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  • -ロッカアウタ 図1
  • -ロッカアウタ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162079
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ロッカアウタ
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B62D25/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077264
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋屋 博章
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB12
3D203CA73
3D203CB21
3D203CB40
3D203DA32
(57)【要約】
【課題】複数の車種毎のロッカアウタの製造コストを低減可能とする。
【解決手段】後側のドアオープニング10の下側に配置され、かつ上辺にウェザーストリップが装着されるオープニングフランジ41,51が設けられるロッカアウタ40,50であって、オープニングフランジ41,51の後側には、複数の車種毎に車両前後方向で異なる位置に設けられる凸状部それぞれに対応する複数の凸状部42,43,52,53が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後側のドアオープニングの下側に配置され、かつ上辺にウェザーストリップが装着されるオープニングフランジが設けられるロッカアウタであって、
前記オープニングフランジの後側には、複数の車種毎に車両前後方向で異なる位置に設けられる凸状部それぞれに対応する複数の凸状部が設けられていることを特徴とするロッカアウタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカアウタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の段落番号0040-0042には、「センタピラー16の下端が接合されるロッカ12の上縁にオープニングフランジ12Fが設けられており、ロッカ12は、外側縦壁部12Aの上端部と第1内側縦壁部12Bの上端部とが上壁部12Eによって車両幅方向に連結されており、上壁部12Eから車両上方側へドアオープニングフランジ12Fが延出されており、ドアオープニングフランジ12Fがドア開口部22の下縁を構成しており、ドアオープニングフランジ12Fの車両幅方向外側の面にドアシールが取り付けられる」ということが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6919406号(特開2019-034599号)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ロッカアウタのオープニングフランジの後側に設けられている凸状部の傾斜始端位置および終端位置は、車種によって車両前後方向で異なるため、従来では、車種毎に前記凸状部の傾斜始端位置および終端位置が異なるロッカアウタを個別に製造するようにしている。このような従来例の場合、車種毎に異なる専用の成形金型が必要になるなど、製造コストが嵩むことになる。
【0005】
このような事情に鑑み、本発明は、複数の車種毎のロッカアウタの製造コストを低減可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、後側のドアオープニングの下側に配置され、かつ上辺にウェザーストリップが装着されるオープニングフランジが設けられるロッカアウタであって、前記オープニングフランジの後側には、複数の車種毎に車両前後方向で異なる位置に設けられる凸状部それぞれに対応する複数の凸状部が設けられていることを特徴としている。
【0007】
ここで、例えば複数の車種毎のロッカアウタを製造する際、本発明の上記構成のロッカアウタを前期成形品として製作した後で、当該前期成形品を複数の車種毎のロッカアウタに対応した別々の後期成形を行うことにより、前記複数の車種毎のロッカアウタを得ることが可能になる。
【0008】
これにより、従来例のように車種毎に異なる専用のロッカアウタを製造する場合に比べて、前記車種毎の前期成形品を成形する各工程において、それぞれ同じ形状の成形金型を用いることが可能になるので、製造コストの低減が可能になる。
【0009】
ところで、本発明は、後側のドアオープニングの下側に配置され、かつ上辺にウェザーストリップが装着されるオープニングフランジが設けられるロッカアウタの製造方法であって、複数の車種それぞれでオープニングフランジの後側に傾斜始端位置および終端位置が車両前後方向で異なる凸状部それぞれに対応する複数の凸状部を設けた形状に成形する前期成形工程の後で、前記前期成形品の余剰部を切断するとともに複数の凸状部をすべて残した形状の最短ロッカアウタを得る第1後期成形工程と、前記前期成形品の余剰部を切断するとともに前記最短ロッカアウタの凸状部に対応する凸状部のみを切断した形状の最長ロッカアウタを得る第2後期成形工程と、のいずれか一方を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の車種毎のロッカアウタの製造コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るロッカの一実施形態で、(a)はドアオープニング(リヤドア開口)の下側直線長さが最短のロッカを示す側面図、(b)はドアオープニングの下側直線長さが最長のロッカを示す側面図である。
図2】(a)は図1(a)の(2a)-(2a)線断面を矢印方向から見た図、(b)は図1(a)の(2b)-(2b)線断面を矢印方向から見た図である。
図3】本発明に係るロッカアウタの製造方法の一実施形態で、(a)は第1前期成形工程を示す図、(b)は第1後期成形工程を示す図、(c)は第2前期成形品工程を示す図、(d)は第2後期成形工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1から図3に本発明の一実施形態を示している。図中、車両前方向をFr、車両上方向をUp、車両外方向をOutと記載している。
【0014】
ロッカ1は、図2に示すように、主としてロッカアウタ(最短の車種の最短ロッカアウタ2、最長の車種の最長ロッカアウタ3)とロッカインナ4とを結合した構成である。
【0015】
ロッカアウタ(最短ロッカアウタ2、最長ロッカアウタ3)の内側には、補強部材としてパッチ5およびロッカアウタリインフォースメント6が取り付けられている。また、ロッカインナ4の内側上部には、補強部材として肩パッチ7が取り付けられている。
【0016】
ロッカ1の車両前後方向(長手方向)の後部には、ロッカアウタリヤリインフォースメント8の前部がシェアパネル9により結合されており、ロッカアウタリヤリインフォースメント8には図示していないリヤホイールハウスが結合されている。
【0017】
なお、図示していないが、ロッカ1の車両前後方向の前部には、図示していないフロントピラー(Aピラーとも言う)の下端が結合されるようになっており、また、ロッカ1の車両前後方向の中間には、図示していないセンタピラー(Bピラーとも言う)の下端が結合されるようになっている。
【0018】
ところで、図1に示すように、ロッカ1において後側のドアオープニング10の下側直線長さは、車種毎に異なっている。図1(a)には、最短ロッカアウタ2が示されている。また、図1(b)には、最長ロッカアウタ3が示されている。最短ロッカアウタ2の全長サイズは、最長ロッカアウタ3の全長サイズよりも短く設定されている。
【0019】
両ロッカアウタ2,3の上辺には、オープニングフランジ21,31が設けられている。オープニングフランジ21,31には、図示していないウェザーストリップが装着される。
【0020】
最短ロッカアウタ2のオープニングフランジ21の後側には、複数(例えば2つ)の凸状部(以下では第1、第2凸状部22,23と言う)が車両前後方向に並んで設けられている。一方、最長ロッカアウタ3のオープニングフランジ31の後側には、例えば1つの凸状部(以下では第1凸状部32と言う)が設けられている。なお、第1、第2凸状部22,23や第1凸状部32の数は、任意に設定することが可能である。
【0021】
この実施形態では、最短ロッカアウタ2の第2凸状部23の後側にスポット溶接用の接合用凸状部24が設けられており、また、最長ロッカアウタ3の第1凸状部32の後側にスポット溶接用の接合用凸状部33が設けられている。但し、最短ロッカアウタ2の接合用凸状部24と最長ロッカアウタ3の接合用凸状部33は、無くてもよい。
【0022】
最短ロッカアウタ2の最も前に配置されている第1凸状部22の傾斜始端位置や終端位置は、最長ロッカアウタ3の最も前に配置されている第1凸状部32の傾斜始端位置よりも車両前後方向で前に配置されている。
【0023】
最短ロッカアウタ2の中央に配置されている第2凸状部23の傾斜始端位置や終端位置は、最長ロッカアウタ3の最も前に配置されている第1凸状部32の傾斜始端位置や終端位置と車両前後方向で同じ位置に配置されている。
【0024】
最短ロッカアウタ2の接合用凸状部24の傾斜始端位置や終端位置は、最長ロッカアウタ3の接合用凸状部33の傾斜始端位置や終端位置と車両前後方向で同じ位置に配置されている。
【0025】
次に、図3を参照して、最短ロッカアウタ2および最長ロッカアウタ3の製造方法を説明する。
【0026】
(最短ロッカアウタ2の製造方法)まず、最短ロッカアウタ2に対応する全長サイズのベースパネル(図示省略)を成形装置(図示省略)にセットしてから、図3(a)に示すように、第1金型61を可動させることにより、複数の車種それぞれのオープニングフランジ(図示省略)の後側に傾斜始端位置および終端位置が車両前後方向で異なる凸状部(図示省略)それぞれに対応する第1、第2凸状部42,43と接合用凸状部44を設けた形状に成形する(第1前期成形工程)。これにより、最短ロッカアウタ用の前期成形品40が得られる。
【0027】
この後、図3(b)に示すように、第2金型62を可動させることにより前期成形品40の余剰部45を切断する一方で、第3金型63を不動にして第1、第2凸状部42,43と接合用凸状部44をすべて残す(第1後期成形工程)。これにより最終形状の最短ロッカアウタ2が得られる。
【0028】
(最長ロッカアウタ3の製造方法)まず、最長ロッカアウタ3に対応する全長サイズのベースパネル(図示省略)を成形装置(図示省略)にセットしてから、図3(c)に示すように、第1金型71を可動させることにより、複数の車種それぞれのオープニングフランジ(図示省略)の後側に傾斜始端位置および終端位置が車両前後方向で異なる凸状部(図示省略)それぞれに対応する第1、第2凸状部52,53と接合用凸状部54を設けた形状に成形する(第2前期成形工程)。これにより、最長ロッカアウタ用の前期成形品50が得られる。
【0029】
この後、図3(d)に示すように、第2金型72を可動させることにより前期成形品50の余剰部55を切断するとともに、第3金型73を可動させることにより最短ロッカアウタ2の第1凸状部(図1の22参照)に対応する第1凸状部52を切断して第2凸状部53(32)と接合用凸状部54(33)を残す(第2後期成形工程)。これにより、最終形状の最長ロッカアウタ3が得られる。この場合、前期成形品50の第2凸状部53が最終形状の最長ロッカアウタ3の第1凸状部32となる。
【0030】
なお、第1前期成形工程と第1後期成形工程との間、ならびに第2前期成形工程と第2後期成形工程との間には、最短ロッカアウタ2および最長ロッカアウタ3の所要部位を適宜に湾曲させるための曲げ工程が介入されるが、本発明の特徴に直接関係しないので、詳細な説明を割愛する。
【0031】
また、最短ロッカアウタ用の前期成形品40や最長ロッカアウタ用の前期成形品50が、特許請求の範囲に記載のロッカアウタに相当している。
【0032】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態では、車種毎の全長に対応する全長サイズで、かつ、車種毎に異なる凸状部(図示省略)それぞれに対応する第1、第2凸状部42,43,52,53を有する前期成形品40,50を成形する第1、第2前期成形工程の後で、前期成形品40を最短ロッカアウタ2の最終形状(前期成形品40の余剰部45を切断して第1、第2凸状部42,43のすべてを残した形状)に成形する第1後期成形工程と、前期成形品50を最長ロッカアウタ3の最終形状(前期成形品50の余剰部55と不必要な第1凸状部52を切断して第2凸状部53を残した形状)に成形する第2後期成形工程と、のいずれか一方を行うようにしている。
【0033】
つまり、第1、第2前期成形工程において、オープニングフランジ41(21),51(31)の後側に複数の車種毎に車両前後方向で異なる位置に設けられる凸状部(図示省略)それぞれに対応する第1、第2凸状部42(22),43(23),52,53(32)を設けた前期成形品40,50を成形するようにしているから、第1前期成形工程で用いる第1金型61と第2前期成形工程で用いる第1金型71とを同じ形状にできる。
【0034】
また、第1前期成形工程で用いる第2、第3金型62,63と第2前期成形工程で用いる第2、第3金型72,73と、を同じ形状にしたうえで、第1後期成形工程では第2金型62を可動させて第3金型63を不動とする一方、第2後期成形工程では第2金型72および第3金型73の両方を可動させるようにしている。
【0035】
ちなみに、従来例の場合、図示していないが、第1前期成形工程で得る最短ロッカアウタ用の前期成形品(図3(a)の前期成形品40参照)に第1凸状部(図3(a)の42参照)のみを形成し、第2前期成形工程で得る最長ロッカアウタ用の前期成形品(図3(b)の前期成形品50参照)の第2凸状部(図3(b)の53参照)のみを形成するようになるから、前記最短ロッカアウタ用の前期成形品に第1凸状部(図3(a)の42参照)の傾斜始端位置や終端位置と前記最長ロッカアウタ用の前期成形品の第2凸状部(図3(b)の53参照)の傾斜始端位置や終端位置とが車両前後方向で異なるようになる。そのために、前記第1前期成形工程で用いる第1金型(図3(a)の61参照)と前記第2前期成形工程で用いる第1金型(図3(b)の71参照)とを別々の形状にする必要があるなど、この点で製造コストが嵩む結果になる。
【0036】
この従来例に比べると、本実施形態の場合には、第1前期成形工程と第2前期成形工程とにおいて同じ形状の第1金型61,71を用いることができるから、複数の車種毎のロッカアウタ(最短ロッカアウタ2、最長ロッカアウタ3)の製造コストを低減することが可能になる。
【0037】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ロッカアウタに好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ロッカ、2 最短ロッカアウタ、21 オープニングフランジ、22 第1凸状部、23 第2凸状部、24 接合用凸状部、3 最短ロッカアウタ、31 オープニングフランジ、32 第1凸状部、33 接合用凸状部、10 後側のドアオープニング、40 最短ロッカアウタ用の前期成形品、42 第1凸状部、43 第2凸状部、50 最長ロッカアウタ用の前期成形品、52 第1凸状部、53 第2凸状部。
図1
図2
図3