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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162080
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】検査装置及び電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077265
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】友廣 隆貴
(72)【発明者】
【氏名】田代 誠
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BA36
2G036BB09
(57)【要約】
【課題】スイッチング素子のスルーレートにばらつきがあっても、個々のスイッチング素子のスルーレートに合わせて構成できるようにした検査装置及び電子制御装置を提供する。
【解決手段】MOSスルーレート観測ブロック55、56は、MOSトランジスタ34、35のそれぞれのスルーレートを観測する。目標スルーレート範囲記憶部54aは、予め設定された目標スルーレートの範囲を記憶する。判定ブロック54bは、MOSスルーレート観測ブロック55、56の観測結果が記憶された目標スルーレートの範囲内か範囲外かを判定する。スルーレート調整値算出ブロック52、53は、範囲外の場合には判定ブロック54bの判定結果に基づいてスルーレートの調整値を算出する。記憶メモリ書込ブロック51は、調整値をマイコン20が参照するメモリ22に書込む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部(20)と、複数のスイッチング素子(34、35)とを備えた電子制御装置(10)を検査する検査装置であって、
前記複数のスイッチング素子のそれぞれのスルーレートを観測するスルーレート観測部(55、56)と、
予め設定された目標スルーレートの範囲を記憶する目標スルーレート範囲記憶部(54a)と、
前記スルーレート観測部の観測結果が前記記憶された前記目標スルーレートの範囲内か範囲外かを判定する判定部(54b)と、
前記範囲外の場合には前記判定部の判定結果に基づいて前記スルーレートの調整値を算出するスルーレート調整部(52、53)と、
前記調整値を前記制御部が参照する制御部用記憶部(22)に書込む書込部(51)と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記目標スルーレート範囲記憶部には前記目標スルーレートの範囲の最大値と最小値が予め設定されており、
前記判定部は、前記スルーレート観測部の観測結果が前記最大値と前記最小値の間にある場合には調整完了と判断し、前記最大値と前記最小値の間にない場合には調整未完了と判断する請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
制御部(20)と、複数のスイッチング素子(34、35)とを備えた電子制御装置(10)であって、
検査装置により事前にスルーレート調整値が書き込まれる制御部用記憶部(22、22a、22b)と、
前記複数のスイッチング素子に対応して設けられる複数のスイッチ制御部(41、42)と、を備え、
前記複数のスイッチ制御部は、前記制御部用記憶部に記憶されるスルーレート調整値に基づいて前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する電子制御装置。
【請求項4】
前記制御部用記憶部に記憶されるスルーレート調整値は、通信により前記制御部用記憶部とは異なるスイッチ制御部用記憶部(43a、43b)に格納され、
前記複数のスイッチ制御部は、前記スイッチ制御部用記憶部に記憶されるスルーレート調整値に基づいて前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する請求項3記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記複数のスイッチング素子ごとにそれぞれ前記スイッチ制御部用記憶部を設け、
前記複数のスイッチ制御部は、それぞれ前記スイッチ制御部用記憶部を参照し前記複数のスイッチング素子ごとにスルーレートを制御する請求項4記載の電子制御装置。
【請求項6】
予め定められた所定の範囲内でスルーレートが最も急峻となる値を予め初期値として記憶する初期値記憶部(43)を備え、
電源が投入された直後は、前記複数のスイッチ制御部は前記初期値記憶部に記憶された前記初期値に従って前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する請求項3から5の何れか一項に記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記複数のスイッチ制御部が、前記初期値に従って前記複数のスイッチング素子をそれぞれ制御した後、前記制御部は事前に書き込まれた前記制御部用記憶部から前記スルーレート調整値を前記スイッチ制御部用記憶部に通信し、前記複数のスイッチ制御部は前記スルーレート調整値に基づいて前記スイッチング素子のスルーレートを制御する請求項6記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置は、その一例としてスイッチング電源回路を挙げることができる。スイッチング電源回路は、従来、一次側の電源入力を二個のスイッチング素子を相補的にオンオフし電圧を昇降圧制御して任意の電源電圧を生成できる(例えば、特許文献1参照)。スイッチング電源回路は、スイッチング素子のオンオフ速度を制御することでスイッチング素子のスルーレートを変化させることができ、降圧時の変換効率を制御できる。この場合、スイッチング素子のオンオフ速度を速くすれば変換効率を良好にできる。
【0003】
スイッチング電源回路は、スイッチング素子のオン/オフ速度を遅くすることで任意の電圧生成の過程で生じるノイズを小さくしている。これにより、スイッチング素子がオン/オフする際に生じるノイズや、スイッチング素子の通電端子間(MOSトランジスタのドレインソース間)を流れる電流の立上り/立下り時のノイズを小さくできる。
【0004】
特に、車両用電子制御装置の技術分野では、狙いの電源電圧を電源効率よく生成することで生成ノイズを規格内に収めることができる。しかし、スイッチング電源回路に使用されるスイッチング素子は、それぞれが異なるスルーレート特性を備えている。このため実際に基板上に回路を実装するまで、スイッチング素子のスルーレートは設計者に把握できるものではない。
【0005】
このため、設計段階では最悪の事態を考慮し、スルーレートが最大となるスイッチング素子を組付けたことを想定すると共に当該スイッチング素子のオン/オフ速度を上限よりも緩やかにするように制御する。これにより、発生ノイズを規格内に収めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3463628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スイッチング素子のスルーレートにはバラツキがある。このため、実際には、スルーレートが想定よりも緩やかなスイッチング素子が組付けられることもある。この場合、前述したように最悪の事態を想定した上でオン/オフ制御のスルーレートを緩やかに設計した場合、想定以上にスルーレートが緩やかになってしまい、効率悪化につながる。これは、スイッチング電源回路を構成する全てのスイッチング素子にて生じる問題となる。
【0008】
本開示は、スイッチング素子のスルーレートにばらつきがあっても、個々のスイッチング素子のスルーレートに合わせて実装できるようにした検査装置及び電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、制御部の指令に基づき制御される複数のスイッチング素子を備えた電子制御装置を検査する検査装置を対象としている。スルーレート観測部は、複数のスイッチング素子のそれぞれのスルーレートを観測する。目標スルーレート範囲記憶部は、予め設定された目標スルーレートの範囲を記憶する。判定部は、スルーレート観測部の観測結果が記憶された目標スルーレートの範囲内か範囲外かを判定する。
【0010】
スルーレート調整部は、範囲外の場合には前記判定部の判定結果に基づいて前記スルーレートの調整値を算出する。書込部は、制御部が参照する制御部用記憶部にスルーレート調整値を書込む。これにより、電子制御装置は、スルーレート調整値を参照してスイッチング素子のスルーレートを調整できるため、スイッチング素子のスルーレートにばらつきがあったとしても、個々のスイッチング素子のスルーレートに合わせて実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態における電子制御装置及び検査装置内のブロック構成図
図2】ECU検査工程のフローチャート
図3】各部の波形のタイムチャート
図4】ECUの実動作時のフローチャート
図5】比較例の方法を用いてスルーレートを検査して実装して動作させた場合の特性結果
図6】一実施形態の方法を用いてスルーレートを調整した場合の特性結果
【発明を実施するための形態】
【0012】
検査装置50及び電子制御装置10の一実施形態について図面を参照しながら説明する。車両用の電子制御装置10は、プリント基板に回路11を実装して構成される。電子制御装置10はECUと称される。ECUはElectronic Control Unitの略を示す。この回路11は設計者により設計されると共に製造工場にて実装される。このとき実装される回路11を図1に例示している。なお、図1図2図4中の「SR」はスルーレートの略を示す。
【0013】
図1に例示した電子制御装置10の回路11は、図示しない負荷を駆動制御するための回路を示す。回路11は、マイコン20、電源回路38、及び、制御IC40を備える。電源回路38は、π型フィルタ30、複数のMOSトランジスタ34、35、インダクタ36及びコンデンサ37を図示形態に搭載し電力変換装置を構成する。MOSトランジスタ34、35は、本開示のスイッチング素子相当となる。
【0014】
電源端子-グランド間には、π型フィルタ30、MOSトランジスタ34のドレインソース間、及びMOSトランジスタ35のドレインソース間が直列接続されている。π型フィルタ30は、インダクタ31とコンデンサ32、33をπ型に組み合わせたローパスフィルタを示す。
【0015】
MOSトランジスタ34、35は、それぞれNチャネル型のMOSFETにより構成される。MOSトランジスタ34、35のゲートは制御IC40に接続されており、制御IC40は、MOSトランジスタ34、35を相補的にオン/オフ制御する。
【0016】
MOSトランジスタ34、35のドレイン/ソース共通接続点は、インダクタ36及びコンデンサ37に接続されており、この出力電圧がマイコン20に直流電源として入力されている。電源回路38は、制御IC40の制御に基づいて直流電源を生成しマイコン20に入力させる。
【0017】
マイコン20は、電源回路38により生成される電源が供給されることで動作可能になっている。マイコン20は、プロセッサ21、メモリ22、及び通信部23を搭載しており、所定の制御を主体的に実行する。メモリ22は、スルーレート調整値記憶メモリ22a、22bとしての不揮発性記憶部を備える。メモリ22、スルーレート調整値記憶メモリ22a、22bは、非遷移的実体的記録媒体として用いられる。
【0018】
スルーレート調整値記憶メモリ22aは、ハイサイドのMOSトランジスタ34のスルーレートの調整値を記憶する。スルーレート調整値記憶メモリ22bは、ローサイドのMOSトランジスタ35のスルーレートの調整値を記憶する。これらのスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bは、本開示の制御部用記憶部相当となっている。マイコン20の通信部23は、制御IC40の通信部44との間でシリアル通信可能に構成されている。
【0019】
制御IC40は、所謂ASICにより構成されており、ASICの内部には、上MOS制御ブロック41、下MOS制御ブロック42、記憶部43、及び、通信部44などが備えられている。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略を示す。上MOS制御ブロック41は、ハイサイドのMOSトランジスタ34を制御するスイッチ制御部相当である。下MOS制御ブロック42は、ローサイドのMOSトランジスタ35を制御するスイッチ制御部相当である。記憶部43は、ハイサイドのMOSトランジスタ34のスルーレート調整値記憶レジスタ43a、及び、ローサイドのMOSトランジスタ35のスルーレート調整値記憶レジスタ43bをスイッチ制御部用記憶部として備える。その他、記憶部43は、スルーレートの初期値を不揮発的に記憶する初期値記憶部としての領域を備える。
【0020】
制御IC40の上MOS制御ブロック41は、ハイサイドのMOSトランジスタ34を駆動制御する。制御IC40の下MOS制御ブロック42は、ローサイドのMOSトランジスタ35を駆動制御する。このような回路11が電子制御装置10に搭載されている。
【0021】
<製造検査工程>
製造工程では、電子制御装置10を構成する際に、MOSトランジスタ34、35や制御IC40などの外付け部品が同一のプリント基板に実装される。この後、検査工程にて検査が実施される。検査工程では、MOSトランジスタ34、35と制御IC40とを同一のプリント基板上に実装し、各部品を実際に結線した状態で検査する。このため、MOSトランジスタ34、35の単体の諸特性ではなく、制御IC40の出力インピーダンス等の特性、及び、MOSトランジスタ34、35の入出力特性を考慮した検査を実施できる。
【0022】
検査工程では、電子制御装置10に検査装置50を接続して検査を実施する。検査装置50は、図1に示したように、記憶メモリ書込ブロック51、スルーレート調整値算出ブロック52、53、目標スルーレート記憶ブロック54a、判定ブロック54b、MOSスルーレート観測ブロック55、56に分けて機能構成されている。スルーレート調整値算出ブロック52、53はスルーレート調整部相当であり、目標スルーレート記憶ブロック54aは目標スルーレート範囲記憶部相当である。また判定ブロック54bは判定部相当であり、記憶メモリ書込ブロック51は書込部相当である。
【0023】
以下、検査工程における詳細方法について図2を参照しながら説明する。
検査工程では、図2のS101にて電子制御装置10に電源投入される。電源が制御IC40に投入されると、制御IC40は、S102において予め定められたデフォルトのスルーレートで、上MOS制御ブロック41によりハイサイドのMOSトランジスタ34を駆動すると共に、下MOS制御ブロック42によりローサイドのMOSトランジスタ35を駆動する。図3のタイミングt0~t1のハイサイドのMOSトランジスタ34のスルーレートSRu0、ローサイドのMOSトランジスタ35のスルーレートSRd0参照。
【0024】
このとき、ハイサイドのMOSトランジスタ34とローサイドのMOSトランジスタ35は相補的にオンオフ動作する。電源回路38は、MOSトランジスタ34、35を相補的にオンオフすることで、インダクタ36及びコンデンサ37を通じて直流電圧を生成しマイコン20に電源を供給する。
【0025】
MOSスルーレート観測ブロック55は、ハイサイドのMOSトランジスタ34のゲートソース間電圧を観測する。MOSスルーレート観測ブロック56は、ローサイドのMOSトランジスタ35のゲートソース間電圧を観測する。MOSスルーレート観測ブロック55、56は、それぞれMOSトランジスタ34、35がオフ状態となるオフ電圧からオン状態となるオン閾値電圧までの到達時間を計測してスルーレートを算出する。
【0026】
目標スルーレート記憶ブロック54aには予め目標スルーレートが記憶されている。目標スルーレートとは、ノイズ規格を満足しつつ、最も変換効率が高くなるスルーレートを指しており、電子制御装置10の設計時に定義した値である。
【0027】
判定ブロック54bは、当該目標スルーレートに公差を加減算した値と、MOSスルーレート観測ブロック55、56により観測されたスルーレートとを比較し、観測スルーレートが適切であるか判定する。具体的には、判定ブロック54bは、S104において、MOSトランジスタ34、35の観測スルーレートが(目標スルーレート-公差)<観測スルーレート<(目標スルーレート+公差)の条件を満たしているか否か、つまり、目標スルーレートの最大値及び最小値の範囲内であるか範囲外であるか判定する。
【0028】
判定ブロック54bは、S104の条件を満たしている場合YESと判定し、記憶メモリ書込ブロック51は、マイコン20のスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bに観測スルーレートをそのままスルーレート調整値として書込む(書込部としての機能)。又は、記憶メモリ書込ブロック51は、観測スルーレートから目標スルーレートを差し引きした差分だけ調整したスルーレートをスルーレート調整値としてマイコン20のスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bに書込んでも良い。
【0029】
この場合、検査装置50は、スルーレートの検査を正常と判定し調整完了と判断し、S111において電子制御装置10の電源をオフし、S112にて制御IC40の記憶部43の内部のスルーレート調整値記憶レジスタ43a、43bを初期化して検査を終了する。
【0030】
他方、判定ブロック54bが、S104の条件を満たしていないと判定した場合、調整未完了と判断し、S105~S109においてMOSトランジスタ34、35のスルーレートを目標スルーレートに近づけるための調整作業を実施する。
【0031】
スルーレート調整値算出ブロック52、53は、S105において判定ブロック54bの判定結果に基づいてスルーレート調整値をそれぞれ算出する。スルーレート調整値は、MOSトランジスタ34、35を駆動する際の駆動電圧のスルーレートを目標スルーレートに近づけるための調整後のスルーレートそのもの、又は、相対的な調整値を示す。
【0032】
すなわちスルーレート調整値は、スルーレートそのものを表す絶対的な値であっても、実際のスルーレートの絶対的な値に対応して予め規則に沿って対応して定められた値であってもよい。またスルーレート調整値は、ある標準値を基準とした相対的な値であってもよいし、さらにこのスルーレートの相対的な値に対応して予め規則に沿って対応して定められた値であってもよい。
【0033】
例えば、実際の観測スルーレートが目標スルーレートよりも小さい場合、スルーレート調整値算出ブロック52、53は、観測されたMOSトランジスタ34、35のスルーレートを上げるようにスルーレート調整値を算出する。逆に、観測スルーレートが目標スルーレートよりも大きい場合、スルーレート調整値算出ブロック52、53は、観測されたMOSトランジスタ34、35のスルーレートを下げるようにスルーレート調整値を算出する。
【0034】
MOSトランジスタ34、35のオン/オフ速度の目標スルーレートが標準値1V/μsと予め設定されている場合を考える。例えば、MOSトランジスタ34、35のスルーレートが0.5V/μsと低く観測された場合、スルーレート調整値算出ブロック52、53は、1.2V/μsと目標スルーレートの標準値より高くするように、MOSトランジスタ34、35のオン/オフ速度のスルーレート調整値を算出する。
【0035】
そして、スルーレート調整値算出ブロック52、53は、S106において記憶メモリ書込ブロック51にスルーレート調整値を送信する。記憶メモリ書込ブロック51は、S107においてマイコン20にスルーレート調整値を送信し、S108においてスルーレート調整値をスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bに書込む。
【0036】
この後、マイコン20の通信部23と制御IC40の通信部44とが、S109において通信することでスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bに記憶されたスルーレート調整値をマイコン20から制御IC40に送信する。制御IC40は、スルーレート調整値記憶レジスタ43a、43bにスルーレート調整値を書込む。
【0037】
上MOS制御ブロック41は、S111においてスルーレート調整値記憶レジスタ43aに記憶されたスルーレート調整値に基づいてハイサイドのMOSトランジスタ34を駆動する。このとき、上MOS制御ブロック41は、スルーレート調整値によりスルーレートを調整したゲート電圧をハイサイドのMOSトランジスタ34のゲートに印加する。
【0038】
下MOS制御ブロック42は、S111においてスルーレート調整値記憶レジスタ43bに記憶されたスルーレート調整値に基づいてローサイドのMOSトランジスタ35を駆動する。このとき、下MOS制御ブロック42は、スルーレート調整値によりスルーレートを調整したゲート電圧をローサイドのMOSトランジスタ35のゲートに印加する。このような場合、上MOS制御ブロック41、下MOS制御ブロック42は、それぞれデジタル処理することで段階的にゲート電圧を上昇又は下降させることでゲート電圧を生成してMOSトランジスタ34、35のゲートにそれぞれ印加する。
【0039】
そして処理をS103に戻す。この後、判定ブロック54bがS104の条件を満たしたと判定するまで、S105~S111の処理が繰り返される。例えば、1回目のS103におけるスルーレートの観測では0.5V/μsと(目標スルーレート-公差)よりも低く観測され、1回目のS105~S111の処理が実行された後もMOSトランジスタ34、35のスルーレートが0.7V/μsと低く観測された場合を考慮する。
【0040】
この場合、スルーレート調整値算出ブロック52、53は、前回算出されたスルーレート調整値1.2V/μsよりも高い1.4V/μsをMOSトランジスタ34、35のオン/オフ速度のスルーレート調整値として算出する。このように、S103~S111のループを繰り返すことでスルーレート調整値を徐々に上げることができる。これにより、観測された実際のスルーレートが目標スルーレートよりも大幅に低かったとしても、スルーレート調整値を徐々に上げることで、実際のスルーレートを目標スルーレートに近づけることができる。
【0041】
逆に、1回目のS103におけるスルーレートの観測では(目標スルーレート+公差)よりも高く観測され、1回目のS105~S111の処理が実行された後も(目標スルーレート+公差)よりも高く観測された場合も同様である。この場合、検査装置50のスルーレート調整値算出ブロック52、53は、1回目にスルーレート調整値を標準値よりも低く算出しているが、2回目ではさらに低くスルーレート調整値を算出する。このように、S103~S111のループを繰り返すことでスルーレート調整値を徐々に下げることができる。これにより、観測された実際のスルーレートが目標スルーレートよりも大幅に高かったとしても、スルーレート調整値を徐々に下げることで、実際のスルーレートを目標スルーレートに近づけることができる。
【0042】
判定ブロック54bは、S104の条件を満たしている場合にYESと判定し、記憶メモリ書込ブロック51は、マイコン20のスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bにスルーレート調整値を書込む。
【0043】
この場合、検査装置50は、スルーレートの検査を終了して調整完了と判断し、S111において電子制御装置10の電源をオフし、S112にて制御IC40のレジスタを初期化して検査を終了する。
【0044】
製造者は、電子制御装置10の検査終了後、検査装置50を取り外し、電子制御装置10を出荷する。電子制御装置10は、出荷後に図示しない車体に組付けられる。車体に各種部品が組付けられると車両は走行できる。
【0045】
車両運転時、図4に示すように、S201において図示しないイグニッションスイッチがオンされると、S202にて電子制御装置10に電源投入される。電子制御装置10に電源投入されると制御IC40に電源が通電される。なお、制御IC40に電源通電されていないと、スルーレート調整値記憶レジスタ43a、43bは、記憶部43に不揮発的に記憶されているスルーレート初期値にリセットされる。ここでの初期値はスルーレートの標準値を示すが、予め設計により定められた所定の範囲内でスルーレートが最も急峻となる値を予め初期値とすることが望ましい。
【0046】
電子制御装置10の制御IC40に電源通電されると、上MOS制御ブロック41が、記憶部43に記憶されたスルーレートの初期値を設定し、ハイサイドのMOSトランジスタ34を駆動する。また、下MOS制御ブロック42が、記憶部43に記憶されたスルーレートの初期値によりローサイドのMOSトランジスタ35を駆動する。
【0047】
所定の範囲内で予め最も急峻となる値がスルーレートの初期値とされている。このため、ノイズ量は増えるもののMOSトランジスタ34、35の発熱を抑制できる。このため、後にスルーレートが調整されるまでの電源投入直後の短時間のみ初期値で制御することで、MOSトランジスタ34、35やその周辺回路に発熱により異常を生じることを防止できる。これにより、S203においてマイコン20に通電することができマイコン20が起動する。
【0048】
マイコン20が起動すると、S204においてマイコン20と制御IC40は通信部23、44を通じて通信する。スルーレート調整値記憶メモリ22a、22bには検査装置50から事前にスルーレート調整値が書込まれている。マイコン20の通信部23は、マイコン20のスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bからスルーレート調整値を読出し、シリアル通信によりスルーレート調整値を制御IC40の通信部44に送信する。制御IC40は、スルーレート調整値をスルーレート調整値記憶レジスタ43a、43bに記憶させる。
【0049】
S205において、制御IC40の上MOS制御ブロック41は、通信部44により受信しスルーレート調整値記憶レジスタ43aに記憶されたスルーレート調整値に沿ってハイサイドのMOSトランジスタ34を駆動する。制御IC40の下MOS制御ブロック42は、通信部44により受信しスルーレート調整値記憶レジスタ43bに記憶されたスルーレート調整値に沿ってローサイドのMOSトランジスタ35を駆動する。
【0050】
これ以降、S206に示されるように、上MOS制御ブロック41は、受信したスルーレート調整値によりハイサイドのMOSトランジスタ34を駆動継続し、下MOS制御ブロック42は、受信したスルーレート調整値によりローサイドのMOSトランジスタ35を駆動継続する。
【0051】
この後、イグニッションスイッチがオフされると、S207において電子制御装置10の電源通電も遮断される。すると、制御IC40は、S208においてスルーレート調整値記憶レジスタ43a、43bの記憶値をクリアする。再度イグニッションスイッチがオンされると、S201より処理が繰り返されることになる。
【0052】
<本実施形態の技術的意義の説明>
図5に従来の方法(比較例)を用いてスルーレートを検査した結果を示し、図6に本実施形態の方法を用いてスルーレートを調整した場合の結果を示している。例えば、図5に示すように、寄生容量が比較的小さくスルーレートが比較的急峻であるMOSトランジスタ34、35のA品と、寄生容量が比較的大きくスルーレートが比較的緩やかなMOSトランジスタ34、35のB品と、をそれぞれ搭載した複数の電子制御装置10を量産化した場合について考慮する。
【0053】
寄生容量が小さくスルーレートが急峻なA品の場合、スイッチング損失や熱、供給電流が比較的小さいもののノイズが大きくなる。逆に、寄生容量が大きくスルーレートが緩やかなB品の場合、スイッチング損失や熱、供給電流、生成ノイズを共に中程度に抑えることができる。
【0054】
このようなA品、B品を用いて同一ロットで電子制御装置10をそれぞれ製造した場合、A品に生じているノイズを抑制するため、MOSトランジスタ34、35のスルーレートを緩やかにするように調整することが考えられる。するとA品を用いた電子制御装置10では、スイッチング損失や熱、供給電流が若干大きく中程度になるものの、大きく生じていたノイズを抑制できる(図5の調整K1の「大」→「中」参照)。
【0055】
同一ロット内でA品と同様の調整をB品にも実施されると、B品に生じているノイズを小さく抑制できるものの、スイッチング損失、発熱、供給電流が大きくなってしまい、予め定められた規定から外れてしまう虞がある(図5の調整K2の「中」→「大」参照)。
【0056】
他方、本実施形態の検査装置50を用いてA品、B品のスルーレートを調整すると、A品、B品の個々の部品に合わせてスルーレートを調整できる。寄生容量が小さなA品の場合、検査装置50がスルーレートを観測し、前述と同様に生成ノイズを少なくするようにスルーレートを緩やかに調整することで、スイッチング損失、発熱、供給電流、生成ノイズを中程度に調整できる。他方、寄生容量が大きなB品の場合、検査装置50がスルーレートを観測した結果、スルーレートが基準に比較して緩やかであることを検出できるため、スルーレートを急峻にするように調整できる。このため、ノイズの発生を抑制しつつ、スイッチング損失、発熱、供給電流を中程度に抑制できる。この結果、部品の定格サイズを抑制できるようになりコスト増を防ぐことができる。
【0057】
<本実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、電子制御装置10に実装されたMOSトランジスタ34、35のスルーレートを検査装置50により観測し、観測したスルーレートを目標スルーレートの上限値及び下限値の範囲内であるか範囲外であるか判定している。このとき、範囲外の場合は、その都度、MOSトランジスタ34、35のオン/オフ速度を変化させることでスルーレートを目標スルーレートに近づけるように調整している。これにより、検査装置50は、MOSトランジスタ34、35ごとにスルーレートを観測しそれぞれ最適なスルーレートに調整し、電子制御装置10のメモリ22に調整値を書込むことができる。結果、電子制御装置10は、電源回路38の効率化及びノイズの抑制を図ることができる。
【0058】
また判定ブロック54bは、MOSスルーレート観測ブロック55、56の観測結果が最大値と最小値の間にある場合には調整完了と判断し、最大値と前記最小値の間にない場合には調整未完了と判断するようにしている。これにより、目標スルーレートの最大値と最小値の範囲内にスルーレートが収まっているか否かを確認し調整が完了しているかを判断できる。
【0059】
また従来、効率悪化による熱対策として大きくしていた定格の部品サイズや、それに伴うコスト増を低減する効果も得られる。つまり、部品の定格を縮小化したことに伴う部品サイズの小型化を実現できコストを低減できる。
【0060】
上MOS制御ブロック41、下MOS制御ブロック42は、それぞれスルーレート調整値記憶レジスタ43a、43bを参照し複数のMOSトランジスタ34、35ごとにスルーレートを制御するようにしているため、MOSトランジスタ34、35毎にスルーレートを制御でき、より最適なスルーレートでMOSトランジスタ34、35を制御できる。
【0061】
初期値記憶部はスルーレートが最も急峻となる値を予め初期値として記憶しており、電源が投入された直後は、上MOS制御ブロック41、下MOS制御ブロック42は、それぞれ初期値記憶部に記憶された初期値に従ってMOSトランジスタ34、35をそれぞれ制御している。このため、電源投入直後のMOSトランジスタ34、35の発熱による異常を防止できる。
【0062】
上MOS制御ブロック41及び下MOS制御ブロック42が、初期値記憶部に記憶された初期値に従ってMOSトランジスタ34、35をそれぞれ制御した後、マイコン20は事前に書き込まれたスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bからスルーレート調整値をスルーレート調整値記憶レジスタ43a、43bに通信する。
【0063】
そして、上MOS制御ブロック41及び下MOS制御ブロック42は、スルーレート調整値に基づいてMOSトランジスタ34、35のスルーレートを制御するようにしている。このため、マイコン20と制御IC40とが連携してスルーレート調整値を用いてMOSトランジスタ34、35の駆動用のスルーレートを調整できるようになる。
【0064】
(他の実施形態)
本開示は、前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
検査装置50がMOSトランジスタ34、35を検査する際に、MOSトランジスタ34、35のオン時のスルーレート及びオフ時のスルーレートの何れを観測対象としてもよいし両者を観測対象としてもよい。また、MOSトランジスタ34、35のオン時のスルーレートのみを観測対象としてオン時のスルーレートのみを調整するようにしてもよいし、オフ時のスルーレートのみを観測対象としてオフ時のスルーレートのみを調整するようにしてもよい。すなわち、「スルーレート」としては、オン時のスルーレート、又は、オフ時のスルーレート、オン時及びオフ時の両スルーレートの何れでも適用できる。
【0065】
マイコン20のスルーレート調整値記憶メモリ22a、22bが、マイコン20に内蔵している形態を説明したが、マイコン20に内蔵されているものに限られない。スルーレートの調整値を記憶するメモリ22は、マイコン20に外付けで構成しても良い。
【0066】
MOSトランジスタ34、35を用いた形態を例示したが、例えばバイポーラジャンクショントランジスタ、IGBTなどの各種のスイッチング素子を適用できる。
【0067】
本開示に記載の検査装置50、電子制御装置10及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の検査装置50、電子制御装置10及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0068】
もしくは、本開示に記載の検査装置50、電子制御装置10及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0069】
つまりプロセッサ等が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供できる。たとえばプロセッサが備える機能の一部または全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、ひとつ以上のICなどを用いて実現する態様が含まれる。
【0070】
本開示の発明には特許請求の範囲に記載の発明に加えて以下の発明も含まれる。
[1]
制御部(20)と、複数のスイッチング素子(34、35)とを備えた電子制御装置(10)を検査する検査装置であって、
複数のスイッチング素子のそれぞれのスルーレートを観測するスルーレート観測部(55、56)と、
予め設定された目標スルーレートの範囲を記憶する目標スルーレート範囲記憶部(54a)と、
スルーレート観測部の観測結果が前記記憶された前記目標スルーレートの範囲内か範囲外かを判定する判定部(54b)と、
範囲外の場合には判定部の判定結果に基づいてスルーレートの調整値を算出するスルーレート調整部(52、53)と、
調整値を制御部が参照する制御部用記憶部(22)に書込む書込部(51)と、
を備える検査装置。
【0071】
[2]
目標スルーレート範囲記憶部には前記目標スルーレートの範囲の最大値と最小値が予め設定されており、
判定部は、スルーレート観測部の観測結果が前記最大値と前記最小値の間にある場合には調整完了と判断し、最大値と最小値の間にない場合には調整未完了と判断する[1]記載の検査装置。
【0072】
[3]
制御部(20)と、複数のスイッチング素子(34、35)とを備えた電子制御装置(10)であって、
検査装置により事前にスルーレート調整値が書き込まれる制御部用記憶部(22、22a、22b)と、
複数のスイッチング素子に対応して設けられる複数のスイッチ制御部(41、42)と、を備え、
複数のスイッチ制御部は、制御部用記憶部に記憶されるスルーレート調整値に基づいて複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する電子制御装置。
【0073】
[4]
制御部用記憶部に記憶されるスルーレート調整値は、通信により制御部用記憶部とは異なるスイッチ制御部用記憶部(43a、43b)に格納され、
複数のスイッチ制御部は、スイッチ制御部用記憶部に記憶されるスルーレート調整値に基づいて複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する[3]記載の電子制御装置。
【0074】
[5]
複数のスイッチング素子ごとにそれぞれスイッチ制御部用記憶部を設け、
複数のスイッチ制御部は、それぞれスイッチ制御部用記憶部を参照し複数のスイッチング素子ごとにスルーレートを制御する[3]又は[4]記載の電子制御装置。
【0075】
[6]
予め定められた所定の範囲内でスルーレートが最も急峻となる値を予め初期値として記憶する初期値記憶部を備え、
電源が投入された直後は、複数のスイッチ制御部は初期値記憶部に記憶された前記初期値に従って複数のスイッチング素子をそれぞれ制御する[3]から[5]の何れか一つに記載の電子制御装置。
【0076】
[7]
複数のスイッチ制御部が、初期値に従って複数のスイッチング素子をそれぞれ制御した後、制御部は事前に書き込まれた制御部用記憶部からスルーレート調整値をスイッチ制御部用記憶部に通信し、複数のスイッチ制御部はスルーレート調整値に基づいてスイッチング素子のスルーレートを制御する[3]から[6]の何れか一つに記載の電子制御装置。
【0077】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0078】
図面中、10は電子制御装置、20はマイコン(制御部)、22a、22bはスルーレート調整値記憶メモリ(制御部用記憶部)、34、35はMOSトランジスタ(スイッチング素子)、41は上MOS制御ブロック(スイッチ制御部)、42は下MOS制御ブロック(スイッチ制御部)、43a、43bはスルーレート調整値記憶レジスタ(スイッチ制御部用記憶部)、50は検査装置、51は記憶メモリ書込ブロック(書込部)、52、53はスルーレート調整値算出ブロック(スルーレート調整部)、54aは目標スルーレート記憶ブロック(目標スルーレート範囲記憶部)、54bは判定ブロック(判定部)、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6