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特開2024-16209免疫チェックポイント阻害剤抗体を使用した癌の処置のための方法及び組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016209
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】免疫チェックポイント阻害剤抗体を使用した癌の処置のための方法及び組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A61K39/395 T ZNA
A61P35/00
A61P1/16
A61P43/00 121
C07K16/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】70
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191381
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2022554243の分割
【原出願日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】63/023,554
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】カーランド,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ネグロ,アレハンドラ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオ-チュン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、癌の処置のための方法、組成物、及び組み合わせを提供する。
【解決手段】本開示は、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片及び抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを、それを必要とする対象に投与することを含む方法に関する。本開示はまた、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片及び抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを含む組み合わせに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、
(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;
(ii)1mg/kg~10mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片と
を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、1mg/kgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、15mg/kg~25mg/kgの用量で投与される、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に4回投与され、続いて前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
経動脈化学塞栓療法(TACE)を施すことを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、20mg/kgの用量で投与されるデュルバルマブであり、前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、1mg/kgの用量で投与されるトレメリムマブである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、
(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;
(ii)75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片と
を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項13】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1000mg~1600mgの用量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、75mgの用量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、300mgの用量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、4週間毎に投与される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に4回投与され、続いて前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、1回投与され、続いて前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に投与される、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
経動脈化学塞栓療法(TACE)を施すことを更に含む、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、請求項12~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量で投与されるデュルバルマブであり、前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、75mgの用量で投与されるトレメリムマブである、請求項12~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量で投与されるデュルバルマブであり、前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、300mgの用量で投与されるトレメリムマブである、請求項13~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項27】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、10mg/kgの用量で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、750mgの用量で投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、4週間毎に投与される、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、12週間毎に投与される、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
経動脈化学塞栓療法(TACE)を施すことを更に含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、750mgの用量で4週間毎に7回投与されるトレメリムマブであり、その後トレメリムマブが、750mgの用量で12週間毎に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、
(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;
(ii)1mg/kg~10mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片と
を含む、組み合わせ。
【請求項37】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、1mg/kgである、請求項36に記載の組み合わせ。
【請求項38】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片の用量が、15mg/kg~25mg/kgである、請求項36又は37のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項39】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、請求項36~38のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項40】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、請求項36~39のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項41】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項42】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に4回投与され、続いて前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に投与される、請求項41に記載の組み合わせ。
【請求項43】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に前記対象に投与される、請求項36~42のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項44】
経動脈化学塞栓療法(TACE)を前記対象に施すことを更に含む、請求項36~43のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項45】
前記腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、請求項36~44のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項46】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、20mg/kgの用量のデュルバルマブであり、前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、1mg/kgの用量のトレメリムマブである、請求項36~45のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項47】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、
(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;
(ii)75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片と
を含む、組み合わせ。
【請求項48】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片の用量が、1000mg~1600mgである、請求項47に記載の組み合わせ。
【請求項49】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、75mgである、請求項47に記載の組み合わせ。
【請求項50】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、300mgである、請求項47に記載の組み合わせ。
【請求項51】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、請求項47~50のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項52】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、請求項47~51のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項53】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に投与される、請求項47~52のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項54】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に4回投与され、続いて前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に投与される、請求項53に記載の組み合わせ。
【請求項55】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、前記対象に1回投与され、続いて前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に投与される、請求項47~54のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項56】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に前記対象に投与される、請求項47~55のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項57】
経動脈化学塞栓療法(TACE)を前記対象に施すことを更に含む、請求項47~56のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項58】
前記腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、請求項47~57のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項59】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量のデュルバルマブであり、前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、75mgの用量のトレメリムマブである、請求項47~58のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項60】
前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量のデュルバルマブであり、前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、300mgの用量のトレメリムマブである、請求項48~59のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項61】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で含む、組み合わせ。
【請求項62】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で含む、組み合わせ。
【請求項63】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、10mg/kgである、請求項61に記載の組み合わせ。
【請求項64】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、750mgである、請求項62に記載の組み合わせ。
【請求項65】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、請求項61~64のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項66】
前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、4週間毎に前記対象に投与される、請求項61~65のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項67】
前記抗CTLA-4抗体又はその前記抗原結合断片が、12週間毎に前記対象に投与される、請求項61~65のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項68】
経動脈化学塞栓療法(TACE)を前記対象に施すことを更に含む、請求項61~65のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項69】
前記腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、請求項63~68のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項70】
前記抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、前記対象に750mgの用量で4週間毎に7回投与されるトレメリムマブであり、その後トレメリムマブが、前記対象に750mgの用量で12週間毎に投与される、請求項62に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、癌の処置のための方法、組成物、及び組み合わせに関する。具体的には、本開示は、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片及び抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを、それを必要とする対象に投与することを含む方法に関する。本開示はまた、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片及び抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを含む組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
肝細胞癌(HCC)は、全世界における癌による死亡の3番目の主要な原因である。HCCに対する現行の処置パラダイムは、マルチモダリティ療法を利用している。疾患初期の患者に対しては、処置は治癒目的に基づくものであり、選択肢としては、外科的切除、肝移植、及び/又はラジオ波焼灼療法などの局所領域療法が挙げられる。不都合なことに、治癒的処置に適格でない患者は、他の緩和的局所領域療法(主に緩和的経動脈塞栓術(TAE)、化学療法剤含有粒子若しくは放射性粒子を用いた経動脈塞栓術を含む)、又はソラフェニブ、レンバチニブ、カボザンチニブ、及びラムシルマブなどの全身療法により処置される。更に、一部の進行性の患者集団に対しては、レゴラフェニブが選択肢の1つとなり得る。
【0003】
進行性HCCの初期処置(第一選択療法)として、ソラフェニブは生存期間の向上を示し、これは、全世界の規制当局の承認を支持するものであった(非特許文献1)。また、レンバチニブは、ソラフェニブと比較した、生存期間の非劣性の結果並びに全奏効率(ORR)及び無増悪生存期間(PFS)の向上に基づいて、進行性HCCに対する初期処置として承認されている(非特許文献2)。レゴラフェニブは、第二選択処置中のHCC患者の生存期間を多少延長させることが示されている。利用可能な新たな処置選択肢が多様であるにもかかわらず、進行性HCC患者の全般的なアウトカムは依然として不良である。したがって、HCCは、重大なアンメットメディカルニーズを示している。本開示は、このアンメットメディカルニーズに対処する、HCCの処置のための方法、組成物、及び組み合わせを記載する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Llovet et al.,N.Engl.J.Med.359(4):378-90(2008)
【非特許文献2】Kudo et al.,Lancet 391(10126):1163-73(2018)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)1mg/kg~10mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0006】
別の態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0007】
更なる態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で対象に投与することを含む方法を提供する。
【0008】
更に別の態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で対象に投与することを含む方法を提供する。
【0009】
別の態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)1mg/kg~10mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを含む組み合わせを提供する。
【0010】
更なる態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを含む組み合わせを提供する。
【0011】
更に別の態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で含む組み合わせを提供する。
【0012】
更に別の態様では、本明細書の開示は、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で含む組み合わせを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例1に開示される、デュルバルマブ及びトレメリムマブを単独で、並びに組み合わせて使用した処置の試験フロー図を示す。
図2図2は、実施例1に記載され開示されるHIMALAYA試験の投薬模式図を示す。
図3図3は、実施例2に開示される試験の全般的デザインを示す。
図4図4は、実施例2に開示される試験の投薬模式図を示す。
図5図5は、実施例2に開示される試験の各アームの全生存(OS)率を示す。
図6図6は、実施例2に開示される試験で処置された患者のOS、生存率、及び総処置期間を示す。
図7-1】図7は、実施例2に開示される試験に対する応答がPD-L1発現レベル又はウイルス状態にかかわらず認められたことを示す。図7Aは、デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ300mg(T300+D)併用療法に対する応答を示す。図7Bは、デュルバルマブ1500mg単独療法(D)に対する応答を示す。図7Cは、トレメリムマブ750mg単独療法(T)に対する応答を示す。図7Dは、デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ75mg(T75+D)併用療法に対する応答を示す。
図7-2】図7は、実施例2に開示される試験に対する応答がPD-L1発現レベル又はウイルス状態にかかわらず認められたことを示す。図7Aは、デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ300mg(T300+D)併用療法に対する応答を示す。図7Bは、デュルバルマブ1500mg単独療法(D)に対する応答を示す。図7Cは、トレメリムマブ750mg単独療法(T)に対する応答を示す。図7Dは、デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ75mg(T75+D)併用療法に対する応答を示す。
図8図8は、実施例2に開示される試験で測定された副次的評価項目を示す。
図9図9は、実施例2に開示される患者集団の薬力学的バイオマーカー解析の結果を示す。
図10図10は、実施例2に開示される試験の標的病変に対するベースラインからの最良奏効を示す。
図11図11は、実施例2に開示される試験のPFSのカプラン・マイヤー分析を示す。
図12図12は、実施例2に開示される試験における、リンパ球集団数とカノン(canon)-1又はカノン-2スコアとの相関(相関係数>0.1)を示す。
図13図13は、実施例2に開示される試験における1日目及び15日目の応答別の患者試料のCD3+CD8+Ki67+ T細胞分析を示す。
図14図14は、実施例2に開示される試験において、T細胞のベースラインでの豊富さ又はSimpsonクローン性に、アーム間で有意差がなかったことを示す。
図15-1】図15は、T細胞のクローン増殖の増大が、奏効と関連しており、より高用量のトレメリムマブ(T)によって引き起こされることを示す。
図15-2】図15は、T細胞のクローン増殖の増大が、奏効と関連しており、より高用量のトレメリムマブ(T)によって引き起こされることを示す。
図16-1】図16は、実施例2に開示される試験において、T細胞のクローン増殖の増大が、より良好なOSと関連しており、デュルバルマブ+トレメリムマブ(D+T)併用アームで見られたことを示す。
図16-2】図16は、実施例2に開示される試験において、T細胞のクローン増殖の増大が、より良好なOSと関連しており、デュルバルマブ+トレメリムマブ(D+T)併用アームで見られたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、癌の処置のための方法、組成物、及び組み合わせに関する。具体的には、本開示は、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片及び抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを、それを必要とする対象に投与することを含む方法に関する。本開示はまた、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片及び抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを含む組み合わせに関する。
【0015】
本開示に従って使用される場合、他に指示がない限り、全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解されている意味と同じ意味を有すると理解されるものとする。文脈により特に要求されない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。
【0016】
いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び1mg/kg~5mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で対象に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び1mg/kg~5mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を含む組み合わせが、本明細書で提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を含む組み合わせが、本明細書で提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で含む組み合わせが、本明細書で提供される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原を認識し、抗原に特異的に結合することができるタンパク質を指す。通常又は従来の哺乳動物抗体は、テトラマーを含み、これは、典型的には、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(典型的には約25kDaの分子量を有する)及び1つの「重」鎖(典型的には約50~70kDaの分子量を有する)からなる。本明細書で使用される場合、「重鎖」及び「軽鎖」という用語は、標的抗原に対する特異性を付与するのに十分な可変ドメイン配列を有するあらゆる免疫グロブリンポリペプチドを指す。各軽鎖及び各重鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識を通常担う約100~110個又はそれを超えるアミノ酸の可変ドメインを含む。各鎖のカルボキシル末端部分は、典型的には、エフェクター機能を担う定常ドメインを画定する。したがって、天然に存在する抗体では、完全長の重鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(V)並びに3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)並びにCH1とCH2との間のヒンジ領域を含み、Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CH3ドメインは、カルボキシル末端にある。また、完全長の軽鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(V)及び定常ドメイン(C)を含み、Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、Cドメインは、カルボキシル末端にある。
【0023】
完全長の軽鎖及び重鎖内では、可変ドメイン及び定常ドメインは、典型的には、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖は、約10個超のアミノ酸の「D」領域も含む。各軽鎖対/重鎖対の可変領域は、典型的には、抗原結合部位を形成する。天然に存在する抗体の可変ドメインは、典型的には、相補性決定領域又はCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって連結された、比較的保存された同じ一般的構造のフレームワーク領域(FR)を示す。各対の2つの鎖由来のCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列され、これにより特定のエピトープに結合することが可能となり得る。アミノ末端からカルボキシル末端まで、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインは、典型的には、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。
【0024】
「抗原結合断片」という用語は、インタクト抗体の一部及び/又はインタクト抗体の抗原決定可変ドメインを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって果たされ得ることが知られている。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、直鎖状抗体、単鎖抗体、ダイアボディ、並びに多重特異性抗体(抗体断片から形成される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片は、デュルバルマブである。デュルバルマブ(MEDI4736、Imfinzi(登録商標))は、PD-L1のPD-1及びCD80受容体の両方への結合を遮断する能力がある、ヒトPD-L1に対するヒトモノクローナル抗体である。デュルバルマブに関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,779,108号明細書及び同第9,493,565号明細書に見出され得る。
【0026】
本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのデュルバルマブ及びその抗原結合断片は、重鎖及び軽鎖又は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのデュルバルマブ又はその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのデュルバルマブ又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は配列番号3~5のKabat定義CDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は配列番号6~8のKabat定義CDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。当業者は、Chothia定義、Abm定義、又は当業者に公知の他のCDR定義を容易に識別することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのデュルバルマブ又はその抗原結合断片は、米国特許第8,779,108号明細書及び同第9,493,565号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている2.14H9OPT抗体の可変重鎖及び可変軽鎖のCDR配列を含む。
【0027】
デュルバルマブ軽鎖(LC)可変領域:
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQRVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSLPWTFGQGTKVEIK(配列番号1)
【0028】
デュルバルマブ重鎖(HC)可変領域:
【化1】
【0029】
デュルバルマブ重鎖CDR:
HC-CDR1:GFTFSRYWMS(配列番号3)
HC-CDR2:NIKQDGSEKYYVDSVKG(配列番号4)
HC-CDR3:EGGWFGELAFDY 配列番号5)
【0030】
デュルバルマブ、軽鎖CDR:
LC-CDR1:RASQRVSSSYLA(配列番号6)
LC-CDR2:DASSRAT(配列番号7)
LC-CDR3:QQYGSLPWT(配列番号8)
【0031】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、トレメリムマブである。本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのトレメリムマブ及びその抗原結合断片は、重鎖及び軽鎖又は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのトレメリムマブ又はその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのトレメリムマブ又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は配列番号11~13のKabat定義CDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み、軽鎖可変領域は配列番号14~16のKabat定義CDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。当業者は、Chothia定義、Abm定義、又は当業者に公知の他のCDR定義を容易に識別することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、組成物、及び組み合わせに使用するためのトレメリムマブ又はその抗原結合断片は、米国特許第6,682,736号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている11.2.1抗体の可変重鎖及び可変軽鎖のCDR配列を含む。
【0032】
トレメリムマブ軽鎖(LC)可変領域:
【化2】
【0033】
トレメリムマブ重鎖(HC)可変領域:
【化3】
【0034】
トレメリムマブ重鎖CDR
HC-CDR1:GFTFSSYGMH(配列番号11)
HC-CDR2:VIWYDGSNKYYADSV(配列番号12)
HC-CDR3:DPRGATLYYYYYGMDV(配列番号13)
【0035】
トレメリムマブ軽鎖CDR1
LC-CDR1:RASQSINSYLD(配列番号14)
LC-CDR2:AASSLQS(配列番号15)
LC-CDR3:QQYYSTPFT(配列番号16)
【0036】
本明細書で使用される場合、「血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤」という用語は、VEGF及びVEGFRの活性を阻害する薬剤を意味する。VEGR及びVEGFR(チロシンキナーゼ受容体)シグナル伝達は、血管新生を調節し、これには既存血管から新たな血管を作り出すことが含まれる。異常な血管新生は、癌、変性した眼の状態、及び炎症を伴う他の状態で生じることが知られている。特異的モノクローナル抗体をVEGF阻害剤として使用することができ、特定のチロシンキナーゼ阻害剤をVEGFR阻害剤として使用する。血管内皮増殖因子(VEGF)/血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤は、様々な種類の癌の処置に使用される。
【0037】
「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物、特に哺乳動物を含むことが意図される。特定の実施形態では、対象はヒト患者である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている方法、組成物、及び組み合わせは、対象の腫瘍障害及び/又は癌障害を処置することに関する。いくつかの実施形態では、腫瘍は、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、選択された肝細胞癌(HCC)、胆管癌、若しくは胆道癌、尿路上皮膀胱癌(UBC)、又は胃癌である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「固形腫瘍」という用語は、通常、嚢胞も液体領域も含有しない組織の異常な塊を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「処置」又は「処置する」という用語は、治療的処置及び予防的又は防止的措置の両方を指す。処置が必要な者としては、癌を有する対象及び癌を有する傾向がある対象又は癌を予防すべき対象が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法、組成物、及び組み合わせは、癌の処置のために使用され得る。他の実施形態では、処置が必要な者には、腫瘍を有する対象及び腫瘍を有する傾向がある対象又は腫瘍を予防すべき対象が含まれる。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法、組成物、及び組み合わせは、腫瘍の処置のために使用され得る。他の実施形態では、腫瘍の処置には、腫瘍増殖の阻害、腫瘍縮小の促進、又は腫瘍増殖の阻害及び腫瘍縮小の促進の両方が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「投与」又は「投与すること」という用語は、所望の効果を達成するために、任意の適切な経路により、1種又は複数種の化合物を供給すること、接触させること、及び/又は送達することを指す。投与には、経口、舌下、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、又は頭蓋内の注射)、経皮、局所、頬側、経直腸、経膣、経鼻、経眼、吸入によるもの、及び埋め込みが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0042】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で対象に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で対象に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。
【0043】
腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で含む組み合わせもまた、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で含む組み合わせが、本明細書で提供される。
【0044】
対象に投与されることになる抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量は、対象のサイズ(体重、体表面、又は臓器サイズ)並びに状態(年齢及び全般的な健康状態)に部分的に応じて変動することになる。
【0045】
特定の実施形態では、1回以上の用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、その用量は、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、又は15mg/kgである。いくつかの実施形態では、1回以上の用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、その用量は、10mg/kgである。
【0046】
特定の実施形態では、1回以上の均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、その用量は、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg,850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、又は1120mgである。いくつかの実施形態では、1回以上の均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、その用量は、750mgである。
【0047】
特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、1回のみ又は少ない頻度で腫瘍を呈する対象に投与されるが、それでも対象に利益を与える。他の実施形態では、追加の後続用量が対象に投与される。後続用量は、対象の年齢、体重、臨床評価、腫瘍量、及び/又は主治医の判断を含む他の因子に応じて、様々な時間間隔で投与され得る。
【0048】
特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、2週間の処置期間にわたり、4週間の処置期間にわたり、6週間の処置期間にわたり、8週間の処置期間にわたり、12週間の処置期間にわたり、24週間の処置期間にわたり、又は1年以上の処置期間にわたり投与される。特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、3週間の処置期間にわたり、6週間の処置期間にわたり、9週間の処置期間にわたり、12週間の処置期間にわたり、24週間の処置期間にわたり、又は1年以上の処置期間にわたり投与される。特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、2ヶ月の処置期間にわたり、4ヶ月の処置期間にわたり、又は6ヶ月以上の処置期間にわたり投与される。
【0049】
特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、毎週、2週間毎に、4週間毎に、6週間毎に、8週間毎に、10週間毎に、又は12週間毎に投与される。
【0050】
特定の実施形態では、腫瘍の処置を必要とする対象においてそれを処置するための方法、組成物、及び組み合わせが本明細書で提供され、ここで、トレメリムマブは対象に4週間毎に10mg/kgの用量で7回投与され、続いてトレメリムマブは対象に12週間毎に10mg/kgの用量で投与される。特定の実施形態では、腫瘍の処置を必要とする対象においてそれを処置するための方法、組成物、及び組み合わせが本明細書で提供され、ここで、トレメリムマブは対象に4週間毎に750mgの用量で7回投与され、続いてトレメリムマブは対象に12週間毎に750mgの用量で投与される。
【0051】
「共投与される」、「組み合わせて」、又は「併用療法」という用語は、本明細書で使用される場合、複数の化合物又は薬剤の同時投与又は逐次的投与を指す。第1の化合物又は薬剤は、第2の化合物又は薬剤の投与の前に、それと同時に、又はその後に投与されてもよい。第1の化合物又は薬剤と第2の化合物又は薬剤とは、同じ日に同時に若しくは逐次的に投与されてもよく、又は互いに1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、若しくは1ヶ月以内に逐次的に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、化合物又は薬剤は、それらの化合物又は薬剤の各々が少なくとも何らかの生理学的効果を及ぼしている間及び/又は有効性を保ったままである間に共投与される。
【0052】
いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と組み合わせて投与され得る。
【0053】
抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片との併用療法用量は、対象のサイズ(体重、体表面、又は臓器サイズ)並びに状態(年齢及び全般的な健康状態)に部分的に応じて変動することになる。特定の実施形態では、1回以上の用量の抗CTLA-4又はその抗原結合断片を併用療法として対象に投与し、その用量は、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、又は5mg/kgである。特定の実施形態では、1回以上の均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、その用量は、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg.325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、又は500mgである。
【0054】
抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片の併用療法用量は、対象のサイズ(体重、体表面、又は臓器サイズ)並びに状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変動することになる。特定の実施形態では、1回以上の用量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片を併用療法として対象に投与し、その用量は、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、又は25mg/kgである。特定の実施形態では、1回以上の均一用量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、その用量は、1110mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、又は1600mgである。
【0055】
特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片と抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法は、1回のみ又は少ない頻度で腫瘍を呈する対象に投与されるが、それでも対象に利益を与える。更なる実施形態では、追加の後続用量が対象に投与される。後続用量は、対象の年齢、体重、臨床評価、腫瘍量、及び/又は主治医の判断を含む他の因子に応じて、様々な時間間隔で投与され得る。
【0056】
特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片と抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法は、2週間の処置期間にわたり、4週間の処置期間にわたり、6週間の処置期間にわたり、8週間の処置期間にわたり、12週間の処置期間にわたり、24週間の処置期間にわたり、又は1年以上の処置期間にわたり対象に投与される。特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片と抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法は、3週間の処置期間にわたり、6週間の処置期間にわたり、9週間の処置期間にわたり、12週間の処置期間にわたり、24週間の処置期間にわたり、又は1年以上の処置期間にわたり対象に投与される。
【0057】
特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片と抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法は、2週間毎に、4週間毎に、6週間毎に、8週間毎に、10週間毎に、又は12週間毎に対象に投与される。
【0058】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片は、同時に、別個に、又は逐次的に投与される。
【0059】
特定の実施形態では、抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片と抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法は、対象に4回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が4週間毎に投与される。
【0060】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と抗CTLA-4抗体又は抗原結合断片とを含む併用療法は、対象に1回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が4週間毎に投与される。
【0061】
特定の実施形態では、20mg/kgの用量で投与されるデュルバルマブである抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と、1mg/kgの用量で投与されるトレメリムマブである抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法が、対象に投与される。
【0062】
特定の実施形態では、1500mgの用量のデュルバルマブである抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と、75mgの用量のトレメリムマブである抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法が、対象に投与される。
【0063】
特定の実施形態では、1500mgの用量のデュルバルマブである抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と、300mgの用量のトレメリムマブである抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを含む併用療法が、対象に投与される。
【0064】
特定の実施形態では、併用処置は、ziv-アフリベルセプト、ベバシズマブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、レンバチニブ、カボザンチニブ、レゴラフェニブ、ポナチニブ、ラムシルマブ、及びバンデタニブを含むがこれらに限定されない、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の投与を更に含む。特定の実施形態では、併用処置は、抗TIGIT抗体、モナリズマブ、オレアノール酸、及び/又はオレクルマブの投与を更に含む。
【0065】
本明細書に開示される方法、組成物、及び組み合わせは、更に、腫瘍に罹患しているか又は癌細胞を有する対象を処置するために、従来の癌療法、例えば、緩和的経動脈塞栓術(TAE)、化学療法剤含有粒子又は放射性粒子化学療法を用いた経動脈塞栓術、放射線療法、温熱療法、手術(腫瘍切除)、及びTACE(経動脈化学塞栓療法)と組み合わせることができる。特定の実施形態では、方法、組成物、及び組み合わせは、対象にTACEを施すことを更に含む。
【0066】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」又は「治療用組成物」という用語は、対象に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘導することができる化合物又は組成物を指す。いくつかの実施形態では、本開示は、薬学的に許容される担体と治療有効量の本開示の少なくとも1つの抗体とを含む医薬組成物を提供する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」又は「生理学的に許容される担体」という用語は、本開示の1つ以上の抗体の送達を達成するか又は強化するのに適した1つ以上の製剤材料を指す。
【0068】
インビボ投与に用いられる場合、本開示の製剤は無菌でなければならない。本開示の製剤は、例えば、滅菌濾過又は放射線照射を含む、様々な滅菌方法によって滅菌され得る。一実施形態では、製剤は予め滅菌された0.22ミクロンフィルタで濾過滅菌される。注射用の滅菌組成物は、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy,” 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,(2005)に記載されているような従来の薬務に従って製剤化され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、抗体は、経口、経鼻、経肺、局所(頬側及び舌下を含む)、経直腸、経膣、及び/又は非経口投与などの特定の投与経路用に製剤化され得る。「非経口投与」及び「非経口投与される」という用語は、本明細書で使用される場合、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与方法を指し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入が含まれる。局所又は経皮投与に適した本開示の製剤には、散剤、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、及び吸入剤が含まれる。抗体及び他の活性物質は、薬学的に許容される担体と、必要となり得る任意の保存剤、緩衝剤、又は噴射剤と無菌条件下で混合され得る(例えば、米国特許第7,378,110号明細書;同第7,258,873号明細書;及び同第7,135,180号明細書;米国特許出願公開第2004/0042972号明細書;及び同第2004/0042971号明細書を参照されたい)。
【0070】
製剤は、単位剤形で提供することができ、薬学の技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。本開示の製剤中における活性成分の実際の投薬量レベルは、対象に対して毒性でない、特定の対象、組成物、及び投与方法に所望される治療応答を実現するのに有効な活性成分の量(例えば「治療有効量」)が達成されるように様々であり得る。投薬量はまた、持続注入を介して(例えばポンプによって)投与することもできる。投与される用量はまた、投与経路にも依存し得る。例えば、皮下投与には、静脈内投与よりも高い投薬量が必要であり得る。
【0071】
本開示を限定することなく、本開示のいくつかの実施形態が例示目的で本明細書に記載される。
【0072】
項目1.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)1mg/kg~10mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを対象に投与することを含む、方法。
【0073】
項目2.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、1mg/kgの用量で投与される、項目1に記載の方法。
【0074】
項目3.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、15mg/kg~25mg/kgの用量で投与される、項目1又は2のいずれかに記載の方法。
【0075】
項目4.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、項目1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
項目5.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、項目1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
項目6.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、項目1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
項目7.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に4回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、項目6に記載の方法。
【0079】
項目8.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に投与される、項目1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
項目9.経動脈化学塞栓療法(TACE)を施すことを更に含む、項目1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
項目10.腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、項目1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
項目11.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、20mg/kgの用量で投与されるデュルバルマブであり、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、1mg/kgの用量で投与されるトレメリムマブである、項目1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
項目12.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを対象に投与することを含む、方法。
【0084】
項目13.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1000mg~1600mgの用量で投与される、項目12に記載の方法。
【0085】
項目14.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、75mgの用量で投与される、項目12に記載の方法。
【0086】
項目15.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、300mgの用量で投与される、項目12に記載の方法。
【0087】
項目16.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、項目12~15のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
項目17.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、項目12~16のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
項目18.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、項目12~17のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
項目19.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に4回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、項目18に記載の方法。
【0091】
項目20.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、1回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、項目12~19のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
項目21.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に投与される、項目12~20のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
項目22.経動脈化学塞栓療法(TACE)を施すことを更に含む、項目12~21のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
項目23.腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、項目12~22のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
項目24.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量で投与されるデュルバルマブであり、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、75mgの用量で投与されるトレメリムマブである、項目12~23のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
項目25.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量で投与されるデュルバルマブであり、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、300mgの用量で投与されるトレメリムマブである、項目13~25のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
項目26.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で対象に投与することを含む、方法。
【0098】
項目27.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置する方法であって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で対象に投与することを含む、方法。
【0099】
項目28.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、10mg/kgの用量で投与される、項目26に記載の方法。
【0100】
項目29.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、750mgの用量で投与される、項目27に記載の方法。
【0101】
項目30.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、項目26~29のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
項目31.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に投与される、項目26~30のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
項目32.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、12週間毎に投与される、項目26~30のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
項目33.経動脈化学塞栓療法(TACE)を施すことを更に含む、項目26~30のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
項目34.腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、項目28~33のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
項目35.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、750mgの用量で4週間毎に7回投与されるトレメリムマブであり、その後トレメリムマブが、750mgの用量で12週間毎に投与される、項目27に記載の方法。
【0107】
項目36.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)1mg/kg~10mg/kgの用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを含む、組み合わせ。
【0108】
項目37.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、1mg/kgである、項目36に記載の組み合わせ。
【0109】
項目38.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片の用量が、15mg/kg~25mg/kgである、項目36又は37のいずれかに記載の組み合わせ。
【0110】
項目39.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、項目36~38のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0111】
項目40.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、項目36~39のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0112】
項目41.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に投与される、項目36~40のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0113】
項目42.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に4回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に投与される、項目41に記載の組み合わせ。
【0114】
項目43.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に対象に投与される、項目36~42のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0115】
項目44.経動脈化学塞栓療法(TACE)を対象に施すことを更に含む、項目36~43のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0116】
項目45.腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、項目36~44のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0117】
項目46.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、20mg/kgの用量のデュルバルマブであり、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、1mg/kgの用量のトレメリムマブである、項目36~45のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0118】
項目47.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、(i)治療有効量の抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片と;(ii)75mg~1120mgの均一用量の抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片とを含む、組み合わせ。
【0119】
項目48.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片の用量が、1000mg~1600mgである、項目47に記載の組み合わせ。
【0120】
項目49.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、75mgである、項目47に記載の組み合わせ。
【0121】
項目50.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、300mgである、項目47に記載の組み合わせ。
【0122】
項目51.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、項目47~50のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0123】
項目52.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、デュルバルマブである、項目47~51のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0124】
項目53.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に投与される、項目47~52のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0125】
項目54.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に4回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に投与される、項目53に記載の組み合わせ。
【0126】
項目55.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、対象に1回投与され、続いて抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に投与される、項目47~54のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0127】
項目56.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片及び抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、同時に、別個に、又は逐次的に対象に投与される、項目47~55のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0128】
項目57.経動脈化学塞栓療法(TACE)を対象に施すことを更に含む、項目47~56のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0129】
項目58.腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、項目47~57のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0130】
項目59.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量のデュルバルマブであり、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、75mgの用量のトレメリムマブである、項目47~58のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0131】
項目60.抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片が、1500mgの用量のデュルバルマブであり、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、300mgの用量のトレメリムマブである、項目48~59のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0132】
項目61.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を5mg/kg~15mg/kgの用量で含む、組み合わせ。
【0133】
項目62.腫瘍の処置が必要な対象においてそれを処置するための組み合わせであって、抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片を650mg~850mgの均一用量で含む、組み合わせ。
【0134】
項目63.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、10mg/kgである、項目61に記載の組み合わせ。
【0135】
項目64.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片の用量が、750mgである、項目62に記載の組み合わせ。
【0136】
項目65.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、トレメリムマブである、項目61~64のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0137】
項目66.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、4週間毎に対象に投与される、項目61~65のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0138】
項目67.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、12週間毎に対象に投与される、項目61~65のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0139】
項目68.経動脈化学塞栓療法(TACE)を対象に施すことを更に含む、項目61~65のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0140】
項目69.腫瘍が、肝細胞癌(HCC)である、項目63~68のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0141】
項目70.抗CTLA-4抗体又はその抗原結合断片が、対象に750mgの用量で4週間毎に7回投与されるトレメリムマブであり、その後トレメリムマブが、対象に750mgの用量で12週間毎に投与される、項目62に記載の組み合わせ。
【実施例0142】
以下の実施例は、本開示の具体的な実施形態及びその種々の使用を例示するものである。これらは、説明する目的でのみ記載されており、決して本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0143】
実施例1:進行性肝細胞癌を有する対象における、単独療法として投与したデュルバルマブ、又はトレメリムマブと組み合わせて投与したデュルバルマブ
以下に開示する試験は、進行性HCC患者を対象に、単独療法として投与したデュルバルマブ及びトレメリムマブと組み合わせて投与したデュルバルマブの安全性、忍容性、及び臨床活性を評価するために設計した多施設非盲検層別化試験である(clintrials.gov識別番号NCT03298451;HIMALAYA)。
【0144】
対象は、病理学的に又は非侵襲的イメージング法により進行性HCCと確定診断され、肝機能が保持されている(Child-Pughスコア分類A)、18歳以上(日本を除く全ての国)又は20歳以上(日本のみ)の男性又は女性であった。対象は免疫療法未治療であり、ソラフェニブ又は他のVEGFR TKIによる処置で進行したか、処置に不耐容であるか、又は処置を拒否したかのいずれかであった。
【0145】
図1は、試験の全体的な投薬模式図を示す。図2は、以下に詳述される試験のアームを示す。デュルバルマブ又はトレメリムマブを単独療法として、又は組み合わせて患者を処置し、試験登録時期に応じて、体重を基準としたいずれかの均一投薬レジメンを行った。
【0146】
パート1A:デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法による安全性観察
図1に示すように、進行性の非感染性又はHCV+ HCCを有する対象を、リスクに基づく段階的アプローチを用いた安全性観察のために、パート1A、ステージ1に登録した。対象にデュルバルマブ20mg/kgとトレメリムマブ1mg/kgとの併用療法を4週間毎(Q4W)に4回投与し、続いてデュルバルマブ20mg/kgの4週間毎の単独療法を、確定進行(PD)又は他のいずれかの中止基準に合致するまで投与した。
【0147】
ステージ2では、ステージ1の最初の対象を少なくとも4週間観察した後に、進行性HBV+ HCCを有する追加の対象の登録を開始した。対象にデュルバルマブ20mg/kgとトレメリムマブ1mg/kgとの併用療法を4週間毎に4回投与し、続いてデュルバルマブ20mg/kgの4週間毎の単独療法を、確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで投与した。
【0148】
パート1B:デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法の有効性ゲーティングコホート(Efficacy Gating Cohort)
ソラフェニブベースの療法により進行したか、療法に不耐容であるか、又は療法を拒否した進行性HCCを有する免疫療法未治療の対象を、有効性ゲーティングのためにパート1Bに登録した。対象(非感染、HBV感染、又はHCV感染)を有効性ゲーティングコホートに登録し、パート2への登録を開始する根拠となる臨床活性の十分なエビデンスが存在するか否かを判定した。対象にデュルバルマブ20mg/kgとトレメリムマブ1mg/kgとの併用療法を4週間毎に4回投与し、続いてデュルバルマブ20mg/kgの4週間毎の単独療法を、確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで投与した。デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法の最終用量の4週間後に、用量20mg/kg Q4Wのデュルバルマブ単独療法の1回目を行った(図2を参照されたい)。
【0149】
パート2A:デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法、デュルバルマブ単独療法、及びトレメリムマブ単独療法を評価する無作為化アーム
図1に示すように、ソラフェニブベースの療法により進行したか、療法に不耐容であるか、又は療法を拒否した、進行性HCCを有する免疫療法未治療の対象を、パート2Aにおけるウイルス状態(非感染、HCV感染、又はHBV感染)及びPD-L1の発現(陽性、陰性、又は評価不能)に基づいて層別化し、単独療法として又は組み合わせとしてのデュルバルマブ及びトレメリムマブを評価した。対象を各層内で、3つの処置アームのうちの1つに1:1:1に無作為化し、対象は処置アーム毎に約36名(対象約12名/ウイルス状態のタイプ)であった(図2を参照されたい):
・アームA:デュルバルマブ20mg/kgとトレメリムマブ1mg/kgとの併用療法を4週間毎に4回、続いてデュルバルマブ20mg/kgの4週間毎の単独療法(確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで)。デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法の最終用量の4週間後に、用量20mg/kg Q4Wのデュルバルマブ単独療法の1回目を行った。
・アームB:デュルバルマブ20mg/kgの4週間毎の単独療法(確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで)。
・アームC:トレメリムマブ10mg/kgの単独療法を、4週間毎に7回、続いて12週間毎(Q12W)(確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで)。
【0150】
パート1A、パート1B、及びパート2Aの全ての対象を有効性について評価し、対象の疾患状態を主にRECIST v1.1に従って解析した。試験終了まで、生存期間について全ての対象を追跡調査した。
【0151】
パート2B:デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法の追加の処置レジメンに関する安全性観察
図1に示すように、ソラフェニブベースの療法により進行したか、療法に不耐容であるか、又は療法を拒否した進行性HCCを有する免疫療法未治療の対象を、安全性観察のためにパート2Bに登録した。デュルバルマブと組み合わせた単回高用量のトレメリムマブを評価するアームDに対象10名を登録した:
・アームD:デュルバルマブ1500mgとトレメリムマブ300mgとの併用療法を1回、続いてデュルバルマブ1500mgの4週間毎の単独療法(確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで)。デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法の最終用量の4週間後に、用量1500mg Q4Wのデュルバルマブ単独療法の1回目を行った。
【0152】
安全性を評価可能な対象6名が4週間の追跡調査を完了した際に、安全性評価を実施した。安全性を評価可能な対象を、少なくとも1用量の試験薬を投薬され、少なくとも4週間の追跡調査を完了したか、又は有害事象により4週間の追跡調査の完了前に処置を中止した対象と定義した。
【0153】
パート3:デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法、デュルバルマブ単独療法、及びトレメリムマブ単独療法を評価する無作為化アーム
図1に示すように、ソラフェニブベースの又は別の既承認VEGFR TKIベースの療法により進行したか、療法に不耐容であるか、又は療法を拒否した、進行性HCCを有する免疫療法未治療の対象を、パート3におけるウイルス状態(非感染、HCV感染、又はHBV感染)及びソラフェニブ/VEGFR TKI処置(ソラフェニブ/VEGFR TKI拒否者対他の対象)に基づいて層別化した。対象を2:1:2の比率で最大で3つの処置アームのうちの1つに無作為化した:
・アームA:デュルバルマブ1500mgとトレメリムマブ75mgとの4週間毎の併用療法を4回、続いてデュルバルマブ1500mgの4週間毎の単独療法(確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで)。デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法の最終用量の4週間後に、用量1500mg Q4Wのデュルバルマブ単独療法の1回目を行った。
・アームB:デュルバルマブ1500mgの4週間毎の単独療法(確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで)。
・アームC:トレメリムマブ750mgの単独療法を、4週間毎に7回、続いて12週間毎(確定PD又は他のいずれかの中止に合致するまで)。
・アームD:デュルバルマブ1500mgとトレメリムマブ300mgとの併用療法を1回、続いてデュルバルマブ1500mgの4週間毎の単独療法(確定PD又は他のいずれかの中止基準に合致するまで)。デュルバルマブとトレメリムマブとの併用療法の最終用量の4週間後に、用量1500mg Q4Wのデュルバルマブ単独療法の1回目を行った。
【0154】
パート3の全ての対象を安全性及び有効性について評価し、対象の疾患状態を主にRECIST v1.1に従って解析した。
【0155】
全ての腫瘍評価関連評価項目の主要解析は、RECIST v1.1に従うBICR評価に基づくものであった。
【0156】
標的病変の評価を以下のように分類した:
・完全奏効-全ての標的病変の消失。あらゆる病理学的リンパ節(標的か非標的かを問わない)は、短径が10mm未満に縮小していなければならない(標的リンパ節が存在する場合、その和は「0」でない場合がある)。
・部分奏効-ベースライン径和を基準とした、標的病変の径和の少なくとも30%の減少。
・進行-試験中の最小和(ベースライン和が試験中の最小である場合、ベースライン和を含む)を基準とした、標的病変の径和の少なくとも20%の増大。20%の相対的増加に加えて、その和はまた、少なくとも5mmの絶対的増加を示す必要がある。(注:1つ以上の新たな病変の出現は、進行とみなされ得る。)
・安定-試験中の最小径和を基準として、PRと認定する程十分に縮小しておらず、PDと認定する程十分に増大していない。
【0157】
非標的病変の評価を以下のように分類する:
・完全奏効-全ての標的病変の消失及び腫瘍マーカーレベルの正常化。リンパ節は全て、非病理学的サイズ(短径が10mm未満)でなければならない。
・非完全奏効/非進行-1つ以上の非標的病変の存続及び/又は正常範囲を超える腫瘍マーカーレベルの持続。
・進行-既存の非標的病変の明白な進行を、標的疾患にSD又はPRが存在したとしても、治療中止に値するほどに全腫瘍量が十分に増加している程度に、非標的疾患における全体的レベルが実質的に悪化することと定義する。測定可能な疾患の不在下では、測定不能な疾患における変化は、測定可能な疾患においてPDと判定する上で要求されるであろう増加に匹敵する規模である。例としては、胸水の「微量」から「大量」への増加、リンパ管性疾患の限局性から広範囲への増大が挙げられる。
【0158】
実施例2:進行性肝細胞癌患者を対象とした第一選択処置としてのデュルバルマブ及びトレメリムマブの無作為化非盲検多施設臨床試験
下記に開示する試験は、ソラフェニブで進行したか、ソラフェニブに不耐容であるか、又はソラフェニブを拒否した免疫チェックポイント阻害剤未治療のHCC患者の処置における、ソラフェニブに対するデュルバルマブ単独療法及びデュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法の有効性及び安全性を評価するための無作為化非盲検多施設国際臨床試験である。前述の開示では、本試験ではデュルバルマブ1500mg(約20mg/kgに相当)+トレメリムマブ300mg(4mg/kgに相当)の均一用量レジメンを使用した。
【0159】
試験集団には、進行性HCC、バルセロナ臨床肝癌ステージB(局所領域療法に適格ではない)又はステージC、及びChild-Pugh分類Aの肝疾患を有する18歳以上の患者を含めた。患者は、過去にHCCに対する何らかの全身療法を受けていてはならない。脈管侵襲(あり対なし)、肝疾患の病因(B型肝炎ウイルス[確定されたHBV]対C型肝炎ウイルス[確定されたHCV]対その他)、及びパフォーマンスステータス(米国東海岸癌臨床試験グループ[ECOG]0対1)に従って患者を層別化した。
【0160】
方法:
合計332名の患者を登録した(T300+D、n=75;デュルバルマブ、n=104;トレメリムマブ、n=69;T75+D、n=84)。患者を、デュルバルマブ1500mg単独処置群(D)、トレメリムマブ750mg単独処置群(T)、デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ75mg×4用量(T75+D)の後にデュルバルマブを4週間毎の併用療法処置群、デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ300mg×1用量(T300+D)の後にデュルバルマブを4週間毎の併用療法処置群に、等しい比率で無作為化した。T75+Dアームへの更なる登録を終了した時点で、患者を、D処置群、T300+D処置群、及びソラフェニブ処置群に等しい比率で無作為化した。デュルバルマブ及びトレメリムマブを4週間毎(Q4W)に静脈内(IV)注入により投与した。ソラフェニブをBID経口投与した(図3及び4を参照されたい)。
【0161】
トレメリムマブ750mg単独療法
トレメリムマブ750mgを、0週目からQ4Wで7回、次に確定PD、許容できない毒性、又は何らかの中止基準に合致するまでQ12WでIV注入。(注:患者の体重が30kg以下に減少した場合、トレメリムマブ10mg/kg Q4Wを、体重が30kg超に増加するまで体重を基準として患者に投薬し、増加した時点で均一用量のトレメリムマブ750mg Q4Wを患者に投薬した)。
【0162】
デュルバルマブ1500mg単独療法
・デュルバルマブ1500mgを、0週目からQ4Wで、確定PD、許容できない毒性、又はいずれかの中止基準に合致するまでIV注入。(注:患者の体重が30kg以下に減少した場合、デュルバルマブ20mg/kg Q4Wを、体重が30kg超に増加するまで体重を基準として患者に投薬し、増加した時点で均一用量のデュルバルマブ1500mg Q4Wを患者に投薬した。)
【0163】
デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ75mg×4用量の併用療法(アームB)
・0週目からデュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ75mg×4用量、続いて、確定PD、許容できない毒性、又はいずれかの中止基準に合致するまで、併用療法の最終注入の4週間後からデュルバルマブ1500mgの4週間毎の単独療法。(注:患者の体重が30kg以下(≦30kg)に減少した場合、デュルバルマブ20mg/kg Q4W及びトレメリムマブ1mg/kg Q4Wを、体重が30kg超に増加するまで体重を基準として患者に投薬し、増加した時点で、当初割り付けた均一用量のデュルバルマブ1500mg Q4Wを、トレメリムマブ75mg Q4Wと共に又は単独で患者に投薬した。)
【0164】
デュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ300mg×1用量の併用療法(アームC)
・0週目からデュルバルマブ1500mg+トレメリムマブ300mg×1用量、続いて、確定PD、許容できない毒性、又はいずれかの中止基準に合致するまで、併用療法の初回且つ最終注入の4週間後からデュルバルマブ1500mgの4週間毎の単独療法。(注:患者の体重が30kg以下(≦30kg)に減少した場合、デュルバルマブ20mg/kg Q4W及びトレメリムマブ4mg/kg×1用量を、体重が30kg超(>30kg)に増加するまで体重を基準として患者に投薬し、増加した時点で、当初の均一用量のデュルバルマブ1500mg Q4Wを、トレメリムマブ300mgと共に又は単独で患者に投薬した。)
【0165】
ソラフェニブ400mgのBID療法(アームD)
・確定PD、許容できない毒性、又はいずれかの中止基準に合致するまで、ソラフェニブ400mg(2×200mg錠)を経口で1日2回。
【0166】
結果:
各薬剤の単独又は組み合わせについて、確立された安全性プロファイルを超える新たな安全性シグナルは特定されなかった。図5及び6に示すように、T300+Dアームの患者で確定ORRが最も高く(24%)、OSが最も長かった(18.73(10.78-27.27)ヶ月)。PFS中央値(95% CI)は、2.17(1.91-5.42)ヶ月(T300+D) 2.07(1.84-2.83)(デュルバルマブ)、2.69(1.87-5.29)(トレメリムマブ)、及び1.87(1.77-2.53)(T75+D)であった(図11)。全アーム間で、T300+Dは、他のICIレジメンと比較して最良のベネフィット・リスクプロファイルをもたらした。更に、PD-L1発現レベル又はウイルス状態にかかわらず、これらの応答が認められた(図7を参照されたい)。図8は、本試験の副次的有効性評価項目を示す。
【0167】
更に、薬力学的バイオマーカー解析により、全奏効の患者が細胞傷害性(CD8)の高値を呈したことが示され、T300+Dが、応答に関連するCD8リンパ球の急性増殖を引き起こしたことが示された。これにより、ユニークな増殖性T細胞プロファイルがもたらされ、組み合わせの相加的な生物活性が示唆された。具体的には、15日目の26個のリンパ球集団の値に関する二次判別分析により、患者が、CD4+ T細胞及びCD8+ T細胞にそれぞれ関連するリンパ球集団の2つの別個の組み合わせ(カノン-1及びカノン-2)によって最大限に識別されたことが明らかとなった。T300+Dを投薬した患者は、最も高いカノン-2スコアを呈した(図9A)。線形回帰分析により、カノン-2は主にCD8+ T細胞のKi67+ サブセットの上昇と関連していたことが明らかとなった(図12)。応答は、処置の間の初期(15日目)に生じるこれらのCD8+Ki67+ リンパ球の増殖と関連していた。数値の最高中央値は、T300+Dで認められ(図9B及び13)、T300+Dが最も高いORRをもたらしたという観察結果と一致した。
【0168】
Q4W投薬の第1サイクル中での29日目の末梢血T細胞受容体(TCR)の分子解析により、29日目のT細胞クローン増殖増加の中央値はTの用量に依存するように思われ、DアームとT75+Dアームとの間に有意差はないことが実証された。T細胞のベースラインでの豊富さ又はSimpsonクローン性に、アーム間で有意差はなかった(図14)。T細胞のクローン増殖の増大は、奏効と関連しており、より高用量のTによって引き起こされるように思われた。具体的には、全アーム間で、レスポンダーは29日目の増殖T細胞クローン数の中央値がノンレスポンダーよりも高かった(77.5対40)。T300Dで処置したレスポンダーは、ノンレスポンダーと比較してクローン増殖の有意な増加を示した。この傾向は、Dの単独療法又は低用量Tの併用(T75+D)では見られなかった(図15)。更に、T細胞のクローン増殖の増大は、より良好なOSと関連しており、D+T併用アームで見られた(図16)。
【0169】
【表1】
【0170】
最後に、uHCC患者におけるトレメリムマブ曝露と増殖性CD8+Ki67+ T細胞との関係を記述するために、曝露-反応モデルを開発した。CD8+Ki67+ T細胞数に対する初回用量後のトレメリムマブトラフ濃度(Cmin)とベースラインからの変化量(CFB)の最大値との関係を、線形及び非線形回帰モデルを使用して評価した。段階的探索アプローチを使用して、共変量効果をモデル切片及び薬物効果(Emax)で評価した。CD8+Ki67+ T細胞数のCFBとトレメリムマブトラフ濃度との関係は、Emaxモデルによって最も良く記述された。統計学的に有意で十分に推定された唯一の共変量効果は、EmaxのベースラインCD8+Ki67+ T細胞数であった。最大効果は、ベースラインCD8+Ki67+ T細胞数が低い患者で高く、ベースラインCD8+Ki67+ T細胞数が高い患者で低かった。ベースラインCD8+の10パーセンタイル、中央値、90パーセンタイル(3、9、25細胞/uL)では、最大効果はそれぞれベースラインからの593%、341%、77.9%の変化である。推定半最大有効濃度(EC50)は、5.24ug/mLであり、これは、トレメリムマブ300mgのCmin中央値12.9ug/mLよりも相当低い。曝露-応答解析は、増殖性CD8+Ki67+ T細胞で認められた可飽和関係(saturable relationship)がT300+DレジメンのEmaxに近いことを示唆する。
【0171】
上述の結果は、HCC集団において、月1回のデュルバルマブと組み合わせたトレメリムマブの単回プライミング用量が、臨床的に意味のあるアウトカムをもたらすことを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16-1】
図16-2】
【配列表】
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【外国語明細書】