカメラ200の各部の制御を行う。前述した不揮発性メモリ211に記録されたプログラムを読み出し、不図示のRAM等のシステムメモリに展開し、実行することで後述する本実施形態の各処理を実現する。例えば、カメラ制御部205は、通信回路であるカメラ通信インタフェース回路208(以下、「通信部208」)を介して、不図示のズームスイッチの操作に応じてズームレンズ102の変倍動作に関する制御コマンドをレンズ制御部111に送信する。
【0028】
さらに、カメラ制御部205は、通信部208を介して、輝度情報に応じた絞りユニット114の光量調節動作やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ104の焦点調節動作に関する制御コマンドをレンズ制御部111に送信する。
【0029】
次に、カメラ200とレンズユニット100との間で構成される通信回路とこれらの間で行われる通信処理について
図2等を用いて説明する。
【0030】
カメラ制御部205は、レンズユニット100に対する通信方式管理手段、および送信要求手段として機能する。また、レンズ制御部111は、レンズデータ生成手段、およびカメラ200へのデータ送信手段として機能する。
【0031】
図2は本実施形態におけるカメラ200とレンズユニット100との間に構成される通信部208、112の構成である。
【0032】
カメラ制御部205とレンズ制御部111は、通信部208、112に設けられた通信制御部209、116を介してデータ通信を実施する。通信制御部209、116は前述したマウント300に設けられた通信端子部を介して通信を行う。マウント300において示されているように本実施例では、通信方式として、3線式調歩同期シリアル通信方式を用いるが、これに限られるものではない。尚、ここでいう3線とは、通信要求信号RTSと、カメラデータ信号用の通信線DCLと、レンズデータ信号用の通信線DLCである。
【0033】
通信要求信号RTSは、通信マスタとしてのカメラ200からスレーブとしてのレンズユニット100に送られる信号である。データ信号DCLは、カメラ200からレンズユニット100への制御コマンドや送信要求コマンド等を含む信号である。
【0034】
データ信号DCLは、カメラ200からレンズユニット100へ送信するアクチュエータ制御要求などのコマンド情報を含む信号である。データ信号DLCは、レンズユニット100からカメラ200へ送信されるレンズデータ等を含む信号である。
【0035】
調歩同期式通信を採用した場合には、カメラ200とレンズユニット100は、共通のクロック信号に同期してデータの送受信を行わず、予め相互で通信を行う通信速度を規定し、この規定に沿った通信ビットレートで送受信を行う。ここで通信ビットレートとは、1秒間に転送することのできるデータ量を示すものであり、単位はbps(bits per secоnd)で表わされる。
【0036】
以下、
図3のフローチャートを参照して、カメラ200の電源をオフにしてから再びオンにした際の処理について説明する。本フローチャートはカメラ制御部205、レンズ制御部111がプログラムに従って、カメラ200およびレンズユニット100の各部を制御することで実行される。
【0037】
まずS300ではカメラ200の電源がオンの状態である。
【0038】
S301でカメラ制御部205はカメラ200の電源がオフに操作されたかを判定する。カメラ200の電源がオフにされたと判定した場合、S302へと進む。一方、電源がオンの場合はS301の判定が再度行われる。なお、S301でカメラの電源についてカメラ制御部205がオフの判定をしていない場合も一定時間(所定の時間)が経過する事で、カメラ制御部205の指示によりカメラ200の電源を内部的に落とすような仕様としてもよい。
【0039】
S302ではカメラ制御部205がレンズ制御部111に制御要求を行う。制御要求を受けたレンズ制御部111は絞り駆動回路121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ113を駆動させ、絞り羽根114a、114bの間隔が最小になるように絞りユニット114を小絞り状態に遷移させる。絞りユニット114が小絞り状態に遷移すると、S303へと進む。また、上述のS301にて説明したカメラ200の電源を内部的に落とす場合においても、カメラ制御部205がレンズ制御部111に制御要求を行い、絞りユニット114を小絞り状態に遷移させても良い。
【0040】
S303ではカメラ制御部205が、カメラ200の電源がオフの状態とする。したがって、S303で電源がオフの状態において絞りユニットは小絞り状態となっており、外光が撮像装置内のシャッタや撮像素子に照射されて劣化を引き起こすことを抑制できる。
【0041】
続いて、S304でカメラ制御部205はカメラ200の電源がオンに操作されたか否かを判定する。カメラ200の電源がオンにされたと判定した場合、S305に進み、それ以外ではS304における判定が再度行われる。なお、S304においてカメラ制御部205は電源オン操作の判定ではなく何かしらの釦の押下などを検出する事でカメラの電源を内部的に起動してS307以降の処理を実行してもよい。
【0042】
S305ではレンズユニット100とカメラ200が通信可能とするための通信ポートの初期化処理を行い、S306へ遷移する。
【0043】
S306ではカメラ制御部205が、レンズユニット100がカメラ200に装着されているのかどうかを判定し、装着されている場合にはS307に進む。なお、S306でレンズの装着有無について判定を行うのは、S303からS304の間の電源がオフの間にレンズが取り外されている場合があるからである。S306でレンズ100が装着されていないと判定した場合には、S311の処理へ遷移する。
【0044】
S307ではカメラ制御部205がレンズ制御部111に対し、レンズ通信部112、通信部208を通して、装着されているレンズユニット100の種別情報を送信するように要求する。レンズ制御部111は要求に応じて、装着されているレンズユニット100の種別情報をレンズ通信部112、通信部208を通して、カメラ制御部205に送信する。以上により、カメラ制御部205がレンズユニット100の種別情報を取得する。
【0045】
S308ではカメラ制御部205がカメラ200の不揮発性メモリ211からS307で取得したレンズユニット100の種別情報に基づく絞り羽根114a、114bがリセット位置に到達するまでにかかる処理時間Ta(駆動時間)を取得してS309に遷移する。なお、駆動時間取得の方法はこれに限らない。例えば、前述したレンズユニット100側の不揮発性メモリ127からレンズユニット100の種別情報に基づく絞り羽根114a、114bがリセット位置に到達するまでにかかる処理時間Taを取得してもよい。
【0046】
また、駆動時間Ta時間をカメラ200の不揮発性メモリ211のみに保持する場合、新たなレンズユニット100に関する情報をカメラ200の不揮発性メモリが保持していないことになる。そこで、新たなレンズユニット100の不揮発性メモリ127に駆動時間Taを保持しておき、S307においてレンズ制御部111と通信を行う際に駆動時間Taを取得する事でS310の処理を行うという構成としてもよい。
【0047】
ここで取得する駆動時間Taは、レンズユニット100の絞り羽根114a、114bがリセット位置に到達するまでにかかる時間で良い。また、開放位置に到達するまでの時間でも良い。ここで、本実施例における開放位置に到達するまでの時間とはレンズユニット100の絞り羽根114a、114bが小絞り状態から最初に開放位置に到達するまでの時間を指す。すなわち、リセット位置を経由してから開放位置に至った場合の時間ではないことに注意する。もしくは、レンズユニット100の絞り羽根114a、114bを小絞り状態から動かし、それ以降の測光の結果ライブビュー表示の品位が所定の条件に保たれる範囲であれば開放に到達するよりも短い時間でも良いものとする。ここでの開放位置とは、レンズユニット100の絞り羽根114a、114bの規定の絞り値が最小値となるときの位置を示す。また、リセット位置とは規定の絞り値が最小値になるよりもさらに外側にレンズ100の絞り羽根114a、114bを開いた状態の事を示している。ここでリセット位置の定義を行う理由としては、絞りユニット114のリセット処理を行う際に開放位置に留める前に一度リセット位置まで絞りユニット114を遷移させる処理を行っている撮像システムが存在する為である。
【0048】
ここでリセット処理について述べる。リセット処理とはレンズ100の絞り羽根114a、114bが小絞りの状態から、一度リセット位置まで駆動させた後に開放位置まで駆動させる一連の処理の事を指す。撮像装置に装着される着脱可能なレンズユニットは、フォーカスレンズおよび防振レンズおよび絞り羽根およびレンズ制御部などから構成されている。撮像装置は、様々なレンズユニットを装着可能である。しかしながらレンズユニットの中には撮像装置がレンズユニットを検出したあとリセット動作を必要とするものがある。このリセット動作では、フォーカスレンズの初期位置出しおよび防振レンズの初期位置出しおよび絞り羽根の初期位置出しを行う。各レンズの初期位置出しを行うことにより、正しいレンズ駆動制御を実現する。また、絞り羽根の初期位置出しとは絞り値が最小となる方向に開くことであり、絞り羽根を全開放側へ開く事により絞りの精度を保障している。さらに、これらの各処理はリセット処理開始から並列に処理され、それぞれの処理時間はレンズユニットのハード構成により異なる。
【0049】
続いてS309でレンズ制御部111はレンズ通信部112を介して、カメラ200からレンズユニット100のリセット要求コマンドを受信する。レンズ制御部111はA/D変換回路123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ113を駆動させる。そして絞りユニット114のリセット処理が開始され、S310に遷移する。
【0050】
S310では、カメラ制御部205がS309でリセット処理を開始してから処理時間Ta経過したかを判定する。処理時間Taが経過するとS311へと進み、カメラ200は撮像素子201を介した測光処理を開始する。
【0051】
S311では、カメラ制御部205が測光開始要求機能を持ち、画像処理部203に対して測光値を要求する。画像処理部203は撮像素子201にレンズユニット100の光学系を介して入射する光量により所定の演算処理(測光処理)を行い、取得した測光値をカメラ制御部205へと送信する。また、撮像素子201は、レンズユニット100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。A/D変換部202は、撮像素子201から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換したのち、画像処理部203へと出力する。上記処理が終わると、S312へと遷移する。
【0052】
なお、ステップS311の測光処理に遷移した時点でレンズ100の絞り羽根114a、114bのリセット処理は停止してもよい。その場合は、その後カメラ200にて自動、もしくはユーザの設定に基づいて設定される絞り値をもとにカメラ制御部205がレンズ制御部111に絞りの制御を行うように通信が行なわれる。一方、S310において処理時間Taが経過した後もレンズユニット100の絞り羽根114a、114bのリセット処理を継続してもよい。
【0053】
ここで、測光処理について述べる。通常、絞り羽根が開放する前に測光をした場合では、精度の高い測光結果を得ることが難しい。特に絞り羽根を開きながらの測光をした場合は測光処理がばらついてしまい十分な測光値が取得できない可能性が高い。このため、絞り羽根の開放処理の完了(小絞り状態からリセット位置を経由し、最終的に開放の位置に移動)に併せて測光処理を開始するのが一般的である。なお、本件は後述するようにカメラ200の起動の高速化を狙った仕様としている。
【0054】
S312では、画像処理部203はA/D変換部202から出力されたデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成する。そしてS311にて取得された測光値をもとに、画像処理部203は映像信号を表示部206に表示するためのライブビュー画像の準備を開始する。
【0055】
以上のフローにおいてS308にて取得する駆動時間Taは以下のようなものが好ましい。例えば小絞り状態からリセット位置を経由せず最初に開放位置に到達するまでの時間、S311における測光処理の結果としてライブビュー表示の品位が保たれる範囲であれば開放に到達するよりも短い時間である。この場合、絞りユニット114の絞りがリセット位置を経由してから開放位置に到達する前に測光処理を開始されることになる。その結果、絞りユニット114の絞りがリセット位置を経由してから開放位置に到達するのを待たずにライブビュー画像の準備を行う事が出来る。
【0056】
以下、
図4を参照してカメラ起動時のタイミングについて具体的に説明する。
【0057】
図4(a)では絞りユニット114が小絞り状態からリセット要求を受けて、開放位置、リセット位置へと遷移し、再び開放位置へと遷移した後にリセット完了を返すことをグラフで図示している。
図4(b)ではカメラの電源をオンにした時からカメラ200内で行われる主な起動処理について図示したものであり、絞りユニット114のリセット要求から絞り開放完了までの時間はT1~T2として図示されている。また、S308で保持するTa時間をレンズユニット100の絞り羽根114a、114bが開放に到達するまでの時間の場合を図示しており、
図4(a)のリセット要求からt2までの時間をTa時間とした場合の図である。
【0058】
図4(b)においてt2時間が経過した時点でS311の測光処理を開始すると、従来のカメラではT2で開始していた測光処理をT2aで開始する事が出来るようになる。すなわち、ライブビュー画像を表示するまでの時間がT3からT3aへと短縮する事を図示している。
【0059】
以上のように、本実施形態ではレンズユニット100の絞り開放処理(小絞り状態からリセット要求を受けて、開放位置、リセット位置へと遷移し、再び開放位置へと遷移するまでの処理)を全て待たずに測光を開始する。これにより、カメラ200のライブビュー表示の高速化を実現できる。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
100 レンズユニット(交換レンズ)
101 フィールドレンズ
102 ズームレンズ
103 防振レンズ
104 フォーカスレンズ
105 レンズ保持枠
106 レンズ保持枠
107 ステッピングモータ
108 ステッピングモータ
111 レンズマイクロコンピュータ
112 通信部(レンズ側)
113 絞りアクチュエータ
114 絞りユニット
115 ホール素子
119 ズーム駆動回路
120 フォーカス駆動回路
121 絞り駆動回路
122 増幅回路
123 A/D変換回路
125 防振駆動回路
126 防振アクチュエータ
127 不揮発性メモリ
130 マニュアルフォーカスリング
131 エンコーダセンサ
200 撮像装置本体
201 撮像素子
202 A/D変換部
203 画像処理部
204 記録部
205 カメラマイクロコンピュータ
206 表示部
207 表示倍率操作部
208 通信部(カメラ側)
211 不揮発性メモリ(カメラ)
300 マウント
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
該撮像装置に着脱可能かつ通信可能に装着される交換レンズ装置と、
前記交換レンズ装置との通信を行う通信手段と、
前記交換レンズ装置を含む光学系を介して被写体を撮像して画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段を制御する制御手段と、
前記交換レンズ装置の絞りの開放処理に要する時間のうち、前記交換レンズ装置の絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を取得する駆動時間取得手段と、を有し
前記制御手段は、該撮像装置の電源がオンにされ、前記通信手段が前記交換レンズ装置から絞りの開放処理の要求を受信した時点から前記駆動時間取得手段が取得した前記駆動時間だけ経過した時点で前記画像取得手段に測光処理を開始させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記所定の大きさは、前記交換レンズ装置の絞りが開放に到達する位置、リセット位置に到達する位置、開放処理の要求を受信した以降で前記画像取得手段による画像の取得の品位が所定の条件を満たす位置における絞りの大きさのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記交換レンズ装置は前記絞りを駆動する駆動手段を有し、
前記駆動手段は、該撮像装置の電源がオフにされる際に、前記絞りを第1の状態とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記交換レンズ装置は前記絞りを駆動する駆動手段を有し、
前記駆動手段は前記駆動時間が経過した後も前記交換レンズ装置の絞りの開放処理を継続することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を記憶する記憶手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を記録する記録手段をさらに有し、
前記通信手段は前記交換レンズ装置と通信を行い、装着されている前記交換レンズ装置の種別情報を取得し、
駆動時間取得手段は前記種別情報、および前記記録手段に記録された駆動時間をもとに該交換レンズ装置の絞りの駆動時間を取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記交換レンズ装置が該交換レンズ装置の絞りを第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を記録する記録手段をさらに有し、
前記駆動時間取得手段は、前記記録手段に記録された駆動時間を取得することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の状態は、前記絞りが小絞り状態であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像装置の制御方法であって、
該撮像装置に着脱可能かつ通信可能に装着される交換レンズ装置との通信を行う通信ステップと、
前記画像取得手段を制御する制御ステップと、
前記交換レンズ装置の絞りの開放処理に要する時間のうち、前記交換レンズ装置の絞りが第1の状態から所定の大きさまで開くまでの駆動時間を取得する駆動時間取得ステップと、
前記交換レンズ装置を含む光学系を介して被写体を撮像して画像を取得する画像取得ステップと、を有し
前記制御ステップにおいて、該撮像装置の電源がオンにされ、前記通信ステップにて前記交換レンズ装置から絞りの開放処理の要求を受信した時点から前記取得手段が取得した前記駆動時間だけ経過した時点で、画像取得ステップにおける測光処理を開始させることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項10】
前記撮像装置のコンピュータに、請求項9に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするプログラム。