(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162075
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】蝦蟇口及び蝦蟇口の製造方法
(51)【国際特許分類】
A45C 1/02 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A45C1/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077258
(22)【出願日】2023-05-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】523171593
【氏名又は名称】猪股 龍世
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【弁理士】
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】猪股 龍世
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA01
3B045CE02
3B045CE08
3B045DA45
3B045EA02
3B045EB01
(57)【要約】
【課題】収納物の特徴を視認しやすく取り出しやすい蝦蟇口及び蝦蟇口の製造方法を提供する。
【解決手段】口金を構成する第1フレーム21a及び第2フレーム21bと、第1フレーム21aに接続された第1上辺、第1上辺に連続する第1側辺、第1側辺に連続する第1底辺、第1底辺に連続し第1上辺に連続する第2側辺を有する第1主面部11aと、第2フレーム21bに接続された第2上辺、第2上辺に連続し第1側辺に対峙する第3側辺、第3側辺に連続し第1底辺に対峙する第2底辺、第2底辺に連続し第2側辺に対峙し、第2上辺に連続する第4側辺を有する第2主面部11bと、第1側辺、第1底辺及び第1側辺に連続して縫合された第1端辺面が、第3側辺、第2底辺及び第4側辺に連続して縫合された第1端辺面に対合する形状安定化機構13を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレームと、
前記第1フレームと同一形状、同一寸法で、前記第1フレームと共に、収納物を出し入れするために開閉する口金を構成する第2フレームと、
前記第1フレームに接続された第1上辺、前記第1上辺の一方の頂点に連続する第1側辺、該第1側辺に連続する第1底辺、該第1底辺に連続し且つ前記第1側辺に対向して前記第1上辺の他方の頂点に連続する第2側辺を有する第1主面部と、
前記第2フレームに接続された第2上辺、該第2上辺に連続し且つ前記第1側辺に対峙する第3側辺、該第3側辺に連続し且つ前記第1底辺に対峙する第2底辺、該第2底辺に連続し且つ前記第2側辺に対峙し、更に前記第2フレームの他方の頂点に連続する第4側辺を有し、前記第1主面部と共に前記収納物を収納する袋体を形成する第2主面部と、
前記第1側辺、前記第1底辺及び前記第2側辺に連続して縫合された第1端辺面が、前記第3側辺、前記第2底辺及び前記第4側辺に連続して縫合された第2端辺面に対合することにより、筒状をなす形状安定化機構と、
を備えることを特徴とする蝦蟇口。
【請求項2】
前記第1主面部と前記第2主面部の対合部分が接着され固定されていることを特徴とする請求項1に記載の蝦蟇口。
【請求項3】
前記形状安定化機構の長手方向の両端が、前記口金の両端の2つの蝶番部によりそれぞれ前記袋体の内部方向に押圧されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蝦蟇口。
【請求項4】
第1端辺面及び第2端辺面が長手方向に平行な断面に現れる帯状部材、並びに互いに同一形状の第1及び第2主面部を用意する工程と、
前記第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し前記第1側辺に対峙する第2側辺に至る前記第1主面部の周辺部の端面と前記第1端辺面が揃うように設定して、前記第1主面部の周辺部の端面と前記第1端辺面を縫合する工程と、
前記第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し前記第3側辺に対峙する第4側辺に至る前記前記第2主面部の周辺部の端面と前記第2端辺面が揃うように設定して、前記第2主面部の周辺部の端面と前記第2端辺面を縫合して中間生成物を形成する工程と、
前記中間生成物の内側が外側になるように裏返し、前記第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し前記第1側辺に対峙する第2側辺に至る前記第1主面部の周辺部の端面と前記第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る前記前記第2主面部の周辺部の端面とを対合し、且つ前記第1端辺面と前記第2端辺面を対合させて筒状の形状安定化機構を成形する工程と、
前記裏返す工程の後、前記第1底辺に対向する前記第1主面部の第1上辺に第1フレームを取り付け、前記第2底辺に対向する前記第2主面部の第2上辺に第2フレームを取り付ける工程と
を含むことを特徴とする蝦蟇口の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小銭入れや小物入れ等として使用する蝦蟇口及び蝦蟇口の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蝦蟇口とは、口金のついた袋物の総称であり、内部に小銭や小物を収納して使用される。蝦蟇口の使用頻度が高いものとして小銭入れがあるが、例えば特許文献1に示すような通常の作りの蝦蟇口では、蝦蟇口の内部の底面(内底)に十分な幅(マチ)がなく、且つ、内縫いの縫い代により内底に突起が生じるため、複数の硬貨がそれぞれ立った状態で重なってしまい、硬貨の種類が一見して判別しにくい。特に、現行の50円玉(径21.0mm)と100円玉(径22.6mm)は大きさや色が似通っており、硬貨の表面又は裏面を目視で確認しなければ判別しにくいものである。また、現行の5円玉(径22.0mm)と10円玉(径23.5mm)についても、明るい所では色による判別がしやすいが、蝦蟇口等の内部等の陰の生じている所であれば、互いに判別がつきにくい場合があり、硬貨の表面又は裏面を目視で確認することが必要となることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点を解消するためになされたものであって、本発明の目的は、複数の硬貨の表面又は裏面等の収納物の特徴を視認しやすくし、取り出しやすくする蝦蟇口及び蝦蟇口の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、(a)第1フレームと、(b)第1フレームと同一形状、同一寸法で、第1フレームと共に、収納物を出し入れするために開閉する口金を構成する第2フレームと、(c)第1フレームに接続された第1上辺、第1上辺の一方の頂点に連続する第1側辺、この第1側辺に連続する第1底辺、この第1底辺に連続し且つ第1側辺に対向して第1上辺の他方の頂点に連続する第2側辺を有する第1主面部と、(d)第2フレームに接続された第2上辺、この第2上辺に連続し且つ第1側辺に対峙する第3側辺、この第3側辺に連続し且つ第1底辺に対峙する第2底辺、この第2底辺に連続し且つ第2側辺に対峙し、更に第2フレームの他方の頂点に連続する第4側辺を有し、第1主面部と共に収納物を収納する袋体を形成する第2主面部と、(e)第1側辺、第1底辺及び第2側辺に連続して縫合された第1端辺面が、第3側辺、第2底辺及び第4側辺に連続して縫合された第2端辺面に対合することにより、筒状をなす形状安定化機構、を備える蝦蟇口であることを要旨とする。
【0006】
本発明の第2の態様は、(a)第1端辺面及び第2端辺面が長手方向に平行な断面に現れる帯状部材、並びに互いに同一形状の第1及び第2主面部を用意する工程と、(b)第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し第1側辺に対峙する第2側辺に至る第1主面部の周辺部の端面と帯状部材の第1端辺面が揃うように設定して、第1主面部の周辺部の端面と帯状部材の第1端辺面を縫合する工程と、(c)第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し第3側辺に対峙する第4側辺に至る第2主面部の周辺部の端面と帯状部材の第2端辺面が揃うように設定して、第2主面部の周辺部の端面と帯状部材の第2端辺面を縫合して中間生成物を形成する工程と、(d)中間生成物の内側が外側になるように裏返し、第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る第1主面部の周辺部の端面と第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る第2主面部の周辺部の端面とを対合し、且つ帯状部材の第1端辺面と第2端辺面を対合させて筒状の形状安定化機構を成形する工程と、(e)裏返す工程の後、第1底辺に対向する第1主面部の第1上辺に第1フレームを取り付け、第2底辺に対向する第2主面部の第2上辺に第2フレームを取り付ける工程を含む蝦蟇口の製造方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の硬貨の表面又は裏面等の収納物の特徴を視認しやすくし、取り出しやすくする蝦蟇口及び蝦蟇口の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る蝦蟇口1の開状態の平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る蝦蟇口1の閉状態の斜視図である。
【
図3】
図3(a)は第1実施形態に係る蝦蟇口1の閉状態の正面図であり、
図3(b)は
図3(a)のA-A方向から見た断面図である。
【
図4】
図3(a)は第1実施形態に係る蝦蟇口1の閉状態の右側面図であり、
図3(b)は第1実施形態に係る蝦蟇口1の開状態の右側面図である。
【
図5】第1実施形態に係る蝦蟇口1の閉状態の底面図である。
【
図6】第1実施形態に係る蝦蟇口1の閉状態の平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る蝦蟇口1の製造に用いる中間生成物の斜視図である。
【
図8】
図8(a)は第1実施形態に係る蝦蟇口1の製造に用いる中間生成物の右側面図であり、
図8(b)は第1実施形態に係る蝦蟇口1の製造に用いる中間生成物の底面図である。
【
図9】
図9(a)は
図7のA-A方向から見た断面図であり、
図9(b)は
図9(a)のA部分の拡大図である。
【
図10】第1実施形態に係る蝦蟇口1の正面図であり、立体構造を説明する模式図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る蝦蟇口2の開状態の平面図である。
【
図12】第2実施形態に係る蝦蟇口2の閉状態の斜視図である。
【
図13】
図13(a)は第2実施形態に係る蝦蟇口2の閉状態の正面図であり、
図13(b)は
図13(a)のA-A方向から見た断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る蝦蟇口2の閉状態の右側面図である。
【
図15】第2実施形態に係る蝦蟇口2の製造に用いる中間生成物の斜視図である。
【
図16】
図16(a)は第2実施形態に係る蝦蟇口2の製造に用いる中間生成物の右側面図であり、
図16(b)は第2実施形態に係る蝦蟇口2の製造に用いる中間生成物の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2実施形態を詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意するべきである。したがって、具体的な構造等の寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。又、以下に示す本発明の第1及び第2実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための部材の構造や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る蝦蟇口1は、
図1~
図6に示すように、物品(収納物)を出し入れするために開閉する口金(21a,21b)と、この口金(21a,21b)に接続されて袋体(収納空間)を形成する袋状部(11a,11b)と、袋状部(11a,11b)の一部に結合した形状安定化機構13から構成される。口金(21a,21b)は、
図1に示すように、第1フレーム21aと第2フレーム21bを有する。第1フレーム21a及び第2フレーム21bのそれぞれの長手方向に定義される一方の端部(
図1の上側の端部)は、第1蝶番部23aによって、回転自在に回転中心の位置が固定される。同様に、第1フレーム21a及び第2フレーム21bのそれぞれの長手方向に定義される他方の端部(
図1の下側の端部)は、第2蝶番部23bによって、回転自在に回転中心の位置が固定され、蝦蟇口1の開口部としての機能を果たす。
【0011】
袋状部(11a,11b)は、口金(21a,21b)を介して出し入れされる収納物を収納する。袋状部(11a,11b)は、
図1及び
図3(b)に示すように、第1フレーム21aに第1上辺を接続した第1主面部11aと、第2フレーム21bに第2上辺を接続し、第1主面部11aと同一形状で、第1主面部11aと互いに鏡像関係となるように対向して、内部に収納空間を有する袋体を形成する第2主面部11bを有する。第1主面部11aは、頂点が第1上辺の一方の頂点(第1フレーム21aの長手方向に定義される一方の端部)に接続される第1側辺、頂点が第1上辺の他方の頂点(第1フレーム21aの長手方向に定義される他方の端部)に接続され第1側辺に対向する第2側辺、及び第1主面部11aの第1側辺と第2側辺のそれぞれに連続する辺をなす第1底辺を有する。第1主面部11aと鏡像関係となるように対をなす第2主面部11bは、頂点が第2上辺の一方の頂点(第2フレーム21bの長手方向に定義される一方の端部)に接続され第1側辺に対峙する第3側辺、頂点が第2上辺の他方の頂点(第2フレーム21bの長手方向に定義される他方の端部)に接続され第2側辺に対峙する第4側辺、及び第3側辺と第4側辺のそれぞれに連続する辺をなし第1底辺に対峙する第2底辺を有する。
【0012】
第1主面部11aに対し第2主面部11bが互いに鏡像関係となるように向き合うことにより、第1主面部11aの第1側辺は、隣接して対峙する第3側辺に近接して第3側辺と連続している。同様に、第1主面部11aが第2主面部11bと向き合うことにより、第2側辺は、隣接して対峙する第4側辺に近接することになり、第4側辺と連続している。又、第1底辺は、隣接して対峙する第2底辺に近接することにより第2底辺と連続している。第1主面部11aと、この第1主面部11aに対をなす第2主面部11bが互いに鏡像関係となるように向き合って、周辺部を連続的に接続することによって、第1主面部11aと第2主面部11bの間に収納空間を構成するように、袋体を形成している。
【0013】
第1実施形態に係る蝦蟇口1において、形状安定化機構13は蝦蟇口の形状の安定化を実現する。形状安定化機構13の長手方向に直交する断面の構造は、実際には、
図3(b)に示すように中空を有さずに潰れた筒状である。
図3(b)に示す断面図上において、筒状の短軸方向に沿って対向する二つの側面のうち、一方の側面が、第1主面部11aと第2主面部11bの対合面17に沿って連続的に接続されている。しかし、
図9(b)等に示すように中間生成物状態における形状安定化機構13の構造は、断面形状が半円状に開いた構造である。中間生成物状態における形状安定化機構13は、
図7~
図9等に示すように、半円の第1端辺面13aが第1主面部11aの周辺部に沿って連続的に接続され、第2端辺面13bは第2主面部11bの周辺部に沿って連続的に接続される。一方、
図3(b)等から分かるように、完成品状態の形状安定化機構13の断面の構造は、楕円というよりも、陸上競技場のトラックのような、長方形の両側の短辺が半円であるオーバルに近い形状である。オーバルに近い断面形状において、形状安定化機構13を構成する筒状の対向する2面のうち、袋状部(11a,11b)に接する1面のみが、第1主面部11a及び第2主面部11bのそれぞれに縫合され、袋状部(11a,11b)に連続的に固定されている。
【0014】
第1フレーム21a及び第2フレーム21bは、第1蝶番部23a及び第2蝶番部23bに設けられた回転軸を支点(回転の中心軸)として回転移動可能なように、第1フレーム21a及び第2フレーム21bのそれぞれの長手方向の両端部において、回転中心の位置を固定されている。このため、第1蝶番部23a及び第2蝶番部23bを軸として、第1フレーム21aと第2フレーム21bの間が変化し、蝦蟇口1の口金(21a,21b)として機能する。第1実施形態においては、第1フレーム21aと第2フレーム21bの間が開いた状態、すなわち蝦蟇口1が開いた状態を「開状態」とし、第1フレーム21aと第2フレーム21bの間が閉じた状態、すなわち蝦蟇口1が閉じた状態を「開状態」とする。第2実施形態においても同様である。
【0015】
第1実施形態に係る第1フレーム21a及び第2フレーム21bには、
図1等に示すように、それぞれの中央付近に飾り玉付きのつまみが固定されており、このつまみが互いに噛み合うことにより、口金(21a,21b)を閉じることができる。第1蝶番部23aの回転中心と第2蝶番部23bの回転中心を結ぶ中心線に対し、中心線に垂直な面内で定義される、開状態における第1フレーム21a又は第2フレーム21bのつまみの位置が成す回転角は任意に設定可能である。第1フレーム21a及び第2フレーム21bのそれぞれは、
図1等に示すような「和櫛の胴」の外形に似たアーチ型の形状であってもよいし、角型や角丸型等の他の形状であってもよい。第1フレーム21aの第1主面部11aへの固定方法、及び第2フレーム21bの第2主面部11bへの固定方法は、カシメ(圧着)であってもよいし、縫い付けであっても、その他の方法であってもよい。
図2及び
図4(a)に示すように、第1蝶番部23a及び第2蝶番部23bは、閉状態においては、袋状部(11a,11b)の内部にあり隠れているが、
図1及び
図4(b)に示す開状態となると袋状部(11a,11b)の内部から隆起して見えるようになる。
【0016】
第1実施形態に係る第1主面部11a及び第2主面部11bは同一の曲面形状である。袋状部(11a,11b)並びに第1フレーム21a及び第2フレーム21bの形状が、第1実施形態に係る蝦蟇口1の全体形状の概略の形状を決めるが、第1主面部11a及び第2主面部11bの形状は任意である。第1上辺と第2上辺が互いに対向して蝦蟇口の開口部となり、第1側辺と第3側辺、第2側辺と第4側辺及び第1底辺と第2底辺のそれぞれの端面が対合(互いに対をなして向き合って結合)して袋体を形成するものであれば、第1主面部11a及び第2主面部11bは、いずれの形状であってもよい。第1側辺と第3側辺、第2側辺と第4側辺及び第1底辺と第2底辺のそれぞれの端面が、互いに対をなして向き合って結合(対合)する部分は、
図1等に示すように対合面17となる。対合面17においては、対峙している端面(以下において「対峙端面」という。)同士が接着剤等により分離不可能に固定されていてもよいし、分離可能となるように固定されていなくともよい。対合面17の対峙端面同士が固定されていない場合であっても、内部構造に依拠した押圧力が互いを接合させる方向に発生しているので、第1実施形態に係る蝦蟇口1の使用においては容易に分離されるものではない。内部構造に依拠した押圧力は、後述する製造工程の裏返し処理に由来し、対峙端面に互いに逆向きに発生する力である。袋状部(11a,11b)の内部は収納空間となり、第1実施形態においてはこの収納空間の底を「内底」と定義する。
【0017】
第1実施形態に係る袋状部(11a,11b)は、
図1及び
図3(b)等に破線で縫合状態を模式的に示すように、第1縫製糸15a及び第2縫製糸15bにより、形状安定化機構13と互いに固定されている。第1縫製糸15a及び第2縫製糸15bは、
図1に示すように、開状態における蝦蟇口1の内底において視認可能であり、蝦蟇口1の外側からはほとんど見えない。第1実施形態に係る蝦蟇口1において縫合を施しているのは、袋状部(11a,11b)への形状安定化機構13の取付部分のみであるので、蝦蟇口1の外側からは縫製糸はほとんど見えない状態である。
【0018】
形状安定化機構13の構造についても、第1主面部11a及び第2主面部11bの対合面17と同様に、第1端辺面13a及び第2端辺面13bが接着剤等により分離不可能に固定されていてもよいし、分離可能となるように固定されていなくともよい。形状安定化機構13は、円環状の断面の一部に第1端辺面13aと第2端辺面13bの境界面が長手方向に延長するが、第1端辺面13aと第2端辺面13bが固定されていない場合であっても、第1実施形態に係る蝦蟇口1の使用においては、第1端辺面13aと第2端辺面13bは容易に分離されるものではない。第1端辺面13aと第2端辺面13bには、製造工程の裏返し処理に由来した内部構造による押圧力が互いを接合させる方向に発生するからである。
【0019】
形状安定化機構13は、
図3(b)においては、対向する2面同士が接した中身の詰まった構造を例示しているが、オーバル状の断面の内部に隙間をわずかに有する中空構造でもよい。
図3(b)に示すように、形状安定化機構13の断面の対向する2面のうち袋状部(11a,11b)に接する1面(
図3(b)における上側の面)のみが、
図9(b)に示すように、第1主面部11a及び第2主面部11bの周辺部のそれぞれに縫合され固定されている。
図1、2、4~6に示すように、形状安定化機構13のうち外側から視認できる部分が、第1実施形態に係る蝦蟇口1の見かけ上の「外底(本体外周)」となる。第1実施形態に係る袋状部(11a,11b)及び形状安定化機構13の素材については皮革であればいずれでもよいが、好ましくは、程よい硬さと柔らかさを有するヤギ革である。
【0020】
-第1実施形態に係る蝦蟇口1の製造方法-
まず、同一形状の第1主面部11a及び第2主面部11b、並びに、第1端辺面及び第2端辺面が長手方向に平行な断面に現れる帯状部材である形状安定化機構13を用意する。第1主面部11aは、例えば
図7に示す平面形状であり、第1主面部11aの第1上辺は、口金を固定できる形状であればいずれでもよく、第2主面部11bについても同様である。そして、第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る周辺部において、
図9(b)に示すように、第1主面部11aの周辺部の端面と形状安定化機構13の長手方向に平行な断面に現れる第1端辺面13aを揃える。そして第1主面部11aの周辺部に沿って、第1端辺面13aに近い周辺部を第1縫製糸15aで第1主面部11aの周辺部に縫合して固定する。
【0021】
次に、第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る周辺部において、
図9(b)に示すように、第2主面部11bの周辺部の端面と形状安定化機構13の長手方向に平行な断面に現れる第2端辺面13bを揃える。そして第2主面部11bの周辺部に沿って、第2端辺面13bに近い周辺部を第2縫製糸15bで第2主面部11bの周辺部に縫合して固定する。この段階で、
図7に示すように、第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る周辺部と、第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る周辺部が対合することにより、第1端辺面13aと第1主面部11aの周辺部とが縫合され、第2端辺面13bと第2主面部11bの周辺部が縫合された「中間生成物」が形成される。中間生成物の段階では、
図7~9に示すように、帯状の形状安定化機構13の断面構造は、第1主面部11a及び第2主面部11bのなす平行平板構造の内側に凸となって挿入される半円状である。
【0022】
次に、中間生成物の内側が外側になるように、中間生成物を裏返す。即ち、
図7に示す構造の中間生成物を裏返すと、第1主面部11aの第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る周辺部の端面と、第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る周辺部の端面が対合(互いに対向して向き合って結合)した袋体として、
図1~
図3等に示した袋状部(11a,11b)が形成されるとともに、対合面17を生じる。中間生成物を裏返すことにより、袋状部(11a,11b)が形成されると同時に、半円形状の状態では両側に位置した第1端辺面13aと第2端辺面13bが互いに向き合って接触し、潰れた筒状(オーバル状)の断面を有する形状安定化機構13に成形される。中間生成物を裏返すことにより、
図7の第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る周辺部において縫合した第1端辺面13aと、第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る周辺部において縫合した第2端辺面13bが、対合面17の下部で対合する。このため、
図1等に示すように、対合面17が内底を切るエッジとして、対合面17の端部が内底に線状に現れる。
【0023】
即ち、形状安定化機構13は、中間生成物の段階では、
図9(b)に示すように、第1折返し部に位置する第1端辺面13a、第2折返し部に位置する第2端辺面13b及び中央に位置する露出部13cの半円状の連続体の構成になっている。しかし、中間生成物を裏返すことにより、第1端辺面13a及び第2端辺面13bが、環状に曲がって互いの距離が短くなることで対合し、筒状の断面形状に成形される。裏返した状態では、
図9(b)の露出部13cが張力がかかった状態で露出し、外側から形状安定化機構13として視認できる部分となる。即ち、露出部13cが、蝦蟇口1の見かけ上の本体外周の中心線に位置する形状安定化機構13として視認される。対合面17や形状安定化機構13の対合部分(接触部分)を固定する場合は、この中間生成物を裏返す工程において固定してもよい。最後に、裏返した状態における開口部となる第1上辺に第1フレーム21aを、第2上辺に第2フレーム21bを取り付けると、蝦蟇口1が完成する。
【0024】
-形状の安定化-
裏返した完成品の状態においては、対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)を、それぞれ適切に接合して固定し、安定して内底の奥行きを確保する必要がある。対合面17及び形状安定化機構13のそれぞれの対合部分(接触部分)が適切にいずれの箇所でも正確に位置合わせされた場合は、完成品の状態の内底の平坦状態の安定化、ひいては蝦蟇口1の全体形状の安定化をもたらす。対合面17のみに焦点を当てると、蝦蟇口1は、中間生成物を裏返して形成するために、対合面17で内底が折れ曲がってしまい、第1主面部11aと第2主面部11bとでV字型を形成してしまいやすい。即ち、内底における対合面17の沈み込みが起こりやすい。内底における対合面17が沈み込むのは、対合面17の対峙端面同士の全面が接触して筒状を形成せず、対峙端面のそれぞれの一部分のみで接触することや、対合面17の対峙端面同士の全面が接触していたとしても、対合面17の下部の形状安定化機構13の対合部分の一部が接触していないこと等が原因である。対峙端面同士の一部分のみで接触することになると、裏返し状態がなす完成品としての蝦蟇口1の全体形状は不安定となる。
【0025】
裏返す工程で、筒状の断面形状に成形された形状安定化機構13は、裏返す前には半円状の帯状部材であったため、自己の有する弾性により筒状に成形された状態でも元の形状である帯状部材へ戻ろうとする「反発力」が働く。半円状の帯状部材へ戻ろうとする反発力は、特に第1端辺面13aと第2端辺面13bの対向部分及び対合面17へ働く。この弾性による反発力が、完成品状態となる蝦蟇口1の内底が対合面17で下方に沈み込まないように調整し、平坦で奥行き(幅)の広い内底を維持して、形状の安定化を実現する。
【0026】
弾性による反発力によって、内底が下方に沈み込まないように調整される場合は、形状安定化機構13の第1端辺面13aと第2端辺面13bの全面が接触し、第1端辺面13aと第2端辺面13b同士の押圧力が均等となることになる。このため、均等となった押圧力が「張力」として全体へ伝達され、完成品状態となる蝦蟇口1の全体形状は安定する。蝦蟇口1の全体形状については、
図10に示すように、A部分、B部分、D部分に相対的に外側に向けて膨らみを有し、C部分に相対的に凹みを有する独特の形状である。形状安定化機構13の弾性による反発力が、完成品の状態における蝦蟇口1の全体形状の保持に寄与している。完成品の状態においては、対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)の全面を接触させ、端面同士の押圧力を均等にする必要がある。即ち、蝦蟇口1の全体形状を保持するためには、裏返した状態において、対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)において、互いに対向する端面が、適切にいずれの箇所でも正確に位置合わせされている必要がある。
【0027】
完成品の状態において対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)を正確に位置合わせさせるためには、裏返す前の中間生成物の段階において、
図7に示す第1縫製糸15a及び第2縫製糸15bによる縫合の縫い代を微調整する必要がある。縫い代が短すぎる場合、対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)は位置合わせできず、完成品である蝦蟇口1の内底が平坦にならず、奥行き方向にV字形状となり不安定になる。また、縫い代が短すぎる場合、対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)は位置合わせできないので、裏返し状態が完成品状態となる蝦蟇口1の全体形状の安定化は不可能である。縫い代が長すぎる場合、対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)は位置合わせできず、完成品である蝦蟇口1の内底の奥行き(マチ)は平坦にならない。また、縫い代が長すぎる場合、対合面17及び形状安定化機構13の対合部分(接触部分)は位置合わせできないので、完成品である蝦蟇口1の内底の奥行き(マチ)は平坦にならず、裏返し状態が完成品状態となる蝦蟇口1の全体形状の安定化は不可能である。
【0028】
第1実施形態に係る蝦蟇口1によれば、内底を平坦にして奥行き方向の遊びを確保でき、且つ比較的広く安定して内底の奥行きを確保することができる。このため、第1実施形態に係る蝦蟇口1によれば、硬貨を横に倒した状態で複数収納することができ、収納した複数の硬貨の表面又は裏面を視認しやすくし、取り出しやすくすることができる。第1実施形態に係る蝦蟇口1によれば、外側に縫製糸が存在しないので、摩擦による糸切れの心配が少ない。蝦蟇口は衣服のポケット入れたりバッグに入れたりして使用し、出し入れの頻度も高いために、特に外側部分に摩擦による摩耗が生じやすいものである。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る蝦蟇口2は、
図11~
図14に示すように、収納物(物品)を出し入れするために開閉する口金(22a,22b)と、口金(22a,22b)に接続され収納物を収納する収納空間(袋体)を構成する袋状部(12a、12b、19a、19b)と、袋状部(12a、12b、19a、19b)に固定されている形状安定化機構14を有する。口金(22a,22b)は、
図11等に示すように、第1フレーム22aと第2フレーム22bを有する。袋状部(12a、12b、19a、19b)は、開口部を介して出し入れする収納物を収納する。
図11~
図14に示すように、第1フレーム22aに第1上辺を接続した第1主面部12aと、第2フレーム22bに第2上辺を接続し第1主面部12aと同一形状で、第1主面部12aに鏡像関係をなして対向する第2主面部12bを有する。
【0030】
第1主面部12aは、頂点が第1フレーム22aの長手方向の一方の端部に接続される第1側辺と、第1側辺に連続する第1底辺と、第1底辺に連続し、頂点が第1フレーム22aの長手方向の他方の端部に接続され第1側辺に対峙する第2側辺を有する。第2主面部12aは、隣接して対峙する第1側辺に接続し、頂点が第2フレーム22bの長手方向の一方の端部に接続される第3側辺を有する。第2主面部12aは、更に第3側辺に連続し、隣接して対峙する第1底辺に接続する第2底辺を有する。更に第2主面部12aは、第2底辺に連続し、且つ隣接して対峙する第2側辺に接続し、頂点が第2フレーム22bの長手方向の他方の端部に接続される第4側辺を有する。即ち、第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺にかけた第1主面部12aの周辺部の端面と、第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺にかけた第2主面部12bの周辺部の端面とが対合して、第1主面部12a及び第2主面部12bの間に収納空間を設ける袋体を形成している。
【0031】
第1フレーム22aの長手方向の他方の端部と対応する第2フレーム22bの長手方向の他方の端部は、第1蝶番部24aによりそれぞれ回転中心の位置が固定されている。同様に、第1フレーム22aの長手方向の他方の端部と対応する第2フレーム22bの長手方向の他方の端部は、第2蝶番部24bによりそれぞれ回転中心の位置が固定されている。そして、第1蝶番部24aの回転中心及び第2蝶番部24bの回転中心を軸として、第1フレーム22a及び第2フレーム22bが回転移動を行い、第2実施形態に係る蝦蟇口2全体の開閉を行う。第1蝶番部24aの回転中心と第2蝶番部24bの回転中心を結ぶ中心線に対し、この中心線に垂直な面上で定義される第1フレーム22a及び第2フレーム22bが成す開状態における回転角は、任意に設定可能である。
【0032】
第2実施形態に係る蝦蟇口2の形状の安定化を目的とした形状安定化機構14は、中間生成物状態においては
図15~
図17等に示すように、断面が半円となる帯状の構造である。一方、完成品状態の形状安定化機構14は、断面に現れる第1端辺面14aと第2端辺面14bが結合し、
図13(b)に示すように扁平なオーバル状に成形される点では
図3(b)と同様である。形状安定化機構14は中間生成物状態において、第1主面部12aと第2主面部12bのそれぞれの端部の間に挟まって連続的に設けられている。
図17(b)等に示すように、中間生成物状態においては、半円の断面をなす形状安定化機構14は、第1端辺面14aに近い周辺部が第1主面部12aに、第1縫製糸16aを用いて縫合され固定されている。同様に、中間生成物状態においては、第2主面部12bに、第2縫製糸16bを用いて第2端辺面14bに近い周辺部が縫合され固定されている。
図11に示すように、第2実施形態に係る蝦蟇口2は更に、第1仕切り部19a及び第2仕切り部19bを、袋状部(12a、12b、19a、19b)の内部に有する。
【0033】
第2実施形態に係る第1フレーム22a及び第2フレーム22bには、
図11等に示すように、それぞれの中央付近に飾り玉付きのつまみが固定されており、このつまみが互いに噛み合うことにより、口金(22a,22b)を閉じることができる。口金(22a,22b)は、
図11等に示すアーチ型の形状であってもよいし、角型や角丸型等の他の形状であってもよい。口金(22a,22b)の第1主面部12a及び第2主面部12bへの固定方法は、カシメであってもよいし、縫い付けであっても、その他の方法であってもよい。
図12及び
図14に示すように、第1蝶番部24a及び第2蝶番部24bが、閉状態においても外側から視認できる点は、第1実施形態に係る蝦蟇口1と異なる点である。形状安定化機構14の長手方向の両端は、口金(22a,22b)の両端の第1蝶番部24a及び第2蝶番部24bにより位置が固定されている。このため、形状安定化機構14の長手方向の両端は、両端の第1蝶番部24a及び第2蝶番部24bにより、それぞれ袋体の内部方向に押圧されている。
【0034】
袋状部(12a、12b、19a、19b)及び口金(22a,22b)の形状が、第2実施形態に係る蝦蟇口2の全体形状の概略の形状を規定するものとなる。
図11及び
図13(b)に示すように、第1仕切り部19aは第1主面部12aに隣接し、第2仕切り部19bは第2主面部12bに隣接している。第1仕切り部19a及び第2仕切り部19bは、
図15に示すように、第1主面部12a及び第2主面部12bよりも小型の部材である。形状は問わないが、第1仕切り部19a及び第2仕切り部19bのそれぞれは、第1側辺と第3側辺の一部、第2側辺と第4側辺の一部及び第1底辺と第2底辺のそれぞれの端面の位置を揃えたものが好ましい。第1主面部12a、第2主面部12b、第1仕切り部19a及び第2仕切り部19bのそれぞれの周辺部の端面が互いに対峙する部分は、
図11の中央等に示すように、対合面18が内底を切るエッジとして内底に線状に現れる。なお、第2実施形態に係る蝦蟇口2においては、袋状部(12a、12b、19a、19b)の内部のうち、第1仕切り部19a及び第2仕切り部19bで囲まれた部分は収納空間となり、第2実施形態においてはこの収納空間の底を「内底」と定義している。
【0035】
対合面18においては、互いに対向する端面同士が接着剤等により分離不可能に固定されていてもよいし、分離可能となるように固定されていなくともよい。対合面18で互いに対向する端面同士が固定されていない場合であっても、内部構造に依拠した押圧力が、互いを接合させる方向に発生しているので、第2実施形態に係る蝦蟇口2の使用においては容易に分離されるものではない。内部構造に依拠した押圧力は、後述する製造工程の裏返し処理に由来し、対峙端面に互いに逆向きに発生する力である。
【0036】
第2実施形態に係る蝦蟇口2においては、
図17(a)及び(b)に示すように、第1主面部12aの周辺部と第1仕切り部19aの周辺部は、第1縫製糸16aによって、形状安定化機構14の第1端辺面14aに近い周辺部と互いに固定されている。同様に、第2主面部12bの周辺部と第2仕切り部19の周辺部は、第2縫製糸16bを用いて、形状安定化機構14の第2端辺面14bに近い周辺部と互いに固定されている。第1縫製糸16a及び第2縫製糸16bは、開状態における蝦蟇口2の内底において視認可能であり、蝦蟇口2の外側からはほとんど見えない。第2実施形態に係る蝦蟇口2において縫合を施しているのは、袋状部(12a、12b、19a、19b)への形状安定化機構14の取付部分のみであるので、蝦蟇口2の外側からは縫製糸はほとんど見えない状態である。
【0037】
第2実施形態に係る形状安定化機構14は、
図11~17に示すように、袋状部(12a、12b、19a、19b)の両側面及び底面に、対合面18が露出している箇所の全体を覆うように配置されている。形状安定化機構14の構造は中間生成物の段階では
図15~17に示すように帯状である。しかし、完成品の段階では、断面構造に現れる第1端辺面14aと第2端辺面14bが、対合面18に沿って、互いに向き合って接触して、
図13(b)に示すようにオーバル状の断面に成形される。形状安定化機構14の第1端辺面14aと第2端辺面14bが対合(接触)する位置は、
図13(b)の断面上では、筒状の対向する2面のうちの上側の面の位置に存在する。
【0038】
第2実施形態に係る蝦蟇口2において、形状安定化機構14の第1端辺面14aと第2端辺面14bの対合構造(接触構造)は、対合面18と同様に、互いに対向する第1端辺面14aと第2端辺面14bが接着剤等により分離不可能に固定されていてもよいし、分離可能となるように固定されていなくともよい。形状安定化機構14の互いに対向する第1端辺面14aと第2端辺面14bが固定されていない場合であっても、第2実施形態に係る蝦蟇口2の使用においては容易に分離されるものではない。製造工程の裏返し処理に由来し、対峙端面に互いに逆向きに働く内部構造による押圧力が、互いを接合させる方向に発生するからである。
【0039】
第2実施形態に係る蝦蟇口2において、形状安定化機構14の断面構造は、
図13(b)においては対向する2面同士が接した中身の詰まった構造であるが、内部に隙間をわずかに有する中空構造であってもよい。
図13(b)に示すように、形状安定化機構14の断面上で対向する2面のうち袋状部(12a、12b、19a、19b)に接する1面(
図13(b)における上側の面)のみが、第1主面部12a及び第2主面部12bそれぞれに縫合され固定されている。実際には、
図17(a)及び(b)に示すように、第1主面部12a及び第2主面部12bのみならず、第1仕切り部19a及び第2仕切り部19bへもそれぞれ同時に縫合され固定されている。
図11、12及び14に示すように、形状安定化機構14のうち外側から視認できる部分が、第2実施形態に係る蝦蟇口2の見かけ上の「外底(本体外周)」となる。第2実施形態に係る袋状部(12a、12b、19a、19b)及び形状安定化機構14の素材については皮革であればいずれでもよいが、好ましくは程よい硬さと柔らかさを有するヤギ革である。
【0040】
-第2実施形態に係る蝦蟇口2の製造方法-
まず、同一形状の第1仕切り部19a及び第2仕切り部19b、同一形状の第1主面部11a及び第2主面部11b、並びに、第1端辺面及び第2端辺面が長手方向に平行な断面に現れる帯状部材を形状安定化機構14として用意する。形状安定化機構14は、この段階ではまだ断面が半円状である帯状部材である。第1主面部12a及び第1仕切り部19aの形状は、例えば
図7に示す形状である。第1主面部12aの第1上辺は、口金を固定できる形状であればいずれでもよい。
図17(a)及び(b)に示すように、第1主面部12aの第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る周辺部において、第1主面部12aの周辺部の端面と形状安定化機構14の第1端辺面14aが揃うように、第1端辺面14aに近い周辺部を第1縫製糸16aで縫合して固定する。この時同時に、第1仕切り部19aについても周辺部の端面が、形状安定化機構14の第1端辺面14aに揃うようにして、第1縫製糸16aで縫合して固定する。
【0041】
次に、第2主面部12bの第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る周辺部において、第2主面部12bの周辺部の端面と形状安定化機構14の第2端辺面14bが揃うように、第2端辺面14bに近い周辺部を第2縫製糸16bで縫合して固定する。この時同時に、第2仕切り部19bについても周辺部の端面と第2端辺面14bが揃うようにして第2縫製糸16bで縫合して固定する。この段階で、
図15に示すように、第1主面部12a及び第2主面部12bが帯状部材である形状安定化機構14を介して対向した、袋状の「中間生成物」が形成される。
図15~17に示すように、中間生成物には更に、第1主面部12aの外側に第1仕切り部19a、第2主面部12bの外側に第2仕切り部19bが設けられている。中間生成物の段階では、
図17に示すように、帯状部材としての形状安定化機構14の断面形状は上に凸に湾曲した半円状であるので、第1主面部12a及び第2主面部12bの内側に凸の状態で挟まれている。
【0042】
次に、
図15に示す中間生成物の内側が外側になるように裏返して「完成品の状態」を形成する。即ち、中間生成物を裏返すと、第1主面部12aの第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る周辺部の端面と、第2主面部12bの第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る周辺部の端面が対合した袋体である袋状部(12a、12b、19a、19b)が形成されるとともに、対合面18を生じる。中間生成物を裏返す工程においては、同時に第1端辺面14aと第2端辺面14bが互いの距離が短くなるように円環状に変形し、第1端辺面14aと第2端辺面14bが対合して潰れた筒状の断面形状に形状安定化機構14が成形される。中間生成物を裏返すことにより、
図15の第1側辺から第1底辺を経由し第2側辺に至る周辺部において縫合した第1端辺面14aと、第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る周辺部において縫合した第2端辺面14bが、対合面18の下部で対合する。
【0043】
第1主面部12aと第2主面部12bの周辺部の端面同士が対合し、第1主面部12aと第2主面部12bの内側で第1仕切り部19aと第2仕切り部19bの端面同士が対合することにより、
図11等に示すように、対合面18が内底を切るエッジとして、対合面18の端部が内底に線状に現れる。形状安定化機構14は、
図17(b)に示す中間生成物の段階での断面構造では、第1折返し部に位置する第1端辺面14a、第2折返し部に位置する第2端辺面14b及び中央に位置する露出部14cの連続体から構成される半円状である。しかし、裏返し処理によって完成品となった段階では、形状安定化機構14の第1端辺面14aと第2端辺面14bが対合し、筒状の断面形状に成形される。裏返し処理によって、第1端辺面14aと第2端辺面14bが対合すると、形状安定化機構14の露出部14cが張力がかかった状態で露出し、、完成品の状態では外側から視認できる部分となる。露出部14cは、完成品としての蝦蟇口2の見かけ上の本体外周の中心線上に視認される。対合面18や形状安定化機構14の対合部分を固定する場合は、この工程において固定してもよい。最後に、裏返した完成品の状態における開口部となる上部に口金(22a,22b)を取り付けて蝦蟇口2が完成する。
【0044】
-形状の安定化-
第2実施形態に係る裏返した完成品の状態においては、第1実施形態に係る裏返した完成品の状態と同様に、対合面18及び形状安定化機構14の対合部分(接続部分)をそれぞれ適切に接合して固定し、安定して内底の奥行きを確保する必要がある。対合面18及び形状安定化機構14の対合部分が適切に、いずれの箇所でも正確に位置合わせされている場合は、裏返した完成品の状態の内底の平坦状態の安定化、ひいては蝦蟇口1の全体形状の安定化をもたらす。全体形状の安定化のメカニズムについては、第1実施形態に係る蝦蟇口1と同様の機構である。対合面18のみに焦点を当てると、完成品状態の蝦蟇口2は、中間生成物を裏返して形成したために、対合面18で内底が折れ曲がってしまい、第1仕切り部19aと第2仕切り部19b、及び、第1主面部12aと第2主面部12bとでV字型を形成してしまいやすい。即ち、対合面18の内底における沈み込みが起こりやすいのである。内底における対合面18が沈み込むのは、対合面18の対峙端面同士の全面が接触して筒状を形成せず、対峙端面のそれぞれの一部分のみで接触することや、対合面18の対峙端面同士の全面が接触していたとしても、対合面18の下部の形状安定化機構14の対合部分の一部が接触していないこと等が原因である。対峙端面同士の一部分のみで接触することになると、裏返し状態がなす完成品としての蝦蟇口2の全体形状は不安定となる。
【0045】
裏返す工程で、筒状の断面形状に成形された形状安定化機構14は、裏返す前には半円状の帯状部材であったため、自己の有する弾性により筒状に成形された状態でも元の形状である帯状部材へ戻ろうとする「反発力」が働く。半円状の帯状部材へ戻ろうとする反発力は、特に第1端辺面14aと第2端辺面14bの対向部分及び対合面18へ働く。この弾性による反発力が、完成品状態となる蝦蟇口2の内底が対合面18で下方に沈み込まないように調整し、平坦で奥行き(幅)の広い内底を維持して、形状の安定化を実現する。
【0046】
弾性による反発力によって、内底が下方に沈み込まないように調整され、平坦な内底の面が維持できる場合は、対合面18及び形状安定化機構14の対合部分(接続部分)の互いに対向する端面同士の全面が、正確に位置合わせされて接触し、対合面18及び形状安定化機構14の対合部分の互いに対向する端面同士の押圧力が均等となることになる。そして、均等となった押圧力が「張力」として全体へ伝達され、完成品状態となる蝦蟇口2の全体形状は安定する。蝦蟇口2の全体形状については、
図10に示す第1実施形態に係る蝦蟇口1と同様に、独特の形状である。形状安定化機構14の弾性による反発力が、蝦蟇口2の全体形状の保持についても寄与している。対合面18及び形状安定化機構14で対合する第1端辺面14aと第2端辺面14bの全面を接触させ、端面同士の押圧力を均等にし、蝦蟇口2の全体形状を保持するためには、裏返した状態において、対合面18及び形状安定化機構14の対合部分が適切にいずれの箇所でも正確に位置合わせされている必要がある。
【0047】
裏返した完成品の状態において対合面18及び形状安定化機構14の対合部分が適切にいずれの箇所でも正確に位置合わせさせるためには、中間生成物の段階において、
図15に示す第1縫製糸16a及び第2縫製糸16bによる縫合の縫い代を微調整する必要がある。縫い代が短すぎる場合、対合面18や形状安定化機構14の対合部分は位置合わせできない。対合部分が位置合わせできない場合は、完成品である蝦蟇口2の内底のマチは平坦にならず、V字形状となり不安定になる。また、縫い代が短すぎる場合、対合面18や形状安定化機構14の対合部分は位置合わせできないので、完成品状態となる蝦蟇口2の全体形状の安定化は不可能である。縫い代が長すぎる場合、対合面18及び形状安定化機構14の対合部分(接触部分)は位置合わせできず、完成品である蝦蟇口2の内底の奥行き(マチ)は平坦にならない。また、縫い代が長すぎる場合、対合面18及び形状安定化機構14の対合部分(接触部分)は位置合わせできないので、完成品である蝦蟇口2の内底の奥行き(マチ)は平坦にならず、裏返し状態が完成品状態となる蝦蟇口2の全体形状の安定化は不可能である。
【0048】
第2実施形態に係る蝦蟇口2によれば、内底を平坦にして奥行き方向の遊びを確保でき、且つ比較的広く安定して内底の奥行きを確保することができる。このため、第2実施形態に係る蝦蟇口2によれば、硬貨を横に倒した状態で複数収納することができ、収納した複数の硬貨の表面又は裏面を視認しやすくし、取り出しやすくすることができる。第2実施形態に係る蝦蟇口2によれば、外側に縫製糸が存在しないので、摩擦による糸切れの心配が少ない。蝦蟇口は衣服のポケット入れたりバッグに入れたりして使用し、出し入れの頻度も高いために、特に外側部分に摩擦による摩耗が生じやすいものである。
【0049】
第2実施形態に係る蝦蟇口2によれば、閉状態の時に、形状安定化機構14の長手方向の両端が、口金(22a,22b)の両端の第1蝶番部24a及び第2蝶番部24bによりそれぞれ袋体の内部方向に押圧されていることで、常に押圧への反発力が働いている。この反発力が、蝦蟇口2を開状態にした瞬間に開きやすくする補助となる。第2実施形態に係る蝦蟇口2によれば、袋体の内部に仕切り部を設けているので、硬貨のみならず、紙幣や各種カード等も収納して管理しやすい。
【0050】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、第1及び第2実施形態では、口金が1つの蝦蟇口で例示したが、第1の口金を有する袋体の中に第1の口金より小さい第2の口金を有する袋体を内包した「親子蝦蟇口」であっても、本発明を適用可能である。また、蝦蟇口構造の袋物であれば、本発明はいずれであっても適用可能であるので、例えばバッグ等にも適用可能である。
【0051】
本明細書においては、第1及び第2実施形態、その他の実施形態で説明したそれぞれの技術的思想を互いに組み合わせることも可能である。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当と解釈しうる、特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0052】
1、2…蝦蟇口
11a、12a…第1主面部
11b、12b…第2主面部
13、14…形状安定化機構
13a、14a…第1端辺面
13b、14b…第2端辺面
13c、14c…露出部
15a、16a…第1縫製糸
15b、16b…第2縫製糸
17、18…対向面
19a…第1仕切り部
19b…第2仕切り部
21a、22a…第1フレーム
21b、22b…第2フレーム
23a、24a…第1蝶番部
23b、24b…第2蝶番部
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレームと、
前記第1フレームと同一形状、同一寸法で、前記第1フレームと共に、収納物を出し入れするために開閉する口金を構成する第2フレームと、
前記第1フレームに接続された第1上辺、前記第1上辺の一方の頂点に連続する第1側辺、該第1側辺に連続する第1底辺、該第1底辺に連続し且つ前記第1側辺に対向して前記第1上辺の他方の頂点に連続する第2側辺を有する第1主面部と、
前記第2フレームに接続された第2上辺、該第2上辺に連続し且つ前記第1側辺に対峙する第3側辺、該第3側辺に連続し且つ前記第1底辺に対峙する第2底辺、該第2底辺に連続し且つ前記第2側辺に対峙し、更に前記第2フレームの他方の頂点に連続する第4側辺を有し、前記第1主面部と共に前記収納物を収納する袋体を形成する第2主面部と、
第1端辺面及び第2端辺面を有する帯状部材であり、前記第1側辺、前記第1底辺及び前記第2側辺に連続して縫合された前記第1端辺面と、前記第3側辺、前記第2底辺及び前記第4側辺に連続して縫合された前記第2端辺面が互いに対をなして向き合って全面で接触することにより、筒状をなす形状安定化機構と、
を備え、
前記第1側辺と前記第3側辺、前記第2側辺と前記第4側辺、及び、前記第1底辺と前記第2底辺のそれぞれの端面が、互いに対をなして向き合って全面で接触することを特徴とする蝦蟇口。
【請求項2】
前記第1主面部と前記第2主面部の対合部分が接着され固定されていることを特徴とする請求項1に記載の蝦蟇口。
【請求項3】
前記形状安定化機構の長手方向の両端が、前記口金の両端の2つの蝶番部によりそれぞれ前記袋体の内部方向に押圧されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蝦蟇口。
【請求項4】
第1端辺面及び第2端辺面が長手方向に平行な断面に現れる帯状部材、並びに互いに同一形状の第1及び第2主面部を用意する工程と、
前記第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し前記第1側辺に対峙する第2側辺に至る前記第1主面部の周辺部の端面と前記第1端辺面が揃うように設定して、前記第1主面部の周辺部の端面と前記第1端辺面を縫合する工程と、
前記第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し前記第3側辺に対峙する第4側辺に至る前記前記第2主面部の周辺部の端面と前記第2端辺面が揃うように設定して、前記第2主面部の周辺部の端面と前記第2端辺面を縫合して中間生成物を形成する工程と、
前記中間生成物の内側が外側になるように裏返し、前記第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し前記第1側辺に対峙する第2側辺に至る前記第1主面部の周辺部の端面と前記第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る前記前記第2主面部の周辺部の端面とを対合し、前記第1側辺と前記第3側辺、前記第2側辺と前記第4側辺、及び、前記第1底辺と前記第2底辺のそれぞれの端面を、互いに対をなして向き合わせて全面で接触させ、且つ前記第1端辺面と前記第2端辺面を互いに対をなして向き合わせて全面で接触させて筒状の形状安定化機構を成形する工程と、
前記裏返す工程の後、前記第1底辺に対向する前記第1主面部の第1上辺に第1フレームを取り付け、前記第2底辺に対向する前記第2主面部の第2上辺に第2フレームを取り付ける工程と
を含むことを特徴とする蝦蟇口の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレームと、
前記第1フレームと同一形状、同一寸法で、前記第1フレームと共に、収納物を出し入れするために開閉する口金を構成する第2フレームと、
前記第1フレームに接続された第1上辺、前記第1上辺の一方の頂点に連続する第1側辺、該第1側辺に連続する第1底辺、該第1底辺に連続し且つ前記第1側辺に対向して前記第1上辺の他方の頂点に連続する第2側辺を有する第1主面部と、
前記第2フレームに接続された第2上辺、該第2上辺に連続し且つ前記第1側辺に対峙する第3側辺、該第3側辺に連続し且つ前記第1底辺に対峙する第2底辺、該第2底辺に連続し且つ前記第2側辺に対峙し、更に前記第2フレームの他方の頂点に連続する第4側辺を有し、前記第1主面部と共に前記収納物を収納する袋体を形成する第2主面部と、
第1端辺面及び第2端辺面を有する帯状部材であり、前記第1側辺、前記第1底辺及び前記第2側辺に連続して縫合された前記第1端辺面と、前記第3側辺、前記第2底辺及び前記第4側辺に連続して縫合された前記第2端辺面が互いに対をなして向き合って全面で接触することにより、筒状をなす形状安定化機構と、
を備え、
前記第1側辺と前記第3側辺、前記第2側辺と前記第4側辺、及び、前記第1底辺と前記第2底辺のそれぞれの端面が、互いに対をなして向き合って全面で接触することを特徴とする蝦蟇口。
【請求項2】
前記第1主面部と前記第2主面部の対合部分が接着され固定されていることを特徴とする請求項1に記載の蝦蟇口。
【請求項3】
前記形状安定化機構の長手方向の両端が、前記口金の両端の2つの蝶番部によりそれぞれ前記袋体の内部方向に押圧されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蝦蟇口。
【請求項4】
第1端辺面及び第2端辺面が長手方向に平行な断面に現れる帯状部材、並びに互いに同一形状の第1及び第2主面部を用意する工程と、
前記第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し前記第1側辺に対峙する第2側辺に至る前記第1主面部の周辺部の端面と前記第1端辺面が揃うように設定して、前記第1主面部の周辺部の端面と前記第1端辺面を縫合する工程と、
前記第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し前記第3側辺に対峙する第4側辺に至る前記第2主面部の周辺部の端面と前記第2端辺面が揃うように設定して、前記第2主面部の周辺部の端面と前記第2端辺面を縫合して中間生成物を形成する工程と、
前記中間生成物の内側が外側になるように裏返し、前記第1主面部の第1側辺から第1底辺を経由し前記第1側辺に対峙する第2側辺に至る前記第1主面部の周辺部の端面と前記第2主面部の第3側辺から第2底辺を経由し第4側辺に至る前記第2主面部の周辺部の端面とを対合し、前記第1側辺と前記第3側辺、前記第2側辺と前記第4側辺、及び、前記第1底辺と前記第2底辺のそれぞれの端面を、互いに対をなして向き合わせて全面で接触させ、且つ前記第1端辺面と前記第2端辺面を互いに対をなして向き合わせて全面で接触させて、前記帯状部材が筒状の形状安定化機構を成形する工程と、
前記裏返す工程の後、前記第1底辺に対向する前記第1主面部の第1上辺に第1フレームを取り付け、前記第2底辺に対向する前記第2主面部の第2上辺に第2フレームを取り付ける工程と
を含むことを特徴とする蝦蟇口の製造方法。