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特開2024-162091マッピング装置およびマッピング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162091
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】マッピング装置およびマッピング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077283
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】小川 建
(72)【発明者】
【氏名】石原 裕揮
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 真平
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA70
5F131DA32
5F131DA42
5F131DD42
5F131DD59
5F131DD65
5F131DD82
5F131GA14
5F131GA33
5F131GA92
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA72
5F131KA73
5F131KB32
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】基板の収容状態を十分な確度で判定できる技術の提供。
【解決手段】マッピング装置60は、収容容器9に収容される矩形の基板Wの端面Weの延在方向の一方側に配置され、基板Wの配列方向に移動しつつ、第1検知ポイントPaで端面Weを検知した場合にオン信号を出力する、第1マッピングセンサ61aと、端面Weの延在方向の他方側に配置され、該配列方向に移動しつつ、第1検知ポイントPaよりも該移動方向の下流側にある第2検知ポイントPbで端面Weを検知した場合にオン信号を出力する、第2マッピングセンサ61bと、第1マッピングセンサ61aから入力される第1入力信号Qaと、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマ62bを介して第2マッピングセンサ61bから入力される第2入力信号Qbと、に基づいて、基板Wの収容状態を判定するマッピング処理部65と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容容器に収容される矩形の基板の端面の延在方向の一方側に配置され、基板の配列方向に移動しつつ、第1検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する、第1マッピングセンサと、
前記端面の延在方向の他方側に配置され、前記配列方向に移動しつつ、前記第1検知ポイントよりも前記移動方向の下流側にある第2検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する、第2マッピングセンサと、
前記第1マッピングセンサから入力される第1入力信号と、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマを介して前記第2マッピングセンサから入力される第2入力信号と、に基づいて、基板の収容状態を判定するマッピング処理部と、
を備えることを特徴とする、マッピング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマッピング装置であって、
前記マッピング処理部が、
前記第1入力信号が立ち上がった時刻と立ち下がった時刻との両方で、前記第2入力信号がオフ信号となっている場合に、基板が正常に支持されていないと判断する、
ことを特徴とする、マッピング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマッピング装置であって、
前記第1入力信号が、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマを介して前記第1マッピングセンサから前記マッピング処理部に入力される信号であり、
前記第1マッピングセンサから出力されるオフ信号に設けられる遅延時間が、前記第2マッピングセンサから出力されるオフ信号に設けられる遅延時間よりも短い、
ことを特徴とする、マッピング装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のマッピング装置であって、
前記第2マッピングセンサの光軸が、前記第1マッピングセンサの光軸に対して、前記移動方向に傾斜している、
ことを特徴とする、マッピング装置。
【請求項5】
収容容器に収容される矩形の基板の端面の延在方向の一方側に配置され、第1検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する第1マッピングセンサと、前記端面の延在方向の他方側に配置され、第2検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する第2マッピングセンサとを、基板の配列方向に移動させつつ、前記第1マッピングセンサおよび前記第2マッピングセンサに前記端面を検知させる検知工程と、
前記第1マッピングセンサから入力される第1入力信号と、前記第2マッピングセンサから入力される第2入力信号とに基づいて、基板の収容状態を判定するマッピング処理工程と、
を備え、
前記第2検知ポイントが前記第1検知ポイントよりも前記移動方向の下流側にあり、
前記第2入力信号が、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマを介して前記第2マッピングセンサから入力される信号である、
ことを特徴とする、マッピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッピング装置およびマッピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶の製造工程等では、高度の清浄環境(クリーン環境)が必要とされる。近年、半導体や液晶の製造工場等において清浄環境を形成するにあたって、ダウンフロー方式に代わって、ミニエンバイロメント方式が採用されることが多くなってきている。ミニエンバイロメント方式は、被処理物である基板の周囲だけに局所的な清浄環境を形成する方式であり、工場全体を清浄環境とするダウンフロー方式に比べて、低コストで高度の清浄環境を形成することができる。
【0003】
ミニエンバイロメント方式において、基板は、外部の雰囲気よりも高い清浄度に保たれた収容容器に収容されて、搬送・保管等される。この収容容器と基板に対して各種の処理を行う処理装置との間で基板の受け渡しを行うために、EFEM(Equipment Front End Module)と呼ばれるモジュールが利用される。EFEMは、搬送チャンバーおよびその内部に設置された搬送ロボットなどを含んで構成される搬送部と、これと接続されたロードポートと、を備える。ロードポートは、基板を収容する収容容器と搬送部との間での基板の出し入れを行うためのインターフェースであり、収容容器に収容された基板は、ロードポートを介することにより、外部の雰囲気に晒されることなく、収容容器と搬送部(ひいては、処理装置)との間で授受される(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-128995号公報
【特許文献2】特開2023-23465号公報
【特許文献3】特開2021-19124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収容容器は、例えば、一つの側面に開口が設けられた容器本体と、該開口を塞ぐ蓋とを備える。容器本体の内部には、基板を支持する棚が複数設けられ、各棚に基板が1枚ずつ支持されることで、容器本体に複数の基板が多段に収容される。
【0006】
図17に例示されるように、容器本体に設けられる各棚は、例えば、同じ高さに設けられた複数(例えば3本)の支持棒931を含んで構成される。各支持棒931は、例えば、容器本体の奥側から開口の側に突出するように設けられる。1つの棚93を構成する複数の支持棒931の全てが同じ基板Wを支持することで、基板Wが水平姿勢で支持される(図17(a))。ところが、基板Wは常に正常に支持されるとは限らず、例えば、1つの棚93を構成する複数の支持棒931の一部のみが基板Wを支持し、残りが該基板Wを支持していない状態も生じ得る(図17(b))。このような状態は、クロス異常状態ともよばれる。基板Wが複数の棚93にまたがって支持されている状態も、クロス異常状態の一態様である。基板Wがクロス異常状態となっていると、搬送ロボットのハンドが該基板Wと衝突するおそれもある。そこで、基板Wがクロス異常状態となっている場合に、これを検知することが求められる。
【0007】
例えば、クロス異常状態を検知するために、基板Wの端面の延在方向の一方側と他方側に、該端面をこれと対向する位置から検知するセンサ900a,900bが設けられる場合がある。このような2つのセンサ900a,900bを、同じ高さに保持して、基板Wの配列方向に(例えば下方に)移動させつつ、各センサ900a,900bに基板Wの端面を検知させる。すると、例えば、基板Wが正常に支持されており、端面がその延在方向の全体に亘ってほぼ同じ高さに配置されている場合(図17(a))、各センサ900a,900bはほぼ同じタイミングで基板Wの端面を検知する。一方、基板Wがクロス異常状態であり、端面がその延在方向の一端側で斜めに垂れ下がっている場合(例えば図17(b))、各センサ900a,900bが端面を検知するタイミングがずれる。そこで、一対のセンサ900a,900bが端面を検知するタイミングがずれた場合に、基板Wがクロス異常状態であると判定することができる。
【0008】
ところが、基板Wの薄型化、大型化、などが進む近年においては、棚93に支持されている基板Wが撓んだり歪んだりしていることがある(例えば図17(c))。このとき、基板Wが正常に支持されているにもかかわらず(すなわち、1つの棚93を構成する複数の支持棒931の全てが同じ基板Wを支持しているにもかかわらず)、各センサ900a,900bが端面を検知するタイミングがずれる可能性がある。このため、正常に支持されている基板Wが、クロス異常状態であると誤判定される可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、基板の収容状態を十分な確度で判定できる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、マッピング装置であって、収容容器に収容される矩形の基板の端面の延在方向の一方側に配置され、基板の配列方向に移動しつつ、第1検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する、第1マッピングセンサと、前記端面の延在方向の他方側に配置され、前記配列方向に移動しつつ、前記第1検知ポイントよりも前記移動方向の下流側にある第2検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する、第2マッピングセンサと、前記第1マッピングセンサから入力される第1入力信号と、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマを介して前記第2マッピングセンサから入力される第2入力信号と、に基づいて、基板の収容状態を判定するマッピング処理部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、判別するべき各収容状態によって、第1入力信号および第2入力信号のオンオフが切り替わるタイミングの関係が異なるものとなるように、第1検知ポイントと第2検知ポイントの移動方向についてのずれ幅、および、第2マッピングセンサのオフ信号に設けられる遅延時間を調整しておくことで、該タイミングの関係に基づいて基板の収容状態を十分な確度で判定することができる。
【0013】
好ましくは、前記マッピング装置において、前記マッピング処理部が、前記第1入力信号が立ち上がった時刻と立ち下がった時刻との両方で、前記第2入力信号がオフ信号となっている場合に、基板が正常に支持されていないと判断する、ことを特徴とする。
【0014】
この構成によると、基板の収容状態を、処理負担を抑えつつ迅速に判定することができる。
【0015】
好ましくは、前記マッピング装置において、前記第1入力信号が、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマを介して前記第1マッピングセンサから前記マッピング処理部に入力される信号であり、前記第1マッピングセンサから出力されるオフ信号に設けられる遅延時間が、前記第2マッピングセンサから出力されるオフ信号に設けられる遅延時間よりも短い、ことを特徴とする。
【0016】
この構成によると、マッピング処理部に入力される第1入力信号が、第1マッピングセンサから出力されるオフ信号に、相対的に短い遅延時間が設けられたものであるので、第1マッピングセンサから出力される信号にチャタリングが発生していたとしても、その影響が低減あるいは除去される。したがって、収容状態の判定精度が低下しにくい。
【0017】
好ましくは、前記マッピング装置であって、前記第2マッピングセンサの光軸が、前記第1マッピングセンサの光軸に対して、前記移動方向に傾斜している、ことを特徴とする。
【0018】
この構成によると、第1マッピングセンサの光軸と第2マッピングセンサの光軸とがなす角度を調整することによって、第1検知ポイントと第2検知ポイントの移動方向についてのずれ幅を調整することができる。
【0019】
また、別の側面において、本発明は、マッピング方法であって、収容容器に収容される矩形の基板の端面の延在方向の一方側に配置され、第1検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する第1マッピングセンサと、前記端面の延在方向の他方側に配置され、第2検知ポイントで前記端面を検知した場合にオン信号を出力する第2マッピングセンサとを、基板の配列方向に移動させつつ、前記第1マッピングセンサおよび前記第2マッピングセンサに前記端面を検知させる検知工程と、前記第1マッピングセンサから入力される第1入力信号と、前記第2マッピングセンサから入力される第2入力信号とに基づいて、基板の収容状態を判定するマッピング処理工程と、を備え、前記第2検知ポイントが前記第1検知ポイントよりも前記移動方向の下流側にあり、前記第2入力信号が、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマを介して前記第2マッピングセンサから入力される信号である、ことを特徴とする。
【0020】
この構成によると、判別するべき各収容状態によって、第1入力信号および第2入力信号のオンオフが切り替わるタイミングの関係が異なるものとなるように、第1検知ポイントと第2検知ポイントの移動方向についてのずれ幅、および、第2マッピングセンサのオフ信号に設けられる遅延時間を調整しておくことで、該タイミングの関係に基づいて基板の収容状態を十分な確度で判定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、基板の収容状態を十分な確度で判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】収容容器の側断面図および平断面図。
図2】実施形態に係るロードポートを備えるEFFMの斜視図。
図3】EFFMの概略構成を示す側面図。
図4】ロードポートを前方の斜め上から見た斜視図。
図5】ロードポートの側断面図。
図6】ロードポートの動作の流れを示す図。
図7】ロードポートの動作を説明するための図。
図8】開口部の近傍を示す側断面図。
図9】開口部の近傍を示す平断面図。
図10】マッピング部の構成を示すブロック図。
図11】第1入力信号を説明するための図。
図12】収容基板の姿勢と入力信号が切り替わるタイミングの関係を説明するための図。
図13】収容基板の姿勢と入力信号が切り替わるタイミングの関係を説明するための図。
図14】収容基板の姿勢と入力信号が切り替わるタイミングの関係を説明するための図。
図15】マッピングセンサの動きを説明するための図。
図16】マッピング処理の流れを示す図。
図17】基板の収容状態を模式的に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
<1.収容容器の概略構成>
はじめに、基板Wが収容される収容容器9の概略構成を、図1を参照しながら説明する。図1は、収容容器9の側断面図および平断面図である。
【0025】
収容容器9は、複数の基板Wを収容する容器である。ここでは、収容容器9には、矩形(角型)の基板Wが収容される。収容される基板Wは、比較的大型であってもよく、比較的薄型であってもよい。一例として、基板Wは、平面サイズが、600mm×600mm、515mm×510mm、300mm×300mm、あるいは、241mm×241mm、などであってもよい。また、基板Wは、厚さが、0.1mmから3.2mmであってもよい。また、基板Wの材質はどのようなものであってもよい。一例として、基板Wの材質は、ガラスであってもよいし(いわゆるガラス基板)、ガラスエポキシであってもよい(いわゆるガラスエポキシ基板)。あるいは、基板Wの材質は、銅(銅板)、樹脂、ステンレス鋼(ステンレス鋼板)、などであってもよい。
【0026】
収容容器9は、例えば、密閉式の容器であり、一つの側面に開口90が設けられた容器本体91と、容器本体91の開口90を塞ぐ蓋92とを備える。このような収容容器9は、FOUP(Front Opening Unified Pod)などとも呼ばれる。容器本体91には、開口90を取り囲む顎部911が設けられており、顎部911の内側に、蓋92が取り付けられる。蓋92が取り付けられた状態において、蓋92の周囲に顎部911が当接して、容器本体91の内部が密閉される。蓋92には、これを容器本体91に固定するためのラッチ(図示省略)が設けられる。
【0027】
容器本体91の内部には、基板Wを支持する棚93が、複数設けられる。複数の棚93は、上下に沿って等間隔で設けられ、1つの棚93が1枚の基板Wを支持する。つまり、1つの棚93が1枚の基板Wを収容するスロットを形成する。各棚93は、例えば、同じ高さに設けられた3本の支持棒931を含んで構成される。3本の支持棒931のうちの2本は容器本体91の側壁の近傍に設けられ、これら2本の支持棒931の間に、残る1本の支持棒931が設けられる。各支持棒931は、容器本体91の奥側から開口90の側に突出するように設けられる。1つの棚93を構成する3本の支持棒931によって、1枚の基板Wが、厚み方向が上下に沿うとともに、上方から見て1つの端面Weが開口90と平行に延在するような姿勢で、支持される。容器本体91に設けられた複数の棚93の各々に基板Wが1枚ずつ支持されることで、容器本体91に複数の基板Wが多段に収容される。
【0028】
<2.EFFMの概略構成>
次に、実施形態に係るロードポートを備えるEFFM(Equipment Front End Module)の概略構成を、図2図3を参照しながら説明する。図2は、EFFM100の斜視図である。図3は、EFFM100の概略構成を示す側面図である。
【0029】
EFFM100は、半導体や液晶の製造工程などにおいて用いられる。EFFM100は、ロードポート1と搬送部8とを併せたモジュールであり、例えば、一列に配列された複数(図の例では3個)のロードポート1が、搬送部8の一方の端部に接続された構成を備える。EFEM100は、搬送部8におけるロードポート1が設けられている側の端部と逆の端部において、基板Wに対する各種の処理を行う処理装置Mなどに接続され、処理装置Mと収容容器9との間での基板Wの受け渡しを行う。以下においては、搬送部8に対してロードポート1が設けられる側を「前方」とし、処理装置Mが設けられる側を「後方」とする。また、前後方向と直交する水平方向(すなわち、複数のロードポート1の配列方向)を「左右方向」とする。
【0030】
ロードポート1は、基板Wを収容する収容容器9の内部を、外部の雰囲気に晒すことなく、搬送部8の内部と連通させるための装置である。ロードポート1は、具体的には、収容容器9の蓋92を容器本体91から取り外して、容器本体91の内部を、搬送部8の内部空間である搬送空間Vと連通させる。容器本体91の内部が搬送空間Vと連通した状態となると、搬送空間Vに配置されている搬送ロボット82が、容器本体91に収容されている基板W(例えば未処理の基板W)を、容器本体91から取り出して、処理装置Mに搬入する。また、搬送ロボット82は、例えば、処理装置Mにて所定の処理を施された基板Wを、処理装置Mから搬出して、容器本体91に収容する。所定枚数の基板Wが容器本体91に収容されると、ロードポート1は、蓋92を容器本体91に取り付けて、収容容器9を再び密閉する。ロードポート1の具体的な構成については、後に説明する。
【0031】
搬送部8は、収容容器9に収容される基板Wの搬送を行うための装置であり、搬送チャンバー81と、その内部に配置された搬送ロボット82と、を備える。搬送チャンバー81の前側の壁部811には、1個以上(図の例では3個)の開口812が形成されており、各開口812を塞ぐように、ロードポート1が気密に取り付けられる。また、搬送チャンバー81の後側の壁部には、処理装置M(例えば、処理装置Mのロードロック室)が例えばゲートバルブを介して気密に接続される。これによって、搬送チャンバー81の内部空間(搬送空間)Vが、略密閉された空間となる。
【0032】
搬送空間Vは、外部(すなわち、処理装置Mが設置されるクリーンルーム)よりも高い清浄度に維持される。具体的には例えば、搬送チャンバー81には、ファンフィルタユニット(FFU:Fan Filter Unit)83が設置され、ファンフィルタユニット83によって清浄化されたガスが下方に送出されることで、搬送空間Vに清浄なガスのダウンフローが形成される。好ましくは、搬送空間Vには、ケミカルフィルタ84、循環ダクト85、などがさらに設置され、搬送空間Vの下部に到達したガス流が、ケミカルフィルタ84を通過してここで汚染物質などを除去された上で、循環ダクト85を通じてファンフィルタユニット83に戻されて、再び下方に送出される(すなわち、気流の循環が形成される)。
【0033】
また、搬送チャンバー81には、ガス供給口およびガス排出口(いずれも図示省略)が設けられており、ガス供給口を通じて所定のガス(例えば、窒素ガス、乾燥空気、乾燥窒素ガス、など)をパージできるとともに、ガス排出口を通じて搬送空間Vのガスを排出できるように構成されている。ガス供給口を通じたガスの供給量およびガス排出口を通じたガスの排出量などを制御することで、搬送空間Vの圧力、ガス濃度、などを任意の値に調整することができる。ここでは、ガスの供給量および排出量などが適宜に制御されることで、搬送空間Vが、外部(すなわち、処理装置Mが設置されるクリーンルーム)に対して、僅かに高い圧力(微陽圧)に維持される。これにより、搬送チャンバー81の内外を連通させる僅かな隙間が存在する場合であっても、該隙間を通じて外部から搬送空間Vに気体が流入することがないように担保される。
【0034】
<3.ロードポートの構成>
ロードポート1の構成について、図2図3に加え、図4図5を参照しながら具体的に説明する。図4は、ロードポート1を前方の斜め上から見た斜視図である。図5は、ロードポート1の側断面図である。
【0035】
ロードポート1は、ベース部10、載置部20、載置部駆動機構30、ドア部40、ドア部駆動機構50、および、マッピング部60を備える。また、ロードポート1は、これら各部を制御する制御部70を備える。
【0036】
(ベース部10)
ベース部10は、搬送部8の前側の壁部の一部を構成する板状の部材である(図2)。具体的には、ベース部10は、搬送チャンバー81の前側の壁部811に形成された開口812(図3)よりも一回り大きな平板状の部材(パネル部材)であり、起立姿勢とされて、開口812を塞ぐように壁部811に取り付けられて、壁部811とともに搬送部8の前側の壁部を構成する。ベース部10の後面には例えばガスケットが配設されており、ベース部10は、ガスケットを介して壁部811に対して気密に取り付けられる。
【0037】
ベース部10の前面には、略水平姿勢で前方に突出するベース基台11が設けられる。また、ベース基台11の下方にはカバー12(図3)が設けられる(説明の便宜上、図4図5ではカバー12が取り外された状態が示されている)。また、ベース部10の面内には、基板Wを通過させるための開口部13が設けられる。開口部13は、ベース基台11上に設けられる載置部20に載置された収容容器9の蓋92と対向する位置に、形成される。開口部13の大きさは、収容容器9の蓋92よりも僅かに大きいサイズとされており、蓋92が開口部13を通過できるように構成される。また、ベース部10の面内には、開口部13よりも下の位置に、後述する支持フレーム51を挿通させるためのスリット14が上下に延在して設けられる。さらに、ベース部10の前面には、キャスターなどを含んで構成される脚部15が前方に突出して設けられており、この脚部15が床面に当接してベース部10を支持する。
【0038】
(載置部20)
載置部20は、平板状の部材であり、水平姿勢とされて、ベース部10の前方に突出して設けられたベース基台11上に、配設される。載置部20には、収容容器9が載置される。すなわち、載置部20の上面は、収容容器9が載置される載置面201を形成する。収容容器9は、蓋92がベース部10と対向するような向きで、載置面201に載置される。
【0039】
載置面201には、収容容器9の底面に設けられた凹部と係合して収容容器9を所定の位置に案内して位置決めする位置決めピン(ガイドピン)21が設けられる。また、載置面201には、収容容器9の底面に設けられた被固定部(例えば、フロントリテイニングフィーチャ)に引っ掛かることで収容容器9を該所定の位置に固定するロック部22が設けられる。
【0040】
また、載置面201には、1以上のガスノズル23が設けられる。各ガスノズル23は、収容容器9の底面に設けられたガス供給弁を通じて収容容器9の内部に所定のガス(例えば、窒素ガス、不活性ガス、ドライエア、など)を供給するためガス供給ノズルとして用いられてもよいし、収容容器9の底面に設けられたガス排出弁などを通じて収容容器9の内部のガスを排出するガス排出ノズルとして用いられてもよい。例えば、載置面201の四隅にガスノズル23が設けられる場合、前方側の一対のガスノズル23をガス供給ノズルとして用いるとともに、後方側の一対のガスノズル23をガス排出ノズルとして用いてもよい。各ガスノズル23は、不使用の際は載置面201よりも下方に配置されており、使用の際に上方に移動されて収容容器9のガス供給弁あるいはガス排出弁と連結される。ガス供給ノズルとしてのガスノズル23からガス供給弁を通じて収容容器9内に所定のガス(例えば、窒素ガス、乾燥空気、乾燥窒素ガス、など)をパージするとともに、ガス排出ノズルとしてのガスノズル23からガス排出弁を通じて収容容器9内のガスを排出することで、収容容器9の内部を所定のガスに置換することができる。また、ガスの供給量およびガスの排出量を制御することで、収容容器9の内部の圧力などを任意の値に調整することができる。好ましくは、ガスの供給量および排出量が適宜に制御されることで、収容容器9の内部が、外部(例えば、処理装置Mが設置されるクリーンルーム、および、搬送部8の搬送空間V)に対して、僅かに高い圧力とされる。これにより、収容容器9の蓋92が開かれた際に、容器本体91の内部に気体が流入しにくくなる。
【0041】
(載置部駆動機構30)
載置部駆動機構30は、載置部20を、水平姿勢のままで、ベース部10に対して近接離間する方向(前後方向)に移動させることによって、載置部20を、離間位置B1(図5において実線で示される位置)とドック位置B2(図5において二点鎖線で示される位置)との間で移動させる。ここで、「離間位置B1」は、載置部20がベース部10から所定距離だけ離間するような位置であり、AMHS、PGV、OHT、などの外部ロボットが載置部20に対して収容容器9の授受を行うための位置である。一方、「ドック位置B2」は、離間位置B1よりもベース部10に近い位置であり、具体的には例えば、載置部20に載置された収容容器9の顎部911が、ベース部10の前面と当接するような位置である。
【0042】
載置部駆動機構30は、具体的には例えば、水平面内において前後に延在するような姿勢で設けられたロッド(シリンダロッド)31と、ロッド31をその延在方向に沿って進退させる駆動部としてのシリンダ(エアシリンダ)32と、ロッド31と載置部20とを接続する接続部33と、を含んで構成される。エアシリンダ32は、例えばソレノイド弁(ソレノイドバルブ)の開閉によって空気圧を制御して、空気圧でロッド31を進退させる。ロッド31およびエアシリンダ32はベース基台11内に配設される。一方、接続部33は、ベース基台11の上面に設けられた前後に延在するスリット111を挿通して設けられており、ベース基台11の下方に突出した下端においてロッド31と接続されるとともに、ベース基台11の上方に突出した上端において載置部20の下面に接続される。このような構成において、エアシリンダ32の駆動を受けて、ロッド31が前後に進退すると、接続部33を介してロッド31と接続された載置部20が、ベース基台11に設けられたリニアガイド(図示省略)に案内されて、水平面内において前後に移動する。
【0043】
(ドア部40)
ドア部40は、ベース部10に形成された開口部13を開閉するための部材であり、ベース部10の後面側(すなわち、ベース部10を挟んで載置部20と逆の側)に設けられる。ドア部40は、開口部13と略同一(あるいは、開口部13よりも一回り大きな)平板状の部材により構成されており、閉鎖位置D1(図5において実線で示される位置)に配置されることによって、開口部13の全体を塞ぐ。このとき、ドア部40が、開口部13の周縁と当接(あるいは、シール部材などを介して密接)することで、搬送空間Vが密閉される。一方、ドア部40が、後述する開放位置D2(図5において一点鎖線で示される位置)に配置されると、開口部13の全体が開放される。
【0044】
ドア部40には、蓋保持機構41が設けられる。蓋保持機構41は、ドア部40が開口部13を塞いでいる状態において、開口部13と対向配置されている蓋92とドア部40とを連結して一体化させることによって、ドア部40に蓋92を保持させる。また、蓋保持機構41は、容器本体91と蓋92との間のラッチがけ、および、その解除を行う。
【0045】
(ドア部駆動機構50)
ドア部駆動機構50は、ドア部40を、閉鎖位置D1と開放位置D2との間で移動させる。ここで、「閉鎖位置D1」は、ドア部40が開口部13を全体的に塞ぐ位置である。一方、「開放位置D2」は、ドア部40が開口部13を全体的に開放する位置であり、具体的には、ドア部40が開口部13の下方に退避して、開口部13と完全に重ならないような位置である。
【0046】
ドア部駆動機構50は、具体的には例えば、ドア部40を支持する支持フレーム51と、支持フレーム51を支持する昇降ブロック52と、を備える。支持フレーム51は、一方の端部においてドア部40(例えば、ドア部40の後面の下側部分)と連結され、該端部から下方に延在し、途中で前方に折れ曲がって、略水平に延在しつつ、ベース部10に設けられたスリット14を通過し、他方の端部が、ベース部10の前方において昇降ブロック52に接続される。支持フレーム51と昇降ブロック52の間には、支持フレーム51を前後に移動自在に支持するスライド支持部511が設けられており、支持フレーム51は昇降ブロック52に対して前後に移動自在に支持される。また、昇降ブロック52とベース部10の間には、昇降ブロック52を昇降動自在に支持するスライドレール521が設けられており、昇降ブロック52はベース部10に対して昇降自在に支持される。
【0047】
ドア部駆動機構50には、駆動源(例えば、駆動源としてのステッピングモータ)、駆動源から与えられる動力を昇降ブロック52の昇降動作に変換する直動機構、該動力を支持フレーム51の前後移動動作に変換する直動機構、これら2つの直動機構をリンクさせるリンク機構、などがさらに含まれている(いずれも図示省略)。各直動機構は、例えば送りネジなどを含んで構成することができる。例えば、閉鎖位置D1にあるドア部40を開放位置D2まで移動させるにあたっては、駆動源からの動力が、支持フレーム51側の直動機構に伝達された後、リンク機構を通じて昇降ブロック52側の直動機構に伝達される。これにより、閉鎖位置D1にあるドア部40が、後方に移動されてまずは動作変換位置Dt(図5において二点鎖線で示される位置)に配置され、そこから下方に移動されて開放位置D2に配置される。一方、開放位置D2にあるドア部40を閉鎖位置D1まで移動させるにあたっては、駆動源からの動力が、昇降ブロック52側の直動機構に伝達された後、リンク機構を通じて支持フレーム51側の直動機構に伝達される。これにより、開放位置D2にあるドア部40が、上方に移動されてまずは動作変換位置Dtに配置され、そこから前方に移動されて閉鎖位置D1に配置される。
【0048】
なお、ベース部10の前面には、筐体501がベース部10に対して気密に接続されて設けられており、ドア部駆動機構50が備える要素のうち、ベース部10の前面側に配置されるものは、この筐体501に収容される。これによって、スリット14を通じて筐体501に流入したガスが筐体501の外部に流出することが防止される。また、ドア部駆動機構50が備える要素のうち、摺動箇所が存在するスライド支持部511やスライドレール521が、ベース部10の前面側(すなわち、搬送空間Vの外側)に設けられて筐体501内に収容されるとともに、筐体501と搬送空間Vとの連通部分が細いスリット14により形成されることによって、摺動箇所で発生したパーティクルなどが搬送空間Vへ進入することが抑制される。
【0049】
(マッピング部60)
マッピング部60は、載置部20に載置された収容容器9の容器本体91に収容されている基板Wの収容状態の判定(マッピング)を行う。マッピング部60については、後に説明する。
【0050】
(制御部70)
制御部70は、ロードポート1が備える各部の動作を制御するとともに、各種の演算処理を行う要素であり、例えば、電気回路を有する一般的なコンピュータ、あるいは、マイクロコンピュータ、などによって構成される。制御部70は、具体的には例えば、図10に示されるように、データ処理を担う中央演算装置としてのCPU(Central Processor Unit)71といったプロセッサ、基本プログラムなどが格納されるROM(Read Only Memory)72、CPU71が所定の処理(データ処理)を行う際の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)73、フラッシュメモリ、ハードディスク装置、などの不揮発性記憶装置によって構成される記憶部74、これらを相互に接続するバスライン75、などを含んで構成される。また、制御部70には、各種の情報を表示する表示部76、オペレーターなどから各種の入力を受け付ける操作部77、などが接続される。
【0051】
<4.ロードポートの動作の概要>
ロードポート1の動作の概要について、図6および図7を参照しながら説明する。図6は、ロードポート1の動作の流れを示す図である。図7は、ロードポート1の動作の概要を説明するための図である。
【0052】
以下に説明する一連の動作は、制御部70が、ロードポート1が備える各部(具体的には、載置部20に設けられたロック部22およびガスノズル23、載置部駆動機構30、ドア部40に設けられた蓋保持機構41、ドア部駆動機構50、マッピング部60、など)を制御することによって行われる。ロードポート1には、適宜の位置に各種のセンサ(マッピング部60が備えるマッピングセンサ61a,61b、載置部20に収容容器9が載置されたことを検知するセンサ、載置部20がドック位置B2に配置されたことを検知するセンサ、ドア部40が閉鎖位置D1に配置されたことを検知するセンサ、など)が設けられており、制御部70は、各センサと電気的に接続され、各センサから取得した検知情報に基づいて、各部を制御する。
【0053】
ステップS1:収容容器搬入工程
まず、載置部20が離間位置B1に配置されるとともに、ドア部40が閉鎖位置D1に配置されている状態において、収容容器9(例えば、未処理の基板Wを収容した収容容器9)が、AMHS、PGV、OHT、などの外部ロボットによって搬送されてきて、載置部20上に載置される(図7(a))。載置部20に載置された収容容器9は、載置部20上に設けられた位置決めピン21によって案内されて所定の位置に位置決めされる。また、収容容器9の底面に設けられた被固定部に、載置部20上に設けられたロック部22が引っ掛かることで、収容容器9が、該所定の位置において、載置部20に対して固定される。その後、必要に応じて、ガスノズル23からガス供給弁を通じて収容容器9内に所定のガスがパージされるとともに、別のガスノズル23からガス排出弁を通じて収容容器9内のガスが排出されて、収容容器9の内部が所定のガスに置換されるとともに、収容容器9の内部の圧力が所定の値に調整される。
【0054】
ステップS2:載置部移動工程
収容容器9が載置部20に載置されると、載置部駆動機構30が、載置部20を離間位置B1からドック位置B2に移動させる(図7(b))。すなわち、載置部駆動機構30が、載置部20をベース部10に近づく方向(後方)に移動させて、ベース部10に設けられた開口部13(ひいては、これを塞いでいるドア部40)と蓋92とを近づける。載置部20がドック位置B2に配置された状態において、載置部20に載置されている収容容器9の顎部911が、ベース部10の前面と当接する(ドッキング)。
【0055】
ステップS3:蓋保持工程
載置部20がドック位置B2に配置されると、続いて、蓋保持機構41が、ドア部40に蓋92を保持させる。すなわち、載置部20がドック位置B2に配置されて、載置部20に載置された収容容器9の顎部911がベース部10と当接している状態において、該収容容器9の蓋92が、開口部13を塞いでいる(すなわち、閉鎖位置D1に配置されている)ドア部40と、当接あるいは十分に近接(少なくとも、蓋保持機構41が、ドア部40に蓋92を保持させることができる程度に近接)した状態となるところ、このような状態において、蓋保持機構41が、蓋92とドア部40とを連結して一体化させることによって、ドア部40に蓋92を保持させる。また、蓋保持機構41は、収容容器9の容器本体91と蓋92との間のラッチを解除する。
【0056】
ステップS4:開放工程
続いて、ドア部駆動機構50が、ドア部40を、これが保持している蓋92とともに、閉鎖位置D1から開放位置D2に移動させる。具体的には、ドア部駆動機構50は、閉鎖位置D1にあるドア部40を後方に移動させて動作変換位置Dtに配置し(図7(c))、そこから下降させて開放位置D2まで移動させる(図7(d))。後に説明するように、ドア部40が動作変換位置Dtから開放位置D2まで下降される間に、マッピング部60によるマッピング動作が行われる(図15)。
【0057】
ドア部40が閉鎖位置D1から移動されることによって、容器本体91の内部が、開口部13を介して、搬送空間Vと連通する。ドア部40が開放位置D2に配置されると、搬送空間Vに配置されている搬送ロボット82が、容器本体91に収容されている基板Wを取り出して、処理装置Mに搬入する。また、搬送ロボット82は、処理装置Mで所定の処理を施された基板Wを、処理装置Mから搬出して、容器本体91に収容する。
【0058】
ステップS5:閉鎖工程
容器本体91に所定枚数の基板Wが収容されるなどすると、ドア部駆動機構50が、ドア部40を、これが保持している蓋92とともに、開放位置D2から閉鎖位置D1に移動させる。具体的には、ドア部駆動機構50は、開放位置D2にあるドア部40を上昇させて動作変換位置Dtに配置し(図7(c))、そこから前方に移動させて閉鎖位置D1まで移動させる(図7(b))。ドア部40が閉鎖位置D1に配置されることで、ドア部40に保持されている蓋92が容器本体91に取り付けられる。
【0059】
ステップS6:蓋保持解除工程
蓋92が容器本体91に取り付けられると、蓋保持機構41が、容器本体91と蓋92との間にラッチをかける。また、蓋保持機構41は、ドア部40と蓋92との連結を解除して、ドア部40と蓋92を分離(保持状態を解除)する。
【0060】
ステップS7:載置部移動工程
続いて、載置部駆動機構30が、載置部20をドック位置B2から離間位置B1に移動させる(図7(a))。
【0061】
ステップS8:収容容器搬出工程
載置部20が離間位置B1に配置されると、載置部20に設けられたロック部22の引っ掛かりが解除されて、載置部20に対する収容容器9の固定が解除される。その後、収容容器9が、外部ロボットによって搬出される。
【0062】
<5.マッピング部>
<5-1.構成>
次にマッピング部60の構成について、図8図10を参照しながら説明する。図8は、開口部13の近傍を示す側断面図である。図9は、開口部13の近傍を示す平断面図である。図10は、マッピング部60の構成を示すブロック図である。
【0063】
マッピング部(マッピング装置)60は、第1マッピングセンサ61a、第2マッピングセンサ61b、第1オフディレイタイマ62a、第2オフディレイタイマ62b、ローカル駆動機構63、センサ駆動機構64、および、マッピング処理部65を備える。
【0064】
(マッピングセンサ61a,61b)
各マッピングセンサ61a,61bは、載置部20に載置された収容容器9の容器本体91に収容されている基板W(以下において「収容基板W」という)の端面(開口90の側に配置されている端面)Weを、該端面Weと対向する位置から検知する。
【0065】
各マッピングセンサ61a,61bは、例えば、投光部と受光部とを備える反射型の光電センサである。投光部は、各種の発光素子を含んで構成することができ、受光部は、各種の受光素子を含んで構成することができる。投光部から投光される光(検知光)はどのような光であってもよい。例えば、検知光は、可視光線であってもよいし、赤外線であってもよい。また、検知光は、ビーム(線光)であってもよく、一例としてレーザ光であってもよい。さらに、投光部と受光部とは1つのセンサアンプ内に内蔵されていてもよい。
【0066】
各マッピングセンサ61a,61bは、後述する検知位置M1に配置された状態で、投光部から、前方に向けて検知光を投光(照射)する。各マッピングセンサ61a,61bの光軸、つまり、投光部から投光された検知光の経路(検知ライン)La,Lbは、上下に配列された複数の収容基板Wの端面Weが配置される面(被検知面)Kと交差する。検知ラインLa,Lbが被検知面Kと交差する位置(すなわち、被検知面Kにおける、各マッピングセンサ61a,61bからの検知光が投光されるポイントであり、以下「検知ポイントPa,Pb」ともいう)に、収容基板Wの端面Weがある場合、検知光が該端面Weで反射される。そして、該反射光が、各マッピングセンサ61a,61bの受光部で検出される。つまり、各マッピングセンサ61a,61bは、検知ポイントPa,Pbで収容基板Wの端面Weを検知する。
【0067】
各マッピングセンサ61a,61bは、受光部で検知光が検出された場合に、オン信号(ON信号)を出力する。つまり、各マッピングセンサ61a,61bは、検知ポイントPa,Pbで収容基板Wの端面Weが検知された場合に、オン信号を出力する。また、各マッピングセンサ61a,61bは、受光部で検知光が検出されない場合に、オフ信号(OFF信号)を出力する。つまり、マッピングセンサ61a,61bは、検知ポイントPa,Pbで収容基板Wの端面Weが検知されない場合に、オフ信号を出力する。後に説明するように、各マッピングセンサ61a,61bから出力されるオフ信号は、所定の遅延時間Da,Dbだけ遅延されて、マッピング処理部65へ入力される。
【0068】
各マッピングセンサ61a,61bは、いずれも、ドア部40に設けられる。2つのマッピングセンサ61a,61bは、例えば、ドア部40の左右方向の一方側と他方側に分かれて配置される。つまり、2つのマッピングセンサ61a,61bは、収容基板Wの端面Weの延在方向の一方側と他方側に分かれて配置される。
【0069】
第1マッピングセンサ61aおよび第2マッピングセンサ61bは、上下方向について同じ位置(つまり、同じ高さ)に、配設される。また、第1マッピングセンサ61aおよび第2マッピングセンサ61bは、第2マッピングセンサ61bの光軸(検知ラインLb)が、第1マッピングセンサ61aの光軸(検知ラインLa)に対して、下方向に傾斜するような姿勢で、配設される。具体的には例えば、第1マッピングセンサ61aは、検知ラインLaが水平方向に延在するような姿勢で配設され、第2マッピングセンサ61bは、検知ラインLbが斜め下方向に延在するような姿勢で配設される。したがって、第2マッピングセンサ61bの検知ポイント(第2検知ポイント)Pbは、第1マッピングセンサ61aの検知ポイント(第1検知ポイント)Paよりも、低い位置となる。
【0070】
(オフディレイタイマ62a,62b)
第1オフディレイタイマ62aは、第1マッピングセンサ61aとマッピング処理部65との間に介在して設けられ、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号を、所定の遅延時間(第1遅延時間)Daだけ遅延させて、マッピング処理部65に入力させる。一方、第2オフディレイタイマ62bは、第2マッピングセンサ61bとマッピング処理部65との間に介在して設けられ、第2マッピングセンサ61bから出力されるオフ信号を、第1遅延時間Daよりも長い所定の遅延時間(第2遅延時間)Dbだけ遅延させて、マッピング処理部65に入力させる。
【0071】
各オフディレイタイマ62a,62bを実現する態様はどのようなものであってもよい。例えば、各オフディレイタイマ62a,62bは、専用の論理回路などといったハードウェア(例えば、専用プロセッサ)で実現される回路であってもよい。各オフディレイタイマ62a,62bは、各マッピングセンサ61a,61bと一体化されてセンサモジュールの一部を構成するもの(つまりは、センサモジュールに内蔵された回路)であってもよいし、制御部70において実現されるものであってもよい。
【0072】
(ローカル駆動機構63)
ローカル駆動機構63は、各マッピングセンサ61a,61bをドア部40に対して移動させる。ローカル駆動機構63は、各マッピングセンサ61a,61bとドア部40との間に設けられる。つまり、各マッピングセンサ61a,61bは、ローカル駆動機構63を介して、ドア部40に支持される。ローカル駆動機構63は、各マッピングセンサ61a,61bを、収容基板Wの端面Weに対して近接離間する方向に移動させることによって、該マッピングセンサ61a,61bを、収容基板Wの端面Weに相対的に近い位置(検知位置)M1と、収容基板Wの端面Weから相対的に遠い位置(退避位置)M2との間で移動させる。
【0073】
ローカル駆動機構63は、具体的には例えば、先端部において、いずれかのマッピングセンサ61a,61bを支持しつつ水平面内に延在するアーム631と、上端部においてアーム631の基端部と連結されて上下に延在するロッド632と、ロッド632をその軸線のまわりで回動させる駆動部(例えば、ロータリアクチュエータ)633と、を含んで構成される。駆動部633は、ドア部40の後面における上端縁の近傍に取り付けられており、ロッド632の上端、ひいては、ここに支持されているアーム631は、ドア部40の上端縁よりも高い位置に、配置される。このような構成において、駆動部633の駆動を受けて、ロッド632が回動すると、ドア部40の上方の空間において、アーム631がロッド632のまわりで水平旋回する。これによって、アーム631の先端に支持されたマッピングセンサ61a,61bが、円弧状の軌道に沿って移動し、収容基板Wの端面Weに対して近接離間する方向に移動する。例えば、アーム631がドア部40の前方に突出して前後方向に沿うような姿勢(延在方向がドア部40の上端縁と直交するような姿勢)とされたときのマッピングセンサ61a,61bの位置が、検知位置M1とされる。一方、アーム631が左右方向に沿うような姿勢(ドア部40の後方側でドア部40の上端縁と平行に延在するような姿勢)とされたときのマッピングセンサ61a,61bの位置が、退避位置M2とされる。
【0074】
(センサ駆動機構64)
センサ駆動機構64は、各マッピングセンサ61a,61bを収容基板Wの配列方向に移動させる。ここでは、各マッピングセンサ61a,61bがドア部40に設けられており、ドア部40には、これを前後方向および上下方向に移動させるドア部駆動機構50が設けられる。したがって、ドア部駆動機構50がドア部40を上下方向に移動させると、ドア部40とともに各マッピングセンサ61a,61bも収容基板Wの配列方向に移動する。つまり、ここでは、ドア部駆動機構50が、各マッピングセンサ61a,61bを収容基板Wの配列方向に移動させるセンサ駆動機構64としての役割を担っている。
【0075】
(マッピング処理部65)
マッピング処理部65は、第1マッピングセンサ61aから第1オフディレイタイマ62aを介してマッピング処理部65に入力される信号(以下「第1入力信号」ともいう)Qaと、第2マッピングセンサ61bから第2オフディレイタイマ62bを介してマッピング処理部65に入力される信号(以下「第2入力信号」ともいう)Qbとに基づいて、収容基板Wの収容状態を判定する。
【0076】
マッピング処理部65は、例えば、制御部70で実現される機能的な要素である。マッピング処理部65の実態は、例えば、制御部70において、記憶部74に格納されたプログラムをCPU71が実行することによって実現される演算部であってもよいし、専用の論理回路などといったハードウェア(例えば、専用プロセッサ)で実現される回路であってもよい。
【0077】
<5-2.第1入力信号>
第1マッピングセンサ61aから第1オフディレイタイマ62aを介してマッピング処理部65に入力される信号(第1入力信号)Qaについて、図11を参照しながら説明する。図11は、第1入力信号Qaを説明するための図である。
【0078】
第1マッピングセンサ61aが、検知位置M1に配置された状態で、検知光を投光しつつ、例えば下降されると、第1検知ポイントPaが収容基板Wの配列方向に移動する。第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達すると、その時刻t1に、第1マッピングセンサ61aから出力される信号が、オフ信号からオン信号に切り替わる。第1マッピングセンサ61aから出力されるオン信号は、遅延されることなくそのままマッピング処理部65に入力される。つまり、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達した時刻t1に、第1入力信号Qaが立ち上がる(オフ信号からオン信号に切り替わる)。
【0079】
第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達してから、所定時間(横断時間)Teが経過すると、第1検知ポイントPaが該収容基板Wの端面Weの下縁の高さに到達する。横断時間Teは、検知ポイントPa,Pbが収容基板Wの端面Weを横断するのに要する時間(すなわち、1枚の基板Wの厚みをマッピングセンサ61a,61bの移動速度で割った時間)となる。第1検知ポイントPaが、該収容基板Wの端面Weの下縁の高さに到達すると、その時刻t2に、第1マッピングセンサ61aから出力される信号がオン信号からオフ信号に切り替わる。第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号は、第1オフディレイタイマ62aによって第1遅延時間Daだけ遅延されて、マッピング処理部65に入力される。つまり、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの下縁の高さに到達した時刻t2から第1遅延時間Daだけ遅れた時刻t3に、第1入力信号Qaが立ち下がる(オン信号からオフ信号に切り替わる)(図11(b))。
【0080】
現実には、収容基板Wの端面Weの凹凸などの様々な要因によって、第1マッピングセンサ61aから出力される信号にチャタリング(出力される信号のオンとオフとが高速で切り替わる現象)が発生する場合がある。チャタリングが発生すると、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁に到達した時刻t1の直後の時刻t1’に(すなわち、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの下縁の高さに到達していないにもかかわらず)、第1マッピングセンサ61aから出力される信号がオフ信号に切り替わってしまう(図11(c)の二点鎖線)。この場合にも、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号は、第1オフディレイタイマ62aによって第1遅延時間Daだけ遅延されて、マッピング処理部65に入力される。つまり、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達した時刻t1の直後の時刻t1’から第1遅延時間Daだけ遅れた時刻t4に、第1入力信号Qaが立ち下がる(図11(c))。
【0081】
このように、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号に第1遅延時間Daが設けられると、第1マッピングセンサ61aから出力される信号にチャタリングが発生していても、これが第1入力信号Qaにそのまま反映されることがない。すなわち、第1遅延時間Daが設けられることによって、チャタリングの影響が低減あるいは除去される。第1遅延時間Daは、チャタリングの影響が低減あるいは除去される範囲で、十分に短い時間であることが好ましい。一例として、第1遅延時間Daは、10~20msec(ミリ秒)、好ましくは、15msecとされる。
【0082】
<5-3.第2入力信号>
第2マッピングセンサ61bから第2オフディレイタイマ62bを介してマッピング処理部65に入力される信号(第2入力信号)Qbについて、図12図14を参照しながら説明する。図12図14の各々は、収容基板Wの姿勢と、第1入力信号Qaおよび第2入力信号Qbが切り替わるタイミングの関係を説明するための図である。
【0083】
以下において、「基板Wが正常に支持されている」とは、1つの棚93を構成する複数(図の例では3本)の支持棒931の全てが同じ基板Wを支持している状態を指す。つまり、「基板Wが正常に支持されていない」とは、1つの棚93を構成する複数の支持棒931の一部のみが基板Wを支持し、残りが該基板Wを支持していない状態を指す(以下「クロス異常状態」ともいう)。例えば、基板Wが複数の棚93にまたがって支持されている状態も、クロス異常状態の一態様である。
【0084】
(i)撓みなく正常に支持されている場合
第1マッピングセンサ61aおよび第2マッピングセンサ61bが、いずれも検知位置M1に配置された状態で、検知光を投光しつつ、例えば下降されると、第1検知ポイントPaおよび第2検知ポイントPbが収容基板Wの配列方向に移動する。上記のとおり、第2検知ポイントPbは、第1検知ポイントPaよりも、低い位置にある。つまり、第2検知ポイントPbは、第1検知ポイントPaよりも、移動方向の下流側にある。このため、第2検知ポイントPbが、第1検知ポイントPaに先行して収容基板Wの配列方向に移動する。
【0085】
いま、収容基板Wが、撓みなく(撓んだり歪んだりすることなく)、正常に支持されている場合を想定する(図12(a))。この場合、第2検知ポイントPbが、第1検知ポイントPaよりも先に、収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達する。第2検知ポイントPbが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達すると、その時刻t1に、第2マッピングセンサ61bから出力される信号が、オフ信号からオン信号に切り替わる。第2マッピングセンサ61bから出力されるオン信号は、遅延されることなくそのままマッピング処理部65に入力される。つまり、第2検知ポイントPbが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達した時刻t1に、第2入力信号Qbが立ち上がる。
【0086】
第2検知ポイントPbが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達してから、横断時間Teが経過して、第2検知ポイントPbが該収容基板Wの端面Weの下縁の高さに到達すると、その時刻t2に、第2マッピングセンサ61bから出力される信号がオン信号からオフ信号に切り替わる。第2マッピングセンサ61bから出力されるオフ信号は、第2オフディレイタイマ62bによって第2遅延時間Dbだけ遅延されて、マッピング処理部65に入力される。つまり、第2検知ポイントPbが収容基板Wの端面Weの下縁の高さに到達した時刻t2から第2遅延時間Dbだけ遅れた時刻t3に、第2入力信号Qbが立ち下がる。
【0087】
一方、第2検知ポイントPbが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達してから、所定時間(固定ずれ時間)Tfが経過すると、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達する。固定ずれ時間Tfは、検知ポイントPa,Pbの高さ方向のずれ幅Fに応じた時間(すなわち、ずれ幅Fをマッピングセンサ61a,61bの移動速度で割った時間)となる。第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達すると、その時刻t4に、第1マッピングセンサ61aから出力される信号が、オフ信号からオン信号に切り替わる。第1マッピングセンサ61aから出力されるオン信号も、遅延されることなくそのままマッピング処理部65に入力される。つまり、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達した時刻t4に、第1入力信号Qaが立ち上がる。
【0088】
ここでは、収容基板Wが撓みなく正常に支持されている場合に、第1入力信号Qaが立ち上がった時点において、第2入力信号Qbがまだ立ち下がっていないように、第2遅延時間Dbが規定される。例えば、第2遅延時間Dbは、固定ずれ時間Tfよりも長い時間とされる。したがって、収容基板Wが撓みなく正常に支持されている場合、まずは、第2入力信号Qbが立ち上がり(この時刻を、以下「第1基準時刻t1」ともいう)、その後、第1入力信号Qaが立ち上がり(この時刻を、以下「第2基準時刻t4」ともいう)、その後、第2入力信号Qbが立ち下がる(この時刻を、以下「第3基準時刻t3」ともいう)。
【0089】
(ii)第1検知ポイントPaの側が下にある場合
次に、収容基板Wが、第1検知ポイントPaの側で相対的に下方に撓みつつも(下方に撓んだり下方に歪んだりしつつも)、正常に支持されている場合を想定する(一例として図13(a)の実線)。この場合、収容基板Wが撓みなく正常に支持されている場合(図13(a)の一点鎖線)と比較すると、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達するタイミングが、収容基板Wの撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgだけ遅くなる。したがって、第1入力信号Qaが立ち上がる時刻が、撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgだけ、第2基準時刻t4から遅れた時刻t5となる(図13(b))。
【0090】
一方、収容基板Wが第1検知ポイントPaの側の支持棒931で支持されていない場合、収容基板Wが第1検知ポイントPaの側で斜めに垂れ下がっていることが想定される(図13(a)の二点鎖線)。このため、収容基板Wが撓みなく正常に支持されている場合(図13(a)の一点鎖線)と比較すると、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達するタイミングが、収容基板Wの垂下幅Hに応じた遅れ時間Thだけ遅くなる。したがって、第1入力信号Qaが立ち上がる時刻が、垂下幅Hに応じた遅れ時間Thだけ、第2基準時刻t4から遅れた時刻t6となる(図13(c))。
【0091】
収容基板Wが、撓みつつ正常に支持されている状態において生じ得る撓み幅Gには限度があり、収容基板Wの厚み、サイズ、支持棒931の配設間隔、などから、生じ得る最大の撓み幅Gを予測できる。ここでは、例えば、各検知ポイントPa,Pbの位置が端面Weの端部側に十分に寄るように各マッピングセンサ61a,61bの位置が規定されており、各検知ポイントPa,Pbが通過する位置において、最大の撓み幅Gは、垂下幅Hよりも小さいものとなる。したがって、撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgは、垂下幅Hに応じた遅れ時間Thよりも短い。そして、ここでは、第1入力信号Qaが、撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgだけ第2基準時刻t4から遅れて立ち上がっても、第1入力信号Qaが立ち上がった時点において、第2入力信号Qbがまだ立ち下がっていないように、第2遅延時間Dbが規定される。一方、第1入力信号Qaが、垂下幅Hに応じた遅れ時間Thだけ第2基準時刻t4から遅れて立ち上がった場合は、第1入力信号Qaが立ち上がった時点において、第2入力信号Qbがすでに立ち下がっているように、第2遅延時間Dbが規定される。例えば、第2遅延時間Dbは、固定ずれ時間Tfと最大の撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgとを加算した時間と同程度の時間とされる。一例として、第2遅延時間Dbは、50~150msec(ミリ秒)、好ましくは、100msecとされる。
【0092】
(iii)第2検知ポイントPbの側が下にある場合
次に、収容基板Wが、第2検知ポイントPbの側で相対的に下方に撓みつつも、正常に支持されている場合を想定する(一例として図14(a)の実線)。この場合、収容基板Wが撓みなく正常に支持されている場合(図14(a)の一点鎖線)と比較すると、第2検知ポイントPbが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達するタイミングが、収容基板Wの撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgだけ遅くなる。したがって、第2入力信号Qbが立ち上がる時刻が、撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgだけ、第1基準時刻t1から遅れた時刻t7となる(図14(b))。
【0093】
一方、収容基板Wが第2検知ポイントPbの側の支持棒931で支持されていない場合、収容基板Wが第2検知ポイントPbの側で斜めに垂れ下がっていることが想定される(図14(a)の二点鎖線)。このため、収容基板Wが撓みなく正常に支持されている場合(図14(a)の二点鎖線)と比較すると、第2検知ポイントPbが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達するタイミングが、収容基板Wの垂下幅Hに応じた遅れ時間Thだけ遅くなる。したがって、第2入力信号Qbが立ち上がる時刻が、垂下幅Hに応じた遅れ時間Thだけ、第1基準時刻t1から遅れた時刻t8となる(図14(c))。
【0094】
上記のとおり、ここでは、各検知ポイントPa,Pbが通過する位置において、最大の撓み幅Gは、垂下幅Hよりも小さく、撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgは、垂下幅Hに応じた遅れ時間Thよりも短い。そして、ここでは、第2入力信号Qbが、撓み幅Gに応じた遅れ時間Tgだけ第1基準時刻t1から遅れて立ち上がっても、第2入力信号Qbが立ち上がった時点において、第1入力信号Qaがまだ立ち下がっていないように(特に好ましくは、第1入力信号Qaがまだ立ち上がっていないように)、固定ずれ時間Tf(具体的には、検知ポイントPa,Pbの高さ方向のずれ幅F)が規定される。一方、第2入力信号Qbが、垂下幅Hに応じた遅れ時間Thだけ第1基準時刻t1から遅れて立ち上がった場合は、第2入力信号Qbが立ち上がった時点において、第1入力信号Qaがすでに立ち下がっているように、固定ずれ時間Tf(具体的には、ずれ幅F)が規定される。例えば、ずれ幅Fは、最大の撓み幅Gよりも大きく、垂下幅Hよりも小さい値とされる。一例として、例えば基板Wの厚みが0.8mm程度であり、最大の撓み幅Gが1~1.5mm程度である場合、ずれ幅Fは、例えば2~3mmとされる。
【0095】
以上のとおり、ここでは、収容基板Wが正常に支持されている場合(クロス異常状態ではない場合)は、たとえ該収容基板Wが撓んだり歪んだりしていたとしても、第1入力信号Qaがオン状態の時間帯と第2入力信号Qbがオン状態の時間帯とが少なくとも部分的に重複し(図12(b)、図13(b)、図14(b))、収容基板Wがクロス異常状態である場合は、第1入力信号Qaがオン状態の時間帯と第2入力信号Qbがオン状態の時間帯とが重複しないように(図13(c)、図14(c))、第2遅延時間Dbおよびずれ幅Fが調整される。つまり、収容基板Wが正常に支持されているか否か(クロス異常状態であるか否か)によって、各入力信号Qa,Qbのオンオフが切り替わるタイミングの関係が異なるものとなるように、第2遅延時間Dbおよびずれ幅Fが調整される。したがって、各入力信号Qa,Qbのオンオフが切り替わるタイミングの関係に基づいて、収容基板Wが正常に支持されているか否かを判別することができる。
【0096】
<5-4.マッピング動作>
次に、マッピング動作の概要について、図15を参照しながら説明する。図15は、マッピング動作におけるマッピングセンサの動きを説明するための図である。
【0097】
上記のとおり、ロードポート1では、開放工程(ステップS4)において、ドア部駆動機構50が、ドア部40を、これが保持している蓋92とともに、閉鎖位置D1から動作変換位置Dtを経由して開放位置D2に移動させる(図7(b)、図7(c)、図7(d))。この開放工程(ステップS4)において、ドア部40が動作変換位置Dtから僅かに下降されて、各マッピングセンサ61a,61bの検知ポイントがPa,Pbが、最も上の棚93に支持される収容基板Wよりも僅かに上の高さに配置されると、各マッピングセンサ61a,61bが退避位置M2から検知位置M1に移動される(図15(a))。その後、ドア部40がさらに下降されることで、各マッピングセンサ61a,61bは、検知位置M1に配置された状態で、検知光を投光しつつ、収容基板Wの配列方向に移動される(図15(b))。つまり、各マッピングセンサ61a,61bは、収容基板Wの配列方向に移動しつつ、各収容基板Wの端面Weを、該端面Weと対向する位置から検知する(検知工程)。各マッピングセンサ61a,61bの検知ポイントがPa,Pbが、最も下の棚93に支持される収容基板Wよりも僅かに下の高さに配置されると(図15(c))、各マッピングセンサ61a,61bが検知位置M1から退避位置M2まで移動される。なお、各マッピングセンサ61a,61bは、例えばロードポート1が動作している間、検知光を投光する状態に維持されたままであってもよい。あるいは、各マッピングセンサ61a,61bは、これが検知位置M1に移動されたタイミングで投光を開始し、退避位置M2に移動されたタイミングで投光を停止するように制御されてもよい。
【0098】
このように、各マッピングセンサ61a,61bが、検知位置M1に配置された状態で、検知光を投光しつつ、収容基板Wの配列方向に移動されることによって、検知ラインLa,Lbによって、一群の収容基板W(最も上の棚93に支持される収容基板Wから、最も下の棚93に支持される収容基板Wまでを含む、一群の収容基板W)が、その配列方向にスキャンされる。すなわち、各マッピングセンサ61a,61bによって、該一群の収容基板Wの端面Weが検知される。検知ラインLa,Lbによって一群の収容基板Wがスキャンされる間に各マッピングセンサ61a,61bから出力される信号は、各オフディレイタイマ62a,62bを介して、マッピング処理部65に入力される。マッピング処理部65は、各マッピングセンサ61a,61bから各オフディレイタイマ62a,62bを介してマッピング処理部65に入力される信号(入力信号)Qa,Qbに基づいて、収容基板Wの収容状態を判定する(マッピング処理工程)。
【0099】
<5-5.マッピング処理>
次に、マッピング処理について、図16を参照しながら説明する。図16は、マッピング処理の流れを示す図である。
【0100】
ここでは、「収容状態の判定」として、例えば、収容基板Wの有無の判定(枚数のカウント)、および、収容基板Wの支持状態の判定が行われる。また、「支持状態の判定」として、例えば、収容基板Wの支持状態が、適正状態(1枚の基板Wが1つの棚93に正常に支持されている状態)、クロス異常状態(1つの棚93を構成する複数の支持棒931の一部のみが基板Wを支持し、残りが該基板Wを支持していない状態)、ダブル異常状態(2枚以上の基板Wが1つの棚93に支持されている状態)のうちのいずれであるかの判定が行われる。
【0101】
(i)有無の判定
第1マッピングセンサ61aおよび第2マッピングセンサ61bが、いずれも検知位置M1に配置された状態で、検知光を投光しつつ、収容基板Wの配列方向に移動される間に、第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの上縁の高さに到達すると、その時刻に、第1入力信号Qaが立ち上がる。マッピング処理部65は、第1入力信号Qaが立ち上がった場合(ステップS101でYES)、該立ち上がりの時刻における第1検知ポイントPaの高さを特定して、該高さに収容基板Wがあると判断する(ステップS102)。いずれかの棚93に相当する高さで収容基板Wがあると判断されなかった場合、該棚93に収容基板Wが支持されていない(収容基板Wがない)、あるいは、該棚93に支持されている収容基板Wがクロス異常状態である可能性が高い。
【0102】
なお、各時刻における第1検知ポイントPaおよび第2検知ポイントPbの各高さは、適宜の態様で特定することができる。例えば、センサ駆動機構64としての役割を担うドア部駆動機構50が、数値制御可能な駆動源(例えば、ステッピングモータ)を含んで構成される場合、該駆動源に与えられている指令値に基づいて(例えば、ステッピングモータに与えられた動作パルスのカウンタ値(ステップ数)に基づいて)、各時刻におけるドア部40の高さ、ひいては、各マッピングセンサ61a,61bの高さ、ひいては、各検知ポイントPa,Pbの高さを、特定することができる。また例えば、ドア部駆動機構50の駆動源となるモータにエンコーダが設けられる場合、エンコーダの出力値に基づいて、各時刻におけるドア部40の高さを特定することができる。
【0103】
(ii)クロス異常状態の検知
収容基板Wがあると判断された場合、マッピング処理部65は、該収容基板Wが、クロス異常状態であるか否かを判定する。ここでは、クロス異常状態であるか否かの判定が2段階で行われる場合を例示する。
【0104】
(第1段階の判定)
上記のとおり、ここでは、収容基板Wが正常に支持されている場合(クロス異常状態ではない場合)は、たとえ該収容基板Wが撓んだり歪んだりしていたとしても、第1入力信号Qaがオン状態の時間帯と第2入力信号Qbがオン状態の時間帯とが少なくとも部分的に重複し(図12(b)、図13(b)、図14(b))、収容基板Wがクロス異常状態である場合は、第1入力信号Qaがオン状態の時間帯と第2入力信号Qbがオン状態の時間帯とが重複しないように(図13(c)、図14(c))、第2遅延時間Dbおよびずれ幅Fが調整されている。そこで、マッピング処理部65は、例えば、第1入力信号Qaが立ち上がった時刻と立ち下がった時刻との両方で、第2入力信号Qbがオフ信号となっているか否かを判定する(ステップS103)。ここで肯定的な判定結果が得られた場合、すなわち、第1入力信号Qaが立ち上がった時刻と立ち下がった時刻との両方で、第2入力信号Qbがオフ信号となっている場合(ステップS103でYES)、マッピング処理部65は、収容基板Wが正常に支持されていない(クロス異常状態である)と判断する(ステップS104)。一方、否定的な判定結果が得られた場合、すなわち、第1入力信号Qaが立ち上がった時刻と立ち下がった時刻との一方あるいは両方で、第2入力信号Qbがオン信号となっている場合(ステップS103でNO)、マッピング処理部65は、少なくとも第1段階の判定では収容基板Wはクロス異常状態ではないと判断して、ステップS105の処理に進む。
【0105】
(第2段階の判定)
収容基板Wが正常に支持されている場合、収容基板Wの端面Weの上縁の高さと下縁の高さの中央値(端面Weの中央高さ)が、いずれかの棚93に対応する適正支持位置(すなわち、収容基板Wがいずれかの棚93に適正状態で支持されている場合に、該収容基板Wの中央高さが配置されるべき位置)と十分に一致するはずである。一方、収容基板Wがクロス異常状態であれば、該中央値は、いずれの適正支持位置とも十分に一致しない可能性がある。そこで、マッピング処理部65は、第1入力信号Qaが立ち上がった時刻における第1検知ポイントPaの高さと、第1入力信号Qaが立ち下がった時刻における第1検知ポイントPaの高さとの中央値が、いずれかの適正支持位置と、所定の許容範囲内で一致するか否かを判定する(ステップS105)。ここで否定的な判定結果が得られた場合(ステップS105でNO)、マッピング処理部65は、収容基板Wが正常に支持されていない(クロス異常状態である)と判断する(ステップS106)。一方、肯定的な判定結果が得られた場合(ステップS105でYES)、マッピング処理部65は、収容基板Wはクロス異常状態ではないと判断して、ステップS107の処理に進む。
【0106】
なお、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号は、第1遅延時間Daだけ遅延されて、マッピング処理部65に入力される。したがって、第1入力信号Qaが立ち下がる時刻は、第1マッピングセンサ61aの第1検知ポイントPaが収容基板Wの端面Weの下縁の高さに到達した時刻から遅れている可能性がある。つまり、第1入力信号Qaに基づいて特定される中央値は、端面Weの中央高さからずれている可能性がある。しかしながら、上記のとおり、ここでは、第1遅延時間Daは十分に短い時間とされており、このずれは、棚93の配設間隔に対して十分に小さい。したがって、第1遅延時間Daが設けられることによって判定の確度が低下する可能性は十分に低い。
【0107】
(iii)ダブル異常状態の検知
収容基板Wがクロス異常状態ではないと判断された場合、マッピング処理部65は、該収容基板Wが、ダブル異常状態であるか否かを判定する。
【0108】
収容基板Wがダブル異常状態でなければ、収容基板Wの端面Weの上縁の高さと下縁の高さの差分値(端面Weの厚み)が、1枚分の基板Wの厚みと十分に一致するはずである。一方、収容基板Wがダブル異常状態であれば、該差分値は、1枚分の基板Wの厚みの2倍以上である可能性が高い。そこで、マッピング処理部65は、第1入力信号Qaが立ち上がった時刻における第1検知ポイントPaの高さと、第1入力信号Qaが立ち下がった時刻における第1検知ポイントPaの高さとの差分値が、1枚分の基板Wの厚みに相当する適正差分値と、所定の許容範囲内で一致するか否かを判定する(ステップS107)。ここで否定的な判定結果が得られた場合(ステップS107でNO)、マッピング処理部65は、収容基板Wがダブル異常状態であると判断する(ステップS108)。一方、肯定的な判定結果が得られた場合(ステップS107でYES)、マッピング処理部65は、収容基板Wが適正状態であると判断する(ステップS109)。
【0109】
なお、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号は、第1遅延時間Daだけ遅延されて、マッピング処理部65に入力される。したがって、収容基板Wがダブル異常状態ではなくとも、第1入力信号Qaに基づいて特定される差分値が、1枚分の基板Wの厚みよりもわずかに大きい値となる可能性がある。この点を加味して、第1入力信号Qaに基づいて特定される差分値と比較される適正差分値が、1枚分の基板Wの厚みよりもわずかに大きな値に設定されることも好ましい。いうまでもなく、収容基板Wがダブル異常である場合は、第1入力信号Qaに基づいて特定される差分値は、2枚分の基板Wの厚みよりもわずかに大きい値となる可能性が高い。したがって、1枚分の基板Wの厚みよりもわずかに大きな値が適正差分値として設定されても、判定の確度が低下する可能性は十分に低い。
【0110】
<6.効果>
上記のマッピング部(マッピング装置)60は、収容容器9に収容される矩形の基板Wの端面Weの延在方向の一方側に配置され、基板Wの配列方向に移動しつつ、第1検知ポイントPaで端面Weを検知した場合にオン信号を出力する、第1マッピングセンサ61aと、端面Weの延在方向の他方側に配置され、該配列方向に移動しつつ、第1検知ポイントPaよりも該移動方向の下流側にある第2検知ポイントPbで端面Weを検知した場合にオン信号を出力する、第2マッピングセンサ61bと、第1マッピングセンサ61aから入力される第1入力信号Qaと、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマ(第2オフディレイタイマ)62bを介して第2マッピングセンサ61bから入力される第2入力信号Qbと、に基づいて、基板Wの収容状態を判定するマッピング処理部65と、を備える。この構成によると、判別するべき各収容状態によって(例えば、クロス異常状態であるか否かによって)、第1入力信号Qaおよび第2入力信号Qbのオンオフが切り替わるタイミングの関係が異なるものとなるように、第1検知ポイントPaと第2検知ポイントPbの移動方向(上記の実施形態では高さ方向)についてのずれ幅F、および、第2マッピングセンサ61bのオフ信号に設けられる遅延時間(第2遅延時間)Dbを調整しておくことで、該タイミングの関係に基づいて基板Wの収容状態を十分な確度で判定することができる。
【0111】
また、上記のマッピング部60では、マッピング処理部65が、第1入力信号Qaが立ち上がった時刻と立ち下がった時刻との両方で、第2入力信号Qbがオフ信号となっている場合に、基板Wが正常に支持されていないと判断する。例えば、検知ポイントPa,Pbを移動方向についてずらさず、各マッピングセンサから出力される信号をそのまま(すなわち、オフ信号に遅延時間を設けずに)制御部に入力して、制御部において各入力信号が切り替わるタイミングの関係を解析することで、基板Wの収容状態を判定することも考え得る。しかしながら、このような解析を行うとなると、制御部の処理負担が大きくなり、判定に要する時間も長くなってしまう。これに対して、上記の構成によると、第1入力信号Qaが立ち上がった時刻と立ち下がった時刻の各々で第2入力信号Qbがオフ信号となっているか否かを見るだけで基板Wの収容状態が判定されるので、基板Wの収容状態を、処理負担を抑えつつ迅速に判定することができる。
【0112】
また、上記のマッピング部60では、第1入力信号Qaが、オフ信号を遅延させるオフディレイタイマ(第1オフディレイタイマ)62aを介して第1マッピングセンサ61aからマッピング処理部65に入力される信号であり、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号に設けられる遅延時間(第1遅延時間)Daが、第2マッピングセンサ61bから出力されるオフ信号に設けられる遅延時間(第2遅延時間)Dbよりも短い。この構成によると、マッピング処理部65に入力される第1入力信号Qaが、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号に、相対的に短い第1遅延時間Daが設けられたものであるので、第1マッピングセンサ61aから出力される信号にチャタリングが発生していたとしても、その影響が低減あるいは除去される。したがって、収容状態の判定精度が低下しにくい。
【0113】
また、上記のマッピング部60では、第2マッピングセンサ61bの光軸(検知ライン)Lbが、第1マッピングセンサ61aの光軸(検知ラインLa)に対して、移動方向(マッピングセンサ61a,61bが基板Wの配列方向に移動する際の移動方向であり、上記の実施形態では下方向)に傾斜している。この構成によると、第1マッピングセンサ61aの光軸(検知ラインLa)と、第2マッピングセンサ61bの光軸(検知ライン)Lbとがなす角度を調整することによって、第1検知ポイントPaと第2検知ポイントPbの該移動方向についてのずれ幅Fを調整することができる。また、この構成によると、例えば、第1マッピングセンサ61aおよび第2マッピングセンサ61bを、該移動方向について同じ位置に配設しつつ、各検知ポイントPa,Pbを該移動方向についてずれた位置に配置することができる。したがって、マッピング部60のレイアウトが簡素化される。
【0114】
また、マッピング部60では、第1マッピングセンサ61aおよび第2マッピングセンサ61bが、ドア部40に設けられる。この構成によると、例えば、ドア部40が閉鎖位置D1から開放位置D2まで移動される動作を利用して、各マッピングセンサ61a,61bを、収容容器9に収容されている収容基板Wの配列方向に移動させることができる。したがって、マッピング部60の構成を簡素化することができる。
【0115】
また、マッピング部60は、各マッピングセンサ61a,61bを、収容基板Wの端面Weに対して近接離間する方向に移動させるローカル駆動機構63、を備える。この構成によると、例えば、各マッピングセンサ61a,61bが収容基板Wの端面Weの検知動作を行わない間は、各マッピングセンサ61a,61bが邪魔にならないようにこれを収容基板Wの端面Weから相対的に遠い位置(退避位置)M2に配置しておき、各マッピングセンサ61a,61bが収容基板Wの端面Weの検知動作を行う際に、各マッピングセンサ61a,61bを収容基板Wの端面Weに相対的に近い位置(検知位置)M1に移動させることができる。各マッピングセンサ61a,61bが収容基板Wの端面Weに十分に近い位置から該端面Weを検知することで、十分な精度で収容基板Wの収容状態を判定することができる。すなわち、各マッピングセンサ61a,61bと収容基板Wの端面Weとの離間距離が小さいほど、各マッピングセンサ61a,61bから出力される信号の立ち上がりおよび立ち下がりのエッジを正確に特定することが可能となり、収容状態の判定精度(例えば、収容基板Wの有無の判定精度、支持状態の判定精度)が向上する。また、各マッピングセンサ61a,61bと収容基板Wの端面Weとの離間距離が小さいほど、厚みが薄い収容基板Wの端面Weを正確に検知することが可能となり、厚みの薄い収容基板Wの収容状態を十分な精度で判定することができる。
【0116】
<7.他の実施形態>
上記の実施形態において、各マッピングセンサ61a,61bが収容基板Wの配列方向に移動される際の移動方向について、第2検知ポイントPbを第1検知ポイントPaよりも下流側に配置する態様(すなわち、ずれ幅Fを設ける態様)は、どのようなものであってもよい。
【0117】
例えば、第2マッピングセンサ61bが第1マッピングセンサ61aよりも、移動方向の下流側に配設されることによって、第2検知ポイントPbが第1検知ポイントPaよりも該移動方向の下流側に配置されてもよい。例えば、マッピングセンサ61a,61bが下降されることによって収容基板Wの配列方向に移動される場合、第2マッピングセンサ61bが、第1マッピングセンサ61aよりも低い位置に配設されることによって、第2検知ポイントPbが第1検知ポイントPaよりも、該移動方向の下流側に配置されてもよい。この場合、各マッピングセンサ61a,61bは、同じ姿勢(例えば、検知ラインLa,Lbが水平方向に延在するような姿勢)で配設されてもよい。
【0118】
また例えば、上記の実施形態のように、第1マッピングセンサ61aと第2マッピングセンサ61bとが、移動方向について同じ位置に配置されつつ、異なる姿勢で配設されることによって、第2検知ポイントPbが第1検知ポイントPaよりも該移動方向の下流側に配置される場合に、各マッピングセンサ61a,61bの姿勢の組み合わせは、適宜に規定することができる。例えば、第1マッピングセンサ61aが、検知ラインLaが斜め上方向に延在するような姿勢で配設され、第2マッピングセンサ61bが、検知ラインLbが水平方向に延在するような姿勢で配設されてもよい。あるいは、第1マッピングセンサ61aが、検知ラインLaが斜め上方向に延在するような姿勢で配設され、第2マッピングセンサ61bが、検知ラインLbが斜め下方向に延在するような姿勢で配設されてもよい。
【0119】
上記の実施形態において、第1検知ポイントPaが第2検知ポイントPbよりも低い位置にあってもよい。例えば、マッピングセンサ61a,61bが上昇されることによって収容基板Wの配列方向に移動される場合、第1検知ポイントPaが第2検知ポイントPbよりも、低い位置にあってもよい。
【0120】
上記の実施形態において、各オフディレイタイマ62a,62bを実現する態様はどのようなものであってもよい。例えば、各オフディレイタイマ62a,62bは、制御部70において、記憶部74に格納されたプログラムをCPU71が実行することによって実現される演算部であってもよい。具体的には例えば、各マッピングセンサ61a,61bから出力されるオフ信号が、遅延されることなくそのまま制御部70に入力され、ここで実現される各オフディレイタイマ62a,62bにおいて、各遅延時間Da,Dbだけ遅延させる演算処理を施されてから、マッピング処理部65に入力されてもよい。
【0121】
上記の実施形態において、第1オフディレイタイマ62aは省略されてもよい。すなわち、第1マッピングセンサ61aから出力されるオフ信号が、遅延されることなくそのままマッピング処理部65に入力されてもよい。
【0122】
上記の実施形態において、各マッピングセンサ61a,61bはドア部40に設けられるものとしたが、各マッピングセンサ61a,61bはドア部40に設けられなくともよい。例えば、各マッピングセンサ61a,61bが、ドア部40とは別に設けられたガイド軸(収容基板Wの配列方向に延在するガイド軸)に、ガイド軸に沿って移動自在に設けられるとともに、ガイド軸に設けられた各マッピングセンサ61a,61bを、ガイド軸に沿って移動させる駆動機構が設けられてもよい。駆動機構は、数値制御可能な駆動源(例えば、ステッピングモータ)を含んで構成されることが好ましい。この場合は、各マッピングセンサ61a,61bをガイド軸に沿って移動させる駆動機構が、各マッピングセンサ61a,61bを収容基板Wの配列方向に移動させるセンサ駆動機構64としての役割を担う。また例えば、各マッピングセンサ61a,61bが、搬送ロボット82のハンドに設けられてもよい。この場合、ハンドが昇降されることで、該ハンドに設けられたマッピングセンサ61a,61bが収容基板Wの配列方向に移動される。つまり、この場合は、ハンドを昇降させる駆動機構が、各マッピングセンサ61a,61bを収容基板Wの配列方向に移動させるセンサ駆動機構64としての役割を担う。
【0123】
上記の実施形態において、各マッピングセンサ61a,61bは、受光部で検知光が検出された場合に、検知光が反射された位置までの距離を検出する(距離信号を出力する)ものであってもよい(いわゆる、距離センサ)。この場合、各マッピングセンサ61a,61bは、検出された距離が所定の閾値(例えば、各マッピングセンサ61a,61bから被検知面Kまでの離間距離に相当する閾値)と同程度あるいはそれ以下である場合に、オン信号を出力するものであってもよい。この場合も、各マッピングセンサ61a,61bの検知ポイントPa,Pbに収容基板Wの端面Weがある場合に、各マッピングセンサ61a,61bからオン信号が出力されることになる。
【0124】
上記の実施形態において、各マッピングセンサ61a,61bは、左右方向について、収容基板Wを支持している支持棒931からずれた位置に配置されることが好ましい。例えば、第1マッピングセンサ61aは、左右方向について、左側の支持棒931と中央の支持棒931との間に配置され、第2マッピングセンサ61bは、左右方向について、右側の支持棒931と中央の支持棒931との間に配置されてもよい。このような構成であれば、支持棒931の端面によって反射された光が受光部で検出されることがない。
【0125】
上記の実施形態において、マッピングセンサ61a,61bの配設個数は必ずしも2個でなくともよい。例えば、3個以上のマッピングセンサが設けられてもよい。
【0126】
上記の実施形態において、各マッピングセンサ61a,61bにおける、検知光の形状およびサイズ(照射領域の形状およびサイズ)は、どのようなものであってもよい。例えば、検知光の形状は、円形状や楕円型であってもよいし、正方形状であってもよいし、長方形状(例えば、収容基板Wの端面Weの延在方向に長尺な長方形状)であってもよい。また例えば、該検知光が、収容基板Wの厚みと同程度のサイズであってもよい。また、各マッピングセンサ61a,61bは、光電センサ以外のセンサ(例えば、近接センサ)で実現されてもよい。
【0127】
上記の実施形態において、マッピング処理において、判定に用いられる各種の値(例えば、基板Wがクロス異常状態であるか否かの判定に用いられる値(例えば、適正支持位置)、基板Wがダブル異常状態であるか否かの判定に用いられる値(例えば、適正差分値)、など)は、判定対象となる基板Wの厚みに応じて個別に設定されてもよい。すなわち、判定に用いられる値が、判定対象となる基板Wの厚みに応じて変更されてもよい。一例として、載置部20に載置されている収容容器9の識別情報(ID情報)が予め制御部70に登録されている場合に、マッピング処理部65が、登録された識別情報に基づいて、該収容容器9に収容されている収容基板Wの厚みを特定し、特定された厚みに対応する値を用いて判定を行ってもよい。
【0128】
上記の実施形態では、マッピング処理において、収容基板Wがクロス異常状態であるか否かの判定が行われた後に、該収容基板Wがダブル異常状態であるか否かの判定が行われていたが、この順序は逆であってもよい。すなわち、収容基板Wがダブル異常状態であるか否かの判定が行われた後に、該収容基板Wがクロス異常状態であるか否かの判定が行われてもよい。あるいは、収容基板Wがダブル異常状態であるか否かの判定と、該収容基板Wがクロス異常状態であるか否かの判定が、並行して行われてもよい。
【0129】
上記の実施形態において、マッピング処理部65が、収容基板Wの収容状態に何らかの異常があると判定した場合(例えば、クロス異常状態、ダブル異常状態、などが検知された場合)、マッピング処理部65が、その旨を制御部70に通知し、該通知を受けた制御部70が適宜の処理(例えば、ドア部駆動機構50に停止信号を送出する、搬送ロボット82が収容容器9にアクセスしないように禁止信号を送出する、アラームを鳴動させる、などといった処理)を行ってもよい。
【0130】
上記の実施形態において、各マッピングセンサ61a,61bと干渉する位置に飛び出している収容基板Wを検知するためのセンサが設けられてもよい。この場合、該センサによって、飛び出している収容基板Wが検知された場合に、制御部70が、ドア部駆動機構50に停止信号を送出して、ドア部40の下降を停止させてもよい。さらに、ローカル駆動機構63に移動指令信号を送出して、各マッピングセンサ61a,61bを検知位置M1から退避位置M2に移動させてもよい。
【0131】
上記の実施形態において、収容容器9に収容される基板Wの形状は、矩形状に限られるものではなく、例えば、円形状であってもよい。また、基板Wは、例えば、ウエハ(例えば、半導体ウエハ)、テープフレームに保持されたウエハ(テープフレームウエハ)、エッジリング、レティクル、液晶搬送対象物、銅積層板、パッケージ基板、プリント基板、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、シャーレ、などであってもよい。また、収容容器9は、必ずしも密閉式のものである必要はなく、開放式のものであってもよい。また、収容容器9は、必ずしもFOUPである必要はなく、例えば、FOSB、カセット、などであってもよい。また、ロードポート1は、半導体の製造工程、液晶の製造工程、細胞培養、などといった各種の分野で用いられるものであってもよい。また、ロードポート1は、必ずしもEFEM100に搭載されるものでなくともよい。
【0132】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0133】
100 EFEM
1 ロードポート
10 ベース部
20 載置部
30 載置部駆動機構
40 ドア部
50 ドア部駆動機構
60 マッピング部
61a 第1マッピングセンサ
61b 第2マッピングセンサ
62a 第1オフディレイタイマ
62b 第2オフディレイタイマ
63 ローカル駆動機構
64 センサ駆動機構
65 マッピング処理部
70 制御部
Qa 第1出力信号
Qb 第2出力信号
図1
図2
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