(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162071
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ロボットハンド、ロボットハンドの制御方法、ロボットハンドを用いた物品の製造方法、制御プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B25J15/08 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077252
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】兼清 浩
(72)【発明者】
【氏名】江川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】北村 亨
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS27
3C707KS30
3C707KV12
3C707KX07
(57)【要約】
【課題】 ワークの検出が出来なくなる可能性を低減する。
【解決手段】 ワークを保持するロボットハンドにおいて、ワークと接触する、少なくとも2つの接触部と、ワークを検出するセンサと、を備え、接触部を互いに接触させた状態でセンサから発される要素が通過する経路が接触部に設けられている、ことを特徴とするロボットハンドを採用した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持するロボットハンドにおいて、
前記ワークと接触する、少なくとも2つの接触部と、
前記ワークを検出するセンサと、を備え、
前記接触部を互いに接触させた状態で前記センサから発される要素が通過する経路が前記接触部に設けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを前記接触部に保持させた状態において、前記要素が前記ワークまたは前記接触部と干渉する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項3】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを前記接触部に保持させた状態において、前記要素が前記ワークまたは前記接触部により遮られる、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項4】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記経路を前記要素が通過することにより、前記要素が前記接触部を貫通する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項5】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記経路は、前記接触部が互いに接近または離間する方向に対して角度が付けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項6】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを保持していない状態で前記接触部を接触させた場合の前記センサの検出結果に基づき、前記ロボットハンドの異常を検出する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項7】
請求項6に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを保持していない状態で前記接触部を接触させた場合に前記センサからの信号がOFFである場合、前記ロボットハンドに異常が発生していると判定する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項8】
請求項6に記載のロボットハンドにおいて、
前記ロボットハンドの異常は、前記接触部の変形、前記接触部の取り付け位置のズレ、前記センサの取り付け位置のズレ、の少なくとも1つである、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項9】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させた状態から前記接触部を接触させた状態まで動作させる場合における前記センサの検出結果に基づき、前記センサの異常を検出する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項10】
請求項9に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させた状態から前記接触部を接触させた状態まで動作させる場合に、前記センサの信号がONからOFFに遷移する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項11】
請求項10に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させた状態から前記接触部を接触させた状態まで動作させる場合に、前記センサの信号が常にON、または常にOFFである場合に、前記センサに異常が発生していると判定する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項12】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記センサは、発光部と受光部とを備え、
前記要素として、前記発光部から光が発光され、前記接触部が接触している場合、前記光は、前記経路を介して前記受光部に受光される、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項13】
請求項12に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させている場合、前記光は前記受光部に受光される、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項14】
請求項12に記載のロボットハンドにおいて、
前記発光部および前記受光部は位置を調整することが可能なように前記ロボットハンドに設けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項15】
請求項12に記載のロボットハンドにおいて、
前記発光部および前記受光部は前記ロボットハンドと一体化されている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項16】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部には、前記ワークと接触する部分に平面部とV字部とが設けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載のロボットハンドを用いて物品の製造を行うことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項18】
ワークを保持するロボットハンドの制御方法において、
前記ワークと接触する、少なくとも2つの接触部と、
前記ワークを検出するセンサと、を備え、
前記接触部を互いに接触させた状態で前記センサから発される要素が通過する経路が前記接触部に設けられており、
前記センサの検出結果に基づき、前記接触部を制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項19】
請求項18に記載の制御方法をコンピュータにより実行可能な制御プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の制御プログラムを格納した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場などの製造現場において、加工作業や組立作業の自動化に伴い、ロボットハンドを備えたロボット装置の需要が高まっている。このようなロボットハンドにおいては、ワークを把持していない状態で作業を実行してしまうことでサイクルタイムが伸びてしまうことを低減するため、ワークを正しく把持できているか確認するために、ワークの有無を検知する機能を備えていることが多い。下記に示す特許文献1では、把部品の有無検知を行うセンサの照射線が通る経路(光路窓)を把持爪先端に備えており、上記センサによりワークの有無を検知し、ワークを正しく把持できているか確認することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される把持装置では、例えばワーク形状などにより、把持爪の根元の方でワークを把持した場合、発光部41、受光部42を通る照射線にワークが干渉しなくなり、ワークの検出が出来なくなる場合がある。
【0005】
本発明は、ワークの検出が出来なくなる可能性を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はワークを保持するロボットハンドにおいて、前記ワークと接触する、少なくとも2つの接触部と、前記ワークを検出するセンサと、を備え、前記接触部を互いに接触させた状態で前記センサから発される要素が通過する経路が前記接触部に設けられている、ことを特徴とするロボットハンドを採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワークの検出が出来なくなる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態におけるロボットシステム1000の概略図である。
【
図2】実施形態におけるロボットハンド300の概略図である。
【
図3】実施形態における把持爪1、2の概略図である。
【
図4】実施形態における発光部3から受光部4へ照射される光の照射線3aを示した図である。
【
図5】実施形態におけるロボットハンド300による部品の有無の検出を説明するための図である。
【
図6】実施形態におけるロボットハンド300の異常を検出を説明するための図である。
【
図7】実施形態における発光部3と受光部4における異常の検出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に示す実施例を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す実施例はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、本実施形態で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。なお以下の図面において、図中の矢印X、Y、Zはロボットシステムの全体の座標系を示す。一般に、XYZ3次元座標系は、設置環境全体のワールド座標系を示す。その他、制御の都合などによって、ロボットハンド、指部、関節などに関して適宜ローカル座標系を用いる場合がある。
【0010】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るロボットシステム1000の模式図である。
図1において、ロボットシステム1000は、ロボット装置600と、ロボット装置600を制御する制御装置400と、を備える。制御装置400には、入力装置700が接続可能である。なお、
図1において、制御装置400及び入力装置700は、ブロックで示している。
【0011】
入力装置700は、例えばティーチングペンダントのような操作装置であってもよいし、ロボットプログラムを編集可能な他のコンピュータ装置、例えばPCやサーバであってもよい。入力装置700は、制御装置400に対して有線又は無線の通信接続手段を介して接続することができ、ユーザによるロボット装置600の操作を受け付けたり、ロボット装置600の状態を表示したりするなど、ユーザインターフェース機能を有する。
【0012】
制御装置400は、マイクロプロセッサなどを含むコンピュータにより構成され、ロボット装置600を制御することができる。制御装置400を構成するコンピュータは、
図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403を有する。さらに通信インターフェース(以下、「I/F」という)404などを含んで構成される。プロセッサであるCPU401は、制御部の一例である。
【0013】
ROM402には、プログラム410が記録されている。プログラム410は、ロボットハンド300、ロボットアーム200の制御方法を、コンピュータ、即ちCPU401に実行させるためのプログラムである。RAM403は、入力装置700から入力を受けた教示データや、制御指令などのデータを、一時的に記憶するのに用いられる。CPU401は、例えば入力装置700から送信された教示データや、ロボット装置600に搭載された各種センサからのデータをI/F404で受信することにより取得する。また、CPU401は、教示データに基づき、ロボット装置600の各軸の軌道を生成し、制御目標値としての指令を、I/F404を介してロボット装置600に送信することができる。
【0014】
なお、第1実施形態では、プログラム410はROM402に記録されているが、これに限定されるものではない。プログラム410はコンピュータによって読み取り可能な非一時的な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。プログラム410をコンピュータに供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性メモリ等を用いることができる。
【0015】
ロボット装置600は、ロボットアーム500と、ロボットアーム500に配置されたロボットハンド300と、を備える。ロボットハンド300は、ロボットアーム500の所定位置、例えばロボットアーム500の先端に装着されている。
図1ではリンク526にロボットハンド300が装着されている。ロボットハンド300は、把持対象物であるワークWを把持可能な把持爪1、2を有している。
【0016】
ロボットアーム500は、例えば垂直多関節のロボットアームである。ロボットアーム500は、作業台や定盤に固定されるベース部であるリンク520と、変位や力を伝達する複数のリンク521、522、523、524、525、526と、を有する。複数のリンク520~526は、複数の関節J1、J2、J3、J4、J5、J6で連結されている。これにより、各リンク521~526は、各関節J1~J6で旋回又は回転可能となっている。
【0017】
ロボットアーム500の各関節、ロボットハンド300の指部(保持部)には、これらを各々を駆動する駆動源としてのモータ、減速機、およびモータの回転角度を検出する位置検出手段としてのエンコーダがそれぞれ設けられている。なお、エンコーダの設置位置および出力方式は問わない。これらエンコーダからの値に基づき、各モータに対する制御指令を出力する。そして、各モータを駆動することで、ロボットアーム500を様々な姿勢にし、ロボットハンド300を様々な位置、姿勢に位置させ、指部を駆動させることで、ワークWに対する作業を実行することができる。なお、ロボットアーム500の各関節、ロボットハンド300の指部(保持部)に、力の情報を検出可能なセンサを設けても構わない。
【0018】
以上の構成により、ロボットアーム500によりロボットハンド300を任意の位置に動作させ、所望の作業を行わせることができる。例えば、ロボットアーム500およびロボットハンド300によりワークWを移動させ、被組立対象となる他のワークに接触させて組み付ける。こうすることで、ワークWと他のワークとを組み付けた物を成果物として物品の製造を行っても構わない。
【0019】
図2は本実施形態におけるロボットハンド300の概略図である。ロボットハンド300は、把持爪1、把持爪2を互いに接近または離間させ(開閉させ)、把持爪1、2を部品に接触させることにより、部品を把持することができる。把持爪1、2の接近動作、離間動作は駆動機構5により行われる。駆動機構5は、ガイド5a、ガイド5b、レール5c、ガイド5a、ガイド5bをレール5cに沿って動作させる不図示の駆動源を備えている。ガイド5aには把持爪1が設けられており、ガイド5bには把持爪2が設けられている。本実施形態では、駆動手段として、電流駆動または圧縮空気による駆動が挙げられるが、手段は問わない。また、本実施形態におけるロボットハンド300では、2つの把持爪で構成されているがその限りではなく、3つ以上の把持爪であっても構わない。
【0020】
また、本実施形態におけるロボットハンド300には、把持爪1、把持爪2で把持した部品を検知するためのセンサを備えている。センサは光を発光する発光部3と、発光部3からの光を受光する受光部4とを有している。受光部4が光の受光を検出することでセンサの信号として「ОN」となり、受光部4において光の受光が検出されない場合はセンサの信号として「OFF」となる。これらセンサの信号は、受光部4から、I/F404を介して制御装置400のCPU401に送信される。また、発光部3と受光部4とはブラケット8によりロボットハンド300に設けられている。
【0021】
図3は本実施形態におけるロボットハンド300により部品を把持した際のXZ平面図を示している。
図3(a)は薄物部品6を把持させている場合の図であり、
図3(b)は円筒部品7を把持させている場合の図である。
図3(a)に示すように、薄物部品6は、把持爪1、2の平面部1b、2bを使って把持する。また
図3(b)に示すように、円筒部品7は、把持爪1、2のV字部1c、2cを使って把持する。このように本実施形態では、把持爪1、2において、形状の異なる部位を備えさせている。これにより、薄物や円筒といった、様々な形状の部品を把持することが可能となる。また
図3(a)(b)より、発光部3から受光部4へ照射される光の照射線3aが通過する経路である照射線経路1a、2aが設けられている。照射線経路1a、2aの詳細については後述する。
【0022】
図4は本実施形態における発光部3から受光部4へ照射される光の照射線3aを示した図である。
図4ではロボットハンド300のXY平面図を示している。
図4(a)は把持爪1、2が互いに離間している状態の図、
図4(b)は把持爪1、2が接触している状態の図である。
図4(a)に示すように、把持爪1、2の駆動方向Aに対して、部品の有無検出を行う照射線3aは角度θをつけている。また
図4(b)に示すように、把持爪1、2が接触している状態でも発光部3からの光が受光部4に受光されるように、照射線経路1a、2aが設けられている。
図4(b)より、照射線経路1a、2aは、把持爪1、2が正常に接触した(閉じた)状態で照射線3aが通過するように設けている。すなわち、把持爪1、2が接触している状態であれば、発光部3からの光が、把持爪1、2を貫通する。上述のように本実施形態では、把持爪1、把持爪2が離間している状態、および把持爪1、把持爪2が接触している状態において、発光部3からの光が受光部4に受光できるように照射線経路1a、2aが設けられている。
【0023】
発光部3、受光部4は、駆動機構5の駆動により位置が変わらない部分に設置しており、発光部3と受光部4とは位置調整が可能となっている。発光部3と受光部4の位置があらかじめ定まるようにブラケット8を一体化することにより、照射線3aの軸合わせアライメントが不要な構成とすることも可能である。ブラケット8は、発光部3と受光部4の位置が定まるようにされていれば、一体部品でなくてもよい。また、照射線3aの軸合わせが完了した発光部3と受光部4の位置関係を保持した状態で、一体として照射線3aの位置を変えるようにしても構わない。
【0024】
図5は本実施形態におけるロボットハンド300による部品の有無の検出を説明するための図である。なお、部品の有無の検出は制御装置400のCPU401により実行されるものとする。
図5(a)は薄物部品6を把持した状態であり、
図5(b)は円筒部品7を把持した状態の図である。
図5(c)は円筒部品7が
図5(b)の状態から-Y方向へズレて把持された状態を示した図である。
図5では、XY平面図を示している。
【0025】
図5(a)に示すように、薄物部品6が把持されている場合には、薄物部品6が光の照射線3aを遮り、発光部3からの光が受光部4に届かなくなる。光が受光部4に受光されていないことを検出することにより、薄物部品6の有無検出を行うことができる。また
図5(b)に示すように、円筒部品7が把持されている場合には、把持爪1により光の照射線3aを遮り、発光部3からの光が受光部4に届かなくなる。光が受光部4に受光されていないことを検出することにより、円筒部品7の有無検出を行うことができる。
【0026】
また
図5(c)のように、円筒部品7が把持爪1、2に対してズレて把持された場合でも、把持爪1により光の照射線3aが遮られ(干渉し)、発光部3からの光が受光部4に届かなくなる。光が受光部4に受光されていないことを検出することにより、円筒部品7が把持爪1、2に対してズレて把持され、把持した部品が光に干渉しないような場合でも円筒部品7の有無検出を行うことができる。部品を把持していない場合は、
図4(b)に示すように、光の照射線3aが遮られない(干渉しない)、すなわち受光部4への光の受光を検出することにより、部品が把持されていないことの検出を行う。
【0027】
図6は本実施形態におけるロボットハンド300の異常を検出を説明するための図である。なお、ロボットハンド300の異常の検出は制御装置400のCPU401により実行されるものとする。
図6(a)は把持爪1、2のいずれかが変形した場合の図である。
図6(b)は把持爪1、2のガイド5a、5bいずれかの取り付け位置がズレた場合の図である。
図6(c)は発光部3または受光部4のいずれかがの取り付け位置がズレた場合の図である。
【0028】
図6(a)に示すように、把持爪1、2のいずれかが外乱等により変形した場合、光の照射線3aが照射線経路1a、2aを通過することができなくなり、把持爪1、2のいずれかにより光が遮られる。
図6(a)では、把持爪2がZ軸周りに変形した場合を例にしている。よって、部品の把持を指示していない状態で、把持爪1、2を互いに接近、接触させ、その状態で、発光部3からの光を受光部4が受光するか否か検出する。部品の把持を指示していないにも関わらず、受光部4において光が受光されない場合は、ロボットハンド300の異常として検出することが可能となる。
【0029】
次に
図6(b)に示すように、把持爪1、2のガイド5a、5bの取り付け位置がズレた場合、光の照射線3aが、照射線経路1a、2aを通過することができなくなり、把持爪1、2のいずれかにより光が遮られる。
図6(b)では、把持爪2のガイド5bがZ軸周りにズレた場合を例にしている。よって、部品の把持を指示していない状態で、把持爪1、2を互いに接近、接触させ、その状態で、発光部3からの光を受光部4が受光するか否か検出する。部品の把持を指示していないにも関わらず、受光部4において光が受光されない場合は、ロボットハンド300の異常として検出することが可能となる。
【0030】
次に
図6(c)に示すように、発光部3、受光部4のいずれかの取り付け位置がズレた場合、光の照射線3aが、照射線経路1a、2aを通過することができなくなり、把持爪1、2のいずれかにより光が遮られる。
図6(c)では、発光部3、受光部4の両方がZ軸周りに位置ズレしている状態を例にしている。よって、部品の把持を指示していない状態で、把持爪1、2を互いに接近、接触させ、その状態で、発光部3からの光を受光部4が受光するか否か検出する。部品の把持を指示していないにも関わらず、受光部4において光が受光されない場合は、ロボットハンド300の異常として検出することが可能となる。
【0031】
図7は本実施形態における発光部3と受光部4における異常の検出を説明するための図である。なお、発光部3と受光部4における異常の検出は制御装置400のCPU401により実行されるものとする。
図7(a)は把持爪1、2を互いに離間させることができるだけ離間させた(全開させた)状態を示している。
図7(b)は把持爪1、2を互いに接近させている状態を示している。
図7(c)は把持爪1、2を接触させた(全閉させた)状態を示している。
【0032】
図7(a)に示すように、把持爪1、2を互いに離間させることができるだけ離間させた(全開させた)状態では、光の照射線3aは遮られることなく、発光部3からの光が受光部4に受光される。よって把持爪1、2を互いに離間させることができるだけ離間させた(全開させた)状態では、センサの信号としては「ON」となる。そして
図7(a)の状態から
図7(b)のように、把持爪1、2を接近させると、把持爪1、2のいずれかにより光の照射線3aが遮られる状態が発生する。この状態となった場合、発光部3からの光が受光部4に受光されなくなり、センサの信号としては「OFF」となる。そして
図7(b)の状態からさらに把持爪1、2を互いに接近させると、
図7(c)のように接触させる。
図7(c)の状態では、発光部3からの光の照射線3aが、照射線経路1a、2aを通過する。これにより、発光部3からの光が受光部4に受光される。よって、把持爪1、2を接触させた状態では、センサの信号としては「OFF」となる。
【0033】
このように、把持爪1、2を互いに離間させることができるだけ離間させた(全開させた)状態から、把持爪1、2を接触させた(全閉させた)状態までを1サイクルとする。その場合、発光部3、受光部4が正常である場合、そのサイクル中の動作において、センサの信号が「ON」から「OFF」になる状態が発生する。しかしながら、そのサイクル中の動作において、センサの信号が常に「ОN」状態であったり、センサの信号が常に「OFF」状態である場合には、発光部3または受光部4において異常が発生していることを検出することが可能となる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、部品と接触する接触部としての把持爪1、2に、部品の有無を検出するためのセンサが発する要素(本実施形態では光)が通過する経路を設けている。さらに、その経路は、把持爪1、2が接触している状態であれば、それぞれの経路が接続され、部品の有無を検出するためのセンサが発する要素が通過できるようになっている。これにより、部品を把持している状態であれば、センサが発する要素が、部品または接触部により遮られることになる。これにより、部品の把持の状態によっては、センサが発する要素が部品によって遮られない場合でも、接触部が要素を遮るので、部品の検出が出来なくなる可能性を低減することが可能となる。また、本実施形態では、センサが発する要素が、接触部が互いに接近する方向または離間する方向において角度を付けて発されるようにしている。これにより、接触部が部品と接触する部分の大部分を検出範囲としてカバーすることができるので、部品の検出が出来なくなる可能性をさらに低減することが可能となる。また、1つのセンサで様々なワークの検出ができ、ロボットハンド300のサイズアップやコストアップの可能性を低減することが可能となる。
【0035】
また本実施形態では、把持爪1、2が接触している状態であればセンサが発する要素が通過できるようにし、センサが発する要素が接触部に遮られるようにしている。こうすることで、センサの検出結果に基づき、ロボットハンド300の異常を検出(判定)するこが可能となる。部品の把持を指示していない状態で接触部を接触させ、受光部4に光が受光されなければ、ロボットハンド300の異常として検出することができる。また、接触部を離間させた状態から接触部を接触させた状態に遷移させる動作を実行させ、その動作において、センサの信号の「ON」「OFF」の遷移を検出することで、発光部3または受光部4の異常を検出することが可能となる。なお、本実施形態では、部品の有無の検出のためのセンサとして、光を用いたセンサを例に説明したが、これに限られない。例えば、接触部に設ける、センサが発する要素が通過する経路を通過できるほどの直進性、部品または接触部により遮られること、が担保されるセンサであれば良く、音や電波などの要素を用いても構わない。また、上述の種々の実施形態および変形例を本実施形態およびまたは本変形例と組み合わせて実施しても構わない。
【0036】
(その他の実施形態)
以上述べた実施形態の処理手順は具体的には制御装置400のCPU401により実行されるものである。従って上述した機能を実行可能なソフトウェアの制御プログラムを記録した記録媒体を読み出して実行するように構成することもできる。この場合、記録媒体から読み出された制御プログラム自体が上述した各実施形態の機能を実現することになり、制御プログラム自体およびその制御プログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0037】
また、各実施形態では、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が各ROM或いは各RAM或いは各フラッシュROMであり、ROM或いはRAM或いはフラッシュROMにプログラムが格納される場合について説明した。しかしながら本発明はこのような形態に限定されるものではない。本発明を実施するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。また画像処理制御装置30の機能を搭載した撮像装置により実施しても構わない。
【0038】
また上述した種々の実施形態では、ロボットアーム200が複数の関節を有する多関節ロボットアームを用いた場合を説明したが、関節の数はこれに限定されるものではない。ロボットアームの形式として、垂直多軸構成を示したが、水平多関節型、パラレルリンク型、直交ロボットなど異なる形式の関節においても上記と同等の構成を実施することができる。
【0039】
また上述した種々の実施形態は、制御装置に設けられる記憶装置の情報に基づき、伸縮、屈伸、上下移動、左右移動もしくは旋回の動作またはこれらの複合動作を自動的に行うことができる機械に適用可能である。
【0040】
なお本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。また、上述の種々の実施形態および変形例を組み合わせて実施しても構わない。
【0041】
また本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
【0042】
(構成1)
ワークを保持するロボットハンドにおいて、
前記ワークと接触する、少なくとも2つの接触部と、
前記ワークを検出するセンサと、を備え、
前記接触部を互いに接触させた状態で前記センサから発される要素が通過する経路が前記接触部に設けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0043】
(構成2)
構成1に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを前記接触部に保持させた状態において、前記要素が前記ワークまたは前記接触部と干渉する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0044】
(構成3)
構成1または2に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを前記接触部に保持させた状態において、前記要素が前記ワークまたは前記接触部により遮られる、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0045】
(構成4)
構成1から3のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、
前記経路を前記要素が通過することにより、前記要素が前記接触部を貫通する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0046】
(構成5)
構成1から4のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、
前記経路は、前記接触部が互いに接近または離間する方向に対して角度が付けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0047】
(構成6)
構成1から5のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを保持していない状態で前記接触部を接触させた場合の前記センサの検出結果に基づき、前記ロボットハンドの異常を検出する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0048】
(構成7)
構成6に記載のロボットハンドにおいて、
前記ワークを保持していない状態で前記接触部を接触させた場合に前記センサからの信号がOFFである場合、前記ロボットハンドに異常が発生していると判定する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0049】
(構成8)
構成6または7に記載のロボットハンドにおいて、
前記ロボットハンドの異常は、前記接触部の変形、前記接触部の取り付け位置のズレ、前記センサの取り付け位置のズレ、の少なくとも1つである、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0050】
(構成9)
構成1から8のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させた状態から前記接触部を接触させた状態まで動作させる場合における前記センサの検出結果に基づき、前記センサの異常を検出する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0051】
(構成10)
構成9に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させた状態から前記接触部を接触させた状態まで動作させる場合に、前記センサの信号がONからOFFに遷移する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0052】
(構成11)
構成10に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させた状態から前記接触部を接触させた状態まで動作させる場合に、前記センサの信号が常にON、または常にOFFである場合に、前記センサに異常が発生していると判定する、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0053】
(構成12)
構成1から11のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、
前記センサは、発光部と受光部とを備え、
前記要素として、前記発光部から光が発光され、前記接触部が接触している場合、前記光は、前記経路を介して前記受光部に受光される、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0054】
(構成13)
構成12に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部を離間させている場合、前記光は前記受光部に受光される、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0055】
(構成14)
構成12または13に記載のロボットハンドにおいて、
前記発光部および前記受光部は位置を調整することが可能なように前記ロボットハンドに設けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0056】
(構成15)
構成12または13に記載のロボットハンドにおいて、
前記発光部および前記受光部は前記ロボットハンドと一体化されている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0057】
(構成16)
構成1から15のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、
前記接触部には、前記ワークと接触する部分に平面部とV字部とが設けられている、
ことを特徴とするロボットハンド。
【0058】
(方法17)
構成1から16のいずれか1項に記載のロボットハンドを用いて物品の製造を行うことを特徴とする物品の製造方法。
【0059】
(方法18)
ワークを保持するロボットハンドの制御方法において、
前記ワークと接触する、少なくとも2つの接触部と、
前記ワークを検出するセンサと、を備え、
前記接触部を互いに接触させた状態で前記センサから発される要素が通過する経路が前記接触部に設けられており、
前記センサの検出結果に基づき、前記接触部を制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【0060】
(構成19)
方法18に記載の制御方法をコンピュータにより実行可能な制御プログラム。
【0061】
(構成20)
構成19に記載の制御プログラムを格納した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、部品形状によらず正確に部品を把持でき、1つのセンサで様々な部品の有無検知ができるため、各種分野の汎用チャック機構に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、2 把持爪
1a、2a 照射線経路
1b、2b 平面部
1c、2c V字部
3 発光部
3a 光の照射線
4 受光部
5 駆動機構
5a、5b ガイド
5c レール
6 薄物部品
7 円筒部品
8 ブラケット
300 ロボットハンド
400 制御装置
500 ロボットアーム
520、521、522、523、524、525、526 リンク
600 ロボット装置
700 入力装置
1000 ロボットシステム